説明

重合性単量体、及びそれを用いて得られる高分子化合物、有機デバイス用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、並びに有機デバイス、有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】塗布法で膜を形成することができ、発光効率が高く、寿命が長く、特に高温駆動での寿命が長い有機デバイス(特に有機エレクトロルミネッセンス素子)、及びそれを実現する重合性単量体とそれを用いた高分子化合物、有機デバイス用材料(特に有機エレクトロルミネッセンス素子用発光材料)を提供すること。
【解決手段】下記式で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−(Ar2m−(Ar3n−(Ar4o−Arb
(Ara及びArbは、それぞれ独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、9,9−ジアルキルフルオレン環、9,9−ジフェニルフルオレン環、クリセン環、フルオランテン環、ベンゾ[b]フルオランテン環、フェナントレン環、ベンゾフェナントレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンゾクリセン環、ピセン環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環からなる一価の基であり、置換基を有していてもよい。Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、9,9−ジアルキルフルオレン環、9,9−ジフェニルフルオレン環、クリセン環、フルオランテン環、ベンゾ[b]フルオランテン環、フェナントレン環、ベンゾフェナントレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンゾクリセン環、ピセン環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環からなる連結基であり、アリール基及びヘテロアリール基以外の置換基を有していてもよい。m、n及びoは、それぞれ独立に、0又は1である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型基板に低コストで成膜可能な塗布法にて膜を形成することができ、発光効率が高く、寿命が長く、特に高温駆動での寿命が長い有機デバイス(特に有機エレクトロルミネッセンス素子)を実現し得る重合性単量体、それを用いて得られる高分子化合物、該高分子化合物を含有する有機デバイス用材料(特に有機エレクトロルミネッセンス素子用材料)、及び有機デバイス(特に有機エレクトロルミネッセンス素子)に関する。
【背景技術】
【0002】
陽極と陰極との間に発光層を含む有機薄膜層を備え、発光層に注入された正孔と電子との再結合によって生じる励起子(エキシトン)エネルギーから発光を得る有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子が知られている。有機EL素子は、自発光型素子としての利点を活かし、発光効率、画質、消費電力さらには薄型のデザイン性に優れた発光素子として期待されている。
有機EL素子の課題としては、例えば発光効率のさらなる改善が挙げられる。近年、発光効率を改善すべく、内部量子効率を高めることを目的として、3重項励起子からの発光が得られる発光材料(燐光発光材料)の開発が進められ、燐光発光性を有する有機EL素子が報告されている。
このような燐光発光材料を用いて発光層(燐光発光層)を構成することにより、75%以上、理論上では100%近い内部量子効率を得ることができ、高発光効率及び低消費電力の有機EL素子が得られる。
発光層を形成するにあたっては、ホスト材料に、ドーパントとして発光材料をドーピングするドーピング法が知られている。
ドーピング法で形成した発光層では、ホスト材料に注入された電荷から効率良く励起子を生成することができる。そして、生成された励起子の励起子エネルギーをドーパントに移動させ、ドーパントから高効率の発光を得ることができる。
ここで、ホスト材料から燐光発光性のドーパントに分子間エネルギー移動を行うためには、ホスト材料の励起3重項エネルギー(EgH)が、燐光ドーパントの励起3重項エネルギー(EgD)よりも大きいことが必要である。そのため、効率良く燐光発光材料にエネルギー移動を行うことができ、且つ実用的に長寿命となるホスト材料が開発されてきた(特許文献1〜5参照)
【0003】
一方、このような有機EL素子を用いたディスプレイや照明デバイスの実用化検討が活発化しているが、特に低コスト化、大画面化が大きな課題として挙げられている。そのため、これまでの有機EL素子用材料の真空蒸着法に代わって、(溶液)塗布法の期待が高まっている。塗布法にすると、材料の利用効率が高い、大画面成膜が容易になる、真空系が不要なため、装置コストが安価になることが期待されている。
従って、塗布法の利用が可能な有機EL素子用材料が必要となってくるが、特許文献1〜5に記載の低分子系の燐光有機EL素子用材料(発光層のホスト材料)は、塗布溶媒に対する溶解性に乏しく、均一な塗布膜を得ることは難しかった。
そこで、塗布溶媒に対する溶解性の高い高分子系の燐光有機EL素子用材料を用い、均一な塗布膜(発光層)を得る方法が開示されている(特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−27048号公報
【特許文献2】特開2005−63938号公報
【特許文献3】国際公開第09/008342号パンフレット
【特許文献4】国際公開第09/008215号パンフレット
【特許文献5】国際公開第09/008216号パンフレット
【特許文献6】特開2007−023269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献6に記載の有機EL素子では、ディスプレイや照明用途で実用的な高輝度での高温駆動を行うと、寿命が極めて短くなるという問題がある。
そこで本発明は、塗布法で膜を形成することができ、発光効率が高く、寿命が長く、特に高温駆動での寿命が長い有機デバイス(特に有機EL素子)、及びそれを実現する重合性単量体とそれを用いて得られる高分子化合物、該高分子化合物を含有する有機デバイス用材料、特に、有機EL素子用発光材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも一つの重合性官能基(1種類の単位化合物の分子が、2つ以上結合して、単位化合物の整数倍の分子量をもつ化合物を生成する化学反応を引き起こす官能基)を導入した特定構造の重合性単量体を用い、それを含む原料を重合することにより得られる高分子化合物を、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、特に燐光発光材料(ホスト材料)として用いることにより、前記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記[1]〜[5]に関する。
[1]下記式(1)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−(Ar2m−(Ar3n−(Ar4o−Arb (1)
(式中、Ara及びArbは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のクリセン環、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のベンゾ[b]フルオランテン環、置換もしくは無置換のフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾクリセン環、置換もしくは無置換のピセン環、置換もしくは無置換のジベンゾフラン環又は置換もしくは無置換のジベンゾチオフェン環からなる一価の基を表す。
Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のクリセン環、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のベンゾ[b]フルオランテン環、置換もしくは無置換のフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾクリセン環、置換もしくは無置換のピセン環、置換もしくは無置換のジベンゾフラン環又は置換もしくは無置換のジベンゾチオフェン環からなる連結基を表す。
但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。
m、n及びoは、それぞれ独立に、0又は1である。)
[2]少なくとも上記[1]に記載の重合性単量体を含む原料を重合することにより得られる高分子化合物。
[3]上記[2]に記載の高分子化合物を含む有機デバイス用材料。
[4]上記[3]に記載の有機デバイス用材料を用いて得られる有機デバイス。
[5]上記[3]に記載の高分子化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
[6]陽極及び陰極、並びに該陽極と該陰極に挟持された少なくとも1層からなる有機化合物層を含んでなり、該有機化合物層が、上記[5]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の効果】
【0008】
本発明の重合性単量体を含む原料を重合することにより得られた高分子化合物は、塗布法にて膜を形成することができるため、該高分子化合物を用いることにより、低コストにて大画面の有機デバイス(特に有機EL素子)を製造することができる。こうして得られる有機デバイス(特に有機EL素子)は、発光効率が高く、さらに寿命(特に高温駆動での寿命)が長い。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[重合性単量体]
本発明の重合性単量体は、下記式(1)に1つ以上の重合性官能基が置換されている化合物である。
Ara−Ar1−(Ar2m−(Ar3n−(Ar4o−Arb (1)
重合性官能基は2つ以上有していてもよいが、後述する高分子化合物の、重合溶媒や塗布溶媒への溶解性を向上させるという観点から、重合性官能基の置換数は1つであることが好ましい。
ここで、重合性官能基とは、1種類の単位化合物の分子が、2つ以上結合して、単位化合物の整数倍の分子量をもつ化合物を生成する化学反応を引き起こす官能基である。なお、重合性官能基の具体例については後述する。
該重合性単量体を含む原料を重合することにより得られる高分子化合物は、塗布法にて膜を形成することができ、低コストにて大画面の有機デバイスを製造することができるため、有機デバイス用材料、特に有機EL素子用材料として有用である。
【0010】
上記式(1)中、Ara及びArbは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のクリセン環、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のベンゾ[b]フルオランテン環、置換もしくは無置換のフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾクリセン環、置換もしくは無置換のピセン環、置換もしくは無置換のジベンゾフラン環又は置換もしくは無置換のジベンゾチオフェン環からなる一価の基を表す。
なお、9,9−ジアルキルフルオレン環中のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜15のアルキル基が挙げられる。9,9−ジアルキルフルオレン環中の2つのアルキル基としては、有機EL素子の発光効率及び寿命の観点から、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0011】
上記各基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、環形成炭素数5〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜10のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、シアノ基又はハロゲン原子が挙げられ、置換基がアリール基やヘテロアリール基であることはない。
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、各種ペンチル基(「各種」とは、直鎖及びあらゆる分岐鎖を含むことを示し、以下同様である。)、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
炭素数1〜20のハロアルキル基としては、上記アルキル基にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、硫黄原子等のハロゲン原子が置換したものを例示することができ、例えばクロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基等が挙げられる。
環形成炭素数5〜18のシクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等が挙げられる。環形成炭素数5〜10のシクロアルキル基が好ましく、環形成炭素数5〜8のシクロアルキル基がより好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基がさらに好ましい。
【0012】
炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基としては、上記炭素数1〜20のアルキル基で例示したアルキル基を有するトリアルキルシリル基が挙げられ、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−n−オクチルシリル基、トリイソブチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジメチル−n−プロピルシリル基、ジメチル−n−ブチルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基等が挙げられる。3つのアルキル基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜10のアルキル基を有するトリアルキルシリル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基を有するトリアルキルシリル基がより好ましく、トリメチルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基がさらに好ましい。
環形成炭素数6〜10のアリール基を有するトリアリールシリル基が有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。該トリアリールシリル基の具体例としては、例えばトリフェニルシリル基等が挙げられる。該アリール基としては、フェニル基が好ましい。
炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するアルキルアリールシリル基としては、前記炭素数1〜20のアルキル基で例示したアルキル基と前記環形成炭素数6〜10のアリール基で例示したアリール基とを有するジアルキルモノアリールシリル基又はモノアルキルジアリールシリル基が挙げられる。該ジアルキルモノアリールシリル基の具体例としては、フェニルジメチルシリル基等が挙げられる。該モノアルキルジアリールシリル基の具体例としては、ジフェニルメチルシリル基、ジフェニル−t−ブチルシリル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するアルキルアリールシリル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するアルキルアリールシリル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するジアルキルモノアリールシリル基がより好ましく、フェニルジメチルシリル基がさらに好ましい。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中でもフッ素原子が好ましい。
【0013】
上記式(1)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のクリセン環、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のベンゾ[b]フルオランテン環、置換もしくは無置換のフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾクリセン環、置換もしくは無置換のピセン環、置換もしくは無置換のジベンゾフラン環又は置換もしくは無置換のジベンゾチオフェン環からなる連結基を表す。
また、m、n及びoは、それぞれ独立に、0又は1である。
上記各基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、環形成炭素数5〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜10のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、シアノ基又はハロゲン原子が挙げられ、置換基がアリール基やヘテロアリール基であることはない。これら置換基の具体例及び好ましいものは、前記したAra及びArbにおける置換基の説明と同様である。
【0014】
Ara、Arb、Ar1〜Ar4が以上のような置換基を有する場合、高分子化合物を形成する際に、重合性単量体の重合溶媒への溶解性が高くなるため、重合性単量体の繰り返し単位数を増やすことができ、得られる高分子化合物の塗布溶媒への溶解性が向上するとともに、塗布液の粘度が適度に向上し、均一な塗布膜を形成し易くなるため好ましい。また、上記置換基により、有機EL素子用材料(特にホスト材料)としての安定性が高まり、有機EL素子をより長寿命化することもできる。
また、前述の通り、基本構造の置換基にはアリール基及びヘテロアリール基が含まれていないため、共役系が広がらず、励起3重項エネルギー(EgT)の大きさを維持することができる。
なお、該置換基は、重合性官能基を有する環上には無いことが好ましい。これは、高分子化合物を形成する際に立体障害が小さくすることで、重合性単量体の繰り返し単位を増やすことができ、塗布液の粘度が適度に向上するので、均一な塗布膜を形成することが可能になるからである。このような理由から、置換基は、Arb又はAr1に置換していることが好ましく、さらにベンゼン環又はナフタレン環に置換していることが好ましい。
【0015】
本発明の重合性単量体を含む原料を重合することにより得られる高分子化合物を有機EL素子の発光層のホスト材料とすると、該高分子化合物の3重項エネルギーギャップが大きいことから、特に有効に赤色の燐光発光性を有するドーパントを発光させることができる。また、本発明の重合性単量体は、3重項エネルギーギャップ(励起3重項エネルギー)が大きいことから、1重項エネルギーギャップ(励起1重項エネルギー)が大きくなり、あらゆる(例えば青〜赤発光の)蛍光ドーパントも発光させることができるというメリットも有する。
本発明の重合性単量体は、窒素原子を含まない多環式骨格を基本構造(重合性官能基と置換基を除く部位を指す。)として有するため、分子の安定性が高く、有機EL素子を長寿命化し得る。
このとき、基本構造の核原子数(芳香環を形成する水素原子以外の原子数、つまり炭素原子、酸素原子及び硫黄原子の原子数を指す。)が少なすぎると、分子の安定性が十分に高くならない。一方、基本構造の核原子数が多くなりすぎるとHOMO−LUMOギャップが狭くなって3重項エネルギーギャップが有用な発光波長に満たなくなる。この点、本発明の重合性単量体は、基本構造に適度な核原子数を有するため、有用な発光波長を示し、安定性も高い燐光発光層の燐光ホストとして好適に利用することができる。
【0016】
ところで、本発明の重合性単量体は、基本構造にアントラセンを含まない。アントラセンは、励起3重項エネルギー(EgT)が1.9eV程度と比較的小さいため、520nm〜720nmの可視光領域の発光波長を有する燐光ドーパントに対するエネルギー移動が確保できず、さらに、励起された3重項エネルギーを発光層内に閉じ込めることができないことが判明したためである。
また、本発明の重合性単量体は、基本構造にペリレン、ピレン及びナフタセン等も含まないが、これは上記アントラセン誘導体の場合と同様の理由である。
【0017】
以上のように定義される重合性単量体の中でも、塗布容易性並びに有機EL素子の発光効率及び寿命の観点から、さらに以下の(A)〜(K)ように定義される重合性単量体が好ましい。
<(A)>
下記式(1−1)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Arb (1−1)
上記式(1−1)中、Ar1は、置換もしくは無置換のベンゼン環からなる連結基を表す。Ar1が置換もしくは無置換のベンゼン環からなる連結基であることにより、安定性に優れた有機EL素子用薄膜を形成することができ、有機EL素子がより高発光効率及び長寿命となる。
該ベンゼン環が有してもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。特に、式(1−1)においては、置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、環形成炭素数5〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、シアノ基又はハロゲン原子が好ましく、より好ましいものは前記の通りである。
また、Ara、Arb及びAr2は、前記式(1)中における定義の通りであり、好ましいものも同じであり、また、それらの置換基についても同様である。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0018】
以下の(B)〜(H)の規定は、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のジベンゾフラン環といった、フルオレン骨格又はジベンゾフラン骨格を必須とする構造に関する規定である。
<(B)>
下記式(1−2)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−Arb (1−2)
上記式(1−2)中、Araは、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環又は置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる一価の基を表す。
Ar1は、置換もしくは無置換のナフタレン環又は置換もしくは無置換のクリセン環からなる連結基を表す。
Arbは、前記式(1)中における定義の通りであり、好ましいものも同じである。
Ara、Arb及びAr1が有してもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。有機EL素子の発光効率及び寿命の観点から、Ara、Arb及びAr1は、いずれも無置換であるのも好ましい。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0019】
<(C)>
下記式(1−3)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−Arb (1−3)
上記式(1−3)中、Ar1は、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環又は置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環からなる一価の基を表す。
Ara及びArbは、前記式(1)中における定義の通りであり、好ましいものも同じである。
また、Ara、Arb及びAr1が有していてもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0020】
<(D)>
下記式(1−4)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Arb (1−4)
上記式(1−4)中、Araは、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環又は置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる一価の基を表す。
Ar1は、置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基を表す。Ar1が置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基であることにより、安定性に優れた有機EL素子用薄膜を形成することができ、有機EL素子がより高発光効率及び長寿命となる。
Arb及びAr2は、前記式(1)中における定義の通りであり、好ましいものも同じである。
Ara、Arb、Ar1及びAr2が有してもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0021】
<(E)>
下記式(1−5)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Arb (1−5)
上記式(1−5)中、Araは、置換もしくは無置換のナフタレン環からなる一価の基を表す。
Ar1は、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環又は置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる連結基を表す。
Arb及びAr2は、前記式(1)中における定義の通りであり、好ましいものも同じである。
Ara、Arb、Ar1及びAr2が有してもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0022】
<(F)>
下記式(1−6)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Arb (1−6)
上記式(1−6)中、Ar1及びAr2のうち、一方が置換もしくは無置換のナフタレン環を表し、他方が置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環又は置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる連結基を表す。
Arb及びAr2は、前記式(1)中における定義の通りであり、好ましいものも同じである。
Ara、Arb、Ar1及びAr2が有してもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。なお、有機EL素子の発光効率及び寿命の観点から、Ara、Arb、Ar1及びAr2は、いずれも無置換であるのも好ましい。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0023】
<(G)>
下記式(1−7)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Arb (1−7)
上記式(1−7)中、Araは、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環又は置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環からなる一価の基を表す。
Ar1は、置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる連結基を表し、Ar2は、置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基を表す。Ar2が置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基であることにより、安定性に優れた有機EL素子用薄膜を形成することができ、有機EL素子がより高発光効率及び長寿命となる。
Arbは前記式(1)中における定義の通りであり、好ましいものも同じである。
Ara、Arb、Ar1及びAr2が有してもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。有機EL素子の発光効率及び寿命の観点から、Ara、Arb、Ar1及びAr2は、いずれも無置換であるのも好ましい。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0024】
<(H)>
下記式(1−8)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Ar3−Arb (1−8)
上記式(1−8)中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環又は置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環からなる連結基を表す。
Ara、Arb及びAr3は、前記式(1)中における定義の通りであり、好ましいものも同じである。
Ara、Arb、Ar1、Ar2及びAr3が有してもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。有機EL素子の発光効率及び寿命の観点から、Ara、Arb、Ar1、Ar2及びAr3は、いずれも無置換であるのも好ましい。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0025】
(H)で定義される重合性単量体の中でも、下記の3種の重合性単量体が好ましい。
Ar1が、置換もしくは無置換のナフタレン環を表し、Ar2が、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環又は置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環からなる連結基を表す重合性単量体。
Ar1が、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環又は置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環からなる連結基を表し、Ar2が、置換もしくは無置換のナフタレン環を表す重合性単量体。
Araが、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環又は置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環からなる一価の基を表し、Ar1が、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環又は置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環からなる連結基を表し、Ar2が、置換もしくは無置換のナフタレン環を表す重合性単量体。
【0026】
<(I)>
下記式(1−9)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−(Ar3n−Arb (1−9)
上記式(1−9)中、n=0又は1である。
Araは、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のクリセン環、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のベンゾ[b]フルオランテン環、置換もしくは無置換のフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾクリセン環、置換もしくは無置換のピセン環又は置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる一価の基を表す。
Ar1は、置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基を表し、Ar2は、置換もしくは無置換のベンゼン環又は置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基を表す。Ar1及びAr2が上記連結基であることにより、安定性に優れた有機EL素子用薄膜を形成することができ、有機EL素子がより高発光効率及び長寿命となる。
Ar3は、前記式(1)中における定義の通りであり、好ましいものも同じである。
Arbは、3重項エネルギーが2.10eV以上である、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のジベンゾフェナントレン環又は置換もしくは無置換のベンゾクリセン環からなる一価の基を表す。
Ara、Arb、Ar1、Ar2及びAr3が有してもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。有機EL素子の発光効率及び寿命の観点から、Ara、Arb、Ar1、Ar2及びAr3は、いずれも無置換であるのも好ましい。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0027】
<(J)>
前記式(1)中、Ara及びArbが、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾクリセン環からなる一価の基を表し、Ar1が、置換もしくは無置換のベンゼン環又は置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基を表す、重合性単量体。
Ar1が上記連結基であることにより、安定性に優れた有機EL素子用薄膜を形成することができ、有機EL素子がより高発光効率及び長寿命となる。
Ara、Arb、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4が有してもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0028】
以上の(A)〜(J)で定義される重合性単量体においては、有機EL素子の発光効率及び寿命の観点から、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4がそれぞれ独立して表す連結基の内、ベンゼン環は1,3−位で連結されるものであり、ナフタレン環は2,7−位で連結されるものであることが好ましい。
ベンゼン環やナフタレン環がこのような位置で連結された連結基であることにより、分子の直線性及び剛直性が失われ、高分子化合物を形成する際に、重合性単量体の重合溶媒への溶解性が高くなる。そのため、重合性単量体の繰り返し単位が増加し、得られる高分子化合物の塗布溶媒への溶解性が向上するとともに、塗布液の粘度が適度に向上するためにより均一な塗布膜を形成することができる。
また、ベンゼン環やナフタレン環がこのような位置で連結された連結基であることにより、分子の安定性が高まるため、有機EL素子がより長寿命化する。
【0029】
<(K)>
下記式(1−10)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
【化1】

上記式(1−10)中、Ara、Arb、Ar1、Ar3、Ar4、n及びoは、前記式(1)中の定義の通りである。Ar1とAr3の間に介在するナフタレン環は、置換基又は無置換のナフタレン環である。
Ara、Arb、Ar1、Ar3及びAr4並びにAr1とAr3の間に介在するナフタレン環が有してもよい置換基としては、前記式(1)の説明において記載した置換基と同じものを例示でき、その具体例も同じものを例示でき、好ましいものも同じである。
なお、いずれの置換基も、アリール基やヘテロアリール基であることはない。
【0030】
本発明の重合性単量体の具体例として、重合性官能基を省略した構造の具体例を以下に示すが、特にこれらに限定されるものではない。
【0031】
【化2】

【0032】
【化3】

【0033】
【化4】

【0034】
【化5】

【0035】
【化6】

【0036】
【化7】

【0037】
【化8】

【0038】
【化9】

【0039】
【化10】

【0040】
【化11】

【0041】
【化12】

【0042】
【化13】

【0043】
【化14】

【0044】
【化15】

【0045】
【化16】

【0046】
【化17】

【0047】
【化18】

【0048】
【化19】

【0049】
【化20】

【0050】
【化21】

【0051】
【化22】

【0052】
【化23】

【0053】
【化24】

【0054】
【化25】

【0055】
【化26】

【0056】
【化27】

【0057】
【化28】

【0058】
【化29】

【0059】
【化30】

【0060】
【化31】

【0061】
【化32】

【0062】
【化33】

【0063】
【化34】

【0064】
【化35】

【0065】
【化36】

【0066】
【化37】

【0067】
【化38】

【0068】
【化39】

【0069】
【化40】

【0070】
(重合性官能基)
本発明の重合性単量体が有する重合性官能基としては、下記式(i)〜(iv)のいずれかが好ましい。
【化41】

【0071】
上記式(i)〜(iv)中の波線は結合部位を表す。
上記式(i)〜(iv)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜22のアリール基を表す。
1及びR2がそれぞれ独立に表す炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
該アルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば環形成炭素数5〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜10のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、ハロゲン原子が好ましい。これらの具体例としては、Ara及びArbの置換基と同じものを例示でき、好ましいものも同じものが挙げられる。
また、R1及びR2がそれぞれ独立に表す環形成炭素数6〜22のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、クリセニル基、フルオランテニル基、フルオレニル基、9,10−ジアルキルフルオレニル基、9,10−ジアリールフルオレニル基、トリフェニレニル基、フェナントレニル基、ベンゾフェナントレニル基、ジベンゾフェナントレニル基、ベンゾトリフェニレニル基、ベンゾクリセニル基、ジベンゾフラニル基等が挙げられる。これらの中でも、環形成炭素数6〜18のアリール基が好ましく、環形成炭素数6〜14のアリール基がより好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。
該アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、環形成炭素数5〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜10のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、ハロゲン原子が好ましい。これらの具体例としては、Ara及びArbの置換基と同じものを例示でき、好ましいものも同じものが挙げられる。
以上の中でも、R1、R2としては、重合性単量体の繰り返し単位を増加させる観点から、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。
【0072】
上記式(i)〜(iv)中、L1は、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換のビニレン基、置換もしくは無置換のビニリデン基、エチニレン基、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NR2−、−NR2−C(=O)−、−NR2−、−S−又は−C(=S)−のいずれかを表す。
1が表す炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
1が表すアルキレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、環形成炭素数5〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜10のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、ハロゲン原子が好ましい。これらの具体例としては、Ara及びArbの置換基と同じものを例示でき、好ましいものも同じものが挙げられる。
該L1により、重合性単量体の重合溶媒への溶解性が向上し、重合反応率が高まるために未反応単量体が減り、その結果、有機デバイス(特に有機EL素子)の寿命が向上する傾向にある。また、高分子化合物の塗布溶媒への溶解性が向上し、より均一な塗布膜が得られる。
上記R2は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜22のアリール基を表す。該アルキル基、アリール基としては、R1及びR2と同じものが例示できる。R2としては、水素原子が好ましい。
pは、0又は1を表す。
【0073】
上記式(i)〜(iv)で表される重合性官能基の具体例としては、以下のものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【化42】

【0074】
本発明の重合性単量体が有する重合性官能基としては、前記式(i)〜(iv)で表されるもの以外にも、置換もしくは無置換のノルボルネン骨格を有する基(但し、前記式(iii)で表される重合性官能基を除く。)、置換もしくは無置換のエポキシ基又はオキセタン基を有する基、ラクトン構造もしくはラクタム構造を有する基、シクロオクタテトラエニル基、1,5−シクロオクタジエニル基、α,ω−ジエニル基、α,ω−ジイニル基等が好ましく挙げられる。
なお、本発明の重合性単量体の製造方法に特に制限は無く、本明細書の実施例を参照しながら、公知の方法を利用及び応用して製造することができる。
【0075】
本発明の高分子化合物は、本発明の重合性単量体1種を単独で原料として重合することにより得られる単独重合体(以下、高分子化合物(1)と称する。)であるか、又は本発明の重合性単量体2種以上を原料として共重合することにより得られる共重合体(以下、高分子化合物(2)と称する。)もしくは本発明の重合性単量体と他の重合性単量体を原料として共重合することにより得られる共重合体(以下、高分子化合物(3)と称する。)である。
本発明の高分子化合物は、本発明の重合性単量体に基づく構成単位[以下、構成単位(a)と称する。]を、0モル%を超え100モル%含有する。上記高分子化合物(3)の場合、構成単位(a)を好ましくは1〜99モル%、より好ましくは30〜99モル%、より好ましくは50〜99モル%、より好ましくは70〜99モル%、さらに好ましくは80〜95モル%含有する。このように、高分子化合物(3)は、他の重合性単量体からなる構成単位を有しており、高分子化合物(3)を有機EL素子の発光層の材料として用いることにより、十分な発光強度が得られるためのエネルギー移動が生じ、十分な燐光発光又は蛍光発光が起こる。
上記「他の重合性単量体」としては、分子中にビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、エチニル基、ノルボルネニル基等の重合性官能基を有している化合物であれば特に制限は無いが、金属錯体が好ましい。該金属錯体は、燐光量子効率及び外部量子効率の観点から、Ir、Os、Pt、Au、Cu、Re、Ruのいずれかと配位子を有する金属錯体が好ましく、Ir、Os、Ptのいずれかと配位子を有する金属錯体が好ましく、Ir、Ptのいずれかと配位子を有する金属錯体が好ましく、さらにオルトメタル結合を有する金属錯体であることがより好ましく、オルトメタル化イリジウム錯体が特に好ましい。
より具体的には、他の重合性単量体としては、有機EL素子用材料として利用する観点から、下記式(A)で表される化合物であることが好ましい。
【0076】
【化43】

【0077】
上記式(A)中、M11は、重遷移金属を表す。該重遷移金属としては、有機EL素子の発光層のドーパントとしての有用性の観点から、Ir、Os、Pt、Au、Cu、Re、Ruが好ましく、周期律表第8〜10族原子がより好ましく、燐光量子効率及び外部量子効率の観点から、Ir、Os、Ptがより好ましく、周期律表第9族原子がより好ましく、イリジウム原子(Ir)がさらに好ましい。
11は、配位子を表す。M11に配位し得る配位子であれば特に制限は無い。また、キレート配位子であってもよく、特に、M11がIrである場合には、キレート配位子であることが好ましい。
11は、芳香族環又は複素環を形成する原子群を表す。Q11は芳香族環を形成する原子群であることが好ましい。Q12は、含窒素芳香環を形成する原子群を表す。Q11とQ12は、両者が結合して環構造を形成していてもよく、形成された環は、脂肪族環でも芳香環であってもよいし、飽和炭化水素部位を一部に含んだ芳香環であってもよい。また、m12が2〜4の整数の場合、複数のQ11同士、Q12同士、又はQ11とQ12は、結合して1つの配位子となっていてもよい。
11と、Q11又はQ12で形成される環は、少なくともいずれか一つが重合性官能基を有する。該重合性官能基としては、例えばビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、エチニル基、ノルボルネニル基等が挙げられる。
11は、0〜3の整数を表す。M11がIrの場合、m11は0又は1が好ましい。m12は、1〜4の整数を表し、M11がIrの場合、m11が1なら、m12は2が好ましく、m11が0なら、m12は3が好ましい。
上記式(A)で表される化合物であって、重合性官能基を省略した構造の具体例を以下に示すが、特にこれらに限定されるものではない。
【0078】
【化44】

【0079】
【化45】

【0080】
【化46】

【0081】
【化47】

【0082】
また、他の重合性単量体としては、有機EL素子用材料として利用する観点から、下記式(B)で表される化合物であるのも好ましい。
【化48】

【0083】
上記式(B)中、rは、0〜3の整数を表し、1が好ましい。
rが2又は3の場合、2つ又は3つの−NR1314は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。但し、rが0の場合、式(B)は、R1112NXHとして表される。
上記式(B)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜22のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数3〜20の複素環基又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表す。
11〜R14がそれぞれ独立に表す環形成炭素数6〜22のアリール基としては、前記R1及びR2が表すアリール基の具体例と同じものが例示でき、好ましいものも同じである。該アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記R1及びR2の場合と同じものが例示でき、好ましいものも同じである。
11〜R14がそれぞれ独立に表す環形成原子数3〜20の複素環基としては、例えばイミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピロール、フラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、オキサジアゾリン、インドリン、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾキノン、ピラロジン、イミダゾリジン、ピペリジン、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾフラン等の残基が挙げられる。該複素環基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記R1及びR2が表すアリール基の場合と同じ置換基を例示でき、好ましいものも同じであるが、特にメチル基等の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
11〜R14がそれぞれ独立に表す炭素数1〜20のアルキル基としては、前記R1及びR2が表すアルキル基の具体例と同じものが例示でき、好ましいものも同じである。
以上の中でも、R11〜R14としては、環形成炭素数6〜22のアリール基が好ましく、環形成炭素数6〜18のアリール基がより好ましく、環形成炭素数6〜14のアリール基がより好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。
なお、R11〜R14は、少なくともいずれか1つが重合性官能基を有しており、r=0の場合は、R11及びR12のうち少なくとも一方が重合性官能基を有する。該重合性官能基としては、前記同様のものが例示できる。
【0084】
上記式(B)中、Xは、置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜40の縮合芳香族環基、置換もしくは無置換のスチレン誘導基を表す。
Xが表す環形成炭素数10〜40の縮合芳香族環基としては、例えばナフタレン、フェナントレン、フルオランテン、アントラセン、ピレン、ペリレン、コロネン、クリセン、ピセン、ジナフチル、トリナフチル、フェニルアントラセン、ジフェニルアントラセン、フルオレン、トリフェニレン、ルビセン、ベンゾアントラセン、ジベンゾアントラセン、アセナフトフルオランテン、トリベンゾペンタフェン、フルオランテノフルオランテン、ベンゾジフルオランテン、ベンゾフルオランテン、ジインデノペリレン等の残基が挙げられる。これらの中でも、ナフタレン、フェナントレン、フルオランテン、アントラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、フェニルアントラセン、ジフェニルアントラセン、フルオレン、アセナフトフルオランテンの残基が好ましく、クリセンの残基がより好ましい。
Xが表すスチレン誘導基としては、例えば下記式(X1)で表される基等が挙げられる。
【0085】
【化49】

【0086】
上記式(X1)中、Ar10及びAr11は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜22のアリーレン基である。Ar12は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜22の2〜4価(好ましくは2価)の芳香族環基である。
15〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜22のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数7〜42(このうち、アリール部分の環形成炭素数は6〜22)のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜18のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜22のアリールオキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子(フッ素、塩素、ヨウ素、臭素)である。
上記の有していてもよい置換基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、環形成炭素数5〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜10のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜10のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、ハロゲン原子が挙げられる。これらの具体例は、Ara及びArbの置換基と同じものを例示でき、好ましいものも同じである。
sは0〜3の整数であり、好ましくは0又は1である。
上記式(B)で表される化合物の具体例を以下に示すが、特にこれらに限定されるものではない。
【0087】
【化50】

【0088】
【化51】

【0089】
【化52】

【0090】
【化53】

【0091】
共重合体である前記高分子化合物(2)及び(3)は、その結合形式に特に制限はなく、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダムブロック共重合体、櫛形共重合体、星型共重合体等のいずれであってもよいが、本発明の高分子化合物は、有機デバイス用材料(特に有機EL素子用材料)としての有用性の観点から、線形型重合体であるのが好ましい。
前記高分子化合物(3)の場合、繰り返し単位A(例えば、本発明の重合性単量体)と繰り返し単位B(他の重合性単量体)を含むランダム共重合体(―ABBABBBAAABA―)、交互共重合体(―ABABABABABAB―)、ブロック共重合体(―AAAAAABBBBBB―)、グラフト共重合体(繰り返し単位Aと繰り返し単位Bのどちらが主鎖であってもよいし、どちらが側鎖であってもよい)のいずれであってもよい。
【0092】
本発明の高分子化合物の分子量に特に制限はなく、2量体以上のオリゴマー程度の分子量から超高分子体の分子量まで任意に選択可能である。ゲル化を抑制し、有機EL素子等の作成において均質な成膜を行う観点及び溶解性の制御を容易にする観点から、数平均分子量(Mn)は、好ましくは103〜108、より好ましくは5×103〜106である。重量平均分子量(Mw)は、好ましくは103〜108、より好ましくは5×103〜106である。また、分子量分布(Mw/Mn)に特に制限は無いが、10以下が好ましく、3以下がさらに好ましい。なお、数平均分子量及び重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用い、標準ポリスチレンで検量して求めた。
【0093】
本発明の高分子化合物は、単量体を付加重合、環化重合又は開環重合することにより製造することができる。
本発明の高分子化合物を得るための重合方法に特に制限は無く、例えば、ラジカル重合法、イオン重合法、リビング重合法、ラジカルリビング重合法、配位重合法等の公知の方法を利用すればよい。これらの中でも、ラジカル重合法、カチオン重合法が好ましい。
ラジカル重合法の開始剤としては、例えばアゾ化合物、過酸化物が挙げられ、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソブチル酸ジエステル誘導体、過酸化ジベンゾイル(BPO)が好ましい。
カチオン重合の開始剤としては、各種強酸(p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等)、ルイス酸が好ましい。
【0094】
重合溶媒に特に制限は無く、公知の重合溶媒を使用すればよい。具体的には、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;メタノール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒等が挙げられる。なお、溶媒の選択により、均一系で重合する溶液重合や、生成したポリマーが沈澱する沈澱重合を行うこともできる。これらの重合溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合溶媒の使用量は、重合性単量体の濃度(本発明の重合性単量体及び他の重合性単量体の合計濃度)が0.1〜90質量%になるような量が好ましく、1〜50質量%になる量がより好ましい。
重合温度は、反応媒体が液状を保つ範囲であれば、特に限定されないが、−100〜200℃が好ましく、0〜120℃がより好ましい。反応時間は、反応温度等の反応条件や目標とする分子量等によっても変わるが、通常、1時間以上が好ましく、2〜500時間がより好ましい。
重合生成物を、公知の方法、例えば、メタノール等の低級アルコールに得られた反応混合液を加えて析出させた沈殿を濾取し、乾燥することにより、目的とする高分子化合物を得ることができる。高分子化合物の純度が低い場合は、適宜、再結晶、ソックスレー連続抽出、力ラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段にて精製すればよい。精製することにより、未反応単量体及び重合触媒等の不純物が除去されるので、有機デバイス、特に有機EL素子の耐久性及び寿命が向上する。
【0095】
以上の様にして得られる本発明の高分子化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機(薄膜)トランジスタ用材料、有機太陽電池用材料、イメージセンサー用材料等の有機デバイス用材料、特に有機エレクトロルミネッセンス素子用材料(特に発光材料)として有用である。
本発明の高分子化合物を用いた有機デバイス、特に有機EL素子は、寿命、発光効率等の素子特性に優れ、さらに、ディスプレイや照明用途で実用的な高温駆動を行っても、劣化が小さく、実用に適している。また、本発明の高分子化合物を用いる場合、塗布法で均一に膜を形成できるため、ディスプレイや照明用途の低コスト化及び大画面化が可能である。
なお、有機EL素子の利用例としては、例えば壁掛けテレビのフラットパネルディスプレイ等の平面発光体、一般又は特殊照明、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯等の利用が挙げられる。
以下、本発明の高分子化合物を用いた有機EL素子について説明する。
【0096】
[有機エレクトロルミネッセンス素子]
本発明の有機EL素子の代表的な素子構成としては、以下の(1)〜(13)を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。なお、(8)の素子構成が好ましく用いられる。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/有機半導体層/発光層/陰極
(6)陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
(7)陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極
(8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/(電子輸送層/)電子注入層/陰極
(9)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(10)陽極/無機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(11)陽極/有機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(12)陽極/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(13)陽極/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/(電子輸送層/)電子注入層/陰極
【0097】
有機EL素子は、前記有機薄膜層(陽極、絶縁層、陰極以外の層。)を複数層構造にすることにより、クエンチングによる輝度や寿命の低下を防ぐことができる。
正孔注入層、発光層、電子注入層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されてもよい。その際には、正孔注入層の場合、電極から正孔を注入する層を正孔注入層、正孔注入層から正孔を受け取り発光層まで正孔を輸送する層を正孔輸送層と呼ぶ。同様に、電子注入層の場合、電極から電子を注入する層を電子注入層、電子注入層から電子を受け取り発光層まで電子を輸送する層を電子輸送層と呼ぶ。
これらの各層は、材料のエネルギー準位、耐熱性、有機層又は金属電極との密着性等の各要因により選択されて使用される。
本発明の有機EL素子において、本発明の高分子化合物は上記のいずれの有機薄膜層に用いられてもよいが、有機EL素子の駆動電圧、発光効率及び素子寿命の観点から、発光層の材料として用いられるのが好ましい。
本発明の高分子化合物を1つの有機薄膜層(好ましくは発光層)に含有させる量は、有機EL素子の駆動電圧、発光効率及び素子寿命の観点から、その有機薄膜層の全成分に対して、好ましくは20〜100モル%であり、より好ましくは40〜100モル%であり、さらに好ましくは80〜100モル%であり、特に好ましくは実質100モル%である。
以下、好ましい形態として、本発明の高分子化合物を発光層に含有させた構成の有機EL素子の各層について説明する。
【0098】
(基板)
有機EL素子は、通常、透光性の基板上に作製する。この透光性の基板は有機EL素子を支持する基板であり、その透光性については、波長400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上であるものが望ましく、さらに平滑な基板を用いるのが好ましい。
このような透光基板としては、例えば、ガラス板、合成樹脂板等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等で成形された板が挙げられる。また、合成樹脂板としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂等の板が挙げられる。
【0099】
(陽極)
陽極は、正孔を正孔輸送層又は発光層に注入する役割を担うものであり、4eV以上(好ましくは4.5eV以上)の仕事関数を有することが効果的である。本発明に用いられる陽極材料の具体例としては、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等及びそれらの合金、ITO基板、NESA基板に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂が挙げられる。
陽極は、これらの電極物質を蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成することにより得られる。
このように発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくすることが好ましい。また陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は、材料によっても異なるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmである。
【0100】
(陰極)
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV未満)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム、フッ化リチウム等及びそれらの合金が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。該合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例として挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、適切な比率に選択される。陽極及び陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていてもよい。
この陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成することにより得られる。
ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、さらに、陰極の膜厚は、通常10nm〜1μm、好ましくは50nm〜200nmである。
【0101】
(絶縁層)
また、一般的に、有機EL素子は、超薄膜に電界を印加するために、リークやショートによる画素欠陥が生じやすいため、これを防止するために、一対の電極間に絶縁性の薄膜層からなる絶縁層を挿入してもよい。
絶縁層に用いられる材料としては、例えば、酸化アルミニウム、弗化リチウム、酸化リチウム、弗化セシウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、弗化マグネシウム、酸化カルシウム、弗化カルシウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化バナジウム等が挙げられる。なお、これらの混合物や積層物を用いてもよい。
【0102】
(発光層)
有機EL素子の発光層は以下(1)〜(3)の機能を併せ持つものである。
(1)注入機能:電界印加時に陽極又は正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極又は電子注入層より電子を注入することができる機能。
(2)輸送機能:注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能。
(3)発光機能:電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能。
ただし、正孔の注入され易さと電子の注入され易さに違いがあってもよく、また、正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよいが、どちらか一方の電荷を移動させることが好ましい。
【0103】
発光層に使用できる材料(発光材料)としては、前述の通り、本発明の高分子化合物を用いることが好ましい。前記高分子化合物(1)及び(2)の場合には、さらにドーパントを併用することが好ましい。該ドーパントとしては、前記した他の重合性単量体において重合性官能基を有さない化合物を用いることができ、前記式(A)や(B)で表される化合物のうち、重合性官能基を有さないものを好ましく挙げられる。なお、式(A)や(B)で表される各基の定義や好ましいものは、前記したのと同じである。
なお、前記高分子化合物(3)の場合には、特に、別途ドーパントを含有させる必要性は無いが、単色発光でない(例えば、白色発光)場合には、さらに、前記式(A)や(B)で表される化合物のうち、重合性官能基を有さないものをさらにドーパントとして加えてもよい。
前記複数の層には、必要に応じて、本発明の高分子化合物に加えてさらなる公知の発光材料、ドーパント、正孔注入材料や電子注入材料を使用してもよい。
【0104】
(正孔注入層・正孔輸送層)
正孔注入層・正孔輸送層は、発光層への正孔注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.7eV以下と小さい。このような正孔注入層・正孔輸送層としては、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば104〜106V/cmの電界印加時に、10-4cm2/V・秒以上であることが好ましい。
正孔注入層・正孔輸送層としては、従来、光導伝材料において正孔注入層・正孔輸送層の材料として慣用されているものや、有機EL素子の正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0105】
正孔輸送層用の材料の具体例としては、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導体;及びポリビニルカルバゾール、本明細書の実施例で使用するポリマーAの様な芳香族アミンを主鎖又は側鎖に有するポリマー、ポリシラン、導電性高分子等の高分子材料が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0106】
正孔注入層用の材料としては、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において正孔注入材料として慣用されているものや、有機EL素子の正孔注入層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
正孔注入材料としては、具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導体、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の混合物、導電性高分子等の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0107】
(電子注入層・電子輸送層)
電子注入層・電子輸送層は、発光層への電子の注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、電子移動度が大きい。また、この電子注入層の中で特に陰極との付着が良い材料からなる層(付着改善層)を有していてもよい。
有機EL素子は、発光した光が電極(この場合は陰極)により反射するため、直接陽極から取り出される発光と、電極による反射を経由して取り出される発光とが干渉することが知られている。この干渉効果を効率的に利用するため、電子輸送層は数nm〜数μmの膜厚で適宜選ばれるが、特に膜厚が厚いとき、電圧上昇を避けるために、104〜106V/cmの電界印加時に電子移動度が少なくとも10-5cm2/Vs以上であることが好ましい。
【0108】
電子注入層や電子輸送層に用いられる材料としては、具体的には、フッ化リチウム等のアルカリ金属ハロゲン化物又はアルカリ土類金属ハロゲン化物;フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等とそれらの誘導体;8−ヒドロキシキノリナートリチウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム[以下、Alqと称する。]、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム等の金属錯体化合物;オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール誘導体等の含窒素五員環誘導体等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。本発明においては、有機EL素子の駆動電圧、発光効率及び素子寿命の観点から、電子注入層の材料としては、アルカリ金属ハロゲン化物を用い、電子輸送層の材料としては、上記Alqを用いることが好ましい。
また、正孔注入材料に電子受容物質を、電子注入材料に電子供与性物質を添加することにより増感させることもできる。
【0109】
また、本発明により得られた有機EL素子の、温度、湿度、雰囲気等に対する安定性の向上の観点から、素子の表面に保護層を設けることや、シリコンオイル、樹脂等により素子全体を保護することも可能である。
【0110】
本発明の高分子化合物を含有する層(特に発光層)を形成する方法としては、例えば、前記、高分子化合物及び必要に応じてドーパント等のその他の材料からなる溶液を成膜する方法が挙げられる。
成膜方法としては、公知の塗布法を有効に利用することができ、例えばスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、ノズルプリンティング法等が挙げられる。パターン形成をする場合には、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法が好ましい。これらの方法による成膜は、当業者に周知の条件により行うことができる。
成膜後は、真空下に加熱(上限250℃)乾燥して、溶媒を除去すればよく、光や250℃を超える高温加熱による重合反応は不要である。従って、光や250℃を超える高温加熱による素子の性能劣化の抑制が可能である。
【0111】
成膜用溶液は、少なくとも1種類の本発明の高分子化合物を含有していればよく、また他の正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、アクセプター材料、溶媒、安定剤等の添加剤を含んでいてもよい。
成膜用溶液は、粘度及び/又は表面張力を調節するための添加剤、例えば、増粘剤(高分子量化合物、本発明の高分子化合物の貧溶媒等)、粘度降下剤(低分子量化合物等)、界面活性剤等を含有していてもよい。また、保存安定性を改善するために、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等、有機EL素子の性能に影響しない酸化防止剤を含有していてもよい。
上記成膜用溶液中の高分子化合物の含有量は、成膜用溶液全体に対して0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0112】
増粘剤として使用可能な高分子量化合物としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂が挙げられる。
【0113】
成膜用溶液の溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、アニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロへキサン、メチルシクロへキサン、n−ペンタン、n−へキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン、べンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−へキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロへキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。また、これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
これらの溶媒のうち、溶解性、成膜の均一性及び粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、5−ブチルベンゼン、n−へキシルベンゼン、シクロへキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、テトラリン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、アニソール、エトキシベンゼン、シクロへキサン、ビシクロへキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロへキサン、n−へキシルシクロヘキサン、デカリン、安息香酸メチル、シクロへキサノン、2−プロピルシクロへキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロへキシルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンがより好ましい。
【0114】
(有機EL素子の製造方法)
以上の各種材料及び層形成方法により、陽極、発光層、必要に応じて正孔注入・輸送層、及び必要に応じて電子注入・輸送層を形成し、さらに陰極を形成することにより有機EL素子を作製することができる。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。
【実施例】
【0115】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0116】
<実施例1>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(1)]の合成
【化54】

【0117】
(中間体1-2の合成)
アルゴン気流下、原料1-1を28.2g(100mmol)に脱水トルエン、脱水エーテルを加え、−45℃に冷却し、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58M)を76ml滴下して、攪拌しながら1時間かけて−5℃まで昇温した。再び−45℃まで冷却し、ボロン酸トリイソプロピルエステル60mlをゆっくり滴下してから2時間反応した。
室温に戻した後、10%希塩酸水溶液を加えて攪拌し、有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、濃縮した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、得られた個体をn−ヘキサンで洗浄した後、減圧乾燥し、14.8g(収率60%)の固体を得た。FD−MSの分析により、中間体1-2と同定した。
(中間体1-3の合成)
アルゴン雰囲気下、2,6−ジブロモナフタレン12.9g(45mmol)、中間体1-2 12.3g(50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.2g(1.0mmol)に、ジメトキシエタン(DME)150ml、2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液75mlを加え、10時間加熱還流下、攪拌した。
反応終了後、析出晶を濾取し、得られた固体を、水、メタノール、ヘキサンで洗浄した。減圧乾燥し、中間体1-3 14.5g(収率71%)を得た。
(中間体1-4の合成)
アルゴン気流下、中間体1-3を12.2g(30mmol)に脱水トルエン、脱水エーテルを加え、−45℃に冷却し、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58mol/L)を25ml滴下して、攪拌しながら1時間かけて−5℃まで昇温した。再び−45℃まで冷却し、ボロン酸トリイソプロピルエステル20mlをゆっくり滴下してから2時間反応した。
室温に戻した後、10%希塩酸溶液を加えて攪拌し、有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、濃縮した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、得られた個体をn−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥したところ、6.5g(収率58%)の固体を得た。FD−MSの分析により、中間体1-4と同定した。
【0118】
(中間体1−5の合成)
アルゴン雰囲気下、9,9’−ジメチル−2,7−ジブロモフルオレン4.8g(13.5mmol)、中間体1-4 5.6g(15mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.2g(0.75mmol)に、ジメトキシエタン(DME)50ml及び2mol/L炭酸ナトリウム水溶液25mlを加え、8時間加熱還流下、攪拌した。
反応終了後、析出晶を濾取し、得られた固体を、水、メタノール、ヘキサンで洗浄した。減圧乾燥し、中間体1-5 6.1g(収率68%)を得た。
(発光材料用ホストモノマー(1)の合成)
次いで、アルゴン雰囲気下、中間体1-5 6.0g(10mmol)、4−ビニルフェニルボロン酸1.5g(10mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.2g(0.50mmol)、ジメトキシエタン(DME)50ml及び2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液25mlを加え、10時間加熱還流下、攪拌した。
反応終了後、析出晶を濾取し、得られた固体を、水、トルエン、アセトンで洗浄した。減圧下乾燥させ、淡黄色固体4.7g(収率75%)を得て、NMR、FD−MS等にて目的とする発光材料用ホストモノマー(1)と同定した。
【0119】
<実施例2>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(2)]の合成
【化55】

【0120】
(中間体2-2の合成)
アルゴン雰囲気下、原料2-1 25.2g(100mmol)、N−ブロモスクシンイミド19.6g(110mmol)、脱水塩化メチレン250mlを加えた後、室温にて5時間反応させた。反応終了後、塩化メチレンを留去し、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、固体16.6g(収率50%)を得た。FD−MSの分析により、中間体2-2と同定した。
(中間体2-4の合成)
アルゴン気流下、原料2-3を30.7g(100mmol)に脱水トルエン、脱水エーテルを加え、−45℃に冷却し、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58mol/L)を76ml滴下して、攪拌しながら1時間かけて−5℃まで昇温した。再び−45℃まで冷却し、ボロン酸トリイソプロピルエステル60mlをゆっくり滴下してから2時間反応した。
室温に戻した後、10%希塩酸溶液を加えて攪拌し、有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、濃縮した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、得られた固体をn−ヘキサンで洗浄した後、減圧乾燥し、の固体16.9g(収率62%)を得た。FD−MSの分析により、中間体2-4と同定した。
【0121】
(中間体2-5の合成)
アルゴン雰囲気下、中間体2-2 14.9g(45mmol)、中間体2-4 13.6g(50mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.2g(1.0mmol)に、ジメトキシエタン(DME)150ml及び2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液75mlを加え、9時間、加熱還流下に攪拌した。
反応終了後、析出晶を濾取し、得られた固体を、水、メタノール、ヘキサンで洗浄した。減圧乾燥し、中間体2-5 21.1g(収率69%)を得た。
(中間体2-6の合成)
アルゴン雰囲気下、中間体2-5 20.0g(33mmol)を400mlの脱水塩化メチレン中に溶解させ、10℃で冷却後、三臭化ホウ素8.3g(33mmol)の塩化メチレン溶液を滴下し、室温で6時間攪拌した。水で反応混合液を処理した後、塩化メチレン層を抽出し、次いで濃縮して、得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、固体17.7g(収率90%)を得た。FD−MSの分析により、中間体2-6と同定した。
(発光材料用ホストモノマー(2)の合成)
アルゴン雰囲気下、中間体2-6 6.0g(10mmol)、トリエチルアミン1.5g(15mmol)を100mlの脱水トルエン中に溶解させ、0℃で冷却後、メタクリル酸クロライド1.05g(10mmol)の脱水トルエン溶液を滴下し、室温で10時間攪拌した。析出した塩をろ過後、ろ液を濃縮して、トルエン溶媒でのカラムクロマトを実施した。5.85g(収率88%)の固体を得て、NMR、FD−MS等にて、目的とする発光材料用ホストモノマー(2)と同定した。
【0122】
<実施例3>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(3)]の合成
【化56】

【0123】
(中間体3-2の合成)
アルゴン気流下、原料3-1を25.7g(100mmol)に脱水トルエン、脱水エーテルを加え、−45℃に冷却し、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58mol/L)を76ml滴下して、攪拌しながら1時間かけて−5℃まで昇温した。再び−45℃まで冷却し、ボロン酸トリイソプロピルエステル60mlをゆっくり滴下してから2時間反応した。
室温に戻した後、10%希塩酸溶液を加えて攪拌し、有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、濃縮した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、得られた固体をn−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥したところ、14.4g(収率65%)の固体を得た。FD−MSの分析により、中間体3-2と同定した。
(中間体3-3の合成)
アルゴン雰囲気下、1,3−ジブロモベンゼン10.6g(45mmol)、中間体3-2 11.1g(50mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.2g(1.0mmol)に、ジメトキシエタン(DME)150ml及び2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液75mlを加え、10時間加熱還流下、攪拌した。
反応終了後、析出晶を濾取し、得られた固体を、水、メタノール、ヘキサンで洗浄した。減圧乾燥し、中間体3-3 11.7g(収率70%)を得た。
【0124】
(中間体3-4の合成)
アルゴン気流下、中間体3-3を10.0g(30mmol)に脱水トルエン、脱水エーテルを加え、−45℃に冷却し、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58mol/L)を25ml滴下して、攪拌しながら1時間かけて−5℃まで昇温した。再び−45℃まで冷却し、ボロン酸トリイソプロピルエステル20mlをゆっくり滴下してから2時間反応した。
室温に戻した後、10%希塩酸溶液を加えて攪拌し、有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、濃縮した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、得られた個体をn−ヘキサンで洗浄した後、減圧乾燥し、固体5.5g(収率62%)を得た。FD−MSの分析により、中間体3-4と同定した。
(中間体3-5の合成)
アルゴン雰囲気下、2,6−ジブロモナフタレン3.9g(13.5mmol)、中間体3-4 4.5g(15mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.2g(0.75mmol)に、ジメトキシエタン(DME)50ml及び濃度2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液25mlを加え、7時間加熱還流下、攪拌した。
反応終了後、析出晶を濾取し、得られた固体を、水、メタノール、ヘキサンで洗浄した。減圧乾燥し、中間体3-5 4.8g(収率70%)を得た。
(中間体3-6の合成)
アルゴン気流下、中間体3-5を4.8g(10mmol)に脱水トルエン、脱水エーテルを加え、−45℃に冷却し、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58mol/L)を8.5ml滴下して、攪拌しながら1時間かけて−5℃まで昇温した。再び−45℃まで冷却し、ボロン酸トリイソプロピルエステル7mlをゆっくり滴下してから2時間反応した。
室温に戻した後、10%希塩酸溶液を加えて攪拌し、有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、濃縮した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、得られた個体をn−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥したところ、2.5g(収率60%)の固体を得た。FD−MSの分析により、中間体3-6と同定した。
【0125】
(中間体3-7の合成)
アルゴン雰囲気下、2−メトキシ−6−ブロモナフタレン1.3g(5.5mmol)、中間体3-6 2.5g(6mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.5g(0.3mmol)に、ジメトキシエタン(DME)50ml及び2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液25mlを加え、6時間加熱還流下、攪拌した。
反応終了後、析出晶を濾取し、得られた固体を、水、メタノール、ヘキサンで洗浄した。減圧乾燥し、中間体3-7 2.4g(収率75%)を得た。
(中間体3-8の合成)
アルゴン雰囲気下、中間体3-7 2.4g(4.5mmol)を50mlの脱水塩化メチレン中に溶解させ、10℃で冷却後、三臭化ホウ素1.1g(4.5mmol)の塩化メチレン溶液を滴下し、室温で3時間攪拌した。水で反応混合液を処理した後、塩化メチレン層を抽出、濃縮して、得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、固体2.2g(収率95%)を得た。FD−MSの分析により、中間体3-8と同定した。
【0126】
(中間体3-9の合成)
次に、アルゴン雰囲気下、中間体3-8 2.2g(4.3mmol)、ジイソプロピルアミン0.7g(7.0mmol)を70mlの脱水塩化メチレン中に溶解させ、0℃で冷却後、トリフロロメタンスルフォン酸無水物2.2g(7.0mmol)の脱水塩化メチレン溶液を滴下し、室温で15時間攪拌した。
次に、5%炭酸ナトリウム水溶液で中和後、塩化メチレン層を抽出、濃縮して、得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、固体2.5g(収率90%)を得た。FD−MSの分析により、中間体3-9と同定した。
(発光材料用ホストモノマー(3)の合成)
アルゴン雰囲気下、中間体3-9 2.5g(3.8mmol)及びPdCl2(dppp)[dpppはジフェニルホルフィノプロパン配位子。]0.12g(0.2mmol)を100mlの脱水THF中に溶解させ、0℃で冷却後、1mol/LのビニルマグネシウムブロマイドのTHF溶液を5ml滴下し、室温で10時間攪拌した。次に、トルエン200mlと2N塩酸水溶液を滴下後、ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、淡黄色粉末1.4gを得た。NMR、FD−MS等にて目的とする発光材ホストモノマー(3)(収率70%)と同定した。
【0127】
<実施例4>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(4)]の合成
【化57】

【0128】
実施例3において、中間体3-3の合成で用いた1,3−ジブロモベンゼン(45mmol)の代わりに5−メトキシ−1,3−ジブロモベンゼン(45mmol)を用い、中間体3-7の合成で用いた2−メトキシ−6−ブロモナフタレン(5.5mmol)の代わりに6−ブロモナフタレン(5.5mmol)を用いたこと以外は同様の条件にて、上記化学反応式に従って発光材料用ホストモノマー(4)を得た。
【0129】
<実施例5>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(5)]の合成
【化58】

【0130】
アルゴン雰囲気下、実施例3の途中で得た中間体3-8 5.2g(10mmol)及びトリエチルアミン1.5g(15mmol)を100mlの脱水トルエン中に溶解させ、0℃で冷却後、メタクリル酸クロライド1.05g(10mmol)の脱水トルエン溶液を滴下し、室温で10時間攪拌した。析出した塩をろ過後、ろ液を濃縮して、得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、固体5.3g(収率90%)を得た。NMR、FD−MS等にて目的とする発光材料用ホストモノマー(5)と同定した。
【0131】
<実施例6>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(6)]の合成
【化59】

【0132】
(中間体6-1の合成)
アルゴン雰囲気下、2,6−ジブロモナフタレン3.14g(11mmol)、中間体3-6 5.1g(12mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.0g(0.6mmol)に、ジメトキシエタン(DME)100ml及び2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液50mlを加え、8時間加熱還流下、攪拌した。反応終了後、析出晶を濾取し、得られた固体を、水、メタノール、ヘキサンで洗浄した。減圧乾燥し、中間体6-1 4.9g(収率70%)を得た。
(中間体6-2の合成)
アルゴン雰囲気下、中間体6-1 3.5g(6mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン1.2g(6mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム1.4g(120μmol)、炭酸ナトリウム2.0g(18mmol)及び乾燥トルエン100mlを加えた後、80℃にて24時間加熱攪拌した。反応終了後、析出した結晶を濾取し、得られた結晶を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、中間体6-2 2.5g(収率81%)を得た。
(発光材料用ホストモノマー(6)の合成)
アルゴン雰囲気下、中間体6-2 2.5g(4.8mmol)、トリエチルアミン1.0g(10mmol)を50mlの脱水トルエン中に溶解させ、0℃で冷却後、メタクリル酸クロライド0.5g(5mmol)の脱水トルエン溶液を滴下し、室温で10時間攪拌した。析出した塩を濾過後、ろ液を濃縮して、得られ固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、固体2.7g(収率85%)を得た。NMR、FD−MS等にて、目的生成物の発光材料用ホストモノマー(6)と同定した。
【0133】
<実施例7>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(7)]の合成
【化60】

【0134】
アルゴン雰囲気下、中間体6-2 2.5g(4.8mmol)と、マレイン酸無水物を0.5g(5mmol)を50mlのクロロホルム中に溶解させ、室温で、4時間反応させた。次に、溶媒を留去した後、酢酸ナトリウム1.2g(15mmol)と無水酢酸50mlを加え、100℃で5時間反応させた。反応混合液を水中に入れ、析出物を濾別した。次に、析出物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、固体2.6g(収率80%)を得た。NMR、FD−MS等にて目的生成物の発光材料用ホストモノマー(7)と同定した。
【0135】
<実施例8>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(8)]の合成
【化61】

【0136】
アルゴン雰囲気下、中間体6-1 11.8g(20mmol)、4−ビニルフェニルボロン酸3.0g(20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム2.4g(1.0mmol)、ジメトキシエタン(DME)100ml及び2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液50mlを加え、10時間、加熱還流下に攪拌した。
反応終了後、析出晶を濾取し、得られた固体を、水、トルエン、アセトンで洗浄した。減圧乾燥し、固体9.4g(収率78%)を得た。NMR、FD−MS等にて目的生成物である発光材料用ホストモノマー(8)と同定した。
【0137】
<実施例9>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(9)]の合成
【化62】

【0138】
アルゴン雰囲気下に、発光材料用ホストモノマー(8)0.88g(1.4mmol)及び溶媒トルエン150mlを加え加熱攪拌させ、室温になるまで放置した。次に使用直前に蒸留したシクロペンタジエン10g(150mmol)及び少量のp−トルエンスルホン酸を加え、室温にて2時間反応させ、引き続き75℃にて5時間反応させた。
得られた反応混合液をヘキサン(約1000ml)に注ぎ、生じた固体成分を濾取し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒)にて精製して、固体0.6gを得た。NMR、FD−MS等にて、目的生成物である発光材料用ホストモノマー(9)(収率63%)と同定した。
【0139】
<実施例10>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(10)]の合成
【化63】

【0140】
アルゴン雰囲気下、100mL三口フラスコにて、中間体3-9 1.6g(2.4mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)50mlに溶解させ、これにトリメチルシリルアセチレン0.24g(2.4mmol)、塩化パラジウム(II)ビスベンゾニトリル錯体9.2mg(0.024mmol)、ヨウ化銅4.6mg(0.024mmol)、トリエチルアミン0.24g(2.4mmol)及びトリ−t−ブチルホスフィン4.9mg(0.024mmol)を加え、80℃にて10時間加熱攪拌させた。反応溶液に多量の酢酸エチルを加えてからセライト濾過し、酢酸エチル及びDMFを減圧留去することで、中間体10-1の粗生成物を得た。
次に、この中間体10-1の粗生成物を塩化メチレン100mlに溶解させ、これにフッ化テトラブチルアンモニウム水和物(TBAF)0.8gを加え、室温にて5時間反応させた。得られた反応混合液から塩化メチレンを減圧留去し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒)にて精製して、固体0.4g(収率30%)を得た。NMR、FD−MS等にて、目的生成物である発光材料用ホストモノマー(10)と同定した。
【0141】
<実施例11>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(11)]の合成
【化64】

【0142】
実施例1において、原料1-1の代わりに原料11-1を用いたこと以外は同様の反応条件にて反応を行い、発光材料用ホストモノマー(11)を得た。
【0143】
<実施例12>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(12)]の合成
【化65】

【0144】
実施例3において、中間体3-2の代わりに実施例1の途中で得た中間体1-2を用い、中間体12-4を合成するまでは同様の反応条件にて、上記化学反応式に従って反応を行った。
次いで、実施例3の中間体3-7の合成において、原料として上記中間体12-4を用い、2−メトキシ−6−ブロモナフタレンの代わりに2,6−ジブロモナフタレンを用いたこと以外は同様にして反応を行い、中間体12-5を得た。
これに、さらに実施例8と同様の条件にて4−ビニルフェニルボロン酸を反応させ、発光材料用ホストモノマー(12)を得た。
【0145】
<実施例13>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(13)]の合成
【化66】

【0146】
実施例12の途中で得た中間体12-4を用い、実施例11の中間体11-4から発光材料用ホストモノマー(11)の製造方法と同様の反応条件にて反応を行い、発光材料用ホストモノマー(13)を得た。
【0147】
<実施例14>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(14)]の合成
【化67】

【0148】
実施例4の中間体4-4の製造までにおいて、原料として中間体3-2の代わりに中間体1-2を用いたこと以外は同様の反応条件にて反応を行い、中間体14-4を得た。
次いで、実施例1の中間体1-5の製造方法を参照して、9,9'−ジメチル−2−ブロモフルオレンと反応させて、中間体14-5を得た。
さらに、中間体14-5を用いて、実施例3の中間体3-7から発光材料用ホストモノマー(3)の製造方法と同様の反応条件にて反応を行い、発光材料用ホストモノマー(14)を得た。
【0149】
<実施例15>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(15)]の合成
【化68】

【0150】
実施例12の途中で得た中間体12-4を用い、実施例1の中間体1-4から発光材料用ホストモノマー(1)の製造方法において、9,9'−ジメチル−2,7−ジブロモフルオレンの代わりに9,9'−ジフェニル−2,7−ジブロモフルオレンを用いたこと以外は同様の反応条件にて反応を行い、発光材料用ホストモノマー(15)を得た。
【0151】
<実施例16>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(16)]の合成
【化69】

【0152】
実施例1の途中で得た中間体1-2を用い、実施例11における発光材料用ホストモノマー(11)の製造方法と同様の反応条件にて反応を行い、発光材料用ホストモノマー(16)を得た。
【0153】
<実施例17>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(17)]の合成
【化70】

【0154】
実施例12において、原料1-1の代わりに上記原料17-1を使用したこと以外は同様にして反応を行い、発光材料用ホストモノマー(17)を得た。
【0155】
<実施例18>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(18)]の合成
【化71】

【0156】
実施例3の中間体3-6から発光材料用ホストモノマー(3)の製造方法において、中間体3-6の代わりに実施例14の途中で得た中間体14-4を用い、2−メトキシ−6−ブロモナフタレンの代わりに9−ブロモフェナントレンを用いたこと以外は同様にして反応を行い、発光材料用ホストモノマー(18)を得た。
【0157】
<実施例19>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(19)]の合成
【化72】

【0158】
実施例11の途中で得た中間体11-2を用い、実施例12の中間体1-2から発光材料用ホストモノマー(12)の製造方法と同様の反応条件にて反応を行い、発光材料用ホストモノマー(19)を得た。
【0159】
<実施例20>重合性単量体[発光材料用ホストモノマー(20)]の合成
【化73】

【0160】
上記原料6-1を用い、実施例12の中間体12-3から発光材料用ホストモノマー(12)の製造方法と同様の反応条件にて反応を行うことにより、発光材料用ホストモノマー(20)を得た。
【0161】
<製造例1>赤色燐光ドーパントモノマーの合成
【化74】

【0162】
配位子であるD1-2、D1-3は、常法である鈴木―宮浦カップリングにて合成した。
次に、三塩化イリジウム三水和物0.68g(1.9mmol)及びD1-2の混合物に、2−エトキシエタノール15ml及び水5mlを加え、12時間加熱還流した。生成した沈殿をメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。
得られた固体0.30g及びD1-3 0.11g(0.48mmol)の混合物に、トルエン50ml及びトリフルオロメタンスルホン酸銀0.123g(49mmol)を加え、12時間加熱還流した。得られた反応混合液をセライトでろ過し、溶媒を留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)で精製し、赤色燐光ドーパントモノマーD1を0.04g(0.05mmol)得た。
【0163】
<製造例2>赤色燐光ドーパントモノマーの合成
【化75】

【0164】
(D2-1及びD2-2の合成)
配位子である、D2-1とD2-2は、常法である鈴木―宮浦カップリングと、トリメチルシリルクロライド(TMSCl)によるフェノール性水酸基のトリメチルシリル化によって合成した。
(D2-3の合成)
次に、三塩化イリジウム三水和物0.68g(1.9mmol)及びD1-2の混合物に、2−エトキシエタノール15ml及び水5mlを加え、12時間加熱還流した。生成した沈殿をメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた固体0.30g及びD2-2 0.14g(0.48mmol)の混合物に、トルエン50ml及びトリフルオロメタンスルホン酸銀0.123g(49mmol)を加え、12時間加熱還流した。得られた反応混合液をセライトでろ過し、溶媒を留去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)で精製し、D2-3を0.04g(0.05mmol)得た。
(D2-4の合成)
次に、D2-3を塩化メチレン50mlに溶解させ、これにフッ化テトラブチルアンモニウム水和物(TBAF)0.1gを加え、室温にて2時間反応させた。この反応混合液から塩化メチレンを減圧留去後して、D2-4を得た。
(赤色燐光ドーパントモノマーD2の合成)
次に、アルゴン雰囲気下、粗生成物のD2-4、トリエチルアミン0.01g(0.1mmol)を20mlの脱水トルエン中に溶解させ、0℃で冷却後、メタクリル酸クロライド0.006g(0.05mmol)の脱水トルエン溶液を滴下し、室温で3時間攪拌した。析出した塩をろ過後、ろ液を濃縮して、トルエン溶媒でのカラムクロマトを実施して、0.04gの固体を得、赤色燐光ドーパントモノマーD2を合成した。
【0165】
<製造例3>赤色燐光ドーパントモノマーの合成
【化76】

【0166】
(配位子D3-1の合成)
水素化ナトリウム1.23g(31mmol、鉱油中濃度:60%)を、窒素雰囲気下で秤量した。これに乾燥テトラヒドロフラン60mlを加えて、氷浴で0℃に冷却した。この懸濁液に、アセチルアセトン2.5g(24mmol)及びヘキサメチルホスホリックトリアミド1mlの混合溶液を滴下し、無色の沈殿を得た。0℃で10分間撹拌した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6mol/L)17.5ml(28mmol)を滴下し、沈殿を溶解させ、さらに0℃で20分間撹拌した。得られた薄黄色の溶液に4−ビニルベンジルクロライド4.0g(26mmol)を滴下し、反応混合液を室温に戻して20分間撹拌後、希塩酸を加えて水層を酸性にした。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレータで溶媒を留居した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、D3-1 3.0g(14mmol)を得た。
(赤色燐光ドーパントモノマーD3の合成)
次に、三塩化イリジウム三水和物0.68g(1.9mmol)及びD1-2(製造例1)0.80g(3.9mmol)の混合物に、2−エトキシエタノール15mL及び水5mLを加え、12時間加熱還流した。生成した沈殿をメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた固体0.30g及びD3-1 0.20g(0.92mmol)の混合物に、N,N−ジメチルホルムアミド10mL及び炭酸カリウム0.14g(1.0mmol)を加え、100℃で12時間撹拌した。
得られた反応混合液を水200mLに投入し、生じた沈殿を水洗後、減圧乾燥した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)で精製し、赤色燐光ドーパントモノマーD3を合成した。
【0167】
<製造例4>青色発光ドーパントモノマーの合成
【化77】

【0168】
(中間体D4-1の合成)
すなわち、アルゴン雰囲気下、6,12−ジブロモクリセン19.3g(50mmol)、ジ(p−トリル)アミン3.95g(20mmol)、酢酸パラジウム0.08g(0.4mmol)、トリ−t−ブチルホスフィン0.4g(2mmol)、t−ブトキナトリウム2.8g(30mmol)及び乾燥トルエン200mlを加えた後、100℃にて一晩加熱乾燥した。反応終了後、析出した結晶を濾取し、トルエン100ml、メタノール200mlにて洗浄し、淡黄色粉末の中間体D4-1 5.5g(収率55%)を得た。
(中間体D4-2の合成)
アルゴン雰囲気下、中間体D4-1 5.0g(10.0mmol)、アニソリルp−トリルアミン2.56g(12mmol)、酢酸パラジウム0.045g(0.2mmol)、トリ−t−ブチルホスフィン0.2g(1mmol)、t−ブトキナトリウム1.44g(15mmol)、乾燥トルエン100mlを加えた後、100℃にて一晩加熱乾燥した。反応終了後、析出した結晶を濾取し、トルエン100ml、メタノール200mlにて洗浄し、淡黄色粉末の中間体D4-2 5.4g(収率85%)を得た。
(中間体D4-3の合成)
アルゴン雰囲気下、中間体D4-2 5.0g(7.9mmol)を100mlの脱水塩化メチレン中に溶解させ、10℃で冷却後、三臭化ホウ素2.11g(8.4mmol)の塩化メチレン溶液を滴下し、室温で4時間攪拌した。水で反応混合液を処理した後、塩化メチレン層を抽出、濃縮して、トルエンを展開溶媒として、カラムクロマトを実施した。淡黄色粉末4.4gを得た(中間体D4-3、収率90%)。
(中間体D4-4の合成)
次に、アルゴン雰囲気下、中間体D4-3 4.0g(6.4mmol)、ジイソプロピルアミン1.1g(11mmol)を100mlの脱水塩化メチレン中に溶解させ、0℃で冷却後、トリフロロメタンスルフォン酸無水物3.1g(11mmol)、の脱水塩化メチレン溶液を滴下し、室温で21時間攪拌した。次に、5%炭酸ナトリウム水溶液で中和後、塩化メチレン層を抽出、濃縮して、トルエン溶媒でのカラムクロマトを実施した。淡黄色粉末の中間体D4-4 4.3g(収率88%)を得た。
(青色発光ドーパントモノマーD4の合成)
次に、アルゴン雰囲気下、中間体D4-4 4.0g(5.3mmol)、PdCl2(dppp)[dpppはジフェニルホスフィノプロパン配位子。]及び0.17g(0.28mmol)を100mlの脱水THF中に溶解させ、0℃で冷却後、1mol/Lのビニルマグネシウムブロマイド(THF溶液)を6.7ml(6.72mmol相当)を滴下し、室温で22時間攪拌した。次に、トルエン200mlと2N塩酸水溶液を滴下後、ろ過し、ろ液を濃縮して、トルエン溶媒でのカラムクロマトを実施した。淡黄色粉末2.2g(収率65%)を得て、NMR、FD−MS等にて、目的とする青色発光ドーパントモノマーD4と同定した。
【0169】
<製造例5>青色発光ドーパントモノマーの合成
(青色発光ドーパントモノマーD5の合成)
製造例4の中間体D4-1の合成において、ジ(p−トリル)アミンを120mmol用いたこと以外は同様に反応を行い、下記の青色発光ドーパントモノマーD5を得た。
【化78】

【0170】
<製造例6>低分子ホスト材料(比較例用)の合成
(低分子ホスト材料H1の合成)
実施例3の中間体3-7の合成において、2−メトキシ−6−ブロモナフタレンの代わりに6−ブロモナフタレンを用いたこと以外は同様にして、下記低分子ホスト材料H1の合成を行った。
【化79】

【0171】
<実施例21>高分子化合物(単独重合体)の製造
実施例1で得た発光材料用ホストモノマー(1)2g及びベンゾイルパーオキサイド(BPO、ラジカル重合開始剤)20mgを、テトラヒドロフラン(THF)15mlに溶解し、窒素下、70℃で48時間重合反応を行った。
反応終了後、良溶媒としてTHFを、貧溶媒としてメタノールを用いて再沈殿を3回行い、次いで貧溶媒を酢酸エチルに変更してから同様に再沈殿を3回行い、1.08gの高分子化合物(以下、高分子ホスト材料(21)と称する。)を得た。得られた高分子ホスト材料(21)の重量平均分子量は20,000であった。
【0172】
<実施例22〜24>高分子化合物(単独重合体)の製造
実施例21において、発光材料用ホストモノマー(1)の代わりに、実施例5で得た発光材料用ホストモノマー(5)、実施例8で得た発光材料用ホストモノマー(8)、実施例20で得た発光材料用ホストモノマー(20)を用いたこと以外は同様に重合反応を行い、高分子化合物(以下、それぞれ高分子ホスト材料(22)、高分子ホスト材料(23)、高分子ホスト材料(24)と称する。)を得た。高分子ホスト材料(22)の重量平均分子量は12,000、高分子ホスト材料(23)の重量平均分子量は15,000、高分子ホスト材料(24)の重量平均分子量は18,000であった。
【0173】
<実施例25>高分子化合物(共重合体)の製造
実施例1で得た発光材料用ホストモノマー(1)0.15g(0.25mmol)と製造例1で得た赤色燐光ドーパントモノマーD1 2.0g(5mmol)及びBPO20mgを、THF15mlに溶解し、窒素下、70℃で48時間重合反応を行った。
反応終了後、良溶媒としてTHF、貧溶媒としてメタノールを用いて再沈殿を3回行い、次いで貧溶媒を酢酸エチルに変更してから同様に再沈殿を3回行い、1.35gの高分子化合物[ホスト材料/ドーパント;10/1(モル比)](以下、高分子発光材料(25)と称する。)を得た。得られた高分子発光材料(25)の重量平均分子量は18,000であった。
【0174】
<実施例26>高分子化合物(共重合体)の製造
実施例25において、発光材料用ホストモノマー(1)の代わりに、実施例5で得た発光材料用ホストモノマー(5)を用い、且つ赤色燐光ドーパントモノマーD1の代わりに製造例2で得た赤色燐光ドーパントモノマーD2を用いたこと以外は同様に重合反応を行い、高分子化合物[ホスト材料/ドーパント;10/1(モル比)](以下、高分子発光材料(26)と称する。)を得た。
【0175】
<実施例27及び28>高分子化合物(共重合体)の製造
実施例25において、発光材料用ホストモノマー(1)の代わりに、実施例8で得た発光材料用ホストモノマー(8)又は実施例20で得た発光材料用ホストモノマー(20)を用いたこと以外は同様にして重合反応を行い、高分子化合物[ホスト材料/ドーパント;10/1(モル比)](以下、それぞれ高分子発光材料(27)、高分子発光材料(28)と称する。)を得た。
【0176】
<実施例29>高分子化合物(共重合体)の製造
実施例25において、発光材料用ホストモノマー(1)の代わりに、実施例8で得た発光材料用ホストモノマー(8)を用い、且つ赤色燐光ドーパントモノマーD1の代わりに製造例3で得た赤色燐光ドーパントモノマーD3を用いたこと以外は同様に重合反応を行い、高分子化合物[ホスト材料/ドーパント;10/1(モル比)](以下、高分子発光材料(29)と称する。)を得た。
【0177】
<実施例30>高分子化合物(共重合体)の製造
実施例25において、発光材料用ホストモノマー(1)の代わりに、実施例8で得た発光材料用ホストモノマー(8)を用い、且つ赤色燐光ドーパントモノマーD1の代わりに製造例4で得た青色発光ドーパントモノマーD4を用いたこと以外は同様に重合反応を行い、高分子化合物[ホスト材料/ドーパント;10/1(モル比)](以下、高分子発光材料(30)と称する。)を得た。
【0178】
<実施例31>有機EL素子の製造
25mm×75mm×厚さ1.1mmのITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄した後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。
洗浄後の透明電極付きガラス基板に、スピンコート法でポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸(PEDOT・PSS)の混合物を50nmの膜厚で成膜し、正孔注入層とした。
次いで、下記式で示されるポリマーA(Mw=145,000)のトルエン溶液(0.6質量%)をスピンコート法で20nmの膜厚で成膜し、170℃で30分間乾燥した。このポリマーA膜は、正孔輸送層として機能する。
さらに、シクロヘキサノンを溶媒に用い、実施例21で得た高分子ホスト材料(21)及びIr(piq)3(「LT-E711」、オージェック製、化合物B;ドーパント)を合計3質量%混合した溶液[ホスト材料:ドーパント=9:1(質量比)]を調製し、スピンコート法にて一層からなる膜厚40nmの発光層を成膜した。
その後、成膜済みの基板を真空蒸着装置に移送した。
この膜上に膜厚20nmのトリス(8−キノリノール)アルミニウム膜を成膜した。このAlq膜は、電子輸送層として機能する。
このAlq膜上に、フッ化リチウムを1nmの膜厚に成膜し、電子注入層とした。
最後にアルミニウムを膜厚150nmで成膜し、陰極を形成し、窒素中でガラス封止して、有機EL素子を作製した。
電流を流して該有機EL素子の性能を評価したところ、赤色に発光し、発光効率10.8cd/A、初期輝度5000cd/m2、室温での輝度半減寿命は640時間であった。
さらに、本素子を初期輝度5000cd/m2、60℃のオーブン内で駆動させたところ、輝度半減寿命は230時間であった。
従って、60℃輝度半減寿命/室温輝度半減寿命比は、0.36であった。これらの結果を表1に示す。
【0179】
【化80】

【0180】
<実施例32〜34>有機EL素子の製造
実施例31において、高分子ホスト材料(21)の代わりに、実施例22〜24で得た高分子ホスト材料(22)〜(24)を用いたこと以外は同様にして有機EL素子を作製した。実施例31と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0181】
<実施例35>有機EL素子の製造
実施例31において、高分子ホスト材料(21)の代わりに、実施例23で得た高分子ホスト材料(23)を用い、且つIr(piq)3の代わりにIr(piq)2(acac)を用いたこと以外は同様にして有機EL素子を作製した。実施例31と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0182】
<実施例36>有機EL素子の製造
実施例31において、高分子ホスト材料(21)の代わりに、実施例23で得た高分子ホスト材料(23)を用い、且つIr(piq)3の代わりに製造例5で得た青色発光ドーパントモノマーD5を用いたこと以外は同様にして有機EL素子を作製した。実施例31と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0183】
<実施例37〜42>有機EL素子の製造
実施例31において、発光層の材料を、実施例25〜30で得た高分子発光材料(25)〜(30)に変更(該材料の溶液中の濃度は3質量%。)したこと以外は同様にして有機EL素子を作製した。実施例31と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0184】
<比較例1>
実施例31において、発光層の材料として、高分子ホスト材料(21)の代わりに製造例6で得られた低分子ホスト材料H1を用いて発光層を形成したところ、発光層の膜が不均一となり、有機EL素子の発光も不均一化し、性能を評価することができなかった。
これは、低分子ホスト材料H1及びIr(piq)3のシクロヘキサノンへの溶解性が不十分であることに起因し、さらに、膜形成の際に凝集して結晶化したためと推測される。
【0185】
<比較例2>
実施例31において、発光層の材料として、高分子ホスト材料(21)の代わりに製造例6で得られた低分子ホスト材料H1を用い、且つIr(piq)3の代わりに製造例5で得た青色発光ドーパントモノマーD5を用い、スピンコート法により発光層を形成したところ、発光層の膜が不均一となり、有機EL素子の発光も不均一化し、性能を評価することができなかった。
これは、低分子ホスト材料H1及び青色発光ドーパントモノマーD5のシクロヘキサノンへの溶解性が不十分であり、さらに、膜形成の際に凝集して結晶化したためと推測される。
【0186】
<比較例3>
実施例31において、発光層の材料として、高分子ホスト材料(21)の代わりに特開平2005−063938に記載の下記高分子ホスト材料(高分子化合物C)を用いて発光層を形成して有機EL素子を作製したところ、有機EL素子は発光しなかった。
これは、高分子化合物C(ピレン誘導体)は励起3重項エネルギーEg(T)が小さいため、燐光ドーパントに対するエネルギー移動が確保できず、また、励起された3重項エネルギーを発光層内に閉じ込めることができなかったためと推測する。
また、高分子化合物Cは、繰り返し単位中においてピレン骨格が放射状に広がっているため、重合体の分子量が小さなっており(重量平均分子量=4,200)、溶媒への溶解性が小さく、たとえ、発光層が形成されたとしても、膜の均一性に乏しかったために発光しなかったものと推測される。
【0187】
【化81】

【0188】
<比較例4>
実施例31において、発光層の材料を、特開平2007−023269に記載の下記高分子ホスト材料2つ(化合物D,化合物E)と、製造例1で得た赤色燐光ドーパントモノマーD1との共重合体(以下、比較共重合体と証する。製造方法は以下に示す。)に変更したこと以外は同様にして有機EL素子を作製した。実施例31と同様にして、有機EL素子の性能を評価した結果を表1に示す。なお、室温での寿命が極めて短く、60℃での駆動寿命は測定できなかった。
(比較共重合体の製造方法)
化合物Dと化合物Eそれぞれを460mgと、製造例1で得た赤色燐光ドーパントモノマーD1 80mgに、脱水トルエン9.9mLを添加した。次いで、「V−601」(和光純薬工業株式会社製、ラジカル重合開始剤)のトルエン溶液(0.1mol/L)198μlを加え、凍結脱気操作を5回繰り返した。真空のまま密閉し、60℃で60時間撹拌した。反応後、反応混合液をアセトン500mL中に滴下し、沈殿物を得た。さらにトルエン−アセトンでの再沈殿を2回繰り返した後、50℃で一晩真空乾燥し、比較共重合体を得た。
得られた比較共重合体の重量平均分子量は16,500であった。「m」を赤色燐光ドーパントモノマーD1の構造単位数、「n」を化合物Dと化合物Eをあわせた構造単位数とすると、重合体におけるm/(m+n)の値は0.040であった。
また、「x」を化合物Dの構造単位数、「y」を化合物Eの構造単位数とすると、得られた共重合体において、x/nの値は、0.40であり、y/nの値は、0.60であった。
【0189】
【化82】

【0190】
【表1】

【0191】
表1より、本発明の高分子化合物は、塗布法にて発光層を成膜することができ、該高分子化合物を発光層の材料として用いて得られた有機EL素子は、発光効率が高く、且つ寿命が長く、特に高温駆動での寿命が長い。
一方、比較例1及び2の様に、発光層の材料として低分子ホスト材料を用いた場合においては、塗布法では均一な発光層が形成できず、素子評価ができなかった。また、比較例3の様に、発光層の材料としてピレン誘導体の高分子ホスト材料を用いた場合も、前述の通り、発光しなかった。比較例4の様に、発光層の材料として本発明の高分子化合物ではない高分子発光材料を用いて有機EL素子を作製した場合、実施例で得られた有機EL素子に比べて、発光効率、素子寿命及び高温耐久性が著しく劣った。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明の芳香族アミン誘導体を有機EL素子用材料(特に正孔輸送材料)として利用すると、発光効率が高く、且つ長寿命の有機EL素子であって、低電圧化された有機EL素子が得られる。このため、本発明の有機EL素子は、壁掛けテレビのフラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯等に利用できる。
また、本発明の芳香族アミン誘導体は、有機EL素子だけでなく、電子写真感光体、光電変換素子、太陽電池、イメージセンサー等の分野においても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物に重合性官能基が置換した重合性単量体。
Ara−Ar1−(Ar2m−(Ar3n−(Ar4o−Arb (1)
(式中、Ara及びArbは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のクリセン環、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のベンゾ[b]フルオランテン環、置換もしくは無置換のフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾクリセン環、置換もしくは無置換のピセン環、置換もしくは無置換のジベンゾフラン環又は置換もしくは無置換のジベンゾチオフェン環からなる一価の基を表す。
Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のクリセン環、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のベンゾ[b]フルオランテン環、置換もしくは無置換のフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾクリセン環、置換もしくは無置換のピセン環、置換もしくは無置換のジベンゾフラン環又は置換もしくは無置換のジベンゾチオフェン環からなる連結基を表す。
但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。
m、n及びoは、それぞれ独立に、0又は1である。)
【請求項2】
下記式(1−1)で表される化合物に重合性官能基が置換した、請求項1に記載の重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Arb (1−1)
(式中、Ar1は、置換もしくは無置換のベンゼン環からなる連結基を表す。Ara、Arb及びAr2は、前記定義の通りである。但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。)
【請求項3】
下記式(1−2)で表される化合物に重合性官能基が置換した、請求項1に記載の重合性単量体。
Ara−Ar1−Arb (1−2)
(式中、Araは、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環又は置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる一価の基を表す。Ar1は、置換もしくは無置換のナフタレン環又は置換もしくは無置換のクリセン環からなる連結基を表す。Arbは、前記定義の通りである。但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。)
【請求項4】
下記式(1−3)で表される化合物に重合性官能基が置換した、請求項1に記載の重合性単量体。
Ara−Ar1−Arb (1−3)
(式中、Ar1は、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環又は置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環からなる連結基を表す。Ara及びArbは、前記定義の通りである。但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。)
【請求項5】
下記式(1−4)で表される化合物に重合性官能基が置換した、請求項1に記載の重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Arb (1−4)
(式中、Araは、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環又は置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる一価の基を表す。Ar1は、置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基を表す。Arb及びAr2は、前記定義の通りである。但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。)
【請求項6】
下記式(1−5)で表される化合物に重合性官能基が置換した、請求項1に記載の重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Arb (1−5)
(式中、Araは、置換もしくは無置換のナフタレン環からなる一価の基を表す。Ar1は、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環又は置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる連結基を表す。Arb及びAr2は、前記定義の通りである。但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。)
【請求項7】
下記式(1−6)で表される化合物に重合性官能基が置換した、請求項1に記載の重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Arb (1−6)
(式中、Ar1及びAr2のうち、一方が置換もしくは無置換のナフタレン環を表し、他方が置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環又は置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる連結基を表す。Arb及びAr2は、前記定義の通りである。但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。)
【請求項8】
下記式(1−7)で表される化合物に重合性官能基が置換した、請求項1に記載の重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Arb (1−7)
(式中、Araは、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環又は置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環からなる一価の基を表す。Ar1は、置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる連結基を表し、Ar2は、置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基を表す。Arbは前記定義の通りである。但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。)
【請求項9】
下記式(1−8)で表される化合物に重合性官能基が置換した、請求項1に記載の重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−Ar3−Arb (1−8)
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環又は置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環からなる連結基を表す。Ara、Arb及びAr3は、前記定義の通りである。但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。)
【請求項10】
下記式(1−9)で表される化合物に重合性官能基が置換した、請求項1に記載の重合性単量体。
Ara−Ar1−Ar2−(Ar3n−Arb (1−9)
(式中、n=0又は1である。Araは、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のクリセン環、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のベンゾ[b]フルオランテン環、置換もしくは無置換のフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾクリセン環、置換もしくは無置換のピセン環又は置換もしくは無置換のジベンゾフラン環からなる一価の基を表す。Ar1は、置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基を表し、Ar2は、置換もしくは無置換のベンゼン環又は置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基を表す。Ar3は、前記定義の通りである。Arbは、3重項エネルギーが2.10eV以上である、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のジベンゾフェナントレン環又は置換もしくは無置換のベンゾクリセン環からなる一価の基を表す。但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。)
【請求項11】
前記式(1)中、Ara及びArbは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のナフタレン環、置換もしくは無置換のフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジアルキルフルオレン環、置換もしくは無置換の9,9−ジフェニルフルオレン環、置換もしくは無置換のフルオランテン環、置換もしくは無置換のフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは無置換のベンゾクリセン環からなる一価の基を表し、Ar1は、置換もしくは無置換のベンゼン環又は置換もしくは無置換のナフタレン環からなる連結基を表す、請求項1に記載の重合性単量体。
【請求項12】
Ar1、Ar2、Ar3及びAr4がそれぞれ独立して表す連結基の内、ベンゼン環は1,3−位で連結されるものであり、ナフタレン環は2,7−位で連結されるものである、請求項1〜11のいずれかに記載の重合性単量体。
【請求項13】
下記式(1−10)で表される化合物に重合性官能基が置換した、請求項1に記載の重合性単量体。
【化1】

(式中、Ara、Arb、Ar1、Ar3、Ar4、n及びoは、前記定義の通りである。Ar1とAr3の間に介在するナフタレン環は、置換基又は無置換のナフタレン環である。但し、いずれの置換基もアリール基、ヘテロアリール基ではない。)
【請求項14】
重合性官能基が、Arb又はAr1に置換している、請求項1〜13のいずれかに記載の重合性単量体。
【請求項15】
重合性官能基がベンゼン環又はナフタレン環に置換している、請求項14に記載の重合性単量体。
【請求項16】
重合性官能基が、下記式(i)〜(iv)のいずれかである、請求項1〜15のいずれかに記載の重合性単量体。
【化2】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜22のアリール基を表す。L1は、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは無置換のビニレン基、置換もしくは無置換のビニリデン基、エチニレン基、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NR2−、−NR2−C(=O)−、−NR2−、−S−又は−C(=S)−のいずれかを表す。前記R2は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜22のアリール基を表す。
pは、0又は1を表す。また、波線は結合部位を表す。)
【請求項17】
重合性官能基が、前記式(iii)で表される重合性官能基以外の置換もしくは無置換のノルボルネン骨格を有する基、置換もしくは無置換のエポキシ基又はオキセタン基を有する基、ラクトン構造もしくはラクタム構造を有する基、シクロオクタテトラエニル基、1,5−シクロオクタジエニル基、α,ω−ジエニル基及びα,ω−ジイニル基からなる群から選択される基である、請求項1〜15のいずれかに記載の重合性単量体。
【請求項18】
少なくとも請求項1〜17のいずれかに記載の重合性単量体を含む原料を重合することにより得られる高分子化合物。
【請求項19】
さらに、下記式(A)又は(B)で表される化合物を含む原料を重合することにより得られる、請求項18に記載の高分子化合物。
【化3】

(式中、M11は、重遷移金属を表し、L11は、配位子を表す。Q11は、芳香族環又は複素環を形成する原子群を表す。Q12は、含窒素芳香環を形成する原子群を表す。Q11とQ12は、両者が結合して環構造を形成していてもよい。L11と、Q11又はQ12で形成される環は、少なくともいずれか一つが重合性官能基を有する。
11は、0〜3の整数を表す。m12は、1〜4の整数を表す。なお、m12が2〜4の整数の場合、複数のQ11同士、Q12同士、又はQ11とQ12は、任意に結合して1つの配位子となっていてもよい。)
【化4】

(R11〜R14は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜22のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数3〜20の複素環基又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表す。Xは、置換もしくは無置換の環形成炭素数10〜40の縮合芳香族環基、置換もしくは無置換のスチレン誘導基を表す。
rは、0〜3の整数を表す。rが2又は3の場合、2つ又は3つの−NR1314は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。但し、rが0の場合、式(B)は、R1112NXHとして表される。
11〜R14は、少なくともいずれか1つが重合性官能基を有しており、r=0の場合は、R11及びR12のうち少なくとも一方が重合性官能基を有する。)
【請求項20】
請求項18又は19に記載の高分子化合物を含む有機デバイス用材料。
【請求項21】
請求項20に記載の有機デバイス用材料を用いて得られる有機デバイス。
【請求項22】
請求項18又は19に記載の高分子化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項23】
発光材料である、請求項22に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項24】
さらに燐光発光性を有する燐光発光材料を含む、請求項23に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項25】
さらに蛍光発光性を有する蛍光発光材料を含む、請求項23に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項26】
陽極及び陰極、並びに該陽極と該陰極に挟持された少なくとも1層からなる有機化合物層を含んでなり、該有機化合物層が、請求項22、24又は25のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項27】
陽極及び陰極、並びに該陽極と該陰極に挟持された少なくとも1層からなる有機化合物層を含んでなり、該有機化合物層の少なくとも1層が発光層であり、該発光層が請求項22、24又は25のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。

【公開番号】特開2011−105643(P2011−105643A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262197(P2009−262197)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】