説明

選択的および生体活性的等配電子体としての多重置換フルオロメタン

置換フルオロメタン;治療的有効量の置換フルオロメタンを含む薬学的組成物;これらのフルオロメタンの製造方法;ならびに感染および寄生の軽減における置換フルオロメタンの使用方法が、本明細書中で開示される。ホスフェート含有リガンドおよび基質を結合し、および/または修飾する受容体および酵素の活性を調節するための置換フルオロメタンの同定方法も、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国特許仮出願第61/301.042号(Mark E. Hedigerにより2010年2月3日に出願;表題「MULTIPLE
SUBSTITUTED FLUOROMETHANES AS SELECTIVE AND BIOACTIVE ISOSTERES」)(これらの記載内容は、図面も含めて、参照により本明細書中で援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
本明細書中の開示は、生物学的リン酸塩の有用な模倣物である置換トリフルオロメタンおよびジフルオロメタンに関する。本開示はさらに、置換フルオロメタン官能基を含有する組成物、ならびにこのような化合物の製造方法、そして同定し、利用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生物学的リン酸塩は、原核生物および真核生物の両方で、エネルギー変換マニフォールド、ならびに生合成および細胞性シグナル伝達経路において中心的役割を果たす。細胞過程におけるリン酸化生体分子に関するこの基本的役割にもかかわらず、これらの過程の分子プローブとして歴史的に用いられる中間体および模倣物の両方の独特の荷電性のため、これらの経路を研究している者は有意の制限に直面する(Knowles, J.R. Ada Doisy Lecture, University of Illinois at
Urbana-Champaign, 1985)。リン酸塩を取り巻く逆説が依然として存在する:生物学的リン酸塩の独特の陰イオン性、およびこの官能基の制御不安定性は、細胞エネルギーおよび調節という難題を残したままである;それにもかかわらず、これらのまさにその分子特性が、分子レベルでの多数の細胞過程を理解しようとしている者、ならびに臨床結果に影響を及ぼそうと努力している者が直面する難題の本質である。本明細書中に開示される統合計画考慮事項を通して、これらの機械論的化学、生物物理学的特性および生物学的リン酸化の模倣は、これらの生物学的過程の小分子解読およびその結果としての医学的介入に向けての基本的アプローチの三部基準として役立ち得る。
【0004】
この重要な生物学的スイッチの新規の、特定の、且つ生理学的に安定な模倣物は、リン酸化中間体および化合物を取り巻く細胞過程のより完全な理解に向けた多数のアプローチを大いに増強する。このような特定の細胞学的プローブは、分子レベルでの強力な研究ツールとして、そして全生物体のレベルでの診断レポーターおよび製薬の分野への潜在的入口として役立つ。このような適切なプローブの評価のための多数の技法は、十分に計画された且つ特定の模倣物の独自の原子特質により増強される。生物学的利用能増大は診断設定における感受性増強に直接的に対応し得るが、一方、特定の標的および受容体でのより高い効能およびより大きい選択性は臨床的薬学的適用において実現され得る。
【0005】
種々の生物学的分子とのリン酸基の一過性、選択的および部位特異的共有結合は、分子レベルでの細胞性調節の最も(とまではいかないが)基本的機序の1つである(Dzeja, P.P. and Terzic, A. J Exp Bio 206: 2039 (2003))。細胞シグナル伝達過程、エネルギー変換、イオンチャンネル調節、細胞周期調節、脂質代謝、糖代謝およびプロセシング、細胞骨格調節、DNAおよびRNA類似体化、ならびにほぼすべての他の生物学的関連リン酸塩結合事象の状況における臨床結果に正の影響を及ぼすためのこの等配電子体置換の潜在力は、等配電子体分子設計の基本的範囲である。さらに、骨および歯の発達、代謝および分解過程においてリンが果たす構造的役割に及ぼす作用は、本開示のさらに意図される用途である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
置換フルオロメタン;治療的有効量の置換フルオロメタンを含む薬学的組成物;これらのフルオロメタンの製造方法;ならびに感染および寄生の軽減における置換フルオロメタンの使用方法が、本明細書中で開示される。ホスフェート含有リガンドおよび基質を結合し、および/または修飾する受容体および酵素の活性を調節するための置換フルオロメタンの同定方法も、開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】それぞれの対照(−阻害剤)のパーセンテージで表した場合の本明細書中に開示される化合物のうちのいくつかの酵素活性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一態様において、式I:
【化1】

(式中、Aは、独立して、(a)アミノ酸、(b)炭水化物、(c)脂質および脂質誘導体、(d)代謝中間体、(e)補因子、ならびに(f)生物学的に活性であることが示されるサブ分子組成物からなる群から選択される1つ以上の官能基から選択される)
の置換トリフルオロメタン化合物が、本明細書中で開示される。
【0009】
「アミノ酸」という用語は、ペプチド、ホルモンおよびタンパク質(これらに限定されない)を包含し、一方、「炭水化物」という用語は、糖、オリゴ糖および多糖(これらに限定されない)を包含する。さらに、上記官能基の組合せ、例えば開示模倣物とともに生成されるグリコシル化ペプチドまたはグリコシル化ホルモンまたはグリコシル化タンパク質は、(I)により示されるような意図された組Aの成員として理解される。
【0010】
イノシトール、プレニル化中間体、エイコサノイド前駆体、ならびに単量体および多量体ヌクレオチドとして一般に知られている化合物の他のクラスが、さらに、本開示の状況内で理解され、意図される。
【0011】
一実施形態は、式Ia:
【化2】

(式中、Aは上記と同様であり;
Xは、(a)酸素、(b)イオウ、(c)炭素、(d)ケイ素、(e)セレン、ならびに(f)化合物の化学的安定性が達成され、そしてリンカーXのすべての原子価要件が満たされるよう、親トリフルオロメタンの官能基Aと炭素との間の共有結合として役立ち得る任意の非水素原子または原子ゼロからなる群から選択される)
の化合物である。さらに、リンカーXは、所定の高分子結合部位内のAと定義される原子組に比して、トリフルオロメチル官能基の最適配置を可能にする一連の原子(2〜12)で構成され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、Xは酸素原子である。
【0013】
いくつかの実施形態では、Xはイオウ、S(O)またはSOである。
【0014】
いくつかの実施形態では、Xは、CRまたはSiR(ここで、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アミノ、エーテル、チオエーテル、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミンおよびアルキルアリールアミンからなる群から選択される)である。いくつかの実施形態では、Xは、CR(ここで、RおよびRは、一緒になってカルボニル(=O)、チオカルボニル(=S)または置換アルケニル(=C)を形成する)である。
【0015】
いくつかの実施形態では、Xはセレン原子またはSe(O)である。
【0016】
いくつかの実施形態では、Xは、NR(ここで、Rは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、ヒドロキシル、チオール、アミノ、エーテル、チオエーテル、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミンおよびアルキルアリールアミンからなる群から選択される)である。
【0017】
いくつかの実施形態では、Xは、置換または非置換リンカー(2〜12原子長)、例えば置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロアリシクリルあるいは置換または非置換エーテル、置換または非置換チオエーテル、および置換または非置換アミンである。
【0018】
本開示の別の実施形態は、式Ib:
【化3】

(式中、Aは上記と同様であり、そしてSはイオウ原子である)
の化合物である。
【0019】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物中のAは、チロシン、セリンおよびトレオニン、または他のアミノ酸(これらに限定されない)からなる群から選択されるアミノ酸である。これらの化合物のある実施形態は、式Ic、IdまたはIe:
【化4】

(式中、DおよびDは、各々独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロアリシクリルあるいは置換または非置換エーテル、置換または非置換チオエーテル、および置換または非置換アミン、あるいはこのようなアミノ酸のうちの一〜千(1〜1000)のその他の個々のアミノ酸または配列からなる群から選択される)
の化合物である。上記の個々のアミノ酸配列の状況では、ペプチドおよびタンパク質の一般定義は、非天然およびβ−アミノ酸およびより高度の相同体(これらに限定されない)と同様に理解される。
【0020】
いくつかの実施形態では、化合物Ic〜Ieの類似体が本明細書中に開示されるが、この場合、フェニル環は、他の芳香族化合物、例えばナフタレン、ビフェニル、あるいはヘテロ芳香族化合物、例えばピリジン、チオフェン、フランおよびイミダゾール、ならびにこれらのヘテロ芳香族化合物の置換類似体、例えばオルト−ピリドン(2−ヒドロキシピリジン)、2−フェニルチオフェン、3−ピラゾールフラン、2−ヒドロキシ−4−メチルイミダゾールまたはその他の置換へテロ芳香族化合物で置換される。さらに、メタ−ヒドロキシフェニルアラニンまたはD−チロシンのような位置または立体化学異性体に対応する化合物(Ic〜Ie)の類似体、あるいは剛性化または立体配座的に拘束されるかまたは代謝的に安定化される類似体として理解される修飾アミノ酸、例えばヒドロキシルプロリンまたはホモ−セリンまたはN−メチルL−チロシン(これらに限定されない)が、本開示においてさらに意図される。さらに、親トリフルオロメタン基によりアミノ酸残基で官能化されるグリコシル化ペプチドまたはホルモンまたはタンパク質が、本開示の本発明の態様の状況で意図される、と理解される。
【0021】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物中のAは、グルコースまたはフルクトースである。これらの実施形態のいくつかにおいて、式IfまたはIg:
【化5】

(式中、E〜Eは、各々独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロアリシクリル、置換または非置換エーテル、置換または非置換チオエーテル、および置換または非置換アミン、あるいは一〜千(1〜1000)の成員を含有する単一炭水化物または炭水化物の集合体からなる群から選択される)
の化合物が、本明細書中で開示される。
【0022】
上記の個々の炭水化物配列の状況では、炭水化物および多糖の一般的定義が理解される。さらに、いくつかの実施形態では、L−グルコースまたはD−マンノースまたはα−ラクトースまたはスクロースのような位置または立体化学異性体に対応する化合物(If〜Ig)の類似体、あるいは剛性化または立体配座的に拘束されるかまたは代謝的に安定化される類似体としての修飾アミノ酸、例えばシアル酸またはシキミ酸、あるいはミオ−イノシトールまたはステビオールが、本明細書中で開示される。他の実施形態では、Aは、炭水化物または多糖で共有的に修飾されるペプチドまたはタンパク質または脂質であって、この場合、その炭水化物または多糖は、親トリフルオロメタン基によりさらに官能化される。
【0023】
別の実施形態では、式Iの化合物中のAは、スフィンゴシンの置換類似体である。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、式(Ih):
【化6】

(式中、G1〜G4は、各々独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロアリシクリル、置換または非置換エーテル、置換または非置換チオエーテル、および置換または非置換アミン、あるいは一〜千(1〜1000)の成員を含有する単一炭水化物または炭水化物の集合体からなる群から選択される)
の化合物が、本明細書中で開示される。
【0024】
いくつかの実施形態では、スフィンゴシンは、セラミド、スフィンゴミエリンおよびグリコソスフィンゴリピドからなる群から選択される。さらなる実施形態では、スフィンゴシンは、セレブロシドおよびガングリオシドからなる群から選択される。位置または立体化学異性体に対応する化合物(Ih)の類似体は、剛性化あるいは立体配座的に拘束されるかまたは代謝的に安定化される類似体である(これらに限定されない)と、本開示においては理解される。
【0025】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物中のAは、エノールピルビン酸またはクレアチンである。当該実施形態のうちのいくつかにおいて、式IiまたはIj:
【化7】

の化合物が、本明細書中で開示される。
【0026】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物中のAは、アデノシンジホスホネートまたはピリドキサールまたは他の補因子である。当該実施形態のいくつかにおいて、式IkまたはIl:
【化8】

の化合物が、本明細書中で開示される。
【0027】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物中のAは、デス−ホスホネートグリホサートまたはデス−ホスホネートホモ−グリホサートあるいはその他のグリホサート類似体である。当該実施形態のいくつかにおいて、式(Im):
【化9】

の化合物が、本明細書中で開示される。
【0028】
本明細書中に開示される別の態様では、式II:
【化10】

(式中、AおよびBは、各々独立して、(a)デス−ホスフェート核酸または(b)生物学的に活性な置換基から選択される)
の置換ジフルオロメタンが存在する。これらのジフルオロメタンの反復共有結合および線状重合が、本明細書中で意図される。
【0029】
一実施形態は、式(IIa):
【化11】

(式中、XおよびYは、各々独立して、(a)酸素、(b)イオウ、(c)炭素、(d)ケイ素、(e)セレン、ならびに(f)化合物の化学的安定性が達成され、そしてリンカーXおよびYのすべての原子価要件が満たされるような、親ジフルオロメタンの官能基AまたはBと炭素との間の共有結合として役立ち得る任意の非水素原子または原子ゼロからなる群から選択される)
の化合物である。
【0030】
いくつかの実施形態では、XおよびYは、各々独立して、酸素である。
【0031】
いくつかの実施形態では、XおよびYは、各々独立して、イオウ、S(O)またはSOである。
【0032】
いくつかの実施形態では、XおよびYは、各々独立して、CRまたはSiR(ここで、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アミノ、エーテル、チオエーテル、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、アルキルアリールおよびアミンからなる群から選択される)である。いくつかの実施形態では、Xは、CR(ここで、RおよびRは、一緒になってカルボニル(=O)、チオカルボニル(=S)または置換アルケニル(=C)を形成する)である。
【0033】
いくつかの実施形態では、XおよびYは、各々独立して、セレンまたはSe(O)である。
【0034】
いくつかの実施形態では、XおよびYは、各々独立して、NR(ここで、Rは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、チオール、アミノ、エーテル、チオエーテル、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミンおよびアルキルアリールアミンからなる群から選択される)である。
【0035】
いくつかの実施形態では、XおよびYは、各々独立して、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロアリシクリルあるいは置換または非置換エーテル、置換または非置換チオエーテル、および置換または非置換アミンからなる群から選択される置換または非置換リンカー(2〜12原子長)である。
【0036】
いくつかの実施形態では、XおよびYは、各々独立して、メチレン基である。
【0037】
本開示の別の実施形態は、式IIbまたはIIc:
【化12】

の化合物である。
【0038】
その結果、これらの置換ジフルオロメタンの反復共有結合および線状重合(n=1〜n=500)が、本明細書中で意図される。例えば、式IIbまたはIIcの化合物は、n=4である場合の化合物である。単量体ヌクレオチド単位は、アデニン、グアニン、シトシンおよびチミンに対応するプリンおよびピリミジン塩基、ならびにその他の機能的に安定な塩基を保有し得る。化合物の末端3’端は、式Iの化合物に関して開示されるようなトリフルオロメチル基で置換され得る。
II. 薬学的調製物
【0039】
別の態様では、治療的有効量の式IまたはIIのいずれか一方の化合物、ならびに製薬上許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を含む薬学的組成物が、本明細書中に開示される。
【0040】
本明細書中で用いる場合、「治療的有効量」は、被験体において所望の生物学的または医学的応答を引き出す化合物の量を指す。
【0041】
本明細書中で用いる場合、「薬学的組成物」は、本発明の化合物と、希釈剤、担体またはその他の賦形剤のような他の化学的構成成分との混合物を指す。薬学的組成物は、被験体への化合物の投与を助長し得る。当該技術分野で既知の多数の化合物投与技法、例えば、経口、筋肉内、眼内、鼻内、非経口、静脈内および局所的投与(これらに限定されない)が存在する。薬学的組成物は、一般的に、特定の意図された投与経路に適応される。
【0042】
本明細書中で用いる場合、「担体」は、細胞または組織中への化合物の組入れを助長する化合物を指す。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)(これに限定されない)は、被験体の細胞または組織中への多数の有機化合物の取込みを助長する、一般的に利用される担体である。
【0043】
本明細書中で用いる場合、「希釈剤」は、薬理学的活性を欠くが、しかし薬学的に必要なまたは所望され得る薬学的組成物中の一成分を指す。例えば、希釈剤は、その質量が製造または投与のためには小さすぎる強力な薬剤の嵩を増大するために用いられ得る。それは、注射、摂取または吸入により投与されるべき薬剤の溶解のための液体でもあり得る。当該技術分野における希釈剤の一般形態は、緩衝化水溶液、例えばヒト血液の組成を模倣するリン酸塩緩衝化生理食塩水(これに限定されない)である。
【0044】
本発明の化合物は、それ自体で、あるいはそれらが他の活性成分(例えば併用療法の場合)、もしくは適切な担体または賦形剤(単数または複数)と混合される薬学的組成物中で、投与され得る。本出願の化合物の処方および投与のための技法は、”Remington’s Pharmaceutical
Sciences,” Mack Publishing Co.,
Easton, PA, 18th edition, 1990に見出され得る。
【0045】
適切な投与経路としては、経口、直腸、経粘膜または腸管投与;非経口送達、例えば筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、ならびにくも膜下腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻内、眼内注射、あるいはエーロゾル吸入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
代替的には、例えば疼痛または炎症の領域への直接的な化合物の注射により、しばしば、デポー剤または徐放性処方物中で、全身的というよりむしろ局所的に、化合物を投与し得る。さらに、標的化薬剤送達系で、例えば組織特異的抗体で被覆されたリポソーム中で、薬剤を投与し得る。リポソームは、器官に対して標的化され、選択的に取り込まれる。
【0047】
本明細書中に開示される薬学的組成物は、当該技術分野で周知の手法により、例えば慣用的混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、均質混合、乳化、カプセル封入、エントラッピングまたは錠剤化工程により製造され得る。
【0048】
したがって、本発明の開示に従って用いるための薬学的組成物は、活性化合物を、薬学的に用いられ得る調製物に加工処理するのを助長する賦形剤および助剤を含む1つ以上の製薬上許容可能な担体を用いて、慣用的方法で処方され得る。適正な処方は、選択される投与経路によって決まる。周知の技法、担体および賦形剤のいずれかが、適切である場合、そして当該技術分野で理解されるように(例えば、“Remington’s Pharmaceutical
Sciences、上記)、用いられ得る。
【0049】
注射に関しては、本明細書中に開示される作用物質は、水溶液中に、好ましくは生理学的に適合性の緩衝液、例えばハンクス溶液、リンガー溶液または生理学的食塩緩衝液中に処方され得る。経粘膜投与に関しては、浸透されるべきバリアに適した浸透剤が、処方物中に用いられる。このような浸透剤は、当該技術分野で一般的に知られている。
【0050】
経口投与に関しては、化合物は、活性化合物を、当該技術分野で周知の製薬上許容可能な担体と組合せることにより、容易に処方され得る。このような担体は、本明細書中に開示される化合物を、処置されるべき患者による経口摂取のための、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として処方させる。経口使用のための薬学的調製物は、1つ以上の固体賦形剤を、本明細書中に開示される薬学的組合せ物と混合し、任意に、その結果生じる混合物を粉砕し、そして所望により、適切な助剤を付加後、顆粒の混合物を加工処理して、錠剤または糖衣錠コアを生成することにより得られる。適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば糖、例えばラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトール;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望により、崩壊剤、例えば架橋化ポリビニルピロリドン、寒天あるいはアルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムが付加され得る。
【0051】
糖衣錠コアは、適切なコーティングを提供される。この目的のために、濃縮糖溶液が用いられ得るが、これは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意に含有し得る。染料または色素は、活性化合物用量の同定のために、またはその異なる組合せを特性化するために、錠剤または糖衣錠コーティングに付加され得る。
【0052】
経口的に用いられ得る薬学的調製物は、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールから作られる軟質密封カプセルを包含する。プッシュフィットカプセルは、充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばでんぷん、および/または滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、そして任意に安定剤と混合して、活性成分を含有し得る。軟質カプセルでは、活性化合物は、適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤が付加され得る。経口投与のための処方物はすべて、このような投与に適した投与量であるべきである。
【0053】
頬投与に関しては、組成物は、慣用的方法で処方される錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。
【0054】
吸入による投与に関しては、本発明の開示に従って用いるための化合物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適切なガスの使用を伴って、加圧パックまたはネブライザーからのエーロゾル噴霧提示の形態で便利に送達される。加圧エーロゾルの場合、投与量単位は、計測量を送達するための弁を提供することにより決定され得る。吸入器または注入器中に用いるための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物および適切な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンの粉末混合物を含有して処方され得る。
【0055】
化合物は、注射による、例えばボーラス注射または連続注入による、非経口投与のために処方され得る。注射用処方物は、単位剤形で、例えばアンプル中で、または多数回用量投与容器中で、付加的防腐剤を伴って提示され得る。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液または乳濁液のような形態をとり得るし、そして懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような処方剤を含有し得る。
【0056】
非経口投与のための薬学的処方物としては、水溶性形態での活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、あるいは合成脂肪酸エステル、例えばエチルオレエートまたはトリグリセリド、あるいはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘度を増大する物質、例えばカルボキシメチルナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含有し得る。任意に、懸濁液は、化合物の溶解度を増大して高濃縮溶液の調製を可能にする適切な安定剤または作用物質も含有し得る。
【0057】
代替的には、活性成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば滅菌発熱性物質除去蒸留水で再構成するために粉末形態で存在し得る。
【0058】
化合物は、例えば慣用的坐薬基剤、例えばココアバターまたは他のグリセリドを含有する直腸用組成物、例えば坐薬または停留型浣腸中に処方され得る。
【0059】
前記の処方物のほかに、化合物は、デポー製剤としても処方され得る。このような長期作用型処方物は、埋込み(例えば、皮下または筋肉内)により、または筋肉内注射により投与され得る。したがって、例えば化合物は、適切な高分子または疎水性物質()またはイオン交換樹脂とともに、あるいはやや難溶性の誘導体として、例えばやや難溶性の塩として、処方され得る。
【0060】
本明細書中に開示される疎水性化合物のための薬学的担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマーおよび水性相を含む共溶媒系である。用いられる一般的共溶媒系はVPD共溶媒系であって、これは、3%w/vベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤ポリソルベート80(商標)および65%w/vポリエチレングリコール300を含有し、無水エタノールで全量を100とする溶液である。当然、共溶媒系の割合は、その溶解性および毒性特質を破壊することなく、かなり変更され得る。さらに、共溶媒構成成分の同一性は、変更され得る:例えば、他の低毒性非極性界面活性剤が、ポリソルベート80(商標)の代わりに用いられ得る;ポリエチレングリコールの割合の大きさは、変更され得る;他の生体適合性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンが、ポリエチレングリコールに取って代わり得る;そして他の糖または多糖が用いられ得る。
【0061】
代替的には、疎水性薬学的化合物に関する他の送達系が用いられ得る。リポソームおよびエマルションは、疎水性薬剤のための送達ビヒクルまたは担体の周知の例である。ある種の有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドも用いられ得るが、しかし通常は、より高い毒性という犠牲を払う。さらに、化合物は、徐放性系、例えば治療薬を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを用いて送達され得る。種々の徐放性物質が確立されており、当業者に周知である。徐放性カプセルは、それらの化学的性質によって、2〜3週間から100日までの間、化合物を放出する。治療用試薬の化学的性質および生物学的安定性によって、タンパク質安定化のための付加的戦略が用いられ得る。
【0062】
本明細書中に開示される薬学的組合せに用いられる化合物の多くは、薬学的に適合性の対イオンとの塩として提供され得る。薬学的適合性塩は、多数の酸、例えば塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等(これらに限定されない)を用いて形成され得る。塩は、対応する遊離酸または塩基形態より、水性または他のプロトン性溶媒中で、より溶解性である傾向を有する。
【0063】
本明細書中に開示される方法で用いるために適した薬学的組成物としては、活性成分がその意図された目的を達成するために有効な量で含有される組成物が挙げられる。さらに具体的には、治療的有効量は、処置されている被験体の疾患の症候を防止し、軽減し、または改善するか、あるいはその生存を延長するために有効な化合物の量を意味する。治療的有効量の決定は、特に、本明細書中で提供される詳細な開示にかんがみて、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0064】
本明細書中に開示される薬学的組成物のための正確な処方、投与経路および投与量は、患者の症状を考慮して、個々の医者により選択され得る(例えば、Fingl et al. 1975, in ”The
Pharmacological Basis of Therapeutics”, Ch. 1
p. 1参照)。典型的には、患者に投与される組成物の用量範囲は、約0.5〜1000mg/患者の体重1kg、または1〜500mg/kg、または10〜500mg/kg、または50〜100mg/kgであり得る。投与は、患者が必要とする場合、単一回投与、あるいは1日以上の日数の経過中に2回以上投与される一連の投与であり得る。本発明の開示で言及される特定の化合物のほとんどすべてに関して、少なくともいくつかの症状の処置のためのヒト投与量が確立されている、ということに留意されたい。したがって、ほとんどの場合、本明細書中に開示される方法は、同一投与量を、あるいは確立されたヒト投与量の約0.1%〜500%、または約25%〜250%、または50%〜100%である投与量を用いる。ヒト投与量が確立されていない場合は、新規に発見された薬学的化合物に関する場合と同様に、適切なヒト投与量は、ED50またはID50値から、あるいは動物における毒性試験および効能試験により定量されるように、in vitroまたはin vivo試験から得られるその他の適切な値から推測され得る。
【0065】
正確な投与量は、多くの場合、薬剤別に決定されるが、しかし投与量に関する何らかの一般法則化がなされ得る。成人ヒト患者に関する1日投与量レジメンは、本明細書中に開示される薬学的組成物または遊離塩基として算定されるその製薬上許容可能な塩の、例えば、0.1、g〜500mg、好ましくは1mg〜250mg、例えば5〜200mgの各成分の経口用量、あるいは0,01mg〜100mg、好ましくは0.1〜60mg、例えば1〜40mgの各成分の静脈内、皮下または筋肉内用量であって、組成物は、1ないし4回/日、投与され得る。代替的には、本明細書中に開示される組成物は、好ましくは、400mg/日までの各成分の用量で、連続静脈内注入により投与され得る。したがって、各成分の経口投与による総1日投与量は、典型的には1〜2000mgの範囲であり、非経口投与による総1日投与量は、典型的には0.1〜400mgの範囲である。化合物は、連続療法の期間中、例えば1週間以上、または数ヶ月または数年間、投与される、というのが適切である。
【0066】
投与の量および間隔は、調整作用を維持するのに十分である活性部分の血漿レベル、または最小有効濃度(MEC)を提供するために、個別に調整され得る。MECは、各化合物に関して変化するが、しかしin vitroデータから概算され得る。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特質および投与経路によって決まる。しかしながら、HPLC検定または生物検定を用いて、血漿濃度を確定し得る。
【0067】
投与間隔も、MEC値を用いて決定され得る。10〜90%、好ましくは30〜90%、もっとも好ましくは50〜90%の時間の間に、MECを上回る血漿レベルを保持するレジメンを用いて、組成物は投与されるべきである。
【0068】
局所投与または選択的取込みの場合、薬剤の有効局所濃度は、血漿レベルと関連づけられ得ない。
【0069】
投与される組成物の量は、もちろん、処置されている被験体、被験体の体重、苦痛の重症度、投与方式、ならびに処方医の判断によって決まる。
【0070】
組成物は、所望により、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得るパックまたはディスペンサー装置中で提示され得る。パックは、例えば、金属またはプラスチック箔、例えばブリスター包装を含み得る。パックまたはディスペンサー装置は、投与に関する使用説明書を添付され得る。パックまたはディスペンサーは、医薬品の製造、使用または販売を調節する政府機関により指図される形態の容器に関連した通達も添付されており、この通達は、ヒトまたは獣医学的投与のための薬剤の形態についての当該機関による認可を反映している。このような通達は、例えば、処方薬剤に関して米国食品医薬品局により承認された標識、あるいは認可製品挿入物であり得る。適合性薬学的担体中に処方される本明細書中に開示された化合物を含む組成物も、調製され、適切な容器中に入れられ、そして指示症状の処置に関して標識され得る。
III. 化合物の活性
【0071】
別の態様では、ホスホエノールピルビルトランスフェラーゼ(PEPT)酵素の活性の調節方法であって、PEPT酵素を、本明細書中に記載されるような式IまたはIIのいずれか一方の化合物と接触させることを包含する方法が、本明細書中で開示される。いくつかの実施形態では、当該方法は、酵素の活性の変化を検出し、および/または接触後の酵素の活性を接触前の酵素の活性と比較するステップをさらに包含する。いくつかの実施形態では、式IまたはIIのいずれか一方の化合物は、PEPT酵素の競合的阻害剤である。他の実施形態では、式IまたはIIのいずれか一方の化合物は、PEPT酵素の不競合的阻害剤である。さらに他の実施形態では、式IまたはIIのいずれか一方の化合物は、PEPT酵素の非競合的阻害剤である。さらに他の実施形態では、式IまたはIIのいずれか一方の化合物は、PEPT酵素の混合阻害剤である。
【0072】
本明細書中で用いる場合、PEPT酵素の活性を「調整する」とは、それを活性化すること、すなわちそれが見出される特定の環境で測定される基礎レベルを上回ってその細胞機能を増大すること、あるいは、それを脱活性化すること、すなわち、それが見出される環境での測定基礎レベルより低くその細胞機能を低減すること、および/またはそれが、天然結合相手の存在下でさえ、その細胞機能を全く実施できなくさせることを意味する。天然基質相手は、酵素に関する物質である内因性分子である。
【0073】
本明細書中で用いる場合、PEPT酵素の活性の変化を「検出する」とは、分析技法が特定の状況に最良に適合されるものは何でも用いて、実験の結果を分析する工程を指す。いくつかの場合には、単なる視覚的観察で十分であり得るし、他の場合には、顕微鏡、可視またはUV光分析器あるいは特定的生物検定の使用が必要とされ得る。PEPT酵素の活性の変化を検出するための分析用ツールおよび技法の適正な選択は、周知であり、本明細書中の開示に基づいて当業者に明らかになる。
【0074】
本明細書中で用いる場合、「競合的阻害剤」は、基質よりも優先して酵素と結合して、その特定酵素と関連した薬理学的応答を調整する酵素−阻害剤複合体を形成する化合物を指す。
【0075】
本明細書中で用いる場合、「不競合的阻害剤」は、酵素−基質複合体に対する親和性を有して、その特定酵素と関連した薬理学的応答を調整する酵素−基質−阻害剤複合体を形成する化合物を指す。
【0076】
本明細書中で用いる場合、「非競合的阻害剤」は、基質の見掛けの結合親和性を変えることなく酵素反応の最大速度を減少させ、したがって、その特定酵素に関連した薬理学的応答を調整する化合物を指す。
【0077】
本明細書中で用いる場合、「混合阻害剤」は、基質に対する酵素の親和性を変え、そして酵素反応の最大速度を減少させ、したがってその特定酵素に関連した薬理学的応答を調整する酵素または酵素−基質複合体と結合する化合物を指す。
【0078】
いくつかの実施形態では、上記酵素は、in vivoで、例えば、酵素が組織中または動物中に存在する場合、式IまたはIIのいずれか一方の化合物と接触される。他の実施形態では、上記酵素は、in vitroで、例えば検定において、あるいは酵素が無傷細胞中に存在するかまたは複数の細胞中に存在する場合、式IまたはIIのいずれか一方の化合物と接触される。
【0079】
いくつかの実施形態では、式IまたはIIのいずれか一方の化合物は、基質としてホスホエノールピルベートを利用する他の酵素に比して、PEPT酵素活性を選択的に調整する。いくつかの実施形態では、ホスホエノールピルベートを利用する他の酵素は、クレブス回路酵素を含む。
【0080】
本発明の開示全体を通して、PEPT酵素は、細菌PEPT酵素、真菌PEPT酵素、植物PEPT酵素、トリパノソーマPEPT酵素、原生動物PEPT酵素またはPEPT酵素を発現する任意の他の非哺乳動物生物体からなる群から選択され得る。
【0081】
別の態様では、被験体における細菌、真菌またはトリパノソーマ感染あるいは寄生の軽減方法であって、それを必要とする被験体を同定すること;そして治療的有効量の式IまたはIIのいずれか一方の化合物を被験体に投与することを包含する方法が、本明細書中で開示される。いくつかの実施形態では、被験体は患者である。
【0082】
本明細書中で用いる場合、「被験体」は、処置、観察または実験の対象である動物を指す。「動物」としては、冷血および温血の脊椎および無脊椎動物、例えば魚類、甲殻類、爬虫類、そして特に哺乳類が挙げられる。「哺乳類」としては、マウス;ラット;ウサギ;モルモット;イヌ;ネコ;ヒツジ;ヤギ;ウシ;ウマ;霊長類、例えばサル、チンパンジーおよび類人猿;そして特にヒトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書中で用いる場合、「患者」は、特定の疾患または障害を治癒するか、少なくともその作用を改善するように、あるいは先ず第一に疾患または障害が生じないようにしようとする医療専門家、例えばM.D.またはD.V.M.により処置されている被験体を指す。
【0084】
いくつかの実施形態では、感染または寄生は、マラリア、シャガス病、睡眠病、リーシュマニア症またはライム病のような媒介性疾患により引き起こされるか、あるいは侵襲性外科手術、抗生物質処置または抗ウイルス処置(これらに限定されない)を含めた医学療法の意図せぬ結果として生じる。
【0085】
別の態様では、PEPT酵素の活性を調節する化合物の同定方法であって、PEPT酵素を、式IまたはIIのいずれか一方の複数の化合物と同時に接触させること;式IまたはIIのいずれか一方の各化合物との接触後の酵素の活性を接触前の酵素の活性と比較すること;そして接触後の酵素の活性を変える式IまたはIIのいずれか一方の化合物を選択することを包含する方法が、本明細書中で開示される。
【0086】
いくつかの実施形態では、酵素は細胞内に存在し、一方、他の実施形態では、酵素は複数の細胞内に存在する。さらなる実施形態では、酵素は、酵素を発現する細胞抽出物内、例えばPEPT酵素のいずれかに関する遺伝暗号を含有する細胞抽出物内に存在する。
【0087】
細胞または複数の細胞を接触することは、細胞(単数または複数)を試験化合物とともにインキュベートすることを包含し得る。細胞(単数または複数)は、酵素を過剰発現するよう工学処理され得る。検定はさらに、既知の阻害剤を試験環境に付加して、競合的阻害剤を非競合的阻害剤と識別するのを手助けすることを包含し得る。概して、任意の化合物が付加される前に測定した場合の酵素の基本活性が低減される場合、化合は阻害剤であると思われる。
【0088】
別の態様では、感染および非哺乳動物寄生の処置のために有効な化合物の同定方法であって、式IまたはIIのいずれか一方の化合物を、細菌PEPT酵素、真菌PEPT酵素、植物PEPT酵素、トリパノソーマPEPT酵素、原生動物PEPT酵素またはPEPT酵素を発現する任意の他の非哺乳動物生物体からなる群から選択される酵素と接触させること;式IまたはIIのいずれか一方の各化合物との接触後の酵素の活性を、接触前の酵素の活性と比較すること;そして接触後の酵素の活性を変える式IまたはIIのいずれか一方の化合物を選択することを包含する方法が、本明細書中で開示される。
【0089】
別の態様では、基質としてリン酸化分子を利用する酵素の活性の調節方法が、本明細書中で開示される。
【0090】
別の態様では、生成物としてリン酸化分子を生成する酵素の活性の調節方法が、本明細書中で開示される。
【0091】
別の態様では、キナーゼ酵素の活性の調節方法が、本明細書中で開示される。
【0092】
別の態様では、ホスファターゼ酵素の活性の調節方法が、本明細書中で開示される。
【0093】
別の態様では、リガンドとしてリン酸化分子を利用する受容体の活性の調節方法が、本明細書中で開示される。
【0094】
別の態様では、補因子としてリン酸化分子を利用する酵素の活性の調節方法が、本明細書中で開示される。
【0095】
別の態様では、リン酸化分子に対する親和性を有する高分子物質の活性の調節方法が、本明細書中で開示される。
【0096】
別の態様では、リン酸化分子に対する親和性を有する分子の活性の調節方法が、本明細書中で開示される。
実施例
【0097】
以下の実施例は、本発明の例証としてのみ提供され、如何なる点でも本発明の開示の範囲を限定するよう意図されないし、そのように解釈されるべきでもない。
実施例1:計算化学
【0098】
B3LYP関数および6−31G基底系を用いる密度汎関数理論で、第一原理計算を用いて、等配電子体開示を分析した(Yoo, H.Y. and Houk, K.N. JACS 119: 2877 (1997))。この方法は、優れた幾何学的形状および静電電位を提供することが知られている。
【0099】
リン酸化チロシン(リン酸化4−ヒドロキシフェニルアラニン)は、細胞恒常性を保持するのに重要な役割を果たすことが知られている。トリフルオロメチル等配電子体、ならびに親フェニル環との種々の結合によるそのカップリングについて、より深く物理化学的に理解するために、一連のホスホチロシン類似体を、計算的に解析した。これらの計算は、ネイティブホスフェートと比較したフェニル−リンカー−トリフルオロメチル化合物の場合の定電子密度表面の顕著に且つ非常によく似た形状を示した。全体的静電電位は、生理学的pHでのリン酸基の固有の電荷のため、同一ではない。これらの計算は、ホスフェートに関する可変性等配電子体としてのトリフルオロメチル機能性を、明白に確立する。等配電子体の所望の中立性は、これらの計算で明らかであるが、一方、電荷の全体的欠如は、天然ホスフェートとの比較において、定電子密度表面に影響を及ぼさない。
【0100】
トリフルオロメチル類似体のより広範な一組を通して、溶媒和のエネルギー論を調べた。これらの化合物に関する水溶液中の算定双極子モーメントを、中性、モノアニオン性およびジアニオン性フェニルホスフェートに関する値とともに提示する。如何なる場合も、イオン性であることが判明した等配電子体を調べることはない。これらの結果を、表1に示す。
【表1】

【0101】
天然分子を越えて見出されるホスフェートの模倣物としての等配電子体の一般性を、次に調べた。ホスホ−チロシンの状況で実施されるものに類似した双極子計算を、一組のトリフルオロメチル含有類似体とともに、除草剤グリホサート(登録商標)[N−(ホスホノメチル)グリシン、CAS 1017−83−6]のリン酸化部分に関して実施した。グリホサート分子のイオニクスは周知であり、これらの双極子計算は、等配電子体とホスフェートとの類似性を立証する。ホスホ−チロシン類似体の場合、トリフルオロメチル等配電子体は、この計算により検討される任意の条件下で、イオン化されなかった。
【表2】

実施例2:化学的調製物
化合物Im((2,2,2−トリフルオロ−エチルアミノ)−酢酸)およびIn([カルボキシメチル−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミノ]−酢酸):
【化13】

【0102】
トリフルオロエチルアミン塩酸塩(8.19g)を、水(5mL)中に溶解し、1M水性KOHで溶液をpH9に調整した。ブロモ酢酸(2.78g)を水(10ml)中に溶解し、1M水性KOHでpHを9に調整した。ブロモ酢酸のこの溶液を、1時間掛けて、撹拌しながら少しずつアミンの溶液に付加した。1M KOHの付加により、混合物のpHを8〜9に保持した。溶液を、室温で一晩放置した。午前中、pHは6.7であった;再び1M KOHで溶液をpH9.5に調整し、溶液を上記と同様にpH8.5〜9に保持した。1.5時間後、反応混合物を真空下で濃縮し(〜30mL)、pHを再び9に調整した。3時間後、溶液を4時間65℃に加熱して、冷却し、冷蔵庫中で一晩放置した。
【0103】
翌日、pHは7.2で、多少の沈澱物が認められた。2M水性HBrの付加によりpHを6に調整して、沈殿物を溶解した。0.1mlアリコートを真空下で乾燥して固体とし、DOから再蒸発させて、0.7ml DO中に溶解した。H NMRおよび13C NMRは、生成物を、ImおよびInの3:1の比の混合物として示した。
【0104】
LC−MSにより、反応混合物を分析した。約1/50の溶液を、その容積の1/10の2M TEAAと混合し、ジェミニC18 20×250mmカラム上に注入して、0〜5%アセトニトリル勾配で、10ml/分で45分間溶離した。標的化合物が後に溶離し、そして蒸発後、5mgの純Imを得た。
【0105】
反応混合物を蒸発させて乾燥すると、8.07gの固体が残った。
昇華
【0106】
この固体の試料0.44gを、昇華装置に入れて、室温で高真空下で一晩乾燥して、室温から170℃に漸増することにより昇華した。昇華は、約85℃で開始し、約100℃より高い温度で速くなった。昇華物を水/MeOH中に溶解し、溶液を蒸発させて、89.1mgの純Imを得た。残渣をトリフルオロ酢酸で酸性にして、約pH2として、蒸発、乾燥し、再昇華した。昇華物は67mgのImからなり、残渣は純Inを含有した。
大規模昇華
【0107】
残りの固体(6.52g)を、上記と同様に昇華した。フラスコを漸次150℃に加熱して、150℃で30分間保持した。昇華物を、水/MeOH(〜5.8mL)中に溶解した。アリコート(0.3mL)を蒸発させて半固体とし、これを放置して固化して、81.3mgのImを得た。試料の残余を同様の方法で濃縮して、4.80gのImを白色粉末として得た。
Imの特性化:
【0108】
H NMR:(DO)δ3.79(s,2H)、3.87(q,2H)。
13C NMR:(DO)δ46.52(4ラインパターン)、48.85(4ラインパターン)、169.81。
19F NMR:(DO)δ−68.82(t,3F)。
電気噴霧MS(負イオン):CNO[M−H]に関する算定値156;実測値 156。
Inの特性化:
【0109】
H NMR:(DO)δ3.91(s,4H)、3.93(q,2H)。

化合物Io((3,3,3−トリフルオロ−プロピルアミノ)酢酸):
【化14】

【0110】
トリフルオロプロピルアミン(0.46g)を、冷却しながら、98%蟻酸(10mL)に付加した。グリオキシル酸(0.78g)を付加し、混合物を50℃水浴中で加熱した。16時間後、アリコート(50μl)を真空下で蒸発させて、残渣を1mlのDOから2回蒸発させた。H NMRは、〜10%非反応アミンおよび90%のホルミル化付加物を示した。
【0111】
付加的グリオキシル酸水和物(0.078g)を付加し、反応混合物を水浴中で75℃で加熱した。2時間後、アリコート(50μl)を蒸発させて、残渣をDOから蒸発させた。H NMRは、存在する低アミンを示した。さらに2.5時間後、反応混合物を蒸発させ、残渣を水(5ml)から蒸発させて、1.15gの透明油を得た。
【0112】
その油を、1M水性HCl(8.1mL)中に溶解し、溶液を95℃で2.5時間加熱した。H NMRは、デホルミル化生成物Ioへの約85%転換を示した。さらに1.5時間の還流後、反応混合物を室温で一晩放置した。反応混合物を蒸発させて、半固体とした。この物質をMeOH(〜5ml)中に溶解し、冷凍庫中で一晩放置した。この結晶懸濁液を〜2−3mLに減少させて、ジエチルエーテル(〜10ml)を付加した。この懸濁液を室温で30分間放置して、結晶沈殿物を遠心分離し、10mlのジエチルエーテルで洗浄した。結晶を高真空で乾燥させて、Io(0.88g)を白色固体として得た。大規模調製を実施して、Io(3.10g)を白色粉末として得た。
【0113】
この工程は、同様のアプローチから開発された(Kihlberg, J. et al. Acta Chem
Scan B 37: 911-916 (1983))。
Ioの特性化:
【0114】
H NMR:(DO)δ2.63(m,2H)、3.30(t,2H)、3.78(s,2H)。
13C NMR:(DO)δ30.05(4ラインパターン)、40.73、47.93、125.38(4ラインパターン)、168.93。
19F NMR:(DO)δ−65.65(t,3F)。
電気噴霧MS(負イオン):CNO[M−H]に関する算定値170;実測値 170。
実施例3:化学的調製物例
化合物(Ic):
【化15】

【0115】
大型磁気撹拌棒を含入する250mL丸底フラスコに、窒素大気下で、(ベンズヒドリリデン−アミノ)−酢酸tert−ブチルエステル(2.95g)およびドライTHF(40mL)を投入し、ドライアイス/アセトン浴中で撹拌しながら冷却する。LiHMDSの溶液(THF中1.0M、10mL)を注射器により付加し、フラスコの内容物を1時間撹拌する。THF(10mL)中の1−ブロモメチル−4−トリフルオロメチルスルファニル−ベンゼン(2.71g)の溶液を、30分間に亘って滴下する。冷却浴を除去し、フラスコの内容物を周囲温度に上げさせる。反応混合物を、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、粗製アルキル化物質を得る。磁気撹拌棒を含入する500mLフラスコに、この物質、1,4−ジオキサン(100mL)および濃硫酸(5.0mL)を投入する。フラスコに還流冷却器を取り付けて、フラスコの内容物を12時間加熱還流した。揮発性物質を真空除去し、残渣を、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化する。
化合物(Id)(この場合、R=H)および(Ie)(この場合、R=CH3):
【化16】

化合物(Id):
【0116】
大型磁気撹拌棒を含入する250mL丸底フラスコに、窒素大気下で、2−(ベンズヒドリリデン−アミノ)−3−ヒドロキシ−プロピオン酸tert−ブチルエステル(3.25g)、ピリジン(1.6mL)およびドライ塩化メチレン(50mL)を投入し、氷浴中で撹拌しながら冷却する。塩化メシルの一部(1.15g)を付加し、フラスコの内容物を1時間撹拌する。反応混合物の揮発性構成成分を蒸発させて、残渣を2−ブタノン(25mL)中に溶解する。チオ尿素(1.52g)を一度に付加し、フラスコに還流冷却器を取り付けて、8時間加熱する。揮発性構成成分を真空下で再び除去して、残渣をTHF(40mL)および水(10mL)中に溶解する。水酸化カリウム(1.40g)および18−クラウン−6(0.26g)をその溶液に付加し、内容物を一晩還流で保持する。反応混合物を冷却し、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、その後のアルキル化のために適切な純度で粗製チオールを得る。
【0117】
磁気撹拌棒を含入する250mLフラスコに、窒素大気下で、2−(ベンズヒドリリデン−アミノ)−3−メルカプト−プロピオン酸tert−ブチルエステルおよびドライTHF(40mL)を投入し、ドライアイス/アセトン浴中で撹拌しながら冷却する。KHMDSの溶液(THF中1.0M、10mL)を注射器により付加し、フラスコの内容物を1時間保持した。THF(10mL)中の1−トリフルオロメチル−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン(3.16g)の溶液を、亜鉛トリフリミド(1.20g)とともに、30分間に亘って滴下する。冷却浴を除去し、フラスコの内容物を周囲温度に上げさせる。反応混合物を、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、粗製アルキル化物質を得る。磁気撹拌棒を含入する500mLフラスコに、この物質、1,4−ジオキサン(100mL)および濃硫酸(5.0mL)を投入する。フラスコに還流冷却器を取り付けて、フラスコの内容物を12時間還流保持する。揮発性物質を真空除去し、残渣を、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化する。
化合物(Ie):
【0118】
大型磁気撹拌棒を含入する250mL丸底フラスコに、窒素大気下で、2−(ベンズヒドリリデン−アミノ)−3−ヒドロキシ−酪酸tert−ブチルエステル(3.39g)、ピリジン(1.6mL)およびドライ塩化メチレン(50mL)を投入し、氷浴中で撹拌しながら冷却する。塩化メシルの一部(1.15g)を付加し、フラスコの内容物を1時間撹拌する。反応混合物の揮発性構成成分を蒸発させて、残渣を2−ブタノン(25mL)中に溶解する。チオ尿素(1.52g)を一度に付加し、フラスコに還流冷却器を取り付けて、8時間加熱する。揮発性構成成分を真空下で再び除去して、残渣をTHF(40mL)および水(10mL)中に溶解する。水酸化カリウム(1.40g)および18−クラウン−6(0.26g)をその溶液に付加し、内容物を一晩還流で保持する。反応混合物を冷却し、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、その後のアルキル化のために適切な純度で粗製チオールを得る。
【0119】
磁気撹拌棒を含入する250mLフラスコに、窒素大気下で、2−(ベンズヒドリリデン−アミノ)−3−メルカプト−酪酸tert−ブチルエステルおよびドライTHF(40mL)を投入し、ドライアイス/アセトン浴中で撹拌しながら冷却する。KHMDSの溶液(THF中1.0M、10mL)を注射器により付加し、フラスコの内容物を1時間保持した。THF(10mL)中の1−トリフルオロメチル−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン(3.16g)の溶液を、亜鉛トリフリミド(1.20g)とともに、30分間に亘って滴下する。冷却浴を除去し、フラスコの内容物を周囲温度に上げさせる。反応混合物を、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、粗製アルキル化物質を得る。磁気撹拌棒を含入する500mLフラスコに、この物質、1,4−ジオキサン(100mL)および濃硫酸(5.0mL)を投入する。フラスコに還流冷却器を取り付けて、フラスコの内容物を12時間還流保持する。揮発性物質を真空除去し、残渣を、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化する。
化合物(If):
【化17】

【0120】
大型磁気撹拌棒を含入する250mL丸底フラスコに、窒素大気下で、(3,4,5,6−テトラキス−ベンジルオキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−メタノール(5.40g)、ピリジン(1.6mL)およびドライ塩化メチレン(50mL)を投入し、氷浴中で撹拌しながら冷却する。塩化メシルの一部(1.15g)を付加し、フラスコの内容物を1時間撹拌する。反応混合物の揮発性構成成分を蒸発させて、残渣を2−ブタノン(25mL)中に溶解する。チオ尿素(1.52g)を一度に付加し、フラスコに還流冷却器を取り付けて、8時間加熱する。揮発性構成成分を真空下で再び除去して、残渣をTHF(40mL)および水(10mL)中に溶解する。水酸化カリウム(1.40g)および18−クラウン−6(0.26g)をその溶液に付加し、内容物を一晩還流で保持する。反応混合物を冷却し、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、その後のアルキル化のために適切な純度で粗製チオールを得る。
【0121】
磁気撹拌棒を含入する250mLフラスコに、窒素大気下で、(3,4,5,6−テトラキス−ベンジルオキシ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−メタンチオールおよびドライTHF(40mL)を投入し、ドライアイス/アセトン浴中で撹拌しながら冷却する。KHMDSの溶液(THF中1.0M、10mL)を注射器により付加し、フラスコの内容物を1時間保持する。THF(10mL)中の1−トリフルオロメチル−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン(3.16g)の溶液を、亜鉛トリフリミド(1.20g)とともに、30分間に亘って滴下する。冷却浴を除去し、フラスコの内容物を周囲温度に上げさせる。反応混合物を、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、粗製アルキル化物質を得る。磁気撹拌棒を含入する500mLフラスコに、この物質、メタノール(50mL)および10%Pd/C(0.5g)を窒素大気下で投入する。フラスコを密封し、酢酸(10mL)、硫酸(2mL)および蟻酸(10mL)を注射器により順次付加する。フラスコの内容物を、周囲温度で24時間撹拌する。懸濁液を濾過し、その結果生じる溶液を濃縮乾燥する。生成物を、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化する。
化合物(Ig):
【化18】

【0122】
大型磁気撹拌棒を含入する250mL丸底フラスコに、窒素大気下で、1,3,4−トリス−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシメチル−6−フェノキシ−ヘキサン−2−オン(5.40g)、ピリジン(1.6mL)およびドライ塩化メチレン(50mL)を投入し、氷浴中で撹拌しながら冷却する。塩化メシルの一部(1.15g)を付加し、フラスコの内容物を1時間撹拌する。反応混合物の揮発性構成成分を蒸発させて、残渣を2−ブタノン(25mL)中に溶解する。チオ尿素(1.52g)を一度に付加し、フラスコに還流冷却器を取り付けて、8時間加熱する。揮発性構成成分を真空下で再び除去して、残渣をTHF(40mL)および水(10mL)中に溶解する。水酸化カリウム(1.40g)および18−クラウン−6(0.26g)をその溶液に付加し、内容物を一晩還流で保持する。反応混合物を冷却し、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、その後のアルキル化のために適切な純度で粗製チオールを得る。
【0123】
磁気撹拌棒を含入する250mLフラスコに、窒素大気下で、1,3,4−トリス−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシメチル−6−フェノキシ−ヘキサン−2−オンおよびドライTHF(40mL)を投入し、ドライアイス/アセトン浴中で撹拌しながら冷却する。KHMDSの溶液(THF中1.0M、10mL)を注射器により付加し、フラスコの内容物を1時間保持した。THF(10mL)中の1−トリフルオロメチル−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン(3.16g)の溶液を、亜鉛トリフリミド(1.20g)とともに、30分間に亘って滴下する。冷却浴を除去し、フラスコの内容物を周囲温度に上げさせる。反応混合物を、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、粗製アルキル化物質を得る。磁気撹拌棒を含入する500mLフラスコに、この物質、メタノール(50mL)および10%Pd/C(0.5g)を窒素大気下で投入する。フラスコを密封し、酢酸(10mL)、硫酸(2mL)および蟻酸(10mL)を注射器により順次付加する。フラスコの内容物を、周囲温度で24時間撹拌する。懸濁液を濾過し、その結果生じる溶液を濃縮乾燥する。生成物を、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化する。
化合物(Ih):
【化19】

【0124】
大型磁気撹拌棒を含入する250mL丸底フラスコに、窒素大気下で、2−(ベンズヒドリリデン−アミノ)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−オクタデク−4−エン−1−オール(5.78g)、ピリジン(1.6mL)およびドライ塩化メチレン(50mL)を投入し、氷浴中で撹拌しながら冷却する。塩化メシルの一部(1.15g)を付加し、フラスコの内容物を1時間撹拌する。反応混合物の揮発性構成成分を蒸発させて、残渣を2−ブタノン(25mL)中に溶解する。チオ尿素(1.52g)を一度に付加し、フラスコに還流冷却器を取り付けて、8時間加熱する。揮発性構成成分を真空下で再び除去して、残渣をTHF(40mL)および水(10mL)中に溶解する。水酸化カリウム(1.40g)および18−クラウン−6(0.26g)をその溶液に付加し、内容物を一晩還流で保持する。反応混合物を冷却し、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、その後のアルキル化のために適切な純度で粗製チオールを得る。
【0125】
磁気撹拌棒を含入する250mLフラスコに、窒素大気下で、2−(ベンズヒドリリデン−アミノ)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−オクタデク−4−エン−1−チオールおよびドライTHF(40mL)を投入し、ドライアイス/アセトン浴中で撹拌しながら冷却する。KHMDSの溶液(THF中1.0M、10mL)を注射器により付加し、フラスコの内容物を1時間保持した。THF(10mL)中の1−トリフルオロメチル−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン(3.16g)の溶液を、亜鉛トリフリミド(1.20g)とともに、30分間に亘って滴下する。冷却浴を除去し、フラスコの内容物を周囲温度に上げさせる。反応混合物を、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、粗製アルキル化物質を得る。磁気撹拌棒を含入する500mLフラスコに、この物質、メタノール(50mL)および10%Pd/C(0.5g)を窒素大気下で投入する。フラスコを密封し、酢酸(10mL)、硫酸(2mL)および蟻酸(10mL)を注射器により順次付加する。フラスコの内容物を、周囲温度で24時間撹拌する。懸濁液を濾過し、その結果生じる溶液を濃縮乾燥する。生成物を、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化する。
化合物(Ii):
【化20】

【0126】
磁気撹拌棒を含入する250mLフラスコに、窒素大気下で、2−チオキソ−プロピオン酸tert−ブチルエステル(1.60g)およびドライTHF(40mL)を投入し、ドライアイス/アセトン浴中で撹拌しながら冷却する。KHMDSの溶液(THF中1.0M、10mL)を注射器により付加し、フラスコの内容物を1時間保持する。THF(10mL)中の1−トリフルオロメチル−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン(3.16g)の溶液を、亜鉛トリフリミド(1.20g)とともに、30分間に亘って滴下する。冷却浴を除去し、フラスコの内容物を周囲温度に上げさせる。反応混合物を、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、粗製アルキル化物質を得る。磁気撹拌棒を含入する500mLフラスコに、この物質、1,4−ジオキサン(100mL)および濃硫酸(5.0mL)を投入する。フラスコに還流冷却器を取り付けて、フラスコの内容物を12時間還流保持する。揮発性物質を真空除去し、残渣を、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化する。
化合物(Ij):
【化21】

【0127】
磁気撹拌棒を含入する250mLフラスコに、窒素大気下で、(N−メチル−グアニジノ)−酢酸tert−ブチルエステル(1.87g)およびドライTHF(40mL)を投入し、ドライアイス/アセトン浴中で撹拌しながら冷却する。KHMDSの溶液(THF中1.0M、10mL)を注射器により付加し、フラスコの内容物を1時間保持する。THF(10mL)中の1−トリフルオロメチル−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン(3.16g)の溶液を、亜鉛トリフリミド(1.20g)とともに、30分間に亘って滴下する。冷却浴を除去し、フラスコの内容物を周囲温度に上げさせる。反応混合物を、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、粗製アルキル化物質を得る。磁気撹拌棒を含入する500mLフラスコに、この物質、1,4−ジオキサン(100mL)および濃硫酸(5.0mL)を投入する。フラスコに還流冷却器を取り付けて、フラスコの内容物を12時間還流保持する。揮発性物質を真空除去し、残渣を、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化する。
化合物(Ik):
【化22】

【0128】
250mL丸底フラスコに、大型磁気撹拌棒を用いて、1,1,2−トリ−ベンジルピロホスホリルクロリド(4.67g)、ピリジン(1.6mL)およびドライ塩化メチレン(50mL)を投入し、窒素大気下で密封して、氷/塩浴中で撹拌しながら冷却する。トリフルオロメチルスルフィドの一部(1.12g)を1時間掛けて滴下(悪臭に注意)し、フラスコの内容物を1時間温める。すべての揮発性物質を真空除去する。残渣をメタノール(50mL)中に取り、10%Pd/C(0.5g)を窒素大気下で付加する。フラスコを密封し、酢酸(10mL)、硫酸(2mL)および蟻酸(10mL)を注射器により順次付加する。フラスコの内容物を、周囲温度で24時間撹拌する。懸濁液を濾過し、その結果生じる溶液を濃縮乾燥する。この物質を、塩化メチレン(40mL)およびピリジン(10mL)中に溶解し、フラスコを窒素大気下で密封する。内容物を拡販しながら氷よく中で冷却し、塩化チオニル(1.20g)を30分間に亘って滴下した後、THF(20mL)中の2−(6−アミノ−プリン−9−イル)−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール(2.67g)の溶液を付加する。反応混合物を周囲温度に上げさせて、氷水上に注ぎ、EtO中に分配する。併合EtO抽出物を水(3×)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、固体を濾過して、その結果生じる有機溶液を濃縮して、当該生成物を得る。
化合物(Il):
【化23】

【0129】
大型磁気撹拌棒を含入する250mL丸底フラスコに、窒素大気下で、[5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−[1,3]ジオキサン−2−イル−6−メチル−ピリジン−3−イル]−メタノール(3.40g)、ピリジン(1.6mL)およびドライ塩化メチレン(50mL)を投入し、氷浴中で撹拌しながら冷却する。塩化メシルの一部(1.15g)を付加し、フラスコの内容物を1時間撹拌する。反応混合物の揮発性構成成分を蒸発させて、残渣を2−ブタノン(25mL)中に溶解する。チオ尿素(1.52g)を一度に付加し、フラスコに還流冷却器を取り付けて、8時間加熱する。揮発性構成成分を真空下で再び除去して、残渣をTHF(40mL)および水(10mL)中に溶解する。水酸化カリウム(1.40g)および18−クラウン−6(0.26g)をその溶液に付加し、内容物を一晩還流で保持する。反応混合物を冷却し、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、その後のアルキル化のために適切な純度で粗製チオールを得る。
【0130】
磁気撹拌棒を含入する250mLフラスコに、窒素大気下で、[5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−[1,3]ジオキサン−2−イル−6−メチル−ピリジン−3−イル]−メタン−チオールおよびドライTHF(40mL)を投入し、ドライアイス/アセトン浴中で撹拌しながら冷却する。KHMDSの溶液(THF中1.0M、10mL)を注射器により付加し、フラスコの内容物を1時間保持した。THF(10mL)中の1−トリフルオロメチル−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン(3.16g)の溶液を、亜鉛トリフリミド(1.20g)とともに、30分間に亘って滴下する。冷却浴を除去し、フラスコの内容物を周囲温度に上げさせる。反応混合物を、10%飽和クエン酸の水溶液(3×)、50%飽和重炭酸ナトリウムの水溶液(3×)およびブラインに対して、EtO中に分配する。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥して、固体を濾過し、その結果生じる有機溶液を濃縮して、粗製アルキル化物質を得る。磁気撹拌棒を含入する500mLフラスコに、この物質、メタノール(50mL)および10%Pd/C(0.5g)を窒素大気下で投入する。フラスコを密封し、酢酸(10mL)、硫酸(2mL)および蟻酸(10mL)を注射器により順次付加する。フラスコの内容物を、周囲温度で24時間撹拌する。懸濁液を濾過し、その結果生じる溶液を濃縮乾燥する。生成物を、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化する。
実施例4:酵素検定
【0131】
2つのホスホ−エノールピルビルトランスフェラーゼ(PEPT)に対して、酵素検定で化合物を評価した:
EPSPS(AroA遺伝子産物) EC:2.5.1.19
MurA遺伝子産物 EC:2.5.1.7
手順:
【0132】
化合物を、100mg/mLで水中に溶解した。室温で、100mlの50mM HEPES(pH7.5)中で、酵素反応を実行した。100μM PEP、100μM S3Pまたは100μM UNAG、ならびに0、1、10、100、1000μg/mlのそれぞれの化合物を含有する緩衝液中に、EPSPSまたはMurAを付加することにより、反応を開始した。グリホサートおよび/またはホスホマイシンを、対照として用いた。800μLのマラカイトグリーン試薬の付加により、3分後に反応を停止した。発色を5分間進行させて、100μLの34%クエン酸ナトリウムの付加により反応を停止した。光学密度を650nmで測定し、そして活性をリン酸塩標準を用いて算定した。
結果:
【0133】
エネルギー活性は、図1において、それぞれの対照(−阻害剤)のパーセンテージで表されるが、この場合、MEH−001は2,2,2−トリフルオロ−エチルアミノ−酢酸であり、MEH−001Bは[カルボキシメチル−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミノ]−酢酸であり、そしてMEH−002は(3,3,3−トリフルオロ−プロピルアミノ)−酢酸である。
実施例5:細胞検定および細胞傷害性試験
【0134】
以下の4つの病原体に対する細胞検定で、化合物を評価した:
トリパノソーマ・ブルセイ・ローデシエンス
トリパノソーマ・クルージ・ツラフエン
リーシュマニア・ドノバニ
プラスモジウム・ファルシパルム
【0135】
ラット骨格筋原細胞を用いて、細胞傷害性評価も実施した。実験検定プロトコールおよび細胞傷害性プロトコールを、以下に示す。検定および細胞傷害性結果は、表3に示す。
in vitro感受性検定:アフリカトリパノソーマ症
(LILIT、Alamar Blue)
【0136】
標準寄生体菌株:トリパノソーマ・ブルセイ・ローデシエンス;STIB
標準薬剤:メラロソプロール(商標)(STIB900に関する主標準)
標準条件:
培地:T.b.ローデシエンス、
100mL当たり:83mLのMEM、
1mLのBalz構成成分(Balz et al., 1985)
2−メルカプトエタノール:1mLの希釈ストック溶液(14μLの2−メルカプトエタノール+10mLのdHO)
15mLの熱不活性化ウマ血清(最終濃度15%)
プレート:Costar(商標)96ウェル微量滴定プレート
インキュベーション:37℃、5%CO
試験スコアの定義:
不活性:IC50>3μg/ml
中等度活性:0.2μg/ml<IC50<3μg/ml
高活性:IC50<0.2μg/ml(活性シリーズ<0.1に関して)
メラロソプロール(STIB900中):平均IC50=0.004。
薬剤調製:
【0137】
化合物を、10mg/mlで、DMSO中に溶解する(SOP Nr.D1)。不溶性である場合、供給元の推奨に従って他の溶媒を用いる。DMSOストックを、−20℃で保持する。検定のために、培地中の新鮮な希釈液を、毎度調製する(DMSOは有毒であるため、検定においては1%DMSOの最終濃度を超えないよう注意しなければならない)。
手順:
【0138】
1. ウェルH1およびH12に75μlの培地を付加し、そしてウェルH2〜H11に75μlの培地(所望の最高薬剤濃度の2倍を含有する)を付加する。プレート当たり、10の薬剤を試験し得る(薬剤1〜10、カラム2〜11)。各検定に関して、メラロソプロールを、最高濃度として0.072μg/mlを有する標準として、試験する。
2. 50μlの培地を、室温で、96ウェルプレートの列A〜Gに付加する(列Hは薬剤を有する)。
3. 12ウェルマルチチャンネルピペットを用いて、連続薬剤希釈液を調製する。先ず、列Hのウェルから25μlを取り出して、それを列Gに入れて、十分に混合する。次いで、25μlを列Gから取り出して、列Fに入れ、そして列Bまで同様の手順を実施する。列Bの最後の25μlを捨てる。したがって、1:3という連続希釈因数が得られる。列Aウェルは、薬剤を含まない対照として役立つ。
4. トリパノソーマを含まない培地50μlを、カラム1および12に付加する;これらのカラムは、バックグラウンド対照として役立つ。
5. トリパノソーマを3×104 トリパノソーマ/mlに希釈する。トリパノソーマ密度を、細胞分析系(CASY、Scharfe System)で、または血球計算器での計数により、調整する(用いられるトリパノソーマ密度は、対応する培養の共通増殖特徴によって調整されるべきである)。プレート当たりで、3.5mlのトリパノソーマストックの使用が可能である。
6. 残りのウェル(カラム2〜11)に、50μlのトリパノソーマ懸濁液を付加する。
7. 次に、37℃/5%COで、プレートを69時間インキュベートする(=72時間:レサズリンとともにインキュベートされる時間)
評価:
【0139】
1. 倒立顕微鏡下でプレートを検査して、増殖が正常であることを確証する。付加的情報、例えば薬剤不溶性または夾雑等が記録され得る。
2. 各ウェルに10μlの蛍光色素レサズリンを付加し、さらに3時間インキュベートする(かすかな色の変化が観察されるまで。しかし最大5時間)
3. IC50値を確定するために、励起波長530nおよび発光波長590nmで、プレートを読み取る(プリセットLILITテンプレートファイル)。各ウェルでの値がバックグラウンド値の約10倍であることを確かめる。
4. データをグラフィックプログラム(エクセル)に移し、評価してIC50を確定するか、あるいは蛍光プレートリーダーソフトウエア(SoftMax)を用いて解析する。
in vitro感受性検定:T.クルージ
【0140】
標準検定寄生体菌株:トリパノソーマ・クルージ・ツラフエン C2C4、
標準細胞株:L−6細胞(マウス筋繊維芽細胞)
標準薬剤:ベンズニダゾール(ラダニル(商標)、Hoffman La Roche):開始濃度30μg/ml(IC50=0.35μg/ml)
標準条件:
培地:RPMI 1640+10%FCS+1.7μM L−グルタミン(850μl 100mlに関して200mM)
プレート:Costar(商標)96ウェル微量滴定プレート
インキュベーション:37℃、5%CO
基質:2.5×CPRG/ノニデット溶液:
5×ストック=500μlノニデットP40+30.38mgCPRG(100ml 1×PBS中)
5×ストックを1×PBSで1:1に希釈。
光感受性!
試験スコアの定義:
不活性:IC50>30μg/ml
中等度活性:2μg/ml<IC50<30μg/ml
高活性:IC50<2μg/ml(活性シリーズ<1に関して)
薬剤調製:
【0141】
化合物を、10mg/mlで、DMSO中に溶解する(SOP Nr.D1)。不溶性である場合、供給元の推奨に従って他の溶媒を用いる。DMSOストックを、−20℃で保持する。検定のために、培地中の新鮮な希釈液を、毎度調製する(DMSOは有毒であるため、検定においては1%DMSOの最終濃度を超えないよう注意しなければならない)。
注意:T.クルージはヒト病原体であり、すなわちバイオハザード廃棄物、石鹸消毒、手袋といったように処置されなければならない。
手順:
1日目:
【0142】
マルチウェル・リピーター・ピペットを用いて、2×103個のL6細胞/ウェルを含有する培地100μlを、96ウェルすべてに植えつける。
9.6ml/プレート
2×104個のL−6細胞/ml 100μl/ウェル
2日目:
【0143】
マルチウェル・リピーター・ピペットを用いて、5×103個のtrypsをカラム2〜11のすべてに付加する。カラム1および12では、50μlの培地を付加する。
3.2mlのトリパノソーマ懸濁液/プレート
1×105個のtryps/ml 50μl/ウェル
4日目:
【0144】
吸引器で列A〜Gのウェルから培地を除去し、マルチウェル・リピーター・ピペットを用いて培地100μlと入れ換える(培地+trypsの前だけはカラム1および12除去培地を交差感染しないよう注意すること!)。列Hから培地を除去し(交差感染しないよう!)、150μlの培地をウェルH1およびH12に付加し、そして最高薬剤濃度を有する培地150μlをウェルH2〜H11に付加する。プレート当たりで、10の薬剤を試験し得る(薬剤1:10のカラム2〜11)。注:プレートの最初の半分を実施し(培地を除去し、薬剤を付加する)、次いで、残り半分を実施するので、したがって、細胞/trypsが干からびることはない。12−チャンネルマルチピペットを用いて、連続薬剤希釈液を調製する。先ず、列Hのウェルから50μlを取り出して、それを列Gに入れて、十分に混合する。次いで、50μlを列Gから取り出して、列Fに入れ、そして列Bまで同様の手順を実施する。列Bの最後の50μlを捨てる。したがって、1:3という連続希釈因数が得られる。列Aウェルは、薬剤を含まない対照ウェルとして役立つ。
8日目:
【0145】
プレートを視覚的に評価して、MIC(最小阻害濃度):対照ウェルと比較下場合、正常な形態および運動性を有するトリパノソーマが観察され得ない最低薬剤濃度を決定する。50μlの2.5×CPRG/ノニデットをすべてのウェルに付加する。色反応が2〜6時間で可視的になり、540nmで吸光度読取器で読取られ得る。データをグラフィックプログラム(エクセル)に移し、評価してIC50を確定するか、あるいはプレートリーダーソフトウエア(SoftMax)を用いて解析する。
in vitro感受性検定:無菌リーシュマニア・ドノバニ
【0146】
標準寄生体菌株:L.ドノバニ MHOM−ET−67/L82、無菌性無鞭毛体
標準薬剤:ミルテフォシン
標準条件:
培地:SM、pH5.4+10%熱不活性化FCS
プレート:Costar(商標)96ウェル微量滴定プレート
インキュベーション:37℃、5%CO、72時間
試験スコアの定義:
不活性(反復なし):IC50>3μg/ml
中等度活性(反復):0.5μg/ml<IC50<3μg/ml
高活性(反復):IC50<0.5μg/ml
ミルテフォシン:平均IC50=0.131μg/ml。
薬剤調製:
【0147】
供給元がそうでない場合を明記していない限り、化合物をDMSO(SOP Nr.D1)中に溶解する。ストック溶液は10mg/mlで、−20℃で保存する。ストックは、3年間保持される(DMSOは有毒であるため、検定においては1%DMSOの最終濃度を超えないよう注意しなければならない)。
手順:
【0148】
1. ウェルH1およびH12に75μlの培地を付加し、そしてウェルH2〜H11に75μlの培地(所望の最高薬剤濃度の2倍を含有する)を付加する。プレート当たり、10の薬剤を試験し得る(薬剤1〜10、カラム2〜11)。各検定に関して、ミルテフォシンを、最高濃度として3μg/mlを有する標準として、試験する。
2. 50μlの培地を、室温で、96ウェルプレートの列A〜Gに付加する(列Hは薬剤を有する)。
3. 12−マルチチャンネルピペットを用いて、連続薬剤希釈液を調製する。先ず、列Hのウェルから25μlを取り出して、それを列Gに入れて、十分に混合する。次いで、25μlを列Gから取り出して、列Fに入れ、そして列Bまで同様の手順を実施する。列Bの最後の25μlを捨てる。したがって、1:3という連続希釈因数が得られる。列Aウェルは、薬剤を含まない対照として役立つ。
4. 寄生生物を含まない培地50μlを、カラム1および12に付加する;これらのカラムは、蛍光スキャナーでバックグラウンドシグナルを提供する対照として役立つ。
5. 対数期の健常培養からの2×106個の無菌増殖無鞭毛体を含有する懸濁液 50μlを、残りのウェルすべてに付加して、初期寄生生物密度を1×106mlとする。
6. 37℃/5%COで、プレートを70時間インキュベートする(=72時間:レサズリンとともにインキュベートされる時間)。
評価:
【0149】
1. 倒立顕微鏡下でプレートを検査して、増殖が正常であることを確証する。付加的情報、例えば薬剤不溶性または夾雑等が記録され得る。
2. 各ウェルに10μlの蛍光色素レサズリンを付加し、さらに2時間インキュベートする(かすかな色の変化が観察されるまで)。
3. IC50値を確定するために、励起波長530nおよび発光波長590nmで、プレートを蛍光スキャナー(SPECTRAmax GEMINI XS(Molecular Devices))で読み取る(プリセットLILITテンプレートファイル)。各ウェルでの値がバックグラウンド値の約10倍であることを確かめる。
4. データをグラフィックプログラム(エクセル)に移し、評価してIC50を確定するか、あるいは蛍光プレートリーダーソフトウエア(SoftMax)を用いて解析する。
in vitro感受性検定:プラスモジウム・ファルシパルム
H−ヒポキサンチン取込み)
【0150】
標準検定寄生体菌株:
プラスモジウム・ファルシパルム NF54(既知の全薬剤に対して感受性)
プラスモジウム・ファルシパルム K1(クロロキン/ピリミタミン耐性)
標準薬剤:
クロロキン(10mg/mlストック;開始濃度1000μg/ml)(平均IC50=0.065μg/ml)
アルテミシニン(キンガオス)(5mg/mlストック;開始濃度10ng/ml)
標準条件:
培地:RPMI 1640(ヒポキサンチン 10.44g/Lを含まず)
HEPES 5g/L
アルブマックス(登録商標) 5g/L
ネオマイシン 10ml/L(100U/ml)
NaHCO 50g/Lストック 42ml/L(2.1g/L)
放射性ヒポキサンチン:500μlのH−ヒポキサンチンストック+500μlのEtOH+49mlの培地(これらの1mlアリコートを−20℃で保存する。培地を新たに付加する)
洗浄ヒト赤血球A+(RBC):10日間まで保存し得る
各検定のために新たに希釈液を作る
プレート:Costar(商標)96ウェル微量滴定プレート
インキュベーション:37℃、4%CO、3%O、93%N
試験スコアの定義:
不活性(非反復):IC50>5μg/ml
中等度活性(反復):0.5μg/ml<IC50<5μg/ml
高活性(反復):IC50<0.5μg/ml(活性シリーズ<0.2に関して)
薬剤調製:
【0151】
化合物を、10mg/mlで、DMSO中に溶解する(SOP Nr.D1)。不溶性である場合、供給元の推奨に従って他の溶媒を用いる。DMSOストックを、−20℃で保持する。検定のために、培地中の新鮮な希釈液を、毎度調製する(DMSOは有毒であるため、検定においては0.5%DMSOの最終濃度を超えないよう注意しなければならない)。
注意:P.ファルシパルムはヒト病原体であり、すなわちバイオハザード廃棄物、石鹸消毒、手袋といったように処置されなければならない。
手順:
1日目:
【0152】
1. 列Hのウェルに、所望の最高薬剤濃度の4倍を含有する培地 100μlを付加する。プレート当たり、12の薬剤を試験し得る。
2. 100μlの培地を、室温で、プレートの全ウェルに付加する。
3. 12−ウェル・マルチチャンネルピペットを用いて、連続薬剤希釈液を調製する。先ず、列Hのウェルから100μlを取り出して、それを列Gに入れて、十分に混合する。次いで、100μlを列Gから取り出して、列Fに入れ、そして列Bまで同様の手順を実施する。列Bの最後の100μlを捨てる。したがって、1:2という連続希釈因数が得られる。列Aウェルは、薬剤を含まない対照として役立つ。
4. 100μlの培地+RBCを、列Aの最後の4つのウェルに付加する;これらのカラムは、バックグラウンド対照として役立つ(寄生生物を伴わないRBCへのH−ヒポキサンチン取込みにより引き起こされ得る)。
5. 残りのウェルに、100μlの培地+RBC+P.ファルシパルム混合物を付加する。
6. プレートをチェンバーに入れて、4%CO、3%O、93%N混合物でガス処理する。チェンバーを、37℃で48時間、インキュベーター中に置く。
3日目:
【0153】
1. 50μlの培地+H−ヒポキサンチン(0.5μCi)を、各ウェルに付加する。
2. プレートをチェンバーに戻し入れて、4%CO、3%O、93%N混合物でガス充填する。チェンバーを、37℃で24時間、インキュベーター中に置き戻す。
4日目:評価
【0154】
データをグラフィックプログラム(エクセル)に移し、評価してIC50を確定する。
in vitro感受性検定:細胞傷害性
【0155】
標準細胞株:L−6(ラット骨格筋原細胞)またはHT−29(ヒト膀胱癌細胞)
標準薬剤:ポドフィロトキシン(PPT);開始濃度 0.1μg/ml 平均IC50=0.006μg/ml。
標準条件:
培地:RPMI 1640+10%FCS+1.7ミクロンM L−グルタミン(850μl 200mMまたは100ml)
培養容器:Costar(商標)96ウェル微量滴定プレート
インキュベーション:37℃、5%CO
薬剤調製:
【0156】
供給元がそうでない場合を明記していない限り、化合物をDMSO(SOP Nr.D1)中に溶解する。ストック溶液は10mg/mlで、−20℃で保存する。ストックは、3年間保持される(DMSOは有毒であるため、検定においては1%DMSOの最終濃度を超えないよう注意しなければならない)。
手順:
【0157】
1. 100μlの培地を、微量滴定プレートのカラム1および12のウェルに付加する。これらのウェルは、対照として役立つ。
2. 4×104細胞/mlの細胞懸濁液 100μlを、残りのカラム(2〜11)に付加する。細胞を、一晩付着させる。プレート当たりで、6.5mlの細胞懸濁液を用い得る。
3. 翌日、培地を列Hから取り出す(半数のプレートでこれを実施して、ステップ4に進み、残り半分に関してはステップ3に戻る。したがって、細胞は干からびない)。
4. 最高薬剤濃度を含有する培地 150μlをウェルH2〜H11に付加し、培地150μlをウェルH1およびH12に付加する。1つのプレートで、10の薬剤を試験し得る(カラム2〜11で薬剤1〜10)。カラム1および12は、バックグラウンドとして役立つ。
5. 12−マルチチャンネルピペットを用いて、連続薬剤希釈液を調製する。先ず、列Hのウェルから50μlを取り出して、それを列Gに入れて、十分に混合する。次いで、50μlを列Gから取り出して、列Fに入れ、そして列Bまで同様の手順を実施する。列Bの最後の50μlを捨てる。したがって、1:3という連続希釈因数が得られる。列Aウェルは、薬剤を含まない対照として役立つ。
6. 次に、37℃/5%COで、プレートを70時間インキュベートする。
評価:
【0158】
1. 倒立顕微鏡下でプレートを検査して、増殖が正常であることを確証する。付加的情報、例えば薬剤不溶性または夾雑等が記録され得る。
2. 各ウェルに10μlの蛍光色素レサズリンを付加し、さらに2時間インキュベートする(かすかな色の変化が観察されるまで。しかし、最大3時間)。
3. IC50値を確定するために、励起波長530nおよび発光波長590nmで、プレートを読み取る(プリセットLILITテンプレートファイル)。各ウェルでの値がバックグラウンド値の約10倍であることを確かめる。
4. データをグラフィックプログラム(エクセル)に移し、評価してIC50を確定するか、あるいは蛍光プレートリーダーソフトウエア(SoftMax)を用いて解析する。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、Aは、独立して、(a)アミノ酸、(b)炭水化物、(c)脂質および脂質誘導体、(d)代謝中間体、(e)補因子、ならびに(f)生物学的に活性であることが示されるサブ分子組成物からなる群から選択される1つ以上の官能基から選択される)
の置換トリフルオロメタン化合物。
【請求項2】
前記アミノ酸が、ペプチド、ホルモンおよびタンパク質からなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記炭水化物が、糖、オリゴ糖および多糖からなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項4】
前記置換基Aが、グリコシル化ペプチド、グリコシル化ホルモンおよびグリコシル化タンパク質からなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項5】
前記置換基Aが、イノシトール、プレニル化中間体、エイコサノイド前駆体、ならびに単量体および多量体ヌクレオチドからなる群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項6】
式Ia:
【化2】

(式中、Xは、(a)酸素、(b)イオウ、(c)炭素、(d)ケイ素、(e)セレン、ならびに(f)化合物の化学的安定性が達成され、そしてリンカーXのすべての原子価要件が満たされるよう、親トリフルオロメタンの官能基Aと炭素との間の共有結合として役立ち得る任意の非水素原子または原子ゼロからなる群から選択される)
の化合物である請求項1記載の化合物。
【請求項7】
前記リンカーXが一連の2〜12原子である請求項6記載の化合物。
【請求項8】
Xが酸素である請求項6記載の化合物。
【請求項9】
Xがイオウ、S(O)またはSOである請求項6記載の化合物。
【請求項10】
XがCRまたはSiR(ここで、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アミノ、エーテル、チオエーテル、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミンおよびアルキルアリールアミンからなる群から選択される)であるか;あるいは
XがCRまたはSiR(ここで、RおよびRは、一緒になってカルボニル(=O)、チオカルボニル(=S)または置換アルケニル(=C)を形成する)である
請求項6記載の化合物。
【請求項11】
XがセレンまたはSe(O)である請求項6記載の化合物。
【請求項12】
XがNR(ここで、Rは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、ヒドロキシル、チオール、アミノ、エーテル、チオエーテル、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミンおよびアルキルアリールアミンからなる群から選択される)である請求項6記載の化合物。
【請求項13】
Xが、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロアリシクリルあるいは置換または非置換エーテル、置換または非置換チオエーテル、および置換または非置換アミンからなる群から選択される置換または非置換リンカー(2〜12原子長)である請求項6記載の化合物。
【請求項14】
式Ib:
【化3】

の化合物である請求項1記載の化合物。
【請求項15】
前記置換基Aが、チロシン、セリンおよびトレオニンからなる群から選択されるアミノ酸である請求項1記載の化合物。
【請求項16】
式Ic、IdまたはIe:
【化4】

(式中、DおよびDは、各々独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロアリシクリルあるいは置換または非置換エーテル、置換または非置換チオエーテル、および置換または非置換アミン、あるいはこのようなアミノ酸のうちの一〜千(1〜1000)のその他の個々のアミノ酸または配列からなる群から選択される)
の化合物である請求項1記載の化合物。
【請求項17】
前記置換基Aがグルコースまたはフルクトースである請求項1記載の化合物。
【請求項18】
式IfまたはIg:
【化5】

(式中、E〜Eは、各々独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロアリシクリル、置換または非置換エーテル、置換または非置換チオエーテル、および置換または非置換アミン、あるいは一〜千(1〜1000)の成員を含有する単一炭水化物または炭水化物の集合体からなる群から選択される)
の化合物である請求項1記載の化合物。
【請求項19】
前記置換基Aがスフィンゴシンの置換類似体である請求項1記載の化合物。
【請求項20】
前記スフィンゴシンが、セラミド、スフィンゴミエリンおよびグリコソスフィンゴリピドからなる群から選択される請求項19記載の化合物。
【請求項21】
前記スフィンゴシンが、セレブロシドおよびガングリオシドからなる群から選択される請求項19記載の化合物。
【請求項22】
式(Ih):
【化6】

(式中、G1〜G4は、各々独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロアリシクリル、置換または非置換エーテル、置換または非置換チオエーテル、および置換または非置換アミン、あるいは一〜千(1〜1000)の成員を含有する単一炭水化物または炭水化物の集合体からなる群から選択される)
の化合物である請求項1記載の化合物。
【請求項23】
前記置換基Aが、エノールピルビン酸またはクレアチンである請求項1記載の化合物。
【請求項24】
本明細書中に開示される実施形態のうちのいくつかにおいて、式IiまたはIj:
【化7】

の化合物である請求項1記載の化合物。
【請求項25】
前記置換基Aが、アデノシンジホスホネートまたはピリドキサールまたは他の補因子である請求項1記載の化合物。
【請求項26】
式IkまたはIl:
【化8】

の化合物である請求項1記載の化合物。
【請求項27】
前記置換基Aが、デス−ホスホネートグリホサートまたはデス−ホスホネートホモ−グリホサートあるいはその他のグリホサート類似体である請求項1記載の化合物。
【請求項28】
式(Im):
【化9】

の化合物である請求項1記載の化合物。
【請求項29】
式II:
【化10】

(式中、AおよびBは、各々独立して、(a)デス−ホスフェート核酸または(b)生物学的に活性な置換基Iから選択される)
の置換ジフルオロメタン化合物。
【請求項30】
式(IIa):
【化11】

(式中、XおよびYは、各々独立して、(a)酸素、(b)イオウ、(c)炭素、(d)ケイ素、(e)セレン、ならびに(f)化合物の化学的安定性が達成され、そしてリンカーXおよびYのすべての原子価要件が満たされるような、親ジフルオロメタンの官能基AまたはBと炭素との間の共有結合として役立ち得る任意の非水素原子または原子ゼロからなる群から選択される)
の化合物である請求項29記載の化合物。
【請求項31】
XおよびYが、各々独立して、酸素である請求項29記載の化合物。
【請求項32】
XおよびYが、各々独立して、イオウ、S(O)またはSOである請求項29記載の化合物。
【請求項33】
XおよびYが、各々独立して、CRまたはSiR(ここで、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アミノ、エーテル、チオエーテル、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、アルキルアリールおよびアミンからなる群から選択される)であるか;あるいは
XがCR(ここで、RおよびRは、一緒になってカルボニル(=O)、チオカルボニル(=S)または置換アルケニル(=C)を形成する)である
請求項29記載の化合物。
【請求項34】
XおよびYが、各々独立して、セレンまたはSe(O)である請求項29記載の化合物。
【請求項35】
XおよびYが、各々独立して、NR(ここで、Rは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、チオール、アミノ、エーテル、チオエーテル、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミンおよびアルキルアリールアミンからなる群から選択される)である請求項29記載の化合物。
【請求項36】
XおよびYが、各々独立して、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロアリシクリルあるいは置換または非置換エーテル、置換または非置換チオエーテル、および置換または非置換アミンからなる群から選択される置換または非置換リンカー(2〜12原子長)である請求項29記載の化合物。
【請求項37】
XおよびYが、各々独立して、メチレン基である請求項29記載の化合物。
【請求項38】
式IIbまたはIIc:
【化12】

の化合物である請求項29記載の化合物。
【請求項39】
治療的有効量の式IまたはIIの化合物および製薬上許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を含む薬学的組成物。
【請求項40】
ホスホエノールピルビルトランスフェラーゼ(PEPT)酵素の活性の調節方法であって、PEPT酵素を式IまたはIIのいずれか一方の化合物と接触させることを包含する方法。
【請求項41】
酵素の活性の変化を検出し、および/または接触後の酵素の活性を接触前の酵素の活性と比較するステップをさらに包含する請求項40記載の方法。
【請求項42】
式IまたはIIの化合物がPEPT酵素の競合的阻害剤である請求項40記載の方法。
【請求項43】
式IまたはIIの化合物がPEPT酵素の不競合的阻害剤である請求項40記載の方法。
【請求項44】
式IまたはIIの化合物がPEPT酵素の非競合的阻害剤である請求項40記載の方法。
【請求項45】
式IまたはIIの化合物がPEPT酵素の混合阻害剤である請求項40記載の方法。
【請求項46】
前記酵素がin vivoで式IまたはIIの化合物と接触される請求項40記載の方法。
【請求項47】
前記酵素がin vivoで式IまたはIIの化合物と接触される請求項40記載の方法。
【請求項48】
式IまたはIIの化合物が、基質としてホスホエノールピルベートを利用する他の酵素に比して、PEPT酵素活性を選択的に調節する請求項40記載の方法。
【請求項49】
前記PEPT酵素が、細菌PEPT酵素、真菌PEPT酵素、植物PEPT酵素、トリパノソーマPEPT酵素、原生動物PEPT酵素またはPEPT酵素を発現する任意の他の非哺乳動物生物体からなる群から選択される請求項40記載の方法。
【請求項50】
被験体における細菌、真菌またはトリパノソーマ感染あるいは寄生の軽減方法であって、それを必要とする被験体を同定すること;そして治療的有効量の式IまたはIIの化合物を被験体に投与することを包含する方法。
【請求項51】
感染または寄生が、マラリア、シャガス病、睡眠病、リーシュマニア症またはライム病のような媒介性疾患により引き起こされるか、あるいは侵襲性外科手術、抗生物質処置および抗ウイルス処置からなる群から選択される医学療法の意図せぬ結果として生じる請求項50記載の方法。
【請求項52】
PEPT酵素の活性を調節する化合物の同定方法であって、PEPT酵素を、式IまたはIIの複数の化合物と同時に接触させること;各化合物との接触後の酵素の活性を接触前の酵素の活性と比較すること;そして接触後の酵素の活性を変える式IまたはIIのいずれか一方の化合物を選択することを包含する方法。
【請求項53】
前記酵素が細胞内に存在する請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記酵素が、前記酵素を発現する細胞抽出物内に存在する請求項52記載の方法。
【請求項55】
感染および非哺乳動物寄生の処置のために有効な化合物の同定方法であって、式IまたはIIの化合物を、細菌PEPT酵素、真菌PEPT酵素、植物PEPT酵素、トリパノソーマPEPT酵素、原生動物PEPT酵素またはPEPT酵素を発現する任意の他の非哺乳動物生物体からなる群から選択される酵素と接触させること;各化合物との接触後の酵素の活性を、接触前の酵素の活性と比較すること;そして接触後の酵素の活性を変える化合物を選択することを包含する方法。
【請求項56】
基質としてリン酸化分子を利用する酵素の活性の調節方法。
【請求項57】
生成物としてリン酸化分子を生成する酵素の活性の調節方法。
【請求項58】
キナーゼ酵素の活性の調節方法。
【請求項59】
ホスファターゼ酵素の活性の調節方法。
【請求項60】
リガンドとしてリン酸化分子を利用する受容体の活性の調節方法。
【請求項61】
補因子としてリン酸化分子を利用する酵素の活性の調節方法。
【請求項62】
リン酸化分子に対する親和性を有する高分子物質の活性の調節方法。
【請求項63】
リン酸化分子に対する親和性を有する分子の活性の調節方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−518897(P2013−518897A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552093(P2012−552093)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2011/023657
【国際公開番号】WO2011/097421
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512202691)エムイーエイチ アソシエイツ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】