説明

難燃性膜材

【課題】難燃性、耐候性、耐水性、耐摩耗性、柔軟性及び抗張力等の力学的物性に優れた難燃性膜材を提供する。
【解決手段】難燃性膜材用シートをシート状繊維の片面又は両面に積層してなる難燃性膜材であって、前記難燃性膜材用シートは、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン及び/又はプロピレンとこれらと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂100重量部と、層状珪酸塩0.1〜100重量部と、非ハロゲン系難燃剤5〜100重量部とを含有するものであり、前記層状珪酸塩は、前記難燃性膜材用シート中において、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散している難燃性膜材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性、耐候性、耐水性、耐摩耗性、柔軟性及び抗張力等の力学的物性に優れた難燃性膜材に関する。
【背景技術】
【0002】
膜構造建築用膜材、テント倉庫用膜材、ファサード、フレコン等に用いられる膜材(ターポリン)には、耐候性、耐水性、耐摩耗性、柔軟性及び抗張力等の力学的物性と同時に、火災時における延焼を防ぐために難燃性が必要とされている。このため、通常、膜材としては、ポリエステル繊維やガラス繊維等のシート状繊維を基材として、これに難燃性の樹脂を被覆したものが用いられている。従来より、この被覆用の樹脂としては、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂やポリテトラフルオロエチレン系樹脂等が用いられてきた。
【0003】
しかし、被覆用樹脂として軟質ポリ塩化ビニル系樹脂を用いた場合、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂に含有される可塑剤や難燃剤等が経時により表層へ滲み出すことにより、表面の粘着性が増して、大気中の汚れが付着したり、柔軟性、耐候性、難燃性等が低下したりする問題があった。
【0004】
一方、工業用途に用いられる高分子材料には、近年、廃プラスチックの処理や環境ホルモンの問題から、環境に負荷をかけない材料、即ち、環境適応型材料への転換が望まれている。具体的には、燃焼時のダイオキシン発生や可塑剤の毒性等の問題から、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂からポリオレフィン系樹脂への転換が検討されている。
【0005】
このように、近年では、膜材においても、環境適応型材料へ転換するためにシート状繊維の被覆用樹脂にポリオレフィン系樹脂を用いた、いわゆるエコ膜材(エコターポリン)の要求が高まっているが、ポリオレフィン系樹脂は、最も燃焼性の高い樹脂の1つであるので、難燃性を発現させることは最も困難な課題となっている。
【0006】
上記問題点を解決するために、現状では、大量の難燃剤をポリオレフィン系樹脂に練り込んで使用することが多い。難燃剤のなかでも、含ハロゲン難燃剤は、難燃化の効果が高く、成形性の低下や成形品の力学的物性の低下等も比較的少ないことから多用されている。しかし、含ハロゲン難燃剤を用いた場合、成形加工時や燃焼時に多量のハロゲン系ガスが発生して、機器が腐食したり、人体に悪影響を及ぼす等の恐れがあるために、安全性の面からハロゲン含有化合物を使用しない、いわゆる非ハロゲン難燃化処理方法が強く望まれている。
【0007】
このため、例えば、特許文献1や特許文献2等には、ポリオレフィン系樹脂の非ハロゲン難燃化処理方法の1つとして、燃焼時に有毒なガスを発生しない、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の金属化合物を難燃剤として添加する方法が開示されている。
【0008】
しかし、易燃性のポリオレフィン系樹脂に充分な難燃性を付与するためには、大量の金属化合物を添加する必要があり、その結果、得られる成形体の力学的物性が著しく低下して、実用に供することが難しいという問題点がある。特に大量の金属化合物を添加した場合、膜材に必要な柔軟性や伸び等の物性を確保することが困難であるという問題点がある。
【0009】
又、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物のみをポリオレフィン系樹脂に添加した場合は、燃焼時において被膜層を形成することができず、脆い灰分が露出し、燃焼残渣が脱落していくので、断熱層としての機能を早期に失い、更に、材料が変形するために延焼をくい止めることができないという問題点がある。
【0010】
一方、リン系難燃剤をポリオレフィン系樹脂に添加し、燃焼時に表面に被膜を形成して、これによる酸素遮断効果を利用することにより、難燃性を発現させる方法が提案されている。しかし、易燃性のポリオレフィン系樹脂に充分な難燃性を付与するためには、大量のリン系難燃剤を添加する必要があり、その結果、得られる成形体の力学的物性が著しく低下し、実用に供することが難しいという問題点がある。
【0011】
又、リン系難燃剤をポリオレフィン系樹脂に添加した場合、局所的には被膜が形成されるものの、強固な被膜層を連続層として形成することは困難である。このような局所的な被膜の機械的強度は非常に弱く、燃焼時において脆い灰分が露出し、燃焼残渣が脱落していくために、断熱層としての機能を早期に失い、更に、材料が変質するために延焼をくい止めることができないという問題点がある。更に、屋外で使用される場合には、リン系難燃剤が水により抽出され、経時により難燃性能が低下するという問題点もある。
【0012】
例えば、特許文献3には、ポリオレフィン系樹脂に赤リン又はリン化合物と加熱膨張性黒鉛とが添加された難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物が開示されている。この難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物は、酸素指数から見た場合には充分な難燃性を有するものの、実際には局所的にしか被膜を形成できず、強固な被膜層を連続層として形成することができないものである。このような局所的な被膜の機械的強度は非常に弱く、燃焼時において脆い灰分が露出し、燃焼残渣が脱落していくために、断熱層としての機能を早期に失い、更に、材料が変形するために延焼をくい止めることができないという問題点がある。
【0013】
又、近年、ハロゲンやリンを含有せず、広範囲なプラスチックに配合することができ、安全性が高い難燃剤としてシリコーン系難燃剤が注目されている。シリコーン系難燃剤は、燃焼時に樹脂表面に移行して不燃被膜を形成することによる酸素遮断効果を利用して難燃性を発現することが知られている。しかし、ポリオレフィン系樹脂にシリコーン系難燃剤を添加した場合、酸素指数は大幅に向上するものの、実際の燃焼時には強固な不燃被膜を形成することができず、不燃被膜の裂け目から可燃性ガスが流出するため、延焼をくい止めることができないという問題点がある。
【特許文献1】特開昭57−165437号公報
【特許文献2】特開昭61−36343号公報
【特許文献3】特開平6−25476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記現状に鑑み、難燃性、耐候性、耐水性、耐摩耗性、柔軟性及び抗張力等の力学的物性に優れた難燃性膜材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、難燃性膜材用シートをシート状繊維の片面又は両面に積層してなる難燃性膜材であって、前記難燃性膜材用シートは、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン及び/又はプロピレンとこれらと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂100重量部と、層状珪酸塩0.1〜100重量部と、非ハロゲン系難燃剤5〜100重量部とを含有するものであり、前記層状珪酸塩は、前記難燃性膜材用シート中において、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散している難燃性膜材である。
以下に本発明を詳述する。
【0016】
本発明の難燃性膜材用シートに含有される熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、なかでも、ポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0017】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体又はブロック共重合体、エチレン及び/又はプロピレンとこれらと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−スチレン共重合体、ブテン単独重合体、イソプレンやブタジエン等の共役ジエン類の単独重合体又は共重合体等が挙げられ、なかでも、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン及び/又はプロピレンとこれらと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体が好適に用いられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。尚、本発明で言う(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0018】
上記他のα−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、ブタジエン等が挙げられる。これらの他のα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0019】
上記熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではないが、重量平均分子量が5000〜500万であることが好ましく、より好ましくは2万〜30万であり、又、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜80であることが好ましく、より好ましくは1.5〜40である。
【0020】
本発明の難燃性膜材用シートに含有される層状珪酸塩とは、結晶層間に交換性金属カチオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。
【0021】
上記層状珪酸塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられ、なかでも、モンモリロナイト及び/又は膨潤性マイカが好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、天然物であっても良いし、合成物であっても良い。又、これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0022】
上記層状珪酸塩としては、下記関係式(1)で定義される形状異方性効果の大きいスメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカを用いることが好ましい。形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、本発明の難燃性膜材用シートはより優れた力学的物性を有するものとなる。
形状異方性効果=結晶表面(α)の面積/結晶表面(β)の面積 (1)
尚、上式中、結晶表面(α)は層表面を意味し、結晶表面(β)は層側面を意味する。
【0023】
上記層状珪酸塩の形状は、特に限定されるものではないが、凝集構造を解砕した結晶薄片の平均長さが0.01〜3μm、厚みが0.001〜1μm、アスペクト比が20〜500であるものが好ましく、より好ましくは、平均長さが0.05〜2μm、厚みが0.01〜0.5μm、アスペクト比が50〜200のものである。
【0024】
上記層状珪酸塩の結晶層間に存在する交換性金属カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウムやカルシウム等の金属のイオンのことであり、これらの金属のイオンは、カチオン性物質とカチオン交換性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)もしくは捕捉することができる。
【0025】
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量は、特に限定されるものではないが、50〜200ミリ等量/100gであることが好ましい。層状珪酸塩のカチオン交換容量が50ミリ等量/100g未満であると、カチオン交換により層状珪酸塩の結晶層間に挿入もしくは捕捉されるカチオン性物質の量が少なくなるために、結晶層間が充分に非極性化(疎水化)されないことがあり、逆に層状珪酸塩のカチオン交換容量が200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0026】
本発明の難燃性膜材用シートにおいて、前記熱可塑性樹脂として例えばポリオレフィン系樹脂のような低極性樹脂を用いる場合には、予め層状珪酸塩の結晶層間をカチオン性界面活性剤でカチオン交換して、非極性化(疎水化)しておくことが好ましい。予め層状珪酸塩の結晶層間を非極性化(疎水化)しておくことにより、層状珪酸塩と低極性の熱可塑性樹脂との親和性が高まり、層状珪酸塩を低極性の熱可塑性樹脂中により均一に微分散させることができる。
【0027】
上記カチオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩等が挙げられ、なかでも、層状珪酸塩の結晶層間を充分に非極性化(疎水化)し得ることから、炭素数6以上のアルキル鎖を1個以上有する4級アンモニウム塩(炭素数6以上のアルキルアンモニウム塩)が好適に用いられる。
【0028】
上記4級アンモニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0029】
又、上記4級ホスホニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0030】
本発明で用いられる層状珪酸塩は、上述のような化学処理を施すことによって熱可塑性樹脂中への分散性を向上させることができる。
【0031】
上記化学処理は、(1)カチオン性界面活性剤によるカチオン交換法(以下、「化学修飾(1)法」と記す)に限定されるものではなく、例えば、以下に示す各種化学処理法によっても実施することができる。尚、化学修飾(1)法を含め、以下に示す各種化学処理法によって熱可塑性樹脂中への分散性を向上させた層状珪酸塩を、以下、「有機化層状珪酸塩」と記す。
【0032】
(2)化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これと化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を分子末端に1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(2)法」と記す)。
【0033】
(3)化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これと化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基及び反応性官能基を分子末端に1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(3)法」と記す)。
【0034】
(4)化学修飾(1)法で化学処理された有機化層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン性界面活性を有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(4)法」と記す)。
【0035】
(5)化学修飾(4)法において、アニオン性界面活性を有する化合物の分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(5)法」と記す)。
【0036】
(6)上記化学修飾(1)法〜化学修飾(5)法のいずれかの方法で化学処理された有機化層状珪酸塩に、更に、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂や無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル系樹脂等のような有機化層状珪酸塩と反応可能な官能基を有する樹脂を添加した組成物を用いる方法(以下、「化学修飾(6)法」と記す)。
【0037】
これらの化学修飾法は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0038】
上記化学修飾(2)法における、水酸基と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルコキシル基、グリシジル基、カルボキシル基(二塩基性酸無水物も含む)、水酸基、イソシアネート基、アルデヒド基等の官能基や、水酸基との化学的親和性が大きいその他の官能基等が挙げられる。これらの官能基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0039】
又、上記水酸基と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記に例示した官能基を有するシラン化合物、チタネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、アルコール類等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0040】
上記シラン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0041】
上記化学修飾(4)法及び化学修飾(5)法における、アニオン性界面活性を有する化合物、及び/又は、アニオン性界面活性を有し、分子鎖中のアニオン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物としては、イオン相互作用により層状珪酸塩を化学処理できるものであれば如何なる化合物であっても良く、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0042】
又、化学修飾(6)法としては、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂や無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル系樹脂等のような有機化層状珪酸塩と反応可能な官能基を有する樹脂を添加した組成物を分散剤として用いる方法が挙げられる。これは、有機化層状珪酸塩との化学的親和性が大きい部位と熱可塑性樹脂との化学的親和性が大きい部位とを有する分散剤を混合することにより、両者の相溶性を高め、有機化層状珪酸塩の分散に必要なエネルギーを低下させる方法である。
【0043】
上記分散剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系オリゴマー等が挙げられ、なかでも、両端が異なる性質を有するA−B型ジブロックオリゴマーやA−B型ジブロックポリマー等が好適に用いられる。即ち、有機化層状珪酸塩との化学的親和性が大きい部位(Aサイト)と熱可塑性樹脂との化学的親和性が大きい部位(Bサイト)との異なる性質を両端に有するA−B型分散剤は、効率的にそれぞれの化学的親和性を発揮し易いことから好適な分散効果が得られる。
【0044】
上記A−B型分散剤を用いて高分散状態を得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂、有機化層状珪酸塩及びA−B型分散剤を共に押出機中で溶融混練する方法が挙げられる。
【0045】
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散していることが好ましく、より好ましくは、上記平均層間距離が6nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散していることである。尚、本発明で言う層状珪酸塩の平均層間距離とは、層状珪酸塩の微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離を意味し、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、即ち、広角X線回折測定法により、算出することができる。又、層状珪酸塩の分散状態は、透過型電子顕微鏡による5万倍から10万倍の倍率で観察して、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層集合体の数(X)の内、5層以下に分散している積層集合体の数(Y)をカウントし、下記計算式(2)により算出することがで
きる。
5層以下に分散している割合(%)=(Y/X)×100 (2)
【0046】
本来、数十層の積層体である層状珪酸塩の層状分子が剥離して分散すると、層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が殆ど無視できるほどに弱まり、結晶薄片は熱可塑性樹脂中で一定の間隔を保って微分散状態となり安定化する。その結果、層状珪酸塩は、結晶薄片層間の平均層間距離が大きくなると共に分散安定化して、燃焼時においては層状珪酸塩の結晶薄片の移動によって焼結体を形成し易くなる。即ち、層状珪酸塩の結晶薄片層が平均層間距離3nm以上で分散した難燃性膜材用シートは、燃焼皮膜となり得る焼結体を形成し易くなる。この焼結体は燃焼時の早い段階で形成されるので、外界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスも遮断することができ、熱可塑性樹脂の発熱速度を抑制することができる。即ち、優れた燃焼防止性能を発現することが可能となる。従って、このような層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中に配合し、分散させて得られる難燃性膜材用シートは、著しく優れた難燃性、耐候性、機械的強度等の諸性能を発現するものとなる。又、層状珪酸塩の結晶薄片層間の平均層間距離が3nm以上、好ましくは6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層ごとに分離し、層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が殆ど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の熱可塑性樹脂中での分散状態が離砕安定化の方向に進行する利点がある。
【0047】
又、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散しているということは、本来数十層の積層体である層状珪酸塩の層状分子の一部又は全部が剥離して広く分散していることを意味しており、これも層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が弱まっていることになり、上記と同様の効果を得ることができる。又、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散しているということは、具体的には、層状珪酸塩の10%以上が5層以下に分散している状態にあることが好ましいことを意味し、より好ましくは層状珪酸塩の20%以上が5層以下に分散している状態である。
【0048】
層状珪酸塩の積層数は、5層以下に分層していることが好ましく、より好ましくは3層以下に分層していることであり、更に好ましくは単層状に分層(薄片化)していることである。
【0049】
本発明の難燃性膜材用シートにおいて、層状珪酸塩の結晶薄片層間の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散している状態、即ち、熱可塑性樹脂中に層状珪酸塩が高分散している状態であれば、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面面積が増大し、層状珪酸塩の結晶薄片間の平均隣接距離が小さくなる。
【0050】
熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との界面面積が増大すると、層状珪酸塩の表面における熱可塑性樹脂の拘束の度合いが高まり、弾性率等の機械的強度が向上する。又、層状珪酸塩の表面における熱可塑性樹脂の拘束の度合いが高まると、溶融粘度が高くなって成形性も向上する。更に、層状珪酸塩の邪魔板効果により、熱可塑性樹脂中の添加剤等のブリードアウトが抑制されると共に、層状珪酸塩の紫外線遮蔽効果により、難燃性膜材用シートの耐候性が向上する。
【0051】
本発明の難燃性膜材用シートにおいては、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上述の層状珪酸塩(有機化層状珪酸塩も含む)0.1〜100重量部が配合されていることが必要であり、好ましくは1〜20重量部である。
【0052】
熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が0.1重量部未満であると、燃焼時に焼結体を形成し難くなるので、得られる難燃性膜材用シートの難燃性が不充分となり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が100重量部を超えると、得られる難燃性膜材用シートの密度が高くなって、重量増加及び柔軟性低下により施工性が悪くなる。
【0053】
熱可塑性樹脂に対する層状珪酸塩の配合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩とを押出機、二本ロール、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法;熱可塑性樹脂と層状珪酸塩との両者が溶解する有機溶媒中で混練する方法;重合触媒としての遷移金属錯体を含有する層状珪酸塩を用いてオレフィン系単量体を重合することにより混練する方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。
【0054】
上記遷移金属錯体としては、オレフィン系単量体の重合触媒機能を有するものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、IV族、V族、X族、XI族の金属錯体等が挙げられる。これらの遷移金属錯体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0055】
本発明の難燃性膜材用シートに含有される非ハロゲン系難燃剤としては、難燃性膜材用シートに難燃性を付与し得るものであれば如何なる非ハロゲン系難燃剤であっても良く、特に限定されるものではないが、例えば、金属水酸化物、ベンゾオキサジン、メラミン誘導体、金属酸化物、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等が挙げられ、なかでも、金属水酸化物、ベンゾオキサジン、メラミン誘導体及び金属酸化物が好適に用いられる。これらの非ハロゲン系難燃剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0056】
上記金属水酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ドーソナイト、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、水酸化カルシウム等が挙げられ、なかでも、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムが好適に用いられる。これらの金属水酸化物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。2種類以上の金属水酸化物を併用する場合、各々が異なる温度で吸熱脱水反応を開始するので、より高い難燃化効果を得ることができる。
【0057】
上記金属水酸化物は、各種の表面処理剤により表面処理が施されているものであっても良い。上記表面処理剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ポリビニルアルコール系表面処理剤、エポキシ系表面処理剤等が挙げられる。これらの表面処理剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0058】
上記金属水酸化物(表面処理金属水酸化物も含む)は、燃焼時の高熱下で吸熱脱水反応を起こすので、吸熱し、且つ、水分子を放出することにより、燃焼場の温度を低下させ、消火する効果を発揮する。本発明の難燃性膜材用シートは、前記層状珪酸塩を含有しているので、上記金属水酸化物による難燃化効果が増大される。これは、層状珪酸塩の燃焼時の被膜形成による難燃化効果と金属水酸化物の吸熱脱水反応による難燃化効果とが協奏的に起こり、それぞれの難燃化効果が助長されることによるものと考えられる。
【0059】
上記ベンゾオキサジンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、6,6’−(1−メチルエチリデン)ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−2H−1,3−ベンゾオキサジン)等が挙げられる。これらのベンゾオキサジンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0060】
上記ベンゾオキサジンは、燃焼時の高熱下で重合反応を起こすことにより、焼結体を形成する。この焼結体は燃焼時の早い段階で形成されるので、外界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスも遮断することができ、難燃性膜材用シートの発熱速度を抑制することができる。即ち、優れた延焼防止性能を発現することが可能となる。
【0061】
上記メラミン誘導体としては、特に限定されるものではないが、例えば、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート等や、これらに表面処理が施されたもの等が挙げられ、なかでも、メラミンシアヌレートが好適に用いられる。これらのメラミン誘導体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0062】
上記メラミン誘導体は、燃焼時の高熱下で重合反応を起こすことにより、焼結体を形成する。この焼結体は燃焼時の早い段階で形成されるので、外界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスも遮断することができ、難燃性膜材用シートの発熱速度を抑制することができる。即ち、優れた延焼防止性能を発現することが可能となる。
【0063】
上記金属酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化銅、硼酸亜鉛(2ZnO・3B・3.5HO)等や、これらに表面処理が施されたもの等が挙げられ、なかでも、硼酸亜鉛が好適に用いられる。これらの金属酸化物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0064】
上記金属酸化物は、燃焼時の高熱下で吸熱脱水反応を起こすので、吸熱し、且つ、水分子を放出することにより、燃焼場の温度を低下させ、消火する効果を発揮する。又、燃焼時の高熱下でガラス状の溶融物による焼結体を形成する。この焼結体の形成により、外界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスも遮断することができ、難燃性膜材用シートの発熱速度を抑制することができる。即ち、優れた延焼防止性能を発現することが可能となる。
【0065】
本発明の難燃性膜材用シートにおいては、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記非ハロゲン系難燃剤5〜100重量部が配合されていることが必要であり、好ましくは20〜60重量部である。
【0066】
熱可塑性樹脂100重量部に対する非ハロゲン系難燃剤の配合量が5重量部未満であると、充分な難燃化効果を得られず、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する非ハロゲン系難燃剤の配合量が100重量部を超えると、難燃化効果は充分に得られるものの、成形加工性が低下したり、得られる難燃性膜材用シートの密度が高くなって、重量増加及び柔軟性低下により施工性が低下する。
【0067】
本発明の難燃性膜材用シートは、更に、難燃助剤を含有することが好ましい。難燃助剤を含有させることにより、本発明の難燃性膜材用シートは、酸素指数が向上すると共に、最大発熱速度が大幅に低下する。
【0068】
上記難燃助剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、フッ素樹脂、シリコーンオイル、シリコーン・アクリル複合ゴム及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の難燃助剤が好適に用いられる。
【0069】
上記フッ素樹脂は、溶融成形時の延伸により熱可塑性樹脂組成物中で繊維状となり、成形時の溶融張力を飛躍的に向上させることができる。これにより、難燃性膜材用シートの生産速度を飛躍的に向上させることができる。同様に、燃焼時においても、溶融した熱可塑性樹脂組成物中でフッ素樹脂が溶融粘度を向上させることにより、ドリップ現象(溶融樹脂が落下する現象)の発生を効果的に抑制し、延焼防止効果を付与できる。又、これにより、燃焼時に層状珪酸塩による焼結被膜の形成が阻害されないので、難燃性が向上する。フッ素樹脂は、フッ素置換量が多いほど分子構造上剛直になることにより凝集し難くなる。又、フッ素樹脂は、延伸により繊維状構造をとり、より剛直になることが知られている。
【0070】
上記シリコーンオイルやシリコーン・アクリル複合ゴムは、活性基を有する熱可塑性樹脂と燃焼時に反応してチャー化を促進し、又は、ガラス状の無機化合物の被膜が形成される時には、保膜材として強固なものとなり、熱可塑性樹脂の熱分解を抑制する。
【0071】
上記カーボンブラックは、作用機構は解明されていないものの、チャー形成を促進し、火勢を著しく抑制する。
【0072】
本発明の難燃性膜材用シートにおいては、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記難燃助剤0.1〜20重量部が配合されていることが好ましく、より好ましくは0.5〜15重量部である。
【0073】
熱可塑性樹脂100重量部に対する難燃助剤の配合量が0.1重量部未満であると、得られる難燃性膜材用シートの酸素指数が充分に向上しなかったり、最大発熱速度が充分に低下しないことがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する難燃助剤の配合量が20重量部を超えると、得られる難燃性膜材用シートの密度が高くなったり、機械的強度が低下したり、柔軟性が乏しくなることがある。
【0074】
本発明の難燃性膜材用シートは、更に、白色顔料として酸化チタンを含有することが好ましい。酸化チタンを含有させることにより、本発明の難燃性膜材用シートは、白色性や隠蔽力が向上すると共に、難燃性もより向上する。
【0075】
上記酸化チタンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、アナターゼ型酸化チタンやルチル型酸化チタン等が挙げられ、いずれの酸化チタンが用いられても良いが、特に難燃化効果や耐候性の面からは、ルチル型酸化チタンを用いることが好ましい。又、難燃性膜材用シートが防汚性の要求される用途に用いられる場合には、光触媒効果を有する酸化チタンを用いることが好ましい。
【0076】
本発明の難燃性膜材用シートにおいては、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記酸化チタン1〜20重量部が配合されていることが好ましく、より好ましくは2〜7重量部である。
【0077】
熱可塑性樹脂100重量部に対する酸化チタンの配合量が1重量部未満であると、白色性、隠蔽力及び難燃化効果を充分に得られないことがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する酸化チタンの配合量が20重量部を超えると、白色性、隠蔽力及び難燃化効果は充分に得られるものの、成形加工性が低下したり、得られる難燃性膜材用シートの柔軟性が乏しくなることがある。
【0078】
本発明の難燃性膜材用シートは、更に、ブルーイング剤及び/又は蛍光顔料を含有することが好ましい。ブルーイング剤及び/又は蛍光顔料を含有させることにより、本発明の難燃性膜材用シートは、白色性がより向上する。
【0079】
本発明の難燃性膜材用シートにおいては、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記ブルーイング剤及び/又は蛍光顔料0.1〜10重量部が配合されていることが好ましく、より好ましくは1〜5重量部である。
【0080】
熱可塑性樹脂100重量部に対するブルーイング剤及び/又は蛍光顔料の配合量が0.1重量部未満であると、得られる難燃性膜材用シートの白色性が充分に向上しないことがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対するブルーイング剤及び/又は蛍光顔料の配合量が10重量部を超えると、成形加工性が低下することがある。
【0081】
本発明の難燃性膜材用シートは、必須成分である熱可塑性樹脂、層状珪酸塩、非ハロゲン系難燃剤、及び、好ましく含有される難燃助剤、酸化チタン、ブルーイング剤及び/又は蛍光顔料以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上を含有していても良い。又、本発明の難燃性膜材用シートは、物性をより均一化するために、結晶核剤となり得るものが少量含有されて、結晶が微細化されていても良い。
【0082】
本発明の難燃性膜材用シートの製造に用いられる熱可塑性樹脂組成物の調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、必須成分である熱可塑性樹脂、層状珪酸塩、非ハロゲン系難燃剤、及び、必要に応じて含有させる難燃助剤等の各所定配合量を直接混練する方法や、熱可塑性樹脂に所定配合量以上の層状珪酸塩及び必要に応じて含有させる難燃助剤等を混練してマスターバッチを調製した後、調製されたマスターバッチに所定配合量となるように熱可塑性樹脂及び非ハロゲン系難燃剤を配合して希釈する、いわゆるマスターバッチ法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。
【0083】
本発明の難燃性膜材用シートの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、上記方法で調製された熱可塑性樹脂組成物を押出成形法、カレンダー成形法、熱プレス成形法、インフレーション成形法等の公知の成形法で製膜することにより、所望の難燃性膜材用シートを得ることができる。
【0084】
こうして得られる本発明の難燃性膜材用シートは、厚みが0.1〜2mmであり、且つ、密度が0.90〜1.25g/cmであることが好ましい。
【0085】
難燃性膜材用シートの厚みが0.1mm未満であるか、又は、密度が0.90g/cm未満であると、充分な難燃性を発現できなくなることがあり、逆に難燃性膜材用シートの厚みが2mmを超えるか、又は、密度が1.25g/cmを超えると、柔軟性が不充分となったり、重量が増すことにより施工性が低下することがある。
【0086】
又、本発明の難燃性膜材用シートは、ASTM E 1354「建築材料の燃焼性試験方法」に準拠した燃焼試験において、50kW/mの輻射加熱条件下で30分間加熱し燃焼した時の最大発熱速度が350kW/m以下であることが好ましく、より好ましくは300kW/m以下である。
【0087】
難燃性膜材用シートの上記最大発熱速度が350kW/mを超えると、充分な難燃性を発現できなくなることがある。
【0088】
又、本発明の難燃性膜材用シートは、ASTM E 1354に準拠した燃焼試験において、50kW/mの輻射加熱条件下で30分間加熱し燃焼することにより得られた燃焼残渣を0.1cm/秒の速度で圧縮したときの降伏点応力が4.9×10Pa以上であることが好ましい。
【0089】
難燃性膜材用シートの上記降伏点応力が4.9×10Pa未満であると、僅かな衝撃により燃焼残渣が簡単に崩壊し、火災時に難燃性膜材用シート自体やこの難燃性膜材用シートを用いた後述する難燃性膜材にドリップ現象が発生して、延焼の危険性が生じることがある。
【0090】
又、本発明の難燃性膜材用シートは、酸素指数が26以上であることが好ましく、より好ましくは28以上であり、更に好ましくは30以上である。上記酸素は、例えば、ASTM D 2863「酸素指数によるプラスチックの燃焼性標準試験方法」に準拠して測定することができる。
【0091】
難燃性膜材用シートの上記最大発熱速度が350kW/m以下であることに加えて、酸素指数が26以上であると、難燃性膜材用シートを各種形態での難燃性膜材に用いた場合に、充分な難燃性をより確実に発現することができる。
【0092】
更に、本発明の難燃性膜材用シートは、自己消火性を有していることが好ましい。難燃性膜材用シートが自己消火性を有していないと、膜構造建築物用膜材やテント倉庫用膜材として使用される場合の難燃性膜材の実用性が不充分となることがある。
【0093】
次に、本発明の難燃性膜材は、上述した本発明の難燃性膜材用シートをシート状繊維の片面又は両面に積層してなる。
【0094】
上記難燃性膜材用シートの積層される層数は、難燃性膜材の用途や難燃性膜材に要求される性能等に応じて適宜設定されれば良く、特に限定されるものではない。又、難燃性膜材用シートをシート状繊維の両面に積層する場合、一方の面に積層される層数及び他方の面に積層される層数は、同一の層数であっても良いし、異なる層数であっても良い。
【0095】
上記シート状繊維としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニロン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の合成繊維や木錦、麻等の天然繊維の単独編織物又は混合編織物、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられ、なかでも、ポリエステル繊維及びガラス繊維が好適に用いられる。これらのシート状繊維は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0096】
又、上記合成繊維を構成する糸の形態としては、特に限定されるものではないが、例えば、フィラメント、紡績糸等が挙げられ、なかでも、防汚性の面から表面に繊維羽毛を有しないフィラメントが好適に用いられる。尚、上記糸の太さは、特に限定されるものではない。
【0097】
上記シート状繊維は、厚みが10〜500μmであることが好ましい。シート状繊維の厚みが10μm未満であると、得られる難燃性膜材の機械的強度が不充分となることがあり、逆にシート状繊維の厚みが500μmを超えると、得られる難燃性膜材の柔軟性や耐水性が不充分となることがある。
【0098】
上記シート状繊維は、得られる難燃性膜材の難燃性をより向上させるために、難燃剤により処理されたものであることが好ましい。
【0099】
上記難燃剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリリン酸カルバメート等が挙げられる。これらの難燃剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0100】
上記難燃剤によるシート状繊維の処理方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、シート状繊維に難燃剤を塗工する方法、シート状繊維を難燃剤中に浸漬して、難燃剤を含浸させる方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。
【0101】
シート状繊維に対する難燃剤の塗工量や含浸量は、特に限定されるものではないが、固形分換算で、10〜200g/mであることが好ましい。難燃剤の上記塗工量や含浸量が10g/m未満であると、充分な難燃性を得られないことがあり、逆に難燃剤の上記塗工量や含浸量が200g/mを超えると、シート状繊維自体が硬くなって、得られる難燃性膜材の柔軟性が不充分となることがある。
【0102】
又、上記シート状繊維は、得られる難燃性膜材の難燃性をより向上させるために、水100重量部、水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂5〜40重量部、層状珪酸塩0.5〜5重量部、珪素含有無機物0.5〜5重量部及び炭酸カリウム及び/又は過マンガン酸カリウム0.5〜5重量部を含有する水溶液により処理されたものであることが好ましい。
【0103】
上記水溶液によるシート状繊維の処理方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、シート状繊維に水溶液を塗工する方法、シート状繊維を水溶液中に浸漬して、シート状繊維中に水溶液を含浸させる方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。
【0104】
シート状繊維に対する水溶液の塗工量や含浸量は、特に限定されるものではないが、固形分換算で、10〜200g/mであることが好ましい。水溶液の上記塗工量や含浸量が10g/m未満であると、充分な難燃性を得られないことがあり、逆に水溶液の上記塗工量や含浸量が200g/mを超えると、シート状繊維自体が硬くなって、得られる難燃性膜材の柔軟性が不充分となることがある。
【0105】
又、上記シート状繊維は、得られる難燃性膜材の難燃性をより向上させるために、その片面又は両面に、水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂100重量部、層状珪酸塩5〜80重量部、珪素含有無機物1〜10重量部及び炭酸カリウム及び/又は過マンガン酸カリウム1〜10重量部を含有する樹脂シートを積層してなるものであることが好ましい。
【0106】
難燃性膜材の難燃性をより向上させるための、シート状繊維を上記水溶液により処理する方法及びシート状繊維の片面又は両面に上記樹脂シートを積層する方法は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【0107】
上記水溶液や樹脂シートに含有される水酸基含有樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの水酸基含有樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0108】
上記水溶液や樹脂シートに含有される主鎖中にエーテル基を含有する樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらの主鎖中にエーテル基を含有する樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0109】
上記水溶液や樹脂シートに含有される層状珪酸塩とは、結晶層間に交換性金属カチオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。
【0110】
上記層状珪酸塩としては、前述した本発明の難燃性膜材用シートに含有されるものと同様の層状珪酸塩で良く、特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられ、なかでも、モンモリロナイト及び/又は膨潤性マイカが好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、天然物であっても良いし、合成物であっても良い。又、これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0111】
上記層状珪酸塩としては、前記関係式(1)で定義される形状異方性効果の大きいスメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカを用いることが好ましい。形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、シート状繊維及び本発明の難燃性膜材はより優れた力学的物性を有するものとなる。
【0112】
上記層状珪酸塩の形状は、特に限定されるものではないが、凝集構造を解砕した結晶薄片の平均長さが0.01〜3μm、厚みが0.001〜1μm、アスペクト比が20〜500であるものが好ましく、より好ましくは、平均長さが0.05〜2μm、厚みが0.01〜0.5μm、アスペクト比が50〜200のものである。
【0113】
上記層状珪酸塩の結晶層間に存在する交換性金属カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウムやカルシウム等の金属のイオンのことであり、これらの金属のイオンは、カチオン性物質とカチオン交換性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)もしくは捕捉することができる。
【0114】
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量は、特に限定されるものではないが、50〜200ミリ等量/100gであることが好ましい。層状珪酸塩のカチオン交換容量が50ミリ等量/100g未満であると、カチオン交換により層状珪酸塩の結晶層間に挿入もしくは捕捉されるカチオン性物質の量が少なくなるために、結晶層間が充分に非極性化(疎水化)されないことがあり、逆に層状珪酸塩のカチオン交換容量が200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0115】
上記層状珪酸塩は、本発明の難燃性膜材用シートに含有される層状珪酸塩と同様に、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散していることが好ましく、より好ましくは、上記平均層間距離が6nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散していることである。
【0116】
本来、数十層の積層体である層状珪酸塩の層状分子が剥離して分散すると、層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が殆ど無視できるほどに弱まり、結晶薄片は水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂中で一定の間隔を保って微分散状態となり安定化する。その結果、層状珪酸塩は、結晶薄片層間の平均層間距離が大きくなると共に分散安定化して、燃焼時においては層状珪酸塩の結晶薄片の移動によって焼結体を形成し易くなる。即ち、層状珪酸塩の結晶薄片層が平均層間距離3nm以上で分散した水溶液が塗工又は含浸されたシート状繊維、又は、層状珪酸塩の結晶薄片層が平均層間距離3nm以上で分散した樹脂シートが片面又は両面に積層されたシート状繊維は、燃焼皮膜となり得る焼結体を形成し易くなる。この焼結体は燃焼時の早い段階で形成されるので、外界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により発生する可燃性ガスも遮断することができ、水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂の発熱速度を抑制することができる。即ち、優れた延焼防止性能を発現することが可能となる。従って、このような層状珪酸塩を水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂中に配合し、分散させて得られる水溶液が塗工又は含浸されたシート状繊維、又は、このような層状珪酸塩を水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂中に配合し、分散させて得られる樹脂シートが片面又は両面に積層されたシート状繊維は、著しく優れた難燃性、耐候性、機械的強度等の諸性能を発現するものとなる。又、層状珪酸塩の結晶薄片層間の平均層間距離が3nm以上、好ましくは6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層ごとに分離し、層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が殆ど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂中での分散状態が離砕安定化の方向に進行する利点がある。
【0117】
又、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散しているということは、本来数十層の積層体である層状珪酸塩の層状分子の一部又は全部が剥離して広く分散していることを意味しており、これも層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が弱まっていることになり、上記と同様の効果を得ることができる。又、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散しているということは、具体的には、層状珪酸塩の10%以上が5層以下に分散している状態にあることが好ましいことを意味し、より好ましくは層状珪酸塩の20%以上が5層以下に分散している状態である。
【0118】
層状珪酸塩の積層数は、5層以下に分層していることが好ましく、より好ましくは3層以下に分層していることであり、更に好ましくは単層状に分層(薄片化)していることである。
【0119】
本発明の難燃性膜材に用いられるシート状繊維において、層状珪酸塩の結晶薄片層間の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散している状態、即ち、水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂中に層状珪酸塩が高分散している状態であれば、水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂と層状珪酸塩との界面面積が増大し、層状珪酸塩の結晶薄片間の平均隣接距離が小さくなる。
【0120】
水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂と層状珪酸塩との界面面積が増大すると、層状珪酸塩の表面における水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂の拘束の度合いが高まり、弾性率等の機械的強度が向上する。又、層状珪酸塩の表面における水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂の拘束の度合いが高まると、溶融粘度が高くなって、樹脂シートの成形性も向上する。更に、層状珪酸塩の邪魔板効果により、水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂中の添加剤等のブリードアウトが抑制されると共に、層状珪酸塩の紫外線遮蔽効果により、シート状繊維及び本発明の難燃性膜材の耐候性が向上する。
【0121】
上記水溶液や樹脂シートに含有される珪素含有無機物としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカゲルやヒュームドシリカ等が挙げられる。これらの珪素含有無機物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0122】
水100重量部、水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂5〜40重量部、層状珪酸塩0.5〜5重量部、珪素含有無機物0.5〜5重量部及び炭酸カリウム及び/又は過マンガン酸カリウム0.5〜5重量部からなる特定の組成を有する水溶液が塗工又は含浸されたシート状繊維、及び/又は、水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂100重量部、層状珪酸塩5〜80重量部、珪素含有無機物1〜10重量部及び炭酸カリウム及び/又は過マンガン酸カリウム1〜10重量部からなる特定の組成を有する樹脂シートが片面又は両面に積層されたシート状繊維を用いることにより、本発明の難燃性膜材は、より優れた難燃性を発現するものとなる。
【0123】
本発明の難燃性膜材は、前述した本発明の難燃性膜材用シートを上記シート状繊維の片面又は両面に積層することにより製造することができる。
【0124】
難燃性膜材用シートとシート状繊維との積層方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、シート状繊維を難燃性膜材用シートを形成するための熱可塑性樹脂組成物溶液中に浸漬し、ロール等で絞った後、熱処理を行う方法(ディッピング法)、シート状繊維に上記熱可塑性樹脂組成物溶液を塗工した後、熱処理を行う方法(コーティング法)、カレンダー成形法や押出成形法等により難燃性膜材用シートを成形した後、加熱圧着ロール等により、難燃性膜材用シートとシート状繊維とを積層する方法(ラミネート法)、難燃性膜材用シートとシート状繊維とを接着剤を用いて積層する方法(接着法)等が挙げられ、いずれの方法が採られても良いが、なかでも、積層作業が容易且つ簡便であることから、ラミネート法や接着法を採ることが好ましい。
【0125】
上記接着剤としては、難燃性膜材用シートとシート状繊維との接着力に優れるものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、エラストマー(ゴム)系接着剤、アクリル系接着剤、ポリビニルエーテル系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられ、いずれの接着剤が用いられても良い。難燃性膜材用シートをシート状繊維の両面に積層する場合、一方の面に適用される接着剤及び他方の面に適用される接着剤は、同一の接着剤であっても良いし、異なる接着剤であっても良い。
【0126】
又、上記接着剤の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、溶剤型接着剤、非水ディスパージョン型接着剤、エマルジョン型(ディスパージョン型も含む)接着剤、ホットメルト型接着剤、シート状(フィルム状も含む)接着剤、反応型接着剤、光重合可能なモノマー型もしくはオリゴマー型接着剤等のいずれの形態であっても良い。
【0127】
こうして得られる本発明の難燃性膜材は、表面の防汚性、耐摩耗性、耐擦傷性等を向上させるために、その片面又は両面に保護層が積層されていることが好ましい。上記保護層としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂及びエチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種からなる保護層が好適に用いられる。難燃性膜材の両面に保護層を積層する場合、一方の面に積層される保護層及び他方の面に積層される保護層は、同一の保護層であっても良いし、異なる保護層であっても良い。
【0128】
難燃性膜材の片面又は両面に上記保護層を積層する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、予め保護層を形成するための保護シート(保護フィルムも含む)を成形し、この保護シートを難燃性膜材の所定の面に積層する方法や、保護層を形成するための樹脂組成物溶液を難燃性膜材の所定の面にコーティングする方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。
【0129】
本発明の難燃性膜材は、JIS A 1322「建築用薄物材料の難燃性試験方法」に規定される防炎2級以上の防炎性能を有することが好ましい。難燃性膜材の防炎性能が上記規定を満たさないと、充分な難燃性を発現せず、膜構造建築物用膜材やフレキシブルフェイスシート等としての実用性が不充分となることがある。
【0130】
又、本発明の難燃性膜材は、JIS L 1091「繊維製品の燃焼性試験方法」に規定される区分3以上の防炎性能を有することが好ましい。難燃性膜材の防炎性能が上記規定を満たさないと、充分な難燃性を発現せず、膜構造建築物用膜材やフレキシブルフェイスシート等としての実用性が不充分となることがある。
【0131】
本発明の難燃性膜材用シートは、難燃性、耐候性、耐水性、耐摩耗性、柔軟性及び抗張力等の力学的物性に優れている。又、この難燃性膜材用シートを用いてなる本発明の難燃性膜材は、上記と同様の優れた性能を発現する。
【0132】
本発明の難燃性膜材は、各種用途に使用することが可能であるが、なかでも、その熱可塑性を利用した熱融着、又は、縫製等の常法による加工を施すことにより、例えば、膜構造建築物、テント倉庫、フレキシブルフェイスシート(FFシート:電飾看板用シート)、屋外看板又は屋内看板等に好適に用いることができ、更に、その他にも、ファサード、トラック用幌、建築用養生シート、野積みシート、防水シート、遮水シート、フレキシブルコンテナ等に用いることが可能である。
【0133】
上記膜構造建築物としては、特に限定されるものではないが、例えば、イベントパビリオンやドーム等の天井膜、軒出しテント、日除けテント等が挙げられる。又、上記フレキシブルフェイスシートとしては、特に限定されるものではないが、例えば、カッティングシートを貼付することによって得られる電飾看板、屋外看板又は屋内看板、垂れ幕等が挙げられ、又、片面又は両面に受容層を設け、インクジェットプリンター又はグラビアロール等により印刷を施すことによって得られる電飾看板、屋外看板又は屋内看板、垂れ幕等が挙げられる。
【0134】
本発明の難燃性膜材を上記各種用途に用いることにより、高い難燃性を有し、耐候性、耐水性、耐摩耗性、柔軟性、抗張力等の力学的物性及び施工性に優れ、且つ、廃棄時に有害物質を排出せず環境に負荷をかけない膜構造建築物等を得ることができる。
【発明の効果】
【0135】
本発明の難燃性膜材用シートは、特定量の熱可塑性樹脂、特定量の層状珪酸塩及び特定量の非ハロゲン系難燃剤を含有してなるので、難燃性、耐候性、耐水性、耐摩耗性、柔軟性及び抗張力等の力学的物性に優れる。
【0136】
又、熱可塑性樹脂としてエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン及び/又はプロピレンとこれらと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を用い、層状珪酸塩としてモンモリロナイト及び/又は膨潤性マイカを用い、非ハロゲン系難燃剤として金属水酸化物、ベンゾオキサジン、メラミン誘導体及び金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を用いることにより、本発明の難燃性膜材用シートの上記性能は著しく向上する。
【0137】
本発明の難燃性膜材は、上記本発明の難燃性膜材用シートをシート状繊維の片面又は両面に積層してなるので、優れた難燃性、耐候性、耐水性、耐摩耗性、柔軟性及び抗張力等の力学的物性を発現する。
【0138】
又、シート状繊維を難燃剤や特定の組成を有する水溶液で処理したり、シート状繊維の片面又は両面に特定の組成を有する樹脂シートを積層することにより、本発明の難燃性膜材の難燃性は著しく向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0139】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
尚、実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
【0140】
(実施例1)
日本製鋼所社製の小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(商品名「A4250」、日本ポリオレフィン社製)84.6部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー(商品名「ER403A」、日本ポリオレフィン社製)7.7部、水酸化マグネシウム(商品名「キスマ5J」、協和化学工業社製)40部、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ(商品名「ソマシフMAE−100」、コープケミカル社製)7.7部及びシリコーン・アクリル複合ゴム(商品名「メタブレンSX−005」、三菱レイヨン社製)3.5部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0141】
(実施例2)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」84.6部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」7.7部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部及びジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0142】
(実施例3)
エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」84.6部の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名「ウルトラセン#634」、東ソー社製)84.6部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0143】
(実施例4)
ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部の代わりに、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施したモンモリロナイト(商品名「ニューエスベンD」、豊順鉱業社製)7.7部を用い、更に、シリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」2部を配合したこと以外は実施例2と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0144】
(実施例5)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」95.15部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」3.85部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部及びジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」1部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0145】
(実施例6)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」81.15部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」3.85部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部及びジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」15部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0146】
(比較例1)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」100部及び水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練した。それ以降は実施例2と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0147】
(比較例2)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体「ウルトラセン♯634」84.6部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」7.7部及び有機化処理を施していない膨潤性フッ素マイカ(商品名「ソマシフME−100」、コープケミカル社製)7.7部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練した。それ以降は実施例2と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0148】
(実施例7)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」92.3部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部及びシリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」2部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0149】
(実施例8)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」)84.6部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」7.7部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施したモンモリロナイト「ニューエスベンD」7.7部及びシリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」2部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0150】
(実施例9)
ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施したモンモリロナイト「ニューエスベンD」7.7部の代りに、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部を用い、更に、シリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」2部の代わりに、ベンゾオキサジンとして6,6’−(1−メチルエチリデン)ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−2H−1,3−ベンゾオキサジン10部を用いたこと以外は実施例8と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0151】
(実施例10)
ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施したモンモリロナイト「ニューエスベンD」7.7部の代りに、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部を用い、更に、シリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」2部の代わりに、シリコーンオイル(商品名「KF96H−100000」、信越化学工業社製)2部を用いたこと以外は実施例8と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0152】
(実施例11)
水酸化マグネシウム「キスマ5J」の配合量を40部から20部に変更したこと以外は実施例10と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0153】
(実施例12)
水酸化マグネシウム「キスマ5J」の配合量を40部から60部に変更したこと以外は実施例10と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0154】
(比較例3)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」100部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部及びシリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」2部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練した。それ以降は実施例8と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0155】
(比較例4)
小型押出機「TEX30」中に、ポリエチレン樹脂(商品名「HB530」、日本ポリケム社製)84.6部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」7.7部、有機化処理を施していない膨潤性フッ素マイカ「ソマシフME−100」7.7部及びシリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」0.05部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練した。それ以降は実施例8と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0156】
(実施例13)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」)84.6部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」7.7部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部及びシリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」2部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0157】
(実施例14)
エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」84.6部の代わりに、ポリエチレン樹脂「HB530」84.6部を用いたこと以外は実施例13と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0158】
(実施例15)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」88.45部、酸変性ブロックポリマー(商品名「CB−OM22」、クラレ社製)3.85部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部及びジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施したモンモリロナイト「ニューエスベンD」7.7部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0159】
(実施例16)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」84.6部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」7.7部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施したモンモリロナイト「ニューエスベンD」7.7部及びフッ素含有樹脂(商品名「メタブレンS−2000」、三菱レイヨン社製)5部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0160】
(実施例17)
エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」の配合量を84.6部から88.45部に変更し、更に、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」7.7部の代わりに、酸変性ブロックポリマー「CB−OM22」3.85部を用いたこと以外は実施例16と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0161】
(実施例18)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」58.45部、ポリプロピレン樹脂(商品名「EA9」、日本ポリケム社製)10部、SEBSエラストマー(商品名「タフテックH1052」、旭化成工業社製)20部、酸変性ブロックポリマー「CB−OM22」3.85部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部及びフッ素含有樹脂「メタブレンS−2000」5部を充填し、設定温度220℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0162】
(比較例5)
小型押出機「TEX30」中に、ポリエチレン樹脂「HB530」84.6部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」7.7部及び有機化処理を施していない膨潤性フッ素マイカ「ソマシフME−100」7.7部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0163】
(比較例6)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」70部、ポリプロピレン樹脂「EA9」10部、SEBSエラストマー「タフテックH1052」20部及び水酸化マグネシウム「キスマ5J」170部を充填し、設定温度220℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み1mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、20重量%ポリリン酸カルバメート水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み2mmの難燃性膜材を作製した。
【0164】
(比較例7)
水酸化マグネシウム「キスマ5J」の配合量を170部から70部に変更したこと以外は比較例6と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0165】
(実施例19)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」84.6部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」7.7部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部及びシリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」3.5部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み0.5mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、水400g、ポリビニルアルコール(商品名「ポバール#205」、クラレ社製)100g、有機化処理を施していない膨潤性フッ素マイカ「ソマシフME−100」10g、シリカゲル(20〜125メッシュ)4g及び炭酸カリウム6gからなる水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み1mmの難燃性膜材を作製した。
【0166】
(実施例20)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」84.6部、無水マレイン酸変性エチレンオリゴマー「ER403A」7.7部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部及びジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み0.5mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、水400g、ポリビニルアルコール「ポバール#205」100g、有機化処理を施していない膨潤性フッ素マイカ「ソマシフME−100」10g、シリカゲル(20〜125メッシュ)4g及び炭酸カリウム6gからなる水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み1mmの難燃性膜材を作製した。
【0167】
(実施例21)
エチレン−アクリル酸エチル共重合体「A4250」84.6部の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体「ウルトラセン#634」84.6部を用いたこと以外は実施例20と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0168】
(実施例22)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体「ウルトラセン#634」84.6部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部、シリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」5部及びメラミンシアヌレート(商品名「MC−610」、日産化学社製)30部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み0.5mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、水400g、ポリビニルアルコール「ポバール#205」100g、有機化処理を施していない膨潤性フッ素マイカ「ソマシフME−100」10g、シリカゲル(20〜125メッシュ)4g及び炭酸カリウム6gからなる水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み1mmの難燃性膜材を作製した。
【0169】
(実施例23)
小型押出機「TEX30」中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体「ウルトラセン#634」84.6部、水酸化マグネシウム「キスマ5J」40部、ジステアリルジメチル4級アンモニウム塩で有機化処理を施した膨潤性フッ素マイカ「ソマシフMAE−100」7.7部、シリコーン・アクリル複合ゴム「メタブレンSX−005」5部、メラミンシアヌレート「MC−610」30部及び硼酸亜鉛(商品名「アルカネックスFRC−150」10部を充填し、設定温度180℃にて溶融混練して、押し出されたストランドをペレタイザーにてペレット化した。次に、得られたペレットを180℃に温調した熱プレスにより厚み0.5mm(25cm×30cm)のシート状に成形し、難燃性膜材用シートを作製した。次いで、得られた難燃性膜材用シートを、水400g、ポリビニルアルコール「ポバール#205」100g、有機化処理を施していない膨潤性フッ素マイカ「ソマシフME−100」10g、シリカゲル(20〜125メッシュ)4g及び炭酸カリウム6gからなる水溶液中に浸漬し乾燥処理を行ったポリエステル繊維の両面に積層し、180℃に温調した熱プレスでプレスして、厚み1mmの難燃性膜材を作製した。
【0170】
(比較例8)
未処理のポリエステル繊維を用いたこと以外は実施例20と同様にして、難燃性膜材用シート及び難燃性膜材を作製した。
【0171】
実施例1〜実施例23、及び、比較例1〜比較例8で作製した難燃性膜材用シート及び難燃性膜材について、下記の方法により、難燃性膜材用シートについては、層状珪酸塩の平均層間距離、層状珪酸塩の分散状態、密度、酸素指数、最大発熱速度、燃焼残渣の降伏点応力の測定を行い、又、難燃性膜材については、JIS A 1322及びJIS L 1091に規定された防炎性能の評価を行った。その結果は表1〜表4に示すとおりであった。
【0172】
(層状珪酸塩の平均層間距離)
X線回折測定装置(商品名「RINT1100」、リガク社製)を用いて、難燃性膜材用シート中の層状珪酸塩の積層面の回折より得られる回折ピークの2θを測定し、下記式(3)のブラックの回折式を用いて層状珪酸塩の(001)面間隔を算出し、この式により得られたdを平均層間距離とした。
λ=2dsinθ (3)
式中、dは層状珪酸塩の面間隔を表し、θは回折角を表し、λは1.54である。
【0173】
(層状珪酸塩の分散状態)
透過型電子顕微鏡(TEM、商品名「JEM−1200EX II」、日本電子社製)写真により難燃性膜材用シート中の層状珪酸塩の分散状態を観察し、下記判定基準により分散状態を評価した。
〔判定基準〕
◎‥‥層状珪酸塩の20%以上が5層以下で存在していた。
○‥‥層状珪酸塩が5層以下で存在しているものを含んで分散していた。
×‥‥層状珪酸塩の全てが5層を超えて存在していた。
【0174】
(密度)
常法に従って難燃性膜材用シートの密度を測定した。
【0175】
(酸素指数)
燃焼試験ASTM D 2863に準拠して、試験片(70mm×6mm×3mm厚)を自立させて燃焼試験を行った。所定の酸素濃度の酸素と窒素との混合気体下で燃焼させた時、3分以上燃焼し続けるか、又は、3分以内に50mm以上燃焼する場合に、燃焼を維持できると判断し、燃焼を維持できる最低の酸素濃度の時の混合気体中の容量%で表される酸素濃度の数値を酸素指数とした。即ち、酸素指数以下の酸素濃度では自己消火することを意味する。
【0176】
(最大発熱速度及び燃焼残渣の降伏点応力)
燃焼試験ASTM E 1354に準拠して、試験片(100mm×100mm×3mm厚)にコーンカロリーメーターによって50kW/mの熱線を照射し燃焼させた。加熱開始後から試験片に着火するまでの時間を測定して、最大発熱速度を求めた。又、燃焼後、燃焼残渣の生成を観察し、生成した燃焼残渣については、ハンディー圧縮試験機(商品名「KES−G5」、カトーテック社製)を用いて、圧縮速度0.1cm/秒で降伏点応力を測定した。
【0177】
(防炎性能)
JIS A 1322及びJIS L 1091に規定された条件で防炎性能の評価を行い、それぞれの規定の基準に従って、合格又は不合格の判定を行った。
【0178】
【表1】

【0179】
【表2】

【0180】
【表3】

【0181】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明の難燃性膜材用シート及び難燃性膜材は、上記の構成を有するので、燃焼時に焼結体が形成され、燃焼残渣の形状が保持される。従って、燃焼後も形状崩壊が起こらず、延燃を防ぐことができる。又、層状珪酸塩は通常の難燃剤のように大量に配合しなくとも優れた難燃性を付与することができるので、燃焼前の力学的物性が保持され、且つ、熱可塑性樹脂の密度が高くならず、ポリ塩化ビニル樹脂等との分別に有利である。
【0183】
以上述べたように、本発明の難燃性膜材用シートは、難燃性、耐候性、耐水性、耐摩耗性、柔軟性及び抗張力等の力学的物性に優れるので、難燃性膜材用等として好適に用いられる。
【0184】
又、本発明の難燃性膜材は、上記本発明の難燃性膜材用シートを用いて作製されるので、上記優れた諸性能を兼備するものであり、膜構造建築物用、テント倉庫用、フレキシブルフェイスシート用、屋外看板用、屋内看板用等を始め、各種用途むけの膜材として好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性膜材用シートをシート状繊維の片面又は両面に積層してなる難燃性膜材であって、
前記難燃性膜材用シートは、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン及び/又はプロピレンとこれらと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂100重量部と、層状珪酸塩0.1〜100重量部と、非ハロゲン系難燃剤5〜100重量部とを含有するものであり、
前記層状珪酸塩は、前記難燃性膜材用シート中において、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散している
ことを特徴とする難燃性膜材。
【請求項2】
層状珪酸塩は、モンモリロナイト及び/又は膨潤性マイカであることを特徴とする請求項1記載の難燃性膜材。
【請求項3】
層状珪酸塩は、炭素数6以上のアルキル鎖を1個以上有する4級アンモニウム塩を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の難燃性膜材。
【請求項4】
層状珪酸塩は、難燃性膜材用シート中において、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散していることを特徴とする請求項1、2又は3記載の難燃性膜材。
【請求項5】
非ハロゲン系難燃剤は、金属水酸化物、ベンゾオキサジン、メラミン誘導体及び金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の難燃性膜材。
【請求項6】
難燃性膜材用シートは、更に、フッ素樹脂、シリコーンオイル、シリコーン・アクリル複合ゴム及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の難燃助剤0.1〜20重量部を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の難燃性膜材。
【請求項7】
難燃性膜材用シートは、更に、酸化チタン1〜20重量部を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の難燃性膜材。
【請求項8】
難燃性膜材用シートは、更に、ブルーイング剤及び/又は蛍光顔料0.1〜10重量部を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の難燃性膜材。
【請求項9】
難燃性膜材用シートの厚みが0.1〜2mmであり、且つ、密度が0.90〜1.25g/cm3 であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の難燃性膜材。
【請求項10】
接着剤を用いて難燃性膜材用シートをシート状繊維の片面又は両面に積層してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の難燃性膜材。
【請求項11】
シート状繊維は、合成繊維、天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の難燃性膜材。
【請求項12】
シート状繊維の厚みが10〜500μmであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載の難燃性膜材。
【請求項13】
シート状繊維は、難燃剤により処理されたものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の難燃性膜材。
【請求項14】
シート状繊維は、水100重量部、水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂5〜40重量部、層状珪酸塩0.5〜5重量部、珪素含有無機物0.5〜5重量部及び炭酸カリウム及び/又は過マンガン酸カリウム0.5〜5重量部を含有する水溶液により処理されたものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の難燃性膜材。
【請求項15】
シート状繊維は、その片面又は両面に、水酸基含有樹脂及び/又は主鎖中にエーテル基を含有する樹脂100重量部、層状珪酸塩5〜80重量部、珪素含有無機物1〜10重量部及び炭酸カリウム及び/又は過マンガン酸カリウム1〜10重量部を含有する樹脂シートを積層してなるものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載の難燃性膜材。
【請求項16】
水酸基含有樹脂は、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びエチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項14又は15記載の難燃性膜材。
【請求項17】
主鎖中にエーテル基を含有する樹脂は、ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールであることを特徴とする請求項14又は15記載の難燃性膜材。
【請求項18】
珪素含有無機物は、シリカゲル及び/又はヒュームドシリカであることを特徴とする請求項14、15、16又は17記載の難燃性膜材。
【請求項19】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18記載の難燃性膜材の片面又は両面に、フッ素樹脂、アクリル樹脂及びエチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種からなる保護層を積層してなることを特徴とする難燃性膜材。
【請求項20】
膜構造建築物用膜材として使用されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19記載の難燃性膜材。
【請求項21】
テント倉庫用膜材として使用されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19記載の難燃性膜材。
【請求項22】
フレキシブルフェイスシート用膜材として使用されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19記載の難燃性膜材。
【請求項23】
屋外看板用膜材又は屋内看板用膜材として使用されることを請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19記載の難燃性膜材。

【公開番号】特開2009−1012(P2009−1012A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149715(P2008−149715)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【分割の表示】特願2002−216827(P2002−216827)の分割
【原出願日】平成14年7月25日(2002.7.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】