説明

配管支持装置

【課題】耐候性に優れ、強風に晒される屋外などでも配管を強固に支持できる配管支持装置を提供する。
【解決手段】帯板状の板面に複数個の連結孔2が形成された金具本体1を設ける。該金具本体1の連結孔2を通して金具本体1をリップ溝形鋼Pに固定せしめる固定ボルト10を備える。金具本体1の他の連結孔2に着脱自在に装着され配管Qを支持する支持部材20を設ける。金具本体1の長手側縁に一対の屈曲片3を形成する。リップ溝形鋼Pのリップ部P1から開口部にかけて嵌合せしめる切欠き部4を屈曲片3に形成する。屈曲片3と切欠き部4との選択でリップ溝形鋼Pに対する並列配管又は直交配管を選択できるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にCチャンネルと称するリップ溝形鋼に、PF管と称する合成樹脂製可とう電線管を連結する際に使用する配管支持装置に係り、耐候性に優れ、強固に支持することができる配管支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーブルや電線管設置工事において、ナイロンバンドが使用されている。このナイロンバンドは一端部に形成された連結孔に他端部を挿入するだけの操作で連結できることから、作業性に優れ多くの支持具として使用されている。ところが、ナイロンバンドは、耐候性に弱点があり、経年劣化により数年で切れることも知られている。そのため、屋根上に設置される太陽電池モジュールの架台に装着される電線管設置工事などでは、ナイロンバンドに替わる耐候性に優れた支持具が求められている。
【0003】
一方、当出願人は先に、リップ溝形鋼に電線管を連結する際に使用する配管支持装置を提案している。この支持装置は、リップ溝型鋼の底部内側に装着する可撓性の圧着体を形成し、この圧着体に板状の連結部を設け、更に連結部に開口した連結孔に配管支持金具を着脱自在に装着するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2578072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の配管支持装置は、圧着体の弾性力を利用してリップ溝形鋼の内部に簡単に装着することができるので、特に室内の工事に好適である。ところが、電線管が強風に晒される屋外などでは、支持した電線管が揺れ易く、しかも片持ちの連結部に電線管を固定する構造であるため、屋外での使用に適していなかった。
【0006】
そこで本発明は、従来の配管支持装置を更に改良することで、特にリップ溝形鋼Pに配管Qを設置する配管工事などにおいて、耐候性に優れ、強風に晒される屋外などでも配管を強固に支持できる配管支持装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、帯板状の板面に複数個の連結孔2が形成された金具本体1と、該金具本体1の連結孔2を通して金具本体1をリップ溝形鋼Pに固定せしめる固定ボルト10と、金具本体1の他の連結孔2に着脱自在に装着され配管Qを支持する支持部材20とで構成され、金具本体1をリップ溝形鋼Pの開口部に重ねたときにリップ溝形鋼Pの長手外側面に嵌合する一対の屈曲片3を金具本体1の長手側縁に備え、該屈曲片3をリップ溝形鋼Pの開口部に直交させたときに、リップ溝形鋼Pのリップ部P1から開口部にかけて嵌合せしめる切欠き部4を屈曲片3に形成し、屈曲片3と切欠き部4との選択でリップ溝形鋼Pに対する並列配管又は直交配管を選択できるように構成したことにある。
【0008】
第2の手段において、前記切欠き部4は、前記屈曲片3の長手方向に沿って複数形成され、前記リップ溝形鋼P上に嵌合せしめる切欠き部4の位置を選択自在に構成したものである。
【0009】
第3の手段において、前記固定ボルト10は、リップ溝形鋼Pのリップ部P1に内側から係止する係止ナット11に固定するように構成されている。
【0010】
第4の手段は、前記連結孔2の周囲に、前記金具本体1の上面に突出する補強リブ2Aが形成され、連結孔2に固定ボルト10と支持部材20とを選択自在に装着するように構成したものである。
【0011】
第5の手段において、前記支持部材20は、前記配管Qの両側面から該配管Qを保持する一対の保持片22と、該保持片の一端を前記連結孔2に係止する係止突起21と、挟着片の他端部を相互にネジ止めするように形成された連結突起23とで構成されている。
【0012】
第6の手段において、前記固定ボルト10は、吊りボルト又はアンカーボルト又は他の部材に連結されたボルトを固定ボルト10として選択使用することで、金具本体1の固定部材を選択できるように構成されたことを課題解消のための手段とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1の如く、屈曲片3と切欠き部4との選択でリップ溝形鋼Pに対する並列配管又は直交配管を選択できるように構成したことにより、施工状態に応じた配管が可能になった。この結果、リップ溝形鋼Pに対して直交配管する場合や並列配管する場合のいずれにおいても強固な固定ができる。しかも、耐候性に優れ、強風に晒される屋外などでも使用可能であり、従来の可撓性の圧着体に配管Qを連結する構造に比べて極めて強固な連結ができる。
【0014】
請求項2の如く、リップ溝形鋼P上に嵌合せしめる切欠き部4の位置を選択自在に構成したことで、施工状況に応じて金具本体1の装着位置の修正も容易に行える。
【0015】
請求項3により、リップ溝形鋼Pのリップ部P1に内側から係止する係止ナット11に固定ボルト10を固定する構成により、リップ溝形鋼Pに対して簡単且つ強固な固定ができるものである。
【0016】
請求項4の補強リブ2Aにより連結孔2の強度が強化されているので、連結孔2に固定ボルト10と支持部材20とを選択自在に装着しても連結孔2の変形を防止することができる。また、複数の切欠き部4と複数の連結孔2とを組み合わせることで、リップ溝形鋼Pに対し、配管Qの位置や金具本体1の位置などを様々に調整することが可能である。
【0017】
請求項5の如き支持部材20により、金具本体1に対して支持部材20の向きを自由に変更できるので、施工状況に応じて配管Qの向きを調整することができる。
【0018】
請求項6の如く、固定ボルト10を変更することで、リップ溝形鋼P以外の固定部材や固定場所に配管Qを支持することができる。この際、切欠き部4を設けた屈曲片3は、金具本体1の補強材や躯体表面の支持材としての作用を奏することになる。この結果、屋外や屋内の広範囲での配管支持が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明にて並列配管した使用状態を示す要部斜視図である。
【図3】本発明の金具本体の一実施例を示す断面図である。
【図4】本発明にて並列配管した他の使用状態を示す要部斜視図である。
【図5】本発明にて直交配管した使用状態を示す要部斜視図である。
【図6】本発明を太陽電池の架台に使用した状態を示す要部斜視図である。
【図7】本発明を他の支持金具に装着する状態を示す概略斜視図である。
【図8】本発明を吊りボルトに装着した状態を示す側面図である。
【図9】本発明を躯体に直接固定した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によると、耐候性に優れ、強風に晒される屋外などでも配管を強固に支持できるなどといった当初の目的を達成した。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施例を説明する。本発明支持装置は、主に、Cチャンネルと称するリップ溝形鋼Pに、PF管と称する合成樹脂製可とう電線管等の配管Qを支持する際に使用するものである(図1参照)。リップ溝形鋼Pは、軽量形鋼の一種で、例えば屋根上に設置される太陽電池モジュールSの架台として使用されるなど、多くの構造物に使用されている(図6参照)。
【0022】
本発明の基本構成は、金具本体1と固定ボルト10と支持部材20とで構成される(図1参照)。金具本体1は、帯板状の板面に複数個の連結孔2が形成された部材で、金具本体1の長手側縁に一対の屈曲片3を形成している。この屈曲片3は、金具本体1をリップ溝形鋼Pの開口部に重ねたときにリップ溝形鋼Pの長手外側面に嵌合するように形成されている(図5参照)。
【0023】
また、屈曲片3には、切欠き部4が形成されている(図2参照)。この切欠き部4は、屈曲片3をリップ溝形鋼Pの開口部に直交させたときに、リップ溝形鋼Pのリップ部P1から開口部にかけて屈曲片3が嵌合するように形成している。このように、リップ溝形鋼Pに対して屈曲片3と切欠き部4とを選択することで、リップ溝形鋼Pに対する並列配管(図4参照)又は直交配管(図5参照)を選択することができる。図示例の切欠き部4は、屈曲片3の長手方向に沿って複数の切欠き部4を波形状に形成し、リップ溝形鋼Pの開口部に嵌合させる切欠き部4の位置を選択できるようにしている(図2、図4参照)。
【0024】
更に、金具本体1の板面には複数個の連結孔2を開穿している(図1参照)。この連結孔2は、後述する固定ボルト10と支持部材20とを選択自在に装着するもので、図示例では、金具本体1の長手方向に沿って3個の連結孔2が形成されている。また、この連結孔2の周囲に補強リブ2Aを設けている(図3参照)。この補強リブ2Aは、連結孔2の周囲が金具本体1の上面に突出する略ドーナツ形状に形成されており、連結孔2に固定する部材への支持強度を高めている。
【0025】
連結孔2には、固定ボルト10と支持部材20が連結される(図1参照)。固定ボルト10は、金具本体1の連結孔2を通して金具本体1をリップ溝形鋼Pに固定せしめるボルトである。一方、支持部材20は、配管Qを支持する部材であり、連結孔2を介してこれらの部材を金具本体1に連結することで、本発明支持装置が完成する。
【0026】
図示例の支持部材20は、前記配管Qの両側面から該配管Qを保持する一対の保持片22と、該保持片の一端を前記連結孔2に係止する係止突起21と、挟着片の他端部を相互にネジ止めするように形成された連結突起23とで構成されたものである(図1参照)。この支持部材20によると、連結孔2に係止した係止突起21により、支持部材20の向きを自由に変更することができる。
【0027】
一方、固定ボルト10は、リップ溝形鋼Pのリップ部P1に内側から係止する係止ナット11に固定するように構成されている(図1参照)。図示例では、金具本体1と固定ボルト10との間に、平座金12、ばね座金13を介して係止ナット11にネジ止めしている。また、この係止ナット11は平面矩形状を成すもので、リップ部P1に沿ってスライド移動自在に形成されたものである。
【0028】
本発明支持装置では、主にリップ溝形鋼Pに配管Qを支持する際に好適であるが、固定ボルト10を変更することにより、他の部材や構造物にも配管Qを支持することができる。例えば、図7に示すように、支持金具Rに連結されているボルトを固定ボルト10として使用することで、この支持金具Rに配管Qを支持することができる。また、図8に示す如く、吊りボルトを固定ボルト10として使用することで、金具本体1を懸吊した状態での配管Q支持が可能になる。更に、図9に示す如く、躯体表面に打込み固定するアンカーボルトを固定ボルト10として使用することで、躯体に沿って配管Qを支持することができる。このように、本発明支持装置はリップ溝形鋼P以外でも、固定ボルト10が使用できる範囲で配管Qを支持することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の実施例において、支持部材20は配管Qを支持するように示されているが、この支持部材20を変更することにより、ケーブル等を直接支持することも可能である。また、本発明支持装置の各構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で自由な変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
P リップ溝形鋼
P1 リップ部
Q 配管
R 支持金具
S 太陽電池モジュール
1 支持本体
2 連結孔
2A 補強リブ
3 屈曲片
4 切欠き部
10 固定ボルト
11 係止ナット
12 平座金
13 ばね座金
20 支持部材
21 係止突起
22 保持片
23 連結突起
24 連結ネジ
25 連結ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板状の板面に複数個の連結孔が形成された金具本体と、該金具本体の連結孔を通して金具本体をリップ溝形鋼に固定せしめる固定ボルトと、金具本体の他の連結孔に着脱自在に装着され配管を支持する支持部材とで構成され、金具本体をリップ溝形鋼の開口部に重ねたときにリップ溝形鋼の長手外側面に嵌合する一対の屈曲片を金具本体の長手側縁に備え、該屈曲片をリップ溝形鋼の開口部に直交させたときに、リップ溝形鋼のリップ部から開口部にかけて嵌合せしめる切欠き部を屈曲片に形成し、屈曲片と切欠き部との選択でリップ溝形鋼に対する並列配管又は直交配管を選択できるように構成したことを特徴とする配管支持装置。
【請求項2】
前記切欠き部は、前記屈曲片の長手方向に沿って複数形成され、前記リップ溝形鋼上に嵌合せしめる切欠き部の位置を選択自在に構成した請求項1記載の配管支持装置。
【請求項3】
前記固定ボルトは、リップ溝形鋼のリップ部に内側から係止する係止ナットに固定するように構成された請求項1記載の配管支持装置。
【請求項4】
前記連結孔の周囲に、前記金具本体の上面に突出する補強リブが形成され、該連結孔に固定ボルトと支持部材とを選択自在に装着するように構成した請求項1記載の配管支持装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記配管の両側面から該配管を保持する一対の保持片と、該保持片の一端を前記連結孔に係止する係止突起と、挟着片の他端部を相互にネジ止めするように形成された連結突起とで構成された請求項1記載の配管支持装置。
【請求項6】
前記固定ボルトは、吊りボルト又はアンカーボルト又は他の部材に連結されたボルトを固定ボルトとして選択使用することで、金具本体の被固定部材を選択できるように構成された請求項1記載の配管支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−244579(P2011−244579A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113941(P2010−113941)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000136686)株式会社ブレスト工業研究所 (74)
【Fターム(参考)】