説明

関節装置及び基板搬送装置

【課題】俊敏な動作と高精度な位置制御を可能とする関節装置及び基板搬送装置を提供すること
【解決手段】本発明の関節装置は、第1の平行リンクと、第2の平行リンクと、伝達機構とを具備する。第1の平行リンクは、第1の支点を中心とする第1の回転が可能な第1のレバーと、第2の支点を中心とする第2の回転が可能な第2のレバーとを有する。第2の平行リンクは、第1の支点を中心とする第3の回転が可能な第3のレバーと、第2の支点を中心とする第4の回転が可能な第4のレバーとを有する。伝達機構は、第1の支点を中心として第1の回転と共に回転する第1のギアと、第2の支点を中心として第2の回転と共に回転する第2のギアと、第1のギア及び第2のギアに噛合して回転する第3のギアと、前記第3のギアの回転と第3の回転及び第4の回転とを同期させる連結部とを有し、第1の平行リンクの駆動と第2の平行リンクの駆動とを連動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節装置及び当該関節装置を利用した基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野等において、シリコンウェハ等の搬送対象物を処理チャンバ間等で搬送する基板搬送装置がある。基板搬送装置には、関節構造を有するアームを有し、アームが伸縮することにより搬送対象物を搬送する形態のものが存在する。このような基板搬送装置では、モータ等の駆動源によって発生された回転動力を関節の屈伸運動に変換してアームを駆動するものが一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1には、水平多関節アームを有する基板搬送ロボットが開示されている。特許文献1に記載の基板搬送ロボットは、基台に支持された一本のアームを有する。当該アームは、基台から第1のアーム、第2のアームからなり、第2のアームにはハンドが設けられた延在部が接続されている。第1のアームと第2のアーム、第2のアームと延在部は回転軸によって接続されている。第1のアームには、第1のアームを基台に対して回転させる第1の旋回駆動手段と、第2のアームを第1のアームに対して回転させる第2の旋回駆動手段が内蔵され、第2のアームには、延在部を第2のアームに対して回転させる第3の旋回駆動手段が内蔵されている。アームは、各旋回駆動手段によって屈伸し、ハンドが移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−264980号公報(段落[0044]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の基板搬送ロボットでは、関節毎に旋回駆動手段が必要となり、それらはアームに内蔵されている。このため、アームの重量が大きくならざるを得ず、アームの俊敏な移動と位置精度を両立させることは困難であると考えられる。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、俊敏な動作と高精度な位置制御を可能とする関節装置及び基板搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る関節装置は、第1の平行リンクと、第2の平行リンクと、伝達機構とを具備する。
上記第1の平行リンクは、第1の支点を中心とする第1の回転が可能な第1のレバーと、第2の支点を中心とする第2の回転が可能な、上記第1のレバーに対向する第2のレバーとを有し、上記第1の回転と上記第2の回転によって駆動される。
上記第2の平行リンクは、上記第1の支点を中心とする第3の回転が可能な第3のレバーと、上記第2の支点を中心とする第4の回転が可能な、上記第3のレバーに対向する第4のレバーとを有し、上記第3の回転と上記第4の回転によって駆動される。
上記伝達機構は、上記第1の支点に配置され上記第1の支点を中心として前記第3の回転と共に回転する第1のギアと、上記第2の支点に配置され上記第2の支点を中心として前記第4の回転と共に回転する第2のギアと、上記第1のギア及び上記第2のギアに噛合して回転する第3のギアと、上記第3のギアと上記第1のレバーと上記第2のレバーのそれぞれに連結され、上記第1の回転及び上記第2の回転と上記第3のギアをの回転とを同期させる連結部とを有し、上記第1の平行リンクの駆動と上記第2の平行リンクの駆動とを連動させる。
【0008】
本発明の別の形態に係る関節装置は、第1の平行リンクと、第2の平行リンクと、伝達機構とを具備する。
上記第1の平行リンクは、第1の支点を中心とする第1の回転が可能な第1のレバーと、第2の支点を中心とする第2の回転が可能な、上記第1のレバーに対向する第2のレバーとを有し、上記第1の回転と上記第2の回転によって駆動される。
上記第2の平行リンクは、上記第1の支点を中心とする第3の回転が可能な第3のレバーと、上記第2の支点を中心とする第4の回転が可能な、上記第3のレバーに対向する第4のレバーとを有し、上記第3の回転と上記第4の回転によって駆動される。
上記伝達機構は、上記第1の支点に配置され上記第1の支点を中心として上記第1の回転と共に回転する第1のギアと、上記第2の支点に配置され上記第2の支点を中心として上記第2の回転と共に回転する第2のギアと、上記第1のギア及び上記第2のギアに噛合して回転する第3のギアと、上記第3のギアと上記第3のレバーと上記第4のレバーのそれぞれに連結され、上記第3のギアの回転と上記第3の回転及び上記第4の回転とを同期させる連結部とを有し、上記第1の平行リンクの駆動と上記第2の平行リンクの駆動とを連動させる。
【0009】
本発明の一形態に係る基板搬送装置は、関節装置と、駆動機構と、保持機構とを具備する。
上記駆動機構は、上記第1の平行リンクに接続され、上記第1の平行リンクを駆動する。
上記保持機構は、上記第2の平行リンクに接続され、基板を保持する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る基板搬送装置を示す斜視図である。
【図2】同基板搬送装置を示す斜視図である。
【図3】同基板搬送装置の駆動機構の構造を示す分解斜視図である。
【図4】同基板搬送装置の駆動機構の構造を示す断面図である。
【図5】同基板搬送装置の関節機構の構造を示す模式図である。
【図6】同基板搬送装置の伝達機構の構造を示す断面図である。
【図7】同基板搬送装置の関節機構の動作の様子を示す模式図である。
【図8】第2の実施形態に係る基板搬送装置の関節機構の構造を示す模式図である。
【図9】同基板搬送装置の伝達機構の構造を示す断面図である。
【図10】同基板搬送装置の関節機構の動作の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る関節装置は、第1の平行リンクと、第2の平行リンクと、伝達機構とを具備する。
上記第1の平行リンクは、第1の支点を中心とする第1の回転が可能な第1のレバーと、第2の支点を中心とする第2の回転が可能な、上記第1のレバーに対向する第2のレバーとを有し、上記第1の回転と上記第2の回転によって駆動される。
上記第2の平行リンクは、上記第1の支点を中心とする第3の回転が可能な第3のレバーと、上記第2の支点を中心とする第4の回転が可能な、上記第3のレバーに対向する第4のレバーとを有し、上記第3の回転と上記第4の回転によって駆動される。
上記伝達機構は、上記第1の支点に配置され上記第1の支点を中心として前記第3の回転と共に回転する第1のギアと、上記第2の支点に配置され上記第2の支点を中心として前記第4の回転と共に回転する第2のギアと、上記第1のギア及び上記第2のギアに噛合して回転する第3のギアと、上記第3のギアと上記第1のレバーと上記第2のレバーのそれぞれに連結され、上記第1の回転及び上記第2の回転と上記第3のギアの回転とを同期させる連結部とを有し、上記第1の平行リンクの駆動と上記第2の平行リンクの駆動とを連動させる。
【0012】
第1の平行リンクが駆動されると、第1のレバーの第1の回転及び第2のレバーの第2の回転が連結部によって第3のギアに伝達され、第3のギアが回転する。第3のギアの回転によって、第3のギアに噛合している第1のギア及び第2のギアが回転する。これにより第1のギアと共に第3のレバーが第3の回転をし、第2のギアと共に第4のレバーが第4の回転をする。即ち、この構成によれば、第1の平行リンクと第2の平行リンクが伝達機構によって連動するため、高い位置精度を得ることが可能となる。さらに、関節部に第2の平行リンクを駆動するための駆動機構が必要ではないため軽量化を図ることができ、俊敏な動作をさせることが可能である。
【0013】
前記連結部は、前記第1のレバー及び前記第2のレバーにそれぞれ回転可能に支持された第6のレバーと、前記第6のレバーに回転可能に支持され前記第3のギアの回転と共に回転する第5のレバーとを有してもよい。
【0014】
この構成によれば、第1のレバー及び第2のレバーの回転が第6のレバー及び第5のレバーを介して第3のギアに伝達される。即ち、第1の平行リンクと第2の平行リンクを連動させることが可能となる。
【0015】
本発明の別の実施形態に係る関節装置は、第1の平行リンクと、第2の平行リンクと、伝達機構とを具備する。
上記第1の平行リンクは、第1の支点を中心とする第1の回転が可能な第1のレバーと、第2の支点を中心とする第2の回転が可能な、上記第1のレバーに対向する第2のレバーとを有し、上記第1の回転と上記第2の回転によって駆動される。
上記第2の平行リンクは、上記第1の支点を中心とする第3の回転が可能な第3のレバーと、上記第2の支点を中心とする第4の回転が可能な、上記第3のレバーに対向する第4のレバーとを有し、上記第3の回転と上記第4の回転によって駆動される。
上記伝達機構は、上記第1の支点に配置され上記第1の支点を中心として上記第1の回転と共に回転する第1のギアと、上記第2の支点に配置され上記第2の支点を中心として上記第2の回転と共に回転する第2のギアと、上記第1のギア及び上記第2のギアに噛合して回転する第3のギアと、上記第3のギアと上記第3のレバーと上記第4のレバーのそれぞれに連結され、上記第3のギアの回転と上記第3の回転及び上記第4の回転とを同期させる連結部とを有し、上記第1の平行リンクの駆動と上記第2の平行リンクの駆動とを連動させる。
【0016】
第1の平行リンクが駆動されると、第1のレバーの第1の回転と共に第1のギアが回転し、第2のレバーの第2の回転と共に第2のギアが回転する。これらの回転によって、第1のギア及び第2のギアに噛合する第3のギアが回転する。第3のギアの回転は連結部によって第3のレバー及び第4のレバーに伝達され、第3のレバーが第3の回転をし、第4のレバーが第4の回転をする。即ち、この構成によれば、第1の平行リンクと第2の平行リンクが伝達機構によって連動するため、高い位置精度を得ることが可能となる。さらに、関節部に第2の平行リンクを駆動するための駆動機構が必要ではないため軽量化を図ることができ、俊敏な動作をさせることが可能である。
【0017】
前記連結部は、前記第3のレバー及び前記第4のレバーにそれぞれ回転可能に支持された第6のレバーと、前記第6のレバーに回転可能に支持され前記第3のギアの回転と共に回転する第5のレバーとを有してもよい。
【0018】
この構成によれば、第3のギアの回転が第5のレバー及び第6のレバーを介して第3のレバー及び第4のレバーに伝達される。即ち、第1の平行リンクと第2の平行リンクを連動させることが可能となる。
【0019】
前記第3のギアは、前記第1の支点と前記第2の支点の間の点を中心としてもよい。
【0020】
この構成によれば、第1のギア及び第2のギアは第3のギアと対向する位置で噛合するため、第1のギアと第2のギアによって第3のギアを挟持することが可能であり、バックラッシュ(歯面間の隙間)を低減し、関節装置の位置精度を向上させることが可能である。
【0021】
本発明の別の実施形態に係る基板搬送装置は、関節装置と、駆動機構と、保持機構とを具備する。
上記駆動機構は、上記第1の平行リンクに接続され、上記第1の平行リンクを駆動する。
上記保持機構は、上記第2の平行リンクに接続され、基板を保持する。
【0022】
駆動機構によって第1の平行リンクが駆動されると伝達機構によって第2の平行リンクが連動され、保持機構が移動する。よって、この構成によれば、基板搬送を高い位置精度で俊敏に行うことが可能となる
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。本実施形態の基板搬送装置は、真空中又は大気中で半導体基板やガラス基板等を複数の真空処理室間で搬送するためのものである。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板搬送装置1を示す斜視図である。
図2は、図1の反対側から視た基板搬送装置1を示す斜視図である。
同図に示すように、基板搬送装置1は、2つのアームユニット(第1のアームユニット2a及び第2のアームユニット2b)と基部20とを有する。第1のアームユニット2a及び第2のアームユニット2bは基部20に支持されている。なお、アームユニットの数は2つに限られず、例えば1つでもよい。
【0025】
第1のアームユニット2aは、第1の駆動機構3a、第1の関節機構4a及び第1の保持機構21aを有する。第1の駆動機構3aによって第1の関節機構4aが駆動され、第1の関節機構4aに支持された第1の保持機構21aが移動する。これにより第1の保持機構21aに保持された基板が搬送される。
【0026】
第2のアームユニット2bは、第2の駆動機構3b、第2の関節機構4b及び第2の保持機構21bを有する。第2の駆動機構3bによって第2の関節機構4bが駆動され、第2の関節機構4bに支持された第2の保持機構21bが移動する。これにより第2の保持機構21bに保持された基板が搬送される。
【0027】
基部20は、筐体22及びマウントフランジ23を有する。筐体22には、第1の駆動機構3a及び第2の駆動機構3bが収容されている。マウントフランジ23は、筐体22に設けられ、基板搬送装置1を真空チャンバ等に載置する際に用いられる。マウントフランジ23は、例えば、真空チャンバの底面に形成された孔に基部20が挿通されると当該底面に係合して締結等され、これにより基板搬送装置1が当該底面に固定される。
【0028】
図3は、駆動ユニット3の構造を示す分解斜視図である。
図4は、駆動ユニット3の構造を示す断面図である。
【0029】
駆動ユニット3は、第1の関節機構4a及び第2の関節機構4bをそれぞれ伸縮及び旋回させる第1の駆動機構3a及び第2の駆動機構3bを含む。駆動ユニット3は、ケース30、3基の回転動力源(第1の回転動力源31、第2の回転動力源32、第3の回転動力源33)、3本のシャフト(第1のシャフト34、第2のシャフト35、第3のシャフト36)を有する。さらに、駆動ユニット3は2つの駆動ギア(第1の駆動ギア37、第2の駆動ギア38)、4つの従動ギア(第1の従動ギア39、第2の従動ギア40、第3の従動ギア41、第4の従動ギア42)、4本の支軸(第1の支軸43、第2の支軸44、第3の支軸45、第4の支軸46)を有する。
【0030】
第1の回転動力源31は、第1の関節機構4aを駆動するための回転動力を生成する。第1の回転動力源31は、例えばモータであり、第1のシャフト34にベルト等によって接続されている。第2の回転動力源32は、第2の関節機構4bを駆動するための回転動力を生成する。第2の回転動力源32は、例えばモータであり、第2のシャフト35にベルト等によって接続されている。第3の回転動力源33は、第1の関節機構4a及び第2の関節機構4bを旋回させるための回転動力を生成する。第3の回転動力源33は、例えばモータであり、第3のシャフト36にベルト等によって接続されている。
【0031】
ケース30は第3の回転動力源33によって回転され、第1の関節機構4a及び第2の関節機構4bを旋回させる。ケース30は、ケース胴部30a及びケース蓋部30bが接合されて形成されている。ケース胴部30aには第3のシャフト36が接続されている。ケース蓋部30bには、第1の関節機構4a及び第2の関節機構4bが接続されている。ケース30には、第1の駆動ギア37、第2の駆動ギア38、第1の従動ギア39、第2の従動ギア40、第3の従動ギア41及び第4の従動ギア42が収容されている。
【0032】
第1のシャフト34は、第1の回転動力源31によって生成された回転動力を第1の駆動ギア37に伝達する。第1のシャフト34は中空の第2のシャフト35の内部に、第2のシャフト35と同軸に配置され、第2の駆動ギア38を貫通して第1の駆動ギア37に接続されている。第1のシャフト34は、第1のシャフト34と第2のシャフト35の間に設けられたベアリング47によって回転可能に支持されている。
【0033】
第2のシャフト35は、第2の回転動力源32によって生成された回転動力を第2の駆動ギア38に伝達する。第2のシャフト35は中空の第3のシャフト36の内部に、第3のシャフト36と同軸に配置され、第2の駆動ギア38に接続されている。第2のシャフト35は、第2のシャフト35と第3のシャフト36の間に設けられたベアリング48によって回転可能に支持されている。
【0034】
第3のシャフト36は、第3の回転動力源33によって生成された回転動力をケース30に伝達する。第3のシャフト36はケース30に接続されている。第3のシャフト36は、基部20に回転可能に支持されている。
【0035】
第1の駆動ギア37は、中心部に第1のシャフト34が接続され、第2の駆動ギア38と回転中心が同軸となるように配置されている。第1の駆動ギア37は、第1の従動ギア39及び第2の従動ギア40に噛合している。これにより、第1の駆動ギア37は、第1のシャフト34によって回転され、第1の従動ギア39及び第2の従動ギア40を回転させる。
【0036】
第2の駆動ギア38は、中心部に第2のシャフト35が接続され、第3の従動ギア41及び第4の従動ギア42に噛合している。これにより、第2の駆動ギア38は、第2のシャフト35によって回転され、第3の従動ギア41及び第4の従動ギア42を回転させる。
【0037】
第1の従動ギア39は、第1の駆動ギア37に噛合し、中心部に第1の支軸43が接続されている。第1の従動ギア39は、第1の駆動ギア37によって回転されることで、第1の支軸43を回転させる。第2の従動ギア40は、第1の駆動ギア37に噛合し、中心部に第2の支軸44が接続されている。第2の従動ギア40は、第1の駆動ギア37によって回転されることで、第2の支軸44を回転させる。
【0038】
第3の従動ギア41は、第2の駆動ギア38に噛合し、中心部に第3の支軸45が接続されている。第3の従動ギア41は、第2の駆動ギア38によって回転されることで、第3の支軸45を回転させる。第4の従動ギア42は、第2の駆動ギア38に噛合し、中心部に第4の支軸46が接続されている。第4の従動ギア42は、第2の駆動ギア38によって回転されることで、第4の支軸46を回転させる。
【0039】
第1の従動ギア39と第2の従動ギア40は同一の直径及びピッチを有する。これにより、第1の従動ギア39と第2の従動ギア40は第1の駆動ギア37によって同一の角度で回転される。また、第3の従動ギア41と第4の従動ギア42は同一の直径及びピッチを有する。これにより、第3の従動ギア41と第4の従動ギア42は第2の駆動ギア38によって同一の角度で回転される。
【0040】
第1の支軸43は、第1の従動ギア39によって回転され、第1の関節機構4aの第1のレバー8を支持する。第1の支軸43は、第1の従動ギア39に接続され、ベアリング91によってケース蓋部30bに回転可能に支持されている。第2の支軸44は、第2の従動ギア40によって回転され、第1の関節機構4aの第2のレバー9を支持する。第2の支軸44は、第2の従動ギア40に接続され、ベアリング92によってケース蓋部30bに回転可能に支持されている。
【0041】
第3の支軸45は、第3の従動ギア41によって回転され、第2の関節機構4bの第1のレバー8を支持する。第3の支軸45は、第3の従動ギア41に接続され、ベアリング93によってケース蓋部30bに回転可能に支持されている。第4の支軸46は、第4の従動ギア42によって回転され、第2の関節機構の第2のレバー9を支持する。第4の支軸46は、第4の従動ギア42に接続され、ベアリング94によってケース蓋部30bに回転可能に支持されている。
【0042】
ここで、第1のアームユニット2aについて着目すると、第1の回転動力源31において生成された回転動力は、第1のシャフト34を介して第1の駆動ギア37を回転させる。これにより、第1の駆動ギア37に噛合する第1の従動ギア39及び第2の従動ギア40が回転し、それぞれに接続された第1の支軸43及び第2の支軸44により第1の関節機構4aの第1のレバー8及び第2のレバー9が回転される。また、第1の関節機構4aは、第3の回転動力源33において生成され、第3のシャフト36を介してケース30に伝達された回転動力により第3のシャフト36のまわりに旋回する。
【0043】
即ち、第1の駆動機構3aは、第1の回転動力源31、第1のシャフト34、第1の駆動ギア37、第1の従動ギア39、第2の従動ギア40、第1の支軸43、第2の支軸44、第3の回転動力源33、第3のシャフト36、ケース30等で構成される。
【0044】
また、第2のアームユニット2bについて着目すると、第2の回転動力源32において生成された回転動力は、第2のシャフト35を介して第2の駆動ギア38を回転させる。これにより、第2の駆動ギア38に噛合する第3の従動ギア41及び第4の従動ギア42が回転し、それぞれに接続された第3の支軸45及び第4の支軸46により第2の関節機構4bの第1のレバー8及び第2のレバー9が回転される。また、第2の関節機構4bは、第3の回転動力源33において生成され、第3のシャフト36を介してケース30に伝達された回転動力により第3のシャフト36のまわりに旋回する。
【0045】
即ち、第2の駆動機構3bは、第2の回転動力源32、第2のシャフト35、第2の駆動ギア38、第3の従動ギア41、第4の従動ギア42、第3の支軸45、第4の支軸46、第3の回転動力源33、第3のシャフト36、ケース30等で構成される。
【0046】
駆動ユニット3は以上のように構成される。駆動ユニットの構成はここに示すものに限られず、例えば第1のシャフト、第2のシャフト及び第3のシャフトは同軸上に配置されていなくてもよい。また、駆動ユニットは、第1の関節機構4a及び第2の関節機構4bを昇降させることが可能に構成されていてもよい。
【0047】
第1の関節機構4aについて説明する。
図5は、第1の関節機構4aの構造を示す模式図である。
第1の関節機構4aは、第1の平行リンク5、第2の平行リンク6及び伝達機構7を有する。第1の平行リンク5及び第2の平行リンク6は連結され、伝達機構7によって連動される。
【0048】
第1の平行リンク5は、第1のレバー8、第2のレバー9及び第7のレバー18を有する。第1のレバー8の一端は第1の支軸43に固定され、他端は第7のレバー18の第5の支軸71に回転可能に支持されている。第2のレバー9の一端は第2の支軸44に固定され、他端は第7のレバー18の第6の支軸72に回転可能に支持されている。
【0049】
第1の支軸43の中心と第5の支軸71の中心の間の距離は、第2の支軸44の中心と第6の支軸72の中心の間の距離と同一となるように形成されている。第5の支軸71の中心と第6の支軸72の中心の間の距離は、第1の支軸43の中心と第2の支軸44の中心の間の距離と同一に形成されている。
【0050】
これにより、第1のレバー8、第2のレバー9、第7のレバー18及びケース30によって平行四辺形型のリンク機構(平行リンク機構)が形成されている。第1の平行リンク5において、第1のレバー8が第5の支軸71に支持されている点が第1の支点、第2のレバー9が第6の支軸72に支持されている点が第2の支点に相当する。
【0051】
第2の平行リンク6は、第3のレバー10、第4のレバー11及び第7のレバー18を有する。第3のレバー10の一端は第5の支軸71に固定され、他端は第1の保持機構21aの支持部85に設けられた第8の支軸73に回転可能に支持されている。第4のレバー11の一端は第6の支軸72固定され、他端は支持部85に設けれた第9の支軸74に回転可能に支持されている。
【0052】
第5の支軸71の中心と第8の支軸73の中心の間の距離は、第6の支軸72の中心と第9の支軸74の中心の間の距離と同一となるように形成されている。第5の支軸71の中心と第6の支軸72の中心の間の距離は、第8の支軸73の中心と第9の支軸74の中心の間の距離と同一となるように形成されている。
【0053】
これにより、第3のレバー10、第4のレバー11、第7のレバー18及び支持部85によって平行リンク機構が形成されている。第2の平行リンク6において、第3のレバー10が第5の支軸71に固定されている点が第1の支点、第4のレバー11が第6の支軸72に固定されている点が第2の支点に相当する。
【0054】
なお、本実施形態では、第1のレバー8及び第2のレバー9の長さと、第3のレバー10及び第4のレバー11の長さは同一とされるが、異なってもよい。
【0055】
図6は、伝達機構7の構成を示す断面図である。
伝達機構7は、第2の平行リンク6を第1の平行リンク5に連動させる。伝達機構7は第7のレバー18、第1のギア75、第2のギア76、第3のギア77、第5の支軸71、第6の支軸72、第7の支軸78及び連結部79を有する。
【0056】
第7のレバー18は、第1の平行リンク5及び第2の平行リンク6のそれぞれの一辺を構成する。第7のレバー18は、第5の支軸71をベアリング95によって回転可能に支持し、第6の支軸72をベアリング96によって回転可能に支持する。また第7のレバー18は、第5の支軸71と第6の支軸72の間で第7の支軸78をベアリング97によって回転可能に支持する。なお、第7のレバー18は、第5の支軸71と第6の支軸72の間の距離が、第1の支軸43と第2の支軸44の間の距離と同一となるような配置で第5の支軸71と第6の支軸72を支持する。
【0057】
第5の支軸71の一端には第1のギア75が第5の支軸71を中心として固定され、他端には第3のレバー10が固定されている。これにより、第1のギア75と第3のレバー10の回転が同期される。また、第5の支軸71には、第1のレバー8がベアリング98を介して回転可能に支持されている。
【0058】
第6の支軸72の一端には第2のギア76が第6の支軸72を中心として固定され、他端には第4のレバー11が固定されている。これにより、第2のギア76と第4のレバー11の回転が同期される。また、第6の支軸72には、第2のレバー9がベアリング99を介して回転可能に支持されている。
【0059】
第7の支軸78の一端には第3のギア77が第7の支軸78を中心として固定され、他端には第5のレバー16が固定されている。これにより、第3のギア77と第5のレバー16の回転が同期される。
【0060】
第1のギア75は第5の支軸71に固定され、第3のギア77に噛合する。よって第1のギア75は第5の支軸71と第3のギア77の間で回転を伝達する。第2のギア76は第6の支軸72に固定され、第3のギア77に噛合する。よって第2のギア76は第6の支軸72と第3のギア77の間で回転を伝達する。第3のギア77は第7の支軸78に固定され、第1のギア75及び第2のギア76に噛合する。よって、第3のギア77は第7の支軸78と第1のギア75及び第2のギア76の間で回転を伝達する。
【0061】
第1のギア75、第2のギア76及び第3のギア77は同一の直径及びピッチを有するものとし、第3のギア77の中心は第1のギア75と第2のギア76のそれぞれの中心を結ぶ線分の中点に位置する。即ち、第1のギア75、第2のギア76及び第3のギア77は直線状に配置される。
【0062】
次に、連結部79について説明する。図2及び図5に示すように、連結部79は第5のレバー16と第6のレバー17を有する。第6のレバー17は第1のレバー8と第2のレバー9の間に配置され、第5のレバー16は第6のレバー17と第3のギア77を接続している。
【0063】
第6のレバー17は、一端が第10の支軸81によって第1のレバー8に回転可能に支持され、他端が第11の支軸82によって第2のレバー9に回転可能に支持されている。第6のレバー17は、第10の支軸81の中心と第11の支軸82の中心を結ぶ線分が第5の支軸71の中心と第6の支軸72の中心を結ぶ線分と平行になるように配置されている。また、第6のレバー17は、第10の支軸81の中心と第11の支軸82の中心の間の距離が第5の支軸71の中心と第6の支軸72の中心の間の距離と同一となるように形成されている。第10の支軸81と第11の支軸82のそれぞれの中心を結ぶ線分の中点には、第12の支軸83が設けられている。
【0064】
第5のレバー16は、一端が第12の支軸83に回転可能に支持され、他端が第7の支軸78に固定されている。第12の支軸83の中心と第7の支軸78の中心を結ぶ線分は、第1の支軸43の中心と第5の支軸71の中心を結ぶ線分及び第2の支軸44の中心と第6の支軸72の中心を結ぶ線分と平行とされる。
【0065】
第1の関節機構4aは以上のように構成される。第2の関節機構4bは、第1の関節機構4aと同様の構成を有するので、ここでは説明を省略する。
【0066】
第1の保持機構21aについて説明する。
図1及び図2に示すように、第1の保持機構21aは、第1の関節機構4aに接続され、搬送対象物である基板を保持する。第1の保持機構21aは、基板保持部84と支持部85を有する。支持部85は第3のレバー10および第4のレバー11に接続されている。基板保持部84と支持部85とは同一の部材で構成されてもよいし、別の部材で構成されてもよい。
【0067】
基板保持部84は、載置された基板を摩擦力により保持する。なお、基板保持部84は、真空チャック、静電チャックあるいは機械的把持等により基板を保持する機構を備えてもよい。
【0068】
支持部85は、第8の支軸73と第9の支軸74を有する。第8の支軸73は第3のレバー10を回転可能に支持し、第9の支軸74は第4のレバー11を回転可能に支持する。第8の支軸73と第9の支軸74は、第8の支軸73の中心と第9の支軸74の中心とを結ぶ線分が第5の支軸71の中心と第6の支軸72の中心とを結ぶ線分と平行となるように配置される。また、支持部85は、第8の支軸73の中心と第9の支軸74の中心の間の距離と、第5の支軸71の中心と第6の支軸72の中心の間の距離が等しくなるような配置で第8の支軸73と第9の支軸74を支持する。
【0069】
第1の保持機構21aは以上のように構成される。第2の保持機構21bは、第1の保持機構21aと同様の構成を有するので、ここでは説明を省略する。なお、第1の保持機構21aと第2の保持機構21bは、それぞれの関節機構の駆動による衝突を防止するために関節機構に対して上下反対側に設けられている。
【0070】
以上のように構成された基板搬送装置1の動作について説明する。
【0071】
第1の回転動力源31によって第1のアームユニット2aが駆動され、第2の回転動力源32によって第2のアームユニット2bが駆動される。また、第3の回転動力源33によって第1のアームユニット2a及び第2のアームユニット2bが旋回される。
【0072】
第1の回転動力源31が回転動力を生成すると、回転動力が第1のシャフト34を介して第1の駆動ギア37に伝達され、第1の駆動ギア37を回転させる。これにより、第1の駆動ギア37に噛合している第1の従動ギア39及び第2の従動ギア40が、同一の角度回転する。第1の従動ギア39の回転により、第1の従動ギア39に第1の支軸43を介して接続されている、第1のアームユニット2aの第1のレバー8が回転する。同時に、第2の従動ギア40の回転により、第2の従動ギア40に第2の支軸44を介して接続されている、第1のアームユニット2aの第2のレバー9が回転する。このようにして、第1のアームユニット2aの第1の平行リンク5が駆動される。
【0073】
第2の回転動力源32が回転動力を生成すると、回転動力が第2のシャフト35を介して第2の駆動ギア38に伝達され、第2の駆動ギア38を回転させる。これにより、第2の駆動ギア38に噛合している第3の従動ギア41及び第4の従動ギア42が、同一の角度回転する。第3の従動ギア41の回転により、第3の従動ギア41に第3の支軸45を介して接続されている、第2のアームユニット2bの第1のレバー8が回転する。同時に、第4の従動ギア42の回転により、第4の従動ギア42に第4の支軸46を介して接続されている、第2のアームユニット2bの第2のレバー9が回転する。このようにして、第2のアームユニット2bの第1の平行リンク5が駆動される。
【0074】
第3の回転動力源33が回転動力を生成すると、回転動力が第3のシャフト36を介してケース30に伝達され、ケース30を回転させる。これにより、ケース30に接続されている第1のアームユニット2a及び第2のアームユニット2bが旋回する。なお、第3の回転動力源33と第1の回転動力源31及び第2の回転動力源32を同時に回転させ、各回転動力源の回転角度を同一とすることで、第1のアームユニット2a及び第2のアームユニット2bを伸縮させることなく、旋回のみをさせることが可能である。
【0075】
以下、第1の回転動力源31によって駆動される第1の関節機構4aの動作について説明する。
図7は、第1の関節機構4aの動作を示す模式図である。
図7(A)は第1の関節機構4aが縮んでいる状態を示し、図7(B)は第1の関節機構4aが伸びている状態を示す。
【0076】
図7(A)に示す、第1の関節機構4aが縮んでいる状態において、第1の支軸43及び第2の支軸44に反時計回りの回転動力が供給されると、第1のレバー8は第1の支軸43の回りに、第2のレバー9は第2の支軸44の回りに、反時計回りに回転する。第1のレバー8は第5の支軸71に回転可能に支持されているため、第5の支軸71(第1の支点)を中心として、反時計回りに回転(第1の回転)する。第2のレバー9は第6の支軸72に回転可能に支持されているため、第6の支軸72(第2の支点)を中心として反時計回りに回転(第2の回転)する。
【0077】
第6のレバー17は、第1のレバー8に第10の支軸81によって、第2のレバー9に第11の支軸82によってそれぞれ回転可能に支持されているため、第10の支軸81及び第11の支軸82を中心として反時計回りに回転する。第5のレバー16は、第6のレバー17に第12の支軸83によって回転可能に支持されているため、第12の支軸83を中心として反時計回りに回転する。これにより、第6のレバー17に接続されている第3のギア77が、第7の支軸78を中心として反時計回りに回転する。
【0078】
第3のギア77が回転されると、第3のギア77に噛合する第1のギア75が第5の支軸71を中心として時計回りに回転し、第2のギア76が第6の支軸72を中心として時計回りに回転する。第1のギア75の回転は、第5の支軸71を介して第3のレバー10に伝達され、第3のレバー10を第5の支軸71(第1の支点)を中心として時計回りに回転(第3の回転)させる。第2のギア76の回転は、第6の支軸72を介して第4のレバー11に伝達され、第4のレバー11を第6の支軸72(第2の支点)を中心として時計回りに回転(第4の回転)させる。
【0079】
このようにして、第2の平行リンク6が伝達機構7によって第1の平行リンク5に連動され、第1の関節機構4aが図7(B)に示す伸びた状態に至る。第1の関節機構4aを図7(B)に示す伸びた状態から図7(A)に示す縮んだ状態にする場合は、第1のレバー8と第2のレバー9に供給する回転動力の回転方向を逆転させる。即ち、第1の支軸43及び第2の支軸44に時計回りの回転動力を供給する。
【0080】
第1の関節機構4aは以上のように駆動される。第2の関節機構4bも、第1の関節機構4aと同様に駆動させることが可能である。また、第3の回転動力源33によってケース30が回転されることにより、第1の関節機構4a及び第2の関節機構4bは基部20に対して旋回する。これにより、第1の関節機構4aに設けられた第1の保持機構21a及び第2の関節機構4bに設けられた第2の保持機構21bが基部20に対して移動し、基板を搬送することが可能となる。
【0081】
基板搬送装置1では、上述のように、基部20に設けられた駆動ユニット3によって、第1の平行リンク5と共に、第2の平行リンク6が積極的に駆動され、高い位置精度を得ることが可能となる。さらに、関節部に第2の平行リンク6を駆動するための駆動機構が必要ではないため軽量化を図ることができ、俊敏な伸縮動作をさせることが可能である。
【0082】
また、第1のギア75と第2のギア76を第3のギア77の対向する位置で噛合するように配置することにより、第1のギア75と第2のギア76によって第3のギア77を挟持することができる。これにより、バックラッシュ(歯面間の隙間)を低減し、位置精度を向上させることが可能である。なお第1のギア75と第2のギア76を第3のギア77に対して一定の付勢力で挟圧してもよい。これにより、バックラッシュの更なる低減を図ることができる。
【0083】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る基板搬送装置100について説明する。
第1の実施形態に係る基板搬送装置1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
基板搬送装置100は、第1の実施形態に係る基板搬送装置1と、第1の関節機構及び第2の関節機構の構成が異なる。
基板搬送装置100は、第1の関節機構104a及び第2の関節機構104bを有する。
【0084】
第1の関節機構104aについて説明する。
図8は、第1の関節機構104aの構造を示す模式図である。
第1の関節機構104aは、第1の平行リンク105、第2の平行リンク106及び伝達機構107を有する。第1の平行リンク105及び第2の平行リンク106は連結され、伝達機構107によって連動される。
【0085】
第1の平行リンク105は、第1のレバー108、第2のレバー109及び第7のレバー118を有する。第1のレバー108の一端は第1の支軸43に固定され、他端は第7のレバー118の第5の支軸171に固定されている。第2のレバー109の一端は第2の支軸44に固定され、他端は第7のレバー118の第6の支軸172に固定されている。
【0086】
第1の支軸43の中心と第5の支軸171の中心の間の距離は、第2の支軸44の中心と第6の支軸172の中心の間の距離と同一となるように形成されている。第5の支軸171の中心と第6の支軸172の中心の間の距離は、第1の支軸43の中心と第2の支軸44の中心の間の距離と同一となるように形成されている。
【0087】
これにより、第1のレバー108、第2のレバー109、第7のレバー118及びケース30によって平行四辺形型のリンク機構(平行リンク機構)が形成されている。第1の平行リンク105において、第1のレバー108が第5の支軸171に固定されている点が第1の支点、第2のレバー109が第6の支軸172に固定されている点が第2の支点に相当する。
【0088】
第2の平行リンク106は、第3のレバー110、第4のレバー111及び第7のレバー118を有する。第3のレバー110の一端は第5の支軸171に回転可能に支持され、他端は第1の保持機構21aの支持部85に設けられた第8の支軸73に回転可能に支持されている。第4のレバー111の一端は第6の支軸172に回転可能に支持され、他端は支持部85に設けれた第9の支軸74に回転可能に支持されている。
【0089】
第5の支軸171の中心と第8の支軸73の中心の間の距離は、第6の支軸172の中心と第9の支軸74の中心の間の距離と同一となるように形成されている。第5の支軸171の中心と第6の支軸172の中心の間の距離は、第8の支軸73の中心と第9の支軸74の中心の間の距離と同一となるように形成されている。
【0090】
これにより、第3のレバー110、第4のレバー111、第7のレバー118及び支持部85によって、平行リンク機構が形成されている。第2の平行リンク106において、第3のレバー110が第5の支軸171に支持されている点が第1の支点、第4のレバー111が第6の支軸172に支持されている点が第2の支点に相当する。
【0091】
なお、本実施形態では、第1のレバー108及び第2のレバー109の長さと、第3のレバー110及び第4のレバー111の長さは同一とされるが、異なってもよい。
【0092】
図9は、伝達機構107の構成を示す断面図である。
伝達機構107は、第2の平行リンク106を第1の平行リンク105に連動させる。伝達機構107は第7のレバー118、第1のギア175、第2のギア176、第3のギア177、第5の支軸171、第6の支軸172、第7の支軸178及び連結部179を有する。
【0093】
第7のレバー118は、第1の平行リンク105及び第2の平行リンク106のそれぞれの一辺を構成する。第7のレバー118は、第5の支軸171をベアリング195によって回転可能に支持し、第6の支軸172をベアリング196によって回転可能に支持する。また第7のレバー118は、第5の支軸171と第6の支軸172の間で第7の支軸178をベアリング197によって回転可能に支持する。なお、第7のレバー118は、第5の支軸171と第6の支軸172の間の距離が、第1の支軸43と第2の支軸44の間の距離と同一となるような配置で第5の支軸171と第6の支軸172を支持する。
【0094】
第5の支軸171の一端には第1のギア175が第5の支軸171を中心として固定され、他端には第1のレバー108が固定されている。これにより、第1のギア175と第1のレバー108の回転が同期される。また、第5の支軸171には、第3のレバー110がベアリング198を介して回転可能に支持されている。
【0095】
第6の支軸172の一端には第2のギア176が第6の支軸172を中心として固定され、他端には第2のレバー109が固定されている。これにより、第2のギア176と第2のレバー109の回転が同期される。また、第6の支軸172には、第4のレバー111がベアリング199を介して回転可能に支持されている。
【0096】
第7の支軸178の一端には第3のギア177が第7の支軸178を中心として固定され、他端には第5のレバー116が固定されている。これにより、第3のギア177と第5のレバー116の回転が同期される。
【0097】
第1のギア175は第5の支軸171に固定され、第3のギア177に噛合する。よって第1のギア175は第5の支軸171と第3のギア177の間で回転を伝達する。第2のギア176は第6の支軸172に固定され、第3のギア177に噛合する。よって第2のギア176は第6の支軸172と第3のギア177の間で回転を伝達する。第3のギア177は第7の支軸178に固定され、第1のギア175及び第2のギア176に噛合する。よって、第3のギア177は第7の支軸178と第1のギア175及び第2のギア176の間で回転を伝達する。
【0098】
第1のギア175、第2のギア176及び第3のギア177は同一の直径及びピッチを有するものとし、第3のギア177の中心は第1のギア175と第2のギア176のそれぞれの中心を結ぶ線分の中点に位置する。即ち、第1のギア175、第2のギア176及び第3のギア177は直線状に配置される。
【0099】
次に、連結部179について説明する。図8に示すように、連結部179は第5のレバー116と第6のレバー117を有する。第6のレバー117は第3のレバー110と第4のレバー111の間に配置され、第5のレバー116は第6のレバー117と第3のギア177を接続している。
【0100】
第6のレバー117は、一端が第10の支軸181によって第3のレバー110に回転可能に支持され、他端が第11の支軸182によって第4のレバー111に回転可能に支持されている。第6のレバー117は、第10の支軸181の中心と第11の支軸182の中心を結ぶ線分が第5の支軸171の中心と第6の支軸172の中心を結ぶ線分と平行になるように配置されている。また、第6のレバー117は、第10の支軸181の中心と第11の支軸182の中心の間の距離が第5の支軸171の中心と第6の支軸172の中心の間の距離と同一となるように形成されている。第10の支軸181と第11の支軸182のそれぞれの中心を結ぶ線分の中点には、第12の支軸183が設けられている。
【0101】
第5のレバー116は、一端が第12の支軸183に回転可能に支持され、他端が第7の支軸178に固定されている。第12の支軸183の中心と第7の支軸178の中心を結ぶ線分は、第8の支軸73の中心と第5の支軸171の中心を結ぶ線分及び第9の支軸74の中心と第6の支軸172の中心を結ぶ線分と平行とされる。
【0102】
第1の関節機構104aは以上のように構成される。第2の関節機構104bは、第1の関節機構104aと同様の構成を有するので、ここでは説明を省略する。
【0103】
以下、第1の回転動力源31によって駆動される第1の関節機構104aの動作について説明する。
図10は、第1の関節機構104aの動作を示す模式図である。
図10(A)は第1の関節機構104aが縮んでいる状態を示し、図10(B)は第1の関節機構104aが伸びている状態を示す。
【0104】
図10(A)に示す、第1の関節機構104aが縮んでいる状態において、第1の支軸43及び第2の支軸44に反時計回りの回転動力が供給されると、第1のレバー108は第1の支軸43の回りに、第2のレバー109は第2の支軸44の回りに、反時計回りに回転する。第1のレバー108は第5の支軸171に固定されているため、第1のギア175と共に第5の支軸171(第1の支点)を中心として、反時計回りに回転(第1の回転)する。第2のレバー109は第6の支軸172に固定されているため、第2のギア176と共に第6の支軸172(第2の支点)を中心として反時計回りに回転(第2の回転)する。
【0105】
第1のギア175及び第2のギア176が反時計回りに回転すると、第1のギア175及び第2のギア176に噛合する第3のギア177が時計回りに回転される。第3のギア177の回転は第7の支軸178を介して第5のレバー116に伝達され、第5のレバー116を第7の支軸178を中心として時計回りに回転させる。第6のレバー117は第12の支軸183によって第5のレバー116に回転可能に支持されているため、第12の支軸183を中心として時計回りに回転される。第3のレバー110は第10の支軸181によって、第4のレバー111は第11の支軸182によってそれぞれ回転可能に支持されている。このため、第3のレバー110は第10の支軸181を中心として時計回りに回転(第3の回転)され、第4のレバー111は第11の支軸182を中心として時計回りに回転(第4の回転)される。
【0106】
このようにして、第2の平行リンク106が伝達機構107によって第1の平行リンク105に連動され、第1の関節機構104aが図10(B)に示す伸びた状態に至る。第1の関節機構104aを図10(B)に示す伸びた状態から図10(A)に示す縮んだ状態にする場合は、第1のレバー108と第2のレバー109に供給する回転動力の回転方向を逆転させる。即ち、第1の支軸43及び第2の支軸44に時計回りの回転動力を供給する。
【0107】
第1の関節機構104aは以上のように駆動される。第2の関節機構104bも、第1の関節機構104aと同様に駆動させることが可能である。また、第3の回転動力源33によってケース30が回転されることにより、第1の関節機構104a及び第2の関節機構104bは基部20に対して旋回する。これにより、第1の関節機構104aに設けられた第1の保持機構21a及び第2の関節機構104bに設けられた第2の保持機構21bが基部20に対して移動し、基板を搬送することが可能となる。
【0108】
基板搬送装置100では、上述のように、基部20に設けられた駆動ユニット3によって、第1の平行リンク105と共に、第2の平行リンク106が積極的に駆動され、高い位置精度を得ることが可能となる。さらに、関節部に第2の平行リンク106を駆動するための駆動機構が必要ではないため軽量化を図ることができ、俊敏な伸縮動作をさせることが可能である。
【0109】
また、第1のギア175と第2のギア176を第3のギア177の対向する位置で噛合するように配置することにより、第1のギア175と第2のギア176によって第3のギア177を挟持することができる。これにより、バックラッシュ(歯面間の隙間)を低減し、位置精度を向上させることが可能である。なお第1のギア175と第2のギア176を第3のギア177に対して一定の付勢力で挟圧してもよい。これにより、バックラッシュの更なる低減を図ることができる。
【0110】
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更され得る。
【0111】
上述した各実施形態に係る基板搬送装置は2つのアームユニットを有するものとしたがこれに限られず、1つあるいはより多数のアームユニットを有するものとすることも可能である。
【0112】
上述した各実施形態に係る基板搬送装置は、1つのアームユニットにつき、第1の平行リンクと第2の平行リンクの関節である1つの関節を有するものとしたが、これに限られない。本発明はより多くの関節を有するアームユニットに適用することも可能である。この場合、各関節に上述したような伝達機構を配置することが可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 基板搬送装置
3a 第1の駆動機構
3b 第2の駆動機構
4a 第1の関節機構
4b 第2の関節機構
5 第1の平行リンク
6 第2の平行リンク
7 伝達機構
8 第1のレバー
9 第2のレバー
10 第3のレバー
11 第4のレバー
16 第5のレバー
17 第6のレバー
75 第1のギア
76 第2のギア
77 第3のギア
79 連結部
21a 第1の保持機構
21b 第2の保持機構
100 基板搬送装置
104a 第1の関節機構
104b 第2の関節機構
105 第1の平行リンク
106 第2の平行リンク
107 伝達機構
108 第1のレバー
109 第2のレバー
110 第3のレバー
111 第4のレバー
116 第5のレバー
117 第6のレバー
175 第1のギア
176 第2のギア
177 第3のギア
179 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の支点を中心とする第1の回転が可能な第1のレバーと、第2の支点を中心とする第2の回転が可能な、前記第1のレバーに対向する第2のレバーとを有し、前記第1の回転と前記第2の回転によって駆動される第1の平行リンクと、
前記第1の支点を中心とする第3の回転が可能な第3のレバーと、前記第2の支点を中心とする第4の回転が可能な、前記第3のレバーに対向する第4のレバーとを有し、前記第3の回転と前記第4の回転によって駆動される第2の平行リンクと、
前記第1の支点に配置され前記第1の支点を中心として前記第3の回転と共に回転する第1のギアと、前記第2の支点に配置され前記第2の支点を中心として前記第4の回転と共に回転する第2のギアと、前記第1のギア及び前記第2のギアに噛合して回転する第3のギアと、前記第3のギアと前記第1のレバーと前記第2のレバーのそれぞれに連結され、前記第1の回転及び前記第2の回転と前記第3のギアの回転とを同期させる連結部とを有し、前記第1の平行リンクの駆動と前記第2の平行リンクの駆動とを連動させる伝達機構と
を具備する関節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の関節装置であって、
前記連結部は、前記第1のレバー及び前記第2のレバーにそれぞれ回転可能に支持された第6のレバーと、前記第6のレバーに回転可能に支持され前記第3のギアの回転と共に回転する第5のレバーとを有する
関節装置。
【請求項3】
第1の支点を中心とする第1の回転が可能な第1のレバーと、第2の支点を中心とする第2の回転が可能な、前記第1のレバーに対向する第2のレバーとを有し、前記第1の回転と前記第2の回転によって駆動される第1の平行リンクと、
前記第1の支点を中心とする第3の回転が可能な第3のレバーと、前記第2の支点を中心とする第4の回転が可能な、前記第3のレバーに対向する第4のレバーとを有し、前記第3の回転と前記第4の回転によって駆動される第2の平行リンクと、
前記第1の支点に配置され前記第1の支点を中心として前記第1の回転と共に回転する第1のギアと、前記第2の支点に配置され前記第2の支点を中心として前記第2の回転と共に回転する第2のギアと、前記第1のギア及び前記第2のギアに噛合して回転する第3のギアと、前記第3のギアと前記第3のレバーと前記第4のレバーのそれぞれに連結され、前記第3のギアの回転と前記第3の回転及び前記第4の回転とを同期させる連結部とを有し、前記第1の平行リンクの駆動と前記第2の平行リンクの駆動とを連動させる伝達機構と
を具備する関節装置。
【請求項4】
請求項3に記載の関節装置であって、
前記連結部は、前記第3のレバー及び前記第4のレバーにそれぞれ回転可能に支持された第6のレバーと、前記第6のレバーに回転可能に支持され前記第3のギアの回転と共に回転する第5のレバーとを有する
関節装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の関節装置であって、
前記第3のギアは、前記第1の支点と前記第2の支点の間の点を中心とする
関節装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の関節装置と、
前記第1の平行リンクに接続され、前記第1の平行リンクを駆動する駆動機構と、
前記第2の平行リンクに接続され、基板を保持する保持機構と
を具備する基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−189422(P2011−189422A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55334(P2010−55334)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】