説明

部品実装構造及び部品実装方法

【課題】本発明は複数の部品を高密度実装する部品実装構造及び部品実装方法に関し、部品実装密度及び電気的特性の向上を図ることを課題とする。
【解決手段】制御系BGA12が実装されたプリント配線基板11と、メモリBGA13が実装されると共に固定部15Aがプリント配線基板11に電気的に接続されたフレキシブル配線基板15とを有し、フレキシブル配線基板15がプリント配線基板11上で制御系BGA12に向けて折り曲げられた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部品実装構造及び部品実装方法に係り、特に複数の部品を高密度実装する部品実装構造及び部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板上に半導体装置等の部品を実装した構造を有する半導体装置ユニットは、搭載さる半導体装置の多機能化,高性能化に伴い、基板に搭載される部品点数が非常に多くなっている。その上、半導体装置ユニットが組み込まれる電子機器の小型化に伴い、半導体装置ユニットに対しても厳しい小型化の要求がある。よって、半導体装置ユニットにおける部品実装密度はいっそう高まる傾向にあり、十分な実装面積を確保するのは困難である。
【0003】
このため、複数の基板を積層(スタック)することにより、実装効率を高めた半導体装置ユニットが提案されている(特許文献1参照)。図1は、複数の基板を積層した一例である半導体装置ユニット1を示している。この半導体装置ユニット1は、制御系BGA5及びメモリBGA6が夫々実装した第1及び第2のプリント基板2,3を積層すると共に、各プリント基板1,3をスタックコネクタ4で接続した構造とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−359448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第1及び第2のプリント基板2,3を積層した構造では、半導体装置ユニット1が高速信号を扱うユニットである場合には信号伝達における電気的特性が劣化してしまう。
【0006】
即ち、制御系BGA5が高速信号に対応した半導体装置である場合、下に位置する第1のプリント基板2に実装された制御系BGA5と、上に位置する第2のプリント基板3に実装された制御系BGA5との配線長が長くなってしまう。このため、第1及び第2のプリント基板2,3を積層した半導体装置ユニット1では、信号伝達における高速特性が低下してしまう。
【0007】
一方、半導体装置ユニット1において、実装された部品に不良が発生した場合には、不良部品を良品部品に取り替える処理(リペア)が実施される。このリペア処理時には、図8(A)に示すように、取り替える部品(同図では、小型BGA6)にカバー9を設け、このカバー9内に高熱エアを供給することによりはんだを溶融し、小型BGA6を第1のプリント基板2から取り外す。
【0008】
このため、リペア時の熱がリペアされる小型BGA6の近傍の部品に影響を与えないよう、部品間に一定の距離を設ける必要がある(この距離を図2(B)に矢印L2で示している)。従来では、この距離Lは第1のプリント基板2上に設定されていたため、これも部品の実装密度を低下させる理由となっていた。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、部品実装密度及び電気的特性の向上を図りうる部品実装構造及び部品実装方法提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一の観点からは、第1の部品が実装される第1の基板と、第2の部品が実装されると共に前記第1の基板に接続され、前記第1の部品の実装位置に向け折り曲げられた第2の基板とを有する部品実装構造が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の部品実装構造は、第1の部品と第2の部品を近接しつつ、かつ第1の基板上で第1の部品同士も近接することができ、部品実装密度の向上と電気的特性の向上を共に図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、従来の一例である半導体装置ユニットを示す正面図である。
【図2】図2は、従来の課題を説明するための図である。
【図3】図3は、第1実施形態である半導体装置ユニットの正面図である。
【図4】図4は、第1実施形態である半導体装置ユニットの平面図である。
【図5】図5は、第1実施形態である半導体装置ユニットの制御系BGAを拡大して示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態である半導体装置ユニットにおけるリペア方法を説明するための図である。
【図7】図7は、第1実施形態である半導体装置ユニットの製造方法を説明するための図である(その1)。
【図8】図8は、第1実施形態である半導体装置ユニットの製造方法を説明するための図である(その2)。
【図9】図9は、第1実施形態である半導体装置ユニット及びその製造方法の第1変形例を説明するための図である。
【図10】図10は、第1実施形態である半導体装置ユニット及びその製造方法の第2変形例を説明するための図である。
【図11】図11は、第1実施形態である半導体装置ユニット及びその製造方法の第3変形例を説明するための図である。
【図12】図12は、第2実施形態である半導体装置ユニットの正面図である。
【図13】図13は、第2実施形態である半導体装置ユニットの制御系BGAを拡大して示す図である。
【図14】図14は、第3実施形態である半導体装置ユニットの正面図である。
【図15】図15は、第3実施形態である半導体装置ユニットの制御系BGAを拡大して示す図である。
【図16】図16は、第3実施形態である半導体装置ユニットにおけるリペア方法を説明するための図である。
【図17】図17は、第3実施形態である半導体装置ユニットの製造方法を説明するための図である(その1)。
【図18】図18は、第3実施形態である半導体装置ユニットの製造方法を説明するための図である(その2)。
【図19】図19は、第3実施形態である半導体装置ユニットの製造方法を説明するための図である(その3)。
【図20】図20は、第3実施形態である半導体装置ユニットの変形例を説明するための図である(その1)。
【図21】図21は、第3実施形態である半導体装置ユニットの変形例を説明するための図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0014】
図3乃至図4は、本発明の第1実施形態である半導体装置ユニット10Aを説明するための図である。図3は半導体装置ユニット10Aの正面図であり、図4は半導体装置ユニット10Aの平面図、図5は半導体装置ユニット10Aに搭載されたひとつの制御系BGA12を拡大して示す図である。
【0015】
半導体装置ユニット10Aは、プリント配線基板11、制御系BGA12、メモリBGA13、フレキシブル配線基板15、及び電子部品16(例えば、通信用装置)等を有している。この半導体装置ユニット10Aは、例えば通信ネットワークに用いられるサーバー等の高速信号処理を行う電子装置に搭載されるものである。
【0016】
第1の基板であるプリント配線基板11は、絶縁層と配線層が複数積層されると共に配線層間がビア又はスルーホール(以下、これらを総称してビアという)により層間接続された多層プリント配線基板である(配線層及びビアの図示は省略)。このプリント配線基板11は、表面に制御系BGA12及び電子部品16を実装するための基板電極23が形成されている。この基板電極23は、前記した配線層とビアを用いて接続されている。尚、本実施形態では、半導体装置ユニット10Aの基板としてプリント配線基板11を用いた例を示しているが、多層セラミック基板等の他の基板を用いることも可能である。
【0017】
第1の部品である制御系BGA12は、サーバー内における各種制御処理を行う半導体装置である。サーバーは高速処理が要求されており、よって制御系BGA12は高速処理に対応している。高速処理を行う半導体装置は、その稼動時に高熱を発生する。このため制御系BGA12は、放熱フィン18を上面に搭載している。
【0018】
この放熱フィン18は、制御系BGA12の上面に熱伝導率が高い接着剤22を用いて固定されている。この放熱フィン18は、例えばアルミニウム等の熱伝導性の高い材料により形成されている。また、放熱特性を向上させるため、放熱フィン18は複数のフィン(羽)が形成されている。更に、本実施形態では、放熱フィン18の平面視した形状は、制御系BGA12の平面視した形状と略同一となるよう設定されている。
【0019】
また、制御系BGA12は、サーバー内における各種制御処理を行うため多数の電極(装置側電極33という)を有している。このため、制御系BGA12は、装置の端子構造として高密度化が可能なBGA(Ball Grid Array)構造を適用している。この制御系BGA12は基板電極23に接続端子17が設けられており、この接続端子17がプリント配線基板11の基板電極23に接続されることにより、制御系BGA12はプリント配線基板11に実装される。
【0020】
本実施形態では、図4に示すように4個の制御系BGA12がプリント配線基板11に実装される。この4個の制御系BGA12は、プリント配線基板11内に形成された配線層(内装配線)を介して電気的に接続される。各制御系BGA12は、各々の間で授受される信号の伝達ロスを低減させるため、近接して配置する必要がある。
【0021】
第2の部品であるメモリBGA13は、制御系BGA12に接続されるバッファメモリである。本実施形態では、このメモリBGA13も端子構造としてBGA構造を適用している。このメモリBGA13は、制御系BGA12の処理速度を高める面より制御系BGA12に近接して配置することが望ましい。このメモリBGA13は、第2の基板であるフレキシブル配線基板15に実装される。
【0022】
次に、フレキシブル配線基板15について説明する。フレキシブル配線基板15は絶縁性及び可撓性を有する樹脂フィルム(例えば、ポリイミド等)上に、所定の配線パターン25及びスルーホール電極26等を形成したものである。フレキシブル配線基板15は、図7(B)に示すように、平面視した状態で略中央に制御系BGA12が実装され、両側部に夫々2個ずつメモリBGA13が実装されている。
【0023】
このフレキシブル配線基板15は、プリント配線基板11に固定される固定部15Aと、この固定部15Aの両側から外側に向け延出する延出部15Bとを有している。固定部15Aはフレキシブル配線基板15の中央部分に位置しており、制御系BGA12が実装される実装位置と対応している。
【0024】
この固定部15Aは、制御系BGA12がプリント配線基板11に実装される際、プリント配線基板11と制御系BGA12との間に配設される。また、制御系BGA12がプリント配線基板11に実装される際、制御系BGA12の接続端子17がプリント配線基板11の基板電極23に接続されることにより、固定部15Aもプリント配線基板11に同時に固定される。
【0025】
図5を用い、フレキシブル配線基板15の固定部15Aが、プリント配線基板11に固定される具体的な構造について説明する。固定部15Aは、制御系BGA12に設けられた接続端子17と対応する位置に貫通孔24を有している。また、複数形成される貫通孔24の内、メモリBGA13と接続される接続端子17に対応する貫通孔24は、接続端子17を配線パターン25と電気的に接続するため、スルーホール電極26とされている。尚、以下の説明においてスルーホール電極26と接続される接続電極を、特に接続端子17Aということとする。
【0026】
制御系BGA12に形成された接続端子17は、固定部15Aに形成された貫通孔24及びスルーホール電極26を介してプリント配線基板11の基板電極23にはんだ付け固定される。このはんだ付け時に溶融された接続端子17が冷却して固化する際、接続端子17は基板電極23と接合すると共に固定部15Aを保持する。これにより、固定部15Aは制御系BGA12がプリント配線基板11に実装される際、プリント配線基板11と制御系BGA12との間に固定される。
【0027】
固定部15Aがプリント配線基板11に上記のように固定される際、スルーホール電極26はメモリBGA13と接続される接続端子17、及び当該接続端子17Aに対応してプリント配線基板11の基板電極23と電気的に接続する。また、スルーホール電極26は、配線パターン25を介してメモリBGA13と接続されている。よって、固定部15Aがプリント配線基板11に固定された際、メモリBGA13は制御系BGA12及びプリント配線基板11と電気的に接続された状態となる。
【0028】
このように、本実施形態では制御系BGA12がプリント配線基板11にはんだ付けされる際、フレキシブル配線基板15もプリント配線基板11に固定されると共に電気的に接続される。このため、フレキシブル配線基板15とプリント配線基板11との固定及び接続処理は容易となり、半導体装置ユニット10Aの製造工程の簡単化を図ることができる。尚、接続端子17は請求項に記載の第1の端子に相当し、接続端子17Aは請求項に記載の第2の端子に相当する。
【0029】
一方、上記の固定部15Aから連続的に延出した延出部15Bの先端部分には、メモリBGA13が実装さる。具体的には、延出部15Bの先端部分には電極30が形成されており、メモリBGA13のBGAボール21がこの電極30にはんだ付けされることにより、メモリBGA13は延出部15Bに実装される。
【0030】
この電極30は配線パターン25の一端と接続されており、また配線パターン25の他端はスルーホール電極26まで引き出されている。よって、メモリBGA13が延出部15Bに実装されることにより、メモリBGA13は配線パターン25及びスルーホール電極26を介してプリント配線基板11及び制御系BGA12と電気的に接続される。
【0031】
また、各BGA12,13は、バイパスコンデンサ14(以下、パスコン14と略称する)が近接して配置される場合が多い。本実施形態では、延出部15BのメモリBGA13が実装された面と反対側面にパスコン14が実装されている。
【0032】
上記構成とされたフレキシブル配線基板15は、プリント配線基板11上で制御系BGA12に向け折り曲げられている。詳細には、フレキシブル配線基板15は、固定部15Aに対して延出部15Bが制御系BGA12に向け折り曲げられている。また、延出部15Bがプリント配線基板11に対してなす角度は、略直角となるよう設定されている。
【0033】
このように、固定部15Aに対して延出部15Bを制御系BGA12に近接するよう略直角に折り曲げることにより、メモリBGA13は制御系BGA12に極めて近接した状態となる。本実施形態では、このメモリBGA13を制御系BGA12に取り付けられた放熱フィン18に接着剤20を用いて固定している。尚、以下の説明では、制御系BGA12といった場合には、放熱フィン18も含むものとする。
【0034】
このように制御系BGA12を制御系BGA12に固定することにより、メモリBGA13を制御系BGA12の側面に密着させることができる。よってプリント配線基板11上において、制御系BGA12、メモリBGA13、及びフレキシブル配線基板15の占める平面的な面積を小さくすることができる(図4参照)。また、フレキシブル配線基板15は可撓性し、かつ延出部15Bが片持ち梁状に延出した構造であるが、延出部15Bに実装されたメモリBGA13が制御系BGA12に固定されることにより、メモリBGA13及び延出部15Bを安定して保持することができる。
【0035】
ところで、前記したように半導体装置ユニット10Aは、サーバー等の高速信号処理を行う電子装置に搭載されるものである。そこで、本実施形態の半導体装置ユニット10Aにおける制御系BGA12とメモリBGA13との間における信号速度、及び隣接する制御系BGA12間における信号速度について説明する。
【0036】
本実施形態では、メモリBGA13は、フレキシブル配線基板15を用いてプリント配線基板11及び制御系BGA12と電気的に接続されている。また、フレキシブル配線基板15に実装されるメモリBGA13及びパスコン14は、いずれも制御系BGA12に比べて端子数が少ない。よって、フレキシブル配線基板15に形成される配線パターン25のパターン形状は、図7(B)に示すように略直線状とすることができる。
【0037】
また、フレキシブル配線基板15は、メモリBGA13の他にはパスコン14が実装されるのみである。このため、延出部15Bの長さは、プリント配線基板11に実装される部品(電子部品16等)に影響を受けることなく任意に設定することができ、よって延出部15Bの長さを短く設定することができる。
【0038】
従って、フレキシブル配線基板15に形成されるスルーホール電極26からメモリBGA13に至る配線パターン25の長さは、従来のように基板2,3上で制御系BGA5と小型BGA6を接続する構成(図1参照)に比べて短くすることができる。よって、制御系BGA12とメモリBGA13との間における高速信号の劣化は防止され、半導体装置ユニット10Aの信頼性を高めることができる。
【0039】
また本実施形態では、メモリBGA13はプリント配線基板11に実装されるのではなく、制御系BGA12の側面に固定されている。このように、本実施形態ではプリント配線基板11にメモリBGA13が実装されていないため、隣接する制御系BGA12同士を近接させることができる。
【0040】
このように、本実施形態では隣接する制御系BGA12間の離間距離を従来に比べて短くすることができる。よって、隣接する制御系BGA12間で高速信号が劣化することを防止でき、半導体装置ユニット10Aの信頼性を高めることができる。尚、図4において細い実線で示すのは制御系BGA12とメモリBGA13間の信号伝達経路の例を示しており、図中太い実線で示すのは制御系BGA12間及び制御系BGA12と電子部品16間における信号伝達経路の例を示している。
【0041】
また、上記のように本実施形態に係る半導体装置ユニット10Aは、プリント配線基板11上で隣接する制御系BGA12を近接させることができる。このため、プリント配線基板11の小型化を図ることができ、延いては半導体装置ユニット10Aの小型化を図ることができる。
【0042】
図6は、半導体装置ユニット10Aにおいてリペア処理を実施している状態を示している。同図に示す例では、図中右側に位置するメモリBGA13が不良品であり、これをリペアする例を示している。
【0043】
メモリBGA13をフレキシブル配線基板15から取り外すには、先ず放熱フィン18からメモリBGA13を取り外すし、次に放熱フィン18を制御系BGA12から取り外し、更にフレキシブル配線基板15からパスコン14を取り外す。そして、フレキシブル配線基板15(延出部15B)の背面側に加熱治具35を押し当て、BGAボール21を溶融させる。これにより、メモリBGA13はフレキシブル配線基板15から取り外される。そして、不良品であるメモリBGA13が取り外された後、良品であるメモリBGA13が加熱治具35を用いてフレキシブル配線基板15(延出部15B)に実装される。
【0044】
このリペア処理の際、加熱処理が行われるのはフレキシブル配線基板15であり、プリント配線基板11に対しては加熱処理が行われない。また、フレキシブル配線基板15を制御系BGA12から離間する方向に移動させる(折り曲げる)ことにより、フレキシブル配線基板15を制御系BGA12から離間させることができる。
【0045】
よって、メモリBGA13を制御系BGA12に固定するよう配置しても、リペア時に
おいてメモリBGA13を制御系BGA12から離間できるため、リペア時にメモリBGA13に印加される熱が制御系BGA12に影響することを防止できる。従って、半導体装置ユニット10Aの各BGA12,13の高密度実装とリペア性とを共に実現することが可能となる。
【0046】
次に、第1実施形態に係る半導体装置ユニット10Aの製造方法について説明する。図7及び図8は、半導体装置ユニット10Aの製造方法の一実施形態を示している。
【0047】
半導体装置ユニット10Aを製造するには、図7(A)に示すように、セラミック基板27上にフレキシブル配線基板15を載置する。このフレキシブル配線基板15は、予め制御系BGA12の接続端子17の配設位置と対応する位置に貫通孔24及びスルーホール電極26が形成される。また、メモリBGA13の実装位置には電極30が形成されている。尚、フレキシブル配線基板15を搭載する基板はセラミック基板27に限定されるものではなく、他の基板(例えば、金属基板等)を用いることも可能である。
【0048】
このフレキシブル配線基板15に形成された基板電極23にははんだペースト28が配設され、また電極30上にもはんだペースト29が配設される。このはんだペースト28,29の配設は、スクリーン印刷法を用いることができる。
【0049】
上記ようにはんだペースト28,29がフレキシブル配線基板15に配設されると、続いて制御系BGA12がはんだペースト28上に仮止めされると共に、はんだペースト29上にメモリBGA13が仮止めされる。図7(B)は各BGA12,13が仮止めされたフレキシブル配線基板15の平面図であり、図7(C)は各BGA12,13が仮止めされたフレキシブル配線基板15の正面図である。
【0050】
上記のように各BGA12,13がフレキシブル配線基板15に仮止めされると、セラミック基板27と共にフレキシブル配線基板15はリフロー炉に装着され、加熱処理が実施される。これにより、制御系BGA12に配設されているはんだボール31及びはんだペースト28は溶融して一体的となり、フレキシブル配線基板15に形成された貫通孔24を貫通する接続端子17,17Aを形成する。また、メモリBGA13のはんだボール32及びはんだペースト29は、溶融して一体的となり電極30にはんだ付けされる。
【0051】
続いて、フレキシブル配線基板15はセラミック基板27から剥離される。図7(D)は、セラミック基板27から剥離されたフレキシブル配線基板15の接続端子17,17A近傍を拡大して示している。同図に示すように、接続端子17,17Aは貫通孔24を貫通した状態で固化した状態となっており、よってフレキシブル配線基板15の固定部15Aは接続端子17,17Aを介して制御系BGA12に固定された状態となっている。また、この剥離状態においては、延出部15Bは水平方向に延在した状態となっている。尚、パスコン14を実装する場合には、この剥離を行った後に実装する。
【0052】
続いて、フレキシブル配線基板15に対し折り曲げ処理が行われる。この折り曲げ処理は、固定部15Aに対し延出部15Bを制御系BGA12に向けて折り曲げる処理である。図8(A)は、延出部15Bを制御系BGA12に向けて折り曲げている状態を示している。
【0053】
上記のように本実施形態では、メモリBGA13を制御系BGA12に固定するため、メモリBGA13の制御系BGA12と固定される面には接着剤20が塗布される。そして、メモリBGA13は、この接着剤20を介して放熱フィン18に接着固定される。図8(B)は、メモリBGA13が放熱フィン18に固定された状態を示している。同図に示すように、メモリBGA13が放熱フィン18に固定された状態において、フレキシブル配線基板15は固定部15Aに対して延出部15Bが略直角に折り曲げられた状態となっている。
【0054】
このように、メモリBGA13を制御系BGA12に密着させて固定する処理は、単にフレキシブル配線基板15を折り曲げると共にメモリBGA13を接着剤20を用いて放熱フィン18に接着すればよく、簡単かつ確実に行うことができる。
【0055】
上記のように、メモリBGA13及びフレキシブル配線基板15が制御系BGA12に装着されると、この制御系BGA12はプリント配線基板11に実装される。プリント配線基板11は、予め接続端子17,17Aに対応する位置に基板電極23が形成されている。この基板電極23上には、予め図示しないはんだペーストが塗布されている。また、接続端子17,17Aは、フレキシブル配線基板15の背面側(プリント配線基板11と対向する側)に貫通孔24から露出した状態となっている。
【0056】
制御系BGA12をプリント配線基板11に実装するには、基板電極23と接続端子17,17Aを位置決めし、はんだペーストにより基板電極23と接続端子17,17Aを仮止めする。続いて、制御系BGA12が仮止めされたプリント配線基板11は、リフロー炉で加熱処理が実施される。
【0057】
これにより、接続端子17と基板電極23上のはんだペーストは溶融して一体的となり、制御系BGA12は基板電極23にはんだ付けされ、制御系BGA12はプリント配線基板11に実装される。また、このはんだ付け処理により、フレキシブル配線基板15の固定部15Aは制御系BGA12とプリント配線基板11との間で固定された状態となる。これにより、フレキシブル配線基板15もプリント配線基板11に固定された状態となる。
【0058】
上記の一連の処理により、制御系BGA12はプリント配線基板11に実装され、またメモリBGA13はフレキシブル配線基板15及び制御系BGA12を介してプリント配線基板11に実装される。図8(C)は制御系BGA12がプリント配線基板11に実装された状態を示し、また図8(D)は図8(C)に矢印Aで示す接続端子17,17A近傍を拡大して示している。
【0059】
このように、フレキシブル配線基板15の固定部15Aをプリント配線基板11と制御系BGA12との間に配設する構成であっても、固定部15Aに形成した貫通孔24(スルーホール電極26を含む)内に接続端子17,17Aを貫通形成することにより、通常のBGAタイプの半導体装置と同様の実装処理で、制御系BGA12をプリント配線基板11に実装することができる。
【0060】
次に、上記した半導体装置ユニット10A及びその製造方法の実施形態の変形例について説明する。図9は第1変形例を示し、図10は第2変形例を示し、更に図11は第3変形例を示している。尚、図9乃至図11において、図3乃至図8に示した構成と対応する構成については同一符号を付し、その説明を省略する。また各図は、フレキシブル配線基板15の固定部15A近傍を拡大して示している。
【0061】
先ず、図9に示す第1変形例について説明する。前記した第1実施形態では、制御系BGA12に設けられた全ての接続端子17,17Aがフレキシブル配線基板15(固定部15A)に形成された貫通孔24或いはスルーホール電極26を貫通した構造とされていた。これに対して本変形例では、基板電極23に設けられた装置側電極33の全てをプリント配線基板11と接続するのではなく、一部の装置側電極33をフレキシブル配線基板15とのみ接続するようにしたものである。
【0062】
具体的には、図9(A)に示すように、フレキシブル配線基板15の図中左端に位置する装置側電極33に対応する位置に貫通孔24は形成されておらず、その代わりにフレキシブル配線基板電極37(以下、FPC電極37という)が形成されている。このFPC電極37は、フレキシブル配線基板15に形成された配線パターン25と電気的に接続されている。また、装置側電極33とFPC電極37は、はんだボール31により電気的に接続されている。
【0063】
よって、図9(B)に示すように制御系BGA12をプリント配線基板11に実装した状態において、他の接続端子17,17Aはプリント配線基板11の基板電極23と接続されるが、はんだボール31はFPC電極37とのみ接続される。本実施形態のように、プリント配線基板11と接続する必要がない装置側電極33が存在する場合には、フレキシブル配線基板15に貫通孔24を形成することなく、フレキシブル配線基板15とのみ電気的に接続する構成としてもよい。
【0064】
次に、図10に示す第2変形例について説明する。本変形例では、図10(A)に示すように、固定部15Aの外周位置に補強用電極38を形成している。この補強用電極38は、フレキシブル配線基板15のプリント配線基板11と対向する側の面に形成されている。また、補強用電極38は前記の電極30と同様にはんだ付け可能な金属材により形成されている。但し、電極30は配線パターン25と接続されるが、電極30は必ずしも配線パターン25と接続される必要はない。
【0065】
また、プリント配線基板11の補強用電極38の形成位置と対応する位置には、補強用電極39が形成されている。この補強用電極39は、基板電極23の形成時に同時に一括して形成される。
【0066】
そして、第1のプリント基板2がプリント配線基板11に実装される際、固定部15Aに形成された補強用電極38は、補強はんだ40を用いてプリント配線基板11の補強用電極39にはんだ付けされる。よって、補強用電極38と補強用電極39とのはんだ付け位置は強度が高くなり、このはんだ付け位置は接続端子17,17Aと基板電極23との接合を補強する補強部として機能する。この補強用電極38及び補強用電極39は、接続端子17,17Aと基板電極23とのはんだ付け位置を囲繞するよう複数形成することが望ましい。
【0067】
上記のように補強用電極38と補強用電極39とを補強はんだ40ではんだ付けし、これにより接続端子17,17Aと基板電極23とのはんだ付け位置を補強することにより、接続端子17,17Aと基板電極23との剥離を防止することができる。よって、本変形例によれば、半導体装置ユニットの信頼性を高めることができる。
【0068】
次に、図11に示す第3変形例について説明する。前記した実施形態に係る製造方法では、図7(B)に示すように、フレキシブル配線基板15をセラミック基板27から剥離した際、接続端子17,17Aのフレキシブル配線基板15の貫通孔24から露出した部分は、フレキシブル配線基板15の裏面と略面一となっていた。
【0069】
しかしながら、このように接続端子17,17Aがフレキシブル配線基板15の裏面と略面一の構造では、図8(C)に示す制御系BGA12をプリント配線基板11に実装する際、プリント配線基板11に反り等が存在すると、接続端子17,17Aと基板電極23が確実に接続されないおそれがある。
【0070】
そこで本変形例では、図11(A)に示すように、フレキシブル配線基板15をセラミック基板27から剥離した後、フレキシブル配線基板15の貫通孔24から露出している接続端子17,17Aにはんだボール41を配設する工程を設けた。具体的な配設方法は、次の通りである。
【0071】
先ず、予め貫通孔24から露出している接続端子17,17Aにはんだペーストを塗布し、このはんだペースト上にはんだボール41を仮止めする。これにより、はんだボール41は接続端子17,17A上に積層された構造となる。
【0072】
続いて、このはんだボール41が仮止めされたフレキシブル配線基板15をリフロー炉に装着して加熱処理を実施する。このリフロー処理を実施することにより、はんだボール41及び接続端子17,17Aは溶融して一体的になり、図11(B)に示すように積層接続電極42が形成される。前記のように接続端子17,17Aは、はんだボール31から形成されている。よって、積層接続電極42は、はんだボール31とはんだボール41とが積層された構造となっている。
【0073】
この積層接続電極42は、フレキシブル配線基板15の背面側に突出した部分を有する。よって、図11(C)に示すように、第1のプリント基板2をプリント配線基板11に実装する際、仮にプリント配線基板11に反り等が発生していても、積層接続電極42をプリント配線基板11の基板電極23に確実にはんだ付けすることができる。従って、本変形例によれば、制御系BGA12のプリント配線基板11に対する実装性を高めることができ、半導体装置ユニットの信頼性を高めることができる。
【0074】
尚、上記の変形例では、接続端子17,17Aにひとつのはんだボール41を積層した例を示したが、接続端子17,17A上に積層されるはんだボールの数は1個に限定されるものではなく、2個以上積層した構成としてもよい。
【0075】
次に、第2実施形態である半導体装置ユニット10Bについて説明する。
【0076】
図12及び図13は、半導体装置ユニット10Bを説明するための図である。図12は半導体装置ユニット10Bの正面視した図であり、図13(A)はプリント配線基板11に実装されたひとつの制御系BGA12を拡大して示す図である。尚、図12及び図13において、図3乃至図11に示した構成と対応する構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
前記した図3乃至図5に示した第1実施形態に係る半導体装置ユニット10Aは、制御系BGA12が放熱フィン18を有し、この放熱フィン18の側面にメモリBGA13を接着することにより固定した。これに対して本実施形態に係る半導体装置ユニット10Bに設けられた制御系BGA12は、放熱フィン18を有していない。このため本実施形態に係る半導体装置ユニット10Bでは、メモリBGA13を放熱フィン18に固定することなく、フレキシブル配線基板15の剛性によりメモリBGA13を保持するようにしたものである。
【0078】
具体的には、図13(A)に示すように、延出部15Bは固定部15Aに対して制御系BGA12に向け折り曲げられ、プリント配線基板11に対して略45°の方向に延出させて空中保持した構造とされている。本実施形態で用いられているフレキシブル配線基板15は、折り曲げられた際にその折り曲げ状態を維持できる構造となっている。このような特性を有するフレキシブル配線基板15は、フレキシブル配線基板15を構成する樹脂ベースに塑性変形する金属ワイヤーを内設させておくこと等により実現することができる。
【0079】
本実施形態のように、制御系BGA12が放熱フィン18を有していない場合であっても、フレキシブル配線基板15を折り曲げ、延出部15Bのプリント配線基板11に対する角度を適宜設定することにより、メモリBGA13を制御系BGA12に近接した任意位置に設置することができる。また、図13(B)に示すように、放熱フィン18に代えて、延出部15Bを制御系BGA12の側面に接着剤45を用いて固定する構成としてもよい。更には、フレキシブル配線基板15を延出部15Bの一部が制御系BGA12の上面と対向するように折り曲げ、メモリBGA13が制御系BGA12の上面に固定される構造とすることも可能である。
【0080】
次に、第3実施形態である半導体装置ユニット10Cについて説明する。
【0081】
図14及び図15は、半導体装置ユニット10Cを説明するための図である。図14は半導体装置ユニット10Cの正面視した図であり、図15はプリント配線基板11に実装されたひとつの制御系BGA12を拡大して示す図である。尚、図14及び図15においても、図3乃至図11に示した構成と対応する構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0082】
前記した第1及び第2実施形態に係る半導体装置ユニット10A,10Bは、フレキシブル配線基板15の固定部15Aが制御系BGA12の背面と対向する構造とされていた。これに対して本実施形態に係る半導体装置ユニット10Cは、プリント配線基板11の制御系BGA12が実装される実装位置の外側に接続固定電極52を形成し、フレキシブル配線基板50の固定部50Aがこの接続固定電極52に接続されるようにしたものである。
【0083】
図18は、半導体装置ユニット10Cに用いられるフレキシブル配線基板50を示している。第1及び第2実施形態に係る半導体装置ユニット10A,10Bに用いられるフレキシブル配線基板15は、図7(B)に示すように、制御系BGA12と対向する固定部15Aの両側からそれぞれ外側に向け延出部15Bが延出する構造とされていた。これに対してフレキシブル配線基板50の固定部50Aは、接続固定電極52と接続するに足る長さとされている。よって固定部50Aは、第1及び第2実施例で示した固定部15Aに対して短い。また延出部50Bは、固定部50Aの一側部のみから外側に延出した構造とされている。
【0084】
接続固定電極52は基板電極23と同等の電極であり、基板電極23の形成時に一括的に形成される。また、接続固定電極52は、プリント配線基板11内に形成された配線層と接続されており、この配線層を介してメモリBGA13と接続される接続端子31と接続されている。よって、フレキシブル配線基板50に実装されたメモリBGA13は、接続端子31,基板電極23,プリント配線基板11内の配線層、接続固定電極52、フレキシブル配線基板50を介して制御系BGA12と電気的に接続される。
【0085】
固定部50Aが接続固定電極52に接続(固定)されたフレキシブル配線基板50は、プリント配線基板11上で制御系BGA12に向け折り曲げられている。また、プリント配線基板11に対する延出部50Bのなす角度は、略直角となるよう設定されている。そして、第1実施形態と同様に、メモリBGA13は接着剤20を用いて制御系BGA12(放熱フィン18)に固定されている。
【0086】
このように、延出部50Bを固定部50Aに対して制御系BGA12に近接するよう略直角に折り曲げることにより、メモリBGA13は制御系BGA12に極めて近接した状態となる。よって本実施形態においても、プリント配線基板11上における制御系BGA12、メモリBGA13、及びフレキシブル配線基板50の占める平面的な面積は小さくなり、プリント配線基板11の小型化及び半導体装置ユニット10Cの小型化を図ることが可能となる。
【0087】
また本実施形態においても、第1実施形態に係る半導体装置ユニット10Aと同様に制御系BGA12からメモリBGA13に至る配線長は従来に比べて短くすることができ、よって制御系BGA12とメモリBGA13との間における高速信号の劣化が防止される。更に、半導体装置ユニット10Cは隣接する制御系BGA12間の離間距離も短くすることができ、よって隣接する制御系BGA12間における高速信号の劣化も防止される。
【0088】
図16は、半導体装置ユニット10Cにおいてリペア処理を実施している状態を示している。同図に示す例では、図15において右側に位置するメモリBGA13が不良品であり、これをリペアする例を示している。
【0089】
図16(A)は、フレキシブル配線基板50と共にメモリBGA13をリペアする例を示している。ここでは、固定部50Aと接続固定電極52がはんだ付けさている場合について説明する。フレキシブル配線基板50をプリント配線基板11から取り外すには、加熱治具36を用いて固定部50Aと接続固定電極52との接合位置を加熱する。これにより、固定部50Aと接続固定電極52を接合していたはんだを溶融させ、フレキシブル配線基板50を接続固定電極52から取り外す。また、良品のメモリBGA13が実装されたフレキシブル配線基板50も、加熱治具36を用いて接続固定電極52にはんだ付けする。
【0090】
このリペアの際、加熱治具36は固定部50Aと接続固定電極52の接合位置のみを加
熱すればフレキシブル配線基板50を接続固定電極52から取り外し又ははんだ付けすことができる。よって、リペア時における加熱領域は、メモリBGA6の全体を加熱する従来例(図2(A)参照)に比べて狭くすることができる。これにより、プリント配線基板11上の制御系BGA12の近傍に電子部品が実装されていたとしても、これらの電子部品に熱の影響を与えることなくフレキシブル配線基板50をプリント配線基板11から取り外し又ははんだ付けすることができる。
【0091】
一方、図16(A)に示す方法は、前記した第1実施形態の半導体装置ユニット10Aにおいて行われるリペアと同一の方法である。即ち、メモリBGA13をフレキシブル配線基板50から取り外すには、フレキシブル配線基板50(延出部50B)の背面側に加熱治具35を押し当て、BGAボール21を溶融させる。これにより、メモリBGA13はフレキシブル配線基板50から取り外される。そして、不良品であるメモリBGA13が取り外された後、良品であるメモリBGA13が加熱治具35を用いてフレキシブル配線基板50に実装される。
【0092】
次に、第3実施形態に係る半導体装置ユニット10Cの製造方法について説明する。図17及び図19は、半導体装置ユニット10Cの製造方法の一実施形態を示している。尚、各図において放熱フィン18の図示は省略している。
【0093】
半導体装置ユニット10Cを製造するには、図17(A)に示すプリント配線基板11を用意する。このプリント配線基板11は、制御系BGA12が実装される位置で接続端子31の配設位置と対応する位置に基板電極23が形成されている。また、プリント配線基板11上において、制御系BGA12の実装位置の外側には、接続固定電極52が形成されている。この接続固定電極52は、前記のように基板電極23の形成時に同時形成される。
【0094】
このプリント配線基板11に形成された基板電極23は、その上部にはんだペーストが塗布される。次に、この基板電極23上に制御系BGA12が搭載され、接続端子31がはんだペーストにより仮止めされる。続いて、制御系BGA12が仮止めされたプリント配線基板11は、リフロー炉に装着されて加熱処理が行われる。これにより接続端子31及びはんだペーストは溶融し、制御系BGA12は基板電極23にはんだ付けされる。図17(B)は、制御系BGA12がプリント配線基板11に実装された状態を示している。
【0095】
尚、プリント配線基板11に制御系BGA12と共に実装される電子部品16aは、このリフロー処理時に合わせてプリント配線基板11にはんだ付けされる。
【0096】
一方,制御系BGA12のプリント配線基板11への実装処理とは別工程で、フレキシブル配線基板50の製造処理が実施される。図18は、フレキシブル配線基板50を拡大して示している。同図に示すように、フレキシブル配線基板50は、絶縁フィルム53に配線パターン25が形成されると共に、この配線パターン25を被覆することにより絶縁するカバーレイ55が形成されている。
【0097】
このカバーレイ55はメモリBGA13の実装位置及び接続固定電極52との接続位置は取り除かれ、配線パターン25及び電極30が露出した状態となっている。更に、絶縁フィルム53の図中上側に形成された配線パターン25と下側に形成された配線パターン25は、絶縁フィルム53を貫通するビア54により接続されている。尚、以下の説明において、フレキシブル配線基板50の接続固定電極52との接続位置を接続部56というものとする。
【0098】
メモリBGA13は、フレキシブル配線基板50をプリント配線基板11に接続する前にフレキシブル配線基板50に実装される。具体的には、メモリBGA13は予めはんだペーストが塗布された電極30に仮止めされ、次にこれをリフロー処理することによりフレキシブル配線基板50に実装される。図18(A),(B)は、メモリBGA13がフレキシブル配線基板50に実装された状態を示している。
【0099】
メモリBGA13が実装されたフレキシブル配線基板50は、前記した制御系BGA12が実装されたプリント配線基板11の接続固定電極52に接続される。フレキシブル配線基板50をプリント配線基板11に接続するには、固定部50Aに位置する接続部56を接続固定電極52に位置決めし、接続部56を接続固定電極52に接合する。この接合方法としては、はんだ付け法、圧着法、ACF(Anisotropic Conductive Film)接続法等を用いることができる。図19は、接続部56(固定部50A)を接続固定電極52に接合している状態を示している。
【0100】
続いて、フレキシブル配線基板50に対し折り曲げ処理が行われる。この折り曲げ処理は、固定部50Aに対し延出部50Bを制御系BGA12に向けて折り曲げる処理である。上記のように本実施形態においも、メモリBGA13は制御系BGA12(放熱フィン18)に固定される。図15に示したように、メモリBGA13が放熱フィン18に固定された状態において、フレキシブル配線基板50はプリント配線基板11(固定部50A)に対して延出部50Bが略直角となるよう折り曲げられている。
【0101】
上記のように本実施形態に係る製造方法は、第1実施形態に係る半導体装置ユニット10Aと異なり、固定部50Aがプリント配線基板11と制御系BGA12との間に配設されないため、フレキシブル配線基板50の構造を簡単化することができる。また、フレキシブル配線基板50をプリント配線基板11に接続する際も、接続部56と接続固定電極52を位置決めするのみで、接合処理を実施することができる。よって、本実施形態に係る製造方法によれば、半導体装置ユニット10Cの製造工程を簡単化することができる。
【0102】
図20及び図21は、第3実施形態である半導体装置ユニット10Cの変形例を示している。図14及び図15に示した半導体装置ユニット10Cは、接続固定電極52上にひとつのフレキシブル配線基板50のみを接続した構成としていた。これに対して本変形例では、図20に示すように、複数のフレキシブル配線基板50,60が、接続固定電極52上に積層して接続されている。本変形例では、2つのフレキシブル配線基板50,60が接続固定電極52上に積層された例を示しているが、接続固定電極52上に積層されるフレキシブル基板の関総数は2つに限定されるものではなく、3つ以上積層した構成としてもよい。
【0103】
図21は、本変形例で用いられるフレキシブル配線基板50,60を示している。フレキシブル配線基板50は、最上部に位置するフレキシブル基板である。このフレキシブル配線基板50は、図18に示したフレキシブル配線基板50と同一構成であるため、その説明は省略する。
【0104】
フレキシブル基板60は、フレキシブル配線基板50と接続固定電極52との間に配設されるフレキシブル基板である。このフレキシブル基板60は、その下面に接続固定電極52と接続するための接続部56Aが形成されると共に、この接続部56Aの反対面にも接続部56Bが設けられている。この接続部56Bは、フレキシブル配線基板50の接続部56と接続される。
【0105】
フレキシブル配線基板50,60を接続固定電極52に接続する接続方法は、前記したはんだ付け法、圧着法、ACF接続法等を用いることができる。また、フレキシブル配線基板50,60を接続固定電極52に接続する手順としては、先ずフレキシブル基板60の接続部56Aを接続固定電極52に接合した後、接続部56Bにフレキシブル配線基板50の接続部56を接合する方法を用いることができる。また、予めフレキシブル配線基板50,60を各接続部56,56A,56Bが一致するよう位置決めし、その上でフレキシブル配線基板50,60を一括的に接続固定電極52に接合する方法を用いることも可能である。
【0106】
本変形例によれば、多数のメモリBGA13を制御系BGA12に近接した位置に実装することができる。よって、制御系BGA12に付帯的に配設されるメモリBGA13の数が多い場合であっても、各メモリBGA13を制御系BGA12に近接して配置することができ、かつプリント配線基板11上で隣接配置される制御系BGA12の離間距離を短くすることができる。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0108】
例えば、上記した各実施形態では、メモリBGA13が実装される第2の基板としてフレキシブル配線基板15,50を適用した例を示した。しかしながら、第2の基板はフレキシブル配線基板に限定されるものではなく、折り曲げ可能な基板であればリジッドフレキ基板等の他の基板を用いることも可能である。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
第1の部品が実装される第1の基板と、
第2の部品が実装されると共に前記第1の基板に接続され、前記第1の部品の実装位置に向け折り曲げられた第2の基板と、
を有する部品実装構造。
(付記2)
前記第2の基板は、前記第1の基板に対し略直角に折り曲げられている付記1記載の部品実装構造。
(付記3)
前記第2の部品は、前記第1の部品に固定される付記1又は2に記載の部品実装構造。
(付記4)
前記第2の基板は、前記第1の基板に固定される固定部と、該固定部から外側に向け延出すると共に前記第2の部品が実装される延出部とを有する付記1乃至3のいずれか一項に記載の部品実装構造。
(付記5)
前記固定部は、前記第1の部品と前記第1の基板との間に配設され、前記第1の部品の端子が前記第1の基板に接続されることにより前記第1の基板に固定される付記1乃至4のいずれか一項に記載の部品実装構造。
(付記6)
前記第1の部品の端子は、前記固定部に形成された貫通孔を介し前記第2の基板と絶縁された状態で前記第1の基板に接続される第1の端子と、前記固定部に形成されたスルーホール電極を介し前記第1及び第2の基板に共に接続される第2の端子とを有する付記5記載の部品実装構造。
(付記7)
前記固定部に第1補強用電極を設けると共に、前記第1の基板に第2の補強用電極を設け、前記第1補強用電極と前記第2の補強用電極が補強用はんだで固定されてなる付記5又は6記載の部品実装構造。
(付記8)
前記固定部は、前記第1の基板の前記第1の部品の実装位置の外側に設けられた電極に接続されることにより前記第1の基板に固定される付記1乃至4のいずれか一項に記載の部品実装構造。
(付記9)
複数の前記第2の基板を積層してなる付記8記載の部品実装構造。
(付記10)
前記接続端子は、複数のはんだボールを積層してなる付記1乃至9のいずれか一項に記載の部品実装構造。
(付記11)
前記第2の基板は、フレキシブル配線基板である付記1乃至10のいずれか一項に記載の部品実装構造。
(付記12)
前記第2の基板は、リジッドフレキ基板である付記1乃至10のいずれか一項に記載の部品実装構造。
(付記13)
前記第1の基板は、プリント配線基板である付記1乃至12のいずれか一項に記載の部品実装構造。
(付記14)
第1の基板に第1の部品を実装する第1の実装工程と、
第2の基板に第2の部品を実装する第2の実装工程と、
前記第1の基板に前記第2の基板を接続する接続工程と、
前記第2の基板を前記第1の基板上で、前記第1の部品に向け折り曲げる折曲工程とを有する部品実装方法。
(付記15)
前記折曲工程において、
前記第1の基板と前記第2の基板を略直角となるよう折り曲げる付記14記載の部品実装方法。
(付記16)
前記第2の部品を前記第1の部品に固定する固定工程を有する付記14又は15に記載の部品実装方法。
(付記17)
前記第2の基板に前記第1の基板に固定される固定部と、該固定部から外側に向け延出すると共に前記第2の部品が実装される延出部とを設け、
前記接続工程において、
前記固定部を前記第1の部品と前記第1の基板との間に配設し、前記第1の部品の端子が前記第1の基板に接続されることにより、前記第2の基板を前記第1の基板に固定する付記14乃至16のいずれか一項に記載の部品実装方法。
(付記18)
前記第2の基板に前記第1の基板に固定される固定部と、該固定部から外側に向け延出すると共に前記第2の部品が実装される延出部とを設け、
前記接続工程において、
前記固定部を前記第1の基板の前記第1の部品の実装位置の外側に設けられた電極に接続することにより、前記第2の基板を前記第1の基板に固定する付記14乃至16のいずれか一項に記載の部品実装方法。
(付記19)
前記接続工程において、
複数の前記第2の基板を積層する付記18記載の部品実装方法。
(付記20)
前記第2の基板は、フレキシブル配線基板である付記14乃至19のいずれか一項に記載の部品実装方法。
(付記12)
前記第2の基板は、リジッドフレキ基板である付記14至19のいずれか一項に記載の部品実装方法。
【符号の説明】
【0109】
10A〜10C 半導体装置ユニット
11 プリント配線基板
12 制御系BGA
13 メモリBGA
14 パスコン
15 フレキシブル配線基板
17,17A 接続電極
18 放熱フィン
19 バンプ
21 BGAボール
24 貫通孔
25 配線パターン
26 スルーホール電極
27 セラミック基板
28,29 はんだペースト
31,32,41 はんだボール
33 装置側電極
35,36 加熱治具
37 FPC電極
38,39 補強用電極
40 補強はんだ
42 積層接続電極
50,60 フレキシブル基板
52 接続固定電極
53 絶縁フィルム
54 ビア
55 カバーレイ
56 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品が実装される第1の基板と、
第2の部品が実装されると共に前記第1の基板に接続され、前記第1の部品の実装位置に向け折り曲げられた第2の基板と、
を有する部品実装構造。
【請求項2】
前記第2の基板は、前記第1の基板に対し略直角に折り曲げられている請求項1記載の部品実装構造。
【請求項3】
前記第2の部品は、前記第1の部品に固定される請求項1又は2に記載の部品実装構造。
【請求項4】
前記第2の基板は、前記第1の基板に固定される固定部と、該固定部から外側に向け延出すると共に前記第2の部品が実装される延出部とを有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の部品実装構造。
【請求項5】
前記固定部は、前記第1の部品と前記第1の基板との間に配設され、前記第1の部品の端子が前記第1の基板に接続されることにより前記第1の基板に固定される請求項1乃至4のいずれか一項に記載の部品実装構造。
【請求項6】
前記第1の部品の端子は、前記固定部に形成された貫通孔を介し前記第2の基板と絶縁された状態で前記第1の基板に接続される第1の端子と、前記固定部に形成されたスルーホール電極を介し前記第1及び第2の基板に共に接続される第2の端子とを有する請求項5記載の部品実装構造。
【請求項7】
前記固定部に第1補強用電極を設けると共に、前記第1の基板に第2の補強用電極を設け、前記第1補強用電極と前記第2の補強用電極が補強用はんだで固定されてなる請求項5又は6記載の部品実装構造。
【請求項8】
前記固定部は、前記第1の基板の前記第1の部品の実装位置の外側に設けられた電極に接続されることにより前記第1の基板に固定される請求項1乃至4のいずれか一項に記載の部品実装構造。
【請求項9】
前記第2の基板は、フレキシブル配線基板である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の部品実装構造。
【請求項10】
第1の基板に第1の部品を実装する第1の工程と、
第2の基板に第2の部品を実装すると共に、前記第2の基板を前記第1の部品の実装位置に向け折り曲げる第2の工程と
有する部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−199216(P2010−199216A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40930(P2009−40930)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】