陽性の缶を有する円筒形ニッケル─亜鉛セル
【課題】
【解決手段】バッテリの陽極に通気キャップを有する陽性の缶を使用する構成の充電式ニッケル─亜鉛セル及びその製法を記述する。
【解決手段】バッテリの陽極に通気キャップを有する陽性の缶を使用する構成の充電式ニッケル─亜鉛セル及びその製法を記述する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[他の出願との関係]
本出願は2009年10月13日に提出された米国特許暫定出願61/251,222号に基づいて優先権を主張するものであり、上記文献に於ける内容の全体はすべての目的に於いて本願に参照して合同されるものとする。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般的に充電式バッテリに関し、殊に充電式ニッケル─亜鉛バッテリに関するものである。更に詳細に言えば、本発明は改良された充電式ニッケル−亜鉛バッテリ及び製法に関する。
【発明の概要】
【0003】
パワー用具のようなコードレスの携帯用装置が普及するに従い、高度のパワーが供給可能であり、且つ高エネルギイ密度である充電式バッテリへの必要性及び要求度が増加している。パワー及びエネルギイ密度に関する要求度が増すに従って、高サイクル寿命の充電式電極の必要性も増加する。アルカリ性亜鉛電極はその高電圧、低等価重量、及び低価によって知られており、亜鉛電極はその充放電に関する高速電気化学的動特性により高度のパワーも高度のエネルギイ密度も供することが出来る。ニッケル─亜鉛バッテリは、例えば電気乗用車(EV)、プラグ型ハイブリッド式電気乗用車(PHEV)、使用者用電子器具及びその他への応用のためのバッテリのような高度のパワー及びエネルギイ密度への必要性を満足させるものである。
【0004】
殊に重要であることは、より高電力、高エネルギ密度の充電式バッテリのみでなく、そのより簡単な製法であり、それと同時にバッテリの性能を向上する事である。密閉された円筒形ニッケル─亜鉛セルは使用者の要求に従って陰極性及び陽極性の両方の缶の場合で提案されて来た。いずれの構成にもセルの有効寿命を著しく短縮する結果となる不利点が伴う。
【0005】
ニッケル金属水化物及びニッケルカドミウムバッテリを含め、従来例の充電式アルカリ性バッテリは缶が陰性でキャップが陽性である。円筒形ニッケル─亜鉛セルは従来例のアルカリ性バッテリと逆の極性でデザインするのが有利かもしれない。逆の極性のデザインの場合、バッテリ通気キャップは陰性端子であり、円筒型ケース又は缶が陽性端子である。逆極性であると、陰極でのインピーダンスと水素発生が低下する。電動ツールのような電力の携帯装置に使用される場合、充電式バッテリは装置内に作り込まれたり、又は別個に包まれたりできるので、逆極性デザインは使用者に影響を与えないが、逆極性のセルが個別に供給される場合、使用者は例えば間違って電子器具に挿入してセルの使用法を誤り、セル又は装置を損傷することになりかねない。しかも、陰極性の通気キャップは電解質クリープとして知られる現象により漏れの傾向がある。
【0006】
金属の缶表面が不浸透性の重合体コーティングまたは金属、合金,又は水素発生過電位の高い物質でメッキすることにより保護されていないと、充電式亜鉛陰極に接触する陰極性缶は不幸にして過大に水素発生を増加することがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
此処に開示されるのはバッテリの陽性の極に通気キャップを有する陽性の缶を使用する機構の充電式ニッケル−亜鉛セル及びその製法である。これらの改良されたセル及び製法は、陽性のバッテリ缶によって得られる安定性を利用し、バッテリの陰性の極の上の通気キャップに関連する不利を回避するものである。ニッケルでメッキされたスチールの缶のような陽極性の缶はアルカリ性ニッケル電極の充電電圧で相対的に安定である。メッキ程度不良のスチールが存在していても、鉄の酸化物の不溶性は亜鉛陰極の汚染を限定するので、ガス発生は最小に維持される。
【0008】
或る実施形態の場合、充電式ニッケル─亜鉛セルには以下のものが含まれる:(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体; (ii)底部に孔を有し、ニッケル陽極と電気的に接続する缶;(iii)缶の底部に固定され、缶と電気的に接続され、孔を通して充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップ;及び(iv)亜鉛陰極と電気的に接続し、缶から電気的に絶縁され、缶の開口端の閉包として構成された陰性コレクタ板、とを備える充電式ニッケル─亜鉛セル。
【0009】
此処に記述される充電式ニッケル─亜鉛バッテリはニッケルでメッキされたスチール缶のみならず、金属、合金、及び/又は重合体のような水素発生に抵抗する物質でコーティングされた負電流コレクタ板を有するものであってよい。ジェリイロールと負電流コレクタ板との間の電気的交信は溶接された金属のタブを通じるもので、陰性コレクタ板と陰極の間の直接接触でも、亜鉛電極と陰性コレクタ板と両方に接触するように構成された導電性バネを通じてでもよい。
【0010】
或る実施形態の場合、陽性コレクタ板がニッケル陽極と缶の底面の間にこれらに接触して挿入される。かような実施形態の場合、缶の底部には陽性コレクタ板の挿入前または後に上記のような孔が生成される。一実施形態の場合、缶の底部は下記のように通気のために予め穿孔されている。或る実施形態の場合、缶の底部はジェリイロールの形状に変化がないように缶の底部は曲がったり反ったりしないように厚くされている。他の実施形態の場合、缶の底の剛性の為に缶の底部には縦溝、環状体、突起など他の構成部が作られる。陽性コレクタ板は強化の目的での体積面での犠牲があまり大きくならない限度での上記の缶底の特性に適合する金属泡体であってよい。
【0011】
電極下地層用の特別な物質及び活性物質や電解質の方式について説明する。ここに記述される充電式ニッケル─亜鉛セルは、或る商業用以外のサイズ又はAAA,AA,C,D及びサブCのような市場で入手可能なサイズに構成されてよい。
【0012】
本発明のその他の実施形態に含まれるのは、充電式ニッケル─亜鉛セルの製法であり、この方法には(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体を、ニッケル陽極が缶の底部及び本体と電気的に接続され、亜鉛陰極が缶の他端部で缶の開口端の閉包として構成させた陰性電流コレクタ板と電気的に接続され、缶と電気的に絶縁されるように 缶の中に密閉する工程;(ii)缶の底部に孔をこしらえるように缶の底部においてバッテリを穿孔する工程;(iii) 孔を通して充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップをニッケル陽極と電気的に接続するように缶の底部に固定する工程が含まれる。或る実施形態の場合、缶は既成の孔を有するものであり、それでは(ii)の工程が不要となる。プロセスにおけるフローの順序は記載の通りでなくてもよく、例えばジェリイロールが缶の中に密閉される前に缶が穿孔されてもよい。既成の孔が使用される実施形態の場合、通気キャップはジェリイロールが缶の中に密閉される前に缶に固定されてもよい。
【0013】
方法にはジェリイロールが缶の中に密閉される前に陽性コレクタ板をニッケル陽極と缶の底部に接触させてこれらの間に挿入する工程が更に含まれてもよい。方法にはジェリイロールが缶の中に密閉される前又はジェリイロールが缶の中に密閉された後に缶の孔を通してアルカリ性の電解質を缶の中へと導入する工程も含まれる。
【0014】
此処に記述される方法は上記のセルの製造に使用されるものであり、此処により詳細に説明される。
【0015】
上記及びその他の特徴及び利点は図を参照して以下説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のセル集合体の分解立体図である。
【図2A】ジェリイロールに巻き上げる以前における電極とセパレータ層の集合体を示す透視図である。
【図2B】図2Aの集合体の断面図である。
【図2C】本発明のジェリイロール集合体の断面図である。
【図2D】電流コレクタ下地層が或る構成に折り曲げられ熱密閉された後のジェリイロール集合体の断面図である。
【図2E】ガスケット、負電流コレクタ、缶、及び通気キャップを分解立体的に示す断面図である。
【図2F】バッテリに組み込まれた図2Dのジェリイロール集合体の断面図である。
【図2G】通気キャップの複数個の図である。
【図2H】異なる通気キャップ機構を使用して別のバッテリに組み込まれた図2Dのジェリイロール集合体の断面図である。
【図3A】強化された底部を有するバッテリ缶の断面図及び上面図である。
【図3B】強化された底部を有するバッテリ缶の断面図及び上面図である。
【図4】缶の強化に追加的要素を使用するバッテリ缶の断面図及び上面図を示す。
【図5】本発明に従った方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.概論
本発明は最も一般的に充電式ニッケル─亜鉛セル及びその製法に関して記述される。更に具体的には、本発明はバッテリの陽極において陽性の缶と通気キャップを使用する構成の充電式ニッケル─亜鉛セルに関して記述される。
【0018】
以下、発明に関するニッケル─亜鉛バッテリの化学作用、更に説明対象のニッケル─亜鉛バッテリに関連して本発明に特別な特色に焦点を当てながらバッテリのデザインをより詳細に説明する。
【0019】
ニッケル―亜鉛バッテリの電気化学的反応
アルカリ性電気化学セルに於ける水酸化ニッケル陽極の充電工程は以下の反応式による:
Ni(OH)2+OH− → NiOOH+H2O+e− ・・・ (1)
【0020】
アルカリ性電解質は亜鉛電極内の電気化学反応でイオン担体として作用する。充電式亜鉛電極に於ける初期活性材料はZnO粉末或いは亜鉛と酸化亜鉛粉末の混合物である。ZnO粉末は反応式(2)のようにKOH溶液に溶解してZn(OH)42−を生成し、これは充電工程に於いて反応式(3)のように金属亜鉛に還元する。亜鉛電極に於ける反応は以下のように記載される:
ZnO+2OH−+H2O → Zn(OH)42− ・・・ (2)
及び
Zn(OH)42−+2e− → Zn+4OH− ・・・ (3)
従って、ニッケル―亜鉛バッテリ全体の反応は以下のように記載される:
ZnO+H2O+2e− → Zn+2OH-+2e− ・・・ (4)
【0021】
全体としてのニッケル─亜鉛バッテリの反応は以下のようになる:
Zn+2NiOOH+H2O → ZnO+2Ni(OH)2 ・・・ (5)
【0022】
亜鉛電極における放電工程においては、金属亜鉛が電子を放出して亜鉛酸塩を生成する。それと同時にKOH溶液の亜鉛酸塩濃度は増加する。
【0023】
再充電の場合、反応(1)−(5)が繰り返される。ニッケル─亜鉛バッテリの寿命期間内において、このような充電−放電のサイクルは何回も繰り返される。
【0024】
B.実施形態
電極及び部品の記述をも含めて、より詳細なニッケル―亜鉛バッテリの記述、殊に製造の方法に関する実施形態は以下の通りである。
【0025】
ニッケル─亜鉛バッテリ及びバッテリの部品
図1は本発明の実施形態によるニッケル─亜鉛の分解立体図である。電極と電解質の交互の層が円筒形集合体101(ジェリイロールとも呼ばれる)内に供される。円筒形集合体又はジェリイロール101は缶113又はその他の容器の中に位置される。缶はその内部が導電性を与えるために例えば錫でメッキされてよい。陰性コレクタ板103は(例えば好ましくは錫でメッキされた銅)はセルが組み立てられた場合円筒形集合体101に接続又はその他の様相で電気的に接続されている。この陰性コレクタ板は陰極と電気的に接続され、外部陰性端子として機能する。ジェリイロールの陽極端部、底部(図示の場合)、は缶の内底部と電気的に接続することになる。或る実施形態の場合、ジェリイロールの陽極端部と缶の底部との間に陽性コレクタ板が介在する。特別な実施形態の場合、陽性コレクタ板は金属バネである。更に特別な実施形態の場合、この金属バネはジェリイロールの陽性下地層の間に介在するセパレータを貫く突起部を有する。
【0026】
可撓性のガスケット111の一部が陰性コレクタ板の上に置かれ、一部が叉缶113の上部の周辺に沿ってキャップ109の近くに供される周辺ビーズ115の上に置かれる。ガスケット111は陰性コレクタ板103を缶113から隔離する役を果たす。
【0027】
缶又はその他の容器が電解質で満たされた後、容器は典型的にビーズ115の上の缶の部分を使用し、缶のこの環状の部分を内側にガスケット111の最上部と陰性コレクタ板103の周囲部の上をクリンピングして電極及び電解質を外部から隔離して缶を密閉する。
【0028】
バッテリ缶113は最終的のセルの外部ハウジング又はケイシングの役を果たす。従来例のセルで缶が陽性である場合、これは典型的にニッケルでメッキされたスチールである。従来例のセルの缶は陽性又は陰性の端子である。缶が陽性の場合、通気キャップは陰極の上にある。缶が陰性の場合、通気キャップは陽極の上にあり、即ち通常の極性のセルである。即ち、通常のセルの場合、通気キャップは缶の開口を密閉する部品の一部である。
【0029】
本発明は、陽性の缶及び陽極における通気キャップ、即ち陽性の缶を有する通常の極性のセルを使用するものである。缶底部の孔は缶底部に設けられた通気キャップの孔と十分に配列されている。この構成により、陰極でより一般的である電解質のクリーピングに対する陽性端子上の通気口の抵抗が最大に維持される。上記のように、ジェリイロールは缶の中へ挿入され、セルの陰性端子はセルが包み込まれる間に中間のガスケットが板を缶から電気的に隔離するようにクリンピングされた電流コレクタ板に接続される。板は水素の発生を抑制する物質を使用して、通常かような物質で缶の内部を均一的にメッキすることに関連する問題を起こすことなく、容易にメッキ又はコーティングすることが出来る。このセル構成及びその製造方法には少なくとも以下のような利点がある:(1)缶内部のようなメッキされた物質と接触する面積が少ない結果として、陰極でのガス発生の傾向が少ない;(2)通気口を陽性端子に位置づけるため、クリーピングによる電解質の通気口を通して漏れ出す傾向が少ない;(3)缶の内部を水素発生抑制用の物質でメッキする必要性がない;(4)ジェリイロールの回りに重合体の袖部を使用する必要性がない;(5)通気口集合体がクリンピング工程でのストレスの影響を受けないため、通気工程に再現性がある;(6)使用する物質量が少ない(より詳細が下記される)ので、コストが節約される;及び(7)デザインが簡単で従って製造に関する要求が少ないためにコストが節約される。
【0030】
本発明はその一面において、(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータから成るジェリイロール集合体;(ii)底部に孔を有し、ニッケル陽極と電気的に接続する缶;(iii)缶の底部に固定され、缶と電気的に接続され、孔を通して充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップ;及び(iv)亜鉛陰極と電気的に接続し、缶から電気的に絶縁され、缶の開口端の閉包として構成された陰性コレクタ板、とから成る充電式ニッケル─亜鉛セルに関するものである。本発明に好適なジェリイロール集合体のより詳細な説明は以下のジェリイロールに関する説明の項で提供される。
【0031】
この出願において、「缶」とはバッテリ缶を意味し、通常金属の缶、例えばスチール又はステンレススチールの缶であるが、それに限るものではない。典型的に缶はニッケルでメッキされたものであるが、これは必要なことではない。他の缶でも十分であり、例えば本発明の或る実施形態の場合、導電性物質でコーティングされた重合体に基づく缶で十分である。叉、「缶の底部」とは閉口部(又は孔を有する場合には通気端部)又はバッテリ缶の「底」(本発明はこのような方向的要素で限定されるものではないが)を意味する。一実施形態の場合、缶はニッケルでメッキされたスチールである。
【0032】
再度図1を参照し、集合体とは従来例のセルより複雑でないものである。第一に、従来例のセルとは内部端子の役を果たす陰性と陽性の両方のコレクタ板を有するものである。図1のセルは外部端子の役を果たす陰性コレクタ板のみである。もっとも、陽性コレクタ板、例えば穿孔された金属又は金属泡体が使用される実施形態もある。更に、ジェリイロールから陰性コレクタ板又は底部に電気的の接続をする溶接タブの必要もない(但しかようなタブを有する特殊実施形態もある)。図1において、バッテリ集合体はジェリイロールを有し、そのジェリイロールはこの向きの場合ジェリイロールの最上部において少なくとも部分的に露出した陰極下地層及びジェリイロールの底部において少なくとも部分的に露出した陽極下地層を有する。このジェリイロール内の電極の構成の一実施形態に関する詳細な記述は図2A−Dに関連して供される。この特別な実施形態の場合、陰性下地層はジェリイロールの一端部(頂上と記述)に亘る露出縁部を有し、陽性下地層はジェリイロールの他端部(此処において底部と記述)に亘る露出縁部を有する。即ち、電極は陽性と陰性の層のオフセットされた構成から始まってジェリイロールへと巻き上げられ、各電流コレクタは一度巻き上げられたジェリイロールの交互の端部で露出される。或る実施形態の場合、ジェリイロールの一方又は両方の端部で下地層の一部のみ露出されている。
【0033】
缶113には缶の底部(缶底部)に孔108がある。ジェリイロールは缶に挿入され、陰性電流コレクタ103は缶の中のジェリイロールの頂上に置かれる。一実施形態の場合、陰性コレクタ板は例えば銅又は真鍮のような金属の板であり、水素発生に抗する物質でコーティングされている。一実施形態の場合、この水素に抗する物質には金属、合金、及び重合体の少なくも一つが含まれる。別の実施形態の場合、水素に抗する物質には 任意的に全フッ素置換されたポリオレフィンが含まれ、更に特別な実施形態の場合、TeflonTM(E.I.Dupont de Nemours and Company,of Wilmington, Delawareのポリテトラフルオロエチレンの商品名)である。
【0034】
電流コレクタ103は典型的に陰性下地層を通して亜鉛陰極と電気的交信するように構成されている。上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、陰性コレクタ板と亜鉛陰極との間の電気的交信は溶接された金属タブを通して行われるものである。特別な一実施形態の場合、金属タブは陰性下地層及び陰性電流コレクタに溶接される。上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、陰性コレクタ板と亜鉛陰極との間の電気的交信は陰性コレクタ板と亜鉛陰極との間の直接の接触で行われる。特別な実施形態の場合、溶接されたタブのない陰性下地層が陰性電極コレクタと直接接触される。陰性コレクタ板が例えば水素発生に抗する物質のような導電性でない物質でコーティングされて居る場合、電気的交信を確立するため、下地層はセルが組み立てられる時に導電性でない物質を貫通するように構成される。 上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、陰性コレクタ板と亜鉛陰極との間の電気的交信は亜鉛陰極と陰性コレクタ板の両方に接触するように構成された導電性バネを通じて行われ、この導電性のバネはジェリイロールの端部と陰性コレクタ板の間に圧縮されている。特別な一実施形態の場合、この導電性バネには亜鉛陰極及び/又は陰性コレクタ板との接触を向上させる為に片側又は両側に突起部がある。陰性電流コレクタが例えば水素発生に抗する物質のような導電性でない物質でコーティングされて居る場合、この導電性バネは陰性電流コレクタとの電気的交信を確立するため、セルの組み立てに際し、例えばバネから出て居る突起部によって導電性でない物質を貫通するように構成されている。一実施形態の場合、例えば金属製の導電性バネはバネとジェリイロールの陰性下地層との間に介在するセパレータを貫通し、それによって陰性下地層との電気的交信を行うように構成されている。この導電性バネは金属のバネ,又は導電性物質でコーティングされたプラスティク又はその他の重合体物質でよい。陰性電流コレクタ103は缶にジェリイロールが密閉された後、缶の閉包要素の役を果たす。缶(ジェリイロールの陽性下地層との電気的交信(この例の場合直接の接触による)により陽性である)から陰性電流コレクタを電気的に隔離するため、ジェリイロールを缶の内部にクリンピングする前に、ガスケット111が缶と電流コレクタの間に置かれる。
【0035】
上記のように、この実施形態の場合、ジェリイロールの陽性下地層は孔108を有する缶の底部と直接に接触している。電解質はジェリイロールが缶の内部に挿入される前に缶の内部に導入可能であり、叉孔108を通して缶が密閉された後でも缶の内部に導入することが出来る。上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、例えばニッケル板である陽性コレクタ板がニッケル陽極と孔108を有する缶の底部の間に挿入され、電極(下地層)と缶の間の電気的交信を確立する。一実施形態の場合、陽極コレクタ板にはニッケル泡体が含まれる。
【0036】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、ニッケル陽極には(a)酸化ニッケルマトリクス内に含められてニッケル陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在する酸化コバルト及び(b)陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在するコバルト金属とから成る混合物浸潤されたニッケル泡体下地層が含まれる。陽極に関する詳細な記述は下記のニッケル陽極に関する部分に含まれている。
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、亜鉛陰極は(a)厚さが約40−80μInであり、錫又は錫/亜鉛でメッキされた銅又は真鍮;及び(b)酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層とから成るものである。一実施形態の場合、この酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層は(a)鉛及び錫の少なくとも一方でコーティングされた亜鉛金属粒子;(b)酸化亜鉛;(c)酸化ビスマス;(d) 分散剤;及び(e)結合剤とから成るものである。別の実施形態の場合、この酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層には無機繊維、シリカ及びアルミナを含む無機繊維が含まれる。更に別の実施形態の場合、この酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層には界面活性剤のコーティング有り又は無しの炭素繊維が含まれる。陰極に関する詳細な記述は下記の亜鉛陰極に関する部分に含まれている。
【0037】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、充電式ニッケル─亜鉛は(a)約0.025Mと0.25Mの間のリン酸塩;(b)約4Mと約9Mの間のアルカリ度;及び(c)約1Mまでのホウ酸塩から成るアルカリ性電解質を含むものである。本発明の為に好適な電解質に関する詳細な記述は下記の電解質に関する部分に含まれている。
【0038】
通気キャップ109は孔108を有する缶の端部に例えば溶接により付けられている。孔108は通気キャップの孔112と十分配列されているので、隣接した孔を通ってガスが通気される。本発明の為に好適な通気キャップに関する詳細な記述は下記の通気キャップに関する部分に含まれている。
【0039】
或る実施形態の場合、セルは電解質枯渇の状態で作用するように構成されている。更に或る実施形態の場合、本発明のニッケル―亜鉛セルは電解質枯渇様式を使用するものである。かようなセルは、活性電極材料に比して、相対的に少量の電解質を有するものであり、セル内部に遊離電解液を有する浸水型のセルから容易に区別することが出来る。枯渇した形態のセルについては米国特許出願11/116、113("Nickel Zinc Battery Design" 2005年4月26日出願、US2006−0240317 A1として公開)(本願に参照して合同するものとする)に記載されて居る。セルを枯渇した状態で作用することは、多くの理由により望ましいことかも知れない。一般的に、枯渇したセルとは、セル電極スタックの中の空間総体積が電解質によって占められて居ないもののことと理解されて居る。典型的な例の場合、電解質充填後の枯渇状態のセルのボイド容積は、充填前のボイドの総容積の少なくとも約10%である。特に、セルが電解質枯渇の状態に構成されている場合、上記の実施形態のいずれも一実施形態の様相に含まれるものである。
【0040】
本発明のバッテリセルは、多くの異なる形状及びサイズのものでよい。例えば、本発明の円筒形セルは通常のAAA型セル、AA型セル、D型セル、C型セルなどの直径や長さでよい。或る応用面に於いては、カストマイズされたセル設計が適当となる。特別な実施形態の場合、セルのサイズは直径22mmで、長さ43mmのサブC型セルのものでよい。本発明は種々の非携帯用の応用で使用される種々の大きさのセルのみならず、比較的小さい角柱のセル形で使用されることに留意されるべきである。動力機具とか芝刈り機のようなものの為のバッテリパックのプロファイルによって、バッテリセルの大きさとか形状は決定されるものである。一実施形態は此処に記述されたような選択的に密封されたセパレータを有するジェリイロールを含んだニッケル─亜鉛セルである。一実施形態は此処に記述されたニッケル−亜鉛バッテリセルを一個以上含んだバッテリパック、及び電気器具の充電放電を可能とする適宜なケイシング、接点、導電線である。特種な実施形態の場合、充電式セルは市場で入手可能なサイズであるAAA、AA型、D型、C、及びサブCに構成されている。
【0041】
特殊なセルのみならず、通気キャップ、陽極、セパレータ、電解質、陰極、及びジェリイロールの構成の特性に関するより詳細な記述が以下において提供される。
【0042】
通気キャップ
セルは通常環境から密閉されたものであるが、充電や放電に際してバッテリから発生するガスを放出可能にしてもよい。従って、例えば図1Aにおいて、キャップ109は一般に示されるが、典型的には通気キャップである。典型的なニッケル―カドミウムセルの場合、約200PSIの圧力でガスを放出する。或る実施形態の場合、本発明のニッケル―亜鉛セルは、通気なしのまま、この圧力或はそれ以上の圧力(例えば300PSI位まで)で作用するように設計されて居る。これにより、セル内部で生成される酸素や水素の再結合が促進される。実施形態によっては、内圧を450PSI位まで、更には600PSI位までに保つように、セルが構成されている。その他の実施例のニッケル−亜鉛セルは、比較的低圧でガスを放出するように設計される。設計が水素及び/或は酸素ガスをセル内部で再結合させず、制御された状態での放出を促進する場合に適切である。
【0043】
通気キャップ及び円板、ならびに担体下地層の構成に関する或る程度の詳細な説明は以下の特許出願に記載されており、これらはすべての目的で本願に参照して合同されるものとする:2006年4月25日を出願日とするPCT/US2006/015807及び2004年8月17日を出願日とするPCT/US2004/026859(WO2005/020353 A3)。更に、通気キャップは図2E,2F,及び2Gに関連してより詳細に説明される。
【0044】
陽極
ニッケル陽極には、製造、電子運送、濡れ、機械的特性などの目的で、通常電気化学的活性の酸化、又は水酸化、又はオキシ水酸化ニッケル、及び一種以上の添加剤が含まれる。この出願において「酸化ニッケル」には酸化物、オキシ水酸化物及び/又は水酸化物の形態の活性ニッケルが含まれることが意図されている。例えば、陽極には水酸化ニッケル粒子、酸化亜鉛、酸化コバルト(CoO)、コバルト金属、ニッケル金属、及びカルボキシメチルセルローズ(CMC)のような揺変剤が含まれてよい。コバルト金属及びニッケル金属は化学的に純粋な金属としてでも、合金として提供されてもよいことに留意されたい。陽極はこれらの物質と重合体フルオロカーボン(例えばTeflonTM)のような結合剤を含むペーストから製造されてもよい。
【0045】
或る実施形態の場合、水酸化ニッケル電極には水酸化ニッケル(及び/又はオキシ水酸化ニッケル)、コバルト/コバルト化合物粉末、ニッケル粉末、及び結合物質が含まれる。コバルト化合物はニッケル電極の導電率を増加するために導入される。一実施形態の場合、ニッケル電極には酸化コバルト、水酸化コバルト、及び/又はオキシ水酸化コバルトの中の一つが、任意的に水酸化(又はオキシ水酸化)ニッケル粒子にコーティングされて含まれる。
【0046】
電気的活性酸化ニッケル(例えばNi(OH)2)電極物質を支持するために、ニッケル泡状マトリクスが使用可能である。泡状下地層の厚さは15と60ミルの間でよい。電気化学的活性及びその他の電極物質が充填された泡状ニッケルを含む陽極の厚さは約16−24ミルの範囲であり、好適には約20ミルである。一実施形態の場合、密度が約350g/m2であって、厚さが約16−18ミルの範囲である泡状ニッケルが使用される。
【0047】
セパレータ
典型的に、セパレータは小さい孔を有するものである。此処に記載されるいくつかの実施形態に於いて、セパレータは複数の層から成るものである。孔の存在及び/叉は層状構成により、亜鉛の樹枝状突起は曲がりくねった通路を形成することになり、従って効果的に貫通することと、短絡とを防止することになる。好ましくは、多孔性セパレータのくねり度は約1.5―10の範囲であり、より好ましくは約2―5である。孔の平均直径は好ましくは大きくとも約0.2ミクロンで、更に好ましくは、約0.02―0.1ミクロンの間である。孔のサイズはセパレータの内部に於いて均一であることが好ましい。特別な実施形態に於いて、セパレータは多孔率が約35−55%の間であり、多孔率が45%で孔のサイズが0.1ミクロンの好ましい材料を有するものとする。
【0048】
或る実施形態の場合、セパレータは亜鉛の貫通を防止するバリヤ層とセルを電解質と共に濡れ状態に保ってイオン流を可能にする浸潤層の少なくとも二層から成る(更に好ましくは只二層のみから成る)ものである。これは互いに隣接する電極間に唯一の隔離材料を使用するニッケル−カドミウムセルに於いて通常のことではない。
【0049】
セルの作用は陽極を濡らし、陰極を比較的乾燥状態に保てば向上する。従って、或る実施形態に於いては、バリヤ層は陰極に隣接し、浸潤層を陽極に隣接して位置させる。この配置により、電解層を陽極に密接させ、セルの作用が向上する。
【0050】
その他の実施形態の場合、浸潤層が陰極に隣接し、バリヤ層が陽極に隣接して位置される。この配置は酸素の電解質を通って陰極への移行を容易にし、陰極での酸素の再結合に役立つ。
【0051】
バリヤ層は典型的に微小な孔を有する多孔性の膜である。導イオン性の微小な孔を持つ多孔性の膜ならば、いずれのものでも使用可能である。多孔率が30―80%の間のポリオレフィンがしばしば使用されるが、孔の平均径が約0.005―0.3ミクロンの間であることが好適である。好ましい実施形態の場合、バリヤ層は微小な孔を持つ多孔性のポリプロピレンである。バリヤ層は典型的に厚さが約0.5―4ミルで、より好ましくは約1.5―4ミルの間である。
【0052】
浸潤層は浸潤性が適当にある如何なる隔離層材料であってもよい。典型的に、浸潤層の多孔率は比較的高く、例えば約50−85%の間である。例として、ナイロンを基にした浸潤性のあるポリエチレンやポリプロピレン材料のようなポリアミドが挙げられる。特別な一種の物質として、ポリビニルアルコールを含浸及び/又はそれでコーティングされたセルローズがある。或る実施形態の場合、浸潤層の厚さは約1−10ミルの間であり、好ましくは約3−6ミルの間である。隔離層材料で、浸潤層材料として使用できるものの例としては、NKK VL100 (東京のNKK Corporation 製)、Freudenberg FS2213E、Scimat 650/45 (英国 Swindon の SciMAT Limited製)、及び Vilene FV4365 がある。
【0053】
当業者に周知のその他の隔離部材料も使用可能である。上記の如く、ナイロンを基にした材料や、微小な孔を有する多孔性ポリオレフィン(例えばポリエチレン及びポロプロピレン)はしばしば非常に好適である。一実施形態の場合、セパレータは電極が相互に更に隔離されるように選択的に密封される。此処に記述されたような熱源を応用して密封可能である限り、殆どどのようなセパレータ物質でも適当である。或る実施形態の場合には異なる融点のセパレータ物質が使用され、別の使用形態の場合には密封するセパレータとジェリイロールの一方又は両方の端部が晒される条件下で密封しないものと一緒に使用される。このような特別な実施形態は図2B−2Dに関連して更に詳細に記述される。
【0054】
電極/セパレータのデザインについて更に考慮すべきことは、セパレータを電極及び電流コレクタシートと略同じ厚さのシートとして提供すべきか、又は電極の一方又は両方をセパレータ層に入れ込むべきかと言うことである。後者の場合、セパレータは一方の電極シート用の袋として機能し、効果的に電極層を包み込む。或る実施形態の場合、陰極をセパレータ層に包み込むことは樹枝状突起形成の防止に役立つ。特殊な熱密封実施形態は以下の「電極とセパレータ集合体―ジェリイロール」の部分でより詳細に説明される。
【0055】
電解質
ニッケル─亜鉛セルに関連する或る実施形態の場合、亜鉛電極内の樹枝状突起の形成及びその他の形態の物質の再分配が電解質成分によって限定される。好適な電解質成分の例は此処に参照して合同されるものとする1993年6月1日にM.Eisenbergに発行された米国特許5215836号に記載されている。或る場合において、電解質には(1)アルカリ又はアルカリ土金属の水酸化物、(2)アルカリ又はアルカリ土金属の溶解性フッ化物、及び(3)ホウ酸塩、ヒ酸塩、及び/又はリン酸塩(例えばホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、及び/又はリン酸ナトリウム又はカリウム)が含まれる。一特殊実施形態の電解質の場合、約4.5から10当量リットルの水酸化カリウム、約2から6当量リットルのホウ酸又はメタホウ酸ナトリウム、及び約0.01から1当量のフッ化カリウムが含まれる。高級応用の特殊な好適電解質は約8.5当量リットルの水酸化物、約4.5当量リットルのホウ酸、及び約0.2当量のフッ化カリウムを含むものである。
【0056】
本発明はEisenbergの特許に記載された電解質成分に限定されるものではない。一般的に、所望の特殊応用面での判定基準に応ずるものならば、いずれの電解質成分でも十分である。高パワーの応用の場合、電解質は良好な導電性が要求される。良好なサイクル寿命が望ましい場合、電解質は樹枝状物の生成しにくいものがよい。本発明の場合、適当なセパレータ層と共にホウ酸塩及び/又はフッ化物を含むKOH電解質を使用すると樹枝状物の形成が減少し、より頑丈で長寿命のパワーセルが達成される。
【0057】
或る特殊実施形態の場合、約3から5当量リットルの過剰水酸化物(例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び/又は水酸化リチウム)が電解質成分に含まれる。これは陰極が酸化亜鉛に基づく電極である仮定のもとである。亜鉛酸カルシウムの陰極の場合には、その他の電解質方式が適当であろう。一実施形態の場合、約15から25重量%の水酸化カリウム、約0.5から5.0重量%の水酸化リチウムの構成の電解質が亜鉛酸カルシウムに好適である。
【0058】
種々の実施形態の場合、液体及びゲルが電解質に含まれてよい。ゲルの電解質には、オハイオ州ClevelandのNoveonから入手可能なCARBOPOLRのような増長剤が含まれても良い。好適な実施形態の場合、活性電解質成分の一部分がゲル状である。特殊実施形態の場合、電解質の約5−25重量%がゲルであり、ゲル成分の約1−2重量%がCARBOPOLRである。
【0059】
場合により、本願にすべての目的で参照して合同されるものとする”Electrolyte Composition for Nickel Zinc Batteries”の題で2006年2月1日にJ.Phillips及びS.Mohantaによって提出された米国特許7550230号に記載されたように、電解質には相対的に高濃度のリン酸塩イオンが含まれてもよい。
【0060】
陰極
ニッケル─亜鉛バッテリに応用される陰極は下記の如く、此処に記載された界面活性剤でコーティングされた粒子、腐食抑制剤、浸潤剤などの一種以上と共に、亜鉛或は亜鉛酸イオンの電気的活性源を一種以上含むものである。 電極は、その製造の時に、クーロム容量、活性亜鉛の化学的構成、多孔性、曲げ特性のような物理的、化学的、形態的特性によって特徴付けられるものである。
【0061】
或る実施形態の場合、電気化学的活性亜鉛源は、酸化亜鉛、亜鉛酸カルシウム、金属亜鉛、及び種々な亜鉛合金から選ばれる一種以上から成る。これらの物質はいずれも製造中に供給及び/或は通常のセル周期の間に生成されるものである。特別な例として、亜鉛酸カルシウムが考慮されるが、これは例えば酸化カルシウムと酸化亜鉛とを含むペースト或はスラリイから製造出来るものである。
【0062】
充電式亜鉛アルカリ性電気化学的セルの陰極の活性物質には亜鉛金属(又は亜鉛合金)粒子が含まれて良い。亜鉛合金が使用される場合、実施形態によっては、これにビスマス及び/又はインジウムが含まれて居てもよい。実施形態によっては、百万に対して約20部未満の鉛が含まれてもよい。この構成条件を満たし、市場で入手可能な亜鉛合金として、カナダのNoranda社によるPG101がある。或る実施形態の場合、約0.05重量%の鉛がニッケル─亜鉛セルの電気化学的活性亜鉛金属成分に含まれる。
【0063】
或る実施形態の場合、亜鉛金属粒子は錫及び/又は鉛でコーティングされてよい。亜鉛粒子をコーティングする場合、鉛や錫の塩が亜鉛粒子、増長剤、及び水を含む混合物の中に加えられる。亜鉛金属は酸化亜鉛及び他の電極成分の存在下でコーティング可能である。鉛又は錫でコーティングされた亜鉛粒子を含む亜鉛電極は一般的に電解質内にコバルトが存在するとガス放出をしにくい。亜鉛の導電性マトリクスがそのままであり、貯蔵期間の放電が減少すると、セルのサイクル寿命及び貯蔵期間が向上する。本発明の陰極に好適な活性物質の例は更に”Pasted Zinc Electrode for Rechargeable Nickel−Zinc Batteries”と題するJ.Phillips et.al.によって2009年5月18日に提出された米国特許出願12/467993号に記載されており、これは本願にすべての目的で参照して合同されるものとする。
【0064】
或る実施形態の場合、亜鉛金属粒子は錫及び/又は鉛でコーティングされてよい。亜鉛粒子をコーティングする場合、鉛や錫の塩が亜鉛粒子、増長剤、及び水を含む混合物の中に加えられる。亜鉛金属は酸化亜鉛及び他の電極成分の存在下でコーティング可能である。鉛又は錫でコーティングされた亜鉛粒子を含む亜鉛電極は一般的に電解質内にコバルトが存在するとガス放出をしにくい。亜鉛の導電性マトリクスがそのままであり、貯蔵期間の放電が減少すると、セルのサイクル寿命及び貯蔵期間が向上する。本発明の陰極に好適な活性物質の例は更に”Pasted Zinc Electrode for Rechargeable Nickel−Zinc Batteries”と題するJ.Phillips et.al.によって2009年5月18日に提出された米国特許出願12/467993号に記載されており、これは本願にすべての目的で参照して合同されるものとする。
【0065】
亜鉛活性物質は粉末状、粒子状などでよい。亜鉛電極のペースト材料内部の各成分が比較的小さい粒径であることが望ましい。これは、粒子が浸透或はその他によって陽極と陰極の間のセパレータを傷害する可能性を減少する為である。
【0066】
電気化学的活性亜鉛成分(及びその他の電極粒子成分)を殊に考慮する場合、かような成分の粒子サイズは約40又は50ミクロメートル未満であることが望ましい。或る実施形態の場合、粒子サイズは約40ミクロン未満であり、即ち平均直径が約40ミクロン未満であると言うことである。このサイズ体制には鉛でコーティングされた亜鉛又は酸化亜鉛粒子も含まれる。或る実施形態の場合、物質はその粒子の約1%未満の主次元(例えば直径、又は主軸)が約50ミクロメートル未満であることで特徴付けされる。このような組成物は例えば篩いわけ又はその他の大粒子を除去するように亜鉛粒子を処理することで製造可能である。此処に記載される粒子サイズ体制は亜鉛金属のみならず酸化亜鉛及び亜鉛合金の粉末にも応用されるものである。
【0067】
電気化学的活性の亜鉛成分に加え、陰極は更にイオン移送、電子移送(例えば導電性の向上のため)、濡れ、多孔性、構成的完全性(例えば結合性)、ガス放出、活性物質の溶解性、バリヤ性能(例えば電極から脱出する亜鉛の量の削減)、腐食防止など電極内でのプロセスを容易にしたり、影響を与えたりする一種以上の物質を追加的に含むものでよい。
【0068】
結合、分散、及び/或はセパレータの代用物たることの目的として、陰極には種々の有機物が添加され得る。その例として、ヒドロキシルエチルセルローズ(HEC)、カルボキシメチルセルローズ(CMC)、遊離酸の形態のカルボキシメチルセルローズ(HCMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレンスルフォネート(PSS)、ポリビニルアルコール(PVA)、nopcosperse 分散剤(京都のSan Nopco Ltd.より入手可能)などがある。
【0069】
或る実施形態の場合、PSSやPVAのような重合体材料は陰極内でセパレータにとって危険となる鋭い或は大きな粒子を埋め込む目的で、ペースト構成(コーティングではなく)に混入してもよい。
【0070】
此処で電極構成を定義する場合、これは形成サイクリングの間又はその後、又はセルが例えば携帯用ツールの使用で充放電サイクルを繰り返す間又はその後のものであるばかりでなく、製造過程で得られた構成(例えばペースト、スラリ、又は乾式製造方式)に応用可能である。
【0071】
本発明の範囲内の種々の陽極構成は以下の文献に記載されて居り、これらの文献はすべてあらゆる目的に対して参照して本願に合同されるものとする:PCT公開WO02/39517(J.Phillips); PCT公開WO02/39520( J.Phillips );PCT公開WO02/39521; PCT公開WO02/39534( J.Phillips );米国特許公開2002182501号。上記文献に於ける陰極添加剤の例として、シリカ、各種アルカリ土金属のフッ化物、遷移金属、貴金属がある。
【0072】
留意すべきことは、或る特種な性質を得る為に、何種もの物質を陰極に加えることが出来るが、これらの性質は陰極以外のバッテリ成分によって導入されることが出来ると言うことである。例えば、電解質内での亜鉛の溶解度を減少させる為の物質は、陰極によっても導入されるか否かを問わず、電解質或はセパレータ(陰極にもまた与えられて居るか否かを問わず)の中に供給されてもよい。そのような物質の例にはリン酸塩、フッ化物、ホウ酸塩、亜鉛酸塩、ケイ酸塩、ステアリン酸塩などがある。上記された電極添加剤のその他の例で、電解質及び/又はセパレータの中に付与されてもよいものとして、インジウム、ビスマス、鉛、錫、カルシウムなどのイオンがある。
【0073】
例えば、或る実施形態の場合、陰極は酸化ビスマス、酸化インジウム、及び/叉は酸化アルミニウムのような酸化物を含む。酸化ビスマスと酸化インジウムとは、亜鉛と反応して電極に於けるガス放出を低減する。酸化ビスマスは乾燥状陰極構成に対し、重量で約1%―10%の間の濃度で与えられる。これで、水素と酸素の再結合を容易にすることが出来る。酸化インジウムは、乾燥状陰極構成に対し、重量で約0.05%と1%の間の濃度で存在してよい。酸化アルミニウム、乾燥状陰極構成に対し、重量で約1%と5%の間の濃度で供給されて良い。
【0074】
或る実施形態の場合、電気的活性亜鉛物質の耐腐食性を向上し、それによって貯蔵期間を延長させるように、一種以上の添加剤を加えてもよい。貯蔵期間は、バッテリセルが商業的に成功するか不成功に終わるかについて決定的な要素である。バッテリは本来不安定なものであるから、陰極をも含めてバッテリの成分などは、化学的に有用な形態で保存されるように努力が必要である。何週間も何ヶ月も使用しない中に、電極物質が腐食したり、その他の理由で多分に変質すれば、貯蔵期間の短い事でこの値打ちは限られてしまう。
【0075】
電解質内での亜鉛の溶解度を減らす為に加えられるアニオンの例として、燐酸塩、フッ酸塩、ホウ酸塩、珪酸塩、ステアリン酸塩などがある。一般的にこれらのアニオンは乾燥状陰極構成に対し重量で約5%以内の濃度で陰極内に存在してよい。これらのアニオンの中、少なくともあるものはセル周期の間に溶液中に入り、亜鉛の溶解度を減少させるものと思われて居る。これらの材料を含んだ電極構成の例は以下の特許及び特許出願に記載されて居り、これらは総て、あらゆる目的において参照して本願に合同するものとする:米国特許6797433号("Negative Electrode Formulation for a Low Toxicity Zinc Electrode Having Additives with Redox Potentials Negative to Zinc Potential"、発明者 Jeffrey Phillips, 2004年9月28日発行);米国特許6835499("Negative Electrode Formulation for a Low Toxicity Zinc Electrode Having Additives with Redox Potentials Positive to Zinc Potential", 発明者 Jeffrey Phillips, 2004年12月28日発行); 米国特許6818350("Alkaline Cells Having Low Toxicity Rechargeable Zinc Electrodes", 発明者Jeffrey Phillips, 2004年11月16日発行);PCT特許出願PCT/NZ02/00036(公開番号WO02/075830号、発明者 Hall,et al.2002年3月15日出願)。
【0076】
陰極に添加される導電性繊維は電極を灌漑又は浸潤させる役を果たす。界面活性剤でコーティングされた炭素繊維はこのような物質の一例であるが、その他の物質も濡れを容易にする為に含まれてよいと理解されるべきである。そのような物質の例には酸化チタン、アルミナ、シリカなどがある。一般的に、これらは乾燥状陰極構成に対して重量で約10%以内の濃度で付与される。かような物質については米国特許6811926号("Formulation of Zinc Negative Electrode for Rechargeable Cells Having an Alkaline Electrolyte" 、発明者 Jeffrey Phillips, 2004年11月2日発行)に記載されてあり、この特許は本願に全体としてあらゆる目的に対して参照して合同されるものとする。
【0077】
亜鉛陰極は亜鉛陰極の電気化学的活性成分とニッケル陽極との間の導電的交信を達成する物質を含むものである。上記のように、本発明の発明者は電極の全体的電流搬送能力が陰極の中へ界面活性剤でコーティングされた粒子、殊に界面活性剤でコーティングされた炭素粒子(此処に参照して合同されるJeffrey Phillipsによって2010年8月6日に提出された“Carbon Fiber Zinc Negative Electrode”と題する米国特許出願12/852,345号に記載されている)を導入することで向上されることを発見した。
【0078】
上記のように、亜鉛陰極の製造には安定した粘性を有して亜鉛電極の製造にあたって使用しやすいスラリ/ペーストが使用されてよい。かようなスラリ/ペーストは任意的に鉛及び錫の塩を亜鉛粒子、増長剤、及び例えば水であるような液体を含む混合物に加えた亜鉛粒子を有するものである。酸化亜鉛(ZnO)、酸化ビスマス(Bi2O3)、分散剤、及びテフロン(登録商標)のような結合剤も添加されてよい。この面において好適な結合剤にはPTFE、スチレン、ブタジエンゴム、ポリスチレン、及びHECがある。この面において好適な分散剤には石けん、有機物分散剤、アンモニウム塩分散剤、ワクス分散剤があるが、それらに限定されるものではない。発明のこの面に好適であって市場で入手可能な分散剤の一例にNopcosperseTM(Nopco Paper Technology Australia Pty. Ltd.から入手可能な分散剤の液体シリーズの商標名)がある。発明のこの面に好適な液体には水、アルコール、エーテル、及びこれらの混合物があるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
電極及びセパレータ集合体―ジェリイロール
ジェリイロールを製造するに当たり、個々の電極層はセパレータ物質の一個以上の層の間にサンドイッチ状に挟まれる。サンドイッチ状に挟まれた電極集合体は積み重ねられてからジェリイロールに巻き上げられる。
【0080】
図2Aはジェリイロールに巻き上げる以前における電極とセパレータ層の透視図である。電極及びセパレータ層は此処に記載される物質から成る。図示の例の場合、セパレータ(200及び208)は電極シートと共に巻き上げ機へ引き寄せられ又は供給される前に、先ず電極の平面に沿って陰極(各面を電気化学的活性層206でコーティングされた導電性下地層204)及び陽極(各面を電気化学的活性層212でコーティングされた導電性下地層210)の各々の上に折り曲げられる。この実施形態の場合、各セパレータシートは二重折であり、電極の各々は実質上折り目202へと二重折に(水平矢印で示されるように)挟み込まれている。このアプローチではセパレータの源が二個使用されている。代行的実施形態としては、電極シートの各々がセパレータシートの二個の別個の源で跨られ、二個でなくて四個のセパレータ源が使用される。従って、最初にセパレータシートは電極の先端縁で折り曲げられない。結果として得られる層状構成は同じであるが、二重折セパレータは巻き上げ機へ差し込む時スタックの差込み及び制御を容易にする。いずれのアプローチで製造された構成であっても、二層のセパレータは各電極層を隣接する電極層から隔離している。このことは一般的に隣接する電極層の間にセパレータを一層しか使用しないニッケル―カドミウムセルでは達成されないことである。ニッケル―亜鉛セルでは余分の層があるので樹枝状突起の形成による短絡を防止する助けとなり、ウィッキングセパレータが使用される場合には灌漑とイオン流の援助にもなる。
【0081】
樹枝状突起は金属堆積物の中で骸骨状又は樹木状の成長パタン(「樹枝状成長」)を有する結晶構造のことである。実際問題として、樹枝状突起はセルの寿命期間においてパワー用セルの導電性媒体の中に形成され、効果的に陰極と陽極とを繋ぎ、短絡及びその結果としてバッテリの機能を喪失せしめるものである。
【0082】
セパレータシートは一般的に電極シートを幅全体に亘って覆うものでないことに留意されたい。殊に、各電極シートの一縁部(導電性下地層)は端子を接続するよう、又は完成後のバッテリの端子との電気的交信を確立するように露出されている。この特殊実施形態の場合、これらの露出された縁部は互いに反対側にあるため、一度ジェリイロールが巻き上げられると、陽極と陰極の各々がバッテリの互いに反対側の端子と電気的接触することになる。これらの露出された縁部はバッテリの端子への電気的交信が発明の範囲を超えることなくジェリイロールの同じ端部を通じて可能であるように同じ側にあってもよいが、露出された下地層はジェリイロールの反対側の端部にあった方が便利である。露出された下地層縁部がジェリイロールの反対側の端部にある実施形態の場合、各縁部でのすべてが露出されていることは必要でない。即ち、縁部の一部は、他の部分が露出されず、又は保護されているような場合でも、例えば電流コレクタ板又は金属タブとの接続に使用可能である。特殊な実施形態の場合、効果的な電流収集のために電流コレクタ又は缶との接触を最大化すべく、各電極下地層の各縁部の実質上すべてが露出されている。
【0083】
図2Bは個々の電極を図2Aの中の対応するセパレータと積み重ねて(図2Aに双頭の太線矢印で示されるように)形成された集合体の断面図(図2Aの断面Aで示す)である。セパレータ200は陰極(下地層204及び電気化学的活性層206)を陽極(下地層210及び電気化学的活性層212)から、イオン電流がこれら電極間を流れることを許可する一方、機械的及び電気的に隔離するものである。この実施形態の場合、セパレータ200は微孔性ポリプロピレンであるが、本発明はこれに限定されるものではない。上記のように、亜鉛陰極の電気化学的活性層206は電気化学的活性物質として酸化亜鉛及び/又は亜鉛金属を含み、上記のような界面活性剤でコーティングされた粒子を含んでもよい。この層206には更に他の添加剤又は亜鉛酸カルシウム、酸化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化インジウム、ヒドロキシエチルセルローズ、及び分散剤のような電気化学的活性化合物が含まれて良い。
【0084】
陰極下地層204は陰極物質206と電気化学的にコンパチブルであるべきものである。上記のように、電極下地層は穿孔性金属シート、伸張された金属、金属泡体、又は連続的金属シートパタンなどの構成であってよい。或る実施形態の場合、下地層は金属箔のような単なる金属層である。特殊な実施形態の場合、陰性下地層は錫及び/又は鉛でメッキされた銅である。
【0085】
陰極から向き合って、セパレータ200の逆側には陽極とセパレータ208がある。この実施形態の場合、セパレータ208はセルローズに基づく物質であり、更にはポリビニルアルコールで含浸及び/又はコーティングされたセルローズであるが、本発明はこれに限定されるものではない。この層はウィッキング層(例えば上記のセパレータの部で詳細に記述されたNKKからのもの)である。陽極には電気化学的活性層212及び電極下地層210も含まれる。陽極の層212には電気化学的活性物質として水酸化ニッケル、酸化ニッケル、及び/又はオキシ水酸化ニッケル、及び種々の添加剤が含まれてよく、これらはすべて此処に記載されている。電極下地層210は例えばニッケル金属泡体マトリクス、又はニッケル金属シートであってよい。ニッケル泡体マトリクスが使用される場合、層212は金属泡体の中のボイドを満たして泡体の中を通過するので、一個の連続的電極を形成することになる。層状の亜鉛陰極とニッケル陽極構成物とは図1に示されるようにジェリイロール構成101に巻き上げられる。
【0086】
図2Bに見られるように、導電性下地層204及び210は側方にオフセットされて居り、一度ジェリイロールが巻き上げられると、各電極はジェリイロールの対向する端部のバッテリ端子に電気的に接続されるために十分露出される。
【0087】
巻き上げ機は同時に種々のシートを引き寄せてジェリイロール集合体に巻き上げる。厚さが十分の円筒形が製造された後、機械はセパレータ及び電極の層を剪断して図1の最終的ジェリイロールを作成する。
【0088】
図2Cは殊に図2Bで示された重ねられたスタック構成を巻き上げて製作された場合のジェリイロール101の断面図(図1での断面B)である。ボイド201はジェリイロールが巻き上げられた後巻き上げ機の心棒を抜き取ることで形成される。ボイド201は電解質の貯蔵に使用され、セルが枯渇の状態に構成されている場合にはガスの通気の経路である。本発明の一面は二個の電極を有するジェリイロール集合体の第一電極の両側に位置してその端部を越えて延びる第一セットのセパレータ層を、第二電極の、第一電極の端部に平行で近隣に在る一端部の両側に位置してそれを越えて延びる第二セットのセパレータ層を密封することなく、ジェリイロール集合体の同じ端部を熱源に露出しながら、選択的に密封する方法である。ジェリイロール101の図2Cでの断面図には、図2Bで示されたようなセパレータ―サンドイッチされた電極の交互の層が示されている。重要なこととして、各電極の上でセパレータ物質は電気化学的活性物質を超えて突出しており、各導電性物質は一端部においてジェリイロールの端部からセパレータ物質よりよけい突出しているので、バッテリの端子との電気的接触が可能である。この例の場合、負電流収集下地層204がジェリイロールの一端部(図示では最上部)で電気活性及びセパレータ物質を超えて突出する一方、正電流収集下地層210はジェリイロールの他の端部(図示では底部)で電気活性及びセパレータ物質を超えて突出する。バッテリが図1に示されるように組み立てられる時、陰性下地層204は陰性電流コレクタ103と接続し、陽性下地層210は缶113の底部と接続する。このジェリイロール構成はジェリイロールの一端部又は両端部の一個又は二個の電極のみ選択的に密封するのに好適である。この例の場合ポリプロピレンセパレータ200及びウィッキングセパレータ208であるセパレータはジェリイロールの外側及びボイド201の内側を除いて隣接するものであることに留意されたい。ジェリイロールの底部でセパレータ200はセパレータ208ほどには下方に延びていないこと、セパレータ200及び208の両方が実施形態の場合陰極の上で密封されるものであったこと、この構成では密封の時に208が十分溶解されて200と結合されることにも留意されたい。又、電極下地層210は更に下方に延びているので、208をジェリイロールの底部で長くするように構成することも出来、従ってもし密封が十分でないならば、210は208によって更に保護される。同様に、下地層204は下地層210よりよけい突出するので、ジェリイロールセパレータ200の最上部は208より更に上方に延長して居り、従って204は更にセパレータ200によって保護されている。
【0089】
一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程には(i)熱源がジェリイロール集合体の同じ端部に当てられる時に、第一セットのセパレータ層は第一電極に密着することが可能であるが第二セットのセパレータ層は第二電極に密着したり包み込むことが物理的に防止されるように、第二電極の電流収集下地層を構成する工程、及び(ii)ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程とが含まれる。この例の場合、熱密封の工程は電流収集コレクタ下地層210がセパレータ層を超えて突出するジェリイロールの端部(図示では底部)で実施される。
【0090】
一実施形態の場合、第二電極の電流収集下地層を構成する工程には、実質上包み込まれた体積が形成されて、第一セットのセパレータ層及び第二セットのセパレータ層から隣接したセパレータ層がこの実質上包み込まれた体積の中に位置するように、実質上第一電極の電流収集下地層を覆うけれど接触せずに第二電極の電流収集下地層を折り曲げる工程が含まれる。図2Dは陰極(電流コレクタ204及び電気化学的活性物質206を含む)を熱密封するように電流収集下地層210が折り曲げられ、熱がジェリイロールのその端部に当てられた後のジェリイロール101aの分解図を示す。折り曲げは手動で実施されてもよく、又は例えばジェリイロール集合体及びローラを(この例ではジェリイロールの外側縁部から内側縁部に向かって)掴み、図示のように電流コレクタを折り曲げる機械を使用してもよい。
【0091】
再度図2Dを参照し、コレクタ210が折り曲げられた後、そこには集合体端部のセパレータ物質が三方から正電流コレクタ210、垂直壁、及びコレクタ210の曲げられた部分で囲まれた体積空間211(太い点線)が形成される。このように形成されて熱がジュリイロールの底端部で電流コレクタ210の折り曲げられた外面(上向きの太線矢印)に当てられると、ポリプロピレンセパレータは溶解し、溶融点200aで示されるように連続的な層が形成される。この例の電流コレクタ210の構成は少なくとも三つの目的を果たしている。折り曲げることは熱の体積空間211への伝達を助成する(実質上小型のオーブンとなる)。210がセパレータ物質から延長することはセパレータ物質208のより多くの部分が電流コレクタ210を超えて密封すること(もし密封可能であるならば)、又はその上で折り曲げることを物理的に阻止する。最後に、セパレータを超えて延長することにより、電流コレクタと缶との電気的交信が可能(例えば電流収集円板105と通じて)となり、折り曲げることで缶又は電流収集円板との電気的接触が最大化される。
【0092】
この密封が一度完成すると、小さい空間203が形成され、これは折り曲げと共にバッテリ集合体内部で貴重な体積を節約することになり、より多くの電気的活性物質の使用が可能となる(効果的に電極の高さが増加することになるから)。この例の場合、208aで示されるように、隣接した陽性の巻き上げられた部分からのウィッキング層と溶融することはなく、これはセルローズに基づく物質であって溶解しない(図示のように変形することはあるが)からである。此処に記載されるセルに使用される熱密封はこの様態に限定されるものではない。或る実施形態の場合、両方のセパレータ(或る実施形態では二つ以上のセパレータ層が存在する)が一方の電極の上に二重密封を形成するように溶融可能な物質で作成される。即ち、もし二種の異なるセパレータ物質がコンパチブルであって共に溶融するものであるならば、二倍の厚さの単一層の溶融端部を形成することができる。もし二種の異なるセパレータ物質が共に溶融するようにコンパチブルでないならば、二重密着層が形成される。この実施形態の場合、電流コレクタは、密封用の熱が与えられる時、他方の電極(この場合は陽極)がセパレータの下に密着されることを阻止する物理的バリヤが存在するために(空間211の密封機構200aが陽極を汚染から保護しているけれど)一方の電極のみが包み込まれるように構成されている。
【0093】
巻き上げられたジェリイロールは、その外側の最終巻上の上に陽極層を(セパレータと共に)有するものである。本発明はこのように限定されるものではないが、この構成によるニッケルでメッキされた缶の内部は更に陰極から隔離されており、従って缶の内部を水素発生に抗する物質でコーティングする必要がなく、例えば陰性電流コレクタ103のみのコーティングが可能である。
【0094】
図2Eは断面図であり、ガスケット111、陰性電流コレクタ103、缶113、及び通気キャップ109が分解立体図として示されている。セルにはジェリイロール(図示なし)と共にこれらの部品が含まれる。上記のように、この簡単でエレガントなデザインは、より複雑な構成に関連する不利益に対応するものである。例えば。上記のように、缶の内部で缶の底部における陽性電流コレクタ板、缶に電気的接続させるための例えば下地層に溶接された一個以上の金属タブ、及び/又は陰性電流コレクタなど、追加的に部品が加えられてもよい。しかし、最も簡潔な形態において、図2Eに示された部品は、ジェリイロールや電解質と共に、組み合わされて向上された充電式ニッケル─亜鉛セルを形成するものである。組み立てにあたり、ジェリイロールは露出された陽性下地層端部を缶の底部に向け、陰性下地層露出端部を缶の開口端部に向けて缶103に導入される。次いで、電気的接続が陰性下地層と直接に又は例えば下地層に溶接された金属タブを通じて成されているジェリイロールの頂上の缶113に陰性電流コレクタ103が導入される。ガスケット111は陰性電流コレクタ103の上及びその周囲に導入され、次いで、缶を介在するガスケット111により陰性電流コレクタ103から絶縁しながら缶を開口端部、例えば周辺部の凹み115のクリンピングによって密封する。通気キャップ109は、孔108及び112との重なりがあって通気キャップ109の(下記の)通気機構によって缶からガスを通気させるように缶113に例えば溶接されて付けられる。通気キャップ109はジェリイロールの挿入及び缶の密閉の前に付けられてよく、一実施形態の場合、これが組み立ての順序である。
【0095】
図2Eは通気キャップをより詳細に示している。通気キャップには底板109a及びキャップ109bが含まれ、この両者は上記通気部で記述された導電性物質でつくられている。キャップ109bは底板109aに付けられており、一度セルが組み立てられた後孔108及び112と通じてガスを通気することが可能な重合体物質でできた隔壁109cを収納する。十分な圧力に達すると、ガスは隔壁109cと底板109aの間を通過して、この例ではキャップ109bの側にある一個以上の孔109dを通じて通気する。隔壁に使用される物質及び隔壁を抑えるキャップに与えられる圧力に依存して、殊にセルが上記のような枯渇した構成である場合、上記の通気部で記述されたような圧力が維持され、電解質の不当な漏れがないように適当に通気される。
【0096】
図2Fは図2Dに示されたような選択的に熱密閉されたジェリイロール集合体101aであって、図1及び2Eに示されたものと同様に最終的バッテリ集合体に組み込まれたものを示す。本発明はそのように限定されたものではなく、例えば図2Cに示されたジェリイロール101aも本発明のセルに好適なジェリイロールである。 図2Eは選択的セパレータ密封、陽性の缶から電気的に絶縁されていてその閉包の役を果たす陰性コレクタ板、及び上記のように記述された陽性の缶に付けられた通気キャップを合体する代表的なセルである。この実施形態の場合、缶113の内底部は電流移動の向上の為に陽性下地層210の折り返された表面と直接に接触している。別の実施形態の場合、電流コレクタがジェリイロールの底部と缶の底部の間に挿入されている。この構成は缶底部に溶接されている場合接触を向上させることが出来、また缶を強化することも出来る(更に下記の議論を参照)。このような陽性電流コレクタには例えば小さいスパイクとかその他の電気的接触を向上させる突起を合体させることが出来る。下地層204は陰性電流コレクタ板103と接触し、従って電気的交信の関係にある。
【0097】
理論に拘束されることは意図するところでないが、粒子汚染に起因する電気的短絡は電流収集下地層が折り曲げられている場合よけい起こりやすいと信じられ、従ってこの例の場合、陽性下地層210は陰性電流コレクタ板204の直接の視野方向にある。例えばこの場合陰極を密閉することは粒子がかような熱密閉されたジェリイロールの端部にある電極間の短絡を起こすのを防ぐ。陰性下地層204が陰性電流コレクタ板103と電気的に接触するジェリイロールの端部において、下地層204と210は直接の視野方向にあるものでないから、樹枝状突起を生成するためには両方のセパレータ層200及び208を超え、短絡を起こすためには更に下地層210に降りて移動しなければなるまい。それ故電極は互いの視野方向でなく、横断方向のバリヤを形成するセパレータと共に電極間の高さDの相違を十分大きくすればジェリイロールのこの端部のセパレータを密封する必要はなくなる。しかし、本発明はこのように限定されて居ない。或る実施形態の場合、例えばジェリイロールの両端部の陰極と陽極の間の相対的距離を最小化することが望ましい場合、ジェリイロールの電極及びセパレータは二個の電極の中の一個の選択的密封がジェリイロールの両端部で行われるように構成される。セパレータ層の選択的密封に関しては、此処にすべての目的に参照して合同するものとする“Heat Sealing Separators for Nickel Zinc Cells”と題する2010年9月8日にMcKinney et.al.によって提出された米国特許出願12/877,841号により詳細に記載されてある。一実施形態は陽性の缶及び通気キャップを含み、米国特許出願12/877,841号に記載されたようなジェリイロールを含むセルである。
【0098】
図2Gは図2Eに列記した個々の部品を備えた通気キャップ109の別の例を示すものである。示されているのは底面と上面の透視図であり、中央には上面図、最後に切線Cで示された断面図が図2Gの下部にある。この例の場合,キャップ109bは三箇所150で底板109aにスポット溶接されている。この例の場合、孔109dはキャップの側面にあるのではなく、むしろキャップの底の一部なので、圧力が十分になると、ガスは隔壁109cと底板109aの間を通過して以前記述されたように孔109dから発散される。 図2Fの断面は例えば商業用のAAセルに使用される時の通気キャップの代表的次元を示す。この例の場合、次元Eは12.96±0.03mm、次元Fは9.00±0.05mm、次元Gは5.30±0.05mm、次元Hは2.85±0.05mm、次元Lは2.40±0.20mmである。
【0099】
図2Hは本発明の別の代表的なセルを示す。この例の場合、ジェリイロール集合体は図2Fに関連して説明されたものと同じである。相違する点は通気キャップが図2Gに記述されたように底板109aを持って居らず、キャップ109bが缶113の底部に直接スポット溶接されていることである。キャップ109bは孔108に対して隔壁109cを保持し、缶の内部の圧力が十分になるまで孔を密閉するので、ガスは隔壁と缶の間を通気し、缶の底部の外部表面が底板の役を果たすこと以外図2Gと同様の孔109dを通って発散する。この実施形態の場合、図2Fと関連して記述された実施形態のように底板と缶の間の周辺の密封は必要でない。此処では隔壁が孔108に対して適当に密封し、キャップ109bは確実にキャップを取り付け、バッテリを密封し、通気機構を形成するように例えば三箇所でスポット溶接されるだけでよい。その他の溶接又は接着の形態も考慮されるが、スポット溶接では缶と通気キャップの間に良好な電気的交信も形成される。例えば、通気キャップと缶の底部の間に溶接されたタブのような他の手段を通じてキャップから缶へ電気的接続をつくる一方、キャップを缶に保持する構造的部品を提供する非電気交信的な接着の方法があってもよい。
【0100】
従って本発明の場合、「通気キャップ」には例えば図2Hに関連して記述された缶の底部を使用して形成された通気機構、又は例えば図2F及び2Gに関連して記述された缶の底部と別個であり、それに取り付ける前に完成したものも含まれる。
【0101】
図2Hに描かれたセルはジェリイロール、陰性コレクタ、缶,通気口,及び適当な密封の相対的に簡単な集合体であるが、例えば缶の底部とジェリイロールの陽極の間に介在する例えばニッケル泡体の陽性コレクタ板、陰性コレクタ板とジェリイロールの陰極の間に介在する導電性のバネ、ジェリイロールの陰極と陰性コレクタ板の間の電気的交信の為の例えば溶接された金属タブ、及びそれらのようなものも本発明に含まれるものであることは、この技術面の通常の技能者に認識されることであろう。
【0102】
或る実施形態の場合、バッテリ缶には形状の変化及びセルにかかる他の応力に抗する追加的剛性を与える為に強化されている。一実施形態の場合、例えば形状変化及び/又はガス圧力のような缶への応力に抗するために、缶は側壁より底部を厚く、又は十分の厚さであるようにしてある。別の実施形態の場合、缶の底部は強化されている。図3Aは強化されたバッテリ缶の一例を示す。缶300には缶の製造に使用される物質へと押し込まれた環状の隆起部302を有する。図の上部は缶300の縦方向(切線Mで示される)の断面であり、下部は缶300を見下ろす上面図である。例えばスチールが缶に使用された場合、これらの隆起部は缶を製造する際の圧縮成型工程の一部として生成されてよい。別の例として缶が重合体物質の場合、隆起部は缶を製造する際の吹き込み成型工程の一部として生成されてよい。ツーピース型の缶も本発明の範囲外のものではなく、即ち例えば金属の缶の隆起部のある底部と重合体のチューブと融合して300と同様のバッテリ缶の製造が可能である。
【0103】
図3Bも強化された缶304を示すものである。この缶304には底部に隆起部306を有する。上部左側の断面図には切線Nに沿った断面が示される。下部左側には缶304を見下ろした上面図が示される。隆起部は缶の底部に剛性を与える別の構成である。かような構成物の組み合わせが本発明の範囲に入ることはこの技術面の通常の技能者に認識されることであろう。例えば隆起部306は缶300の隆起部302のような円形隆起部302の一つ以上と組み合わせられる。別の例として、缶の底部にはワッフルのパタンのような隆起部があってもよい。この例の場合、缶300及び304のいずれもの底面に孔301が示されているが、これに限定されるものではない(前記)。
【0104】
一実施形態の場合、図3A及び3Bと関連して記述された隆起部は電流収集板と関連して使用されている。一実施形態の場合、この電流収集板は金属泡体である。一実施形態の場合、この電流収集板はニッケル泡体である。この実施形態の場合、ニッケル泡体は圧縮されて隆起部の形状に従うことになるので、必要となる体積がそれ程増加することにはならない。即ち、ジェリイロールは突起部の上縁に対して横たわっているので、泡は圧縮されることなく突起部の間の空間を占有するのである。一実施形態の場合、ニッケル泡体の電流収集板と関連して使用されると否とを問わず、突起部は最上部で尖っているのでジェリイロールの陽電流コレクタに食い込んでいる。別の実施形態の場合、突起部及び/又は缶の底部はニッケルメッキで覆われている。
【0105】
図3A及び3Bの突起部構成により通気機構と干渉することなく通気キャップが缶の底部に付着可能であることは、この技術面の通常の技能者に認識されることであろう。例えば図2E−Hと関連して記述された通気キャップは缶300に応用可能であろう。これは缶300の底に通気キャップの隔壁及び/又は通気キャップの底板109aと溶接するのに面積が十分の平らな表面部があるからである。隔壁が缶304の底部を押し付けて密封することができるから、缶304は図2Hに記載の通気キャップに対して缶304は好適な選択である。突起部306により缶304の底部に形成された溝部は隔壁が缶304の底部に直接押されている場合及び/又は溝部が例えば密閉部材で充填されている場合又は通気キャップが缶304の底部の溝部を缶の通気時に少なくとも部分的に充満する突起部を有する場合記述された通気機構の代わりにこの溝部を通じて通気の起こることを阻止するため例えば図2E−Gの例のように通気キャップ109を必要とする。
【0106】
一実施形態の場合、これらの溝部が通気の通路として通気機構に使用される。この実施形態の場合、図2Hに関連して記述されたと同様な通気キャップが例えばスポット溶接によって缶304の底部に付着される。これは図3Bの中部右側の部分に示されており、ここでは缶の底部の隆起部306で形成された溝部の間の缶304の底部の上の平らな表面にスポット溶接(図示せず)されたキャップ109bを有する缶304の底部分のみ示されている。ガスは太い断線の矢印で示されるように孔及び隔壁109cと缶の底部の間を通過し次いで溝部を通過して外部へ発散される。
【0107】
他の実施形態の場合、平底の缶が使用されるが、強化用部材が缶の底部(内側)に付けられている。図4はそのような実施形態を示している。上面断面図には切線Oが示されている。缶400は缶の底部の内側に例えば溶接によって付着された強化用部材404を有する。図4の左下側では部材404に四本の腕と中央の孔406のあることが示されている。中央の孔は缶の孔部402を通じてガスが通気されるように構成されている。図4の左側には缶の底の部材404と共に缶404の上面図が示されている。強化用部材の厚さはジェリイロールの形状変化及び/又は通気前のガス圧力のような缶の底部にかかる応力に抗するのに十分であればよい。物質に依存して、この部材404の厚さは1ミリメートルの薄さでもよく、数ミリメートルの厚さでもよい。部材404は図4に示された構成である必要はなく、例えば環状であっても、腕の数が異なってもよく、図4に示す部材は多くの変形の中の一つに過ぎない。この部材は(セルの体積を維持するため)バッテリ缶の底部を強化する剛性であって相対的に平坦な本体を有する。示された例の場合、腕の間の領域408は例えばニッケル泡体で占められてよい。一実施形態の場合、この部材は図3A及び3Bの隆起部と同様にニッケル泡体と関連して使用され、ニッケル泡体はジェリイロールと部材404の間に圧縮されるが空間308を占め、缶の底部これらの空間の中のジェリイロールの間に挟まれる。部材404は剛性で導電性の物質であることが好ましい。例えば部材404はニッケル又はチタンでコーティングされたスチールであってよい。此処に記載される通気機構はかような強化用部材で構成された缶の底部に溶接その他の手段で付着される。
【0108】
充電式セルの製造方法
図1−4に関連して製法の面と共にセルの詳細が説明されて来た。上記のセルの記述において、缶は例えば孔108のような既成の孔があると記述されたが、本発明はそのように限定されるものではない。図5のフロー図500に記述されたように、最も広い意味において、本発明はその一実施形態において以下の工程が含まれる充電式ニッケル─亜鉛セルの製法に関するものである:ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータを含むジェリイロール集合体を、ニッケル陽極が缶の底部及び本体と電気的に接続され、亜鉛陰極が缶の他端部で缶の開口端の閉包として構成させた陰性電流コレクタ板と電気的に接続され、缶と電気的に絶縁されるように構成された缶の中に密閉する工程502;缶の底部でバッテリ缶を穿孔し、缶の底部に孔をつくる工程504;及び孔を通して充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップを缶の底部に固定する工程506.密閉の前又は後に孔を通して電解質が缶の内部に導入される。このプロセスのフローは示された順序で実施されなくてもよく、例えば缶の底部が穿孔され、缶に通気キャップが付けられ、次いで記述されたようにジェリイロールが缶に密閉されてもよい。別の実施形態の場合、ジェリイロールが挿入され、缶が密閉され、次いで缶の穿孔で孔が生成される。一実施形態は此処に記述されたようなジェリイロールであって此処に記述されたようにバッテリ缶の中に密閉されたバッテリ集合体であって、バッテリ缶は穿孔されて居らず、例えば電解質は存在して居らずにジェリイロールは枯渇状態にある。かような集合体は保存され、及び/又は此処に記述されたように最終的に穿孔され、電解質が加えられ、通気集合体が付着されるように輸送されることが出来る。
【0109】
更に、本発明の実施に必要ではないが、缶の内部を例えばニッケルでメッキすることが好ましい。ジェリイロールが缶に密閉され、缶がその後前回の実施形態のように穿孔される場合、現場における缶の小部分がニッケルで保護されていないことがありえる。又、缶の内部を効果的にメッキすることが難しい場合もある。或る実施形態の場合、上記のように陽極層はジェリイロールの外側にあり、従って例えば缶がスチール製である場合、缶からの鉄の劣化生産物は陽極機能に有意義的な干渉することはなく、従って、殊に陰極が図2Dに関連して記述されたように選択的に密封され例えば図2F及び2Hにように使用された場合、この構成はこの理由及び此処に記述された他の理由により向上されたニッケル─亜鉛セルをなすものである。
【0110】
しかし、或る実施形態の場合、缶に既成の孔から開始し、次いで缶を例えばニッケルのような保護剤でメッキするのが望ましい。こうすると、孔108の部分で、又缶の内部で、ニッケルで保護されないところがないことになる。この実施形態の場合、工程504はフロー図で不在であろう。従って、本発明の別の実施形態とは以下の工程が含まれる充電式ニッケル─亜鉛セルの製法に関するものである:ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータを含むジェリイロール集合体を、ニッケル陽極が缶の底部及び本体と電気的に接続され、亜鉛陰極が缶の他端部で缶の開口端の閉包として構成させた陰性電流コレクタ板と電気的に接続され、底部に孔を有する缶の中に密閉する工程502;及び孔を通して充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップを缶の底部に固定する工程506.この場合でも又プロセス工程502及び506は逆の順序で実施されてよい。
【0111】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、缶はニッケルでメッキされたスチールである。 別の実施形態の場合、陰性コレクタ板は例えば金属、合金、及び重合体の中の一つである水素発生を抑制する物質でコーティングされた金属板である。これらの物質の例は、本発明の方法の実施形態として上記のように記述されている。陰性の板は例えば錫、銀、ビスマス、真鍮、亜鉛、及び鉛の中の少なくとも一つでメッキされたスチール、真鍮,又は銅の板である。一実施形態の場合、この板は錫及び/又は銀でコーティングされた真鍮又は銅である。一実施形態の場合、板の少なくとも一部は例えばテフロンのような重合体でコーティングされている。
【0112】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である方法実施形態の場合、陰性コレクタ板と亜鉛陰極の間の電気的交信は溶接された金属タブ、陰性コレクタ板と亜鉛陰極の直接の接触、及び/又は亜鉛陰極と陰性コレクタ板の両方に接続するように構成された導電性バネを通じて行われ、この導電性バネは例えば、ジェリイロールの端部と陰性コレクタ板の間に圧縮されたバネ又は金属海綿のような可逆的圧縮性物質である。
【0113】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、充電式ニッケル─亜鉛セルの製法にはジェリイロールを缶の中に密閉する前に陽性コレクタ板をニッケル陽極と缶の底部の間に両者と電気的交信があるように挿入する工程が更に含まれる。一実施形態の場合、ニッケル泡体がこの陽性コレクタ板に含まれる。
【0114】
陽極及び陰極の作成に使用される物質は本発明のセルに関連して上記の記述に含まれたものと同じである。
【0115】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、充電式ニッケル─亜鉛セルの製法には、(a)約0.025Mと0.25Mの間のリン酸塩;(b)約4Mと約9Mの間のアルカリ度;及び(c)約1Mまでのホウ酸塩から成るアルカリ性電解質を、ジェリイロール集合体を缶に密閉する前、又はジェリイロール集合体を缶に密閉した後に孔を通じて缶の中へ導入する工程が更に含まれる。
【0116】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である別の実施形態は此処に記述されたような充電式ニッケル─亜鉛セルであって、AAA,AA,C,D及びサブCから成るグループから選ばれる市場で入手可能なサイズに構成されたものの製法である。
【0117】
本発明は理解のために或る程度詳細に記述されたが、記載された実施形態は例示の為であり、限定的なものではない。或る程度の変更及び変化は此処に添付した請求項の範囲内で実施可能であることは当業者には自明であろう。
【技術分野】
【0001】
[他の出願との関係]
本出願は2009年10月13日に提出された米国特許暫定出願61/251,222号に基づいて優先権を主張するものであり、上記文献に於ける内容の全体はすべての目的に於いて本願に参照して合同されるものとする。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般的に充電式バッテリに関し、殊に充電式ニッケル─亜鉛バッテリに関するものである。更に詳細に言えば、本発明は改良された充電式ニッケル−亜鉛バッテリ及び製法に関する。
【発明の概要】
【0003】
パワー用具のようなコードレスの携帯用装置が普及するに従い、高度のパワーが供給可能であり、且つ高エネルギイ密度である充電式バッテリへの必要性及び要求度が増加している。パワー及びエネルギイ密度に関する要求度が増すに従って、高サイクル寿命の充電式電極の必要性も増加する。アルカリ性亜鉛電極はその高電圧、低等価重量、及び低価によって知られており、亜鉛電極はその充放電に関する高速電気化学的動特性により高度のパワーも高度のエネルギイ密度も供することが出来る。ニッケル─亜鉛バッテリは、例えば電気乗用車(EV)、プラグ型ハイブリッド式電気乗用車(PHEV)、使用者用電子器具及びその他への応用のためのバッテリのような高度のパワー及びエネルギイ密度への必要性を満足させるものである。
【0004】
殊に重要であることは、より高電力、高エネルギ密度の充電式バッテリのみでなく、そのより簡単な製法であり、それと同時にバッテリの性能を向上する事である。密閉された円筒形ニッケル─亜鉛セルは使用者の要求に従って陰極性及び陽極性の両方の缶の場合で提案されて来た。いずれの構成にもセルの有効寿命を著しく短縮する結果となる不利点が伴う。
【0005】
ニッケル金属水化物及びニッケルカドミウムバッテリを含め、従来例の充電式アルカリ性バッテリは缶が陰性でキャップが陽性である。円筒形ニッケル─亜鉛セルは従来例のアルカリ性バッテリと逆の極性でデザインするのが有利かもしれない。逆の極性のデザインの場合、バッテリ通気キャップは陰性端子であり、円筒型ケース又は缶が陽性端子である。逆極性であると、陰極でのインピーダンスと水素発生が低下する。電動ツールのような電力の携帯装置に使用される場合、充電式バッテリは装置内に作り込まれたり、又は別個に包まれたりできるので、逆極性デザインは使用者に影響を与えないが、逆極性のセルが個別に供給される場合、使用者は例えば間違って電子器具に挿入してセルの使用法を誤り、セル又は装置を損傷することになりかねない。しかも、陰極性の通気キャップは電解質クリープとして知られる現象により漏れの傾向がある。
【0006】
金属の缶表面が不浸透性の重合体コーティングまたは金属、合金,又は水素発生過電位の高い物質でメッキすることにより保護されていないと、充電式亜鉛陰極に接触する陰極性缶は不幸にして過大に水素発生を増加することがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
此処に開示されるのはバッテリの陽性の極に通気キャップを有する陽性の缶を使用する機構の充電式ニッケル−亜鉛セル及びその製法である。これらの改良されたセル及び製法は、陽性のバッテリ缶によって得られる安定性を利用し、バッテリの陰性の極の上の通気キャップに関連する不利を回避するものである。ニッケルでメッキされたスチールの缶のような陽極性の缶はアルカリ性ニッケル電極の充電電圧で相対的に安定である。メッキ程度不良のスチールが存在していても、鉄の酸化物の不溶性は亜鉛陰極の汚染を限定するので、ガス発生は最小に維持される。
【0008】
或る実施形態の場合、充電式ニッケル─亜鉛セルには以下のものが含まれる:(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体; (ii)底部に孔を有し、ニッケル陽極と電気的に接続する缶;(iii)缶の底部に固定され、缶と電気的に接続され、孔を通して充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップ;及び(iv)亜鉛陰極と電気的に接続し、缶から電気的に絶縁され、缶の開口端の閉包として構成された陰性コレクタ板、とを備える充電式ニッケル─亜鉛セル。
【0009】
此処に記述される充電式ニッケル─亜鉛バッテリはニッケルでメッキされたスチール缶のみならず、金属、合金、及び/又は重合体のような水素発生に抵抗する物質でコーティングされた負電流コレクタ板を有するものであってよい。ジェリイロールと負電流コレクタ板との間の電気的交信は溶接された金属のタブを通じるもので、陰性コレクタ板と陰極の間の直接接触でも、亜鉛電極と陰性コレクタ板と両方に接触するように構成された導電性バネを通じてでもよい。
【0010】
或る実施形態の場合、陽性コレクタ板がニッケル陽極と缶の底面の間にこれらに接触して挿入される。かような実施形態の場合、缶の底部には陽性コレクタ板の挿入前または後に上記のような孔が生成される。一実施形態の場合、缶の底部は下記のように通気のために予め穿孔されている。或る実施形態の場合、缶の底部はジェリイロールの形状に変化がないように缶の底部は曲がったり反ったりしないように厚くされている。他の実施形態の場合、缶の底の剛性の為に缶の底部には縦溝、環状体、突起など他の構成部が作られる。陽性コレクタ板は強化の目的での体積面での犠牲があまり大きくならない限度での上記の缶底の特性に適合する金属泡体であってよい。
【0011】
電極下地層用の特別な物質及び活性物質や電解質の方式について説明する。ここに記述される充電式ニッケル─亜鉛セルは、或る商業用以外のサイズ又はAAA,AA,C,D及びサブCのような市場で入手可能なサイズに構成されてよい。
【0012】
本発明のその他の実施形態に含まれるのは、充電式ニッケル─亜鉛セルの製法であり、この方法には(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体を、ニッケル陽極が缶の底部及び本体と電気的に接続され、亜鉛陰極が缶の他端部で缶の開口端の閉包として構成させた陰性電流コレクタ板と電気的に接続され、缶と電気的に絶縁されるように 缶の中に密閉する工程;(ii)缶の底部に孔をこしらえるように缶の底部においてバッテリを穿孔する工程;(iii) 孔を通して充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップをニッケル陽極と電気的に接続するように缶の底部に固定する工程が含まれる。或る実施形態の場合、缶は既成の孔を有するものであり、それでは(ii)の工程が不要となる。プロセスにおけるフローの順序は記載の通りでなくてもよく、例えばジェリイロールが缶の中に密閉される前に缶が穿孔されてもよい。既成の孔が使用される実施形態の場合、通気キャップはジェリイロールが缶の中に密閉される前に缶に固定されてもよい。
【0013】
方法にはジェリイロールが缶の中に密閉される前に陽性コレクタ板をニッケル陽極と缶の底部に接触させてこれらの間に挿入する工程が更に含まれてもよい。方法にはジェリイロールが缶の中に密閉される前又はジェリイロールが缶の中に密閉された後に缶の孔を通してアルカリ性の電解質を缶の中へと導入する工程も含まれる。
【0014】
此処に記述される方法は上記のセルの製造に使用されるものであり、此処により詳細に説明される。
【0015】
上記及びその他の特徴及び利点は図を参照して以下説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のセル集合体の分解立体図である。
【図2A】ジェリイロールに巻き上げる以前における電極とセパレータ層の集合体を示す透視図である。
【図2B】図2Aの集合体の断面図である。
【図2C】本発明のジェリイロール集合体の断面図である。
【図2D】電流コレクタ下地層が或る構成に折り曲げられ熱密閉された後のジェリイロール集合体の断面図である。
【図2E】ガスケット、負電流コレクタ、缶、及び通気キャップを分解立体的に示す断面図である。
【図2F】バッテリに組み込まれた図2Dのジェリイロール集合体の断面図である。
【図2G】通気キャップの複数個の図である。
【図2H】異なる通気キャップ機構を使用して別のバッテリに組み込まれた図2Dのジェリイロール集合体の断面図である。
【図3A】強化された底部を有するバッテリ缶の断面図及び上面図である。
【図3B】強化された底部を有するバッテリ缶の断面図及び上面図である。
【図4】缶の強化に追加的要素を使用するバッテリ缶の断面図及び上面図を示す。
【図5】本発明に従った方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.概論
本発明は最も一般的に充電式ニッケル─亜鉛セル及びその製法に関して記述される。更に具体的には、本発明はバッテリの陽極において陽性の缶と通気キャップを使用する構成の充電式ニッケル─亜鉛セルに関して記述される。
【0018】
以下、発明に関するニッケル─亜鉛バッテリの化学作用、更に説明対象のニッケル─亜鉛バッテリに関連して本発明に特別な特色に焦点を当てながらバッテリのデザインをより詳細に説明する。
【0019】
ニッケル―亜鉛バッテリの電気化学的反応
アルカリ性電気化学セルに於ける水酸化ニッケル陽極の充電工程は以下の反応式による:
Ni(OH)2+OH− → NiOOH+H2O+e− ・・・ (1)
【0020】
アルカリ性電解質は亜鉛電極内の電気化学反応でイオン担体として作用する。充電式亜鉛電極に於ける初期活性材料はZnO粉末或いは亜鉛と酸化亜鉛粉末の混合物である。ZnO粉末は反応式(2)のようにKOH溶液に溶解してZn(OH)42−を生成し、これは充電工程に於いて反応式(3)のように金属亜鉛に還元する。亜鉛電極に於ける反応は以下のように記載される:
ZnO+2OH−+H2O → Zn(OH)42− ・・・ (2)
及び
Zn(OH)42−+2e− → Zn+4OH− ・・・ (3)
従って、ニッケル―亜鉛バッテリ全体の反応は以下のように記載される:
ZnO+H2O+2e− → Zn+2OH-+2e− ・・・ (4)
【0021】
全体としてのニッケル─亜鉛バッテリの反応は以下のようになる:
Zn+2NiOOH+H2O → ZnO+2Ni(OH)2 ・・・ (5)
【0022】
亜鉛電極における放電工程においては、金属亜鉛が電子を放出して亜鉛酸塩を生成する。それと同時にKOH溶液の亜鉛酸塩濃度は増加する。
【0023】
再充電の場合、反応(1)−(5)が繰り返される。ニッケル─亜鉛バッテリの寿命期間内において、このような充電−放電のサイクルは何回も繰り返される。
【0024】
B.実施形態
電極及び部品の記述をも含めて、より詳細なニッケル―亜鉛バッテリの記述、殊に製造の方法に関する実施形態は以下の通りである。
【0025】
ニッケル─亜鉛バッテリ及びバッテリの部品
図1は本発明の実施形態によるニッケル─亜鉛の分解立体図である。電極と電解質の交互の層が円筒形集合体101(ジェリイロールとも呼ばれる)内に供される。円筒形集合体又はジェリイロール101は缶113又はその他の容器の中に位置される。缶はその内部が導電性を与えるために例えば錫でメッキされてよい。陰性コレクタ板103は(例えば好ましくは錫でメッキされた銅)はセルが組み立てられた場合円筒形集合体101に接続又はその他の様相で電気的に接続されている。この陰性コレクタ板は陰極と電気的に接続され、外部陰性端子として機能する。ジェリイロールの陽極端部、底部(図示の場合)、は缶の内底部と電気的に接続することになる。或る実施形態の場合、ジェリイロールの陽極端部と缶の底部との間に陽性コレクタ板が介在する。特別な実施形態の場合、陽性コレクタ板は金属バネである。更に特別な実施形態の場合、この金属バネはジェリイロールの陽性下地層の間に介在するセパレータを貫く突起部を有する。
【0026】
可撓性のガスケット111の一部が陰性コレクタ板の上に置かれ、一部が叉缶113の上部の周辺に沿ってキャップ109の近くに供される周辺ビーズ115の上に置かれる。ガスケット111は陰性コレクタ板103を缶113から隔離する役を果たす。
【0027】
缶又はその他の容器が電解質で満たされた後、容器は典型的にビーズ115の上の缶の部分を使用し、缶のこの環状の部分を内側にガスケット111の最上部と陰性コレクタ板103の周囲部の上をクリンピングして電極及び電解質を外部から隔離して缶を密閉する。
【0028】
バッテリ缶113は最終的のセルの外部ハウジング又はケイシングの役を果たす。従来例のセルで缶が陽性である場合、これは典型的にニッケルでメッキされたスチールである。従来例のセルの缶は陽性又は陰性の端子である。缶が陽性の場合、通気キャップは陰極の上にある。缶が陰性の場合、通気キャップは陽極の上にあり、即ち通常の極性のセルである。即ち、通常のセルの場合、通気キャップは缶の開口を密閉する部品の一部である。
【0029】
本発明は、陽性の缶及び陽極における通気キャップ、即ち陽性の缶を有する通常の極性のセルを使用するものである。缶底部の孔は缶底部に設けられた通気キャップの孔と十分に配列されている。この構成により、陰極でより一般的である電解質のクリーピングに対する陽性端子上の通気口の抵抗が最大に維持される。上記のように、ジェリイロールは缶の中へ挿入され、セルの陰性端子はセルが包み込まれる間に中間のガスケットが板を缶から電気的に隔離するようにクリンピングされた電流コレクタ板に接続される。板は水素の発生を抑制する物質を使用して、通常かような物質で缶の内部を均一的にメッキすることに関連する問題を起こすことなく、容易にメッキ又はコーティングすることが出来る。このセル構成及びその製造方法には少なくとも以下のような利点がある:(1)缶内部のようなメッキされた物質と接触する面積が少ない結果として、陰極でのガス発生の傾向が少ない;(2)通気口を陽性端子に位置づけるため、クリーピングによる電解質の通気口を通して漏れ出す傾向が少ない;(3)缶の内部を水素発生抑制用の物質でメッキする必要性がない;(4)ジェリイロールの回りに重合体の袖部を使用する必要性がない;(5)通気口集合体がクリンピング工程でのストレスの影響を受けないため、通気工程に再現性がある;(6)使用する物質量が少ない(より詳細が下記される)ので、コストが節約される;及び(7)デザインが簡単で従って製造に関する要求が少ないためにコストが節約される。
【0030】
本発明はその一面において、(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータから成るジェリイロール集合体;(ii)底部に孔を有し、ニッケル陽極と電気的に接続する缶;(iii)缶の底部に固定され、缶と電気的に接続され、孔を通して充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップ;及び(iv)亜鉛陰極と電気的に接続し、缶から電気的に絶縁され、缶の開口端の閉包として構成された陰性コレクタ板、とから成る充電式ニッケル─亜鉛セルに関するものである。本発明に好適なジェリイロール集合体のより詳細な説明は以下のジェリイロールに関する説明の項で提供される。
【0031】
この出願において、「缶」とはバッテリ缶を意味し、通常金属の缶、例えばスチール又はステンレススチールの缶であるが、それに限るものではない。典型的に缶はニッケルでメッキされたものであるが、これは必要なことではない。他の缶でも十分であり、例えば本発明の或る実施形態の場合、導電性物質でコーティングされた重合体に基づく缶で十分である。叉、「缶の底部」とは閉口部(又は孔を有する場合には通気端部)又はバッテリ缶の「底」(本発明はこのような方向的要素で限定されるものではないが)を意味する。一実施形態の場合、缶はニッケルでメッキされたスチールである。
【0032】
再度図1を参照し、集合体とは従来例のセルより複雑でないものである。第一に、従来例のセルとは内部端子の役を果たす陰性と陽性の両方のコレクタ板を有するものである。図1のセルは外部端子の役を果たす陰性コレクタ板のみである。もっとも、陽性コレクタ板、例えば穿孔された金属又は金属泡体が使用される実施形態もある。更に、ジェリイロールから陰性コレクタ板又は底部に電気的の接続をする溶接タブの必要もない(但しかようなタブを有する特殊実施形態もある)。図1において、バッテリ集合体はジェリイロールを有し、そのジェリイロールはこの向きの場合ジェリイロールの最上部において少なくとも部分的に露出した陰極下地層及びジェリイロールの底部において少なくとも部分的に露出した陽極下地層を有する。このジェリイロール内の電極の構成の一実施形態に関する詳細な記述は図2A−Dに関連して供される。この特別な実施形態の場合、陰性下地層はジェリイロールの一端部(頂上と記述)に亘る露出縁部を有し、陽性下地層はジェリイロールの他端部(此処において底部と記述)に亘る露出縁部を有する。即ち、電極は陽性と陰性の層のオフセットされた構成から始まってジェリイロールへと巻き上げられ、各電流コレクタは一度巻き上げられたジェリイロールの交互の端部で露出される。或る実施形態の場合、ジェリイロールの一方又は両方の端部で下地層の一部のみ露出されている。
【0033】
缶113には缶の底部(缶底部)に孔108がある。ジェリイロールは缶に挿入され、陰性電流コレクタ103は缶の中のジェリイロールの頂上に置かれる。一実施形態の場合、陰性コレクタ板は例えば銅又は真鍮のような金属の板であり、水素発生に抗する物質でコーティングされている。一実施形態の場合、この水素に抗する物質には金属、合金、及び重合体の少なくも一つが含まれる。別の実施形態の場合、水素に抗する物質には 任意的に全フッ素置換されたポリオレフィンが含まれ、更に特別な実施形態の場合、TeflonTM(E.I.Dupont de Nemours and Company,of Wilmington, Delawareのポリテトラフルオロエチレンの商品名)である。
【0034】
電流コレクタ103は典型的に陰性下地層を通して亜鉛陰極と電気的交信するように構成されている。上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、陰性コレクタ板と亜鉛陰極との間の電気的交信は溶接された金属タブを通して行われるものである。特別な一実施形態の場合、金属タブは陰性下地層及び陰性電流コレクタに溶接される。上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、陰性コレクタ板と亜鉛陰極との間の電気的交信は陰性コレクタ板と亜鉛陰極との間の直接の接触で行われる。特別な実施形態の場合、溶接されたタブのない陰性下地層が陰性電極コレクタと直接接触される。陰性コレクタ板が例えば水素発生に抗する物質のような導電性でない物質でコーティングされて居る場合、電気的交信を確立するため、下地層はセルが組み立てられる時に導電性でない物質を貫通するように構成される。 上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、陰性コレクタ板と亜鉛陰極との間の電気的交信は亜鉛陰極と陰性コレクタ板の両方に接触するように構成された導電性バネを通じて行われ、この導電性のバネはジェリイロールの端部と陰性コレクタ板の間に圧縮されている。特別な一実施形態の場合、この導電性バネには亜鉛陰極及び/又は陰性コレクタ板との接触を向上させる為に片側又は両側に突起部がある。陰性電流コレクタが例えば水素発生に抗する物質のような導電性でない物質でコーティングされて居る場合、この導電性バネは陰性電流コレクタとの電気的交信を確立するため、セルの組み立てに際し、例えばバネから出て居る突起部によって導電性でない物質を貫通するように構成されている。一実施形態の場合、例えば金属製の導電性バネはバネとジェリイロールの陰性下地層との間に介在するセパレータを貫通し、それによって陰性下地層との電気的交信を行うように構成されている。この導電性バネは金属のバネ,又は導電性物質でコーティングされたプラスティク又はその他の重合体物質でよい。陰性電流コレクタ103は缶にジェリイロールが密閉された後、缶の閉包要素の役を果たす。缶(ジェリイロールの陽性下地層との電気的交信(この例の場合直接の接触による)により陽性である)から陰性電流コレクタを電気的に隔離するため、ジェリイロールを缶の内部にクリンピングする前に、ガスケット111が缶と電流コレクタの間に置かれる。
【0035】
上記のように、この実施形態の場合、ジェリイロールの陽性下地層は孔108を有する缶の底部と直接に接触している。電解質はジェリイロールが缶の内部に挿入される前に缶の内部に導入可能であり、叉孔108を通して缶が密閉された後でも缶の内部に導入することが出来る。上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、例えばニッケル板である陽性コレクタ板がニッケル陽極と孔108を有する缶の底部の間に挿入され、電極(下地層)と缶の間の電気的交信を確立する。一実施形態の場合、陽極コレクタ板にはニッケル泡体が含まれる。
【0036】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、ニッケル陽極には(a)酸化ニッケルマトリクス内に含められてニッケル陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在する酸化コバルト及び(b)陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在するコバルト金属とから成る混合物浸潤されたニッケル泡体下地層が含まれる。陽極に関する詳細な記述は下記のニッケル陽極に関する部分に含まれている。
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、亜鉛陰極は(a)厚さが約40−80μInであり、錫又は錫/亜鉛でメッキされた銅又は真鍮;及び(b)酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層とから成るものである。一実施形態の場合、この酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層は(a)鉛及び錫の少なくとも一方でコーティングされた亜鉛金属粒子;(b)酸化亜鉛;(c)酸化ビスマス;(d) 分散剤;及び(e)結合剤とから成るものである。別の実施形態の場合、この酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層には無機繊維、シリカ及びアルミナを含む無機繊維が含まれる。更に別の実施形態の場合、この酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層には界面活性剤のコーティング有り又は無しの炭素繊維が含まれる。陰極に関する詳細な記述は下記の亜鉛陰極に関する部分に含まれている。
【0037】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、充電式ニッケル─亜鉛は(a)約0.025Mと0.25Mの間のリン酸塩;(b)約4Mと約9Mの間のアルカリ度;及び(c)約1Mまでのホウ酸塩から成るアルカリ性電解質を含むものである。本発明の為に好適な電解質に関する詳細な記述は下記の電解質に関する部分に含まれている。
【0038】
通気キャップ109は孔108を有する缶の端部に例えば溶接により付けられている。孔108は通気キャップの孔112と十分配列されているので、隣接した孔を通ってガスが通気される。本発明の為に好適な通気キャップに関する詳細な記述は下記の通気キャップに関する部分に含まれている。
【0039】
或る実施形態の場合、セルは電解質枯渇の状態で作用するように構成されている。更に或る実施形態の場合、本発明のニッケル―亜鉛セルは電解質枯渇様式を使用するものである。かようなセルは、活性電極材料に比して、相対的に少量の電解質を有するものであり、セル内部に遊離電解液を有する浸水型のセルから容易に区別することが出来る。枯渇した形態のセルについては米国特許出願11/116、113("Nickel Zinc Battery Design" 2005年4月26日出願、US2006−0240317 A1として公開)(本願に参照して合同するものとする)に記載されて居る。セルを枯渇した状態で作用することは、多くの理由により望ましいことかも知れない。一般的に、枯渇したセルとは、セル電極スタックの中の空間総体積が電解質によって占められて居ないもののことと理解されて居る。典型的な例の場合、電解質充填後の枯渇状態のセルのボイド容積は、充填前のボイドの総容積の少なくとも約10%である。特に、セルが電解質枯渇の状態に構成されている場合、上記の実施形態のいずれも一実施形態の様相に含まれるものである。
【0040】
本発明のバッテリセルは、多くの異なる形状及びサイズのものでよい。例えば、本発明の円筒形セルは通常のAAA型セル、AA型セル、D型セル、C型セルなどの直径や長さでよい。或る応用面に於いては、カストマイズされたセル設計が適当となる。特別な実施形態の場合、セルのサイズは直径22mmで、長さ43mmのサブC型セルのものでよい。本発明は種々の非携帯用の応用で使用される種々の大きさのセルのみならず、比較的小さい角柱のセル形で使用されることに留意されるべきである。動力機具とか芝刈り機のようなものの為のバッテリパックのプロファイルによって、バッテリセルの大きさとか形状は決定されるものである。一実施形態は此処に記述されたような選択的に密封されたセパレータを有するジェリイロールを含んだニッケル─亜鉛セルである。一実施形態は此処に記述されたニッケル−亜鉛バッテリセルを一個以上含んだバッテリパック、及び電気器具の充電放電を可能とする適宜なケイシング、接点、導電線である。特種な実施形態の場合、充電式セルは市場で入手可能なサイズであるAAA、AA型、D型、C、及びサブCに構成されている。
【0041】
特殊なセルのみならず、通気キャップ、陽極、セパレータ、電解質、陰極、及びジェリイロールの構成の特性に関するより詳細な記述が以下において提供される。
【0042】
通気キャップ
セルは通常環境から密閉されたものであるが、充電や放電に際してバッテリから発生するガスを放出可能にしてもよい。従って、例えば図1Aにおいて、キャップ109は一般に示されるが、典型的には通気キャップである。典型的なニッケル―カドミウムセルの場合、約200PSIの圧力でガスを放出する。或る実施形態の場合、本発明のニッケル―亜鉛セルは、通気なしのまま、この圧力或はそれ以上の圧力(例えば300PSI位まで)で作用するように設計されて居る。これにより、セル内部で生成される酸素や水素の再結合が促進される。実施形態によっては、内圧を450PSI位まで、更には600PSI位までに保つように、セルが構成されている。その他の実施例のニッケル−亜鉛セルは、比較的低圧でガスを放出するように設計される。設計が水素及び/或は酸素ガスをセル内部で再結合させず、制御された状態での放出を促進する場合に適切である。
【0043】
通気キャップ及び円板、ならびに担体下地層の構成に関する或る程度の詳細な説明は以下の特許出願に記載されており、これらはすべての目的で本願に参照して合同されるものとする:2006年4月25日を出願日とするPCT/US2006/015807及び2004年8月17日を出願日とするPCT/US2004/026859(WO2005/020353 A3)。更に、通気キャップは図2E,2F,及び2Gに関連してより詳細に説明される。
【0044】
陽極
ニッケル陽極には、製造、電子運送、濡れ、機械的特性などの目的で、通常電気化学的活性の酸化、又は水酸化、又はオキシ水酸化ニッケル、及び一種以上の添加剤が含まれる。この出願において「酸化ニッケル」には酸化物、オキシ水酸化物及び/又は水酸化物の形態の活性ニッケルが含まれることが意図されている。例えば、陽極には水酸化ニッケル粒子、酸化亜鉛、酸化コバルト(CoO)、コバルト金属、ニッケル金属、及びカルボキシメチルセルローズ(CMC)のような揺変剤が含まれてよい。コバルト金属及びニッケル金属は化学的に純粋な金属としてでも、合金として提供されてもよいことに留意されたい。陽極はこれらの物質と重合体フルオロカーボン(例えばTeflonTM)のような結合剤を含むペーストから製造されてもよい。
【0045】
或る実施形態の場合、水酸化ニッケル電極には水酸化ニッケル(及び/又はオキシ水酸化ニッケル)、コバルト/コバルト化合物粉末、ニッケル粉末、及び結合物質が含まれる。コバルト化合物はニッケル電極の導電率を増加するために導入される。一実施形態の場合、ニッケル電極には酸化コバルト、水酸化コバルト、及び/又はオキシ水酸化コバルトの中の一つが、任意的に水酸化(又はオキシ水酸化)ニッケル粒子にコーティングされて含まれる。
【0046】
電気的活性酸化ニッケル(例えばNi(OH)2)電極物質を支持するために、ニッケル泡状マトリクスが使用可能である。泡状下地層の厚さは15と60ミルの間でよい。電気化学的活性及びその他の電極物質が充填された泡状ニッケルを含む陽極の厚さは約16−24ミルの範囲であり、好適には約20ミルである。一実施形態の場合、密度が約350g/m2であって、厚さが約16−18ミルの範囲である泡状ニッケルが使用される。
【0047】
セパレータ
典型的に、セパレータは小さい孔を有するものである。此処に記載されるいくつかの実施形態に於いて、セパレータは複数の層から成るものである。孔の存在及び/叉は層状構成により、亜鉛の樹枝状突起は曲がりくねった通路を形成することになり、従って効果的に貫通することと、短絡とを防止することになる。好ましくは、多孔性セパレータのくねり度は約1.5―10の範囲であり、より好ましくは約2―5である。孔の平均直径は好ましくは大きくとも約0.2ミクロンで、更に好ましくは、約0.02―0.1ミクロンの間である。孔のサイズはセパレータの内部に於いて均一であることが好ましい。特別な実施形態に於いて、セパレータは多孔率が約35−55%の間であり、多孔率が45%で孔のサイズが0.1ミクロンの好ましい材料を有するものとする。
【0048】
或る実施形態の場合、セパレータは亜鉛の貫通を防止するバリヤ層とセルを電解質と共に濡れ状態に保ってイオン流を可能にする浸潤層の少なくとも二層から成る(更に好ましくは只二層のみから成る)ものである。これは互いに隣接する電極間に唯一の隔離材料を使用するニッケル−カドミウムセルに於いて通常のことではない。
【0049】
セルの作用は陽極を濡らし、陰極を比較的乾燥状態に保てば向上する。従って、或る実施形態に於いては、バリヤ層は陰極に隣接し、浸潤層を陽極に隣接して位置させる。この配置により、電解層を陽極に密接させ、セルの作用が向上する。
【0050】
その他の実施形態の場合、浸潤層が陰極に隣接し、バリヤ層が陽極に隣接して位置される。この配置は酸素の電解質を通って陰極への移行を容易にし、陰極での酸素の再結合に役立つ。
【0051】
バリヤ層は典型的に微小な孔を有する多孔性の膜である。導イオン性の微小な孔を持つ多孔性の膜ならば、いずれのものでも使用可能である。多孔率が30―80%の間のポリオレフィンがしばしば使用されるが、孔の平均径が約0.005―0.3ミクロンの間であることが好適である。好ましい実施形態の場合、バリヤ層は微小な孔を持つ多孔性のポリプロピレンである。バリヤ層は典型的に厚さが約0.5―4ミルで、より好ましくは約1.5―4ミルの間である。
【0052】
浸潤層は浸潤性が適当にある如何なる隔離層材料であってもよい。典型的に、浸潤層の多孔率は比較的高く、例えば約50−85%の間である。例として、ナイロンを基にした浸潤性のあるポリエチレンやポリプロピレン材料のようなポリアミドが挙げられる。特別な一種の物質として、ポリビニルアルコールを含浸及び/又はそれでコーティングされたセルローズがある。或る実施形態の場合、浸潤層の厚さは約1−10ミルの間であり、好ましくは約3−6ミルの間である。隔離層材料で、浸潤層材料として使用できるものの例としては、NKK VL100 (東京のNKK Corporation 製)、Freudenberg FS2213E、Scimat 650/45 (英国 Swindon の SciMAT Limited製)、及び Vilene FV4365 がある。
【0053】
当業者に周知のその他の隔離部材料も使用可能である。上記の如く、ナイロンを基にした材料や、微小な孔を有する多孔性ポリオレフィン(例えばポリエチレン及びポロプロピレン)はしばしば非常に好適である。一実施形態の場合、セパレータは電極が相互に更に隔離されるように選択的に密封される。此処に記述されたような熱源を応用して密封可能である限り、殆どどのようなセパレータ物質でも適当である。或る実施形態の場合には異なる融点のセパレータ物質が使用され、別の使用形態の場合には密封するセパレータとジェリイロールの一方又は両方の端部が晒される条件下で密封しないものと一緒に使用される。このような特別な実施形態は図2B−2Dに関連して更に詳細に記述される。
【0054】
電極/セパレータのデザインについて更に考慮すべきことは、セパレータを電極及び電流コレクタシートと略同じ厚さのシートとして提供すべきか、又は電極の一方又は両方をセパレータ層に入れ込むべきかと言うことである。後者の場合、セパレータは一方の電極シート用の袋として機能し、効果的に電極層を包み込む。或る実施形態の場合、陰極をセパレータ層に包み込むことは樹枝状突起形成の防止に役立つ。特殊な熱密封実施形態は以下の「電極とセパレータ集合体―ジェリイロール」の部分でより詳細に説明される。
【0055】
電解質
ニッケル─亜鉛セルに関連する或る実施形態の場合、亜鉛電極内の樹枝状突起の形成及びその他の形態の物質の再分配が電解質成分によって限定される。好適な電解質成分の例は此処に参照して合同されるものとする1993年6月1日にM.Eisenbergに発行された米国特許5215836号に記載されている。或る場合において、電解質には(1)アルカリ又はアルカリ土金属の水酸化物、(2)アルカリ又はアルカリ土金属の溶解性フッ化物、及び(3)ホウ酸塩、ヒ酸塩、及び/又はリン酸塩(例えばホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、及び/又はリン酸ナトリウム又はカリウム)が含まれる。一特殊実施形態の電解質の場合、約4.5から10当量リットルの水酸化カリウム、約2から6当量リットルのホウ酸又はメタホウ酸ナトリウム、及び約0.01から1当量のフッ化カリウムが含まれる。高級応用の特殊な好適電解質は約8.5当量リットルの水酸化物、約4.5当量リットルのホウ酸、及び約0.2当量のフッ化カリウムを含むものである。
【0056】
本発明はEisenbergの特許に記載された電解質成分に限定されるものではない。一般的に、所望の特殊応用面での判定基準に応ずるものならば、いずれの電解質成分でも十分である。高パワーの応用の場合、電解質は良好な導電性が要求される。良好なサイクル寿命が望ましい場合、電解質は樹枝状物の生成しにくいものがよい。本発明の場合、適当なセパレータ層と共にホウ酸塩及び/又はフッ化物を含むKOH電解質を使用すると樹枝状物の形成が減少し、より頑丈で長寿命のパワーセルが達成される。
【0057】
或る特殊実施形態の場合、約3から5当量リットルの過剰水酸化物(例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び/又は水酸化リチウム)が電解質成分に含まれる。これは陰極が酸化亜鉛に基づく電極である仮定のもとである。亜鉛酸カルシウムの陰極の場合には、その他の電解質方式が適当であろう。一実施形態の場合、約15から25重量%の水酸化カリウム、約0.5から5.0重量%の水酸化リチウムの構成の電解質が亜鉛酸カルシウムに好適である。
【0058】
種々の実施形態の場合、液体及びゲルが電解質に含まれてよい。ゲルの電解質には、オハイオ州ClevelandのNoveonから入手可能なCARBOPOLRのような増長剤が含まれても良い。好適な実施形態の場合、活性電解質成分の一部分がゲル状である。特殊実施形態の場合、電解質の約5−25重量%がゲルであり、ゲル成分の約1−2重量%がCARBOPOLRである。
【0059】
場合により、本願にすべての目的で参照して合同されるものとする”Electrolyte Composition for Nickel Zinc Batteries”の題で2006年2月1日にJ.Phillips及びS.Mohantaによって提出された米国特許7550230号に記載されたように、電解質には相対的に高濃度のリン酸塩イオンが含まれてもよい。
【0060】
陰極
ニッケル─亜鉛バッテリに応用される陰極は下記の如く、此処に記載された界面活性剤でコーティングされた粒子、腐食抑制剤、浸潤剤などの一種以上と共に、亜鉛或は亜鉛酸イオンの電気的活性源を一種以上含むものである。 電極は、その製造の時に、クーロム容量、活性亜鉛の化学的構成、多孔性、曲げ特性のような物理的、化学的、形態的特性によって特徴付けられるものである。
【0061】
或る実施形態の場合、電気化学的活性亜鉛源は、酸化亜鉛、亜鉛酸カルシウム、金属亜鉛、及び種々な亜鉛合金から選ばれる一種以上から成る。これらの物質はいずれも製造中に供給及び/或は通常のセル周期の間に生成されるものである。特別な例として、亜鉛酸カルシウムが考慮されるが、これは例えば酸化カルシウムと酸化亜鉛とを含むペースト或はスラリイから製造出来るものである。
【0062】
充電式亜鉛アルカリ性電気化学的セルの陰極の活性物質には亜鉛金属(又は亜鉛合金)粒子が含まれて良い。亜鉛合金が使用される場合、実施形態によっては、これにビスマス及び/又はインジウムが含まれて居てもよい。実施形態によっては、百万に対して約20部未満の鉛が含まれてもよい。この構成条件を満たし、市場で入手可能な亜鉛合金として、カナダのNoranda社によるPG101がある。或る実施形態の場合、約0.05重量%の鉛がニッケル─亜鉛セルの電気化学的活性亜鉛金属成分に含まれる。
【0063】
或る実施形態の場合、亜鉛金属粒子は錫及び/又は鉛でコーティングされてよい。亜鉛粒子をコーティングする場合、鉛や錫の塩が亜鉛粒子、増長剤、及び水を含む混合物の中に加えられる。亜鉛金属は酸化亜鉛及び他の電極成分の存在下でコーティング可能である。鉛又は錫でコーティングされた亜鉛粒子を含む亜鉛電極は一般的に電解質内にコバルトが存在するとガス放出をしにくい。亜鉛の導電性マトリクスがそのままであり、貯蔵期間の放電が減少すると、セルのサイクル寿命及び貯蔵期間が向上する。本発明の陰極に好適な活性物質の例は更に”Pasted Zinc Electrode for Rechargeable Nickel−Zinc Batteries”と題するJ.Phillips et.al.によって2009年5月18日に提出された米国特許出願12/467993号に記載されており、これは本願にすべての目的で参照して合同されるものとする。
【0064】
或る実施形態の場合、亜鉛金属粒子は錫及び/又は鉛でコーティングされてよい。亜鉛粒子をコーティングする場合、鉛や錫の塩が亜鉛粒子、増長剤、及び水を含む混合物の中に加えられる。亜鉛金属は酸化亜鉛及び他の電極成分の存在下でコーティング可能である。鉛又は錫でコーティングされた亜鉛粒子を含む亜鉛電極は一般的に電解質内にコバルトが存在するとガス放出をしにくい。亜鉛の導電性マトリクスがそのままであり、貯蔵期間の放電が減少すると、セルのサイクル寿命及び貯蔵期間が向上する。本発明の陰極に好適な活性物質の例は更に”Pasted Zinc Electrode for Rechargeable Nickel−Zinc Batteries”と題するJ.Phillips et.al.によって2009年5月18日に提出された米国特許出願12/467993号に記載されており、これは本願にすべての目的で参照して合同されるものとする。
【0065】
亜鉛活性物質は粉末状、粒子状などでよい。亜鉛電極のペースト材料内部の各成分が比較的小さい粒径であることが望ましい。これは、粒子が浸透或はその他によって陽極と陰極の間のセパレータを傷害する可能性を減少する為である。
【0066】
電気化学的活性亜鉛成分(及びその他の電極粒子成分)を殊に考慮する場合、かような成分の粒子サイズは約40又は50ミクロメートル未満であることが望ましい。或る実施形態の場合、粒子サイズは約40ミクロン未満であり、即ち平均直径が約40ミクロン未満であると言うことである。このサイズ体制には鉛でコーティングされた亜鉛又は酸化亜鉛粒子も含まれる。或る実施形態の場合、物質はその粒子の約1%未満の主次元(例えば直径、又は主軸)が約50ミクロメートル未満であることで特徴付けされる。このような組成物は例えば篩いわけ又はその他の大粒子を除去するように亜鉛粒子を処理することで製造可能である。此処に記載される粒子サイズ体制は亜鉛金属のみならず酸化亜鉛及び亜鉛合金の粉末にも応用されるものである。
【0067】
電気化学的活性の亜鉛成分に加え、陰極は更にイオン移送、電子移送(例えば導電性の向上のため)、濡れ、多孔性、構成的完全性(例えば結合性)、ガス放出、活性物質の溶解性、バリヤ性能(例えば電極から脱出する亜鉛の量の削減)、腐食防止など電極内でのプロセスを容易にしたり、影響を与えたりする一種以上の物質を追加的に含むものでよい。
【0068】
結合、分散、及び/或はセパレータの代用物たることの目的として、陰極には種々の有機物が添加され得る。その例として、ヒドロキシルエチルセルローズ(HEC)、カルボキシメチルセルローズ(CMC)、遊離酸の形態のカルボキシメチルセルローズ(HCMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレンスルフォネート(PSS)、ポリビニルアルコール(PVA)、nopcosperse 分散剤(京都のSan Nopco Ltd.より入手可能)などがある。
【0069】
或る実施形態の場合、PSSやPVAのような重合体材料は陰極内でセパレータにとって危険となる鋭い或は大きな粒子を埋め込む目的で、ペースト構成(コーティングではなく)に混入してもよい。
【0070】
此処で電極構成を定義する場合、これは形成サイクリングの間又はその後、又はセルが例えば携帯用ツールの使用で充放電サイクルを繰り返す間又はその後のものであるばかりでなく、製造過程で得られた構成(例えばペースト、スラリ、又は乾式製造方式)に応用可能である。
【0071】
本発明の範囲内の種々の陽極構成は以下の文献に記載されて居り、これらの文献はすべてあらゆる目的に対して参照して本願に合同されるものとする:PCT公開WO02/39517(J.Phillips); PCT公開WO02/39520( J.Phillips );PCT公開WO02/39521; PCT公開WO02/39534( J.Phillips );米国特許公開2002182501号。上記文献に於ける陰極添加剤の例として、シリカ、各種アルカリ土金属のフッ化物、遷移金属、貴金属がある。
【0072】
留意すべきことは、或る特種な性質を得る為に、何種もの物質を陰極に加えることが出来るが、これらの性質は陰極以外のバッテリ成分によって導入されることが出来ると言うことである。例えば、電解質内での亜鉛の溶解度を減少させる為の物質は、陰極によっても導入されるか否かを問わず、電解質或はセパレータ(陰極にもまた与えられて居るか否かを問わず)の中に供給されてもよい。そのような物質の例にはリン酸塩、フッ化物、ホウ酸塩、亜鉛酸塩、ケイ酸塩、ステアリン酸塩などがある。上記された電極添加剤のその他の例で、電解質及び/又はセパレータの中に付与されてもよいものとして、インジウム、ビスマス、鉛、錫、カルシウムなどのイオンがある。
【0073】
例えば、或る実施形態の場合、陰極は酸化ビスマス、酸化インジウム、及び/叉は酸化アルミニウムのような酸化物を含む。酸化ビスマスと酸化インジウムとは、亜鉛と反応して電極に於けるガス放出を低減する。酸化ビスマスは乾燥状陰極構成に対し、重量で約1%―10%の間の濃度で与えられる。これで、水素と酸素の再結合を容易にすることが出来る。酸化インジウムは、乾燥状陰極構成に対し、重量で約0.05%と1%の間の濃度で存在してよい。酸化アルミニウム、乾燥状陰極構成に対し、重量で約1%と5%の間の濃度で供給されて良い。
【0074】
或る実施形態の場合、電気的活性亜鉛物質の耐腐食性を向上し、それによって貯蔵期間を延長させるように、一種以上の添加剤を加えてもよい。貯蔵期間は、バッテリセルが商業的に成功するか不成功に終わるかについて決定的な要素である。バッテリは本来不安定なものであるから、陰極をも含めてバッテリの成分などは、化学的に有用な形態で保存されるように努力が必要である。何週間も何ヶ月も使用しない中に、電極物質が腐食したり、その他の理由で多分に変質すれば、貯蔵期間の短い事でこの値打ちは限られてしまう。
【0075】
電解質内での亜鉛の溶解度を減らす為に加えられるアニオンの例として、燐酸塩、フッ酸塩、ホウ酸塩、珪酸塩、ステアリン酸塩などがある。一般的にこれらのアニオンは乾燥状陰極構成に対し重量で約5%以内の濃度で陰極内に存在してよい。これらのアニオンの中、少なくともあるものはセル周期の間に溶液中に入り、亜鉛の溶解度を減少させるものと思われて居る。これらの材料を含んだ電極構成の例は以下の特許及び特許出願に記載されて居り、これらは総て、あらゆる目的において参照して本願に合同するものとする:米国特許6797433号("Negative Electrode Formulation for a Low Toxicity Zinc Electrode Having Additives with Redox Potentials Negative to Zinc Potential"、発明者 Jeffrey Phillips, 2004年9月28日発行);米国特許6835499("Negative Electrode Formulation for a Low Toxicity Zinc Electrode Having Additives with Redox Potentials Positive to Zinc Potential", 発明者 Jeffrey Phillips, 2004年12月28日発行); 米国特許6818350("Alkaline Cells Having Low Toxicity Rechargeable Zinc Electrodes", 発明者Jeffrey Phillips, 2004年11月16日発行);PCT特許出願PCT/NZ02/00036(公開番号WO02/075830号、発明者 Hall,et al.2002年3月15日出願)。
【0076】
陰極に添加される導電性繊維は電極を灌漑又は浸潤させる役を果たす。界面活性剤でコーティングされた炭素繊維はこのような物質の一例であるが、その他の物質も濡れを容易にする為に含まれてよいと理解されるべきである。そのような物質の例には酸化チタン、アルミナ、シリカなどがある。一般的に、これらは乾燥状陰極構成に対して重量で約10%以内の濃度で付与される。かような物質については米国特許6811926号("Formulation of Zinc Negative Electrode for Rechargeable Cells Having an Alkaline Electrolyte" 、発明者 Jeffrey Phillips, 2004年11月2日発行)に記載されてあり、この特許は本願に全体としてあらゆる目的に対して参照して合同されるものとする。
【0077】
亜鉛陰極は亜鉛陰極の電気化学的活性成分とニッケル陽極との間の導電的交信を達成する物質を含むものである。上記のように、本発明の発明者は電極の全体的電流搬送能力が陰極の中へ界面活性剤でコーティングされた粒子、殊に界面活性剤でコーティングされた炭素粒子(此処に参照して合同されるJeffrey Phillipsによって2010年8月6日に提出された“Carbon Fiber Zinc Negative Electrode”と題する米国特許出願12/852,345号に記載されている)を導入することで向上されることを発見した。
【0078】
上記のように、亜鉛陰極の製造には安定した粘性を有して亜鉛電極の製造にあたって使用しやすいスラリ/ペーストが使用されてよい。かようなスラリ/ペーストは任意的に鉛及び錫の塩を亜鉛粒子、増長剤、及び例えば水であるような液体を含む混合物に加えた亜鉛粒子を有するものである。酸化亜鉛(ZnO)、酸化ビスマス(Bi2O3)、分散剤、及びテフロン(登録商標)のような結合剤も添加されてよい。この面において好適な結合剤にはPTFE、スチレン、ブタジエンゴム、ポリスチレン、及びHECがある。この面において好適な分散剤には石けん、有機物分散剤、アンモニウム塩分散剤、ワクス分散剤があるが、それらに限定されるものではない。発明のこの面に好適であって市場で入手可能な分散剤の一例にNopcosperseTM(Nopco Paper Technology Australia Pty. Ltd.から入手可能な分散剤の液体シリーズの商標名)がある。発明のこの面に好適な液体には水、アルコール、エーテル、及びこれらの混合物があるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
電極及びセパレータ集合体―ジェリイロール
ジェリイロールを製造するに当たり、個々の電極層はセパレータ物質の一個以上の層の間にサンドイッチ状に挟まれる。サンドイッチ状に挟まれた電極集合体は積み重ねられてからジェリイロールに巻き上げられる。
【0080】
図2Aはジェリイロールに巻き上げる以前における電極とセパレータ層の透視図である。電極及びセパレータ層は此処に記載される物質から成る。図示の例の場合、セパレータ(200及び208)は電極シートと共に巻き上げ機へ引き寄せられ又は供給される前に、先ず電極の平面に沿って陰極(各面を電気化学的活性層206でコーティングされた導電性下地層204)及び陽極(各面を電気化学的活性層212でコーティングされた導電性下地層210)の各々の上に折り曲げられる。この実施形態の場合、各セパレータシートは二重折であり、電極の各々は実質上折り目202へと二重折に(水平矢印で示されるように)挟み込まれている。このアプローチではセパレータの源が二個使用されている。代行的実施形態としては、電極シートの各々がセパレータシートの二個の別個の源で跨られ、二個でなくて四個のセパレータ源が使用される。従って、最初にセパレータシートは電極の先端縁で折り曲げられない。結果として得られる層状構成は同じであるが、二重折セパレータは巻き上げ機へ差し込む時スタックの差込み及び制御を容易にする。いずれのアプローチで製造された構成であっても、二層のセパレータは各電極層を隣接する電極層から隔離している。このことは一般的に隣接する電極層の間にセパレータを一層しか使用しないニッケル―カドミウムセルでは達成されないことである。ニッケル―亜鉛セルでは余分の層があるので樹枝状突起の形成による短絡を防止する助けとなり、ウィッキングセパレータが使用される場合には灌漑とイオン流の援助にもなる。
【0081】
樹枝状突起は金属堆積物の中で骸骨状又は樹木状の成長パタン(「樹枝状成長」)を有する結晶構造のことである。実際問題として、樹枝状突起はセルの寿命期間においてパワー用セルの導電性媒体の中に形成され、効果的に陰極と陽極とを繋ぎ、短絡及びその結果としてバッテリの機能を喪失せしめるものである。
【0082】
セパレータシートは一般的に電極シートを幅全体に亘って覆うものでないことに留意されたい。殊に、各電極シートの一縁部(導電性下地層)は端子を接続するよう、又は完成後のバッテリの端子との電気的交信を確立するように露出されている。この特殊実施形態の場合、これらの露出された縁部は互いに反対側にあるため、一度ジェリイロールが巻き上げられると、陽極と陰極の各々がバッテリの互いに反対側の端子と電気的接触することになる。これらの露出された縁部はバッテリの端子への電気的交信が発明の範囲を超えることなくジェリイロールの同じ端部を通じて可能であるように同じ側にあってもよいが、露出された下地層はジェリイロールの反対側の端部にあった方が便利である。露出された下地層縁部がジェリイロールの反対側の端部にある実施形態の場合、各縁部でのすべてが露出されていることは必要でない。即ち、縁部の一部は、他の部分が露出されず、又は保護されているような場合でも、例えば電流コレクタ板又は金属タブとの接続に使用可能である。特殊な実施形態の場合、効果的な電流収集のために電流コレクタ又は缶との接触を最大化すべく、各電極下地層の各縁部の実質上すべてが露出されている。
【0083】
図2Bは個々の電極を図2Aの中の対応するセパレータと積み重ねて(図2Aに双頭の太線矢印で示されるように)形成された集合体の断面図(図2Aの断面Aで示す)である。セパレータ200は陰極(下地層204及び電気化学的活性層206)を陽極(下地層210及び電気化学的活性層212)から、イオン電流がこれら電極間を流れることを許可する一方、機械的及び電気的に隔離するものである。この実施形態の場合、セパレータ200は微孔性ポリプロピレンであるが、本発明はこれに限定されるものではない。上記のように、亜鉛陰極の電気化学的活性層206は電気化学的活性物質として酸化亜鉛及び/又は亜鉛金属を含み、上記のような界面活性剤でコーティングされた粒子を含んでもよい。この層206には更に他の添加剤又は亜鉛酸カルシウム、酸化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化インジウム、ヒドロキシエチルセルローズ、及び分散剤のような電気化学的活性化合物が含まれて良い。
【0084】
陰極下地層204は陰極物質206と電気化学的にコンパチブルであるべきものである。上記のように、電極下地層は穿孔性金属シート、伸張された金属、金属泡体、又は連続的金属シートパタンなどの構成であってよい。或る実施形態の場合、下地層は金属箔のような単なる金属層である。特殊な実施形態の場合、陰性下地層は錫及び/又は鉛でメッキされた銅である。
【0085】
陰極から向き合って、セパレータ200の逆側には陽極とセパレータ208がある。この実施形態の場合、セパレータ208はセルローズに基づく物質であり、更にはポリビニルアルコールで含浸及び/又はコーティングされたセルローズであるが、本発明はこれに限定されるものではない。この層はウィッキング層(例えば上記のセパレータの部で詳細に記述されたNKKからのもの)である。陽極には電気化学的活性層212及び電極下地層210も含まれる。陽極の層212には電気化学的活性物質として水酸化ニッケル、酸化ニッケル、及び/又はオキシ水酸化ニッケル、及び種々の添加剤が含まれてよく、これらはすべて此処に記載されている。電極下地層210は例えばニッケル金属泡体マトリクス、又はニッケル金属シートであってよい。ニッケル泡体マトリクスが使用される場合、層212は金属泡体の中のボイドを満たして泡体の中を通過するので、一個の連続的電極を形成することになる。層状の亜鉛陰極とニッケル陽極構成物とは図1に示されるようにジェリイロール構成101に巻き上げられる。
【0086】
図2Bに見られるように、導電性下地層204及び210は側方にオフセットされて居り、一度ジェリイロールが巻き上げられると、各電極はジェリイロールの対向する端部のバッテリ端子に電気的に接続されるために十分露出される。
【0087】
巻き上げ機は同時に種々のシートを引き寄せてジェリイロール集合体に巻き上げる。厚さが十分の円筒形が製造された後、機械はセパレータ及び電極の層を剪断して図1の最終的ジェリイロールを作成する。
【0088】
図2Cは殊に図2Bで示された重ねられたスタック構成を巻き上げて製作された場合のジェリイロール101の断面図(図1での断面B)である。ボイド201はジェリイロールが巻き上げられた後巻き上げ機の心棒を抜き取ることで形成される。ボイド201は電解質の貯蔵に使用され、セルが枯渇の状態に構成されている場合にはガスの通気の経路である。本発明の一面は二個の電極を有するジェリイロール集合体の第一電極の両側に位置してその端部を越えて延びる第一セットのセパレータ層を、第二電極の、第一電極の端部に平行で近隣に在る一端部の両側に位置してそれを越えて延びる第二セットのセパレータ層を密封することなく、ジェリイロール集合体の同じ端部を熱源に露出しながら、選択的に密封する方法である。ジェリイロール101の図2Cでの断面図には、図2Bで示されたようなセパレータ―サンドイッチされた電極の交互の層が示されている。重要なこととして、各電極の上でセパレータ物質は電気化学的活性物質を超えて突出しており、各導電性物質は一端部においてジェリイロールの端部からセパレータ物質よりよけい突出しているので、バッテリの端子との電気的接触が可能である。この例の場合、負電流収集下地層204がジェリイロールの一端部(図示では最上部)で電気活性及びセパレータ物質を超えて突出する一方、正電流収集下地層210はジェリイロールの他の端部(図示では底部)で電気活性及びセパレータ物質を超えて突出する。バッテリが図1に示されるように組み立てられる時、陰性下地層204は陰性電流コレクタ103と接続し、陽性下地層210は缶113の底部と接続する。このジェリイロール構成はジェリイロールの一端部又は両端部の一個又は二個の電極のみ選択的に密封するのに好適である。この例の場合ポリプロピレンセパレータ200及びウィッキングセパレータ208であるセパレータはジェリイロールの外側及びボイド201の内側を除いて隣接するものであることに留意されたい。ジェリイロールの底部でセパレータ200はセパレータ208ほどには下方に延びていないこと、セパレータ200及び208の両方が実施形態の場合陰極の上で密封されるものであったこと、この構成では密封の時に208が十分溶解されて200と結合されることにも留意されたい。又、電極下地層210は更に下方に延びているので、208をジェリイロールの底部で長くするように構成することも出来、従ってもし密封が十分でないならば、210は208によって更に保護される。同様に、下地層204は下地層210よりよけい突出するので、ジェリイロールセパレータ200の最上部は208より更に上方に延長して居り、従って204は更にセパレータ200によって保護されている。
【0089】
一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程には(i)熱源がジェリイロール集合体の同じ端部に当てられる時に、第一セットのセパレータ層は第一電極に密着することが可能であるが第二セットのセパレータ層は第二電極に密着したり包み込むことが物理的に防止されるように、第二電極の電流収集下地層を構成する工程、及び(ii)ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程とが含まれる。この例の場合、熱密封の工程は電流収集コレクタ下地層210がセパレータ層を超えて突出するジェリイロールの端部(図示では底部)で実施される。
【0090】
一実施形態の場合、第二電極の電流収集下地層を構成する工程には、実質上包み込まれた体積が形成されて、第一セットのセパレータ層及び第二セットのセパレータ層から隣接したセパレータ層がこの実質上包み込まれた体積の中に位置するように、実質上第一電極の電流収集下地層を覆うけれど接触せずに第二電極の電流収集下地層を折り曲げる工程が含まれる。図2Dは陰極(電流コレクタ204及び電気化学的活性物質206を含む)を熱密封するように電流収集下地層210が折り曲げられ、熱がジェリイロールのその端部に当てられた後のジェリイロール101aの分解図を示す。折り曲げは手動で実施されてもよく、又は例えばジェリイロール集合体及びローラを(この例ではジェリイロールの外側縁部から内側縁部に向かって)掴み、図示のように電流コレクタを折り曲げる機械を使用してもよい。
【0091】
再度図2Dを参照し、コレクタ210が折り曲げられた後、そこには集合体端部のセパレータ物質が三方から正電流コレクタ210、垂直壁、及びコレクタ210の曲げられた部分で囲まれた体積空間211(太い点線)が形成される。このように形成されて熱がジュリイロールの底端部で電流コレクタ210の折り曲げられた外面(上向きの太線矢印)に当てられると、ポリプロピレンセパレータは溶解し、溶融点200aで示されるように連続的な層が形成される。この例の電流コレクタ210の構成は少なくとも三つの目的を果たしている。折り曲げることは熱の体積空間211への伝達を助成する(実質上小型のオーブンとなる)。210がセパレータ物質から延長することはセパレータ物質208のより多くの部分が電流コレクタ210を超えて密封すること(もし密封可能であるならば)、又はその上で折り曲げることを物理的に阻止する。最後に、セパレータを超えて延長することにより、電流コレクタと缶との電気的交信が可能(例えば電流収集円板105と通じて)となり、折り曲げることで缶又は電流収集円板との電気的接触が最大化される。
【0092】
この密封が一度完成すると、小さい空間203が形成され、これは折り曲げと共にバッテリ集合体内部で貴重な体積を節約することになり、より多くの電気的活性物質の使用が可能となる(効果的に電極の高さが増加することになるから)。この例の場合、208aで示されるように、隣接した陽性の巻き上げられた部分からのウィッキング層と溶融することはなく、これはセルローズに基づく物質であって溶解しない(図示のように変形することはあるが)からである。此処に記載されるセルに使用される熱密封はこの様態に限定されるものではない。或る実施形態の場合、両方のセパレータ(或る実施形態では二つ以上のセパレータ層が存在する)が一方の電極の上に二重密封を形成するように溶融可能な物質で作成される。即ち、もし二種の異なるセパレータ物質がコンパチブルであって共に溶融するものであるならば、二倍の厚さの単一層の溶融端部を形成することができる。もし二種の異なるセパレータ物質が共に溶融するようにコンパチブルでないならば、二重密着層が形成される。この実施形態の場合、電流コレクタは、密封用の熱が与えられる時、他方の電極(この場合は陽極)がセパレータの下に密着されることを阻止する物理的バリヤが存在するために(空間211の密封機構200aが陽極を汚染から保護しているけれど)一方の電極のみが包み込まれるように構成されている。
【0093】
巻き上げられたジェリイロールは、その外側の最終巻上の上に陽極層を(セパレータと共に)有するものである。本発明はこのように限定されるものではないが、この構成によるニッケルでメッキされた缶の内部は更に陰極から隔離されており、従って缶の内部を水素発生に抗する物質でコーティングする必要がなく、例えば陰性電流コレクタ103のみのコーティングが可能である。
【0094】
図2Eは断面図であり、ガスケット111、陰性電流コレクタ103、缶113、及び通気キャップ109が分解立体図として示されている。セルにはジェリイロール(図示なし)と共にこれらの部品が含まれる。上記のように、この簡単でエレガントなデザインは、より複雑な構成に関連する不利益に対応するものである。例えば。上記のように、缶の内部で缶の底部における陽性電流コレクタ板、缶に電気的接続させるための例えば下地層に溶接された一個以上の金属タブ、及び/又は陰性電流コレクタなど、追加的に部品が加えられてもよい。しかし、最も簡潔な形態において、図2Eに示された部品は、ジェリイロールや電解質と共に、組み合わされて向上された充電式ニッケル─亜鉛セルを形成するものである。組み立てにあたり、ジェリイロールは露出された陽性下地層端部を缶の底部に向け、陰性下地層露出端部を缶の開口端部に向けて缶103に導入される。次いで、電気的接続が陰性下地層と直接に又は例えば下地層に溶接された金属タブを通じて成されているジェリイロールの頂上の缶113に陰性電流コレクタ103が導入される。ガスケット111は陰性電流コレクタ103の上及びその周囲に導入され、次いで、缶を介在するガスケット111により陰性電流コレクタ103から絶縁しながら缶を開口端部、例えば周辺部の凹み115のクリンピングによって密封する。通気キャップ109は、孔108及び112との重なりがあって通気キャップ109の(下記の)通気機構によって缶からガスを通気させるように缶113に例えば溶接されて付けられる。通気キャップ109はジェリイロールの挿入及び缶の密閉の前に付けられてよく、一実施形態の場合、これが組み立ての順序である。
【0095】
図2Eは通気キャップをより詳細に示している。通気キャップには底板109a及びキャップ109bが含まれ、この両者は上記通気部で記述された導電性物質でつくられている。キャップ109bは底板109aに付けられており、一度セルが組み立てられた後孔108及び112と通じてガスを通気することが可能な重合体物質でできた隔壁109cを収納する。十分な圧力に達すると、ガスは隔壁109cと底板109aの間を通過して、この例ではキャップ109bの側にある一個以上の孔109dを通じて通気する。隔壁に使用される物質及び隔壁を抑えるキャップに与えられる圧力に依存して、殊にセルが上記のような枯渇した構成である場合、上記の通気部で記述されたような圧力が維持され、電解質の不当な漏れがないように適当に通気される。
【0096】
図2Fは図2Dに示されたような選択的に熱密閉されたジェリイロール集合体101aであって、図1及び2Eに示されたものと同様に最終的バッテリ集合体に組み込まれたものを示す。本発明はそのように限定されたものではなく、例えば図2Cに示されたジェリイロール101aも本発明のセルに好適なジェリイロールである。 図2Eは選択的セパレータ密封、陽性の缶から電気的に絶縁されていてその閉包の役を果たす陰性コレクタ板、及び上記のように記述された陽性の缶に付けられた通気キャップを合体する代表的なセルである。この実施形態の場合、缶113の内底部は電流移動の向上の為に陽性下地層210の折り返された表面と直接に接触している。別の実施形態の場合、電流コレクタがジェリイロールの底部と缶の底部の間に挿入されている。この構成は缶底部に溶接されている場合接触を向上させることが出来、また缶を強化することも出来る(更に下記の議論を参照)。このような陽性電流コレクタには例えば小さいスパイクとかその他の電気的接触を向上させる突起を合体させることが出来る。下地層204は陰性電流コレクタ板103と接触し、従って電気的交信の関係にある。
【0097】
理論に拘束されることは意図するところでないが、粒子汚染に起因する電気的短絡は電流収集下地層が折り曲げられている場合よけい起こりやすいと信じられ、従ってこの例の場合、陽性下地層210は陰性電流コレクタ板204の直接の視野方向にある。例えばこの場合陰極を密閉することは粒子がかような熱密閉されたジェリイロールの端部にある電極間の短絡を起こすのを防ぐ。陰性下地層204が陰性電流コレクタ板103と電気的に接触するジェリイロールの端部において、下地層204と210は直接の視野方向にあるものでないから、樹枝状突起を生成するためには両方のセパレータ層200及び208を超え、短絡を起こすためには更に下地層210に降りて移動しなければなるまい。それ故電極は互いの視野方向でなく、横断方向のバリヤを形成するセパレータと共に電極間の高さDの相違を十分大きくすればジェリイロールのこの端部のセパレータを密封する必要はなくなる。しかし、本発明はこのように限定されて居ない。或る実施形態の場合、例えばジェリイロールの両端部の陰極と陽極の間の相対的距離を最小化することが望ましい場合、ジェリイロールの電極及びセパレータは二個の電極の中の一個の選択的密封がジェリイロールの両端部で行われるように構成される。セパレータ層の選択的密封に関しては、此処にすべての目的に参照して合同するものとする“Heat Sealing Separators for Nickel Zinc Cells”と題する2010年9月8日にMcKinney et.al.によって提出された米国特許出願12/877,841号により詳細に記載されてある。一実施形態は陽性の缶及び通気キャップを含み、米国特許出願12/877,841号に記載されたようなジェリイロールを含むセルである。
【0098】
図2Gは図2Eに列記した個々の部品を備えた通気キャップ109の別の例を示すものである。示されているのは底面と上面の透視図であり、中央には上面図、最後に切線Cで示された断面図が図2Gの下部にある。この例の場合,キャップ109bは三箇所150で底板109aにスポット溶接されている。この例の場合、孔109dはキャップの側面にあるのではなく、むしろキャップの底の一部なので、圧力が十分になると、ガスは隔壁109cと底板109aの間を通過して以前記述されたように孔109dから発散される。 図2Fの断面は例えば商業用のAAセルに使用される時の通気キャップの代表的次元を示す。この例の場合、次元Eは12.96±0.03mm、次元Fは9.00±0.05mm、次元Gは5.30±0.05mm、次元Hは2.85±0.05mm、次元Lは2.40±0.20mmである。
【0099】
図2Hは本発明の別の代表的なセルを示す。この例の場合、ジェリイロール集合体は図2Fに関連して説明されたものと同じである。相違する点は通気キャップが図2Gに記述されたように底板109aを持って居らず、キャップ109bが缶113の底部に直接スポット溶接されていることである。キャップ109bは孔108に対して隔壁109cを保持し、缶の内部の圧力が十分になるまで孔を密閉するので、ガスは隔壁と缶の間を通気し、缶の底部の外部表面が底板の役を果たすこと以外図2Gと同様の孔109dを通って発散する。この実施形態の場合、図2Fと関連して記述された実施形態のように底板と缶の間の周辺の密封は必要でない。此処では隔壁が孔108に対して適当に密封し、キャップ109bは確実にキャップを取り付け、バッテリを密封し、通気機構を形成するように例えば三箇所でスポット溶接されるだけでよい。その他の溶接又は接着の形態も考慮されるが、スポット溶接では缶と通気キャップの間に良好な電気的交信も形成される。例えば、通気キャップと缶の底部の間に溶接されたタブのような他の手段を通じてキャップから缶へ電気的接続をつくる一方、キャップを缶に保持する構造的部品を提供する非電気交信的な接着の方法があってもよい。
【0100】
従って本発明の場合、「通気キャップ」には例えば図2Hに関連して記述された缶の底部を使用して形成された通気機構、又は例えば図2F及び2Gに関連して記述された缶の底部と別個であり、それに取り付ける前に完成したものも含まれる。
【0101】
図2Hに描かれたセルはジェリイロール、陰性コレクタ、缶,通気口,及び適当な密封の相対的に簡単な集合体であるが、例えば缶の底部とジェリイロールの陽極の間に介在する例えばニッケル泡体の陽性コレクタ板、陰性コレクタ板とジェリイロールの陰極の間に介在する導電性のバネ、ジェリイロールの陰極と陰性コレクタ板の間の電気的交信の為の例えば溶接された金属タブ、及びそれらのようなものも本発明に含まれるものであることは、この技術面の通常の技能者に認識されることであろう。
【0102】
或る実施形態の場合、バッテリ缶には形状の変化及びセルにかかる他の応力に抗する追加的剛性を与える為に強化されている。一実施形態の場合、例えば形状変化及び/又はガス圧力のような缶への応力に抗するために、缶は側壁より底部を厚く、又は十分の厚さであるようにしてある。別の実施形態の場合、缶の底部は強化されている。図3Aは強化されたバッテリ缶の一例を示す。缶300には缶の製造に使用される物質へと押し込まれた環状の隆起部302を有する。図の上部は缶300の縦方向(切線Mで示される)の断面であり、下部は缶300を見下ろす上面図である。例えばスチールが缶に使用された場合、これらの隆起部は缶を製造する際の圧縮成型工程の一部として生成されてよい。別の例として缶が重合体物質の場合、隆起部は缶を製造する際の吹き込み成型工程の一部として生成されてよい。ツーピース型の缶も本発明の範囲外のものではなく、即ち例えば金属の缶の隆起部のある底部と重合体のチューブと融合して300と同様のバッテリ缶の製造が可能である。
【0103】
図3Bも強化された缶304を示すものである。この缶304には底部に隆起部306を有する。上部左側の断面図には切線Nに沿った断面が示される。下部左側には缶304を見下ろした上面図が示される。隆起部は缶の底部に剛性を与える別の構成である。かような構成物の組み合わせが本発明の範囲に入ることはこの技術面の通常の技能者に認識されることであろう。例えば隆起部306は缶300の隆起部302のような円形隆起部302の一つ以上と組み合わせられる。別の例として、缶の底部にはワッフルのパタンのような隆起部があってもよい。この例の場合、缶300及び304のいずれもの底面に孔301が示されているが、これに限定されるものではない(前記)。
【0104】
一実施形態の場合、図3A及び3Bと関連して記述された隆起部は電流収集板と関連して使用されている。一実施形態の場合、この電流収集板は金属泡体である。一実施形態の場合、この電流収集板はニッケル泡体である。この実施形態の場合、ニッケル泡体は圧縮されて隆起部の形状に従うことになるので、必要となる体積がそれ程増加することにはならない。即ち、ジェリイロールは突起部の上縁に対して横たわっているので、泡は圧縮されることなく突起部の間の空間を占有するのである。一実施形態の場合、ニッケル泡体の電流収集板と関連して使用されると否とを問わず、突起部は最上部で尖っているのでジェリイロールの陽電流コレクタに食い込んでいる。別の実施形態の場合、突起部及び/又は缶の底部はニッケルメッキで覆われている。
【0105】
図3A及び3Bの突起部構成により通気機構と干渉することなく通気キャップが缶の底部に付着可能であることは、この技術面の通常の技能者に認識されることであろう。例えば図2E−Hと関連して記述された通気キャップは缶300に応用可能であろう。これは缶300の底に通気キャップの隔壁及び/又は通気キャップの底板109aと溶接するのに面積が十分の平らな表面部があるからである。隔壁が缶304の底部を押し付けて密封することができるから、缶304は図2Hに記載の通気キャップに対して缶304は好適な選択である。突起部306により缶304の底部に形成された溝部は隔壁が缶304の底部に直接押されている場合及び/又は溝部が例えば密閉部材で充填されている場合又は通気キャップが缶304の底部の溝部を缶の通気時に少なくとも部分的に充満する突起部を有する場合記述された通気機構の代わりにこの溝部を通じて通気の起こることを阻止するため例えば図2E−Gの例のように通気キャップ109を必要とする。
【0106】
一実施形態の場合、これらの溝部が通気の通路として通気機構に使用される。この実施形態の場合、図2Hに関連して記述されたと同様な通気キャップが例えばスポット溶接によって缶304の底部に付着される。これは図3Bの中部右側の部分に示されており、ここでは缶の底部の隆起部306で形成された溝部の間の缶304の底部の上の平らな表面にスポット溶接(図示せず)されたキャップ109bを有する缶304の底部分のみ示されている。ガスは太い断線の矢印で示されるように孔及び隔壁109cと缶の底部の間を通過し次いで溝部を通過して外部へ発散される。
【0107】
他の実施形態の場合、平底の缶が使用されるが、強化用部材が缶の底部(内側)に付けられている。図4はそのような実施形態を示している。上面断面図には切線Oが示されている。缶400は缶の底部の内側に例えば溶接によって付着された強化用部材404を有する。図4の左下側では部材404に四本の腕と中央の孔406のあることが示されている。中央の孔は缶の孔部402を通じてガスが通気されるように構成されている。図4の左側には缶の底の部材404と共に缶404の上面図が示されている。強化用部材の厚さはジェリイロールの形状変化及び/又は通気前のガス圧力のような缶の底部にかかる応力に抗するのに十分であればよい。物質に依存して、この部材404の厚さは1ミリメートルの薄さでもよく、数ミリメートルの厚さでもよい。部材404は図4に示された構成である必要はなく、例えば環状であっても、腕の数が異なってもよく、図4に示す部材は多くの変形の中の一つに過ぎない。この部材は(セルの体積を維持するため)バッテリ缶の底部を強化する剛性であって相対的に平坦な本体を有する。示された例の場合、腕の間の領域408は例えばニッケル泡体で占められてよい。一実施形態の場合、この部材は図3A及び3Bの隆起部と同様にニッケル泡体と関連して使用され、ニッケル泡体はジェリイロールと部材404の間に圧縮されるが空間308を占め、缶の底部これらの空間の中のジェリイロールの間に挟まれる。部材404は剛性で導電性の物質であることが好ましい。例えば部材404はニッケル又はチタンでコーティングされたスチールであってよい。此処に記載される通気機構はかような強化用部材で構成された缶の底部に溶接その他の手段で付着される。
【0108】
充電式セルの製造方法
図1−4に関連して製法の面と共にセルの詳細が説明されて来た。上記のセルの記述において、缶は例えば孔108のような既成の孔があると記述されたが、本発明はそのように限定されるものではない。図5のフロー図500に記述されたように、最も広い意味において、本発明はその一実施形態において以下の工程が含まれる充電式ニッケル─亜鉛セルの製法に関するものである:ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータを含むジェリイロール集合体を、ニッケル陽極が缶の底部及び本体と電気的に接続され、亜鉛陰極が缶の他端部で缶の開口端の閉包として構成させた陰性電流コレクタ板と電気的に接続され、缶と電気的に絶縁されるように構成された缶の中に密閉する工程502;缶の底部でバッテリ缶を穿孔し、缶の底部に孔をつくる工程504;及び孔を通して充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップを缶の底部に固定する工程506.密閉の前又は後に孔を通して電解質が缶の内部に導入される。このプロセスのフローは示された順序で実施されなくてもよく、例えば缶の底部が穿孔され、缶に通気キャップが付けられ、次いで記述されたようにジェリイロールが缶に密閉されてもよい。別の実施形態の場合、ジェリイロールが挿入され、缶が密閉され、次いで缶の穿孔で孔が生成される。一実施形態は此処に記述されたようなジェリイロールであって此処に記述されたようにバッテリ缶の中に密閉されたバッテリ集合体であって、バッテリ缶は穿孔されて居らず、例えば電解質は存在して居らずにジェリイロールは枯渇状態にある。かような集合体は保存され、及び/又は此処に記述されたように最終的に穿孔され、電解質が加えられ、通気集合体が付着されるように輸送されることが出来る。
【0109】
更に、本発明の実施に必要ではないが、缶の内部を例えばニッケルでメッキすることが好ましい。ジェリイロールが缶に密閉され、缶がその後前回の実施形態のように穿孔される場合、現場における缶の小部分がニッケルで保護されていないことがありえる。又、缶の内部を効果的にメッキすることが難しい場合もある。或る実施形態の場合、上記のように陽極層はジェリイロールの外側にあり、従って例えば缶がスチール製である場合、缶からの鉄の劣化生産物は陽極機能に有意義的な干渉することはなく、従って、殊に陰極が図2Dに関連して記述されたように選択的に密封され例えば図2F及び2Hにように使用された場合、この構成はこの理由及び此処に記述された他の理由により向上されたニッケル─亜鉛セルをなすものである。
【0110】
しかし、或る実施形態の場合、缶に既成の孔から開始し、次いで缶を例えばニッケルのような保護剤でメッキするのが望ましい。こうすると、孔108の部分で、又缶の内部で、ニッケルで保護されないところがないことになる。この実施形態の場合、工程504はフロー図で不在であろう。従って、本発明の別の実施形態とは以下の工程が含まれる充電式ニッケル─亜鉛セルの製法に関するものである:ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータを含むジェリイロール集合体を、ニッケル陽極が缶の底部及び本体と電気的に接続され、亜鉛陰極が缶の他端部で缶の開口端の閉包として構成させた陰性電流コレクタ板と電気的に接続され、底部に孔を有する缶の中に密閉する工程502;及び孔を通して充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップを缶の底部に固定する工程506.この場合でも又プロセス工程502及び506は逆の順序で実施されてよい。
【0111】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、缶はニッケルでメッキされたスチールである。 別の実施形態の場合、陰性コレクタ板は例えば金属、合金、及び重合体の中の一つである水素発生を抑制する物質でコーティングされた金属板である。これらの物質の例は、本発明の方法の実施形態として上記のように記述されている。陰性の板は例えば錫、銀、ビスマス、真鍮、亜鉛、及び鉛の中の少なくとも一つでメッキされたスチール、真鍮,又は銅の板である。一実施形態の場合、この板は錫及び/又は銀でコーティングされた真鍮又は銅である。一実施形態の場合、板の少なくとも一部は例えばテフロンのような重合体でコーティングされている。
【0112】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である方法実施形態の場合、陰性コレクタ板と亜鉛陰極の間の電気的交信は溶接された金属タブ、陰性コレクタ板と亜鉛陰極の直接の接触、及び/又は亜鉛陰極と陰性コレクタ板の両方に接続するように構成された導電性バネを通じて行われ、この導電性バネは例えば、ジェリイロールの端部と陰性コレクタ板の間に圧縮されたバネ又は金属海綿のような可逆的圧縮性物質である。
【0113】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、充電式ニッケル─亜鉛セルの製法にはジェリイロールを缶の中に密閉する前に陽性コレクタ板をニッケル陽極と缶の底部の間に両者と電気的交信があるように挿入する工程が更に含まれる。一実施形態の場合、ニッケル泡体がこの陽性コレクタ板に含まれる。
【0114】
陽極及び陰極の作成に使用される物質は本発明のセルに関連して上記の記述に含まれたものと同じである。
【0115】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である一実施形態の場合、充電式ニッケル─亜鉛セルの製法には、(a)約0.025Mと0.25Mの間のリン酸塩;(b)約4Mと約9Mの間のアルカリ度;及び(c)約1Mまでのホウ酸塩から成るアルカリ性電解質を、ジェリイロール集合体を缶に密閉する前、又はジェリイロール集合体を缶に密閉した後に孔を通じて缶の中へ導入する工程が更に含まれる。
【0116】
上記実施形態のいずれとも関連して使用可能である別の実施形態は此処に記述されたような充電式ニッケル─亜鉛セルであって、AAA,AA,C,D及びサブCから成るグループから選ばれる市場で入手可能なサイズに構成されたものの製法である。
【0117】
本発明は理解のために或る程度詳細に記述されたが、記載された実施形態は例示の為であり、限定的なものではない。或る程度の変更及び変化は此処に添付した請求項の範囲内で実施可能であることは当業者には自明であろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式ニッケル─亜鉛セルであって、
(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及び前記ニッケル陽極と前記亜鉛陰極との間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体と;
(ii)底部に孔を有し、前記ニッケル陽極と電気的に接続する缶と;
(iii)前記缶の前記底部に固定され、前記缶と電気的に接続され、前記孔を通して前記充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップと;
(iv)前記亜鉛陰極と電気的に接続し、前記缶から電気的に絶縁され、前記缶の開口端の閉包として構成された陰性コレクタ板と;を備える充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項2】
前記缶がニッケルでメッキされたスチールである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項3】
前記陰性コレクタ板が水素発生抵抗性の物質でコーティングされた金属板である、請求項2に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項4】
前記水素発生抵抗性の物質が少なくとも金属、合金、及び重合体の一つである、請求項3に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項5】
前記水素発生抵抗性の物質が少なくとも錫、銀、ビスマス、真鍮、亜鉛、及び鉛の一つである、請求項4に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項6】
前記水素発生抵抗性の物質がテフロンである、請求項4に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項7】
前記陰性コレクタ板と前記亜鉛陰極との間の電気的交信が溶接された金属タブを通じて行われる、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項8】
前記陰性コレクタ板と前記亜鉛陰極との間の電気的交信が前記陰性コレクタ板と前記亜鉛陰極との間の直接の接触を通じて行われる、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項9】
前記陰性コレクタ板と前記亜鉛陰極との間の電気的交信が、前記陰性コレクタ板と前記亜鉛陰極の両方に接触するように構成された導電性バネを通じて行われ、該導電性バネが前記ジェリイロールの端部と前記陰性コレクタ板の間に圧縮されているものである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項10】
前記ニッケル電極及び前記缶の前記底部との間に挿入され、電気的に接触している陽性コレクタ板を更に備えるものである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項11】
前記陽性コレクタ板がニッケル泡状体を備えるものである、請求項10に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項12】
(a)酸化ニッケルマトリクス内に含められて前記ニッケル陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在する酸化コバルトと;
(b)前記陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在するコバルト金属と;
の混合物を含浸するニッケル泡状下地層を、前記ニッケル陽極が備えるものである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項13】
前記亜鉛陰極が
(a)厚さが約40−80μInの錫又は錫/亜鉛でメッキされた銅又は真鍮の基板と;
(b)酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層と;
を備えるものである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項14】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層が
(a)鉛及び錫の少なくとも一方でコーティングされた亜鉛金属粒子と;
(b)酸化亜鉛と;
(c)酸化ビスマスと;
(d)分散剤と;
(e)結合剤と;
を備えるものである、請求項13に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項15】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層が、シリカ及びアルミナを含む無機繊維を備えるものである、請求項14に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項16】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層が、炭素繊維を備えるものである、請求項14に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項17】
(a)約0.025Mと0.25Mの間のリン酸塩と;
(b)約4Mと約9Mの間のアルカリ度と;
(c)約1Mまでのホウ酸塩
を備えるアルカリ性電解質を更に備えるものである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項18】
AAA,AA,C,D及びサブCから成るグループから選ばれる市場で入手可能なサイズに構成された、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項19】
充電式ニッケル─亜鉛セルを製造する方法であって、
(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体を、前記ニッケル陽極が缶の底部及び本体と電気的に接続され、前記亜鉛陰極が前記缶の他端部で前記缶の開口端の閉包として構成された陰性電流コレクタ板と電気的に接続され、前記缶と電気的に絶縁されるように構成された前記缶の中に密閉する工程と;
(ii)前記缶の前記底部の孔を通して前記充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップを前記ニッケル陽極と電気的に接続するように前記缶の前記底部に固定する工程と;
を備える方法。
【請求項20】
前記孔は(i)の工程の前に前記缶に予め形成されるものである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記孔は(ii)の工程の前に前記缶の前記底部を穿刺して形成するものである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記缶はニッケルでメッキされたスチールを備えるものである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記陰性コレクタ板が水素発生抵抗性の物質でコーティングされた金属板である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記水素発生抵抗性の物質が少なくとも金属、合金、及び重合体の一つである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記水素発生抵抗性の物質が少なくとも錫、銀、ビスマス、真鍮、亜鉛、及び鉛の一つである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記水素発生抵抗性の物質がテフロンである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ジェリイロール集合体を前記缶に密閉する前に、前記ニッケル陽極と前記缶の前記底部の間にこれらと電気的に接続させて陽性コレクタ板を挿入する工程を更に備えるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記陽性コレクタ板がニッケル泡状体を備えるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
(a)酸化ニッケルマトリクス内に含められて前記ニッケル陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在する酸化コバルトと;
(b)前記陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在するコバルト金属と;
を備える混合物を前記ニッケル陽極が備えるものである、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記亜鉛陰極が
厚さが約40−80μInの錫又は錫/亜鉛でメッキされた銅又は真鍮の基板と;
酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層と;
を備えるものである、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層が
(a)鉛及び錫の少なくとも一方でコーティングされた亜鉛金属粒子と;
(b)酸化亜鉛と;
(c)酸化ビスマスと;
(d)分散剤と;
(e)結合剤と;
を備えるものである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層がシリカ及びアルミナを含む無機繊維を備えるものである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層が炭素繊維を備えるものである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
(a)約0.025Mと0.25Mの間のリン酸塩と;
(b)約4Mと約9Mの間のアルカリ度と;
(c)約1Mまでのホウ酸塩と;
を備えるアルカリ性電解質を、前記ジェリイロール集合体を前記缶に密閉する前、又は前記ジェリイロール集合体を前記缶に密閉した後に前記孔を通じて、前記缶の中へ導入する工程を更に備える、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
AAA,AA,C,DまたはサブCの市場で入手可能なサイズに構成された、請求項19に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項1】
充電式ニッケル─亜鉛セルであって、
(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及び前記ニッケル陽極と前記亜鉛陰極との間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体と;
(ii)底部に孔を有し、前記ニッケル陽極と電気的に接続する缶と;
(iii)前記缶の前記底部に固定され、前記缶と電気的に接続され、前記孔を通して前記充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップと;
(iv)前記亜鉛陰極と電気的に接続し、前記缶から電気的に絶縁され、前記缶の開口端の閉包として構成された陰性コレクタ板と;を備える充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項2】
前記缶がニッケルでメッキされたスチールである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項3】
前記陰性コレクタ板が水素発生抵抗性の物質でコーティングされた金属板である、請求項2に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項4】
前記水素発生抵抗性の物質が少なくとも金属、合金、及び重合体の一つである、請求項3に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項5】
前記水素発生抵抗性の物質が少なくとも錫、銀、ビスマス、真鍮、亜鉛、及び鉛の一つである、請求項4に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項6】
前記水素発生抵抗性の物質がテフロンである、請求項4に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項7】
前記陰性コレクタ板と前記亜鉛陰極との間の電気的交信が溶接された金属タブを通じて行われる、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項8】
前記陰性コレクタ板と前記亜鉛陰極との間の電気的交信が前記陰性コレクタ板と前記亜鉛陰極との間の直接の接触を通じて行われる、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項9】
前記陰性コレクタ板と前記亜鉛陰極との間の電気的交信が、前記陰性コレクタ板と前記亜鉛陰極の両方に接触するように構成された導電性バネを通じて行われ、該導電性バネが前記ジェリイロールの端部と前記陰性コレクタ板の間に圧縮されているものである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項10】
前記ニッケル電極及び前記缶の前記底部との間に挿入され、電気的に接触している陽性コレクタ板を更に備えるものである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項11】
前記陽性コレクタ板がニッケル泡状体を備えるものである、請求項10に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項12】
(a)酸化ニッケルマトリクス内に含められて前記ニッケル陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在する酸化コバルトと;
(b)前記陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在するコバルト金属と;
の混合物を含浸するニッケル泡状下地層を、前記ニッケル陽極が備えるものである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項13】
前記亜鉛陰極が
(a)厚さが約40−80μInの錫又は錫/亜鉛でメッキされた銅又は真鍮の基板と;
(b)酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層と;
を備えるものである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項14】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層が
(a)鉛及び錫の少なくとも一方でコーティングされた亜鉛金属粒子と;
(b)酸化亜鉛と;
(c)酸化ビスマスと;
(d)分散剤と;
(e)結合剤と;
を備えるものである、請求項13に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項15】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層が、シリカ及びアルミナを含む無機繊維を備えるものである、請求項14に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項16】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層が、炭素繊維を備えるものである、請求項14に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項17】
(a)約0.025Mと0.25Mの間のリン酸塩と;
(b)約4Mと約9Mの間のアルカリ度と;
(c)約1Mまでのホウ酸塩
を備えるアルカリ性電解質を更に備えるものである、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項18】
AAA,AA,C,D及びサブCから成るグループから選ばれる市場で入手可能なサイズに構成された、請求項1に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【請求項19】
充電式ニッケル─亜鉛セルを製造する方法であって、
(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及びニッケル陽極と亜鉛陰極の間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体を、前記ニッケル陽極が缶の底部及び本体と電気的に接続され、前記亜鉛陰極が前記缶の他端部で前記缶の開口端の閉包として構成された陰性電流コレクタ板と電気的に接続され、前記缶と電気的に絶縁されるように構成された前記缶の中に密閉する工程と;
(ii)前記缶の前記底部の孔を通して前記充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップを前記ニッケル陽極と電気的に接続するように前記缶の前記底部に固定する工程と;
を備える方法。
【請求項20】
前記孔は(i)の工程の前に前記缶に予め形成されるものである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記孔は(ii)の工程の前に前記缶の前記底部を穿刺して形成するものである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記缶はニッケルでメッキされたスチールを備えるものである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記陰性コレクタ板が水素発生抵抗性の物質でコーティングされた金属板である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記水素発生抵抗性の物質が少なくとも金属、合金、及び重合体の一つである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記水素発生抵抗性の物質が少なくとも錫、銀、ビスマス、真鍮、亜鉛、及び鉛の一つである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記水素発生抵抗性の物質がテフロンである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ジェリイロール集合体を前記缶に密閉する前に、前記ニッケル陽極と前記缶の前記底部の間にこれらと電気的に接続させて陽性コレクタ板を挿入する工程を更に備えるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記陽性コレクタ板がニッケル泡状体を備えるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
(a)酸化ニッケルマトリクス内に含められて前記ニッケル陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在する酸化コバルトと;
(b)前記陽極内に重量で約1%から約10%の範囲で存在するコバルト金属と;
を備える混合物を前記ニッケル陽極が備えるものである、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記亜鉛陰極が
厚さが約40−80μInの錫又は錫/亜鉛でメッキされた銅又は真鍮の基板と;
酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層と;
を備えるものである、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層が
(a)鉛及び錫の少なくとも一方でコーティングされた亜鉛金属粒子と;
(b)酸化亜鉛と;
(c)酸化ビスマスと;
(d)分散剤と;
(e)結合剤と;
を備えるものである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層がシリカ及びアルミナを含む無機繊維を備えるものである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記酸化亜鉛に基づく電気化学的活性層が炭素繊維を備えるものである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
(a)約0.025Mと0.25Mの間のリン酸塩と;
(b)約4Mと約9Mの間のアルカリ度と;
(c)約1Mまでのホウ酸塩と;
を備えるアルカリ性電解質を、前記ジェリイロール集合体を前記缶に密閉する前、又は前記ジェリイロール集合体を前記缶に密閉した後に前記孔を通じて、前記缶の中へ導入する工程を更に備える、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
AAA,AA,C,DまたはサブCの市場で入手可能なサイズに構成された、請求項19に記載の充電式ニッケル─亜鉛セル。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【公表番号】特表2013−507752(P2013−507752A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534286(P2012−534286)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/052355
【国際公開番号】WO2011/046952
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(511262359)パワージェニックス・システムズ・インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】POWERGENIX SYSTEMS, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/052355
【国際公開番号】WO2011/046952
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(511262359)パワージェニックス・システムズ・インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】POWERGENIX SYSTEMS, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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