電動ブレーキ倍力装置
【課題】 アシスト力を付与できなくなった場合であっても、ブレーキ液圧の低下を抑制することができる電動ブレーキ倍力装置を提供すること。
【解決手段】 ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構が故障したときには、ホイールシリンダのブレーキ液圧を保持するようにした。
【解決手段】 ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構が故障したときには、ホイールシリンダのブレーキ液圧を保持するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキアシスト力を付与する電動ブレーキ倍力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報では、プッシュロッドに押圧力が作用すると、電動機によってブーストピストンを作動してブレーキ液圧を発生させるものが開示されている。
【特許文献1】特開平10−138909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、ブレーキペダル操作中に電動モータ(電動機)が駆動できなくなるとアシスト力が付与されず、制動力が低下するおそれがあると言った問題があった。
【0004】
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、アシスト力を付与できなくなった場合であっても、ブレーキ液圧の低下を抑制することができる電動ブレーキ倍力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明においてはブレーキアシスト力を付与する推力発生機構が故障したときには、ホイールシリンダのブレーキ液圧を保持するようにした。
【発明の効果】
【0006】
よって、推力発生機構によってホイールシリンダW/Cへ既に供給しているブレーキ液圧を保持することが可能となり、ブレーキ操作中の制動力の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の電動ブレーキ倍力装置を実現する最良の形態を、実施例1および実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、実施例1の電動ブレーキ倍力装置20の構成について説明する。
[ブレーキ液圧回路の構成]
図1は、実施例1の電動ブレーキ倍力装置20を適用したブレーキ液圧回路図である。このブレーキシステムにおいては、P系統とS系統との2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造となっている。P系統は、左前輪のホイールシリンダW/C(FL)、右後輪のホイールシリンダW/C(RR)を有し、S系統は、右前輪のホイールシリンダW/C(FR)、左後輪のホイールシリンダW/C(RL)を有している。また、マスタシリンダM/Cとは別のブレーキ液圧源としてポンプ機構Pを有し、このポンプ機構Pは、P系統、S系統に設けたポンプPPとポンプPSと、このポンプPPとポンプPSを駆動する電動モータMを有している。
【0009】
マスタシリンダM/Cとポンプ機構Pの吸入側との間に、油路10P,10Sを有し、この各油路10は、常閉型のソレノイドバルブであるゲートインバルブ1P,1Sを有している。ゲートインバルブ1とポンプ機構Pとの間にチェックバルブ5P,5Sを有し、各チェックバルブ5は、ゲートインバルブ1からポンプ機構Pへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0010】
マスタシリンダM/Cと各ホイールシリンダW/Cとに間に油路12P,12Sを有しており、各油路12は、常開型のソレノイドバルブであるゲートアウトバルブ2P,2Sを有するとともに、各ゲートアウトバルブ2を迂回する油路17P,17Sを有している。各油路17はチェックバルブ8P,8Sを有し、各チェックバルブ8は、マスタシリンダM/C側からホイールシリンダW/Cへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0011】
また、各油路12は、ゲートアウトバルブ2よりもホイールシリンダW/C側に、各ホイールシリンダW/Cに対応する常開型のソレノイドバルブである増圧・保持バルブ3FL,3RR,3FR,3RLを有している。更に各油路12は、各増圧・保持バルブ3を迂回する油路16FL,16RR,16FR,16RLを有している。この油路16は、チェックバルブ9FL,9RR,9FR,9RLを有し、各チェックバルブ9は、ホイールシリンダW/CからポンプPへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0012】
ポンプ機構Pの吐出側と油路12との間に、油路11P,11Sを有しており、油路11と油路12とはゲートアウトバルブ2と増圧・保持バルブ3との間において合流している。また各油路11は、油路12との合流点とポンプ機構Pとの間にチェックバルブ6P,6Sを有し、この各チェックバルブ6は、ポンプ機構Pから増圧・保持バルブ3へ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0013】
ポンプ機構Pの吸入側にリザーバ15P,15Sを有し、リザーバ15とポンプ機構Pとの間に油路14P,14Sを有している。また、リザーバ15とポンプ機構Pとの間にチェックバルブ7P,7Sを有し、各チェックバルブ7は、リザーバ15からポンプ機構Pへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0014】
ホイールシリンダW/Cと油路14との間に油路13P,13Sを有しており、油路13と油路14とはチェックバルブ7とリザーバ15との間において合流している。この各油路13は、常閉型のソレノイドバルブである減圧バルブ4FL,4RR,4FR,4RLを有している。
【0015】
[電動ブレーキ倍力装置の構成]
図2は、電動ブレーキ倍力装置20の部分断面図である。
電動ブレーキ倍力装置20は、マスタシリンダM/Cと、運転者がブレーキペダルBPに入力したブレーキ操作力により作動する主ピストン30と、推力発生機構40により作動するブーストピストン50とを備えている。
【0016】
推力発生機構40は、電動モータ41と、電動モータ41の推力をブーストピストン50に伝達するねじ軸42と、ブレーキペダルBPのストローク量を検出するブレーキストロークセンサ43とを有している。
【0017】
電動モータ41は中空のDCブラシレスモータであって、ハウジング60の内壁に固定したステータ41aと、内周側にボールねじ溝41cを有するロータ41bを備えている。またレゾルバ44を設け、電動モータ41の回転位置を検出している。
【0018】
ねじ軸42の外周側は、ロータ41bのボールねじ溝41cと噛み合うボール42bを回転自在に保持している。電動モータ41が駆動すると、ロータ41bの回転力をボール42bを介してねじ軸42に軸方向の推力として伝達する。ねじ軸42は、中空部42aを有しており、この中空部42aに主ピストンの大径部30bを収装している。
【0019】
ブーストピストン50の電動モータ41側端部は、ねじ軸42と当接しており、ねじ軸42の移動に伴ってブーストピストン50が移動する。ブーストピストン50は中空部50aを有しており、この中空部50aに主ピストン30の小径部30aを収装している。主ピストン30の小径部30aは、ブーストピストン50の中空部50aの内周面と摺動するシール部材30cを有している。
【0020】
マスタシリンダM/Cは、有底のシリンダ本体61を有している。シリンダ本体61内には、ブーストピストン50と、プライマリピストンとしての主ピストン30、ブーストピストン50と対を成すセカンダリピストン51とをシリンダ本体61の内壁に対して摺動可能に収装している。ブーストピストン50とセカンダリピストン51はシリンダ本体61の内周面と摺動するシール部材50b、51aをそれぞれ有している。
【0021】
主ピストン30、ブーストピストン50とセカンダリピストン51とは、シリンダ本体61内を2つの圧力室61a,61bに隔成している。ブーストピストン50とセカンダリピストン51との間、セカンダリピストン51とシリンダ本体61の底面との間は、スプリング62a,62bを有し、セカンダリピストン51がブーストピストン50の端面とシリンダ本体61の底面との中央付近に位置するように付勢している。
【0022】
主ピストン30、ブーストピストン50とセカンダリピストン51の移動に応じて、各圧力室61a,61b内に封じ込めているブレーキ液がブレーキ液圧回路を介して各ホイールシリンダW/Cに移動する。
【0023】
主ピストン30の小径部30aは、ブーストピストン50の中空部50aの内周の径よりも小径であり、大径部10bは、ブーストピストン50の内周の径よりも大径であって、ねじ軸42の内周の径よりも小径である。
【0024】
ブレーキが作動していない状態において、主ピストン30の大径部30bのマスタシリンダM/C側の端面30dと、ブーストピストン50のブレーキペダルBP側の端面50cとは軸方向に離間して位置している。これにより、自動ブレーキ作動時には、ブーストピストン50のみが移動し、主ピストン30、ブレーキペダルBPが移動しないようにしている。
【0025】
コントロールユニット70は電動モータ41と、各ソレノイドバルブ1,2,3,4を制御する。このコントロールユニット70は、ブレーキストロークセンサ43からブレーキペダルBPのストローク情報と、レゾルバ44から電動モータ41の回転位置情報と、車速センサ71から車速情報とを入力し、これらの情報から各装置に指令信号を出力する。
【0026】
[コントロールユニットの構成]
図3は、コントロールユニット70の制御ブロック図である。
コントロールユニット70は、故障検出部70a、車両停止検出部70b、電動モータ制御部70c、バルブ制御部70dを有している。
【0027】
故障検出部70aは、レゾルバ44から電動モータ41の回転位置情報と、ブレーキストロークセンサ43からブレーキストローク情報とを入力する。入力した情報から推力発生機構40の故障を検出し、この故障検出情報をバルブ制御部70dに出力する。なお、故障検出部70aは、推力発生機構40を構成する電動モータ41、ブレーキストロークセンサ43、レゾルバ44の各故障を検出し、電動モータ41が正常に動作しないことを検出するものである。具体的には、センサ信号の上張り付き検知や、下張り付き検知、もしくは、他のセンサとの整合性判断によって実行されるものであり、特に限定しない。
車両停止検出部70bは、車速センサ71から車速情報を入力する。入力した車速情報から車両停止を検出し、この車両停止検出情報をバルブ制御部70dに出力する。
【0028】
電動モータ制御部70cは、レゾルバ44から電動モータ41の回転位置情報と、ブレーキストロークセンサ43からブレーキストローク情報とを入力する。入力した情報から電動モータ41の駆動指令値を演算し、この駆動指令値を電動モータ41に出力する。
【0029】
バルブ制御部70dは、故障検出部70aから故障検出情報と車両停止検出部70bから車両停止検出情報とを入力する。入力した故障検出情報と車両停止検出情報とから各ソレノイドバルブ1,2,3,4の駆動指令値を演算し、この駆動指令値を各ソレノイドバルブ1,2,3,4に出力する。
【0030】
[コントロールユニットの制御処理]
次に、コントロールユニット70の制御処理の流れについて説明する。図4は、コントロールユニット70の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0031】
ステップS1では、ブレーキペダルBPの操作の有無を判断し、ブレーキペダルBPの操作がある場合にはステップS2へ移行し、ブレーキペダルBPの操作がない場合にはステップS5へ移行する。
【0032】
ステップS2では、電動モータ41が故障を判断し、電動モータ41が故障している場合にはステップS3へ移行し、電動モータ41が故障していない場合にはステップS5へ移行する。なお、電動モータ41の故障とは電動モータ41が動作できない状態のことを示し、推力発生機構40を構成する電動モータ41、ブレーキストロークセンサ43、レゾルバ44の各装置の故障により電動モータ41の故障を判断する。
【0033】
ステップS3では、車速があるか否かを判断し、車速がある場合にはステップS4に移行し、車速がない場合にはステップS5へ移行する。
ステップS4では、増圧・保持バルブ3に閉弁指令を出力し、リターンへ移行する。
ステップS5では、増圧・保持バルブ3の閉弁指令を解除し、リターンへ移行する。
【0034】
[作用]
次に、実施例1の電動ブレーキ倍力装置20の作用について説明する。
図5は、推力発生機構40が正常であるときの電動ブレーキ倍力装置20の動作を示す図である。図5は、推力発生機構40、主ピストン30、ブーストピストン50の部分の拡大図であって、軸線に対して上方のみを記載している。図5(a)はブレーキペダルBPがストロークする前の状態を示し、図5(b)はブレーキペダルBPがストロークした状態を示す。
【0035】
推力発生機構40が正常である場合には、ブレーキストローク量に応じて、電動モータ41を駆動する。図5(b)に示すように電動モータ41からねじ軸42へ推力を伝達し、ねじ軸42がブーストピストン50を押圧する。これにより、運転者のブレーキ操作力に対してアシスト力を付与することができる。
【0036】
推力発生機構40が故障した場合には、主ピストン30がブーストピストン50側に相対移動すると、主ピストン30の端面30dとブーストピストン50の端面50cとが当接し、主ピストン30とブーストピストン50を一体移動することが可能となる。これにより、運転者のブレーキペダルBPへの踏力によってブレーキ液圧を発生させることができる。しかしながら、ブレーキ操作中に推力発生機構40が故障すると、急激に制動力が低下してしまう。
そこで実施例1では、推力発生機構40が故障すると増圧・保持バルブ3を閉弁するようにした。
【0037】
ブレーキ操作中に推力発生機構40が故障し、車両が停止していない場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと移行する。ステップS4において、増圧・保持バルブ3に閉弁指令を出力する。
よって、推力発生機構40によってホイールシリンダW/Cへ既に供給しているブレーキ液圧を保持することが可能となり、制動力の低下を抑制することができる。
【0038】
また、推力発生機構40が故障した場合であっても、ブレーキ操作中以外のときに増圧・保持バルブ3を閉弁すると、次にブレーキペダルBPを操作するときに、ブレーキペダルBPを踏み込むことができず、制動力を発生することができない。
【0039】
そこで実施例1では、ブレーキ操作中以外のときには、推力発生機構40が故障しても、増圧・保持バルブ3を開弁することとした。換言すれば、ブレーキ操作中に、推力発生機構40が故障したときに、増圧・保持バルブ3を閉弁することとした。
よって、ブレーキペダルBPの操作によりブレーキ液圧を発生させ、制動力を確保することができる。
【0040】
また、推力発生機構40が故障した場合であっても、ブレーキ操作を終了したときに増圧・保持バルブ3の閉弁を続けると、制動力を解除することができない。
そこで実施例1では、ブレーキ操作を終了したときには、増圧・保持バルブ3を開弁するようにした。
【0041】
ブレーキ操作が終了している場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS5へと移行する。ステップS5において、増圧・保持バルブ3への閉弁指令を解除し、増圧・保持バルブ3を開弁する。
よって、ブレーキ操作を終了したときには、制動力を解除することができる。
【0042】
また、車両が停止した場合には、運転者のブレーキペダルBPへの踏力によって発生するブレーキ液圧であっても十分に制動力を確保することができる
そこで実施例1では、車両が停止した場合には、増圧・保持バルブ3を開弁するようにした。
【0043】
ブレーキ操作中に推力発生機構40が故障した場合に、車両が停止したときには、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS5へと移行する。ステップS5において、増圧・保持バルブ3への閉弁指令を解除し、増圧・保持バルブ3を開弁する。
よって、車両が停止しているときには増圧・保持バルブ3の駆動電力を抑制し、増圧・保持バルブ3の耐久性を向上することができる。
【0044】
次に、推力発生機構40が故障した場合に、増圧・保持バルブ3を閉弁するときと、閉弁しないときの作用について図6のタイムチャートを用いて説明する。
図6は実施例1の電動ブレーキ倍力装置20におけるブレーキストローク、マスタシリンダ液圧、制動力(ホイールシリンダ液圧)、車速、増圧・保持バルブの開閉状態のタイムチャートである。図6中の実線は実施例1において推力発生機構40が故障した場合に、増圧・保持バルブ3を閉弁するときのタイムチャートを示し、点線は増圧・保持バルブ3を閉弁しないときのタイムチャートを示す。
【0045】
時間t0においてブレーキペダルBPを踏み込むと、運転者によるブレーキペダルBPの踏力と電動モータ41によるアシスト力とに応じてマスタシリンダ液圧が発生する。また、マスタシリンダ液圧に応じて制動力が発生し、車速が低下し始める。
【0046】
時間t1において推力発生機構40が故障したとする。時間t1以降のマスタシリンダ液圧は、電動モータ41によるアシスト力を得ることができず、運転者によるブレーキペダルBPの踏力のみに応じて発生するため、時間t1以前のマスタシリンダ液圧と比べて低下する。
【0047】
ここで、時間t1において増圧・保持バルブ3を閉弁しないときには、ホイールシリンダ液圧を保持することができず、時間t1以前に比べて制動力が低下してしまう。そのため、時間t1以降は、時間t1よりも低い減速度で車速を低下させることとなり、車両停止までに時間を要する。
【0048】
一方、時間t1において増圧・保持バルブ3を閉弁するときには、ホイールシリンダ液圧を保持することができ、制動力を確保することができる。そのため、時間t1以降も、時間t1以前と同じ減速度で車速を低下させることができる。
【0049】
時間t2において車両が停止したとする。実施例1では車両が停止すると、増圧・保持バルブ3を開弁する。増圧・保持バルブ3は常開型のソレノイドバルブであるため、車両停止時には開弁することによって、増圧・保持バルブ3の駆動電力を抑制することができる。
【0050】
[実施例1の効果]
次に実施例1の効果について、以下に列記する。
【0051】
(1)ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構40を有する電動ブレーキ倍力装置20において、マスタシリンダM/CとホイールシリンダW/Cとの間を繋ぐ油路12を開閉可能な常開型のソレノイドバルブである増圧・保持バルブ3と、推力発生機構40の故障を検出する故障検出部70aと、推力発生機構40の故障を検出したときには、増圧・保持バルブ3を閉弁するバルブ制御部70dとを設けた。
よって、推力発生機構40によってホイールシリンダW/Cへ既に供給しているブレーキ液圧を保持することが可能となり、ブレーキ操作中の制動力の低下を抑制することができる。
【0052】
(2)運転者のブレーキ操作を検出するブレーキストロークセンサ43を設け、バルブ制御部70dは、ブレーキ操作中あって、推力発生機構40の故障を検出したときに、増圧・保持バルブ3を閉弁するようにした。すなわち、ブレーキ操作中以外のときに、すいて良く発生機構40の故障を検出したときに、増圧・保持バルブ3を開弁するようにした。
よって、ブレーキペダルBPの操作によりブレーキ液圧を発生させ、制動力を確保することができる。
【0053】
(3)バルブ制御部70dは、ブレーキ操作を終了したときに、増圧・保持バルブ3を開弁するようにした。
よって、ブレーキ操作を終了したときには、制動力を解除することができる。
【0054】
(4)車両の停止を検出する車両停止検出部70bを設け、バルブ制御部70dは車両が停止したときに、増圧・保持バルブ3を開弁するようにした。
よって、増圧・保持バルブ3の駆動電力を抑制し、耐久性を向上することができる。
【0055】
(5)電動モータ41によりブレーキアシスト力を付与する推力発生機構40が故障したときには、ホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧を保持するようにした。
よって、ホイールシリンダW/Cへ既に供給しているブレーキ液圧を保持することが可能となり、制動力の低下を抑制することができる。
【実施例2】
【0056】
次に、実施例2の電動ブレーキ倍力装置20の構成について説明する。実施例1では、ホイールシリンダW/C内のブレーキ液圧を保持するようにしていた。一方、実施例2ではポンプ機構Pにより、ホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧を増圧するようにした点で、実施例1と異なる。以下、実施例1と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
[コントロールユニットの構成]
図7は、コントロールユニット70の制御ブロック図である。
コントロールユニット70は、故障検出部70a、車両停止検出部70b、電動モータ制御部70c、バルブ制御部70d、ポンプ機構制御部70eを有している。
【0058】
故障検出部70aは、レゾルバ44から電動モータ41の回転位置情報を入力し、ブレーキストロークセンサ43からブレーキストローク情報を入力する。入力した情報から推力発生機構40の故障を検出し、この故障検出情報をバルブ制御部70d、ポンプ機構制御部70eに出力する。なお、故障検出部70aは、推力発生機構40を構成する電動モータ41、ブレーキストロークセンサ43、レゾルバ44の各故障を検出し、電動モータ41が正常に動作しないことを検出するものである。具体的には、センサ信号の上張り付き検知や、下張り付き検知、もしくは、他のセンサとの整合性判断によって実行されるものであり、特に限定しない。
車両停止検出部70bは、車速センサ71から車速情報を入力する。入力した車速情報から車両停止を検出し、この車両停止検出情報をバルブ制御部70d、ポンプ機構制御部70eに出力する。
【0059】
電動モータ制御部70cは、レゾルバ44から電動モータ41の回転位置情報を入力し、ブレーキストロークセンサ43からブレーキストローク情報を入力する。入力した情報から電動モータ41の駆動指令値を演算し、この駆動指令値を電動モータ41に出力する。
【0060】
バルブ制御部70dは、故障検出部70aから故障検出情報を入力し、車両停止検出部70bから車両停止検出情報を入力する。入力した故障検出情報と車両停止検出情報とから各ソレノイドバルブ1,2,3,4の駆動指令値を演算し、この駆動指令値を各ソレノイドバルブ1,2,3,4に出力する。
【0061】
ポンプ機構制御部70eは、故障検出部70aから故障検出情報を入力し、車両停止検出部70bから車両停止検出情報を入力する。入力した故障検出情報と車両停止検出情報とからポンプ機構Pの駆動指令値を演算し、この駆動指令値をポンプ機構Pに出力する。
【0062】
[コントロールユニットの制御処理]
次に、コントロールユニット70の制御処理の流れについて説明する。図8は、コントロールユニット70の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0063】
ステップS11では、ブレーキペダルBPの操作の有無を判断し、ブレーキペダルBPの操作がある場合にはステップS12へ移行し、ブレーキペダルBPの操作がない場合にはステップS17へ移行する。
【0064】
ステップS12では、電動モータ41が故障を判断し、電動モータ41が故障している場合にはステップS13へ移行し、電動モータ41が故障していない場合にはステップS17へ移行する。なお、電動モータ41の故障とは電動モータ41が動作できない状態のことを示し、推力発生機構40を構成する電動モータ41、ブレーキストロークセンサ43、レゾルバ44の各装置の故障により電動モータ41の故障を判断する。
【0065】
ステップS13では、車速があるか否かを判断し、車速がある場合にはステップS14は移行し、車速がない場合にはステップS20へ移行する。
ステップS14では、ゲートアウトバルブ2に閉弁指令を出力して、ステップS15へ移行する。
【0066】
ステップS15では、ゲートインバルブ1に開指令を出力して、ステップS16へ移行する。
ステップS16では、ポンプ機構Pに駆動指令を出力して、リターンへ移行する。
【0067】
ステップS17では、ポンプ機構Pの駆動指令を解除して、ステップS18へ移行する。
ステップS18では、ゲートインバルブ1の開指令を解除して、ステップS19へ移行する。
ステップS19では、ゲートアウトバルブ2の閉弁指令を解除して、リターンへ移行する。
【0068】
ステップS20では、ポンプ機構Pの駆動指令を解除して、ステップS21へ移行する。
ステップS21では、ゲートアウトバルブ2の閉弁指令を解除して、リターンへ移行する。
【0069】
[作用]
次に、実施例2の電動ブレーキ倍力装置20の作用について説明する。
【0070】
ブレーキ操作中に推力発生機構40が故障すると、急激に制動力が低下してしまう。また、ブレーキ操作中に推力発生機構40が故障すると、電動モータ41によるアシスト力に応じて発生したマスタシリンダ液圧が、ブレーキペダルBPへキックバックとして返ってきてしまう。
【0071】
推力発生機構40が故障したときにブレーキペダルBPに発生するキックバックと、制動力の低下について、図9を用いて説明する。図9は、ブレーキペダルBPの操作力に対するマスタシリンダ液圧とブレーキストロークの関係を示すグラフである。図9中の細実線は推力発生機構40が正常であるときの関係を示し、太実線は推力発生機構40が故障しているときの関係を示す。
【0072】
推力発生機構40が正常であるときに、ブレーキペダルBPの操作力をFaとすると、ブレーキストロークはSaとなり、マスタシリンダ液圧はPaとなる(点A1,A2)。推力発生機構40が故障すると、ブレーキストロークをSaに維持したまま、ブレーキペダルBPの操作力はFbまで上昇し、マスタシリンダ液圧はPbまで低下する(点B1,B2)。このとき、ブレーキペダルBPの操作力がFaからFbに増加することによりブレーキペダルBPにキックバックが発生し、マスタシリンダ液圧がPaからPbに減少して制動力が低下する。
そこで実施例2では、推力発生機構40が故障すると、ゲートアウトバルブ2を閉弁して、ゲートインバルブ1を開弁するとともに、ポンプ機構Pを駆動するようにした。
【0073】
ブレーキペダルBPの操作中に推力発生機構40が故障し、車両が停止していない場合には、図8のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15→ステップS16へと移行する。ステップS14においてゲートアウトバルブ2に閉弁指令を出力し、ステップS15においてゲートインバルブ1に開弁指令を出力し、ステップS16においてポンプ機構Pに駆動指令を出力する。
【0074】
推力発生機構40が故障したときに、ゲートアウトバルブ2を閉弁し、ゲートインバルブ1を開弁して、ポンプ機構Pを駆動したときのブレーキペダルBPの操作力に対するマスタシリンダ液圧とブレーキストロークの関係を図9を用いて説明する。
【0075】
推力発生機構40が故障すると、ポンプ機構Pが駆動してマスタシリンダM/Cのブレーキ液を吸入するためマスタシリンダ液圧がPbよりも低いPcまで低下し、ブレーキペダルBPの操作力はFbよりも低いFcとなる(点C1)。このとき、推力発生機構40の故障時のブレーキペダルBPの操作力とブレーキストロークの関係線(F-S線)からはブレーキストロークはSaよりも小さいSdとなる。しかし、ポンプ機構Pのブレーキ液吸入によってマスタシリンダ圧の低下分(Pb-Pc)、ブレーキストロークが大きくなり、ブレーキストロークはSaを保つ(点C2)。
【0076】
上記の作用によって、ブレーキペダルBPの操作力はFaからFcまでの増加に抑えられ、ブレーキペダルBPへのキックバックを抑制することができる。また、マスタシリンダ液圧はPaからPcにしているが、ゲートアウトバルブ2の閉弁とポンプ機構Pの駆動によってホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧を増圧することができる。
【0077】
また、推力発生機構40が故障した場合であっても、ブレーキペダルBPの操作がないときにゲートアウトバルブ2を閉弁すると、次にブレーキペダルBPを操作するときに、ブレーキペダルBPを踏み込むことができない。また、ブレーキペダルBPの操作がないときにポンプ機構Pが駆動すると、運転者の意図しない制動力が発生してしまう。
【0078】
そこで実施例2では、ブレーキ操作中に推力発生機構40の故障を検出したときに、ゲートアウトバルブを閉弁して、ゲートインバルブを開弁するとともに、ポンプ機構Pを駆動するようにした。
よって、ブレーキペダルBPの踏み込みを行うことができ、また運転者の意図しない制動力の発生を防止することができる。
【0079】
また、車両が停止した場合には、運転者のブレーキペダルBPへの踏力によって発生するブレーキ液圧であっても、十分に制動力を確保することができる。このような場合、ゲートアウトバルブ2、ゲートインバルブ1やポンプ機構Pの駆動電力消費を抑制するためには、ゲートアウトバルブ2を閉弁し、常閉型のゲートインバルブ1を開弁し、ポンプ機構Pを停止すべきである。しかしながら、ブレーキ操作中に、ゲートアウトバルブ2を開弁すると、ポンプ機構Pによって増圧されたホイールシリンダ圧がマスタシリンダM/C側に戻るため、キックバックが発生してしまう。
【0080】
そこで実施例1では、車両が停止したときには、ゲートインバルブ1を閉弁し、ポンプ機構Pを停止するものの、ゲートアウトバルブ2の閉弁を継続するようにした。
ブレーキ操作中に、推力発生機構40が故障した場合に、車両が停止したときには、図8のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS20→ステップS21へと移行する。ステップS20において、ポンプ機構Pの駆動指令を解除し、ステップS21においてゲートアウトバルブバルブ2の閉弁指令を解除する。
よって、ホイールシリンダW/Cのキックバックを抑制しつつ、ゲートインバルブ1とポンプ機構Pの駆動電力消費を抑制することができる。
【0081】
また、推力発生機構40が故障した場合であっても、ブレーキ操作終了後にゲートアウトバルブ2の閉弁を続けると、制動力を解除することができない。
そこで実施例2では、ブレーキ操作を終了したときには、ゲートアウトバルブ2を開弁するようにした。
【0082】
ブレーキ操作が終了後には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS17→ステップS18→ステップS19へと移行する。ステップS17においてポンプ機構Pの駆動指令を解除し、ステップS18においてゲートインバルブ1を解除し、ステップS19においてゲートアウトバルブ2を解除する。
よって、ブレーキ操作を終了後には、制動力を解除することができる。
【0083】
次に、推力発生機構40が故障した場合に、ゲートアウトバルブ2、ゲートインバルブ1、ポンプ機構Pの制御を行うときと、行わないときの作用について図10のタイムチャートを用いて説明する。
【0084】
時間t0においてブレーキペダルBPを踏み込むと、マスタシリンダ液圧は運転者によるブレーキペダルBPの踏力と電動モータ41によるアシスト力とに応じて発生する。また、制動力はマスタシリンダ液圧に応じて発生し、車速が低下し始める。
【0085】
時間t1において推力発生機構40が故障したとする。時間t1以降のマスタシリンダ液圧は、電動モータ41によるアシスト力を得ることができず、運転者によるブレーキペダルBPの踏力のみに応じて発生するため、時間t1以前のマスタシリンダ液圧と比べて低下する。
【0086】
ここで、時間t1においてゲートアウトバルブ2を閉弁しない場合には、ホイールシリンダ液圧を保持することができず、時間t1以前に比べて制動力が低下してしまう。そのため、時間t1以降は、時間t1よりも低い減速度で車速を低下させることとなり、車両停止までに時間を要する。
【0087】
また、時間t1においてゲートインバルブ1の閉弁、ポンプ機構Pの駆動をしない場合には、ブレーキペダルBPの操作力が急増し、大きなキックバックが発生してしまう。
【0088】
一方、時間t1においてゲートアウトバルブ2を閉弁してゲートインバルブ1を開弁するとともに、ポンプ機構Pを駆動するときには、マスタシリンダ液圧を低下させるとともに、ホイールシリンダ液圧を増加することが可能となる。そのため、キックバックを抑制しつつ、大きな減速度で車速を低下させることができる。
【0089】
時間t2において車両が停止したとする。このときゲートインバルブ1を閉弁してポンプ機構Pを停止するものの、ゲートアウトバルブ2は開弁を継続する。その後、ブレーキ操作を終了した時間t3においてゲートアウトバルブ2を開弁する。
よって、ホイールシリンダ圧がマスタシリンダM/C側へ戻ることを防止し、キックバックを防止することができる。
【0090】
[実施例2の効果]
次に実施例2の効果について、以下に列記する。
【0091】
(6)ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構40を有する電動ブレーキ倍力装置20において、ブレーキ液圧を発生するポンプ機構Pと、マスタシリンダM/Cとポンプ機構Pの吸入側とを繋ぐ油路10を開閉可能な常閉型のソレノイドバルブであるゲートインバルブ1と、マスタシリンダM/CとホイールシリンダW/Cおよびポンプ機構Pの吐出側とを繋ぐ油路12を開閉可能な常開型のソレノイドバルブであるゲートアウトバルブ2と、推力発生機構40の故障を検出する故障検出部70aと、推力発生機構40の故障を検出したときには、ゲートインバルブ1を開弁し、ゲートアウトバルブ2を閉弁するバルブ制御部70dと、推力発生機構40の故障を検出したときには、ポンプ機構Pを駆動するポンプ機構制御部70eとを設けた。
【0092】
よって、ブレーキペダルBPの操作力の増加を抑えられ、ブレーキペダルBPへのキックバックを抑制することができる。また、ホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧を増圧することができる。
【0093】
(7)運転者のブレーキ操作を検出するブレーキストロークセンサ43を設け、バルブ制御部70dは、ブレーキ操作をしているときであって、推力発生機構40の故障を検出したときに、ゲートインバルブ1を開弁し、ゲートアウトバルブ2を閉弁し、ポンプ機構制御部70eは、ブレーキ操作をしているときであって、推力発生機構40の故障を検出したときに、ポンプ機構Pを駆動するようにした。
よって、ブレーキペダルBPの踏み込みを行うことができ、また運転者の意図しない制動力の発生を防止することができる。
【0094】
(8)ブレーキ操作を終了したときに、ポンプ機構制御部70eはポンプ機構Pの駆動を終了し、バルブ制御部70dはゲートアウトバルブ2を開弁するようにした。
よって、ホイールシリンダW/Cのキックバックを抑制しつつ、ゲートインバルブ1とポンプ機構Pの駆動電力消費を抑制することができる。
【0095】
(9)車両の停止を検出する車両停止検出部70bを設け、ポンプ機構制御部70eは、車両が停止したときに、ポンプ機構Pの駆動を終了し、バルブ制御部70dは、ゲートインバルブ1を閉弁し、ゲートアウトバルブ2の閉弁を継続するようにした。
よって、ブレーキ操作を終了したときには、制動力を解除することができる。
【0096】
(10)ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構40が故障したときには、ホイールシリンダW/C側からマスタシリンダM/Cへのブレーキ液の流れを遮断し、マスタシリンダM/Cのブレーキ液圧をホイールシリンダW/Cに供給するようにした。
よって、ブレーキペダルBPの操作力の増加を抑えられ、ブレーキペダルBPへのキックバックを抑制することができる。また、ホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧を増圧することができる。
【0097】
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1または実施例2に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1または実施例2に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0098】
図11は、他の実施例の電動ブレーキ倍力装置20の部分断面図である。実施例1および実施例2では、主ピストン30、ブーストピストン50、ねじ軸42を別体で構成したが、図11に示すように、プライマリピストン80として一体に形成してもよい。
【0099】
また実施例1では、推力発生機構40の故障を検出したときには、増圧・保持バルブ3閉弁していたが、ゲートアウトバルブ2を閉弁するようにしても良い。
【0100】
また実施例1および実施例2では、運転者のブレーキ操作を検出する手段としてブレーキストロークセンサ43を用いているが、ブレーキ踏力センサ等でも良く、運転者のブレーキ操作を検出できる手段であれば特に限定しない。
【0101】
なお、増圧・保持バルブ3、ゲートアウトバルブ1は、請求項1ないし請求項4における常開型バルブに相当し、ゲートアウトバルブ1は請求項6ないし請求項9の常開型バルブに相当し、故障検出部70aは請求項1ないし請求項4、請求項6ないし請求項9における故障検出手段に相当し、車両停止検出部70bは請求項4、請求項8または請求項9におけるに車両停止検出手段に相当し、バルブ制御部70dは請求項1ないし請求項4、請求項6ないし請求項9におけるバルブ制御手段に相当し、バルブ制御部70dは請求項1ないし請求項4、請求項6ないし請求項9におけるバルブ制御手段に相当し、ポンプ機構制御部70eは請求項6ないし請求項9におけるポンプ機構制御手段に相当し、ブレーキストロークセンサ43は請求項2ないし請求項4、請求項7ないし請求項9のブレーキ操作検出手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】実施例1の電動ブレーキ倍力装置を適用したブレーキ液圧回路図である。
【図2】実施例1の電動ブレーキ倍力装置のシステム図である。
【図3】実施例1のコントロールユニットの制御ブロック図である。
【図4】実施例1のコントロールユニットの制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例1の電動ブレーキ倍力装置の動作を示す図である。
【図6】実施例1の電動ブレーキ倍力装置のタイムチャートである。
【図7】実施例2のコントロールユニットの制御ブロック図である。
【図8】実施例2のコントロールユニットの制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例2のブレーキペダルの操作力に対するマスタシリンダ液圧とブレーキストロークの関係を示すグラフである。
【図10】実施例2の電動ブレーキ倍力装置のタイムチャートである。
【図11】他の実施例の電動ブレーキ倍力装置を適用したブレーキ液圧回路図である。
【符号の説明】
【0103】
1 ゲートインバルブ(常開型バルブ)
2 ゲートアウトバルブ(常閉型バルブ)
3 増圧・保持バルブ(常開型バルブ)
20 電動ブレーキ倍力装置
40 推力発生機構
43 ブレーキストロークセンサ(ブレーキ操作検出手段)
70a 故障検出部(故障検出手段)
70b 車両停止検出部(車両停止検出手段)
70d バルブ制御部(バルブ制御手段)
70e ポンプ機構制御部(ポンプ機構制御手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキアシスト力を付与する電動ブレーキ倍力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報では、プッシュロッドに押圧力が作用すると、電動機によってブーストピストンを作動してブレーキ液圧を発生させるものが開示されている。
【特許文献1】特開平10−138909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、ブレーキペダル操作中に電動モータ(電動機)が駆動できなくなるとアシスト力が付与されず、制動力が低下するおそれがあると言った問題があった。
【0004】
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、アシスト力を付与できなくなった場合であっても、ブレーキ液圧の低下を抑制することができる電動ブレーキ倍力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明においてはブレーキアシスト力を付与する推力発生機構が故障したときには、ホイールシリンダのブレーキ液圧を保持するようにした。
【発明の効果】
【0006】
よって、推力発生機構によってホイールシリンダW/Cへ既に供給しているブレーキ液圧を保持することが可能となり、ブレーキ操作中の制動力の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の電動ブレーキ倍力装置を実現する最良の形態を、実施例1および実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、実施例1の電動ブレーキ倍力装置20の構成について説明する。
[ブレーキ液圧回路の構成]
図1は、実施例1の電動ブレーキ倍力装置20を適用したブレーキ液圧回路図である。このブレーキシステムにおいては、P系統とS系統との2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造となっている。P系統は、左前輪のホイールシリンダW/C(FL)、右後輪のホイールシリンダW/C(RR)を有し、S系統は、右前輪のホイールシリンダW/C(FR)、左後輪のホイールシリンダW/C(RL)を有している。また、マスタシリンダM/Cとは別のブレーキ液圧源としてポンプ機構Pを有し、このポンプ機構Pは、P系統、S系統に設けたポンプPPとポンプPSと、このポンプPPとポンプPSを駆動する電動モータMを有している。
【0009】
マスタシリンダM/Cとポンプ機構Pの吸入側との間に、油路10P,10Sを有し、この各油路10は、常閉型のソレノイドバルブであるゲートインバルブ1P,1Sを有している。ゲートインバルブ1とポンプ機構Pとの間にチェックバルブ5P,5Sを有し、各チェックバルブ5は、ゲートインバルブ1からポンプ機構Pへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0010】
マスタシリンダM/Cと各ホイールシリンダW/Cとに間に油路12P,12Sを有しており、各油路12は、常開型のソレノイドバルブであるゲートアウトバルブ2P,2Sを有するとともに、各ゲートアウトバルブ2を迂回する油路17P,17Sを有している。各油路17はチェックバルブ8P,8Sを有し、各チェックバルブ8は、マスタシリンダM/C側からホイールシリンダW/Cへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0011】
また、各油路12は、ゲートアウトバルブ2よりもホイールシリンダW/C側に、各ホイールシリンダW/Cに対応する常開型のソレノイドバルブである増圧・保持バルブ3FL,3RR,3FR,3RLを有している。更に各油路12は、各増圧・保持バルブ3を迂回する油路16FL,16RR,16FR,16RLを有している。この油路16は、チェックバルブ9FL,9RR,9FR,9RLを有し、各チェックバルブ9は、ホイールシリンダW/CからポンプPへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0012】
ポンプ機構Pの吐出側と油路12との間に、油路11P,11Sを有しており、油路11と油路12とはゲートアウトバルブ2と増圧・保持バルブ3との間において合流している。また各油路11は、油路12との合流点とポンプ機構Pとの間にチェックバルブ6P,6Sを有し、この各チェックバルブ6は、ポンプ機構Pから増圧・保持バルブ3へ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0013】
ポンプ機構Pの吸入側にリザーバ15P,15Sを有し、リザーバ15とポンプ機構Pとの間に油路14P,14Sを有している。また、リザーバ15とポンプ機構Pとの間にチェックバルブ7P,7Sを有し、各チェックバルブ7は、リザーバ15からポンプ機構Pへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0014】
ホイールシリンダW/Cと油路14との間に油路13P,13Sを有しており、油路13と油路14とはチェックバルブ7とリザーバ15との間において合流している。この各油路13は、常閉型のソレノイドバルブである減圧バルブ4FL,4RR,4FR,4RLを有している。
【0015】
[電動ブレーキ倍力装置の構成]
図2は、電動ブレーキ倍力装置20の部分断面図である。
電動ブレーキ倍力装置20は、マスタシリンダM/Cと、運転者がブレーキペダルBPに入力したブレーキ操作力により作動する主ピストン30と、推力発生機構40により作動するブーストピストン50とを備えている。
【0016】
推力発生機構40は、電動モータ41と、電動モータ41の推力をブーストピストン50に伝達するねじ軸42と、ブレーキペダルBPのストローク量を検出するブレーキストロークセンサ43とを有している。
【0017】
電動モータ41は中空のDCブラシレスモータであって、ハウジング60の内壁に固定したステータ41aと、内周側にボールねじ溝41cを有するロータ41bを備えている。またレゾルバ44を設け、電動モータ41の回転位置を検出している。
【0018】
ねじ軸42の外周側は、ロータ41bのボールねじ溝41cと噛み合うボール42bを回転自在に保持している。電動モータ41が駆動すると、ロータ41bの回転力をボール42bを介してねじ軸42に軸方向の推力として伝達する。ねじ軸42は、中空部42aを有しており、この中空部42aに主ピストンの大径部30bを収装している。
【0019】
ブーストピストン50の電動モータ41側端部は、ねじ軸42と当接しており、ねじ軸42の移動に伴ってブーストピストン50が移動する。ブーストピストン50は中空部50aを有しており、この中空部50aに主ピストン30の小径部30aを収装している。主ピストン30の小径部30aは、ブーストピストン50の中空部50aの内周面と摺動するシール部材30cを有している。
【0020】
マスタシリンダM/Cは、有底のシリンダ本体61を有している。シリンダ本体61内には、ブーストピストン50と、プライマリピストンとしての主ピストン30、ブーストピストン50と対を成すセカンダリピストン51とをシリンダ本体61の内壁に対して摺動可能に収装している。ブーストピストン50とセカンダリピストン51はシリンダ本体61の内周面と摺動するシール部材50b、51aをそれぞれ有している。
【0021】
主ピストン30、ブーストピストン50とセカンダリピストン51とは、シリンダ本体61内を2つの圧力室61a,61bに隔成している。ブーストピストン50とセカンダリピストン51との間、セカンダリピストン51とシリンダ本体61の底面との間は、スプリング62a,62bを有し、セカンダリピストン51がブーストピストン50の端面とシリンダ本体61の底面との中央付近に位置するように付勢している。
【0022】
主ピストン30、ブーストピストン50とセカンダリピストン51の移動に応じて、各圧力室61a,61b内に封じ込めているブレーキ液がブレーキ液圧回路を介して各ホイールシリンダW/Cに移動する。
【0023】
主ピストン30の小径部30aは、ブーストピストン50の中空部50aの内周の径よりも小径であり、大径部10bは、ブーストピストン50の内周の径よりも大径であって、ねじ軸42の内周の径よりも小径である。
【0024】
ブレーキが作動していない状態において、主ピストン30の大径部30bのマスタシリンダM/C側の端面30dと、ブーストピストン50のブレーキペダルBP側の端面50cとは軸方向に離間して位置している。これにより、自動ブレーキ作動時には、ブーストピストン50のみが移動し、主ピストン30、ブレーキペダルBPが移動しないようにしている。
【0025】
コントロールユニット70は電動モータ41と、各ソレノイドバルブ1,2,3,4を制御する。このコントロールユニット70は、ブレーキストロークセンサ43からブレーキペダルBPのストローク情報と、レゾルバ44から電動モータ41の回転位置情報と、車速センサ71から車速情報とを入力し、これらの情報から各装置に指令信号を出力する。
【0026】
[コントロールユニットの構成]
図3は、コントロールユニット70の制御ブロック図である。
コントロールユニット70は、故障検出部70a、車両停止検出部70b、電動モータ制御部70c、バルブ制御部70dを有している。
【0027】
故障検出部70aは、レゾルバ44から電動モータ41の回転位置情報と、ブレーキストロークセンサ43からブレーキストローク情報とを入力する。入力した情報から推力発生機構40の故障を検出し、この故障検出情報をバルブ制御部70dに出力する。なお、故障検出部70aは、推力発生機構40を構成する電動モータ41、ブレーキストロークセンサ43、レゾルバ44の各故障を検出し、電動モータ41が正常に動作しないことを検出するものである。具体的には、センサ信号の上張り付き検知や、下張り付き検知、もしくは、他のセンサとの整合性判断によって実行されるものであり、特に限定しない。
車両停止検出部70bは、車速センサ71から車速情報を入力する。入力した車速情報から車両停止を検出し、この車両停止検出情報をバルブ制御部70dに出力する。
【0028】
電動モータ制御部70cは、レゾルバ44から電動モータ41の回転位置情報と、ブレーキストロークセンサ43からブレーキストローク情報とを入力する。入力した情報から電動モータ41の駆動指令値を演算し、この駆動指令値を電動モータ41に出力する。
【0029】
バルブ制御部70dは、故障検出部70aから故障検出情報と車両停止検出部70bから車両停止検出情報とを入力する。入力した故障検出情報と車両停止検出情報とから各ソレノイドバルブ1,2,3,4の駆動指令値を演算し、この駆動指令値を各ソレノイドバルブ1,2,3,4に出力する。
【0030】
[コントロールユニットの制御処理]
次に、コントロールユニット70の制御処理の流れについて説明する。図4は、コントロールユニット70の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0031】
ステップS1では、ブレーキペダルBPの操作の有無を判断し、ブレーキペダルBPの操作がある場合にはステップS2へ移行し、ブレーキペダルBPの操作がない場合にはステップS5へ移行する。
【0032】
ステップS2では、電動モータ41が故障を判断し、電動モータ41が故障している場合にはステップS3へ移行し、電動モータ41が故障していない場合にはステップS5へ移行する。なお、電動モータ41の故障とは電動モータ41が動作できない状態のことを示し、推力発生機構40を構成する電動モータ41、ブレーキストロークセンサ43、レゾルバ44の各装置の故障により電動モータ41の故障を判断する。
【0033】
ステップS3では、車速があるか否かを判断し、車速がある場合にはステップS4に移行し、車速がない場合にはステップS5へ移行する。
ステップS4では、増圧・保持バルブ3に閉弁指令を出力し、リターンへ移行する。
ステップS5では、増圧・保持バルブ3の閉弁指令を解除し、リターンへ移行する。
【0034】
[作用]
次に、実施例1の電動ブレーキ倍力装置20の作用について説明する。
図5は、推力発生機構40が正常であるときの電動ブレーキ倍力装置20の動作を示す図である。図5は、推力発生機構40、主ピストン30、ブーストピストン50の部分の拡大図であって、軸線に対して上方のみを記載している。図5(a)はブレーキペダルBPがストロークする前の状態を示し、図5(b)はブレーキペダルBPがストロークした状態を示す。
【0035】
推力発生機構40が正常である場合には、ブレーキストローク量に応じて、電動モータ41を駆動する。図5(b)に示すように電動モータ41からねじ軸42へ推力を伝達し、ねじ軸42がブーストピストン50を押圧する。これにより、運転者のブレーキ操作力に対してアシスト力を付与することができる。
【0036】
推力発生機構40が故障した場合には、主ピストン30がブーストピストン50側に相対移動すると、主ピストン30の端面30dとブーストピストン50の端面50cとが当接し、主ピストン30とブーストピストン50を一体移動することが可能となる。これにより、運転者のブレーキペダルBPへの踏力によってブレーキ液圧を発生させることができる。しかしながら、ブレーキ操作中に推力発生機構40が故障すると、急激に制動力が低下してしまう。
そこで実施例1では、推力発生機構40が故障すると増圧・保持バルブ3を閉弁するようにした。
【0037】
ブレーキ操作中に推力発生機構40が故障し、車両が停止していない場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと移行する。ステップS4において、増圧・保持バルブ3に閉弁指令を出力する。
よって、推力発生機構40によってホイールシリンダW/Cへ既に供給しているブレーキ液圧を保持することが可能となり、制動力の低下を抑制することができる。
【0038】
また、推力発生機構40が故障した場合であっても、ブレーキ操作中以外のときに増圧・保持バルブ3を閉弁すると、次にブレーキペダルBPを操作するときに、ブレーキペダルBPを踏み込むことができず、制動力を発生することができない。
【0039】
そこで実施例1では、ブレーキ操作中以外のときには、推力発生機構40が故障しても、増圧・保持バルブ3を開弁することとした。換言すれば、ブレーキ操作中に、推力発生機構40が故障したときに、増圧・保持バルブ3を閉弁することとした。
よって、ブレーキペダルBPの操作によりブレーキ液圧を発生させ、制動力を確保することができる。
【0040】
また、推力発生機構40が故障した場合であっても、ブレーキ操作を終了したときに増圧・保持バルブ3の閉弁を続けると、制動力を解除することができない。
そこで実施例1では、ブレーキ操作を終了したときには、増圧・保持バルブ3を開弁するようにした。
【0041】
ブレーキ操作が終了している場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS5へと移行する。ステップS5において、増圧・保持バルブ3への閉弁指令を解除し、増圧・保持バルブ3を開弁する。
よって、ブレーキ操作を終了したときには、制動力を解除することができる。
【0042】
また、車両が停止した場合には、運転者のブレーキペダルBPへの踏力によって発生するブレーキ液圧であっても十分に制動力を確保することができる
そこで実施例1では、車両が停止した場合には、増圧・保持バルブ3を開弁するようにした。
【0043】
ブレーキ操作中に推力発生機構40が故障した場合に、車両が停止したときには、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS5へと移行する。ステップS5において、増圧・保持バルブ3への閉弁指令を解除し、増圧・保持バルブ3を開弁する。
よって、車両が停止しているときには増圧・保持バルブ3の駆動電力を抑制し、増圧・保持バルブ3の耐久性を向上することができる。
【0044】
次に、推力発生機構40が故障した場合に、増圧・保持バルブ3を閉弁するときと、閉弁しないときの作用について図6のタイムチャートを用いて説明する。
図6は実施例1の電動ブレーキ倍力装置20におけるブレーキストローク、マスタシリンダ液圧、制動力(ホイールシリンダ液圧)、車速、増圧・保持バルブの開閉状態のタイムチャートである。図6中の実線は実施例1において推力発生機構40が故障した場合に、増圧・保持バルブ3を閉弁するときのタイムチャートを示し、点線は増圧・保持バルブ3を閉弁しないときのタイムチャートを示す。
【0045】
時間t0においてブレーキペダルBPを踏み込むと、運転者によるブレーキペダルBPの踏力と電動モータ41によるアシスト力とに応じてマスタシリンダ液圧が発生する。また、マスタシリンダ液圧に応じて制動力が発生し、車速が低下し始める。
【0046】
時間t1において推力発生機構40が故障したとする。時間t1以降のマスタシリンダ液圧は、電動モータ41によるアシスト力を得ることができず、運転者によるブレーキペダルBPの踏力のみに応じて発生するため、時間t1以前のマスタシリンダ液圧と比べて低下する。
【0047】
ここで、時間t1において増圧・保持バルブ3を閉弁しないときには、ホイールシリンダ液圧を保持することができず、時間t1以前に比べて制動力が低下してしまう。そのため、時間t1以降は、時間t1よりも低い減速度で車速を低下させることとなり、車両停止までに時間を要する。
【0048】
一方、時間t1において増圧・保持バルブ3を閉弁するときには、ホイールシリンダ液圧を保持することができ、制動力を確保することができる。そのため、時間t1以降も、時間t1以前と同じ減速度で車速を低下させることができる。
【0049】
時間t2において車両が停止したとする。実施例1では車両が停止すると、増圧・保持バルブ3を開弁する。増圧・保持バルブ3は常開型のソレノイドバルブであるため、車両停止時には開弁することによって、増圧・保持バルブ3の駆動電力を抑制することができる。
【0050】
[実施例1の効果]
次に実施例1の効果について、以下に列記する。
【0051】
(1)ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構40を有する電動ブレーキ倍力装置20において、マスタシリンダM/CとホイールシリンダW/Cとの間を繋ぐ油路12を開閉可能な常開型のソレノイドバルブである増圧・保持バルブ3と、推力発生機構40の故障を検出する故障検出部70aと、推力発生機構40の故障を検出したときには、増圧・保持バルブ3を閉弁するバルブ制御部70dとを設けた。
よって、推力発生機構40によってホイールシリンダW/Cへ既に供給しているブレーキ液圧を保持することが可能となり、ブレーキ操作中の制動力の低下を抑制することができる。
【0052】
(2)運転者のブレーキ操作を検出するブレーキストロークセンサ43を設け、バルブ制御部70dは、ブレーキ操作中あって、推力発生機構40の故障を検出したときに、増圧・保持バルブ3を閉弁するようにした。すなわち、ブレーキ操作中以外のときに、すいて良く発生機構40の故障を検出したときに、増圧・保持バルブ3を開弁するようにした。
よって、ブレーキペダルBPの操作によりブレーキ液圧を発生させ、制動力を確保することができる。
【0053】
(3)バルブ制御部70dは、ブレーキ操作を終了したときに、増圧・保持バルブ3を開弁するようにした。
よって、ブレーキ操作を終了したときには、制動力を解除することができる。
【0054】
(4)車両の停止を検出する車両停止検出部70bを設け、バルブ制御部70dは車両が停止したときに、増圧・保持バルブ3を開弁するようにした。
よって、増圧・保持バルブ3の駆動電力を抑制し、耐久性を向上することができる。
【0055】
(5)電動モータ41によりブレーキアシスト力を付与する推力発生機構40が故障したときには、ホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧を保持するようにした。
よって、ホイールシリンダW/Cへ既に供給しているブレーキ液圧を保持することが可能となり、制動力の低下を抑制することができる。
【実施例2】
【0056】
次に、実施例2の電動ブレーキ倍力装置20の構成について説明する。実施例1では、ホイールシリンダW/C内のブレーキ液圧を保持するようにしていた。一方、実施例2ではポンプ機構Pにより、ホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧を増圧するようにした点で、実施例1と異なる。以下、実施例1と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
[コントロールユニットの構成]
図7は、コントロールユニット70の制御ブロック図である。
コントロールユニット70は、故障検出部70a、車両停止検出部70b、電動モータ制御部70c、バルブ制御部70d、ポンプ機構制御部70eを有している。
【0058】
故障検出部70aは、レゾルバ44から電動モータ41の回転位置情報を入力し、ブレーキストロークセンサ43からブレーキストローク情報を入力する。入力した情報から推力発生機構40の故障を検出し、この故障検出情報をバルブ制御部70d、ポンプ機構制御部70eに出力する。なお、故障検出部70aは、推力発生機構40を構成する電動モータ41、ブレーキストロークセンサ43、レゾルバ44の各故障を検出し、電動モータ41が正常に動作しないことを検出するものである。具体的には、センサ信号の上張り付き検知や、下張り付き検知、もしくは、他のセンサとの整合性判断によって実行されるものであり、特に限定しない。
車両停止検出部70bは、車速センサ71から車速情報を入力する。入力した車速情報から車両停止を検出し、この車両停止検出情報をバルブ制御部70d、ポンプ機構制御部70eに出力する。
【0059】
電動モータ制御部70cは、レゾルバ44から電動モータ41の回転位置情報を入力し、ブレーキストロークセンサ43からブレーキストローク情報を入力する。入力した情報から電動モータ41の駆動指令値を演算し、この駆動指令値を電動モータ41に出力する。
【0060】
バルブ制御部70dは、故障検出部70aから故障検出情報を入力し、車両停止検出部70bから車両停止検出情報を入力する。入力した故障検出情報と車両停止検出情報とから各ソレノイドバルブ1,2,3,4の駆動指令値を演算し、この駆動指令値を各ソレノイドバルブ1,2,3,4に出力する。
【0061】
ポンプ機構制御部70eは、故障検出部70aから故障検出情報を入力し、車両停止検出部70bから車両停止検出情報を入力する。入力した故障検出情報と車両停止検出情報とからポンプ機構Pの駆動指令値を演算し、この駆動指令値をポンプ機構Pに出力する。
【0062】
[コントロールユニットの制御処理]
次に、コントロールユニット70の制御処理の流れについて説明する。図8は、コントロールユニット70の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0063】
ステップS11では、ブレーキペダルBPの操作の有無を判断し、ブレーキペダルBPの操作がある場合にはステップS12へ移行し、ブレーキペダルBPの操作がない場合にはステップS17へ移行する。
【0064】
ステップS12では、電動モータ41が故障を判断し、電動モータ41が故障している場合にはステップS13へ移行し、電動モータ41が故障していない場合にはステップS17へ移行する。なお、電動モータ41の故障とは電動モータ41が動作できない状態のことを示し、推力発生機構40を構成する電動モータ41、ブレーキストロークセンサ43、レゾルバ44の各装置の故障により電動モータ41の故障を判断する。
【0065】
ステップS13では、車速があるか否かを判断し、車速がある場合にはステップS14は移行し、車速がない場合にはステップS20へ移行する。
ステップS14では、ゲートアウトバルブ2に閉弁指令を出力して、ステップS15へ移行する。
【0066】
ステップS15では、ゲートインバルブ1に開指令を出力して、ステップS16へ移行する。
ステップS16では、ポンプ機構Pに駆動指令を出力して、リターンへ移行する。
【0067】
ステップS17では、ポンプ機構Pの駆動指令を解除して、ステップS18へ移行する。
ステップS18では、ゲートインバルブ1の開指令を解除して、ステップS19へ移行する。
ステップS19では、ゲートアウトバルブ2の閉弁指令を解除して、リターンへ移行する。
【0068】
ステップS20では、ポンプ機構Pの駆動指令を解除して、ステップS21へ移行する。
ステップS21では、ゲートアウトバルブ2の閉弁指令を解除して、リターンへ移行する。
【0069】
[作用]
次に、実施例2の電動ブレーキ倍力装置20の作用について説明する。
【0070】
ブレーキ操作中に推力発生機構40が故障すると、急激に制動力が低下してしまう。また、ブレーキ操作中に推力発生機構40が故障すると、電動モータ41によるアシスト力に応じて発生したマスタシリンダ液圧が、ブレーキペダルBPへキックバックとして返ってきてしまう。
【0071】
推力発生機構40が故障したときにブレーキペダルBPに発生するキックバックと、制動力の低下について、図9を用いて説明する。図9は、ブレーキペダルBPの操作力に対するマスタシリンダ液圧とブレーキストロークの関係を示すグラフである。図9中の細実線は推力発生機構40が正常であるときの関係を示し、太実線は推力発生機構40が故障しているときの関係を示す。
【0072】
推力発生機構40が正常であるときに、ブレーキペダルBPの操作力をFaとすると、ブレーキストロークはSaとなり、マスタシリンダ液圧はPaとなる(点A1,A2)。推力発生機構40が故障すると、ブレーキストロークをSaに維持したまま、ブレーキペダルBPの操作力はFbまで上昇し、マスタシリンダ液圧はPbまで低下する(点B1,B2)。このとき、ブレーキペダルBPの操作力がFaからFbに増加することによりブレーキペダルBPにキックバックが発生し、マスタシリンダ液圧がPaからPbに減少して制動力が低下する。
そこで実施例2では、推力発生機構40が故障すると、ゲートアウトバルブ2を閉弁して、ゲートインバルブ1を開弁するとともに、ポンプ機構Pを駆動するようにした。
【0073】
ブレーキペダルBPの操作中に推力発生機構40が故障し、車両が停止していない場合には、図8のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15→ステップS16へと移行する。ステップS14においてゲートアウトバルブ2に閉弁指令を出力し、ステップS15においてゲートインバルブ1に開弁指令を出力し、ステップS16においてポンプ機構Pに駆動指令を出力する。
【0074】
推力発生機構40が故障したときに、ゲートアウトバルブ2を閉弁し、ゲートインバルブ1を開弁して、ポンプ機構Pを駆動したときのブレーキペダルBPの操作力に対するマスタシリンダ液圧とブレーキストロークの関係を図9を用いて説明する。
【0075】
推力発生機構40が故障すると、ポンプ機構Pが駆動してマスタシリンダM/Cのブレーキ液を吸入するためマスタシリンダ液圧がPbよりも低いPcまで低下し、ブレーキペダルBPの操作力はFbよりも低いFcとなる(点C1)。このとき、推力発生機構40の故障時のブレーキペダルBPの操作力とブレーキストロークの関係線(F-S線)からはブレーキストロークはSaよりも小さいSdとなる。しかし、ポンプ機構Pのブレーキ液吸入によってマスタシリンダ圧の低下分(Pb-Pc)、ブレーキストロークが大きくなり、ブレーキストロークはSaを保つ(点C2)。
【0076】
上記の作用によって、ブレーキペダルBPの操作力はFaからFcまでの増加に抑えられ、ブレーキペダルBPへのキックバックを抑制することができる。また、マスタシリンダ液圧はPaからPcにしているが、ゲートアウトバルブ2の閉弁とポンプ機構Pの駆動によってホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧を増圧することができる。
【0077】
また、推力発生機構40が故障した場合であっても、ブレーキペダルBPの操作がないときにゲートアウトバルブ2を閉弁すると、次にブレーキペダルBPを操作するときに、ブレーキペダルBPを踏み込むことができない。また、ブレーキペダルBPの操作がないときにポンプ機構Pが駆動すると、運転者の意図しない制動力が発生してしまう。
【0078】
そこで実施例2では、ブレーキ操作中に推力発生機構40の故障を検出したときに、ゲートアウトバルブを閉弁して、ゲートインバルブを開弁するとともに、ポンプ機構Pを駆動するようにした。
よって、ブレーキペダルBPの踏み込みを行うことができ、また運転者の意図しない制動力の発生を防止することができる。
【0079】
また、車両が停止した場合には、運転者のブレーキペダルBPへの踏力によって発生するブレーキ液圧であっても、十分に制動力を確保することができる。このような場合、ゲートアウトバルブ2、ゲートインバルブ1やポンプ機構Pの駆動電力消費を抑制するためには、ゲートアウトバルブ2を閉弁し、常閉型のゲートインバルブ1を開弁し、ポンプ機構Pを停止すべきである。しかしながら、ブレーキ操作中に、ゲートアウトバルブ2を開弁すると、ポンプ機構Pによって増圧されたホイールシリンダ圧がマスタシリンダM/C側に戻るため、キックバックが発生してしまう。
【0080】
そこで実施例1では、車両が停止したときには、ゲートインバルブ1を閉弁し、ポンプ機構Pを停止するものの、ゲートアウトバルブ2の閉弁を継続するようにした。
ブレーキ操作中に、推力発生機構40が故障した場合に、車両が停止したときには、図8のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS20→ステップS21へと移行する。ステップS20において、ポンプ機構Pの駆動指令を解除し、ステップS21においてゲートアウトバルブバルブ2の閉弁指令を解除する。
よって、ホイールシリンダW/Cのキックバックを抑制しつつ、ゲートインバルブ1とポンプ機構Pの駆動電力消費を抑制することができる。
【0081】
また、推力発生機構40が故障した場合であっても、ブレーキ操作終了後にゲートアウトバルブ2の閉弁を続けると、制動力を解除することができない。
そこで実施例2では、ブレーキ操作を終了したときには、ゲートアウトバルブ2を開弁するようにした。
【0082】
ブレーキ操作が終了後には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS17→ステップS18→ステップS19へと移行する。ステップS17においてポンプ機構Pの駆動指令を解除し、ステップS18においてゲートインバルブ1を解除し、ステップS19においてゲートアウトバルブ2を解除する。
よって、ブレーキ操作を終了後には、制動力を解除することができる。
【0083】
次に、推力発生機構40が故障した場合に、ゲートアウトバルブ2、ゲートインバルブ1、ポンプ機構Pの制御を行うときと、行わないときの作用について図10のタイムチャートを用いて説明する。
【0084】
時間t0においてブレーキペダルBPを踏み込むと、マスタシリンダ液圧は運転者によるブレーキペダルBPの踏力と電動モータ41によるアシスト力とに応じて発生する。また、制動力はマスタシリンダ液圧に応じて発生し、車速が低下し始める。
【0085】
時間t1において推力発生機構40が故障したとする。時間t1以降のマスタシリンダ液圧は、電動モータ41によるアシスト力を得ることができず、運転者によるブレーキペダルBPの踏力のみに応じて発生するため、時間t1以前のマスタシリンダ液圧と比べて低下する。
【0086】
ここで、時間t1においてゲートアウトバルブ2を閉弁しない場合には、ホイールシリンダ液圧を保持することができず、時間t1以前に比べて制動力が低下してしまう。そのため、時間t1以降は、時間t1よりも低い減速度で車速を低下させることとなり、車両停止までに時間を要する。
【0087】
また、時間t1においてゲートインバルブ1の閉弁、ポンプ機構Pの駆動をしない場合には、ブレーキペダルBPの操作力が急増し、大きなキックバックが発生してしまう。
【0088】
一方、時間t1においてゲートアウトバルブ2を閉弁してゲートインバルブ1を開弁するとともに、ポンプ機構Pを駆動するときには、マスタシリンダ液圧を低下させるとともに、ホイールシリンダ液圧を増加することが可能となる。そのため、キックバックを抑制しつつ、大きな減速度で車速を低下させることができる。
【0089】
時間t2において車両が停止したとする。このときゲートインバルブ1を閉弁してポンプ機構Pを停止するものの、ゲートアウトバルブ2は開弁を継続する。その後、ブレーキ操作を終了した時間t3においてゲートアウトバルブ2を開弁する。
よって、ホイールシリンダ圧がマスタシリンダM/C側へ戻ることを防止し、キックバックを防止することができる。
【0090】
[実施例2の効果]
次に実施例2の効果について、以下に列記する。
【0091】
(6)ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構40を有する電動ブレーキ倍力装置20において、ブレーキ液圧を発生するポンプ機構Pと、マスタシリンダM/Cとポンプ機構Pの吸入側とを繋ぐ油路10を開閉可能な常閉型のソレノイドバルブであるゲートインバルブ1と、マスタシリンダM/CとホイールシリンダW/Cおよびポンプ機構Pの吐出側とを繋ぐ油路12を開閉可能な常開型のソレノイドバルブであるゲートアウトバルブ2と、推力発生機構40の故障を検出する故障検出部70aと、推力発生機構40の故障を検出したときには、ゲートインバルブ1を開弁し、ゲートアウトバルブ2を閉弁するバルブ制御部70dと、推力発生機構40の故障を検出したときには、ポンプ機構Pを駆動するポンプ機構制御部70eとを設けた。
【0092】
よって、ブレーキペダルBPの操作力の増加を抑えられ、ブレーキペダルBPへのキックバックを抑制することができる。また、ホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧を増圧することができる。
【0093】
(7)運転者のブレーキ操作を検出するブレーキストロークセンサ43を設け、バルブ制御部70dは、ブレーキ操作をしているときであって、推力発生機構40の故障を検出したときに、ゲートインバルブ1を開弁し、ゲートアウトバルブ2を閉弁し、ポンプ機構制御部70eは、ブレーキ操作をしているときであって、推力発生機構40の故障を検出したときに、ポンプ機構Pを駆動するようにした。
よって、ブレーキペダルBPの踏み込みを行うことができ、また運転者の意図しない制動力の発生を防止することができる。
【0094】
(8)ブレーキ操作を終了したときに、ポンプ機構制御部70eはポンプ機構Pの駆動を終了し、バルブ制御部70dはゲートアウトバルブ2を開弁するようにした。
よって、ホイールシリンダW/Cのキックバックを抑制しつつ、ゲートインバルブ1とポンプ機構Pの駆動電力消費を抑制することができる。
【0095】
(9)車両の停止を検出する車両停止検出部70bを設け、ポンプ機構制御部70eは、車両が停止したときに、ポンプ機構Pの駆動を終了し、バルブ制御部70dは、ゲートインバルブ1を閉弁し、ゲートアウトバルブ2の閉弁を継続するようにした。
よって、ブレーキ操作を終了したときには、制動力を解除することができる。
【0096】
(10)ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構40が故障したときには、ホイールシリンダW/C側からマスタシリンダM/Cへのブレーキ液の流れを遮断し、マスタシリンダM/Cのブレーキ液圧をホイールシリンダW/Cに供給するようにした。
よって、ブレーキペダルBPの操作力の増加を抑えられ、ブレーキペダルBPへのキックバックを抑制することができる。また、ホイールシリンダW/Cのブレーキ液圧を増圧することができる。
【0097】
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1または実施例2に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1または実施例2に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0098】
図11は、他の実施例の電動ブレーキ倍力装置20の部分断面図である。実施例1および実施例2では、主ピストン30、ブーストピストン50、ねじ軸42を別体で構成したが、図11に示すように、プライマリピストン80として一体に形成してもよい。
【0099】
また実施例1では、推力発生機構40の故障を検出したときには、増圧・保持バルブ3閉弁していたが、ゲートアウトバルブ2を閉弁するようにしても良い。
【0100】
また実施例1および実施例2では、運転者のブレーキ操作を検出する手段としてブレーキストロークセンサ43を用いているが、ブレーキ踏力センサ等でも良く、運転者のブレーキ操作を検出できる手段であれば特に限定しない。
【0101】
なお、増圧・保持バルブ3、ゲートアウトバルブ1は、請求項1ないし請求項4における常開型バルブに相当し、ゲートアウトバルブ1は請求項6ないし請求項9の常開型バルブに相当し、故障検出部70aは請求項1ないし請求項4、請求項6ないし請求項9における故障検出手段に相当し、車両停止検出部70bは請求項4、請求項8または請求項9におけるに車両停止検出手段に相当し、バルブ制御部70dは請求項1ないし請求項4、請求項6ないし請求項9におけるバルブ制御手段に相当し、バルブ制御部70dは請求項1ないし請求項4、請求項6ないし請求項9におけるバルブ制御手段に相当し、ポンプ機構制御部70eは請求項6ないし請求項9におけるポンプ機構制御手段に相当し、ブレーキストロークセンサ43は請求項2ないし請求項4、請求項7ないし請求項9のブレーキ操作検出手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】実施例1の電動ブレーキ倍力装置を適用したブレーキ液圧回路図である。
【図2】実施例1の電動ブレーキ倍力装置のシステム図である。
【図3】実施例1のコントロールユニットの制御ブロック図である。
【図4】実施例1のコントロールユニットの制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施例1の電動ブレーキ倍力装置の動作を示す図である。
【図6】実施例1の電動ブレーキ倍力装置のタイムチャートである。
【図7】実施例2のコントロールユニットの制御ブロック図である。
【図8】実施例2のコントロールユニットの制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例2のブレーキペダルの操作力に対するマスタシリンダ液圧とブレーキストロークの関係を示すグラフである。
【図10】実施例2の電動ブレーキ倍力装置のタイムチャートである。
【図11】他の実施例の電動ブレーキ倍力装置を適用したブレーキ液圧回路図である。
【符号の説明】
【0103】
1 ゲートインバルブ(常開型バルブ)
2 ゲートアウトバルブ(常閉型バルブ)
3 増圧・保持バルブ(常開型バルブ)
20 電動ブレーキ倍力装置
40 推力発生機構
43 ブレーキストロークセンサ(ブレーキ操作検出手段)
70a 故障検出部(故障検出手段)
70b 車両停止検出部(車両停止検出手段)
70d バルブ制御部(バルブ制御手段)
70e ポンプ機構制御部(ポンプ機構制御手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構を有する電動ブレーキ倍力装置において、
マスタシリンダとホイールシリンダとの間を繋ぐ油路を開閉可能な常開型バルブと、
前記推力発生機構の故障を検出する故障検出手段と、
前記推力発生機構の故障を検出したときには、前記常開型バルブを閉弁するバルブ制御手段と、
を設けたことを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
運転者のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段を設け、
前記ブレーキ操作中であって、前記推力発生機構の故障を検出したときに、前記バルブ制御手段は前記常開型バルブを閉弁することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
前記ブレーキ操作を終了したときに、前記バルブ制御手段は前記常開型バルブを開弁することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
車両の停止を検出する車両停止検出手段を設け、
前記車両が停止したときに、前記バルブ制御手段は前記常開型バルブを開弁することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項5】
ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構が故障したときには、ホイールシリンダのブレーキ液圧を保持することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項6】
ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構を有する電動ブレーキ倍力装置において、
ブレーキ液圧を発生するポンプと、
マスタシリンダと前記ポンプの吸入側とを繋ぐ油路を開閉可能な常閉型バルブと、
前記マスタシリンダとホイールシリンダおよび前記ポンプの吐出側とを繋ぐ油路を開閉可能な常開型バルブと、
前記推力発生機構の故障を検出する故障検出手段と、
前記推力発生機構の故障を検出したときに、前記常開型バルブを開弁し、前記常閉型バルブを閉弁するバルブ制御手段と、
前記推力発生機構の故障を検出したときに、前記ポンプを駆動するポンプ制御手段と、
を設けたことを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
運転者のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段を設け、
前記ブレーキ操作をしているときであって、前記推力発生機構の故障を検出したときに、前記バルブ制御手段は前記常開型バルブを閉弁して前記常閉型バルブを開弁し、前記ポンプ制御手段は前記ポンプを駆動することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項8】
請求項6乃至請求項7のいずれか1項に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
車両の停止を検出する車両停止検出手段を設け、
前記車両が停止したときに、前記ポンプ制御手段は前記ポンプの駆動を終了し、前記バルブ制御手段は前記常閉バルブを閉弁して前記常開バルブの閉弁を継続することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
前記ブレーキ操作を終了したときに、前記バルブ制御手段は前記常開型バルブを開弁して前記常閉型バルブを閉弁することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項10】
ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構が故障したときには、ホイールシリンダ側からマスタシリンダへのブレーキ液の流れを遮断し、マスタシリンダのブレーキ液圧をホイールシリンダに供給することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項1】
ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構を有する電動ブレーキ倍力装置において、
マスタシリンダとホイールシリンダとの間を繋ぐ油路を開閉可能な常開型バルブと、
前記推力発生機構の故障を検出する故障検出手段と、
前記推力発生機構の故障を検出したときには、前記常開型バルブを閉弁するバルブ制御手段と、
を設けたことを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
運転者のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段を設け、
前記ブレーキ操作中であって、前記推力発生機構の故障を検出したときに、前記バルブ制御手段は前記常開型バルブを閉弁することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
前記ブレーキ操作を終了したときに、前記バルブ制御手段は前記常開型バルブを開弁することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
車両の停止を検出する車両停止検出手段を設け、
前記車両が停止したときに、前記バルブ制御手段は前記常開型バルブを開弁することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項5】
ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構が故障したときには、ホイールシリンダのブレーキ液圧を保持することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項6】
ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構を有する電動ブレーキ倍力装置において、
ブレーキ液圧を発生するポンプと、
マスタシリンダと前記ポンプの吸入側とを繋ぐ油路を開閉可能な常閉型バルブと、
前記マスタシリンダとホイールシリンダおよび前記ポンプの吐出側とを繋ぐ油路を開閉可能な常開型バルブと、
前記推力発生機構の故障を検出する故障検出手段と、
前記推力発生機構の故障を検出したときに、前記常開型バルブを開弁し、前記常閉型バルブを閉弁するバルブ制御手段と、
前記推力発生機構の故障を検出したときに、前記ポンプを駆動するポンプ制御手段と、
を設けたことを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
運転者のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段を設け、
前記ブレーキ操作をしているときであって、前記推力発生機構の故障を検出したときに、前記バルブ制御手段は前記常開型バルブを閉弁して前記常閉型バルブを開弁し、前記ポンプ制御手段は前記ポンプを駆動することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項8】
請求項6乃至請求項7のいずれか1項に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
車両の停止を検出する車両停止検出手段を設け、
前記車両が停止したときに、前記ポンプ制御手段は前記ポンプの駆動を終了し、前記バルブ制御手段は前記常閉バルブを閉弁して前記常開バルブの閉弁を継続することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の電動ブレーキ倍力装置において、
前記ブレーキ操作を終了したときに、前記バルブ制御手段は前記常開型バルブを開弁して前記常閉型バルブを閉弁することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【請求項10】
ブレーキアシスト力を付与する推力発生機構が故障したときには、ホイールシリンダ側からマスタシリンダへのブレーキ液の流れを遮断し、マスタシリンダのブレーキ液圧をホイールシリンダに供給することを特徴とする電動ブレーキ倍力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−184391(P2009−184391A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23384(P2008−23384)
【出願日】平成20年2月2日(2008.2.2)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月2日(2008.2.2)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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