除去可能なフィルムを使用したレリーフ画像の製造
本発明は、再使用可能なフィルムを用いて、レリーフ画像を有する物品を形成する方法に関する。先ず、画像形成されたフィルムを形成するために、少なくともマスク基体と画像形成性材料とを含む画像形成性フィルムを画像形成用輻射線に像様露光させる。該画像形成されたフィルムをその後、フレキソグラフィ印刷版先駆体のような画像形成性物品に転写する。得られた集成体を、硬化輻射線に露光させ、画像形成性物品上で感光性材料の露光された領域と露光されなかった領域とを生成させる。硬化輻射線に露光させた後、画像形成されたフィルムを画像形成性物品から除去する。そして、画像形成性物品を、好適な現像剤で現像してレリーフ画像を形成させる。その後、画像形成されたフィルムを再使用して、さらにレリーフ画像を有する物品を形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さらにレリーフ画像を有する物品を形成するために再使用することができる除去可能なフィルムを使用して、レリーフ画像を有する物品を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフィック技術において、数多くのレリーフ画像形成方法が知られている。感光性ポリマーの表面上にレーザー・アブレート可能なマスク層(又はいわゆる「一体マスク」)を含む感光性物品を、写真ネガ又は他の別個のマスキング装置を使用することなしに、レリーフ画像を有する物品にすることができる。これらの感光性物品は、まず、露光された領域内のマスク層を選択的に除去するために、(一般にはコンピューター制御下で赤外線レーザーからの)レーザー輻射線による像様露光を感光性物品に施し、次いで、マスキングされていない領域内の感光性層を硬化するために化学線による全体露光を施すことにより、レリーフ画像に作り変えられる。次いで、マスク層の残留領域及び感光性層の未硬化部分は、1つ又は2つ以上の液体現像プロセスによって除去される。一体マスク層を有するフレキソグラフィ物品の例が、米国特許第5,262,275号明細書(Fan)、同第5,703,310号明細書(Van Zoeren)、同第5,719,009号明細書(Fan)、同第6,020,108号明細書(Goffing他)、及び同第6,037,102号明細書(Loerzer他)に記載されている。米国特許第6,759,175号明細書(Daems他)には、一体マスクに画像を形成し、そしてUV感光性材料を硬化する前に、UV感光性材料上に一体マスクを形成するために接着剤を使用することにより、アブレート可能なマスク層をUV感光性材料にラミネートする方法が報告されている。
【0003】
レーザー・アブレート可能なマスク層を有する要素は、レーザーによる直接像様露光を可能にし、そして別個のマスキング装置を必要とはしないが、マスクを形成するための画像形成時間が極めて長い。それというのも赤外線に対する感光性が、既知の一体マスク・システムの場合低いからである。感度は一般には、約1 J/cm2以上であり、そしてより典型的には約3 J/cm2である。
【0004】
近年、熱可燃性高分子バインダー及び特定の脂肪族ジエステルを使用することにより、アブレート可能なマスク層の赤外線感光性を改善するために、米国特許第6,521,390号明細書(Leinenbach他)に報告されているような試みが為されている。より高い感光性、及びこのようなものとして、より短い露光時間を達成することはできるものの、この構造の場合、露光前に除去しなければならないカバーシートに対して、アブレート可能なマスク層の望ましくない付着が生じる。米国特許第6,599,679号明細書(Philipp他)のC1及びC2、表2を参照されたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一体マスク構造の場合には、より高い感光性を達成するのは難しい。それというのも、レーザー・アブレート可能な層は、広範囲に変化する多数の品質基準を満たさなければならないからである。米国特許第6,599,679号明細書、第2欄、第1〜29行を参照されたい。アブレート可能な層内にポリエーテル-ポリウレタン・バインダーを使用することが、米国特許第6,599,679号明細書に報告されているが、しかし、画像形成速度の向上はわずかなものである(表2において報告された例1〜3;比較例C6参照)。
【0006】
さらに、フレキソグラフィ印刷版を製造するための一体マスク・アプローチは、一体マスク・フレキソグラフィ物品を画像形成するために特異的に構成された高出力のレーザーを備えた画像形成装置、例えばEsko-Graphics (ジョージア州Kennesaw)製のCYREL Digital Imager (CDI SPARK)、及びCreo (ブリティッシュコロンビア州Burnaby)製のThermoFlexの使用を必要とする。特定の印刷用途に応じてフレキソグラフィ印刷版の厚さを変える必要があるので、一体マスク・フレキソグラフィ物品には、2つ以上の画像形成装置が必要となることがある。これとは対照的に、「コンピューターツープレート(computer to plate」の平版印刷用途(例えばCreoのTRENDSETTER)、及びデジタル・プルーフィング用途(例えばECRMのDESERTCAT 88)のためのコンベンショナルな画像形成装置を本発明において使用することができる。
【0007】
画像形成性材料上にレリーフ画像を生成するためのアナログ法も知られている。典型的なアナログ法において、非付着性マスクが、多くのプロセスのうちの1つ、例えばハロゲン化銀乳剤を介して形成される。マスクは次いで、露光のための感光性材料上に置かれる。これらのマスクは感光性材料に付着しないので、露光工程中に滑る傾向がある。感光性材料に輻射線が当てられている間、マスクが滑らないようにするために、露光工程は真空中で行われる。真空は、感光性材料にマスクを引き付け、ひいては、マスクと感光性材料との間に閉じ込められ得るあらゆるスペース又はエアポケットを排除し、こうして、マスクと感光性材料との間の光学的接触を可能にする。光学的接触が達成されない場合、露光工程における光は、これがエアポケットに達すると散乱し、その結果、マスク上の所期画像を正確には表さないレリーフ画像をもたらすおそれがある。真空はまた、露光工程中におけるマスクの滑りを防止する。アナログ印刷法のこの特徴は、「真空ドローダウン」として広く知られている。少なくとも1つの形態において、本発明の方法は、真空ドローダウン工程が必要とされないように、硬化工程中に画像形成性物品に付着する画像形成されたフィルムを利用する点で、アナログ法とは異なっている。他方において、画像形成されたフィルムはまた、画像形成性物品からこれを除去して再使用し得るという特徴をも有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様の場合、本発明の方法は、画像形成されたフィルムを形成するために、画像形成性材料を含有する画像形成性フィルムを、画像形成用輻射線に像様露光させ、感光性材料及びリリース層を含む画像形成性物品に、画像形成されたフィルムをラミネートし、画像形成性物品を、画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当て、画像形成されたフィルムが再使用可能となるように、画像形成性物品から画像形成されたフィルムを除去し、そしてレリーフ画像を形成するために画像形成性物品を現像する各工程を含む。
【0009】
リリース層は、画像形成性物品を硬化用輻射線に当てた後に画像形成されたフィルムを除去することを容易にする。印刷版前駆体の商業的態様はしばしば、感光性材料上に塗布されたリリース層を含む。
【0010】
別の態様において、本発明は、画像形成されたフィルムを再使用する方法を含む。この態様はさらに、画像形成されたフィルムを第2の画像形成性物品にラミネートし、第2の画像形成性物品を、画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当て、画像形成されたフィルムが再使用可能となるように、第2の画像形成性物品から画像形成されたフィルムを除去し、そして、レリーフ画像を形成するために画像形成性物品を現像する各工程を含む。これらの工程は、追加の画像形成性物品で繰り返すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法を用いることによって、厚いフレキソグラフィ物品のドラム系画像形成システムにおける(亀裂形成、指紋付着などの傾向と関連する)取り扱い、取り付け、及び回転に関連する問題を回避することができる。例えば、画像形成性物品が厚いフレキソグラフィ印刷版前駆体である場合、画像形成されたフィルムをフレキソグラフィ前駆体に転写した後、フレキソグラフィ前駆体をほぼ平らなままの状態で硬化させることができる。
【0012】
本発明のさらに別の利点は、画像形成されたフィルムを画像形成性物品に転写する前に画像形成されたフィルム及びマスク画像を試験できることである。このことは、レリーフ画像が生成される前にマスク画像が「プルーフ」され補正されるのを可能にする。画像形成性物品は典型的には、マスク画像を形成するのに使用される画像形成性フィルムよりも著しく高価なので、レリーフ画像の生成においてコスト節減を実現することができる。このことは、画像形成性物品がフレキソグラフィ前駆体である場合に特に当てはまる。
【0013】
本発明により提供される方法は、レリーフ画像を形成する一体マスク法と比較して有利である。例えば、このマスク画像は、画像形成感光性が著しく高いことにより、一体マスク物品が画像形成される場合よりも著しく短時間で形成することができる。本発明のいくつかの態様の場合、例えば、このマスクの画像形成に必要となるのは、一体マスクの場合1.7〜2.0 J/cm2であるのに対して約0.5 J/cm2にすぎない。米国特許第6,599,679号明細書(Philipp他)の表2で報告された例1〜3を参照されたい。加えて、一体マスクが未硬化感光性材料とともに現像され、従って再使用不能であるのに対して、本発明のマスク画像は再使用することができる。
【0014】
本発明によりマスク画像を形成する際により高い画像形成感光性が達成されることにより、以前より知られている一体マスク画像形成システムに必要とされるレーザーほどには強力でないレーザーで済むという事実により、妥当なスループットにおいて、より低コストの画像形成装置の使用が可能になる。本発明の実施において使用される画像形成装置は、特殊化されたフレキソグラフィ画像形成装置よりもコストが低く、また広範囲に採用されるので、本発明は、より多くの商業的環境においてフレキソグラフィ印刷版の製造を可能にする。印刷版及びプルーフィングのための商業的に利用可能なコンピューターツープレート(CTP)装置を使用することにより、フレキソグラフィ印刷版、平版印刷版用プルーフィング・フィルム、又はCTP平版印刷版を製造するための(本発明による)マスク画像を形成するために、同じ画像形成装置を使用することが可能になる。
【0015】
種々の感光性材料及び用途との組み合わせにおいて、転写可能なマスクを使用することができるので、転写可能なマスクも製造のフレキシビリティを提供する。必要に応じて、商業的に入手可能な感光性材料との組み合わせにおいて、転写可能なマスクを使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の方法の工程、及びこの方法において使用される構成部分を以下にさらに説明する。
【0017】
I. 画像形成用輻射線による画像形成性フィルムの像様露光
この方法の1つの工程は、画像形成性フィルムに画像形成用輻射線による像様露光を施し、その結果、レリーフ画像を形成するために続いて使用される画像形成されたフィルムをもたらすことを含む。画像形成性フィルムに画像形成用輻射線による像様露光を施す工程は、画像形成性材料の露光された領域と未露光領域とを生成する。次いで、画像形成性材料の露光された領域は、種々様々な画像形成メカニズムを介してフィルムから除去することができる。画像形成されたフィルムを形成するには、種々様々な画像形成用メカニズムが適している。画像形成されたフィルムを形成するために選択される画像形成用メカニズムのタイプは、下で論じるように、画像形成性フィルムの可能な変化を決定することになる。
【0018】
A. 画像形成性フィルム
画像形成性フィルムは、少なくとも、マスク基体と画像形成性材料とを含む。画像形成性材料は一般に、1つ又は2つ以上の層の比較的均一な塗膜として、マスク基体上に配置される。画像形成性フィルムは任意選択的に、1つ又は2つ以上の追加の層、例えば下塗り層又はアブレート可能な層を含むことができる。
【0019】
図2Aに示された1つの態様の場合、画像形成性フィルムは、マスク基体20上に配置された下塗り層18と、下塗り層18上に配置された画像形成性材料16とを含む。
【0020】
図2Bに示された別の態様の場合、画像形成性フィルムは、マスク基体26上に配置されたアブレート可能な層24と、アブレート可能な層24上に配置された画像形成性材料22とを含む。
【0021】
さらに別の態様の場合、画像形成性フィルムは、マスク基体34上に配置された下塗り層32と、下塗り層32上に配置されたアブレート可能な層30と、アブレート可能な層30上に配置された画像形成性材料28とを含む。
【0022】
画像形成性フィルムに、通常は走査赤外線レーザー源からの画像形成用輻射線による露光を施す場合、輻射線は、画像形成性材料中のエネルギー吸収剤、及びもし画像形成性フィルム内に含まれているのであればアブレート可能な層内のエネルギー吸収剤によって吸収される。このことは、画像形成用輻射線に当てられた領域内で、マスク基体から画像形成性材料を転写させる。この方法は、米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)に概要が示されている。この明細書引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる。画像形成用輻射線による露光に続いて、マスク基体上に残っている画像形成されたフィルムの画像形成性材料及び他の層をまとめてマスク画像と呼ぶ。例えば、1つの態様の場合、マスク画像は、アブレート可能な層、マスク基体上に残っている画像形成性材料を意味する。マスク画像とマスク基体との組み合わせは、画像形成されたフィルムと呼ばれる。マスク画像を形成するプロセスは、米国特許出願第11/081,018号明細書(引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる)にも記載されている。
【0023】
マスク基体、画像形成性材料、及び任意の層について以下にさらに説明する。
【0024】
1. マスク基体
画像形成性フィルムのマスク基体は任意の好適な基体であってよい。好適な基体は、例えばプラスチック・シート及びフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレート、フルオレンポリエステルポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、及びこれらのコポリマー、及び加水分解型及び非加水分解型酢酸セルロースを含む。
【0025】
マスク基体は、硬化用輻射線に対して十分に透明であるべきである。マスク基体が画像形成用輻射線に対して十分に透明であることが望ましい場合がある(必ず必要というわけではない)。いくつかの態様の場合、マスク基体は透明高分子フィルムであってよい。一般に採用されるマスク基体の一例は、ポリエチレンテレフタレート・シートである。典型的にはポリエチレンテレフタレート・シートの厚さは、約20 μm〜200 μmである。商業的に入手可能なポリエチレンテレフタレート・シートの一例は、DuPont Teijin Films(Hopewell, Virginia)によって、MELINEX、例えばMELINEX 574の名称で販売されている。
【0026】
必要な場合には、マスク基体は、その湿潤性及び後続の層に対する付着力を改質するように表面処理することができる。このような表面処理は、コロナ放電処理を含む。
【0027】
マスク基体は、静電防止塗膜を含むこともできる。静電防止塗膜は、マスク基体のいずれの側にも塗布することができ、或いは、多層マスク基体の層間に配置することができる。散逸性塗膜としても知られる静電防止塗膜は、金属化フィルムと同様に、マスク基体に静電散逸を提供する。商業的に入手可能な静電防止塗膜の1つの例は、CZ Inks(ミズーリ州St. Louis)から入手可能なCLEARSTAT静電塗膜である。他の好適な静電防止塗膜が当業者に知られている。
【0028】
2. 下塗り層
画像形成性フィルムは、マスク基体上に配置された、付着促進体としても知られる下塗り層、又は耐引掻き性硬質塗膜又は硬化型ゼラチン層を含有することができる。下塗り層は、ラミネーション後に光学的接触を提供し、そして、画像形成中に画像形成性材料が除去された領域において、感光性材料からマスク画像を除去するのを助ける。従って、好適な下塗り層は、画像形成用輻射線に当てられたときに画像形成性材料とともに画像形成用輻射線によって除去されることはない。好適な下塗り層は、例えば約90℃を上回る高いガラス転移温度(Tg)を有する。下塗り層のための好適な成分は、アクリレート、例えばヒダントインヘキサアクリレートを含む。これらの下塗り成分は溶剤とともに適用し、次いで架橋を誘発させるためにUV又は熱で硬化させることができる。
【0029】
下塗り層は好適なマスク基体上に予め塗布することができる。例えば、下塗り層を塗布されたマスク基体は、Courtaulds Performance Films (バージニア州Martinsville)から商業的に入手可能であり、「下塗り型PET」と呼ばれることがある。
【0030】
典型的には、下塗り層はマスク基体上に、厚さ0.1〜2.0ミクロンまで塗布される。
【0031】
3. アブレート可能な層
画像形成性フィルムは、マスク基体と画像形成性材料との間に配置されたアブレーション可能な層を含有してよい。アブレート可能な層は、画像形成法が例えばアブレーション・メカニズムを含む場合に特に好適であり得る。
【0032】
好適なアブレート可能な層及びこれらの調製が、例えば米国特許第5,468,591号明細書及び同第5,576,144号明細書(Pearce他)、及び同第6,369,844号明細書(Neumann他)に記載されている。アブレート可能な層は、バインダー、より具体的には「熱可燃性」バインダーを含むことができる。熱可燃性バインダーは、米国特許第6,521,390号明細書(Leininbach他)に報告されている。一例を挙げるならば、好適な熱可燃性バインダーは、ポリ(アルキルシアノアクリレート)及びニトロセルロースを含む。他の好適な熱可燃性ポリマー、例えばグリシジルアジドポリマー(GAP)、及びその他のアジド基含有ポリマーが、米国特許第5,278,023号明細書(Bills他)及び同第6,027,849号明細書(Vogel)に記載されている。
【0033】
アブレート可能な層は、粒状材料、例えば金属酸化物粒子を含んでよい。アブレート可能な層内に使用するための好適な1粒状材料は、Toda Kogyo Corp.(日本国広島)から入手可能な酸化鉄材料である。粒状材料は、画像形成又は硬化用輻射線に対して高い光学濃度を提供することができる。金属酸化物粒子は、アブレーション画像形成メカニズムに有利であり得る。なぜならば、これらは駆出ガスを発生させるために熱分解することができるからである。他の好適な粒子及び金属酸化物粒子が、例えば米国特許出願公開第2001/0026309号明細書に報告されている。
【0034】
アブレート可能な層は任意選択的に、赤外線吸収色素を含むことができる。具体的には、アブレート可能な層のための赤外線吸収色素は、米国特許第5,935,758号明細書に報告されたカチオン性赤外線吸収色素である。特に好適な赤外線吸収色素は、光熱漂白性色素である。
【0035】
アブレート可能な層は架橋剤を含んでもよい。架橋剤の使用は、アブレート可能な層により大きな耐熱性を付与することができる。架橋剤の例は、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、例えばUCB Group(ベルギー国)製のRESIMENE、ジアルデヒド、例えばグリオキサール、フェノール樹脂、例えばBorden Chemical Inc.(オハイオ州Columbus)製のDURITE、多官能性アジリジン、イソシアネート、例えばBayer Corp.(ベンシルヴェニア州Pittsburgh)製のDESMODUR AP、尿素-ホルムアルデヒド、エポキシ樹脂、例えばShell Chemical (テキサス州Houston)のEPON 1001を含む。その他の多くの好適な架橋剤が当業者に知られている。
【0036】
4. 画像形成性材料
画像形成性材料は、一般に、比較的均一な塗膜(すなわち実質的に連続的であり、厚さがほぼ均一である)としてマスク基体上に配置される。いくつかの態様の場合、画像形成性材料は、単層としてマスク基体上に存在する。例えば、アブレーション材料とエネルギー吸収剤とを1つの層内で組み合わせることができる。他の態様の場合、画像形成性材料は、選択された画像形成法に応じて、2つ以上の層を含むことができる。例えば、画像形成性材料は、エネルギー吸収層と、エネルギー吸収層に隣接する、アブレーション材料を含む層とを含むことができる。
【0037】
画像形成性材料は、複数の成分、例えば着色剤(例えば染料又は顔料)と、バインダー中に分散されたエネルギー吸収剤とを含む。画像形成性材料中には、他の成分が含まれてもよい。
【0038】
画像形成性材料の1成分は着色剤である。着色剤は、例えば反射率によって硬化用輻射線を吸収又はブロックするように選択される。本明細書中に使用される「着色剤」という用語は、マスク画像を通過する硬化用輻射線の透過を実質的に阻止する成分を示す。「着色剤」という用語は、成分が可視色を画像形成性材料に必ず提供又は付与することを示すものではないが、そのようになっていてもよい。
【0039】
着色剤は一般に、所望のスペクトル特性を提供する1種又は2種以上の染料又は顔料を含む。着色剤は好ましくは、画像形成性材料の固形分含有量を基準として、約10〜50 wt%の量で、画像形成性材料中に存在する。
【0040】
着色剤は、分散剤の補助を伴って又は伴わずに、画像形成性材料内部に分散されるのに十分に小さな粒子サイズを有する粒状材料であってよい。画像形成性材料中に使用するのに適した着色剤は、顔料、非昇華性色素、又は昇華性色素を含む。顔料及び非昇華性色素が好適に採用される。なぜならばこれらは移動する傾向がないからである。画像形成に際して顔料分散体を使用することは当業者によく知られており、そしてその目的に有用な任意のコンベンショナルな顔料を本発明において使用することができる。
【0041】
本発明の1つの態様において、着色剤はブラック色素又は顔料である。好適なブラック色素又は顔料は、可視スペクトル全体にわたるほぼ全ての波長、例えば約350〜750 nmでエネルギーを吸収する。しかし、ブラック色素又は顔料は、例えば、赤外線又は紫外線の領域で同様に吸収することもできる。好適なブラック色素又は顔料は、可視スペクトル内部の種々異なる波長を吸収する色素及び顔料を含むこともできる。これらの色素又は顔料は例えば、実際には、濃いブルー又はその他の色であってよい。ブラック色素又は顔料は、色素又は顔料の混合物、又は色素及び顔料の両方の混合物を含むことができる。これらの色素及び顔料は個別にはブラックであってもなくてもよいが、しかし混合されると、ニュートラルな黒色を提供する。例えば、BASF(ドイツ国)から入手可能な、ニュートラルな黒色を提供するNEPTUNブラック、ブルー・シェード・マゼンタ、及びレッド・シェード・イエロー・ピグメントの混合物が好適な場合がある。Runnemade Dispersions KV(英国)製のDISPERCEL CBJも着色剤として好適な場合がある。
【0042】
1つの好適なブラック顔料はカーボンブラックである。カーボンブラックは、ニュートラルな色と好適なカバー力とを示す。最大色強度のために小さな粒子を有するカーボンブラックを使用することが望ましい場合がある。平均粒子サイズ30 nm未満の微粒子状カーボンブラック等級が特に好適である。好適なカーボンブラック顔料の例は、Colombian Chemicals Co. (ジョージア州Atlanta)から入手可能なRAVEN 450、760 ULTRA、890、1020、1250、及びその他のもの、並びに、Cabot Corp. (マサチューセッツ州Waltham)から入手可能なBLACK PEARLS 170、BLACK PEARLS 480、VULCAN XC72、BLACK PEARLS 1100、及びその他のものを含む。その他の好適なカーボンブラックは、Degussa (ドイツ国)のPRINTEX U、PRINTEX L6、SPEZIALSCHWARZ 4又はSPEZIALSCHWARZ 250を含む。カーボンブラックは例えば、画像形成性材料の総固形分重量の約10〜50%、より具体的には約10〜40%、さらにより具体的には約10〜30%を占めてよい。
【0043】
カーボンブラックだけを含有する画像形成性材料は、カーボンブラック粒子によって赤外線が固有に吸収されることにより、調製が難しい。画像形成性材料内部のカーボンブラックの過熱の結果、マスク画像の濃度の損失、又は拡散の増大が生じることがある。マスク画像の拡散により、最終的な画像形成された物品のエッジ鮮鋭度が悪化するおそれがある。1種又は2種以上の非赤外線吸収ブラック色素又は顔料をカーボンブラックと組み合わせて不透明な輻射線感光性材料中に内蔵することにより、輻射線に対する妨害が低減され、そして結果として生じる画像形成された物品の品質が改善される。カーボンブラックの濃度が著しく低減されても、好適な色中立性及び不透明性は維持される。
【0044】
顔料としてやはり好適なのは、非炭素質粒状材料、例えば金属粒子又は金属酸化物粒子である。
【0045】
本発明の別の態様の場合、着色剤は、非赤外線吸収ブラック色素又は顔料であってよい。非赤外線吸収ブラック色素又は顔料は、赤外線を最小量だけ吸収するか又は全く吸収しない色素又は顔料を含む。この態様の場合、別個の赤外線吸収剤によって吸収される赤外線領域内の画像形成用輻射線を使用して、マスク画像が形成される。着色剤はこの場合、硬化用輻射線に対して不透明(又は反射性)となる。硬化用輻射線は一般に紫外線である。非赤外線吸収着色剤は、赤外線吸収剤に対する妨害がほとんど又は全くない限り、この態様において若干の赤外線を吸収することができる。例えば、非赤外線吸収ブラック色素又は顔料は使用濃度において、約0.5吸収単位未満、より具体的には約0.1吸収単位未満の赤外線を吸収することができる。
【0046】
非赤外線吸収ブラック色素又は顔料は、例えば、BASF(ドイツ国)製のNEPTUN Black X60、PALIOGEN Black S 0084、並びに、Ciba Specialty Chemicals (ニューヨーク州、Tarrytown)製のMICROLITH Violet B-Kを含む。その他の好適な非赤外線吸収ブラック色素が、米国特許第6,001,530号明細書(Kidnie他)に見いだすことができる。この明細書引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる。
【0047】
別の態様の場合、画像形成性材料は、着色剤として紫外線吸収色素を含むことができる。この色素は典型的には、感光性材料が感光する、そして全体露光のための硬化用輻射線として使用されるスペクトル領域において、強い吸収度を有する。紫外線吸収色素は、約250〜約600 nmの範囲内、より典型的には約300 nm〜約500 nmにおいて吸収最大値を有することができる。現像剤可溶性色素が好ましい。このような色素の例が、米国特許第3,769,019号明細書(Weise他)、同第4,081,278号明細書(Dedias他)、及び同第5,399,459号明細書(Simpson他)に報告されている。好適な紫外線吸収色素の例は、BASF(ドイツ国)製のUVINUL、例えばUVINUL 3050、及びKeystone Aniline Corporation(イリノイ州Chicago)製のKEYPLAST YELLOW GCの名称で市販されている色素を含む。
【0048】
画像形成性材料はエネルギー吸収剤を含むこともできる。画像形成用輻射線によってエネルギー吸収剤が励起されると、着色剤又は画像形成性材料の転写、又は硬化用輻射線に対する画像形成性材料の透明性又は不透明性を変化させる物理的又は化学的変化が開始される。いくつかの態様の場合、着色剤は、エネルギー吸収剤として作用し、そして別個のエネルギー吸収剤を含むことは必要とされない。換言すれば、これらの態様の場合、着色剤は二重の機能を果たす。しかし他の態様の場合、画像形成性材料を画像形成用輻射線に対して増感させるために、別個のエネルギー吸収剤が存在する。
【0049】
1つの態様の場合、エネルギー吸収剤は赤外線吸収剤を含むことができる。赤外線吸収剤は例えば、赤外線を熱に変換することができる。赤外線は例えば、750〜1200 nmにあってよい。画像形成性材料中に熱が発生する結果、画像形成性材料の他の成分の物理的又は化学的変化が生じ、或いは、アブレーションが誘発される。好適な赤外線吸収剤の例は、赤外線吸収色素、例えばシアニン赤外線吸収色素、赤外線吸収顔料、例えばカーボンブラック又は金属、例えばアルミニウムを含む。
【0050】
いくつかの態様の場合、赤外線吸収色素はカチオン性色素である。バインダー及び画像形成性材料の他の成分と組み合わせると、カチオン性色素は透明フィルムを生成する。本発明の転写材料において使用するのに適したカチオン性色素は、テトラアリールポリメチン(TAPM)色素、アミン・カチオン・ラジカル色素、及びこれらの混合物を含む。好ましくは、色素はテトラアリールポリメチン色素である。これらのクラスの色素は、画像形成性材料からの塗膜の他の成分と一緒に調製されると、典型的には安定であり、そして、一般に利用可能なレーザー源と一緒に使用するための正しい波長域内で吸収する。さらに、これらのクラスの色素は、レーザー輻射線によって光励起されると、潜在的な架橋剤と反応すると考えられる。
【0051】
TAPM色素は、奇数の炭素原子(5又は6以上)を有するポリメチン鎖を含み、鎖のそれぞれの末端炭素原子は、2つのアリール置換基に結合されている。TAPM色素は一般には、700〜900 nmで吸収し、これらの色素をダイオード・レーザー・アドレスに適したものにする。好適なTAPM色素が例えば米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)に記載されている。
【0052】
好適なカチオン性赤外線吸収色素は、国際公開第90/12342号パンフレット、及び欧州特許出願公開第0 739 748号明細書に報告されたアミン・カチオン・ラジカル色素(インモニウム色素としても知られる)のクラスを含む。好適なカチオン性赤外線吸収色素が米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)にも記載されている。
【0053】
赤外線吸収色素は好ましくは、露光波長において、少なくとも約0.5、より好ましくは少なくとも約0.75、最も好ましくは少なくとも約1.0の透過光学濃度を提供するのに十分な量で存在する。典型的には、このことは、画像形成性材料の固形分含有量を基準として、約3〜20 wt%の赤外線吸収色素で達成される。
【0054】
別の態様の場合、エネルギー吸収剤は紫外線吸収剤を含んでよい。紫外線吸収剤は、例えば約150〜400 nmの輻射線を吸収することができる。
【0055】
画像形成性材料は、バインダーを含んでもよい。好適なバインダーは、画像形成性材料中に含まれる他の成分を溶解又は分散することができる。バインダーは、画像形成性フィルムを画像形成するために使用されるメカニズムに応じて、他の目的を果たすことができる。
【0056】
総バインダーは典型的には、画像形成性材料の固形分含量を基準として、約25〜75 wt%の量で、そしてより好適には約35〜65 wt%の量で存在する。
【0057】
種々様々なバインダーは、本発明の実施において好適である場合がある。この場合、バインダーは、選択された画像形成法に応じて選ばれる。バインダーは、画像形成性材料の選択されたその他の成分と適合性を有するべきであり、好適な塗布用溶剤、例えば低級アルコール、ケトン、エーテル、炭化水素、及びハロアルカンなどに可溶性であるべきである。
【0058】
1つの態様の場合、バインダーは低粘着性接着バインダーを含む。低粘着性接着バインダーの例は、例えばHenkel Corporation (ミネソタ州Minneapolis)製のMACROMELT 6900、及びいくつかのポリアミド樹脂、例えばArizona Chemical Co.(フロリダ州Jacksonville)から入手可能なUNI-REZ 5803を含む。
【0059】
例えば画像形成メカニズムとしてレーザー誘起型フィルム転写(「LIFT」)システムが採用される場合に、バインダーは、複数のヒドロキシ基(すなわち「ヒドロキシ・ポリマー」)を含有する高分子材料であってよい。この態様の場合、好ましくは、バインダーの100 %がヒドロキシ・ポリマーである。ヒドロキシ基は、アルコール基又はフェノール基、又はその両方であってよい。主としてアルコール基を含むバインダーが好適である。ヒドロキシ官能性モノマー、例えばアリルアルコール及びヒドロキシアルキルアクリレート又はメタクリレートの重合又は共重合によって、或いは、予め形成されたポリマーの化学変換によって、例えば、ビニルエステル(例えば酢酸ビニル)のポリマー及びコポリマーの加水分解により、ヒドロキシル・ポリマーを得ることができる。高度のヒドロキシ官能性を有するポリマー、例えばポリ(ビニルアルコール)、セルロースなどが、原則的には本発明における使用に適しているが、しかし実際には、可溶性及びその他の物理化学特性が、たいていの用途にとって余り理想的ではない。ヒドロキシ基のバルクをエステル化、エーテル化、又はアセタール化することにより得られる、このようなポリマーの誘導体は一般に、優れた可溶性及び皮膜形成特性を示し、そして、少なくとも小さな割合のヒドロキシ基が反応しないまま残るものとすると、これらの誘導体は本発明における使用に適している。
【0060】
バインダーとして使用するのに適した1種のヒドロキシル・ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)とブチルアルデヒドとを反応させることによって形成された反応生成物である。この反応生成物の商業等級は典型的には、少なくとも5%のヒドロキシ基を未反応のまま残し(すなわち遊離)、そして大抵の場合には一般的な有機溶剤中にあり、また優れた皮膜形成特性及び顔料分散特性を有する。
【0061】
商業的に入手可能な好適なヒドロキシル・ポリマーは、Solutia, Inc. (ミズーリ州St. Louis)からBUTVAR B-76の商品名で入手可能なポリビニルブチラールポリマーである。この特定のポリマーの軟化範囲は140℃〜200℃である。BUTVARシリーズのポリマーから得られる他のヒドロキシル・バインダーを使用することもできる。Kuraray America, Inc. (ニューヨーク州New York)からMOWITALの商品名で入手可能なポリビニルブチラールポリマーも好適である。
【0062】
或いは、1種又は2種以上の非架橋性バインダーと1種又は2種以上のヒドロキシ官能性バインダーとのブレンドを使用することもできる。非架橋性バインダーは、着色剤の転写を妨害しないように、本発明において使用される画像形成メカニズムと適合性を有するべきである。すなわち、非架橋性バインダーは、画像形成中に用いられる条件に晒される時には無反応であるべきである。好適な非架橋性バインダーは、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリアクリレート、及びポリメタクリレートなどを含む。画像形成性材料中で上記ヒドロキシル・バインダーと合体することができる、商業的に入手可能な好適な非架橋性バインダーの一例は、DuPont(Wilmington, Delaware)からELVACITEの商品名で入手可能なポリ(メチルメタクリレート)を含む。
【0063】
画像形成性材料は任意選択的に、溶融又は軟化された画像形成性材料の転写、及び、十分に定義された、概ね連続的な、そして比較的シャープなエッジを有するハーフトーン・ドット(すなわち画素)の生成を増強するためのフルオロカーボン添加剤を含む。画像形成条件下では、フルオロカーボン添加剤は、レーザー露光された加熱された領域と未露光領域との間の界面において、画像形成性材料内部の凝集力を低減するために働き、そしてこれにより、画像形成性材料の主面に対して垂直な方向における、露光された領域のきれいな「剪断」を促進すると考えられる。このことは、よりシャープなエッジを有するドットの完全性の改善を可能にする。それというのは、露光された領域が画像形成性材料の残りから分離するにつれて、「裂断」又はその他の歪みの傾向が少なくなるからである。
【0064】
選ばれた添加剤が通常の塗布・乾燥条件下で実質的に不揮発性であり、そしてバインダーと十分に適合性を有することを条件として、フルオロカーボン添加剤として種々様々な化合物を採用することができる。こうして、高不溶性フルオロカーボン、例えばポリテトラフルオロエチレン及びポリビニリデンフルオリドは、ガス及び低沸点液体、例えばペルフルオルアルカンと同様に不適当である。上記制約とともに、高分子材料及び低分子量材料の両方を使用することができる。
【0065】
好適なフルオロカーボン添加剤の例は、米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)に記載されている。画像形成性材料は、米国特許第6,664,020号明細書(Warner他)に記載されているようなフルオロカーボン添加剤を含むこともできる。その他の好適なフルオロカーボン化合物が、欧州特許出願公開第0 602 893号明細書に報告されている。これらの明細書を本明細書中に引用する。好適なフルオロカーボン添加剤は、70%の直鎖と30%の分枝鎖とを含む、式(C8F17)SO2NH(CH2CH3)を有するスルホンアミド化合物N-エチルペルフルオロオクタンスルホンアミドである。フルオロカーボン添加剤は典型的には、画像形成性材料の固形分含量を基準として、約1〜10wt%の量で使用される。好ましくは、フルオロカーボン添加剤と着色剤との重量比は、少なくとも約1:10であり、より好ましくは少なくとも約1:5である。
【0066】
画像形成性材料のいくつかの態様において、潜在的な架橋剤が採用される。画像形成性メカニズムとしてLIFTシステムが採用される場合、潜在的な架橋剤が特に好適であることがある。本明細書中に使用される「潜在的な架橋剤」は、レーザー・アドレス条件下でのみ架橋を引き起こすことができる化合物である。レーザー画像形成中、潜在的な架橋剤は光励起された赤外線吸収色素と反応し、これによりヒドロキシル・バインダーの架橋を開始させる。こうして、架橋がレーザー画像形成中に発生する。
【0067】
好適な潜在的な架橋剤は、例えばジヒドロピリジンから誘導された化合物を含む。ジヒドロピリジンの好適な誘導体は、環位置のいずれかで、適切な置換基、例えばアルキル又はアリール基と置換することができる。具体的にはジヒドロピリジンの3,5-ジカルボン酸ジエステル誘導体が、潜在的な架橋剤として好適である。ポリマー主鎖内に組み込まれたジヒドロピリジンの3,5-ジカルボン酸ジエステル誘導体を含むポリマーが好適な場合もある。画像形成性材料中に有用である潜在的な架橋剤は、米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)に記載されている。
【0068】
この潜在的な架橋剤は、画像形成性材料の固形分含量を基準として、最大約30 wt%の量で画像形成性材料中に存在する。或いは、潜在的な架橋剤は、下記のように受容体シート内に存在することもできる。
【0069】
潜在的な架橋剤は、転写された画像形成性材料内部に凝集力を提供するのに重要であると考えられる。このことは、フルオロカーボン添加剤の作用を補完し、そしてその結果、凝集片としての露光された領域の転写をもたらす。また潜在的な架橋剤は、着色剤のフィルムへの再転写、並びに、後続の画像形成工程において使用される場合には、着色剤の別個のフィルムへの戻り転写を防止するにも重要であると考えられる。
【0070】
追加の成分、例えば可塑剤、塗布助剤、分散剤、UV吸収剤、充填剤などを、画像形成性材料中に内蔵することもできる。種々の添加剤が当業者に知られている。
【0071】
バインダー中の画像形成性材料の種々の成分の最適な分散を達成するためには、分散剤又は「ディスパーサント」が望ましいことがある。分散剤のいくつかの例は、例えばポリエステル/ポリアミン・コポリマー、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アクリルバインダー、及び湿潤剤を含む。画像形成性材料中の1つの好適な分散剤は、顔料親和性基を有するブロック・コポリマーであり、これは、Byk-Chemie USA (コネチカット州Wallingford)からDISPERBYK 161の商品名で入手可能である。分散剤は好ましくは、画像形成性材料の固形分含量を基準として、約1〜6 wt%の量で分散体中に使用される。
【0072】
溶液安定性を改善するために、界面活性剤を塗布助剤として使用することができる。種々様々な界面活性剤を使用することができる。1つの好適な界面活性剤は、塗膜品質を改善するために、画像形成性材料中に使用されるフルオロカーボン界面活性剤である。好適なフルオロカーボン界面活性剤は、フッ素化ポリマー、例えば米国特許第5,380,644号明細書(Yonkoski他)に記載されているフッ素化ポリマーを含む。好適な塗布助剤の一例は、3M(St. Paul, Minnesota)から入手可能なNOVECフルオロ界面活性剤、例えばFC 4432である。界面活性剤の好適な品質は約0.05 wt%〜約5 wt%未満であってよく、そして典型的には約1〜2 wt%である。
【0073】
5. 受容体シート
本発明のいくつかの態様において、マスク基体から廃棄画像形成性材料を受容するために、受容体シートを使用することができる。本明細書中に使用された「受容体シート」という語句は、画像形成性材料を受容することができる少なくとも1つの主面を有する、一般にシート状の材料を意味する。
【0074】
受容体シートはシート支持体を含んでよい。受容体シートのための好適なシート支持体は、特定の画像形成用途に応じて選択される。好適なシート支持体は、紙又はカード材料、金属(例えば鋼又はアルミニウム)、又は種々の皮膜形成ポリマーから成るフィルム又はプレートを含む。好適な高分子材料は、付加ポリマー(例えばポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリスチレン、ポリイソブチレンポリマー及びコポリマー)、及び線状縮合ポリマー(例えばポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド/アジペート))を含む。シート支持体は透明又は不透明である。透明でないシート支持体は、拡散反射性であるか又は鏡面反射性であってよい。
【0075】
受容体シートのための好適なシート支持体は、例えばプラスチック・シート材料及びフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、フルオレンポリエステルポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、及びこれらのコポリマー、並びに加水分解型及び非加水分解型酢酸セルロースを含む。特に好適な支持体は、ポリエステル・フィルム、例えばポリエチレンテレフタレート・シートである。例えば、DuPont Teijin Films (ヴァージニア州、Hopewell)によってMELINEXの名称で販売されたポリエチレンテレフタレート・シート、例えばMELINEX 574が好適である。
【0076】
実際には、シート支持体の典型的な厚さは、約20〜200 μmである。必要な場合には、支持体は、その湿潤性及び続いて適用される塗膜に対する付着力を改質するように前処理することができる。このような表面処理は、コロナ放電処理、及び下塗り層又はリリース層の塗布を含む。シート支持体は、接着剤、例えばアクリル接着剤又は酢酸ビニル接着剤を含有する剥離性層を含むこともできる。
【0077】
必ずしも必要というわけではないが、本発明の受容体シートの一方の側にテクスチャ処理表面又は塗膜、或いはテクスチャ処理表面及び塗膜の両方を含むことが有利である場合がある。シート支持体又は塗膜上のテクスチャ処理面は、支持体又は塗膜の主面から延びる複数の突起によって提供することができる。突起は、種々の方法で得ることができる。例えば、下記のように、突起を形成するためにテクスチャ処理用材料を塗膜内に含むことができる。或いは、シート支持体をコンベンショナルな方法によってミクロ複製し、これにより、突起を形成することもできる。テクスチャ処理受容体シートが、例えば米国特許第4,876,235号明細書(DeBoer)に報告されている。
【0078】
受容体シートは塗膜を含んでもよい。塗膜は、周囲温度で不粘着表面を提供することができるバインダーを含むことができ、このバインダーは、画像形成性フィルムから転写されることになっている材料(例えば画像形成性材料又は着色剤)との適合性を有する。塗膜は任意の添加剤、例えば界面活性剤、及び抗酸化剤を含有することができる。塗膜は、テクスチャ処理用材料を含有することもできる。
【0079】
高分子バインダーを選ぶ上で、例えばポリマーのガラス転移温度、軟化点、及び粘度などが考慮に入れられる。多種多様の高分子バインダーが本発明の実施に適している。バインダーは、ヒドロキシル・ポリマー(すなわち複数のヒドロキシ基を有するポリマー)を含むことができ、或いは、ヒドロキシ基のないポリマーを含むことができる。
【0080】
受容体シート上の塗膜のための高分子ポリマーは、画像形成メカニズム(例えばアブレーション、又は溶融粘着)に応じて選ばれる。溶融粘着メカニズムを採用する画像形成メカニズム内に使用するためには、例えば、画像形成性フィルム上の画像形成性材料のバインダーとして使用されるものと同様又は同一のバインダーを、受容体シートのために採用するのが有利な場合がある。
【0081】
いくつかの態様の場合、受容体シート上の塗膜内に使用するのに極めて適した材料は、Solutia, Inc.(St. Louis, Missouri)製のBUTVAR B-76ポリビニルブチラール・コポリマー及び同様の熱可塑性ポリマーである。受容体シートの塗膜中に使用するのに適した別のポリマーは、International Specialty Products, Inc. (Wayne, New Jersey)から、E-735の商品名で入手可能なポリビニルピロリドン/ビニルアセテート・コポリマー・バインダーである。別の好適なポリマーは、Goodyear Chemical (Akron, Ohio)からPLIOLITEの商品名で入手可能なスチレン-ブタジエン・コポリマーである。さらに別の好適なポリマーは、InChem Corp(Rock Hill, South Carolina)からINCHEMREZ PKHM-301の商品名で入手可能なフェノキシ樹脂である。
【0082】
スチレン/アリルアルコール・コポリマーを、塗膜内に好適に含むこともできる。商業的に入手可能なスチレン/アリルアルコール・コポリマーは、Lyondell Chemical Company (Houston, Texas)製のSAA-100である。
【0083】
バインダーとして、ポリマーの混合物を好適に採用することもできる。例えば、重量比約2:1〜20:1のBUTVAR B-76とSAA-100との混合物が好適である。
【0084】
上記材料は一例にすぎない。他の好適なポリマーが当業者には明らかである。
【0085】
受容体シートが画像形成のために画像形成性フィルムと近接させられると、何らかの表面粗さの存在が有利であることが見いだされる。受容体シート内の突起は、画像形成性フィルムと受容体要素との関係を正確に調節し、そして、画像形成中に画像形成性シートと受容体シートとの間の概ね均一なギャップを提供する。受容体シート上の突起の規模は、これらがビーズ又は粒状材料によって形成されていようと、テクスチャ処理によって形成されていようと、既知の技術、例えば干渉分光法を用いて、又は光学又は電子顕微鏡による表面の試験によって測定することができる。
【0086】
上述のように、テクスチャ処理用材料は、不活性粒状材料、例えば高分子ビーズ、シリカ粒子、金属酸化物粒子、無機塩などであってよい。ビーズの形状は好ましくは球形、長楕円形、卵形又は楕円形である。テクスチャ処理用材料は、事実上均一なサイズ(すなわち単分散)であってよく、或いはサイズが変化してもよい。無機粒子、例えばシリカの分散体が一般に所定の範囲の粒子サイズを有しているのに対して、ポリマービーズの単分散懸濁液が容易に入手可能である。どのタイプの個体群を使用するとしても、これらの粒子は、平均で約8 μmを上回って、受容体要素表面の平面上に投影すべきではないが、しかし好ましくは少なくとも約1 μm、そしてより好ましくは少なくとも約3 μmの大きさだけ前記平面上に投影すべきである。いくつかの構造の場合、異なる平均サイズを有する区別可能な2つのビーズ集合を添加することが有利である。このことは、フレキシビリティが、曇り特性と滑り又は分離特性とのバランスを取ることを可能にする。
【0087】
好適な高分子ビーズの非限定的な例は、ポリ(メチルメタクリレート)及びポリ(ステアリルメタクリレート)ビーズ、及びジオールジメタクリレート・ホモポリマー又はコポリマーを含むビーズを含む。好適な高分子ビーズはまた、ポリスチレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミドなどから形成されたビーズを含む。
【0088】
一般に、高分子ビーズの粒子サイズは、約3〜50ミクロン、好ましくは約5〜25ミクロンであるべきである。塗膜内のスペーサー・ビーズの被覆率は約5〜2,000ビーズ/mm2であってよい。ビーズの粒子サイズが増大するのに比例して、必要なビーズの数は少なくなる。
【0089】
例えば、好適な1つのテクスチャ処理用材料は、平均直径約10ミクロンのポリ(メチルメタクリレート)の単分散ビーズを含む。このようなビーズは商業的に入手可能である。
【0090】
受容体上の塗膜内のテクスチャ処理用材料の濃度は、面密度約100〜500粒子/mm2を提供するのに十分であるべきである。例えば、好適な粒子面密度は、約200粒子/mm2である。1つの態様の場合、受容体シート上の塗膜は、約1重量部のテクスチャ処理用材料に対して約20〜80重量部のバインダーを含む。
【0091】
ビーズ又は粒子の使用とは別に、所要の突起を提供するために、受容体要素表面を物理的にテクスチャ処理することができる。金属表面、例えばアルミニウムを、グレイニング及び陽極化によりテクスチャ処理することができる。当業者に知られたミクロ複製技術によって、他のテクスチャ処理された表面を得ることができる。
【0092】
B. 画像形成メカニズム
画像形成用輻射線による画像形成性フィルムの像様露光法は、当業者にはコンベンショナルである。画像形成性フィルムのアナログ及びデジタル双方の像様露光法が好適である。画像形成が容易なこと、そしてデジタル画像形成装置がますます入手しやすくなっていることにより、デジタル法が多くの使用者によって好まれる。
【0093】
本発明のいくつかの態様の場合、コンピューター制御下で走査又はラスタライズされたレーザーからのレーザー輻射線を使用して、像様露光が効率的に達成される。既知の走査デバイスのいずれか、例えば平床式スキャナー、外部ドラム・スキャナー、又は内部ドラム・スキャナーを使用することができる。これらのデバイスにおいて、画像形成されるべきフィルムがドラム又は床に固定され、そしてレーザー・ビームが、画像形成性材料上に衝突することができるスポットに焦点を当てられる。レーザー・スポットが画像形成されるべき領域上で走査される一方、レーザー出力は、電子的に記憶された画像情報(すなわちデジタル・データ)に従って変調される。スループットを増大させるために、2つ又は3つ以上のレーザーが画像形成性材料の種々異なる領域を同時に走査することができる。この態様は図1Aに示されており、この図では、マスク基体6上にマスク画像4を生成するために輻射線2が使用される。
【0094】
或る特定の態様の場合、画像形成用輻射線は赤外線を含んでよい。赤外線は例えば、約750 nm〜約1200 nmであってよい。この態様を実施する際には、好適な画像形成性材料は、上述のように、赤外線に対して感光するエネルギー吸収剤を含む。この成分は例えば、赤外線を熱に変換することができる。画像形成性材料中に熱を発生させると、次いでその結果として、画像形成性材料の別の成分に物理的又は化学的な変化が生じ得る。この態様の場合、画像形成性フィルムは、赤外線画像形成装置に好適に取り付け、そしてフィルムに赤外線による像様露光を施すことができる。赤外線は、例えばダイオード・レーザー(830 nm)又はNd:YAGレーザー(1064 nm)のような赤外線レーザーによって提供することができる。赤外線レーザーは、コンピューター制御下で走査又はラスタライズすることができる。
【0095】
好適な赤外線画像形成装置は、プルーフィング法で使用される赤外線画像形成装置を含む。このような画像形成装置の例は、ECRM (マサチューセッツ州Tewksbury)から入手可能なDESERTCAT 88を含む。CTPリソグラフフィ印刷版用途のための赤外線画像形成装置、例えばCreo (ブリティッシュコロンビア州Burnaby)製のTRENDSETTER、及びPresstek (ニューハンプシャー州Hudson)製のDIMENSIONを使用することもできる。フレキソグラフィ物品を画像形成するように構成された画像形成装置、例えば、Esko-Graphics (ブリティッシュコロンビア州ジョージア州)製のCYREL Digital Imager(CDI SPARK)、Creo (ブリティッシュコロンビア州British Columbia)製のThermoFlex、及びMisomex International (ニューハンプシャー州Hudson) 製のOMNISETTERを採用することもできる。
【0096】
他の態様の場合、画像形成性材料は可視レーザー光に当てられる。可視光は、例えば約400〜750 nmであってよい。商業的に入手可能なフィルムセッター及び画像セッター、例えばAgfa-Gevaert(ベルギー国)製のACCUSET Plus(可視赤色レーザー・ダイオード、670 nm)、Agfa-Gevaert製のADVANTAGE DL3850(410 nm)、Fuji Photo Film製のLUXEL V-9600(410 nm)、Western Lithotech(ミズーリ州St. Louis)製のDIAMONDSETTER(周波数二倍型Nd:YAGレーザー;532 nm)、Agfa-Gevaert製のSELECTSET 5000(HeNe, 630 nm)を使用することができる。
【0097】
さらに他の態様の場合、画像形成性材料は、レーザー直接画像形成(LDI)によって紫外線に当てられる。紫外線は約150〜410 nmであってよい。Orbotech(マサチューセッツ州Billerica)製のDP-100、及びEtec Systems(アリゾナ州Tucson)製のDIGIRITE 2000が、UVレーザー画像形成に適している場合がある。
【0098】
いくつかの態様の場合、マスク画像の転写特性に不都合な影響が及ぼされないことを条件として、マスク基体上に存在するマスク画像は任意選択的に、これに熱処理を施すことにより、画像形成後に硬化することができる。種々の手段、例えば炉内の貯蔵、熱風処理、加熱プラテンとの接触、又は加熱されたローラー装置内の通過によって、熱処理を行うことができる。他の態様の場合、硬化が行われるのに熱処理は必要でない。
【0099】
画像形成性フィルムは他の画像形成メカニズムと協働するように容易に適合することができるので、挙げられた画像形成メカニズムは、非限定的な例と考えられるべきである。
【0100】
1. アブレーション
1つの画像形成メカニズムにおいて、画像形成性材料の露光された領域がアブレーションを介して除去される。この画像形成メカニズムにおいて、露光された画像形成性材料、及びもし存在するならばアブレート可能な層は、ガスの発生によって、マスク基体から駆出される。この態様の場合、ガスを急速に発生させるために熱(例えばレーザー輻射線)に対する暴露時に分解する特定のバインダーを、画像形成性材料中又はアブレート可能な層内に使用することができる。画像形成性材料の露光された領域下又は露光された領域内部にガスが形成されると、露光された領域においてマスク基体から画像形成性材料を駆出する圧力が形成される。この作用は、物理変化(例えば溶融、蒸発又は昇華)ではなく化学変化(例えば結合破断)が、部分移動ではなく画像形成性材料のほとんど完全な移動を引き起こす点で、他の物質移動技術と区別することができる。
【0101】
レーザー・ビームの作用によって画像形成する1アブレーション・モードの場合、着色剤、赤外線吸収材料、及びバインダーを含む画像形成性材料層を有する画像形成性フィルムが画像形成される。レーザーによって提供されるエネルギーは、レーザー・ビームが画像形成性フィルムに衝突するスポットで、画像形成性材料を駆出する。
【0102】
別の態様の場合、バインダーは、上述のような、また米国特許第6,521,390号明細書(Leinenbach他)にさらに論じられているような「熱可燃性」材料として役立つ。熱可燃性バインダーは任意選択的に、この態様の実施のために、アブレート可能な層内に存在してよい。
【0103】
アブレーション・メカニズムとともに、露光された画像形成性材料がマスク基体から駆出された後でこの材料を回収するために、破片捕集体、例えば真空、又は好適な受容体シートを、画像形成性材料の近くに配置することができる。例えば米国特許第5,171,650号明細書(Ellis他)、及び国際公開第90/12342号パンフレットに、アブレーション転写が報告されている。
【0104】
2. 溶融粘着転写
画像形成用輻射線に当てられた画像形成性材料領域は、溶融粘着を介して除去されてもよい。溶融粘着システムの場合、画像形成性材料は、輻射線による露光時に、溶融状態又は半溶融状態でマスク基体から好適な受容体シートへ移動する。溶融状態又は半溶融状態の特徴は、画像形成性材料に流動性を提供する粘度低減である。画像形成性材料は受容体シート表面に流れ、マスク基体に付着するよりも高い強度で、受容体シート表面に付着する。マスク基体から受容体シートへの露光された領域における画像形成性材料の物理的転写が、こうして生じる。転写に続いて、マスク基体上にマスク画像を形成するために、マスク基体は転写されていない画像形成性材料及び他の層と一緒に受容体シートから分離される。
【0105】
この態様の実施に際して、受容体シート及び転写された画像形成性材料は、一般には(しかし必ず必要というわけではない)廃棄物として廃棄される。
【0106】
溶融粘着転写の更なる形態及び要件が、米国特許第5,819,661号明細書(Lewis他)、及び同第5,238,778号明細書(Hirai他)に見いだすことができる。これらのそれぞれを参考のため本明細書中に引用する。
【0107】
3. レーザー誘起型フィルム転写
露光された画像形成性材料領域は、レーザー誘起型フィルム転写(「LIFT」)メカニズムを介して、マスク基体から除去されてもよい。この態様の場合、画像形成性材料は、画像形成用輻射線に当てられた領域に高分子量網状構造を形成するために、バインダーと反応する架橋剤を含む。この架橋の効果は、メルトフロー現象のより良好な制御、より凝集性のある材料の受容体への転写、及びマスク画像のより高品質のエッジ鮮鋭度である。このタイプのシステムの例は、米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)に見いだすことができる。この明細書引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる。
【0108】
LIFTメカニズムと一緒に使用するのに適した画像形成性材料は、転写可能な着色剤と赤外線吸収色素とを含む。着色剤は、赤外線による露光時に受容体シートに転写されることが可能である。別の態様の場合、画像形成性材料は上述のような、ヒドロキシル・ポリマーを含むバインダー、転写可能な着色剤、フルオロカーボン添加剤、カチオン性赤外線吸収色素、及び潜在的な架橋剤を含む。
【0109】
4. 剥離
さらに別の態様の場合、画像形成用輻射線に当てられた画像形成性材料領域は、いわゆる「剥離」メカニズムにおいて好適な受容体シートを使用して、マスク基体から除去される。剥離メカニズムは、画像形成性材料中に付着特性差を生じさせる能力に依存する。画像形成性フィルムの像様露光後、受容体シートはマスク基体から分離され、そして画像形成性材料の露光された領域又は未露光領域が、マスク基体上に残る。
【0110】
米国特許第6,013,409号明細書(Chou)(引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる)には、好適な剥離画像形成システムが記載されている。この態様の場合、画像形成性材料は、マスク基体、着色剤を含む「光硬化性層」、「フォトポリマー付着」層、及び任意のリリース層を含む。
【0111】
剥離画像形成に適したフィルムの他の態様が、例えば米国特許第6,013,409号明細書(Chou)の第3欄第25行〜第4欄第16行で引用された参考文献に記載されている。
【0112】
5. 色素の昇華又は拡散
別の態様の場合、露光された画像形成性材料領域からの着色剤が、昇華を介して除去される。昇華技術は、画像形成性材料中に含まれる着色剤が、バインダーの同時転写なしに昇華又は拡散されるメカニズムに関与する。色素昇華に際しては、昇華性着色剤が気体形態に変換され、大気中に消散させられるか、或いは任意選択的に好適な受容体シートに向けられる。
【0113】
例えば米国特許第5,126,760号明細書(DeBoer)、及び同第5,994,026号明細書(DeBoer)に、色素昇華が報告されている。これらの明細書のそれぞれの引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる。例えば米国特許第5,330,962号明細書(De Braabandere他)に記載されているような熱色素拡散転写も、画像形成法として好適である。
【0114】
使用することができる昇華性着色剤は、例えば米国特許第5,576,141号、同第5,576,142号、同第5,521,050号、同第5,521,051号、及び同第5,510,228号の各明細書(Neumann他)に記載された色素を含む。一般に、このような色素は、少なくとも約25 wt%の量で画像形成性材料中に存在する。
【0115】
色素昇華メカニズムによって、好適な画像形成性フィルムを使用して、そして受容体シートの必要なしにキャリヤシート上にマスク画像を発生させることができる。
【0116】
別の態様の場合、昇華された着色剤を捕捉するために、受容体シートが採用される。マスク画像は、マスク基体上に残る画像形成性材料を含む。この態様の実施に際して、受容体シート及び転写された着色剤は、一般には(しかし必ず必要というわけではない)廃棄物として廃棄される。
【0117】
別の態様の場合、マスク画像は、受容体シートに転写された着色剤を含む。この態様の実施に際して、マスク基体、及び残りの画像形成性材料は、一般には廃棄物として廃棄される。
【0118】
II. 画像形成性物品への画像形成されたフィルムのラミネート
本発明の方法における別の工程は、画像形成性物品に画像形成されたフィルムをラミネートすることを含む。画像形成されたフィルムをラミネートする工程は、感光性材料上に配置されたリリース層と近接させるようにマスク画像を配置することを含む。この工程の1つの態様の結果は図1Bに示されている。この図では、マスク基体6上に配置されたマスク画像4から形成された画像形成されたフィルムが、リリース層8、感光性材料10、及び感光性基体12から形成された画像形成性物品上にラミネートされた状態で示されている。画像形成性物品の種々の態様が以下で論じられ、また、米国特許出願第11/081,018号明細書(引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる)にも記載されている。
【0119】
A. 画像形成性物品
画像形成性物品は、フレキソグラフィ印刷版前駆体、プリント回路基板(「PCB」)前駆体、及び平版印刷版前駆体を含むことができる。これらの物品のそれぞれは、それぞれフレキソグラフィ印刷版、PCB、及び平版印刷版になる部分としてレリーフ画像を形成する。平版印刷版上に形成されるレリーフは一般にわずか数ミクロンであるが、平版印刷版はそれでもなお、本発明の方法を利用して形成することができる製品の1つである。
【0120】
画像形成性物品は、少なくとも感光性材料を含む。感光性材料は、ポジ型又はネガ型であってよい。ネガ型感光性材料は、硬化用輻射線による露光によって固化可能又は硬化可能であり、そして一般に、硬化用輻射線による露光時に重合又は架橋するポリマー又はプレポリマーを含む。画像形成性物品は、感光性材料がその上に塗布される好適な感光性基体を含むこともできる。
【0121】
さらに、任意の構成部分、例えばリリース層、カバーシート、又は金属層を画像形成性物品内に含むことができる。リリース層が存在すると、この方法の後続の工程における感光性材料からの画像形成されたフィルムの除去が容易になる。リリース層は、硬化工程中に画像形成されたフィルムと画像形成性物品との間に十分な付着力を提供することもできる。リリース層は硬化用輻射線を著しく吸収する又は散乱させるべきではない。室温において、リリース層は、マスク画像の無傷の除去を可能にするが、しかし高温では無傷の除去を可能にしない。
【0122】
リリース層は、紫外線硬化性樹脂を指紋付着又はその他の損傷から保護することもでき、また、紫外線硬化性樹脂とカバーシートとの間に配置することができる。この層は当業者によって、粘着防止層、分離層、滑り層、又は保護層と呼ばれることがある。一例として挙げるならば、リリース層として適した塗膜は、ポリ(ビニルアルコール)又は同様のポリマー、セルロース系ポリマー、例えばメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はポリビニルブチラール、又は上述のような他のヒドロキシルポリマーを含む。リリース層の1つの具体例は、加水分解型スチレン無水マレイン酸コポリマーである。リリース層は、シリコーンから形成することもできる。
【0123】
リリース層は、ポリアミド、例えばHenkel Corporation (ミネソタ州ミネアポリス)から入手可能なMACROMELT 6900、ポリビニルアルコール、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、両性インターポリマー、セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシアルキルセルロース、及びセルロースアセテートポリブチレート、ポリブチラール、環状ゴム、及びこれらの組み合わせを含む。米国特許第4,293,635号明細書(Flint他)に、両性インターポリマーが記載されている。この明細書を参考のため本明細書中に引用する。
【0124】
より高い解像度画像を得るためには、透明であり且つ薄いリリース層が有益である場合がある。リリース層の厚さは例えば、約0.1〜10ミクロンであってよい。薄いリリース層が有利なのは、薄い層が薄いと、結果として生じるレリーフ画像のために得ることができる解像度に不都合な影響を与えないからである。薄いリリース層はまた、後続の処理工程中に除去するのがより容易である。
【0125】
リリース層は、塗布助剤、界面活性剤、リリース増強材料などを含むこともできる。例えば、リリース層は好適な界面活性剤、例えば、Air Products(ペンシルヴェニア州Allentown)製のSURFYNOL 465(エトキシル化テトラメチルデシンジオール)、又はSURFYNOL GA(他の非イオン性界面活性剤及び溶剤が配合されたアセチレンジオール)、CasChem Inc. (ニュージャージー州Bayonne)製のSURFACTOL 365(エトキシル化ひまし油)、又はRohm & Haas (ペンシルヴェニア州Philadelphia)製のTriton X-100(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)を含有することができる。
【0126】
いくつかの態様の場合、感光性材料は、感光性基体上に配置されている。理想的には、感光性基体は寸法安定性材料、例えばポリエステル・フィルム又はアルミニウム・シートから形成される。紫外線硬化性樹脂は、エラストマー・バインダー、少なくとも1種のモノマー、及び光開始剤を含むこともできる。開始剤は非赤外化学線に対する感光性を有する。たいていの場合、開始剤は紫外線又は可視線又はその両方に対して感光することになる。好適な開始剤組成物の例が、米国特許第4,323,637号明細書(Chen他)、同第4,427,749号明細書(Gruetzmacher他)、及び同第4,894,315号明細書(Feinberg他)に報告されている。
【0127】
エラストマー・バインダーは、水性、半水性又は有機溶剤現像剤中に可溶性、膨潤性又は分散性であることが可能な単一のポリマー又はポリマーの組み合わせであってよい。このようなバインダーは、米国特許第3,458,311号明細書(Alles)、同第4,442,302号明細書(Pohl)、同第4,361,640号明細書(Pine)、同第3,794,494号明細書(Inoue他)、同第4,177,074号明細書(Proskow)、同第4,431,723号明細書(Proskow)、及び同第4,517,279号明細書(Worns)に記載されたバインダーを含む。有機溶剤現像剤中に可溶性、膨潤性又は分散性であるバインダーは、共役ジオレフィン炭化水素の天然又は合成ポリマー、例えばポリイソプレン、1,2-ポリブタジエン、1,4-ポリブタジエン、ブタジエン/アクリロニトリル、ブタジエン/スチレン熱可塑性エラストマー・ブロックコポリマー及びその他のコポリマーを含む。米国特許第4,323,636号明細書(Chen)、同第4,430,417号明細書(Heinz他)、及び同第4,045,231号(Toda他)に論じられたブロックコポリマーを使用することができる。バインダーは少なくとも約65重量%の紫外線硬化性樹脂を含んでよい。本明細書中に使用されるバインダーという用語は、コア-シェル・ミクロゲル、及びミクロゲルと予め形成されたマクロ分子ポリマーとのブレンド、例えば米国特許第4,956,252号明細書(Fryd他)に記載されたものを含む。
【0128】
紫外線硬化性樹脂は、単一のモノマー又はモノマーの混合物を含有することもできる。モノマーは、透明な、曇りのない感光性層が生成される程度にバインダーと適合性がなければならない。紫外線硬化性樹脂中に使用することができるモノマーが当業者によく知られており、そして一例として、比較的低分子量(一般に約30,000 Da未満)の付加重合エチレン系不飽和型化合物を含む。好適なモノマーは、約5000 Da未満の比較的低分子量を有する。特に断りのない限り、本明細書全体を通して、分子量は、重量平均分子量である。好適なモノマーの一例としては、t-ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、アルコールとポリオール、例えばアルカノールのアクリレート及びメタクリレートモノエステル及びポリエステル、例えば1,4-ブタンジオールジアクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジメタクリレート、及び2,2-ジメチロールプロパンジアクリレート、アルキレングリコール、例えばトリプロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、及びヘキサメチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパン、エトキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、例えばペンタエリトリトールトリアクリレート、及びジペンタエリトリトールなどが挙げられる。好適なモノマーの他の例は、イソシアネート、エステル、及びエポキシドなどのアクリレート及びメタクリレート誘導体、例えばデカメチレングリコールジアクリレート、2,2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、2,2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ポリオキシエチル-2,2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、及び1-フェニルエチレン-1,2-ジメタクリレートを含む。モノマーの更なる例は、米国特許第4,323,636号明細書(Chen)、同第4,753,865号明細書(Fryd他)、同第4,726,877号明細書(Fryd他)、及び同第4,894,315号明細書(Feinberg他)に見いだすことができる。モノマーは紫外線硬化性樹脂の少なくとも5重量%を占めてよい。
【0129】
光開始剤は、紫外線に対して感光して、過剰な停止反応なしにモノマーの重合を開始する遊離基を発生させる、任意の単位の化合物又は化合物の組み合わせであってよい。光開始剤は可視線及び/又は紫外線に対して感光するべきである。光開始剤は赤外線及び/又は可視線に対して不感光であってもよく、そして185℃以下では熱不活性であるべきである。好適な光開始剤の例は、置換型及び無置換型多核キノンを含む。好適なシステムの例が、米国特許第4,460,675号明細書(Gruetzmacher他)、及び同第4,894,315号明細書(Feinberg他)に開示されている。光開始剤は一般に、紫外線硬化性樹脂の重量を基準として、約0.001%〜10.0%の量で存在する。
【0130】
紫外線硬化性樹脂は、所望される最終特性に応じて他の添加剤を含有することができる。このような添加剤は、増感剤、可塑剤、レオロジー改質剤、熱重合阻害剤、粘着付与剤、着色剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、又は充填剤を含む。
【0131】
エラストマーの皮膜形成特性を調節するために、可塑剤を使用することができる。好適な可塑剤の例は、脂肪族炭化水素油、例えばナフタレン系及びパラフィン系油、液体ポリジエン、例えば液体ポリブタジエン、液体ポリイソプレンを含む。一般に可塑剤は、約5,000 Da未満の分子量を有する液体であるが、しかし、最大約30,000 Daの分子量を有することもできる。低分子量の可塑剤は、約30,000 Da未満の分子量を含むことになる。
【0132】
紫外線硬化性樹脂の厚さは、所望の印刷版のタイプに応じて変化することができる。1つの態様の場合、紫外線硬化性樹脂の厚さは、例えば約20〜250ミル(500〜6400 ミクロン)又はこれ以上、より具体的には例えば約20〜100ミル(500〜2500 ミクロン)であってよい。
【0133】
1つの態様の場合、感光性材料は、好適な紫外線硬化性樹脂を含むフレキソグラフィ印刷版前駆体の部分である。フレキソグラフィ印刷版を形成するために使用される材料は、典型的には感光性基体、及びポリマー又はプレポリマーを含む感光性材料を含む1つ又は2つ以上の感光性層を含む。商業的に入手可能なフレキソグラフィ印刷版前駆体の例は、例えば、Kodak Polychrome Graphics(コネチカット州Norwalk)から入手可能なFLEXCEL、DuPont (デラウェア州Wilmington)から入手可能なCYREL フレキソグラフィ印刷版、BASF(ドイツ国)から入手可能なNYLOFLEX FAR 284、Polyfibronから入手可能なFLEXILIGHT CBU、及びASAHI AFP XDIを含む。
【0134】
別の態様において、感光性材料は、ポジ型感光性組成物である。この態様において、感光性材料は、輻射線による露光時に、より除去しやすくなる。このタイプの材料の例は、米国特許第4,731,319号明細書(Kohara他)、及び同第3,634,086号明細書(Lawson他)、具体的にはLawson他の例3に記載された感光性組成物において見いだすことができる。ポジ型感光性組成物の商業的な例は、Clairant Corporation (ニュージャージー州Somerville)から入手可能なAZR 9200 フォトレジストである。
【0135】
別の態様において、画像形成性物品は、プリント回路基板(「PCB」)の前駆体であってよい。PCBにおいて、マスク画像によって決定されたパターンを成して、導電層(プリント回路とも呼ばれる)が感光性基体上に形成される。プリント回路は次いで、種々の電気的な構成部分、例えば抵抗器、キャパシター、集積回路、及び他の電子デバイスの間で電圧及び電流を導くことができる。電気的な構成部分は、プリント回路の形成後の所定の段階で、プリンタ回路上にはんだ付けされる。
【0136】
好適なPCB前駆体は、感光性基体、金属層及び感光性材料を含有することができる。感光性基体は、ポリイミド・フィルム、ガラス充填型エポキシ又はフェノール-ホルムアルデヒド、又は業界内でよく知られ使用されており、また必要とみなされる任意の厚さを有する、任意のその他の絶縁材料であってよい。
【0137】
感光性基体をカバーする金属層は、導電性金属を含むことができる。1つの好適な例は銅であるが、任意のその他の好適な金属又は金属合金を使用することもできる。
【0138】
感光性材料は、紫外線硬化性樹脂を含むことができる。PCB前駆体上で使用するのに適した紫外線硬化性樹脂の一例は、オリゴマー及びモノマー、光開始剤、及びバインダーを含む。
【0139】
好適なオリゴマー及びモノマーは、紫外線による露光を施されると、光開始剤の存在において架橋することができるものを含む。オリゴマー及びモノマーは、上記のものを含んでよい。これらの成分は紫外線硬化性樹脂の約35%〜75%を占めてよい。
【0140】
光開始剤は、紫外線による露光を施されると、オリゴマー及びモノマーを架橋する助けとなる遊離基を発生させ促進することが可能であるべきである。好適な光開始剤は上記の通りである。光開始剤は、紫外線硬化性樹脂中に含まれるオリゴマー及びモノマーの最大約10重量%を占めてよい。
【0141】
バインダーは、水又は希アルカリ現像剤中に、そして有機現像剤中にも可溶性であるべきである。バインダーはまた、エッチング剤、例えば塩化第二鉄水溶液中に可溶性であるべきである。好適なバインダーの例は、例えばノボラク(官能置換されたフェノール-ホルムアルデヒド樹脂)、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマー及びそのエステル、ヒドロキシプロピルセルロース及びエステル化ロジン-マレイン酸エステルを含む。
【0142】
PCB前駆体を形成するのに使用される紫外線硬化性樹脂内に、他の成分、例えば充填剤及び湿潤剤、並びに、視覚試験を助けるための色素又は顔料を含むこともできる。
【0143】
硬化された領域と未硬化領域との間の溶解度に最大の差を達成し、そして最適な付着特性を得るために、PCB前駆体内の紫外線硬化性樹脂の塗膜厚は、約3ミクロン〜30ミクロン、より具体的には12ミクロンであってよい。
【0144】
PCB前駆体構造内に使用される感光性材料は、ポジ型であってもよく、このことは、感光性材料が紫外線又は可視線による露光を施されると、より現像されやすくなることを意味する。これらのPCB前駆体の場合、輻射線に当てられない感光性材料の領域は、現像後にPCB前駆体上に残ることになり、このことは当業者に知られている。
【0145】
B. ラミネート法
いくつかの態様の場合、画像形成性物品に対する画像形成されたフィルムのラミネーションは、画像形成されたフィルムと画像形成性物品とに圧力を加えることにより達成することができる。他の態様の場合、画像形成されたフィルムは、熱を加えることにより、画像形成性物品にラミネートすることができる。ラミネート作業が圧力及び熱の両方を加えることを含んでもよい。
【0146】
熱及び圧力の両方を提供する商業的に入手可能なラミネーターを使用することができる。好適なラミネーターは、例えば、Eastman Kodak Co.(Rochester, New York)から入手可能なKODAKモデル800XL APPROVAL LAMINATOR、CODOR ラミネーティング・システム(オランダ国アムステルダム)から入手可能なCODOR LPP650 LAMINATOR、及びFilmsource (フロリダ州Casselbury)から入手可能なLEDCO HDラミネーターを含む。感光性材料へのマスク画像の1ラミネート法は、ラミネーターの入口トレイ上に、画像形成性物品を置くことである。もし存在するならばカバー・シートを、感光性物品から除去する。集成体を形成するために、画像形成されたフィルムを画像形成性物品上に、マスク画像を感光性材料、又は存在するならばリリース層と近接させた状態で置く。集成体をラミネーター内へ、所望の速度、温度及び圧力で供給する。
【0147】
III. 画像形成されたフィルムを通した画像形成性物品の露光
本発明の別の工程は、画像形成性物品を、画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に、真空圧なしで当てることを含む。この工程において、硬化用輻射線は、マスク画像を通して感光性材料上に投影されるので、輻射線のうちのいくらかは、マスク画像によって優先的にブロックされる。マスキングされていない領域では、硬化用輻射線は、固化又は硬化を引き起こすように感光性材料上に衝突する。マスク画像は従って、硬化用輻射線に対して実質的に不透明であるべきである。「実質的に不透明」という用語は、マスク画像が硬化用輻射線の波長において約2.0以上、より具体的には約3.0以上の透過光学濃度を有することを意味する。マスキングされていない領域及びマスク基体は、実質的に透明であるべきである。「実質的に透明」という用語は、マスキングされていない感光性材料領域が約0.5以下、より具体的には約0.1以下、さらにより具体的には約0.05以下の透過光学濃度を有することを意味する。透過光学濃度は、濃度計、例えばMACBETH TR 927上に好適なフィルターを使用して測定することができる。一般に、マスク画像を通して感光性材料に露光を施す工程は、フラッド様露光によって行われる。それというのは、マスク画像は硬化用輻射線をブロックするからである。この工程は図1Cに示されている。リリース層8、感光性材料10、及び感光性基体12を含む画像形成性物品は、マスク画像4及びマスク基体6を通して硬化用輻射線14に当てられる。
【0148】
この工程の実施中には、真空ドローダウンは必要とされない。真空ドローダウンが用いられないと、少なくとも2つの利点を実現することができる。第一に、真空なしの露光が、露光中に真空を形成するために必要となる時間を排除し、ひいては、本発明によるレリーフ画像のスループットを高める。第二に、典型的にはアナログ法において使用されるマスクの部分である艶消し剤又はビーズが、本発明の方法において使用されるマスク画像には必要とされない。艶消し剤は真空ドローダウンを改善するものの、硬化用輻射線は艶消し剤に衝突するのに従って、より散乱させられやすくなる。本発明の方法によって真空ドローダウンなしで感光性材料を硬化用輻射線に当てることにより、艶消し剤は必要とされず、そして硬化用輻射線は、アナログ法が用いられた場合よりも散乱が少なくなる。
【0149】
本発明の方法を用いて、前駆体からフレキソグラフィ印刷版を製造するのに際しては、感光性層の支持体側上に薄い均一な硬化された層を調製するために、感光性材料の一方の側を先ず、支持体を通して硬化用輻射線に当てる(「裏側露光」として知られている)。次いで画像形成性物品を、画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当て、これにより感光性材料を、マスキングされていない領域において固化又は硬化させる。次いで、感光性材料の未露光且つ未硬化の部分を下記現像法によって除去し、レリーフ印刷表面を画定する硬化された部分を残す。
【0150】
硬化用輻射線として適した波長又は波長範囲は、感光性材料の性質によって決定される。いくつかの態様の場合、硬化用輻射線は紫外線である。紫外線によるフラッド様露光のための輻射線源は従来通りのものである。好適な可視線源又はUV線源の例は、炭素アーク、水銀蒸気アーク、蛍光灯、電子フラッシュ・ユニット、及び写真用フラッド灯を含む。好適なUV線源は水銀蒸気灯、具体的には太陽灯を含む。
【0151】
好適な標準輻射線源の一例は、中心放射波長が354 nm周辺にあるSYLVANIA 350 BLACKLIGHT蛍光灯(FR 48T12/350 VL/VHO/180, 115 w)である。別の例は、Burgess Industries, Inc. (ミネソタ州Plymouth)から入手可能な、ADDALUX 754-18017ランプを有するBURGESS EXPOSURE FRAME, Model 5K-3343VSIIである。
【0152】
別の好適な紫外線源は、画像形成性物品を硬化用輻射線に当てること、そして輻射線露光後に画像形成性物品を現像することの両方が可能な製版機を含む。好適な製版機は、Kelleigh Corporation (Trenton, New Jersey)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER、及びGlobal Asia Limited (Hong Kong)から入手可能なGPP500F PLATE PROCESSORを含む。
【0153】
マスク画像を通した露光の時間は、感光性材料の性質及び厚さ、及び輻射線源に依存する。例えば、1つの態様の場合、Kodak Polychrome Graphics(Norwalk, Connecticut)から入手可能なFLEXCEL SRH印刷版前駆体を、Kelleigh Corporation (Trenton, New Jersey)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上に載置し、そして感光性層の支持体側に薄い均一な硬化された層を調製するために、支持体を通してUV-A線による裏側露光を、35秒間にわたってこの印刷版前駆体に施すことができる。次いで画像形成されたフィルムを、FLEXCEL SRH印刷版前駆体の分離層に転写することができ、次いで、集成体を14分間にわたって、マスク画像を通してUV-A線に当てることができる。
【0154】
IV. 画像形成性物品からの画像形成されたフィルムの除去
本発明の方法の別の工程は、画像形成されたフィルムが再使用可能になるように、画像形成性物品から画像形成されたフィルムを除去することを伴う。本出願の目的上、「再使用可能」という用語は、画像形成されたフィルム、特にマスク画像が、別の画像形成性物品上に実質的に同じレリーフ画像を生成するためにその画像形成されたフィルムを使用できるほど十分に無傷のままであることを意味する。
【0155】
この工程の結果を図1Dに示す。図示のように、画像形成されたフィルムの除去後、リリース層8は、前の工程で示されたマスク画像4を有さない状態で、感光性材料10上に残る。
【0156】
例えば画像形成性物品から画像形成されたフィルムを引き剥がすことにより、画像形成されたフィルムを除去することができる。マスクを後続の感光性材料上で再使用することができるので、マスク画像の引き剥がし時には、これが歪まないように注意するべきである。画像形成されたフィルムの除去は手によって行うことができ、或いは機械的に行うこともできる。
【0157】
V. 画像形成性物品の現像
本発明の別の工程は、レリーフ画像を形成するために画像形成性物品を現像することを含む。画像形成性物品の現像は、感光性材料の未硬化部分及びリリース層を除去するのに役立ち、硬化用輻射線の波長においてレリーフ画像を画定する画像形成性材料の硬化された部分を残す。図1Eに示されているように、画像形成された物品の現像は、リリース層8及び感光性材料10の未硬化部分を除去するのに役立ち、感光性基体12上にレリーフ画像10を画定する硬化された部分を残す。
【0158】
1つの態様の場合、現像工程は、画像形成性物品を好適な現像剤で洗浄することを含む。好適な現像剤は、感光性材料の未露光領域を溶解、分散、又は膨潤させることができる。現像はおよそ室温で実施することができる。好適な現像剤は、有機溶液、水、水溶液又は半水溶液を含む。水を使用する場合、これは界面活性剤を含有してよい。現像剤は、感光性材料の化学的な性質に応じて選択されるべきである。好適な有機溶液現像剤は、芳香族又は脂肪族炭化水素、及び脂肪族又は芳香族ハロ炭化水素溶液、又はこのような溶液と好適なアルコールとの混合物を含む。他の有機溶液現像剤が、独国特許出願公開第38 28 551号明細書及び米国特許第5,354,645号明細書(Schober他)に開示されている。好適な半水性現像剤は、水と、水混和性有機溶液と、アルカリ性材料とを含有することができる。好適な水性現像剤は通常、水とアルカリ性材料とを含有する。他の好適な水性現像剤の組み合わせが、米国特許第3,796,602号明細書(Briney他)に記載されている。商業的に入手可能な1つの好適な現像剤は、DuPont Corporation(デラウェア州Wilmington)から入手可能なCYREL OPTISOL ROTARY PLATE WASHOUT SOLUTIONである。
【0159】
機械的な現像が好適である場合もある。現像のための機械手段は、感光性材料の未硬化部分を除去するために、画像形成性物品を擦るか又はブラッシングすることを含むことができる。溶剤現像と組み合わせて機械手段を採用することが一般に行われる。
【0160】
熱現像法が好適である場合もある。1つの熱現像法が、例えば米国特許出願公開第2004/0048199号明細書(Schadebrodt他)及びこの明細書中に論じられている参考文献に報告されている。感光性材料の未露光領域を吸収するために吸収剤層を使用する別の熱現像法が、米国特許第5,175,072号明細書(Martens)に報告されている。この明細書を参考のため本明細書中に引用する。他の熱現像法が好適である場合もある。
【0161】
レリーフ画像の現像後処理がいくつかの環境において好ましい場合がある。典型的な現像後処理は、過剰の溶剤を除去するためにレリーフ画像を乾燥させ、そして感光性材料をさらに固化又は架橋させるために(例えばレリーフ画像を硬化用輻射線にさらに当てることにより)感光性材料を後硬化させることを含む。このような現像後処理は当業者には明らかである。
【0162】
例えば、レリーフ画像をブロットするか又は拭って乾かし、次いで強制空気又は赤外線炉内で乾燥させることができる。乾燥時間及び温度は様々であってよい。炉乾燥に適した温度は、例えば約60℃を含んでよい。
【0163】
光重合プロセスが完成したこと、そして印刷版が印刷中及び貯蔵中に安定なままであることを保証するために、フレキソグラフィ印刷版に後露光を施すことができる。この後露光工程は、上記露光工程と同じ輻射線源を利用する。
【0164】
表面がまだ粘着性である場合には、脱粘着処理(「ライト仕上げ」と呼ぶこともできる)を用いることもできる。当業者に知られた方法、例えば臭素又は塩素溶液を用いた処理により、粘着性を排除することができる。このような処理は、例えば米国特許第4,400,459号明細書(Gruetzmacher)、米国特許第4,400,460号明細書(Fickes他)、及び独国特許第28 23 300号明細書に報告されている。脱粘着処理には、紫外線-可視線による露光が伴うこともある。
【0165】
結果として生じたレリーフ画像の深さは、感光性材料の元の厚さの約2〜40%であってよい。こうして、未硬化感光性材料の厚さが1500ミクロンである場合、レリーフ画像の深さは約500ミクロンであってよい。フレキソグラフィ印刷版の場合、深さは約150〜500ミクロンであってよい。PCBの場合、感光性材料の下側の金属層を露出させるために、感光性材料が露光された領域又は未露光領域において完全に除去される。このようにPCBの場合、レリーフの深さは、金属層上に配置された感光性材料の厚さに依存する。レリーフの厚さは、印刷版の隆起領域(「画像領域」としても知られる)内の硬化された感光性材料の厚さと、感光性材料が現像された印刷版の谷における硬化された感光性材料の厚さとの差である。
【0166】
VI. 画像形成されたフィルムの再使用
画像形成性物品から一旦除去されると、画像形成されたフィルムは次いで、他の画像形成性物品上に追加のレリーフ画像を形成するために再使用することができる。画像形成されたフィルムを第2の画像形成性物品に移し、第2の画像形成性物品を、画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当て、第2の画像形成性物品から画像形成されたフィルムを除去し、そして第2の画像形成性物品を現像する工程を、同じ画像形成されたフィルムを使用して実施することができる。これらの工程は次いで、更なる画像形成性物品で繰り返すことができる。画像形成されたフィルムを再使用することができる回数は、フィルムのタイプ、及び画像形成性物品から画像形成されたフィルムを除去する際に用いられる技術に依存する。たいていの場合、画像形成されたフィルムは、10回未満、より具体的には約5回の回数でレリーフ画像を形成するために使用することができる。
【0167】
本発明には、その思想及び範囲から逸脱することなしに、種々の改変及び変更を加えることができる。言うまでもなく、本明細書中に具体的には開示されていない要素の不在において、本発明を好適に実施することができる。本発明の好ましい態様を説明する上で、明確さを目的として特定の用語を使用する。しかし本発明はこのように選ばれた特定の用語に限定されるものではなく、言うまでもなく、こうして選ばれたそれぞれの用語は、同様に働く全ての技術的等価物を含む。
【実施例】
【0168】
BUTVAR B-76-Solutia, Inc.(ミズーリ州St. Louis)から入手可能なポリビニルブチラール樹脂。
EPOLIGHT 1178-Epolin, Inc.(ニュージャージー州Newark)から入手可能な、1073 nmで吸光する赤外色素。
PC 364-下記構造を有する赤外色素:
【0169】
【化1】
【0170】
SANTICIZER 160-Ferro Corporation(オハイオ州Walton Hills)から入手可能なブチルベンジルポリマー。
スーダンブラック-Lightning Powder Company, Inc.(オレゴン州Salem)から入手可能なブルーブラック色素溶液。
TRUMP色素-下記構造を有する、830 nmで吸収極大値を有する赤外線吸収色素:
【0171】
【化2】
【0172】
UVINUL 3050ーBASF(ドイツ国)から入手可能なUV吸収剤、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン。
【0173】
例1
Courtaulds Performance Films(ヴァージニア州Martinsville)から入手可能な耐引掻き性硬質塗膜を塗布された7ミル厚ポリエステル感光性基体に、アセトンとシクロヘキサノンとの4.5:1溶剤混合物中の5 %総固形分溶液として表1に挙げた成分を含有するアブレート可能な層の溶液を、#7塗布ロッドを使用して塗布した。硬質塗膜上に50 mg/ft2の塗膜重量を有するアブレート可能な層を形成するために、アブレート可能な層の溶液を190°Fで5分間にわたって乾燥させた。
【0174】
【表1】
【0175】
表2に挙げた成分の画像形成性材料溶液を、メチルイソブチルケトンとエチルアルコールとの2:1溶剤混合物中の7.5 %総固形分溶液として混合し、そして、#20塗布ロッドを使用して、アブレート可能な層に適用した。アブレート可能な層上に175 mg/ft2の塗膜重量を有する画像形成性材料層を形成するために、画像形成性材料溶液を、180°Fの炉内で3分間にわたって加熱した。
【0176】
【表2】
【0177】
画像形成されたフィルムを形成するために、エネルギー・レベル0.8 J/cm2のアブレーション・モードで1170 nm輻射線を発する、Esko-Graphics (ジョージア州Kennesaw)から入手可能なSparkレーザー熱画像形成装置を用いて、2540 dpiの丸いドットを使用して150ラインスクリーンのハーフトーン・テスト・パターンで画像形成性材料層に画像形成を施した。ベースフィルムを0.01上回るDmin、及びシャープなハーフトーン・ドットが視覚的に観察された。
【0178】
感光性基体、感光性材料、リリース層、及びカバーシートを含有するKodak Polychrome Graphics(コネチカット州Norwalk)から入手可能なFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体(「前駆体」)に、Kelleigh Corporation (ニュージャージー州Trenton)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上で、31秒間にわたってUV線による裏側露光を施し、そしてカバーシートを前駆体から引き剥がした。Advanced Grieg Laminators(AGL)(ウィスコンシン州Madison)から入手可能なAGLホットロール・ラミネーターの入口に前駆体を置き、そして物品を前駆体上に、画像形成性材料の画像形成された層が前駆体のリリース層に面する状態で置くことにより、画像形成されたフィルムを前駆体にラミネートした。次いで、前駆体と画像形成されたフィルムとを、ニップ圧40 psi、及びローラ表面温度約260°Fで一緒にラミネートした。ラミネーター速度は30インチ/分(76.2 cm/分)に設定した。
【0179】
前駆体にラミネートされた画像形成されたフィルムを、Kelleigh Corporation (ニュージャージー州Trenton)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上に、画像形成されたフィルムが輻射線源に面する状態で置いた。真空ドローダウンを用いることなしに、集成体を13分間にわたってUV線に当てた。
【0180】
露光に続いて、露光された前駆体から画像形成されたフィルムを手で引き剥がすことにより、画像形成されたフィルムを除去した。マスクに対する損傷は観察されなかった。
【0181】
次いで、レリーフ画像を形成するために、OPTISOL溶液を使用して、20分間にわたって露光された前駆体を現像した。現像後、レリーフ画像を2時間にわたって140°Fの炉内で乾燥させ、次いで、8分間にわたってUV-C線でライト仕上げするために、KELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上に戻した。最後に、レリーフ画像に、10分間にわたってUV-A線による後露光を施した。
【0182】
例2
画像形成されたフィルムを形成するために、エネルギー・レベル0.5 J/cm2のアブレーション・モードで830 nm輻射線を発する、ECRM(マサチューセッツ州Tewksbury)から入手可能なDESERTCAT DC88レーザー熱画像形成装置を使用して、2400 dpi[上記フィルムは2540 dpiで行われた]の丸いドットを使用して150ラインスクリーンのハーフトーン・テスト・パターンで、Eastman Kodak (ニューヨーク州Rochester)から入手可能なKodak Direct Image Thermal Recording Film 1401のシートに画像形成を施した。
【0183】
感光性基体、感光性材料、リリース層、及びカバーシートを含有するKodak Polychrome Graphics(コネチカット州Norwalk)から入手可能な第1のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体(「前駆体」)に、Kelleigh Corporation (ニュージャージー州Trenton)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上で、31秒間にわたってUV線による裏側露光を施し、そしてカバーシートを前駆体から引き剥がした。Advanced Grieg Laminators(AGL)(ウィスコンシン州Madison)から入手可能なAGLホットロール・ラミネーターの入口に前駆体を置き、そして画像形成されたフィルムを前駆体上に、画像形成性材料の画像形成された層が前駆体のリリース層に面する状態で置くことにより、画像形成されたフィルムを前駆体にラミネートした。次いで、前駆体と画像形成されたフィルムとを、ニップ圧40 psi、及びローラ表面温度約260°Fで一緒にラミネートした。ラミネーター速度は30インチ/分(76.2 cm/分)に設定した。
【0184】
前駆体にラミネートされた画像形成されたフィルムを、Kelleigh Corporation (ニュージャージー州Trenton)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上に、画像形成されたフィルムが輻射線源に面する状態で置いた。真空ドローダウンを用いることなしに、集成体を13分間にわたってUV線に当てた。
【0185】
露光に続いて、露光された前駆体から画像形成されたフィルムを手で引き剥がすことにより、画像形成されたフィルムを除去した。次いで第1の仕上げ済印刷版を形成するために、製造業者によって推奨されているように、前駆体に現像、乾燥、及び仕上げを施した。第1の仕上げ済印刷版上に1 %から99 %までのフレキソグラフィ・ドットが観察された。次いで、Mark-Andy 2200フレキソ・プレス上に印刷するために、仕上げ済印刷版を使用した。
【0186】
次いで、第2の仕上げ済印刷版を形成するために、第1のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体と同様に、画像形成されたフィルムを第2のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体に再ラミネートし、露光し、そして処理した。第2の仕上げ済印刷版の画質は、第1の仕上げ済印刷版の画質と視覚的に同じであった。
【0187】
例3(比較)
例2において使用された画像形成されたフィルムを第3のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体上に置くが、しかしこれにラミネートはしなかった。画像形成されたフィルムと第3の前駆体との集成体に露光を施す工程を真空ドローダウン圧力下で実施することを除けば、例2におけるのと同様に画像形成されたフィルム及び第3の前駆体を露光した。最後に、画像形成されたフィルムを第3の前駆体から除去し、そして仕上げ済印刷版を形成するために、例2におけるのと同様に第3の前駆体を処理した。第3の仕上げ済印刷版のハーフトーン・ドット領域は、斑点、及び陰影詳細の損失を示し、このことは本発明が、露光中に真空ドローダウン圧を採用する方法よりも解像度が高い画像をもたらし得ることを示す。
【0188】
次いで、リリース層を除去した第4のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体上に画像形成されたフィルムを置いた。画像形成されたフィルムと第3の前駆体との集成体に露光を施す工程を真空ドローダウン圧力下で実施することを除けば、例2におけるのと同様に画像形成されたフィルム及び第4のフレキソグラフィ前駆体を露光した。しかしながらこの例において、画像形成されたフィルムは第4のフレキソグラフィ前駆体から剥離せず、このことは、リリース層がフレキソグラフィ前駆体から画像形成されたフィルムを除去する能力を改善することを示す。
【0189】
例4(比較)
Eastman Kodak Co.(ニューヨーク州Rochester)から入手可能な画像形成されたKodak Premier PRD7フィルムの試料を、第5のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体にラミネートし、そして画像形成されたフィルムと第5の前駆体との集成体に露光を施す工程を真空ドローダウン圧力下で実施することを除けば、例2におけるのと同様に露光した。画像形成されたKodak Premier PRD7フィルムは、画像形成されたフィルムを再使用できるようには第5のフレキソグラフィ前駆体から剥離しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1A】図1A〜1Eは、本発明の方法を示す概略図であり、図1Aはマスク基体と、画像形成性材料層とを含む画像形成性フィルムから画像形成されたフィルムをデジタル形成する工程を表す。
【図1B】図1Bは感光性基体上の感光性材料と感光性材料上のリリース層とを含むフレキソグラフィ前駆体上に、画像形成されたフィルムをラミネートする工程を表す。
【図1C】図1Cはフレキソグラフィ前駆体を硬化用輻射線に当てる工程を表す。
【図1D】図1Dはフレキソグラフィ前駆体から画像形成されたフィルムを除去する工程を表す。
【図1E】図1Eはレリーフ画像を有するフレキソグラフィ印刷版を提供するために、フレキソグラフィ前駆体を現像する工程を表す。
【図2A】図2Aは、マスク基体、下塗り層、及び画像形成性材料を含む画像形成性フィルムの1つの態様を示す断面図である。
【図2B】図2Bは、マスク基体、アブレート可能な層、及び画像形成性材料を含む画像形成性フィルムの別の態様を示す断面図である。
【図2C】図2Cは、マスク基体、下塗り層、アブレート可能な層、及び画像形成性材料を含む画像形成性フィルムの別の態様を示す断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、さらにレリーフ画像を有する物品を形成するために再使用することができる除去可能なフィルムを使用して、レリーフ画像を有する物品を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフィック技術において、数多くのレリーフ画像形成方法が知られている。感光性ポリマーの表面上にレーザー・アブレート可能なマスク層(又はいわゆる「一体マスク」)を含む感光性物品を、写真ネガ又は他の別個のマスキング装置を使用することなしに、レリーフ画像を有する物品にすることができる。これらの感光性物品は、まず、露光された領域内のマスク層を選択的に除去するために、(一般にはコンピューター制御下で赤外線レーザーからの)レーザー輻射線による像様露光を感光性物品に施し、次いで、マスキングされていない領域内の感光性層を硬化するために化学線による全体露光を施すことにより、レリーフ画像に作り変えられる。次いで、マスク層の残留領域及び感光性層の未硬化部分は、1つ又は2つ以上の液体現像プロセスによって除去される。一体マスク層を有するフレキソグラフィ物品の例が、米国特許第5,262,275号明細書(Fan)、同第5,703,310号明細書(Van Zoeren)、同第5,719,009号明細書(Fan)、同第6,020,108号明細書(Goffing他)、及び同第6,037,102号明細書(Loerzer他)に記載されている。米国特許第6,759,175号明細書(Daems他)には、一体マスクに画像を形成し、そしてUV感光性材料を硬化する前に、UV感光性材料上に一体マスクを形成するために接着剤を使用することにより、アブレート可能なマスク層をUV感光性材料にラミネートする方法が報告されている。
【0003】
レーザー・アブレート可能なマスク層を有する要素は、レーザーによる直接像様露光を可能にし、そして別個のマスキング装置を必要とはしないが、マスクを形成するための画像形成時間が極めて長い。それというのも赤外線に対する感光性が、既知の一体マスク・システムの場合低いからである。感度は一般には、約1 J/cm2以上であり、そしてより典型的には約3 J/cm2である。
【0004】
近年、熱可燃性高分子バインダー及び特定の脂肪族ジエステルを使用することにより、アブレート可能なマスク層の赤外線感光性を改善するために、米国特許第6,521,390号明細書(Leinenbach他)に報告されているような試みが為されている。より高い感光性、及びこのようなものとして、より短い露光時間を達成することはできるものの、この構造の場合、露光前に除去しなければならないカバーシートに対して、アブレート可能なマスク層の望ましくない付着が生じる。米国特許第6,599,679号明細書(Philipp他)のC1及びC2、表2を参照されたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一体マスク構造の場合には、より高い感光性を達成するのは難しい。それというのも、レーザー・アブレート可能な層は、広範囲に変化する多数の品質基準を満たさなければならないからである。米国特許第6,599,679号明細書、第2欄、第1〜29行を参照されたい。アブレート可能な層内にポリエーテル-ポリウレタン・バインダーを使用することが、米国特許第6,599,679号明細書に報告されているが、しかし、画像形成速度の向上はわずかなものである(表2において報告された例1〜3;比較例C6参照)。
【0006】
さらに、フレキソグラフィ印刷版を製造するための一体マスク・アプローチは、一体マスク・フレキソグラフィ物品を画像形成するために特異的に構成された高出力のレーザーを備えた画像形成装置、例えばEsko-Graphics (ジョージア州Kennesaw)製のCYREL Digital Imager (CDI SPARK)、及びCreo (ブリティッシュコロンビア州Burnaby)製のThermoFlexの使用を必要とする。特定の印刷用途に応じてフレキソグラフィ印刷版の厚さを変える必要があるので、一体マスク・フレキソグラフィ物品には、2つ以上の画像形成装置が必要となることがある。これとは対照的に、「コンピューターツープレート(computer to plate」の平版印刷用途(例えばCreoのTRENDSETTER)、及びデジタル・プルーフィング用途(例えばECRMのDESERTCAT 88)のためのコンベンショナルな画像形成装置を本発明において使用することができる。
【0007】
画像形成性材料上にレリーフ画像を生成するためのアナログ法も知られている。典型的なアナログ法において、非付着性マスクが、多くのプロセスのうちの1つ、例えばハロゲン化銀乳剤を介して形成される。マスクは次いで、露光のための感光性材料上に置かれる。これらのマスクは感光性材料に付着しないので、露光工程中に滑る傾向がある。感光性材料に輻射線が当てられている間、マスクが滑らないようにするために、露光工程は真空中で行われる。真空は、感光性材料にマスクを引き付け、ひいては、マスクと感光性材料との間に閉じ込められ得るあらゆるスペース又はエアポケットを排除し、こうして、マスクと感光性材料との間の光学的接触を可能にする。光学的接触が達成されない場合、露光工程における光は、これがエアポケットに達すると散乱し、その結果、マスク上の所期画像を正確には表さないレリーフ画像をもたらすおそれがある。真空はまた、露光工程中におけるマスクの滑りを防止する。アナログ印刷法のこの特徴は、「真空ドローダウン」として広く知られている。少なくとも1つの形態において、本発明の方法は、真空ドローダウン工程が必要とされないように、硬化工程中に画像形成性物品に付着する画像形成されたフィルムを利用する点で、アナログ法とは異なっている。他方において、画像形成されたフィルムはまた、画像形成性物品からこれを除去して再使用し得るという特徴をも有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様の場合、本発明の方法は、画像形成されたフィルムを形成するために、画像形成性材料を含有する画像形成性フィルムを、画像形成用輻射線に像様露光させ、感光性材料及びリリース層を含む画像形成性物品に、画像形成されたフィルムをラミネートし、画像形成性物品を、画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当て、画像形成されたフィルムが再使用可能となるように、画像形成性物品から画像形成されたフィルムを除去し、そしてレリーフ画像を形成するために画像形成性物品を現像する各工程を含む。
【0009】
リリース層は、画像形成性物品を硬化用輻射線に当てた後に画像形成されたフィルムを除去することを容易にする。印刷版前駆体の商業的態様はしばしば、感光性材料上に塗布されたリリース層を含む。
【0010】
別の態様において、本発明は、画像形成されたフィルムを再使用する方法を含む。この態様はさらに、画像形成されたフィルムを第2の画像形成性物品にラミネートし、第2の画像形成性物品を、画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当て、画像形成されたフィルムが再使用可能となるように、第2の画像形成性物品から画像形成されたフィルムを除去し、そして、レリーフ画像を形成するために画像形成性物品を現像する各工程を含む。これらの工程は、追加の画像形成性物品で繰り返すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法を用いることによって、厚いフレキソグラフィ物品のドラム系画像形成システムにおける(亀裂形成、指紋付着などの傾向と関連する)取り扱い、取り付け、及び回転に関連する問題を回避することができる。例えば、画像形成性物品が厚いフレキソグラフィ印刷版前駆体である場合、画像形成されたフィルムをフレキソグラフィ前駆体に転写した後、フレキソグラフィ前駆体をほぼ平らなままの状態で硬化させることができる。
【0012】
本発明のさらに別の利点は、画像形成されたフィルムを画像形成性物品に転写する前に画像形成されたフィルム及びマスク画像を試験できることである。このことは、レリーフ画像が生成される前にマスク画像が「プルーフ」され補正されるのを可能にする。画像形成性物品は典型的には、マスク画像を形成するのに使用される画像形成性フィルムよりも著しく高価なので、レリーフ画像の生成においてコスト節減を実現することができる。このことは、画像形成性物品がフレキソグラフィ前駆体である場合に特に当てはまる。
【0013】
本発明により提供される方法は、レリーフ画像を形成する一体マスク法と比較して有利である。例えば、このマスク画像は、画像形成感光性が著しく高いことにより、一体マスク物品が画像形成される場合よりも著しく短時間で形成することができる。本発明のいくつかの態様の場合、例えば、このマスクの画像形成に必要となるのは、一体マスクの場合1.7〜2.0 J/cm2であるのに対して約0.5 J/cm2にすぎない。米国特許第6,599,679号明細書(Philipp他)の表2で報告された例1〜3を参照されたい。加えて、一体マスクが未硬化感光性材料とともに現像され、従って再使用不能であるのに対して、本発明のマスク画像は再使用することができる。
【0014】
本発明によりマスク画像を形成する際により高い画像形成感光性が達成されることにより、以前より知られている一体マスク画像形成システムに必要とされるレーザーほどには強力でないレーザーで済むという事実により、妥当なスループットにおいて、より低コストの画像形成装置の使用が可能になる。本発明の実施において使用される画像形成装置は、特殊化されたフレキソグラフィ画像形成装置よりもコストが低く、また広範囲に採用されるので、本発明は、より多くの商業的環境においてフレキソグラフィ印刷版の製造を可能にする。印刷版及びプルーフィングのための商業的に利用可能なコンピューターツープレート(CTP)装置を使用することにより、フレキソグラフィ印刷版、平版印刷版用プルーフィング・フィルム、又はCTP平版印刷版を製造するための(本発明による)マスク画像を形成するために、同じ画像形成装置を使用することが可能になる。
【0015】
種々の感光性材料及び用途との組み合わせにおいて、転写可能なマスクを使用することができるので、転写可能なマスクも製造のフレキシビリティを提供する。必要に応じて、商業的に入手可能な感光性材料との組み合わせにおいて、転写可能なマスクを使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の方法の工程、及びこの方法において使用される構成部分を以下にさらに説明する。
【0017】
I. 画像形成用輻射線による画像形成性フィルムの像様露光
この方法の1つの工程は、画像形成性フィルムに画像形成用輻射線による像様露光を施し、その結果、レリーフ画像を形成するために続いて使用される画像形成されたフィルムをもたらすことを含む。画像形成性フィルムに画像形成用輻射線による像様露光を施す工程は、画像形成性材料の露光された領域と未露光領域とを生成する。次いで、画像形成性材料の露光された領域は、種々様々な画像形成メカニズムを介してフィルムから除去することができる。画像形成されたフィルムを形成するには、種々様々な画像形成用メカニズムが適している。画像形成されたフィルムを形成するために選択される画像形成用メカニズムのタイプは、下で論じるように、画像形成性フィルムの可能な変化を決定することになる。
【0018】
A. 画像形成性フィルム
画像形成性フィルムは、少なくとも、マスク基体と画像形成性材料とを含む。画像形成性材料は一般に、1つ又は2つ以上の層の比較的均一な塗膜として、マスク基体上に配置される。画像形成性フィルムは任意選択的に、1つ又は2つ以上の追加の層、例えば下塗り層又はアブレート可能な層を含むことができる。
【0019】
図2Aに示された1つの態様の場合、画像形成性フィルムは、マスク基体20上に配置された下塗り層18と、下塗り層18上に配置された画像形成性材料16とを含む。
【0020】
図2Bに示された別の態様の場合、画像形成性フィルムは、マスク基体26上に配置されたアブレート可能な層24と、アブレート可能な層24上に配置された画像形成性材料22とを含む。
【0021】
さらに別の態様の場合、画像形成性フィルムは、マスク基体34上に配置された下塗り層32と、下塗り層32上に配置されたアブレート可能な層30と、アブレート可能な層30上に配置された画像形成性材料28とを含む。
【0022】
画像形成性フィルムに、通常は走査赤外線レーザー源からの画像形成用輻射線による露光を施す場合、輻射線は、画像形成性材料中のエネルギー吸収剤、及びもし画像形成性フィルム内に含まれているのであればアブレート可能な層内のエネルギー吸収剤によって吸収される。このことは、画像形成用輻射線に当てられた領域内で、マスク基体から画像形成性材料を転写させる。この方法は、米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)に概要が示されている。この明細書引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる。画像形成用輻射線による露光に続いて、マスク基体上に残っている画像形成されたフィルムの画像形成性材料及び他の層をまとめてマスク画像と呼ぶ。例えば、1つの態様の場合、マスク画像は、アブレート可能な層、マスク基体上に残っている画像形成性材料を意味する。マスク画像とマスク基体との組み合わせは、画像形成されたフィルムと呼ばれる。マスク画像を形成するプロセスは、米国特許出願第11/081,018号明細書(引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる)にも記載されている。
【0023】
マスク基体、画像形成性材料、及び任意の層について以下にさらに説明する。
【0024】
1. マスク基体
画像形成性フィルムのマスク基体は任意の好適な基体であってよい。好適な基体は、例えばプラスチック・シート及びフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレート、フルオレンポリエステルポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、及びこれらのコポリマー、及び加水分解型及び非加水分解型酢酸セルロースを含む。
【0025】
マスク基体は、硬化用輻射線に対して十分に透明であるべきである。マスク基体が画像形成用輻射線に対して十分に透明であることが望ましい場合がある(必ず必要というわけではない)。いくつかの態様の場合、マスク基体は透明高分子フィルムであってよい。一般に採用されるマスク基体の一例は、ポリエチレンテレフタレート・シートである。典型的にはポリエチレンテレフタレート・シートの厚さは、約20 μm〜200 μmである。商業的に入手可能なポリエチレンテレフタレート・シートの一例は、DuPont Teijin Films(Hopewell, Virginia)によって、MELINEX、例えばMELINEX 574の名称で販売されている。
【0026】
必要な場合には、マスク基体は、その湿潤性及び後続の層に対する付着力を改質するように表面処理することができる。このような表面処理は、コロナ放電処理を含む。
【0027】
マスク基体は、静電防止塗膜を含むこともできる。静電防止塗膜は、マスク基体のいずれの側にも塗布することができ、或いは、多層マスク基体の層間に配置することができる。散逸性塗膜としても知られる静電防止塗膜は、金属化フィルムと同様に、マスク基体に静電散逸を提供する。商業的に入手可能な静電防止塗膜の1つの例は、CZ Inks(ミズーリ州St. Louis)から入手可能なCLEARSTAT静電塗膜である。他の好適な静電防止塗膜が当業者に知られている。
【0028】
2. 下塗り層
画像形成性フィルムは、マスク基体上に配置された、付着促進体としても知られる下塗り層、又は耐引掻き性硬質塗膜又は硬化型ゼラチン層を含有することができる。下塗り層は、ラミネーション後に光学的接触を提供し、そして、画像形成中に画像形成性材料が除去された領域において、感光性材料からマスク画像を除去するのを助ける。従って、好適な下塗り層は、画像形成用輻射線に当てられたときに画像形成性材料とともに画像形成用輻射線によって除去されることはない。好適な下塗り層は、例えば約90℃を上回る高いガラス転移温度(Tg)を有する。下塗り層のための好適な成分は、アクリレート、例えばヒダントインヘキサアクリレートを含む。これらの下塗り成分は溶剤とともに適用し、次いで架橋を誘発させるためにUV又は熱で硬化させることができる。
【0029】
下塗り層は好適なマスク基体上に予め塗布することができる。例えば、下塗り層を塗布されたマスク基体は、Courtaulds Performance Films (バージニア州Martinsville)から商業的に入手可能であり、「下塗り型PET」と呼ばれることがある。
【0030】
典型的には、下塗り層はマスク基体上に、厚さ0.1〜2.0ミクロンまで塗布される。
【0031】
3. アブレート可能な層
画像形成性フィルムは、マスク基体と画像形成性材料との間に配置されたアブレーション可能な層を含有してよい。アブレート可能な層は、画像形成法が例えばアブレーション・メカニズムを含む場合に特に好適であり得る。
【0032】
好適なアブレート可能な層及びこれらの調製が、例えば米国特許第5,468,591号明細書及び同第5,576,144号明細書(Pearce他)、及び同第6,369,844号明細書(Neumann他)に記載されている。アブレート可能な層は、バインダー、より具体的には「熱可燃性」バインダーを含むことができる。熱可燃性バインダーは、米国特許第6,521,390号明細書(Leininbach他)に報告されている。一例を挙げるならば、好適な熱可燃性バインダーは、ポリ(アルキルシアノアクリレート)及びニトロセルロースを含む。他の好適な熱可燃性ポリマー、例えばグリシジルアジドポリマー(GAP)、及びその他のアジド基含有ポリマーが、米国特許第5,278,023号明細書(Bills他)及び同第6,027,849号明細書(Vogel)に記載されている。
【0033】
アブレート可能な層は、粒状材料、例えば金属酸化物粒子を含んでよい。アブレート可能な層内に使用するための好適な1粒状材料は、Toda Kogyo Corp.(日本国広島)から入手可能な酸化鉄材料である。粒状材料は、画像形成又は硬化用輻射線に対して高い光学濃度を提供することができる。金属酸化物粒子は、アブレーション画像形成メカニズムに有利であり得る。なぜならば、これらは駆出ガスを発生させるために熱分解することができるからである。他の好適な粒子及び金属酸化物粒子が、例えば米国特許出願公開第2001/0026309号明細書に報告されている。
【0034】
アブレート可能な層は任意選択的に、赤外線吸収色素を含むことができる。具体的には、アブレート可能な層のための赤外線吸収色素は、米国特許第5,935,758号明細書に報告されたカチオン性赤外線吸収色素である。特に好適な赤外線吸収色素は、光熱漂白性色素である。
【0035】
アブレート可能な層は架橋剤を含んでもよい。架橋剤の使用は、アブレート可能な層により大きな耐熱性を付与することができる。架橋剤の例は、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、例えばUCB Group(ベルギー国)製のRESIMENE、ジアルデヒド、例えばグリオキサール、フェノール樹脂、例えばBorden Chemical Inc.(オハイオ州Columbus)製のDURITE、多官能性アジリジン、イソシアネート、例えばBayer Corp.(ベンシルヴェニア州Pittsburgh)製のDESMODUR AP、尿素-ホルムアルデヒド、エポキシ樹脂、例えばShell Chemical (テキサス州Houston)のEPON 1001を含む。その他の多くの好適な架橋剤が当業者に知られている。
【0036】
4. 画像形成性材料
画像形成性材料は、一般に、比較的均一な塗膜(すなわち実質的に連続的であり、厚さがほぼ均一である)としてマスク基体上に配置される。いくつかの態様の場合、画像形成性材料は、単層としてマスク基体上に存在する。例えば、アブレーション材料とエネルギー吸収剤とを1つの層内で組み合わせることができる。他の態様の場合、画像形成性材料は、選択された画像形成法に応じて、2つ以上の層を含むことができる。例えば、画像形成性材料は、エネルギー吸収層と、エネルギー吸収層に隣接する、アブレーション材料を含む層とを含むことができる。
【0037】
画像形成性材料は、複数の成分、例えば着色剤(例えば染料又は顔料)と、バインダー中に分散されたエネルギー吸収剤とを含む。画像形成性材料中には、他の成分が含まれてもよい。
【0038】
画像形成性材料の1成分は着色剤である。着色剤は、例えば反射率によって硬化用輻射線を吸収又はブロックするように選択される。本明細書中に使用される「着色剤」という用語は、マスク画像を通過する硬化用輻射線の透過を実質的に阻止する成分を示す。「着色剤」という用語は、成分が可視色を画像形成性材料に必ず提供又は付与することを示すものではないが、そのようになっていてもよい。
【0039】
着色剤は一般に、所望のスペクトル特性を提供する1種又は2種以上の染料又は顔料を含む。着色剤は好ましくは、画像形成性材料の固形分含有量を基準として、約10〜50 wt%の量で、画像形成性材料中に存在する。
【0040】
着色剤は、分散剤の補助を伴って又は伴わずに、画像形成性材料内部に分散されるのに十分に小さな粒子サイズを有する粒状材料であってよい。画像形成性材料中に使用するのに適した着色剤は、顔料、非昇華性色素、又は昇華性色素を含む。顔料及び非昇華性色素が好適に採用される。なぜならばこれらは移動する傾向がないからである。画像形成に際して顔料分散体を使用することは当業者によく知られており、そしてその目的に有用な任意のコンベンショナルな顔料を本発明において使用することができる。
【0041】
本発明の1つの態様において、着色剤はブラック色素又は顔料である。好適なブラック色素又は顔料は、可視スペクトル全体にわたるほぼ全ての波長、例えば約350〜750 nmでエネルギーを吸収する。しかし、ブラック色素又は顔料は、例えば、赤外線又は紫外線の領域で同様に吸収することもできる。好適なブラック色素又は顔料は、可視スペクトル内部の種々異なる波長を吸収する色素及び顔料を含むこともできる。これらの色素又は顔料は例えば、実際には、濃いブルー又はその他の色であってよい。ブラック色素又は顔料は、色素又は顔料の混合物、又は色素及び顔料の両方の混合物を含むことができる。これらの色素及び顔料は個別にはブラックであってもなくてもよいが、しかし混合されると、ニュートラルな黒色を提供する。例えば、BASF(ドイツ国)から入手可能な、ニュートラルな黒色を提供するNEPTUNブラック、ブルー・シェード・マゼンタ、及びレッド・シェード・イエロー・ピグメントの混合物が好適な場合がある。Runnemade Dispersions KV(英国)製のDISPERCEL CBJも着色剤として好適な場合がある。
【0042】
1つの好適なブラック顔料はカーボンブラックである。カーボンブラックは、ニュートラルな色と好適なカバー力とを示す。最大色強度のために小さな粒子を有するカーボンブラックを使用することが望ましい場合がある。平均粒子サイズ30 nm未満の微粒子状カーボンブラック等級が特に好適である。好適なカーボンブラック顔料の例は、Colombian Chemicals Co. (ジョージア州Atlanta)から入手可能なRAVEN 450、760 ULTRA、890、1020、1250、及びその他のもの、並びに、Cabot Corp. (マサチューセッツ州Waltham)から入手可能なBLACK PEARLS 170、BLACK PEARLS 480、VULCAN XC72、BLACK PEARLS 1100、及びその他のものを含む。その他の好適なカーボンブラックは、Degussa (ドイツ国)のPRINTEX U、PRINTEX L6、SPEZIALSCHWARZ 4又はSPEZIALSCHWARZ 250を含む。カーボンブラックは例えば、画像形成性材料の総固形分重量の約10〜50%、より具体的には約10〜40%、さらにより具体的には約10〜30%を占めてよい。
【0043】
カーボンブラックだけを含有する画像形成性材料は、カーボンブラック粒子によって赤外線が固有に吸収されることにより、調製が難しい。画像形成性材料内部のカーボンブラックの過熱の結果、マスク画像の濃度の損失、又は拡散の増大が生じることがある。マスク画像の拡散により、最終的な画像形成された物品のエッジ鮮鋭度が悪化するおそれがある。1種又は2種以上の非赤外線吸収ブラック色素又は顔料をカーボンブラックと組み合わせて不透明な輻射線感光性材料中に内蔵することにより、輻射線に対する妨害が低減され、そして結果として生じる画像形成された物品の品質が改善される。カーボンブラックの濃度が著しく低減されても、好適な色中立性及び不透明性は維持される。
【0044】
顔料としてやはり好適なのは、非炭素質粒状材料、例えば金属粒子又は金属酸化物粒子である。
【0045】
本発明の別の態様の場合、着色剤は、非赤外線吸収ブラック色素又は顔料であってよい。非赤外線吸収ブラック色素又は顔料は、赤外線を最小量だけ吸収するか又は全く吸収しない色素又は顔料を含む。この態様の場合、別個の赤外線吸収剤によって吸収される赤外線領域内の画像形成用輻射線を使用して、マスク画像が形成される。着色剤はこの場合、硬化用輻射線に対して不透明(又は反射性)となる。硬化用輻射線は一般に紫外線である。非赤外線吸収着色剤は、赤外線吸収剤に対する妨害がほとんど又は全くない限り、この態様において若干の赤外線を吸収することができる。例えば、非赤外線吸収ブラック色素又は顔料は使用濃度において、約0.5吸収単位未満、より具体的には約0.1吸収単位未満の赤外線を吸収することができる。
【0046】
非赤外線吸収ブラック色素又は顔料は、例えば、BASF(ドイツ国)製のNEPTUN Black X60、PALIOGEN Black S 0084、並びに、Ciba Specialty Chemicals (ニューヨーク州、Tarrytown)製のMICROLITH Violet B-Kを含む。その他の好適な非赤外線吸収ブラック色素が、米国特許第6,001,530号明細書(Kidnie他)に見いだすことができる。この明細書引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる。
【0047】
別の態様の場合、画像形成性材料は、着色剤として紫外線吸収色素を含むことができる。この色素は典型的には、感光性材料が感光する、そして全体露光のための硬化用輻射線として使用されるスペクトル領域において、強い吸収度を有する。紫外線吸収色素は、約250〜約600 nmの範囲内、より典型的には約300 nm〜約500 nmにおいて吸収最大値を有することができる。現像剤可溶性色素が好ましい。このような色素の例が、米国特許第3,769,019号明細書(Weise他)、同第4,081,278号明細書(Dedias他)、及び同第5,399,459号明細書(Simpson他)に報告されている。好適な紫外線吸収色素の例は、BASF(ドイツ国)製のUVINUL、例えばUVINUL 3050、及びKeystone Aniline Corporation(イリノイ州Chicago)製のKEYPLAST YELLOW GCの名称で市販されている色素を含む。
【0048】
画像形成性材料はエネルギー吸収剤を含むこともできる。画像形成用輻射線によってエネルギー吸収剤が励起されると、着色剤又は画像形成性材料の転写、又は硬化用輻射線に対する画像形成性材料の透明性又は不透明性を変化させる物理的又は化学的変化が開始される。いくつかの態様の場合、着色剤は、エネルギー吸収剤として作用し、そして別個のエネルギー吸収剤を含むことは必要とされない。換言すれば、これらの態様の場合、着色剤は二重の機能を果たす。しかし他の態様の場合、画像形成性材料を画像形成用輻射線に対して増感させるために、別個のエネルギー吸収剤が存在する。
【0049】
1つの態様の場合、エネルギー吸収剤は赤外線吸収剤を含むことができる。赤外線吸収剤は例えば、赤外線を熱に変換することができる。赤外線は例えば、750〜1200 nmにあってよい。画像形成性材料中に熱が発生する結果、画像形成性材料の他の成分の物理的又は化学的変化が生じ、或いは、アブレーションが誘発される。好適な赤外線吸収剤の例は、赤外線吸収色素、例えばシアニン赤外線吸収色素、赤外線吸収顔料、例えばカーボンブラック又は金属、例えばアルミニウムを含む。
【0050】
いくつかの態様の場合、赤外線吸収色素はカチオン性色素である。バインダー及び画像形成性材料の他の成分と組み合わせると、カチオン性色素は透明フィルムを生成する。本発明の転写材料において使用するのに適したカチオン性色素は、テトラアリールポリメチン(TAPM)色素、アミン・カチオン・ラジカル色素、及びこれらの混合物を含む。好ましくは、色素はテトラアリールポリメチン色素である。これらのクラスの色素は、画像形成性材料からの塗膜の他の成分と一緒に調製されると、典型的には安定であり、そして、一般に利用可能なレーザー源と一緒に使用するための正しい波長域内で吸収する。さらに、これらのクラスの色素は、レーザー輻射線によって光励起されると、潜在的な架橋剤と反応すると考えられる。
【0051】
TAPM色素は、奇数の炭素原子(5又は6以上)を有するポリメチン鎖を含み、鎖のそれぞれの末端炭素原子は、2つのアリール置換基に結合されている。TAPM色素は一般には、700〜900 nmで吸収し、これらの色素をダイオード・レーザー・アドレスに適したものにする。好適なTAPM色素が例えば米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)に記載されている。
【0052】
好適なカチオン性赤外線吸収色素は、国際公開第90/12342号パンフレット、及び欧州特許出願公開第0 739 748号明細書に報告されたアミン・カチオン・ラジカル色素(インモニウム色素としても知られる)のクラスを含む。好適なカチオン性赤外線吸収色素が米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)にも記載されている。
【0053】
赤外線吸収色素は好ましくは、露光波長において、少なくとも約0.5、より好ましくは少なくとも約0.75、最も好ましくは少なくとも約1.0の透過光学濃度を提供するのに十分な量で存在する。典型的には、このことは、画像形成性材料の固形分含有量を基準として、約3〜20 wt%の赤外線吸収色素で達成される。
【0054】
別の態様の場合、エネルギー吸収剤は紫外線吸収剤を含んでよい。紫外線吸収剤は、例えば約150〜400 nmの輻射線を吸収することができる。
【0055】
画像形成性材料は、バインダーを含んでもよい。好適なバインダーは、画像形成性材料中に含まれる他の成分を溶解又は分散することができる。バインダーは、画像形成性フィルムを画像形成するために使用されるメカニズムに応じて、他の目的を果たすことができる。
【0056】
総バインダーは典型的には、画像形成性材料の固形分含量を基準として、約25〜75 wt%の量で、そしてより好適には約35〜65 wt%の量で存在する。
【0057】
種々様々なバインダーは、本発明の実施において好適である場合がある。この場合、バインダーは、選択された画像形成法に応じて選ばれる。バインダーは、画像形成性材料の選択されたその他の成分と適合性を有するべきであり、好適な塗布用溶剤、例えば低級アルコール、ケトン、エーテル、炭化水素、及びハロアルカンなどに可溶性であるべきである。
【0058】
1つの態様の場合、バインダーは低粘着性接着バインダーを含む。低粘着性接着バインダーの例は、例えばHenkel Corporation (ミネソタ州Minneapolis)製のMACROMELT 6900、及びいくつかのポリアミド樹脂、例えばArizona Chemical Co.(フロリダ州Jacksonville)から入手可能なUNI-REZ 5803を含む。
【0059】
例えば画像形成メカニズムとしてレーザー誘起型フィルム転写(「LIFT」)システムが採用される場合に、バインダーは、複数のヒドロキシ基(すなわち「ヒドロキシ・ポリマー」)を含有する高分子材料であってよい。この態様の場合、好ましくは、バインダーの100 %がヒドロキシ・ポリマーである。ヒドロキシ基は、アルコール基又はフェノール基、又はその両方であってよい。主としてアルコール基を含むバインダーが好適である。ヒドロキシ官能性モノマー、例えばアリルアルコール及びヒドロキシアルキルアクリレート又はメタクリレートの重合又は共重合によって、或いは、予め形成されたポリマーの化学変換によって、例えば、ビニルエステル(例えば酢酸ビニル)のポリマー及びコポリマーの加水分解により、ヒドロキシル・ポリマーを得ることができる。高度のヒドロキシ官能性を有するポリマー、例えばポリ(ビニルアルコール)、セルロースなどが、原則的には本発明における使用に適しているが、しかし実際には、可溶性及びその他の物理化学特性が、たいていの用途にとって余り理想的ではない。ヒドロキシ基のバルクをエステル化、エーテル化、又はアセタール化することにより得られる、このようなポリマーの誘導体は一般に、優れた可溶性及び皮膜形成特性を示し、そして、少なくとも小さな割合のヒドロキシ基が反応しないまま残るものとすると、これらの誘導体は本発明における使用に適している。
【0060】
バインダーとして使用するのに適した1種のヒドロキシル・ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)とブチルアルデヒドとを反応させることによって形成された反応生成物である。この反応生成物の商業等級は典型的には、少なくとも5%のヒドロキシ基を未反応のまま残し(すなわち遊離)、そして大抵の場合には一般的な有機溶剤中にあり、また優れた皮膜形成特性及び顔料分散特性を有する。
【0061】
商業的に入手可能な好適なヒドロキシル・ポリマーは、Solutia, Inc. (ミズーリ州St. Louis)からBUTVAR B-76の商品名で入手可能なポリビニルブチラールポリマーである。この特定のポリマーの軟化範囲は140℃〜200℃である。BUTVARシリーズのポリマーから得られる他のヒドロキシル・バインダーを使用することもできる。Kuraray America, Inc. (ニューヨーク州New York)からMOWITALの商品名で入手可能なポリビニルブチラールポリマーも好適である。
【0062】
或いは、1種又は2種以上の非架橋性バインダーと1種又は2種以上のヒドロキシ官能性バインダーとのブレンドを使用することもできる。非架橋性バインダーは、着色剤の転写を妨害しないように、本発明において使用される画像形成メカニズムと適合性を有するべきである。すなわち、非架橋性バインダーは、画像形成中に用いられる条件に晒される時には無反応であるべきである。好適な非架橋性バインダーは、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリカルバメート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリアクリレート、及びポリメタクリレートなどを含む。画像形成性材料中で上記ヒドロキシル・バインダーと合体することができる、商業的に入手可能な好適な非架橋性バインダーの一例は、DuPont(Wilmington, Delaware)からELVACITEの商品名で入手可能なポリ(メチルメタクリレート)を含む。
【0063】
画像形成性材料は任意選択的に、溶融又は軟化された画像形成性材料の転写、及び、十分に定義された、概ね連続的な、そして比較的シャープなエッジを有するハーフトーン・ドット(すなわち画素)の生成を増強するためのフルオロカーボン添加剤を含む。画像形成条件下では、フルオロカーボン添加剤は、レーザー露光された加熱された領域と未露光領域との間の界面において、画像形成性材料内部の凝集力を低減するために働き、そしてこれにより、画像形成性材料の主面に対して垂直な方向における、露光された領域のきれいな「剪断」を促進すると考えられる。このことは、よりシャープなエッジを有するドットの完全性の改善を可能にする。それというのは、露光された領域が画像形成性材料の残りから分離するにつれて、「裂断」又はその他の歪みの傾向が少なくなるからである。
【0064】
選ばれた添加剤が通常の塗布・乾燥条件下で実質的に不揮発性であり、そしてバインダーと十分に適合性を有することを条件として、フルオロカーボン添加剤として種々様々な化合物を採用することができる。こうして、高不溶性フルオロカーボン、例えばポリテトラフルオロエチレン及びポリビニリデンフルオリドは、ガス及び低沸点液体、例えばペルフルオルアルカンと同様に不適当である。上記制約とともに、高分子材料及び低分子量材料の両方を使用することができる。
【0065】
好適なフルオロカーボン添加剤の例は、米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)に記載されている。画像形成性材料は、米国特許第6,664,020号明細書(Warner他)に記載されているようなフルオロカーボン添加剤を含むこともできる。その他の好適なフルオロカーボン化合物が、欧州特許出願公開第0 602 893号明細書に報告されている。これらの明細書を本明細書中に引用する。好適なフルオロカーボン添加剤は、70%の直鎖と30%の分枝鎖とを含む、式(C8F17)SO2NH(CH2CH3)を有するスルホンアミド化合物N-エチルペルフルオロオクタンスルホンアミドである。フルオロカーボン添加剤は典型的には、画像形成性材料の固形分含量を基準として、約1〜10wt%の量で使用される。好ましくは、フルオロカーボン添加剤と着色剤との重量比は、少なくとも約1:10であり、より好ましくは少なくとも約1:5である。
【0066】
画像形成性材料のいくつかの態様において、潜在的な架橋剤が採用される。画像形成性メカニズムとしてLIFTシステムが採用される場合、潜在的な架橋剤が特に好適であることがある。本明細書中に使用される「潜在的な架橋剤」は、レーザー・アドレス条件下でのみ架橋を引き起こすことができる化合物である。レーザー画像形成中、潜在的な架橋剤は光励起された赤外線吸収色素と反応し、これによりヒドロキシル・バインダーの架橋を開始させる。こうして、架橋がレーザー画像形成中に発生する。
【0067】
好適な潜在的な架橋剤は、例えばジヒドロピリジンから誘導された化合物を含む。ジヒドロピリジンの好適な誘導体は、環位置のいずれかで、適切な置換基、例えばアルキル又はアリール基と置換することができる。具体的にはジヒドロピリジンの3,5-ジカルボン酸ジエステル誘導体が、潜在的な架橋剤として好適である。ポリマー主鎖内に組み込まれたジヒドロピリジンの3,5-ジカルボン酸ジエステル誘導体を含むポリマーが好適な場合もある。画像形成性材料中に有用である潜在的な架橋剤は、米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)に記載されている。
【0068】
この潜在的な架橋剤は、画像形成性材料の固形分含量を基準として、最大約30 wt%の量で画像形成性材料中に存在する。或いは、潜在的な架橋剤は、下記のように受容体シート内に存在することもできる。
【0069】
潜在的な架橋剤は、転写された画像形成性材料内部に凝集力を提供するのに重要であると考えられる。このことは、フルオロカーボン添加剤の作用を補完し、そしてその結果、凝集片としての露光された領域の転写をもたらす。また潜在的な架橋剤は、着色剤のフィルムへの再転写、並びに、後続の画像形成工程において使用される場合には、着色剤の別個のフィルムへの戻り転写を防止するにも重要であると考えられる。
【0070】
追加の成分、例えば可塑剤、塗布助剤、分散剤、UV吸収剤、充填剤などを、画像形成性材料中に内蔵することもできる。種々の添加剤が当業者に知られている。
【0071】
バインダー中の画像形成性材料の種々の成分の最適な分散を達成するためには、分散剤又は「ディスパーサント」が望ましいことがある。分散剤のいくつかの例は、例えばポリエステル/ポリアミン・コポリマー、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アクリルバインダー、及び湿潤剤を含む。画像形成性材料中の1つの好適な分散剤は、顔料親和性基を有するブロック・コポリマーであり、これは、Byk-Chemie USA (コネチカット州Wallingford)からDISPERBYK 161の商品名で入手可能である。分散剤は好ましくは、画像形成性材料の固形分含量を基準として、約1〜6 wt%の量で分散体中に使用される。
【0072】
溶液安定性を改善するために、界面活性剤を塗布助剤として使用することができる。種々様々な界面活性剤を使用することができる。1つの好適な界面活性剤は、塗膜品質を改善するために、画像形成性材料中に使用されるフルオロカーボン界面活性剤である。好適なフルオロカーボン界面活性剤は、フッ素化ポリマー、例えば米国特許第5,380,644号明細書(Yonkoski他)に記載されているフッ素化ポリマーを含む。好適な塗布助剤の一例は、3M(St. Paul, Minnesota)から入手可能なNOVECフルオロ界面活性剤、例えばFC 4432である。界面活性剤の好適な品質は約0.05 wt%〜約5 wt%未満であってよく、そして典型的には約1〜2 wt%である。
【0073】
5. 受容体シート
本発明のいくつかの態様において、マスク基体から廃棄画像形成性材料を受容するために、受容体シートを使用することができる。本明細書中に使用された「受容体シート」という語句は、画像形成性材料を受容することができる少なくとも1つの主面を有する、一般にシート状の材料を意味する。
【0074】
受容体シートはシート支持体を含んでよい。受容体シートのための好適なシート支持体は、特定の画像形成用途に応じて選択される。好適なシート支持体は、紙又はカード材料、金属(例えば鋼又はアルミニウム)、又は種々の皮膜形成ポリマーから成るフィルム又はプレートを含む。好適な高分子材料は、付加ポリマー(例えばポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリスチレン、ポリイソブチレンポリマー及びコポリマー)、及び線状縮合ポリマー(例えばポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド/アジペート))を含む。シート支持体は透明又は不透明である。透明でないシート支持体は、拡散反射性であるか又は鏡面反射性であってよい。
【0075】
受容体シートのための好適なシート支持体は、例えばプラスチック・シート材料及びフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、フルオレンポリエステルポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、及びこれらのコポリマー、並びに加水分解型及び非加水分解型酢酸セルロースを含む。特に好適な支持体は、ポリエステル・フィルム、例えばポリエチレンテレフタレート・シートである。例えば、DuPont Teijin Films (ヴァージニア州、Hopewell)によってMELINEXの名称で販売されたポリエチレンテレフタレート・シート、例えばMELINEX 574が好適である。
【0076】
実際には、シート支持体の典型的な厚さは、約20〜200 μmである。必要な場合には、支持体は、その湿潤性及び続いて適用される塗膜に対する付着力を改質するように前処理することができる。このような表面処理は、コロナ放電処理、及び下塗り層又はリリース層の塗布を含む。シート支持体は、接着剤、例えばアクリル接着剤又は酢酸ビニル接着剤を含有する剥離性層を含むこともできる。
【0077】
必ずしも必要というわけではないが、本発明の受容体シートの一方の側にテクスチャ処理表面又は塗膜、或いはテクスチャ処理表面及び塗膜の両方を含むことが有利である場合がある。シート支持体又は塗膜上のテクスチャ処理面は、支持体又は塗膜の主面から延びる複数の突起によって提供することができる。突起は、種々の方法で得ることができる。例えば、下記のように、突起を形成するためにテクスチャ処理用材料を塗膜内に含むことができる。或いは、シート支持体をコンベンショナルな方法によってミクロ複製し、これにより、突起を形成することもできる。テクスチャ処理受容体シートが、例えば米国特許第4,876,235号明細書(DeBoer)に報告されている。
【0078】
受容体シートは塗膜を含んでもよい。塗膜は、周囲温度で不粘着表面を提供することができるバインダーを含むことができ、このバインダーは、画像形成性フィルムから転写されることになっている材料(例えば画像形成性材料又は着色剤)との適合性を有する。塗膜は任意の添加剤、例えば界面活性剤、及び抗酸化剤を含有することができる。塗膜は、テクスチャ処理用材料を含有することもできる。
【0079】
高分子バインダーを選ぶ上で、例えばポリマーのガラス転移温度、軟化点、及び粘度などが考慮に入れられる。多種多様の高分子バインダーが本発明の実施に適している。バインダーは、ヒドロキシル・ポリマー(すなわち複数のヒドロキシ基を有するポリマー)を含むことができ、或いは、ヒドロキシ基のないポリマーを含むことができる。
【0080】
受容体シート上の塗膜のための高分子ポリマーは、画像形成メカニズム(例えばアブレーション、又は溶融粘着)に応じて選ばれる。溶融粘着メカニズムを採用する画像形成メカニズム内に使用するためには、例えば、画像形成性フィルム上の画像形成性材料のバインダーとして使用されるものと同様又は同一のバインダーを、受容体シートのために採用するのが有利な場合がある。
【0081】
いくつかの態様の場合、受容体シート上の塗膜内に使用するのに極めて適した材料は、Solutia, Inc.(St. Louis, Missouri)製のBUTVAR B-76ポリビニルブチラール・コポリマー及び同様の熱可塑性ポリマーである。受容体シートの塗膜中に使用するのに適した別のポリマーは、International Specialty Products, Inc. (Wayne, New Jersey)から、E-735の商品名で入手可能なポリビニルピロリドン/ビニルアセテート・コポリマー・バインダーである。別の好適なポリマーは、Goodyear Chemical (Akron, Ohio)からPLIOLITEの商品名で入手可能なスチレン-ブタジエン・コポリマーである。さらに別の好適なポリマーは、InChem Corp(Rock Hill, South Carolina)からINCHEMREZ PKHM-301の商品名で入手可能なフェノキシ樹脂である。
【0082】
スチレン/アリルアルコール・コポリマーを、塗膜内に好適に含むこともできる。商業的に入手可能なスチレン/アリルアルコール・コポリマーは、Lyondell Chemical Company (Houston, Texas)製のSAA-100である。
【0083】
バインダーとして、ポリマーの混合物を好適に採用することもできる。例えば、重量比約2:1〜20:1のBUTVAR B-76とSAA-100との混合物が好適である。
【0084】
上記材料は一例にすぎない。他の好適なポリマーが当業者には明らかである。
【0085】
受容体シートが画像形成のために画像形成性フィルムと近接させられると、何らかの表面粗さの存在が有利であることが見いだされる。受容体シート内の突起は、画像形成性フィルムと受容体要素との関係を正確に調節し、そして、画像形成中に画像形成性シートと受容体シートとの間の概ね均一なギャップを提供する。受容体シート上の突起の規模は、これらがビーズ又は粒状材料によって形成されていようと、テクスチャ処理によって形成されていようと、既知の技術、例えば干渉分光法を用いて、又は光学又は電子顕微鏡による表面の試験によって測定することができる。
【0086】
上述のように、テクスチャ処理用材料は、不活性粒状材料、例えば高分子ビーズ、シリカ粒子、金属酸化物粒子、無機塩などであってよい。ビーズの形状は好ましくは球形、長楕円形、卵形又は楕円形である。テクスチャ処理用材料は、事実上均一なサイズ(すなわち単分散)であってよく、或いはサイズが変化してもよい。無機粒子、例えばシリカの分散体が一般に所定の範囲の粒子サイズを有しているのに対して、ポリマービーズの単分散懸濁液が容易に入手可能である。どのタイプの個体群を使用するとしても、これらの粒子は、平均で約8 μmを上回って、受容体要素表面の平面上に投影すべきではないが、しかし好ましくは少なくとも約1 μm、そしてより好ましくは少なくとも約3 μmの大きさだけ前記平面上に投影すべきである。いくつかの構造の場合、異なる平均サイズを有する区別可能な2つのビーズ集合を添加することが有利である。このことは、フレキシビリティが、曇り特性と滑り又は分離特性とのバランスを取ることを可能にする。
【0087】
好適な高分子ビーズの非限定的な例は、ポリ(メチルメタクリレート)及びポリ(ステアリルメタクリレート)ビーズ、及びジオールジメタクリレート・ホモポリマー又はコポリマーを含むビーズを含む。好適な高分子ビーズはまた、ポリスチレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミドなどから形成されたビーズを含む。
【0088】
一般に、高分子ビーズの粒子サイズは、約3〜50ミクロン、好ましくは約5〜25ミクロンであるべきである。塗膜内のスペーサー・ビーズの被覆率は約5〜2,000ビーズ/mm2であってよい。ビーズの粒子サイズが増大するのに比例して、必要なビーズの数は少なくなる。
【0089】
例えば、好適な1つのテクスチャ処理用材料は、平均直径約10ミクロンのポリ(メチルメタクリレート)の単分散ビーズを含む。このようなビーズは商業的に入手可能である。
【0090】
受容体上の塗膜内のテクスチャ処理用材料の濃度は、面密度約100〜500粒子/mm2を提供するのに十分であるべきである。例えば、好適な粒子面密度は、約200粒子/mm2である。1つの態様の場合、受容体シート上の塗膜は、約1重量部のテクスチャ処理用材料に対して約20〜80重量部のバインダーを含む。
【0091】
ビーズ又は粒子の使用とは別に、所要の突起を提供するために、受容体要素表面を物理的にテクスチャ処理することができる。金属表面、例えばアルミニウムを、グレイニング及び陽極化によりテクスチャ処理することができる。当業者に知られたミクロ複製技術によって、他のテクスチャ処理された表面を得ることができる。
【0092】
B. 画像形成メカニズム
画像形成用輻射線による画像形成性フィルムの像様露光法は、当業者にはコンベンショナルである。画像形成性フィルムのアナログ及びデジタル双方の像様露光法が好適である。画像形成が容易なこと、そしてデジタル画像形成装置がますます入手しやすくなっていることにより、デジタル法が多くの使用者によって好まれる。
【0093】
本発明のいくつかの態様の場合、コンピューター制御下で走査又はラスタライズされたレーザーからのレーザー輻射線を使用して、像様露光が効率的に達成される。既知の走査デバイスのいずれか、例えば平床式スキャナー、外部ドラム・スキャナー、又は内部ドラム・スキャナーを使用することができる。これらのデバイスにおいて、画像形成されるべきフィルムがドラム又は床に固定され、そしてレーザー・ビームが、画像形成性材料上に衝突することができるスポットに焦点を当てられる。レーザー・スポットが画像形成されるべき領域上で走査される一方、レーザー出力は、電子的に記憶された画像情報(すなわちデジタル・データ)に従って変調される。スループットを増大させるために、2つ又は3つ以上のレーザーが画像形成性材料の種々異なる領域を同時に走査することができる。この態様は図1Aに示されており、この図では、マスク基体6上にマスク画像4を生成するために輻射線2が使用される。
【0094】
或る特定の態様の場合、画像形成用輻射線は赤外線を含んでよい。赤外線は例えば、約750 nm〜約1200 nmであってよい。この態様を実施する際には、好適な画像形成性材料は、上述のように、赤外線に対して感光するエネルギー吸収剤を含む。この成分は例えば、赤外線を熱に変換することができる。画像形成性材料中に熱を発生させると、次いでその結果として、画像形成性材料の別の成分に物理的又は化学的な変化が生じ得る。この態様の場合、画像形成性フィルムは、赤外線画像形成装置に好適に取り付け、そしてフィルムに赤外線による像様露光を施すことができる。赤外線は、例えばダイオード・レーザー(830 nm)又はNd:YAGレーザー(1064 nm)のような赤外線レーザーによって提供することができる。赤外線レーザーは、コンピューター制御下で走査又はラスタライズすることができる。
【0095】
好適な赤外線画像形成装置は、プルーフィング法で使用される赤外線画像形成装置を含む。このような画像形成装置の例は、ECRM (マサチューセッツ州Tewksbury)から入手可能なDESERTCAT 88を含む。CTPリソグラフフィ印刷版用途のための赤外線画像形成装置、例えばCreo (ブリティッシュコロンビア州Burnaby)製のTRENDSETTER、及びPresstek (ニューハンプシャー州Hudson)製のDIMENSIONを使用することもできる。フレキソグラフィ物品を画像形成するように構成された画像形成装置、例えば、Esko-Graphics (ブリティッシュコロンビア州ジョージア州)製のCYREL Digital Imager(CDI SPARK)、Creo (ブリティッシュコロンビア州British Columbia)製のThermoFlex、及びMisomex International (ニューハンプシャー州Hudson) 製のOMNISETTERを採用することもできる。
【0096】
他の態様の場合、画像形成性材料は可視レーザー光に当てられる。可視光は、例えば約400〜750 nmであってよい。商業的に入手可能なフィルムセッター及び画像セッター、例えばAgfa-Gevaert(ベルギー国)製のACCUSET Plus(可視赤色レーザー・ダイオード、670 nm)、Agfa-Gevaert製のADVANTAGE DL3850(410 nm)、Fuji Photo Film製のLUXEL V-9600(410 nm)、Western Lithotech(ミズーリ州St. Louis)製のDIAMONDSETTER(周波数二倍型Nd:YAGレーザー;532 nm)、Agfa-Gevaert製のSELECTSET 5000(HeNe, 630 nm)を使用することができる。
【0097】
さらに他の態様の場合、画像形成性材料は、レーザー直接画像形成(LDI)によって紫外線に当てられる。紫外線は約150〜410 nmであってよい。Orbotech(マサチューセッツ州Billerica)製のDP-100、及びEtec Systems(アリゾナ州Tucson)製のDIGIRITE 2000が、UVレーザー画像形成に適している場合がある。
【0098】
いくつかの態様の場合、マスク画像の転写特性に不都合な影響が及ぼされないことを条件として、マスク基体上に存在するマスク画像は任意選択的に、これに熱処理を施すことにより、画像形成後に硬化することができる。種々の手段、例えば炉内の貯蔵、熱風処理、加熱プラテンとの接触、又は加熱されたローラー装置内の通過によって、熱処理を行うことができる。他の態様の場合、硬化が行われるのに熱処理は必要でない。
【0099】
画像形成性フィルムは他の画像形成メカニズムと協働するように容易に適合することができるので、挙げられた画像形成メカニズムは、非限定的な例と考えられるべきである。
【0100】
1. アブレーション
1つの画像形成メカニズムにおいて、画像形成性材料の露光された領域がアブレーションを介して除去される。この画像形成メカニズムにおいて、露光された画像形成性材料、及びもし存在するならばアブレート可能な層は、ガスの発生によって、マスク基体から駆出される。この態様の場合、ガスを急速に発生させるために熱(例えばレーザー輻射線)に対する暴露時に分解する特定のバインダーを、画像形成性材料中又はアブレート可能な層内に使用することができる。画像形成性材料の露光された領域下又は露光された領域内部にガスが形成されると、露光された領域においてマスク基体から画像形成性材料を駆出する圧力が形成される。この作用は、物理変化(例えば溶融、蒸発又は昇華)ではなく化学変化(例えば結合破断)が、部分移動ではなく画像形成性材料のほとんど完全な移動を引き起こす点で、他の物質移動技術と区別することができる。
【0101】
レーザー・ビームの作用によって画像形成する1アブレーション・モードの場合、着色剤、赤外線吸収材料、及びバインダーを含む画像形成性材料層を有する画像形成性フィルムが画像形成される。レーザーによって提供されるエネルギーは、レーザー・ビームが画像形成性フィルムに衝突するスポットで、画像形成性材料を駆出する。
【0102】
別の態様の場合、バインダーは、上述のような、また米国特許第6,521,390号明細書(Leinenbach他)にさらに論じられているような「熱可燃性」材料として役立つ。熱可燃性バインダーは任意選択的に、この態様の実施のために、アブレート可能な層内に存在してよい。
【0103】
アブレーション・メカニズムとともに、露光された画像形成性材料がマスク基体から駆出された後でこの材料を回収するために、破片捕集体、例えば真空、又は好適な受容体シートを、画像形成性材料の近くに配置することができる。例えば米国特許第5,171,650号明細書(Ellis他)、及び国際公開第90/12342号パンフレットに、アブレーション転写が報告されている。
【0104】
2. 溶融粘着転写
画像形成用輻射線に当てられた画像形成性材料領域は、溶融粘着を介して除去されてもよい。溶融粘着システムの場合、画像形成性材料は、輻射線による露光時に、溶融状態又は半溶融状態でマスク基体から好適な受容体シートへ移動する。溶融状態又は半溶融状態の特徴は、画像形成性材料に流動性を提供する粘度低減である。画像形成性材料は受容体シート表面に流れ、マスク基体に付着するよりも高い強度で、受容体シート表面に付着する。マスク基体から受容体シートへの露光された領域における画像形成性材料の物理的転写が、こうして生じる。転写に続いて、マスク基体上にマスク画像を形成するために、マスク基体は転写されていない画像形成性材料及び他の層と一緒に受容体シートから分離される。
【0105】
この態様の実施に際して、受容体シート及び転写された画像形成性材料は、一般には(しかし必ず必要というわけではない)廃棄物として廃棄される。
【0106】
溶融粘着転写の更なる形態及び要件が、米国特許第5,819,661号明細書(Lewis他)、及び同第5,238,778号明細書(Hirai他)に見いだすことができる。これらのそれぞれを参考のため本明細書中に引用する。
【0107】
3. レーザー誘起型フィルム転写
露光された画像形成性材料領域は、レーザー誘起型フィルム転写(「LIFT」)メカニズムを介して、マスク基体から除去されてもよい。この態様の場合、画像形成性材料は、画像形成用輻射線に当てられた領域に高分子量網状構造を形成するために、バインダーと反応する架橋剤を含む。この架橋の効果は、メルトフロー現象のより良好な制御、より凝集性のある材料の受容体への転写、及びマスク画像のより高品質のエッジ鮮鋭度である。このタイプのシステムの例は、米国特許第5,935,758号明細書(Patel他)に見いだすことができる。この明細書引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる。
【0108】
LIFTメカニズムと一緒に使用するのに適した画像形成性材料は、転写可能な着色剤と赤外線吸収色素とを含む。着色剤は、赤外線による露光時に受容体シートに転写されることが可能である。別の態様の場合、画像形成性材料は上述のような、ヒドロキシル・ポリマーを含むバインダー、転写可能な着色剤、フルオロカーボン添加剤、カチオン性赤外線吸収色素、及び潜在的な架橋剤を含む。
【0109】
4. 剥離
さらに別の態様の場合、画像形成用輻射線に当てられた画像形成性材料領域は、いわゆる「剥離」メカニズムにおいて好適な受容体シートを使用して、マスク基体から除去される。剥離メカニズムは、画像形成性材料中に付着特性差を生じさせる能力に依存する。画像形成性フィルムの像様露光後、受容体シートはマスク基体から分離され、そして画像形成性材料の露光された領域又は未露光領域が、マスク基体上に残る。
【0110】
米国特許第6,013,409号明細書(Chou)(引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる)には、好適な剥離画像形成システムが記載されている。この態様の場合、画像形成性材料は、マスク基体、着色剤を含む「光硬化性層」、「フォトポリマー付着」層、及び任意のリリース層を含む。
【0111】
剥離画像形成に適したフィルムの他の態様が、例えば米国特許第6,013,409号明細書(Chou)の第3欄第25行〜第4欄第16行で引用された参考文献に記載されている。
【0112】
5. 色素の昇華又は拡散
別の態様の場合、露光された画像形成性材料領域からの着色剤が、昇華を介して除去される。昇華技術は、画像形成性材料中に含まれる着色剤が、バインダーの同時転写なしに昇華又は拡散されるメカニズムに関与する。色素昇華に際しては、昇華性着色剤が気体形態に変換され、大気中に消散させられるか、或いは任意選択的に好適な受容体シートに向けられる。
【0113】
例えば米国特許第5,126,760号明細書(DeBoer)、及び同第5,994,026号明細書(DeBoer)に、色素昇華が報告されている。これらの明細書のそれぞれの引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる。例えば米国特許第5,330,962号明細書(De Braabandere他)に記載されているような熱色素拡散転写も、画像形成法として好適である。
【0114】
使用することができる昇華性着色剤は、例えば米国特許第5,576,141号、同第5,576,142号、同第5,521,050号、同第5,521,051号、及び同第5,510,228号の各明細書(Neumann他)に記載された色素を含む。一般に、このような色素は、少なくとも約25 wt%の量で画像形成性材料中に存在する。
【0115】
色素昇華メカニズムによって、好適な画像形成性フィルムを使用して、そして受容体シートの必要なしにキャリヤシート上にマスク画像を発生させることができる。
【0116】
別の態様の場合、昇華された着色剤を捕捉するために、受容体シートが採用される。マスク画像は、マスク基体上に残る画像形成性材料を含む。この態様の実施に際して、受容体シート及び転写された着色剤は、一般には(しかし必ず必要というわけではない)廃棄物として廃棄される。
【0117】
別の態様の場合、マスク画像は、受容体シートに転写された着色剤を含む。この態様の実施に際して、マスク基体、及び残りの画像形成性材料は、一般には廃棄物として廃棄される。
【0118】
II. 画像形成性物品への画像形成されたフィルムのラミネート
本発明の方法における別の工程は、画像形成性物品に画像形成されたフィルムをラミネートすることを含む。画像形成されたフィルムをラミネートする工程は、感光性材料上に配置されたリリース層と近接させるようにマスク画像を配置することを含む。この工程の1つの態様の結果は図1Bに示されている。この図では、マスク基体6上に配置されたマスク画像4から形成された画像形成されたフィルムが、リリース層8、感光性材料10、及び感光性基体12から形成された画像形成性物品上にラミネートされた状態で示されている。画像形成性物品の種々の態様が以下で論じられ、また、米国特許出願第11/081,018号明細書(引用することにより、その内容を本明細書中に組み入れる)にも記載されている。
【0119】
A. 画像形成性物品
画像形成性物品は、フレキソグラフィ印刷版前駆体、プリント回路基板(「PCB」)前駆体、及び平版印刷版前駆体を含むことができる。これらの物品のそれぞれは、それぞれフレキソグラフィ印刷版、PCB、及び平版印刷版になる部分としてレリーフ画像を形成する。平版印刷版上に形成されるレリーフは一般にわずか数ミクロンであるが、平版印刷版はそれでもなお、本発明の方法を利用して形成することができる製品の1つである。
【0120】
画像形成性物品は、少なくとも感光性材料を含む。感光性材料は、ポジ型又はネガ型であってよい。ネガ型感光性材料は、硬化用輻射線による露光によって固化可能又は硬化可能であり、そして一般に、硬化用輻射線による露光時に重合又は架橋するポリマー又はプレポリマーを含む。画像形成性物品は、感光性材料がその上に塗布される好適な感光性基体を含むこともできる。
【0121】
さらに、任意の構成部分、例えばリリース層、カバーシート、又は金属層を画像形成性物品内に含むことができる。リリース層が存在すると、この方法の後続の工程における感光性材料からの画像形成されたフィルムの除去が容易になる。リリース層は、硬化工程中に画像形成されたフィルムと画像形成性物品との間に十分な付着力を提供することもできる。リリース層は硬化用輻射線を著しく吸収する又は散乱させるべきではない。室温において、リリース層は、マスク画像の無傷の除去を可能にするが、しかし高温では無傷の除去を可能にしない。
【0122】
リリース層は、紫外線硬化性樹脂を指紋付着又はその他の損傷から保護することもでき、また、紫外線硬化性樹脂とカバーシートとの間に配置することができる。この層は当業者によって、粘着防止層、分離層、滑り層、又は保護層と呼ばれることがある。一例として挙げるならば、リリース層として適した塗膜は、ポリ(ビニルアルコール)又は同様のポリマー、セルロース系ポリマー、例えばメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はポリビニルブチラール、又は上述のような他のヒドロキシルポリマーを含む。リリース層の1つの具体例は、加水分解型スチレン無水マレイン酸コポリマーである。リリース層は、シリコーンから形成することもできる。
【0123】
リリース層は、ポリアミド、例えばHenkel Corporation (ミネソタ州ミネアポリス)から入手可能なMACROMELT 6900、ポリビニルアルコール、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、両性インターポリマー、セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシアルキルセルロース、及びセルロースアセテートポリブチレート、ポリブチラール、環状ゴム、及びこれらの組み合わせを含む。米国特許第4,293,635号明細書(Flint他)に、両性インターポリマーが記載されている。この明細書を参考のため本明細書中に引用する。
【0124】
より高い解像度画像を得るためには、透明であり且つ薄いリリース層が有益である場合がある。リリース層の厚さは例えば、約0.1〜10ミクロンであってよい。薄いリリース層が有利なのは、薄い層が薄いと、結果として生じるレリーフ画像のために得ることができる解像度に不都合な影響を与えないからである。薄いリリース層はまた、後続の処理工程中に除去するのがより容易である。
【0125】
リリース層は、塗布助剤、界面活性剤、リリース増強材料などを含むこともできる。例えば、リリース層は好適な界面活性剤、例えば、Air Products(ペンシルヴェニア州Allentown)製のSURFYNOL 465(エトキシル化テトラメチルデシンジオール)、又はSURFYNOL GA(他の非イオン性界面活性剤及び溶剤が配合されたアセチレンジオール)、CasChem Inc. (ニュージャージー州Bayonne)製のSURFACTOL 365(エトキシル化ひまし油)、又はRohm & Haas (ペンシルヴェニア州Philadelphia)製のTriton X-100(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)を含有することができる。
【0126】
いくつかの態様の場合、感光性材料は、感光性基体上に配置されている。理想的には、感光性基体は寸法安定性材料、例えばポリエステル・フィルム又はアルミニウム・シートから形成される。紫外線硬化性樹脂は、エラストマー・バインダー、少なくとも1種のモノマー、及び光開始剤を含むこともできる。開始剤は非赤外化学線に対する感光性を有する。たいていの場合、開始剤は紫外線又は可視線又はその両方に対して感光することになる。好適な開始剤組成物の例が、米国特許第4,323,637号明細書(Chen他)、同第4,427,749号明細書(Gruetzmacher他)、及び同第4,894,315号明細書(Feinberg他)に報告されている。
【0127】
エラストマー・バインダーは、水性、半水性又は有機溶剤現像剤中に可溶性、膨潤性又は分散性であることが可能な単一のポリマー又はポリマーの組み合わせであってよい。このようなバインダーは、米国特許第3,458,311号明細書(Alles)、同第4,442,302号明細書(Pohl)、同第4,361,640号明細書(Pine)、同第3,794,494号明細書(Inoue他)、同第4,177,074号明細書(Proskow)、同第4,431,723号明細書(Proskow)、及び同第4,517,279号明細書(Worns)に記載されたバインダーを含む。有機溶剤現像剤中に可溶性、膨潤性又は分散性であるバインダーは、共役ジオレフィン炭化水素の天然又は合成ポリマー、例えばポリイソプレン、1,2-ポリブタジエン、1,4-ポリブタジエン、ブタジエン/アクリロニトリル、ブタジエン/スチレン熱可塑性エラストマー・ブロックコポリマー及びその他のコポリマーを含む。米国特許第4,323,636号明細書(Chen)、同第4,430,417号明細書(Heinz他)、及び同第4,045,231号(Toda他)に論じられたブロックコポリマーを使用することができる。バインダーは少なくとも約65重量%の紫外線硬化性樹脂を含んでよい。本明細書中に使用されるバインダーという用語は、コア-シェル・ミクロゲル、及びミクロゲルと予め形成されたマクロ分子ポリマーとのブレンド、例えば米国特許第4,956,252号明細書(Fryd他)に記載されたものを含む。
【0128】
紫外線硬化性樹脂は、単一のモノマー又はモノマーの混合物を含有することもできる。モノマーは、透明な、曇りのない感光性層が生成される程度にバインダーと適合性がなければならない。紫外線硬化性樹脂中に使用することができるモノマーが当業者によく知られており、そして一例として、比較的低分子量(一般に約30,000 Da未満)の付加重合エチレン系不飽和型化合物を含む。好適なモノマーは、約5000 Da未満の比較的低分子量を有する。特に断りのない限り、本明細書全体を通して、分子量は、重量平均分子量である。好適なモノマーの一例としては、t-ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、アルコールとポリオール、例えばアルカノールのアクリレート及びメタクリレートモノエステル及びポリエステル、例えば1,4-ブタンジオールジアクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジメタクリレート、及び2,2-ジメチロールプロパンジアクリレート、アルキレングリコール、例えばトリプロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、及びヘキサメチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパン、エトキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、例えばペンタエリトリトールトリアクリレート、及びジペンタエリトリトールなどが挙げられる。好適なモノマーの他の例は、イソシアネート、エステル、及びエポキシドなどのアクリレート及びメタクリレート誘導体、例えばデカメチレングリコールジアクリレート、2,2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、2,2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ポリオキシエチル-2,2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、及び1-フェニルエチレン-1,2-ジメタクリレートを含む。モノマーの更なる例は、米国特許第4,323,636号明細書(Chen)、同第4,753,865号明細書(Fryd他)、同第4,726,877号明細書(Fryd他)、及び同第4,894,315号明細書(Feinberg他)に見いだすことができる。モノマーは紫外線硬化性樹脂の少なくとも5重量%を占めてよい。
【0129】
光開始剤は、紫外線に対して感光して、過剰な停止反応なしにモノマーの重合を開始する遊離基を発生させる、任意の単位の化合物又は化合物の組み合わせであってよい。光開始剤は可視線及び/又は紫外線に対して感光するべきである。光開始剤は赤外線及び/又は可視線に対して不感光であってもよく、そして185℃以下では熱不活性であるべきである。好適な光開始剤の例は、置換型及び無置換型多核キノンを含む。好適なシステムの例が、米国特許第4,460,675号明細書(Gruetzmacher他)、及び同第4,894,315号明細書(Feinberg他)に開示されている。光開始剤は一般に、紫外線硬化性樹脂の重量を基準として、約0.001%〜10.0%の量で存在する。
【0130】
紫外線硬化性樹脂は、所望される最終特性に応じて他の添加剤を含有することができる。このような添加剤は、増感剤、可塑剤、レオロジー改質剤、熱重合阻害剤、粘着付与剤、着色剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、又は充填剤を含む。
【0131】
エラストマーの皮膜形成特性を調節するために、可塑剤を使用することができる。好適な可塑剤の例は、脂肪族炭化水素油、例えばナフタレン系及びパラフィン系油、液体ポリジエン、例えば液体ポリブタジエン、液体ポリイソプレンを含む。一般に可塑剤は、約5,000 Da未満の分子量を有する液体であるが、しかし、最大約30,000 Daの分子量を有することもできる。低分子量の可塑剤は、約30,000 Da未満の分子量を含むことになる。
【0132】
紫外線硬化性樹脂の厚さは、所望の印刷版のタイプに応じて変化することができる。1つの態様の場合、紫外線硬化性樹脂の厚さは、例えば約20〜250ミル(500〜6400 ミクロン)又はこれ以上、より具体的には例えば約20〜100ミル(500〜2500 ミクロン)であってよい。
【0133】
1つの態様の場合、感光性材料は、好適な紫外線硬化性樹脂を含むフレキソグラフィ印刷版前駆体の部分である。フレキソグラフィ印刷版を形成するために使用される材料は、典型的には感光性基体、及びポリマー又はプレポリマーを含む感光性材料を含む1つ又は2つ以上の感光性層を含む。商業的に入手可能なフレキソグラフィ印刷版前駆体の例は、例えば、Kodak Polychrome Graphics(コネチカット州Norwalk)から入手可能なFLEXCEL、DuPont (デラウェア州Wilmington)から入手可能なCYREL フレキソグラフィ印刷版、BASF(ドイツ国)から入手可能なNYLOFLEX FAR 284、Polyfibronから入手可能なFLEXILIGHT CBU、及びASAHI AFP XDIを含む。
【0134】
別の態様において、感光性材料は、ポジ型感光性組成物である。この態様において、感光性材料は、輻射線による露光時に、より除去しやすくなる。このタイプの材料の例は、米国特許第4,731,319号明細書(Kohara他)、及び同第3,634,086号明細書(Lawson他)、具体的にはLawson他の例3に記載された感光性組成物において見いだすことができる。ポジ型感光性組成物の商業的な例は、Clairant Corporation (ニュージャージー州Somerville)から入手可能なAZR 9200 フォトレジストである。
【0135】
別の態様において、画像形成性物品は、プリント回路基板(「PCB」)の前駆体であってよい。PCBにおいて、マスク画像によって決定されたパターンを成して、導電層(プリント回路とも呼ばれる)が感光性基体上に形成される。プリント回路は次いで、種々の電気的な構成部分、例えば抵抗器、キャパシター、集積回路、及び他の電子デバイスの間で電圧及び電流を導くことができる。電気的な構成部分は、プリント回路の形成後の所定の段階で、プリンタ回路上にはんだ付けされる。
【0136】
好適なPCB前駆体は、感光性基体、金属層及び感光性材料を含有することができる。感光性基体は、ポリイミド・フィルム、ガラス充填型エポキシ又はフェノール-ホルムアルデヒド、又は業界内でよく知られ使用されており、また必要とみなされる任意の厚さを有する、任意のその他の絶縁材料であってよい。
【0137】
感光性基体をカバーする金属層は、導電性金属を含むことができる。1つの好適な例は銅であるが、任意のその他の好適な金属又は金属合金を使用することもできる。
【0138】
感光性材料は、紫外線硬化性樹脂を含むことができる。PCB前駆体上で使用するのに適した紫外線硬化性樹脂の一例は、オリゴマー及びモノマー、光開始剤、及びバインダーを含む。
【0139】
好適なオリゴマー及びモノマーは、紫外線による露光を施されると、光開始剤の存在において架橋することができるものを含む。オリゴマー及びモノマーは、上記のものを含んでよい。これらの成分は紫外線硬化性樹脂の約35%〜75%を占めてよい。
【0140】
光開始剤は、紫外線による露光を施されると、オリゴマー及びモノマーを架橋する助けとなる遊離基を発生させ促進することが可能であるべきである。好適な光開始剤は上記の通りである。光開始剤は、紫外線硬化性樹脂中に含まれるオリゴマー及びモノマーの最大約10重量%を占めてよい。
【0141】
バインダーは、水又は希アルカリ現像剤中に、そして有機現像剤中にも可溶性であるべきである。バインダーはまた、エッチング剤、例えば塩化第二鉄水溶液中に可溶性であるべきである。好適なバインダーの例は、例えばノボラク(官能置換されたフェノール-ホルムアルデヒド樹脂)、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマー及びそのエステル、ヒドロキシプロピルセルロース及びエステル化ロジン-マレイン酸エステルを含む。
【0142】
PCB前駆体を形成するのに使用される紫外線硬化性樹脂内に、他の成分、例えば充填剤及び湿潤剤、並びに、視覚試験を助けるための色素又は顔料を含むこともできる。
【0143】
硬化された領域と未硬化領域との間の溶解度に最大の差を達成し、そして最適な付着特性を得るために、PCB前駆体内の紫外線硬化性樹脂の塗膜厚は、約3ミクロン〜30ミクロン、より具体的には12ミクロンであってよい。
【0144】
PCB前駆体構造内に使用される感光性材料は、ポジ型であってもよく、このことは、感光性材料が紫外線又は可視線による露光を施されると、より現像されやすくなることを意味する。これらのPCB前駆体の場合、輻射線に当てられない感光性材料の領域は、現像後にPCB前駆体上に残ることになり、このことは当業者に知られている。
【0145】
B. ラミネート法
いくつかの態様の場合、画像形成性物品に対する画像形成されたフィルムのラミネーションは、画像形成されたフィルムと画像形成性物品とに圧力を加えることにより達成することができる。他の態様の場合、画像形成されたフィルムは、熱を加えることにより、画像形成性物品にラミネートすることができる。ラミネート作業が圧力及び熱の両方を加えることを含んでもよい。
【0146】
熱及び圧力の両方を提供する商業的に入手可能なラミネーターを使用することができる。好適なラミネーターは、例えば、Eastman Kodak Co.(Rochester, New York)から入手可能なKODAKモデル800XL APPROVAL LAMINATOR、CODOR ラミネーティング・システム(オランダ国アムステルダム)から入手可能なCODOR LPP650 LAMINATOR、及びFilmsource (フロリダ州Casselbury)から入手可能なLEDCO HDラミネーターを含む。感光性材料へのマスク画像の1ラミネート法は、ラミネーターの入口トレイ上に、画像形成性物品を置くことである。もし存在するならばカバー・シートを、感光性物品から除去する。集成体を形成するために、画像形成されたフィルムを画像形成性物品上に、マスク画像を感光性材料、又は存在するならばリリース層と近接させた状態で置く。集成体をラミネーター内へ、所望の速度、温度及び圧力で供給する。
【0147】
III. 画像形成されたフィルムを通した画像形成性物品の露光
本発明の別の工程は、画像形成性物品を、画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に、真空圧なしで当てることを含む。この工程において、硬化用輻射線は、マスク画像を通して感光性材料上に投影されるので、輻射線のうちのいくらかは、マスク画像によって優先的にブロックされる。マスキングされていない領域では、硬化用輻射線は、固化又は硬化を引き起こすように感光性材料上に衝突する。マスク画像は従って、硬化用輻射線に対して実質的に不透明であるべきである。「実質的に不透明」という用語は、マスク画像が硬化用輻射線の波長において約2.0以上、より具体的には約3.0以上の透過光学濃度を有することを意味する。マスキングされていない領域及びマスク基体は、実質的に透明であるべきである。「実質的に透明」という用語は、マスキングされていない感光性材料領域が約0.5以下、より具体的には約0.1以下、さらにより具体的には約0.05以下の透過光学濃度を有することを意味する。透過光学濃度は、濃度計、例えばMACBETH TR 927上に好適なフィルターを使用して測定することができる。一般に、マスク画像を通して感光性材料に露光を施す工程は、フラッド様露光によって行われる。それというのは、マスク画像は硬化用輻射線をブロックするからである。この工程は図1Cに示されている。リリース層8、感光性材料10、及び感光性基体12を含む画像形成性物品は、マスク画像4及びマスク基体6を通して硬化用輻射線14に当てられる。
【0148】
この工程の実施中には、真空ドローダウンは必要とされない。真空ドローダウンが用いられないと、少なくとも2つの利点を実現することができる。第一に、真空なしの露光が、露光中に真空を形成するために必要となる時間を排除し、ひいては、本発明によるレリーフ画像のスループットを高める。第二に、典型的にはアナログ法において使用されるマスクの部分である艶消し剤又はビーズが、本発明の方法において使用されるマスク画像には必要とされない。艶消し剤は真空ドローダウンを改善するものの、硬化用輻射線は艶消し剤に衝突するのに従って、より散乱させられやすくなる。本発明の方法によって真空ドローダウンなしで感光性材料を硬化用輻射線に当てることにより、艶消し剤は必要とされず、そして硬化用輻射線は、アナログ法が用いられた場合よりも散乱が少なくなる。
【0149】
本発明の方法を用いて、前駆体からフレキソグラフィ印刷版を製造するのに際しては、感光性層の支持体側上に薄い均一な硬化された層を調製するために、感光性材料の一方の側を先ず、支持体を通して硬化用輻射線に当てる(「裏側露光」として知られている)。次いで画像形成性物品を、画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当て、これにより感光性材料を、マスキングされていない領域において固化又は硬化させる。次いで、感光性材料の未露光且つ未硬化の部分を下記現像法によって除去し、レリーフ印刷表面を画定する硬化された部分を残す。
【0150】
硬化用輻射線として適した波長又は波長範囲は、感光性材料の性質によって決定される。いくつかの態様の場合、硬化用輻射線は紫外線である。紫外線によるフラッド様露光のための輻射線源は従来通りのものである。好適な可視線源又はUV線源の例は、炭素アーク、水銀蒸気アーク、蛍光灯、電子フラッシュ・ユニット、及び写真用フラッド灯を含む。好適なUV線源は水銀蒸気灯、具体的には太陽灯を含む。
【0151】
好適な標準輻射線源の一例は、中心放射波長が354 nm周辺にあるSYLVANIA 350 BLACKLIGHT蛍光灯(FR 48T12/350 VL/VHO/180, 115 w)である。別の例は、Burgess Industries, Inc. (ミネソタ州Plymouth)から入手可能な、ADDALUX 754-18017ランプを有するBURGESS EXPOSURE FRAME, Model 5K-3343VSIIである。
【0152】
別の好適な紫外線源は、画像形成性物品を硬化用輻射線に当てること、そして輻射線露光後に画像形成性物品を現像することの両方が可能な製版機を含む。好適な製版機は、Kelleigh Corporation (Trenton, New Jersey)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER、及びGlobal Asia Limited (Hong Kong)から入手可能なGPP500F PLATE PROCESSORを含む。
【0153】
マスク画像を通した露光の時間は、感光性材料の性質及び厚さ、及び輻射線源に依存する。例えば、1つの態様の場合、Kodak Polychrome Graphics(Norwalk, Connecticut)から入手可能なFLEXCEL SRH印刷版前駆体を、Kelleigh Corporation (Trenton, New Jersey)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上に載置し、そして感光性層の支持体側に薄い均一な硬化された層を調製するために、支持体を通してUV-A線による裏側露光を、35秒間にわたってこの印刷版前駆体に施すことができる。次いで画像形成されたフィルムを、FLEXCEL SRH印刷版前駆体の分離層に転写することができ、次いで、集成体を14分間にわたって、マスク画像を通してUV-A線に当てることができる。
【0154】
IV. 画像形成性物品からの画像形成されたフィルムの除去
本発明の方法の別の工程は、画像形成されたフィルムが再使用可能になるように、画像形成性物品から画像形成されたフィルムを除去することを伴う。本出願の目的上、「再使用可能」という用語は、画像形成されたフィルム、特にマスク画像が、別の画像形成性物品上に実質的に同じレリーフ画像を生成するためにその画像形成されたフィルムを使用できるほど十分に無傷のままであることを意味する。
【0155】
この工程の結果を図1Dに示す。図示のように、画像形成されたフィルムの除去後、リリース層8は、前の工程で示されたマスク画像4を有さない状態で、感光性材料10上に残る。
【0156】
例えば画像形成性物品から画像形成されたフィルムを引き剥がすことにより、画像形成されたフィルムを除去することができる。マスクを後続の感光性材料上で再使用することができるので、マスク画像の引き剥がし時には、これが歪まないように注意するべきである。画像形成されたフィルムの除去は手によって行うことができ、或いは機械的に行うこともできる。
【0157】
V. 画像形成性物品の現像
本発明の別の工程は、レリーフ画像を形成するために画像形成性物品を現像することを含む。画像形成性物品の現像は、感光性材料の未硬化部分及びリリース層を除去するのに役立ち、硬化用輻射線の波長においてレリーフ画像を画定する画像形成性材料の硬化された部分を残す。図1Eに示されているように、画像形成された物品の現像は、リリース層8及び感光性材料10の未硬化部分を除去するのに役立ち、感光性基体12上にレリーフ画像10を画定する硬化された部分を残す。
【0158】
1つの態様の場合、現像工程は、画像形成性物品を好適な現像剤で洗浄することを含む。好適な現像剤は、感光性材料の未露光領域を溶解、分散、又は膨潤させることができる。現像はおよそ室温で実施することができる。好適な現像剤は、有機溶液、水、水溶液又は半水溶液を含む。水を使用する場合、これは界面活性剤を含有してよい。現像剤は、感光性材料の化学的な性質に応じて選択されるべきである。好適な有機溶液現像剤は、芳香族又は脂肪族炭化水素、及び脂肪族又は芳香族ハロ炭化水素溶液、又はこのような溶液と好適なアルコールとの混合物を含む。他の有機溶液現像剤が、独国特許出願公開第38 28 551号明細書及び米国特許第5,354,645号明細書(Schober他)に開示されている。好適な半水性現像剤は、水と、水混和性有機溶液と、アルカリ性材料とを含有することができる。好適な水性現像剤は通常、水とアルカリ性材料とを含有する。他の好適な水性現像剤の組み合わせが、米国特許第3,796,602号明細書(Briney他)に記載されている。商業的に入手可能な1つの好適な現像剤は、DuPont Corporation(デラウェア州Wilmington)から入手可能なCYREL OPTISOL ROTARY PLATE WASHOUT SOLUTIONである。
【0159】
機械的な現像が好適である場合もある。現像のための機械手段は、感光性材料の未硬化部分を除去するために、画像形成性物品を擦るか又はブラッシングすることを含むことができる。溶剤現像と組み合わせて機械手段を採用することが一般に行われる。
【0160】
熱現像法が好適である場合もある。1つの熱現像法が、例えば米国特許出願公開第2004/0048199号明細書(Schadebrodt他)及びこの明細書中に論じられている参考文献に報告されている。感光性材料の未露光領域を吸収するために吸収剤層を使用する別の熱現像法が、米国特許第5,175,072号明細書(Martens)に報告されている。この明細書を参考のため本明細書中に引用する。他の熱現像法が好適である場合もある。
【0161】
レリーフ画像の現像後処理がいくつかの環境において好ましい場合がある。典型的な現像後処理は、過剰の溶剤を除去するためにレリーフ画像を乾燥させ、そして感光性材料をさらに固化又は架橋させるために(例えばレリーフ画像を硬化用輻射線にさらに当てることにより)感光性材料を後硬化させることを含む。このような現像後処理は当業者には明らかである。
【0162】
例えば、レリーフ画像をブロットするか又は拭って乾かし、次いで強制空気又は赤外線炉内で乾燥させることができる。乾燥時間及び温度は様々であってよい。炉乾燥に適した温度は、例えば約60℃を含んでよい。
【0163】
光重合プロセスが完成したこと、そして印刷版が印刷中及び貯蔵中に安定なままであることを保証するために、フレキソグラフィ印刷版に後露光を施すことができる。この後露光工程は、上記露光工程と同じ輻射線源を利用する。
【0164】
表面がまだ粘着性である場合には、脱粘着処理(「ライト仕上げ」と呼ぶこともできる)を用いることもできる。当業者に知られた方法、例えば臭素又は塩素溶液を用いた処理により、粘着性を排除することができる。このような処理は、例えば米国特許第4,400,459号明細書(Gruetzmacher)、米国特許第4,400,460号明細書(Fickes他)、及び独国特許第28 23 300号明細書に報告されている。脱粘着処理には、紫外線-可視線による露光が伴うこともある。
【0165】
結果として生じたレリーフ画像の深さは、感光性材料の元の厚さの約2〜40%であってよい。こうして、未硬化感光性材料の厚さが1500ミクロンである場合、レリーフ画像の深さは約500ミクロンであってよい。フレキソグラフィ印刷版の場合、深さは約150〜500ミクロンであってよい。PCBの場合、感光性材料の下側の金属層を露出させるために、感光性材料が露光された領域又は未露光領域において完全に除去される。このようにPCBの場合、レリーフの深さは、金属層上に配置された感光性材料の厚さに依存する。レリーフの厚さは、印刷版の隆起領域(「画像領域」としても知られる)内の硬化された感光性材料の厚さと、感光性材料が現像された印刷版の谷における硬化された感光性材料の厚さとの差である。
【0166】
VI. 画像形成されたフィルムの再使用
画像形成性物品から一旦除去されると、画像形成されたフィルムは次いで、他の画像形成性物品上に追加のレリーフ画像を形成するために再使用することができる。画像形成されたフィルムを第2の画像形成性物品に移し、第2の画像形成性物品を、画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当て、第2の画像形成性物品から画像形成されたフィルムを除去し、そして第2の画像形成性物品を現像する工程を、同じ画像形成されたフィルムを使用して実施することができる。これらの工程は次いで、更なる画像形成性物品で繰り返すことができる。画像形成されたフィルムを再使用することができる回数は、フィルムのタイプ、及び画像形成性物品から画像形成されたフィルムを除去する際に用いられる技術に依存する。たいていの場合、画像形成されたフィルムは、10回未満、より具体的には約5回の回数でレリーフ画像を形成するために使用することができる。
【0167】
本発明には、その思想及び範囲から逸脱することなしに、種々の改変及び変更を加えることができる。言うまでもなく、本明細書中に具体的には開示されていない要素の不在において、本発明を好適に実施することができる。本発明の好ましい態様を説明する上で、明確さを目的として特定の用語を使用する。しかし本発明はこのように選ばれた特定の用語に限定されるものではなく、言うまでもなく、こうして選ばれたそれぞれの用語は、同様に働く全ての技術的等価物を含む。
【実施例】
【0168】
BUTVAR B-76-Solutia, Inc.(ミズーリ州St. Louis)から入手可能なポリビニルブチラール樹脂。
EPOLIGHT 1178-Epolin, Inc.(ニュージャージー州Newark)から入手可能な、1073 nmで吸光する赤外色素。
PC 364-下記構造を有する赤外色素:
【0169】
【化1】
【0170】
SANTICIZER 160-Ferro Corporation(オハイオ州Walton Hills)から入手可能なブチルベンジルポリマー。
スーダンブラック-Lightning Powder Company, Inc.(オレゴン州Salem)から入手可能なブルーブラック色素溶液。
TRUMP色素-下記構造を有する、830 nmで吸収極大値を有する赤外線吸収色素:
【0171】
【化2】
【0172】
UVINUL 3050ーBASF(ドイツ国)から入手可能なUV吸収剤、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン。
【0173】
例1
Courtaulds Performance Films(ヴァージニア州Martinsville)から入手可能な耐引掻き性硬質塗膜を塗布された7ミル厚ポリエステル感光性基体に、アセトンとシクロヘキサノンとの4.5:1溶剤混合物中の5 %総固形分溶液として表1に挙げた成分を含有するアブレート可能な層の溶液を、#7塗布ロッドを使用して塗布した。硬質塗膜上に50 mg/ft2の塗膜重量を有するアブレート可能な層を形成するために、アブレート可能な層の溶液を190°Fで5分間にわたって乾燥させた。
【0174】
【表1】
【0175】
表2に挙げた成分の画像形成性材料溶液を、メチルイソブチルケトンとエチルアルコールとの2:1溶剤混合物中の7.5 %総固形分溶液として混合し、そして、#20塗布ロッドを使用して、アブレート可能な層に適用した。アブレート可能な層上に175 mg/ft2の塗膜重量を有する画像形成性材料層を形成するために、画像形成性材料溶液を、180°Fの炉内で3分間にわたって加熱した。
【0176】
【表2】
【0177】
画像形成されたフィルムを形成するために、エネルギー・レベル0.8 J/cm2のアブレーション・モードで1170 nm輻射線を発する、Esko-Graphics (ジョージア州Kennesaw)から入手可能なSparkレーザー熱画像形成装置を用いて、2540 dpiの丸いドットを使用して150ラインスクリーンのハーフトーン・テスト・パターンで画像形成性材料層に画像形成を施した。ベースフィルムを0.01上回るDmin、及びシャープなハーフトーン・ドットが視覚的に観察された。
【0178】
感光性基体、感光性材料、リリース層、及びカバーシートを含有するKodak Polychrome Graphics(コネチカット州Norwalk)から入手可能なFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体(「前駆体」)に、Kelleigh Corporation (ニュージャージー州Trenton)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上で、31秒間にわたってUV線による裏側露光を施し、そしてカバーシートを前駆体から引き剥がした。Advanced Grieg Laminators(AGL)(ウィスコンシン州Madison)から入手可能なAGLホットロール・ラミネーターの入口に前駆体を置き、そして物品を前駆体上に、画像形成性材料の画像形成された層が前駆体のリリース層に面する状態で置くことにより、画像形成されたフィルムを前駆体にラミネートした。次いで、前駆体と画像形成されたフィルムとを、ニップ圧40 psi、及びローラ表面温度約260°Fで一緒にラミネートした。ラミネーター速度は30インチ/分(76.2 cm/分)に設定した。
【0179】
前駆体にラミネートされた画像形成されたフィルムを、Kelleigh Corporation (ニュージャージー州Trenton)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上に、画像形成されたフィルムが輻射線源に面する状態で置いた。真空ドローダウンを用いることなしに、集成体を13分間にわたってUV線に当てた。
【0180】
露光に続いて、露光された前駆体から画像形成されたフィルムを手で引き剥がすことにより、画像形成されたフィルムを除去した。マスクに対する損傷は観察されなかった。
【0181】
次いで、レリーフ画像を形成するために、OPTISOL溶液を使用して、20分間にわたって露光された前駆体を現像した。現像後、レリーフ画像を2時間にわたって140°Fの炉内で乾燥させ、次いで、8分間にわたってUV-C線でライト仕上げするために、KELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上に戻した。最後に、レリーフ画像に、10分間にわたってUV-A線による後露光を施した。
【0182】
例2
画像形成されたフィルムを形成するために、エネルギー・レベル0.5 J/cm2のアブレーション・モードで830 nm輻射線を発する、ECRM(マサチューセッツ州Tewksbury)から入手可能なDESERTCAT DC88レーザー熱画像形成装置を使用して、2400 dpi[上記フィルムは2540 dpiで行われた]の丸いドットを使用して150ラインスクリーンのハーフトーン・テスト・パターンで、Eastman Kodak (ニューヨーク州Rochester)から入手可能なKodak Direct Image Thermal Recording Film 1401のシートに画像形成を施した。
【0183】
感光性基体、感光性材料、リリース層、及びカバーシートを含有するKodak Polychrome Graphics(コネチカット州Norwalk)から入手可能な第1のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体(「前駆体」)に、Kelleigh Corporation (ニュージャージー州Trenton)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上で、31秒間にわたってUV線による裏側露光を施し、そしてカバーシートを前駆体から引き剥がした。Advanced Grieg Laminators(AGL)(ウィスコンシン州Madison)から入手可能なAGLホットロール・ラミネーターの入口に前駆体を置き、そして画像形成されたフィルムを前駆体上に、画像形成性材料の画像形成された層が前駆体のリリース層に面する状態で置くことにより、画像形成されたフィルムを前駆体にラミネートした。次いで、前駆体と画像形成されたフィルムとを、ニップ圧40 psi、及びローラ表面温度約260°Fで一緒にラミネートした。ラミネーター速度は30インチ/分(76.2 cm/分)に設定した。
【0184】
前駆体にラミネートされた画像形成されたフィルムを、Kelleigh Corporation (ニュージャージー州Trenton)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上に、画像形成されたフィルムが輻射線源に面する状態で置いた。真空ドローダウンを用いることなしに、集成体を13分間にわたってUV線に当てた。
【0185】
露光に続いて、露光された前駆体から画像形成されたフィルムを手で引き剥がすことにより、画像形成されたフィルムを除去した。次いで第1の仕上げ済印刷版を形成するために、製造業者によって推奨されているように、前駆体に現像、乾燥、及び仕上げを施した。第1の仕上げ済印刷版上に1 %から99 %までのフレキソグラフィ・ドットが観察された。次いで、Mark-Andy 2200フレキソ・プレス上に印刷するために、仕上げ済印刷版を使用した。
【0186】
次いで、第2の仕上げ済印刷版を形成するために、第1のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体と同様に、画像形成されたフィルムを第2のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体に再ラミネートし、露光し、そして処理した。第2の仕上げ済印刷版の画質は、第1の仕上げ済印刷版の画質と視覚的に同じであった。
【0187】
例3(比較)
例2において使用された画像形成されたフィルムを第3のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体上に置くが、しかしこれにラミネートはしなかった。画像形成されたフィルムと第3の前駆体との集成体に露光を施す工程を真空ドローダウン圧力下で実施することを除けば、例2におけるのと同様に画像形成されたフィルム及び第3の前駆体を露光した。最後に、画像形成されたフィルムを第3の前駆体から除去し、そして仕上げ済印刷版を形成するために、例2におけるのと同様に第3の前駆体を処理した。第3の仕上げ済印刷版のハーフトーン・ドット領域は、斑点、及び陰影詳細の損失を示し、このことは本発明が、露光中に真空ドローダウン圧を採用する方法よりも解像度が高い画像をもたらし得ることを示す。
【0188】
次いで、リリース層を除去した第4のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体上に画像形成されたフィルムを置いた。画像形成されたフィルムと第3の前駆体との集成体に露光を施す工程を真空ドローダウン圧力下で実施することを除けば、例2におけるのと同様に画像形成されたフィルム及び第4のフレキソグラフィ前駆体を露光した。しかしながらこの例において、画像形成されたフィルムは第4のフレキソグラフィ前駆体から剥離せず、このことは、リリース層がフレキソグラフィ前駆体から画像形成されたフィルムを除去する能力を改善することを示す。
【0189】
例4(比較)
Eastman Kodak Co.(ニューヨーク州Rochester)から入手可能な画像形成されたKodak Premier PRD7フィルムの試料を、第5のFLEXCEL-SRHフレキソグラフィ前駆体にラミネートし、そして画像形成されたフィルムと第5の前駆体との集成体に露光を施す工程を真空ドローダウン圧力下で実施することを除けば、例2におけるのと同様に露光した。画像形成されたKodak Premier PRD7フィルムは、画像形成されたフィルムを再使用できるようには第5のフレキソグラフィ前駆体から剥離しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1A】図1A〜1Eは、本発明の方法を示す概略図であり、図1Aはマスク基体と、画像形成性材料層とを含む画像形成性フィルムから画像形成されたフィルムをデジタル形成する工程を表す。
【図1B】図1Bは感光性基体上の感光性材料と感光性材料上のリリース層とを含むフレキソグラフィ前駆体上に、画像形成されたフィルムをラミネートする工程を表す。
【図1C】図1Cはフレキソグラフィ前駆体を硬化用輻射線に当てる工程を表す。
【図1D】図1Dはフレキソグラフィ前駆体から画像形成されたフィルムを除去する工程を表す。
【図1E】図1Eはレリーフ画像を有するフレキソグラフィ印刷版を提供するために、フレキソグラフィ前駆体を現像する工程を表す。
【図2A】図2Aは、マスク基体、下塗り層、及び画像形成性材料を含む画像形成性フィルムの1つの態様を示す断面図である。
【図2B】図2Bは、マスク基体、アブレート可能な層、及び画像形成性材料を含む画像形成性フィルムの別の態様を示す断面図である。
【図2C】図2Cは、マスク基体、下塗り層、アブレート可能な層、及び画像形成性材料を含む画像形成性フィルムの別の態様を示す断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レリーフ画像の形成方法であって、該方法は:
(a) マスク基体上にマスク画像を含む画像形成されたフィルムを形成するために、該マスク基体と画像形成性材料とを含む画像形成性フィルムを、画像形成用輻射線に像様露光させること;
(b) 該画像形成されたフィルムを、感光性材料上に配置されたリリース層を含む画像形成性物品にラミネートすること;
(c) 該画像形成性物品を真空ドローダウンなしに、該画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当てること;
(d) 該画像形成されたフィルムが再使用可能となるように、該画像形成性物品から該画像形成されたフィルムを除去すること;そして
(e) レリーフ画像を形成するために該画像形成性物品を現像すること
の各工程を含んで成る。
【請求項2】
該画像形成性材料が赤外線吸収剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該画像形成性材料が紫外線吸収剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該画像形成性材料が、該硬化用輻射線を吸収する着色剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該着色剤が、カーボンブラック、レッド・シェード・イエロー、バイオレット・ブラック、又はこれらの組み合わせを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該画像形成性材料が、該硬化用輻射線を吸収する着色剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、及びバインダーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該画像形成性フィルムが、該画像形成性材料と該マスク基体との間に配置された下塗り層を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該画像形成性フィルムが、アブレート可能な層を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該アブレート可能な層が、ポリシアノアクリレート及び赤外色素を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該アブレート可能な層が、該マスク基体と該画像形成性材料との間に配置されている請求項8に記載の方法。
【請求項11】
該アブレート可能な層が、該画像形成性材料の露光される面上に配置されている請求項8に記載の方法。
【請求項12】
該画像形成用輻射線の波長が、約750 〜 1200 nmである請求項1に記載の方法。
【請求項13】
該フィルムを画像形成用輻射線に対して像様露光する該工程が、該画像形成用輻射線に当てられた該画像形成性材料の除去をもたらす請求項1に記載の方法。
【請求項14】
受容体シートが、該画像形成用輻射線に当てられた該画像形成性材料を集める請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該画像形成されたフィルムを画像形成性物品にラミネートする該工程が、
(i) 該画像形成性物品を加熱すること;そして
(ii) 該画像形成されたフィルムを該画像形成性物品のリリース層と接触させること
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
該画像形成されたフィルムを該画像形成性物品にラミネートする該工程が、該マスク画像を該リリース層と接触させる工程の後に、該画像形成されたフィルム及び該画像形成性物品に熱及び圧力を加えることを、さらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該感光性材料が紫外線硬化性材料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
該リリース層がポリビニルアルコール、メチルセルロース、もしくは加水分解型スチレン無水マレイン酸、又はこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
該感光性材料が感光性基体上に配置されている請求項1に記載の方法。
【請求項20】
該画像形成性物品がフレキソグラフィ印刷版前駆体である請求項1に記載の方法。
【請求項21】
該画像形成性物品を該硬化用輻射線に当てる該工程が、該感光性材料の光重合を誘発する請求項1に記載の方法。
【請求項22】
該硬化用輻射線が紫外線を含む請求項1に記載の方法。
【請求項23】
該画像形成性物品を該硬化用輻射線に当てる該工程が、周囲圧力で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項24】
該画像形成性物品を現像する該工程が、該画像形成性物品を現像剤と接触させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項25】
該レリーフ画像の深さが約150 〜 約750 μmである請求項1に記載の方法。
【請求項26】
(f) 該画像形成されたフィルムを、第2の画像形成性物品にラミネートすること;
(g) 該第2の画像形成性物品を真空ドローダウンなしに、該画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当てること;
(h) 該第2の画像形成性物品から該画像形成されたフィルムを除去すること;そして
(i) 第2のレリーフ画像を形成するために該第2の画像形成性物品を現像すること
の各工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
該工程(f)〜(i)が、追加の画像形成性物品で繰り返される請求項26に記載の方法。
【請求項1】
レリーフ画像の形成方法であって、該方法は:
(a) マスク基体上にマスク画像を含む画像形成されたフィルムを形成するために、該マスク基体と画像形成性材料とを含む画像形成性フィルムを、画像形成用輻射線に像様露光させること;
(b) 該画像形成されたフィルムを、感光性材料上に配置されたリリース層を含む画像形成性物品にラミネートすること;
(c) 該画像形成性物品を真空ドローダウンなしに、該画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当てること;
(d) 該画像形成されたフィルムが再使用可能となるように、該画像形成性物品から該画像形成されたフィルムを除去すること;そして
(e) レリーフ画像を形成するために該画像形成性物品を現像すること
の各工程を含んで成る。
【請求項2】
該画像形成性材料が赤外線吸収剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該画像形成性材料が紫外線吸収剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該画像形成性材料が、該硬化用輻射線を吸収する着色剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該着色剤が、カーボンブラック、レッド・シェード・イエロー、バイオレット・ブラック、又はこれらの組み合わせを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該画像形成性材料が、該硬化用輻射線を吸収する着色剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、及びバインダーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該画像形成性フィルムが、該画像形成性材料と該マスク基体との間に配置された下塗り層を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該画像形成性フィルムが、アブレート可能な層を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該アブレート可能な層が、ポリシアノアクリレート及び赤外色素を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該アブレート可能な層が、該マスク基体と該画像形成性材料との間に配置されている請求項8に記載の方法。
【請求項11】
該アブレート可能な層が、該画像形成性材料の露光される面上に配置されている請求項8に記載の方法。
【請求項12】
該画像形成用輻射線の波長が、約750 〜 1200 nmである請求項1に記載の方法。
【請求項13】
該フィルムを画像形成用輻射線に対して像様露光する該工程が、該画像形成用輻射線に当てられた該画像形成性材料の除去をもたらす請求項1に記載の方法。
【請求項14】
受容体シートが、該画像形成用輻射線に当てられた該画像形成性材料を集める請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該画像形成されたフィルムを画像形成性物品にラミネートする該工程が、
(i) 該画像形成性物品を加熱すること;そして
(ii) 該画像形成されたフィルムを該画像形成性物品のリリース層と接触させること
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
該画像形成されたフィルムを該画像形成性物品にラミネートする該工程が、該マスク画像を該リリース層と接触させる工程の後に、該画像形成されたフィルム及び該画像形成性物品に熱及び圧力を加えることを、さらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該感光性材料が紫外線硬化性材料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
該リリース層がポリビニルアルコール、メチルセルロース、もしくは加水分解型スチレン無水マレイン酸、又はこれらの誘導体もしくは組み合わせを含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
該感光性材料が感光性基体上に配置されている請求項1に記載の方法。
【請求項20】
該画像形成性物品がフレキソグラフィ印刷版前駆体である請求項1に記載の方法。
【請求項21】
該画像形成性物品を該硬化用輻射線に当てる該工程が、該感光性材料の光重合を誘発する請求項1に記載の方法。
【請求項22】
該硬化用輻射線が紫外線を含む請求項1に記載の方法。
【請求項23】
該画像形成性物品を該硬化用輻射線に当てる該工程が、周囲圧力で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項24】
該画像形成性物品を現像する該工程が、該画像形成性物品を現像剤と接触させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項25】
該レリーフ画像の深さが約150 〜 約750 μmである請求項1に記載の方法。
【請求項26】
(f) 該画像形成されたフィルムを、第2の画像形成性物品にラミネートすること;
(g) 該第2の画像形成性物品を真空ドローダウンなしに、該画像形成されたフィルムを通して硬化用輻射線に当てること;
(h) 該第2の画像形成性物品から該画像形成されたフィルムを除去すること;そして
(i) 第2のレリーフ画像を形成するために該第2の画像形成性物品を現像すること
の各工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
該工程(f)〜(i)が、追加の画像形成性物品で繰り返される請求項26に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【公表番号】特表2008−541192(P2008−541192A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512318(P2008−512318)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/016865
【国際公開番号】WO2006/124279
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/016865
【国際公開番号】WO2006/124279
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】
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