説明

電子機器用接着剤組成物および電子機器用接着剤シート

【課題】常温での仮接着が可能であり、さらに加熱硬化後の接着剤層の層間絶縁性が高い電子機器用接着剤組成物および電子機器用接着剤シートを提供する。
【解決手段】a)熱可塑性樹脂、b)エポキシ樹脂、c)硬化剤およびd)熱伝導性充填剤を含有する電子機器用接着剤組成物であって、a)熱可塑性樹脂が、a−1)重量平均分子量が1万〜10万の熱可塑性樹脂および、a−2)重量平均分子量が80万〜120万の熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする電子機器用接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用接着剤組成物に関する。より詳しくは、補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、半導体素子や配線基板(インターポーザー)用半導体集積回路を実装する際に用いられるテープオートメーテッドボンディング(TAB)方式のパターン加工テープ、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ用インターポーザー等の半導体接続用基板、フレキシブルプリント基板(FPC)におけるカバーレイや銅張り積層板およびその補強板、多層基板における層間接着剤、およびそれらを用いた基板部品、リードフレーム固定テープ、LOC固定テープ、半導体素子等の電子部品とリードフレームや絶縁性支持基板等の支持部材との接着剤すなわちダイボンディング材、シールド材等に好適に用いられる電子機器用接着剤組成物、電子機器用接着剤シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の実装技術の向上に伴い、機器の小型化、薄型化が進んでおり、その結果、電子機器の使用用途は増加の一途をたどっている。電子機器を小型化、薄型化する場合、機器から発生する熱の密度が高まるために、熱の発生を抑えるとともに、使用する半導体集積回路(IC)パッケージやトランジスタ、ダイオード、電源などの電子部品から発生する熱を効率的に外部に放出させることが重要となってくる。また、パソコン等で使用されるマイクロチッププロセッサ(MPU)の動作周波数の上昇とともに、MPUチップより発生する熱量は非常に大きくなっている。また、プラズマパネルディスプレイ、液晶ディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)は、ディスプレイパネルが発熱するため、この熱を外部に放出することが重要となってきている。
【0003】
一般に、上記のような電子部品から発生した熱を外部に放出するには、熱源となる電子部品に、ヒートシンクや金属板、電子機器筐体等のより放熱面積の大きい放熱部品を取り付ける方法が知られている。このとき、電子部品と放熱部品とが接する界面が、熱の移動の上で抵抗となっている。このため、界面における熱移動を補助する方法として、熱硬化性樹脂および熱伝導性の高いフィラーを含有する接着剤、接着フィルム(例えば、特許文献1参照)が開示されている。しかしながら、この場合、電子部品と放熱部品を接着する際に温度170℃圧力1.96MPaで加熱加圧して接着させる必要がある。一方、電子部品と放熱部品を接着する手法として、ガラス転移温度(Tg)が−50〜50℃、かつ、重量平均分子量が1万〜500万の高分子量ポリマーと熱伝導性フィラーとを含有する絶縁性熱伝導シート(例えば、特許文献2参照)が開示されているが、重量平均分子量が高い(例えば85万)絶縁性熱伝導シートでは、加熱硬化前の状態での仮接着力が低く、加熱加圧加工が必要になる。また、重量平均分子量が低い絶縁性熱伝導シートでは、加熱硬化後の層間絶縁性が低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第96/31574号パンフレット(請求の範囲)
【特許文献2】特開2008−277759号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記諸欠点を解消して、常温での仮接着が可能であり、さらに加熱硬化後の接着剤層の層間絶縁性が高い電子機器用接着剤組成物および電子機器用接着剤シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は主として以下の構成を有する。すなわち、a)熱可塑性樹脂、b)エポキシ樹脂、c)硬化剤およびd)熱伝導性充填剤を含有する電子機器用接着剤組成物であって、a)熱可塑性樹脂が、a−1)重量平均分子量が1万〜10万の熱可塑性樹脂およびa−2)重量平均分子量が80万〜120万の熱可塑性樹脂を含有する電子機器用接着剤組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により常温での仮接着が可能であり、さらに加熱硬化後の接着剤層の層間絶縁性が高い電子機器用接着剤組成物を得ることができる。また、常温での仮接着が可能であり、加熱硬化後の接着剤層の層間絶縁性が高いことから、電子機器用接着剤シートを薄膜化できるため、熱伝導性の高い電子機器用接着剤シートを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の電子機器用接着剤組成物は、a)熱可塑性樹脂、b)エポキシ樹脂、c)硬化剤およびd)熱伝導性充填剤を含有する電子機器用接着剤組成物であって、a)熱可塑性樹脂が、a−1)重量平均分子量が1万〜10万の熱可塑性樹脂およびa−2)重量平均分子量が80万〜120万の熱可塑性樹脂を含有する電子機器用接着剤組成物である。
a)熱可塑性樹脂のポリマーの種類は特に限定されない。熱可塑性樹脂は、可撓性、熱応力の緩和、低吸水性による絶縁性の向上等の機能を有する。熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS)、炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸エステル樹脂(アクリルゴム)、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン等が例示される。また、これらの熱可塑性樹脂は後述のb)エポキシ樹脂との反応が可能な官能基を有していてもよい。具体的には、エポキシ基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、シラノール基、イソシアネート基等である。これらの官能基によりエポキシ樹脂との結合が強固になり、層間絶縁性が向上するので好ましい。特にエポキシ基はエポキシ樹脂との相溶性の観点からより好ましい。
【0009】
本発明では、a)熱可塑性樹脂として、a−1)重量平均分子量が1万〜10万の熱可塑性樹脂を用いる。
【0010】
常温における仮接着性の観点からa−1)の熱可塑性樹脂の重量平均分子量は1万〜10万であり、好ましくは3〜10万である。この範囲であれば、加熱硬化前の接着剤において仮接着性を発現しつつ、加熱硬化後の接着剤膜強度を高くし、高い層間絶縁性が得られる。
【0011】
a−1)に適する熱可塑性樹脂は、エポキシ基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、シラノール基およびイソシアネート基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有し、かつ、炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体であることが好ましい。
【0012】
炭素数1〜8の飽和炭化水素を側鎖として有するアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチルのようなアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、また、アクリル酸シクロヘキシルのようなアクリル酸の脂環属アルコールとのエステルが挙げられる。また、このようなアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルは、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0013】
官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドが挙げられる。
【0014】
a−1)の熱可塑性樹脂は、炭素数1〜8の飽和炭化水素を側鎖として有するアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを90モル%以上、エポキシ基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、シラノール基およびイソシアネート基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するモノマーを10モル%以下で共重合させて得られる共重合体であることが好ましく、炭素数1〜8の飽和炭化水素を側鎖として有するアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを95モル%以上、エポキシ基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、シラノール基およびイソシアネート基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するモノマーを5モル%以下で共重合させて得られる共重合体であることがより好ましい。官能基を有するモノマーが10モル%以上共重合されると、エポキシ樹脂との相溶が向上し、硬化後の応力緩和性が不十分となる場合がある。
【0015】
本発明では、a)熱可塑性樹脂として、a−2)重量平均分子量が80万〜120万の熱可塑性樹脂を用いる。加熱硬化後の層間絶縁性の観点から、a−2)の熱可塑性樹脂の重量平均分子量が80万以上である。また、塗料粘度の取り扱い性の観点から、120万以下、好ましくは、100万以下である。
【0016】
a−2)に適する熱可塑性樹脂は、a−1)に適する熱可塑性樹脂同様、エポキシ基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、シラノール基およびイソシアネート基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有し、かつ、炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体であることが好ましい。このようなアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの例としては、a−1)に示したモノマーの他に、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、メチルスチレン、クロルスチレン、ビニリデンクロライド、エチルα−アセトキシアクリレート等が挙げられる。
【0017】
またa−1)重量平均分子量が1万〜10万の熱可塑性樹脂およびa−2)重量平均分子量が80万〜120万の熱可塑性樹脂で用いられるこれらの共重合体が有する官能基は、後述のb)エポキシ樹脂との反応が可能であることが好ましい。架橋密度が上がり層間絶縁性に有利であるとともにシェア強度にも有利に働くからである。上述した官能基含有量は、a)熱可塑性樹脂中0.07eq/kg以上、0.7eq/kg以下が好ましく、より好ましくは0.45eq/kg以下、さらに好ましくは0.14eq/kg以下である。
【0018】
また、常温における仮接着性の観点から、ガラス転移温度(Tg)は20℃以下、より好ましくは5℃以下である。TgについてはDSC法により算出する。
【0019】
熱可塑性樹脂を複数種類用いる場合、その内少なくとも2種がこの範囲を満たしていればよい。重量平均分子量については、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により測定し、ポリスチレン換算で算出する。
【0020】
分子量が2種類の熱可塑性樹脂を用いることにより、高分子量成分による層間絶縁性向上と、低分子量成分による仮接着性を達成することが可能となる。
【0021】
a−1)重量平均分子量が1万〜10万の熱可塑性樹脂の質量をa1、a−2)重量平均分子量が80万〜120万の熱可塑性樹脂の質量をa2とすると、好ましくは0.3≦a1/a2≦0.6、さらに好ましくは0.4≦a1/a2≦0.5である。この範囲にすることにより、十分な仮接着性と層間絶縁性が得られる。
【0022】
本発明の接着剤組成物において、a−1)とa−2)の熱可塑性樹脂の総含有量は、後述するb)エポキシ樹脂100重量部に対し、好ましくは70重量部以上、より好ましくは80重量部以上、さらに好ましくは90重量部以上であり、好ましくは200重量部以下、より好ましくは150重量部以下、さらに好ましくは110重量部以下である。この範囲であれば、仮接着性、25℃7日間保管後の仮接着性、熱伝導性を高いレベルで維持できるので好ましい。
【0023】
本発明の接着剤組成物は、b)エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂を含むことにより、耐熱性、高温での絶縁性、耐薬品性、接着剤層にしたときの強度等の物性バランスを実現することができる。エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限されず、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型骨格を含有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、およびハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0024】
これらのエポキシ樹脂の中で、本発明において好ましく使用されるのは、接着性、接着剤組成物をシート化する際の製膜性に優れる点で、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などであり、この中でも分子量が低く、単体で25℃における粘度が25Pa・s以下より好ましくは20Pa・s以下であるビスフェノールA型エポキシ樹脂が、接着剤組成物の被着体表面への追従性が向上し、接着性が向上するので特に好ましい。
【0025】
本発明の接着剤組成物は、エポキシ基と架橋反応するc)硬化剤を含有する。エポキシ基と架橋反応する硬化剤を含有することで硬化後の接着力が向上する。硬化剤の例としては、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4’−トリアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、ジシアンジアミド、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのノボラック樹脂、ビスフェノールAなどのビスフェノール化合物等が使用できる。この中でも耐熱性に優れることからフェノール系の硬化剤が好ましい。これらを単独または2種以上用いても良い。
【0026】
本発明の接着剤組成物は、c)硬化剤中の活性水素の総モル数Hと、b)エポキシ樹脂中のエポキシ基の総モル数Eの比H/Eが好ましくは0.4〜0.7、より好ましくは0.5〜0.6である。硬化剤活性水素の総モル数Hは(硬化剤重量)/(硬化剤活性水素当量)から、エポキシ樹脂中のエポキシ基の総モル数Eは、(エポキシ樹脂重量)/(エポキシ当量)からそれぞれ算出される。通常、硬化剤中の活性水素の総モル数Hとエポキシ樹脂中のエポキシ基の総モル数Eの比H/Eは、1.0を中心に好ましくは0.8〜1.2の範囲で設計されることが多い。しかしながら、エポキシ基を過剰にし、H/Eを0.4〜0.7とすることで硬化反応が十分に進行し、被着体への接着性、半田耐熱性がより向上するので好ましい。H/Eの範囲は0.5以上、0.7以下が、接着剤と半田耐熱性がともに向上するため特に好ましい。更に、エポキシ樹脂として単体で25℃における粘度が25Pa・s以下であるビスフェノールA型エポキシを使用した場合、接着剤組成物の被着体表面への追従性が向上し、接着性が向上するので好ましい。
【0027】
本発明の接着剤組成物は、d)熱伝導性充填剤を含有する。ここでいう熱伝導性充填剤とは、充填剤単体での熱伝導率が5(Wm−1−1 )以上の充填剤を指し、具体的にはアルミナ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化硼素、窒化珪素、銀粉末、銅粉末、アルミニウム粉末、炭化珪素、ダイヤモンド粉末、グラファイト、炭素繊維などが挙げられる。この中でも、特に窒化アルミニウム、窒化珪素および窒化硼素からなる群から選択される少なくとも1種の熱伝導性充填剤を含有することが好ましい。窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化硼素から選択される少なくとも1種の熱伝導性充填剤を含有することにより、接着剤の熱伝導率が大きく向上する。粒子形状、結晶性は特に制限されず、破砕系、球状、鱗片状等が用いられるが、塗料への分散性の点から、球状が好ましく用いられる。本発明においてはこれらを2種以上含有しても良く、更に他の充填剤を含有しても良い。
【0028】
d)熱伝導性充填剤は、充填剤の酸化、加水分解等の変質防止の目的や充填剤と接着剤組成物中のその他の有機成分とのぬれ性向上の目的、および接着剤シートの物性向上のために、表面処理を施しても良い。具体的には、シリカ、リン酸等でのコーティングや、酸化膜付与処理、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シラン化合物等での表面処理などが挙げられる。この中でも特に表面がシリカ被覆されている窒化アルミニウムが熱伝導性と安定性の点で特に好ましい。また、d)熱伝導性充填剤と接着剤組成物中のその他の有機成分とのぬれ性を向上させるためにシランカップリング剤で表面処理することが好ましい。このような表面処理を施すことで、d)熱伝導性充填剤が接着剤組成物中でより均一に分散し、結果として半田耐熱性、接着性、層間絶縁性を向上させることができる。シランカップリング剤の具体例としては3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどがあるが、この中でも特にN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが充填剤と樹脂組成物中のその他の有機成分とのぬれ性を向上させる点で好ましい。シランカップリング剤は単独で使用しても、上記のシランカップリング剤を混合して使用しても良く、処理に使用する量は、d)熱伝導性充填剤100重量部に対して0.3〜1重量部が好ましい。また、接着剤組成物にd)熱伝導性充填剤以外の充填剤を含有してもよく、これら充填剤を合わせて表面処理する場合は、充填剤の合計100重量部に対して0.3〜1重量部程度が好ましい。
【0029】
本発明の接着剤組成物において、d)熱伝導性充填剤の含有量は、接着剤組成物中の樹脂成分、すなわちa)熱可塑性樹脂、b)エポキシ樹脂およびc)硬化剤の合計100重量部に対し、好ましくは120〜250重量部、より好ましくは130〜200重量部である。120重量部以上であることにより十分な放熱性が得られ、250重量部以下であることにより十分な仮接着性が得られる。
【0030】
本発明の接着剤組成物は、硬化触媒としてホスフィン系の硬化触媒を含有することが好ましい。ホスフィン系の硬化触媒を含有することで硬化性、常温での保存安定性が向上する。
【0031】
ホスフィン系の硬化触媒の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリス−(p−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどが挙げられ、硬化促進作用の点からトリフェニルホスフィンが特に好ましく用いられる。
【0032】
ホスフィン系の硬化触媒の含有量は、(A)エポキシ樹脂100重量部に対し0.3〜3.0重量部の範囲にあることが好ましい。0.3重量部以上とすることで、硬化促進作用が得られ、3.0重量部以下とすることで保存安定性が向上する。
【0033】
またホスフィン系の硬化触媒とともに硬化速度の調整等のために他の公知の硬化触媒を含有しても良い。例として2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、トリ(アセチルアセトナト)アルミニウムなどの有機金属化合物などが挙げられる。
【0034】
本発明の接着剤組成物は、上記記載の原料を混合して得られる。混合の手法としては、各原料を溶剤に溶解し、それらを撹拌混合し、溶剤を乾燥し除去する手法、樹脂を加熱し溶融した状態で混合する手法などが挙げられる。
【0035】
本発明の電子機器用接着剤シート(以下、接着剤シートという)とは、本発明の接着剤組成物からなる接着剤層と、1層以上の剥離可能な保護フィルム層とを有する構成のものをいう。たとえば、保護フィルム層/接着剤層の2層構成、あるいは、保護フィルム層/接着剤層/保護フィルム層の3層構成がこれに該当する。また、接着剤層と保護フィルム層以外に別の層を有していても良い。例えば接着剤層の内部に炭素繊維のクロス等の熱伝導性材料を積層した複合構造、接着剤層の内部にポリイミド等の絶縁性フィルムが積層された複合構造等がこれにあたる。
【0036】
接着剤層の厚みは、弾性率および線膨張係数との関係で適宜選択できるが、10〜500μmが好ましく、より好ましくは20〜200μmである。接着剤層は接着部材の表面に凹凸に追従できるのであれば、なるべく薄い方が熱伝導の点で好ましい。
【0037】
また、本発明において、接着剤層に含まれるd)熱伝導性充填剤の中位径D50 は、接着剤層の厚みに対して1/3以下であることが好ましい。中位径が接着剤シートの厚みの1/3以下であることにより、接着剤シートを使用して被着体を貼り合わせる際にエアーの噛み込み等ができにくくなり、放熱性、接着性が向上する。ここでいう中位径D50とは、レーザ回折式粒子径分布測定装置等で測定された粒子の分布曲線において、積算体積が50%となる粒子径を指す。
【0038】
保護フィルム層は、絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層(TABテープ等)あるいは導体パターンが形成されていない層(スティフナー等)に接着剤層を貼り合わせる前に、接着剤層の形態および機能を損なうことなく剥離できれば特に限定されない。例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等のプラスチックフィルム、これらにシリコーンあるいはフッ素化合物等の離型剤のコーティング処理を施したフィルムおよびこれらのフィルムをラミネートした紙、離型性のある樹脂を含浸あるいはコーティングした紙等が挙げられる。保護フィルム層は、加工時に視認性が良いように顔料による着色が施されていても良い。これにより、先に剥離する側の保護フィルムが簡便に認識できるため、誤使用を避けることができる。
【0039】
接着剤層の両面に保護フィルム層を有する場合、それぞれの保護フィルム層の接着剤層に対する剥離力をF1、F2 (F1 >F2)としたとき、F1 −F2 は好ましくは5Nm−1以上、さらに好ましくは15Nm−1 以上である。F1 −F2 を5Nm−1 以上とすることで、目的の保護フィルム層を安定して剥離することができるため作業性が良い。また、剥離力F1 、F2 はいずれも好ましくは1〜200Nm−1 、さらに好ましくは3〜100Nm−1 である。この範囲であれば、保護フィルム層の脱落や、接着剤層の損傷等のトラブルを防ぐことができる。
【0040】
次に本発明の接着剤組成物を用いた接着剤シートの製造方法の例について説明する。
【0041】
(A)本発明の接着剤組成物を溶剤に溶解した塗料を、離型性を有するポリエステルフィルム上に塗布、乾燥する。接着剤層の乾燥後の膜厚が10〜100μmとなるように塗布することが好ましい。乾燥条件は、100〜200℃、1〜5分が好ましい。溶剤は特に限定されないが、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン等の非プロトン系極性溶剤あるいはこれらの混合物が好適である。
【0042】
(B)(A)のフィルムに上記よりさらに剥離強度の弱い離型性を有するポリエステルあるいはポリオレフィン系の保護フィルム層をラミネートして本発明の接着剤シートを得る。さらに接着剤厚みを増す場合は、該接着剤層を複数回積層すればよい。ラミネート後に、たとえば40〜70℃で20〜200時間程度熱処理して硬化度を調節してもよい。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、各実施例で行った評価方法について述べる。
【0044】
(1)剪断接着力:接着剤層厚み50μmの接着剤シート5mm角の一方の保護フィルム層を剥がし、1.2mm厚さの銅板(20mm×20mm)上に接着剤層を25℃、1MPaの条件でラミネートした。次いで、接着剤シートの反対面の保護フィルムを剥がし、同厚さの銅板(20mm×20mm)を25℃、1MPaの条件でラミネートし、銅板/接着剤層/銅板の積層体を作製した。次いで170℃2時間加熱硬化し、テンシロンにより5mm/分の速度で引張り剪断接着力を測定した。
【0045】
(2)仮接着力:プローブタック力:接着剤層厚み50μmの接着剤層の一方の保護フィルムを剥がし、プローブタックテスター(TAC−II、(株)レスカ製、5mmφプローブ)にて25℃でのタック力を測定した。このテストにおいてタック値が100gf以上であるものは常温においても仮接着が可能となる。
【0046】
(3)保存安定性:保護フィルムがついた状態の接着剤シートを23℃55%RHの雰囲気下で1週間放置し、放置後の接着剤シートを用いて上記試験(2)を同様に測定し、保存安定性を評価した。(2)同様タック値が100gf以上であるものは常温においても仮接着が可能となる。
【0047】
(4)熱伝導率:アルバック理工(株)製 熱定数測定装置TC−7000により、測定温度100℃、照射光:ルビーレーザー光、真空雰囲気中にて熱拡散率を測定した。またアルキメデス法により接着剤組成物の密度を、DSC法により比熱を測定し、熱拡散率と密度と比熱の積より熱伝導率を算出した。熱伝導率1.5W/mK以上が本用途の放熱性に適している。
【0048】
(5)層間絶縁性: 70mm×100mm角の接着剤シートの一方の保護フィルム層を剥がし、35μm厚さの銅箔(80mm×100mm)上に接着剤層を25℃、1MPaの条件でラミネートした。接着剤シートの他方の保護フィルムを剥がし、170℃1時間の加熱処理を行い、評価用サンプルを作製した。接着剤シート面にφ25mmの電極を置き、AC昇圧速度0.5kV/秒にて室温にて交流耐電圧測定装置(東京変圧器社製PCT−5K)を用いて測定した。ここで得た絶縁破壊電圧値を加熱処理後の接着剤層の厚さにて除したものを絶縁破壊電圧とした。
【0049】
(6)重量平均分子量:下記条件で行った。標準ポリスチレンを用いて校正して算出した。
測定装置 :GELPERMEATION CHROMATOGRAPH(東ソー社製)
カラム :TSK-GEL GMHXL 7.8*300mm(東ソー社製)
展開溶媒 :テトラヒドロフラン
流量 :1mL/min
カラム温度: 40℃
(7)25℃における粘度:下記条件で行った。粘度の校正は、標準粘度液(日本グリース(株)製 JS−20、JS−100)を用いて行った。
測定装置: 東機産業(株)製 TVE−20L (E型粘度計)
回転数 : 10回転、20回転
測定温度: 25℃
コーン : 直径:48mmφ 角度 1°34’。
【0050】
(8)b)エポキシ樹脂中のエポキシ基の総モル数Eおよびc)硬化剤中の活性水素の総モル数H
以下の計算式により求めた。
b)エポキシ樹脂中のエポキシ基の総モル数E=(エポキシ樹脂重量)/(エポキシ当量)
c)硬化剤中の活性水素の総モル数H=(硬化剤重量)/(硬化剤活性水素当量)
実施例1〜12、比較例1〜6
下記熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、熱伝導性充填剤、硬化触媒を、それぞれ表1、表2に示した組成となるように配合し、固型分濃度35重量%となるようにジメチルホルムアミド(DMF)/モノクロルベンゼン/メチルイソブチルケトン(MIBK)混合溶媒に40℃で攪拌、溶解して接着剤溶液を作製した。この接着剤溶液をバーコータで、シリコーン離型剤付きの厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)に約50μmの乾燥厚さとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥し、その上にシリコーン離型剤付きの厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)を貼り合わせて、本発明の接着剤シートを作製した。両側のシリコーン離型剤付きの厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)が保護フィルムとなる。実施例に使用した各原材料は次の通りである。結果を表1,表2に示す。
【0051】
<熱可塑性樹脂>
ポリマー1:重量平均分子量3万エポキシ基含有アクリルゴム、モノマー共重合比アクリル酸エチル:アクリル酸ブチル:アクリル酸グリシジル=58:40:2
混合機及び冷却器を備えた反応器に窒素雰囲気下にて、アクリル酸エチル51g、アクリル酸ブチル46g、アクリル酸グリシジル3gとメチルエチルケトン60gを入れ、大気圧(1013hPa)下、85℃に加熱し、さらにα−メチルスチレンダイマー2g、アゾビスイソブチロニトリル2gを滴下し、2時間重合した。得られたポリマーの重量平均分子量を上記方法により測定して算出した。
【0052】
ポリマー2:重量平均分子量7万エポキシ基含有アクリルゴム、モノマー共重合比アクリル酸エチル:アクリル酸ブチル:アクリル酸グリシジル=58:40:2
2時間重合する代わりに5時間重合した以外はポリマー1と同様の方法で重合した。得られたポリマーの重量平均分子量を上記方法により測定して、算出した。
【0053】
ポリマー3:重量平均分子量3万アクリルゴム(官能基なし)、モノマー共重合比アクリル酸エチル:アクリル酸ブチル=60:40
アクリル酸エチル51g、アクリル酸ブチル46g、アクリル酸グリシジル3gを用いる代わりに、アクリル酸エチル54gおよびアクリル酸ブチル46gを用いた以外はポリマー1と同様の方法で重合した。得られたポリマーの重量平均分子量を上記方法により測定して、算出した。
【0054】
ポリマー4:重量平均分子量3万エポキシ基含有アクリルゴム、モノマー共重合比アクリル酸エチル:アクリル酸ブチル:アクリロニトリル:アクリル酸グリシジル=38:20:40:2
アクリル酸エチル51g、アクリル酸ブチル46g、アクリル酸グリシジル3gを用いる代わりに、アクリル酸エチル43g、アクリル酸ブチル29g、アクリロニトリル24gおよびアクリル酸グリシジル3gを用いた以外はポリマー1と同様の方法で重合した。得られたポリマーの重量平均分子量を上記方法により測定して、算出した。
【0055】
ポリマー5:重量平均分子量35万エポキシ基含有アクリルゴム(SG−80H、ナガセケムテックス(株)製)
ポリマー6:重量平均分子量6000エポキシ基含有アクリル共重合体、モノマー共重合比アクリル酸エチル:アクリル酸ブチル:アクリル酸グリシジル=58:40:2
2時間重合する代わりに0.5時間重合した以外はポリマー1と同様の方法で重合した。得られたポリマーの重量平均分子量を上記方法により測定して、算出した。
【0056】
ポリマー7:重量平均分子量2万エポキシ基含有アクリルゴム、モノマー共重合比アクリル酸エチル:アクリル酸ブチル:アクリル酸グリシジル=58:40:2
2時間重合する代わりに1時間重合した以外はポリマー1と同様の方法で重合した。得られたポリマーの重量平均分子量を上記方法により測定して、算出した。
【0057】
ポリマー8:重量平均分子量3万エポキシ基含有アクリルゴム、モノマー共重合比アクリル酸エチル:アクリル酸ブチル:アクリル酸グリシジル=52:36:12
アクリル酸エチル51g、アクリル酸ブチル46g、アクリル酸グリシジル3gを用いる代わりに、アクリル酸エチル45g、アクリル酸ブチル40gおよびアクリル酸グリシジル15gを用いた以外はポリマー1と同様の方法で重合した。得られたポリマーの重量平均分子量を上記方法により測定して、算出した。
【0058】
ポリマー11:重量平均分子量85万エポキシ基含有アクリルゴム(SG−P3、ナガセケムテックス(株)製)
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂1:ビスフェノールA型エポキシ(エピコート828、エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製、常温で液状、25℃における粘度:14Pa・s)
エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型エポキシ(エピコート1001、エポキシ当量474、ジャパンエポキシレジン(株)製、常温で固型)
<硬化剤>
硬化剤:ノボラックフェノール樹脂(H−1、硬化剤活性水素当量107、明和化成(株)製)
<熱伝導性充填剤>
熱伝導性充填剤1:窒化アルミニウム粉末(Hグレード(株)トクヤマ製)
<硬化触媒>
硬化触媒:トリフェニルホスフィン
表1,2の結果より、実施例1〜12と比較例1〜6を比較すると、実施例1〜12では、仮接着性を有しつつ、高い層間絶縁性を有しているのに対し、比較例1,2,6では層間絶縁性が低く、比較例3では剪断接着力、仮接着性、保存安定性が低い。また、比較例4では仮接着性を有しつつ、高い層間絶縁性を有しているが、保存安定性が低下している。これは、エポキシ樹脂と硬化剤が常温保管にて硬化反応しているためと推測される。また比較例5では熱伝導性充填剤を含有していないため、熱伝導率の低いものとなる。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)熱可塑性樹脂、b)エポキシ樹脂、c)硬化剤およびd)熱伝導性充填剤を含有する電子機器用接着剤組成物であって、a)熱可塑性樹脂が、a−1)重量平均分子量が1万〜10万の熱可塑性樹脂および、a−2)重量平均分子量が80万〜120万の熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする電子機器用接着剤組成物。
【請求項2】
前記a−1)重量平均分子量が1万〜10万の熱可塑性樹脂および前記a−2)重量平均分子量が80万〜120万の熱可塑性樹脂が、いずれもエポキシ基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、シラノール基およびイソシアネート基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有し、かつ、炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを構成モノマーとして含む重合体であることを特徴とする請求項1記載の電子機器用接着剤組成物。
【請求項3】
前記a)熱可塑性樹脂において、a−1)重量平均分子量が1万〜10万の熱可塑性樹脂の質量をa1、a−2)重量平均分子量が80万〜120万の熱可塑性樹脂の質量をa2とすると、0.3≦a1/a2≦0.6であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器用接着剤組成物。
【請求項4】
前記a)熱可塑性樹脂において、a−1)重量平均分子量が1万〜10万の熱可塑性樹脂が、炭素数1〜8の飽和炭化水素を側鎖として有するアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを90モル%以上、エポキシ基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、シラノール基およびイソシアネート基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するモノマーを10モル%以下で共重合させて得られる共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器用接着剤組成物。
【請求項5】
前記b)エポキシ樹脂が、単体で25℃における粘度が25Pa・s以下であるエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器用接着剤組成物。
【請求項6】
前記c)硬化剤中の活性水素の総モル数Hと、b)エポキシ樹脂中のエポキシ基の総モル数Eの比H/Eが0.4〜0.7の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器用接着剤組成物。
【請求項7】
前記d)熱伝導性充填剤の含有量が、a)熱可塑性樹脂、b)エポキシ樹脂およびc)硬化剤の合計100重量部に対し120〜250重量部の範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器用接着剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の電子機器用接着剤組成物からなる接着剤層および少なくとも1層の剥離可能な保護フィルム層を有する電子機器用接着剤シート。

【公開番号】特開2012−12585(P2012−12585A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120290(P2011−120290)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】