説明

金属(IV)テトラ−アミジネート化合物ならびに蒸着においての使用

金属(IV)テトラキス(N,N’−ジアルキルアミジネート)は合成され、特性を決定された。例示金属はハフニウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、錫及びウランを含む。これらの化合物は揮発性、高熱的安定性、及び、金属およびそれらの酸化物、窒化物ならびに他化合物蒸着適性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は2006年6月28日に申請され、金属(IV)テトラ−アミジネート化合物ならびに蒸着においてのそれらの使用と名称を与えられ、ここで全体として参照により組込まれる米国仮特許出願第60/817,209号について米国特許法第119(e)条による利益を主張する。
【0002】
この発明は4つのアミジネート配位子に結合され、+4酸化状態の金属を含む新規化合物に関する。この発明はまた含金属層蒸着についての先駆物質としてこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
高誘電率(「高k誘電体」)の電気絶縁材は電子計算機記憶素子(随時読出し書込み可能な記憶素子、またはDRAMs)の製造に目下使用されている。酸化アルミニウムと酸化タンタルはDRAMsに現今商用され、ハフニウム及びジルコニウムの酸化物、窒化物および珪酸塩[エステル]は将来用選択肢として試験されている。これらの高k材は超小型電子装置において将来のトランジスタ絶縁体としても使用可能である。
【0004】
タンタル、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ及びモリブデンのような金属の電気導電窒化物は異用途および、銅拡散を禁ずる遮断物と超小型電子装置においてのコンデンサーならびにトランジスタ電極のような可能用途を有する。これらの耐熱金属は銅付着助長層として、及び電極または電気相互連接材としての使用を見つける。
【0005】
蒸着はこれらの材料を製造する好ましい方法である。蒸着は化学蒸着(CVD)と原子層沈着(ALD)を含む総称である。CVD法において一以上の蒸気は固体材料が蒸着される表面に送られる;蒸気を固体に転化する化学反応は熱、光または電気励起(プラズマ与活)によって開始される。ALD法において二以上の蒸気は反応が起こり、固体生成物を析出する表面に交代に送られる。ALDはこれらの材料を最新DRAMsについて極細構造内側に沈着することができる。CVDは一般にしかし極細穴内側の少均一付着でALDより高析出速度を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蒸着の成功先駆物質は揮発性、熱安定性、そして高反応性でなければならない。すべてのこれらむずかしい要求性能にかなう化合物を確認することは困難である。ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、錫、テルル及びウランのような金属について全十分先駆物質は知られていない。ZrCl4、HfCl4、及びTaCl5のようなハロゲン化物は相当支持体表面に核形成難であり、副生物塩酸は細穴内側に全相似付着を妨げる。アルコキシドとジアルキルアミドは最適未満熱安定性を有する。有機金属化合物は適反応性が十分にはなく、炭素を不純物として薄膜に残す可能性がある。かくしてこれらより揮発性、熱安定性、そして高反応性金属源についての必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の一側面は4つのアミジネート配位子に結合され、+4酸化状態の金属を含有する新規化合物を含む。望ましい実施形態においてこれらの配位子はN,N’−ジアルキルアミジネート配位子を含む。好ましい金属はハフニウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、錫、テルル及びウランを包含する。
【0008】
一以上の実施形態において化合物は構造式
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Mは+4酸化状態の金属であり、R1〜R12各々は独立に水素、炭化水素基、置換炭化水素基、およびその他の非金属原子の基からなる群から選択される。)を有する。
【0011】
一以上の実施形態において炭化水素基はアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル及びシクロアルキニル基、および炭化水素の弗化物誘導体からなる置換炭化水素基からなる群から選択され、あるいは非金属原子を含む基はアルキルシリル及びアルキルアミノ基からなる群から選択される。
【0012】
一以上の実施形態において金属Mはジルコニウム、ハフニウム、錫、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、ウラン、レニウム、白金、オスミウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、チタン、ロジウム、バナジウム、セリウム及び鉛からなる属から選択されるかまたは金属Mはハフニウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、錫、テルルおよびウランからなる族から選択される。
【0013】
一以上の実施形態においてR1〜R12の少なくとも一つは5個またはそれより少ない炭素を有する低級アルキルである。
【0014】
一以上の実施形態においてR1〜R12は5個またはそれより少ない炭素を有する低級アルキルと水素からなる群から選択される。
【0015】
一以上の実施形態においてR1、R3、R4、R6、R7、R9、R10及びR12はα位置に枝のないアルキル基である。
【0016】
本発明の別側面はこの発明の一以上の実施形態による新規化合物を用いて金属を含む被膜を蒸着する方法を含む。方法は熱表面を一以上の揮発性金属テトラアミジネート化合物の蒸気にさらすことを含む。例示堆積方法は化学蒸着(CVD)と原子層沈着(ALD)を含む。
【0017】
一以上の実施形態において方法は下地を酸素供給源にさらすことを含み、薄膜は金属酸化物を有する。
【0018】
一以上の実施形態において酸素供給源は水蒸気、または酸素分子、またはオゾンを含む。
【0019】
一以上の実施形態において方法は下地を窒素供給源にさらすことを含み、薄膜は金属窒化物を有する。
【0020】
一以上の実施形態において窒素供給源はアンモニアを含む。
【0021】
一以上の実施形態において蒸気は固体金属テトラアミジネート化合物を気化することによるかまたは液体金属テトラアミジネート化合物を気化することにより得られる。
【0022】
一以上の実施形態において蒸気は金属テトラアミジネート化合物を100℃〜250℃の範囲の温度において気化することにより得られる。
【0023】
一以上の実施形態において表面はおよそ200℃〜500℃の範囲の温度にある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明のいくつかの実施形態で使用されることができるALD装置の略横断面図である。
【図2】テトラキス(N,N’−ジイソブチルアセトアミジナート)ジルコニウム(IV)の分子構造図である。
【図3】テトラキス(N,N’−ジメチルプロピオンアミジナート)ハフニウム(IV)の分子構造図である。
【図4】4ハフニウムアミジネートの蒸発速度図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の前述および異なった他側面、特徴及び利点ならびに発明自体は以下の発明の詳細な説明に関して次の図面と関連して考慮されるときにさらに完全に認められることが可能である。図面は図解の目的のためにのみ示され、この発明を限定すると解釈されない:
【0026】
本発明は化学蒸着と原子層沈着を含む蒸着工程において使用に適当である熱安定性、揮発性金属化合物を提供する。
【0027】
好ましい化合物は揮発性金属(IV)テトラキス(N,N’−ジアルキルアミジネート)錯体を含む。模式的にはこれらの化合物は単量体式1、
【0028】
【化2】

により記述され、式中、Mは+4酸化状態の金属であり、R1〜R12、例えば、Rn(n=1〜12)は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル及びシクロアルケニル基のような炭化水素基およびその弗化物誘導体、または非金属原子を含むアルキルシリル及びアルキルアミノ基のような別原子団から選ばれることが可能である。Rnの参照は別なように指定されなければR1〜R12それぞれに等しくあてはまる。
【0029】
一以上の実施形態においてRnは5個以下の炭素を含む低アルキル基である。一以上の実施形態においてRnは水素と低級アルキル基の混合物である。好ましい実施形態においてRnはメチル、エチル及びn−プロピルを含む基から選ばれる。これらの小型アルキル基は極安定キレート結合の構造1に収まるだけ小さいために好ましい。一以上の実施形態において一以上のR1、R3、R4、R6、R7、R9、R10、またはR12は枝分れアルファ炭素がない炭化水素基である。ここで使用されるようにアルファ炭素はアミジネート配位子の一窒素に直接結合された炭素である。イソプロピル、sec−ブチルまたはtert−ブチルのようなアルファ炭素で枝分れするアルキル基は構造1に納めるには随分込み合いをもたらしそうであるために好ましいほどでない。したがって枝分れアルキル基は一般にそれほど安定でない金属アミジネートを提供するであろう。それでもなお枝分れ基は一以上の実施形態によって特により大きい金属中心が使用されるところで予想されるかまたは枝分れがアルファ炭素を越えて生ずる。
【0030】
発明の一以上の実施形態において使用可能である例示的な4原子価の金属はジルコニウム、ハフニウム、錫、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、ウラン、レニウム、白金、オスミウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、チタン、ロジウム、バナジウム、セリウム、テルル及び鉛を含む。比較的大イオン半径を有する4原子価の金属イオンは特別に安定であるテトラアミジネート錯体を形成する;それら金属はジルコニウム、ハフニウム、錫、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、テルル及びウランを含む。比較的小イオン半径を有し、テトラアミジネートを形成する4原子価の金属イオンはレニウム、白金、オスミウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、チタン、ロジウム及びバナジウムを含む。
【0031】
一以上の実施形態においてアミジネート配位子は対称であり、例えば、R1とR3あるいはR4とR6、等のようなN−結合R基は化学式1において同じである。一以上の実施形態においてアミジネート配位子は不斉であり、例えば、R1とR3は化学式1において相異する。いずれの実施形態においても炭素−結合R基、例えば、R2は化学式1において、同一であるかまたは相異する。
【0032】
一以上の実施形態において金属テトラキス(N,N’−ジアルキルアミジネート)化合物はN,N’−ジアルキルアミジンを用いて調製される。対称アミジンはランタンスルホン酸トリフルオロメタン(ランタントリフレートとしても知られる)、La(CF3SO33により触媒されるアミンとニトリルの縮合:
【0033】
【化3】

により形成されることが可能である。
【0034】
R1はn−プロピル、n−ブチルまたはイソブチルのようなα位置において枝分れされないアルキル基であるアミンは還流温度で数時間〜数日内に反応する。R1がメチルまたはエチル基であるアミンは揮発性であるので反応中に圧力容器内に制限されなければならない。反応過程中に副生物アンモニアは背圧調節器により耐圧容器から開放されることが可能である。完全反応は室温において多少の日数または高温及び高圧においてより短時間を要する。この反応についてそれほど費用のかからない触媒はランタン金属(「ミッシュメタル」)天然出現混合物の混合トリフレートから製造されることができる。
【0035】
非対称アミジンは以下の反応:
【0036】
【化4】

に従って調製されることができる。
【0037】
金属アミジネートは金属ジアルキルアミドがアミジンと反応される交換反応により調製されることができる。代わりに、アミジンはブチルリチウムとまたはナトリウムアミドとまたはカリウム水素化物との反応によりそのアルカリ塩に転化されることができる。アルカリアミジネートは次に金属塩化物と塩複分解反応をうけて金属アミジネートを形成することができる。より普通使用されるリチウムアミジネートを形成する方法はカルボジイミドをアルキルリチウムと反応させることである。この常合成順路はR1とR3アルキル基がα位置において枝分れされるときに、該当カルボジイミドがより安定であるためにさらに有効である。
【0038】
金属テトラアミジネート化合物は蒸着製法において金属含有被膜を形成するために使用可能である。一以上の実施形態による化合物の蒸気は金属、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属硫化物等のような物質を蒸着するために使用可能である。これらの蒸着工程はCVDとALDを含む。CVDでは金属テトラアミジネート蒸気は表面に、選択的に共反応体ガスまたは蒸気に加えて供給される。ALDでは金属テトラアミジネートと共反応体の蒸気は表面に交時間周期で供給される。CVD操作は、例えば、ここで引用により取入れられる米国特許第5,139,999号明細書において、及び、ヒュー・オー・ピアソン(Hugh O. Pierson)による「化学蒸着便覧:原理、技術及び用途」(“Handbook of Chemical Vapor Deposition: Principles, Technology and Applications”)(第2版、ノイズ・パブリケーションズ(Noyes Publications)、1999年)において記載される。ALD操作は、ここで引用により取入れられる米国特許第6,969,539号明細書において、及び、エム・リタラ及びエム・レスケラ(M. Ritala and M. Leskela)による論文「原子層沈積」(Atomic Layer Deposition)、薄膜材料便覧(the Handbook of Thin Film Materials)(編エイチ・ナルワ(H. Nalwa)、アカデミック・プレス(Academic Press)、2002年)の第1巻、p.103において記載される。酸化物は水蒸気、二重酸素、オゾン、過酸化水素及びアルコールのような共反応体または酸素含有ガスあるいは蒸気から生じたプラズマを用いて形成されることが可能である。窒化物はアンモニア、ヒドラジンのような共反応体または窒素含有ガスあるいは蒸気から生じたプラズマを用いて形成されることが可能である。硫化物は硫化水素のような共反応体または硫黄含有ガスあるいは蒸気から生じた電離気体を用いて形成されることが可能である。
【0039】
ALDを実行する装置は図1において図解的に横断面に示される。ALD作業の運転中に窒素のようなキャリヤーガスは、供給源91、92から堆積室110を通って管150内を分離装置と真空ポンプへ連続的に流れる。テトラアミジネート先駆物質21は炉41においてその蒸気31を形成するのに十分な温度に加熱される容器11に維持される。4価アミジネート先駆物質は炉81において空室61に弁51が開かれるときに流入する。弁51は次に閉じられ、弁71は開かれて先駆物質蒸気小量が熱炉120内側において支持体130の上を流れることを許容する。弁71は次に閉じられ、時間は過剰未反応先駆物質について室110から揮発性反応副生物と一緒に取り除かれることを許容する。水またはアンモニアのような第二試薬は容器12に配置され、通常には室温に保持される。第二試薬の蒸気32は弁52を開くことにより蒸気空間62に流入することを許容され、それは次に閉じられる。弁72は開かれて第二試薬小量を沈積室110に流入することを許容する。弁72は次に閉じられ、時間は第二試薬の未反応超過について沈積室110から揮発性反応副生物と一緒に取り除かれることを許容される。この運転サイクルはそれにまた反復され、基板130に所望厚さの被膜を堆積する。
【0040】
CVDを実行する装置は多くの同様の特徴を含む。装置はある温度に加熱されてその蒸気を形成するテトラアミジネート先駆物質を収容する容器を含むことが可能である。テトラアミジネート先駆物質は容器から支持体を収容する熱炉に流れる。添加共反応体蒸気はテトラアミジネート先駆物質と共に熱炉に導入されるかまたは共反応体蒸気は熱支持体へのその暴露より前に予備混合されることが可能である。排気装置は副産物と未反応試薬を火炉から除去する。
【0041】
テトラアミジネート先駆物質は適当溶媒についての溶液で生液体としてまたは固体として使用可能である。気化及び沈着温度、圧力、流量、及び共反応体のような適沈着条件は、当該分野の技術を有する者により難なく決定されることが可能である。例示ALD及びCVD条件は、200〜500℃およびより好ましくは300〜400℃の支持体温度、0.1〜10 Torrおよびより好ましくは1〜5 トルの範囲の蒸気圧、約100〜250℃およびより好ましくは150〜200℃の気化温度、堆積表層について1〜100 nmol cm-2およびより好ましくは2〜20 nmol cm-2のALD適用量、及び、0.01 トル−秒〜10 Torr−secおよびより好ましくは0.1〜1 トル−秒のALD暴露を含む。高縦横比の特徴を包含するために必要とされるALD暴露は近似的に縦横比の平方として増加する。
【実施例】
【0042】
実施例1.N,N’−ジイソブチルアセトアミジンの合成。
イソブチルアミン(7.3 グラム、0.1 mol)、アセトニトリル(4.1 グラム、0.1 mol)及びランタントリフレート、La(CF3SO3)3、(1.2 グラム、0.002 mol)溶液は窒素雰囲気下で30時間還流された。未反応出発原料と副生物2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアジンは40℃でおよそ0.2 Torrにおいて分別蒸留により分離された。次に無色N,N’−ジイソブチルアセトアミジンは95℃及び0.06 torrにおいて留出された。さらなる精製は第二蒸留により行なわれた。収量:6.4 グラム(75%イソブチルアミンに基づく)。1H NMR(ベンゼン−d6+少量のCD3OD、ppm):3.1(d, 4、NCH2)、1.9(m, 2、CH(CH3)2)、1.7(s, 3、CCH3)、1.0(d, 12、CH(CH3)2)。
【0043】
実施例2.テトラキス(N,N’−ジイソブチルアセトアミジナート)ジルコニウム(IV)、Zr(iBu−AMD)4の合成。
0.8グラム(3 mmol)のテトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)、Zr(NMe2)4は10 mLのトルエンに溶解され、次に−30℃まで30分間冷却された。この溶液に2.3グラム(13.5 mmol)N,N’−ジイソブチルアセトアミジン、iBu−AMDが加えられ、混合物は一夜中90℃に加熱された(配位交換反応)。−30℃に冷却した後に無色結晶質は沈殿され、濾過分離された。収量:1.85グラム(80%)。1HNMR(ベンゼン−d6, ppm):3.10(d, 16,J= 6.9 Hz、NCH2)、1.89(m, 8、CH(CH3)2)、1.71(s, 12、CCH3)1.00(d, 48,J= 6.6 Hz, d、CH(CH3)2)。13C NMR(ベンゼン−d6, ppm):174(CCH3)、55.76(NCH2)、31.74(CH(CH3)2)、21.134(CH(CH3)2、12.10(CCH3)。C40848Zrについて分析計算:C62.53、H11.02、N14.58。実測:C62.76、H11.25、N14.50。
【0044】
X線結晶学は図2において示されるテトラキス(N,N’−ジイソブチルアセトアミジナート)ジルコニウム(IV)の分子構造を決定するために使用され、ただし、原子は50%熱長円体で示され、水素原子は明瞭のために省略される。各分子は四つのアミジネート配位子からの8窒素原子により周囲される一つのジルコニウム原子を含む。
【0045】
熱重量分析(TG)中の生成物半分消散温度、T1/2は240℃であり、窒素ガスを流すことで大気圧において測定された。このTG実験はまた化合物が高度熱安定性を有し、ごくわずかの残留物で完全に揮発することを証明した。
【0046】
実施例3.テトラキス(N,N’−ジイソブチルアセトアミジナート)ハフニウム(IV)、Hf(iBu−AMD)4の合成。
この化合物は実施例2においてZr(iBu−AMD)4について記載されたものと同様の方法で、3mmolのテトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV)、Hf(NMe2)4から開始して調製された。生成物は白色粉末として単離された。収量:2.17グラム(85%)。1H NMR(ベンゼン−d6, ppm):3.15(d, 16,J= 7.2 Hz、NCH2)、1.87(m, 8、CH(CH3)2),1.70(s, 12、CCH3)、0.99(d, 48,J= 6.8 Hz、CH(CH3)2)。C4084HfN8について分析計算:C56.15、H9.90、N13.10。実測:55.85、H9.97、N13.30。
【0047】
このハフニウム錯体のTG性質は実施例2において記載されるジルコニウム錯体のものと類似する。
【0048】
実施例4.N,N’−ジメチルアセトアミジン及びそのリチウム塩の合成。
無水物ランタントリフレート(3.00グラム、5.12 mmol)は圧力容器に配置された。乾燥アセトニトリル(23.3グラム、0.568 mol)は常温容器に凝縮された。容器は液体窒素で冷却され、無水メチルアミン(53.1グラム、1.71 mol)が加えられた。容器は密封され、室温に温めることを許容される。副生物アンモニアは日々に解放された。反応は大部分3日後に完全であった。次に無色N,N’−ジメチルアセトアミジンは20℃及び0.04 torrにおいての昇華による副生物N−メチルアセトアミジンを除去することにより単離された。1H NMR(ベンゼン−d6):2.60(s, 6、NCH3)、1.40(s, 3、CCH3)。
【0049】
N,N’−ジメチルアセトアミジンのリチウム塩は1容積のN,N’−ジメチルアセトアミジンを5容積の無水エーテルに溶解すること及び溶液を−78℃に冷却することにより調製された。ヘキサンに溶解された等モル量のブチルリチウムは撹拌しながら緩やかに加えられた。反応混合物は室温に温めることを許容された。エーテルとペンタンは減圧下に除去された。次に白色固体残分は無水ジオキサンに溶解された。生じたN,N’−ジメチルアセトアミジナートジオキサン溶液は次例の一部において使用された。
【0050】
実施例5.テトラキス(N,N’−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウム(IV)の合成。
この化合物はZr(iBu−AMD)4について実施例2に記載されるものと同様にN,N’−ジイソブチルアセトアミジンの代わりにN,N’−ジメチルアセトアミジンを用いて配位交換により調製された。代わりにZrCl4はジオキサンに溶解されたN,N’−ジメチルアセトアミジンリチウム塩と反応された(塩複分解反応)。この反応混合物は加熱されて8時間還流された。ジオキサンの蒸発後に固体残留物はペンタンに加えて抽出された。沈殿塩化リチウムを取り除く懸濁液のデカンテーション後にペンタンは減圧下に蒸発され、粗生成物を生じ、それが次に60℃及び40ミリバールの圧力において昇華により精製された。大気圧において160℃で昇華されることもできる。収率は合成が小規模で行なわれたときには昇華後に24%であった。1H NMR(ベンゼン−d6, ppm):3.03(s, 24、NCH3)、1.57(s, 12、CCH3).13C NMR(ベンゼン−d6, ppm):175.99(s、CCH3)、34.55(s、NCH3),9.84(s、CCH3)。C16368Zrについて分析計算:C44.51、H8.40、N25.95。実測:C45.31、H7.92、N25.60または第二分析においてC43.30、H8.76、N24.87。この生成物はTG曲線からそのT1/2値は0.6%残存量で216℃であるためにテトラキス(N,N’−ジイソブチルアセトアミジナート)ジルコニウム(IV)、実施例2の生成物よりも揮発性である。その融点は約168℃である。
【0051】
実施例6.テトラキス(N,N’−ジメチルアセトアミジナート)ハフニウム(IV)の合成。
この化合物は実施例5において記載される塩複分解反応によりHfCl4から調製された。1H NMR(ベンゼン−d6, ppm):3.07(s, 24、NCH3)。13C NMR(ベンゼン−d6, ppm):175.69(s、CCH3)、34.31(s、NCH3)、10.09(s、CCH3)。C1636HfN8について分析計算:C37.03、H6.99、N21.59。実測:37.00、H6.89、N21.34。この生成物はTG曲線からそのT1/2値は221℃であるためにテトラキス(N,N’−ジイソブチルアセトアミジナート)ハフニウム(IV)、実施例3の生成物よりも揮発性である。蒸発後のその残量はごくわずか、1%未満であり、その融点は約171℃である。
【0052】
実施例7.テトラキス(N,N’−ジメチルプロピオンアミジナート)ジルコニウム(IV)の合成。
リチウムN,N’−ジメチルプロピオンアミジネートのジオキサン溶液は実施例4の記載方法によりアセトニトリルの代わりにプロピオンニトリルを用いて調製された。この溶液は次に、テトラキス(N,N’−ジメチルプロピオンアミジナート)ジルコニウム(IV)を調製するために実施例5に記載される塩複分解方法でZrCl4と使用された。この化合物は実施例2に記載されるものと類似する配位交換反応によっても調製されることが可能である。1H NMR(ベンゼン−d6, ppm):3.07(s, 24、NCH3)、2.10(q, 8,J= 7.6 Hz、CH2CH3)、0.96(t, 12,J= 7.6 Hz、CH2CH3)。13C NMR(ベンゼン−d6, ppm):180.12(s、CCH2CH3),33.92(s、NCH3)、17.31(s、CCH2CH3)、10.41(s、CCH2CH3)。C20448Zrについて分析計算:C49.24、H9.09、N22.97。実測:49.42、H9.04、N22.43。その融点は109℃であり、バブラーで気化させるだけ高温において液体であるほど十分に低い。TG曲線からそのT1/2値は0.6%のごくわずかの残量で245℃である。
【0053】
実施例8.テトラキス(N,N’−ジメチルプロピオンアミジナート)ハフニウム(IV)の合成。
この化合物は実施例7において記載される塩複分解反応によりHfCl4から調製された。実施例1に記載されるものに類似する配位交換反応によっても調製されることが可能である。1H NMR(ベンゼン−d6, ppm):3.10(s, 24、NCH3)、2.08(q, 8,J= 7.6 Hz、CH2CH3)、0.95(t, 12,J= 7.6 Hz、CH2CH3)。13C NMR(ベンゼン−d6, ppm):179.75(s、CCH2CH3)、33.71(s、NCH3)、17.51(s、CCH2CH3)、10.40(s、CCH2CH3)。C2044HfN8について分析計算:C41.77、H7.71、N19.48。実測:42.32、H8.11、N19.18。その融点は114℃であり、バブラーで気化させるだけ高温において液体であるほど十分に低い。TG曲線からそのT1/2値はごくわずかの不揮発残留物で252℃である。X線結晶学は図3において示されるテトラキス(N,N’−ジメチルプロピオンアミジナート)ハフニウム(IV)の分子構造を決定するために使用され、ただし、原子は50%熱長円体により示され、水素原子は明瞭のために省略される。各分子は8窒素原子により四アミジネート配位子から周囲される一つのハフニウム原子を含む。
【0054】
実施例9.テトラキス(N,N’−ジメチルブチルアミジナート)ジルコニウム(IV)の合成。
リチウムN,N’−ジメチルブチルアミジネートのジオキサン溶液はアセトニトリルの代わりにブチロニトリルを用いて、実施例4に記載される方法により調製された。この溶液は次に、テトラキス(N,N’−ジメチルブチルアミジナート)ジルコニウム(IV)を調製するために実施例5に記載される塩複分解方法でZrCl4と使用された。この化合物は実施例1に記載されるものと類似する配位交換反応によっても調製されることが可能である。化合物は室温で液体であるので、昇華ではなく蒸留により精製された。1H NMR(ベンゼン−d6, ppm):3.11(s, 24、NCH3)、2.15(t, 8,J= 8.0 Hz、CCH2CH2CH3)、1.49(m, 8、CCH2CH2CH3)、0.90(t, 12,J= 6.8 Hz、CCH2CH2CH3)。13C NMR(ベンゼン−d6, ppm):179.27(s、CCH2CH2CH3)、34.28(s、NCH3)、26.14(s、CCH2CH2CH3)、19.82(s、CCH2CH2CH3)、14.47(s、CCH2CH2CH3)。C24528Zrについて分析計算:C52.99、H9.63、N20.60。実測:53.63、H9.87、N20.89。そのT1/2値は246℃であり、蒸発してごくわずか残留物が残る。
【0055】
実施例10.テトラキス(N,N’−ジメチルブチルアミジナート)ハフニウム(IV)の合成。
この化合物は実施例9に記載される塩複分解反応によりHfCl4から調製された。実施例1に記載されるものと類似する配位交換反応によっても調製されることが可能である。化合物は室温において液体であるので、昇華ではなく蒸留により精製された。1H NMR(ベンゼン−d6, ppm):3.15(s, 24、NCH3)、2.13(t, 8,J= 8.0 Hz、CCH2CH2CH3)、1.49(m, 8、CCH2CH2CH3)、0.89(t, 12,J= 6.8 Hz、CCH2CH2CH3)。13C NMR(ベンゼン−d6, ppm):178.87(s、CCH2CH2CH3)、34.08(s、NCH3)、26.29(s、CCH2CH2CH3)、19.82(s、CCH2CH2CH3)、14.41(s、CCH2CH2CH3)。C2452HfN8について分析計算:C45.67、H8.30、N17.75。実測:45.31、H8.81、N17.61。そのT1/2値は252℃であり、蒸発してごくわずか残留物が残る。
【0056】
実施例11.テトラキス(N,N’−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウム(IV)の合成。
リチウムN,N’−ジエチルアセトアミジナートのジオキサン溶液はメチルアミンの代わりにエチルアミンを用いて、実施例4に記載される方法により調製された。この溶液はテトラキス(N,N’−ジエチルアセトアミジナート)ジルコニウム(IV)を調製するために実施例5に記載される塩複分解方法でZrCl4と使用された。この化合物は実施例1に記載されるものと類似する配位交換反応によっても調製されることが可能である。化合物は室温において液体であるので、昇華の代わりに蒸留により精製された。1H NMR(ベンゼン−d6, ppm):3.32(q, 16,J= 7.2 Hz、NCH2CH3)、1.63(s, 12、CCH3)、1.10(t, 24,J= 7.2 Hz、NCH2CH3)。13C NMR(ベンゼン−d6, ppm):173.59(s、CCH3)、41.38(s、NCH2CH3)、18.00(s、NCH2CH3)、10.20(s、CCH3)。C24528Zrについて分析計算:C52.99、H9.63、N20.60。実測:52.86、H9.40、N20.99。そのT1/2値は242℃であり、蒸発してごくわずか残留物が残る。
【0057】
実施例12.テトラキス(N,N’−ジエチルアセトアミジナート)ハフニウム(IV)の合成。
この化合物は実施例11に記載される塩複分解方法によりHfCl4から調製された。実施例1に記載されるものと類似する配位交換反応によっても調製されることが可能である。1H NMR(ベンゼン−d6, ppm):3.32(q, 16,J= 7.2 Hz、NCH2CH3)、1.63(s, 12、CCH3)、1.10(t, 24,J= 7.2 Hz、NCH2CH3)。13C NMR(ベンゼン−d6, ppm):173.07(s、CCH3)、41.08(s、NCH2CH3)、18.00(s、NCH2CH3)、10.59(s、CCH3)。C24528Hfについて分析計算:C45.67、H8.30、N17.75。実測:46.17、H7.93、N17.27。そのT1/2値は264℃であり、蒸発してごくわずか残留物が残る。
【0058】
実施例13.テトラキス(N,N’−ジエチルアセトアミジナート)タンタル(IV)の合成。
この化合物は二段階で五塩化タンタルから調製された。第一段階は五塩化タンタルエーテル溶液(20 mLエーテルに0.95 mmol、331 mg)をリチウムN,N’−ジエチルアセトアミジネート溶液(20 mLエーテルに2 mmol、アミジンとn−ブチルリチウムヘキサン溶液(2.6 M)から現場で調製される)について−78℃において窒素下の添加を含む。トリシュロロ−ビス(N,N’−ジエチルアセトアミジナート)タンタル(V)と暫定的に記載される中間体はエーテルに部分的可溶であり、橙色溶液を与える。多少のジオキサンは中間体の溶解を促進するために加えられ、そしてもう2当量のリチウムN,N’−ジエチルアセトアミジネート(20 mLエーテルで2 mmol、アミジンとn−ブチルリチウムヘキサン溶液(2.6 M)から現場で調製される)が室温で添加された。1当量のナトリウムアマルガムはさらに加えられた(22.8 mg、0.645%ナトリウムを有する重量で3.53 g水銀アマルガムについて)。溶液は一夜中室温において撹拌された。溶液は濃紫色に12時間内に変わった。エーテルは減圧下にストリップ除去され、ペンタン(20 mL)が加えられた。紫色溶液は沈殿を分離され、水銀および不溶物質から分離される。真空下に乾燥され、生成物、紫色固体を生じ、それはテトラキス(N,N’−ジエチルアセトアミジナート)タンタル(IV)と暫定的に記載されることができる。生成物は真空下に昇華されることができた、そして昇華画分は分解なく150℃で0.01 mmHgの圧力において再昇華されることができた。生成物は不純物を含むが;その色と真空下に分解なく昇華されることができたことは揮発性タンタル(IV)アミジネートになるらしいと示す。
【0059】
実施例14.異なった金属(IV)テトラアミジネートの合成。
別金属中心を含有する化合物はZrCl4に代わる適金属源を用いて実施例3に記載されるものと同様に調製されることができる。例えば、テトラキス(N,N’−ジメチルアセトアミジナート)タングステン(IV)は塩化タングステン(IV)、WCl4を用いて調製される;テトラキス(N,N’−ジメチルアセトアミジナート)錫(IV)は塩化錫(IV)、SnCl4を用いて調製される;テトラキス(ジメチルアセトアミジナート)テルル(IV)はTeCl4から調製される;及び、テトラキス(N,N’−ジメチルアセトアミジナート)ウラン(IV)は塩化ウラン(IV)、UCl4を用いることで調製される。
【0060】
実施例15.テトラキス(N,N’−ジメチルブチルアミジナート)ハフニウム(IV)とオゾン原酸化ハフニウム原子層沈積。
10 nmol cm-2投与量のテトラキス(N,N’−ジメチルプロピオンアミジナート)ハフニウム(IV)蒸気は200℃において直接液体注入設備から10 Torr−secの暴露で400℃のALD反応器内に、交互に10 Torr−sec暴露のオゾン20 nmol cm-2投与量で投入される。酸化ハフニウム膜は80:1の高縦横比をもって狭孔内部に相似沈着される。
【0061】
実施例16.テトラキス(N,N’−ジメチルブチルアミジナート)ハフニウム(IV)と水蒸気原酸化ハフニウム原子層沈積。
10 nmol cm-2投与量のテトラキス(N,N’−ジメチルプロピオンアミジナート)ハフニウム(IV)蒸気は200℃において直接液体注入設備から10 Torr−secの暴露で400℃の反応器内に、交互に10 Torr−sec暴露の水蒸気20 nmol cm-2投与量で投入される。酸化ハフニウム膜は80:1の高縦横比の細孔内部に相似沈着される。
【0062】
実施例17.テトラキス(N,N’−ジメチルブチルアミジナート)ハフニウム(IV)とアンモニア原窒化ハフニウム原子層沈積。
10 nmol cm-2投与量のテトラキス(N,N’−ジメチルブチルアミジナート)ハフニウム(IV)蒸気は200℃において直接液体注入設備から10 Torr−secの暴露で400℃の反応器内に、交互に10 Torr−sec暴露のアンモニア20 nmol cm-2投与量で投入される。窒化ハフニウム膜は80:1の高縦横比の細孔内部に相似沈着される。
【0063】
実施例18.N,N’−ジメチルホルムアミジンの合成。
過剰無水メチルアミン(39 g、1.26 mol)は無水シアン化ナトリウム(30.2 g、0.617 mol)、無水塩酸メチルアミン(41.6 g、0.617 mol)、及びランタントリフレート(30.2 g、8.88 mmol)の混合物について−196℃で密閉圧力容器に凝縮された。混合物は室温に温めることを許容され、次に72時間40〜50℃において超音波をあてて分解された。揮発ガスは室温で反応容器から逃げることを許容され、無水メチルアミン(10 g、0.322 mol)は冷却反応混合物について縮合された。蒸発、メチルアミン添加及び超音波処理のこの作業周期はもう二回反復された。全揮発物は容器に室温で緩ガス逃がしをすることにより最終的に解離された。ジエチルエーテル(50 mL)が加えられ、反応混合物は窒素下に大型フラスコに注入された。全揮発物は室温の反応混合物から−196℃で真空下の大型Schlenkフラスコに蒸気球体対球体伝達を通じて移動された。N,N’−ジメチルホルムアミジンはエーテル無色溶液として得られた。1H NMR(ベンゼン−d6 +少量のCD3OD、ppm):7.29(s, 1、CH)、2.65(br, 6、NCH3)。
【0064】
実施例19.N,N’−ジメチルホルムアミジンの合成。
メチルアミンのナトリウム塩は分解して例18と同生成物N,N’−ジメチルホルムアミジンを生じるまで約100℃に加熱された。
【0065】
実施例20.テトラキス(N,N’−ジメチルホルムアミジナート)ハフニウム(IV)の合成。
1.16 g(3.29 mmol)のテトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV)、Hf(NMe2)4は20 mLのジエチルエーテルに溶解され、次に−30℃に30分間冷却された。この溶液に20 mLジエチルエーテルについて0.968 g(13.4 mmol)N,N’−ジメチルホルムアミジンが加えられ、混合物は室温で一夜中撹拌された。少量の白色副生物は沈殿した(ジメチルホルムアミジン中のモノメチルホルムアミジン不純物のために起こりそうな)。上澄みエーテル溶液は沈殿と分離され、減圧下に蒸発されて白色結晶として生成物を生じる。その融点は140〜142℃である。1H NMR(ベンゼン−d6, ppm):3.03(s, 24、NCH3)、8.00(s, 4、CH)。13C NMR(ベンゼン−d6, ppm):171.60(CH)、38.67(NCH3)。そのT1/2値は187℃であり、蒸発してごくわずか残留物が残る。
蒸発速度についての恒温熱重量分析は図4において4つの異なるハフニウムアミジネート(実施例6、実施例8、実施例10及び実施例19の)について比較される。これらの測定が各温度でテトラキス(N,N’−ジメチルホルミジナート)ハフニウム(IV)は最も高い蒸発速度を有することを示す。142℃(その融点)を越える噴出式装置温度で液体であるのでその高蒸発速度は極再現性がある。したがって、多用途においてテトラキス(N,N’−ジメチルホルミジナート)ハフニウム(IV)はハフニウム含有物質の蒸着に好ましい先駆物質である。室温において液体が必要とされる用途では同様沸点の溶媒中溶液として供給されることが可能である。適溶媒はトリグリムまたはテトラグリムのようなポリエーテルを含む。代わりに室温液体テトラキス(N,N’−ジメチルブチルアミジナート)ハフニウム(IV)は気化設備への生液送に使用可能である。
【0066】
実施例21.テトラキス(N,N’−ジメチルホルムアミジナート)ジルコニウム(IV)の合成。
例20の工程はテトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV)、Hf(NMe2)4の代わりにテトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)で繰返される。テトラキス(N,N’−ジメチルホルミジナート)ハフニウム(IV)類似性質を有するテトラキス(N,N’−ジメチルホルムアミジナート)ジルコニウム(IV)は得られる。
【0067】
合成法と別金属(IV)アミジネート化合物の別変型は当業者にはっきりわかるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式
【化1】

(Mは+4酸化状態の金属であり、R1〜R12各々は独立に水素、炭化水素基、置換炭化水素基およびその他の非金属原子の基からなる群から選択される。)
を有する化合物。
【請求項2】
該炭化水素基はアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルおよびシクロアルキニル基、及び、炭化水素の弗化物誘導体からなる置換炭化水素基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
該非金属原子を含む基はアルキルシリル及びアルキルアミノ基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
金属Mはジルコニウム、ハフニウム、錫、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、ウラン、レニウム、白金、オスミウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、チタン、ロジウム、バナジウム、セリウム及び鉛からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
該金属Mはハフニウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、錫、テルルおよびウランからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
該金属Mはジルコニウムである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
該金属Mはハフニウムである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R1〜R12の少なくとも1つは5以下の炭素を有する低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
R1〜R12は5以下の炭素と水素を有する低級アルキルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
R1、R3、R4、R6、R7、R9、R10およびR12はα位において枝分れしていないアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
金属を含む薄膜を形成する方法であって、熱せられた表面を一以上の揮発性金属テトラアミジネート化合物の蒸気に暴露することを含む、方法。
【請求項12】
該金属テトラアミジネート化合物は構造式
【化2】

(Mは+4酸化状態にある金属であり、R1〜R12それぞれは独立に水素、炭化水素基、置換炭化水素基およびその他の非金属原子の基からなる群から選択される。)
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該炭化水素基はアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルおよびシクロアルキニル基及びそれらの弗化物誘導体からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
該非金属原子を含む群はアルキルシリル及びアルキルアミノ基からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
金属Mはジルコニウム、ハフニウム、錫、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、ウラン、レニウム、白金、オスミウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、チタン、ロジウム、バナジウム、セリウム、テルルおよび鉛からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
該金属Mはハフニウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、錫、テルルおよびウランからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
該金属Mはジルコニウムである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
該金属Mはハフニウムである、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
R1〜R12の少なくとも1つは5以下の炭素を有する低級アルキルである、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
R1〜R12は5以下の炭素および水素を有する低級アルキルからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
該支持体は酸素源にもさらされ、該薄膜は金属酸化物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
該酸素源は水蒸気を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該酸素源は酸素分子を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
該酸素源はオゾンを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
該支持体は窒素源にもさらされ、該薄膜は金属窒化物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項26】
該窒素源はアンモニアを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
該膜はCVD工程で付着される、請求項11に記載の方法。
【請求項28】
該膜はALD工程で沈積される、請求項11に記載の方法。
【請求項29】
該蒸気は固体金属テトラアミジネート化合物を気化することにより得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項30】
該蒸気は液体金属テトラアミジネート化合物を気化することにより得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項31】
該蒸気は金属テトラアミジネートを100〜250℃の範囲の温度で揮発することにより得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項32】
該表面は約200〜500℃の範囲の温度である、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−542654(P2009−542654A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518210(P2009−518210)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/014768
【国際公開番号】WO2008/002546
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【Fターム(参考)】