説明

陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液及びこれを用いる陽イオン伝導性高分子複合膜の製造方法、膜−電極接合体並びに燃料電池

【課題】陽イオン伝導性高分子複合膜の製造に使われるコーティング液に用いられる溶媒の種類を多元化し、添加剤の種類を特定することによって、直接メタノール型燃料電池への適用時にメタノールの透過度が低いながらも、オーム抵抗が低いためにイオン伝導度に優れた陽イオン伝導性高分子複合膜が得られるスラリー状のコーティング液を提供する。
【解決手段】陽イオン交換基を持つ高分子100重量部に対して、スルホン化したクレー1〜10重量部と、180〜250℃の沸点を持つ高沸点溶媒及び100〜180℃の沸点を持つ低沸点溶媒が混合されてなる共溶媒とを含む、陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液及びこれを用いる陽イオン伝導性高分子複合膜の製造方法、膜−電極接合体、並びに燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素(H2)と酸素(O2)が持つ化学的エネルギーを電気エネルギーに直接変換する電気化学的装置のことをいう。
燃料電池において陽イオン伝導性高分子膜は、陰極の触媒層で発生した水素イオン(6H+)を陽極に伝達し、陰極に供給される燃料(直接メタノール型ではメタノール、水、
その他の型の燃料電池では水素(H2))が陰極でイオン化されず陽極にクロスオーバー(cross−over)するのを防ぐ機能を果たす。
【0003】
直接メタノール型の燃料電池が持つ電池性能がその理論値に最大限に近接するように実際の燃料電池を具現するためには、基本的に、水素イオンと電子を発生させ、酸素との反応が起きる膜−電極接合体の性能が優れていなければならない。
【0004】
なかでも、陰極で発生した水素イオンを陽極に伝達する陽イオン伝導性高分子膜の役割が非常に重要である。
水素イオンの伝達能力を表すイオン伝導度の大きい高分子膜が用いられた膜−電極接合体は、オーム抵抗(Ohmic Resistance)が減少し、高い電力密度が得られる。
【0005】
また、他の高分子膜は、直接メタノール型の燃料電池ではメタノールが陰極から陽極へクロスオーバーされるのを防ぐし、高分子電解質を用いる燃料電池では水素またはその他水素に改質可能な気体燃料が陰極から陽極へクロスオーバーするのを防ぐ役割を果たす。
【0006】
燃料が陰極から陽極へ高分子膜を介して透過する場合、両電極で燃料が酸化する同じ反応が発生するので、逆電位による反応電位の減少現象が発生し、燃料電池の電力密度が減少するという結果を招く。
【0007】
従来、陽イオン伝導性高分子膜のメタノール透過度を減少させるために、シリカ、クレーなどの無機粒子を高分子に分散させ、または、分散度の向上のために有機化処理されたシリカやクレーを使用してきた。
【0008】
そして、このような非イオン伝導性の無機粒子を添加することによるイオン伝導度の減少を防止するために、スルホン酸が結合したスルホン化クレーを高分子に分散して膜を製造する技術も開発された。
【0009】
これらの場合、高分子膜の製造に用いられる方法は、ガラスやテフロン(登録商標)トレーに底粘度の溶液を入れて長時間の乾燥で製膜する溶液キャスティング法、ガラス板にコーティング液をキャスティングする方法、高分子をホットプレスで熱間圧縮する方法等の単純なバッチ(Batch)方式が殆どであった。
【0010】
そこで、現状において、生産性の高い高分子フィルム基材を用いた連続工程に適用するためのコーティング液の開発及び工程技術の開発が要求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の問題を解決するためのもので、その目的は、フィルムキャスティング法を適用するのに適合しており、直接透過率が低いながらもイオン伝導度と機械的物性に優れた陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、上記のコーティング液を用いた陽イオン伝導性高分子複合膜の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記の陽イオン伝導性高分子複合膜を備える膜−電極接合体並びに燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明は、陽イオン交換基を持つ高分子100重量部に対して、スルホン化したクレー1〜10重量部と、180〜250℃の沸点を持つ高沸点溶媒及び100〜180℃の沸点を持つ低沸点溶媒を混合してなる共溶媒とを含む、陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液を提供する。
【0014】
上記他の目的を達成するために、本発明は、(a)上記のコーティング液を高分子フィルムの一面にコーティングしてコーティング膜を形成する段階と、(b)前記コーティング膜に含まれている低沸点溶媒を主に除去する1次乾燥段階と、(c)前記コーティング膜に含まれている高沸点溶媒を主に除去する2次乾燥段階とを含む、陽イオン伝導性高分子複合膜の製造方法を提供する。
【0015】
上記さらに他の目的を達成するために、本発明は、上記の方法によって製造される陽イオン伝導性高分子複合膜と、前記陽イオン伝導性高分子複合膜の両面にコーティングまたは接合された触媒層と、前記触媒層の両側面に配置される気体拡散層とを備える膜−電極接合体を提供し、また、この膜−電極接合体とバイポーラプレートとを備えてなる燃料電池アセンブリを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明による陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液及びこれを用いて製造した陽イオン伝導性高分子複合膜は、これまで主に使用してきたNafion(登録商標) 115に比べてメタノールの透過度は低いながらもイオン伝導度においては同等な水準の物性を得ることができる。
【0017】
このような陽イオン伝導性高分子複合膜を備える膜−電極接合体を用いて燃料電池を製造すると、オーム抵抗及び電力密度の点において優れた物性を持つことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明による陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液は、陽イオン交換基を持つ高分子、スルホン化したクレー、及び、共溶媒を含む。
【0019】
<陽イオン交換基を持つ高分子>
陽イオン交換基を持つ高分子は、高分子膜の製造時に基材(matrix)となるもので、通常、側鎖に陽イオン交換基を持つフッ素系高分子と、陽イオン交換基を持つ非フッ素系高分子である炭化水素系高分子とに分類される。
【0020】
炭化水素系高分子としては、ポリスルホン系高分子、ポリアリールエーテルスルホン系高分子、ポリホスファゼン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリアリールエーテ
ルケトン系高分子、ポリフタラジノンエーテルケトン系高分子、ポリイミド系高分子、ポリベンゾイミダゾール系高分子、ABS(Acrylonitrile−butadiene−styrene)系高分子、SBR(Styrene−butadiene rubber)系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリオレフィン系高分子、ポリカーボネート系高分子、PET(Polyethylene terephthalate)系高分子、PEN(Polyethylene naphthalate)系高分子もしくはアクリル系高分子、またはこれらの混合物などが挙げられる。また、フッ素系高分子としては、具体的には、Dupont社のNafion(登録商標)、旭化成社のAciplex(登録商標)、旭硝子社のFlemion(登録商標)、Solvay社のHyflonionなどが挙げられる。
【0021】
ここで、陽イオン交換基としては、スルホ基、ホスホ基、硫酸基、リン酸基、カルボキシル基及びスルホンイミド基から1つ以上選択されることを特徴とする。
<スルホン化したクレー>
一般に、燃料電池においてクレーは、陽イオン伝導性高分子膜のメタノール透過性を減少させ、機械的強度を増加させるために用いられる。このクレーは、上記の陽イオン交換基を持つ高分子の体積全体に亘って均一に分布している。
【0022】
このようなクレーとして、本発明ではスルホン化したクレーを使用した。
スルホン化したクレーは、モンモリロナイト(MMT)、イライト、カオリナイト、バーミキュライト、スメクタイト、ヘクトライト、マイカ、ベントナイト、ノントロナイト、サポナイト、ゼオライト、アルミナ、ルチル及びタルク、並びにこれらの混合物から選択されるクレーにスルホン酸が含有されているものを意味する。
【0023】
以下、その中でモンモリロナイトを用いてスルホン化したクレーを製造する方法について説明する。
モンモリロナイトを硫酸水溶液で処理し、Na+−MMT形態をH+−MMT形態に変換した後、3−MPTMS(3−mercaptopropyltrimethoxy silane)で処理すると、MMTの表面にチオール(Thiol、−SH)がグラフティング(grafting)される。そして、これを酸化することにより、前記チオールをスルホン酸(−SO3H)に変換する。
【0024】
この3−MPTMSの代わりに1−プロパンスルトンでMMTを処理することによっても、スルホン酸基をMMTに導入することが可能である。
このように調製されたスルホン化されたクレーを、上記の陽イオン交換基を持つ高分子に添加すると、イオン伝導度の大きな損失を伴うことなく、陽イオン伝導性高分子膜のメタノール透過度を効果的に低減させることができる。
【0025】
スルホン化したクレーの含量は、上記陽イオン交換基を持つ高分子100重量部に対して1〜10重量部とする。すなわち、陽イオン交換基を持つ高分子とスルホン化したクレーとの複合体全体の重量を基準として、スルホン化したクレーの占める含量を1〜9重量%とする。
【0026】
スルホン化したクレーの含量を上記のような範囲にすべき理由は、陽イオン交換基を持つ高分子100重量部に対してスルホン化クレーの含量が1重量部未満であると、高分子に分散したスルホン化クレーの量が不足してしまい、むしろスルホン化クレーを添加しない高分子膜に比べてメタノール透過度(70%以上)が高くなり、メタノールクロスオーバーを防止する効果が低減する場合があるためである。
【0027】
一方、陽イオン交換基を持つ高分子100重量部に対してスルホン化クレー含量が10
重量部を超過すると、スルホン化したクレーが分散し難くなるためにクレー間の凝集現象が発生する場合があり、これによってメタノール透過度は再び上昇する一方で、イオン伝導度は減少し続くという問題につながる。
【0028】
機械的物性の観点においても、陽イオン交換基を持つ高分子100重量部に対して、スルホン化したクレーを1重量部以上かつ10重量部以下の含量で高分子と混合する場合には、このような陽イオン交換基を持つ高分子とスルホン化したクレーとの複合体を用いて調製される高分子膜については、クレーを含有しない高分子膜と比べて、その引張強度が最大166%、延伸率が最大133%にそれぞれ増加する。
【0029】
<共溶媒>
本発明で用いられる共溶媒(co−solvent)は、高沸点溶媒(第1溶媒)と低沸点溶媒(第2溶媒)とを含む。
【0030】
高沸点溶媒は、180〜250℃の沸点(boiling point)を持つ溶媒であり、具体的には、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びエチレングリコール(EG)、並びにこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0031】
低沸点溶媒は、100〜180℃の沸点を持つ溶媒であり、具体的には、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、シクロペンタノン及び水(H2O)、並びにこれらの混合物から選択されることができる。
【0032】
本発明のコーティング液において単一の溶媒のみを使用するのではなく、少なくとも20〜50℃の沸点差を持つ高沸点溶媒と低沸点溶媒とを混合して使用する理由は、単一の溶媒のみを使用すると、当該溶媒の沸点付近で急な脱離(secession)現象が生じ、乾燥後に製造される高分子複合膜に気泡またはクラックのような欠陥が発生する恐れが高いためである。
【0033】
また、高沸点溶媒のみを使用すると、コーティング液の乾燥のために過度に高い温度で長時間乾燥しなければならない不便さがあり、これは、乾燥装置の長さを考慮する場合に、設計を制限する要因とされる。
【0034】
一方、低沸点溶媒のみを使用すると、乾燥温度が低く、乾燥が速いという長所はあるが、乾燥工程前のコーティング工程上で低沸点溶媒が揮発してしまい、粘度変化とコーティング液の濃度変化とにつながる恐れがある。
【0035】
また、高沸点溶媒と低沸点溶媒との混合割合を調節することによって共溶媒の共沸点(Azeotropic point)の変化の調節が可能になり、これにより、水素イオン(H+)を伝達するイオンクラスタの大きさ及び分布を変化させ、結果として最終的に生成される高分子複合膜のイオン伝導度及びメタノール透過度を調節することが可能になる。
【0036】
したがって、高沸点溶媒と低沸点溶媒とを適切な割合で混合して使用することが好ましいが、この時、高沸点溶媒:低沸点溶媒の混合比率は、重量比で1:20〜1:1.5とすれば良い。
【0037】
このように高沸点溶媒よりも低沸点溶媒の重量比を高くすると、低温での1次乾燥の際に多量の低沸点溶媒の脱離時に高沸点溶媒がコーティング膜の内部に残留し、適当なコーティング膜が適切な粘度を持つように調節するとともに、以降の高温での2次乾燥の際に
残留する高沸点溶媒を脱離させることによって、最終的に生成されるコーティング膜内部のストレスを低減させ、表面がなめらかでありながらも全体的に高密度且つ均質なコーティング膜を得ることが可能になる。
【0038】
これにより、高いイオン伝導度を維持しながらもメタノールの透過度を下げることができる。
本発明による陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液において共溶媒の占める割合は、具体的にどのような高沸点溶媒と低沸点溶媒が使用されるかによって決定される。いずれの場合においても、本発明の共溶媒は、上記の混合比率を維持しながらコーティング液の製造時に添加され、これにより、最終的に製造されるコーティング液の粘度を1000〜5000cPsの範囲とすることが好ましい。
【0039】
したがって、高沸点溶媒と低沸点溶媒として沸点は略同一であるが、粘度の高い溶媒を使用する場合には、コーティング液に添加する共溶媒の量は減少し、粘度の低い溶媒を使用する場合には、コーティング液に添加する共溶媒の量は増加する。
【0040】
本発明に係る陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液の粘度を1000〜5000cPsの値とすることが好ましい理由は、コーティング膜の製造に主として用いられるフィルムキャスティング工程において、コーティング液を高分子フィルムにコーティングする際に、得られるコーティング膜の厚さが均一になるようにし、かつ、コーティング後にコーティングされた膜がキャスティングの形態をそのまま保持せず流下することによりコーティング膜の全体厚さにバラツキが生じるのを防止するためである。
【0041】
具体的には、コーティング液の粘度が1000cPs未満であると、キャスティングされたコーティング膜の幅が変化してしまい、乾燥装置への進入前に垂直重力方向にコーティング液が流下する恐れがある。一方、粘度が5000cPsを超過すると、粘度が高くなりすぎることにより、コーティング液でコーティング膜を製造することが困難である場合があるほか、コーティング速度を高めるにも限界がある。
【0042】
<コーティング液を用いた陽イオン伝導性高分子複合膜の製造>
1.コーティング液を用いたコーティング膜の形成
本発明に係る陽イオン伝導性高分子複合膜の製造方法においては、まず、上記で得られたコーティング液を用いてコーティング膜を形成する段階から始まる。このとき、コーティング膜の形成にあたっては、ドクターブレードテープキャスティング法などのコーティング法が用いられる。
【0043】
図1は、上記で得られたコーティング液を用いて陽イオン伝導性高分子複合膜をフィルムキャスティング法で製造する方法を示す工程流れ図であり、図2は、上記のコーティング液を用いて陽イオン伝導性高分子複合膜を製造するためのフィルムキャスティング装置を模式的に示す図である。
【0044】
以下、上記のコーティング液を用いてフィルムキャスティング装置でコーティング膜を製造する方法について説明するが、上記のコーティング液を用いた陽イオン伝導性高分子複合膜の製造方法がこれに限定されることはなく、溶融押出法やその他スラリー状のコーティング液を用いたコーティング膜の製造のための種々のコーティング法を使用してもよい。
【0045】
本発明によるコーティング液を用いて陽イオン伝導性高分子複合膜を製造するためには、まず、コーティング液を高分子フィルムの一面または両面にコーティングし、コーティング膜を形成する(図1:S210)。
【0046】
高分子フィルム310は、基材ロール300に巻取られており、一定の速度でコーティングダイ330に繰り出される(図2)。
その後、コーティングダイ330において、高分子フィルム310にコーティング処理を施し、コーティング膜を形成する。すなわち、コーティング液槽(reservoir)320に入っているコーティング液を一定量コーティングダイ330に導入し、コーティングダイ330において、高分子フィルム310の一面または両面に一定の厚さにこのコーティング液をコーティングすることにより、コーティング膜を形成する。
【0047】
ここで使われる高分子フィルム310は、具体的に、PET(Poly(ethyleneterephthalate))系フィルム、PEN(Poly(ethylenenaphthalate))系フィルム、PC(Polycarbonate)系フィルム、テフロン(登録商標)系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、離型物質で表面処理されたフィルムから選択することができ、その厚さを50〜150μmとすることが好ましい。
【0048】
また、コーティングダイ330として、ダイコーター、カンマコーター、ブレードコーター、グラビアコーターなどの各種のコーターを用いることができるが、ダイコーターを使用することが好ましい。
【0049】
高分子フィルム310の厚さを上記の範囲の値にすることが好ましい理由は、50μm未満の厚さを持つ高分子フィルム310は、100℃以上の高温乾燥過程でコーターのロール間で働く張力に耐えられず、破断される恐れがあり、一方、厚さが150μmを超過する高分子フィルム310は、価格が高く、コーターでの走行性(生産速度)が低くなる場合があるという不具合があるためである。
【0050】
高分子フィルム310上に形成される乾燥前のコーティング膜の厚さは、大きく制限されることはないが、10μm〜3mmの範囲とすることが好ましい。
その後、コーティング膜の形成された高分子フィルム310はガイドロール1,2に沿って熱風乾燥装置360の内部に移送される。ここで、この熱風乾燥装置360に移送される前に、コーティング膜の厚さを均一にするためにメータリングロール350を経由しても良い。
2.1次及び2次乾燥段階
熱風乾燥装置360に移送されてきたコーティング膜の形成された高分子フィルム310は、コーティング膜に含まれている低沸点溶媒を主に除去する1次乾燥段階を経る(図1:S220)。
【0051】
1次乾燥段階では、理論的には低沸点溶媒のみを除去することを目的としているが、実際には、大部分の低沸点溶媒と共に少量または一部の高沸点溶媒も除去される。
このような1次乾燥によってコーティング膜内部に存在する共溶媒中の多量の低沸点溶媒が除去され、コーティング膜の粘度は急に増加する。
【0052】
その後、熱風乾燥装置360内部の温度を1次乾燥条件以上に上げ、高沸点溶媒を主に除去する2次乾燥段階を行う(図1:S230)。
2次乾燥段階では、理論的には高沸点溶媒のみを除去することを目的としているが、実際には大部分の高沸点溶媒と、上記の1次乾燥段階で除去されなかった一部の低沸点溶媒が除去される。
【0053】
このような乾燥過程を経ると、高分子フィルム310上に形成されたコーティング膜が、液体よりは固体に近いグリーンシート(green sheet)形態の膜として得られる。
【0054】
ただし、ここで、熱風乾燥工程の後に、さらにUV乾燥工程370を行うと、コーティング膜内部に存在するUV硬化性物質を介して高分子マトリクスを架橋させることが可能になる(図2)。
【0055】
燃料電池用の陽イオン伝導性高分子膜は、上記のように数十μm〜数mmの厚い厚さにキャスティングされるのに対し、乾燥装置360の長さには設計上制限があるため、コーティング膜の充分な乾燥のためには、乾燥装置の長さと高分子フィルムのライン走行速度間に一定な制限を置くことが望ましい。
【0056】
本発明では、実験を重ねた結果、上記のようなフィルムキャスティング工程に対して下記のような乾燥装置の長さとコーティングラインの走行速度間の関係を提示するに至った。
【0057】
*乾燥装置の長さ(m)/ライン走行速度(m/min)=2〜20
上記の値が2未満であると、ライン走行速度が乾燥装置の長さに比べて速すぎるため、コーティング膜中の溶媒が過量残留する恐れがあり、20以上であると、高温の乾燥装置の内部で高分子フィルムが長時間ロール(roll)による張力を受け、高分子フィルムが破断する恐れがある。
【0058】
次に、上記のようにしてコーティング及び乾燥が行われた高分子フィルム上のコーティング膜を、所望に応じて巻取ロール380で巻き取る(図1:S240)。
ここで、コーティング膜を高分子フィルムにコーティングされているまま巻き取っても良いが、巻取段階の前にコーティング膜を高分子フィルムから分離し、コーティング膜、すなわち、陽イオン伝導性高分子複合膜のみを巻取しても良い。
【0059】
なお、上記のようなフィルムキャスティング工程において、高分子フィルム310が基材ロール300−コーティングダイ330−メータリングロール350−乾燥装置360−巻取ロール380の段階に移送される途中にはガイドロール(図2の1〜6)が設置されている。これらのガイドロール1〜6は、高分子フィルム310の前段階から次の段階への移送をガイド(guide)する役割を担うもので、ガイドロールの位置及び個数はフィルムキャスティング装置の設計によって変えることができる。
【0060】
<膜−電極接合体及び燃料電池>
図3は、上記の方法によって製造された陽イオン伝導性高分子複合膜を用いて製造した膜−電極接合体(Membrane−Electrode assembly;MEA)を模式的に示す断面図である。
【0061】
図3を参照すると、本発明の膜−電極接合体40は、陽イオン伝導性高分子複合膜400、該高分子複合膜400の両面に蒸着コーティングされた触媒層410,410'、及び該触媒層410,410'の両側面にそれぞれ配置される気体拡散層420,420'を含む。
【0062】
触媒層410,410'は、白金、ルテニウム、オスミウム、白金−ルテニウム合金、
白金−オスミウム合金、白金−パラジウム合金、または白金−M合金(ここで、Mは、G
a、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZnからなる群より選択される1種以上の遷移金属)のいずれか1つ以上の触媒を含むことが好ましい。
【0063】
この触媒を1種単独で、もしくはカーボンブラック(carbonblack)と混合
して調製するか、または、該触媒をカーボン担体に担持して使用しても良い。
なお、触媒層用スラリーを製造する場合には、上記の触媒を陽イオン伝導性高分子(Ionomer)に分散させてスラリーを作ると良い。
【0064】
触媒層410,410'の両面には気体拡散層(gas diffusion lay
er;GDL)420,420'が配置される。
気体拡散層420,420'は、外部から供給される燃料気体(メタノール、水素)及
び酸素気体を触媒層410,410'に円滑に供給し、触媒−電解質膜−気体の3相界面
の形成を助ける役割を担うもので、炭素紙(carbon paper)または炭素布(carbon cloth)とすることが好ましい。
【0065】
また、触媒層410,410'と気体拡散層420,420'との間に、燃料気体及び酸素気体の拡散を助けるために、微細気孔層(micro porous layer;MPL)421,421'をさらに含んでも良い。
【0066】
図4は、上記の膜−電極接合体を備えた燃料電池を模式的に示す分解斜視図である。
図4を参照すると、本発明の燃料電池7は、膜−電極接合体40及び該膜−電極接合体の両側面に配置されるバイポーラプレート50を備える。
[実施例]
以下、本発明による陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液及びこれを用いた高分子複合膜の製造方法によって製造される高分子複合膜によれば、メタノール透過度が低く、非常に優れたイオン伝導度及び機械的物性が得られるということについて、具体的な実施例を挙げて説明する。
【0067】
1.陽イオン伝導性高分子複合膜の調製
<実施例1>
(i)陽イオン伝導性高分子複合膜用コーティング液の調製
Nafionディスパーション(EW 1100、Dupont社)を不溶性溶媒に沈殿させた後真空乾燥してNafion高分子パウダーのみを得た。その後、このNafion高分子パウダー100重量部を、高沸点溶媒であるN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)と低沸点溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)とを1:2.3の重量比で混合した共溶媒220重量部に溶かし、31.7重量%の濃度を有するNafion溶液を製造した。
【0068】
このNafion溶液に2重量部のスルホン化モンモリロナイト(sMMT)を混合して分散させ、陽イオン伝導性高分子複合膜用コーティング液スラリーを調製した。
(ii)陽イオン伝導性高分子複合膜の調製
前記(i)で調製されたコーティング液スラリーを、100μmのPETフィルム上にダイコーター(Die−Coater)を用いてフィルムキャスティングし、熱風乾燥装置を用いて100℃〜150℃で8分間溶媒を除去し、PET表面に厚さ80μmの陽イオン伝導性高分子複合膜を形成した。
【0069】
さらにに残留溶媒を除去するために、120℃の温度で1日間真空乾燥を実施した後、この高分子複合膜を1Mの硫酸水溶液に含浸して95℃温度で2時間維持した。その後、脱イオン水(DI.Water)で洗浄する酸処理工程を実施し、最終的に陽イオン伝導性高分子複合膜を調製した。
【0070】
得られた陽イオン伝導性高分子複合膜の物性を、下記の方法で評価し、その評価結果を[表1]に示す。
<実施例2>
NMP:DMAcの重量比が1:9の共溶媒220重量部を使用し、5重量部のsMMTを分散した以外は、上記実施例1と同様の方法によって陽イオン伝導性高分子複合膜を調製した。
【0071】
得られた陽イオン伝導性高分子複合膜を用いて、下記のセル評価法によって膜−電極接合体を調製した後、単位電池セルの性能評価を行った。得られた陽イオン伝導性高分子複合膜の物性及び単位電池セルの性能についての評価結果を、それぞれ[表1]及び[図5]に示す。
【0072】
<実施例3>
NMP:DMAcの重量比が1:9の共溶媒を245重量部使用し、5重量部のsMMTを分散した以外は、上記実施例1と同様の方法により陽イオン伝導性高分子複合膜の調製及び評価を行った。
【0073】
得られた陽イオン伝導性高分子複合膜の評価結果を[表1]に示す。
<比較例1>
溶媒を共溶媒とせず、DMAcを1種単独で使用し、5重量部のsMMTを分散した以外は、上記実施例1と同様の方法により陽イオン伝導性高分子複合膜の調製及び評価を行った。
【0074】
得られた陽イオン伝導性高分子複合膜の評価結果を[表1]に示す。
<比較例2>
溶媒を共溶媒とせず、NMPを1種単独で使用し、5重量部のsMMTを分散した以外は、上記実施例1と同様の方法により陽イオン伝導性高分子複合膜の調製及び評価を行った。
【0075】
得られた陽イオン伝導性高分子複合膜の評価結果を[表1]に示す。
<比較例3>
NMP:DMAcの重量比が1:9の共溶媒220重量部を使用し、Nafion溶液にsMMTを混合しなかった以外は、上記実施例1と同様の方法により陽イオン伝導性高分子複合膜の調製及び評価を行った。
【0076】
得られた陽イオン伝導性高分子複合膜の評価結果を[表1]に示す。
<比較例4>
陽イオン伝導性高分子膜を、Dupont社の商用製品であるNafion 115(N 115)とした以外は、実施例2と同様の方法により膜−電極接合体を調製した後、単位電池セルの性能評価を行った。この陽イオン伝導性高分子膜の物性及び得られた単位電池セルの性能についての評価結果を、それぞれ[表1]及び[図5]に示す。
【0077】
2.物性の評価及び単位電池セルの性能評価
(1)メタノール透過度
陽イオン伝導性高分子膜のメタノール透過度を、拡散セル(diffusion cell)を用いて測定した。すなわち、水が入っている貯水部と3M濃度のMeOH水溶液が入っているMeOH貯蔵部との間の隔壁として前記高分子膜を用い、常温でMeOH貯蔵部側から貯水部側に拡散されるMeOHの単位時間当たりのモル濃度変化(dC/dt)を測定して、下記の式によって計算し、MeOH透過度を測定した。この時、MeOH貯蔵部に満たされていたMeOH水溶液中のMeOHの初期モル濃度を3Mとして測定した。
【0078】
P=(△CB/△t)(1/CAi)(L/A)VB
(ここで、△CB/△t:時間当たりのモル濃度変化、CAi:MeOH貯蔵部の初期モ
ル濃度、L:膜の厚さ、A:膜の面積、VB:貯水部の体積)
(2)イオン伝導度
4端子法(4−point probe method)を用いて、陽イオン伝導性高分子膜のイオン伝導度を測定した。すなわち、試料とする膜を測定セルに装着し、この測定セルを脱イオン水(DI.Water)に浸漬したのち、常温条件でインピーダンスアナライザーを用いてイオン伝導度を測定した。複素平面(Complex plane)で実数軸を通る地点の値が陽イオン伝導性高分子膜の抵抗値であり、これを用いてイオン伝導度を求めた。
【0079】
σ=(1/R)(L/A)
(ここで、R:抵抗、A:膜の断面積、L:ポテンシャルを測定する作用電極(Working Electrode(W.E.))と対極(Counter Electrode(C.E.))との間の距離)
(3)機械的物性
陽イオン伝導性高分子膜の引張強度をTinius Olsen社のH5K−T UTMで測定した。各高分子膜の測定試験片は、乾燥後に幅5mm、長さ30mmの大きさとなるよう調製し、試験片を把持する両側のグリップ間の間隔を10mm、試験片の引張速度を50mm/minと設定し、引張強度を測定した。
【0080】
(4)コーティング液の粘度
TA Instrument社のAR−2000 Rheometerを用いて各コーティング液の粘度を0.1〜10sec-1ずり速度(shear rate)範囲で測定した。この時に使用したスピンドルはコーンタイプのもので、直径60mm、コーンの傾斜角は2°であった。また、測定時の温度は25℃に維持した。
【0081】
(5)単位電池セルの性能評価
PtRuブラック触媒(HiSpec 6000、Johnson Matthey社)を5mg/cm2で噴霧(Spray)コーティングしたガス拡散層を陰極とし、Ptブラック触媒(HiSpec 1000、Johnson Matthey社)を5mg/cm2で噴霧コーティングしたガス拡散層を陽極として、陽イオン伝導性高分子膜と共に熱間圧縮(Hot−pressing)し、膜−電極接合体(MEA)を製作した。
【0082】
このように製作されたMEAを、セミパッシブ型の直接メタノール型燃料電池(Semi−passive DMFC)に適用して単位セルの性能評価を行った。陽極には、空気を大気中から別の装置なしに供給し、陰極には、マイクロフローポンプを用いて1Mメタノール水溶液をストイキオメトリ(stoichiometry)の3倍で供給し、単位セルの温度を30℃に維持した。I−V曲線と出力密度曲線とを測定するとともに(図5)、0.35Vでの単位セルのオーム抵抗(Ohmic Resistance)を得た。オーム抵抗は、Hioki 3560(HiTester社)を用いて1kHzの周波数で測定された。
【0083】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明によるコーティング液を使って陽イオン伝導性高分子複合膜をフィルムキャスティング(film casting)方法で製造する方法を示す工程流れ図である。
【図2】本発明によるコーティング液を使って陽イオン伝導性高分子複合膜を製造するためのフィルムキャスティング装置を模式的に示す図である。
【図3】本発明の方法によって製造された陽イオン伝導性高分子複合膜を含めて製造した膜−電極接合体(Membrane−Electrode assembly;MEA)を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の膜−電極接合体を備える燃料電池を模式的に示す分解斜視図である。
【図5】実施例2及び比較例4によって製造された膜−電極接合体の単位電池セルについての性能評価結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0085】
1:ガイドロール
2:ガイドロール
3:ガイドロール
4:ガイドロール
5:ガイドロール
6:ガイドロール
7:燃料電池
40:膜−電極接合体
50:バイポーラプレート
300:基材ロール
310:高分子フィルム
320:コーティング液槽
330:コーティングダイ
350:メータリングロール
360:熱風乾燥装置
370:UV乾燥工程
380:巻取ロール
400:陽イオン伝導性高分子複合膜
410:触媒層
410’:触媒層
420:気体拡散層
420’:気体拡散層
421:微細気孔層
421’:微細気孔層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽イオン交換基を持つ高分子100重量部に対して、
スルホン化したクレー1〜10重量部と、
180〜250℃の沸点を持つ高沸点溶媒及び100〜180℃の沸点を持つ低沸点溶媒を混合してなる共溶媒と
を含むことを特徴とする、陽イオン伝導性高分子複合膜製造用のコーティング液。
【請求項2】
前記高沸点溶媒と低沸点溶媒とを1:20〜1:1.5の重量比で混合した共溶媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング液。
【請求項3】
1,000〜5,000cPsの粘度を持つことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング液。
【請求項4】
前記陽イオン交換基を持つ高分子が、側鎖に陽イオン交換基を持つフッ素系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリアリールエーテルスルホン系高分子、ポリホスファゼン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリアリールエーテルケトン系高分子、ポリフタラジノンエーテルケトン系高分子、ポリイミド系高分子、ポリベンゾイミダゾール系高分子、ABS(Acrylonitrile−butadiene−styrene)系高分子、SBR(Styrene−butadiene rubber)系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリオレフィン系高分子、ポリカーボネート系高分子、PET(Polyethylene terephthalate)系高分子、PEN(Polyethylene naphthalate)系高分子もしくはアクリル系高分子、またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング液。
【請求項5】
前記陽イオン交換基が、スルホ基、ホスホ基、硫酸基、リン酸基、カルボキシル基、スルホンイミド基から1つ以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング液。
【請求項6】
前記スルホン化したクレーが、モンモリロナイト、イライト、カオリナイト、バーミキュライト、スメクタイト、ヘクトライト、マイカ、ベントナイト、ノントロナイト、サポナイト、ゼオライト、アルミナ、ルチル及びタルク、並びにこれらの混合物から選択されるクレーにスルホン酸が含有されてなることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング液。
【請求項7】
前記高沸点溶媒が、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びエチレングリコール(EG)、並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング液。
【請求項8】
前記低沸点溶媒が、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、シクロペンタノン及び水(H2O)、並びにこれらの混合物から選択され
ることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング液。
【請求項9】
(a)請求項1〜8のいずれかに記載のコーティング液を高分子フィルムの一面にコーティングしてコーティング膜を形成する段階と、
(b)前記コーティング膜に含まれている低沸点溶媒を主に除去する1次乾燥段階と、
(c)前記コーティング膜に含まれている高沸点溶媒を主に除去する2次乾燥段階と、を含む、陽イオン伝導性高分子複合膜の製造方法。
【請求項10】
上記(a)段階は、ドクターブレードテープキャスティング(doctor blad
e tape casting)によって行われることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記高分子フィルムは、PET(Poly(ethyleneterephthalate))系フィルム、PEN(Poly(ethylenenaphthalate))系フィルム、PC(Polycarbonate)系フィルム、テフロン(登録商標)系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、及び離型物質で表面処理されたフィルムから選択されることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記(a)段階で製造されるコーティング膜の厚さが10μm〜3mmであることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
前記コーティング膜は、ダイコーター、カンマコーター、ブレードコーター、グラビアコーターから選択される一つのコーターを用いて形成されることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項14】
上記(c)段階の後に、
(d)乾燥された前記コーティング膜を巻取する段階をさらに含み、かつ、
上記(a)〜(d)段階が、
乾燥装置の長さ(m)/ライン走行速度(m/min)=2〜20
となる条件で行われることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項9〜14のいずれかの方法によって製造される陽イオン伝導性高分子複合膜と、
前記陽イオン伝導性高分子複合膜の両面に蒸着コーティングされた触媒層と、
前記触媒層の両側面に配置される気体拡散層と、
を備える、膜−電極接合体。
【請求項16】
請求項15に記載の膜−電極接合体と、
前記膜−電極接合体の両面に配置されるバイポーラプレートと
を備える、燃料電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−184608(P2008−184608A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336337(P2007−336337)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】