説明

電圧供給装置の故障検出装置

【課題】電圧供給装置の故障をより正確に判定することのできる故障検出装置を提供する。
【解決手段】車両10は、エンジン20を自動停止させるとともに、スタータ21によりエンジン20を自動再始動させるアイドルストップECU62と、エンジン20の自動再始動時にバッテリ23から供給される電圧を昇圧回路50により上昇させるDC−DCコンバータ30と、エンジン20の燃料カット実行中に、オルタネータ22により一定電圧を供給させるエンジンECUとを備える。コンバータ30は、オルタネータ22から電気負荷60へ供給される電圧を所定電圧降下させるダイオードを備える。ECU62は、オルタネータ22により一定電圧を供給させている場合に、オルタネータ22から供給される電圧を昇圧回路50により上昇させ、オルタネータ22から供給される電圧と昇圧回路50により上昇させた電圧との比較に基づいて、コンバータ30の故障を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの自動停止及び自動再始動を実行する車両に適用され、エンジンの自動再始動時に電気負荷へ供給される電圧を上昇させる電圧供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置において、エンジンの自動再始動時にバッテリ電圧が設定値以下に低下すると、電気負荷へ供給される電圧を電圧補償回路により上昇させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、同様の装置において、エンジンの自動停止条件が成立したことに応じて、電圧供給装置の昇圧動作を確認し、昇圧動作が異常である場合には、エンジンの自動停止を禁止するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
この特許文献2に記載のものでは、エンジンの自動停止条件が成立すると、電圧供給装置の入力電圧と出力電圧との間でダイオードの順方向電圧に相当する電圧降下を生じさせ、その時の入力電圧と出力電圧とを検出する。その後、電圧降下分が補償されるように昇圧動作を行い、その時に検出される入力電圧と出力電圧との差に基づいて、昇圧動作が正常に行われているか否か判定する。詳しくは、検出される入力電圧と出力電圧との差が、所定の判定値以下である場合には昇圧動作が正常に行われていると判定し、所定の判定値を上回る場合には昇圧動作が異常であると判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−38984号公報
【特許文献2】特開2007−56728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電圧供給装置の入力電圧は、その時のバッテリ電圧や、車載発電機の発電状態等によって常に変化する。このため、上記特許文献2に記載のものでは、検出される入力電圧と出力電圧との差が常に変化することとなり、昇圧動作が正常であるか否かを正確に判定できないおそれがある。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、電圧供給装置の故障をより正確に判定することのできる故障検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0009】
請求項1に記載の発明は、エンジンと、充電及び放電の可能なバッテリと、電気負荷と、前記バッテリから供給される電圧により駆動されるスタータと、所定条件に基づいて、前記エンジンを自動停止させるとともに、前記スタータにより前記エンジンを自動再始動させる自動停止再始動手段と、供給される電圧を上昇させ、その上昇させた電圧を前記電気負荷へ供給する電圧供給回路を有し、前記エンジンの自動再始動時に前記バッテリから供給される電圧を前記電圧供給回路により上昇させる電圧供給装置と、前記エンジンの駆動力により発電して前記バッテリ及び前記電圧供給装置へ電圧を供給する発電機と、所定条件の成立時に前記エンジンの燃料カットを実行する燃料カット手段と、前記発電機の発電状態を制御し、前記燃料カット手段による燃料カットの実行中に前記発電機により一定電圧を供給させる発電制御手段と、前記バッテリ及び前記発電機から前記電圧供給装置を介して前記電気負荷へ供給される電圧を所定電圧降下させる電圧降下手段と、備える車両に適用され、前記電圧供給装置の故障を検出する故障検出装置であって、前記発電制御手段が前記発電機により前記一定電圧を供給させている場合に、前記発電機から供給される電圧を前記電圧供給回路により上昇させ、前記発電機から供給される電圧と前記電圧供給回路により上昇させた電圧との比較に基づいて、前記電圧供給装置の故障を検出することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、所定条件に基づいて、エンジンが自動停止されるとともに、スタータによりエンジンが自動再始動させられる。このとき、スタータはバッテリから供給される電圧により駆動されるため、バッテリからスタータ以外の電気負荷へ供給される電圧が低下する。これに対して、エンジンの自動再始動時に、バッテリから供給される電圧が電圧供給回路により上昇させられ、その上昇させられた電圧が電気負荷へ供給される。
【0011】
また、エンジンの駆動力により発電機で発電が行われ、バッテリ及び電圧供給装置へ電圧が供給される。そして、所定条件の成立時にエンジンの燃料カットが実行され、燃料カットの実行中に発電機により一定電圧が供給される。これにより、燃料を消費することなく発電が行われバッテリに充電されるため、エンジンの燃費を改善することができる。
【0012】
そして、燃料カットの実行中に発電機から電圧供給装置を介して電気負荷へ供給される一定電圧は、電圧降下手段により所定電圧降下させられる。電圧供給装置の故障検出では、発電機により一定電圧が供給されている場合に、その発電機から供給される電圧が電圧供給回路により上昇させられる。このため、発電機から供給される電圧と電圧供給回路により上昇させられた電圧とを比較することにより、電圧供給装置の故障を検出することができる。
【0013】
例えば、発電機から供給される電圧と電圧供給回路により上昇させられた電圧とに、電圧降下手段により降下させられた所定電圧に相当する差がある場合は、電気負荷へ供給される電圧が電圧供給回路により上昇させられておらず、電圧供給装置が故障していると検出することができる。一方、発電機から供給される電圧と電圧供給回路により上昇させられた電圧とに、ほとんど差がない場合又は電圧降下手段により降下させられた所定電圧よりも小さな差がある場合は、電気負荷へ供給される電圧が電圧供給回路により上昇させられており、電圧供給装置が正常に動作していると検出することができる。
【0014】
ここで、発電機から供給される電圧と電圧供給回路により上昇させられた電圧との比較は、発電機により一定電圧が供給されている場合に行われる。したがって、その時にバッテリから供給される電圧等にかかわらず、電圧供給装置に一定電圧が供給されている状態で上記電圧の比較を行うことができる。その結果、電圧供給装置の故障をより正確に検出することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明との変更点として、前記発電制御手段が前記発電機により前記一定電圧を供給させている場合に、前記発電機から供給される電圧を前記電圧供給回路により上昇させる前に前記電気負荷へ供給される電圧と、前記発電機から供給される電圧を前記電圧供給回路により上昇させた後に前記電気負荷へ供給される電圧との比較に基づいて、前記電圧供給装置の故障を検出する。
【0016】
例えば、電圧を電圧供給回路により上昇させる前に電気負荷へ供給される電圧と、電圧を電圧供給回路により上昇させた後に電気負荷へ供給される電圧とに、ほとんど差がない場合は、電気負荷へ供給される電圧が電圧供給回路により上昇させられておらず、電圧供給装置が故障していると検出することができる。一方、電圧を電圧供給回路により上昇させる前に電気負荷へ供給される電圧よりも、電圧を電圧供給回路により上昇させた後に電気負荷へ供給される電圧が高い場合は、電気負荷へ供給される電圧が電圧供給回路により上昇させられており、電圧供給装置が正常に動作していると検出することができる。
【0017】
ここで、電圧を電圧供給回路により上昇させる前に電気負荷へ供給される電圧と、電圧を電圧供給回路により上昇させた後に電気負荷へ供給される電圧との比較は、発電機により一定電圧が供給されている場合に行われる。したがって、その時にバッテリから供給される電圧等にかかわらず、電圧供給装置に一定電圧が供給される状態で上記電圧の比較を行うことができる。その結果、電圧供給装置の故障をより正確に検出することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記自動停止再始動手段は、前記車両の速度が低下する過程において、前記車両の速度が判定速度よりも低いことを条件として前記エンジンを自動停止させるものであり、前記燃料カット手段は、前記車両の速度が低下する過程において、前記エンジンの回転速度が所定の回転速度以下になるまで前記燃料カットを実行するものであり、前記発電制御手段が前記発電機により前記一定電圧を供給させており、且つ前記車両の速度が前記判定速度まで低下する直前の前記燃料カットの実行中に、前記電圧供給装置の故障を検出する。
【0019】
上記構成によれば、車両の速度が低下する過程において、車両の速度が判定速度よりも低いことを条件としてエンジンが自動停止させられる。このため、車両の速度が0になっていない場合であっても、車両の速度が判定速度よりも低い場合には、エンジンが自動停止させられる。また、エンジンの燃料カットでは、車両の速度が低下する過程において、エンジンの回転速度が所定の回転速度以下になるまで燃料カットが実行される。そして、エンジンの燃料カット実行中には、発電機により一定電圧が供給される。
【0020】
ここで、電圧供給装置が故障した場合には、エンジンの自動始動時に電気負荷へ供給される電圧を上昇させることができず、電気負荷の動作等に不都合が生じるおそれがある。したがって、エンジンを自動停止させるよりも前に電圧供給装置の故障を検出し、故障が検出された場合にはエンジンの自動停止を禁止する必要がある。ただし、電圧供給装置の故障検出から電圧供給装置が動作されるまでの期間が長い場合には、電圧供給装置の動作時の信頼性を確保することが難しくなる。
【0021】
この点、上記構成によれば、発電機により一定電圧が供給されており、且つ車両の速度が判定速度まで低下する直前の燃料カットの実行中、すなわちエンジンを自動停止させる条件が成立する直前に、電圧供給装置の故障が検出される。このため、エンジンが自動停止させられる前に電圧供給装置の故障を検出することができるとともに、故障の検出から電圧供給装置が動作されるまでの期間を短くすることができる。その結果、電圧供給装置の動作の信頼性を向上させることができる。さらに、エンジンを自動停止させる条件が成立する直前に電圧供給装置の故障を検出するため、エンジンを自動停止させる条件が成立した後に電圧供給装置の故障を検出する構成と比較して、エンジンを自動停止させる時期が遅れることを抑制することができる。したがって、エンジンの停止される期間が短くなることを抑制することができ、エンジンの燃費が悪化することを抑制することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記発電制御手段は、前記燃料カット手段による燃料カットの実行中に、前記電気負荷へ供給可能な最大の一定電圧を前記発電機により供給させるものである。
【0023】
上記構成によれば、燃料カットの実行中に、電気負荷へ供給可能な最大の一定電圧が発電機により供給されるため、発電量を最大限増加させることができ、エンジンの燃費を更に改善することができる。このとき、燃料カットの実行中に発電機から電圧供給装置を介して電気負荷へ供給される一定電圧は、電圧降下手段により所定電圧降下させられる。したがって、電気負荷へ供給可能な最大の一定電圧が発電機により供給されている場合であっても、その発電機から供給される電圧を電圧供給回路により上昇させることが可能となる。その結果、請求項1に記載の発明や請求項2に記載の発明と同様にして、電圧供給装置の故障を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】DC−DCコンバータ及びその周辺構成を示すブロック図。
【図2】DC−DCコンバータの電気的構成を示す電気回路図。
【図3】燃料カット中の充電制御の態様を示すタイムチャート。
【図4】DC−DCコンバータの故障検出制御の処理手順を示すフローチャート。
【図5】DC−DCコンバータの故障検出制御の態様を示すタイムチャート。
【図6】DC−DCコンバータの故障検出制御の変形例についてその処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、走行状態であってもエンジンの自動停止及び自動再始動を実行する車両に適用され、バッテリから供給される電圧を上昇させるDC−DCコンバータの故障を検出する故障検出装置として具体化している。
【0026】
図1は、DC−DCコンバータ及びその周辺構成を示すブロック図である。同図に示すように、車両10は、エンジン20、スタータ21、オルタネータ22、バッテリ23、各種のセンサ25〜28、DC−DCコンバータ30、各種の電気負荷60、エンジンECU(Electric Control Unit)61、及びアイドルストップECU62を備えている。
【0027】
エンジン20は、多気筒ガソリンエンジンであり、EFI(Electronic Fuel Injection)ユニット20a、点火プラグ等を備えている。バッテリ23は、充電及び放電の可能な鉛蓄電池である。
【0028】
EFIユニット20a、スタータ21、オルタネータ22、及びDC−DCコンバータ30は、バッテリ23の電圧入出力ラインに接続されている。エンジンECU61、アイドルストップECU、及び各種の電気負荷60は、DC−DCコンバータ30の電圧出力ラインに接続されている。
【0029】
上記EFIユニット20aは、エンジン20の気筒ごとに燃料を噴射する。点火プラグは、エンジン20の気筒ごとに、噴射された燃料に対して点火を行う。これにより、エンジン20において駆動力が発生させられる。
【0030】
スタータ21は、バッテリ23から供給される電源電圧VBにより駆動され、エンジン20の始動時にエンジン20を回転させる。そして、エンジン20の自動再始動時には、アイドルストップECU62からの始動信号STARTに基づいて、スタータ21が駆動される。
【0031】
オルタネータ22(発電機)は、バッテリ23から供給される電源電圧VBに基づいて内蔵するロータに磁界を発生させるとともに、エンジン20の駆動力によりロータを回転させ、ロータの周囲に設けられたステータに交流電圧を発生させる。さらに、オルタネータ22は、内蔵するダイオードによって、発生した交流電圧を整流して直流電圧に変換する。そして、オルタネータ22は、その変換した直流電圧(発電電圧VG)をDC−DCコンバータ30へ供給するとともに、発電電圧VGをバッテリ23へ供給してバッテリ23を充電する。オルタネータ22は、内蔵するロータに供給する電圧を変更することにより、発生させる発電電圧VGの大きさを変更する。
【0032】
DC−DCコンバータ30(電圧供給装置)は、供給される電圧(入力電圧VIN)を上昇させ、その上昇させた電圧(出力電圧VOUT)を、エンジンECU61,アイドルストップECU62,各種の電気負荷60へ供給する昇圧回路50を備えている。すなわち、バッテリ23から供給される電源電圧VB、及びオルタネータ22から供給される発電電圧VGは、DC―DCコンバータ30を介して、エンジンECU61,アイドルストップECU62,各種の電気負荷60へ供給される。
【0033】
エンジンECU61は、周知のマイクロコンピュータ等を備えてなる電子制御装置である。エンジンECU61、各種のセンサ25〜28の検出結果等に基づいて、EFIユニット20aによる燃料噴射量制御、点火プラグによる点火制御など各種のエンジン制御や、オルタネータ22による発電状態の制御を実行する。エンジンECU61(発電制御手段)は、オルタネータ22へ発電信号GENを送信して、オルタネータ22の内蔵するロータに供給される電圧を制御し、オルタネータ22により発生させる発電電圧VGの大きさを制御する。センサ類について詳しくは、エンジンECU61には、アクセルペダルの踏込み操作量を検出するアクセルセンサ25、ブレーキペダルの踏込み操作量を検出するブレーキセンサ26、車両10の速度を検出する車速センサ27、エンジン20の回転速度を検出する回転速度センサ28等が接続されており、これら各センサの検出信号がエンジンECU61に逐次入力される。
【0034】
アイドルストップECU62は、周知のマイクロコンピュータ等を備えてなる電子制御装置である。アイドルストップECU62(自動停止再始動手段)は、エンジン20の運転中に所定の自動停止条件が成立すると、エンジン停止信号ESTをEFIユニット20aへ送信してエンジン20を自動停止させる。その後、アイドルストップECU62は、所定の自動再始動条件が成立すると、始動信号STARTをスタータ21へ送信してエンジン20を自動再始動させる。なお、アイドルストップECU62とエンジンECU61とは接続されており、それらの間で通信が行われる。
【0035】
エンジン20の自動停止条件としては、例えば、ブレーキペダルの踏込み操作が行われたこと、車速が所定のエンジン停止車速(判定速度)よりも低いこと等の少なくともいずれかが含まれる。また、エンジン20の自動再始動条件としては、例えば、エンジン停止状態において、ブレーキペダルの踏込み操作が行われていないこと、アクセルペダルの踏込み操作が行われていること等の少なくともいずれかが含まれる。こうしたアイドルストップ制御は、車両10の速度が低下する過程、すなわち車両10が走行状態(車速が0よりも高い状態)であっても行われる。
【0036】
そして、スタータ21によりエンジン20が始動される際に、バッテリ23から、エンジンECU61,アイドルストップECU,及び各種の電気負荷60へ供給される電圧が、DC−DCコンバータ30により上昇させられる。このため、エンジン20の始動時に、バッテリ23からスタータ21以外の電気負荷へ供給される電圧が低下することを抑制することができる。
【0037】
図2は、DC−DCコンバータ30の電気的構成を示す電気回路図である。同図に示すように、DC−DCコンバータ30は、昇圧回路50、電圧検出センサ56,57、及びCPU38等を備えている。
【0038】
昇圧信号入力端子33を通じてCPU38へ、アイドルストップECU62の昇圧信号DDONが入力される。また、CPU38は、アイドルストップECU62と接続されており、CPU38とアイドルストップECU62との間で通信が行われる。
【0039】
昇圧回路50(電圧供給回路)は、コンデンサ51,55、コイル52、出力制御リレー53,54を備えている。
【0040】
コンデンサ51の一方の電極は、電圧入力端子31に接続され、他方の電極は接地されている。コイル52の一方端は、電圧入力端子31に接続されている。出力制御リレー53はMOSトランジスタ53a及びダイオード53bを備え、出力制御リレー54はMOSトランジスタ54a及びダイオード54bを備えている。そして、コイル52の他方端は、MOSトランジスタ53aのドレインとMOSトランジスタ54aのソースとの間部分に接続されている。MOSトランジスタ53aのソースとドレインとの間部分には、ソースからドレインへ電流を流すダイオード53bが接続されている。MOSトランジスタ54aのソースとドレインとの間部分には、ソースからドレインへ電流を流すダイオード54bが接続されている。
【0041】
MOSトランジスタ53aのソースは接地されており、MOSトランジスタ54aのドレインは、電圧出力端子32に接続されている。
【0042】
そして、昇圧回路50は、電圧入力端子31から供給された電圧(入力電圧VIN)を昇圧し、その昇圧した電圧(出力電圧VOUT)を電圧出力端子32に供給する。
【0043】
MOSトランジスタ53aのゲートには、CPU38が接続されている。MOSトランジスタ54aのゲートは開放されている。MOSトランジスタ53aのゲートには、CPU38から、MOSトランジスタ53aをスイッチング制御する信号PWMが入力される。CPU38は、MOSトランジスタ53aが信号PWMに従ってオン/オフされるように、そのゲート電位を制御する。これにより、入力電圧VINは、信号PWMによってMOSトランジスタ53aがオンされた期間に応じて昇圧されて出力制御リレー54に供給される。
【0044】
MOSトランジスタ54aのゲートは開放されているため、MOSトランジスタ54aは常時オフとなっている。このため、出力制御リレー54へ供給される電圧は、出力制御リレー54のダイオード54b(電圧降下手段)により、ダイオード54bの順方向電圧に相当する電圧だけ降下させられる。このとき、コンデンサ55は、ダイオード54bを介して供給される電圧を平滑化し、その平滑化された電圧を出力電圧VOUTとして電圧出力端子32へ供給する。
【0045】
電圧検出センサ56は、昇圧回路50へ供給される入力電圧VINを検出し、その検出した入力電圧VINをCPU38へ出力する。電圧検出センサ57は、昇圧回路50から供給される出力電圧VOUTを検出し、その検出した出力電圧VOUTをCPU38へ出力する。
【0046】
ここで、CPU38は、エンジン20の自動再始動時において、バッテリ23から供給される電圧を昇圧回路50により上昇させる。CPU38は、電圧検出センサ56から入力電圧VINを入力し、電圧検出センサ57から出力電圧VOUTを入力する。CPU38は、入力電圧VIN,出力電圧VOUTに基づいて、MOSトランジスタ53aをスイッチング制御する信号PWMを生成して、MOSトランジスタ53aのゲートへ出力する。
【0047】
具体的には、CPU38は、電圧指令値Vordを一定電圧Vcに設定する。この電圧Vcは、通常動作時においてバッテリ23が供給する電源電圧VB(例えば12V)程度に設定される。そして、CPU38は、下式(1)によりMOSトランジスタ53aのオンデューティD_ONを演算する。
【0048】
D_ON=1−VIN/Vord・・・(1)
そして、CPU38は、演算されたオンデューティD_ONによりMOSトランジスタ53aをオン/オフするための信号PWMを生成し、その生成した信号PWMをMOSトランジスタ53aへ出力する。なお、CPU38は、入力電圧VINが一定電圧Vcよりも高い場合には、電圧指令値Vordを入力電圧VINに設定する。
【0049】
さらに、CPU38は、電圧検出センサ57から出力電圧VOUTを入力すると、電圧指令値Vordと出力電圧VOUTとの偏差Vord−VOUTを演算し、その演算した偏差Vord−VOUTが0となるようにオンデューティD_ONを演算する。このように、CPU38は、入力電圧VINと出力電圧VOUTとを用いてフィードバック制御を行う。
【0050】
本実施形態において、エンジンECU61は、所定条件の成立時にエンジン20の燃料カットを実行するとともに、燃料カットの実行中にオルタネータ22により一定電圧を供給させてバッテリ23に充電を行う。
【0051】
図3は、燃料カット中の充電制御の態様を示すタイムチャートである。同図に示すように、時刻t11において車両10の速度が増加し始めると、エンジンECU61は、オルタネータ22による発電電圧を所定の電圧VG1に制御する。詳しくは、エンジンECU61は、オルタネータ22へ発電信号GENを送信して、オルタネータ22の内蔵するロータに供給される電圧を制御し、オルタネータ22により電圧VG1を発生させるように制御する。この電圧VG1は、オルタネータ22による発電を抑制するための電圧である。このため、時刻t11以降、バッテリ23の充電が抑制される。そして、エンジンECU61は、車両10の速度が一定速度となった場合も、継続して発電電圧を電圧VG1に制御する。
【0052】
時刻t12において車両10の速度が低下し始めると、エンジン20の燃料カットを実行する条件が成立し、エンジンECU61は燃料カット信号FCUTをEFIユニット20aに送信して、エンジン20の燃料カットを実行する。燃料カットの実行条件としては、例えば、アクセルペダルが踏み込みこまれていないこと、エンジン20の回転速度が所定の燃料カット回転速度(例えば1500rpm)よりも高いことを含む。ここで、エンジンECU61は、エンジン20の回転速度が、燃料カット回転速度よりも若干低い所定の再供給回転速度(例えば1200rpm)以下になるまで燃料カットを実行する。
【0053】
このようにエンジン20の燃料カットが実行されると、エンジンECU61は、オルタネータ22による発電電圧を所定の電圧VG2に制御する。この電圧VG2は、オルタネータ22から各種の電気負荷60へ供給可能な最大の電圧であり、例えば14.5[V]に設定されている。この電圧VG2は、オルタネータ22の発電能力と、各種の電気負荷60が入力可能な最大電圧とに基づいて設定されている。このため、時刻t12以降、バッテリ23へ充電が行われ、バッテリ23の容量が増加する。これにより、燃料を消費することなく発電が行われバッテリ23に充電されるため、エンジン20の燃費を改善することができる。
【0054】
そして、時刻t13においてエンジン20の燃料カットが終了すると、エンジンECU61は、オルタネータ22による発電電圧を電圧VG2から低下させる。このため、時刻t13以降、バッテリ23の充電が抑制される。
【0055】
図4は、DC−DCコンバータ30の故障検出制御の処理手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、アイドルストップECU62により、所定の周期で繰り返し実行される。
【0056】
まず、エンジン20の燃料カット中であるか否か判定する(S10)。具体的には、アイドルストップECU62は、エンジンECU61との通信に基づき、エンジン20の燃料カットが実行されているか否か判定する。このとき、エンジン20の燃料カット中であれば、上述したように、オルタネータ22による発電電圧が所定の電圧VG2に制御されている。
【0057】
上記判定において、エンジン20の燃料カット中でないと判定した場合には(S10:NO)、この一連の処理を一旦終了する(END)。一方、エンジン20の燃料カット中であると判定した場合には(S10:YES)、車両10の速度が所定の故障検出車速よりも低い否か判定する(S11)。具体的には、車速センサ27により検出される速度が、故障検出車速よりも低いか否か判定する。この故障検出車速は、上述したエンジン停止車速よりも若干高い速度に設定されている。
【0058】
上記判定において、車両10の速度が故障検出車速よりも低くないと判定した場合には(S11:NO)、この一連の処理を一旦終了する(END)。一方、車両10の速度が故障検出車速よりも低いと判定した場合には(S11:YES)、車両10の速度がエンジン停止車速以上であるか否か判定する(S12)。具体的には、車速センサ27により検出される速度が、エンジン停止車速以上であるか否か判定する。このとき、車両10の速度がエンジン停止車速以上である場合には、エンジン20の自動停止条件が成立しておらず、エンジン20の運転が継続されている。
【0059】
上記判定において、車両10の速度がエンジン停止車速以上でないと判定した場合には(S12:NO)、この一連の処理を一旦終了する(END)。すなわち、車両10の速度がエンジン停止車速よりも低く、エンジン20が自動停止させられている可能性がある場合には、DC―DCコンバータ30の故障判定を実行しない。一方、車両10の速度がエンジン停止車速以上であると判定した場合には(S12:YES)、昇圧回路50により入力電圧VINを上昇させる(S13)。
【0060】
具体的には、エンジン20の燃料カットが実行されているため、オルタネータ22により電圧VG2が入力電圧VINとして供給されている。そして、MOSトランジスタ53aのオンデューティD_ONが0%の状態、すなわちMOSトランジスタ53aがオフの状態において、出力制御リレー54ではダイオード54bの順方向電圧に相当する電圧の降下が生じている。ここで、アイドルストップECU62は、DC−DCコンバータ30のCPU38の制御を通じて、ダイオード54bによる電圧降下に相当する電圧を上昇させる。すなわち、ダイオード54bの電圧降下を補償するように、昇圧回路50により入力電圧VINを上昇させる。
【0061】
詳しくは、CPU38による制御を通じて、電圧指令値Vordを電圧VG2に設定し、上記(1)式によってMOSトランジスタ53aのオンデューティD_ONを演算する。さらに、CPU38による制御を通じて、電圧検出センサ57から出力電圧VOUTを入力し、電圧指令値Vordと出力電圧VOUTとの偏差Vord−VOUTを演算し、その演算した偏差Vord−VOUTが0となるようにフィードバック制御を行う。
【0062】
続いて、入力電圧VINと出力電圧VOUTとの偏差が判定値Vrよりも小さいか否か判定する(S14)。具体的には、アイドルストップECU62は、CPU38による制御を通じて、電圧検出センサ56から入力電圧VINを入力し、電圧検出センサ57から出力電圧VOUTを入力し、それらの偏差が判定値Vrよりも小さいか否か判定する。この判定値Vrは、入力電圧VINと出力電圧VOUTとが略同一であることを判定可能な値に設定されている。
【0063】
上記判定において、入力電圧VINと出力電圧VOUTとの偏差が判定値Vrよりも小さくないと判定した場合には(S14:NO)、DC−DCコンバータ30が故障していると検出する(S15)。そして、エンジン20の自動停止を禁止し(S16)、この一連の処理を終了する(END)。すなわち、以後、エンジン20の自動停止条件が成立したとしても、エンジン20を自動停止させることを禁止する。
【0064】
一方、上記判定において、入力電圧VINと出力電圧VOUTとの偏差が判定値Vrよりも小さいと判定した場合には(S14:YES)、DC−DCコンバータ30が正常であると検出し(S17)、この一連の処理を終了する(END)。すなわち、以後、エンジン20の自動停止条件に基づいてエンジン20の自動停止を行い、エンジンの自動再始動条件に基づいてエンジン20の自動再始動を行う。
【0065】
図5は、DC−DCコンバータ30の故障検出制御の態様を示すタイムチャートである。同図に示すように、時刻t21において車両10の速度が増加し始め、その後に一定速度が維持される。時刻t22においてエンジン20の燃料カット実行条件が成立し、燃料カットが実行されるとともに、オルタネータ22の発電電圧が電圧VG2に制御される。
【0066】
時刻t23において車両10の速度が故障検出車速(23[km/h])を下回るとともに、エンジン停止車速(20[km/h])よりも高い状態となる。このため、昇圧回路50により入力電圧VINが上昇させられ、入力電圧VINと出力電圧VOUTとの比較に基づいて、DC−DCコンバータ30の故障が検出される。このとき、オルタネータ22により一定の電圧VG2がDC−DCコンバータ30に供給されているため、入力電圧VINと出力電圧VOUTとの比較を正確に行うことができる。さらに、エンジン20が停止させられる直前に、DC−DCコンバータ30の故障を検出することができ、エンジン20を自動停止させる時期が遅れることを抑制することができる。ここでは、DC−DCコンバータ30が正常であると検出されるものとする。
【0067】
時刻t24において車両10の速度がエンジン停止車速よりも低くなり、エンジン20が自動停止させられる。その後、時刻t25においてエンジン20の自動再始動条件が成立し、エンジン20が自動再始動させられるとともに、昇圧回路50により入力電圧VINが上昇させられる。ここで、エンジン20が停止させられる直前に、DC−DCコンバータ30の故障が検出されるため、故障の検出からエンジン20の再始動、すなわちDC−DCコンバータ30による昇圧動作までの期間を短くすることができる。
【0068】
時刻t26において燃料カットが実行されるとともに、オルタネータ22の発電電圧が電圧VG2に制御される。時刻t27において昇圧回路50により入力電圧VINが上昇させられ、DC−DCコンバータ30の故障が検出される。ここでは、DC−DCコンバータ30が正常であると検出され、車両10の速度が増加して一定速度に維持されるものとする。すなわち、車両10が自動停止されない場合であっても、車両10の速度が故障検出車速を下回ると、DC−DCコンバータ30の故障が検出される。
【0069】
その後、時刻t28,t29,t30において、それぞれ時刻t22,t23,t24と同様の処理が実行される。
【0070】
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
【0071】
・エンジン20の駆動力によりオルタネータ22で発電が行われ、バッテリ23及びDC−DCコンバータ30へ電圧が供給される。そして、所定条件の成立時にエンジン20の燃料カットが実行され、燃料カットの実行中にオルタネータ22により一定の電圧VG2が供給される。これにより、燃料を消費することなく発電が行われバッテリ23に充電されるため、エンジン20の燃費を改善することができる。
【0072】
・燃料カットの実行中にオルタネータ22からDC−DCコンバータ30を介して各種の電気負荷60へ供給される一定の電圧VG2は、ダイオード54bにより順方向電圧に相当する電圧だけ降下させられる。DC−DCコンバータ30の故障検出では、オルタネータ22により一定の電圧VG2が供給されている場合に、そのオルタネータ22から供給される電圧(入力電圧VIN)が昇圧回路50により上昇させられる。このため、入力電圧VINと昇圧回路50により上昇させられた電圧(出力電圧VOUT)とを比較することにより、DC−DCコンバータ30の故障を検出することができる。
【0073】
ここで、入力電圧VINと出力電圧VOUTとの比較は、オルタネータ22により一定の電圧VG2が供給されている場合に行われる。したがって、その時にバッテリ23から供給される電圧等にかかわらず、DC−DCコンバータ30に一定の電圧VG2が供給されている状態で上記電圧の比較を行うことができる。その結果、DC−DCコンバータ30の故障をより正確に検出することができる。
【0074】
・オルタネータ22により一定の電圧VG2が供給されており、且つエンジンの回転速度が所定の再供給回転速度まで低下する直前、すなわちエンジン20を自動停止させる条件が成立する直前の燃料カット実行中に、DC−DCコンバータ30の故障が検出される。このため、エンジン20が自動停止させられる前にDC−DCコンバータ30の故障を検出することができる。また、故障の検出からDC−DCコンバータ30が動作されるまでの期間を短くすることができる。その結果、DC−DCコンバータ30の動作の信頼性を向上させることができる。
【0075】
・エンジン20を自動停止させる条件が成立する直前にDC−DCコンバータ30の故障を検出するため、エンジン20を自動停止させる条件が成立した後にDC−DCコンバータ30の故障を検出する構成と比較して、エンジン20を自動停止させる時期が遅れることを抑制することができる。したがって、エンジン20の停止される期間が短くなることを抑制することができ、エンジン20の燃費が悪化することを抑制することができる。
【0076】
・燃料カットの実行中に、各種の電気負荷60へ供給可能な最大の電圧VG2がオルタネータ22により供給されるため、発電量を最大限増加させることができ、エンジン20の燃費を更に改善することができる。このとき、燃料カットの実行中にオルタネータ22からDC−DCコンバータ30を介して各種の電気負荷60へ供給される電圧VG2は、ダイオード54bにより所定電圧降下させられる。したがって、各種の電気負荷60へ供給可能な最大の電圧VG2がオルタネータ22により供給されている場合であっても、そのオルタネータ22から供給される電圧を昇圧回路50により上昇させることが可能となり、DC−DCコンバータ30の故障を検出することができる。
【0077】
上記実施形態に限定されず、例えば次のように実施することもできる。
【0078】
・昇圧信号DDONとして、昇圧信号入力端子33を通じてCPU38へ、イグニションスイッチの始動信号STARTを入力するようにしてもよい。
【0079】
・各リレーは、MOSトランジスタ以外の電界効果型トランジスタ、もしくは接合型トランジスタを備えるものであってもよい。
【0080】
・出力制御リレー54に代えて、単なるダイオードを設けてもよい。
【0081】
・昇圧回路50において出力電圧VOUTを供給する時に、出力制御リレー54のMOSトランジスタ54aのゲートに、D_ON=VIN/Vordで算出されるオンデューティD_ONをCPU38から入力するようにしてもよい。こうした構成によれば、出力電圧VOUTの供給時に、ダイオード54bでの電圧損失を抑制することができる。
【0082】
・回転速度センサ28により検出されるエンジン20の回転速度と、車載変速機のギア比とに基づいて、車両10の速度を算出することもできる。
【0083】
・アイドルストップECU62において、DC−DCコンバータ30のCPU38から入力電圧VIN及び出力電圧VOUTの検出結果を入力できない場合には、信号の入出力を行うインターフェースが故障していると検出してもよい。
【0084】
・図6は、DC−DCコンバータ30の故障検出制御の変形例について、その処理手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、アイドルストップECU62により、所定の周期で繰り返し実行される。同図において、図4と同一の処理については、同一のステップ番号を付すことにより説明を省略する。
【0085】
S10〜12の処理は図4と同一であり、続いて、アイドルストップECU62は、CPU38により、電圧検出センサ57から出力電圧VOUTpreを入力する。すなわち、昇圧回路50により入力電圧VINを上昇させる前に、電圧検出センサ57により出力電圧VOUTpreを検出させる。続いて、入力電圧VINを上昇させるS13の処理は、図4と同一である。
【0086】
続いて、アイドルストップECU62は、CPU38により、電圧検出センサ57から出力電圧VOUTaftを入力する。すなわち、昇圧回路50により入力電圧VINを上昇させた後に、電圧検出センサ57により出力電圧VOUTaftを検出させる。そして、出力電圧VOUTaftと出力電圧VOUTpreとの偏差が判定値Vrよりも小さいか否か判定する(S22)。この判定値Vrは、出力電圧VOUTpreと出力電圧VOUTaftとが略同一であることを判定可能な値に設定されている。
【0087】
S15〜17の処理は図4と同一である。このような構成によっても、DC−DCコンバータ30により正常に入力電圧VINの昇圧が行われたか否か、すなわちDC−DCコンバータ30が故障しているか否かを判定することができる。その結果、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0088】
・上記実施形態では、アイドルストップECU62によりDC−DCコンバータ30の故障を検出するようにしたが、DC−DCコンバータ30のCPU38によりDC−DCコンバータ30の故障を検出するようにしてもよい。この場合には、図1に示すように、CPU38は、DC−DCコンバータ30が故障している場合に、警告信号WARNを生成してアイドルストップECU62へ出力するとよい。
【0089】
・エンジン20は、ガソリンエンジンに限定されず、ディーゼルエンジンであってもよい。
【符号の説明】
【0090】
10…車両、20…エンジン、21…スタータ、22…オルタネータ(発電機)、23…バッテリ、30…DC−DCコンバータ(電圧供給装置)、50…昇圧回路(電圧供給回路)、60…電気負荷、61…エンジンECU(燃料カット手段、発電制御手段)、62…アイドルストップECU(自動停止再始動手段、故障検出装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
充電及び放電の可能なバッテリと、
電気負荷と、
前記バッテリから供給される電圧により駆動されるスタータと、
所定条件に基づいて、前記エンジンを自動停止させるとともに、前記スタータにより前記エンジンを自動再始動させる自動停止再始動手段と、
供給される電圧を上昇させ、その上昇させた電圧を前記電気負荷へ供給する電圧供給回路を有し、前記エンジンの自動再始動時に前記バッテリから供給される電圧を前記電圧供給回路により上昇させる電圧供給装置と、
前記エンジンの駆動力により発電して前記バッテリ及び前記電圧供給装置へ電圧を供給する発電機と、
所定条件の成立時に前記エンジンの燃料カットを実行する燃料カット手段と、
前記発電機の発電状態を制御し、前記燃料カット手段による燃料カットの実行中に前記発電機により一定電圧を供給させる発電制御手段と、
前記バッテリ及び前記発電機から前記電圧供給装置を介して前記電気負荷へ供給される電圧を所定電圧降下させる電圧降下手段と、
を備える車両に適用され、前記電圧供給装置の故障を検出する故障検出装置であって、
前記発電制御手段が前記発電機により前記一定電圧を供給させている場合に、前記発電機から供給される電圧を前記電圧供給回路により上昇させ、前記発電機から供給される電圧と前記電圧供給回路により上昇させた電圧との比較に基づいて、前記電圧供給装置の故障を検出することを特徴とする電圧供給装置の故障検出装置。
【請求項2】
エンジンと、
充電及び放電の可能なバッテリと、
電気負荷と、
前記バッテリから供給される電圧により駆動されるスタータと、
所定条件に基づいて、前記エンジンを自動停止させるとともに、前記スタータにより前記エンジンを自動再始動させる自動停止再始動手段と、
供給される電圧を上昇させ、その上昇させた電圧を前記電気負荷へ供給する電圧供給回路を有し、前記エンジンの自動再始動時に前記バッテリから供給される電圧を前記電圧供給回路により上昇させる電圧供給装置と、
前記エンジンの駆動力により発電して前記バッテリ及び前記電圧供給装置へ電圧を供給する発電機と、
所定条件の成立時に前記エンジンの燃料カットを実行する燃料カット手段と、
前記発電機の発電状態を制御し、前記燃料カット手段による燃料カットの実行中に前記発電機により一定電圧を供給させる発電制御手段と、
前記バッテリ及び前記発電機から前記電圧供給装置を介して前記電気負荷へ供給される電圧を所定電圧降下させる電圧降下手段と、
を備える車両に適用され、前記電圧供給装置の故障を検出する故障検出装置であって、
前記発電制御手段が前記発電機により前記一定電圧を供給させている場合に、前記発電機から供給される電圧を前記電圧供給回路により上昇させる前に前記電気負荷へ供給される電圧と、前記発電機から供給される電圧を前記電圧供給回路により上昇させた後に前記電気負荷へ供給される電圧との比較に基づいて、前記電圧供給装置の故障を検出することを特徴とする電圧供給装置の故障検出装置。
【請求項3】
前記自動停止再始動手段は、前記車両の速度が低下する過程において、前記車両の速度が判定速度よりも低いことを条件として前記エンジンを自動停止させるものであり、
前記燃料カット手段は、前記車両の速度が低下する過程において、前記エンジンの回転速度が所定の回転速度以下になるまで前記燃料カットを実行するものであり、
前記発電制御手段が前記発電機により前記一定電圧を供給させており、且つ前記車両の速度が前記判定速度まで低下する直前の前記燃料カットの実行中に、前記電圧供給装置の故障を検出する請求項1又は2に記載の電圧供給装置の故障検出装置。
【請求項4】
前記発電制御手段は、前記燃料カット手段による燃料カットの実行中に、前記電気負荷へ供給可能な最大の一定電圧を前記発電機により供給させるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の電圧供給装置の故障検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−77714(P2012−77714A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225521(P2010−225521)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】