説明

電子機器および電子機器の製造方法

【課題】本発明は、はんだボールバンプ配列に疎密のあるBGAタイプの半導体装置をプリント配線基板に表面実装したあと、補強用の樹脂材を安定して均一に充填でき、補強強度の増大と信頼性の向上を得られる電子機器および電子機器の製造方法を提供する。
【解決手段】電子機器として、複数のはんだボールバンプaが設けられる部位Aおよび、はんだボールバンプが設けられない部位Nを備えた半導体装置Hと、半導体装置に設けられるはんだボールバンプに表面実装によりはんだ接合される複数の電極パッドbを備えたプリント配線基板Pと、半導体装置とプリント配線基板との隙間にアンダーフィルされフリップチップボンディングされる半導体装置のはんだボールバンプとプリント配線基板の電極パッドとの周りに充填される樹脂材Gと、プリント配線基板に半導体装置のはんだボールバンプが設けられない部位と対向して設けられる複数のダミー電極パッド1とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板と、このプリント配線基板に実装されるBGAタイプの半導体装置との間に形成される狭小の隙間に、補強用として樹脂材をアンダーフィルした電子機器と、電子機器の製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、携帯端末である電子機器においては、高密度パッケージであるBGA(Ball Grid Array)タイプの半導体装置が多用される。この種の半導体装置は、半導体素子の裏面に球形のはんだボールバンプをアレイ状に並べ、これらはんだボールバンプがリードの代用をなしている。
【0003】
半導体装置の表面に形成されたはんだボールバンプと、はんだペーストが供給されたプリント基板の表面に形成される電極パッドとを位置合せして接触させ、これらをはんだの溶融温度以上に加熱してから冷却し、接合継手を形成する表面実装により、半導体装置とプリント配線基板とが電気的、かつ機械的に接合される。
【0004】
この種の電子機器において、プリント配線基板の電極パッドと半導体装置のはんだボールバンプとの接合部位を除いて、プリント配線基板と半導体装置との間に狭小の隙間が形成される。このまま完成した電子機器として用いると、前記隙間に湿気や有害ガスが侵入し、長期に亘り残留して半導体装置やプリント配線基板を腐蝕させる虞れがある。
【0005】
あるいは、電子機器を誤って落下させた場合に前記隙間に落下衝撃が加わり、半導体装置とプリント配線基板とが剥離し破断する虞れがある。そこで、たとえば[特許文献1]に記載されるように、前記隙間に補強用の樹脂材を充填したアンダーフィル構造の電子機器が採用される。
【0006】
一般的に、プリント配線基板に半導体装置を表面実装したあと、樹脂材を前記隙間に充填するアンダーフィル工程が行われる。隙間に充填された樹脂材が硬化すると、プリント配線基板と半導体装置とが一体化する。隙間が存在しないことになり、有害ガス等の侵入がなくて信頼性を確保し、落下衝撃に耐え得る。
【特許文献1】特開2008−91947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
なお、アンダーフィル工程では、前記半導体装置の周辺に実装された部品のうち、前記樹脂材に濡れると問題となるコネクタ等や、テストパッドなどの接点類および、障害となるような背の高い部品は、半導体装置周辺からある程度の距離を置いて配置するなど、レイアウト上の工夫をなしている。
【0008】
その一方で、BAGタイプの半導体装置は、多ピン化および、大型化の傾向があり、メーカーや品種ごとに異なったパッケージ形状をなす。上記状況の中で、狭いアンダーフィル塗布可能領域を使用し、複数種の半導体装置に安定して補強用として樹脂材を充填するプロセスの確立が難しい状況となってきている。
【0009】
図9は、BGAタイプの半導体装置Hと、この半導体装置H底面に突設されるはんだボールバンプaの配置の一例を示す図である。
BGAタイプの半導体装置Hにおいては、外形から中心に向って左右整然と並んだ状態ではんだボールバンプaが設けられる部位Aと、はんだボールバンプaが1列分、もしくは2列分だけ空白となった全く設けられない部位Nがあるなど、はんだボールバンプaの配列が不均一である。
【0010】
図10は、前記半導体装置Hとプリント配線基板Pとの間の隙間に、補強用の樹脂材Gを充填するアンダーフィルの工程を説明する図である。
プリント配線基板Pには複数の電極パッドbが設けられていて、前記電極パッドbと半導体装置Hに設けられるはんだボールバンプaとが直接表面実装によりはんだ接合がなされている。そのため、電極パッドbとはんだボールバンプaとの接合部以外の部位では、半導体装置Hとプリント配線基板Pとの間に狭小の隙間が存在している。
【0011】
アンダーフィル工程では、樹脂材GがノズルZから供給され、半導体装置Hとプリント配線基板Pとの間の隙間に浸透して行く。実際には、はんだボールバンプaが設けられる部位Aでは比較的速く浸透するが、はんだボールバンプaが設けられない部位Nでは浸透速度が遅く、樹脂材Gの浸透速度が不安定である。
【0012】
このように、部位Aと、部位Nでの浸透速度の差が大となる結果、はんだボールバンプaが設けられない部位Nとその周辺に、いわゆる「ボイド」と呼ばれる、樹脂材Gが浸透しない部位が残る。このボイドの存在によって、半導体装置Hとプリント配線基板Pとの間で所定の補強強度が得られず、信頼性に欠けた製品となってしまう。
【0013】
本発明は上記事情にもとづきなされたものであり、その目的とするところは、はんだボールバンプ配列が不均一であるBGAタイプの半導体装置をプリント配線基板にフリップチップボンディングしたあと、樹脂材を安定して均一にアンダーフィルすることができ、補強強度の増大と信頼性の向上を得られる電子機器および電子機器の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を満足するため本発明の電子機器は、複数のはんだボールバンプが設けられる部位およびはんだボールバンプが設けられない部位を備えた半導体装置と、この半導体装置に設けられるはんだボールバンプに接合される複数の電極パッドを備えたプリント配線基板と、これら半導体装置とプリント配線基板との隙間に樹脂材をアンダーフィルしてはんだボールバンプと電極パッドとの周りに充填し、プリント配線基板に半導体装置のはんだボールバンプが設けられない部位と対向して複数のダミー電極パッドが設けられる。
【0015】
上記目的を満足するため本発明の電子機器の製造方法は、半導体装置に設けられる複数のはんだボールバンプに、プリント配線基板に設けられる複数の電極パッドを対向するとともに半導体装置のはんだボールバンプが設けられない部位にプリント配線基板に設けられる複数のダミー電極パッドを対向する工程と、半導体装置のはんだボールバンプとプリント配線基板の電極パッドとを接合する工程と、半導体装置とプリント配線基板との隙間に樹脂材をアンダーフィルして接合された半導体装置のはんだボールバンプとプリント配線基板の電極パッドとの周りとダミー電極パッドとの周りに樹脂材を充填する工程とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、はんだボールバンプ配列が不均一である半導体装置とプリント配線基板との間に、補強用の樹脂材を安定してアンダーフィルすることができ、信頼性の向上を得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて説明する。
図1(A)は、第1の実施の形態でのクリアランスレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Daの縦断面図、図1(B)は、同実施の形態でのオーバーレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Dbの縦断面図である。
【0018】
はじめに、図1(A)のクリアランスレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Daについて説明する。
プリント配線基板Pには配線パターン(図示しない)が形成され、この配線パターンに電気的に接続される所定の位置に複数の電極パッドbが設けられる。さらに、前記配線パターンから外れた位置には、後述するダミー電極パッド1が設けられる。
【0019】
図中Hは、先に図9で説明したように、いわゆるBGAタイプの半導体装置である。この半導体装置Hの底面には複数のはんだボールバンプaが設けられる部位Aと、はんだボールバンプaが空白(抜け)の全く設けられない部位Nがあるなど、はんだボールバンプaの配列が不均一である。
【0020】
前記プリント配線基板Pの電極パッドbは、半導体装置Hのはんだボールバンプaと対向する位置に形成されている。プリント配線基板P上に半導体装置Hを載せた状態で、プリント配線基板Pの電極パッドbに、半導体装置Hのはんだボールバンプaが載り、表面実装プロセスによりはんだ接合がなされている。
【0021】
なお、図1(A)に示す電子機器Daのプリント配線基板Pは、半導体装置Hの実装範囲より間隙を存した位置にソルダーレジストRが一括して開口するクリアランスレジスト構造をなす。この種の構造は、半導体装置Hの実装部位にソルダーレジストRが塗付されないので、製造し易い特性がある。
【0022】
図1(B)に示す電子機器Dbのプリント配線基板Pは、電極パッドbと後述するダミー電極パッド1の外形をソルダーレジストRで決めるオーバーレジスト構造をなす。この種の構造は、各電極パッドb、1をソルダーレジストRで押え付けるので、保持強度が増大し、少々の衝撃には充分に耐え得る特性がある。
【0023】
図2は、半導体装置Hに対する前記ダミー電極パッド1の位置関係を表す図である。
半導体装置Hの外形を二点鎖線で示し、はんだボールバンプaが設けられる部位Aと、はんだボールバンプaが設けられない部位Nを一点鎖線で示している。
黒丸で示す前記ダミー電極パッド1は、プリント配線基板Pにおける半導体装置Hのはんだボールバンプaが設けられない部位Nと対向する位置に、はんだボールバンプaと同一の間隔(密度)に揃えて設けられる。
【0024】
図3は、半導体装置Hのはんだボールバンプaとプリント配線基板Pのダミー電極パッド1相互の位置関係を表す図である。半導体装置Hに設けられるはんだボールバンプa(プリント配線基板Pに設けられる電極パッドbの位置でもある。以下、省略)を白丸で示し、プリント配線基板Pに設けられるダミー電極パッド1を黒丸で示す。
【0025】
半導体装置Hの外形の範囲(実装範囲)内において、半導体装置Hに設けられるはんだボールバンプaと、プリント配線基板Pに設けられるダミー電極パッド1は、互いに整然と等間隔に位置し、均等に配列されることになる。
【0026】
なお、図1(A)の電子機器Daと、図1(B)の電子機器Dbのいずれにおいても、ダミー電極パッド1が半導体装置H底面と直接対向する。換言すれば、ダミー電極パッド1上面と半導体装置H底面との間に若干の隙間が存在する。
【0027】
これに対して、ダミー電極パッド1上面にはんだをマウントしてダミーはんだバンプを形成することにより、ダミーはんだバンプが半導体装置H底面に接触して隙間が存在しなくなる。この種の構造を以下に述べる。
【0028】
図4(A)は、第2の実施の形態でのクリアランスレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Daの縦断面図、図4(B)は、同実施の形態でのオーバーレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Dbの縦断面図である。
前記ダミー電極パッド1にはんだをマウントしてダミーはんだバンプ2を形成する以外は、先に図1(A)(B)で説明した構造の電子機器Da,Dbと全く変らないので、ここでは同一部品に同番号を付して新たな説明を省略する。
【0029】
前記ダミー電極パッド1の上面に、たとえばはんだ印刷によりはんだを供給することで、リフロー後にプリント配線基板Pにダミーはんだパンプ2が形成される。このとき、はんだボールやはんだチップをマウントし、仕上がりのダミーはんだバンプ2のサイズを調整してもよい。
【0030】
図4(A)の電子機器Daと、図4(B)の電子機器Dbいずれにおいても、表面実装によりプリント配線基板Pに半導体装置Hが実装された状態で、ダミーはんだバンプ2の上端が半導体装置Hの底面に接触する。
先に、図1(A)(B)で説明した、ダミー電極パッド1上面と半導体装置H底面との間に若干の隙間が存在する構造と比較して、図4(A)(B)に示すように、ダミーはんだバンプ2と半導体装置H底面との間に隙間が存在しない。そのため、後述するように樹脂材Gをアンダーフィルする工程で好影響を及ぼす。
【0031】
図5と図6はそれぞれ、プリント配線基板Pに半導体装置Hを実装したあと、プリント配線基板Pと半導体装置Hとの隙間に補強用の樹脂材Gをアンダーフィルする工程を順に示している。以下、詳細に説明する。
図5は、クリアランスレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Daで、図5(A)は、アンダーフィル工程を開始した直後の状態を示し、図5(B)は、その後、所定時間が経過した状態を示している。
【0032】
さらに、図5(A)の(a1)はダミー電極パッド1を備えていない従来構造のもの。(b1)は第1の実施の形態で説明したダミー電極パッド1を備えた構造のもの。(c1)は第2の実施の形態で説明したダミー電極1上面にダミーはんだバンプ2をマウントした構造のものである。
【0033】
従来構造(a1)のものは、半導体装置H底面にはんだボールバンプaが設けられる部位Aと、設けられない部位Nがそのまま残っている。したがって、アンダーフィルされる樹脂材Gは、はんだボールバンプaが設けられる部位Aでは円滑に浸透するが、設けられない部位Nで浸透速度が低下し、アンダーフィルの工程を開始した直後では、樹脂材Gの充填範囲は極く狭い。
【0034】
これに対してダミー電極パッド1を備えた第1の実施の形態のもの(b1)は、半導体装置Hのはんだボールバンプaが設けられない部位Nに対向してプリント配線基板Pにダミー電極パッド1が設けられる。実質的にはんだボールバンプaが設けられない部位Nが無くなり、全てはんだボールバンプaが設けられる部位Aに変る。
【0035】
したがって、半導体装置Hの実装の範囲内において、はんだボールバンプaとダミー電極パッド1が均一に配列される。見かけ上は、全体的にはんだボールバンプaが設けられる部位Aとなり、樹脂材Gの浸透速度は従来構造のものよりも早く、より広範囲に充填される。
【0036】
ダミー電極1上にダミーはんだバンプ2を備えた第2の実施の形態のもの(c1)は、ダミーはんだバンプ2が半導体装置H底面に接している。半導体装置Hの実装の範囲内において見かけ上は、全体的にはんだボールバンプaが設けられる部位Aとなるうえに、ダミー電極パッド1と半導体装置Hとの隙間にダミーはんだバンプ2が介在する。
【0037】
半導体装置Hとプリント配線基板Pとの隙間にアンダーフィルされる樹脂材Gは、ダミー電極1を備えただけの構造のものより、ダミー電極1上にはんだをマウントしたダミーはんだバンプ2を備えた構造の方が樹脂材Gの浸透速度が速く、より広範囲に亘って充填される。
【0038】
図5(B)に示すように、アンダーフィル工程を開始して所定時間が経過したあとでは、(a2)の従来構造のものは樹脂材Gの浸透が遅々として進まない。これに対して(b2)のダミー電極パッド1を備えたものは、同じ経過時間でほとんど大部分の範囲に亘って浸透し、全体の充填まで目前の状態となる。
【0039】
(c2)の電極パッド1上にダミーはんだバンプ2を備えたものは、樹脂材Gの浸透速度が最も速く、同じ経過時間でありながら既に半導体装置Hとプリント配線基板Pとの隙間全体に亘って充填され、アンダーフィル工程が終了する。
さらに、この直後にダミー電極パッド1を備えたものも全体に樹脂材Gが充填されて、アンダーフィルの工程が終了する。一方、従来構造のものは樹脂材Gの充填が遅く、アンダーフィル工程の終了まではさらに時間がかかる。
【0040】
いずれにしても、本発明の構造を採用することにより、アンダーフィルされる樹脂材Gの浸透速度が従来構造のものよりも速くなり、アンダーフィル工程に必要とする時間の短縮化を得られて工数の低減化をなす。
その結果、本発明の構造では樹脂材Gの量が少なくてすみ、アンダーフィルの塗布領域を狭く抑えることができて製造性の向上化を図れるとともに、樹脂材Gの充填が完全化して、いわゆるボイドの発生を抑え、補強強度の増大化を得られて信頼性の向上化を得る。
【0041】
図6は、オーバーレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Dbで、図6(A)は、アンダーフィルの工程を開始した直後の状態を示し、図6(B)は、その後、所定時間が経過した状態を示している。
さらに、図6(A)の(d1)はダミー電極パッド1を備えていない従来構造のもの。(e1)は第2の実施の形態でのダミーはんだバンプ2を備えた構造のものである。
【0042】
先に図1(B)で説明した、オーバーレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Dbは、ダミー電極パッド1の周面がソルダーレジストRで埋められ、この上面と半導体装置H底面との間に隙間が存在する。したがって、従来のオーバーレジスト構造のものと近似的となってしまうので、ここでの比較の対象外とする。
【0043】
図6(A)で従来構造(d1)のものは、半導体装置H底面のはんだボールバンプaが設けられる部位Aと、設けられない部位Nがそのまま残っている。したがって、はんだボールバンプaが設けられる部位Aに樹脂材Gが円滑に浸透していっても、はんだボールバンプaが設けられない部位Nでは浸透速度が低下し、アンダーフィルの工程を開始した直後では充填範囲が極く狭い。
【0044】
これに対してダミーはんだバンプ2を備えた構造のもの(e1)は、ダミー電極パッド1上にマウントしたダミーはんだバンプ2が半導体装置H底面に接している。しかも、ダミーはんだボールバンプ2部位が、確実にソルダーレジストR面よりも突出している。
半導体装置Hとプリント配線基板Pとの隙間で、かつソルダーレジストR面上には、はんだボールバンプaとダミーはんだバンプ2が全体に亘って均一に設けられることとなり、アンダーフィルされる樹脂材Gは従来構造のものより速く浸透し、広範囲に亘って充填される。
【0045】
図6(B)に示すように所定時間が経過したあとでも、(d2)の従来構造のものは樹脂材Gの浸透が遅々として進まない。これに対して(e2)のダミーはんだバンプ2を備えたものは、樹脂材Gの浸透速度が速く、短時間で半導体装置Hとプリント配線基板Pとの隙間全体に亘って充填され、アンダーフィル工程が終了する。
【0046】
このように、オーバーレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Dbにおいて、本発明のダミーはんだバンプ2を備えた構造を採用することにより、アンダーフィルされる樹脂材Gの浸透速度が従来構造のものよりも速く、アンダーフィル工程に必要とする時間のさらなる短縮化を得られて、工数の低減化をなす。
【0047】
その結果、本発明の構造ではさらに樹脂材Gの量が少なくてすみ、アンダーフィルの塗布領域を狭く抑えることができて製造性の向上化を図れるとともに、樹脂材Gの充填が完全化して、いわゆるボイドの発生を抑え、補強強度の増大化を得られて信頼性の向上化を図れる。
【0048】
図7は、第3の実施の形態でのBGAタイプの半導体装置Haと、この半導体装置Ha底面に突設されるはんだボールバンプaの配置を示す図である。
ここに示す半導体装置Haにおいては、回路パターンの構成上、はんだボールバンプaが設けられる部位Aが先に図9で示した半導体装置Hよりも多く、外形から中心に向って不均一に設けられる。その分、はんだボールバンプaが設けられない部位Nは先に図9で示した半導体装置Hよりも少なく、外形から中心に向って不均一に形成される。
【0049】
図8は、前記半導体装置Haのはんだボールバンプaとプリント配線基板Pのダミー電極パッド1相互の位置関係を表す図である。
半導体装置Haに設けられるはんだボールバンプaを白丸で示し、プリント配線基板Pに設けられるダミー電極パッド1を黒丸で示す。この場合も、半導体装置Haの外形の範囲内において、半導体装置Hに設けられるはんだボールバンプaと、プリント配線基板Pに設けられるダミー電極パッド1は互いに整然と等間隔に位置し、均等に配列される。
【0050】
したがって、半導体装置Haとプリント配線基板Pとの隙間にアンダーフィルされる樹脂材Gは、円滑に、かつ速やかに充填されることになり、オーバーレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Daと、クリアランスレジスト構造のプリント配線基板Pを備えた電子機器Dbのいずれにおいても、アンダーフィル工程に必要とする時間の短縮化を得られて、工数の低減化をなす。
【0051】
その結果、樹脂材Gの量が少なくてすみ、アンダーフィルの塗布領域を狭く抑えることができて製造性の向上化を図れるとともに、樹脂材Gの充填が完全化して、いわゆるボイドの発生を抑え、補強強度の増大化を得られて信頼性の向上化を図れる。
【0052】
このように、回路パターンの構成等の条件により、はんだボールバンプaが設けられる部位Aと、はんだボールバンプaが設けられない部位Nの形態が異なるばかりでなく、密度の相違もあるが、これら全てを本発明ではクリヤできる。
すなわち、本発明は上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。そして、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明における第1の実施の形態に係る、クリアランスレジスト構造と、オーバーレジスト構造のプリント配線基板を備えた電子機器の縦断面図。
【図2】同実施の形態に係る、プリント配線基板に設けられるダミー電極パッドの位置関係を示す図。
【図3】同実施の形態に係る、半導体装置に設けられるはんだボールバンプと、プリント配線基板に設けられるダミー電極パッドの双方の位置関係を示す図。
【図4】本発明における第2の実施の形態に係る、クリアランスレジスト構造と、オーバーレジスト構造のプリント配線基板を備えた電子機器の縦断面図。
【図5】クリアランスレジスト構造のプリント配線基板を備えた電子機器に対するアンダーフィルの工程を、従来構造と、本発明の第1、第2の実施の形態における構造とを対比して説明する図。
【図6】オーバーレジスト構造のプリント配線基板を備えた電子機器に対するアンダーフィルの工程を、従来構造と、本発明の第1、第2の実施の形態における構造とを対比して説明する図。
【図7】本発明における第3の実施の形態に係る、半導体装置底面に形成されるはんだボールバンプの配置の一例を示す図。
【図8】同実施の形態に係る、半導体装置に設けられるはんだボールバンプと、プリント配線基板に設けられるダミー電極パッドの双方の位置関係を示す図。
【図9】半導体装置底面に形成されるはんだボールバンプの配置の一例を示す図。
【図10】従来構造の電子機器を製造する過程で、アンダーフィル工程を説明する図。
【符号の説明】
【0054】
a…はんだボールバンプ、A…はんだボールバンプが設けられる部位、N…はんだボールバンプが設けられない部位、H…半導体装置、b…電極パッド、P…プリント配線基板、G…樹脂材、1…ダミー電極パッド、R…ソルダーレジスト、2…ダミーはんだバンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のはんだボールバンプが設けられる部位および、はんだボールバンプが設けられない部位を備えた半導体装置と、
前記半導体装置に設けられるはんだボールバンプと接合される複数の電極パッドを備えたプリント配線基板と、
前記半導体装置と前記プリント配線基板との隙間にアンダーフィルされ、半導体装置のはんだボールバンプとプリント配線基板の電極パッドとの周りに充填される樹脂材と、
前記プリント配線基板に、前記半導体装置のはんだボールバンプが設けられない部位と対向して設けられる複数のダミー電極パッドと、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記プリント配線基板は、前記半導体装置の実装範囲から間隙を存してソルダーレジストが一括して開口するクリアランスレジスト構造を備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記プリント配線基板は、ソルダーレジストで前記電極パッドおよび前記ダミー電極パッドの外形を決めるオーバーレジスト構造を備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記プリント配線基板の前記ダミー電極パッド上に、ダミーはんだバンプがマウントされることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
半導体装置に設けられる複数のはんだボールバンプに、プリント配線基板に設けられる複数の電極パッドを対向するとともに、前記半導体装置のはんだボールバンプが設けられない部位に、前記プリント配線基板に設けられる複数のダミー電極パッドを対向する工程と、
前記半導体装置のはんだボールバンプと前記プリント配線基板の電極パッドとを接合する工程と、
前記半導体装置と前記プリント配線基板との隙間に樹脂材をアンダーフィルして、接合された半導体装置のはんだボールバンプとプリント配線基板の電極パッドとの周りと、前記ダミー電極パッドとの周りに前記樹脂材を充填する工程と、
を有することを特徴とする電子機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−27722(P2010−27722A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184833(P2008−184833)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】