説明

集積装置

【課題】物品のサイズに応じて搬送手段の長さが変化することにより、物品のサイズの大小に拘わらず、物品の姿勢が不安定になることなく姿勢変更手段に渡すことができる集積装置を提供する。
【解決手段】物品Mを水平姿勢で第1の方向Xに搬送する搬送手段10と、物品Mを受け取って、物品Mの側面が第1の方向Xおよび鉛直方向に沿った起立姿勢に姿勢を変更させる姿勢変更手段20と、物品Mを第1の方向Xに直交する第2の方向に重ねた整列状態となるように集合させる整列手段40とを備え、搬送手段10が第1の方向Xに伸縮可能で、搬送される物品Mの第1の方向Xの長さに応じて搬送手段10が伸縮して搬送手段10と姿勢変更手段20との間の空間の距離を変更可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容した物品を整列させる集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、袋状の物品は工場で箱詰めされて出荷される。前記箱詰めに先立って、袋状の物品は複数個が背中合わせで整列される。かかる箱詰めのための集積装置は周知である(特許文献1,2)。
【特許文献1】特開平5−262304号(要約書)
【特許文献2】特開2005−119723(要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願人は、回転する支持プレートに複数の受渡し台を設けた姿勢変更手段を発明し、既に出願(特願2005−181479,特願2006−194325)している。前記姿勢変更手段は、コンベヤから供給された物品を前記受渡し台と共に回転させて物品の姿勢を変更する。
【0004】
前記コンベヤの搬送方向の先端の位置は、前記受渡し台上に物品が完全に乗り移った状態で、当該物品が前記コンベヤと接触しないように設定される。
【0005】
一方、物品には種々のサイズが存在する。サイズの大きい物品に合わせて前記コンベヤの先端の位置が設定されると、サイズの小さい物品をコンベヤから受渡し台に搬送する際に、前記コンベヤと受渡し台との間の空間の距離が大きくなる。
【0006】
そのため、物品の搬送中に物品の姿勢が乱れる要因となる。また、姿勢の乱れに伴い袋の内容物が傷付くおそれがある。さらに、物品の搬送能力も低下するおそれがあり、サイクルタイムが長くなるおそれもある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、物品のサイズに応じて搬送手段の長さが変化することにより、物品のサイズの大小に拘わらず、物品の姿勢が不安定になることなく姿勢変更手段に渡すことができると共に、内容物を傷付けることなく、かつ、所定のサイクルタイムで姿勢変更手段に渡すことができる集積装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の集積装置は、一対の側面と前記側面に連なる底部とを備えた袋に内容物を収容した複数の物品を搬送しながら整列した物品列を生成する集積装置であって、前記物品の一方の側面を搬送面により下方から支えた水平姿勢で前記物品を第1の方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段から前記水平姿勢で前記物品を受け取って、前記物品の側面が前記第1の方向および鉛直方向に沿った起立姿勢に姿勢を変更させる姿勢変更手段と、前記姿勢の変更された物品を前記第1の方向に直交する第2の方向に重ねた状態で集めると共に前記側面同士が互いに接触した整列状態となるように集合させる整列手段とを備え、前記搬送手段が前記第1の方向に伸縮可能で、搬送される物品の前記第1の方向の長さに応じて前記搬送手段が伸縮して前記搬送手段と前記姿勢変更手段との間の空間の距離を変更可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物品のサイズに応じて搬送手段の長さが変化することにより、物品のサイズの大小に拘わらず、物品の姿勢が不安定になることなく姿勢変更手段に渡すことができると共に、内容物を傷付けることなく、かつ、所定のサイクルタイムで姿勢変更手段に渡すことができる。
なお、「搬送手段が伸縮」するとは、搬送手段を構成するコンベヤの長さ自体が伸縮する以外に、搬送手段が2以上のコンベヤで構成され、2つのコンベヤのラップする範囲が変更されることで搬送手段の長さが伸縮する場合を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明においては、物品の前記長さが短い場合には、前記搬送手段が伸張して前記搬送手段の先端が前記姿勢変更手段に接近し、前記物品の前記長さが長い場合には、前記搬送手段が収縮して前記搬送手段の先端が前記姿勢変更手段から離間するのが好ましい。
かかる態様によれば、短い物品の場合には、前記空間距離が小さくなるので、前記搬送手段から前記姿勢変更手段への物品の渡し動作が安定する。
一方、長い物品の場合には、前記空間距離が大きいので、前記姿勢変更手段に乗り移った物品の姿勢を変更する際に、物品と搬送手段とが干渉しない。
【0011】
本発明においては、前記搬送手段の先端の位置が前記袋のサイズに応じて変更可能であるのが好ましい。
かかる態様によれば、袋サイズに応じて前記搬送手段の先端の位置が変更可能であるから、物品の長さを検出しなくても、上流の包装機や主制御装置からのサイズの信号を受け取ることで、前記動作の安定等を図ることができる。
【0012】
本発明においては、前記搬送手段は、無端状のコンベヤベルトと、前記コンベヤベルトの内周面に接触し第1の方向の下流端側に配置された第1移動ローラと、前記コンベヤベルトの内周面に接触し前記第1の方向の下流端側に配置された第1固定ローラと、前記コンベヤベルトの外周面に接触し、前記第1移動ローラと第1固定ローラとの間に配置された第2移動ローラと、前記コンベヤベルトの内周面に接触し前記第1の方向の上流端側に配置された第2固定ローラとを備えているのが好ましい。
かかる態様によれば、第2移動ローラを上流側に向って変位させると、第1移動ローラも上流側に向って変位する。一方、第2移動ローラを下流側に向って変位させると、第1移動ローラも下流側に向って変位する。これにより、搬送手段が伸縮する。
この場合、物品を搬送するコンベヤベルトの表面は連なっており、大きな段差等が生じないので、物品の搬送がスムースになる。
【0013】
本発明においては、前記姿勢変更手段は、前記第1の方向に沿って延びる第1軸線の回りに回転する支持プレートと、前記支持プレート上において前記第1軸線に平行な第2軸線の回りを回転可能で、前記水平姿勢で前記物品を受け取り前記第2軸線の回りに回転することで前記物品の姿勢を前記起立姿勢に変更する複数の受渡し台とを備えているのが好ましい。
かかる態様によれば、搬送方向を変えながら姿勢を変更することができる。
【0014】
本発明においては、前記整列手段は、前記物品の底部を支持する支持面と、整列される物品列の先頭の物品の側面に接触する仕切り板と、整列された物品列の後端の物品の側面に接触する背板とを備えているのが好ましい。
かかる態様によれば、仕切り板と背板との間で物品を挟んで整列することができる。
【0015】
本発明においては、前記搬送手段は、前記受渡し台に物品を渡す時に伸張状態となり、かつ、前記姿勢変更時に収縮状態となるのが好ましい。
かかる態様によれば、姿勢変更手段に乗り移った物品が姿勢を変更する際に、物品と搬送手段とが干渉するおそれがなくなる。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
なお、以下の説明では、物品として、図2の二点鎖線で示すように、一対の側面Msと前記側面Msに連なる底部Mbとを備えた袋に内容物を収容した、たとえば袋入りのポテトチップスなどからなる物品Mを例示して説明する。なお、本発明において、底部Mbとは、前記一対の側面に連なる部位であって、起立姿勢による搬送中に搬送面に支持される部位をいう。
【0017】
図1〜図12は実施例1を示す。
箱詰システム:
まず、本発明の集積装置を用いた箱詰システムについて説明する。
図1は、箱詰システムを示す。
図1に示すように、前記箱詰システムは、集積装置1、物品列搬送装置2および箱詰装置3を備えている。集積装置1は、搬送装置(搬送手段の一例)10、受渡し装置(姿勢変更手段の一例)20および整列装置(整列手段の一例)40を備えている。
【0018】
図2に示すように、搬送装置10によって水平姿勢で搬送された物品Mは、受渡し装置20によって水平姿勢から起立姿勢にその姿勢を変更され、整列装置40によってその側面Ms同士が互いに接触した整列状態に集合された物品列MLとなる。
その後、物品列MLは、物品列搬送装置2によって鉛直上方向Z1に押上られた後、シャッタ62まで第1の方向Xに搬送される。該搬送後、シャッタ62が開き、図1の二点鎖線で示す上昇状態の昇降台63上に物品列MLが載置された後、段積みされ、昇降台63が鉛直下方向Z2に下降し、箱詰プッシャ64により、たとえば段ボール箱等からなる箱Bに箱詰される。
【0019】
つぎに、箱詰システムにおける各機器の構成および動作について説明する。
搬送装置10:
図3および図4に示すように、前記搬送装置10は、投入コンベヤ11および伸縮コンベヤ30からなる。上流から投入コンベヤ11に搬送された物品Mは、該投入コンベヤ11から伸縮コンベヤ30上に搬送される。図2に示すように、前記物品Mは、該物品Mの一方の側面Msが、投入コンベヤ11および伸縮コンベヤ30の搬送面11s,30sにより下方から支えられた水平姿勢で、第1の方向Xに搬送される。
【0020】
受渡し機構20:
図5および図6に示すように、受渡し機構20は、伸縮コンベヤ30の直下流側に配置されており、上流側の伸縮コンベヤ30から第1の方向Xに沿って下流側へ搬送されてくる物品Mを受け取って下流側の所定の位置に起立姿勢で袋を順次並べる。図7に示すように、受渡し機構20は、支持プレート21と、4台の受渡し台22と、回転軸23と、吸引装置70(図8参照)とを有している。
【0021】
支持プレート21は、回転軸23によって回転可能に支持されている略円形プレートであって、図5および図6に示す伸縮コンベヤ30の下流側において第1の方向Xに直交する面に沿って設けられている。支持プレート21は、前記回転軸23を中心に、第1軸線L1の回りに回転される。
4台の受渡し台22は、搬送装置10の直下流側において、略円形の支持プレート21の表面に対して同一の円上にそれぞれ配置されており、櫛歯状に形成された載置面22dをそれぞれ有している。なお、受渡し台22の詳細な構成および動作については、後段にて詳述する。
【0022】
図8に示すように、回転軸23は、略円形の支持プレート21の中心部分に設けられており、4台の受渡し台22の回転軌道の中心となる。また、回転軸23は、4台の受渡し台22を重力加速度gよりも大きい加速度で移動させる。
【0023】
吸引装置70は、4台の受渡し台22の回転軌道における位置P1の近傍に配置されており、後述する受渡し台22の第2開口部22cに当接して、受渡し台22上に載置された物品Mを吸引する。なお、この吸引装置70の構成についても、後段にて詳述する。
【0024】
受渡し台22:
受渡し台22は、各受渡し台22を回転可能な状態で支持する回転軸22aと、物品Mの載置面22dにおける櫛歯状の部分以外の面に開口する第1開口部22b(図3(b),図4(b))と、物品Mの載置面22dとは反対側に開口する第2開口部22cと、物品Mの載置面22dと、第1・第2開口部22b,22c間を連通させるチャンバ部22eとを有している。
【0025】
各回転軸22aは、受渡し台22の姿勢を切り換えるための回転軸であって、支持プレート21に対してそれぞれ取り付けられている。回転軸22aは、図5の前記第1軸線L1に平行な第2軸線L2の回りを回転可能に、それぞれ設定されている。受渡し台22は、この回転軸22aを中心に回転することで、搬送装置10(図2)から受け取った物品Mの姿勢を水平姿勢から起立姿勢へと切り換える。
図3(b)および図4(b)に示すように、第1開口部22bは、受渡し台22における櫛歯状部分を除く金属プレートの部分に相当する物品Mの載置面22dに形成された複数の円形穴であって、チャンバ部22e内の内部空間S(図8)に発生した負圧によって物品Mを載置面22dに対して吸い付ける。
【0026】
図8に示す第2開口部22cは、受渡し台22における裏面側のチャンバ部22eの先端部分に形成された複数の円形穴によって構成されている。そして、第2開口部22cは、受渡し台22が回転軸23を中心とする回転軌道に沿って移動しながら自らも回転軸22aを中心に回転する際に、位置P1において、後述する吸引装置70の弾性部材72に当接する。このとき、第2開口部22cが当接した吸引装置70では、図示しない真空ポンプによって空気が吸引されているため、第2開口部22cを介してチャンバ部22e内に形成された内部空間Sに、受渡し台22上に載置された物品Mを吸引するための負圧を発生させることができる。
【0027】
載置面22dは、搬送装置10(図2)から搬入される物品Mと接触する面であって、前述した第1開口部22bが形成されている。
【0028】
受渡し台22の動作:
受渡し台22は、支持プレート21の回転に伴って回転軸23を中心として回転移動しており、図8に示す位置P1において、上流側の搬送装置10から搬送されてくる物品Mの長手方向が略水平に向く水平姿勢の物品Mを受け取る(図2参照)。この際、受け取った物品Mは、吸引装置70によって受渡し台22の載置面22dに対して吸い付けられた状態で保持される。
【0029】
次に、支持プレート21が回転軸23を中心にして回転方向dに約90°回転して、受渡し台22が位置P1から位置P2へ移動する。この位置P2への移動の間に、受渡し台22は、回転軸22aを中心にして物品Mが起立姿勢となるように約90°だけ回転方向eに回転移動する。そして、受渡し台22は、図7に示す搬送機構40における所定の位置Qに物品Mを起立姿勢で載置した後、物品Mに接触しないように、回転軸23を中心に矢印e方向に回転しながら上方へ退避するように移動する。この際、前記所定の位置Qには、バケット41,42(後段にて詳述)のうち、いずれか一方が停止しており、物品Mを起立姿勢のまま受け取って整列させる。
【0030】
さらに、受渡し台22は、図8に示す位置P2から支持プレート21が回転軸23を中心にして回転方向dに約90°回転して位置P3に移動する間に、受渡し台22が約90°回転方向eに回転軸22aを中心に回転する。同様にして、受渡し台22は、位置P3から位置P4を経て再び位置P1へと移動する。
支持プレート21の側面部に配置された4台の受渡し台22が、このような動作を順次行うことによって、複数の物品Mを所定の位置Qに起立姿勢で受け渡して物品Mの束を形成することができる。
【0031】
吸引装置70:
吸引装置70は、前述のように、受渡し台22上に載置された物品Mを受渡し台22に対して吸引するための装置であって、本体71と弾性部材72とを有している。
【0032】
前記本体71は、図示しないエア配管を介して真空ポンプに接続されており、内部の空間には真空ポンプによって負圧が形成される。
弾性部材72は、受渡し台22の第2開口部22cとほぼ同じ大きさの開口を有し、受渡し台22が搬送装置10から物品Mを受け取る位置P1において受渡し台22の第2開口部22cと当接するように、受渡し台22の回転軌道の接線方向に略平行になるように配置されている。
なお、弾性部材72としては、ゴム製品や発泡ウレタン等の樹脂製品を用いることができる。
【0033】
搬送機構40:
搬送機構40は、図7、図9および図10に示すように、複数のバケット41,42と、仕切り板43a,43bと、背板44a,44bと、駆動モータM1〜M3とを有しており、上流側の受渡し機構20から図7の所定の位置Qに起立姿勢で搬送される物品Mを順に受け取って所定の個数ずつ下流側の位置Rに向って搬送する。
【0034】
図10において、バケット41,42は、搬送機構40における上流側と下流側とにおいて、それぞれ1つずつ設けられており、回転軸45,46を中心に回転するスプロケットs1,s1間、s2,s2間に巻き掛けられたチェーンに沿ってループ状に走行する。そして、図7のバケット41,42は、その上に載置された複数の物品Mの束からなる物品列MLを、上流側の所定の位置Pから下流側の位置Rまで搬送する。また、バケット41,42は、それぞれ複数の底板41a,42aを組み合わせて構成されている。底板41a,42aは、物品Mの底部Mbを支持する支持面を構成している。
【0035】
仕切り板43a,43bは、複数の底板41a,42aのうち、最も下流側(先頭側)に配置された底板41a,42aにそれぞれ取り付けられている。この仕切り板43a,43bによって、受渡し台22から受け渡された物品列MLの先頭の物品Mを起立姿勢のままで保持しつつ、その後で受け渡される複数の物品Mを、各バケット41,42上において整列させることができる。また、仕切り板43a,43bは、後述する駆動モータM1,M2(図9)によってスプロケットs1,s2を介してそれぞれ独立駆動される。さらに、図3に示すように、仕切り板43a,43bは、物品Mと当接する面が櫛歯状となっており、前述した受渡し台22の櫛歯状の部分と離合可能で互いに接触しないように構成されている。
【0036】
図7の背板44a,44bは、各バケット41,42上に載置された物品列MLを、後方から支持する部材であって、各仕切り板43a,43bに対して1つずつ設けられている。また、背板44a,44bは、共通の駆動源である駆動モータM3(図9)によって駆動されており、移動ループにおいて互いに対向する位置に取り付けられている。このように、背板44a,44bを、仕切り板43a,43bとは別々の駆動源によって駆動させることで、箱詰めされる所定数の物品Mの数が変更された場合でも、仕切り板43a,43bとの間に物品列MLを挟み込んで、安定した状態で排出位置Rまで物品列MLを搬送することができる。なお、背板44a,44bは、物品Mと当接する面が櫛歯状となっており、前述した受渡し台22の櫛歯状の部分と離合可能で互いに接触しないように構成されている点については、仕切り板43a,43bと同様である。
【0037】
図9のスプロケットs1〜s3は、搬送機構40における両端部分にそれぞれ配置されており、同一の径を有している。これにより、仕切り板43aと仕切り板43bと背板44a,44bとを、同じ回転数で同じ速度で移動させることができる。
本実施例では、前述のように、仕切り板43aと、仕切り板43bと、背板44a,44bとをそれぞれ独立して駆動するように構成されており、仕切り板43aを駆動する駆動モータM1によって第1のループが、仕切り板43bを駆動する駆動モータM2によって第2のループが、背板44a,44bを駆動する駆動モータM3によって第3のループが形成される。
【0038】
これにより、仕切り板43aと背板44aとの間、および仕切り板43bと背板44bとの間に、それぞれ物品列MLを挟み込むようにして搬送することで、搬送機構40において従来よりも大幅に安定した状態での搬送が可能になる。
ここで、搬送機構40による物品列MLの搬送方法について、一方のバケット41側を例に挙げて具体的に説明すれば以下の通りである。なお、他方のバケット42についても、以下の説明と同様にして搬送を行う。
【0039】
すなわち、図7の物品Mが受け渡される所定の位置Qにおいて待機しているバケット41は、上流側の受渡し台22から物品Mが搬送されてくると、先頭の物品Mを仕切り板43aによって起立姿勢で受け取り、該起立姿勢を保持する。そして、バケット41は、物品Mの袋の厚みd1(図7)分に相当する所定の間隔だけ下流側に移動することによって、図11(a)に示すように、先頭で受け入れた物品Mの後方に複数の物品Mを整列させた状態で受け入れる。このとき、背板44aは、物品Mを受け入れる所定の位置Q(図12参照)の下流側で待機している。そして、下流側のバケット42に相当する仕切り板43bは、背板44aのすぐ下流側において待機している。やがて、図11(b)に示すように、受け渡された物品列MLが所定の個数になると、図11(c)に示すように、仕切り板43aと背板44aとの間に物品列MLを挟み込んだ状態で、図11(d)に示すように、下流側の位置R(図12参照)まで第2の方向Yに沿って搬送する。このとき、図11(b)に示すように、背板44aの第2の方向Yにおける直下流側に待機していた仕切り板43bは、背板44aの下流側に速やかに移動して、次のバッチの物品Mを受渡し台22から受け取る。
【0040】
物品列搬送装置2:
図12に示す整列装置40によって所定の袋数ごとに整列された物品列MLは、第1プッシャ51によってリフタ52上に押し出される。図2に示すように、リフタ52上の物品列MLは、鉛直上方Z1に持ち上げられた後、第2プッシャ54によって第1の方向Xに押し出され、図1に示す物品列搬送装置2の搬送面65上に搬送される。
【0041】
その後、図2の二点鎖線に示す昇降プッシャ61が、物品列MLを第1の方向Xに押す。ここで、図1に示す物品列搬送装置2の搬送面65の第2の方向(幅方向)Yの両側には案内板80が設けられている。この時、前記第2の方向Yに直線状に連なるバー91(図2)を起立状態に保持することにより、案内板80にその側面Msを案内された物品列MLは、後端部を昇降プッシャ61に押されてバー91(図2)に接触し、各物品Mが一列に整列される。
前記整列後、バー91(図2)が倒れ、物品列MLはシャッタ62上に搬送される。
【0042】
前記搬送後、シャッタ62が開き、二点鎖線で示す上昇状態の昇降台63上に物品列MLが載置された後、昇降台63が鉛直下方Z2に下降する。一方、開口部Buが横向きになるように倒されて配置された箱Bがセットされる。昇降台63上に物品列MLが段積みされた後に、昇降台63は、箱Bの下側の開口部Buと、物品列MLのレベルが概ね同じになる位置まで下降する。前記下降後、箱詰プッシャ64により、物品列MLが箱B内に押し出されて箱詰される。
箱詰の終了した箱Bは、開口部Buが上になるように回動される。
【0043】
つぎに、本発明の要部について説明する。
投入コンベヤ11:
図3(a)に示すように、投入コンベヤ11は、上流側と下流側に設けられた一対のプーリ13,13間に掛け渡された無端状のコンベヤベルト11bを備えている。上流側のプーリ13が、第1駆動モータ11Mに回転駆動されることにより、投入コンベヤ11の搬送面11S上の物品Mを伸縮コンベヤ30に搬送する。
【0044】
伸縮コンベヤ30:
伸縮コンベヤ30は、第1移動ローラ32、第1固定ローラ34、第2移動ローラ33および一対の第2固定ローラ35,36と、各ローラ32〜36に掛け渡された無端状のコンベヤベルト31を備えている。
【0045】
第1移動ローラ32は、コンベヤベルト31の内周面に接触し、第1の方向Xの下流端側に配置されている。
第1固定ローラ34は、コンベヤベルト31の内周面に接触し、第1の方向Xの下流端側に配置されている。
第2移動ローラ33は、コンベヤベルト31の外周面に接触し、第1移動ローラ32と第1固定ローラ34との間に配置されている。第2固定ローラ35,36は、コンベヤベルト31の内周面に接触し、第1の方向Xの上流端側に配置されている。
第2固定ローラ35,36は、コンベヤベルト31の内周面に接触し、第1の方向Xの上流端側に配置されている。
【0046】
第2固定ローラ36と第1移動ローラ32間において、コンベヤベルト31は、物品Mを搬送する搬送面30sを構成している。第2固定ローラ36が、第2コンベヤモータ30Mにより回転駆動されることで、投入コンベヤ11から搬送された前記搬送面30s上の物品Mが、受渡し装置20の受渡し台22上に搬送される。
【0047】
伸縮コンベヤ30の伸縮機構:
ここで、図4(a),(b)に示すような大型の物品Mを搬送する場合、受渡し台22が物品Mを整列装置40に渡す際に、物品Mが伸縮コンベヤ30に接触するおそれがある。そのため、本伸縮コンベヤ30は、かかる大型の物品Mの搬送を行う場合には、伸縮コンベヤ30の下流端である第1移動ローラ32を上流側に移動させることにより、図3(a),(b)に示す伸張状態から、図4(a),(b)に示す収縮状態に移行して、物品Mとの接触を回避している。
【0048】
以下、伸縮コンベヤ30の伸縮機構について説明する。
図3(a)および図4(a)に示すように、前記第1および第2移動ローラ32,33は、ガイドロッド39に対して摺動可能に設定されたスライダ38に回転自在に取り付けられている。ガイドロッド39は、第1の方向Xに概ね平行に設けられており、スライダ38は、ガイドロッド39に沿って前記第1の方向Xに摺動自在に移動可能である。スライダ38には、エアシリンダ37のシリンダロッド37aが固定されており、該エアシリンダ37によってスライダ38が第1の方向Xに移動される。
【0049】
図3に示すように、前記エアシリンダ37により、スライダ38が受渡し装置20に向って移動されると、第1および第2移動ローラ32、33が受渡し装置20に向って移動され、第1移動ローラ32と第2固定ローラ36との距離が大きくなり、伸縮コンベヤ30が伸張される。この伸張状態においては、小さい物品Mの受け渡しが行われる。
一方、図4に示すように、スライダ38が受渡し装置20から遠ざかる方向に移動されると、第1移動ローラ32と第2固定ローラ36との距離が小さくなり、伸縮コンベヤ30が収縮される。この収縮状態においては、大きい物品Mの受け渡しが行われる。
【0050】
なお、物品Mは、搬送面30s上を高速で搬送されることにより、伸縮コンベヤ30から受渡し台22に向って投げ渡されるようにして受渡し台22に渡される。そのため、伸縮コンベヤ30と受渡し台22との間が空いていても物品Mを受渡し台22上に搬送することが可能である。
【0051】
このように、物品Mのサイズに応じて伸縮コンベヤ30の長さが変化することにより、物品Mのサイズの大小に拘わらず、物品Mの姿勢が不安定になることなく受渡し装置20に渡すことができる。また、物品Mの内容物を傷つけることなく、かつ、所定のサイクルタイムで受渡し装置20に渡すことができる。
【0052】
なお、伸縮コンベヤ30の伸縮は、上流に設けたコントローラに設定された物品Mや袋のサイズの情報に基づき、物品Mの種類の変更(段取り替え)の際に自動的に行われるようにしてもよい。
また、前述の実施例1では、伸縮コンベヤ30を物品Mの大小2段階に伸縮することとしたが、たとえば、ストッパなどを設けて3段階以上に伸縮させることで、複数種類の大きさの物品Mに対応させるようにしてもよい。
【0053】
さらに、伸縮コンベヤ30の伸縮を物品Mの受け渡し毎に行うようにしてもよい。すなわち、伸縮コンベヤ30が、受渡し装置20の受渡し台22に物品Mを渡す時に伸張状態となり、かつ、受渡し台22による物品Mの姿勢変更時に収縮状態となるように制御してもよい。
【実施例2】
【0054】
図13は実施例2を示す。
図13(a),(b)に示すように、本実施例2では、伸縮コンベヤ30の長さを一定とし、物品Mの大きさに応じて、伸縮コンベヤ30が第1の方向Xに移動される。
図13(a)に示すように、物品Mの大きさが小さい場合には、伸縮コンベヤ30が受渡し装置20に近づくように移動される。一方、図13(b)に示すように、物品Mの大きさが大きい場合には、伸縮コンベヤ30の上流側が投入コンベヤ11の下方に移動され、伸縮コンベヤ30が受け渡し受渡し装置20から遠ざかるように移動される。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0055】
なお、前記伸縮コンベヤ30の移動を、移動装置30Aに設けられたモータ(図示せず)を用いて行ってもよい。かかる場合には、前記モータとして、ステッピングモータやパルスモータを用いて、伸縮コンベヤ30の位置を制御してもよい。すなわち、図13(c)に示すように、モータの回転角度記憶部を設ける。前記回転角度記憶部には、物品Mの大きさに応じてエンコーダのカウント数、すなわち、モータの回転角度が予め設定記憶されている。物品Mの大きさに応じて、該記憶部からカウント数を読み出し、当該カウント数に基づいて伸縮コンベヤ30の位置を制御するようにしてもよい。
【0056】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、実施例1の伸縮コンベヤでは、エアシリンダを用いて伸縮コンベヤの伸縮を行うようにしたが、エアシリンダの代わりにモータを用いて伸縮を行ってもよいし、商品の大きさ毎に手動で伸縮コンベヤの伸縮を行うようにしてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例1にかかる箱詰システムを示す概略側面図である。
【図2】物品の集積および箱詰工程を示す工程図である。
【図3】搬送装置を示す概略側面図である。
【図4】搬送装置を示す概略側面図である。
【図5】伸縮コンベヤおよび受渡し装置を示す概略斜視図である。
【図6】伸縮コンベヤおよび受渡し装置を示す概略斜視図である。
【図7】集積装置を示す概略正面図である。
【図8】受渡し装置を示す概略正面図である。
【図9】整列装置を示す概略平面図である。
【図10】整列装置を示す概略正面図である。
【図11】物品の集積方法を示す動作図である。
【図12】搬送装置および集積装置を示す概略平面図である。
【図13】図13(a)および図13(b)は実施例2にかかる搬送装置および受渡し装置を示す概略側面図、図13(c)はモータの回転角度記憶部の記憶内容を示す図表である。
【符号の説明】
【0058】
1:集積装置
10:搬送装置(搬送手段の一例)
20:受渡し装置(姿勢変更手段の一例)
22:受渡し台
31:コンベヤベルト
32:第1移動ローラ
33:第2移動ローラ
34:第1固定ローラ
35,36:第2固定ローラ
40:整列装置(整列手段の一例)
41a,42a:底板(支持面)
43a,43b:仕切り板
44a,44b:背板
L1:第1軸線
L2:第2軸線
M:物品
ML:物品列
X:第1の方向
Y:第2の方向
Z:鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側面と前記側面に連なる底部とを備えた袋に内容物を収容した複数の物品を搬送しながら整列した物品列を生成する集積装置であって、
前記物品の一方の側面を搬送面により下方から支えた水平姿勢で前記物品を第1の方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段から前記水平姿勢で前記物品を受け取って、前記物品の側面が前記第1の方向および鉛直方向に沿った起立姿勢に姿勢を変更させる姿勢変更手段と、
前記姿勢の変更された物品を前記第1の方向に直交する第2の方向に重ねた状態で集めると共に前記側面同士が互いに接触した整列状態となるように集合させる整列手段とを備え、
前記搬送手段が前記第1の方向に伸縮可能で、搬送される物品の前記第1の方向の長さに応じて前記搬送手段が伸縮して前記搬送手段と前記姿勢変更手段との間の空間の距離を変更可能である集積装置。
【請求項2】
請求項1において、前記物品の前記長さが短い場合には、前記搬送手段が伸張して前記搬送手段の先端が前記姿勢変更手段に接近し、
前記物品の前記長さが長い場合には、前記搬送手段が収縮して前記搬送手段の先端が前記姿勢変更手段から離間する集積装置。
【請求項3】
請求項2において、前記搬送手段の先端の位置が前記袋のサイズに応じて変更可能である集積装置。
【請求項4】
請求項1,2もしくは3において、前記搬送手段は、
無端状のコンベヤベルトと、
前記コンベヤベルトの内周面に接触し第1の方向の下流端側に配置された第1移動ローラと、
前記コンベヤベルトの内周面に接触し前記第1の方向の下流端側に配置された第1固定ローラと、
前記コンベヤベルトの外周面に接触し、前記第1移動ローラと第1固定ローラとの間に配置された第2移動ローラと、
前記コンベヤベルトの内周面に接触し前記第1の方向の上流端側に配置された第2固定ローラとを備えた集積装置。
【請求項5】
請求項1、2,3もしくは4において、前記姿勢変更手段は、
前記第1の方向に沿って延びる第1軸線の回りに回転する支持プレートと、
前記支持プレート上において前記第1軸線に平行な第2軸線の回りを回転可能で、前記水平姿勢で前記物品を受け取り前記第2軸線の回りに回転することで前記物品の姿勢を前記起立姿勢に変更する複数の受渡し台とを備えた集積装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、前記整列手段は、
前記物品の底部を支持する支持面と、
整列される物品列の先頭の物品の側面に接触する仕切り板と、
整列された物品列の後端の物品の側面に接触する背板とを備えた集積装置。
【請求項7】
請求項5において、前記搬送手段は、前記受渡し台に物品を渡す時に伸張状態となり、かつ、前記姿勢変更時に収縮状態となる集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−68904(P2008−68904A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250709(P2006−250709)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】