説明

部品の形状計測方法及び部品の形状計測装置

【課題】 部品を組立した後の製品の検査項目の観点で部品の形状計測ができる部品の形状計測方法を提供する。
【解決手段】
検査装置10は、部品形状を撮像するCCDカメラ40と、製品検査において基準となる基準点と、CCDカメラ40により得られた部品形状の幾何学的関係に基づき前記基準点の代わりとなる仮想点を算出する画像処理部50aを備える。又、画像処理部50aは製品検査と同項目の検査に関し、仮想点を基準として部品形状に基づいて測定を行う。外部装置70は、測定結果の適否判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製品を構成する部品の形状計測方法及び部品の形状計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、白内障患者の水晶体を摘出した後、眼内に挿入移植して視力補正するために眼内レンズが用いられている。この眼内レンズ100は、図9に示すようにレンズ本体となる光学部110と、該光学部110の互いに180°反対側の部位から突出するように設けられた一対の支持部材(以下では、説明の便宜上、単に支持部120という。)とから構成されている。光学部110は、図9に示すように平面視略円形状に形成されている。前記眼内レンズ100は、光学部110と支持部120とを別々に製造し、後に両者を組み付けることにより製造される。このように、眼内レンズ100を製造する場合は、光学部110と支持部120とを別々に製造することから、部品単位毎に、部品検査を行う必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記の部品検査のうち、従来、支持部の検査は、投影機などを用いて支持部を拡大し、該拡大した像と、ポジフィルム上に記録された基準となる支持部の像とを検査員が照らし合わせて、支持部の形状を1本ずつ確認することにより行われている。このように従来の支持部の検査は、全て人が目視にて確認する官能的な検査で行っている。しかし、官能的な検査は、人為的誤差があるとともに、検査に時間を要する問題がある。
【0004】
人為的誤差をなくすためには、官能的な検査ではなく、部品形状の定量的計測が行える計測装置があると好ましいが、現状では提案されていない。このように部品形状を検査する場合、目視による官能検査ではなく部品形状に関して定量的な計測を行うことができる部品形状の計測装置の出現が望まれている。又、部品形状の計測は、部品を組立てした後の製品の検査項目の観点から、計測することができる項目を含むことが好ましい。
【0005】
この発明の目的は、上記の従来の課題を解決するためになされたものであり、部品を組立した後の製品の検査項目の観点で部品の形状計測ができる部品の形状計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、部品形状を撮像し、該部品形状と、製品検査において基準となる基準点との幾何学的関係に基づき前記基準点の代わりとなる仮想点を算出し、前記製品検査と同項目の検査を、該仮想点を基準として前記部品形状に基づいて行うことを特徴とする部品の形状計測方法を要旨とするものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記製品検査は、光学部と該光学部に取着された部品としての支持部とを含む眼内レンズの検査であり、前記部品形状が支持部の形状であることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2において、前記支持部は、前記光学部に取着される取付端を有する直線部と、前記直線部と一体形成されるとともに自由端を備える曲線部を有し、前記眼内レンズの検査において基準となる基準点は、前記光学部の中心(以下、光学部中心という)とし、前記幾何学的関係が、前記直線部の特定部位と、前記光学部中心との関係であり、該幾何学的関係に基づいて、前記仮想点としての仮想光学部中心を算出することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3において、前記幾何学的関係に基づく仮想点の算出は、(1)前記直線部上において、該直線部と平行に基準直線を算出し、(2)前記基準直線と前記直線部の取付端端面とが交わる部分を特定部位としての第1交点とし、第1交点と前記光学部中心までの、前記基準直線に沿った方向成分の距離を半径とする第1円を算出し、(3)前記第1円と前記基準直線との交点の中で、前記光学部中心に近い側の第2交点を算出し、(4)第1円上の第2交点を通る接線を算出し、(5)前記第2交点を中心として、前記第1交点から光学部中心までの、前記基準直線に沿った方向成分とは直交する方向成分の距離を半径とする第2円を算出し、(6)第2円と前記接線とが交わる交点中、前記接線の前記光学部中心に近い側の交点を仮想点とすることにより、行うことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4において、前記仮想点を基準として前記部品形状に基づいて行う、眼内レンズの検査と同項目の検査は、前記仮想点から、前記支持部のうち最遠の距離を有する最遠点を検出し、該最遠点と仮想点との距離を計測することにより、眼内レンズの1/2全長に相当する距離を計測するものであることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3乃至等請求項5のうちいずれか1項において、前記仮想点を基準として前記部品形状に基づいて行う、眼内レンズの検査と同項目の検査、前記支持部の表裏の判定、及び、前記支持部の形状に関する特徴の検査を組み合わせて行ない、前記支持部が前記光学部に取り付けられた状態を想定し、眼内レンズの検査項目のうち、少なくとも1つの検査項目が前記支持部のみで行えることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6において、前記支持部の形状に関する特徴は、該支持部の径、該支持部の曲線部の曲率半径、及び前記自由端から前記直線部までの、該直線部に沿った方向と直交する方向成分距離である支持部円弧幅のうち少なくとも1つであることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項6において、前記支持部の重心と、該支持部の直線部側の端部の位置とを支持部の形状に基づいて算出し、前記支持部の重心と、前記支持部の端部を除く所定部位に属する点と、該支持部の直線部側の端部の位置関係に基づいて、前記支持部の表裏の判定を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項6において、前記支持部の重心と、前記支持部の曲線部の曲率半径中心とを、前記支持部の形状に基づいて算出し、該曲率半径中心と、前記支持部の両端のそれぞれの距離を比較して、該支持部の直線部側の端部を決定し、前記重心を通る角度測定基準線と、前記支持部の端部を除く所定部位に属する点と前記重心を共に通る第1直線とがなす第1角度と、前記重心を通る角度測定基準線と、前記支持部の前記直線部側の端部と前記重心を共に通る第2直線とがなす第2角度とを算出し、前記第1角度と第2角度との差分に基づいて、前記支持部の表裏の判定を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、部品形状を撮像する撮像手段と、製品検査において基準となる基準点と、前記撮像手段により得られた前記部品形状の幾何学的関係に基づき前記基準点の代わりとなる仮想点を算出する算出手段と、製品検査と同項目の検査に関し、該仮想点を基準として前記部品形状に基づいて測定を行う測定手段と、前記測定手段の測定結果の適否判定を行う検査手段を備えたことを特徴とする部品の形状測定装置を要旨とするものである。
【0016】
請求項11の発明は、請求項10において、前記部品を複数個載置可能な検査用パレットと、前記検査用パレットを照射可能な照明手段と、前記撮像手段を前記検査用パレット上において3次元的に移動可能に支持するステージ手段とを備え、前記検査用パレット上の複数の部品を前記撮像手段にて順次撮像可能に前記ステージ手段を駆動制御するステージ制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、製品検査において基準となる基準点と、部品形状との幾何学的関係に基づき前記基準点の代わりとなる仮想点を算出し、前記製品検査と同項目に関し、該仮想点を基準として前記部品形状に基づいて行うことにより、部品形状の計測で製品の不良判別を可能にできる。このため、従来の部品単体だけで部品の不良を判別する方法よりも、有意に製品不良判別を行うことができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、支持部の形状に基づき算出した仮想点を基準として眼内レンズの検査と同項目の検査を、前記支持部の形状に基づいて行うようにした。このことにより、支持部の形状の計測で眼内レンズの不良判別を可能にし、従来の部品単体だけで支持部の不良を判別する方法よりも、有意に眼内レンズの不良判別を行うことができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、眼内レンズの検査において基準となる基準点を光学部中心とし、直線部の特定部位と、光学部中心との幾何学的関係に基づいて、前記仮想点として仮想光学部中心を算出することにより、請求項2の効果を容易に実現することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、上記(1)〜(6)の順序で仮想点の算出を行うことにより、請求項3の効果を容易に実現することができる。
請求項5の発明によれば、支持部の形状計測に基づいて、眼内レンズの1/2全長に相当する距離が計測されることにより、眼内レンズの全長計測と同項目が検査できるため、眼内レンズの不良判別を可能にし、従来の部品単体だけで支持部の不良を判別する方法よりも、有意に眼内レンズの不良判別を行うことができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、眼内レンズの検査項目のうち、少なくとも1つの検査項目を支持部単体で行うことができる。
請求項7の発明によれば、支持部径、支持部の曲線部の曲率半径、及び支持部円弧幅のうち少なくともいずれか1つの支持部の形状に関する特徴を得ることができる。
【0022】
請求項8及び請求項9の発明によれば、支持部の表裏判定を容易に実現することができる。
請求項10の測定装置によれば、請求項1の効果の他、部品形状の測定は、部品形状の画像により簡単に行うことができ、このため、目視検査を行う必要がなくなる。このため、人為的な誤差をなくすることができ、しかも、検査に時間を要することがなく、精度の高い定量的な検査もできる。
【0023】
請求項11の形状計測装置によれば、撮像手段にて順次撮像するため、撮像された部品の形状測定を順次行い、検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の部品の形状測定装置を眼内レンズの支持部の検査装置10に具体化した実施形態を図1〜図8を参照して説明する。
図1に示すように検査装置10は、検査用パレット20、ステージ手段としてのX−Y−Zステージ30、撮像手段としてのCCDカメラ40,コントローラ50、モニタ60、及び外部装置70等を備えている。検査用パレット20は、枠体22を介して、テーブル等の台80に載置されている。検査用パレット20は透明のソーダガラスから四角平板状に形成された透明体からなり、内部には、図2(a)に示すように試料を設置するための指標となる升目20aが本実施形態では、10×10個となるようにレーザ加工にて形成されている。なお、升目20aの個数は限定されるものではなく、検査に必要に応じた個数でよい。升目20aは、検査用パレット20の厚さ方向において、やや上部寄りに配置されている。1個の升目20aの広さは、支持部120が載置した際に十分入る程度とされている。又、検査用パレット20の周縁は、保護カバー24にて覆われることにより保護されている。升目20aを形成するために形成された互いに直交する2つの直線群のうち、一方の直線群が後述するX−Y−Zステージ30で説明するX方向に沿うように、他方の直線群がY方向に沿うように、検査用パレット20が配置されている。
【0025】
枠体22内において、検査用パレット20と対向する位置には、光源となる照明装置26が配置されており、検査用パレット20の裏面全体に対して裏面側(図1において、下面側)から照明可能である。照明装置26は、バックライト型青色LED照明装置で構成されているが、発光形式はLEDに限定するものではない。照明装置26は、照明手段に相当する。
【0026】
CCDカメラ40を支持するX−Y−Zステージ30は、検査用パレット20の上方に位置するように図示しない支持装置にて支持されている。X−Y−Zステージ30は、X軸モータ30a、Y軸モータ30b、Z軸モータ(図示しない)を備えており、前記各モータをそれぞれ駆動制御することにより、CCDカメラ40を、図1において左右方向(X方向)、図面に直交するY方向、及び図1において上下方向(Z方向)の3次元的に移動可能である。CCDカメラ40は、X−Y−Zステージ30にて互いに直交するX,Y,Z方向へ移動することにより、検査用パレット20上に配置される複数の試料(すなわち、部品)をそれぞれ撮像可能である。
【0027】
又、CCDカメラ40は、コントローラ50からの撮像開始の信号を受けて、前記試料を撮像し、その画像データ(なお、説明の便宜上、画像データを単に画像ということもある。)をコントローラ50に出力する。コントローラ50は、パーソナルコンピュータ等のCPUからなり、図示しない記憶装置に格納した画像処理プログラムに基づいて、画像処理部50aを制御する。画像処理部50aは、前記コントローラ50の制御を受け、前記画像データを入力すると、該画像データに基づいて画像処理を行う。又、コントローラ50は、照明装置26のオンオフ制御が可能であり、CCDカメラ40に撮像開始の信号を出力する前に、照明装置26に対して照明のオン信号を出力し、CCDカメラ40の撮像終了後に、照明装置26に対してオフ信号を出力する。
【0028】
外部装置70は、パーソナルコンピュータ等のCPUからなる。外部装置70は、X−Y−Zステージ30のX,Y,Z方向への駆動制御を行うために、X軸モータドライバ71、Y軸モータドライバ72、Z軸モータドライバ73を備えており、各ドライバーを介して、前記X軸モータ30a、Y軸モータ30b、Z軸モータ(図示しない)を制御する。このX−Y−Zステージ30のX,Y,Z方向への駆動制御により、CCDカメラ40によって、検査用パレット20上に配置された複数の支持部120を個別に撮像することが可能である。又、外部装置70は、コントローラ50との間で、各種のデータ通信が可能である。外部装置70は、ステージ制御手段に相当する。
【0029】
さて、本実施形態の検査装置10の作用を説明する前に、製品である眼内レンズの製品検査項目と、部品である支持部について説明する。
図9に示すように、眼内レンズ100の全長Lは、光学部中心Oを通る線に沿って計測される、一対の支持部120を含めた長径である。この光学部中心Oは、基準点に相当するものである。又、支持部径Aは、支持部120の幅である。この全長Lと、支持部径Aが、本実施形態において、製品の検査項目に該当する。ここで、眼内レンズ100の全長Lの1/2が1/2全長となる。
【0030】
又、支持部120は、図9に示すように、曲線部122と、該曲線部122に一体に形成された直線部124とを備えている。図3においては、支持部120の光学部110に対して組み付けする前の支持部120単体を示している。図3に示す支持部120の直線部124の取付端124aは、光学部110に対して、埋め込みされる部分となる。図3において、Aは、図9で説明した支持部径、λは、図4の後述するS500の仮想1/2全長λ算出において、算出された仮想光学部中心Ovから、支持部120単体の最遠点までの距離とし、仮想1/2全長と定義する。すなわち、仮想1/2全長は製品の1/2全長に相当する長さである。Rkは、該曲線部122の曲率半径である。なお、曲率半径は、曲率半径中心Okから、曲線部122の外周又は内周のいずれのものであってもよい。本実施形態では、曲率半径中心Okから曲線部122の内周までを曲率半径として検出する。又、曲線部122のことを説明の便宜上、支持部円弧ということがある。図中、Okは曲率半径中心を示す。又、Dは支持部円弧幅であり、該曲線部122の自由端122aから直線部124までの、直線部124に沿った方向と直交する方向成分距離である。
【0031】
さて、上記のように構成された検査装置10の作用について説明する。
前記支持部120の形状検査を行う場合、検査員は、検査装置10の検査用パレット20上に、複数個の支持部120を升目20a内にそれぞれ位置するように載置する。すなわち、支持部120は、升目20aを横切らないように載置されることが望ましい。
【0032】
そして、コントローラ50からの制御により、照明装置26にて検査用パレット20を照明した状態で、CCDカメラ40にて、検査用パレット20を撮像する。そして、この場合、画像処理部50aは、まず、撮像して得られた画像に基づいて升目20aの位置を検出し、次に1つの升目20aの内部のみを計測対象とするマスク領域(すなわち、計測処理対象領域)を設定する。そして、画像処理部50aは、該マスク領域内において、下記で説明するフローチャートの順序に従って処理を行う。
【0033】
図4は、CCDカメラ40から入力した画像データに基づいて画像処理部50aが行う画像処理のフローチャートであり、撮像された支持部120毎に行われる。図4に示すように、S100の表裏判別、S200の支持部円弧の曲率半径Cの算出、S300の支持部円弧幅Dの算出、S400の支持部径Aの算出、S500の仮想1/2全長λの算出の各処理が画像処理部50aにより行われる。
【0034】
(表裏判別)
表裏判別処理を図5及び、図6を参照して説明する。図5はS100の表裏判別処理であるサブルーチンの詳細を示すフローチャートである。図6(a)〜(g)は、画像データの処理を説明するためのものである。各図において、図示されているのは、支持部120の画像であるが、説明の便宜上、この画像において、支持部120及び支持部120の各構成に対応する部分には、支持部120及び各構成に付した符号と同じ符号を付す。なお、CCDカメラ40から入力した画像データは、コントローラ50が備える外部記憶装置や、メモリ等の内部記憶装置(ともに図示しない)に一旦格納される。
【0035】
画像処理部50aは、S102において、図6(a)に示すように入力した画像データを2値化し(図6(b)参照)、S104において、2値化画像に基づいて、支持部120の重心Ogと、主軸角θ1を算出する。主軸角θ1は、重心Ogから図6(c)において左方(反X方向)へ延びた直線m1と、重心Ogから図6(c)において、支持部120の両端面のうち一方の端面の内周側エッジを通過する直線m2間の角度である。画像処理部50aは、前記直線m1,m2を生成することによって主軸角θ1を算出する。
【0036】
なお、直線m1は、画像処理プログラムに基づいて予め設定されたXY直交座標のX軸に平行な直線(なお、この直線は図6(d)では図示していない)に平行な直線であって、重心Ogを通る直線として算出される。図6(b)、(c)では、2値化画像を示すために支持部120の画像にはハッチングを付している。
【0037】
次に、画像処理部50aは、S106において、S102,S104で使用した2値化画像ではなく、2値化する前の支持部120の画像データを前記メモリ等の記憶装置(図示しない)から読み出して、支持部の位置検出を行う。すなわち、直線m2に対して垂直方向で支持部120の位置を検出する。ここで、検出した支持部120の内周のエッジ部位を点P1とする(図6(d)参照)。この点P1を有する支持部120の部位は所定部位に相当する。
【0038】
次のS108では、画像処理部50aは、点P1を基に支持部円弧の曲率半径Rk及び曲率半径中心Okを算出する。具体的には、画像処理部50aは図6(e)に示すように点P1から等距離に位置する支持部120内周のエッジ部位を点P2、点P3として算出する。次に、画像処理部50aは、点P1,点P2,点P3を共に通過する曲線の曲率半径Rkを算出する。なお、3つの点を通過する曲線の曲率半径の求め方は公知であるので、説明を省略する。
【0039】
S110では、画像処理部50aは支持部120両端外周のエッジ部位である端点T1,端点T2を検出する(図6(f)参照)。すなわち、画像処理部50aは端点T1及び端点T2の位置を算出する。S112では、画像処理部50aは、端点T1,端点T2と曲率半径中心Okの距離K1、距離K2を算出する(図6(f)参照)。
【0040】
S114では、画像処理部50aは、距離K1<曲率半径Rkであって、距離K2<曲率半径Rkであるか否かを判定する。画像処理部50aは、距離K1<曲率半径Rkであって、距離K2<曲率半径Rkである場合は、支持部120が形状異常であると判定して、コントローラ50にその結果を出力し、このフローチャートを抜け出す。コントローラ50は、画像処理部50aの判定結果に基づいてモニタ60に形状異常である旨を表示する。一方、画像処理部50aは、距離K1<曲率半径Rkであって、距離K2<曲率半径Rkの判定条件を満足していない場合には、S116に移行する。
【0041】
S116では、画像処理部50aは、距離K1>距離K2か否かを判定する。画像処理部50aは、距離K1>距離K2である場合には、S134において、直線部124の端部(すなわち、取付端124a)の端点が、端点T1であると判定し、S120に移行する。一方、距離K1>距離K2でない場合には、S118において、直線部124の端部(すなわち、取付端124a)の端点が、端点T2であると判定し、S120に移行する。
【0042】
S120では、画像処理部50aは角度α1の算出を行う。ここで角度α1は、重心Ogから図6(g)において右方(X方向)へ延びた直線m3と、重心Ogから点P1を通る直線m4間の角度であって、直線m3から反時計回り方向に測定した角度である。なお、この角度α1は0〜360°表記で計算される。なお、直線m3は、画像処理プログラムに基づいて予め設定されたXY直交座標のX軸に平行な直線(この直線は図6(g)では図示していない)に平行な直線であって、重心Ogを通る直線として算出される。直線m3は角度測定基準線に相当する。直線m4は第1直線に相当する。角度α1は第1角度に相当する。
【0043】
次に、S122では、画像処理部50aは、角度α2の算出を行う。ここで、角度α2は、直線m3を基準とし、S134又はS118において、直線部124の端点として設定された直線部端点(すなわち、T1又はT2)と、重心Ogを通る直線m5間の角度であって、直線m3から反時計回り方向に測定した角度である。なお、本実施形態では、説明の便宜上、図6(g)では、直線部124の端点は端点T2で示されている。なお、この角度α2は0〜360°表記で計算される。直線m5は第2直線に相当する。角度α2は第2角度に相当する。
【0044】
次のS124では、画像処理部50aは、角度α1と、角度α2の差である角度α3を算出する。S126では、画像処理部50aは、角度α3が、180°を超えているか否かを判定し、角度α3が180°を超えていると判定した場合には、S136において、角度α3から360°を減算した値を、新たな角度α3とし、S128に移行する。又、S126において、画像処理部50aは、角度α3が180°以下と判定した場合には、S128に移行する。
【0045】
S128では、画像処理部50aは、角度α3が、−180°未満であるか否かを判定し、角度α3が、−180°未満であると判定した場合には、S138において、角度α3に対して360°を加算した値を、新たな角度α3とし、S130に移行する。又、S128において、画像処理部50aは、角度α3が−180°以上と判定した場合には、S130に移行する。
【0046】
このように、画像処理部50aは、S124で算出した、角度α3が、既に−180°≦α3≦180°となっている場合には、S126,S128の判定を「NO」として、S130に移行する。又、角度α3が、180°を超えている場合や、逆に−180°よりも小さい場合には、S136やS138の処理により、−180°≦α3≦180°にして、S130に移行するのである。
【0047】
S130では、画像処理部50aは、角度α3が0°よりも大きいか否かを判定し、角度α3が0°よりも大きいと判定した場合には、S140において、支持部120は、表であると判定し、その判定結果をコントローラ50に出力して、このフローチャートを終了する。又、S130で、画像処理部50aは、角度α3が0°以下であると判定した場合には、S132において、支持部120が裏であると判定し、その判定結果をコントローラ50に出力して、このフローチャートを終了する。このようにして、角度α1から、角度α2の差である角度α3の大きさに応じて、支持部120の表裏が決定される。そして、コントローラ50は、画像処理部50aが判定した判定結果に基づいて、モニタ60にその支持部120の判定結果を出力する。
【0048】
次に、再び、図4のフローチャートに戻り、S200では、画像処理部50aは、支持部円弧の曲率半径C及び曲率半径中心Ocの算出を行う。具体的には、画像処理部50aは前記算出した端点T1の近傍の内周側のエッジの部位である点P4と,前記点P2,及び点P3の3つの点に基づいて、曲率半径C及び曲率半径中心Ocの算出を行う(図6(h)参照)。3つの点を通過する曲線の曲率半径の求め方は公知であるので、説明を省略する。
【0049】
なお、S108において、曲率半径Rkを別途算出している理由は下記の通りである。S108で求めた曲率半径Rkは、表裏判別を行うために使用するためのものであって、算出した曲率半径Rkはそれほど精度が要求されておらず、表裏判別には支障がないためである。S200で算出する曲率半径Cは、より測定精度を上げるために、点P1の代わりに、点P4を使用して、3つの点の間隔を大きくしている。このように3つの点の間隔を大きくすると、間隔が小さい場合よりも、円弧の形状をより正しく算出でき、かつ測定精度を向上することができる。
【0050】
次に、S300では、画像処理部50aは、支持部円弧幅Dの算出を行う。この支持部円弧幅Dは、支持部120の形状を示す画像に基づいて、曲線部122における自由端122a外周のエッジ部位から直線部124外周のエッジ部位までの、直線部124に沿った方向と直交する方向成分距離を測定することにより、得られる。
【0051】
S400では、画像処理部50aは、支持部径Aの算出を行う、支持部径は、支持部120の形状を示す画像に基づいて、算出される。
次に仮想1/2全長λの算出を、図7及び図8を参照して説明する。まず、S502において、画像処理部50aは、支持部120の画像データに基づき、直線部124に対して垂直方向の箇所で、両端のエッジの検出を行い、続いて、両エッジ間の中点U1を算出する(図8(a)参照)。なお、画像処理部50aの直線部124の検知は、前述したS134、又は,S118において、直線部124の端点が設定された結果に基づいて、行われている。
【0052】
S504においては、中点U1と同様に、画像処理部50aは、支持部120の画像データに基づき、直線部124に対して垂直方向の箇所で、両端のエッジの検出を行い、続いて、両エッジ間の中点U2を算出する(図8(a)参照)。続く、S506においては、画像処理部50aは、中点U1,U2を通過する或いは、最も近い直線nを算出する(図8(a)参照)。直線nは、基準直線に相当する。
【0053】
次に、S508では、画像処理部50aは、直線nと支持部120の直線部124側の端面との交点C1を算出する(図8(b)参照)。交点C1は、特定部位及び第1交点に相当する。S510では、画像処理部50aは、交点C1を中心として、交点C1から光学部中心O(すなわち、実光学部中心)までのY成分距離を半径とする円E1を算出する(図8(c)参照)。円E1は、第1円に相当する。なお、交点C1から光学部中心OまでのY成分距離Lyは、設定値として予め記憶装置(図示しない)に格納されている。又、後述するX成分距離Lxも同様に設定値として予め記憶装置(図示しない)に格納されている。
【0054】
なお、Y成分距離Lyとは、前記XY直交座標において、支持部120の直線部124をY軸に平行に配置した場合の、交点C1から光学部中心Oまでの距離のうち、Y軸に投射された成分である。又、X成分距離Lxとは、XY直交座標において、支持部120の直線部124をY軸に平行に配置した場合の、交点C1から光学部中心Oまでの距離のうち、X軸に投射された成分である。
【0055】
次に、S512では、画像処理部50aは、円E1と直線nで光学部中心に近い側の交点C2を算出する(図8(c)参照)。交点C2は第2交点に相当する。続いて、S514では、画像処理部50aは、円E1上の交点C2を通る接線TLを算出する(図8(c)参照)。続く、S516では、画像処理部50aは、交点C2を中心として、交点C1から光学部中心OまでX成分距離Lxを半径とする円E2を算出する(図8(d)参照)。
【0056】
次に、S518では、画像処理部50aは、円E2と、接線TLの2つの交点のうち、光学部中心Oに近い側の交点を仮想光学部中心Ovとして算出する。仮想光学部中心Ovは仮想点に相当する。このように仮想点を算出する画像処理部50aは、算出手段に相当する。続く、S520では、画像処理部50aは、仮想光学部中心Ovを基準に支持部120外周側のエッジ検出を行うようにして走査し、その最遠の距離となる最遠点Ptを検出する(図8(e)参照)。なお、図3及び図8(d),(e)において、110Vは、仮想光学部を示している。次に、S522では、画像処理部50aは、仮想光学部中心Ovと最遠点Ptの距離を算出し、その結果を仮想1/2全長λとする。すなわち、仮想1/2全長λの算出により製品である眼内レンズ100の全長Lの1/2に相当する距離として計測されたことになる。このように仮想1/2全長λを測定する画像処理部50aは、測定手段に相当する。
【0057】
このようにして、S502〜S522の処理が終了すると、画像処理部50aはこのフローチャートを一旦終了し、前述のように算出した、支持部円弧の曲率半径C、支持部円弧幅D、支持部径A、及び仮想1/2全長λの算出結果(すなわち、計測結果)を、コントローラ50に出力する。コントローラ50は、外部装置70にその結果を出力する。
【0058】
外部装置70は、画像処理部50aから、算出結果の入力を受けて、それらの算出結果の適否判定、すなわち、検査を行う。この適否判定は、外部装置70が備える図示しない記憶装置に格納され、予め設定された判定値と比較することにより行われる。すなわち、支持部円弧の曲率半径C、支持部円弧幅D、支持部径A、及び仮想1/2全長λに対して、それぞれ基準となる判定値が用意されている。
【0059】
支持部円弧の曲率半径Cについては、Cs1<C<Cs2を満足すれば、外部装置70により適と判定され、そうでなければ、不適判定がなされる。ここでCs1,Cs2は、支持部円弧の曲率半径C用の判定値である。又、支持部円弧幅Dについては、Ds1<D<Ds2を満足すれば、外部装置70により適と判定され、そうでなければ、不適判定がなされる。ここでDs1,Ds2は、支持部円弧幅用の判定値である。又、支持部径Aについては、As1<A<As2を満足すれば、外部装置70により適と判定され、そうでなければ、不適判定がなされる。ここでAs1,As2は、支持部径A用の判定値である。又、仮想1/2全長λについては、λs1<λ<λs2を満足すれば、適と判定され、そうでなければ、外部装置70により不適判定がなされる。ここでλs1,λs2は、仮想1/2全長λ用の判定値であり、1/2全長に基づいて予め設定された値である。このように、外部装置70、検査手段に相当する。この適不適判定の結果、すなわち検査結果は、外部装置70からコントローラ50に出力されて、コントローラ50により、モニタ60に表示されることにより、検査員に知らせる。
【0060】
さて、上記のように構成された検査装置10の効果を述べる。
(1) 本実施形態では、光学部中心Oの代わりとなる仮想光学部中心Ovを算出し、製品検査と同項目である全長測定に関し、仮想光学部中心Ovを基準として支持部120の部品形状に基づいて仮想1/2全長λ測定を行い、該測定結果の適否判定を行うようにしている。このため、部品である支持部120の形状計測を行うことによって、部品を組み付けする前に、製品検査と同項目の検査が行える。この結果、支持部120の部品形状の計測で眼内レンズ100の不良判別を可能にし、従来の部品単体だけで支持部の不良を判別する方法よりも、有意に眼内レンズの不良判別を行うことができる効果がある。
【0061】
(2) 本実施形態では、支持部120の直線部124の特定部位である点(すなわち、交点C1)と、光学部中心Oとの幾何学的関係に基づいて、仮想光学部中心Ov(仮想点)を算出するようにしている。この結果、上記(1)の効果を容易に実現することができる。
【0062】
(3) 本実施形態では、交点C1と、光学部中心Oとの幾何学的関係に基づく仮想光学部中心Ov(仮想点)の算出は、まず、直線部124上において、該直線部124と平行に直線n(基準直線)を算出している。次に、直線nと直線部124の取付端124a端面とが交わる部分である端点を交点C1とし、続いて、交点C1と光学部中心Oまでの、直線nに沿った方向成分のY成分距離Lyを半径とする円E1を算出するようにしている。更に、円E1と直線nとの交点の中で、光学部中心Oに近い側の交点C2を算出し、円E1上の交点C2を通る接線TLを算出するようにしている。更に、交点C2を中心として、交点C1から光学部中心Oまでの、直線nに沿った方向成分とは直交するX成分距離Lxを半径とする円E2を算出し、円E2と接線TLが交わる交点の中で、光学部中心Oに近い側の交点を仮想光学部中心Ovとするようにしている。
【0063】
この結果、上記の順序で仮想光学部中心Ovの算出を行うことにより、(2)の効果を容易に実現することができる。
(4) 本実施形態では、仮想光学部中心Ovを基準として支持部120の形状に基づいて行う、眼内レンズの検査と同項目の検査となる仮想1/2全長λの検査では、仮想光学部中心Ovから、支持部120のうち最遠の距離を有する最遠点Ptを検出し、最遠点Ptと仮想光学部中心Ovとの距離を計測するようにしている。
【0064】
この結果、前記実施形態では、支持部120に形状計測に基づいて、眼内レンズの仮想1/2全長λが計測されることにより、眼内レンズの全長Lの計測と実質的に同項目として検査できるため、眼内レンズの不良判別を可能にし、従来の部品単体だけで支持部の不良を判別する方法よりも、有意に眼内レンズの不良判別を行うことができる。
【0065】
(5) 本実施形態では、支持部120の表裏の判定を行うようにした。この結果、支持部120の表裏判定が行われるため、支持部120を光学部110に対して取付する際のミスを回避できる。又、測定時の基準点を算出する際には、表裏判定は不可欠である。
【0066】
(6) 本実施形態では、支持部120の形状に関する特徴の検査を行うようにしたため、支持部120の形状に関する特徴も得ることができる。
(7) 本実施形態では、仮想光学部中心Ovを基準として眼内レンズの検査と同項目の検査、及び支持部120の形状に関する特徴の検査を組み合わせて行なった。そして、支持部120が光学部110に取り付けられた状態を想定し、眼内レンズ100の検査項目のうち、支持部径Aと、全長Lの検査項目に相当する仮想1/2全長λを支持部120単体で行えるようにした。この結果、眼内レンズ100の検査項目のうち、少なくとも1つの検査項目が前記支持部のみで行うことができる。
【0067】
(8) 本実施形態では、支持部120の径(支持部径A)、支持部径Aの曲線部122の曲率半径C、及び自由端122aから直線部124までの、直線部124に沿った方向と直交する方向成分距離である支持部円弧幅Dについて得ることができる。又、曲率半径の算出において、点P2、点P3、点P4の検出部位は、支持部円弧の外周エッジ、内周エッジのどちらでも良い。これは、検出精度に影響しないためである。
【0068】
(9) 本実施形態では、支持部120の重心Ogと、支持部120の直線部124側の端点T2の位置とを支持部120の形状に基づいて算出し、支持部120の重心Ogと、支持部120の所定部位に属する点P1と、支持部120の直線部124側の端点T2の位置関係に基づいて、前記支持部の表裏の判定を行うようにした。この結果、支持部120の表裏判定を容易に実現することができる。
【0069】
(10) 本実施形態では、さらに、支持部120の重心Ogと、支持部120の曲線部122の曲率半径中心Okとを、支持部120の形状に基づいて算出するようにした。そして、曲率半径中心Okと、支持部120の両端のそれぞれの距離を比較して、支持部120の直線部124側の端部を決定するようにした。又、重心Ogを通る直線m3(角度測定基準線)と、支持部120の所定部位に属する点P1と重心Ogを共に通る直線m4(第1直線)とがなす角度α1(第1角度)を算出するようした。更に、直線m3と、支持部120の直線部124側の端部と重心Ogを共に通る直線m5(第2直線)とがなす角度α2(第2角度)とを算出するようにした。そして、角度α1と、角度α2との差分、すなわち、角度α3に基づいて、支持部120の表裏の判定を行うようにした。
【0070】
この結果、支持部120の表裏判定を容易に実現することができる。なお、端点の検出部位は、外周エッジ、内周エッジのどちらでも良い。これは、表裏判定に影響しないためである。
【0071】
(11) 本実施形態の検査装置10は、支持部120の形状の測定は、支持部120の形状の画像により簡単に行うことができ、このため、目視検査を行う必要がなくなる。このため、人為的な誤差をなくすることができ、しかも、検査に時間を要することがなく、精度の高い定量的な検査もできる。
【0072】
(12) 本実施形態の検査装置10は、CCDカメラ40を検査用パレット20上において3次元的に移動可能に支持するX−Y−Zステージ30とを備え、検査用パレット20上の複数の支持部120をCCDカメラ40にて順次撮像可能にX−Y−Zステージ30を駆動制御する外部装置70を備える。この結果、CCDカメラ40にて順次撮像できるため、撮像された支持部120の形状測定を順次行い、検査を行うことができる。
【0073】
(13) 本実施形態では、検査用パレット20は、透明体から形成され、透明体に升目20aが形成されていることにより、支持部120を検査用パレットに載置して撮像した際の指標にすることができる。すなわち、画像処理時において、升目20aに基づいて該升目を単位としたマスク領域を容易に形成することができる。又、本実施形態では、CCDカメラ40をX−Y−Zステージ30にて移動する際に、この升目20aを指標にして移動させることもでき、各升目20a内にの支持部120の連続的な計測も可能となる。
【0074】
(14) 本実施形態では、升目20aは、検査用パレット20の内部に設けられているため、検査用パレット20の表面や裏面に設けられている場合に比較して、升目20aの消失や、欠けが発生しない効果がある。
【0075】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、下記の通りに構成してもよい。
・ 前記特定部位としては、交点C1に限定するものではなく、例えば、交点C1から基準直線上において、所定距離オフセットして配置した点であってもよい。
【0076】
・ 検査用パレット20の材質は、好ましくは、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、又は、エポキシ樹脂等の透明、又は半透明の合成樹脂であってもよく、より好ましくはソーダガラスである。
【0077】
・ CCDカメラ40では、イメージセンサである固体撮像デバイスとして、CCDを使用しているが、撮像手段としてCMOSを使用してもよく、或いは撮像管等を使用してもよい。
【0078】
・ 前記実施形態では、支持部のみの検査で、製品検査と同項目の検査である「支持部径A」と、全長Lの検査項目に相当する「仮想1/2全長λ」の両方の計測及び検査を行ったが、支持部径Aの測定検査を省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明を具体化した一実施形態の検査装置の全体概略図。
【図2】(a)は検査用パレット20の平面図、(b)は検査用パレット20の断面図。
【図3】支持部の検査項目の説明図。
【図4】画像処理を示すフローチャート。
【図5】表裏判別を示すフローチャート。
【図6】(a)〜(h)は支持部を表裏判別する場合の説明図。
【図7】仮想1/2全長λ算出のフローチャート。
【図8】(a)〜(e)は支持部の仮想1/2全長λを算出する場合の説明図。
【図9】眼内レンズの平面図。
【符号の説明】
【0080】
10…検査装置
20…検査用パレット
30…X−Y−Zステージ(ステージ手段)
40…CCDカメラ(撮像手段)
50…コントローラ
50a…画像処理部(算出手段、測定手段)
70…外部装置(検査手段、ステージ制御手段)
O…光学部中心(基準点)
Ov…仮想光学部中心(仮想点)
n…直線(基準直線)
C1…交点(特定部位、第1交点)
C2…交点(第2交点)
E1…円(第1円)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品形状を撮像し、
該部品形状と、製品検査において基準となる基準点との幾何学的関係に基づき前記基準点の代わりとなる仮想点を算出し、
前記製品検査と同項目の検査を、該仮想点を基準として前記部品形状に基づいて行うことを特徴とする部品の形状計測方法。
【請求項2】
前記製品検査は、光学部と該光学部に取着された部品としての支持部とを含む眼内レンズの検査であり、前記部品形状が支持部の形状であることを特徴とする請求項1に記載の部品の形状計測方法。
【請求項3】
前記支持部は、前記光学部に取着される取付端を有する直線部と、前記直線部と一体形成されるとともに自由端を備える曲線部を有し、
前記眼内レンズの検査において基準となる基準点は、前記光学部の中心(以下、光学部中心という)とし、
前記幾何学的関係が、前記直線部の特定部位と、前記光学部中心との関係であり、該幾何学的関係に基づいて、前記仮想点としての仮想光学部中心を算出することを特徴とする請求項2に記載の部品の形状計測方法。
【請求項4】
前記幾何学的関係に基づく仮想点の算出は、
(1) 前記直線部上において、該直線部と平行に基準直線を算出し、
(2) 前記基準直線と前記直線部の取付端端面とが交わる部分を特定部位としての第1交点とし
、第1交点と前記光学部中心までの、前記基準直線に沿った方向成分の距離を半径とする第1円を算出し、
(3) 前記第1円と前記基準直線との交点の中で、前記光学部中心に近い側の第2交点を算出し、
(4) 第1円上の第2交点を通る接線を算出し、
(5) 前記第2交点を中心として、前記第1交点から光学部中心までの、前記基準直線に沿った方向成分とは直交する方向成分の距離を半径とする第2円を算出し、
(6) 第2円と前記接線が交わる交点中、前記接線の前記光学部中心に近い側の交点を仮想点とする
ことにより、行うことを特徴とする請求項3に記載の部品の形状計測方法。
【請求項5】
前記仮想点を基準として前記部品形状に基づいて行う、眼内レンズの検査と同項目の検査は、
前記仮想点から、前記支持部のうち最遠の距離を有する最遠点を検出し、該最遠点と仮想点との距離を計測することにより、眼内レンズの1/2全長に相当する距離を計測するものであることを特徴とする請求項3又は至請求項4に記載の部品の形状計測方法。
【請求項6】
前記仮想点を基準として前記部品形状に基づいて行う、眼内レンズの検査と同項目の検査、前記支持部の表裏の判定、及び、前記支持部の形状に関する特徴の検査を組み合わせて行ない、
前記支持部が前記光学部に取り付けられた状態を想定し、眼内レンズの検査項目のうち、少なくとも1つの検査項目が前記支持部のみで行えることを特徴とする請求項3乃至等請求項5のうちいずれか1項に記載の部品の形状計測方法。
【請求項7】
前記支持部の形状に関する特徴は、該支持部の径、該支持部の曲線部の曲率半径、及び前記自由端から前記直線部までの、該直線部に沿った方向と直交する方向成分距離である支持部円弧幅のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項6に記載の部品の形状計測方法。
【請求項8】
前記支持部の重心と、該支持部の直線部側の端部の位置とを支持部の形状に基づいて算出し、
前記支持部の重心と、前記支持部の端部を除く所定部位に属する点と、該支持部の直線部側の端部の位置関係に基づいて、前記支持部の表裏の判定を行うことを特徴とする請求項6に記載の部品の形状計測方法。
【請求項9】
前記支持部の重心と、前記支持部の曲線部の曲率半径中心とを、前記支持部の形状に基づいて算出し、
該曲率半径中心と、前記支持部の両端のそれぞれの距離を比較して、該支持部の直線部側の端部を決定し、
前記重心を通る角度測定基準線と、前記支持部の端部を除く所定部位に属する点と前記重心を共に通る第1直線とがなす第1角度と、前記重心を通る角度測定基準線と、前記支持部の前記直線部側の端部と前記重心を共に通る第2直線とがなす第2角度とを算出し、
前記第1角度と第2角度との差分に基づいて、
前記支持部の表裏の判定を行うことを特徴とする請求項6に記載の部品の形状計測方法。
【請求項10】
部品形状を撮像する撮像手段と、
製品検査において基準となる基準点と、前記撮像手段により得られた前記部品形状の幾何学的関係に基づき前記基準点の代わりとなる仮想点を算出する算出手段と、
製品検査と同項目の検査に関し、該仮想点を基準として前記部品形状に基づいて測定を行う測定手段と、
前記測定手段の測定結果の適否判定を行う検査手段を備えたことを特徴とする部品の形状計測装置。
【請求項11】
前記部品を複数個載置可能な検査用パレットと、
前記検査用パレットを照射可能な照明手段と、
前記撮像手段を前記検査用パレット上において3次元的に移動可能に支持するステージ手段とを備え、
前記検査用パレット上の複数の部品を前記撮像手段にて順次撮像可能に前記ステージ手段を駆動制御するステージ制御手段とを備えたことを特徴とする請求項10に記載の部品の形状計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−71637(P2007−71637A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257771(P2005−257771)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】