説明

電子機器

【課題】
本発明の目的は、全く新規なはんだおよびその製造方法、またはそのはんだを
用いた電子機器およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】
金属粒子としてCu等の粒子と、はんだ粒子としてSnの粒子を含むはんだ材料を
圧延して形成したはんだ箔、また該はんだ箔を用いて接続した電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
はんだおよびはんだの製造方法、またははんだ接続を用いる電子機器、電子装置および
電子機器、電子装置の製造方法に関する。特に、Sn−Ag−Cu系Pbフリーはんだ等
に対する高温側の温度階層接続を必要とするはんだ接続に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
Sn−Pb系はんだにおいては、高温系はんだとしてPbリッチのPb−5Sn(融点
:314〜310℃)、Pb−10Sn(融点:302〜275℃)等を330℃近傍の
温度ではんだ付けし、その後、このはんだ付け部を溶かさないで、低温系はんだのSn−
37Pb共晶(融点:183℃)で接続する温度階層接続が可能であった。これらのはん
だは、柔軟で変形性に富み、このため破壊し易いSiチップ等を熱膨張係数の異なる基板
に接合することができた。このような温度階層接続は、チップをダイボンドするタイプの
半導体装置や、チップをフリップチップ接続するBGA,CSPなどの半導体装置などで
適用されている。即ち、半導体装置内部で使用するはんだと、半導体装置自身を基板に接
続するはんだとは温度階層接続されていることを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、あらゆる分野において鉛フリー化が進んでいる。
Pbフリーはんだの主流はSn−Ag共晶系(融点:221℃)、Sn−Ag−Cu
共晶系(融点:221〜217℃)、Sn−Cu共晶系(融点:227℃)になるが、表
面実装におけるはんだ付け温度は部品の耐熱性から低いことが望ましいが、信頼性確保の
ためぬれ性を確保する必要性から、均熱制御に優れた炉を用いても、基板内の温度ばらつ
きを考慮すると、一番低い温度で可能なSn−Ag−Cu共晶系で235〜245℃くら
いが実情である。従って、このはんだ付け温度に耐えられる階層用はんだとしては、融点
が少なくても250℃以上である必要がある。現状で、これらのはんだと組合せて使用で
きる高温側の温度階層用Pbフリーはんだはない。最も可能性のある組成として、Sn−
5Sb(融点:240〜232℃)はあるが、溶けてしまうので温度階層用にはならない

【0004】
また、高温系のはんだとしてAu−20Sn(融点:280℃)は知られているが、硬
く、コスト高のために使用が狭い範囲に限定される。特に、熱膨張係数の異なる材料への
Siチップの接続、大型チップの接続では、Au−20Snはんだは硬いため、Siチッ
プを破壊させる可能性が高いため使用されていない。
【0005】
本発明の目的は、全く新規なはんだ接続による電子機器(電子装置)および電子機器の
製造方法を提供することにある。
【0006】
また、電子機器の製造法において必要となる温度階層接続におけるはんだ接続、特に高
温側のはんだ接続を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、全く新規なはんだおよびその製造方法を提供することにあ
る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要
を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0009】
金属の粒子とはんだの粒子を含むはんだ材料を圧延して形成したはんだ箔である。Sn
などのめっき層を有する金属の粒子を含むはんだ材料を圧延して形成したはんだ箔である

【0010】
第一の電子部品と、第二の電子部品と、第三の電子部品を有する電子装置であって、該
第一の電子部品と該第二の電子部品は、金属の粒子とはんだの粒子を含む材料を圧延して
形成したはんだ箔である第一のはんだを用いて接続され、該第二の電子部品と該第三の電
子部品は該第一のはんだと異なる融点を有する第二のはんだを用いて接続されているもの
である。上記電子装置であって、該第一の電子部品と該第二の電子部品の接続部において
、金属の粒子は該金属とはんだ粒子により形成される化合物により結びついているもので
ある。
【0011】
第一の電子部品と第二の電子部品を有する電子装置であって、該第一の電子部品と該第
二の電子部品ははんだ接続部により接続されており、該はんだ接続部は、金属の粒子と該
金属の粒子の間を埋めているSn部分を有するものである。上記記載の電子装置であって
、前記金属の粒子は該金属とSnにより形成される化合物により結びついているものであ
る。
【0012】
上記はんだ箔または電子装置であって、例えば金属の粒子がCuの粒子であり、はんだ
の粒子がSnの粒子であるものである。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明す
れば、下記のとおりである。
(1)全く新規なはんだ接続による電子機器および電子機器の製造方法を提供することが
できる。
(2)電子機器の製造方法において必要となる温度階層接続におけるはんだ接続、特に高
温側のはんだ接続を提供することができる。
(3)全く新規なはんだおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
Cu等の金属ボールとSn系はんだボールとを約50%づつ配合して圧延すると、Cu
粒子同志が接触し、Snはその隙間に入り込んだ複合はんだが得られる。この箔をチップ
と基板間に挟んで加圧、リフローすると複合はんだ部はCuボール間がCu−Sn化合物
で連結され、該複合はんだ部とチップ及び基板間はCuボールとチップ電極との化合物、
Cuボールと基板端子との化合物形成により、280℃の高温でも接合強度を確保する鉛
フリー化した温度階層構造となる。これにより、鉛フリーはんだにおいて、温度階層を設
けた接続方法を提供することができる。
【0016】
温度階層接続を考えると、既に接続した高温側のはんだは、一部が溶融しても、他の残
りの部分が溶融しなければ、後付けのはんだ接続時のプロセスにおいて耐えられる強度を
十分に確保できる。我々は、金属ボール(Cu、Ag、Au、表面処理したAl、Zn−
Al系はんだ等)とはんだボールとを分散混入したはんだ材料について研究を進めている
。このはんだ材料により接続しておけば、例えば、後付けのはんだ接続時のプロセスであ
るSn−Ag−Cu系はんだによるリフロー炉(max 250℃)を通したとしても、
接続部分におけるSnの部分は溶けるが、Cuボール間、Cuボールとチップ間、Cuボ
ールと基板間は融点の高い金属間化合物(Cu6Sn5)で接続されているため、リフロ
ー炉(max 250℃)の設定温度では接続は保たれ十分な接続強度を確保することが
できる。すなわち、Sn−Ag−Cu系はんだに対する温度階層接続を実現することが出
来る。なお、この金属間化合物形成の効果はCu−Snに限らず、Ni−Sn(Ni3S
n4)、Ag−Sn(Ag3Sn)等の化合物、Au−Snでも同様である。また、はん
だはSnの代わりにInでも同様である。合金層成長速度の違いはあるが、拡散により形
成された合金層の融点は高く、形成されれば280℃で溶けるものではない。
【0017】
このはんだ材料による接続は、完全にはCu同志が拘束されていない状態なので、例え
ばダイボンド接続に用いても上下、左右に対するある程度の自由度があり、Cuとはんだ
の中間段階の機械的特性が期待でき、温度サイクル試験でもSnによる耐熱疲労性とCu
粒子(ボール)によるクラック進展防止による高信頼性が期待できる。
【0018】
しかしながら、Cuボールとはんだボールとを混合した複合ペーストでは、本来、Sn
系はんだはCu上にはぬれ拡がりが少ない性質を持つこと、かつ、Cuをぬらさなければ
ならない部分が多く、Cuボールを完全にぬらせるとは限らないこと、更には、Cuとは
んだボールとが最初は架橋状態で拘束されているので、はんだが溶けてもその部分が空間
となって残るため、ボイドになる確率が高いこと等が我々の研究が進むにつれて明らかと
なってきた。このため、このペースト方式は必然的にボイドが多くなるプロセスとなって
しまい、接続用途によっては不向きな材料となってしまう。電子部品を実装する際にボイ
ドが抜ければ良いが、例えばSiチップのダイボンド、パワーモジュール接合などは面と
面とを接続するような形態であるので構造的にボイドが抜けにくい。ボイドが残存すると
、ボイドを原因とするクラックの発生や、必要な熱拡散の阻害などの問題を引き起こして
しまう。
【0019】
そこで、我々は、このはんだ材料を予め圧延し易い形状の型に入れて真空中、還元性雰
囲気中もしくは不活性雰囲気中で、全体を均一に圧縮し、Sn系はんだボールを金属ボー
ル間に塑性流動させ、隙間をはんだ(塑性変形後のSn系はんだ)で充填した複合成型体
とし、これを圧延することで得られるはんだ箔を用いることとした。
【0020】
例えば、この複合成型体をSiチップなどのダイボンド用のはんだ箔に圧延して作製し
た場合、Cu−Cu等の金属ボール間は圧縮により接触しダイボンド時には金属ボール間
は容易に金属間化合物を形成し、全体が高融点の金属で有機的につながれ、280℃でも
強度を確保することを確認できた。当然のこととして、接続部分において空隙は真空中で
圧縮されて埋まっているので、ボイドの少ない接続が可能である。窒素中での低温ホット
プレスを用いると、Cuボール及びSn系はんだボールの粒径が大きい場合(約40μm
)、Sn系はんだは97%以上の空隙充填率を示すことを確認した。また、箔表面を適度
な膜厚のSnめっきを施すことで、酸化が著しい材料でも酸化を防止することはできる。
【0021】
Cu箔リード同志をこのはんだで接合し、張り合わせたラップ型継手を270℃で50
mm/minの引張速度で、せん断引張試験を行ったところ、約0.3kgf/mm2の
値が得られたことにより、高温での強度は十分確保していることも確認した。
【0022】
本方式ははんだ材料内部の空間を金属ボールで予め埋めてしまう方式であり、その分、
ボイドは少なく、従来のはんだ箔の場合と同レベルまたはそれ以下のボイド率となること
が予想される(大きなボイドはでき難い構造である。)。従って、本方式によるはんだで
は、大面積ゆえにボイドレス化が重要課題であった、例えばSiのダイボンド、パワーモ
ジュール接合等に対して好適な鉛フリー材料(鉛を積極的に含んでいない)となる。すな
わち、温度階層接続などに好適な高信頼の高温鉛フリー材料を提供することが出来る。
【0023】
更に、ペースト方式では酸化しやすいためフラックスレス化が困難であったが、これに
より解決することもできる。すなわち、フラックス残さを嫌う分野においては、ペースト
方式で接続した後、フラックスの洗浄が必要であったが、フラックスレス化により洗浄レ
ス化が可能になる。
【0024】
この他、望ましい融点を持つ硬い、剛性の強いはんだ、例えばAu−20Sn,Au−
(50〜55)Sn(融点:309〜370℃),Au−12Ge(融点:356℃)等
の場合でも、これらを金属ボールとして使用し、さらに軟らかい、弾性のあるゴム粒子を
Sn,In等の軟らかいはんだボールとともに分散混入させることにより、金属ボールに
使用するはんだの固相線温度が約280℃以上をもつことで、高温での接続強度を有し、
変形に対しては粒子間にある軟らかいSnもしくはInもしくはゴムが緩和することがで
き、これらのはんだの弱点を補完する新たな効果が期待できる。
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、発明の実施の形態
を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返し
の説明は省略する。
【0026】
図1は複合ボール(金属ボール、はんだボール)で作る複合体金属の製作工程の概略を
示し、(a)は真空ホットプレスのカーボン治具1中に金属ボールであるCuボール2と
、はんだボールであるSnボール3を入れた状態で、(b)は真空ホットプレス後のはん
だが塑性流動した後の複合ボール塊の断面形状モデルで、SnとCuは「海島構造」に変
形している。(c)はその複合ボール塊を更にロール5で圧延し、はんだ箔を作製してい
るモデルである。
【0027】
図では、10〜40μmのCuボールと10〜40μmのSnボールとを体積比でCu
ボールが50〜60%になるように配合した。Cuボールに対しては更に微細粒を入れて
、最密充填配合(例えば、三輪茂雄;粉体工学通論、P39、1981/2/5、日刊工
業新聞社)することによりCuボール間の接触を多くすることは可能である。最密充填な
らば理論上Cuの体積比率は約74%になり、はんだは26%になる。また、10μm以
下の微細粒にしても可能であり、合金層のネットワークが細かくなり、高密度で、ファイ
ンな接続に向いている。一例として3〜8μmのCu ボールと10〜40μm のSn
ボールの場合、3〜10μmのCu ボールと10〜40μm のSnボールの場合、あ
るいは5〜15μmのCu ボールと10〜40μm のSnボールの場合、箔のはんだ
充填密度は下がるが、接続は良好な結果が得られている。なお、Cu ボールおよびSn
ボール等の径(大きさ)については、必ずしもすべての粒子が開示された大きさに含まれ
るというものではなく、発明の効果に影響のない範囲において、開示された大きさよりも
、大きい又は小さいボールが含まれていても良いことは言うまでもない.これらのボール
は窒素中で混合され、図1(a)に示すカーボン治具でできた圧力容器の中に入れる。真
空引きした後、時間をかけて周囲から均一に圧力をかけていくと、Snのみが塑性変形し
ながらCuボール間の隙間を埋めていく。Snの融点は232℃であるが、室温でも時間
をかけることで流動させることは可能である。室温で隅々まで流動させることが出来ない
場合、若干(100〜150℃)、温度を上げることで、容易に可能となる。この工程で
はCuとSnとは反応しない程、界面での拘束がないので自由度が上がりSnは変形(流
動)し易くなる。そして、この真空ホットプレス等で形成された複合ボール塊は、更にロ
ール5で圧延されはんだ箔を得る。圧延することで、よりCuボール間の隙間がなくなり
、結果としてボイドの少ないはんだ箔を形成することが出来る。なお、前述の複合ボール
塊は、この場合、150μm(±10μm)厚さのはんだ箔作製を目的としているので、
それに近い形状の型に予めしておくことが圧延率を下げられることから望ましい。圧延率
を上げると、Cu同志の接触部が増えるので、接触面積向上による拘束が増す。従って、
温度サイクル等の変形に対応する柔軟性を持たすことを考慮すると、接触部を少なくする
ことが望ましく、最終的な圧延率は20%以下が好ましい。さらに圧延率は15〜20%
がより好ましい。
【0028】
なお、形成したはんだ箔で、Cu等が露出している場合は、更にSnを0.5〜2μm
の厚さにめっきすることで、露出部のCuの酸化を防止することが好ましい。
【0029】
作りやすさ、配合時に均一分散し易いこと、扱い易さ等の点ではCuボール及びはんだ
ボールは球状であることが好ましいが、必ずしも球状である必要はない。Cuボール表面
の凹凸が激しいもの、棒状、針状、繊維状、角状であるもの、樹枝状で合っても良く、ま
た、これらを組合せたものでも良く、接合後にCu同志が絡み合えば良い。ただし、上記
の圧縮によりCu同志で拘束されすぎて自由度がきかなくなると、はんだ付け時にクッシ
ョン性なくなり、接続不良が生じ易くなるのであれば、ボール状よりもCuボールは表面
に凹凸が激しいもの、棒状、針状、繊維状、角状であるもの、樹枝状のもの、またはこれ
らを組合せたものが好ましい。そして、図2に示すように、Cu2、Sn3ボール以外に
、耐熱性の軟らかい弾性体であるメタライズした(無電解Niめっき−Auめっき、もし
くは無電解Niめっき−はんだめっき)プラスチックボール(ゴム)6を分散させ低ヤン
グ率化してクッション性を確保することも出来る。図2(a)は圧延前、(b)は圧延後
を示す。樹脂ボール径は理想的には10μm以下、望ましくは1μmレベルが良い。例え
ば0.5〜5μmが望ましい。配合量としては体積で数%でも効果がある。
【0030】
本明細書において「金属」「はんだ」について「粒子」「ボール」と2つの用語を用い
ているが、両者は、上記説明からわかるようにほぼ同意義で用いている。強いて区別をつ
けるとすれば、「粒子」は「ボール」を包括したやや広い意味で用いている。
【0031】
次に、他の金属ボールの例としてAlを使用する場合を説明する。
【0032】
高融点の金属は一般に硬いが、低コストで柔らかい金属として純Alがある。純Al(
99.99%)は柔らかい(Hv17)が、通常はSnにぬれにくい。従って、Ni−A
uめっき、もしくはNi−Snめっき等を施すことが好ましい。Al表面にスパッター等
で薄くAuを被覆しても良い。柔かい純Alの微細粒を作るのが爆発等の安全性の問題で
困難を伴うが、不活性雰囲気で製造し、即、表面にNi−Auめっきを施すことで、大気
中にAlを接触させないことで安全性を確保できる。なお、Al粒子は多少の酸化膜を形
成しても、めっき処理で除去できるので問題はない。更には、圧延工程でもAlの酸化膜
は破壊され易いのでAlの新生面がでるので、接続にはそれほど影響されない。なお、A
l表面へのメタライズとしてこれらに限定されるものでなく、はんだ箔を作製後、該はん
だがCu、Ni等に対してぬれて、高温で接合強度を確保することが必要である。このた
め、Al粒子とNiめっきCu板間、及びAl粒子とSiチップのNiめっき間でAl粒
子上のメタライズとNiとのSn化合物形成で連結することが必要である。
【0033】
複合ボール塊を得るに当たって、Alは真空中であって特に高温で拡散し易いので、A
g入りのSnはんだを使用する等でAlとの化合物を形成することができる。Ag以外に
Alに反応し易いようにSnの中に微量のZn、Cu、Ni、Sb等を入れてAl接続用
のはんだとすることでも良い。Snの中に微量のAg、Zn、Cu、Ni、Sb等を入れ
る場合は、Al表面へのメタライズは不要であり、コスト上でのメリットは大きい。
【0034】
Al表面を完全にぬらす場合と、まだら状にぬらすこともできる。これはメタライズの
領域と関係し、まだらにメタライズを形成するか全体に形成するかによる。まだら状にす
れば応力がかかった場合、変形時に拘束が小さくなることから変形し易く、かつ、ぬれて
いない部分は摩擦損出としてエネルギーを吸収してくれるので、変形能に優れた材料とな
る。当然、接合強度は確保する。
【0035】
Alをボール状にする代わりに、20〜40μm位のAl線にSn、Ni−Sn、Au
等のめっきを施し、切断して粒状、棒状にしたものを使用することも可能である。なお、
ボール状のAl粒子は窒素中でアトマイズ法などで低コストで多量に製造することが可能
である。
【0036】
次にAuボールについて説明する。
【0037】
複合ボール塊を得るに当たって、AuボールについてはSn系はんだは容易にぬれるの
で短時間の接続ならばメタライズの必要はない。但し、はんだ付け時間が長いと、Snが
顕著に拡散し、脆いAu−Sn化合物の形成に不安が残る。このため、柔らかい構造とす
るにはAu拡散の少ないInめっきなども有力であり、Ni、Ni−Au等をバリアにし
ても良い。バリア層は極力薄くすることで、Auボールが変形し易くなる。Auとの合金
層成長が抑えられるメタライズ構成であれば、他の構成でも良い。圧延までは温度を抑え
ることで拡散を抑えられる。ダイボンドで短時間で接合させる場合、粒界に生ずる合金層
は薄いので、バリアを設けなくてもAuの柔軟性による効果は大いに期待できる。Auボ
ールとInはんだボールの組み合わせも可能である。
【0038】
次にAgボールについて説明する。
【0039】
Agボールについても、Cuボール同様であるが、Ag3Sn化合物の機械的性質は悪
くはないので、通常プロセスでAg粒子間を化合物で連結することも可能である。Cu等
の中に混ぜた使用も可能である。
【0040】
次に金属ボールとして合金材料を使用する場合を説明する。
【0041】
合金系の代表例としてZn−Al系、Au−Sn系等がある。Zn−Al系はんだの融
点は330〜370℃の範囲が主で、Sn−Ag−Cu、Sn−Ag、Sn−Cu系はん
だとの階層接続を行うには適した温度域にあり、これらを金属ボールに使用することが出
来る。Zn−Al系の代表例として、Zn−Al−Mg、Zn−Al−Mg−Ga、Zn
−Al−Ge、Zn−Al−Mg−Ge、更にはこれらにSn、In、Ag、Cu、Au
、Ni等のいずれか一つ以上を含有したものを含む。
【0042】
しかしながら、Zn−Al系は酸化が激しいこと、はんだの剛性が高いこと等のため、
Siを接合した場合Siチップに割れを起こす恐れが指摘されており(清水他:「ダイア
タッチ向けPbフリーはんだ用Zn−Ai−Mg−Ga合金」Mate99,1999−
2)、単に複合ボール塊の金属ボールとして使用するとこれらの課題を解決しなければな
らない。
【0043】
そこで、これらの課題をクリアする必要から、はんだの剛性を下げるために、Ni−は
んだめっきもしくはAuめっきを施した耐熱性のプラスチックボールをSnボールとZn
−Al系ボールとともに均一に分散させて、ヤング率の低減を図った。Snボールは全体
の10〜50%混入すると、Zn−Al系はんだ間に溶融したSnが入り込む。この場合
、一部はZn−Alボール同志が接合されるが、他の部分は主に析出した低温の柔らかい
Sn−Zn相や、溶解しないSnが存在する。変形はこのSn、Sn−Zn相とプラスチ
ックボールのゴムが分担する。
【0044】
実際にこのはんだ箔を用いて接続する場合、例えばダイボンドした場合もその後に一部
Sn層を残すことにより、Snにより変形を吸収することができる。プラスチックボール
とSn層との複合作用により、更に剛性を緩和することが期待できる。なお、この場合も
、Zn−Al系はんだの固相線温度は280℃以上を確保しているので、高温での強度上
の問題はない。
【0045】
プラスチックボールはZn−Al系ボールに比べて径を小さくし、均一に分散させるこ
とが望ましい。変形時に柔らかい弾性を有する1μmレベルのプラスチックボールが変形
すれば、熱衝撃緩和、機械的衝撃緩和の効果は大きい。プラスチックボールとして市販品
の耐熱性のものがある。Zn−Al系はんだのボール間にプラスチックボールがほぼ均一
に入るので、接続時の短時間の溶融ではこの分散は大きくくずれない。この耐熱樹脂は熱
分解温度が約300℃なので、更に耐熱性のある材料が望ましいが、時間の短いダイボン
ドの場合は問題はない。
【0046】
前述のように、真空中でホットプレスで成型する場合、Snめっきしたプラスチックボ
ール上のSnが溶けない温度(Snの融点:232℃)で均等に圧縮させることで、塑性
流動させる。このとき、Zn−Alボールは余り変形しない。均一な圧縮により空間をプ
ラスチックボール、Sn等で均一に充填し、約150μmに圧延し、はんだ箔を作製する
。ダイボンドで使用するときは、ロールに巻いて連続工程で供給することができる。
【0047】
Zn−Alは酸化され易いので、保管時のことも考慮すると、表面にCu置換のSnめ
っきを施すことが望ましい。このSn、Cuは例えばダイボンド時にZn−Al系はんだ
に溶解する。Snが表面に存在することで、例えば、Cu電極上のNi−Auめっき上へ
の接続が容易となる。Siチップ側も例えば、Ti−Ni−Auメタライズに対しても同
様に容易に接合できる。200℃以上の高温下においては、NiとSnとの合金層(Ni
3Sn4)の成長速度はCu−Sn以上に大であることから、化合物形成が不十分のため
に接合ができないようなことはない。
【0048】
場合によっては、Zn−Al系はんだボールとプラスチックボールとで複合ボール塊を
構成しても良い。
【0049】
なお、Zn−Al系はんだに、固相線温度が280℃レベルを確保するレベルまで、S
n、In量を多く加える階層接続は可能である。Sn、In等を多く入れると、一部、Z
n−Snの共晶等の低い相が部分的に生成されるが、接合強度は骨格となっているZn−
Al系の固相が担っているので、高温での強度上の問題はない。
【0050】
ところで、Zn−Al系はんだにCuで置換したSnめっきを施すと、Zn−Al系は
んだの液相線温度以上に温度を上げることで、Snは容易にぬれ拡がり、薄いCuを固溶
しながらZn−Al系はんだに溶解する。Snは多い(5%以上)とZn−Al の中に
は固溶できず、粒界に低温のSn−Zn相を析出してくる。意図的にSn相を多数分散析
出させることで、変形はSn−Zn相で、接合強度はZn−Al系の固相で分担させるこ
とができる。従って、Zn−Al系はんだボールにSnめっきを施し、ボールに固溶でき
ないSn相を意図的に残すことにより、変形をSn層で吸収させ、Zn−Alの剛性を緩
和させることもできる。すなわち、接続した部分のはんだの剛性を緩和させることができ
、接続不良が少なくなる。
【0051】
図3は前述のはんだ箔11を用いてAl2O3基板13上のW−Cuめっきメタライズ
(Niめっきでも良い)14にSiチップ8をダイボンドする一例を示す。はんだ箔11
の代表例として、金属ボールがCuで、はんだがSnの組合せがある。Cuは比較的に軟
らかく、Snとの反応が活発で、金属間化合物(Cu6Sn5)の機械的性質は優れてい
るので、厚く成長しても脆さは出にくい。万一、化合物成長が顕著でその弊害が現れる場
合、Sn中にCu等を微量添加して合金層成長速度を抑えることは可能である。またはC
u上にNi、Ni−Au等の薄いNiめっきを施すことで合金層成長を抑えることは可能
である。ここでは、短時間のはんだ付け時にCuボール間を金属間化合物で確実に連結す
ることが重要であり、反応を活発にすることが望まれるので、成長過剰が問題になること
はない。それよりも、Snとチップ及びSnと基板との接続において、Snのぬれ性、ぬ
れ拡がり性の向上が重要である。このため、Sn中に微量のCu、Bi添加による流動性
の向上、表面張力の低減によるぬれ性改良の効果が期待できる。他方、界面との強度向上
のため、Ni、Ag、Zn等の微量添加の効果も期待できる。なお、Snの融点向上には
Snの代わりにSn−Sb(5〜10%)にすることで、Cu−Sn化合物、Ni−Sn
化合物形成ではんだ中のSb濃度が増して、246℃にはんだの融点を向上させることが
できる。
【0052】
他の代表例として、Cuよりも更に軟らかい純Alボールの場合、温度サイクルに対す
る変形能に優れる。課題はAlボールとチップ、基板のメタライズとの反応である。Al
表面にNiめっきもしくはNi−Auフラッシュめっきを施すことでAlボール間及びA
lボールとNiめっきのチップ間、Niめっきの基板間も同様にSnによる接合強度は確
保される。NiとSn間の金属間化合物は通常はNi3Sn4であり、200℃以上では
Cu−Snの成長速度より速いので反応不足の心配はない。CuとNiが同時に介在する
個所では一部に(NiCu)3Sn4の混合した合金層が形成されることもある。Alボ
ールにはんだが直接反応できるように、Sn中にAg、Ni、Zn、Ti等を微量添加す
ることにより、Alボール間の接続も接続条件しだいで可能である。
【0053】
Auのボールに対しても同様な対応が可能である。Auは柔軟でSnとの化合物を形成
し易いので、コストの面を除くと有力な組成である。但し、Snが多い系での化合物は融
点が低いので、280℃以上の融点を持つためには、Snが55%以下の組成比であるA
uSn、AuSn2の化合物とする必要がある。このため、はんだ付け温度を高くして、
接合部はSnが少ない構成にすることが必要であることから、Siチップ側のメタライズ
に、例えば、Cr−Ni−Snを設けることにより、Au−Sn、AuSnの形成が容易
になる。Auボールにコスト低減等を考慮し、Cu、Al、Agボール等を混ぜることも
可能である。
【0054】
Agボールも同様に有力候補であり、高融点のAg3Sn化合物の形成で280℃でも
溶けない連結接続が可能となる。
【0055】
次に、硬くて、融点の低いZn−Al系ボールへの適用例を示す。Zn−Al系は融点
と脆さの点で、一般にAl:3〜5%の範囲に落ち着き、更に融点を下げるためMg、G
e、Ga等を入れ、更にSn、Inの添加で主に固相線温度を下げる。そして、ぬれ性、
強度確保なため、Cu、Ag、Ni等を入れる場合もある。これらの融点は280〜36
0℃レベルである。例えば、Zn−4Al−2Mg−1Ag−10Snの場合、はんだボ
ールとしてSnボールを混合すると、両者が溶融してもSnはZn−Al系ボールに一部
が固溶する程度で、残りの大部分はSnのままである。また、この場合、はんだに固溶で
きない余分なSn、In等を粒子の状態で良く分散させてはんだ中に孤立分散させること
ができるので、同様な効果が期待できる。Zn−Al系ボールにSnめっきを厚く施すこ
ともSnを孤立分散させる一つの解である。
【0056】
Zn−Al系ボールの場合、はんだ付け時に全体が溶融するので、表面張力の作用など
による表面形状が自然の形状になりやすい等の特徴がある。また、Zn−Al系は表面酸
化が激しいので、予熱過程を含めて酸化させない工夫が必要になる。箔として使用する場
合、表面にCu(0〜0.2μm)−Sn(1μm)めっきを施すことで、酸化防止の効
果がある。なお、Zn−Al系ボール間にSnが存在することで、温度サイクル時の変形
に対し、Snが緩衝材の役目を果たすが、それでも不充分の場合、微細なSnめっきプラ
スチックボールのゴムを分散混合することで更に変形性、耐衝撃性を向上させることがで
き、ヤング率は低下し、耐熱疲労性も向上させることができる。
【0057】
同様に硬く、かつ融点の低い合金系として、Au−Sn系等があるが、同様な対応が可
能である。
【0058】
使用したAl2O3基板13にはW(焼結)−Cuめっき(3μm)38(もしくはW
−Niめっき)を施した電極が形成されている。セラミック基板として他にムライト、ガ
ラスセラミック、ALN等がある。接続時にフラックスを使用する場合、もしくは予熱段
階から不活性雰囲気、あるいは還元雰囲気で使用できるならば、Cu電極のままで良い。
【0059】
使用したSiチップ8のサイズは5mm□であり、はんだ箔11のサイズは4mm□×
t(厚さ)0.15であるが、チップ寸法の制約はなく、大型チップでも可能である。
【0060】
後工程の2次リフローに対して、化合物層が高温での強度を確保し、その後の熱疲労に
対してはSn系はんだ主に寄与し、一部、応力的に厳しい個所では部分的に弾性結合した
個所が最大限の効果を発揮し、(一部耐えれないところは破壊するが、)弾性結合がない
場合に比べ寿命は向上する。従って、化合物層で強く拘束されたイメージはなく、はんだ
中で一部の化合物がネットワーク状に形成すれば良い。大きな歪、応力がかかるチップ周
辺部では接合界面で化合物を形成させることで、強固な接続のため破壊が起こりにくくな
る。他方、同じ周辺部位置のはんだ箔中央はネットワーク結合が少ないと、最外周部にか
かる応力、歪ははんだ箔中央のSnにかかることで、上下の界面部にかかるストレスが緩
和できる。
【0061】
まず、Al2O3基板13は真空吸引により架台に固定され、Siチップ8も真空吸引
9により取付治具となる抵抗加熱体ツール7に保持される。そして、抵抗加熱体ツール7
を下降させるなどしてSiチップ8をはんだ箔11を介してAl2O3基板13と接触さ
せ、加熱(max 380℃)、加圧(初期に2kgf)により5秒間保持する。なお温
度測定用熱電対16はツールのチップが接触する近くに埋め込んであり、温度コントロー
ルができる構成となっている。
【0062】
また、はんだ箔11の温度はその融点に達すると、瞬時にはんだ箔のSnなどが溶け、
金属ボール間接合に圧力が加わり溶け始める。そこで、金属ボール間接合のつぶれ防止の
ため、設定温度に達すると抵抗加熱体ツール7をはんだ箔11を加圧した時の位置を起点
とし、その位置からはんだ箔厚さに対して約10%(max20%)以下にし、チップか
らのはんだのはみ出し量を制御している。はんだ箔の厚さは熱疲労寿命に影響するので、
80〜150μm位にするのが一般的である。この、はんだ厚さと、チップ寸法に対する
はんだ箔の寸法で、つぶれ量を制御することになる。しかし、本方式はCuが半分入って
、しかもネットワーク状に連結されているので熱伝導に優れるので、200〜250μm
でも熱的には従来より優れる。
【0063】
Al2O3基板13の予熱15は約100℃とした。急激な温度上昇、下降は継手に大
きなストレスをかけるので、予熱は熱衝撃を緩和させる意味でも重要である。
【0064】
抵抗加熱体によるダイボンドの場合、接続時のはんだ箔11の酸化を防止するため、局
所的に周囲から窒素10を吹き付ける機構としている。また、Siチップ8を吸着する抵
抗加熱体ツール7の周囲にも窒素10を吹き付け、常に接合部が50〜100ppmレベ
ルの酸素純度に保たれるようにするのが良い。
【0065】
このはんだ箔であれば、水素炉もしくは窒素等の不活性雰囲気炉でmax270℃前後
でSiチップ等のダイボンド、パワーモジュール等の接合も可能である。炉を使用する場
合、max温度はSnの場合260℃から350℃までも可能であるが、化合物の形成状
態を考慮した条件選定が必要である。
【0066】
図4は抵抗加熱体によるダイボンド、及び水素炉もしくは窒素等の不活性雰囲気炉によ
るダイボンドした代表的な接合部の断面モデルを示す。このようにダイボンドされたチッ
プの上面からワイヤボンド等により基板の端子に繋ぎ、キャップでチップを封止したり、
樹脂で封止して、さらには基板の周囲に小型のチップ部品等を接続し(この場合の接続も
端子に合った箔を、予めチップ部品の電極等に仮付けしたものを基板に接続させたり、ま
たは熱圧着したものを同時にリフロー炉で接続することも可能である)、基板の裏面側等
から外部接続端子(通常はSn−3Ag−0.5Cu等のはんだで接合される)をとるこ
とにより、モジュールが出来あがる。
【0067】
Cuボール2同志、Cuボールとチップ側のメタライズ44(例えばCr−Ni−Au
;Auは大変薄いので実質はCu−Sn−Ni間での合金層の形成)、Cuボールと基板
側のメタライズ42(例えばAg−Pd導体にNiめっき;Cu−Sn−Ni間での合金
層の形成)、とはそれぞれ合金層がしっかり形成され、連結状態を確保する。チップ側の
メタライズの組合せは多様であるが、はんだのSnと反応するのはCuかNiが大部分で
ある。表面層に主に酸化防止のためAuが使用される場合があるが、0.1μmレベル以
下でSnに固溶し、合金層形成には関与しない。他方、基板側も同様に下地は各種あるが
、Snとの反応層はチップ同様NiもしくはCuである。特殊な場合としてAg、Ag−
Pt、Ag−Pd、Au−Pd等の厚膜導体等もある。パワーもののダイボンドでは熱伝
導の面で、ボイドがあると特性に大きく影響を及ぼすため、ボイドレス化が最重要視され
る。はんだペーストの場合はフラックスの反応、溶剤の揮発等によりガス量は多いため、
ガスが逃げ易い継手構造、例えば細長い端子、小型のSiチップのダイボンド等に適用さ
れる。従って、中、大型のSiチップのダイボンドでは、不活性雰囲気で、フラックスレ
スではんだ箔を用いた抵抗加熱体によるダイボンド、もしくは水素炉もしくは窒素等の不
活性雰囲気炉によるダイボンドの使用が一般的である。なお、本発明で作られたはんだ箔
中に内蔵するボイドはCu粒径が小さくなると多くなる傾向があるが、構造上粒径以下に
細かく分散するため、これまでの大きなボイドのイメージはなく、特性への影響も少ない
ことが予想される。粒径が3〜8μmのCu粒子、Sn粒子を用いた場合、箔でのはんだ
充填率は約80%であった(ボイド率20%)。この箔をSnめっきCu板に挟んで窒素
雰囲気中でダイボンダーで加圧接合すると、CuボールとCu板間はしっかりとCu6S
n5の金属間化合物が形成され、しかも、余分なSnははんだ内部のミクロの空間部(ボ
イド)に吸収されて、良好な接合部が得られることが分かった。断面観察結果でも、接合
前の箔の充填率に比べ、接合後の充填率は向上していることが確認された。これより、従
来の課題であったボイドの問題は、本方式においてはそれほどの問題にはならないことが
分かった。なお、Cu粒子径を3μmレベルもしくはそれ以下に微細化すると、はんだ付
け温度が300℃以上の高い温度で接続したり、高温での保持時間が長いとSnとの反応
は活発のため、Cu粒子の形は崩れ、Cu−Sn化合物の連結になることもありうるが、
耐高温強度等の特性自体は変わらない。特に反応を抑えたい場合は化学Ni/Auめっき
(高温でも化合物が厚く形成されにくい)等を施したり、Ag粒子等を使用することも可
能である。Cu粒子が30μm レベルの粗大な場合、ボイド率は3%以下であり、しか
も分散したボイドであることから特性には影響しないボイドと言える。
【0068】
ところで、上記実施例に示した工程で作製したはんだ箔はリールに巻いて切断工程を含
めて連続供給できる。従って、温度階層を必要とする部品の封止部、端子接続部の接続に
使用する場合は、パンチング加工、レーザ加工等でその形状に合わせたものを用いること
ができる。そして、その部品の封止部、端子接続部をパルス方式の加圧型ヒートツールで
窒素雰囲気下で加熱、加圧することでフラックスレスで接続することができる。予熱時の
酸化防止、ぬれ性を確保するため、Snめっきされたはんだ箔が望ましい。ピッチが粗く
、端子数が少ない部品の接続などははんだ箔の載置、部品端子の位置決め、パルス電流に
よる抵抗加熱電極による加圧接続などが容易でやり易い。
【0069】
図5(a)はフラックスを用いないで、窒素雰囲気中でパルス加熱による抵抗加熱体で
チップ8と中継基板36の間に、図5(c)に示すような前述したはんだ箔39を載せて
ダイボンドした後、Au線のワイヤボンド35で、チップ上の端子と中継基板36上の端
子とを繋ぎ、NiめっきしたAl等のキャップ23と中継基板36の間に箔を載せ、窒素
雰囲気中で抵抗加熱体でフラックスレスで封止を行ったBGA、CSPタイプのチップキ
ャリアの断面である。はんだ箔は被接合体に仮固着して接合することもできる。なお、中
継基板36は図示しないスルーホールにより上下間の電気的接続、すなわちチップ8と外
部接続端子との電気的接続を確保している。本構造は、通常のモジュール構造の代表例で
あり、図示はしてないが中継基板36上には抵抗、コンデンサー等のチップ部品が搭載さ
れても良い。なお、高出力チップの場合、放熱の効率から熱伝導性に優れるAlN中継基
板を使用することが好ましい。このモジュールの外部接続端子のはんだ組成はSn−3A
g−0.5Cuで、端子ピッチが広い場合はボールで供給され、ピッチが狭い場合はペー
ストで形成される。また、Cu端子もしくはNi−Auめっき端子のままの場合もある。
モジュールはこの後、プリント基板上に搭載され、Sn−3Ag−0.5Cuはんだ(融
点:217〜221℃)ペーストで他の部品と同時に、max240℃でリフロー接続さ
れるが、前述の通り、このリフロー温度でははんだ箔自体の接合は確保されるので、高信
頼にプリント基板上に接続することが出来る。すなわち、モジュール実装における接続と
プリント基板上の接続とは温度階層接続を実現することが出来る。外部接続端子の形態は
さまざまであるが、いずれにせよはんだ箔を用いることで外部接続端子とプリント基板と
の接続に対して温度階層接続を実現することが出来る。なお、本構造は、基板上に半導体
チップをはんだ箔よりダイボンド接続し、半導体チップの端子と基板上の端子とをワイヤ
ボンデングにより接続し、基板の裏面に外部接続端子となるはんだボールを形成した、い
わゆるBGAタイプの半導体装置についても適用出来ることは言うまでもない。この場合
、チップの搭載面には樹脂モールドが施される。なお、接続部の外周部のぬれ性をより良
くするため、パルス加熱による抵抗加熱体で接続後、更に窒素炉もしくは水素炉等でリフ
ローをすることで良好な継手が形成できる。
【0070】
図5(b)は、図5(a)に示した構造において窒素雰囲気中でNiめっきしたAlフ
ィン23を、中継基板43に箔を載せ、抵抗加熱体でフラックスレスで封止を行った例で
ある。
【0071】
図5(b)左はCuボール,Snボールで作ってパンチングで切り抜いたはんだ箔24
で、図5(b)右は窒素雰囲気中でパルス加熱による抵抗加圧体41で、はんだ箔40(
左図のB−B′断面)とNiめっきしたAlフィン23を加熱して中継基板上の端子部(
Ni−Auフラシュ42)に封止するモデルの断面である。図5(b)右の状態で接続し
た後は図5(a)の接合部24の形状になる。このはんだ箔も前述同様、図5(C)にし
めすようなものを用いた。
【0072】
なお、水素等の還元雰囲気炉でのフラックスレスのリフロー接続も可能である。また、
長期間の絶縁性を確保できるロジンベースのフラックスの場合、腐食の問題はないので洗
浄レスのリフロー接続も製品によっては使用が可能である。
【0073】
ところで、リフローの課題は高融点の金属ボールを用いる場合、はんだ箔の両面で拡散
接続をし易くするため、はんだ箔と接続される側とが接触している状態を作ることがポイ
ントであり、加圧して接触させることが好ましいこととなる。従って、仮り付け工程もし
くは加圧工程があるプロセスを採用することが好ましい。例えば、リード、部品の電極部
に予め圧接等で固着して供給しておくことと良い。なお、Zn−Al系の場合は全てが溶
けるタイプなので、その不安はない。
【0074】
図6はパワーモジュール接続に適用した例である。Siチップ8は10mm□レベルの
寸法を対象にする場合が多い。このため、従来は軟らかいPbリッチ系高温系はんだが使
われてきた。Pbフリー化になるとSn−3.5Ag(221℃)、Sn−0.7Cu(
227℃)もしくはSn−5Sb(235℃)がある。Sbは環境に対する負荷の問題が
有ることを考えると、Sn−3.5Ag、 Sn−0.7Cu以外はないのが実情である
。Zn−Al系は硬いので、そのままではSiチップ割れを起こす可能性が大である。
【0075】
この場合のはんだは階層接続用高温はんだと言うよりは、高発熱のため、従来のSn−
5Sb等でも信頼性を確保できないため、Pb−5Sn系を使ってきた経緯がある。高P
bはんだに代わるPbフリーのソフトソルダーはないので、本案がその代替となる。車で
は230℃レベルに達する状態はまれに起こる程度が、要求仕様として示されている。更
には、260℃のリフローに耐えられることも要求されている。この複合はんだは260
℃のリフロー時にSnは溶けるが金属間化合物がネットワークで連結されているため、高
温での強度は確保されている。なお、220℃レベルの高温に曝す機会がある車等におい
て、高温での瞬時部分溶融防止にはSn系はんだとしてSn−(5〜7)%Sbはんだ(
融点:236〜243℃)ボールを使用することで、SnとCuボール間の反応、Snと
基板端子(Cu,Ni)との反応でSb濃度が10%以上になり、下限温度をSn(23
2℃)以上の245℃レベルに上昇させることができる。このため、220℃になっても
部分溶融の心配はなくなる。なお、280℃での本方式のせん断強度は1N/mm2(0
.1kgf/mm2)以上を確保している。
【0076】
他方、Sn−Ag−Cu系はんだはSn−Pb共晶と異なり、強度が高く剛性が強く変
形性に劣ることにより、素子、部品等への悪影響が言われている。このため、柔軟性のあ
るSn−In系、Sn−Cu−In系、Sn−(0〜1)Ag−Cu、Sn−(0〜1)
Ag−Cu−In系等のはんだを用いることで、はんだの融点は200℃レベルに多少下
がっても、はんだ自体が変形に対応してくれるので、耐衝撃性が要求される携帯用機器等
の実装用の階層はんだとしての応用が期待できる。当然ながら、2次のはんだ付け時に必
要な強度はネットワーク状に発達したCuとの化合物連結で高温強度を確保し、特に、最
大応力、歪がかかるチップ、部品等の最外周部では基板の界面部ではCuボールとの化合
物形成で、界面近傍での破壊を阻止し、はんだ内部で破壊するようなネットワーク形成が
望ましい構成である。
【0077】
そこで、ここではCuボールとSnボールのはんだ箔を使用する。10〜30μmの軟
Cuボールと10〜30μmのSnボールを重量比で約1:1に混合して、真空中もしく
は還元雰囲気中でSnをCuボール間に塑性流動させ、更に圧延してはんだ箔を作製する
。または、3〜8μmの軟Cuボールと3〜8μmのSnボールを重量比で約1:1に混
合して、真空中もしくは還元雰囲気中でSnをCuボール間に塑性流動させ、更に圧延し
てはんだ箔を作製してもよい。この箔を必要な寸法に切りだし、NiめっきしたCuリー
ド51とSiチップとの間、Siチップ8とNiめっき46を施したCuデイスク板(も
しくはMoデイスク板)48との間、Cuデイスク板48とWメタライズ上にNiめっき
49を施したアルミナ絶縁基板50との間、及び同上のアルミナ絶縁基板50と電気Ni
めっき46を施したCuベース板49間に、該はんだ箔を搭載し、280℃の水素炉で一
括してリフロー接続した。これにより、Cuボール間、CuボールとCuリード間、Cu
ボールとチップ間、CuボールとNiめっきCu板間、CuボールとNiめっきアルミナ
絶縁基板間、CuボールとNiめっきCuベース間等のCuとNi金属間化合物による接
合がなされる。これで接続したものは、既に、耐高温の金属間化合物(Cuの場合はCu
6Sn5、Niの場合はNi3Sn4)で連結されるので、260℃(260℃〜280
℃でも可)で強度を保持し、後工程のリフローで問題になることはない。この継手を温度
サイクル試験、パワーサイクル試験にかけても、これまでの高Pb入りはんだと同等な寿
命を有することを確認できた。
【0078】
更に、Snめっきされたプラスチックボールのゴムを分散させることで低ヤング率化に
より、より耐熱衝撃性を向上させることができ、より大型Siチップの接合を可能にする
。なお、パルス加熱方式のダイボンダーで窒素を吹き付け、max 350℃、5秒間(
5〜10秒間でも可)で加圧接合する方式でも実装が可能である。また、パルス加熱方式
で仮付けし、界面での接触を確実にした後、水素炉で一括してリフローすることで、外周
部のぬれ確保、接合界面の接続を確実にすることが可能である。なお、チップ周辺部はス
ムーズなフィレットを形成することが望ましいので、はんだ箔の外周部にSnだけの層を
設けることも可能である。
【0079】
Cuボールの代わりに、Zn−Al系(Zn−Al−Mg、Zn−Al−Ge、Zn−
Al−Mg−Ge、Zn−Al−Mg−Ga等)はんだボールにSn、In等のボール、
更にはSnめっきされたプラスチックボールのゴムを分散混入した圧延箔を用いた結果、
同様に耐温度サイクル性、耐衝撃性を緩和し、高信頼性を確保することができる。Zn−
Al系はんだのみでは硬く(約Hv120〜160)、剛性が高いので大型Siチップは
、容易に破壊する恐れがある。そこで、一部、ボール周辺に軟らかい低温のSnの層、I
nの層が存在することにより、また、ゴムがボールの周囲に分散することにより、変形さ
せる効果がでて剛性を低下させ、信頼性を向上させることができる。
【0080】
また、低熱膨張フィラー(SiO2、AlN、インバー等)にNiめっき、Ni−Au
めっきした粒子を混入することで、Si等に熱膨張係数が近づき、作用する応力が小さく
なり長寿命化が期待できる。
【0081】
図7は携帯電話等に使用される信号処理用に使われる高周波用RF(Radio Fr
equency)モジュールをプリント基板に実装した例を示す。
【0082】
この種の形態は熱伝導性に優れた中継基板に素子裏面をダイボンドし、ワイヤボンドで
中継基板の端子部にひきまわされる方式が一般的である。数個のチップと周囲にR,C等
のチップ部品を配し、MCM(マルチ・チップ・モジュール)化している例が多い。従来
のHIC(Hybrid IC)、パワーMOSIC等は代表例である。モジュール基板
材料としてSi薄膜基板、低熱膨張係数で高熱伝導のAlN基板、低熱膨張係数のガラス
セラミック基板、熱膨張係数がGaAsに近いAl2O3基板、高耐熱性で熱伝導を向上
させたインバー等のメタルコア有機基板等がある。
【0083】
図7(a)はSiのモジュール基板29 上にSiチップ8を実装した例である。Si
のモジュール基板29上ではR、C等は薄膜で形成できるのでより高密度実装が可能であ
り、主にSiチップ8のみフリップチップ実装される。プリント基板22への実装はQF
P−LSI型で柔らかいCu系リード20を介して行う。リード20とSi基板29との
接続は本案の切断したはんだ箔17を用いて、加圧、加熱して行う。その後、シリコーン
等の柔らかい樹脂19で最後に保護、補強を行う。Siチップのはんだバンプ18 をS
n−3Ag(融点:221℃)で構成し中継基板29に接続する。プリント基板22へは
Sn−Ag−Cu系Pbフリーはんだ21により接続する。はんだバンプ18は、Sn−
Ag−Cu系Pbフリーはんだ21のリフロー時に再溶融してもプリント基板22への実
装におけるSiチップ8の自重により変化することは殆どなく、かつSi−Siの接続の
ため応力的負担はなく、信頼性上問題はない。プリント基板22への実装が終わった後で
、Siチップ8上には保護のためシリコンゲル12等をコートすることも可能である。
【0084】
また、他の方法としてSiチップ8のはんだバンプ18をAuのボールバンプにして、
中継基板29上に形成する端子にSnめっきを施すと、熱圧着によりAu−Sn接合を得
ることができ、プリント基板22への実装における250℃のリフロー温度では溶けるこ
とはなく、従って、温度階層接続が可能であり、リフローに十分耐えられる接合となる。
【0085】
はんだ箔17による接続は、前述の如く、Cuなどの金属ボール間に形成される金属間
化合物により接合が保たれており、プリント基板22への実装における250℃のリフロ
ー温度においても強度を確保することが出来る。これによって今までの大きな課題であっ
た温度階層をつけた鉛フリー接続を実現することが出来る。
【0086】
なお、Si基板に代えて、AlN基板、ガラスセラミック基板、Al2O3基板等の厚
膜基板を用いた場合、R、C等のチップ部品の搭載は機能素子を作る上で必要である。他
方、厚膜ペーストでレーザートリミングによるR、C形成方法もある。厚膜ペーストによ
るR、Cの場合、上記Si基板と同様な実装方式が可能である。
【0087】
図7(b)はGaAsチップ8を熱伝導性、機械的特性に優れるAl2O3モジュール
基板29を用いたモジュールをAlフィン23のケースで絶縁封止した場合である。 G
aAsとAl2O3とは熱膨張係数が近いのでフリップチップ実装は信頼性上問題はない
。これらのチップ部品の端子接続は端子面積が□0.6mm以上であれば、はんだ厚t;
0.05〜0.10の箔とし端子数の少ない素子、チップ部品に仮付けして、あるいは基
板側の端子に仮付けして、個別に抵抗加熱体で窒素雰囲気の加圧接続で、あるいは還元雰
囲気もしくは不活性雰囲気のリフローでの接続が可能である。また、はんだ厚t;0.1
5〜0.25の箔を用いることも可能である。高出力対応には、ここでは示してないが、
チップ搭載法としては本案の箔を用い(チップ裏面8)、ダイボンドし、端子はワイヤボ
ンドする方法が一般的である。
【0088】
Alフィン接続の場合はフィンの周囲を取り巻く形状の箔を用い、窒素雰囲気で抵抗加
熱体で加圧接続する。図7(c)は左側が端子接続の例で、右側はAlフィン23の例で
あり、共に該はんだ箔27をモジュール基板の端子28とフィン接続部の端子間に挟んで
接合する。この時、はんだ箔は予め基板かフィンのどちらかに仮付けしておくと良い。A
lの場合は端子部はNiめっき等が施されている。
【0089】
図7(d)はインバー等のCの有機基板32に実装する段取りのモデルである。発熱チ
ップは低熱膨張で耐熱性に優れるメタルコアのポリイミド等の有機基板、高密度実装に対
応したビルドアップ基板等を使用すれば、GaAsチップを直接に搭載することが可能で
ある。高発熱チップの場合、ダミーの端子を設け、直接熱がメタルに伝導させることも可
能である。
【0090】
なお、本案の素子への実施例として、RFモジュールを取り上げたが、各種移動体通信
機用のバンドパスフィルタとして使用されているSAW(弾性表面波)素子構造、PA(
高周波電力増幅器)モジュール、他のモジュール、素子等に対しても同様に応用できる。
また、製品分野としては、携帯電話、ノートパソコン等に限らずデジタル化時代を迎え、
新たな家電品等に使用できるモジュール実装品を含む。
【0091】
図8はRFモジュール実装への応用を更に具体化したものである。図8(a)はモジュ
ールの断面図であり、図8(b)は上面に部材23を透かしてみた平面図のモデルである
。実際の構造は、電波を発生する約□2mmチップ8のMOSFET素子がマルチバンド
化に対応するため、数個フェースアップ接続で搭載されており、更に周辺には効率良く電
波を発生させる高周波回路がR,Cチップ部品52等で形成されている。チップ部品も小
型化され、1005等が使用されていて、モジュールの縦横寸法も7×14程度で高密度
実装されている。ここでは、はんだの機能面のみを考慮し、代表して素子を1個、チップ
部品を1個搭載したモデルの例で示す。なお、後述するようにチップ8、チップ部品52
はAl2O3基板13にはんだ接続されている。チップ8の端子はAl2O3基板13の
有する電極にワイヤボンデングにより接続され、さらにスルーホール59、厚膜導体61
を介して基板裏面の外部接続部となる厚膜電極60と電気的に接続される。チップ部品5
2は基板13の有する電極と半田接続され、さらにスルーホール59、配線61を介して
基板裏面の外部接続部となる厚膜電極60と電気的に接続される。図示はしていないが、
チップやチップ部品と接続する基板の有する電極62とスルーホール59とは配線により
電気的に接続されている。モジュール全体を覆う部材(Alフィン)23とAl2O3基
板13とは、かしめなどにより接合される。また、本モジュールは、プリント基板などに
対して外部接続部となる厚膜電極60とのはんだ接続により実装されるものであり、温度
階層接続が必要となるものである。
【0092】
図9は図8に示す構造においてはんだ箔を使用したSi(もしくはGaAs)チップの
ダイボンドを前提とした4つのプロセスを示すフローチャート図である。(1)、(2)
のプロセスは1005等の小型のR、Cチップ部品に対して、作業性から従来のAgペー
ストを選択する方式で、(1)は基板表面が清浄な状態でフラックスレスで窒素雰囲気で
短時間ではんだ箔を用いてダイボンドした後、ワイヤボンドし、その後、Agペーストで
チップ部品を接続する方式である。(2)は先にAgペーストでチップ部品を接続する方
式であり、樹脂硬化のために炉を用いると基板表面が汚れ、後工程のワイヤボンドに影響
を及ぼす恐れがあるので、その場合は洗浄してワイヤボンドすることになる。(3)は、
同じく高温側の温度階層性を確保するため、接合原理ははんだ箔と同様であるが、小型の
チップ部品に対しては作業性に優れる金属ボールとはんだボールとの混合ペーストで供給
する方式であり、印刷でも、デイスペンサーでも可能である。リフロー後洗浄し、高出力
Siチップには極力ボイドレス化が要求されるので、ボイドレス化に適しているはんだ箔
のダイボンドを行い、最後にワイヤボンドを行う。なお、(3)の工程で先にダイボンド
、ワイヤボンドを行えば、フラックスの洗浄工程を省くことも可能である。(4)は先に
ダイボンド、ワイヤボンドする方式で、後工程で二つの考え方がある。一つは、後工程で
、チップ部品を一個づつ窒素雰囲気でフラックスレスで接続する方式である。この方式は
時間がかかる欠点がある。そこで、もう一つは、(4)に示したプロセスで、チップ部品
に対して、フラックスを用いて仮付け程度にし、後でリフローで一括接続する方式である
。具体的には、ダイボンド、ワイヤボンドした後、例えばCuボールとSnボールで構成
され、表面に約1μmのSnめっきを施した複合はんだ箔(予めチップ部品にはNiめっ
きされている場合がほとんどで、その場合はSnめっきは不要である)を、ほぼ電極寸法
に切断し、部品の電極部に加圧加熱(フラックスを用いても良い)により仮固着させ、仮
固着した該部品をAl2O3基板上のW−Ni−Auめっき電極部に熱圧着ではんだが塑
性変形する程度に仮固着させることが好ましい。なお、個々の部品を一個づつ、窒素雰囲
気下でパルスの抵抗加熱体で300〜350℃で5秒間押しつければ、確実に金属間化合
物が形成され、連結されて、260℃以上の高温でも強度を保つことは言うまでもない。
そして、リフロー炉(max270〜320℃)に通せば、圧着している部分はCu、N
iともに合金層の連結で繋がれる。この連結は完全である必要はなく、どこかで繋がれて
いれば、強度は小さくても高温時に問題になることはない。
【0093】
小型チップ部品は、素子ほどは高温にならないが、長期に使用した場合、Agペースト
の劣化が問題になる場合には、本発明の構成要素のはんだを用いることにより、高信頼性
を確保できる。課題は小型のチップ部品に対して、1個づつ確実に熱圧着で固着すると手
間がかかることである。
【0094】
図8(C)は、前述のモジュールをプリント基板22にはんだ接続した例であり、モジ
ュールのほか、電子部品52やBGAタイプの半導体装置が半田接続されている。半導体
装置は、半導体チップ8を中継基板43上に前述のはんだ箔によりフェースアップの状態
で接続し、半導体チップ8の端子と中継基板43の有する端子とをワイヤボンデイング3
5により接続したものであり、その周りはレジン58により樹脂封止されている。また中
継基板43の下側にははんだボールバンプ21が形成されている。はんだボールバンプ2
1には、例えばSn−2.5Ag−0.5Cuのはんだが用いられる。なお、はんだボー
ル30としては、Sn−(1〜2.5)Ag−0.5Cuが望ましく、例えばSn−1.
0Ag−0.5Cuを用いても良い。また、その裏面にも電子部品が半田接続されており
、いわゆる両面実装の例となっている。
【0095】
実装の形態としては、まず、プリント基板上の電極部分に、例えばSn−3Ag−0.
5Cuはんだ(融点:217〜221℃)ペーストを印刷する。そして、まず、電子部品
54の搭載面側から半田接続を行うために、電子部品54を搭載し、max240℃でリ
フロー接続することで実現する。次に、電子部品、モジュール、半導体装置を搭載し、m
ax240℃でリフロー接続することで両面実装を実現する。このように、先に耐熱性の
ある軽い部品をリフローし、後で、耐熱性のない、重い部品を接続するのが一般的である
。後でリフロー接続する場合、最初に接続した側のはんだを再溶融させないことが理想で
ある。
【0096】
前述の通り、この場合もプリント基板への実装時のリフロー温度では、モジュール内の
接続に用いたはんだ箔自体の接合は確保されるので、モジュールや半導体装置を高信頼に
プリント基板上に接続することが出来る。すなわち、半導体装置やモジュー内の接続とプ
リント基板上の接続との温度階層接続を実現することが出来る。なお、プリント基板の両
面を同一のはんだにより接続したが、電子部品54として1005等の重量のない小型部
品においては、電子部品、モジュール、半導体装置のリフロー接続においてはんだが溶融
したとしても、それ自体が軽いため重力よりも表面張力の作用が勝り、落下することはな
い。従って、最悪のケースを考えた場合、基板の端子との金属間化合物はできずに単にS
nで接合されただけでも問題は起きない。なお、モジュール内において実装した小型部品
に対しては、Cu,Snを混合したはんだ箔を仮固着する方式より、Cu,Snを混合し
たはんだペーストを使用する組合せが生産性を考慮すると望ましい。
【0097】
次に、モータドライバーIC等の高出力チップの樹脂パッケージへの適用例を示す。図
10(a)はリードフレーム65と熱拡散板64とを張り合わせてかしめた平面図で、か
しめ個所63は2個所である。図10(b)はパッケージの断面図であり、図10(c)
はその一部の拡大である。3Wレベルの発熱チップ8からの熱ははんだ47を介してヘッ
ダの熱拡散板(Cu系の低膨張複合材)64に伝わる。リード材は例えば42Alloy
系の材料で構成する。
【0098】
図11はパッケージの工程図を示す。まず、リードフレームと熱拡散板(ヒートシンク
)をかしめ接合する。そして、かしめ接合された熱拡散板64上にはんだ(箔)47を介
して半導体チップ8をダイボンド接続する。ダイボンド接続された半導体チップ8は、さ
らに図示するように、リード56と金線35などによりワイヤボンデングされる。その後
、樹脂モールドされ、ダム57切断後、Sn系はんだめっきが施される。そして、リード
切断成形され、熱拡散板の切断が行われ完成する。Siチップ8の裏面の電極は、Cr−
Ni−Au、Cr−Cu−Au、Ti−Pt−Au、Ti−Ni−Au等の一般に使用さ
れるメタライズであれば可能である。Auが多い場合も、Au−Snの融点の高いAuリ
ッチ側の化合物が形成されれば良い。チップのダイボンドは窒素を吹き付けて、パルスの
抵抗加熱体で、初期加圧2kgf、350℃で5秒間で行った。はんだ厚の制御は初期加
圧時の位置(70μm膜厚)から10μm下がったところでセットされ、耐熱疲労性向上
のため、機構上、膜厚を確保するシステムになっている。上記以外に、初期加圧1kgf
、350℃で5〜10秒間で行った。はんだ厚の制御は初期加圧時の位置(150μm膜
厚) から10μm下がったところでセットされても同様であった。高出力チップのため
、ボイド率低減が重要であり、目標の5%以下を達成できた。該はんだはCuボールが均
一に分散された状態で入っているため、構造的に大きなボイドが発生し難くなっている。
厳しい熱疲労に対しても、Sn、Sn系はんだ自体の耐熱疲労性は優れており、かつ変形
性にも優れている。更には、Cu粒子間、Cu粒子と電極間でネットワーク上に金属間化
合物が形成されるので、260℃以上の高温でも強度を確保する。Cu粒子間等が強く結
合し過ぎると(Cu粒子間等で合金層形成面が多い)、拘束され自由度がなくなり、強い
弾性体結合になるので、素子等に対して良くはない。適度の結合が存在する。特に、チッ
プ周辺部において、従来はんだでは応力集中する接合界面近傍で破壊して、はんだ内部で
は破壊が起こり難い状況であった。本方式では接合界面はCuボールとの反応で界面破壊
が起こり難く、はんだ内部で破壊できるネットワーク形成にすることが可能である。ダイ
ボンド、ワイヤボンド後、樹脂モールドされ、ダム57切断され、リードにはSn−Bi
、Sn−Ag、Sn−Cu系のPbフリーはんだめっきが2〜8μm施される。更に、リ
ード切断成形され、不要な部分の熱拡散板を切断して完成する。
【0099】
図12は一般的なプラスチックパッケージに適用した例である。Siチップ裏面が42
Alloyのタブ66上にはんだ箔67(導電ペースト67)でを介して接着されている
。素子はワイヤボンド35を通してリード56に繋がれ、樹脂58でモールドされる。そ
の後、リードにはPbフリー化に対応したSn−Bi系のめっきが施される。従来はプリ
ント基板実装に対して、融点;183℃のSn−37Pb共晶はんだが使用できたので、
max220℃でリフロー接続ができた。Pbフリー化になるとSn−3Ag−0.5C
u(融点;217〜221℃)でリフロー接続を行うことになるので、max240℃と
なり、最高温度が約20℃高くなる。このため、Siチップ8と42Alloyのタブ6
6の接続に、従来の耐熱性の導電ペーストもしくは接着剤を使用すると高温での接着力は
低下し、その後の信頼性に影響することが予想される。そこで、導電ペーストの代わりに
該はんだ箔を使用することで、max270〜350℃での高温での強度を確保するので
、Pbフリーはんだによる階層接続が可能となる。このプラスチックパッケージへの応用
は、Siチップとタブとを接続するプラスチックパッケージ構造すべてに適用できる。構
造上、Gull Wingタイプ、Flatタイプ、J−Leadタイプ、Butt−L
eedタイプ。Leadlessタイプがある。
【0100】
図13は複合はんだ箔にする前段階のモデル構造の一例である。3〜15μmレベルの
SnめっきしたCuなどの金属繊維69(高い温度での成型、圧延する場合はCuとSn
との反応を抑えるためNi/Au等の表面処理を施しても良い)を一列に敷いて、その上
にSnなどのはんだボール及びSnめっきしたCuなどの金属ボールとを適切な配合(約
50%)に混ぜたものを、成型、圧延して150〜250μmレベルに加工した箔を作る
。この中に、更に低ヤング率化のためSnめっきした耐熱性のプラスチックボール、もし
くは金属ボールの一部としてCu/Snめっきされた低熱膨張のシリカ、インバー等を加
えても良い。成型、圧延した段階では、柔かいはんだボールは金属ボール、金属繊維の隙
間に入り『海島構造』の海の形を形成する。金属繊維径は上記3〜15μmにこだわるも
のでなく、箔の中央部で核になり、被接合体との接合界面では金属ボールが主要な役目を
果たす。連続圧延等において金属繊維をその方向に向けることで、作業はやり易くなる。
なお、金属繊維の代わりに細線化、低膨張化が可能なカーボン繊維にCu(もしくはC
u/はんだ)めっきしたもの、他にセラミック、ガラス、インバー等の繊維にNi/Au
、Ni/はんだ、Cu(もしくはCu/はんだ)めっき等も可能である。
【0101】
図13は箔の核となる金属繊維を一列に並べた例であるが、図14はクロスに並べたも
の(角度は自由)で安定した構造になる。クロスの隙間にSnなどのはんだボール及びS
nめっきしたCuなどの金属ボールとを適切な配合(約50%)に混ぜたものを入れ込ん
だものであり、応用は図13と同様に可能である。
【0102】
図15は金網状の繊維71を用いた場合の箔の断面であり、奥行き方向に伸びた金網断
面を×印70で示した。図15(a)は金網とはんだで構成された箔である。金網のメッ
シュを細かくするには限界があり、現状の市販品の最小メッシュは325で、通過する粒
径は44μmと大きく、網を形成する線径も太いので、接合界面での接触部面積が小さい
(化合物形成域)ので、高温での強度確保に課題がある。そこで金網70,71の隙間に
、Snなどのはんだボール及びSnめっきしたCuなどの金属ボール2とを適切な配合(
約50%)に混ぜたものを充填して作製した箔の断面を図15(b)に示す。はんだ72
は隙間に入り込んだ構造になる。高温時の強度確保が必要な場合はCuボールを多目に配
合し、被接合体との界面での化合物形成に重点をおき、継手の熱疲労を重視する場合はは
んだを多目に配合することで、はんだの耐熱疲労性に重点をおく制御が可能である。なお
、充填する金属ボールはボールに限定するものでなく、後述の繊維等は有力である。金属
ボールとはんだとの配合比率も、金属の形状、接触状態等にも関係し、大きく異なる可能
性がある。
【0103】
図16は紙を作るように細長い金属繊維73をランダムに平坦化して、骨組を作り両側
にSnなどのはんだボール68及びSnめっきしたCuなどの金属ボール2とを適切な配
合(約50%)に混ぜたものを充填した状態のモデルである。図16(a)は平面図で、
図16(b)は断面図である。
【0104】
図17は金属ボールの代わりに短冊金属繊維、あるいは低膨張化が可能なカーボン繊維
にCu(もしくはCu/はんだ)めっきしたもの、他にセラミック、ガラス、インバー等
の繊維にNi/Au、Ni/はんだ、Cu(もしくはCu/はんだ)めっき短冊繊維等が
可能である。短冊繊維にすることではんだの配合量を大幅に増やすことができる。また、
隙間に金属ボールを混ぜて化合物形成によるネットワークを強化することも可能である。
金属ボールだけでは拘束され、剛体構造になるが、このように短冊状繊維を分散すること
で変形性と弾力性に富む構造が期待でき、ダイボンド時、あるいは熱疲労に対しても良い
性能が得られるものと考える。短冊の長さは、箔の厚さを200μmとすれば1/10以
下が望ましい。一例として、径;1〜5μm、長さ;5〜15μmレベルの範囲にあるこ
とが望ましい。
【0105】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は
上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であ
ることはいうまでもない。
【0106】
また、上記実施例において開示した観点の代表的なものは次の通りである。
【0107】
金属の粒子とはんだの粒子を含むはんだ材料を圧延して形成したはんだ箔である。Sn
などのめっき層を有する金属の粒子を含むはんだ材料を圧延して形成したはんだ箔である

【0108】
金属の粒子とはんだの粒子を含むはんだ材料を圧延するはんだ箔の製造方法である。S
nなどのめっき層を有する金属の粒子を含むはんだ材料を圧延するはんだ箔の製造方法で
ある。
【0109】
上記はんだ箔であって、例えば金属の粒子がCuの粒子であり、はんだの粒子がSnの
粒子であるものである。
【0110】
CuとSnを有するをはんだに圧力を加えて形成したはんだ箔であって、Cuは粒子の
状態であり、Snは該Cu粒子の間を埋める状態であるものである。
【0111】
前記はんだ箔であって、該はんだ箔をリフローさせるとCu粒子の表面の少なくとも一
部はCu6Sn5により覆われるものである。
【0112】
前記はんだ箔であって、Cu粒子と塑性変形後のSnは該はんだ箔をリフローさせると
Cu6Sn5を含む化合物により結合されるものである。
【0113】
前記はんだ箔であって、Cu粒子の粒径は10〜40μmであるものである。
【0114】
前記はんだ箔であって、Cu粒子の粒径は3〜10μmであるものである。
【0115】
前記はんだ箔であって、前記Cu粒子の表面にNiめっきもしくはNi/Auめっき層
を有するものである。
【0116】
前記はんだ箔であって、該箔の少なくともCuが露出している部分をSnめっきするも
のである。
【0117】
前記はんだ箔であって、該はんだ箔の厚さが80μmから150μmであるものである

【0118】
前記はんだ箔であって、該はんだ箔の厚さが150μmから250μmであるものであ
る。
【0119】
前記はんだ箔であって、プラスチック粒子を有するものである。
【0120】
前記はんだ箔であって、前記Cuよりも熱膨張係数が小さい他の粒子を有するものであ
る。
【0121】
前記はんだ箔であって、前記Cuよりも熱膨張係数が小さい他の粒子はインバー系、シ
リカ、アルミナ、AlN(窒化アルミニウム)、SiCの粒子であるものである。なお、
インバー(合金)とは、Fe(鉄)にNi(ニッケル)を34〜36%合金したもので、
線膨張係数が小さい。
【0122】
前記はんだ箔であって、さらにInの粒子を含むものである。
【0123】
前記はんだ箔であって、Cu粒子とSn粒子を真空中、還元性雰囲気中もしくは不活性
雰囲気中で混合し、その後圧力をかけることにより箔状にしたものである。
【0124】
前記はんだ箔であって、圧延率が15%から20%であるものである。
【0125】
前記はんだ箔であって、金属繊維とはんだ粒子を含む材料を圧延して形成したものであ
る。
【0126】
Cuの金属繊維とSnの粒子を含むはんだ材料を圧延して形成したはんだ箔である。
【0127】
前記はんだ箔であって、該はんだ材料のうち、該Cuの金属繊維は短冊状である
ものである。
【0128】
Al、Au、Agのいずれかの粒子とSnの粒子を含むはんだ材料を圧延して形成した
はんだ箔である。
【0129】
Zn−Al系合金、Au−Sn系合金の粒子とSnの粒子を含むはんだ材料を圧延して
形成したはんだ箔である。
【0130】
また、はんだにぬれる単体金属、合金、化合物もしくはこれらの混合物を含む金属ボー
ルと、Sn、Inのどちらか一つ以上を含むはんだボールとを混合して、隙間を埋めて圧
入充填後、圧延したことを特徴とするはんだ箔である。
【0131】
また、はんだにぬれる単体金属、合金、化合物もしくはこれらの混合物を含む金属ボー
ルと、Sn、Inのどちらか一つ以上を含むはんだボールとを混合して、均等圧がかけら
れる予め圧延し易い型に入れ、隙間のないように均等に圧入させて埋め込んだ後、該複合
体を圧延して作製したはんだ箔である。
【0132】
また、前記記載のはんだ箔であって、該はんだは、Sn、In以外にAg、Bi、Cu
、Zn、Ni、Pd、Au、Sb等のいずれか一つ以上を含むものである。
【0133】
また、前記記載のはんだ箔であって、前記金属ボールがCu、Cu合金、Cu6Sn5
化合物、Ag、Ag−Sn化合物、Au、Au−Sn化合物、Al、Al−Ag化合物、
Al−Au化合物、Zn−Al系はんだ、もしくはこれらの混合物を含むボールであるも
のである。
【0134】
また、前記記載のはんだ箔であって、該圧延箔、もしくははんだ複合材にSnめっき、
もしくはSnにBi、In、Ag、Au、Cu、Ni、Pdのいずれか一つ以上を含有し
ためっきを施したものである。
【0135】
また、前記記載のはんだ箔であって、該単体金属、合金、化合物もしくはこれらの混合
物を含む金属ボールがぬれない場合は、表面をNi、Ni−Au、Cu、Ag、Sn、A
u等のめっき、もしくはこれらの複合めっき、もしくはこれらに更にSn系のめっき等の
はんだにぬれるメタライズを施したものである。
【0136】
また、前記記載のはんだ箔であって、該単体金属、合金、化合物もしくはこれらの混合
物を含む金属ボールの最密充填を考慮した粒度分布であるはんだ箔である。
【0137】
また、前記記載のはんだ箔であって、複合はんだの剛性低減のため、表面にはんだがぬ
れるメタライズを施したプラスチックボールを分散させたものである。
【0138】
また、前記記載のはんだ箔であって、複合はんだの熱膨張係数低減のため、単体金属、
合金、化合物もしくはこれらの混合物を含む金属よりも低熱膨張係数を有する粒子であり
、表面にはんだをぬらすためのメタライズ、もしくはその上にSn、In等のはんだめっ
きを施して、分散させたものである。
【0139】
また、前記記載のはんだ箔であって、低熱膨張係数を有する粒子として、インバー系、
シリカ、アルミナ、AlN、SiC等であるものである。
【0140】
また、前記記載のはんだ箔であって、該プラスチックボール素材として、ポリイミド系
樹脂、耐熱エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、各種ポリマービーズもしくはこれらを変
成したもの、もしくはこれらを混合したものである。
【0141】
また、前記記載のはんだ箔であって、帯、線、ボール、塊状であるものである。
【0142】
また、前記記載のはんだ箔であって、前記金属ボールの代わりに金属繊維もしくは銅め
っきしたカーボン、ガラス、セラミック等の繊維を用いたもの、もしくは該金属繊維の中
に該金属ボールを分散混合したものを用いたものである。
【0143】
また、前記記載のはんだ箔であって、前記金属ボールの代わりに金属繊維もしくは銅め
っきしたカーボン、ガラス、セラミック等の繊維をクロスに重ねたこと、もしくは該クロ
スの繊維と該金属ボールを分散したものを用いたものである。
【0144】
また、前記記載のはんだ箔であって、前記金属ボールの代わりに金属繊維もしくは銅め
っきしたカーボン、ガラス、セラミック等の繊維を網状にしたものを用いたもの、もしく
は該網に該金属ボールを分散したものである。
【0145】
また、前記記載のはんだ箔であって、該繊維の径として1〜20μm、望ましくは3〜
15μmであるものである。
【0146】
また、前記記載のはんだ箔であって、該金属ボールの代わりに金属短繊維もしくは銅め
っきしたカーボン、ガラス、セラミック等の短繊維を用いたこと、もしくは該短繊維に該
金属ボールを分散したものを用いたものである。
【0147】
また、前記記載のはんだ箔であって、該短繊維の径として1〜10μm、望ましくは1
〜5μm、アスペクト比(長さ/径):2〜5であるものである。
【0148】
第一の電子装置と、第二の電子装置と、第三の電子装置を有する電子装置であって、該
第一の電子装置と該第二電子装置は、前記はんだ箔により接続され、該第二の電子装置と
該第三の電子装置は該第一のはんだと異なるはんだにより接続されているものである。
【0149】
半導体チップと、該半導体チップが配置されるタブと、外部との接続端子となるリード
とを備え、該半導体チップの有する電極と該リードとがワイヤボンデングにより接続され
た半導体装置であって、該半導体チップと該タブは前記はんだ箔により接続されているも
のである。
【0150】
第一の電子部品と、第二の電子部品と、第三の電子部品を有する電子装置であって、該
第一の電子部品と該第二の電子部品は、金属の粒子とはんだの粒子を含む材料を圧延して
形成したはんだ箔である第一のはんだを用いて接続され、該第二の電子部品と該第三の電
子部品は該第一のはんだと異なる融点を有する第二のはんだを用いて接続されているもの
である。
【0151】
第一の電子部品と、第二の電子部品と、第三の電子部品を有する電子装置であって、該
第一の電子部品と該第二の電子部品は、金属の粒子とはんだの粒子を有するをはんだ材料
に圧力を加えることにより、該金属は粒子の状態で、該はんだ粒子は該金属の粒子の間を
埋めた状態となる第一のはんだを用いて接続され、該第二の電子部品と該第三の電子部品
は該第一のはんだと異なる融点を有する第二のはんだを用いて接続されているものである

【0152】
前記電子装置であって、前記第一のはんだにおけるはんだの粒子はSnであるものであ
る。
【0153】
第一の電子装置と、第二の電子装置と、第三の電子装置を有する電子装置であって、該
第一の電子装置と該第二の電子装置は、Snめっき層を有する金属の粒子を含むはんだ材
料を圧延して形成したはんだ箔である第一のはんだを用いて接続され、該第二の電子部品
と該第三の電子部品は該第一のはんだと異なる融点を有する第二のはんだを用いて接続さ
れているものである。
【0154】
第一の電子部品と、第二の電子部品と、第三の電子部品を有する電子装置であって、該
第一の電子部品と該第二の電子部品は、Snめっき層を有する金属の粒子に圧力を加える
ことにより、該金属は粒子の状態であり、該Snは該金属の粒子の間を埋めた状態となる
第一のはんだを用いて接続され、該第二の電子部品と該第三の電子部品は該第一のはんだ
と異なる融点を有する第二のはんだを用いて接続されているものである。
【0155】
前記電子装置であって、前記第一のはんだにおける金属の粒子はCuであるものである

【0156】
前記電子装置であって、前記第一のはんだにおける金属の粒子はAl、Au、Agのい
ずれかの粒子であるものである。
【0157】
前記電子装置であって、前記第二のはんだの融点は前記第一のはんだの金属の粒子の融
点よりも低いものである。
【0158】
前記電子装置であって、前記第一のはんだに含まれるSnが融解すると、前記Cu粒子
は該Snと反応し、該Cu粒子はCu6Sn5を含む化合物により結合されるものである

【0159】
前記電子装置であって、前記金属の粒子の径は10〜40μmであるものである。
【0160】
前記電子装置であって、該第一のはんだの厚さが80μmから150μmであるもので
ある。
【0161】
前記電子装置であって、さらに前記第一のはんだはプラスチック粒子を有するものであ
る。
【0162】
前記電子装置であって、さらに前記第一のはんだは前記金属の粒子より熱膨張係数が小
さい他の粒子を有するものである。
【0163】
前記電子装置であって、前記第二のはんだはSn−Ag−Cu系鉛フリーはんだである
ものである。
【0164】
第一の電子部品と第二の電子部品を有する電子装置であって、該第一の電子部品と該第
二の電子部品ははんだ接続部により接続されており、該はんだ接続部は、金属の粒子と該
金属の粒子の間を埋めているSn部分を有するものである。
【0165】
前記電子装置であって、前記金属の粒子は該金属とSnにより形成される化合物により
結びついているものである。
【0166】
半導体チップと、該半導体チップが配置されるタブと、外部との接続端子となるリード
とを備え、該半導体チップの有する電極と該リードとがワイヤボンデングにより接続され
た半導体装置であって、該半導体チップと該タブは金属の粒子とはんだの粒子とを混合し
たはんだ箔を用いて接続されてものである。
【0167】
半導体チップと、該半導体チップが配置されるタブと、外部との接続端子となるリード
とを備え、該半導体チップの有する電極と該リードとがワイヤボンデングにより接続され
た半導体装置であって、該半導体チップと該タブは金属の粒子とはんだの粒子を有するを
はんだ材料に圧力を加えることにより、該金属は粒子の状態で、該はんだ粒子は該金属の
粒子の間を埋めた状態となる第一のはんだを用いて接続されているものである。
【0168】
半導体チップと、該半導体チップが配置されるタブと、外部との接続端子となるリード
とを備え、該半導体チップの有する電極と該リードとがワイヤボンデングにより接続され
た半導体装置であって、該半導体チップと該タブは金属の粒子と該金属の粒子の間を埋め
ているSn部分を有する接続部により接続されているものである。
【0169】
前記半導体装置であって、前記金属の粒子は該金属とSnにより形成される化合物によ
り結びついているものである。
【0170】
基板と該基板に実装されている受動部品および半導体チップを有するモジュールであっ
て、該半導体チップの電極と該基板の電極はワイヤにより接続され、ワイヤボンディング
接続されない該半導体チップの面と該基板は金属の粒子と該金属の粒子の間を埋めている
Sn部分を有する接続部により接続されているものである。
【0171】
前記モジュールであって、前記受動部品と前記基板も金属の粒子と該金属の粒子の間を
埋めているSn部分を有する接続部により接続されているものである。
【0172】
前記モジュールであって、前記基板は前記半導体チップが実装される部分にスルーホー
ルを有し、該スルーホールの内部も金属の粒子と該金属の粒子の間を埋めているはんだに
より充填されているものである。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】複合ボールで作る複合体金属の製作工程の図
【図2】弾性体のプラスチックボールを分散させた状態の圧延前、後の断面モデルの図
【図3】ダイボンドプロセスの一例を示す断面モデルの図
【図4】Cu、Sn配合はんだ箔によるダイボンド接続部の断面モデルの図
【図5】LSI、キャップを基板に接続する断面モデルの図
【図6】パワーモジュールの断面モデルの図
【図7】モジュールをプリント基板に実装した断面モデルの図
【図8】RFモジュール実装の断面のモデル図
【図9】RFモジュール実装のプロセスを示すフローチャート図
【図10】高出力樹脂パッケージの平面、断面モデル図
【図11】高出力樹脂パッケージのプロセスを示すフローチャート図
【図12】プラスチックパッケージの断面モデル図
【図13】金属繊維を用いて配合したモデルの平面図、断面図
【図14】クロス金属繊維を用いたモデルの平面図
【図15】金網繊維を用いたモデルの断面図
【図16】細長い金属繊維をランダムに置いて平坦化した平面図、断面図
【図17】短冊金属、非金属繊維を用いたモデルの断面
【符号の説明】
【0174】
1.カーボン治具
2.Cuボール
3.Snボール
4.Sn
5.ロール
6.プラスチックボール
7.抵抗加熱体ツール
8.Siチップ
9.真空吸引穴
10.窒素
11.はんだ箔
12.シリコーンゲル
13.Al2O3基板
14.W(焼結)−Cuめっき電極
15.予熱用ヒータ
16.窒素
17.Cu,Sn混合箔
18.バンプ
19.軟らかい樹脂
20.リード
21.はんだボールバンプ
22.プリント基板
23.Alフィン
24.フィンとの接合部
25.リードとの接合部
26.リード
27.はんだ箔
28.基板の端子
29.モジュール基板
30.端子
31.Cu
32.有機基板
33.Cuスルーホール導体
34.Ag−Pd導体
35.ワイヤボンド
36.AlN中継基板
37.接続端子
38.Cr−Cu−Au
39.ダイボンド
40.はんだ箔
41.加圧体
42.Ni−Auめっきメタライズ
43.中継基板
44.Cr−Ni−Auメタライズ
45.化学Niめっき
46.電気Niめっき
47.はんだ
48.Cuデイスク
49.Cuベース
50. Al2O3絶縁基板
51.Cuリード
52.チップ部品
53.Cuパッド
54.TQFP−LSI
55.Sn−Ag−Cu系はんだ
56.リード
57.ダム切断部
58.樹脂
59.スルーホール
60.W−Ni−Au厚膜電極
61.W−Ni(もしくはAg−Pd、Ag)厚膜導体
62.Auめっき電極
63.かしめ部分
64.熱拡散板(ヘッダ)
65.リードフレーム
66.タブ
67.導電ペースト
68.はんだ
69.繊維
70.Cu網(横断面)
71.Cu網(長手断面)
72.はんだ(海)
73.細長い繊維
74.短冊繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ部品と、前記チップ部品を実装した第一の基板と、前記第一の基板を実装した第二の基板とを有する電子機器であって、
前記第一の基板と前記第二の基板との間の第一のはんだ接続部は、
Sn-Ag系はんだ又はSn-Ag-Cu系はんだ又はSn-Cu系はんだのいずれか一つである第一のはんだを用いて形成されたものであり、
前記チップ部品と前記第一の基板のCu電極とは、
前記第一のはんだの融点より高い融点を有する複数のCu粒子と、
前記第一のはんだの融点より高い融点を有し、前記複数のCu粒子同士を連結し、前記複数のCu粒子のいずれかと前記Cu電極とを接続するCu6Sn5を含む金属間化合物と、
により接続されてことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
チップ部品と、前記チップ部品を実装した第一の基板と、前記第一の基板を実装した第二の基板とを有する電子機器であって、
前記第一の基板と前記第二の基板との間の第一のはんだ接続部は、
Sn-Ag系はんだ又はSn-Ag-Cu系はんだ又はSn-Cu系はんだのいずれか一つである第一のはんだを用いて形成されたものであり、
前記チップ部品と前記第一の基板の電極とは、
前記第一のはんだの融点より高い融点を有する複数のCu粒子と、
前記複数のCu粒子同士を連結し、前記複数のCu粒子のいずれかと前記電極表面に形成されたNi層とを接続するCu6Sn5を含む金属間化合物と、
により接続されてことを特徴とする電子装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−60101(P2009−60101A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214799(P2008−214799)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【分割の表示】特願2004−63398(P2004−63398)の分割
【原出願日】平成13年12月19日(2001.12.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】