説明

部品実装基板生産装置、および、三次元形状測定装置

【課題】高精度かつ高速に測定対象物の三次元形状を測定する部品実装基板生産装置および三次元形状測定装置を提供する。
【解決手段】部品実装装置であって、撮像部であるカメラ200と、輝度変化光を発する発光部130と、測定対象物の表面における輝度変化光の輝度分布を相対的に第二方向に移動させるヘッド100と、測定対象物との間の距離が維持されるように配置された基準面部113と、基準面部の基準面部位の少なくとも3点の輝度変化光を撮像した結果である基準面データおよび対象物データを取得するデータ取得部160と、基準面部における光の輝度分布と基準輝度分布との位相差から、基準面部の所定の位置からの第三方向におけるずれ量を算出するずれ量算出部170と、ずれ量を用いて測定部位における光の輝度値を補正する補正部180と、補正された輝度値を用い、位相シフト法に用いられる波形を作成する波形作成部190とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品等の物体の形状を三次元的に測定する三次元形状測定装置、およびその測定結果を用いて部品実装基板を生産する部品実装基板生産装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品が実装された実装基板を生産するための実装基板生産システムは、基板に部品を実装する部品実装装置、および、基板に実装された部品を検査する検査装置などの各種の実装基板生産装置を備えている。
【0003】
例えば、部品実装装置では、部品の実装精度を向上するために、部品を実装する前に、ノズルに吸着された状態における部品の形状を測定する。部品実装装置は、その測定結果を用いて、例えば、当該部品の基板へ装着時の当該ノズルの下降距離の補正を行う。これにより、当該部品は、精度良くかつ確実に当該基板に装着される。
【0004】
つまり、部品実装装置等の部品実装基板生産装置において、精度良く部品実装基板を生産するためには、これらの部品の形状の測定を精度良く行う必要がある。
【0005】
そこで、第一の従来技術として、互いに位相が異なる複数の正弦波縞パターン光を物体に投影し、当該物体をカメラで撮像して、当該物体の形状測定を行う位相シフト法が提案されている(例えば、特許文献1および2、非特許文献1参照。)。
【0006】
位相シフト法では、輝度変化を正弦波で表すことのできる正弦波縞パターン光を、正弦波の位相をずらしながら複数回物体に投影し、位相をずらした正弦波縞パターン光が投影されるごとに物体を撮像する。
【0007】
このようにして撮像された複数枚の物体の画像データから、座標ごとに、物体が存在しない場合に観測されるだろう輝度の変化パターンが示す正弦波と、実際に観測された物体の画像データにおける輝度の変化パターンが示す正弦波との位相のずれを算出する。座標ごとに算出された位相のずれ量から、物体の形状が測定される。
【0008】
また、第二の従来技術として、基準面上において、物体移動方向の垂直方向に対し所定角度傾いた正弦波縞パターン光が投影された基準面上を、物体を移動させながら複数のラインセンサからなる撮像部で物体を撮像することにより、物体の形状を測定する位相シフト法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3921547号公報
【特許文献2】特開2002−257528号公報
【特許文献3】特許第3629532号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】三高、濱田、「位相シフト法による高速高精度3次元計測技術」、パナソニック電工技報、パナソニック電工株式会社、2002年8月、P.10−15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、第一の従来技術では、物体の形状を測定するために、正弦波縞パターン光を正弦波の位相をずらしながら、複数回、物体の全体を一括して撮像処理(撮像およびデータ転送)しなければならない。これは、物体の画像データにおける輝度の変化パターンが示す正弦波を推定するためには、複数の輝度が必要とされるためである。このため、この方法では、物体の形状を測定するために時間を要するという課題がある。
【0012】
特に、部品実装装置では、ノズルに吸着された部品を高速移動中に、当該部品の形状を測定する必要がある。このため、物体の形状を測定するために長時間を要する第一の従来技術に係る位相シフト法を利用して物体の形状を測定することは困難である。
【0013】
また、第二の従来技術では、物体を移動させながら物体の形状を測定することができる。しかし、特許文献3に記載の方法では、正弦波縞パターン光の輝度の変化方向と複数のラインセンサの並び方向とが異なる。
【0014】
このため、形状の測定処理の前に行う撮像部と正弦波縞パターン光を投影する投影部との位置調整が困難であるという課題がある。つまり、位置調整においては、物体が存在しない基準面上に正弦波縞パターン光を投影し、基準面を撮像部で撮像する。撮像により得られる画像データが所望のパターンとなるように撮像部又は投影部の位置を変化させることにより位置調整を行う。このような位置調整においては、撮像部又は投影部の位置を少し変化させただけで、各ラインセンサ上の複数の画素の輝度が変化してしまう。よって、撮像部と投影部との位置調整が煩雑で困難である。
【0015】
さらに、物体を移動させながら当該物体を撮像するため、物体を移動させる機器の振動等の影響により、物体の形状測定の精度を維持または向上させることが困難であるという課題もある。
【0016】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、位相シフト法を採用しつつ測定時の振動等の影響を排除し、高精度かつ高速に測定対象物の三次元形状を測定することのできる部品実装基板生産装置および三次元形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る部品実装基板生産装置は、部品が実装された部品実装基板を生産するための部品実装基板生産装置であって、第一方向と前記第一方向に交差する第二方向とに撮像のための画素が行列状に配置される撮像部と、前記撮像部の撮像領域において前記第一方向に沿って輝度が揃い、かつ、前記第二方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する光である輝度変化光を発する発光部と、前記輝度変化光における輝度の周期を維持しつつ、測定対象物の表面における前記輝度変化光の輝度分布を、前記測定対象物に対して相対的に前記第二方向に移動させる移動部と、前記第一方向および前記第二方向の双方に交差する第三方向における前記測定対象物との間の距離が維持されるように配置された基準面部と、(a)前記測定対象物の一部である測定部位を前記撮像部が順次撮像した結果である対象物データ、および、(b)前記測定対象物の前記一部である測定部位が撮像されるそれぞれの撮像のタイミングで、前記基準面部における前記第二方向に互いに離れた位置にある基準面部位の少なくとも3点の前記輝度変化光を前記撮像部が撮像した結果である基準面データを取得するデータ取得部と、(c)前記基準面データから求められる前記撮像のタイミングの前記基準面部における前記輝度変化光の輝度分布と、(d)前記基準面部が、前記第三方向におけるずれが無いとした際に前記第三方向の所定の位置に存在すると仮定した場合の前記基準面部における前記輝度変化光の輝度分布との位相差から、それぞれの前記撮像のタイミングにおける前記基準面部の、前記第三方向のずれが無いとした場合の前記所定の位置からの前記第三方向におけるずれ量を算出するずれ量算出部と、前記ずれ量算出部により算出されたずれ量を用いて、前記対象物データに示される前記測定対象物の前記測定部位における光の輝度値を補正する補正部と、前記補正部により補正された輝度値を用い、位相シフト法による前記測定対象物の前記測定部位の前記第三方向の位置の算出に用いられる波形であって、前記測定対象物の前記測定部位に対応する波形を作成する波形作成部とを備える。
【0018】
この構成によれば、部品などの測定対象物の表面における光の輝度分布を当該測定対象物に対して相対的に移動させながら、位相シフト法による、当該測定対象物の三次元形状(具体的には、測定対象物の表面の各部分の第三方向(Z軸方向)の位置)の測定が実行される。
【0019】
また、この測定の際に、測定対象物との間の第三方向における距離が維持された基準面部の、第三方向における基準位置からのずれ量が求められる。さらに、対象物データに示される測定対象物の一部における光の輝度値が当該ずれ量によって補正される。
【0020】
このようにして補正された輝度値は、上記位相シフト法による測定対象物の三次元形状の算出に用いられる。すなわち、本態様の部品実装基板生産装置によれば、位相シフト法による測定対象物の三次元形状の算出のための複数の測定タイミングのそれぞれにおける、当該測定対象物の第三方向のずれ量を取得することが可能となる。つまり、これら測定結果を、当該複数の測定タイミングにおける測定結果にフィードバックすることができ、その結果、測定対象物の三次元形状を精度よく求めることができる。
【0021】
さらに、当該測定対象物の第三方向のずれ量の取得には、測定対象物を撮像するカメラが用いられるため、当該ずれ量を取得するための測距センサまたは加速度計等を別途用いる必要がない。
【0022】
また、当該測定対象物の第三方向のずれ量の取得のために基準面部に照射される光として、測定対象物の三次元形状の特定のための輝度変化光を利用できるため、基準面部に光を照射する装置を別途用意する必要もない。
【0023】
このように、本態様の部品実装基板生産装置によれば、位相シフト法を採用しつつ測定時の振動等の影響を排除し、高精度かつ高速に測定対象物の三次元形状を測定することができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係る部品実装基板生産装置において、前記データ取得部は、前記基準面部における前記第二方向の連続した領域であって、前記輝度変化光における輝度の半周期分の長さより長い連続した領域から、前記撮像部が撮像した結果である前記基準面データを取得し、前記ずれ量算出部は、前記基準面データに示される前記連続した領域における複数の輝度値を、輝度軸と前記第二方向の軸とにより形成される2次元平面にプロットすることで、前記撮像のタイミングの前記基準面部における光の輝度分布を求めるとしてもよい。
【0025】
この構成によれば、例えば、基準面データに示される複数の輝度値をプロットしていくだけで、基準面における光の輝度分布を示す曲線または直線を特定することができる。つまり、測定対象物の第三方向のずれ量の算出処理を容易化することができる。
【0026】
また、本発明の一態様に係る部品実装基板生産装置において、前記発光部は、前記測定対象物に、前記輝度変化光を照射する第一発光部と、前記基準面部に、前記測定対象物に照射される前記輝度変化光と同一または異なる周期の前記輝度変化光を照射する第二発光部とを有するとしてもよい。
【0027】
この構成によれば、例えば、測定対象物および基準面部それぞれの特性等に応じた周期または輝度の変化態様の輝度変化光を測定対象物および基準面部に照射することができる。
【0028】
また、本発明の一態様に係る三次元形状計測装置は、第一方向と前記第一方向に交差する第二方向とに撮像のための画素が行列状に配置される撮像部と、前記撮像部の撮像領域において前記第一方向に沿って輝度が揃い、かつ、前記第二方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する光である輝度変化光を発する発光部と、前記輝度変化光における輝度の周期を維持しつつ、測定対象物の表面における前記輝度変化光の輝度分布を、前記測定対象物に対して相対的に前記第二方向に移動させる移動部と、前記第一方向および前記第二方向の双方に交差する第三方向における前記測定対象物との間の距離が維持されるように配置された基準面部と、(a)前記測定対象物の一部である測定部位を前記撮像部が順次撮像した結果である対象物データ、および、(b)前記測定対象物の前記一部である測定部位が撮像されるそれぞれの撮像のタイミングで、前記基準面部における前記第二方向に互いに離れた位置にある基準面部位の少なくとも3点の前記輝度変化光を前記撮像部が撮像した結果である基準面データを取得するデータ取得部と、(c)前記基準面データから求められる前記撮像のタイミングの前記基準面部における前記輝度変化光の輝度分布と、(d)前記基準面部が、前記第三方向におけるずれが無いとした際に前記第三方向の所定の位置に存在すると仮定した場合の前記基準面部における前記輝度変化光の輝度分布との位相差から、それぞれの前記撮像のタイミングにおける前記基準面部の、前記第三方向のずれが無いとした場合の前記所定の位置からの前記第三方向におけるずれ量を算出するずれ量算出部と、前記ずれ量算出部により算出されたずれ量を用いて、前記対象物データに示される前記測定対象物の前記測定部位における光の輝度値を補正する補正部と、前記補正部により補正された輝度値を用い、位相シフト法による前記測定対象物の前記測定部位の前記第三方向の位置の算出に用いられる波形であって、前記測定対象物の前記測定部位に対応する波形を作成する波形作成部とを備える。
【0029】
なお、本発明は、上記いずれかの態様に係る部品実装基板生産装置および三次元形状測定装置として実現することができるだけでなく、部品実装基板生産装置または三次元形状測定装置に含まれる特徴的な処理を含む部品実装基板生産方法および三次元形状測定方法として実現することもできる。
【0030】
また、部品実装基板生産方法または三次元形状測定方法に含まれる特徴的な処理を含む、コンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体およびインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができる。
【0031】
さらに、上記いずれかの態様に係る部品実装基板生産装置および三次元形状測定装置の特徴的な構成要素を含む集積回路として実現することもできる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、位相シフト法を採用しつつ測定時の振動等の影響を排除し、高精度かつ高速に測定対象物の三次元形状を測定する部品実装基板生産装置および三次元形状測定装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、実施の形態における部品実装装置の構成を示す外観図である。
【図2】図2は、実施の形態における部品実装装置の内部の主要な構成を示す平面図である。
【図3】図3は、実施の形態における三次元形状測定装置の構造的外観を模式的に示す図である。
【図4】図4は、実施の形態の三次元形状測定装置における輝度変化光の照射状態、および、カメラの撮像領域を模式的に示す側面図である。
【図5A】図5Aは、実施の形態におけるノズルの構成概要を示す側面図である。
【図5B】図5Bは、実施の形態におけるノズルの構成概要を示す下面図である。
【図6】図6は、実施の形態における三次元形状測定装置の機能構成を、機構的および構造的構成とともに示すブロック図である。
【図7A】図7Aは、第二基準面部の第三方向のずれに伴う、第二基準面部における光の輝度分布の変化を表す第一の模式図である。
【図7B】図7Bは、第二基準面部の第三方向のずれに伴う、第二基準面部における光の輝度分布の変化を表す第二の模式図である。
【図8A】図8Aは、第二基準面部の第三方向の移動の前後での、第二基準面部における光の輝度分布の位相差を例示する図である。
【図8B】図8Bは、第二基準面部における光の輝度分布の位相差と、第二基準面部115の第三方向のずれ量との関係を示す図である。
【図9】図9は、実施の形態におけるノズルに保持された部品および第二基準面部の撮像のタイミングを示す模式図である。
【図10】図10は、実施の形態における、対象物データに示される輝度値の補正の手順の一例を示す模式図である。
【図11】図11は、実施の形態における、補正後の輝度値に応じて作成された波形の一例を示す図である。
【図12A】図12Aは、エリアイメージセンサが第二基準面部の第二方向に連続した領域を撮像する様子を示す模式図である。
【図12B】図12Bは、エリアイメージセンサが第一基準面部の第二方向に並ぶ4点を撮像する様子を示す模式図である。
【図13A】図13Aは、第一基準面部の第三方向のずれに伴う、第一基準面部における光の輝度分布の変化を表す第一の模式図である。
【図13B】図13Bは、第一基準面部の第三方向のずれに伴う、第一基準面部における光の輝度分布の変化を表す第二の模式図である。
【図14】図14は、第一基準面部の第三方向の移動の前後での、第一基準面部における光の輝度分布の位相差を例示する図である。
【図15】図15は、第一基準面部の光の反射率を用いたずれ量の算出に利用される輝度変化光の別の一例を説明するための図である。
【図16】図16は、変形例1における部品および第一基準面部の撮像のタイミングを示す模式図である。
【図17】図17は、変形例1における、対象物データに示される輝度値の補正の手順の一例を示す模式図である。
【図18】図18は、エリアイメージセンサが、第一基準面部の複数の点を撮像する様子を示す模式図である。
【図19】図19は、エリアイメージセンサが、第二基準面部の1点を撮像する様子を示す模式図である。
【図20】図20は、変形例2における、ノズルとノズルに吸着された部品のサイズとの関係の2つの例を示す模式図である。
【図21】図21は、変形例2における三次元形状測定装置の基準面部の選択に係る処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図22A】図22Aは、第二基準面部がノズル本体部と一体に形成されているノズルの構成概要を示す側面図である。
【図22B】図22Bは、第二基準面部の前面がカメラの焦点深度の外側に配置された場合のノズルの構成概要を示す側面図である。
【図23】図23は、部品の第三方向のずれ量算出用の発光部と位相シフト用の発光部とが別に設けられた三次元形状測定装置の構成概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明の実施形態に係る部品実装装置および三次元形状測定装置ついて、図面を参照しながら説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0035】
また、以下で説明する実施の形態およびその変形例等のそれぞれでは、本発明の好ましい一具体例が示されている。実施の形態およびその変形例等で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、請求の範囲によって限定される。よって、以下の実施の形態およびその変形例等における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素は、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成する要素として説明される。
【0036】
図1は、実施の形態における部品実装装置20の構成を示す外観図である。
【0037】
図2は、実施の形態における部品実装装置20の内部の主要な構成を示す平面図である。
【0038】
部品実装装置20は、部品実装基板生産装置の一例であり、図1に示すように、基板30に部品を実装する装置である。
【0039】
また、部品実装装置20は、図2に示すように、基板30に対して部品40を実装する2つの実装ユニットを備えている。2つの実装ユニットは、お互いが協調し1枚の基板30に対して実装作業を行う。当該実装ユニットは、ヘッド100、カメラ200および部品供給部300等によって構成されている。
【0040】
部品供給部300は、例えば、部品テープを収納する複数の部品カセット310の配列からなる。なお、部品テープとは、例えば、同一部品種の複数の部品40がテープ(キャリアテープ)上に均等に並べられたものであり、リール等に巻かれた状態で供給される。また、部品テープに並べられる部品40は、例えばBGAまたはチップ部品等である。
【0041】
ヘッド100は、複数のノズル110を備えており、部品カセット310に収容された部品テープの部品40を当該ノズル110で吸着して、吸着した部品40を基板30上に搬送し、基板30に当該部品40を装着する。なお、ノズル110の詳細な説明については後述する。
【0042】
また、部品実装装置20は、ヘッド100のノズル110に保持された部品40の三次元形状を測定する三次元形状測定装置10を有している。
【0043】
三次元形状測定装置10は、ヘッド100のノズル110に保持されている部品40をその下方側からカメラ200が撮像することで得られたデータに基づいて当該部品40の三次元形状を測定する。
【0044】
図3は、実施の形態における三次元形状測定装置10の構造的外観を模式的に示す図である。
【0045】
図4は、実施の形態の三次元形状測定装置10における輝度変化光の照射状態、および、カメラ200の撮像領域を模式的に示す側面図である。
【0046】
ヘッド100は、図3に示すように、部品40を保持する複数のノズル110を備えている。本実施の形態の場合、ノズル110は、真空吸着により部品40を保持する。また、ヘッド100は、ノズル110をそれぞれ独立にZ軸方向に上下動させる機構を備えており、部品40を保持して搬送し、基板30に部品40を装着する機能を備えている。
【0047】
つまり、ヘッド100は、部品供給部300に配置されている部品40をノズル110に吸着保持させ、ノズル110がカメラ200の上方を通過するように移動する。そして、カメラ200は、ノズル110およびノズル110が保持している部品40を撮像することで、ノズル110および部品40の位置等を認識する。
【0048】
その後、ヘッド100は、部品40を保持したノズル110を基板30の装着位置に移動させ、カメラ200の撮像結果を用いて、ノズル110に保持されている部品40の位置を補正し、基板30に部品40を装着する。
【0049】
また、部品40を吸着した状態のノズル110をカメラ200が撮像する際、発光部130から発せられる光がZ軸に対して傾いた方向から斜め上方の部品40およびノズル110に照射される。
【0050】
具体的には、発光部130は、図4に示すように、カメラ200の撮像領域Aにおいて第一方向(Y軸方向)に沿って輝度Bが揃い、かつ、第一方向と交差する第二方向(X軸方向)の位置に応じて輝度Bが周期的に変化する輝度分布を有する光である輝度変化光Dを発する。
【0051】
本実施の形態の場合、輝度変化光の輝度Bの変化は正弦波を形成している。なお、同図中に示されている輝度Bの変化を示す正弦波の波長は、説明のため模式的に示されており、撮像領域Aに対し異なるスケールで示されている。
【0052】
ここで、ヘッド100は、輝度変化光Dにおける輝度の周期を維持しつつ、測定対象物の表面における光の輝度分布を、当該測定対象物(本実施の形態では部品40)に対して相対的に第二方向(X軸方向)に移動させる移動部としての機能も有している。
【0053】
つまり、本実施の形態では、部品実装装置20において静止している三次元形状測定装置10のカメラ200および発光部130に対して、ノズル110で部品40を保持した状態のヘッド100が第二方向(X軸方向)に移動する。これにより、輝度変化光Dにおける輝度の周期を維持しつつ、測定対象物である部品40の表面における輝度変化光Dの光の輝度分布を、部品40に対して相対的に第二方向(X軸方向)に移動させることができる。
【0054】
なお、ヘッド100の移動を駆動する駆動部(図示せず)はエンコーダを備えており、ヘッド100の移動速度および位置などの情報を出力することができる。
【0055】
撮像部であるカメラ200は、第一方向(Y軸方向)と第一方向に交差する第二方向(X軸方向)とに撮像のための画素211が行列状に並ぶエリアイメージセンサ210と、エリアイメージセンサ210表面に結像するための光学系(例えばテレセントリックレンズ、図示せず)を備えている。
【0056】
エリアイメージセンサ210は、例えば第一方向(Y軸方向)に画素211が4000個程度並び、第二方向(X軸方向)に画素211が3000個程度並ぶ画像認識デバイスである。本実施の形態の場合、エリアイメージセンサ210として、CMOS(complementary metal-oxide semiconductor)イメージセンサが採用されている。
【0057】
またこのCMOSイメージセンサは、画素211に照射された光の全体的強度をデジタルデータとして出力する、いわゆる白黒のイメージセンサである。このCMOSイメージセンサは、行列状に配置される画素211の内の任意の領域に含まれる画素211のみのデジタルデータを取得することができる。
【0058】
さらに、CMOSイメージセンサは、前記領域をCMOSイメージセンサ内に複数箇所設けることができ、当該領域以外の画素211からのデータを取得しないことで測定に必要な箇所(例えば図3のL1参照)の像に対応する画素211の群だけを高速で取得することができる。
【0059】
すなわち、本実施の形態におけるカメラ200は、予め定められた焦点深度内にエリアイメージセンサ210に対応した矩形の撮像領域Aを有し、カメラ200の側から見て撮像領域に配置される物体の像の必要な部分のデジタルデータだけを出力することができる。
【0060】
本実施の形態の場合、直線状に形成された前記測定に必要な箇所に対応するライン状の撮像領域をラインと称する。例えば、図3に示すライン1(図では“L1”と表記、他の図も同じ)は、第一方向(Y軸方向)に並べられた一列の画素211群によって形成される。本実施の形態では、このようなラインが、第二方向(X軸方向)に並んで複数設定されている。なお、ラインの幅は、複数列の画素211群によって形成されていてもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、上記の輝度変化光の下で、エリアイメージセンサ210によって、測定対象物である、ノズル110に保持された部品40が撮像されるとともに、ノズル110に配置された基準面部113も撮像される。
【0062】
なお、エリアイメージセンサ210として、CMOSイメージセンサ以外に、必要な箇所の行または列上の像を取得することができるCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いることも可能である。
【0063】
また、ライン状の撮像領域を形成可能なエリアイメージセンサ210の代わりに、各ラインに対応する、第一方向(Y軸方向)に少なくとも一列上に画素が並ぶラインイメージセンサを第二方向(X軸方向)に並べて配置した構成のラインセンサカメラ(図示せず)を、撮像部として用いることも可能である。
【0064】
図5Aは、実施の形態におけるノズル110の構成概要を示す側面図である。
【0065】
図5Bは、実施の形態におけるノズル110の構成概要を示す下面図である。
【0066】
本実施の形態におけるノズル110は、ノズル本体部111と、テーパ形状のノズル先端部112と、基準面部113とを有する。
【0067】
基準面部113は、測定対象物との間の距離であって、第一方向(Y軸方向)および第二方向(X軸方向)の双方に交差する第三方向(Z軸方向)における距離が維持されるように配置されている。
【0068】
また、基準面部113は、本実施の形態では、フランジ状の第一基準面部114と、第一基準面部114よりノズル先端部112に近い側の位置に配置され、第一基準面部114よりも外径が小さな外第二基準面部115とによって構成されている。
【0069】
つまり、第一基準面部114および第二基準面部115が、ノズル110において位置が固定されていることにより、第一基準面部114および第二基準面部115のそれぞれから、測定対象物である部品40までの距離は維持されている。
【0070】
また、第一基準面部114は、第二基準面部115よりも外径が大きい。そのため、例えば図5Bのノズル110の下面図において、部品40が第二基準面部115のほとんどを覆う程度に大きな場合であっても、カメラ200は、第一基準面部114を撮像可能である。
【0071】
また、第二基準面部115は、例えば、外径2mm〜3mm、内径約1.5mm、厚み約1mmのドーナツ形状の部材であるが、この形状に限定されるものではない。
【0072】
また、第二基準面部115はノズル先端部112の部品40を吸着保持する先端面からの前後方向(Z軸方向)の距離D1が4mm以下、例えば0.4〜4mmの位置に配置されている。なお、第二基準面部115は、好ましくは、距離D1が0.4〜3mmの位置に配置されている。
【0073】
なお、第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)の位置は、カメラ200による撮像側の第二基準面部115の前面(Z軸マイナス側の面、以下同じ)を基準として特定される。また、第一基準面部114の位置も同様に、第一基準面部114の前面(Z軸マイナス側の面、以下同じ)を基準として特定される。
【0074】
ここで、カメラ200は、基板30への実装面側であり部品40の撮像される面である、部品40の前面(Z軸マイナス側の面、以下同じ)から後方(Z軸プラス方向)に距離D2離れた位置まで実質的に正確な撮像が可能な能力を有する。
【0075】
具体的には、例えば距離D2は、カメラ200が撮像する部品40の厚tみの8〜10倍以下、好ましくは2〜5倍程度の距離である。つまり、カメラ200により実質的に撮像可能な焦点深度相当の位置で、第二基準面部115は、第二基準面部115の前面が、カメラ200が正確に撮像できる距離D2内に配置されている。そのため、カメラ200により第二基準面部115を実質的に正確に撮像することができる。
【0076】
このように、本実施の形態では、第二基準面部115は、発光部130からの輝度変化光をカメラ200に向けて反射する平面(前面)の、撮像タイミングにおける第三方向(Z軸方向)の位置が、カメラ200の焦点深度内あるいは焦点深度近傍となるようにノズル110に配置されている。
【0077】
その結果、例えば、第二基準面部115における、発光部130から発せられた光の輝度分布が、カメラ200により高精度に認識される。
【0078】
また、第二基準面部115は、少なくとも、その前面(Z軸マイナス側の面、以下同じ)が、発光部130から照射される光をカメラ200が認識可能な程度に反射できる素材で形成されていればよい。また、第二基準面部115のカメラ200側の面(前面)の光に対する反射率が必ずしも既知である必要はなく、当該前面においておおよそ一定であればよい。具体的には、輝度が周期的に変化する輝度変化光Dが当該前面に照射された場合に、その反射光からカメラ200が当該前面における光の輝度分布の周期を認識できる程度に反射率が揃っていればよい。
【0079】
また、部品40は、例えば、0402チップ部品および0603チップ部品などの、厚みt(Z軸方向の厚み)が0.2〜0.4mm程度の部品である。
【0080】
なお、上述のように、第二基準面部115は、ノズル先端部112の部品40を吸着保持する先端面からの前後方向(Z軸方向)の距離D1が0.4〜4mmの位置に配置されている。ここで、このD1の下限が0mmでないのは、ノズル110の部品40の吸着面と第二基準面部115との間に段差部(隙間)を設けるためである。つまり、当該段差部により、部品40の実装動作時に、隣接する基板30への実装済みの部品と第二基準面部115との干渉が防止され、例えば、第二基準面部115に汚れが転写するのを抑制することができる。その結果、例えば、第二基準面部115の撮像品質を高品質に維持することが可能である。
【0081】
図6は、実施の形態における三次元形状測定装置10の機能構成を、機構的および構造的構成とともに示すブロック図である。
【0082】
三次元形状測定装置10は、部品40を保持したノズル110を、カメラ200と発光部130に対して相対的に移動させるヘッド100(移動部)と、ノズル110に設けられた基準面部113と、ヘッド100(移動部)のノズル110に保持された部品40およびヘッド100のノズル110に設けられた基準面部113に対して撮像および測定を行う構成のカメラ200と、発光部130と、測定制御部150とを備える。
【0083】
測定制御部150は、データ取得部160と、ずれ量算出部170と、補正部180と、波形作成部190とを有する。
【0084】
データ取得部160は、対象物データと基準面データとを取得する。対象物データは、測定対象物である、ノズル110に保持された部品40の一部(測定部位)をカメラ200が撮像した結果のデータである。また、基準面データは、測定対象物(部品40)の当該一部が撮像された撮像のタイミングで、基準面部113における第二方向(X軸方向)に互いに離れた位置にある少なくとも3点の輝度変化光(本実施の形態では、例えば4点)を、カメラ200のエリアイメージセンサ210における、第二方向(X軸方向)に互いに離れた位置にあるそれぞれに対応する少なくとも3つ(本実施の形態では例えば4つ)のラインを構成する画素211群によって撮像した結果のデータである。なお、上述の3つのラインは、対象箇所を撮像できれば、必ずしもX軸方向に互いに離れた位置でなくてもよい。
【0085】
ずれ量算出部170は、当該撮像のタイミングの基準面部113における各ライン毎の光の輝度分布と、ノズル110の基準の輝度分布との位相差から、当該撮像のタイミングにおける基準面部113の所定の位置からの第三方向(Z軸方向)におけるずれ量を算出する。
【0086】
なお、上記の基準の輝度分布とは、基準面部113が第三方向(Z軸方向)における上記所定の位置に存在すると仮定した場合の基準面部113における光の輝度分布のことである。
【0087】
また、ノズル110の基準面部113の第三方向(Z軸方向)における上記所定の位置とは、ヘッド100のノズル110が、カメラ200の上方にある場合における第三方向(Z軸方向)の正規の位置(移動時基準高さ)である。上記所定の位置は、ノズル110の基準面部113が、上下方向(Z軸方向)の所定の基準位置(部品40を保持するノズル110の第二方向(X軸方向)への移動時基準高さ)に静止しているとした場合の基準面データから求められる。つまり、上記所定の位置は、ヘッド100の移動に伴う振動、および、ヘッド100を移動可能に保持するビーム(図示せず)の歪み等の外乱がないとした場合における、基準面部113の第三方向(Z軸方向)における位置である。
【0088】
本実施の形態では、具体的には、基準面部113における第一基準面部114および第二基準面部115の少なくとも一方についての基準面データがデータ取得部160によって取得され、当該少なくとも一方についての正規の位置からのずれ量が、ずれ量算出部170によって求められる。
【0089】
補正部180は、ずれ量算出部170により算出されたずれ量を用いて、対象物データに示される、カメラ200のエリアイメージセンサ210の各ラインがそれぞれ撮像したタイミングでの測定対象物(部品40)の一部(例えば測定部位K)における光の輝度値を補正する。
【0090】
波形作成部190は、補正部180により補正された輝度値を用い、位相シフト法による測定対象物の当該一部(例えば測定部位K)の第三方向(Z軸方向)の位置の算出に用いられる波形であって、測定対象物の当該一部(例えば測定部位K)に対応する波形を作成する。
【0091】
具体的には、波形作成部190は、本実施の形態では、補正部180から得られる、互いに異なるタイミングで測定された、部品40の当該一部(例えば測定部位K)に対応する例えば4つ(P1、P2、P3、P4)の補正後の輝度値から、当該一部に対応する波形(本実施の形態では正弦波)を作成する。
【0092】
測定制御部150は、このようにして作成された波形と、基準波形との位相差を求める。
【0093】
なお、基準波形とは、部品40がノズル110に吸着されていないとした場合の仮想平面における、カメラ200のエリアイメージセンサ210の各ラインが撮像するとした場合の輝度分布を示す波形(正弦波)である。また、仮想平面とは、例えば部品40を吸着保持するノズル110のノズル先端部112の先端面のZ軸方向の位置(高さ位置)を通りX軸方向およびY軸方向の双方に平行な平面である。
【0094】
なお、基準面部113と測定対象物(部品40)の当該一部(測定部位K)とのエリアイメージセンサ210の各ラインにおけるそれぞれの撮像のタイミングは同じタイミングである。
【0095】
このようにして求められた位相差から、部品40の当該一部の、仮想平面、つまり、ノズル先端部112の先端面からの距離が求められる。すなわち、位相シフト法により、振動等の外乱の影響を排除した部品40の当該一部の第三方向(Z軸方向)の位置を示す情報が求められる。測定制御部150は、このようにして、部品40の各部分についての第三方向(Z軸方向)の位置を示す情報を位相シフト法により算出し、これら算出結果をまとめることで、振動等の外乱の影響を排除した部品40の三次元形状を示す測定結果として出力する。
【0096】
ここで、上記のように、部品40の一部(測定部位K)に対応する波形の作成には、補正部180による補正後の輝度値が用いられる。また、補正部180による補正には、基準面部113における輝度分布の基準からのずれ量が用いられている。
【0097】
つまり、簡単に説明すると、ヘッド100(移動部)が第二方向(X軸方向)に相対的に移動した場合の、部品40を吸着保持するノズル110に設けられた基準面部113(例えば第二基準面部115)に対して発光部130から照射される、第二方向(X軸方向)に周期的に輝度が変化する輝度変化光により現れる光の縞模様の相対的な移動量(1周期未満の移動量)から、基準面部113の、水平方向(第二方向)移動時における第三方向(Z軸方向)の正規の位置からのずれ量が求められる。その結果、部品40の撮像のタイミングにおける、部品40を保持したノズル110の第三方向(Z軸方向)の本来的な位置からのずれ量が求められる。さらに、求められた部品40の第三方向(Z軸方向)の本来的な位置からのずれ量(第三方向振動ずれ)が、部品40の撮像結果にフィードバックされる。
【0098】
これにより、例えばヘッド100の移動に伴い発生する振動による影響を排除した上で、部品40の三次元形状を、位相シフト法を用いて高精度かつ高速に求めることができる。
【0099】
図7A〜図8Bを用いて、基準面部113における光の輝度分布の変化と、基準面部113の第三方向(Z軸方向)の正規の位置からのずれとの関係について説明する。
【0100】
図7Aは、第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)のずれに伴う、第二基準面部115における光の輝度分布の変化を表す第一の模式図である。
【0101】
図7Aの(a)に示すように、ノズル110の基準面部113の第二基準面部115が、第三方向(Z軸方向)にずれが無いとした場合の第三方向の位置である正規の位置(Z=Z0)にある場合、第二基準面部115には、図において右斜め下から発光部130により照射される、第二方向(X軸方向)に周期的に輝度が変化す輝度変化光により、正弦波を形成する輝度分布B0が現れる。
【0102】
この状態から、例えばヘッド100の移動に伴い発生する振動により、ノズル110の基準面部113の第二基準面部115が正規の位置から第三方向のZ軸プラスの方向(図において上方)にずれて移動した場合(Z=Z1)を想定する。
【0103】
この場合、図7Aの(b)に示すように、Z軸方向の斜め下方より発光部130にて照射された輝度変化光による第二基準面部115における輝度分布B0は、図において実質的に左に移動する。その結果、移動後の輝度分布B1が、第三方向からカメラ200によって観測される。
【0104】
図7Bは、ノズル110の第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)のずれに伴う、第二基準面部115における光の輝度分布の変化を表す第二の模式図である。
【0105】
具体的には、図7Bの(a)は、図7Aの(a)に対応するノズル110のZ軸方向の下面図であり、図7Bの(b)は、図7Aの(b)に対応するノズル110のZ軸方向の下面図である。
【0106】
例えば、第三方向(Z軸方向)の正規の位置にある場合の第二基準面部115における輝度分布B0に示される正弦波における3π/2ラジアンの位相に対応する同一輝度の第一方向(Y軸方向)に平行な線R(X=R:第二基準面部115における、基準面部113の一部である基準面部位Jに対応する輝度変化光の線)は、ノズル110の第二基準面部115が第三方向(Z軸方向)のZ軸プラスの方向に振動等によりずれた場合、図7Bの(b)に示すように、輝度変化光の縞模様が図において実質的に左方向(第二方向(X軸方向)における左の方向)に相対的に移動することで、線R1(X=R´)として第二基準面部115上に現れ、カメラ200により観測される。
【0107】
つまり、図7Aの(b)に示すように、ノズル110の第二基準面部115が、水平方向(第二方向(X軸方向))への移動時、あるいは、移動直後の停止時に、第三方向(Z軸方向)の正規の位置からZ軸プラスの方向(図において上方)に、振動、反り、またはたわみ等により移動した場合、図7Bの(b)に示すように、第二基準面部115に現れる輝度変化光の縞模様が全体として図において左方向(第二方向(X軸方向)における左の方向)に実質的に移動する。
【0108】
図8Aは、第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)のずれ(振動ずれ)による移動の前後での、ノズル110の第二基準面部115における光の輝度分布の位相差を例示する図である。
【0109】
図8Bは、第二基準面部115における光の輝度分布の位相差と、第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)のずれ量との関係を示す図である。
【0110】
図8Aに示すように、基準面部113の第二基準面部115における輝度変化光による輝度分布B0上のX=Rの点と、ノズル110の第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)のずれに伴う当該Rに対応する輝度分布B1上のX=R´の点との距離から、輝度分布B0と輝度分布B1との位相差d(dは位相の差分の絶対値であり、0<d<2π)が求められる。
【0111】
ずれ量算出部170は、この位相差dと、光の照射角(発光部130からの光軸のX軸(第二方向軸)とのなす鋭角)θとから、後述する(式1)により、第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)における正規の位置(Z=Z0)からのずれ量ΔZを求める(図8B参照)。
【0112】
ΔZ=dtanθ (式1)
【0113】
ここで、ノズル110に設けられた基準面部113の第二基準面部115の第三方向のZ軸プラスの方向の移動量(ずれ量)はΔZであり、ノズル110に保持された測定対象物(部品40)は、ノズル110に設けられた基準面部113の第二基準面部115との距離が一定に保たれた状態で移送されている。従って、測定対象物(部品40)の、当該タイミングにおける第三方向のZ軸プラスの方向の移動量(ずれ量)もΔZとなる。
【0114】
ずれ量算出部170によって求められたずれ量ΔZは、当該ずれ量ΔZに対応するタイミングで撮像された対象物データに示される輝度値の補正に用いられる。輝度値の補正については、図10および図11を用いて後述する。
【0115】
なお、図7A〜図8Bでは、ノズル110の第二基準面部115が、第三方向(Z軸方向)のずれによりZ軸プラスの方向に移動した場合について説明したが、第二基準面部115が、第三方向のZ軸マイナスの方向に移動した場合も同様に(式1)によりΔZが求められる。
【0116】
つまり、ノズル110の第二基準面部115が、ノズル110の水平方向(第二方向(X軸方向))移動時における、第三方向(Z軸方向)の正規の位置にある場合の輝度分布B0と、第二基準面部115がZ軸マイナスの方向にずれて移動した場合の輝度分布B1との位相差がdであれば、第二基準面部115のZ軸マイナスの方向の移動量(ずれ量)はΔZ=dtanθとなる。
【0117】
また、第二基準面部115における輝度分布B0と輝度分布B1との第三方向(Z軸方向)のずれによる位相差dを、d=R−R´(図8A参照、−π<d<π)とすると、第二基準面部115のZ軸についての移動方向は、その正負も含め、下記の(式2)で表される。
【0118】
ΔZ=dtanθ (式2)
【0119】
このような、部品40を保持するノズル110の、水平方向(第二方向(X軸方向))の移動時における、第三方向(Z軸方向)の第二基準面部115の正規の位置からのずれ量の算出のための、第二基準面部115における輝度分布(正弦波)は、第一方向(Y軸方向)に沿って輝度Bが揃い、かつ第二方向(X軸方向)の位置に応じて周期的に変化する輝度分布の輝度変化光D(図4参照)の、第二基準面部115における第二方向(X軸方向)に互いに離れた位置にある少なくとも3点を撮像した結果である基準面データから求められる。
【0120】
本実施の形態では、カメラ200のエリアイメージセンサ210によって同一タイミングに取得された、ノズル110の基準面部113の第二基準面部115における第二方向(X軸方向)に互いに離れた位置にある4点の輝度変化光の輝度値から、当該タイミングの第二基準面部115における輝度分布が求められる。
【0121】
つまり、カメラ200が、部品40の撮像を行うタイミングで第二基準面部115の4点の輝度変化光が撮像され、これよって得られた基準面データが、当該タイミングにおける対象物データに示される輝度値の補正に用いられる。
【0122】
図9は、実施の形態におけるノズル110に保持された部品40およびノズル110の第二基準面部115の撮像のタイミングを示す模式図である。
【0123】
図9に示すように、エリアイメージセンサ210には、複数列の画素211群からなる4つのライン(L1〜L4)が第二方向(X軸方向)に並んで設定されており、これら4つのラインを用いて、部品40および第二基準面部115が撮像される。
【0124】
これら4つのラインは、例えば、発光部130から発せられる輝度変化光Dにおける一周期を4等分する間隔で設定されている。つまり、輝度変化光Dにおける輝度分布に示される正弦波の位相の0ラジアン、(π/2)ラジアン、πラジアン、および(3π/2)ラジアンのそれぞれに対応する間隔で、4つのラインが設定されている。
【0125】
これら4つのラインを上記間隔で設定することにより、4つのラインそれぞれから得られる、第二方向(X軸方向)の、輝度変化光Dの輝度分布における4つの輝度値から、当該4つの輝度値に対応する正弦波が精度よく推定される。
【0126】
このような4つのラインがエリアイメージセンサ210に設定されている状態において、以下のように、T=T1〜T4の4回の撮像のタイミングで、ノズル110に保持された部品40、および、ノズル110に設けられた基準面部113の第二基準面部115の撮像が行われる。なお、撮像のタイミングT1〜T4のそれぞれは、その時点での部品40の撮像対象の一部である測定部位K(以下、「対象部分」という。)が、各ラインを通過するタイミングである。
【0127】
まず、T=T1のタイミングで、部品40の対象部分の像がライン1によって取得される。また、同じタイミングで、ライン1〜ライン4のそれぞれにより、第二基準面部115の撮像面である前面のX軸方向に並ぶ4点の輝度変化光の像が取得される。
【0128】
データ取得部160は、エリアイメージセンサ210から、対象部分の輝度値P1を示す対象物データを取得し、かつ、ライン1〜4に対応する第二基準面部115の4点の基準面部位J1_1〜J1_4の輝度値Q1_1〜Q1_4を示す基準面データを取得する。
【0129】
以後、図9に示すように、T=T2、T3、T4の撮像のタイミングで、順次、ノズル110に保持された部品40の対象部分(測定部位K)の像が、エリアイメージセンサ210のライン2、ライン3、ライン4によって取得される。また、図9に示すように、T=T2、T3、T4の撮像のタイミングで、エリアイメージセンサ210のライン1〜ライン4のそれぞれにより、各撮像のタイミングに応じた、各ライン(ライン1〜4)に対応するノズル110の第二基準面部115の4点の基準面部位Jの輝度変化光の像が取得される。
【0130】
その結果、データ取得部160は、エリアイメージセンサ210から、ノズル110に保持された部品40の対象部分(測定部位K)の輝度変化光の輝度値P2、P3、およびP4を示す対象物データを取得する。また、データ取得部160は、エリアイメージセンサ210から、T=T2、T3、T4の撮像のタイミングにおける第二基準面部115の4点の輝度値Q2_1〜Q2_4、Q3_1〜Q3_4、およびQ4_1〜Q4_4のそれぞれを示す基準面データを取得する。
【0131】
つまり、本実施の形態におけるデータ取得部160は、エリアイメージセンサ210に設定された4つのラインから出力されるデジタルデータを取得する。これにより、データ取得部160は、ノズル110に保持された部品40の三次元形状の特定のための位相シフト法に用いられる輝度値と、当該輝度値の補正のための、ノズル110に設けられた基準面部113(図9では第二基準面部115)における輝度変化光の輝度値とを一括して取得することができる。
【0132】
なお、データ取得部160は、部品40の対象部分(測定部位K)の輝度値を得るための、エリアイメージセンサ210のライン(本実施の形態ではL1〜L4)に含まれない他の画素211から、ノズル110の基準面部113の第二基準面部115の第二方向(X軸方向)に並んだ少なくとも3点の基準面部位Jの輝度変化光の輝度値を示す基準面データを取得してもよい。
【0133】
このようにして、データ取得部160によって取得された基準面データは、対象物データに示される輝度値の補正に用いられる。
【0134】
図10は、実施の形態における、測定対象物である部品40の一部である測定部位Kを撮像した結果である対象物データに示される輝度値の補正の手順の一例を示す模式図である。
【0135】
図10の(a)に示すように、T=T1の撮像のタイミングで得られた対象物データに示される輝度変化光の輝度値(測定輝度値)がP1である場合を想定する。この場合、当該タイミングに対応する基準面データに示される輝度値Q1_1〜Q1_4を用いて、当該タイミングにおける第二基準面部115のずれ量、つまり当該タイミングにおける部品40の第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZが、ずれ量算出部170によって算出される。具体的には、図7A〜図8Bを用いて説明した方法によってずれ量ΔZが算出される。
【0136】
すなわち、基準面部113の第二基準面部115の基準面データに示される輝度値Q1_1〜Q1_4から求められる正弦波(図8AのB1に対応)と、第二基準面部115が正規の位置にある場合に対応する正弦波(図8AのB0に対応)との位相シフトの位相差dと、上記(式1)とから、ずれ量ΔZが算出される。
【0137】
複数の輝度値の波形からなる位相差dからずれ量ΔZを求めることにより、例えば、第一方向(Y軸方向)または第二方向(X軸方向)等に傾いた基準面部113であっても、ずれ量を求めることができる。
【0138】
なお、本例においては、T=T1の撮像のタイミングにおいて、例えば図7Aに示すように、第二基準面部115が第三方向(Z軸方向)の正規の位置からZ軸プラスの方向(図10における上方)に振動ずれにより移動した場合を想定する。
【0139】
この場合、部品40は、T=T1の撮像のタイミングでは、本来的には、Z軸マイナスの方向(図10における下方)にΔZだけ移動した位置に存在すべきであったことを意味する。
【0140】
従って、補正部180は、このずれ量ΔZに対応して、輝度変化光の測定輝度値P1を補正し、補正後の輝度値P1´を生成する。
【0141】
具体的には、ノズル110に保持された測定対象物である部品40が、Z軸マイナスの方向に、振動等によりずれてΔZだけ移動したと仮定した場合の、部品40の対象部分のZ軸方向の位置における輝度変化光の輝度分布の正弦波(図10の(b)における実線の正弦波)から、当該対象部分に対応する輝度値を、補正後の輝度値P1´として取得する。
【0142】
ずれ量算出部170は、同様に、T=T2、T3、T4の撮像の各タイミングにおける、部品40を保持したノズル110の第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZを算出し、補正部180は、同様にこれら撮像の各タイミングにおける、測定輝度P2、P3、P4により、補正後の輝度変化光の輝度値P2´、P3´、P4´を生成する。
【0143】
波形作成部190は、これら補正後の輝度値P1´〜P4´を用いて、図11に示すように、これら輝度値P1´〜P4´に対応する波形を作成する。具体的には、本実施の形態では、正弦波の波形W1が作成される。
【0144】
測定制御部150は、このように作成された、撮像の各タイミングでの第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZに対応する補正後の輝度値P1´〜P4´によるノズル110に保持された部品40の対象物データの波形W1と、部品40の第三方向(Z軸方向)の高さが0とした場合の波形である基準波形W0との位相シフトによる位相差を求め、上述のように、当該位相差から、ノズル110に保持された部品40の当該対象部分の第三方向(Z軸方向)の位置を示す情報を算出する。
【0145】
測定制御部150は、このようにして、第三方向(Z軸方向)のずれ量を考慮した、部品40の各部分についての第三方向(Z軸方向)の位置を示す情報を位相シフト法により算出し、これら算出結果をまとめ、ノズル110に保持された部品40の三次元形状を示す測定結果として出力する。
【0146】
このように、本実施の形態の部品実装装置20によれば、位相シフト法を採用しつつ測定時の振動等の影響を排除し、正確かつ高速に測定対象物の三次元形状を測定することができる。
【0147】
なお、本実施の形態において、基準面部113の第三方向(Z軸方向)のずれ量の算出に際し、データ取得部160は、ノズル110に設けられた基準面部113の第二基準面部115において第二方向(X軸方向)に互いに離れた位置にある基準面部位Jの4点の輝度変化光の輝度値を示す基準面データを取得するとした。
【0148】
つまり、本実施の形態では、ずれ量算出部170は、これら4点の輝度値を接続するような正弦波を算出するとした。
【0149】
しかしながら、データ取得部160は4点の輝度値に限定されず、3点以上の輝度値を示す基準面データを取得してもよい。データ取得部160、例えば、基準面部113の第二基準面部115において第二方向(X軸方向)に連続する領域をカメラ200が撮像した結果である基準面データを取得してもよい。
【0150】
図12Aの(a)は、エリアイメージセンサ210がノズル110の第二基準面部115の第二方向(X軸方向)に連続した領域を撮像する様子を示す模式図である。
【0151】
例えば、T=T1のタイミングにおいて、ノズル110に保持された部品40の対象部分(測定部位K)の像がエリアイメージセンサ210のライン1によって取得される。さらに、当該撮像のタイミングにおいて、例えば、図12Aの(a)に示すように、ライン1〜4をX軸方向に横断するように設定された撮像の領域により、第二基準面部115のX軸方向に連続した領域の像が取得される。
【0152】
この場合、データ取得部160は、第二基準面部115上の輝度変化光のX軸方向に連続する多数の輝度値(Q1_1〜Q1_n)を示す基準面データを取得することができる。
【0153】
その結果、ずれ量算出部170は、基準面部113の当該基準面データに示される輝度値を、輝度軸とX軸とによって形成される2次元平面のグラフにプロットすることで、図12Aの(b)に示すように、第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)の正規の位置からのZ軸方向のずれ量を求めるために、第二基準面部115が第三方向(Z軸方向)の正規の位置にいるとした場合の輝度分布B0を得ることができる。
【0154】
つまり、ずれ量算出部170は、第二基準面部115上の輝度変化光の4点の輝度値から当該4点の輝度値に対応する正弦波の波形を必ずしも算出する必要がなく、得られた複数の輝度値を2次元平面にプロットするだけで、上記輝度分布B0の正弦波形を求めることも可能である。その結果、例えば、ずれ量算出部170における、第二基準面部115の正規の位置からのずれ量を求める処理が容易化される。
【0155】
なお、このようにずれ量算出部170に輝度値をプロットさせる場合、データ取得部160は、第二基準面部115の第二方向(X軸方向)の連続した領域であって、輝度変化光Dにおける輝度の半周期分(π)の長さよりも長い連続した領域をカメラ200のエリアイメージセンサ210が撮像した結果である基準面データを取得して、Z軸方向にずれた(移動した)場合の実際の第二基準面部115を撮像した結果から、輝度分布B1の一部を得る。
【0156】
これは、第二基準面部115が、振動等により第三方向(Z軸方向)にずれたとした場合の輝度分布B1において、輝度分布から求められる正弦波の極小値および極大値のいずれか一方が一つだけ検出できれば、輝度分布B0との間の位相差dの算出が可能となるためである。
【0157】
また、ずれ量算出部170は、基準面部113の第二基準面部115に代えて、または加えて、第一基準面部114における光の輝度分布を用いて、第一基準面部114の正規の位置からの第三方向(Z軸方向)のずれ量を算出してもよい。つまり、ずれ量算出部170は、第一基準面部114を用いて部品40の第三方向(Z軸方向)のずれ量を求めてもよい。
【0158】
図12Bは、エリアイメージセンサ210が第一基準面部114の第二方向(X軸方向)に並ぶ、基準面部113の第一基準面部114の一部である基準面部位J(J1〜J4)の輝度変化光の4点をそれぞれのラインで撮像する様子を示す模式図である。
【0159】
例えば、部品40の対象部分(測定部位K)の像が、エリアイメージセンサ210のライン1によって取得される撮像のタイミングにおいて、ライン1〜ライン4のそれぞれにより、第一基準面部114の前面のX軸方向に並ぶ複数の基準面部位J(J1〜J4)としての4点の像が同時に取得される。
【0160】
データ取得部160は、エリアイメージセンサ210から、対象部分の輝度値P1を示す対象物データ取得し、かつ、ライン1〜ライン4のそれぞれの撮像のタイミングごとに、ライン1〜ライン4のそれぞれのライン上の第一基準面部114の、複数の基準面部位J(J1〜J4)4点の輝度値Q1_1〜Q1_4を示す基準面データを取得する。
【0161】
その結果、ずれ量算出部170は、輝度値Q1_1〜Q1_4を用いて、図7A〜図8Bを用いて説明した方法によって、ノズル110の基準面部113の、ヘッド100のノズル110が水平方向(X、Y軸方向)もしくは上下方向(Z軸方向)に移動中、または、移動直後の第三方向(Z軸方向)にずれていないとした場合の(基準高さにあるとした場合の)位置である第一基準面部114の正規の位置からのずれ量ΔZを算出する。これにより、部品40の本来的な位置からの第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZが求められる。
【0162】
つまり、簡単にいうと、ずれ量算出部170は、ノズル110の斜め下方向から照射される輝度変化光による、第一基準面部114に現れる光の縞模様のずれの移動量に応じて、部品40のずれ量ΔZを算出することもできる。
【0163】
すなわち、カメラ200のエリアイメージセンサ210が、ノズル110に設けられた第一基準面部114における光の輝度分布を、基準となる輝度分布との位相差が求められる程度に認識可能であれば、上述の第一基準面部114を用いた部品40のずれ量ΔZの算出手法の実行は可能である。
【0164】
さらに、例えば、ノズル110に保持された部品40のサイズ(下面サイズ)が比較的に大きいためにカメラ200から第二基準面部115を十分に認識できない場合に、第二基準面部115ではなく第一基準面部114を用いた部品40のずれ量ΔZの算出手法を用いるといった選択的な処理の切り替えも可能である。このような処理の切り替えについては、図21を用いて後述する。
【0165】
また、発光部130が発する輝度変化光は、輝度の変化が正弦波を形成する輝度変化光でなくてもよく、例えば、第二方向(X軸方向)の位置に応じて輝度が周期的に変化する、のこぎり波または三角波であってもよい。
【0166】
(変形例1)
次に、実施の形態の変形例1について説明する。具体的には、ノズル110の基準面部113を撮像することで得られる、第二方向(X軸方向)の位置に応じて輝度Bが周期的にあるいは傾斜するように変化する輝度分布を有する光である輝度変化光Dの少なくとも1点の輝度値から部品40の第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZを求める手法について、変形例1として説明する。
【0167】
また、変形例1における部品実装装置20および三次元形状測定装置10の基本的な構成は、上記実施の形態における部品実装装置20および三次元形状測定装置10の基本的な構成と同じである。
【0168】
図13Aは、ノズル110の第一基準面部114の第三方向(Z軸方向)のずれに伴う、基準面部113の第一基準面部114における光の輝度分布の変化を表す第一の模式図である。
【0169】
なお、第一基準面部114は光に対する既知の反射率である所定の反射率rを有している。具体的には、第一基準面部114のカメラ200側の面(前面)の反射率は、ほぼ全域においてrである。
【0170】
図13Aの(a)に示すように、第一基準面部114が正規の位置(Z=Z0)にある場合、第一基準面部114の前面には、図において、発光部130により右(第二方向(X軸方向の右)斜め下から照射される輝度変化光Dにより、正弦波を形成する輝度分布B0が現れる。
【0171】
この場合、例えば第一基準面部114の前面における、基準面部113の一部である基準面部位Jにおける入射光の輝度がIであれば、基準面部位Jからの反射光の輝度はIrである。
【0172】
この状態から、例えばヘッド100の水平方向(X、Y軸方向)または上下方向(Z軸方向)の移動に伴い発生する振動により、第一基準面部114が正規の位置からZ軸プラスの方向(図13Aにおいて上方)に移動した場合(Z=Z1)を想定する。
【0173】
この場合、図13Aの(b)に示すように、ヘッド100のノズル110に設けられた第一基準面部114における輝度分布B0は、図において左(第二方向(X軸方向)の発光部130から離れる方向)に移動する。その結果、振動等の第三方向(Z軸方向)のずれによる移動後の輝度分布B1に対応する基準面部位Jからの反射光がカメラ200によって観測される。具体的には、基準面部位Jにおける入射光の輝度がI´であれば、基準面部位Jからの反射光の輝度はI´rである。
【0174】
図13Bは、第一基準面部114の第三方向(Z軸方向)のずれに伴う、第一基準面部114における光の輝度分布の変化を表す第二の模式図である。
【0175】
具体的には、図13Bの(a)は、図13Aの(a)に対応し、図13Bの(b)は、図13Aの(b)に対応する。
【0176】
第一基準面部114が、第三方向(Z軸方向)の正規の位置からZ軸プラスの方向(図13Bにおいて奥の方向)に、振動ずれ等により移動した場合、図13Bの(a)および(b)に示すように、基準面部位Jにおける輝度はIからI´に変化する。
【0177】
この場合、ずれ量算出部170は、基準面部位Jにおける反射光の輝度値I´rを示す基準面データを、カメラ200から取得する。さらに、ずれ量算出部170は、取得した基準面データに示される反射光の輝度値I´rを、既知の反射率rで除することで、基準面部位Jにおける入射光の輝度値I´を得ることができる。
【0178】
図14は、第一基準面部114の第三方向の振動ずれ等による微小な移動(例えば0.5μm〜40μm程度)の前後での、基準面部113の第一基準面部114の基準面部位Jにおける光の輝度分布の位相差を例示する図である。
【0179】
ここで、基準面部113の一部である基準面部位Jは、基準面部113の第一基準面部114が、第三方向(Z軸方向)のずれがないとした場合の所定の位置(正規の位置)に存在する場合において、例えば輝度変化光の正弦波の輝度分布における輝度の極小値と極大値との間の輝度の光が入射する位置にある。
【0180】
より具体的には、基準面部位Jは、輝度分布B0に示される正弦波において極小値から極大値にいたる間の輝度Iの光が入射する位置にある。このことを、ずれ量算出部170は、第一基準面部114の正規の位置(Z=Z0)、発光部130の配置位置、および発光部130からの輝度変化光における輝度の周期等の情報から認識可能である。
【0181】
また、例えば図において、第三方向(Z軸方向)におけるずれ前(正規の位置)での輝度値I<ずれ後の輝度値I´であることから、ずれ量算出部170は、第一基準面部114における光の輝度分布がX軸マイナスの方向(図14における左方)にずれたことを認識可能である。
【0182】
従って、ずれ量算出部170は、図14に示すように、輝度分布B0を、X=Jの位置のときに輝度がI´となるように、その波形を変えずにX軸マイナス方向に移動させた場合の移動量(位相差d)を算出する。
【0183】
つまり、ずれ量算出部170は、第三方向(Z軸方向)への振動ずれ等による移動後の輝度分布B1と、第三方向(Z軸方向)にずれていないとした場合の輝度分布B0との間の位相差dを求めさらに、上述の(式1)から、ずれ量ΔZ(図13AにおけるZ1−Z0)を求める。
【0184】
このように、実施の形態の変形例1における三次元形状測定装置10は、ノズル110の基準面部113の第一基準面部114を撮像することで得られる1点の輝度値と、第一基準面部114の既知の光の反射率とを用いて、第一基準面部114の第三方向(Z軸方向)の正規の位置からのずれ量ΔZを算出することができる。つまり、その時点でノズル110に吸着されている部品40の本来的な位置(第三方向(Z軸方向)にずれがないとした場合の位置)からの第三方向(Z軸方向)のずれ量が求められる。
【0185】
なお、基準面部113の第一基準面部114に照射される光は、第二方向(X軸方向)の位置に応じて輝度が変化している輝度変化光であればよい。つまり、第二方向(X軸方向)の位置に応じて輝度が必ずしも周期的に変化している必要はない。
【0186】
より詳細には、第二方向(X軸方向)に対して、測定(撮像)される領域で少なくとも傾斜した変化の輝度分布を有する輝度変化光が、基準面部113の第一基準面部114に照射されていればよい。このように、第一基準面部114の測定面である前面に既知の反射率rを有するとした場合において、第一基準面部114を撮像することで得られる少なくとも1点の輝度値から、第一基準面部114の第三方向にずれていないとした場合の本来の位置である正規の位置からのずれ量ΔZを算出することができる。
【0187】
図15は、第一基準面部114の光の反射率が既知である場合、その反射率を用いたずれ量の算出に利用される輝度変化光の別の一例を説明するための図である。
【0188】
例えば、輝度変化光が照射される第一基準面部114の第二方向(X軸方向)の位置であるXと、照射された輝度分布における輝度値とが正比例する関係にある輝度変化光が、第三方向(Z軸方向)の正規の位置にある第一基準面部114に入射された場合を想定する。この場合、図15に示すように、まず、第一基準面部114には第三方向にずれていないとした場合の本来の位置における輝度分布B0が現れる。また、第一基準面部114が相対的に第二方向(X軸方向)に移動する際の、カメラ200による、あるタイミングにおける第一基準面部114の撮像結果(輝度値I´r)と、既知の反射率rとを用いて得られる補正された輝度値I´から、第三方向のずれの移動も含む補正された輝度分布B1が求められる。
【0189】
この場合、ずれ量算出部170は、ともに直線を形成する輝度分布B0と輝度分布B1との間のX軸方向(第二方向)の距離dを求め、当該dと上記(式1)とにより、第一基準面部114の正規の位置からの第三方向のずれ量ΔZを算出する。
【0190】
また、それぞれが輝度変化光の波形の一種である、のこぎり波または三角波を、基準面部113の第一基準面部114に照射してもよい。この場合であっても、ずれ量算出部170は、第一基準面部114を撮像することで得られる少なくとも1点の輝度値と、既知の反射率rとを用いて、第一基準面部114の第三方向(Z軸方向)の正規の位置からのずれ量ΔZを算出することができる。
【0191】
なお、位相シフト法による、測定対象物としての部品40の三次元形状の算出のためには、部品40には第二方向(X軸方向)の位置に応じて周期的に変化する輝度変化光を照射する必要がある。これは、測定対象物である部品40の反射率が常に既知であるとは限らないためである。
【0192】
そのため、図15に示すような周期的には変化しない輝度変化光を第一基準面部114に照射する場合、ずれ量算出用の発光部と位相シフト用の発光部とを別に設ける必要がある。このようにずれ量算出用の発光部と位相シフト用の発光部とを別に設ける構成については、図23を用いて後述する。
【0193】
図16は、実施の形態の変形例1における部品40および光に対する既知の反射率を有する第一基準面部114の撮像のタイミングを示す模式図である。
【0194】
なお、カメラ200のエリアイメージセンサ210における4つのライン(L1〜L4)の設定位置等は、上記実施の形態と同じである(図9参照)。
【0195】
また、T=T1〜T4の4回の撮像のタイミングも、上記実施の形態と同じであり、部品40の撮像対象の一部である対象部分(測定部位K)が、各ラインを通過するタイミングである。
【0196】
このような4つのラインが設定されたエリアイメージセンサ210により、以下のように、T=T1〜T4の4回の撮像のタイミングで、部品40および第一基準面部114の撮像が行われる。
【0197】
まず、T=T1のタイミングで、部品40の対象部分(測定部位K)の像がライン1によって取得される。また、同じタイミングで、ライン1により、第一基準面部114の、第三方向(Z軸方向)における輝度変化光が照射されている側の面である前面の(測定面)、例えば同じライン1上の基準面部位Jの少なくとも1点の輝度変化光の像が取得される。
【0198】
データ取得部160は、エリアイメージセンサ210から、対象部分(測定部位K)の輝度値P1を示す対象物データを取得し、かつ、基準面部113の第一基準面部114の少なくとも1点の基準面部位Jの輝度値Q1を示す基準面データを取得する。
【0199】
以後、図16に示すように、T=T2、T3、T4の撮像のタイミングで、部品40の対象部分(測定部位K)の像が、カメラ200のエリアイメージセンサ210のライン2、ライン3、ライン4によって取得される。また、図16に示すように、T=T2、T3、T4の撮像のタイミングで、エリアイメージセンサ210のライン1〜ライン4のそれぞれにより、第一基準面部114の基準面データの測定箇所である基準面部位Jの少なくとも当該1点の像が取得される。
【0200】
その結果、データ取得部160は、エリアイメージセンサ210から、部品40の対象部分(測定部位K)の輝度値P2、P3、およびP4を示す対象物データを取得する。また、データ取得部160は、エリアイメージセンサ210から、基準面部113の第一基準面部114の当該1点の輝度値Q2、Q3およびQ4のそれぞれを示す基準面データを取得する。
【0201】
つまり、実施の形態の変形例1におけるデータ取得部160は、エリアイメージセンサ210に設定された4つのラインから撮像処理により出力されるデジタルデータを取得する。これにより、データ取得部160は、部品40の三次元形状の特定のための位相シフト法に用いられる輝度値と、第三方向(Z軸方向)のずれを補正する、当該輝度値の補正のための基準面部113(図16では第一基準面部114)における輝度値とを一括して取得することができる。
【0202】
なお、変形例1では、カメラ200で撮像される第一基準面部114の少なくとも1点の第一基準面部114における基準面部位Jの位置は、部品40の測定部位Kの撮像のタイミングであるT=T1〜T4の4回の撮像のタイミングにおいて同一である。しかし、これら4回の撮像のタイミングのそれぞれで撮像される第一基準面部114の基準面部位Jは、第一基準面部114が第一方向(Y軸方向)および第二方向(X軸方向)にて表される面に対して傾いていなければ(カメラ200からの、第一基準面部114の第三方向(Z軸方向)の正規の位置に対する撮像距離が変わらなければ)、第一基準面部114において互いに異なる位置であってもよい。
【0203】
また、同じ撮像のタイミングのデータであれば、データ取得部160は、測定対象物である部品40の対象部分(測定部位K)の輝度値を得るためのライン(本実施の形態ではL1〜L4)に含まれない画素211から、第一基準面部114の少なくとも1点の基準面部位Jの輝度値を示す基準面データを取得してもよい。
【0204】
このようにして、データ取得部160によって取得された、基準面部113の第一基準面部114の基準面データは、対象物データに示される輝度値の第三方向(Z軸方向)の補正に用いられる。
【0205】
図17は、変形例1における、対象物データに示される輝度値の補正の手順の一例を示す模式図である。
【0206】
図17の(a)に示すように、T=T1の撮像のタイミングで得られた部品40の対象物データに示される輝度値(測定輝度値)がP1である場合を想定する。この場合、当該タイミングに対応する、基準面部113の第一基準面部114の基準面データに示される輝度値Q1を用いて、当該撮像のタイミングにおける第一基準面部114のずれ量、つまり当該撮像のタイミングにおける部品40の第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZが、ずれ量算出部170によって算出される。具体的には、図13A〜図14を用いて説明した方法によってずれ量ΔZが算出される。
【0207】
すなわち、部品40に対する撮像のタイミングで撮像した第一基準面部114の基準面データに示される輝度値Q1から求められる正弦波(図14のB1に対応)と、第一基準面部114が第三方向(Z軸方向)の正規の位置にある場合に対応する正弦波(図14のB0に対応)との位相差dと、上記(式1)とから、第三方向のずれ量ΔZが算出される。
【0208】
なお、本例においては、T=T1の撮像のタイミングにおいて、例えば図13Aに示すように、第一基準面部114が第三方向(Z軸方向)の正規の位置からZ軸プラスの方向(図17における上方)に、振動または反り等によりずれて移動した場合を想定する。
【0209】
この場合、部品40は、カメラ200のエリアイメージセンサ210のライン1(L1)に対応する、部品40の対象部分(測定部位K)を撮像するタイミングであるT=T1の撮像のタイミングでは、本来的には、Z軸マイナスの方向(図17における下方)にΔZだけ移動した位置に存在すべきであったことを意味する。
【0210】
従って、補正部180は、このずれ量ΔZに対応して、測定対象物である部品40の測定輝度値P1を補正し、補正後の輝度値P1´を生成する。
【0211】
具体的には、部品40が、第三方向のZ軸マイナスの方向にずれ量ΔZだけ移動したと仮定した場合の、部品40の対象部分(測定部位K)のZ軸方向の位置における光の輝度分布の正弦波(図17の(b)における実線の正弦波)から、当該対象部分(測定部位K)に対応する輝度値を、部品40の補正後の輝度値P1´として取得する。
【0212】
ずれ量算出部170は、同様に、エリアイメージセンサ210における各ライン(L1、L2、L3、L4)に対応する、部品40の対象部分(測定部位K)を撮像するタイミングであるT=T2、T3、T4の撮像の各タイミングにおける第一基準面部114の第三方向のずれ量ΔZを算出する。補正部180は、これら撮像の各タイミングにおける、部品40の対象部分(測定部位K)の第三方向のずれ量を用いた補正後の輝度値P2´、P3´、P4´それぞれを生成する。
【0213】
波形作成部190は、これら補正後の輝度値P1´〜P4´を用いて、これら輝度値P1´〜P4´に対応する波形を作成する。例えば、図11に示した正弦波の波形W1が作成される。
【0214】
測定制御部150は、このように作成された、部品40の対象物データの補正後の輝度値から求まる波形W1と、部品40の第三方向の高さが0(基準)とした場合の基準波形W0との位相差(図11参照)を求める。測定制御部150はさらに、上述のように、当該位相差から、部品40の当該対象部分(測定部位K)の第三方向(Z軸方向)の位置を示す情報(部品40の第三方向(Z軸方向)の高さ情報)を算出する。
【0215】
測定制御部150は、このようにして、部品40の各部分(複数の対象部分(測定部位K))についての第三方向(Z軸方向)の位置を示す情報を位相シフト法により算出し、これら算出結果をまとめ、部品40の三次元形状を示す測定結果として出力する。
【0216】
このように、実施の形態の変形例1における部品実装装置20によれば、位相シフト法を採用しつつ測定時の第三方向(Z軸方向)の振動等の影響を排除し、正確かつ高速に測定対象物の三次元形状を測定することができる。
【0217】
ここで、カメラ200による部品40の認識率向上のためにノズル110に着脱可能に取り付けられる反射板を、第一基準面部114として利用することができる。
【0218】
つまり、ノズル110を他のノズル110と交換する場合であっても、当該他のノズル110で使用可能であり、かつ、ノズル110とは切り離して製造および管理することが可能な部材を第一基準面部114として利用することができる。従って、例えばノズル110と一体の部材を第一基準面部114として利用する場合よりも、反射率rを所望の値に維持すること、および、反射率の位置の違いによるばらつきを極めて小さくすることなど、反射率rの制御が容易である。
【0219】
このような観点からも、第一基準面部114の反射率rを利用した部品40のずれ量の算出手法は有用であると言える。
【0220】
なお、本実施の形態において、データ取得部160は、第一基準面部114の測定する部分である基準面部位の1点の輝度変化光の輝度値を示す基準面データを取得するとした。また、ずれ量算出部170は、当該1点の輝度値と、第一基準面部114の反射率rとから、第一基準面部114の第三方向(Z軸方向)の正規の位置からのずれ量ΔZを算出するとした。
【0221】
しかしながら、ずれ量算出部170は、第一基準面部114の、好ましくは第二方向(X軸方向)に離散して配置される、基準面部位の複数点の輝度変化光の輝度値を用いて、第一基準面部114の第三方向(Z軸方向)の正規の位置からのずれ量ΔZを算出してもよい。
【0222】
図18は、カメラ200のエリアイメージセンサ210が、第一基準面部114の複数の点を撮像する様子を示す模式図である。
【0223】
例えば、図18に示すように、ライン1(L1)により部品40の対象部分(測定部位K)を撮像するタイミングで、ライン1〜4(L1〜L4)によって、第一基準面部114の4点の基準面部位J(J1〜J4)の像を取得する。
【0224】
この場合、データ取得部160は、対象部分(測定部位K)の輝度値P1を示す部品40の対象物データと、その撮像タイミングでの4点の基準面部位J(J1〜J4)の輝度値Q1_1〜Q1_4のそれぞれを示す第一基準面部114(基準面部113)の基準面データとを取得する。
【0225】
ずれ量算出部170は、第一基準面部114(基準面部113)の4点の輝度値Q1_1〜Q1_4のそれぞれと、第一基準面部114の既知の反射率rとを用いて、4つのずれ量ΔZ1〜ΔZ4を算出し、さらに、ΔZ1〜ΔZ4の平均値を求める。ずれ量算出部170は、このようにして算出した平均値を第一基準面部114の第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZとして補正部180に出力する。
【0226】
このように、データ取得部160が、部品40の少なくとも1つの対象部分(測定部位K)を撮像するタイミングにおける、第一基準面部114の複数点の輝度値を取得することで、ずれ量算出部170はこれらの輝度値と反射率rとから求められる複数のずれ量の平均を算出することができる。これにより、例えば、第一基準面部114の第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZがより精度良く求められる。その結果、三次元形状測定装置10による部品40の三次元形状の測定結果の精度も向上される。
【0227】
なお、複数の輝度値の取得する場合において、測定結果の精度に悪影響がなければ、基準面部位の配置を特に限定しなくてもよい。
【0228】
また、ずれ量算出部170は、基準面部113の第二基準面部115の少なくとも1点の反射光の輝度と第二基準面部115の反射率r´とを用いて、第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)の正規の位置からのずれ量を算出してもよい。
【0229】
図19は、カメラ200のエリアイメージセンサ210が、第二基準面部115の1点を撮像する様子を示す模式図である。
【0230】
例えば、部品40の対象部分(測定部位K)の像(輝度値)がエリアイメージセンサ210のライン1(L1)によって取得されるタイミングにおいて、ライン1(L1)により、第二基準面部115の、輝度変化光が照射される側の面である前面(Z軸マイナス側の面、図19において手前側の面)の1点の基準面部位Jの像(輝度値)が取得される。
【0231】
データ取得部160は、エリアイメージセンサ210のライン1(L1)から、部品40の対象部分の輝度値P1を示す対象物データを取得し、かつ、第二基準面部115の1点の輝度値Q1を示す基準面データを取得する。
【0232】
その結果、ずれ量算出部170は、輝度値Q1と反射率r´とを用いて、図13A〜図14を用いて説明した方法によって、第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)の正規の位置からのずれ量ΔZを算出する。これにより、部品40の本来的な位置からの第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZが求められる。
【0233】
このように、基準面部113の第二基準面部115の反射率r´が既知であれば、上記の、第二基準面部115の1点の反射光の輝度値を用いた部品40のずれ量ΔZの算出手法の実行は可能である。
【0234】
(変形例2)
次に、実施の形態の変形例2について説明する。具体的には、基準面部113の第一基準面部114および第二基準面部115のいずれか一方を、部品40とノズル110の基準面部113とに対する所定の条件に応じて選択し、選択した当該一方を用いて部品40の第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZを求める手法について、変形例2として説明する。
【0235】
また、変形例2における部品実装装置20および三次元形状測定装置10の基本的な構成は、上記実施の形態における部品実装装置20および三次元形状測定装置10の基本的な構成と同じである。
【0236】
図20は、実施の形態の変形例2における、ノズル110と、ノズル110により吸着保持された部品40のサイズとの関係の2つの例を示す模式図である。
【0237】
図20の(a)に示すように、比較的小さな部品40がノズル110に保持されている場合、カメラ200が、第一基準面部114と第二基準面部115の双方を認識可能である場合が想定される。
【0238】
しかし、図20の(b)に示すように、比較的大きな部品40がノズル110に保持されている場合、カメラ200は、第一基準面部114を認識可能であるが、ノズル110に保持された部品40側の第一基準面部114より小さい第二基準面部115が、カメラ200の撮像の視野方向(第三方向)に対して部品40の影になり、実質的に認識できない場合が想定される。
【0239】
そこで、変形例2における三次元形状測定装置10は、例えば、図20の(a)に示すように、部品40が第二基準面部115より小さい場合は、第一基準面部114より小さく、かつ、部品40により近い側にある第二基準面部115を用いて部品40の第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZを算出し、図20の(b)に示すように、第二基準面部115が実質的に部品40の影になる場合は、第二基準面部115および部品40よりも大きい第一基準面部114を用いて当該ずれ量ΔZを算出する。
【0240】
つまり、三次元形状測定装置10は、測定対象物である部品40のサイズに応じて、部品40の第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZを求めるために用いる基準面部(114または113)を選択してもよい。
【0241】
図21は、変形例2における三次元形状測定装置10の基準面部113(114または115)の選択に係る処理の流れの一例を示すフロー図である。
【0242】
三次元形状測定装置10の測定制御部150(図6参照)は、例えば、部品実装装置20が保持する部品ライブラリ(図示せず)から、測定対象の部品40のサイズを取得し、取得したサイズと、測定対象の部品40のノズル110の基準面部113に対する閾値とを比較する(S10)。
【0243】
例えば、測定制御部150(図6参照)は、カメラ200の撮像方向(第三方向)から見た場合の部品40の最大外径が閾値より小さいか否かを判断する。なお、この場合の閾値は、例えば、第二基準面部115の最大外径の8割程度の値である。
【0244】
ここで、この閾値は、例えば、カメラ200の撮像方向(第三方向)から見た場合の部品40のサイズに応じて変化し得る、カメラ200のエリアイメージセンサ210による第二基準面部115の認識可能領域の面積および形状が、エリアイメージセンサ210による第二基準面部115の第二方向(X軸方向)に並んだ、基準面部位の輝度変化光の例えば4点の像の取得に十分か否かが判断できる値であればよい。つまり、当該閾値は、特定の値に限定されず、かつ、当該閾値との比較の対象となる部品40のサイズの種類(最大外径、およびY軸方向の幅など)も特定の種類に限定されない。
【0245】
測定制御部150は、部品40のサイズが閾値より小さい場合(S10でYes)、部品40のずれ量の算出に、第二基準面部115を用いることを決定する(S12)。
【0246】
この場合、データ取得部160は、カメラ200のエリアイメージセンサ210から、部品40についての対象物データを取得するとともに、第二基準面部115の4点の輝度値(図9参照)を示す基準面データを取得する(S16)。
【0247】
また、部品40のサイズが閾値以上でかつ第一基準面部114より小さい場合(S10でNo)、測定制御部150は、部品40のずれ量の算出に、第一基準面部114を用いることを決定する(S14)。
【0248】
この場合、データ取得部160は、カメラ200のエリアイメージセンサ210から、部品40についての対象物データを取得するとともに、第一基準面部114の少なくとも1点の輝度値(図16参照)を示す基準面データを取得する(S16)。
【0249】
その後、ずれ量算出部170は、基準面データに示される輝度値を用いて、第一基準面部114または第二基準面部115の、それぞれの基準位置からの第三方向(Z軸方向)のずれ量を算出する。補正部180は、算出されたずれ量を用いて、対象物データに示される輝度値を補正する(S18)。
【0250】
波形作成部190は、補正部180から出力される補正後の輝度値を用いて、これら補正後の輝度値に対応する波形(例えば、図11の波形W1)を作成する。
【0251】
測定制御部150は、作成された波形を用い、上述のように、部品40の各部分についての第三方向(Z軸方向)の位置を示す情報を位相シフト法により算出し、これら算出結果をまとめて、部品40の三次元形状を示す測定結果として出力する。
【0252】
このように、三次元形状測定装置10は、基準面部113の第一基準面部114および第二基準面部115のいずれか一方を条件に応じて選択し、選択した当該一方を用いて測定対象物である部品40の第三方向(Z軸方向)のずれ量ΔZを求めることができる。
【0253】
例えば、第二基準面部115がカメラ200の焦点深度内あるいは焦点深度近傍(例えば焦点深度より2〜3mm以内程度)に存在することで、カメラ200のエリアイメージセンサ210が高精度で第二基準面部115を認識可能な構成の場合、第一基準面部114よりも、カメラ200側に撮像の距離が近い第二基準面部115の方を優先的に使用したほうが好ましいことが考えられる。
【0254】
この場合、例えば上述のように、部品40のサイズと閾値との比較処理を実行することで、エリアイメージセンサ210による第二基準面部115の認識可能領域が、少なくとも1点以上、あるいは4点の、輝度変化光の輝度の取得が可能な程度に存在する場合には、第二基準面部115を用いた、部品40の第三方向(Z軸方向)へのずれ量の算出が実行されるのが好ましい。
【0255】
なお、基準面部113の第一基準面部114および第二基準面部115のいずれを用いるかについての判断に、部品40のサイズを示す情報を用いなくてもよい。例えば、測定制御部150は、エリアイメージセンサ210によるノズル110の撮像結果から、第二基準面部115の認識可能領域が十分に存在すると判断した場合に、第二基準面部115を用いると判断してもよい。
【0256】
また、例えば、第二基準面部115の前面が何らかの要因により汚れた場合など、第二基準面部115における光の輝度分布がカメラ200により明瞭に認識できない場合は、第一基準面部114を用いると判断してもよい。
【0257】
また、例えば、部品実装装置20のオペレータの明示の指示により、基準面部113の第一基準面部114および第二基準面部115のどちらを部品40の第三方向(Z軸方向)へのずれ量の算出に用いるかが決定されてもよい。
【0258】
このように変形例2における三次元形状測定装置10によれば、例えば、様々なサイズの部品40に応じた適切な手法で、部品40の撮像時における第三方向(Z軸方向)のずれ量が算出される。その結果、部品40の三次元形状が高精度かつ高速に求められる。
【0259】
なお、(i)第二基準面部115を用いた部品40の第三方向(Z軸方向)へのずれ量の算出と、(ii)第一基準面部114を用いた部品40の第三方向(Z軸方向)へのずれ量の算出との両方が実行されてもよい。この場合、ずれ量算出部170は、(i)の算出結果と、(ii)の算出結果との平均を、部品40の第三方向(Z軸方向)のずれ量として補正部180に出力してもよい。これにより、例えば、三次元形状測定装置10による部品40の三次元形状の測定結果の精度が向上する。
【0260】
以上、説明したように、実施の形態ならびにその変形例1および2における部品実装装置20は、三次元形状測定装置10を備え、三次元形状測定装置10は、ヘッド100のノズル110により保持され、移送中の、部品40の三次元形状を位相シフト法により求めることができる。
【0261】
また、三次元形状測定装置10は、部品40の三次元形状の算出の過程において、第三方向(Z軸方向)の部品40のずれ量を取得し、そのずれ量を、部品40の三次元形状の算出処理にフィードバックすることができる。
【0262】
さらに、このずれ量の取得には、部品40を撮像するためのカメラ200(エリアイメージセンサ210)が用いられる。つまり、部品40のずれ量の計測のための測距センサまたは加速度計等を別途用いなくても上記ずれ量の取得は可能である。
【0263】
また、部品40の第三方向のずれ量の取得のために基準面部113の第一基準面部114および第二基準面部115の少なくとも一方に照射される光として、部品40の三次元形状の特定のための輝度変化光を利用できる。そのため、第二基準面部115に光を照射するための装置を別途用意しなくともよい。
【0264】
(補足事項)
以下、本発明の実施の形態、ならびに、その変形例1および2についての補足事項を説明する。
【0265】
例えば、第二基準面部115は、ノズル本体部111と別体の部材として、ノズル本体部111に取り付けられていてもよく、ノズル本体部111と一体の部材としてノズル本体部111に形成されていてもよい。
【0266】
図22Aは、第二基準面部115がノズル本体部111と一体に形成されているノズル110の構成概要を示す側面図である。
【0267】
図22Aに示すノズル110では、ノズル本体部111の前方端部(Z軸マイナスの方向の端部)の径が部品40を吸着して保持するノズル先端部112の最大外径よりも大きく形成されている。
【0268】
つまり、図22Aに示すノズル110では、ノズル本体部111の前方端部が、第二基準面部115として機能する。
【0269】
なお、図22Aでは、ノズル本体部111は、Z軸マイナスの方向にかけて外径が大きくなるテーパ形状であるが、テーパ形状は必須ではなく、ノズル本体部111の前方端部が部品40を保持するノズル先端部112の最大外径よりも大きく形成されていれば、他の形状であってもよい。
【0270】
また、上記実施の形態では、第二基準面部115はノズル先端部112の先端面から距離D2内に配置されているとした(図5A参照)。つまり、第二基準面部115の輝度変化光が照射される側の面である前面がカメラ200の焦点深度内あるいは焦点深度近傍に存在するように、第二基準面部115が配置されるとした。
【0271】
しかしながら、第二基準面部115の前面が焦点深度よりも外側に配置されていてもよい。
【0272】
図22Bは、第二基準面部115の前面がカメラ200の焦点深度の外側に配置された場合のノズル110の構成概要を示す側面図である。
【0273】
このように、第二基準面部115の前面がカメラ200の焦点深度の外側に配置された場合、当該前面がカメラ200の焦点深度内に配置されている場合よりも、当該前面の撮像結果の明瞭性は低下する。
【0274】
しかし、当該前面の撮像結果の明瞭性が低下した場合であっても、第二基準面部115の前面に輝度変化光を照射した場合に、当該前面からの反射光により、当該輝度変化光における輝度の周期を測定制御部150が輝度値の相対値として認識可能であればよい。つまり、この場合、図7A〜図8Bを用いて説明したように、第二基準面部115の第三方向のずれがないとした場合の正規の位置からの第三方向(Z軸方向)のずれ量の算出は可能である。
【0275】
また、第二基準面部115を、ノズル先端部112の部品40を保持している面を挟んで部品40とは反対側の方向である後方(Z軸プラスの方向)に移動させることで、基板に既に装着されている比較的背の高い部品の近傍に、第二基準面部115と当該部品との干渉を防止しつつ、ノズル110に吸着された部品40の基板への装着が可能となるという利点もある。
【0276】
また、実施の形態ならびに変形例1および2では、基準面部113は、第一基準面部114および第二基準面部115を有している。しかしながら、基準面部113は、第一基準面部114および第二基準面部115のいずれか一方のみを有していてもよい。例えば、ノズル110に保持される部品が、カメラ200による、ノズル110の第一基準面部114の認識をほとんど妨げない程度に小さい部品のみであることが予め分かっている場合、基準面部113は第二基準面部115のみを有していてもよい。
【0277】
また、実施の形態ならびに変形例1および2では、輝度変化光が照射される第一基準面部114および第二基準面部115は、部品40を保持したノズル110の撮像方向の下面視における形状であるZ軸方向から見た場合の形状が真円形状である(例えば図5B参照)。しかしながら、第一基準面部114および第二基準面部115は、少なくとも、発光部130からの輝度変化光を撮像方向のカメラ200向けて反射する平面を有していれば、これらの形状は特定の形状に限定されない。例えば、第一基準面部114および第二基準面部115は、撮像方向のZ軸方向から見た場合の形状が楕円または多角形であってもよい。
【0278】
また、三次元形状測定装置10において輝度変化光を照射する発光部について、後述するように、部品40のずれ量算出用の発光部と位相シフト用の発光部とを別に設けてもよい。
【0279】
図23は、部品40の第三方向(Z軸方向)のずれ量算出用の発光部と位相シフト用の発光部とが別に設けられた三次元形状測定装置10の構成概要を示す図である。
【0280】
図23に示す三次元形状測定装置10における発光部130は、第一発光部131と第二発光部132とを有する。
【0281】
第一発光部131は、ノズル110に保持された測定対象物である部品40に輝度変化光を照射する。第二発光部132は、ノズル110に設けられた基準面部113に、部品40に照射される輝度変化光と同一または異なる周期の輝度変化光を照射する。
【0282】
このように、ノズル110に保持された部品40に輝度変化光を照射する発光部と、ノズル110の基準面部113に輝度変化光を照射する発光部とを分けることで、部品40および基準面部113それぞれの特性等に応じた周期または輝度の変化態様の輝度変化光を照射することができる。
【0283】
例えば、測定対象物が、0402チップ部品または0603チップ部品などの比較的に小さな部品40であり、ノズル110の第二基準面部115の外径が2mm〜3mmである場合を想定する。この場合、基準面部113に照射される第二発光部132から発せられる輝度変化光の周期を、部品40に照射される第一発光部131から発せられる輝度変化光の周期よりも長くすることも考えられる。
【0284】
これにより、例えば、位相シフト法による部品40の三次元形状の算出結果の精度を高く維持しつつ、第二基準面部115における光の輝度分布の移動量に基づく第二基準面部115の第三方向(Z軸方向)のずれ量の算出手法における、ずれ量の許容範囲を拡大することができる。
【0285】
また、例えば、部品40には、第一発光部131から、図4に示すような輝度変化が正弦波を示す輝度変化光Dを照射し、ノズル110の第一基準面部114には、第二発光部132から、図15に示すような輝度変化に周期性のない輝度変化光を照射することもできる。
【0286】
以上、本発明の部品実装基板生産装置および三次元形状測定装置について、実施の形態およびその変形例等に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、これら実施の形態およびその変形例等に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態およびその変形例等に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0287】
例えば、ヘッド100を停止させることで位置が固定された測定対象物(部品40)に対し、カメラ200と発光部130とを移動させることで、第二方向(X軸方向)に輝度が変化している輝度変化光における輝度の周期を維持しつつ、測定対象物の表面における光の輝度分布を、当該測定対象物に対して相対的に第二方向(X軸方向)に、基準面部113および測定対象物(部品40)を撮像するカメラ200とともに移動させてもよい。
【0288】
ここで、例えば部品40をノズル110にて保持しつつ水平方向(第二方向(X軸方向))に移動するヘッド100を一旦停止させて部品40の3次元形状の測定を行う場合、ヘッド100の移動の停止から一定期間は、停止時の慣性に起因する振動が継続する場合が考えられる。
【0289】
しかしながら、三次元形状測定装置10であれば、上述のように振動の影響を排除しつつ、部品40の3次元形状の高速かつ高精度の測定が可能である。従って、三次元形状測定装置10は、ヘッド100の振動が収束することを待つことなく、ヘッド100の停止から即座に、第三方向(Z軸方向)のずれを考慮した部品40の3次元形状の測定を開始することができる。
【0290】
またこの場合、カメラ200は測定対象物に対して移動させなくてもよい。さらに、発光部130の物理的な位置は固定しておき、輝度変化光を発生させるフィルタまたはミラー等を機械的または電気的に駆動することで、輝度変化光における輝度の周期を維持しつつ測定対象物の表面における光の輝度分布自体を、当該測定対象物に対して走査するように相対的に第二方向(X軸方向)に移動させてもよい。
【0291】
つまり、測定対象物の表面に現れる輝度変化光による光の縞模様が、第二方向(X軸方向)に移動されるのであれば、測定対象物および発光部130のいずれを移動または動作させてもよい。
【0292】
なお、測定対象物である部品40の撮像動作時に、部品40に対して発光部130自体を移動させる、または、発光部130が照射する光自体を動かして部品40上を走査する動作をさせることで、輝度変化光における輝度の周期を維持しつつ測定対象物の表面における光の輝度分布を、当該測定対象物に対して相対的に第二方向(X軸方向)に移動させる場合、発光部130を移動または動作させる機構またはソフトウェア等が、本発明の部品実装基板生産装置および三次元形状測定装置における移動部として機能する。
【0293】
また、本実施の形態では、基準面部113は、部品40を保するノズル110に設けられているとした。しかし、基準面部113は、測定対象物である部品40と基準面部113との間の距離が撮像時の第三方向(Z軸方向)において維持されるよう配置されるのであれば、ノズル110ではなく、例えば、ノズル110を保持するホルダあるいはノズル110を備えるヘッド100自体に設けられてもよい。
【0294】
また、実施の形態ならびに変形例1および2では、部品実装基板生産装置として部品実装装置20を例示した。しかしながら、部品実装基板生産装置は、基板に部品を実装する部品実装装置20に限定されるわけではなく、半田印刷装置および検査装置など部品実装基板の生産に寄与する装置であれば全て部品実装基板生産装置に含まれる。
【0295】
例えば、検査装置が、三次元形状測定装置10と同様の機能を有する装置を備えることで、半田が印刷された基板あるいは部品が実装された基板をコンベア、プレートあるいはテーブル等の移動部で移動させながら当該基板を検査する際に、その移動に起因する振動による影響を排除しつつ、半田が正しい位置に印刷されているか、または、部品が正しい位置に正しい姿勢で実装されているか等を検査することができる。
【0296】
この場合、測定対象物は、基板、印刷された半田、または、基板に実装された部品である。また、第三方向(Z軸方向)の、振動等によるずれの基準として撮像する基準面部113は、本実施の形態では、部品40を保持するノズル110に設けられているが、半田印刷装置又は検査装置では、基板を保持あるいは移動させる移動部に基準面部113を設け、測定対象物と基準面部113との間の距離が撮像時に第三方向(Z軸方向)において維持されるよう配置される。
【産業上の利用可能性】
【0297】
本発明は、高精度かつ高速に測定対象物の三次元形状を測定することのできる部品実装基板生産装置および三次元形状測定装置等に利用できる。
【符号の説明】
【0298】
10 三次元形状測定装置
20 部品実装装置
30 基板
40 部品
100 ヘッド
110 ノズル
111 ノズル本体部
112 ノズル先端部
113 基準面部
114 第一基準面部
115 第二基準面部
130 発光部
131 第一発光部
132 第二発光部
150 測定制御部
160 データ取得部
170 ずれ量算出部
180 補正部
190 波形作成部
200 カメラ、撮像部
210 エリアイメージセンサ
211 画素
300 部品供給部
310 部品カセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装された部品実装基板を生産するための部品実装基板生産装置であって、
第一方向と前記第一方向に交差する第二方向とに撮像のための画素が行列状に配置される撮像部と、
前記撮像部の撮像領域において前記第一方向に沿って輝度が揃い、かつ、前記第二方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する光である輝度変化光を発する発光部と、
前記輝度変化光における輝度の周期を維持しつつ、測定対象物の表面における前記輝度変化光の輝度分布を、前記測定対象物に対して相対的に前記第二方向に移動させる移動部と、
前記第一方向および前記第二方向の双方に交差する第三方向における前記測定対象物との間の距離が維持されるように配置された基準面部と、
(a)前記測定対象物の一部である測定部位を前記撮像部が順次撮像した結果である対象物データ、および、(b)前記測定対象物の前記一部である測定部位が撮像されるそれぞれの撮像のタイミングで、前記基準面部における前記第二方向に互いに離れた位置にある基準面部位の少なくとも3点の前記輝度変化光を前記撮像部が撮像した結果である基準面データを取得するデータ取得部と、
(c)前記基準面データから求められる前記撮像のタイミングの前記基準面部における前記輝度変化光の輝度分布と、(d)前記基準面部が、前記第三方向におけるずれが無いとした際に前記第三方向の所定の位置に存在すると仮定した場合の前記基準面部における前記輝度変化光の輝度分布との位相差から、それぞれの前記撮像のタイミングにおける前記基準面部の、前記第三方向のずれが無いとした場合の前記所定の位置からの前記第三方向におけるずれ量を算出するずれ量算出部と、
前記ずれ量算出部により算出されたずれ量を用いて、前記対象物データに示される前記測定対象物の前記測定部位における光の輝度値を補正する補正部と、
前記補正部により補正された輝度値を用い、位相シフト法による前記測定対象物の前記測定部位の前記第三方向の位置の算出に用いられる波形であって、前記測定対象物の前記測定部位に対応する波形を作成する波形作成部と
を備える部品実装基板生産装置。
【請求項2】
前記データ取得部は、前記基準面部における前記第二方向の連続した領域であって、前記輝度変化光における輝度の半周期分の長さより長い連続した領域から、前記撮像部が撮像した結果である前記基準面データを取得し、
前記ずれ量算出部は、前記基準面データに示される前記連続した領域における複数の輝度値を、輝度軸と前記第二方向の軸とにより形成される2次元平面にプロットすることで、前記撮像のタイミングの前記基準面部における光の輝度分布を求める
請求項1記載の部品実装基板生産装置。
【請求項3】
前記発光部は、
前記測定対象物に、前記輝度変化光を照射する第一発光部と、
前記基準面部に、前記測定対象物に照射される前記輝度変化光と同一または異なる周期の前記輝度変化光を照射する第二発光部とを有する
請求項1または2記載の部品実装基板生産装置。
【請求項4】
第一方向と前記第一方向に交差する第二方向とに撮像のための画素が行列状に配置される撮像部と、
前記撮像部の撮像領域において前記第一方向に沿って輝度が揃い、かつ、前記第二方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する光である輝度変化光を発する発光部と、
前記輝度変化光における輝度の周期を維持しつつ、測定対象物の表面における前記輝度変化光の輝度分布を、前記測定対象物に対して相対的に前記第二方向に移動させる移動部と、
前記第一方向および前記第二方向の双方に交差する第三方向における前記測定対象物との間の距離が維持されるように配置された基準面部と、
(a)前記測定対象物の一部である測定部位を前記撮像部が順次撮像した結果である対象物データ、および、(b)前記測定対象物の前記一部である測定部位が撮像されるそれぞれの撮像のタイミングで、前記基準面部における前記第二方向に互いに離れた位置にある基準面部位の少なくとも3点の前記輝度変化光を前記撮像部が撮像した結果である基準面データを取得するデータ取得部と、
(c)前記基準面データから求められる前記撮像のタイミングの前記基準面部における前記輝度変化光の輝度分布と、(d)前記基準面部が、前記第三方向におけるずれが無いとした際に前記第三方向の所定の位置に存在すると仮定した場合の前記基準面部における前記輝度変化光の輝度分布との位相差から、それぞれの前記撮像のタイミングにおける前記基準面部の、前記第三方向のずれが無いとした場合の前記所定の位置からの前記第三方向におけるずれ量を算出するずれ量算出部と、
前記ずれ量算出部により算出されたずれ量を用いて、前記対象物データに示される前記測定対象物の前記測定部位における光の輝度値を補正する補正部と、
前記補正部により補正された輝度値を用い、位相シフト法による前記測定対象物の前記測定部位の前記第三方向の位置の算出に用いられる波形であって、前記測定対象物の前記測定部位に対応する波形を作成する波形作成部と
を備える三次元形状測定装置。
【請求項5】
第一方向と前記第一方向に交差する第二方向とに撮像のための画素が行列状に配置される撮像部の撮像領域において、前記第一方向に沿って輝度が揃い、かつ、前記第二方向の位置に応じて輝度が周期的に変化する輝度分布を有する光である輝度変化光を発する発光ステップと、
前記輝度変化光における輝度の周期を維持しつつ、測定対象物の表面における前記輝度変化光の輝度分布を、前記測定対象物に対して相対的に前記第二方向に移動させる移動ステップと、
前記移動ステップが行われている期間に、(a)前記測定対象物の一部である測定部位を前記撮像部が順次撮像した結果である対象物データ、および、(b)前記第一方向および前記第二方向の双方に交差する第三方向における前記測定対象物との間の距離が維持されるように配置された基準面部において前記第二方向に互いに離れた位置にある基準面部位の少なくとも3点の前記輝度変化光を、前記測定対象物の前記一部である測定部位が撮像されるそれぞれの撮像のタイミングで、前記撮像部が撮像した結果である基準面データを取得するデータ取得ステップと、
(c)前記基準面データから求められる前記撮像のタイミングの前記基準面部における前記輝度変化光の輝度分布と、(d)前記基準面部が、前記第三方向におけるずれが無いとした際に前記第三方向の所定の位置に存在すると仮定した場合の前記基準面部における前記輝度変化光の輝度分布との位相差から、それぞれの前記撮像のタイミングにおける前記基準面部の、前記第三方向のずれが無いとした場合の前記所定の位置からの前記第三方向におけるずれ量を算出するずれ量算出ステップと、
算出されたずれ量を用いて、前記対象物データに示される前記測定対象物の前記測定部位における光の輝度値を補正する補正ステップと、
補正された輝度値を用い、位相シフト法による前記測定対象物の前記測定部位の前記第三方向の位置の算出に用いられる波形であって、前記測定対象物の前記測定部位に対応する波形を作成する波形作成ステップと
を含む三次元形状測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−96831(P2013−96831A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239720(P2011−239720)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】