説明

電子デバイスおよびその製造方法

【課題】低背化され、且つ、ICチップに損傷が生じることなく安定して製造される電子デバイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】電子デバイスは、部品側パッド16が上面に設けられたICチップ14をパッケージベース20上に配設し、このパッケージベース20上にベース側パッド26を設け、導電性を有するバンプ40をベース側パッド26上に設け、部品側パッド16とバンプ40とにこれらを導通させるワイヤ42を設けた構成である。なおバンプ40を多段に形成した場合、ベース側パッド26上にある最下のバンプ40を他のバンプ40に比べて強くベース側パッド26に接合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子デバイスおよびその製造方法に係り、特にベースと、このベース上に設けられた電子部品とにワイヤを接合して導通させた電子デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器が小型化されているのに伴い、これに搭載される電子デバイスに低背化が要求されている。この電子デバイスとしては、例えば圧電デバイスがあげられる。圧電デバイスは、例えば次のような構成になっている。すなわち圧電デバイスは、凹陥部が設けられたパッケージベースを有している。この凹陥部の底面に集積回路(IC)チップが搭載され、また凹陥部の側面に設けられた階段部上にベース側パッドが設けられている。そしてICチップの主面(上面)に設けられた部品側パッドとベース側パッドにワイヤが接合されている。なお部品側パッドは、ベース側パッドよりも上方に位置している。またICチップの上方に圧電振動片が配設されている。そしてパッケージベースの上面に蓋体が接合されて、凹陥部が封止されている。
【0003】
ところで通常のワイヤボンディングは、まず部品側パッド上にワイヤの一端を接合し(第1ボンディング)、ワイヤを上方に引上げた後、ワイヤを側方に引き出してベース側パッドにワイヤの他端を接合(第2ボンディング)している。図5は従来のワイヤの状態を説明する図である。この通常のワイヤボンディングを行うと、圧電デバイス1の低背化の要求に応じてICチップ2と圧電振動片3の間隔を狭めた場合、図5(A)に示されるようにワイヤ4が圧電振動片3の下面に接触してしまう。またワイヤ4と圧電振動片3の接触を防止するためにワイヤ4のループを低くした場合は、図5(B)に示されるように、ICチップ2の角部とワイヤ4が接触してしまう。
【0004】
これを解決するためには、逆ボンディングを行うことが考えられる。この逆ボンディングは、まずベース側パッドにワイヤの一端を接合し(第1ボンディング)、この後ワイヤの他端を部品側パッドに接合する(第2ボンディング)工程である。なお逆ボンディングについて開示されたものとしては特許文献1,2がある。しかし、この逆ボンディングでは、ワイヤボンディングを行うキャピラリの押圧が部品側パッドに直接加わることになるので、ICチップに損傷が生じてしまう。
【0005】
このため、キャピラリの押圧が部品側パッドに直接加わるのを防ぐために、図5(C)に示されるように、まず部品側パッド5の上にバンプ6を形成し、次にベース側パッド7にワイヤ4の一端を接合し(第1ボンディング)、この後ワイヤ4の他端をバンプ6上に接合(第2ボンディング)すればよい。なお、このような方法について開示されたものとして特許文献3があげられる。
【特許文献1】特開昭63−244633号公報(第4図)
【特許文献2】特開2000−114876号公報(段落0012)
【特許文献3】特開平3−233946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが部品側パッド上にバンプを形成し、その後逆ボンディングによりワイヤを接合する方法であっても、キャピラリの押圧がICチップ上に複数回加わるので、その回数によっては部品側パッドに損傷が生じ、ICチップ自体にも損傷が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、低背化され、且つ、ICチップに損傷が生じることなく安定して製造される電子デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子デバイスは、部品側パッドが上面に設けられた電子部品をベース上に配設し、ベース上にベース側パッドを設け、ベース側パッド上に導電性部材を設け、部品側パッドと導電性部材とにこれらを導通させるワイヤを設けた、ことを特徴としている。
【0009】
これによりベース側パッドの高さを導電性部材によって高くできるので、ワイヤのループを高く形成しなくともワイヤと電子部品の接触を防止できる。またワイヤのループを低く形成できるので、電子デバイスを低背化することができる。さらにベース側パッドの高さを導電性部材によって高くしているので、通常のワイヤボンディングを行う順番、すなわち第1ボンディングを電子部品に行うことができる。このためボンディングを行うキャピラリによって電子部品が損傷を受けることを防止でき、電子デバイスを安定して製造することができる。
【0010】
そして前述した導電性部材は、積層方向に多段に設けられたことを特徴としている。導電性部材を多段にすることでベース側パッドをかさ上げする高さを調整することができ、電子部品の上面と導電性部材の最上面との高さを同じまたは同程度にすることができる。したがってワイヤのループをより低く形成できるので、電子デバイスをより低背化することができる。またワイヤと電子部品が接触するのを確実に防止できる。
【0011】
また本発明に係る電子デバイスは、周波数信号を出力する圧電振動片をベースに設け、電子部品は、圧電振動片を発振させる回路を備え、圧電振動片と導通している、ことを特徴としている。これにより圧電デバイスを構成することができる。そして圧電振動片と電子部品が積層方向に配置されている場合であっても、また圧電振動片と電子部品が平面方向に配置されている場合であってもワイヤのループを低く形成できるので、圧電デバイスを低背化することができる。
【0012】
また本発明に係る電子デバイスは、圧電振動片と電子部品とを積層方向に配置し、電子部品の上面と圧電振動片の下面との間にワイヤを設けたことを特徴としている。ワイヤのループを低く形成できるので、圧電振動片と電子部品の間隔を狭めることができる。よって圧電デバイスを低背化することができる。また圧電振動片と電子部品が積層方向に配置されているので、圧電デバイスの平面サイズを小型化することができる。
【0013】
そして前述したベースは凹陥部を有し、この凹陥部の側面に階段部を設け、凹陥部の底面に電子部品を配設し、部品側パッドよりも低い位置にある階段部の上面にベース側パッドを設けたことを特徴としている。これにより前述したようにワイヤのループを低く形成できるので、電子デバイスを低背化することができる。また階段部は、電子部品よりも低く形成されている。このため電子部品を搭載する際に用いられるコレットがベースに接触するのを防止できるので、電子デバイスの平面方向のサイズを小型化することができる。
【0014】
また本発明に係る電子デバイスの製造方法は、ベース上に電子部品を搭載し、ベース上に形成されたベース側パッド上に導電性部材を配置し、ベース側パッドよりも高い位置にあり、電子部品の上面に形成された部品側パッドにワイヤの一端を接合し、導電性部材にワイヤの他端を接合する、ことを特徴としている。
【0015】
これによりベース側パッドの高さを導電性部材によって高くできるので、ワイヤのループを高く形成しなくともワイヤと電子部品の接触を防止できる。またワイヤのループを低く形成できるので、電子デバイスを低背化することができる。さらに第1ボンディングを部品側パッドに行うことができるので、ボンディングを行うキャピラリによって部品側パッドおよび電子部品が損傷を受けることを防止でき、安定して電子デバイスを製造することができる。
【0016】
また本発明に係る電子デバイスの製造方法は、前述した導電性部材をバンプとし、このバンプを積層方向に多段に配置し、ベース側パッド上にある最下のバンプを他のバンプに比べて強くベース側パッドに接合することを特徴としている。これにより最下のバンプとベース側パッドとを確実に接合できるので、バンプがベース側パッドに接合できなかったり、バンプがベース側パッドから剥がれたりすることを防止できる。またバンプを重ねる数によってバンプ全体の高さを調整することができ、電子部品の上面とバンプの最上面との高さを同じまたは同程度にすることができる。したがってワイヤのループをより低く形成できるので、電子デバイスをより低背化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る電子デバイスおよびその製造方法の最良の実施形態について説明する。なお以下では、電子デバイスの一例として圧電デバイスを用いた形態について説明する。
図1は圧電デバイスの断面図である。圧電デバイス10は、ICチップ14(電子部品)および圧電振動片18が搭載されるパッケージベース20(ベース)を有している。具体的には、パッケージベース20は、底面上の周囲に側壁部が設けられることによって、上方に向かって開口した凹陥部22が形成されている。この凹陥部22の側面は階段状に形成されており、下側階段部24および上側階段部28が設けられている。この下側階段部24の上面にベース側パッド26が設けられている。なおベース側パッド26は複数設けられているが、図1では1つだけ示されている。また上側階段部28の上面にマウント電極30が設けられている。そしてベース側パッド26の一部とマウント電極30が導通している。
【0018】
そして凹陥部22の底面は、ICチップ14の平面方向の大きさと、ICチップ14の搭載精度とを考慮した面積を少なくとも有していればよい。また下側階段部24と上側階段部28の間に形成される凹陥部22の側面同士の間隔Aは、図2に示されるように、コレット36の平面方向の大きさと、ICチップ14の搭載精度とを考慮した間隔を少なくとも有していればよい。なおコレット36は、ICチップ14を吸着保持する治具であり、ICチップ14をパッケージベース20に搭載するときに用いられる。
【0019】
また図1に示されるように、パッケージベース20の裏面に外部端子32が設けられている。この外部端子32は、マウント電極30に接続していないベース側パッド26と導通している。
【0020】
そしてICチップ14は、主面(上面)に部品側パッド16を備えている。このICチップ14は、主面を上方に向けて凹陥部22の底面に配設されている。ICチップ14がパッケージベース20に搭載されると、部品側パッド16(ICチップ14の主面)は、ベース側パッド26よりも上方に位置しているとともに、マウント電極30よりも下方に位置している。このICチップ14は、圧電振動片18を発振させる回路を備えていればよい。なおICチップ14は、圧電振動片18から出力される周波数信号の周波数を可変させるための電圧制御回路や、圧電振動片18の周囲温度に応じて発振周波数を補正するための温度補償回路等を備えることもできる。
【0021】
またベース側パッド26の上面に導電性部材(バンプ40)が設けられている。このバンプ40は、図1に示されるように多段に設けられていてもよく、1段だけ設けられていてもよい。このバンプ40は、ベース側パッド26の高さをかさ上げするために用いられる。そしてバンプ40の高さは、部品側パッド16(ICチップ14の主面)と同じ高さまたは同程度の高さであるのが好ましい。
【0022】
このバンプ40と部品側パッド16にワイヤ42が接合されて、これらが導通している。なおワイヤ42は、最上段に位置するバンプ40の上に接合されていればよい。これにより外部端子32とICチップ14とが導通する。
【0023】
また圧電振動片18は、導電性接着剤44によってマウント電極30上に搭載され、ICチップ14と導通している。これにより圧電振動片18とICチップ14は積層方向(図1では上下方向)に配置されている。この圧電振動片18は、電気信号が供給されると発振して、この発振周波数を有する信号(周波数信号)を出力するものである。なおワイヤ42は、圧電振動片18の下面とICチップ14の主面との間にあるので、圧電振動片18またはICチップ14に接触することはない。
【0024】
またパッケージベース20の上にシームリング等の接合材46を介して蓋体48が接合されている。これにより凹陥部22は気密封止されている。
【0025】
次に、圧電デバイス10の製造方法について説明する。まずパッケージベース20を形成する。このパッケージベース20は、例えば枠幅の異なる複数の枠型絶縁シートを平板絶縁シート上に積層することにより形成される。なおベース側パッド26やマウント電極30、外部端子32は、例えば枠型絶縁シートや平板絶縁シートの上にメタライズ印刷をした後、このメタライズ上にメッキを施すことにより形成される。
【0026】
この後、パッケージベース20に設けられた凹陥部22の底面上にICチップ14が搭載される。これは図2に示されるように、コレット36の下面に設けられた角錐形状(側面断面視して三角形)の吸着部でICチップ14を吸着保持し、これをパッケージベース20の上方に移動させ、その後ICチップ14を凹陥部22の底面上に搭載している。
【0027】
なお凹陥部22の開口は、コレット36が接触することのない最低限の大きさを有しているので、この搭載時にコレット36とパッケージベース20が接触することはない。すなわち下側階段部24と上側階段部28の間における凹陥部22の側面の間隔Aは、コレット36の平面方向の大きさとICチップ14の搭載精度とを考慮した最低限の間隔を有していればよいので、コレット36と凹陥部22の側面とが接触することはない。また凹陥部22の側面に形成される下側階段部24の高さは低く形成されているので、コレット36と下側階段部24が接触することはない。
【0028】
この後、ベース側パッド26の上にバンプ40を設ける。このバンプ40は、コレット36との接触を防止するために下側階段部24が低く形成されているので、ベース側パッド26の高さをかさ上げするために形成される。そしてバンプ40は、例えばワイヤボンディングを行うキャピラリの先端において、このキャピラリから出ているワイヤ42を溶かしてボール形状にし、超音波や熱、荷重等を加えることによりこのボールをベース側パッド26に溶着し、このボールをワイヤ42から切り離して形成される。そして、これを繰り返し行うことで、多段バンプ40が形成される。
【0029】
なお多段バンプ40を形成する場合、ベース側パッド26の直上に形成されるバンプ40(最下のバンプ)を通常よりも強く溶着し、その上に形成される他のバンプ40を通常通り溶着することができる。ベース側パッド26直上のバンプ40(最下のバンプ)を強く溶着する理由は以下の通りである。すなわちパッケージベース20を保管しているときには、ベース側パッド26の表面に様々な汚染物質が付く。この汚染物質は、例えば酸化物やメッキの残さである。ベース側パッド26の表面に汚染物質が付いていると、ボンディング時に通常用いられている超音波や熱、荷重等を加えてもバンプ40(前記ボール)を接合できない。このため、通常よりも強い超音波や高い熱、大きな荷重等を加えて最下のバンプ40をベース側パッド26の上に溶着すると汚染物質が取り除かれるので、バンプ40とベース側パッド26の接合強度を向上させることができる。そして最下のバンプ40の上に形成される他のバンプ40は、通常通りの超音波や熱、荷重等を加えることで形成することができる。
【0030】
この後、通常のワイヤボンディングにより、ワイヤ42の一端が部品側パッド16に接合され(第1ボンディング)、ワイヤ42の他端がバンプ40上に接合される(第2ボンディング)。すなわちキャピラリの先端から出ているワイヤ42をボール形状にした後、このボールをICチップ14に設けられた部品側パッド16の上に溶着する。そしてワイヤ42を上方に引き出した後、側方に引き出してバンプ40の上にワイヤ42を溶着し、ワイヤ42を切断する。
【0031】
なおバンプ40やワイヤ42の材料は、ベース側パッド26の表面材料と同じであってもよい。一例としては、ベース側パッド26の表面が金メッキされていれば、金バンプや金ワイヤを用いればよい。これによりベース側パッド26とバンプ40の接合強度およびバンプ40とワイヤ42の接合強度が向上する。またベース側パッド26の上にバンプ40を形成する装置と、ICチップ14とバンプ40とにワイヤ42を接合する装置とは別々の装置である必要はなく、一つの装置でバンプ形成とワイヤ接合を兼用してもよい。
【0032】
この後、マウント電極30の上に導電性接着剤44が塗布され、この導電性接着剤44の上に圧電振動片18が搭載される。これにより圧電振動片18がパッケージベース20に搭載される。この後、パッケージベース20の上に接合材46を介して蓋体48が接合される。このようにして圧電デバイス10が形成される。
【0033】
このような圧電デバイス10およびその製造方法によれば、ベース側パッド26の上にバンプ40を設けて、このベース側パッド26の高さをかさ上げしている。このため通常の第1ボンディングと第2ボンディングの順番により、ワイヤループを高くせずに部品側パッド16とバンプ40にワイヤ42を接合しても、ワイヤ42とICチップ14が接触するのを防止できる。またワイヤ42のループを低くできるので、圧電振動片18とICチップ14の間隔を狭めてもワイヤ42と圧電振動片18が接触するのを防止できる。したがって圧電振動片18とICチップ14の間隔を狭めることにより、圧電デバイス10を低背化できる。またICチップ14や圧電振動片18とワイヤ42とが接触することがないので、高信頼性の圧電デバイス10を得ることができる。
【0034】
また多段のバンプ40を形成した場合、最下のバンプ40を他のバンプ40に比べて強くベース側パッド26に接合すれば、ベース側パッド26の表面に付いている汚染物質を取り除くことができる。このためバンプ40がベース側パッド26から剥がれ難くなり、高信頼性の圧電デバイス10を得ることができる。
【0035】
また第1ボンディングを行う場合、キャピラリから出ているワイヤ42の先端をボール形状にしている。このため第1ボンディングを行うためにICチップ14(部品側パッド16)の上にキャピラリを下ろしても、キャピラリの押圧がボールを介してICチップ14(部品側パッド16)に伝わるので、この押圧がICチップ14(部品側パッド16)に直接加わることがない。そしてICチップ14には、第1ボンディングを行うために1回だけキャピラリによる押圧が加えられる。このため部品側パッド16に損傷が生じるのを防ぐことができるとともに、ICチップ14に損傷が生じるのを防ぐことができる。そしてICチップ14に不良が発生するのを防止でき、圧電デバイス10を安定して製造することができる。
【0036】
また凹陥部22の開口は、キャピラリを入れることができる最低限の大きさを有していればよいので、圧電デバイス10の平面サイズを小型化することができる。なお圧電デバイス10の平面サイズを小型化した場合であっても、下側階段部24の高さを低くしているので、コレット36と下側階段部24が接触することはない。
【0037】
そして前述した実施形態では圧電デバイス10を例にして説明したが、本発明にあってはこれに限定されることはない。すなわち電子デバイスは、例えば図3に示される構成にすることができる。この電子デバイス50は、パッケージベース20(ベース)を有している。このパッケージベース20に凹陥部22が設けられており、この凹陥部22の底面にベース側パッド26が設けられている。またパッケージベース20の裏面に、ベース側パッド26と導通する外部端子32が設けられている。このパッケージベース20に設けられた凹陥部22の底面上にICチップ14(電子部品)が搭載されるとともに、ベース側パッド26の上にバンプ40(導電性部材)が設けられている。
【0038】
そしてICチップ14の主面に設けられた部品側パッド16にワイヤ42の一端が接合され、バンプ40の上にワイヤ42の他端が接合されている。なおワイヤボンディングは、通常通り第1ボンディングとしてワイヤ42の一端を部品側パッド16に接合した後、第2ボンディングとしてワイヤ42の他端をバンプ40に接合すればよい。そして、このパッケージベース20の上に蓋体48が設けられている。これによりワイヤ42のループを低く形成できるので、ICチップ14の主面と蓋体48の下面との距離を縮めて電子デバイス50を低背化することができる。
【0039】
また電子デバイスは、図4(A)に示される構成にすることもできる。この電子デバイス52は、平板状の基板54(ベース)を有している。この基板54には、ベース側パッド26がその上面に設けられるとともに、ベース側パッド26と導通する外部端子32がその下面に設けられている。そしてICチップ14(電子部品)が基板54の上面に搭載され、またベース側パッド26の上にバンプ40(導電性部材)が設けられている。このICチップ14の主面に設けられた部品側パッド16にワイヤ42の一端が接合され、バンプ40の上にワイヤ42の他端が接合されている。このワイヤボンディングは、図3の例と同様に第1ボンディングおよび第2ボンディングを行えばよい。そしてICチップ14やバンプ40、ワイヤ42の周囲がモールド樹脂56等で封止されている。これによりワイヤ42のループを低く形成できるので、ICチップ14の主面とモールド樹脂56の上面との距離を縮めて電子デバイス52を低背化することができる。
【0040】
さらに電子デバイス(圧電デバイス)は、図4(B)に示される構成にすることもできる。圧電デバイス58は、裏面に外部端子60が設けられた圧電振動子62(ベース)を有している。この圧電振動子62は圧電振動片(不図示)を収容しており、前記圧電振動片と外部端子60が導通している。そして圧電振動子62の裏面にICチップ14が搭載されるとともに、リード端子64が接合されている。この外部端子60およびリード端子64の上にバンプ40(導電性部材)が設けられている。
【0041】
そしてICチップ14の主面に設けられた部品側パッド16にワイヤ42の一端が接合され、バンプ40の上にワイヤ42の他端が接合されて、圧電振動子62やリード端子64とICチップ14とが導通されている。このワイヤボンディングは、図3の例と同様に第1ボンディングおよび第2ボンディングを行えばよい。この圧電振動子62やICチップ14、ワイヤ42、バンプ40等の周囲はモールド樹脂56等で封止されている。そしてリード端子64は、モールド樹脂56から露出した部分が下方に折り曲げられて、その先端部の下面が実装端子66とされている。これによりワイヤ42のループを低く形成できるので、ICチップ14の主面とモールド樹脂56の上面との間隔を縮めて電子デバイス(圧電デバイス58)を低背化することができる。
【0042】
なお上述した実施形態および変形例では、導電性部材としてバンプ40を用いた構成であるが、ベース側パッド26の高さをかさ上げするために用いられるのはバンプ40に限定されることはない。すなわち導電性部材としては、導電性を有する材料や部品等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】圧電デバイスの断面図である。
【図2】ICチップをパッケージベースに搭載するときの説明図である。
【図3】第1の変形例に係る電子デバイスの断面図である。
【図4】第2の変形例に係る電子デバイスの断面図である。
【図5】従来のワイヤの状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0044】
10………圧電デバイス、14………ICチップ、16………部品側パッド、18………圧電振動片、20………パッケージベース、22………凹陥部、24………下側階段部、26………ベース側パッド、28………上側階段部、40………バンプ、42………ワイヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品側パッドが上面に設けられた電子部品をベース上に配設し、
前記ベース上にベース側パッドを設け、
前記ベース側パッド上に導電性部材を設け、
前記部品側パッドと前記導電性部材とにこれらを導通させるワイヤを設けた、
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
前記導電性部材は、多段に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
周波数信号を出力する圧電振動片を前記ベースに設け、
前記電子部品は、圧電振動片を発振させる回路を備え、前記圧電振動片と導通している、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記圧電振動片と前記電子部品とを積層方向に配置し、前記電子部品の上面と前記圧電振動片の下面との間に前記ワイヤを設けたことを特徴とする請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記ベースは凹陥部を有し、前記凹陥部の側面に階段部を設け、前記凹陥部の底面に前記電子部品を配設し、前記部品側パッドよりも低い位置にある前記階段部の上面に前記ベース側パッドを設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電子デバイス。
【請求項6】
ベース上に電子部品を搭載し、
前記ベース上に形成されたベース側パッド上に導電性部材を配置し、
前記ベース側パッドよりも高い位置にあり、前記電子部品の上面に形成された部品側パッドにワイヤの一端を接合し、
前記導電性部材に前記ワイヤの他端を接合する、
ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記導電性部材をバンプとし、このバンプを多段に配置し、前記ベース側パッド上にある最下のバンプを他のバンプに比べて強く前記ベース側パッドに接合することを特徴とする請求項6に記載の電子デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−234960(P2007−234960A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56341(P2006−56341)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】