長寸の物体の方向パラメータを決定するための装置及び方法
【課題】 1若しくは複数の方向パラメータ及び特に先端が接点で表面に接触している長寸の物体の第2及び第3のオイラー角θ,ψを決定するためのステレオ視の原理を利用した装置及び方法を提供する。
【解決手段】 装置は、第1の視点から既知のパターンでプローブ放射線により表面を照明するための長寸の物体上に取り付けられた投光器と、第2の視点から表面から長寸の物体に戻るプローブ放射線の散乱部分を検出するための長寸の物体上に取り付けられた検出器とを有する。方向パラメータは、投射されたプローブ放射線によって生成される特徴部の形状と検出器によって検出される特徴部の形状との差などの、投射されたプローブ放射線と検出されたプローブ放射線の差から決定される。プローブ放射線のパターンは、1若しくは複数の方向パラメータの決定のための情報を供給するように選択され、線、楕円、矩形、多角形などの非対称パターン、または円、正方形、正多角形を含む対称の場合を含むことができる。パターンを生成するために、投光器は、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、または反射素子及びこれらの任意の組合せなどの構造化された光学部品、または走査装置を用いることができる。本発明の装置は、ペン、鉛筆、またはスタイラスなどの筆記具の方向を決定するのに適している。
【解決手段】 装置は、第1の視点から既知のパターンでプローブ放射線により表面を照明するための長寸の物体上に取り付けられた投光器と、第2の視点から表面から長寸の物体に戻るプローブ放射線の散乱部分を検出するための長寸の物体上に取り付けられた検出器とを有する。方向パラメータは、投射されたプローブ放射線によって生成される特徴部の形状と検出器によって検出される特徴部の形状との差などの、投射されたプローブ放射線と検出されたプローブ放射線の差から決定される。プローブ放射線のパターンは、1若しくは複数の方向パラメータの決定のための情報を供給するように選択され、線、楕円、矩形、多角形などの非対称パターン、または円、正方形、正多角形を含む対称の場合を含むことができる。パターンを生成するために、投光器は、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、または反射素子及びこれらの任意の組合せなどの構造化された光学部品、または走査装置を用いることができる。本発明の装置は、ペン、鉛筆、またはスタイラスなどの筆記具の方向を決定するのに適している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には先端が平面に接触する長寸の物体の1若しくは複数の方向パラメータの決定に関する。
【背景技術】
【0002】
物体が、基平面、不動点、線または基準面などの静止基準に対して動くとき、これらの基準に対する物体の傾斜の情報を用いて、様々な運動パラメータを導き出すことができる。実際に、基準に対する物体の傾斜は、通常、物体をナビゲートするかまたは物体の軌跡に関する情報を得るために必要である。長い間、そのような物体の運動方程式をパラメータで表示するために、多くの有用な座標系及び方法が開発されてきた。理論的背景については、非特許文献1などの古典力学の教科書を参照されたい。物体追跡及び傾斜測定の一般的な例として、特許文献1及び2並びにそれらの引用文献中に数例が見受けられる。
【0003】
方位距離測定の一分野においては、長寸の物体が平面に接触している間にその物体の傾斜を知ることは重要である。通常、傾斜は、平面との接点を通過する物体の軸線に対して画定される。場合によっては、この軸線は長寸の物体の中心線でもある。各種の長寸の物体は、平面に接触している間の当該物体の傾斜の情報が役に立つ。これらの物体には、地面に接触しているときの歩行用の棒、ディスプレイまたは投射面に接触しているときのポインタ、筆記面に接触しているときの筆記装置、入力スクリーンに接触しているときのスタイラスが含まれる。
【0004】
傾斜を決定する必要性は、ペン、スタイラスなどの入力装置の分野で非常に感じられる。ここでは、ユーザによって書かれたかまたはトレースされた情報を分析するために、傾斜を知らなければならない。原理上は、ペンの傾斜を測定するために多くの方法が適用可能である。そのような方法は、超音波を用いる測距装置、可視光を含む電磁放射線、及びその他の装置を利用することができる。例えば、特許文献3は3軸検出方法を開示している。特許文献4は電磁波の飛行時間の差を用いる方法を教示しており、また別の文献は飛行時間法をマイクロ波に適用することを教示している。更に別のアプローチは、例えば特許文献5に記載されているような較正目盛または特許文献6に記載されているような補助較正システム全体を用いる。垂直方向に対するペンの傾斜を測定する更に別の方法は、特許文献7に記載されているような磁気双極子によって生成されかつライティングボードに垂直に方向付けられた磁場を測定するためのペンに取り付けられたセンサを利用する。残念ながら、これらの方法は全て扱いにくく、使用者に制限を課している。というのも、ペンから送られる信号は外部装置が受信しなければならないからである。換言すれば、ペンは自身の傾斜を内蔵機器により独立して判定することができない。
【0005】
明らかに、自身の内蔵機器により独立して傾斜を判定することができるペン及びスタイラス入力装置を有することが望ましい。原理上は、ジャイロスコープ及び加速度計などの内部センサを用いるペンを、外部装置なしにその傾斜を導き出すように設計することができる。特許文献8は、2軸加速度センサを用いる方法を提唱しており、傾斜角はペンの角速度を積分することによって判定される。また、3軸加速度センサ及び3軸ジャイロスコープを用いる特許文献9及び10も興味深い。特許文献11は、ペンの傾斜による誤差を補償するようにペンの先端に加速度センサが付着され、ペンの上部に信号処理部が配置されている構造を教示している。
【0006】
残念ながら、内部センサは通常、加速度計については時間の2乗で、ジャイロスコープについては時間に対して直線的に増加するドリフト誤差及び累積誤差があるという欠点がある。内部センサのこれらの制限を克服するために、特許文献12は、地面に対する電子ペンの中心線の方向角及び筆記面からのペンの高さを検出するための光学3次元検出装置の使用を教示している。その一方で、ペンの運動を検出するための3軸加速度計が用いられる。光学装置は、ビームスポットを形成するために筆記面にビームを放射するための光源などの部分と、カメラなどの検出部分と、筆記面から反射した光からビームスポットを検出するための対応する光学部品とを有する。
【0007】
特許文献12は、問題を解決するために一歩先に進むことを教示しているが、一般的に筆記具及び長寸の物体の方向パラメータを決定する際に用いるためには尚も融通性、効率、精度に欠けている。
【特許文献1】米国特許第5,786,804号明細書
【特許文献2】米国特許第6,023,291号明細書
【特許文献3】米国特許第5,166,668号明細書
【特許文献4】米国特許第5,997,958号明細書
【特許文献5】米国公開特許公報第2003/0025951号明細書
【特許文献6】米国公開特許公報第2002/0141616号明細書
【特許文献7】米国公開特許公報第2002/0180714号明細書
【特許文献8】特開平6−67799号明細書
【特許文献9】米国特許第5,902,968号明細書
【特許文献10】米国特許第5,981,884号明細書
【特許文献11】米国特許第5,434,371号明細書
【特許文献12】米国公開特許公報第2002/0148655号明細書
【非特許文献1】Goldstein et al., Classical Mechanics, 3rd Edition, Addison Wesley 2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の不十分な点を考慮して、本発明の目的は、長寸の物体の1若しくは複数の方向パラメータを決定するための装置及び方法を提供することである。方向パラメータは傾斜角であることができ、方法は、平面に接触しているときのペン、鉛筆、またはスタイラスなどの筆記具、棒、ポインタ、ロボットアームなどの長寸の物体に適用可能である。より詳細には、平面への法線と長寸の物体の軸線、例えば物体の中心軸の間の傾斜角θ及び軸線の周りのロール角ψを求めるための装置及び方法を提供することが本発明の目的である。
【0009】
本発明の別の目的は、装置が小型で、ペン、鉛筆、またはスタイラスなどの内蔵型筆記具との適合性があることを確実にすることである。
【0010】
図面と共に詳細な説明を読めば、これらの、そして多くの他の利点が明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、その先端が接点で表面に接触するような長寸の物体の1若しくは複数の方向パラメータを決定するための装置を提供する。装置は、第1の視点から既知のパターンでプローブ放射線により平面を照明するための長寸の物体上に取り付けられた投光器を有する。表面から長寸の物体まで戻るプローブ放射線の散乱部分を検出するための検出器が、第1の視点とは異なる第2の視点で長寸の物体上に取り付けられる。装置はまた、投射されたプローブ放射線と検出されたプローブ放射線の差から方向パラメータを決定するためのユニットを有する。より正確に言えば、差は、投射されたプローブ放射線によって生成される特徴部と検出器によって検出されるような特徴部の間で確立される。換言すれば、この差は、表面上に特徴部を生成するプローブ放射線の既知のパターンと、表面から戻る散乱部分において検出されるパターンの間に存在する。
【0012】
方向パラメータには、表面に対する長寸の物体の方向を決定するために用いられる任意の角度を含めることができる。1つの有用な方向パラメータは、長寸の物体の軸線(例えば中心軸)と接点での表面への法線間の傾斜角θである。このケースでは、傾斜角θは第2のオイラー角である。別の有用な方向パラメータは、長寸の物体の軸線の周りに画定されるロール角ψである。ロール角ψは第3のオイラー角であることに留意されたい。
【0013】
投光器によって生成されるプローブ放射線のパターンは、1若しくは複数の方向パラメータを決定するのに十分な表面からの散乱に関する情報を供給するように選択される。例えば、プローブ放射線のパターンは、線の集合、楕円、矩形、または多角形などの非対称パターンを形成する。円、正方形、正多角形などの特徴部の特殊な場合が含まれることが分かる。必要なパターンを生成するために、投光器は、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、反射素子及びこれらの任意の組合せなどの構造化された光学部品(structured light optic)を用いることができる。
【0014】
ある好適実施形態において、長寸の物体は、ペン、鉛筆またはスタイラスなどの筆記具である。或いは、長寸の物体は、ポインタ、棒、ロボットアーム、または、その方向パラメータのうちの1若しくは複数の情報からの利益を得るその他の長寸の物体であることができる。
【0015】
別の実施形態において、装置は、長寸の物体が平面上に位置し、方向パラメータが、物体の軸線と平面への法線間の傾斜角θなどの少なくとも1つの方向パラメータであるときに用いられるように設計される。ここでは、投光器は、長寸の物体の軸線に対して既知の角度σでプローブ放射線により平面を照明する。検出器は、長寸の物体の軸線に対して一定の散乱角度τで表面から戻る散乱部分を検出する。計時装置(timing unit)は、散乱部分の検出時間及びプローブ放射線の既知の投射時間から傾斜角θを導き出す。傾斜角θは第2のオイラー角に等しいことに留意されたい。
【0016】
この実施形態において、角度σを変えることは好ましい。このことは、あるスキャンパターンで角度σを変化させる走査装置により達成されることができる。例えば、走査装置は、x‐偏向γxを導入することによって角度σを変化させるための一軸スキャナである。或いは、走査装置は、x‐偏向γx及びy‐偏向γyを導入することによって角度σを変化させるための二軸スキャナである。二軸スキャナを使用するとき、スキャンパターンは、ラスタスキャンパターン、ラインスキャンパターン、またはリサジュー図形であることができる。
【0017】
更に別の実施形態において、投光器は、既知のパターンで平面上へプローブ放射線を投射するための構造化された光学部品を有する。適切な構造化された光学部品には、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、及び反射素子が含まれる。適切なパターンには、線グリッド、円、正方形、正多角形の特殊な場合を含む線の集合、楕円、矩形、多角形が含まれる。
【0018】
投光器は、使い勝手が良いように、検出器の上方または下方に取り付けられる。散乱角度τで散乱部分を選択するために、検出器は、散乱角度τで平面から検出器へ戻る散乱部分のみを受け入れるための狭画角受容ユニット(narrow field angle reception unit)を有する。狭画角受容ユニットは、円筒レンズ、視準レンズ、厚い開口、開口系またはスリットなどの任意の適切な要素であることができる。検出器は、光検出器アレイ、即ち感光性画素のアレイであることができる。このケースでは、装置が、散乱角度τで受容される散乱部分の重心を決定するための重心計算装置を有することも重宝である。
【0019】
ある好適実施形態において、プローブ放射線は、適切な光学部品の助けを借りて、スキャンビームに形成される。場合によっては、光学部品は、プローブ放射線を複数のスキャンビームに形成することができる。また、計時装置は長寸の物体上に取り付けられ、投光器は、単一周波数fでプローブ放射線を放射するための単一周波数エミッタを用いる。例えば、エミッタはレーザ、例えばレーザダイオードまたは垂直キャビティ面発光レーザレーザ(VCSEL)である。
【0020】
本発明の方法は、長寸の物体の先端が或る接点で表面に接触しているとき、その物体の少なくとも1つの方向パラメータを決定するために用いられることができる。この方法は、長寸の物体上の第1の視点から既知のパターン(例えば所定の特徴部をトレースアウトする非対称パターンまたはスキャンパターン)でプローブ放射線により表面を照明することを必要とする。この方法はまた、長寸の物体上の第2の視点でプローブ放射線の散乱部分を収集または検出することを必要とする。1若しくは複数の方向パラメータ、即ち第2及び第3のオイラー角θ,ψは、プローブ放射線と散乱部分の差から決定される。この方法は、表面が平面であるかまたは非平面幾何学形状を有するときに用いられることができる。
【0021】
長寸の物体が平面上で操作されているときに、傾斜角θなどの少なくとも1つの方向パラメータを決定する別の方法がある。この方法において、平面は、物体軸に対して既知の角度σでプローブ放射線によって照明され、物体に戻るプローブ放射線の散乱部分は、長寸の物体の軸線に対して既知の角度τで検出される。散乱部分の検出時間及びプローブ放射線の投射時間から少なくとも1つの方向パラメータ、例えば傾斜角θを導き出すために計時装置が用いられる。この方法において、スキャンパターン、例えば一軸または二軸スキャンパターンで角度σを変えることは好ましい。
【0022】
本発明の詳細について、図面を参照しながら詳しく述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、長寸の物体10の姿勢を表すために本明細書中で用いられているようなオイラー回転を先ずレビューすることにより最も良く理解されることになろう。姿勢には、長寸の物体10の位置及び空間的な方向が含まれる。図1Aに、非回転物体座標(X’,Y’,Z’)の原点に先端12を有する長さlの長寸の物体10を示す。物体10の軸線は、本実施形態ではC.A.で示される中心線または中心軸であるが、Z’軸と同一線上にある。軸線C.A.は、先端12及び非回転物体座標(X’,Y’,Z’)の原点を通過する。既知のパターンでプローブ放射線16を投射するための投光器14が、物体10上に取り付けられる。投光器14は、高さh1、軸線C.A.からのオフセット距離q1の、平面(X’‐Z’)中の第1の視点18から放射線16を投射する。物体10に戻るプローブ放射線16の散乱部分22を収集または検出するための検出器20が物体10上の投光器14の下に取り付けられる。検出器は、高さh2、軸線C.A.からのオフセット距離q2の、平面(Y’‐Z’)中の第2の視点24で散乱部分22を検出する。当然のことながら、一般に視点18、24は垂直平面に含まれる必要はない。
【0024】
当業者であれば、物体10の回転を説明するための多くの規約が存在することが分かるであろう。ここで選択された系においては、回転規約を可視化するように物体10は初期の直立位置から物体座標と共に回転される。検出器20は、先ず、Y’軸に整合される。
【0025】
図1Aに、Z’軸周りに回転する物体座標(X’,Y’,Z’)の第1のオイラー角φによる第1の反時計回り回転を示す。物体座標のこの回転は、Z’軸に影響しないので、1回回転(once rotated)Z’’軸は非回転Z’軸と同一線上にある(Z’’=Z’)。他方では、軸X’及びY’は第1のオイラー角だけ回転され、1回回転軸X’’及びY’’ができる。
【0026】
図1Bに、1回回転物体座標(X’’,Y’’,Z’’)に適用された第2のオイラー角θによる第2の反時計回り回転を示す。この第2の回転は、1回回転X’’軸の周りで行われるので、これはX’’軸に影響しない(X’’’=X’’)。他方では、軸Y’’及びZ’’は第2のオイラー角θだけ回転され、2回回転軸Y’’’及びZ’’’ができる。この第2の回転は、1回回転軸Y’’及び2回回転軸Y’’’、Z’’’を含む平面Πにおいて実行される。物体10の軸線C.A.は、平面Πにおいて第2のオイラー角θで反時計回り回転し、2回回転軸Z’’’と同一線上にある(共線的)ままであることに留意されたい。
【0027】
図1Cに示されるように、第3のオイラー角ψによる第3の反時計回り回転が、2回回転物体座標(X’’’,Y’’’,Z’’’)に適用される。ψによる回転は、3つのオイラー角全てによって回転される物体軸Zと既に同一線上にある2回回転軸Z’’’の周りで実行される。一方、2回回転軸X’’’及びY’’’はψによって回転され、3つのオイラー角全てによって回転される物体軸X、Yを与える。3つのオイラー角φ、θ、ψ全てによって回転される物体軸X、Y、Zは、オイラー回転物体座標(X,Y,Z)を画定する。物体10の先端12は、オイラー回転の間、全ての物体座標の原点にあることに留意されたい。物体10の軸線C.A.及び投光器14の第1の視点18を含む平面Σはここでは軸Z’及び軸Zを含む平面Πに角度(π/2)‐ψをなすことにも留意されたい。
【0028】
図2において、3つのオイラー回転全ての後、接点28で平面26に接触する先端12を有する物体10の詳細を示す。図2では、より見やすくするために、図1Cにおいて用いられているものと異なる第3のオイラー角ψ値が選択されることに留意されたい。表面26は、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)において(Xo,Yo)平面によって画定される。ワールド座標において、3つのオイラー回転前の物体軸Z’は平面(Xo,Yo)に垂直である。ここで、第2のオイラー角θは、物体Z軸を中心としたものではない物体座標の反時計回り回転のみを画定する(この第2の回転は軸Z’、Z’’、またはZ’’’よりもx’’=X’’’軸を中心としたものである)。従って、オイラー角θは、完全にオイラー回転された物体軸Z即ち軸線C.A.と、先端12の接点28で平面(Xo,Yo)に垂直である元の物体軸Z’との間の傾斜角θである。
【0029】
投光器14は、第1の視点18を有する構造化された光学部品30を有する。このケースでは、光学部品30は単レンズである。しかしながら、幾つかのレンズ及び他の光学素子を含むより複雑な光学部品を光学部品30として用いることができることを理解されたい。投光器14はまた、プローブ放射線16を生成するためのエミッタ32を有する。この実施形態においては、エミッタ32は、アクティブピクセル34を有するアクティブアレイである。はっきり分かるように、図にはアクティブピクセル34のうち数個だけを示している。適切なピクセル34を活動化することによって、アクティブアレイ32は既知の幾何学的なパターンでプローブ放射線16を生成し、プローブ放射線16が表面26を照明するとき対応する特徴部38を生成する。
【0030】
図2において、パターン36は矩形として示されている。しかし、一般には、矩形グリッド、正方形、円、点、正多角形の特殊な場合を含むグリッド、矩形、楕円、曲線、多角形などの線の集合を含む任意の対称または非対称パターンを用いることができる。投光器14によって生成されるプローブ放射線16のパターン36は、物体10の方向パラメータを導き出すのに適切な特徴部38を照明するように選択される。ここで、被選択パターンを生成するために、光学部品30は、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、反射素子及びこれらの任意の組合せなどの素子から制限なく選択されることができる。
【0031】
検出器20は、表面26からの散乱後にそこから物体10に戻るプローブ放射線16の散乱部分22を受け入れるための光学部品40を有する。本実施形態において、光学部品40は単一のレンズである。尤も、種々の光学素子が光学部品40として用いられることができることを当業者は理解されよう。検出器20はまた、光検出器42を有し、このケースでは感光性画素44の光検出器アレイを有する。分かり易くするために数画素44のみを示す。光学部品40は、プローブ放射線16の散乱部分22を光検出器アレイ42に映し出しかつ/または投射し、特徴部38の画像46または投射を得る。
【0032】
この実施形態の動作は、平面26上に位置するときに物体10の方向が特徴部38の形状に影響するという事実に基づく。一方で、物体10の姿勢の残りのパラメータ、即ち平面(X0−Z0)上の先端12の位置は、特徴部38の形状に影響しない。というのも、表面26が平面であるからである。ここで、物体10の方向を表す3つのオイラー角(φ,θ,ψ)のうち、2つのオイラー角のみがプローブ放射線16のパターン36によって生成される特徴部38の形状に影響を及ぼす。これら2つは、第2及び第3のオイラー角、即ち傾斜角及びロール角θ,ψである。
【0033】
この装置は、先端12が表面26に接触しているときに作動する。この状態は、適切な装置または技術によって、例えば先端12付近に取り付けられたセンサ(図示せず)の助けを借りて確認される。作動中に、アクティブアレイ32は、表面26を照明するプローブ放射線16を放射する。プローブ放射線16は矩形パターン36で放射され、構造化された光学部品30はプローブ放射線16を第1の視点18から表面26で中心軸C.A.に対して平面にΣおいて角度σで投射する。プローブ放射線16は、矩形パターン36で伝播し、表面26上に特徴部38を生成する。特徴部38は、光学部品30の倍率に依ってパターン36より小さいか同じサイズであるかまたは大きく、オイラー角θ,ψの関数として矩形パターン36の幾何学形状から歪められる。このことを理解するために、先ず一般的なオイラー回転の結果を見てみよう。
【0034】
物体10の先端12が表面26に接触するポイント28でのオイラー回転座標(X,Y,Z)の原点は、ワールド平面(Xo,Yo)にある。このワールド平面は、非回転物体座標(X’,Y’,Z’)の平面(X’,Y’)と同一平面上にある(共平面)ことに留意されたい。物体座標(非回転及び回転)の原点は、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)の原点から変位ベクトルDoだけ離隔しており、このときDoの長さ即ち|Do|は
である。
【0035】
ワールド平面(Xo,Yo)の原点は、目の前にある用途に便利なように選択または画定できることに留意されたい。しかし、一般には、長寸の物体10の方向の他にパラメータを画定する必要がなければ、即ち姿勢情報が必要でないときには、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)の原点及び変位ベクトルDoの情報は要求されない。
【0036】
ベクトルrが、高さh1、軸線C.A.からのオフセットq1の視点18から放射線16が平面26に投射するポイントPoまで引かれた線であるとしよう。ベクトルrは、軸線C.A.に対して角度σをなし、Σ平面、即ちオイラー回転物体座標(X,Y,Z)の平面(X−Z)にある。ベクトルrが表面26を通過することになるならば、ベクトルrは同様にΣ平面に含まれるポイントP*でオイラー回転物体座標のX軸と交差することになることに留意されたい。
【0037】
ポイントPoがパターン36の中心に対応する特徴部38の中心を画定するとしよう。表面26上の任意の点の物体座標を与えると、幾つかのステップを経て表面26上の同じ点に対してワールド座標中の位置を得ることができる。実際のところ、以下の導出は、特定のポイントPoのみならず任意の点に当てはまる。先ずは、非回転物体座標中の平面(X’,Y’)からオイラー回転物体座標中の平面(X,Y)へ座標変換する必要がある。この変換は、オイラー角において行列Rにより画定される。
【0038】
下記の行列Rを適用して非回転物体座標(X’,Y’,Z’)中の点(x’,y’,z’)の座標をオイラー回転物体座標(X,Y,Z)中の点(x,y,z)に変換する。
【0039】
オイラー回転から非回転物体座標への逆座標変換は、次のように行う。
ここで、上付き文字Tは行列Rの転置を示す。
【0040】
ポイントP*及びポイントPoを含むベクトルrに沿った同一線上の一連のポイントPsは、次のパラメータ式
によってオイラー回転物体座標において説明できることを出願人は認めている。ここでsはパラメータである。ベクトルrに沿って伝播するプローブ放射線16がワールド平面(Xo,Yo)上で、即ち(Xo,Yo,0)で衝当するポイントPoでは、パラメータsの値は
である。
【0041】
このs値を式3に代入することにより、オイラー回転物体座標中のポイントPoが求められる。ここで、式2Bからの転置行列RTを用いて、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)におけるスキャンポイントPoを求めることができる。
【0042】
ポイントPoがワールド平面(Xo,Yo)の表面26になければならないので、ワールド座標中のポイントPoのZsoの値は0でなければならないことに留意されたい。ベクトルrの長さは、第1の視点18からポイントPoへのプローブ放射線16の伝播距離を表し、以下のように決定される。
【0043】
図3では、特徴部38に関する最後の2回のオイラー回転の結果をより詳しく見ている。より見やすくするために、特徴部38の角(かど)へ伝播するプローブ放射線16の4つの線が描かれている。これらの角は、ポイントP1、P2、P3、P4と呼ばれる。ここで、式3〜5を用いて、平面(X−Y)に投射される非変形特徴部38*の幾何学形状が既知である限り最後の2回のオイラー角、即ち傾斜角及びロール角θ,ψの関数として特徴部38の変形を導き出すことができる。特徴部38*の幾何学形状は、全てのオイラー回転の前に、または少なくとも最後の2回のオイラー回転の前に経験的に決定されることができるか、または先験的(アプリオリ)に(例えばパターン36及び装置の他の定型的な光学的及び機械的性質から)決定されることができる。
【0044】
一般に、光学部品30は、1より大きいかまたは小さい倍率を有することができる。しかし、倍率に関係なく、プローブ放射線16の後方散乱部分16’(図2を参照)は特徴部38の変形に関する情報を何らもたらさないであろう。それは、後方散乱部分16’は自身が投射された視点と同じ視点即ち第1の視点18に戻るからである。このため、特徴部38は、光学部品40によって与えられる第2の視点24から検出器20により見られなければならない。従って、検出器20は、ベクトルgに沿って表面26から散乱した後に物体10に戻るプローブ放射線16の散乱部分22を検出する。散乱部分22は、中心軸 C.A.に対して散乱角度τで第2の視点24に到達する。
【0045】
視点18と24間の離隔距離Λは、
で表すことができる。
【0046】
h2を非常に小さな値に減らさない限り、即ち視点24が先端12のかなり上方に維持されるようにする限り、増加する離隔距離Λが装置の性能を向上させることに留意されたい。式7Aは図2の実施形態の場合のように視点18、24が直角になっている特殊な場合に限られることにも留意されたい。一般に、視点18、24は、式7Aが
になるように、互いに関して任意の角度αであることができる。
【0047】
特徴部38の変形は、視点24から特徴部38の変形を捕える画像46から判定される。画像46の形状はベクトルgによって決まるが、ベクトルgは、ベクトルrを計算するために上述の数学的形式を用いて計算される。これは、参照用に既知の角度σ、高さh1、h2及びオフセットq1に対してPoの座標が先ず決定された後に行われる。計算に関する追加情報は、Trucco, Emanuele, Verri, Alessandro, Introductory Techniques for 3-D Computer Vision, New York: Prentice Hall1998, ISBN 0-13-261108-2、Faugeras, Olivier D., Three-Dimensional Computer Vision: A Geometric Viewpoint, Cambridge, MA: MIT Press1993, ISBN262-06158-9 などのステレオ視(立体視)の文献に見つけられる。光学部品30が既知の画像倍率及び歪曲を有するとき、かつ画像46の実寸が既知であるとき、3次元視の分野において理解されるように、そして以下で更に説明するように、距離情報即ちベクトルs、r、gの長さは深さに基づき画像46に含まれることにも留意されたい。
【0048】
画像46から第2及び第3のオイラー角θ,ψを決定するために、検出器アレイ42は、図4のブロック図に示されるように画素44からユニット48へ画像46を読み出す。通常、検出器アレイ42上に投射される画像46は、光学部品40に因るワーピング及び光学収差によってワープ及び歪曲されて歪曲画像46’になる。従って、ユニット48に到達後、無ワーピング/無歪曲(unwarping and undistorting)モジュール50が画像46を前処理し、ワーピング及び歪曲(ディストーション)を取り除いて特徴部38の透視投影において画像46を回収する。無ワーピング/無歪曲画像46は、次に比較モジュール52によって処理され、プローブ放射線16と散乱部分22の差から少なくとも1つの方向パラメータ(このケースでは傾斜角及びロール角θ,ψ)を決定する。より正確に言えば、プローブ放射線16と散乱部分22の差は、プローブ放射線16のパターン36によって生成される特徴部38と散乱部分22によって生成される被投射特徴部38の画像46との差である。決定は、ルックアップテーブル54に格納された対応するオイラー角ペアθi,ψiで歪曲特徴部38のライブラリの助けを借りてなされる。テーブル54は、パターン36が視点18から表面26上に投射される特定の角度σに対し、物体10を回転させる前に作成されるのが好ましい。光学部品に起因する一定の歪曲を組み込むようにテーブル54を作成し、それによってモジュール50の必要性をなくすこともできることに留意されたい。
【0049】
可能なオイラー角θi,ψiの各ペアは、所与の角度値に対して、特徴部38の独特な歪曲を生成する。テーブル54において画像46と特徴部38間の一致(マッチング)が見つけられたとき、対応する値θi及びψiがデータ56として出力される。特徴部38とその画像46との比較は、アクティブアレイ32によって投射されるパターン36が非対称であるときに特に便利である。それは、非対称パターン36が、変形が各オイラー角θ,ψの組に固有であるような非対称な特徴部38を生成するからである。適切な非対称パターンには、例えば、非直交線の集合、楕円、正多角形でない多角形が含まれる。
【0050】
図5は、高さh1の第1の視点84を備えた第1の光学部品82及び高さh2の第2の視点88を備えた第2の光学部品86を有する長寸の物体80の平面Σにおける側断面図である。この実施形態においては、オフセットq1及びq2が共に0であるように視点84、88は共に物体80の中心軸C.A.上にある。物体80は、Z軸に沿った軸線C.A.及び物体軸Z’’とZ間で画定される第2のオイラー角θと共に、そのオイラー回転位置にある。物体80の先端90は、平面92に接触している。平面(X、Y)は破線で表されている。
【0051】
平面Σにおいて、表面92の元の位置と最終位置間の傾斜角ηはオイラー角θ、ψの関数である。
【0052】
ここで、表面92上の線分Γ上に向けられた第1及び第2の光学部品82、86両方を考える。線分Γは、平面Σにおける特徴部94の一部分に対応する。特徴部94は、光学部品82または86のいずれかを介してまたは長寸の物体80上または既知の遠隔位置にある第3の光学部品100(破線で示されるような)を介して表面92を照明することができる投光器98から或るパターンで伝播するプローブ放射線96によって生成される。より見やすくするために、対応する傾斜角ηと、表面26上の特徴部38及び平面(X−Y)中の非変形特徴部38*における一辺から対向する一辺までの一部分の線分Γ,Γ´とを図3の3次元図に示した。
【0053】
再び図5を参照すると、光学部品82及び86の視点84及び88から見たような線分Γの長さは、小角近似範囲内で対する角度ε1,ε2に比例する。対する角度がより大きい場合、テイラー展開を用いることができることに留意されたい。視点84、88から見た線分Γの長さは、視点84及び88からの半径方向の距離r及びgにも比例する。従って、視点84、88から見たΓ1及びΓ2で示される線分Γの長さは、
である。ここで、角度ε1,ε2は、ラジアンで表されている。
【0054】
本実施形態において、特徴部94は、軸線C.A.に対して角度σで光学部品82を介して表面92を照明する投光器98からのプローブ放射線96によって生成される。特徴部94は、光学部品86を介してプローブ放射線96の散乱部分104を収集する検出器102によって検出される。散乱部分104は、軸線C.A.に対して散乱角度τで物体80に戻る。視点84及び88はΛだけ離れているので、線分Γに対する角度ε1,ε2は一般的に光学部品82及び86で異なる。
【0055】
式9A及び9Bは、特徴部94を生成するプローブ放射線96のパターンがどこから投射されるか、どこで検出されるまたは見られるかに関係なく、線分Γ1,Γ2の長さを説明する。本実施形態において、実際の線分Γは、第2及び第3のオイラー回転の前に表面92上に投射されることになるようなその原長Γ´から変形される。対する角度ε1は不変であることに留意されたい。最後の2回のオイラー回転後に表面92上に投射される線分Γの長さは、
ここで、
であり、σは対する角度ε1の中心にある。最後の2回のオイラー回転前の線分Γ´の長さは、三角法の助けを借り、(ε1,ε2の小角近似内で)
の関係を用いて、線分Γに関して表すことができ、
が得られる。
【0056】
線分Γは、対する角度ε2で、視点88から光学部品86により観察される。散乱角度τと同様に角度ε2のこの値も、角度ηの値によって決まる。即ち、最後の2回のオイラー回転によって決まる。これらの回転前に対する角度ε2の中心での散乱角度τは、角度σに関して
で表すことができ、対する角度ε2は、
で表すことができる。
【0057】
ここで、最後の2回のオイラー回転の後、散乱角度τ及び対する角度ε2は、次式のように変わる。
【0058】
ここで、式15を式9Bに代入すると、検出器102の光学部品86を通して見られるような線分Γ2の長さが求められる。即ち、
【0059】
ベクトルgの長さは、既知の角度ηで、即ち較正のために既知の第2及び第3のオイラー角ペアに対して、r(式6を参照)と同じように計算することができる。このとき、角度ηは、既知の角度で、例えばη=0での線分Γ2と最後の2回のオイラー回転から生じる新たな角度η≠0での線分Γ2の長さの差から決定される。
【0060】
図3に立ち戻ることから明らかなように、角度ηが分かっても、最後の2回のオイラー角θ,ψの値は未だ得られない。これは、異なるオイラー角θ,ψのペアが同じ角度を生成することができるためである。例えば、破線で示されるように、第3のオイラー角ψがより大きく、角度θが同じであれば、角度の値は同じになる。従って、どのオイラー角ペアθ,ψが角度ηの決定値に関係するかを判定するために平面92上の特徴部94の2次元幾何学形状などの追加情報が必要である。とりわけ、再び図5を参照すると、正しいオイラー角ペアθ,ψを決定するために平面Σに垂直な方向に沿って特徴部94における一辺から対向する一辺までの一部分に対応する線分を視点88から、または異なる視点からでさえも観察ことができる。このため、単に表面92上に投射される特徴部94の2次元形状の変化から、決定された角度ηをどのオイラー角ペアθ,ψが生じさせているかを特徴部94の変形が示すことができるように、プローブ放射線96のパターンが非対称であることが好ましい。
【0061】
或いは、別の視点であって、線分Γを観察するため及び当該他の視点から見られるような第3の長さΓ3からの追加情報を得るための別の視点を与えることができる。さらに他の別法においては、より多くの特徴部は中心軸C.A.周りの異なる角度位置で生成されることができ、これらの特徴部は、視点88から及び/または更に他の点または視点から観察されることができる。3つの、同一線上にはなくかつ同一平面上にある点の情報が、表面、例えば表面92を画定するのに十分であるという事実に基づき、特徴部94からオイラー角θ,ψを求めるために多種多様の代替解法を用いることができることは、ステレオ視の当業者に理解されよう。これらの代替アプローチについては、Faugeras, Olivier D., Three-Dimensional Computer Vision: A. Geometric Viewpoint (op-cit.) を含むステレオ視に関する標準的な文献に見つけることができる。
【0062】
図6は、平面114に接触する先端112を有する別の長寸の物体110の等角図である。物体110はオイラー回転座標(X,Y,Z)中に示されており、ワールド平面(Xo,Yo)は平面114に対応する。例えば、物体110がポインタであれば表面114はスクリーンまたはパッドであることができ、物体110が筆記具、例えばペンまたは鉛筆であれば表面114は1枚の紙であることができ、物体110がスタイラスであれば表面114はデジタル入力装置のスクリーンであることができる。この実施形態において、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)の原点Xo,Yo,Zoは、表面114の右上隅にある。
【0063】
物体110は、プローブ放射線118により平面114を照明するための投光器として走査装置116を用いる。走査装置116は、プローブ放射線118のエミッタ120及びアーム124に取り付けられたスキャンミラー122を有する。エミッタ120は、コヒーレント源、例えばレーザダイオードまたは垂直キャビティ面発光レーザレーザ(VCSEL)であるのが好ましいが、発光ダイオード(LED)を含む非コヒーレント源も用いることができる。本実施形態において、エミッタ120は、プローブ放射線118を、周波数f、物体110の中心軸C.A.への放射角度μで放射するVCSELである。平行スキャンビーム126を形成するためにプローブ放射線118の経路に光学部品130(図7を参照)が供給される。
【0064】
スキャンミラー122は、高さh1にありかつ軸線C.A.に垂直に延在するスキャンアーム124上に取り付けられる。スキャンアーム124の長さはqである。スキャンミラー122は、軸線C.A.に対して角度σでスキャンビーム126を反射させる。実際には、スキャンミラー122は、スキャンビーム126が表面114上に投射される角度σを制御しかつ変えるために用いられる。今ここに示されているように、スキャンミラー122は不偏向位置即ち中立位置にあり、そのミラー軸M.A.は軸線C.A.に平行である。それゆえに、プローブ放射線118が中立位置においてスキャンミラー122から表面114で投射される角度である角度σは、放射角度に等しい。
【0065】
スキャンビーム126は、ベクトルrによって示される経路に沿って向けられ、表面114に衝当し、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)のワールド平面(Xo,Yo)において(xos,yos,0)でスキャンポイントPoを形成する。物体110の先端112でのオイラー回転座標(X,Y,Z)の原点は、表面114上にあり、即ちワールド平面(Xo,Yo)にもある。このワールド平面は、非回転物体座標(X’,Y’,Z’)の平面(X’,Y’)と同一平面上にあることに留意されたい。物体座標(非回転及び回転)の原点は、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)の原点から変位ベクトルDoだけ離隔している。また、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)におけるスキャンポイントPoは、非回転平面(X’,Y’)において、またはワールド平面(Xo,Yo)において、軸X’に対して角度βであるベクトルdoだけ物体座標の原点から離隔している。
【0066】
図7にもっと良く説明されているように、スキャンアーム124、スキャンミラー122、エミッタ120、光学部品130が走査装置116の全ての部品である。走査装置116は、角度σを変えることによって表面114の上方の光学部品130によってスキャンビーム126に平行にされるプローブ放射線118をスキャンする。これを達成するために、走査装置116は、XM及びYMで示される2つの軸に沿って角度σを変えるためのX‐ドライバ134及びY‐ドライバ136で構成される二軸スキャナ132を有する。スキャンミラー122は二軸スキャンミラーであり、MEMミラーであるのが好ましい。代わりに、単一の二軸スキャンミラー122に代えて2つの一軸ミラーを用いることもできる。一軸ミラー及び二軸ミラーは共に当該分野で既知である。この実施形態では走査軸線XM及びYMは直交するが、このことが必須でないことを当業者は理解するであろう。
【0067】
X‐ドライバ134は、軸XMへのミラー122のx‐偏向γxを制御することによって角度σを変える。Y‐ドライバ136は、軸YMへのミラー122のy‐偏向γyを制御することによって角度σを変える。偏向が小さい場合、角度σの変化は、角度σのx‐成分及びy‐成分即ちσx及びσyで表すことができるので、次式のように表すことができる。
【0068】
角度σのx‐成分及びy‐成分は、中立即ち不偏向位置において指標となるミラー軸M.A.に対して、またはオイラー回転物体座標において物体110の軸線C.A.に対して同等に画定されることに留意されたい。
【0069】
再び図6を参照すると、スキャンビーム126即ちベクトルrがスキャンポイントPoで表面114に衝当することに留意されたい。表面114上のワールド座標におけるスキャンポイントPoの位置を求めるために、幾つかのステップが必要である。先ずは、図1Aないし図Cで画定されるのと同じように画定される非回転物体座標からオイラー回転物体座標中の平面(X,Y)へ座標変換する必要がある。この変換は、上記したように、オイラー角において行列Rにより画定される。また、上記したように、行列Rを適用して非回転物体座標(X’,Y’,Z’)中の点(x’,y’,z’)の座標をオイラー回転物体座標(X,Y,Z)中の点(x,y,z)に変換し、行列Rの転置を用いて逆変換を行う。
【0070】
ここで、ワールド座標における表面114上のスキャンポイントPoの位置は、二軸スキャナ116によって制御される。上述の数学的形式を利用し、式からの転置行列RTを用いて、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)におけるスキャンポイントPo、即ちPo(xos,yos,0)が求められる。
さらに、ワールド座標における先端112の絶対位置を知る必要がなく、物体110の方向だけ分かればよいのであれば、ベクトルDoの情報は必要なく、それを追加することは不要である。スキャンポイントPoはワールド平面(Xo,Yo)にあるので、ワールド座標中のポイントPoのzosの値は0でなければならないことに留意されたい。
【0071】
ベクトルrの長さは、ミラー122からスキャンポイントPoへのスキャンビーム126の伝播距離を表し、次のように決定される。
【0072】
ベクトルrの長さの情報を用いて、図6に示されるような表面114へのスキャンビーム126の入射角δを決定する。角度δは、物体座標の原点からスキャンポイントPoへのベクトルdoと、ミラー122からスキャンポイントPoへのベクトルrの間の角度である。よって、角度δを次式で表すことができる。
ここで(x,y,z)はオイラー回転物体座標におけるスキャンポイントPoの座標である。非回転物体軸X’に対するベクトルdoの角度βは、軸X’またはワールド軸Xoを用いた内積の微分法から求められる。
【0073】
平面114を照明するプローブ放射線118は、表面114の物理的特性のみならず、表面114へのプローブ放射線118の入射方向、プローブ放射線118の周波数fに基づき散乱する。双方向反射率分布関数(bidirectional reflectance distribution function:BRDF)は、プローブ放射線118の散乱部分138のスペクトル特性及び空間特性を表す。BRDFは、全ての入射及び反射方向に対する反射ラジアンスと入射線束密度の比である。入射方向は、方向余弦χ、κ、ζによって十分に表されるが、これらはベクトルrとワールド単位ベクトル
の内積から得られる。同様に、単位ベクトル
への方向余弦(図示せず)は、散乱部分138の反射方向を表す。
【0074】
多くの場合に表面114はランベルト面(完全散乱面)であるかまたはほぼランベルト面であり、BRDFはζ=0(法線入射)での最高値から連続的な減少を示す。表面114がランベルト面であってもなくても、そのBRDFは、較正のために予期される入射方向及び反射方向で測定されるべきである。最も単純な場合には、第3のオイラー角ψはπ/2または3π/2に近いかまたは等しい。これらのケースでは、BRDFは、方向余弦を計算する必要なしに、表面114に対して入射角δまたは表面法線
に対して角度δ’=(π/2)‐δで直接表される。他のオイラー角値ψでは、入射方向を十分に表すために方向余弦が用いられなければならない。
【0075】
表面114へのプローブ放射線116の散乱部分138の反応は、それゆえに、反射方向の関数として散乱部分散乱部分138の強度の変化によって表されることができる。一般的に、表面114への散乱部分138の反応には、強度の変化のみならず、偏光ベースの反応を含めることができる。
【0076】
物体110は、散乱角度τで平面114から軸線C.A.に戻るプローブ放射線118の散乱部分138を検出するための検出器140を有する。より見やすくするために、角度τで戻る散乱部分138を符号139で示している。検出器140は、走査装置116から離隔するように高さh2で取り付けられる。投光器または走査装置116は、スキャンミラー122の位置即ち高さh1、軸線C.A.からのオフセットqによって決まる第1の視点を有する。同時に、検出器140は、高さh2、軸線C.A.からのゼロオフセットで第2の視点を有する。
【0077】
検出器140は、散乱角度τで到達する散乱部分139から長寸の物体110の少なくとも1つの方向パラメータを決定するために用いられる。この実施形態において、走査装置116は、放射状パターンを用いて、軸線C.A.及び長さqのアーム124によって画定される平面において角度σをいろいろに変える。従って、時間的及び空間的にプローブ放射線118を変えるパターン即ちスキャンビーム126のスキャンパターンによって表面114上に生成される特徴部142はスキャンラインであり、或いはより正確に言えば放射状スキャンラインである。走査装置116は二軸であるが、一軸スキャンミラーを備えた一軸走査装置を用いて放射状スキャンライン142を生成することもできることに留意されたい。
【0078】
散乱角度τで戻る散乱部分139のみが考慮されることを確実にするために、検出器140は図8に示されるような狭画角受容ユニット144を有する。ユニット144は、円筒レンズ、視準レンズ、厚い開口または開口系、スリット、または、散乱角度τで到達していない散乱部分138を取り除くためのその他の適切な装置であることができる。
【0079】
検出器140は、散乱部分139を測定するための光検出器146を有する。光検出器146は、複数の画素148を有する光検出器アレイであるのが好ましい。従って、散乱部分139がアレイ146に衝当するとき、散乱部分139は、複数の画素148上に延在するスポット150を作り出す。散乱部分139のスポット150の重心152の情報を用いて、散乱部分139がより正確に散乱角度で到達していることを確認することができる。
【0080】
検出器140は高さh2で取り付けられ、ユニット144は散乱角度τで到達する散乱部分139しか受け入れないので、スキャンライン142に沿った点であって当該点から散乱部分139が光検出器146に当たるようにすることができるような点が1つ存在する。この図において、これはスキャンポイントPoである。スキャンライン142に沿った全ての他の点では、散乱角度τで到達する散乱部分139は受け入れられないことになる。というのも、この散乱部分139は検出器140の上方または下方のいずれかにユニット144から遠く離れて到達することになるからである。これは図6中にスキャンポイントPi及びPnからスキャンライン142に沿って到達する散乱部分139に対して破線で示されている。
【0081】
図9に、走査装置116を操作しかつ物体110の少なくとも1つの方向パラメータを導き出すための例示的な制御回路156のブロック図を示す。当業者は、種々の制御回路を使用可能であること、制御回路のデザインはとりわけ検出器140、光源120及び走査装置116の型に依ることを理解されよう。光源120は、パルスモードまたは連続モードでの作動ができることにも留意されたい。
【0082】
回路156は、走査装置116と、検出器140とに接続される。回路156は、検出器140に接続された増幅器158と、増幅器158に接続された増幅器アナログデジタル変換器ADC160とを有する。増幅器158は、検出器140からの信号を増幅し、増幅器158は、トランスインピーダンスアンプ、オペアンプ、または他の適切な増幅器であることができる。ADC160は、増幅器158からの増幅信号をデジタル化するために適合される。回路156は、検出器140により生成された信号に対応するデジタル信号を受信するためにADC160に接続された演算処理装置162も有する。
【0083】
演算処理装置162は、スポット150の重心152を計算するための重心計算装置164を有する。更に、ユニット156は、検出器140によって散乱部分139の検出時間から物体110の少なくとも1つの方向パラメータを導き出すための計時装置166を有する。計時装置166は、モジュール168と通信する。モジュール168には、スキャンライン142に対する角度の時間値σ(t)を表にしたルックアップテーブルが含まれる。
【0084】
このケースにおいて、角度σ(t)即ちスキャン角度はx‐偏向γxによってのみいろいろに変えられ、スキャンライン142を生成する。換言すれば、二軸スキャナ116は、X‐ドライバ134のみを用いてx‐偏向γxをいろいろに変え、一方でy‐偏向γyは0に保持される。(上記したように、このケースでは一軸スキャナを用いることもできる。)より正確に言えば、X‐ドライバ134は、x‐偏向γxを次のように周期的に変える。
ここで、ωxは角周波数であり、Aは偏向振幅である。従って、スキャン角度σ(t)の瞬間値は、式17に式21を代入して求められる。
【0085】
異なる傾斜角ηでは、スキャンライン142に沿ったポイントPoであってそこからの散乱部分139がユニット144によって検出器140に受け入れられるような当該ポイントPoの位置は異なることに注意することが重要である。結果的に、散乱部分139が検出器140によって検出されるとき、スキャン角度σ(t)の各サイクル中の検出時間tdet.は傾斜角ηの関数として異なる。従って、最後の2回のオイラー回転によって生成されかつスキャンアーム124、軸線C.A.、スキャンライン142と同じ平面に含まれる角度ηは、検出時間tdet.の関数として表にすることができる。モジュール168は、散乱部分139の検出時間tdet.をスキャン角度σ(t)=σ(tdet.)の瞬間値及び対応する角度ηにインデックス付けするのが好ましい。迅速な応答を確実にするために、モジュール168は高速アクセスメモリである。或いは、モジュール168は、ルックアップテーブルを用いるよりも検出時間tdet.及びスキャン角度σ(tdet.)の瞬間値に基づき角度ηの値を計算することができる。
【0086】
プローブ放射線118の生成を制御するために回路156のレーザパルスドライバ170がVCSEL120に接続される。コントローラ172は、回路156の動作を調整し、それを走査装置116及び検出器140により同期させる。このために、コントローラ172は、X‐ドライバ134、Y‐ドライバ136、レーザパルスドライバ170、増幅器158、ADC160、及び演算処理装置162に接続される。
【0087】
作動中に、長寸の物体110は動きを実行し、その間に先端112は表面114上にある。好適実施形態において、角度ηの値は、物体110がはっきりと感知できる量だけ変動する時間に比べて非常に短い期間の間に決定される。コントローラ172は、VCSEL120及び走査装置116の操作速度を調整することによって動作が十分に高速であることを確実にする。具体的には、コントローラ172は、レーザパルスドライバ170に、VCSEL120を一定のパルス速度で、または連続的にでさえも、駆動するように命令する。角度σ(t)が変化するのは、X‐ドライバ134がコントローラ172によってx‐偏向γxを変化させて放射状スキャンライン142を生成するように命令されるためである。プローブ放射線118のスキャンビーム126は、表面114上を通過し、プローブ放射線118の散乱部分138を生成する。上記したように、表面114上のスキャンポイントPoから戻る散乱部分139のみが(図5を参照)必要な高さ及び散乱角度τにあり、ユニット144から検出器140に受け入れられる。
【0088】
ここで、コントローラ172は、角度σ(t)が十分に高速に変化するように、即ち連続する放射状スキャンライン142が高反復率で生成されるように、走査装置116のX‐ドライバ134を操作する。例えば、物体110が、棒、ポインタなどの人間が操作する用具であるか、またはペン、鉛筆、またはスタイラスなどの筆記具であるとき、角度σ(t)は、何らかの感知できる人間の動きが起こる前に1つの完全なスキャンライン142を実行するのに十分速く変化するのが好ましい。
【0089】
スキャンライン142がスキャンポイントPoの連続する位置から構成され、当該ライン142がVCSEL120のパルシングに依り不連続または連続であることができることに留意されたい。スキャンライン142以外のパターンは、x‐偏向γx及びy‐偏向γyを変えて角度σ(t)を便利なパターンで変化させるようにX‐ドライバ134及びY‐ドライバ136に指示するコントローラ172によって生成されることができることに留意されたい。
【0090】
作動中に、検出器140は、散乱角度τで戻るプローブ放射線118の散乱部分139の強度に対応する信号を生成する。増幅器158は、この信号を、ADC160によってデジタル信号に変換するのに十分な増幅率レベルまで増幅する。コントローラ172は、この過程を監視し、必要に応じて増幅器158の増幅率を調整する。
【0091】
増幅信号は、演算処理装置162に搬送される。散乱部分139が観察されるとき、演算処理装置162は、角度σ(t)の連続スキャン中に検出時間tdet.を記録する。具体的には、重心計算装置164は、スポット150の重心152の位置から散乱角度τの正確な値を監視する。重心152が中心の画素148上に位置するときにスポット150の重心152が散乱角度に正確に対応するが、重心152が散乱角度に正確に対応するとき、当該時間は計時装置166によって検出時間tdet.として取られる。
【0092】
計時装置166によって記録される検出時間tdet.に対して、瞬間スキャン角度σ(tdet.)の正確な値を知る必要がある。この値は、X‐ドライバ134から、または好適にはスキャンミラー122の瞬間偏向を確かめるミラー監視機構(図示せず)から、得ることができる。このケースでは、計時装置166によって記録されかつモジュール168に送られる2つの検出時間ti及びtqに対して、対応する瞬間偏向σi及びσqは、ミラー監視機構から得られる。
【0093】
検出時間tdet.の関数としてのスキャン角度σ(t)のグラフを図10に示す。X‐ドライバ134によって駆動されるようなスキャン角度σ(t)の理想的な値を破線で示す。実線は、ミラー監視機構によって記録されるようなスキャン角度σ(t)の実測値を示す。再び図9を参照すると、モジュール168におけるルックアップテーブルは、傾斜角ηの値、即ち信号が検出されたスキャン角度σi及びσqに対応するηi及びηqを見つけ出すために用いられる。従って、傾斜角ηi及びηqは、計時装置166によって記録される散乱部分139の検出時間から得られる。モジュール168はルックアップテーブルを当てにするよりもむしろ検出時間、高さh1,h2、散乱角度τに基づき角度ηi及びηqの計算を行うための処理装置を有することができることに留意されたい。
【0094】
角度ηは、物体110の有用な方向パラメータを表すが、オイラー角θ,ψの一方または両方を求めるために多くの場合望ましい。これらは、追加測定により導き出される。例えば、軸線C.A.に垂直かつアーム124に垂直なアームを備えた追加走査装置を物体110上に取り付けることができる。この追加アームは、スキャンミラーを備えることができ、平面Σに垂直な平面における傾斜角ηを測定するために用いられることができる。同じ検出器140かまたは新たな走査装置のために設けられる別の検出器のいずれかを用いて、この第2の走査装置によって生成される散乱部分を求め、検出時間を測定することができる。この別の平面における角度ηの値が分かれば、オイラー角θ,ψの値を導き出すことができる。
【0095】
ある好適実施形態において、検出時間tdet.の決定が物体上(on-board)で行われるように、計時装置166は物体110上に取り付けられる。実際に、回路156全体が物体110上に取り付けられることができる。或いは、モジュール168は遠隔にあり、通信リンク(図示せず)を介して回路156の残部との通信を維持する。計時装置166からのフィードバックに応じてコントローラ172がx‐偏向γxの振幅及びDCオフセットを減少させ、それによって傾斜角の瞬間値に対応する値σ0(t)近辺を振動させるようにスキャン角度σ(t)の範囲を縮小することも好ましい。そのようなフィードバック装置は、角度の実時間追跡を可能にする。
【0096】
物体110の走査装置116の別の操作モードを図11に示す。このケースでは、X‐ドライバ134及びY‐ドライバ136は、二軸スキャンパターン142’を生成するために用いられる。従って、x‐偏向γx及びy‐偏向γyのためにスキャン角度σ(t)は変わる。スキャンパターン142’は、ラスタスキャンパターン、ラインスキャンパターン、リサジュー図形、または他の何らかのスキャンパターンであることができる。ある好適実施形態において、二軸スキャナ116は、X‐ドライバ134及びY‐ドライバ136を用いて、x‐偏向γx及びy‐偏向γyを次のように周期的に変える。
【0097】
この式において、Δはx‐偏向γxとy‐偏向γy間の位相差であり、A及びBは度で表される偏向振幅である。σ(t)の瞬間値は、式17に式23を代入して求められる。
【0098】
式24がリサジュー図形の一般的なパラメータ公式化を表し、スキャンパターン142’がそれ故にリサジュー図形であることを当業者は認識されたい。スキャンライン142とは異なり、リサジュー図形142’は平面Σに限定されないことに留意されたい。従って、物体110は、破線で示されているように平面Σにおいてのみよりは全ての方位方向(軸線C.Aに関する方向)から軸線C.A.に散乱角度τで戻る散乱部分139を受け入れる検出ユニット140’を有する。
【0099】
この実施形態において、傾斜角ηが変わると、リサジュー図形142’上の点であってそこからの散乱部分139が検出器140に受け入れられるような当該リサジュー図形142’上の点が変わる。これらの点は、自身の方位位置を変化させることに留意されたい。従って、リサジュー図形142’の使用は、傾斜角ηからオイラー角θ,ψを決定する際に用いられることができる追加の方位情報を供給する。
【0100】
平面204に接触する先端202を有する長寸の物体200の別の実施形態を図12に示す。長寸の物体200は、投光器206及び検出器208を備えている。投光器206は、第1の視点216からパターン214でプローブ放射線212により表面204を照明するための光源210を有する。投光器206は、視点216が長寸の物体200の中心軸線C.A.上にあるように物体200の上端部に取り付けられる。
【0101】
投光器206は、空間において3次元放射パターン214でプローブ放射線212を投射するための構造化された光学部品を有する。ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、反射素子を含む任意の型の光学部品を用いることができる。光学部品を構成する素子は、固定されることができるかまたは投射されるパターン214に依存して動くことができる。例えば、パターン214が経時的に変化することになっていなければ、可動部は必要ない。その一方で、パターン214が経時的に変化することになっていれば、構造化された光学部品を取り付けるために回転、旋回または傾斜型の台や他の周知の装置などの可動部が用いられることができる。本実施形態において、パターン214は非対称パターンである。
【0102】
検出器208は、第2の視点218を有し、既知の高さで物体200上に取り付けられる。検出器208は、第2の視点218へ表面204から戻るプローブ放射線212の散乱部分220を検出する。散乱部分220は、プローブ放射線212のパターン214が表面204を照明するとき生成される特徴部224の形状によって規定されるパターン222で戻る。本実施形態において、パターン214は非対称であるので非対称特徴部224を生成する。更に、この実施形態においては、3次元放射パターン214の形状は経時的に変えられない。上記した理由で、傾斜角ηの変化または同等に最後の2回のオイラー角θ,ψのいずれかの変化は、特徴部224の形状に影響し、それゆえ放射パターン222を部分的に変える。
【0103】
検出器208の部品には、図13に一層良く示されているように、第2の視点218を画定するイメージング光学部品226及び画像平面228が含まれる。光学部品226における画像の中心的なオクルージョン230及び画像平面228に落とされた対応する影232は、物体200による中心的なオブスキュレーションに起因する。複数の画素236を有する画像アレイ234は、光学部品226によって映し出されるプローブ放射線212の散乱部分220を記録するため、画像平面228に位置決めされる。
【0104】
中心軸C.A.に対して散乱角度τoで検出器208に入る散乱部分220は、円錐240の表面に沿って伝播しなければならず、円錐240の表面は、散乱角度τoを生じさせるプローブ放射線212に対する全ての可能な散乱点を画定する。円錐240と表面204の交差は表面204上の点の軌跡242を示すが、そこでは、物体200に戻りかつ散乱角度τoで検出器208に入る散乱部分220をプローブ放射線212が生成する。軌跡242は、傾斜角ηが0であるときには円形であり、そうでなければ楕円であることに留意されたい。軌跡242の任意の点から散乱角度τoで戻る散乱部分220に対応する円238は、画像平面228において画像アレイ234上に示されている。
【0105】
作動中に、パターン224は、投光器206によって表面204上に投射され、特徴部224を生成する。散乱部分220は、検出器208に戻り、アレイ234の上へ映し出される。全てのプローブ放射線212のうち、軸線C.A.に対して角度σA、σB、σCで投射されるプローブ放射線の線212A、212B、212Cは、それぞれポイントPA、PB、PCで表面204を照明する。ポイントPA、PB、PCは軌跡242の一部であるので、ポイントPA、PB、PCからの散乱部分の線220A、220B、220Cは散乱角度τoで軸線C.A.に戻り、円238上に映し出される。従って、円238は狭画角即ち散乱角度τoを画定する。
【0106】
パターン214が既知であるので、円238上の散乱部分220によって生成される点(ポイント)、具体的に言うとポイントP’A、P’B、P’Cの情報は、物体200の少なくとも1つの方向パラメータ即ち角度を決定するのに十分である。更に、角度ηは、円238上のポイントP’A、P’B、P’Cの位置に基づきオイラー角θ,ψに分解されることができる。多くの場合には、円238上の2つの異なる点はオイラー角θ,ψを決定するのに十分であることになることに留意されたい。少なくとも1つの方向パラメータの実際の決定は、画像アレイ234と通信している演算処理装置(図示せず)によって行われる。前述同様に、決定を効率的にするためにルックアップテーブル及び他の既知の技術を用いることができる。パターン214はいろいろに変わることができ、投光器206によって一度に投射されるよりもパターン214は1若しくは複数の一軸及び/または二軸スキャナまたは適切なその組合せを含む適切な走査装置によって走査されることもできることに留意されたい。この実施形態の別の変型においては、画素236の数を減らすために、画像アレイ234は、円238の円周に沿って配置された画素236しか有しないことがある。
【0107】
投光器252が検出器254の下方に取り付けられた長寸の物体250の更に別の実施形態の部分概略図を図14に示す。分かり易くするために、物体250は部分的にしか示されておらず、通常はベクトルRcによって示されている。投光器252は、第1の視点262から格子パターン260においてプローブ放射線258により表面256を照明する。投光器252は任意の適切な型のものであることができ、格子パターン260は、連続的に、周期的に、断続的に及び/または部分的にかのいずれかで投射されるか、任意の順番で、例えばラインまたはラスタスキャンでスキャンアウトされることができる。いずれにせよ、表面256上に投射されるとき、パターン260は傾斜角の関数として変形され、特徴部263が形成される。
【0108】
検出器254は、表面256上の特徴部263から第2の視点266に戻るプローブ放射線258の散乱部分264を検出する。第2の視点266は、検出器254の一部であるレンズ268によって画定される。検出器254はまた、レンズ268によって画定される画像平面272に配置される画像アレイ270を有する。プローブ放射線258と散乱部分264の差から少なくとも1つの方向パラメータを決定するためのユニット274は、画像アレイ270と通信している。
【0109】
物体250は、ペン、鉛筆、またはスタイラスなどの筆記具であることができる。ある好適実施形態において、物体250はペンであり、表面256は紙面である。
【0110】
作動中に、物体250の先端276は表面256に接触し、投光器252は表面256に格子パターン260を投射する。物体250の方向、及びさらに具体的には最後の2回のオイラー角θ,ψは、格子パターン260を特徴部263に変形させる。画像アレイ270の助けを借りて、レンズ268によって与えられる第2の視点266から特徴部263を観察することが、(上記した技術のいずれかによる)オイラー角の回収を可能にする。それに加えて、格子パターン260の使用により、表面256の幾何形状を認識することが可能になる。例えば、格子パターン260が表面256上へ投射される一方で、表面幾何形状の較正のためにオイラー角θ,ψは0である。あとで、表面幾何形状は、物体250の種々の姿勢でのオイラー角θ,ψを導き出すときに考慮される。従って、この実施形態では表面256は平面である必要がない。表面方向の決定におけるグリッドの使用に関する詳細については、Wang, Y. F., Mitiche, A., and Aggarwal, J. K., "Computation of Surface Orientation and Structure of Objects Using Grid Coding", PAMI (9), No. 1, January 1987, pp. 129-137、Shrikhande, N., and Stockman, G.C., "Surface Orientation from a Projection Grid", PAMI (11), No. 6, June 1989, pp.650-655 を参照されたい。
【0111】
投光器及び検出器の視点は互いに関連して設置されることができ、各システムは2つ以上の視点を有することができることに留意されたい。スキャニング(走査)を利用するケースと同じである。というのも、それぞれの視点を画定する別々のスキャンミラーを備えた多くのスキャンアームが用いられることができるからである。更に、検出器は、アレイよりもむしろ単一光検出器を含む任意の型の光検出器を用いることができる。
【0112】
本発明が種々の他の実施形態の余地を残していることは当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1A】長寸の物体のオイラー回転を示す図である。
【図1B】長寸の物体のオイラー回転を示す図である。
【図1C】長寸の物体のオイラー回転を示す図である。
【図2】オイラー回転姿勢がより詳細な、図1Aないし図1Cの長寸の物体を示す3次元図である。
【図3】図1Aないし図1Cの長寸の物体の最後の2回のオイラー回転を示す3次元図である。
【図4】図1Aないし図1Cの長寸の物体の傾斜角及びロール角θ,ψを回収するための操作を示すブロック図である。
【図5】Σ平面における別の長寸の物体の側断面図である。
【図6】プローブ放射線のパターンを投射するための走査装置を備えた長寸の物体の等角図である。
【図7】例示的な二軸スキャナを示す3次元図である。
【図8】図6の長寸の物体が用いる検出器の詳細図である。
【図9】図6の長寸の物体に対する傾斜角θの導出を示すブロック図である。
【図10】検出時間の関数としてのスキャン角度のグラフである。
【図11】異なる操作モードの図6の長寸の物体の等角図である。
【図12】長寸の物体の別の実施形態の等角図である。
【図13】図12に詳細に示されている長寸の物体の検出器を示す部分3次元図である。
【図14】その投光器が検出器の下に取り付けられた長寸の物体の更に別の実施形態の部分概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には先端が平面に接触する長寸の物体の1若しくは複数の方向パラメータの決定に関する。
【背景技術】
【0002】
物体が、基平面、不動点、線または基準面などの静止基準に対して動くとき、これらの基準に対する物体の傾斜の情報を用いて、様々な運動パラメータを導き出すことができる。実際に、基準に対する物体の傾斜は、通常、物体をナビゲートするかまたは物体の軌跡に関する情報を得るために必要である。長い間、そのような物体の運動方程式をパラメータで表示するために、多くの有用な座標系及び方法が開発されてきた。理論的背景については、非特許文献1などの古典力学の教科書を参照されたい。物体追跡及び傾斜測定の一般的な例として、特許文献1及び2並びにそれらの引用文献中に数例が見受けられる。
【0003】
方位距離測定の一分野においては、長寸の物体が平面に接触している間にその物体の傾斜を知ることは重要である。通常、傾斜は、平面との接点を通過する物体の軸線に対して画定される。場合によっては、この軸線は長寸の物体の中心線でもある。各種の長寸の物体は、平面に接触している間の当該物体の傾斜の情報が役に立つ。これらの物体には、地面に接触しているときの歩行用の棒、ディスプレイまたは投射面に接触しているときのポインタ、筆記面に接触しているときの筆記装置、入力スクリーンに接触しているときのスタイラスが含まれる。
【0004】
傾斜を決定する必要性は、ペン、スタイラスなどの入力装置の分野で非常に感じられる。ここでは、ユーザによって書かれたかまたはトレースされた情報を分析するために、傾斜を知らなければならない。原理上は、ペンの傾斜を測定するために多くの方法が適用可能である。そのような方法は、超音波を用いる測距装置、可視光を含む電磁放射線、及びその他の装置を利用することができる。例えば、特許文献3は3軸検出方法を開示している。特許文献4は電磁波の飛行時間の差を用いる方法を教示しており、また別の文献は飛行時間法をマイクロ波に適用することを教示している。更に別のアプローチは、例えば特許文献5に記載されているような較正目盛または特許文献6に記載されているような補助較正システム全体を用いる。垂直方向に対するペンの傾斜を測定する更に別の方法は、特許文献7に記載されているような磁気双極子によって生成されかつライティングボードに垂直に方向付けられた磁場を測定するためのペンに取り付けられたセンサを利用する。残念ながら、これらの方法は全て扱いにくく、使用者に制限を課している。というのも、ペンから送られる信号は外部装置が受信しなければならないからである。換言すれば、ペンは自身の傾斜を内蔵機器により独立して判定することができない。
【0005】
明らかに、自身の内蔵機器により独立して傾斜を判定することができるペン及びスタイラス入力装置を有することが望ましい。原理上は、ジャイロスコープ及び加速度計などの内部センサを用いるペンを、外部装置なしにその傾斜を導き出すように設計することができる。特許文献8は、2軸加速度センサを用いる方法を提唱しており、傾斜角はペンの角速度を積分することによって判定される。また、3軸加速度センサ及び3軸ジャイロスコープを用いる特許文献9及び10も興味深い。特許文献11は、ペンの傾斜による誤差を補償するようにペンの先端に加速度センサが付着され、ペンの上部に信号処理部が配置されている構造を教示している。
【0006】
残念ながら、内部センサは通常、加速度計については時間の2乗で、ジャイロスコープについては時間に対して直線的に増加するドリフト誤差及び累積誤差があるという欠点がある。内部センサのこれらの制限を克服するために、特許文献12は、地面に対する電子ペンの中心線の方向角及び筆記面からのペンの高さを検出するための光学3次元検出装置の使用を教示している。その一方で、ペンの運動を検出するための3軸加速度計が用いられる。光学装置は、ビームスポットを形成するために筆記面にビームを放射するための光源などの部分と、カメラなどの検出部分と、筆記面から反射した光からビームスポットを検出するための対応する光学部品とを有する。
【0007】
特許文献12は、問題を解決するために一歩先に進むことを教示しているが、一般的に筆記具及び長寸の物体の方向パラメータを決定する際に用いるためには尚も融通性、効率、精度に欠けている。
【特許文献1】米国特許第5,786,804号明細書
【特許文献2】米国特許第6,023,291号明細書
【特許文献3】米国特許第5,166,668号明細書
【特許文献4】米国特許第5,997,958号明細書
【特許文献5】米国公開特許公報第2003/0025951号明細書
【特許文献6】米国公開特許公報第2002/0141616号明細書
【特許文献7】米国公開特許公報第2002/0180714号明細書
【特許文献8】特開平6−67799号明細書
【特許文献9】米国特許第5,902,968号明細書
【特許文献10】米国特許第5,981,884号明細書
【特許文献11】米国特許第5,434,371号明細書
【特許文献12】米国公開特許公報第2002/0148655号明細書
【非特許文献1】Goldstein et al., Classical Mechanics, 3rd Edition, Addison Wesley 2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の不十分な点を考慮して、本発明の目的は、長寸の物体の1若しくは複数の方向パラメータを決定するための装置及び方法を提供することである。方向パラメータは傾斜角であることができ、方法は、平面に接触しているときのペン、鉛筆、またはスタイラスなどの筆記具、棒、ポインタ、ロボットアームなどの長寸の物体に適用可能である。より詳細には、平面への法線と長寸の物体の軸線、例えば物体の中心軸の間の傾斜角θ及び軸線の周りのロール角ψを求めるための装置及び方法を提供することが本発明の目的である。
【0009】
本発明の別の目的は、装置が小型で、ペン、鉛筆、またはスタイラスなどの内蔵型筆記具との適合性があることを確実にすることである。
【0010】
図面と共に詳細な説明を読めば、これらの、そして多くの他の利点が明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、その先端が接点で表面に接触するような長寸の物体の1若しくは複数の方向パラメータを決定するための装置を提供する。装置は、第1の視点から既知のパターンでプローブ放射線により平面を照明するための長寸の物体上に取り付けられた投光器を有する。表面から長寸の物体まで戻るプローブ放射線の散乱部分を検出するための検出器が、第1の視点とは異なる第2の視点で長寸の物体上に取り付けられる。装置はまた、投射されたプローブ放射線と検出されたプローブ放射線の差から方向パラメータを決定するためのユニットを有する。より正確に言えば、差は、投射されたプローブ放射線によって生成される特徴部と検出器によって検出されるような特徴部の間で確立される。換言すれば、この差は、表面上に特徴部を生成するプローブ放射線の既知のパターンと、表面から戻る散乱部分において検出されるパターンの間に存在する。
【0012】
方向パラメータには、表面に対する長寸の物体の方向を決定するために用いられる任意の角度を含めることができる。1つの有用な方向パラメータは、長寸の物体の軸線(例えば中心軸)と接点での表面への法線間の傾斜角θである。このケースでは、傾斜角θは第2のオイラー角である。別の有用な方向パラメータは、長寸の物体の軸線の周りに画定されるロール角ψである。ロール角ψは第3のオイラー角であることに留意されたい。
【0013】
投光器によって生成されるプローブ放射線のパターンは、1若しくは複数の方向パラメータを決定するのに十分な表面からの散乱に関する情報を供給するように選択される。例えば、プローブ放射線のパターンは、線の集合、楕円、矩形、または多角形などの非対称パターンを形成する。円、正方形、正多角形などの特徴部の特殊な場合が含まれることが分かる。必要なパターンを生成するために、投光器は、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、反射素子及びこれらの任意の組合せなどの構造化された光学部品(structured light optic)を用いることができる。
【0014】
ある好適実施形態において、長寸の物体は、ペン、鉛筆またはスタイラスなどの筆記具である。或いは、長寸の物体は、ポインタ、棒、ロボットアーム、または、その方向パラメータのうちの1若しくは複数の情報からの利益を得るその他の長寸の物体であることができる。
【0015】
別の実施形態において、装置は、長寸の物体が平面上に位置し、方向パラメータが、物体の軸線と平面への法線間の傾斜角θなどの少なくとも1つの方向パラメータであるときに用いられるように設計される。ここでは、投光器は、長寸の物体の軸線に対して既知の角度σでプローブ放射線により平面を照明する。検出器は、長寸の物体の軸線に対して一定の散乱角度τで表面から戻る散乱部分を検出する。計時装置(timing unit)は、散乱部分の検出時間及びプローブ放射線の既知の投射時間から傾斜角θを導き出す。傾斜角θは第2のオイラー角に等しいことに留意されたい。
【0016】
この実施形態において、角度σを変えることは好ましい。このことは、あるスキャンパターンで角度σを変化させる走査装置により達成されることができる。例えば、走査装置は、x‐偏向γxを導入することによって角度σを変化させるための一軸スキャナである。或いは、走査装置は、x‐偏向γx及びy‐偏向γyを導入することによって角度σを変化させるための二軸スキャナである。二軸スキャナを使用するとき、スキャンパターンは、ラスタスキャンパターン、ラインスキャンパターン、またはリサジュー図形であることができる。
【0017】
更に別の実施形態において、投光器は、既知のパターンで平面上へプローブ放射線を投射するための構造化された光学部品を有する。適切な構造化された光学部品には、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、及び反射素子が含まれる。適切なパターンには、線グリッド、円、正方形、正多角形の特殊な場合を含む線の集合、楕円、矩形、多角形が含まれる。
【0018】
投光器は、使い勝手が良いように、検出器の上方または下方に取り付けられる。散乱角度τで散乱部分を選択するために、検出器は、散乱角度τで平面から検出器へ戻る散乱部分のみを受け入れるための狭画角受容ユニット(narrow field angle reception unit)を有する。狭画角受容ユニットは、円筒レンズ、視準レンズ、厚い開口、開口系またはスリットなどの任意の適切な要素であることができる。検出器は、光検出器アレイ、即ち感光性画素のアレイであることができる。このケースでは、装置が、散乱角度τで受容される散乱部分の重心を決定するための重心計算装置を有することも重宝である。
【0019】
ある好適実施形態において、プローブ放射線は、適切な光学部品の助けを借りて、スキャンビームに形成される。場合によっては、光学部品は、プローブ放射線を複数のスキャンビームに形成することができる。また、計時装置は長寸の物体上に取り付けられ、投光器は、単一周波数fでプローブ放射線を放射するための単一周波数エミッタを用いる。例えば、エミッタはレーザ、例えばレーザダイオードまたは垂直キャビティ面発光レーザレーザ(VCSEL)である。
【0020】
本発明の方法は、長寸の物体の先端が或る接点で表面に接触しているとき、その物体の少なくとも1つの方向パラメータを決定するために用いられることができる。この方法は、長寸の物体上の第1の視点から既知のパターン(例えば所定の特徴部をトレースアウトする非対称パターンまたはスキャンパターン)でプローブ放射線により表面を照明することを必要とする。この方法はまた、長寸の物体上の第2の視点でプローブ放射線の散乱部分を収集または検出することを必要とする。1若しくは複数の方向パラメータ、即ち第2及び第3のオイラー角θ,ψは、プローブ放射線と散乱部分の差から決定される。この方法は、表面が平面であるかまたは非平面幾何学形状を有するときに用いられることができる。
【0021】
長寸の物体が平面上で操作されているときに、傾斜角θなどの少なくとも1つの方向パラメータを決定する別の方法がある。この方法において、平面は、物体軸に対して既知の角度σでプローブ放射線によって照明され、物体に戻るプローブ放射線の散乱部分は、長寸の物体の軸線に対して既知の角度τで検出される。散乱部分の検出時間及びプローブ放射線の投射時間から少なくとも1つの方向パラメータ、例えば傾斜角θを導き出すために計時装置が用いられる。この方法において、スキャンパターン、例えば一軸または二軸スキャンパターンで角度σを変えることは好ましい。
【0022】
本発明の詳細について、図面を参照しながら詳しく述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、長寸の物体10の姿勢を表すために本明細書中で用いられているようなオイラー回転を先ずレビューすることにより最も良く理解されることになろう。姿勢には、長寸の物体10の位置及び空間的な方向が含まれる。図1Aに、非回転物体座標(X’,Y’,Z’)の原点に先端12を有する長さlの長寸の物体10を示す。物体10の軸線は、本実施形態ではC.A.で示される中心線または中心軸であるが、Z’軸と同一線上にある。軸線C.A.は、先端12及び非回転物体座標(X’,Y’,Z’)の原点を通過する。既知のパターンでプローブ放射線16を投射するための投光器14が、物体10上に取り付けられる。投光器14は、高さh1、軸線C.A.からのオフセット距離q1の、平面(X’‐Z’)中の第1の視点18から放射線16を投射する。物体10に戻るプローブ放射線16の散乱部分22を収集または検出するための検出器20が物体10上の投光器14の下に取り付けられる。検出器は、高さh2、軸線C.A.からのオフセット距離q2の、平面(Y’‐Z’)中の第2の視点24で散乱部分22を検出する。当然のことながら、一般に視点18、24は垂直平面に含まれる必要はない。
【0024】
当業者であれば、物体10の回転を説明するための多くの規約が存在することが分かるであろう。ここで選択された系においては、回転規約を可視化するように物体10は初期の直立位置から物体座標と共に回転される。検出器20は、先ず、Y’軸に整合される。
【0025】
図1Aに、Z’軸周りに回転する物体座標(X’,Y’,Z’)の第1のオイラー角φによる第1の反時計回り回転を示す。物体座標のこの回転は、Z’軸に影響しないので、1回回転(once rotated)Z’’軸は非回転Z’軸と同一線上にある(Z’’=Z’)。他方では、軸X’及びY’は第1のオイラー角だけ回転され、1回回転軸X’’及びY’’ができる。
【0026】
図1Bに、1回回転物体座標(X’’,Y’’,Z’’)に適用された第2のオイラー角θによる第2の反時計回り回転を示す。この第2の回転は、1回回転X’’軸の周りで行われるので、これはX’’軸に影響しない(X’’’=X’’)。他方では、軸Y’’及びZ’’は第2のオイラー角θだけ回転され、2回回転軸Y’’’及びZ’’’ができる。この第2の回転は、1回回転軸Y’’及び2回回転軸Y’’’、Z’’’を含む平面Πにおいて実行される。物体10の軸線C.A.は、平面Πにおいて第2のオイラー角θで反時計回り回転し、2回回転軸Z’’’と同一線上にある(共線的)ままであることに留意されたい。
【0027】
図1Cに示されるように、第3のオイラー角ψによる第3の反時計回り回転が、2回回転物体座標(X’’’,Y’’’,Z’’’)に適用される。ψによる回転は、3つのオイラー角全てによって回転される物体軸Zと既に同一線上にある2回回転軸Z’’’の周りで実行される。一方、2回回転軸X’’’及びY’’’はψによって回転され、3つのオイラー角全てによって回転される物体軸X、Yを与える。3つのオイラー角φ、θ、ψ全てによって回転される物体軸X、Y、Zは、オイラー回転物体座標(X,Y,Z)を画定する。物体10の先端12は、オイラー回転の間、全ての物体座標の原点にあることに留意されたい。物体10の軸線C.A.及び投光器14の第1の視点18を含む平面Σはここでは軸Z’及び軸Zを含む平面Πに角度(π/2)‐ψをなすことにも留意されたい。
【0028】
図2において、3つのオイラー回転全ての後、接点28で平面26に接触する先端12を有する物体10の詳細を示す。図2では、より見やすくするために、図1Cにおいて用いられているものと異なる第3のオイラー角ψ値が選択されることに留意されたい。表面26は、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)において(Xo,Yo)平面によって画定される。ワールド座標において、3つのオイラー回転前の物体軸Z’は平面(Xo,Yo)に垂直である。ここで、第2のオイラー角θは、物体Z軸を中心としたものではない物体座標の反時計回り回転のみを画定する(この第2の回転は軸Z’、Z’’、またはZ’’’よりもx’’=X’’’軸を中心としたものである)。従って、オイラー角θは、完全にオイラー回転された物体軸Z即ち軸線C.A.と、先端12の接点28で平面(Xo,Yo)に垂直である元の物体軸Z’との間の傾斜角θである。
【0029】
投光器14は、第1の視点18を有する構造化された光学部品30を有する。このケースでは、光学部品30は単レンズである。しかしながら、幾つかのレンズ及び他の光学素子を含むより複雑な光学部品を光学部品30として用いることができることを理解されたい。投光器14はまた、プローブ放射線16を生成するためのエミッタ32を有する。この実施形態においては、エミッタ32は、アクティブピクセル34を有するアクティブアレイである。はっきり分かるように、図にはアクティブピクセル34のうち数個だけを示している。適切なピクセル34を活動化することによって、アクティブアレイ32は既知の幾何学的なパターンでプローブ放射線16を生成し、プローブ放射線16が表面26を照明するとき対応する特徴部38を生成する。
【0030】
図2において、パターン36は矩形として示されている。しかし、一般には、矩形グリッド、正方形、円、点、正多角形の特殊な場合を含むグリッド、矩形、楕円、曲線、多角形などの線の集合を含む任意の対称または非対称パターンを用いることができる。投光器14によって生成されるプローブ放射線16のパターン36は、物体10の方向パラメータを導き出すのに適切な特徴部38を照明するように選択される。ここで、被選択パターンを生成するために、光学部品30は、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、反射素子及びこれらの任意の組合せなどの素子から制限なく選択されることができる。
【0031】
検出器20は、表面26からの散乱後にそこから物体10に戻るプローブ放射線16の散乱部分22を受け入れるための光学部品40を有する。本実施形態において、光学部品40は単一のレンズである。尤も、種々の光学素子が光学部品40として用いられることができることを当業者は理解されよう。検出器20はまた、光検出器42を有し、このケースでは感光性画素44の光検出器アレイを有する。分かり易くするために数画素44のみを示す。光学部品40は、プローブ放射線16の散乱部分22を光検出器アレイ42に映し出しかつ/または投射し、特徴部38の画像46または投射を得る。
【0032】
この実施形態の動作は、平面26上に位置するときに物体10の方向が特徴部38の形状に影響するという事実に基づく。一方で、物体10の姿勢の残りのパラメータ、即ち平面(X0−Z0)上の先端12の位置は、特徴部38の形状に影響しない。というのも、表面26が平面であるからである。ここで、物体10の方向を表す3つのオイラー角(φ,θ,ψ)のうち、2つのオイラー角のみがプローブ放射線16のパターン36によって生成される特徴部38の形状に影響を及ぼす。これら2つは、第2及び第3のオイラー角、即ち傾斜角及びロール角θ,ψである。
【0033】
この装置は、先端12が表面26に接触しているときに作動する。この状態は、適切な装置または技術によって、例えば先端12付近に取り付けられたセンサ(図示せず)の助けを借りて確認される。作動中に、アクティブアレイ32は、表面26を照明するプローブ放射線16を放射する。プローブ放射線16は矩形パターン36で放射され、構造化された光学部品30はプローブ放射線16を第1の視点18から表面26で中心軸C.A.に対して平面にΣおいて角度σで投射する。プローブ放射線16は、矩形パターン36で伝播し、表面26上に特徴部38を生成する。特徴部38は、光学部品30の倍率に依ってパターン36より小さいか同じサイズであるかまたは大きく、オイラー角θ,ψの関数として矩形パターン36の幾何学形状から歪められる。このことを理解するために、先ず一般的なオイラー回転の結果を見てみよう。
【0034】
物体10の先端12が表面26に接触するポイント28でのオイラー回転座標(X,Y,Z)の原点は、ワールド平面(Xo,Yo)にある。このワールド平面は、非回転物体座標(X’,Y’,Z’)の平面(X’,Y’)と同一平面上にある(共平面)ことに留意されたい。物体座標(非回転及び回転)の原点は、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)の原点から変位ベクトルDoだけ離隔しており、このときDoの長さ即ち|Do|は
である。
【0035】
ワールド平面(Xo,Yo)の原点は、目の前にある用途に便利なように選択または画定できることに留意されたい。しかし、一般には、長寸の物体10の方向の他にパラメータを画定する必要がなければ、即ち姿勢情報が必要でないときには、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)の原点及び変位ベクトルDoの情報は要求されない。
【0036】
ベクトルrが、高さh1、軸線C.A.からのオフセットq1の視点18から放射線16が平面26に投射するポイントPoまで引かれた線であるとしよう。ベクトルrは、軸線C.A.に対して角度σをなし、Σ平面、即ちオイラー回転物体座標(X,Y,Z)の平面(X−Z)にある。ベクトルrが表面26を通過することになるならば、ベクトルrは同様にΣ平面に含まれるポイントP*でオイラー回転物体座標のX軸と交差することになることに留意されたい。
【0037】
ポイントPoがパターン36の中心に対応する特徴部38の中心を画定するとしよう。表面26上の任意の点の物体座標を与えると、幾つかのステップを経て表面26上の同じ点に対してワールド座標中の位置を得ることができる。実際のところ、以下の導出は、特定のポイントPoのみならず任意の点に当てはまる。先ずは、非回転物体座標中の平面(X’,Y’)からオイラー回転物体座標中の平面(X,Y)へ座標変換する必要がある。この変換は、オイラー角において行列Rにより画定される。
【0038】
下記の行列Rを適用して非回転物体座標(X’,Y’,Z’)中の点(x’,y’,z’)の座標をオイラー回転物体座標(X,Y,Z)中の点(x,y,z)に変換する。
【0039】
オイラー回転から非回転物体座標への逆座標変換は、次のように行う。
ここで、上付き文字Tは行列Rの転置を示す。
【0040】
ポイントP*及びポイントPoを含むベクトルrに沿った同一線上の一連のポイントPsは、次のパラメータ式
によってオイラー回転物体座標において説明できることを出願人は認めている。ここでsはパラメータである。ベクトルrに沿って伝播するプローブ放射線16がワールド平面(Xo,Yo)上で、即ち(Xo,Yo,0)で衝当するポイントPoでは、パラメータsの値は
である。
【0041】
このs値を式3に代入することにより、オイラー回転物体座標中のポイントPoが求められる。ここで、式2Bからの転置行列RTを用いて、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)におけるスキャンポイントPoを求めることができる。
【0042】
ポイントPoがワールド平面(Xo,Yo)の表面26になければならないので、ワールド座標中のポイントPoのZsoの値は0でなければならないことに留意されたい。ベクトルrの長さは、第1の視点18からポイントPoへのプローブ放射線16の伝播距離を表し、以下のように決定される。
【0043】
図3では、特徴部38に関する最後の2回のオイラー回転の結果をより詳しく見ている。より見やすくするために、特徴部38の角(かど)へ伝播するプローブ放射線16の4つの線が描かれている。これらの角は、ポイントP1、P2、P3、P4と呼ばれる。ここで、式3〜5を用いて、平面(X−Y)に投射される非変形特徴部38*の幾何学形状が既知である限り最後の2回のオイラー角、即ち傾斜角及びロール角θ,ψの関数として特徴部38の変形を導き出すことができる。特徴部38*の幾何学形状は、全てのオイラー回転の前に、または少なくとも最後の2回のオイラー回転の前に経験的に決定されることができるか、または先験的(アプリオリ)に(例えばパターン36及び装置の他の定型的な光学的及び機械的性質から)決定されることができる。
【0044】
一般に、光学部品30は、1より大きいかまたは小さい倍率を有することができる。しかし、倍率に関係なく、プローブ放射線16の後方散乱部分16’(図2を参照)は特徴部38の変形に関する情報を何らもたらさないであろう。それは、後方散乱部分16’は自身が投射された視点と同じ視点即ち第1の視点18に戻るからである。このため、特徴部38は、光学部品40によって与えられる第2の視点24から検出器20により見られなければならない。従って、検出器20は、ベクトルgに沿って表面26から散乱した後に物体10に戻るプローブ放射線16の散乱部分22を検出する。散乱部分22は、中心軸 C.A.に対して散乱角度τで第2の視点24に到達する。
【0045】
視点18と24間の離隔距離Λは、
で表すことができる。
【0046】
h2を非常に小さな値に減らさない限り、即ち視点24が先端12のかなり上方に維持されるようにする限り、増加する離隔距離Λが装置の性能を向上させることに留意されたい。式7Aは図2の実施形態の場合のように視点18、24が直角になっている特殊な場合に限られることにも留意されたい。一般に、視点18、24は、式7Aが
になるように、互いに関して任意の角度αであることができる。
【0047】
特徴部38の変形は、視点24から特徴部38の変形を捕える画像46から判定される。画像46の形状はベクトルgによって決まるが、ベクトルgは、ベクトルrを計算するために上述の数学的形式を用いて計算される。これは、参照用に既知の角度σ、高さh1、h2及びオフセットq1に対してPoの座標が先ず決定された後に行われる。計算に関する追加情報は、Trucco, Emanuele, Verri, Alessandro, Introductory Techniques for 3-D Computer Vision, New York: Prentice Hall1998, ISBN 0-13-261108-2、Faugeras, Olivier D., Three-Dimensional Computer Vision: A Geometric Viewpoint, Cambridge, MA: MIT Press1993, ISBN262-06158-9 などのステレオ視(立体視)の文献に見つけられる。光学部品30が既知の画像倍率及び歪曲を有するとき、かつ画像46の実寸が既知であるとき、3次元視の分野において理解されるように、そして以下で更に説明するように、距離情報即ちベクトルs、r、gの長さは深さに基づき画像46に含まれることにも留意されたい。
【0048】
画像46から第2及び第3のオイラー角θ,ψを決定するために、検出器アレイ42は、図4のブロック図に示されるように画素44からユニット48へ画像46を読み出す。通常、検出器アレイ42上に投射される画像46は、光学部品40に因るワーピング及び光学収差によってワープ及び歪曲されて歪曲画像46’になる。従って、ユニット48に到達後、無ワーピング/無歪曲(unwarping and undistorting)モジュール50が画像46を前処理し、ワーピング及び歪曲(ディストーション)を取り除いて特徴部38の透視投影において画像46を回収する。無ワーピング/無歪曲画像46は、次に比較モジュール52によって処理され、プローブ放射線16と散乱部分22の差から少なくとも1つの方向パラメータ(このケースでは傾斜角及びロール角θ,ψ)を決定する。より正確に言えば、プローブ放射線16と散乱部分22の差は、プローブ放射線16のパターン36によって生成される特徴部38と散乱部分22によって生成される被投射特徴部38の画像46との差である。決定は、ルックアップテーブル54に格納された対応するオイラー角ペアθi,ψiで歪曲特徴部38のライブラリの助けを借りてなされる。テーブル54は、パターン36が視点18から表面26上に投射される特定の角度σに対し、物体10を回転させる前に作成されるのが好ましい。光学部品に起因する一定の歪曲を組み込むようにテーブル54を作成し、それによってモジュール50の必要性をなくすこともできることに留意されたい。
【0049】
可能なオイラー角θi,ψiの各ペアは、所与の角度値に対して、特徴部38の独特な歪曲を生成する。テーブル54において画像46と特徴部38間の一致(マッチング)が見つけられたとき、対応する値θi及びψiがデータ56として出力される。特徴部38とその画像46との比較は、アクティブアレイ32によって投射されるパターン36が非対称であるときに特に便利である。それは、非対称パターン36が、変形が各オイラー角θ,ψの組に固有であるような非対称な特徴部38を生成するからである。適切な非対称パターンには、例えば、非直交線の集合、楕円、正多角形でない多角形が含まれる。
【0050】
図5は、高さh1の第1の視点84を備えた第1の光学部品82及び高さh2の第2の視点88を備えた第2の光学部品86を有する長寸の物体80の平面Σにおける側断面図である。この実施形態においては、オフセットq1及びq2が共に0であるように視点84、88は共に物体80の中心軸C.A.上にある。物体80は、Z軸に沿った軸線C.A.及び物体軸Z’’とZ間で画定される第2のオイラー角θと共に、そのオイラー回転位置にある。物体80の先端90は、平面92に接触している。平面(X、Y)は破線で表されている。
【0051】
平面Σにおいて、表面92の元の位置と最終位置間の傾斜角ηはオイラー角θ、ψの関数である。
【0052】
ここで、表面92上の線分Γ上に向けられた第1及び第2の光学部品82、86両方を考える。線分Γは、平面Σにおける特徴部94の一部分に対応する。特徴部94は、光学部品82または86のいずれかを介してまたは長寸の物体80上または既知の遠隔位置にある第3の光学部品100(破線で示されるような)を介して表面92を照明することができる投光器98から或るパターンで伝播するプローブ放射線96によって生成される。より見やすくするために、対応する傾斜角ηと、表面26上の特徴部38及び平面(X−Y)中の非変形特徴部38*における一辺から対向する一辺までの一部分の線分Γ,Γ´とを図3の3次元図に示した。
【0053】
再び図5を参照すると、光学部品82及び86の視点84及び88から見たような線分Γの長さは、小角近似範囲内で対する角度ε1,ε2に比例する。対する角度がより大きい場合、テイラー展開を用いることができることに留意されたい。視点84、88から見た線分Γの長さは、視点84及び88からの半径方向の距離r及びgにも比例する。従って、視点84、88から見たΓ1及びΓ2で示される線分Γの長さは、
である。ここで、角度ε1,ε2は、ラジアンで表されている。
【0054】
本実施形態において、特徴部94は、軸線C.A.に対して角度σで光学部品82を介して表面92を照明する投光器98からのプローブ放射線96によって生成される。特徴部94は、光学部品86を介してプローブ放射線96の散乱部分104を収集する検出器102によって検出される。散乱部分104は、軸線C.A.に対して散乱角度τで物体80に戻る。視点84及び88はΛだけ離れているので、線分Γに対する角度ε1,ε2は一般的に光学部品82及び86で異なる。
【0055】
式9A及び9Bは、特徴部94を生成するプローブ放射線96のパターンがどこから投射されるか、どこで検出されるまたは見られるかに関係なく、線分Γ1,Γ2の長さを説明する。本実施形態において、実際の線分Γは、第2及び第3のオイラー回転の前に表面92上に投射されることになるようなその原長Γ´から変形される。対する角度ε1は不変であることに留意されたい。最後の2回のオイラー回転後に表面92上に投射される線分Γの長さは、
ここで、
であり、σは対する角度ε1の中心にある。最後の2回のオイラー回転前の線分Γ´の長さは、三角法の助けを借り、(ε1,ε2の小角近似内で)
の関係を用いて、線分Γに関して表すことができ、
が得られる。
【0056】
線分Γは、対する角度ε2で、視点88から光学部品86により観察される。散乱角度τと同様に角度ε2のこの値も、角度ηの値によって決まる。即ち、最後の2回のオイラー回転によって決まる。これらの回転前に対する角度ε2の中心での散乱角度τは、角度σに関して
で表すことができ、対する角度ε2は、
で表すことができる。
【0057】
ここで、最後の2回のオイラー回転の後、散乱角度τ及び対する角度ε2は、次式のように変わる。
【0058】
ここで、式15を式9Bに代入すると、検出器102の光学部品86を通して見られるような線分Γ2の長さが求められる。即ち、
【0059】
ベクトルgの長さは、既知の角度ηで、即ち較正のために既知の第2及び第3のオイラー角ペアに対して、r(式6を参照)と同じように計算することができる。このとき、角度ηは、既知の角度で、例えばη=0での線分Γ2と最後の2回のオイラー回転から生じる新たな角度η≠0での線分Γ2の長さの差から決定される。
【0060】
図3に立ち戻ることから明らかなように、角度ηが分かっても、最後の2回のオイラー角θ,ψの値は未だ得られない。これは、異なるオイラー角θ,ψのペアが同じ角度を生成することができるためである。例えば、破線で示されるように、第3のオイラー角ψがより大きく、角度θが同じであれば、角度の値は同じになる。従って、どのオイラー角ペアθ,ψが角度ηの決定値に関係するかを判定するために平面92上の特徴部94の2次元幾何学形状などの追加情報が必要である。とりわけ、再び図5を参照すると、正しいオイラー角ペアθ,ψを決定するために平面Σに垂直な方向に沿って特徴部94における一辺から対向する一辺までの一部分に対応する線分を視点88から、または異なる視点からでさえも観察ことができる。このため、単に表面92上に投射される特徴部94の2次元形状の変化から、決定された角度ηをどのオイラー角ペアθ,ψが生じさせているかを特徴部94の変形が示すことができるように、プローブ放射線96のパターンが非対称であることが好ましい。
【0061】
或いは、別の視点であって、線分Γを観察するため及び当該他の視点から見られるような第3の長さΓ3からの追加情報を得るための別の視点を与えることができる。さらに他の別法においては、より多くの特徴部は中心軸C.A.周りの異なる角度位置で生成されることができ、これらの特徴部は、視点88から及び/または更に他の点または視点から観察されることができる。3つの、同一線上にはなくかつ同一平面上にある点の情報が、表面、例えば表面92を画定するのに十分であるという事実に基づき、特徴部94からオイラー角θ,ψを求めるために多種多様の代替解法を用いることができることは、ステレオ視の当業者に理解されよう。これらの代替アプローチについては、Faugeras, Olivier D., Three-Dimensional Computer Vision: A. Geometric Viewpoint (op-cit.) を含むステレオ視に関する標準的な文献に見つけることができる。
【0062】
図6は、平面114に接触する先端112を有する別の長寸の物体110の等角図である。物体110はオイラー回転座標(X,Y,Z)中に示されており、ワールド平面(Xo,Yo)は平面114に対応する。例えば、物体110がポインタであれば表面114はスクリーンまたはパッドであることができ、物体110が筆記具、例えばペンまたは鉛筆であれば表面114は1枚の紙であることができ、物体110がスタイラスであれば表面114はデジタル入力装置のスクリーンであることができる。この実施形態において、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)の原点Xo,Yo,Zoは、表面114の右上隅にある。
【0063】
物体110は、プローブ放射線118により平面114を照明するための投光器として走査装置116を用いる。走査装置116は、プローブ放射線118のエミッタ120及びアーム124に取り付けられたスキャンミラー122を有する。エミッタ120は、コヒーレント源、例えばレーザダイオードまたは垂直キャビティ面発光レーザレーザ(VCSEL)であるのが好ましいが、発光ダイオード(LED)を含む非コヒーレント源も用いることができる。本実施形態において、エミッタ120は、プローブ放射線118を、周波数f、物体110の中心軸C.A.への放射角度μで放射するVCSELである。平行スキャンビーム126を形成するためにプローブ放射線118の経路に光学部品130(図7を参照)が供給される。
【0064】
スキャンミラー122は、高さh1にありかつ軸線C.A.に垂直に延在するスキャンアーム124上に取り付けられる。スキャンアーム124の長さはqである。スキャンミラー122は、軸線C.A.に対して角度σでスキャンビーム126を反射させる。実際には、スキャンミラー122は、スキャンビーム126が表面114上に投射される角度σを制御しかつ変えるために用いられる。今ここに示されているように、スキャンミラー122は不偏向位置即ち中立位置にあり、そのミラー軸M.A.は軸線C.A.に平行である。それゆえに、プローブ放射線118が中立位置においてスキャンミラー122から表面114で投射される角度である角度σは、放射角度に等しい。
【0065】
スキャンビーム126は、ベクトルrによって示される経路に沿って向けられ、表面114に衝当し、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)のワールド平面(Xo,Yo)において(xos,yos,0)でスキャンポイントPoを形成する。物体110の先端112でのオイラー回転座標(X,Y,Z)の原点は、表面114上にあり、即ちワールド平面(Xo,Yo)にもある。このワールド平面は、非回転物体座標(X’,Y’,Z’)の平面(X’,Y’)と同一平面上にあることに留意されたい。物体座標(非回転及び回転)の原点は、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)の原点から変位ベクトルDoだけ離隔している。また、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)におけるスキャンポイントPoは、非回転平面(X’,Y’)において、またはワールド平面(Xo,Yo)において、軸X’に対して角度βであるベクトルdoだけ物体座標の原点から離隔している。
【0066】
図7にもっと良く説明されているように、スキャンアーム124、スキャンミラー122、エミッタ120、光学部品130が走査装置116の全ての部品である。走査装置116は、角度σを変えることによって表面114の上方の光学部品130によってスキャンビーム126に平行にされるプローブ放射線118をスキャンする。これを達成するために、走査装置116は、XM及びYMで示される2つの軸に沿って角度σを変えるためのX‐ドライバ134及びY‐ドライバ136で構成される二軸スキャナ132を有する。スキャンミラー122は二軸スキャンミラーであり、MEMミラーであるのが好ましい。代わりに、単一の二軸スキャンミラー122に代えて2つの一軸ミラーを用いることもできる。一軸ミラー及び二軸ミラーは共に当該分野で既知である。この実施形態では走査軸線XM及びYMは直交するが、このことが必須でないことを当業者は理解するであろう。
【0067】
X‐ドライバ134は、軸XMへのミラー122のx‐偏向γxを制御することによって角度σを変える。Y‐ドライバ136は、軸YMへのミラー122のy‐偏向γyを制御することによって角度σを変える。偏向が小さい場合、角度σの変化は、角度σのx‐成分及びy‐成分即ちσx及びσyで表すことができるので、次式のように表すことができる。
【0068】
角度σのx‐成分及びy‐成分は、中立即ち不偏向位置において指標となるミラー軸M.A.に対して、またはオイラー回転物体座標において物体110の軸線C.A.に対して同等に画定されることに留意されたい。
【0069】
再び図6を参照すると、スキャンビーム126即ちベクトルrがスキャンポイントPoで表面114に衝当することに留意されたい。表面114上のワールド座標におけるスキャンポイントPoの位置を求めるために、幾つかのステップが必要である。先ずは、図1Aないし図Cで画定されるのと同じように画定される非回転物体座標からオイラー回転物体座標中の平面(X,Y)へ座標変換する必要がある。この変換は、上記したように、オイラー角において行列Rにより画定される。また、上記したように、行列Rを適用して非回転物体座標(X’,Y’,Z’)中の点(x’,y’,z’)の座標をオイラー回転物体座標(X,Y,Z)中の点(x,y,z)に変換し、行列Rの転置を用いて逆変換を行う。
【0070】
ここで、ワールド座標における表面114上のスキャンポイントPoの位置は、二軸スキャナ116によって制御される。上述の数学的形式を利用し、式からの転置行列RTを用いて、ワールド座標(Xo,Yo,Zo)におけるスキャンポイントPo、即ちPo(xos,yos,0)が求められる。
さらに、ワールド座標における先端112の絶対位置を知る必要がなく、物体110の方向だけ分かればよいのであれば、ベクトルDoの情報は必要なく、それを追加することは不要である。スキャンポイントPoはワールド平面(Xo,Yo)にあるので、ワールド座標中のポイントPoのzosの値は0でなければならないことに留意されたい。
【0071】
ベクトルrの長さは、ミラー122からスキャンポイントPoへのスキャンビーム126の伝播距離を表し、次のように決定される。
【0072】
ベクトルrの長さの情報を用いて、図6に示されるような表面114へのスキャンビーム126の入射角δを決定する。角度δは、物体座標の原点からスキャンポイントPoへのベクトルdoと、ミラー122からスキャンポイントPoへのベクトルrの間の角度である。よって、角度δを次式で表すことができる。
ここで(x,y,z)はオイラー回転物体座標におけるスキャンポイントPoの座標である。非回転物体軸X’に対するベクトルdoの角度βは、軸X’またはワールド軸Xoを用いた内積の微分法から求められる。
【0073】
平面114を照明するプローブ放射線118は、表面114の物理的特性のみならず、表面114へのプローブ放射線118の入射方向、プローブ放射線118の周波数fに基づき散乱する。双方向反射率分布関数(bidirectional reflectance distribution function:BRDF)は、プローブ放射線118の散乱部分138のスペクトル特性及び空間特性を表す。BRDFは、全ての入射及び反射方向に対する反射ラジアンスと入射線束密度の比である。入射方向は、方向余弦χ、κ、ζによって十分に表されるが、これらはベクトルrとワールド単位ベクトル
の内積から得られる。同様に、単位ベクトル
への方向余弦(図示せず)は、散乱部分138の反射方向を表す。
【0074】
多くの場合に表面114はランベルト面(完全散乱面)であるかまたはほぼランベルト面であり、BRDFはζ=0(法線入射)での最高値から連続的な減少を示す。表面114がランベルト面であってもなくても、そのBRDFは、較正のために予期される入射方向及び反射方向で測定されるべきである。最も単純な場合には、第3のオイラー角ψはπ/2または3π/2に近いかまたは等しい。これらのケースでは、BRDFは、方向余弦を計算する必要なしに、表面114に対して入射角δまたは表面法線
に対して角度δ’=(π/2)‐δで直接表される。他のオイラー角値ψでは、入射方向を十分に表すために方向余弦が用いられなければならない。
【0075】
表面114へのプローブ放射線116の散乱部分138の反応は、それゆえに、反射方向の関数として散乱部分散乱部分138の強度の変化によって表されることができる。一般的に、表面114への散乱部分138の反応には、強度の変化のみならず、偏光ベースの反応を含めることができる。
【0076】
物体110は、散乱角度τで平面114から軸線C.A.に戻るプローブ放射線118の散乱部分138を検出するための検出器140を有する。より見やすくするために、角度τで戻る散乱部分138を符号139で示している。検出器140は、走査装置116から離隔するように高さh2で取り付けられる。投光器または走査装置116は、スキャンミラー122の位置即ち高さh1、軸線C.A.からのオフセットqによって決まる第1の視点を有する。同時に、検出器140は、高さh2、軸線C.A.からのゼロオフセットで第2の視点を有する。
【0077】
検出器140は、散乱角度τで到達する散乱部分139から長寸の物体110の少なくとも1つの方向パラメータを決定するために用いられる。この実施形態において、走査装置116は、放射状パターンを用いて、軸線C.A.及び長さqのアーム124によって画定される平面において角度σをいろいろに変える。従って、時間的及び空間的にプローブ放射線118を変えるパターン即ちスキャンビーム126のスキャンパターンによって表面114上に生成される特徴部142はスキャンラインであり、或いはより正確に言えば放射状スキャンラインである。走査装置116は二軸であるが、一軸スキャンミラーを備えた一軸走査装置を用いて放射状スキャンライン142を生成することもできることに留意されたい。
【0078】
散乱角度τで戻る散乱部分139のみが考慮されることを確実にするために、検出器140は図8に示されるような狭画角受容ユニット144を有する。ユニット144は、円筒レンズ、視準レンズ、厚い開口または開口系、スリット、または、散乱角度τで到達していない散乱部分138を取り除くためのその他の適切な装置であることができる。
【0079】
検出器140は、散乱部分139を測定するための光検出器146を有する。光検出器146は、複数の画素148を有する光検出器アレイであるのが好ましい。従って、散乱部分139がアレイ146に衝当するとき、散乱部分139は、複数の画素148上に延在するスポット150を作り出す。散乱部分139のスポット150の重心152の情報を用いて、散乱部分139がより正確に散乱角度で到達していることを確認することができる。
【0080】
検出器140は高さh2で取り付けられ、ユニット144は散乱角度τで到達する散乱部分139しか受け入れないので、スキャンライン142に沿った点であって当該点から散乱部分139が光検出器146に当たるようにすることができるような点が1つ存在する。この図において、これはスキャンポイントPoである。スキャンライン142に沿った全ての他の点では、散乱角度τで到達する散乱部分139は受け入れられないことになる。というのも、この散乱部分139は検出器140の上方または下方のいずれかにユニット144から遠く離れて到達することになるからである。これは図6中にスキャンポイントPi及びPnからスキャンライン142に沿って到達する散乱部分139に対して破線で示されている。
【0081】
図9に、走査装置116を操作しかつ物体110の少なくとも1つの方向パラメータを導き出すための例示的な制御回路156のブロック図を示す。当業者は、種々の制御回路を使用可能であること、制御回路のデザインはとりわけ検出器140、光源120及び走査装置116の型に依ることを理解されよう。光源120は、パルスモードまたは連続モードでの作動ができることにも留意されたい。
【0082】
回路156は、走査装置116と、検出器140とに接続される。回路156は、検出器140に接続された増幅器158と、増幅器158に接続された増幅器アナログデジタル変換器ADC160とを有する。増幅器158は、検出器140からの信号を増幅し、増幅器158は、トランスインピーダンスアンプ、オペアンプ、または他の適切な増幅器であることができる。ADC160は、増幅器158からの増幅信号をデジタル化するために適合される。回路156は、検出器140により生成された信号に対応するデジタル信号を受信するためにADC160に接続された演算処理装置162も有する。
【0083】
演算処理装置162は、スポット150の重心152を計算するための重心計算装置164を有する。更に、ユニット156は、検出器140によって散乱部分139の検出時間から物体110の少なくとも1つの方向パラメータを導き出すための計時装置166を有する。計時装置166は、モジュール168と通信する。モジュール168には、スキャンライン142に対する角度の時間値σ(t)を表にしたルックアップテーブルが含まれる。
【0084】
このケースにおいて、角度σ(t)即ちスキャン角度はx‐偏向γxによってのみいろいろに変えられ、スキャンライン142を生成する。換言すれば、二軸スキャナ116は、X‐ドライバ134のみを用いてx‐偏向γxをいろいろに変え、一方でy‐偏向γyは0に保持される。(上記したように、このケースでは一軸スキャナを用いることもできる。)より正確に言えば、X‐ドライバ134は、x‐偏向γxを次のように周期的に変える。
ここで、ωxは角周波数であり、Aは偏向振幅である。従って、スキャン角度σ(t)の瞬間値は、式17に式21を代入して求められる。
【0085】
異なる傾斜角ηでは、スキャンライン142に沿ったポイントPoであってそこからの散乱部分139がユニット144によって検出器140に受け入れられるような当該ポイントPoの位置は異なることに注意することが重要である。結果的に、散乱部分139が検出器140によって検出されるとき、スキャン角度σ(t)の各サイクル中の検出時間tdet.は傾斜角ηの関数として異なる。従って、最後の2回のオイラー回転によって生成されかつスキャンアーム124、軸線C.A.、スキャンライン142と同じ平面に含まれる角度ηは、検出時間tdet.の関数として表にすることができる。モジュール168は、散乱部分139の検出時間tdet.をスキャン角度σ(t)=σ(tdet.)の瞬間値及び対応する角度ηにインデックス付けするのが好ましい。迅速な応答を確実にするために、モジュール168は高速アクセスメモリである。或いは、モジュール168は、ルックアップテーブルを用いるよりも検出時間tdet.及びスキャン角度σ(tdet.)の瞬間値に基づき角度ηの値を計算することができる。
【0086】
プローブ放射線118の生成を制御するために回路156のレーザパルスドライバ170がVCSEL120に接続される。コントローラ172は、回路156の動作を調整し、それを走査装置116及び検出器140により同期させる。このために、コントローラ172は、X‐ドライバ134、Y‐ドライバ136、レーザパルスドライバ170、増幅器158、ADC160、及び演算処理装置162に接続される。
【0087】
作動中に、長寸の物体110は動きを実行し、その間に先端112は表面114上にある。好適実施形態において、角度ηの値は、物体110がはっきりと感知できる量だけ変動する時間に比べて非常に短い期間の間に決定される。コントローラ172は、VCSEL120及び走査装置116の操作速度を調整することによって動作が十分に高速であることを確実にする。具体的には、コントローラ172は、レーザパルスドライバ170に、VCSEL120を一定のパルス速度で、または連続的にでさえも、駆動するように命令する。角度σ(t)が変化するのは、X‐ドライバ134がコントローラ172によってx‐偏向γxを変化させて放射状スキャンライン142を生成するように命令されるためである。プローブ放射線118のスキャンビーム126は、表面114上を通過し、プローブ放射線118の散乱部分138を生成する。上記したように、表面114上のスキャンポイントPoから戻る散乱部分139のみが(図5を参照)必要な高さ及び散乱角度τにあり、ユニット144から検出器140に受け入れられる。
【0088】
ここで、コントローラ172は、角度σ(t)が十分に高速に変化するように、即ち連続する放射状スキャンライン142が高反復率で生成されるように、走査装置116のX‐ドライバ134を操作する。例えば、物体110が、棒、ポインタなどの人間が操作する用具であるか、またはペン、鉛筆、またはスタイラスなどの筆記具であるとき、角度σ(t)は、何らかの感知できる人間の動きが起こる前に1つの完全なスキャンライン142を実行するのに十分速く変化するのが好ましい。
【0089】
スキャンライン142がスキャンポイントPoの連続する位置から構成され、当該ライン142がVCSEL120のパルシングに依り不連続または連続であることができることに留意されたい。スキャンライン142以外のパターンは、x‐偏向γx及びy‐偏向γyを変えて角度σ(t)を便利なパターンで変化させるようにX‐ドライバ134及びY‐ドライバ136に指示するコントローラ172によって生成されることができることに留意されたい。
【0090】
作動中に、検出器140は、散乱角度τで戻るプローブ放射線118の散乱部分139の強度に対応する信号を生成する。増幅器158は、この信号を、ADC160によってデジタル信号に変換するのに十分な増幅率レベルまで増幅する。コントローラ172は、この過程を監視し、必要に応じて増幅器158の増幅率を調整する。
【0091】
増幅信号は、演算処理装置162に搬送される。散乱部分139が観察されるとき、演算処理装置162は、角度σ(t)の連続スキャン中に検出時間tdet.を記録する。具体的には、重心計算装置164は、スポット150の重心152の位置から散乱角度τの正確な値を監視する。重心152が中心の画素148上に位置するときにスポット150の重心152が散乱角度に正確に対応するが、重心152が散乱角度に正確に対応するとき、当該時間は計時装置166によって検出時間tdet.として取られる。
【0092】
計時装置166によって記録される検出時間tdet.に対して、瞬間スキャン角度σ(tdet.)の正確な値を知る必要がある。この値は、X‐ドライバ134から、または好適にはスキャンミラー122の瞬間偏向を確かめるミラー監視機構(図示せず)から、得ることができる。このケースでは、計時装置166によって記録されかつモジュール168に送られる2つの検出時間ti及びtqに対して、対応する瞬間偏向σi及びσqは、ミラー監視機構から得られる。
【0093】
検出時間tdet.の関数としてのスキャン角度σ(t)のグラフを図10に示す。X‐ドライバ134によって駆動されるようなスキャン角度σ(t)の理想的な値を破線で示す。実線は、ミラー監視機構によって記録されるようなスキャン角度σ(t)の実測値を示す。再び図9を参照すると、モジュール168におけるルックアップテーブルは、傾斜角ηの値、即ち信号が検出されたスキャン角度σi及びσqに対応するηi及びηqを見つけ出すために用いられる。従って、傾斜角ηi及びηqは、計時装置166によって記録される散乱部分139の検出時間から得られる。モジュール168はルックアップテーブルを当てにするよりもむしろ検出時間、高さh1,h2、散乱角度τに基づき角度ηi及びηqの計算を行うための処理装置を有することができることに留意されたい。
【0094】
角度ηは、物体110の有用な方向パラメータを表すが、オイラー角θ,ψの一方または両方を求めるために多くの場合望ましい。これらは、追加測定により導き出される。例えば、軸線C.A.に垂直かつアーム124に垂直なアームを備えた追加走査装置を物体110上に取り付けることができる。この追加アームは、スキャンミラーを備えることができ、平面Σに垂直な平面における傾斜角ηを測定するために用いられることができる。同じ検出器140かまたは新たな走査装置のために設けられる別の検出器のいずれかを用いて、この第2の走査装置によって生成される散乱部分を求め、検出時間を測定することができる。この別の平面における角度ηの値が分かれば、オイラー角θ,ψの値を導き出すことができる。
【0095】
ある好適実施形態において、検出時間tdet.の決定が物体上(on-board)で行われるように、計時装置166は物体110上に取り付けられる。実際に、回路156全体が物体110上に取り付けられることができる。或いは、モジュール168は遠隔にあり、通信リンク(図示せず)を介して回路156の残部との通信を維持する。計時装置166からのフィードバックに応じてコントローラ172がx‐偏向γxの振幅及びDCオフセットを減少させ、それによって傾斜角の瞬間値に対応する値σ0(t)近辺を振動させるようにスキャン角度σ(t)の範囲を縮小することも好ましい。そのようなフィードバック装置は、角度の実時間追跡を可能にする。
【0096】
物体110の走査装置116の別の操作モードを図11に示す。このケースでは、X‐ドライバ134及びY‐ドライバ136は、二軸スキャンパターン142’を生成するために用いられる。従って、x‐偏向γx及びy‐偏向γyのためにスキャン角度σ(t)は変わる。スキャンパターン142’は、ラスタスキャンパターン、ラインスキャンパターン、リサジュー図形、または他の何らかのスキャンパターンであることができる。ある好適実施形態において、二軸スキャナ116は、X‐ドライバ134及びY‐ドライバ136を用いて、x‐偏向γx及びy‐偏向γyを次のように周期的に変える。
【0097】
この式において、Δはx‐偏向γxとy‐偏向γy間の位相差であり、A及びBは度で表される偏向振幅である。σ(t)の瞬間値は、式17に式23を代入して求められる。
【0098】
式24がリサジュー図形の一般的なパラメータ公式化を表し、スキャンパターン142’がそれ故にリサジュー図形であることを当業者は認識されたい。スキャンライン142とは異なり、リサジュー図形142’は平面Σに限定されないことに留意されたい。従って、物体110は、破線で示されているように平面Σにおいてのみよりは全ての方位方向(軸線C.Aに関する方向)から軸線C.A.に散乱角度τで戻る散乱部分139を受け入れる検出ユニット140’を有する。
【0099】
この実施形態において、傾斜角ηが変わると、リサジュー図形142’上の点であってそこからの散乱部分139が検出器140に受け入れられるような当該リサジュー図形142’上の点が変わる。これらの点は、自身の方位位置を変化させることに留意されたい。従って、リサジュー図形142’の使用は、傾斜角ηからオイラー角θ,ψを決定する際に用いられることができる追加の方位情報を供給する。
【0100】
平面204に接触する先端202を有する長寸の物体200の別の実施形態を図12に示す。長寸の物体200は、投光器206及び検出器208を備えている。投光器206は、第1の視点216からパターン214でプローブ放射線212により表面204を照明するための光源210を有する。投光器206は、視点216が長寸の物体200の中心軸線C.A.上にあるように物体200の上端部に取り付けられる。
【0101】
投光器206は、空間において3次元放射パターン214でプローブ放射線212を投射するための構造化された光学部品を有する。ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、反射素子を含む任意の型の光学部品を用いることができる。光学部品を構成する素子は、固定されることができるかまたは投射されるパターン214に依存して動くことができる。例えば、パターン214が経時的に変化することになっていなければ、可動部は必要ない。その一方で、パターン214が経時的に変化することになっていれば、構造化された光学部品を取り付けるために回転、旋回または傾斜型の台や他の周知の装置などの可動部が用いられることができる。本実施形態において、パターン214は非対称パターンである。
【0102】
検出器208は、第2の視点218を有し、既知の高さで物体200上に取り付けられる。検出器208は、第2の視点218へ表面204から戻るプローブ放射線212の散乱部分220を検出する。散乱部分220は、プローブ放射線212のパターン214が表面204を照明するとき生成される特徴部224の形状によって規定されるパターン222で戻る。本実施形態において、パターン214は非対称であるので非対称特徴部224を生成する。更に、この実施形態においては、3次元放射パターン214の形状は経時的に変えられない。上記した理由で、傾斜角ηの変化または同等に最後の2回のオイラー角θ,ψのいずれかの変化は、特徴部224の形状に影響し、それゆえ放射パターン222を部分的に変える。
【0103】
検出器208の部品には、図13に一層良く示されているように、第2の視点218を画定するイメージング光学部品226及び画像平面228が含まれる。光学部品226における画像の中心的なオクルージョン230及び画像平面228に落とされた対応する影232は、物体200による中心的なオブスキュレーションに起因する。複数の画素236を有する画像アレイ234は、光学部品226によって映し出されるプローブ放射線212の散乱部分220を記録するため、画像平面228に位置決めされる。
【0104】
中心軸C.A.に対して散乱角度τoで検出器208に入る散乱部分220は、円錐240の表面に沿って伝播しなければならず、円錐240の表面は、散乱角度τoを生じさせるプローブ放射線212に対する全ての可能な散乱点を画定する。円錐240と表面204の交差は表面204上の点の軌跡242を示すが、そこでは、物体200に戻りかつ散乱角度τoで検出器208に入る散乱部分220をプローブ放射線212が生成する。軌跡242は、傾斜角ηが0であるときには円形であり、そうでなければ楕円であることに留意されたい。軌跡242の任意の点から散乱角度τoで戻る散乱部分220に対応する円238は、画像平面228において画像アレイ234上に示されている。
【0105】
作動中に、パターン224は、投光器206によって表面204上に投射され、特徴部224を生成する。散乱部分220は、検出器208に戻り、アレイ234の上へ映し出される。全てのプローブ放射線212のうち、軸線C.A.に対して角度σA、σB、σCで投射されるプローブ放射線の線212A、212B、212Cは、それぞれポイントPA、PB、PCで表面204を照明する。ポイントPA、PB、PCは軌跡242の一部であるので、ポイントPA、PB、PCからの散乱部分の線220A、220B、220Cは散乱角度τoで軸線C.A.に戻り、円238上に映し出される。従って、円238は狭画角即ち散乱角度τoを画定する。
【0106】
パターン214が既知であるので、円238上の散乱部分220によって生成される点(ポイント)、具体的に言うとポイントP’A、P’B、P’Cの情報は、物体200の少なくとも1つの方向パラメータ即ち角度を決定するのに十分である。更に、角度ηは、円238上のポイントP’A、P’B、P’Cの位置に基づきオイラー角θ,ψに分解されることができる。多くの場合には、円238上の2つの異なる点はオイラー角θ,ψを決定するのに十分であることになることに留意されたい。少なくとも1つの方向パラメータの実際の決定は、画像アレイ234と通信している演算処理装置(図示せず)によって行われる。前述同様に、決定を効率的にするためにルックアップテーブル及び他の既知の技術を用いることができる。パターン214はいろいろに変わることができ、投光器206によって一度に投射されるよりもパターン214は1若しくは複数の一軸及び/または二軸スキャナまたは適切なその組合せを含む適切な走査装置によって走査されることもできることに留意されたい。この実施形態の別の変型においては、画素236の数を減らすために、画像アレイ234は、円238の円周に沿って配置された画素236しか有しないことがある。
【0107】
投光器252が検出器254の下方に取り付けられた長寸の物体250の更に別の実施形態の部分概略図を図14に示す。分かり易くするために、物体250は部分的にしか示されておらず、通常はベクトルRcによって示されている。投光器252は、第1の視点262から格子パターン260においてプローブ放射線258により表面256を照明する。投光器252は任意の適切な型のものであることができ、格子パターン260は、連続的に、周期的に、断続的に及び/または部分的にかのいずれかで投射されるか、任意の順番で、例えばラインまたはラスタスキャンでスキャンアウトされることができる。いずれにせよ、表面256上に投射されるとき、パターン260は傾斜角の関数として変形され、特徴部263が形成される。
【0108】
検出器254は、表面256上の特徴部263から第2の視点266に戻るプローブ放射線258の散乱部分264を検出する。第2の視点266は、検出器254の一部であるレンズ268によって画定される。検出器254はまた、レンズ268によって画定される画像平面272に配置される画像アレイ270を有する。プローブ放射線258と散乱部分264の差から少なくとも1つの方向パラメータを決定するためのユニット274は、画像アレイ270と通信している。
【0109】
物体250は、ペン、鉛筆、またはスタイラスなどの筆記具であることができる。ある好適実施形態において、物体250はペンであり、表面256は紙面である。
【0110】
作動中に、物体250の先端276は表面256に接触し、投光器252は表面256に格子パターン260を投射する。物体250の方向、及びさらに具体的には最後の2回のオイラー角θ,ψは、格子パターン260を特徴部263に変形させる。画像アレイ270の助けを借りて、レンズ268によって与えられる第2の視点266から特徴部263を観察することが、(上記した技術のいずれかによる)オイラー角の回収を可能にする。それに加えて、格子パターン260の使用により、表面256の幾何形状を認識することが可能になる。例えば、格子パターン260が表面256上へ投射される一方で、表面幾何形状の較正のためにオイラー角θ,ψは0である。あとで、表面幾何形状は、物体250の種々の姿勢でのオイラー角θ,ψを導き出すときに考慮される。従って、この実施形態では表面256は平面である必要がない。表面方向の決定におけるグリッドの使用に関する詳細については、Wang, Y. F., Mitiche, A., and Aggarwal, J. K., "Computation of Surface Orientation and Structure of Objects Using Grid Coding", PAMI (9), No. 1, January 1987, pp. 129-137、Shrikhande, N., and Stockman, G.C., "Surface Orientation from a Projection Grid", PAMI (11), No. 6, June 1989, pp.650-655 を参照されたい。
【0111】
投光器及び検出器の視点は互いに関連して設置されることができ、各システムは2つ以上の視点を有することができることに留意されたい。スキャニング(走査)を利用するケースと同じである。というのも、それぞれの視点を画定する別々のスキャンミラーを備えた多くのスキャンアームが用いられることができるからである。更に、検出器は、アレイよりもむしろ単一光検出器を含む任意の型の光検出器を用いることができる。
【0112】
本発明が種々の他の実施形態の余地を残していることは当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1A】長寸の物体のオイラー回転を示す図である。
【図1B】長寸の物体のオイラー回転を示す図である。
【図1C】長寸の物体のオイラー回転を示す図である。
【図2】オイラー回転姿勢がより詳細な、図1Aないし図1Cの長寸の物体を示す3次元図である。
【図3】図1Aないし図1Cの長寸の物体の最後の2回のオイラー回転を示す3次元図である。
【図4】図1Aないし図1Cの長寸の物体の傾斜角及びロール角θ,ψを回収するための操作を示すブロック図である。
【図5】Σ平面における別の長寸の物体の側断面図である。
【図6】プローブ放射線のパターンを投射するための走査装置を備えた長寸の物体の等角図である。
【図7】例示的な二軸スキャナを示す3次元図である。
【図8】図6の長寸の物体が用いる検出器の詳細図である。
【図9】図6の長寸の物体に対する傾斜角θの導出を示すブロック図である。
【図10】検出時間の関数としてのスキャン角度のグラフである。
【図11】異なる操作モードの図6の長寸の物体の等角図である。
【図12】長寸の物体の別の実施形態の等角図である。
【図13】図12に詳細に示されている長寸の物体の検出器を示す部分3次元図である。
【図14】その投光器が検出器の下に取り付けられた長寸の物体の更に別の実施形態の部分概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点で表面に接触する先端を有する長寸の物体の少なくとも1つの方向パラメータを決定するための装置であって、
a)第1の視点から所定のパターンでプローブ放射線により前記表面を照明するための前記長寸の物体上の投光器と、
b)第2の視点へ前記表面から戻る前記プローブ放射線の散乱部分を検出するための前記長寸の物体上の検出器と、
c)前記プローブ放射線と前記散乱部分の差から前記少なくとも1つの方向パラメータを決定するためのユニットとを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの方向パラメータが、前記長寸の物体の軸線と前記接点での前記表面への法線間の傾斜角θを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの方向パラメータが、前記軸線の周りのロール角ψを更に含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記表面が平面を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記所定のパターンが非対称パターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記非対称パターンが、線の集合、楕円、矩形、多角形からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記投光器が、前記所定のパターンで前記平面上へ前記プローブ放射線を投射するための構造化された光学部品を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記構造化された光学部品が、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、反射素子からなる群から選択される少なくとも1つの素子を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記長寸の物体が、筆記具、ポインタ、ロボットアーム、棒からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記筆記具が、ペン、鉛筆、スタイラスからなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
平面に接触する先端及び前記平面への法線を有する長寸の物体の少なくとも1つの方向パラメータを決定するための装置であって、
a)前記軸線に対して角度σでプローブ放射線により前記平面を照明するための前記長寸の物体上の投光器と、
b)前記軸線に対して所定の散乱角度で前記平面から戻る前記プローブ放射線の散乱部分を検出するための前記投光器から離隔した前記長寸の物体上の検出器と、
c)前記散乱部分の検出時間から前記少なくとも1つの方向パラメータを導き出すための計時装置とを含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの方向パラメータが、前記長寸の物体の軸線と前記接点での前記表面への法線間の傾斜角θを含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの方向パラメータが、前記軸線の周りのロール角ψを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
スキャンパターンにおいて前記角度σを変化させるための走査装置を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記走査装置が、x‐偏向γxを導入することによって角度σを変化させるための一軸スキャナを含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記走査装置が、x‐偏向γx及びy‐偏向γyを導入することによって角度σを変化させるための二軸スキャナを含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記走査装置が、前記角度σを変化させるための二軸スキャナを含み、前記スキャンパターンが、ラスタスキャンパターン、ラインスキャンパターン、リサジュー図形からなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記投光器が、所定のパターンで前記平面上へ前記プローブ放射線を投射するための構造化された光学部品を含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記構造化された光学部品が、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、反射素子からなる群から選択される少なくとも1つの素子であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記所定のパターンが、線の集合、楕円、矩形、多角形からなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記投光器が、前記検出器の上方に取り付けられることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項22】
前記検出器が、前記所定の散乱角度τで前記平面から戻る前記散乱部分のみを受け入れるための狭画角受容ユニットを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項23】
前記狭画角受容ユニットが、円筒レンズ、視準レンズ、厚い開口、開口系、スリットからなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記検出器が光検出器アレイを含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項25】
前記散乱部分の重心を決定するための重心計算装置を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記プローブ放射線をスキャンビームに形成するための光学部品を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項27】
前記長寸の物体が、筆記具、ポインタ、ロボットアーム、棒からなる群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項28】
前記筆記具が、ペン、鉛筆、スタイラスからなる群から選択されることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記計時装置が前記長寸の物体上に配置されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項30】
前記投光器が、単一周波数fで前記プローブ放射線を放射するための単一周波数エミッタを含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項31】
接点で表面に接触する先端を有する長寸の物体の少なくとも1つの方向パラメータを決定する方法であって、
a)前記長寸の物体上の第1の視点から所定のパターンでプローブ放射線により前記表面を照明する過程と、
b)前記長寸の物体上の第2の視点で前記表面から戻る前記プローブ放射線の散乱部分を検出する過程と、
c)前記プローブ放射線と前記散乱部分の差から前記少なくとも1つの方向パラメータを決定する過程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
前記所定のパターンがスキャンパターンであることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記所定のパターンが非対称パターンを含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの方向パラメータが少なくとも1つのオイラー角を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項35】
平面に接触する先端を有する長寸の物体の軸線と前記平面への法線間の傾斜角θを決定する方法であって、
a)前記長寸の物体上に投光器を供給する過程と、
b)前記長寸の物体上に前記投光器から離隔して検出器を供給する過程と、
c)前記投光器から前記軸線に対して角度σでプローブ放射線により前記平面を照明する過程と、
d)前記軸線に対して所定の散乱角度τで戻る前記プローブ放射線の散乱部分を前記検出器により検出する過程と、
e)前記散乱部分の検出時間から前記傾斜角θを導き出すための計時装置とを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
前記角度σがスキャンパターンにおいて変化することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記スキャンパターンが、一軸スキャンパターン及び二軸スキャンパターンの群から選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項1】
接点で表面に接触する先端を有する長寸の物体の少なくとも1つの方向パラメータを決定するための装置であって、
a)第1の視点から所定のパターンでプローブ放射線により前記表面を照明するための前記長寸の物体上の投光器と、
b)第2の視点へ前記表面から戻る前記プローブ放射線の散乱部分を検出するための前記長寸の物体上の検出器と、
c)前記プローブ放射線と前記散乱部分の差から前記少なくとも1つの方向パラメータを決定するためのユニットとを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの方向パラメータが、前記長寸の物体の軸線と前記接点での前記表面への法線間の傾斜角θを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの方向パラメータが、前記軸線の周りのロール角ψを更に含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記表面が平面を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記所定のパターンが非対称パターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記非対称パターンが、線の集合、楕円、矩形、多角形からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記投光器が、前記所定のパターンで前記平面上へ前記プローブ放射線を投射するための構造化された光学部品を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記構造化された光学部品が、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、反射素子からなる群から選択される少なくとも1つの素子を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記長寸の物体が、筆記具、ポインタ、ロボットアーム、棒からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記筆記具が、ペン、鉛筆、スタイラスからなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
平面に接触する先端及び前記平面への法線を有する長寸の物体の少なくとも1つの方向パラメータを決定するための装置であって、
a)前記軸線に対して角度σでプローブ放射線により前記平面を照明するための前記長寸の物体上の投光器と、
b)前記軸線に対して所定の散乱角度で前記平面から戻る前記プローブ放射線の散乱部分を検出するための前記投光器から離隔した前記長寸の物体上の検出器と、
c)前記散乱部分の検出時間から前記少なくとも1つの方向パラメータを導き出すための計時装置とを含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの方向パラメータが、前記長寸の物体の軸線と前記接点での前記表面への法線間の傾斜角θを含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの方向パラメータが、前記軸線の周りのロール角ψを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
スキャンパターンにおいて前記角度σを変化させるための走査装置を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記走査装置が、x‐偏向γxを導入することによって角度σを変化させるための一軸スキャナを含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記走査装置が、x‐偏向γx及びy‐偏向γyを導入することによって角度σを変化させるための二軸スキャナを含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記走査装置が、前記角度σを変化させるための二軸スキャナを含み、前記スキャンパターンが、ラスタスキャンパターン、ラインスキャンパターン、リサジュー図形からなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記投光器が、所定のパターンで前記平面上へ前記プローブ放射線を投射するための構造化された光学部品を含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記構造化された光学部品が、ホログラフィック素子、回折素子、屈折素子、反射素子からなる群から選択される少なくとも1つの素子であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記所定のパターンが、線の集合、楕円、矩形、多角形からなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記投光器が、前記検出器の上方に取り付けられることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項22】
前記検出器が、前記所定の散乱角度τで前記平面から戻る前記散乱部分のみを受け入れるための狭画角受容ユニットを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項23】
前記狭画角受容ユニットが、円筒レンズ、視準レンズ、厚い開口、開口系、スリットからなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記検出器が光検出器アレイを含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項25】
前記散乱部分の重心を決定するための重心計算装置を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記プローブ放射線をスキャンビームに形成するための光学部品を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項27】
前記長寸の物体が、筆記具、ポインタ、ロボットアーム、棒からなる群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項28】
前記筆記具が、ペン、鉛筆、スタイラスからなる群から選択されることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記計時装置が前記長寸の物体上に配置されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項30】
前記投光器が、単一周波数fで前記プローブ放射線を放射するための単一周波数エミッタを含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項31】
接点で表面に接触する先端を有する長寸の物体の少なくとも1つの方向パラメータを決定する方法であって、
a)前記長寸の物体上の第1の視点から所定のパターンでプローブ放射線により前記表面を照明する過程と、
b)前記長寸の物体上の第2の視点で前記表面から戻る前記プローブ放射線の散乱部分を検出する過程と、
c)前記プローブ放射線と前記散乱部分の差から前記少なくとも1つの方向パラメータを決定する過程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
前記所定のパターンがスキャンパターンであることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記所定のパターンが非対称パターンを含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの方向パラメータが少なくとも1つのオイラー角を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項35】
平面に接触する先端を有する長寸の物体の軸線と前記平面への法線間の傾斜角θを決定する方法であって、
a)前記長寸の物体上に投光器を供給する過程と、
b)前記長寸の物体上に前記投光器から離隔して検出器を供給する過程と、
c)前記投光器から前記軸線に対して角度σでプローブ放射線により前記平面を照明する過程と、
d)前記軸線に対して所定の散乱角度τで戻る前記プローブ放射線の散乱部分を前記検出器により検出する過程と、
e)前記散乱部分の検出時間から前記傾斜角θを導き出すための計時装置とを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
前記角度σがスキャンパターンにおいて変化することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記スキャンパターンが、一軸スキャンパターン及び二軸スキャンパターンの群から選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−523353(P2008−523353A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502826(P2007−502826)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/005047
【国際公開番号】WO2005/091837
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506213245)エレクトロニック・スクリプティング・プロダクツ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ELECTRONIC SCRIPTING PRODUCTS, INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/005047
【国際公開番号】WO2005/091837
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506213245)エレクトロニック・スクリプティング・プロダクツ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ELECTRONIC SCRIPTING PRODUCTS, INC.
【Fターム(参考)】
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