説明

重水素化カテコールアミン誘導体およびその化合物を含む薬剤

一般式I:
【化3】


[式中、
1は、HもしくはD、または生理学的条件下において加水分解によりもしくは酵素作用により容易に開裂可能な基であり、
2はHまたはDを表し、
3は、H、D、C1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、重水素化されたC1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、または生理学的条件下において加水分解によりもしくは酵素作用により容易に開裂可能な基であり、
4は、HもしくはD、または生理学的条件下において加水分解によりもしくは酵素作用により容易に開裂可能な基を表し、
5はHまたはDであり、そして
6はHまたはDである]
の重水素化カテコールアミン誘導体、ならびに該誘導体の生理学的に許容可能な塩および光学的に純粋な形態における該誘導体の立体異性体、鏡像異性体またはジアステレオマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重水素化カテコールアミン誘導体、更にはこれらの化合物を含有する薬剤に関係する。
【背景技術】
【0002】
L−ドーパ(レボドパ)などの公知の代表的なカテコールアミン、更にはそれらのカルボン酸エステルは、数ある中でも特に、パーキンソン病および下肢静止不能症候群の治療に利用されている。レボドパを含有するそのような薬剤は、例えば、Dopaflex(登録商標)である。L−ドーパは、脳のニューロンにおけるドーパミン濃度に作用する。ドーパミンそのものとは異なり、L−ドーパは、血液脳関門を通過することができ、脳内においてドーパミンに変換される。
【0003】
更に、レボドパは、薬剤における活性な添加剤と組み合わせて投与される。レボドパの組み合わせは、末梢デカルボキシラーゼ阻害剤、酵素カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)の阻害剤、酵素モノアミンオキシダーゼ(MAO)の阻害剤およびドーパミンβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤とともに使用される。
【0004】
この文脈において、使用されるデカルボキシラーゼ阻害剤は、例えば、D,L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド(ベンゼラジド)、(−)−L−α−ヒドラジノ−3,4−ジヒドロキシ−α−メチルヒドロ桂皮酸(カルビドーパ)、L−セリン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、グリシン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジドおよびL−チロシン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、である。レボドパとデカルボキシラーゼ阻害剤との組み合わせ製剤の例は、数ある中でも特に、Madopar(登録商標)(レボドパとベンゼラジドヒドロクロリド)、更にはNacom(登録商標)(レボドパとカルビドーパ)を含む。
【0005】
COMT阻害剤の例はエンタカポン(Comtan(登録商標))およびカベルゴリンであり、よく使用されるMAO阻害剤は、セレギリンヒドロクロリド、モクロベミドおよびトラニルシプロミンである。
【0006】
カルシウム5−ブチルピコリナートおよびカルシウム5−ペンチルピコリナートがドーパミン−β−ヒドロキシラーゼに対する阻害剤として開述されている(DE第2,049,115号)。
【0007】
WO−A第2004/056724号は、β−位置に2個の重水素原子を有する重水素化カテコールアミンを開示している。これらの化合物は、非重水素化化合物に対して、およびL−DOPAと比較して、改善された薬物動態学的特性及び/又は薬力学的特性を呈する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、既に公知の化合物と比べて改善された薬物動態学的特性及び/又は薬力学的特性を有する重水素化カテコールアミン誘導体を調製することであり、更には、統合失調症を含めた精神病の予防に利用することができるカテコールアミン誘導体、および精神病を予防するための薬剤を製造するために使用することができるカテコールアミン誘導体を調製することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本発明による重水素化カテコールアミン誘導体は、当分野において公知の非重水素化化合物およびβ,β−ジ−重水素化化合物よりも実質的に良好な薬物動態学的特性及び/又は薬力学的特性を有していることが判明し、また、それらの誘導体は、精神病の予防に使用することができ、更には精神病を予防するための薬剤を製造するために使用することができることも判明した。
【0010】
従って、その目的は、本発明により、一般式I:
【化2】

[式中、
1は、HもしくはD、または生理学的条件下において加水分解によりもしくは酵素作用により容易に開裂可能な基であり、
2はHまたはDを表し、
3は、H、D、C1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、重水素化されたC1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、または生理学的条件下において加水分解によりもしくは酵素作用により容易に開裂可能な基であり、
4は、HもしくはD、または生理学的条件下において加水分解によりもしくは酵素作用により容易に開裂可能な基を表し、
5はHまたはDであり、そして
6はHまたはDである]
の化合物、更にはそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、および光学的に純粋な形態におけるそれらの化合物の立体異性体、鏡像異性体またはジアステレオマーを調製することによって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
両方の残基R6が同時には重水素(D)ではない一般式Iによる化合物が好ましい。
【0012】
生理学的条件下において加水分解によりもしくは酵素作用により容易に開裂可能な基は当業者にとって公知である。それらの基は、合成において使用される普通の保護基、またはいわゆるプロドラッグをもたらすような保護基である。
【0013】
これらの基は、メチル、ペルジュウテロ(perdeutro)メチル、エチル、ペルジュウテロエチル、プロピル、ペルジュウテロプロピル、ブチル、ペルジュウテロブチル、分枝状もしくは非分枝状であってもよいC1からC6までのアルキル、またはC5からC6までのシクロアルキル、重水素化もしくは部分的に重水素化された、分枝状もしくは非分枝状であってもよいC1からC6までのアルキル、または重水素化もしくは部分的に重水素化されたC5からC6までのシクロアルキルからなるグループから選択されてもよい。
【0014】
本発明によれば、式1による重水素化カテコールアミン誘導体であって、式中、
1がHまたはDであり、
2がHまたはDを表し、
3が、H、D、C1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、重水素化されたC1からC6までのアルキルもしくは重水素化されたC5からC6までのシクロアルキルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6が、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体が好ましい。
【0015】
式1による好ましい重水素化カテコールアミン誘導体は、式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がD、C1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、重水素化されたC1からC6までのアルキルもしくは重水素化されたC5からC6までのシクロアルキルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6が、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体である。
【0016】
また、式1による重水素化カテコールアミン誘導体であって、式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がH、D、C1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、重水素化されたC1からC6までのアルキルもしくは重水素化されたC5からC6までのシクロアルキルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6が、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体も好ましい。
【0017】
一般式1による好ましい重水素化カテコールアミン誘導体は、式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がC1からC6までのアルキルまたはC5からC6までのシクロアルキルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6が、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体である。
【0018】
式1による好ましい重水素化カテコールアミン誘導体は、式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がメチルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6が、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体である。
【0019】
式1による好ましい重水素化カテコールアミン誘導体は、式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がエチルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6が、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体である。
【0020】
式1による好ましい重水素化カテコールアミン誘導体は、式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がペルジュウテロエチルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6が、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体である。
【0021】
式1による好ましい重水素化カテコールアミン誘導体は、式中、
1がHまたはDであり、
2がHまたはDを表し、
3がペルジュウテロエチルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6が、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体である。
【0022】
式1による好ましい重水素化カテコールアミン誘導体は、式中、
1がHまたはDであり、
2がHまたはDを表し、
3がペルジュウテロエチルであり、
4がDを表し、
5がHまたはDであり、そして
6が、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体である。
【0023】
式1による重水素化カテコールアミン誘導体、即ち、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、および
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
が好ましい。
【0024】
本発明の別の実施形態は、ドーパミン欠乏性疾患、またはチロシン輸送の破壊もしくはチロシンデカルボキシラーゼの破壊に基づく疾患、例えばパーキンソン病、下肢静止不能症候群、ジストニアなどを治療するため、プロラクチン分泌を抑制するため、成長ホルモンの放出を刺激するため、ならびに慢性マンガン中毒、筋萎縮性側索硬化症および多系統萎縮症の神経学的症状を治療するために用いられる、本発明による重水素化カテコールアミン誘導体およびそれらの誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用である。
【0025】
好適には、ドーパミン欠乏性疾患、またはチロシン輸送の破壊もしくはチロシンデカルボキシラーゼの破壊に基づく疾患、例えばパーキンソン病、下肢静止不能症候群、ジストニアなどを治療するため、プロラクチン分泌を抑制するため、成長ホルモンの放出を刺激するため、ならびに慢性マンガン中毒、筋萎縮性側索硬化症および多系統萎縮症の神経学的症状を治療するために用いられる上述の重水素化カテコールアミン誘導体およびそれらの誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用は、1つの酵素阻害剤または幾つかの酵素阻害剤との組み合わせにおいて使用される。
【0026】
上述の1つ以上の酵素阻害剤がデカルボキシラーゼ阻害剤及び/又はカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はモノアミンオキシダーゼ阻害剤及び/又はβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤を含んでいる場合には有利である。
【0027】
上述のデカルボキシラーゼ阻害剤が、以下のもの:D,L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド(ベンゼラジド)、(−)−L−α−ヒドラジノ−3,4−ジヒドロキシ−α−メチルヒドロ桂皮酸(カルビドーパ)、L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、グリシン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジドおよびL−チロシン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される場合には特に有利である。
【0028】
また、特に、上述のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤が、エンタカポンおよびカベルゴリン、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される場合も有利である。
【0029】
また、上述のモノアミンオキシダーゼ阻害剤が、セレギリン、モクロベミドおよびトラニルシプロミン、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される場合も好ましい。
【0030】
更に、上述のβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、カルシウム5−ブチルピコリナートおよびカルシウム5−ペンチルピコリナート、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される場合には特に好ましい。
【0031】
本発明の別の主題は、ドーパミン欠乏性疾患、またはチロシン輸送の破壊もしくはチロシンデカルボキシラーゼの破壊に基づく疾患、例えばパーキンソン病、下肢静止不能症候群、ジストニアなどを治療するため、プロラクチン分泌を抑制するため、成長ホルモンの放出を刺激するため、ならびに慢性マンガン中毒、筋萎縮性側索硬化症および多系統萎縮症の神経学的症状を治療するための薬剤の製造に用いられる、本発明による重水素化カテコールアミンおよびそれらのカテコールアミンの生理学的に許容可能な塩の使用である。
【0032】
本発明の別の主題は、ドーパミン欠乏性疾患、またはチロシン輸送の破壊もしくはチロシンデカルボキシラーゼの破壊に基づく疾患、例えばパーキンソン病、下肢静止不能症候群、ジストニアなどを治療するため、プロラクチン分泌を抑制するため、成長ホルモンの放出を刺激するため、ならびに慢性マンガン中毒、筋萎縮性側索硬化症および多系統萎縮症の神経学的症状を治療するために用いられる薬剤組成物であって、薬剤学的に許容可能な佐剤および添加剤に加え、本発明による重水素化カテコールアミンおよびそれらのカテコールアミンの生理学的に許容可能な塩を含有する薬剤組成物である。
【0033】
パーキンソン病、下肢静止不能症候群、ジストニアを治療するため、プロラクチン分泌を抑制するため、成長ホルモンの放出を刺激するため、ならびに慢性マンガン中毒、筋萎縮性側索硬化症および多系統萎縮症の神経学的症状を治療するため、薬剤学的に許容可能な佐剤および添加剤に加えて、本発明による重水素化カテコールアミンおよびそれらのカテコールアミンの生理学的に許容可能な塩、更には1つ以上の酵素阻害剤を含有する薬剤組成物が特に有利である。
【0034】
上述の1つ以上の酵素阻害剤がデカルボキシラーゼ阻害剤及び/又はカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はモノアミンオキシダーゼ阻害剤及び/又はβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤を含む薬剤組成物が特に好ましい。
【0035】
更に、上述のデカルボキシラーゼ阻害剤が、D,L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド(ベンゼラジド)、(−)−L−α−ヒドラジノ−3,4−ジヒドロキシ−α−メチルヒドロ桂皮酸(カルビドーパ)、L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、グリシン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジドおよびL−チロシン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される薬剤組成物が好ましい。
【0036】
上述のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤が、エンタカポンおよびカベルゴリン、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される薬剤組成物が特に有利である。
【0037】
更に、上述のモノアミンオキシダーゼ阻害剤が、セレギリン、モクロベミドおよびトラニルシプロミン、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される薬剤組成物が有利である。
【0038】
加えて、上述のβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、カルシウム5−ブチルピコリナートおよびカルシウム5−ペンチルピコリナート、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される薬剤組成物が好ましい。
【0039】
本発明の別の主題は、精神病の予防、特に素因を有する患者における精神病の予防、再発の予防、更には、特に急性精神病の治療、例えば陰性総体症状を伴う急性精神病の治療において用いる、本発明による重水素化カテコールアミン誘導体およびそれらの誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用である。
【0040】
精神病の予防において用いるため、および急性精神病、好適には陰性総体症状を伴う精神病において用いるための、1つ以上の酵素阻害剤との組み合わせにおける、本発明による重水素化カテコールアミン誘導体およびそれらの誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用が特に好ましい。
【0041】
上述の1つ以上の酵素阻害剤がデカルボキシラーゼ阻害剤及び/又はカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はモノアミンオキシダーゼ阻害剤及び/又はβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤である場合の、本発明による重水素化カテコールアミン誘導体およびそれらの誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用が特に好ましい。
【0042】
上述のデカルボキシラーゼ阻害剤が、D,L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド(ベンゼラジド)、(−)−L−α−ヒドラジノ−3,4−ジヒドロキシ−α−メチルヒドロ桂皮酸(カルビドーパ)、L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、グリシン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジドおよびL−チロシン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される場合の、本発明による重水素化カテコールアミン誘導体およびそれらの誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用が特に好ましい。
【0043】
上述のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤が、エンタカポンおよびカベルゴリン、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される場合の、本発明による重水素化カテコールアミン誘導体およびそれらの誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用が有利である。
【0044】
加えて、上述のモノアミンオキシダーゼ阻害剤が、セレギリン、モクロベミドおよびトラニルシプロミン、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される場合の、本発明による重水素化カテコールアミン誘導体およびそれらの誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用が有利である。
【0045】
上述のβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、カルシウム5−ブチルピコリナートおよびカルシウム5−ペンチルピコリナート、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される場合の、本発明による重水素化カテコールアミン誘導体およびそれらの誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用が特に有利である。
【0046】
本発明の別の主題は、精神病の予防において使用するための薬剤の製造に用いる、本発明による重水素化カテコールアミン誘導体およびそれらの誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用である。
【0047】
本発明の更に別の主題は、精神病の予防および急性精神病の治療において使用するための、薬剤学的に許容可能な佐剤および添加剤に加えて、本発明による重水素化カテコールアミンおよびそれらのカテコールアミンの生理学的に許容可能な塩を含有する薬剤組成物である。
【0048】
精神病の予防および急性精神病の治療のため薬剤組成物であって、薬剤学的に許容可能な佐剤および添加剤に加えて、本発明による重水素化カテコールアミンおよびそれらのカテコールアミンの生理学的に許容可能な塩、ならびに1つ以上の酵素阻害剤を含有する薬剤組成物が特に有利である。
【0049】
上述の1つ以上の酵素阻害剤がデカルボキシラーゼ阻害剤及び/又はカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はモノアミンオキシダーゼ阻害剤及び/又はβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤である薬剤組成物が特に好ましい。
【0050】
更に、上述のデカルボキシラーゼ阻害剤が、D,L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド(ベンゼラジド)、(−)−L−α−ヒドラジノ−3,4−ジヒドロキシ−α−メチルヒドロ桂皮酸(カルビドーパ)、L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、グリシン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジドおよびL−チロシン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される薬剤組成物が有利である。
【0051】
上述のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤が、エンタカポンおよびカベルゴリン、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される薬剤組成物が特に有利である。
【0052】
上述のモノアミンオキシダーゼ阻害剤が、セレギリン、モクロベミドおよびトラニルシプロミン、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される薬剤組成物が特に有利である。
【0053】
上述のβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、カルシウム5−ブチルピコリナートおよびカルシウム5−ペンチルピコリナート、ならびにそれらの化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される薬剤組成物が特に好ましい。
【0054】
本発明による化合物の製造の仕方は当業者にとって公知である。例えば、DE−A第102 61 807号に記載されているものと類似の製造方法を使用することができる。
【0055】
本発明による重水素化カテコールアミン誘導体の生理学的に許容可能な塩を製造する場合、生理学的に許容可能な通常の無機酸および有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、サリチル酸、アジピン酸および安息香酸などを使用することができる。使用され得る更なる酸が、例えばFortschritte
der Arzneimittelforschung、Vol.10、pp.224-225、Birkhauser Publishers、Basel and
Stuttgart、1966、およびJournal of Pharmaceutical Sciences、Vol.66、pp.1-5(1977)に記載されている。
【0056】
これらの酸付加塩は、通常、それ自体は公知の仕方で、その遊離塩基またはそれの溶液を、対応する酸またはそれの溶液と、有機溶媒中において、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノールもしくはイソプロパノールなどの低級アルコール中において、またはアセトン、メチルエチルケトンもしくはメチルイソブチルケトンなどの低級ケトン中において、またはジエチルエーテル、テトラヒドロフランもしくはジオキサンなどのエーテル中において混合することにより得られる。より良好な結晶沈殿を得るべく、上で名が挙げられている溶媒の混合物を使用することもできる。更に、そこから(there from)、本発明により使用される化合物の酸付加塩の生理学的に許容可能な水溶液を酸水溶液の形態で生成することもできる。
【0057】
本発明による化合物の酸付加塩は、それ自体は公知の仕方で、例えばアルカリまたはイオン交換体を用いて、遊離塩基に変換することができる。付加塩は、無機酸または有機酸との反応、特に、治療学的に用いることができる塩を形成するのに適した無機酸または有機酸との反応により、遊離塩基から得ることができる。新規な本化合物のこれらの塩または他の塩、例えばピクラートなどは、遊離塩基を塩に変換し、この塩を分離して、再び、その塩から塩基を解放することにより、遊離塩基の精製にも役立てることができる。
【0058】
本発明の主題は、通常の賦形剤および希釈剤に加えて、一般式Iの化合物またはその化合物の酸付加塩も活性成分として含有する、経口投与用、口腔投与用、舌下投与用、経鼻投与用、直腸投与用、皮下投与用、静脈内投与用または筋肉内投与用の薬剤、更には吸入用の薬剤でもある。
【0059】
本発明の薬剤は、公知の仕方において、適切な用量で、通常の固体もしくは液体の賦形物質または希釈剤、および所望の適用タイプに応じて一般的に使用される薬剤学的−技術的な佐剤を用いて製造される。好ましい製剤は経口的な適用に適した投与形態の剤形からなる。そのような投与形態の剤形は、例えば錠剤、吸引錠剤、フィルム錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、粉末剤、溶液剤、エアロゾル剤もしくは懸濁剤、または徐放出剤形を含む。
【0060】
もちろん、非経口製剤、例えば注射用溶液剤なども考慮されている。これらに加え、例えば坐剤も製剤として名前が挙げられている。対応する錠剤は、例えば、活性物質を公知の佐剤、例えばデキストロース、糖質、ソルビトール、マンニトールもしくはポリビニルピロリドンなどの不活性な希釈剤、コーンスターチもしくはアルギン酸などの崩壊(bursting)剤、デンプンもしくはゼラチンなどの結合剤、マグネシウムステアラートもしくはタルクなどの滑沢剤及び/又はカルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセタートフタラートもしくはポリビニルアセタートなどの徐放出効果を達成するための物質と混合することにより得ることができる。また、これらの錠剤は幾つかの層からなっていてもよい。
【0061】
また、糖衣錠も、対応して、制御放出剤形または遅延放出剤形の製剤で、錠剤と類似の仕方で製造されたコアを糖衣被覆において一般的に使用されている物質でコーティングすることにより、例えばポリビニルピロリドンもしくはシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタンまたは糖質でコーティングすることにより製造することができる。また、糖衣錠の外皮も幾つかの層からなっていてもよく、そこで、錠剤のケースに関して上で述べられている佐剤を使用することができる。
【0062】
本発明により使用される活性物質を含有した溶液剤または懸濁剤は、付加的に、サッカリン、シクラマートまたは糖質などの味を改善する物質、更には例えばバニラまたはオレンジエキスなどの味を増強する物質を含んでいてもよい。また、それらの製剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどの懸濁助剤またはp−ヒドロキシベンゾアートなどの防腐剤も含んでいてもよい。活性物質を含有するカプセル剤は、例えば、活性物質をラクトースまたはソルビトールなどの不活性な賦形剤と混合し、この混合物をゼラチンカプセル内に封入することにより製造することができる。適切な坐剤は、例えば、そのために与えられた中性脂肪もしくはポリエチレングリコール、またはそれらの誘導体などの賦形剤物質と混合することにより製造することができる。
【0063】
本発明による薬剤調製物の製造は、それ自体は公知であり、当業者にとって公知の種々のハンドブック、例えばHager's Handbuch[Handbook](第5版)2、622-1045;Listら、Arzneiformenlehre[Instructions for Drug Forms]、Stuttgart:Wiss.Verlagsges、1985;Suckerら、Pharmazeutische Technologie[Pharmaceutical Technology]、Stuttgart:Thieme 1991;Ullmann's Enzyklopaeedie[Encyclopedia](第5版)A19、241-271;Voigt、Pharmazeutische Technologie[Pharmaceutical Thechnology]、Berlin:Ullstein Mosby 1995などに記載されている。
【0064】
WO−A第2004/056724号から公知の如く、L−2−アミノ−2,3,3−トリジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸は、L−DOPAと比べ、より良好な薬物動態学的特性および薬力学的特性を有する、選択的に重水素化されたL−DOPA誘導体である。雄のWistarラットへのL−2−アミノ−2,3,3−トリジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸の投与は、非重水素化L−DOPAに比べ、線条体におけるドーパミンを一層有意に増大させた。
【0065】
驚くべきことに、L−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸は、この化合物がL−2−アミノ−2,3,3−トリジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸よりもその分子の側鎖のベータ位置における重水素の数が少ないにもかかわらず、L−2−アミノ−2,3,3−トリジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸よりも有意に多く線条体中のドーパミンを増大させることが判明した(実施例15および表1)。
【0066】
その上、一方のL−2−アミノ−2,3,3−トリジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸は、L−DOPAに比べ、ノルエピネフリンの線条体アウトプットを低減させるが、L−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸はノルエピネフリンの形成を妨害しない。
【0067】
従って、L−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸は2つの利点を有しており、より多くのドーパミンをもたらすとともに、充分なノルエピネフリンをもたらし、そのノルエピネフリンは、ドーパミン作動性機能の喪失を補償する上で重要な役割を果たしていることが示されている(ArcherおよびFredriksson、2006、Neural Transm.、113(9):1119-29;Cathalaら、2002、Neuroscience、115(4):1059-65;Tongら、2006、Arch Neurol、63(12):1724-8)。
【0068】
高度に可溶性のL−DOPAメチルエステルは、L−DOPAのプロドラッグとして機能することが示されている。動物実験において、経口的または腹腔内に与えられたL−DOPAメチルエステルは、モルベースで、L−DOPAと同等であった。しかし、重度のオン−オフ現象を呈するパーキンソン病患者における連続的な静脈内注入では、治療学的な同等性が維持されなかった。L−DOPAメチルエステルでの最適な注入速度は、L−DOPAで必要であった速度の2.7倍であった(Stocchiら、1992、Movement Disorders、7:249-256)。驚くべきことに、L−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステルは、連続的な静脈内注入で、L−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸と治療学的に同等である。
【0069】
以下の実施例は、本発明をさらに詳しく説明するために与えられたものであり、本発明の範囲を限定するものと理解すべきではない。
【実施例】
【0070】
実施例1
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸
2.5gのレボドパをアルゴン下において60mLのCH3CO2D中に溶解し、その後、還流下において0.25mLのベンズアルデヒドと反応させる。真空下における蒸留により酢酸およびベンズアルデヒドを排除した後、2mLのメタノールを加える。その生成物を10mLの酢酸エチル/トルエン(1:1)を用いてゆっくりと沈殿させる。真空下における乾燥後、2.2gのD,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸が単離される。
収率:87.6%。
【0071】
実施例2
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチルプロピオナート
2.0gのD,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸を30mLのメタノール中に溶解して、−10℃に冷却し、1滴ずつ加えながら1mlのチオニルクロリドと反応させる。その後、この反応バッチを、15時間、40℃に加熱する。その反応バッチ中における揮発性物質を真空下において排除し、10mlの水、ならびに0.8gの炭酸水素ナトリウム、1gの硫酸ナトリウムおよび1mgのアスコルビン酸からなる15mlの溶液を加える。その溶液のpH値を、希釈水酸化ナトリウム溶液を加えることにより、7に調節する。その生成物を酸素不含の酢酸エチルで抽出することにより有機相へ移し、その有機相は0.01%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノールを含む。その有機相を乾燥させた後、溶媒を蒸留して取り除く。その残分に50mlの酸素不含ジエチルエーテルを加え、この材料を夜通し放置した後、D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチルプロピオナートが沈殿する。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと併せ、酸素不含のメタノール/ジエチルエーテル混合物から再結晶化させることにより、1.8gの生成物が単離される。
収率:84.9%。
【0072】
実施例3
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸
1.15gのD,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチルプロピオナートを30mLの0.2モルの重炭酸ナトリウム溶液(pH8.2)中に溶解する。200μLのアルカラーゼ(alcalase)を加え、その溶液のpHを炭酸塩−重炭酸塩緩衝剤によりこの値に維持する。HPLCにより反応の過程をモニタリングし、プロピオン酸エステルの濃度が半分に低減したときに、塩酸を加えることにより反応を終結させる。アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸水溶液(15:85)の溶媒系を使用することによって、その溶液中に含まれている重水素化アミノ酸をクロマトグラフィーにより重水素化メチルエステルから分離し、0.51gのL−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸を単離する。
収率:95%(L−鏡像異性体の割合をベースとして)
融点:287−290℃
910NO4D:
計算値:C 54.54%;H 5.09%;N 7.07%;O 32.29%;D 1.02%
実測値:C 54.45%;H+D 6.08;N 7.02
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):6.58(d、1H);6.54(s、1H);6.47(d、1H);3.07(d、1H);2.90(d、1H)。
【0073】
実施例4
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチルプロピオナート
2.0gのL−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸を30mLのメタノール中に溶解して、−10℃に冷却し、1滴ずつ加えながら1mlのチオニルクロリドと反応させる。その後、この反応バッチを、15時間、40℃に加熱する。その反応バッチ中における揮発性物質を真空下において排除し、10mlの水、ならびに0.8gの炭酸水素ナトリウム、1gの硫酸ナトリウムおよび1mgのアスコルビン酸からなる15mlの溶液を加える。その溶液のpH値を、希釈水酸化ナトリウム溶液を加えることにより、7に調節する。その生成物を酸素不含の酢酸エチルで抽出することにより有機相へ移し、その有機相は0.01%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノールを含む。その有機相を乾燥させた後、溶媒を蒸留して取り除く。その残分に50mlの酸素不含ジエチルエーテルを加え、その材料を夜通し放置した後、L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチルプロピオナートが沈殿する。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと併せ、酸素不含のメタノール/ジエチルエーテル混合物から再結晶化させることにより、1.9gの生成物が単離される。
収率:89.6%
1012NO4D:
計算値:C 56.60%;H 5.70%;N 6.60%;O 30.16%;D 0.95%;
実測値:C 56.65%;H+D 6.63%;N 6.54%
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):6.58(d、1H);6.54(s、1H);6.47(d、1H);3.81(s、3H)、3.07(d、1H);2.90(d、1H)。
【0074】
実施例5
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチルプロピオナート
2.0gのL−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸を30mLのメタノール中に溶解して、−10℃に冷却し、1滴ずつ加えながら1mlのチオニルクロリドと反応させる。その後、この反応バッチを、15時間、40℃に加熱する。その反応バッチ中における揮発性物質を真空下において排除し、10mlの水、ならびに0.8gの炭酸水素ナトリウム、1gの硫酸ナトリウムおよび1mgのアスコルビン酸からなる15mlの溶液を加える。その溶液のpH値を、希釈水酸化ナトリウム溶液を加えることにより、7に調節する。その生成物を酸素不含の酢酸エチルで抽出することにより有機相へ移し、その有機相は0.01%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノールを含む。その有機相を乾燥させた後、溶媒を蒸留して取り除く。その残分に50mlの酸素不含ジエチルエーテルを加え、その材料を夜通し放置した後、L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチルプロピオナートが沈殿する。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと併せ、酸素不含のエタノール/ジエチルエーテル混合物から再結晶化させることにより、2gの生成物が単離される。
収率:88.5%
1114NO4D:
計算値:C 58.40%;H 6.24%;N 6.19%;O 28.29%;D 0.89%;
実測値:C 58.32%;H+D 7.03%;N 6.12%
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):6.58(d、1H);6.54(s、1H);6.47(d、1H);4.15(q、2H)、3.07(d、1H);2.90(d、1H);1.21(t、3H)。
【0075】
実施例6
L−2−アミノ−2,3(S)−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸
2.5gのN−アセチル−3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸を、0.027gの水酸化ナトリウムを含有する30mLのメタノール中に溶解し、オートクレーブに入れる。酸素を窒素で置換した後、反応器に重水素ガスを充填する。同時に、重水素ガスで処理することにより、0.5gのMonsanto触媒を2.5mLのトルエン中において調製する。その触媒をオートクレーブに加えた後、60℃および4〜5バールにおいて、「水素化」が開始される。4時間後、過剰な重水素ガスを除去し、蒸留して溶媒を取り除く。その重水素化された生成物のナトリウム塩を単離し、再結晶化させる。
収量:2.4g(94%)。
【0076】
0.9gのこのナトリウム塩を2.5mLの臭化水素酸(23%)中に溶解し、還流させて約105〜110℃に加熱する。その後、その反応混合物を25〜30℃に冷却し、濃縮水酸化ナトリウム溶液を加えることによりpHを3に調節して、L−2−アミノ−2,3(S)−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸の沈殿を開始させる。得られた沈殿物を冷水で洗い、保護ガス下において、温水中で再結晶化させる。再結晶化後、0.51gの生成物が単離される。
収率:85.1%
融点:286〜299℃
99NO42
計算値:C 54.27%;H 4.55%;N 7.03%;O 32.13%;D 2.02%
実測値:C 54.15%;H+D 6.50%;N 7.08%
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):6.59(d、1H);6.54(s、1H);6.48(d、1H);2.74(m、1H)。
【0077】
実施例7
L−2−アミノ−2,3(S)−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチルプロピオナート
この化合物は、モノ−重水素化化合物(実施例4参照)での説明に従って製造される。
収率:91%
10112NO4
計算値:C 56.33%;H 5.20%;N 6.57%;O 30.01%;D 1.89%;
実測値:C 56.22%;H+D 7.01;N 6.45
1H−NMR.(400MHz、d6.−DMSO):6.59(d、1H);6.54(s、1H);6.48(d、1H);2.72(m、1H);3.81(s、3H)。
【0078】
実施例8
L−2−アミノ−2,3(S)−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチルプロピオナート
この化合物は、モノ−重水素化化合物(実施例5参照)での説明に従って製造される。
収率:93%
11132NO4
計算値:C 58.14%;H 5.77%;N 6.16%;O 28.16%;D 1.77%;
実測値:C 58.10%;H+D 7.48%;N 6.10%;
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):6.59(d、1H);6.54(s、1H);6.48(d、1H);2.72(m、1H);4.17(q、2H);1.22(t、3H)。
【0079】
実施例9
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸
0.2gのL−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸をオートクレーブに入れ、10mLのD2Oを加える。オートクレーブを真空排気(evacuated)し、24時間、190℃に加熱する。溶媒を排除し、酢酸エチルエステルを加える。溶媒を蒸留して取り除き、得られた残分を冷たいアセトンで洗う。その後、0.17gの生成物が単離される。
収率:84%
97NO44
計算値:C 53.72%;H 3.51%;N 6.96%;O 31.81%;D 4.00%;
実測値:C 53.65%;H+D 7.45%;N 6.90%;
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):3.06(d、1H);2.88(d、1H)。
【0080】
実施例10
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)メチルプロピオナート
この化合物は、モノ−重水素化化合物(実施例4参照)での説明に従って製造される。
収率:89%
109NO44
計算値:C 55.80%;H 4.21%;N 6.51%;O 29.73%;D 3.74%;
実測値:C 55.71%;H+D 7.89%;N 6.53%;
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):3.81(s、3H);3.08(d、1H);2.88(d、1H)。
【0081】
実施例11
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)エチルプロピオナート
この化合物は、モノ−重水素化化合物(実施例5参照)での説明に従って製造される。
収率:92%
1111NO44
計算値:C 57.63%;H 4.84%;N 6.11%;O 27.91%;D 3.51%;
実測値:C 57.57%;H+D 8.31%;N 6.15%;
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):4.17(q、2H)、3.06(d、1H);2.88(d、1H);1.21(t、3H)。
【0082】
実施例12
L−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸
0.2gのL−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸をオートクレーブに入れ、10mLのD2Oを加える。オートクレーブを真空排気し、24時間、190℃に加熱する。溶媒を排除し、酢酸エチルエステルを加える。溶媒を蒸留して取り除き、得られた残分を冷たいアセトンで洗う。その後、0.16gの生成物が単離される。
収率:79.2%
96NO45
計算値:C 53.46%;H 2.99%;N 6.93%;O 31.65%;D 4.98%;
実測値:C 53.49%;H+D 7.92%;N 6.88%;
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):2.76(m、1H)。
【0083】
実施例13
L−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)メチルプロピオナート
この化合物は、モノ−重水素化化合物(実施例4参照)での説明に従って製造される。
収率:90%
1085NO4
計算値:C 55.54%;H 3.73%;N 6.48%;O 29.59%;D 4.66%;
実測値:C 55.50%;H+D 8.31;N 6.45%
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):3.80(s、3H);2.74(m、1H)。
【0084】
実施例14
L−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)エチルプロピオナート
この化合物は、モノ−重水素化化合物(実施例5参照)での説明に従って製造される。
収率:93%
11105NO4
計算値:C 57.38%;H 4.38%;N 6.08%;O 27.79%;D 4.37%;
実測値:C 57.34%;H+D 8.71%;N 6.04%;
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):4.15(q、2H);2.75(m、1H);1.21(t、3H)。
【0085】
実施例15
微小透析法により測定された線条体ドーパミンアウトプット
ドーパミンの線条体アウトプットが、それぞれ、50mg/kgのL−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸(L−DOPA)、L−2−アミノ−2,3,3−トリジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸(WO−A第2004/056724号、実施例6)およびL−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸(実施例6)を腹腔内に投与した後の雄のWistarラットで測定された。実験時に約300gの体重を有する雄のウィスター系ラット(BK Universal、Sollentuna、Sweden)が、蒸留水中に希釈されたクエン酸フェンタニル(0.39mg/kg)およびフルアニゾン(12.5mg/kg、Hypnorm(登録商標)、Janssen−Cilag)ならびにミダゾラム(6.25mg/kg、Dormicum(登録商標)、Roche)を含有するカクテル(1:1:2;5ml/kg i.p.)で麻酔され、定位固定フレームに取り付けられた。透析プローブを背外側線条体(PaxinosおよびWatsonの解剖アトラス(1998)によるブレグマおよび硬膜表面に関してAP:+0.6:ML+3.0:DV−6.2)に埋め込んだ。透析は、3.5mmの活性表面長さを有する半透膜(Filtral AN69、Hospal Industrie、France)を通じて起こる。透析実験は、自由行動ラットにおいて、手術の約48時間後に実施された。ラットには、試験品目が投与される30分前に10mg/kgのカルビドーパ(i.p.)が与えられた。透析プローブは、微量注入ポンプ(Harvard Apparatus、Holliston、MA)により設定された2.5ml/分の速度において生理学的灌流液(Apoteksbolaget、Sweden)で灌流された。透析物は、15分のインターバルにわたって収集され、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムに自動的に注入された。透析物中におけるドーパミンのオンライン定量化は電気化学検出法(ESA、Chelmsford、MA)により果たされた。微小透析プローブの位置は、ニュートラルレッドで染色されたホルマリン固定組織の薄片で確認された。ベースライン補正された濃度(fmol/分)が時間の経過とともにプロットされた。
【0086】
AUC0-t(濃度曲線下面積)値の比較は、表1に示されているように、50mg/kgのL−2−アミノ−2,3,3−トリジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸の投与後における線条体中のドーパミンの増大がL−2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸(L−DOPA)の場合と比較して約2倍大きかったことを明らかにした。50mg/kgのL−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸(実施例6)の投与後における線条体ドーパミンの増大は、更に、L−DOPAの投与後に測定した場合よりも3倍大きかった。
【0087】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

[式中、
1は、HもしくはD、または生理学的条件下において加水分解によりもしくは酵素作用により容易に開裂可能な基であり、
2はHまたはDを表し、
3は、H、D、C1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、重水素化されたC1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、または生理学的条件下において加水分解によりもしくは酵素作用により容易に開裂可能な基であり、
4は、HもしくはD、または生理学的条件下において加水分解によりもしくは酵素作用により容易に開裂可能な基を表し、
5はHまたはDであり、そして
6はHまたはDである]
の重水素化カテコールアミン誘導体、ならびに該誘導体の生理学的に許容可能な塩および光学的に純粋な形態における該誘導体の立体異性体、鏡像異性体またはジアステレオマー。
【請求項2】
請求項1に記載の重水素化カテコールアミン誘導体であって、
1がHまたはDであり、
2がHまたはDを表し、
3がH、D、C1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、重水素化されたC1からC6までのアルキルもしくは重水素化されたC5からC6までのシクロアルキルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6は、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体。
【請求項3】
請求項1に記載の重水素化カテコールアミン誘導体であって、
式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がD、C1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、重水素化されたC1からC6までのアルキルもしくは重水素化されたC5からC6までのシクロアルキルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6は、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体。
【請求項4】
請求項1に記載の重水素化カテコールアミン誘導体であって、
式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がH、D、C1からC6までのアルキルもしくはC5からC6までのシクロアルキル、重水素化されたC1からC6までのアルキルもしくは重水素化されたC5からC6までのシクロアルキルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6は、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体。
【請求項5】
一般式I:
【化1】

[式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がC1からC6までのアルキルまたはC5からC6までのシクロアルキルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6は、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである]
重水素化カテコールアミン誘導体。
【請求項6】
請求項1に記載の重水素化カテコールアミン誘導体であって、
式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がメチルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6は、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体。
【請求項7】
請求項1に記載の重水素化カテコールアミン誘導体であって、
式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がエチルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6は、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体。
【請求項8】
請求項1に記載の重水素化カテコールアミン誘導体であって、
式中、
1がHまたはDであり、
2がDを表し、
3がペルジュウテロエチルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6は、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体。
【請求項9】
請求項1に記載の重水素化カテコールアミン誘導体であって、
式中、
1がHまたはDであり、
2がHまたはDを表し、
3がペルジュウテロエチルであり、
4がHまたはDを表し、
5がDであり、そして
6は、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体。
【請求項10】
請求項1に記載の重水素化カテコールアミン誘導体であって、
式中、
1がHまたはDであり、
2がHまたはDを表し、
3がペルジュウテロエチルであり、
4がDを表し、
5がHまたはDであり、そして
6は、両方の残基R6が同時にはDではないことを条件として、HまたはDである、
重水素化カテコールアミン誘導体。
【請求項11】
請求項1に記載の重水素化カテコールアミン誘導体、即ち、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
D−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
D,L−2−アミノ−2−ジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
R/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
R/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、
S/R−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル、
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル、および
S/S−2−アミノ−2,3−ジジュウテロ−3−(2,3,6−トリジュウテロ−4,5−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル。
【請求項12】
ドーパミン欠乏性疾患、またはチロシン輸送の破壊もしくはチロシンデカルボキシラーゼの破壊に基づく疾患、例えばパーキンソン病、下肢静止不能症候群、ジストニアなどを治療するため、プロラクチン分泌を抑制するため、成長ホルモンの放出を刺激するため、ならびに慢性マンガン中毒、筋萎縮性側索硬化症および多系統萎縮症の神経学的症状を治療するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項13】
ドーパミン欠乏性疾患、またはチロシン輸送の破壊もしくはチロシンデカルボキシラーゼの破壊に基づく疾患、例えばパーキンソン病、下肢静止不能症候群、ジストニアなどを治療するため、プロラクチン分泌を抑制するため、成長ホルモンの放出を刺激するため、ならびに慢性マンガン中毒、筋萎縮性側索硬化症および多系統萎縮症の神経学的症状を治療するための、1つの酵素阻害剤または幾つかの酵素阻害剤との組み合わせにおける、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項14】
更に、上記1つ以上の酵素阻害剤がデカルボキシラーゼ阻害剤及び/又はカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はモノアミンオキシダーゼ阻害剤及び/又はβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤を含むことを特徴とする、請求項13に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項15】
更に、上記デカルボキシラーゼ阻害剤が、D,L−セリン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド(ベンゼラジド)、(−)−L−α−ヒドラジノ−3,4−ジヒドロキシ−α−メチルヒドロ桂皮酸(カルビドーパ)、L−セリン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、グリシン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジドおよびL−チロシン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択されることを特徴とする、請求項14に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項16】
更に、上記カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤が、エンタカポン(entacapone)およびカベルゴリン(cabergoline)、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項17】
更に、上記モノアミンオキシダーゼ阻害剤が、セレギリン、モクロベミドおよびトラニルシプロミン、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択されることを特徴とする、請求項14に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項18】
更に、上記β−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、カルシウム5−ブチルピコリナートおよびカルシウム5−ペンチルピコリナート、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項19】
パーキンソン病、下肢静止不能症候群、筋萎縮性側索硬化症および多系統萎縮症を治療するための薬剤を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項20】
パーキンソン病、下肢静止不能症候群およびジストニアを治療するため、プロラクチン分泌を抑制するため、成長ホルモンの放出を刺激するため、ならびに慢性マンガン中毒、筋萎縮性側索硬化症および多系統萎縮症の神経学的症状を治療するため、薬剤学的に許容可能な佐剤および添加剤に加えて、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重水素化カテコールアミンおよび該カテコールアミンの生理学的に許容可能な塩を含有する薬剤組成物。
【請求項21】
パーキンソン病、下肢静止不能症候群およびジストニアを治療するため、プロラクチン分泌を抑制するため、成長ホルモンの放出を刺激するため、ならびに慢性マンガン中毒、筋萎縮性側索硬化症および多系統萎縮症の神経学的症状を治療するため、薬剤学的に許容可能な佐剤および添加剤に加えて、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重水素化カテコールアミンおよび該カテコールアミンの生理学的に許容可能な塩、ならびに1つ以上の酵素阻害剤を含有する薬剤組成物。
【請求項22】
更に、上記1つ以上の酵素阻害剤がデカルボキシラーゼ阻害剤及び/又はカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はモノアミンオキシダーゼ阻害剤及び/又はβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤を含む請求項21に記載の薬剤組成物。
【請求項23】
更に、上記デカルボキシラーゼ阻害剤が、D,L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド(ベンゼラジド)、(−)−L−α−ヒドラジノ−3,4−ジヒドロキシ−α−メチルヒドロ桂皮酸(カルビドーパ)、L−セリン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、グリシン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジドおよびL−チロシン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される、請求項21に記載の薬剤組成物。
【請求項24】
更に、上記カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤が、エンタカポンおよびカベルゴリン、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される、請求項21に記載の薬剤組成物。
【請求項25】
更に、上記モノアミンオキシダーゼ阻害剤が、セレギリン、モクロベミドおよびトラニルシプロミン、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される、請求項21に記載の薬剤組成物。
【請求項26】
更に、上記β−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、カルシウム5−ブチルピコリナートおよびカルシウム5−ペンチルピコリナート、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される、請求項21に記載の薬剤組成物。
【請求項27】
精神病の予防、特には統合失調症の予防のため、ならびに急性精神病の治療、特には陰性総体症状(symtomatology)のケースにおける急性精神病の治療および特には統合失調症の治療のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項28】
精神病の予防のため、および急性精神病の治療、特に陰性総体症状のケースにおける急性精神病の治療のための、1つ以上の酵素阻害剤との組み合わせにおける、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項29】
更に、上記1つ以上の酵素阻害剤がデカルボキシラーゼ阻害剤及び/又はカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はモノアミンオキシダーゼ阻害剤及び/又はβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤を含む、請求項28に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項30】
更に、上記デカルボキシラーゼ阻害剤が、D,L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド(ベンゼラジド)、(−)−L−α−ヒドラジノ−3,4−ジヒドロキシ−α−メチルヒドロ桂皮酸(カルビドーパ)、L−セリン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、グリシン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジドおよびL−チロシン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される、請求項29に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項31】
更に、上記カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤が、エンタカポンおよびカベルゴリン、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される、請求項29に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項32】
更に、上記モノアミンオキシダーゼ阻害剤が、セレギリン(selegiline)、モクロベミド(moclobemide)およびトラニルシプロミン、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される、請求項29に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項33】
更に、上記β−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、カルシウム−5−ブチルピコリナートおよびカルシウム−5−ペンチルピコリナート、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される、請求項29に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項34】
精神病の予防のため、および急性精神病の治療、特に陰性総体症状のケースにおける急性精神病の治療のための薬剤を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩の使用。
【請求項35】
精神病を予防するため、および急性精神病を治療するため、特に陰性総体症状のケースにおける急性精神病を治療するための薬剤組成物であって、薬剤学的に許容可能な佐剤および添加剤に加えた、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重水素化カテコールアミンおよび該カテコールアミンの生理学的に許容可能な塩を含む薬剤組成物。
【請求項36】
精神病を予防するため、および急性精神病を治療するため、特に陰性総体症状のケースにおける急性精神病を治療するための薬剤組成物であって、薬剤学的に許容可能な佐剤および添加剤に加えた、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重水素化カテコールアミン誘導体および該誘導体の生理学的に許容可能な塩、ならびに1つ以上の酵素阻害剤を含む薬剤組成物。
【請求項37】
更に、上記1つ以上の酵素阻害剤がデカルボキシラーゼ阻害剤及び/又はカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はモノアミンオキシダーゼ阻害剤及び/又はβ−ヒドロキシラーゼ阻害剤を含む、請求項36に記載の薬剤組成物。
【請求項38】
更に、上記デカルボキシラーゼ阻害剤が、D,L−セリン2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド(ベンゼラジド)、(−)−L−α−ヒドラジノ−3,4ジヒドロキシ−α−メチルヒドロ桂皮酸(カルビドーパ)、L−セリン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)−ヒドラジド、グリシン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジドおよびL−チロシン−2−(2,3,4−トリヒドロキシベンジル)ヒドラジド、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される、請求項37に記載の薬剤組成物。
【請求項39】
更に、上記カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤が、エンタカポンおよびカベルゴリン、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される、請求項37に記載の薬剤組成物。
【請求項40】
更に、上記モノアミンオキシダーゼ阻害剤が、セレギリン、モクロベミドおよびトラニルシプロミン、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、からなるグループから選択される、請求項37に記載の薬剤組成物。
【請求項41】
更に、上記β−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、カルシウム−5−ブチル−ピコリナートおよびカルシウム−5−ペンチル−ピコリナート、ならびに前記化合物の生理学的に許容可能な塩、から選択される、請求項37に記載の薬剤組成物。

【公表番号】特表2009−526799(P2009−526799A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554702(P2008−554702)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001555
【国際公開番号】WO2007/093450
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508248782)バーズ ファーマ ゲーエムベーハー ベロリナ イノヴェイティブ リサーチ アンド ディヴェロップメント サービス (1)
【Fターム(参考)】