説明

電力増幅モジュール

【課題】 本発明は任意の周波数帯を増幅する高周波電力増幅器を共通の基板で生産できる高周波モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】 基板212に固定した高周波用半導体素子を有する半導体チップ213を、基板212に形成された導体パターンにボンディングワイヤにより配線するとともに、前記ボンディングワイヤを、前記導体パターンにより形成された分布定数線路の途中にボンド位置Jに接続して前記第1のインダクタL22と第2のインダクタL23とに分割して取り扱い周波数整合または出力負荷整合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力増幅モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯端末などに用いられる電力増幅モジュールは、携帯端末の小型化・低コスト化の要求を受け、常に一層の小型化・低コスト化を要求されている。
また、通信サービスの“いつでも・どこでも”が一国内から、ワールドワイドに拡大され、さらには2Gからより高度な3Gへの通信方式の過渡期に差し掛かっている。このような状況から携帯端末は仕向地や対応する事業者によって、必要とされる周波数帯域や変調方式に対応しなければならないが、最近では発振器や変調器も集積回路化され、共通となっていることも多い。
【0003】
しかしながら電力増幅モジュールにおいては、変調方式によって求められる特性に大きく違いがある点、また、複数の周波数帯域に対応するためには、増幅用の半導体素子・整合回路を必要数設ける必要があるため、特性維持には共通化も限界がある。結果、電力増幅モジュールについては他の部分と比べ共通化による利点が少なく、各仕様に対して個別の商品として納品されているのが実情である。
【0004】
電力増幅モジュール自体の内部要素は、バイアス回路、増幅素子、整合回路、保持する基板と、シンプルな構成であり、各々の設計技術の基礎は共通であり要素そのものは互いに流用可能となることが多い。
【0005】
特に整合回路を集中定数で構成した場合、周波数帯域の対応は定数の変更のみで対応できる可能性が高い。
図11は(特許文献1)の電力増幅器を示す。
【0006】
この電力増幅器は、高周波トランジスタQ11と、入力整合回路12と、出力整合回路13と、ドレインマイクロストリップ線路L12とを具備している。14は入力端子、C11は入力結合用コンデンサ、L11は入力側マイクロストリップ線路、C12は入力整合用コンデンサ、15はバイアス電圧供給端子、16はドレインバイアス供給端子、L12はドレインマイクロストリップ線路、C14は出力整合用コンデンサ、L14は出力整合用マイクロストリップ線路、C16は出力結合用コンデンサ、17は出力端子である。
【0007】
出力整合回路13は、途中で分割されたマイクロストリップ線路L13と、これら分割されたマイクロストリップ線路L13の間を接続する抵抗R15とにより並列回路18が構成されている。
【0008】
周波数の高域は前記並列回路18のコンデンサ成分C15をそのまま伝搬し、周波数の低域は抵抗R15を介して伝搬して、出力端子17に接続された負荷抵抗との整合を周波数の高域・低域ともにとることができる。
【特許文献1】特開2003−188664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図11の構成では、周波数の高域の整合範囲が、マイクロストリップ線路L13とコンデンサ成分C15によって限定されるという問題がある。このため上記背景技術にて述べたように、複数の周波数帯域に対応する電力増幅モジュールを作成するためには、マイクロストリップ線路L13の長さを個別最適とした各々専用の電力増幅基板を設計する必要がある。このため、部品の共通化という点に対して課題である。
【0010】
そしてマイクロストリップ線路L13を補正するために集中定数部品のインダクタを追加して周波数帯域の整合の最適化を行い基板の共通化を図ったとしても、素子自身の価格と実装コストが追加で必要となり、低コスト化の要求とは反する結果となり、完全な解決とはいえない。
【0011】
さらに、複数の周波数帯域に対応した電力増幅モジュールを製造する場合、とりうる可能性のある組み合わせに対応した基板を各々作成しなければならず、品種数が膨大となり効率が悪い。
【0012】
本発明は、任意の周波数帯を増幅する高周波電力増幅器を共通の基板で生産できる高周波モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の電力増幅モジュールは、高周波増幅用半導体素子の出力に第1のインダクタを介してバイアス電圧を印加し、高周波増幅用半導体素子の出力と第1のインダクタとの接続点から第2のインダクタを介して出力信号を取り出す電力増幅モジュールであって、基板に固定した前記高周波用半導体素子を、前記基板に形成された導体パターンにボンディングワイヤにより配線するとともに、前記高周波用半導体素子からのボンディングワイヤを、前記導体パターンにより形成された分布定数線路の途中にボンド接続して前記第1のインダクタと第2のインダクタとに分割して取り扱い周波数整合または出力負荷整合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この構成によると、本発明の電力増幅モジュールは出力整合回路の分布定数線路の長さを電力増幅モジュール基板の配線を変更することなく、任意に設定することが可能なので、使用する複数の周波数帯域、出力電力に応じた専用の電力増幅モジュール基板を各々用意する必要が無く、共通の基板による対応が実現できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の各実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図6は本発明の(実施の形態1)を示す。
【0016】
なお、携帯端末などに用いられるこの電力増幅モジュールは、取り扱い周波数帯域毎の高周波増幅回路が単一の基板上に構築されているが、各帯域による構成には差が無いため、先ず、単体の高周波増幅回路について説明する。
【0017】
図1は、単体の電力増幅モジュールの具体的な回路例を示している。図示された電気回路は、携帯電話装置などの各種の通信機器において、電力増幅モジュールとして周知のものである。但し、図1は単なる例示に過ぎず、本発明に関わる電力増幅モジュールが、図に示される回路に限定されるものでないことは言うまでも無い。
【0018】
図に例示された電力増幅モジュールの高周波増幅回路は、2つの高周波増幅用半導体素子TR21,TR22を含んでいる。高周波増幅用半導体素子TR21,TR22のそれぞれには、整合回路、コレクタバイアス回路、ベースバイアス回路が接続され、1つの回路ブロックを形成する。
【0019】
高周波増幅用半導体素子TR21,TR22はバイポーラトランジスタで構成され、入力端子Pinから供給された入力信号は、キャパシタC21及びインピーダンス素子Z21を通って高周波増幅用半導体素子TR21のベースに供給される。キャパシタC21及びインピーダンス素子Z21は、入力信号ラインのインピーダンス(50Ω)とのインピーダンス整合をとる整合回路を構成する。
【0020】
高周波増幅用半導体素子TR21によって電力増幅された信号は、コレクタバイアス回路を構成するインダクタ素子L21と、キャパシタC22とによって構成されたインピーダンス整合回路を通して、高周波増幅用半導体素子TR22のベースに供給される。
【0021】
高周波増幅用半導体素子TR22によって電力増幅された信号は、キャパシタC23と、インダクタ素子L23と、インダクタ素子L24とキャパシタC24とで構成された2次高調波対策部A3と、インダクタ素子L25と、キャパシタC25とキャパシタC26とで構成された出力整合部A2を通して出力端子Poutに供給され出力される。
【0022】
高周波増幅用半導体素子TR21に接続されたバイアス回路211は、端子A,B,Cを持ち、端子Aに制御電圧を加え、端子Bに直流電源を加えた際、端子Bに加えられた直流電源を端子Aによって制御した直流電圧及び電流を端子Cに出力する機能を有する。端子AはVref端子に接続し、端子BはVdc端子に接続し、端子Cは高周波増幅用半導体素子TR21のベースに接続し、バイアスを供給する。
【0023】
高周波増幅用半導体素子TR22に接続されたバイアス回路221もバイアス回路211と同様であり、端子AはVref端子に接続し、端子BはVdc端子に接続し、端子Cは高周波増幅用半導体素子TR22のベースに接続し、バイアスを供給する。
【0024】
コレクタバイアス回路を構成するインダクタL21の一方は、先に述べた通り高周波増幅用半導体素子TR21のコレクタ端に接続されるが、他方は第1の電源端子Vcc1とキャパシタC27の一方が接続されている。キャパシタC27の他方は接地されている。
【0025】
コレクタバイアス回路を構成するインダクタL22の一方は、先に述べた通り高周波増幅用半導体素子TR22のコレクタ端に接続されるが、他方は第2の電源端子Vcc2とキャパシタC28の一方が接続されている。キャパシタC28の他方は接地されている。
【0026】
出力整合部A2は、電力増幅モジュールが取り扱う周波数帯、例えば1750〜1770MHzの周波数帯において増幅する対象となる周波数帯(基本波)において、インピーダンス整合をとるための回路である。高周波増幅用半導体素子TR22のコレクタ端子には、インダクタンス素子L23の一方と他方が接地されたキャパシタC23が接続され、インダクタンス素子L23の他方はインダクタンス素子L25の一方と2次高調波対策部A3に内包されるインダクタンス素子L24と接続される。インダクタンス素子L25の他方はキャパシタC25の一方と接続され、キャパシタC25の他方は出力端子Poutと他方が接地されたキャパシタC26と接続されている。
【0027】
基本波以外の周波数が出力に伝送した場合には通信機器としての特性劣化となるため、2次高調波対策部A3は2次高調波成分の出力への伝送を防ぐ役割を持つ。このため、インダクタンス素子L24及びキャパシタC24からなる回路のインピーダンスは、高周波増幅用半導体素子TR22のコレクタ端子から出力端子Pout側を見た場合のインピーダンスZLが、2次高調波の周波数でゼロになるように設計される。
【0028】
バイアス回路及びコレクタバイアス部A1は、高周波増幅用半導体素子TR22を増幅器として機能させるために、高周波増幅用半導体素子TR22に直流バイアスを印加させるためのものである。例えば、ベース電圧に1.3ボルト、コレクタバイアス端子に直流電圧3.5ボルトを供給し、直流電流400mAを流した状態で、f=1750MHz、P=16dBmの信号をベース端子に入力すると、コレクタ端子に28dBmの信号が得られ、高周波増幅用半導体素子TR22では12dBの増幅度が得られる。
【0029】
また、バイアス回路及びコレクタバイアス部A1では、高周波増幅用半導体素子TR22に直流バイアスを印加させると共に、信号を外部へ漏洩させないようにするため、インダクタンス素子L22を(λ/4)パターン長を有するマイクロストリップ線路(導体パターン)によって構成し、接地されたキャパシタC28と接続してある。
【0030】
図2は図1に示した高周波増幅回路が取り扱い周波数帯域毎の2つが単一の基板上に構築されている電力増幅モジュールの回路図、図3は図2に示した電力増幅モジュールの基板表面図、図4は図2に示した電力増幅モジュールの基板裏面図で、図3に示した部品面の側から透視した状態で図示した。図5は図2に示した電力増幅モジュールの基板断面図である。
【0031】
この図2〜図5に基づいて具体的に説明する。
この電力増幅モジュールは、図1にて説明した電力増幅回路を2つ内包しており、誘電体基板212と、半導体チップ213,半導体チップ313と、キャパシタC24,C26,C27,C28,C34,C36,C37,C38を有する。
【0032】
誘電体基板212は、表面に導体パターン215、裏面に導体パターン222を形成し、導体パターン215と導体パターン222はスルーホール214によって接続される。
図示の誘電体基板212は単層であるが、これに限定されるものではなく、複数層を積層した多層構造であっても構わない。
【0033】
誘電体基板212は図2にて示された回路図に含まれる半導体チップ213,半導体チップ313とキャパシタC24,C26,C27,C28,C34,C36,C37,C38を搭載し、且つ、インダクタンス素子L21,L22,L23,L24,L25,L31,L32,L33,L34,L35を表面の導体パターン215によって形成し、必要な回路構成となるよう接続される。
【0034】
誘電体基板212には、信号入力用端子Pin−1、Pin−2、信号出力用端子Pout−1、Pout−2、接地端子GND及び電源端子Vref−1、Vref−2、Vdc−1、Vdc−2、Vcc1−1、Vcc1−2、Vcc2−1、Vcc2−2が裏面の導体パターン222により電極の形態で形成される。
【0035】
また、半導体チップ213,半導体チップ313はMMIC(Microwave Monolithic IC)であり、図2で述べた回路図において、半導体チップ213はバイアス回路211,バイアス回路221、キャパシタC21,C22,C23、インピーダンス素子Z21を内包し、パッドPad21〜Pad25を介してボンディングワイヤにより誘電体基板212上の導体パターン215と接続される。
【0036】
また、半導体チップ213に内包する素子のGNDは半導体チップ213の裏面と導体パターン215を銀ペーストなどの導電性接着剤を介して接続されている。
半導体チップ313も同様の構成を有し、バイアス回路311,バイアス回路321、キャパシタC31,C32,C33、インピーダンス素子Z31を内包し、パッドPad31〜Pad35を介してボンディングワイヤにより誘電体基板212と接続される。また、半導体チップ313に内包する素子のGNDは半導体チップ313の裏面と導体パターン215を銀ペーストなどの導電性接着剤を介して接続されている。
【0037】
また、半導体チップ213,半導体チップ313は、信頼性確保のため封止用樹脂216により封止した状態で実装される。
ここで先に述べた出力整合部A2が内包するインダクタンス素子L23と、コレクタバイアス部A1が内包するL22とは1本のマイクロストリップ線路で構成し、高周波増幅用半導体素子TR22のコレクタ端子と接続するためのボンディングワイヤのボンド位置Jによってインダクタンス素子L22とインダクタンス素子L23に分けている。ここでは半導体チップ213の側について説明したが半導体チップ313の側の場合も同様であり、出力整合部A2が内包するインダクタンス素子L33と、コレクタバイアス部A1が内包するL32とは1本のマイクロストリップ線路で構成し、高周波増幅用半導体素子TR32のコレクタ端子と接続するためのボンディングワイヤのボンド位置Jによってインダクタンス素子L32とインダクタンス素子L33に分けている。図6は半導体チップ213の側の取り扱い周波数を切り換えた場合を示している。
【0038】
このような構成とすることで、ボンディングワイヤのボンド位置Jの変更のみで、インダクタンス素子L23のインダクタンス値、インダクタンス素子L33のインダクタンス値を任意に変更することが可能となる。
【0039】
なお、インダクタンス素子L23の長さによって任意の周波数帯域に最適化するため、周波数帯域によって、インダクタンス素子L22,L32の長さが従属的に変動するが、実際の使用状態ではインダクタンス素子L22,L32の長さの変動による整合の変動は小さく、他素子の定数変更で吸収されるため、必ずしも十分な長さをとる必要は無い。
【0040】
また、他の回路部品の配置においては特に限定は無く、図3,図4,図5によって示した図は一例である。この例ではキャパシタはチップ部品で構成し、半田付けなどによって取り付けられるが、例えば誘電体基板を多層にし、層間の導体パターンによって形成しても構わない。
【0041】
実際の整合定数をシミュレーション結果によって示すと、誘電体基板212の厚み160μm、比誘電率4.07、マイクロストリップ線路の幅=0.15mmとした場合、キャパシタンスの容量と、インダクタンス素子の長さはそれぞれ、C23=2.6pF、C24=1.8pF、C25=5pF、C26=2pF、L22=12mm、L23=2.8mm、L24=1.5mm、L25=0.9mmとした時、周波数1980MHzにおいて高周波増幅用半導体素子TR23の負荷インピーダンスは3.3−2.0jである。ここで、周波数1750MHz対応とする場合、L23=3.5mm、L22=11.3mm、C26=2.7pFとすることで、高周波増幅用半導体素子TR23の負荷インピーダンスは3.3−2.0jとなる。
【0042】
このように、周波数帯域の変更がボンディングの変更とキャパシタ容量の変更で対応可能となり、複数周波数帯域の対応が基板のパターンの変更無しで可能となった。
(実施の形態2)
図7は高周波増幅回路が取り扱い周波数帯域毎の2つが単一の基板上に構築されている電力増幅モジュールを示しており、図3に示した(実施の形態1)とは導体パターンによって形成されたインダクタンス素子L22,L23の長さの割合が異なる他は同様であり、インダクタンス素子L22とインダクタンス素子L23の合わせた長さと、インダクタンス素子L22とインダクタンス素子L23の割合を変更することにより異なる周波数帯域の対応と、異なる出力レベルの対応が可能となる。
【0043】
実際の整合定数をシミュレーション結果によって示す。
誘電体基板212の厚み160μm、比誘電率4.07、マイクロストリップ線路の幅=0.15mmとした場合、キャパシタンスの容量と、インダクタンス素子の長さはそれぞれ、C23=3.6pF、C24=9.8pF、C25=1000pF、C26=1.85pF、L22=9.25mm、L23=5.55mm、L24=1.5mm、L25=0.9mmとした時、周波数810MHzにおいて高周波増幅用半導体素子TR23の負荷インピーダンスは3.9−0.2jである。ここで、周波数920MHz対応とする場合、L23=4.55mm、L22=10.25mm、C26=0.5pFとすることで、高周波増幅用半導体素子TR23の負荷インピーダンスは3.1−0.2jとなる。実部のインピーダンスを変えることで、負荷出力レベルの変更に対応する。このように、周波数帯域の変更と出力レベルの変更がボンディングの変更とキャパシタ容量の変更で対応可能となり、複数周波数帯域の対応が基板変更無しで可能となっている。
【0044】
(実施の形態3)
図8は高周波増幅回路が取り扱い周波数帯域毎の2つが単一の基板上に構築されている電力増幅モジュールを示しており、導体パターンによって形成されたインダクタンス素子L22,L23をボンディングにより分けるボンド位置Jを明確化するために、ボンド位置Jの周辺をレジスト231で覆い、インダクタンス素子L32,L33をボンディングにより分けるボンド位置Jを明確化するために、ボンド位置Jの周辺をレジスト331により覆うことで、任意の周波数もしくは出力レベルの設定を容易にしている点だけが図3に示した(実施の形態1)とは異なっている。
【0045】
また、このレジスト231,331は一例の図示であり、この素材や、明確化するための覆いの形状は図8に制限されるものではない。
(実施の形態4)
図9は高周波増幅回路が取り扱い周波数帯域毎の2つが単一の基板上に構築されている電力増幅モジュールを示しており、導体パターンによって形成されたインダクタンス素子L22,L23をボンディングにより分けるボンド位置Jを明確化するために、ボンド位置Jの周辺をマーク232、導体パターンによって形成されたインダクタンス素子L32,L33をボンディングにより分けるボンド位置Jを明確化するために、ボンド位置Jの周辺にマーク332を設けることで、ボンド位置を明確化し、任意の周波数もしくは出力レベルの設定を容易にしている点だけが図3に示した(実施の形態1)とは異なっている。
【0046】
また、このマーク232,332は一例の図示であり、この形状や位置で制限されるものではない。
(実施の形態5)
図10は高周波増幅回路が取り扱い周波数帯域毎の2つが単一の基板上に構築されている電力増幅モジュールを示しており、導体パターンによって形成されたインダクタンス素子L22,L23をボンディングにより分けるボンド位置Jを明確化するために、ボンド位置Jの導体パターンにメッキなどによりバンプ241,242を形成し、導体パターンによって形成されたインダクタンス素子L32,L33をボンディングにより分けるボンド位置Jを明確化するために、ボンド位置Jの導体パターンにメッキなどによりバンプ243,244を形成することで、ボンド位置を明確化し、任意の周波数もしくは出力レベルの設定を容易にしている点だけが図3に示した(実施の形態1)とは異なっている。
【0047】
また、このバンプ241,242,243,244は一例の図示であり、この形状や位置で制限されるものではない。
以上のような構造とすることで、任意の周波数帯域を増幅する高周波電力増幅回路を複数持つ電力増幅モジュールを共通の基板によって生産することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明にかかる電力増幅モジュールは、任意の周波数帯を増幅する高周波電力増幅器を複数持つ構成を共通の基板で生産することが可能となるため、携帯端末などの低コスト化、生産性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の(実施の形態1)に係る単体の電力増幅モジュールの回路図
【図2】同実施の形態に係る電力増幅モジュールの回路図
【図3】同実施の形態に係る電力増幅モジュールの基板表面図
【図4】同実施の形態に係る電力増幅モジュールの基板裏面図
【図5】同実施の形態に係る電力増幅モジュールの基板断面図
【図6】同実施の形態に係る電力増幅モジュールの周波数を切り換えた場合の基板表面図
【図7】本発明の(実施の形態2)に係る電力増幅モジュールの基板表面図
【図8】本発明の(実施の形態3)に係る電力増幅モジュールの基板表面図
【図9】本発明の(実施の形態4)に係る電力増幅モジュールの基板表面図
【図10】本発明の(実施の形態5)に係る電力増幅モジュールの基板表面図
【図11】従来の整合回路の構成例
【符号の説明】
【0050】
TR22 高周波増幅用半導体素子
L22,L32 インダクタンス素子(第1のインダクタ)
L23,L33 インダクタンス素子(第2のインダクタ)
J ボンディングワイヤのボンド位置
213,313 半導体チップ
231,331 レジスト
232,332 マーク
241,242,243,244 バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波増幅用半導体素子の出力に第1のインダクタを介してバイアス電圧を印加し、高周波増幅用半導体素子の出力と第1のインダクタとの接続点から第2のインダクタを介して出力信号を取り出す電力増幅モジュールであって、
基板に固定した前記高周波用半導体素子を、前記基板に形成された導体パターンにボンディングワイヤにより配線するとともに、
前記高周波用半導体素子からのボンディングワイヤを、前記導体パターンにより形成された分布定数線路の途中にボンド接続して前記第1のインダクタと第2のインダクタとに分割して取り扱い周波数整合または出力負荷整合した
電力増幅モジュール。
【請求項2】
ボンド位置周辺をレジスト若しくは樹脂材料により覆った
請求項1記載の電力増幅モジュール。
【請求項3】
ボンド位置に対応して前記基板にマークまたはバンプを付けた請求項1記載の電力増幅モジュール。
【請求項4】
単一の基板上に取り扱い周波数の異なる高周波増幅回路を構築した
請求項1記載の電力増幅モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−148268(P2006−148268A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332527(P2004−332527)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】