説明

電子部品内蔵基板の製造方法

【課題】本発明は第1の基板と第2の基板間に半導体チップを配設すると共に樹脂封止を行う電子部品内蔵基板の製造方法に関し、樹脂内に気泡が発生することを抑制すると共に電子部品等に発生する反りを有効に抑制することを課題とする。
【解決手段】半導体チップ110を第1の基板100に搭載する工程と、半導体チップ110と第1の基板100との間にアンダーフィル樹脂109を配設する工程と、第2の基板200に貫通孔206を形成する工程と、第2の基板200に電極112を設ける工程と、電極112により内部に半導体チップ110が内蔵されるよう第1及び第2の基板100,200を接合する工程と、貫通孔206からエアー抜きを行いつつ、半導体チップ110及び第1の基板100に発生した反りを是正できる充填圧力で第1及び第2の基板100.200間に封止樹脂115を充填する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品内蔵基板の製造方法に係り、特に第1の基板と第2の基板間に電子部品を配設すると共にこの電子部品を樹脂封止する工程を有する電子部品内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体チップ等の電子部品が内設された半導体装置を用いた電子機器の高性能化が進められており、基板へ半導体チップを実装する場合の高密度化や、また電子部品を搭載した基板の小型化、省スペース化などが求められている。
【0003】
このため、半導体チップ等の電子部品が埋め込まれた基板、いわゆる電子部品内蔵基板が提案されており、電子部品を基板に内蔵するための様々な構造が提案されている。
【0004】
この電子部品内蔵基板の一例として、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された電子部品内蔵基板は、第1の実装基板と第2の実装基板との間にスペーサとして機能するバンプが設けられており、このバンプにより離間された一対の基板の間に電子部品が実装された構成とされている。また、一対の実装基板の間に封止樹脂が配設されることにより、電子部品を保護する構成とされている。
【0005】
また、特許文献1に開示された電子部品内蔵基板の製造方法としては、先ず第1実装基板上にチップ状の電子部品をフリップチップ実装する。続いて、スペーサとして機能するバンプを第1実装基板にはんだ付けする。次に、このバンプを用いて第1実装基板上に第2実装基板を接合し、その上で第1実装基板と第2実装基板との間に樹脂を充填する。上記の各処理を実施することにより、特許文献1に開示された電子部品内蔵基板は製造されていた。
【特許文献1】特開2003−347722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年の半導体チップ等の電子部品を搭載した基板に対する小型化及び省スペース化の要求は更に厳しくなってきており、これに伴い第1実装基板と第2実装基板との離間距離は狭くなる傾向にある。このように、第1実装基板と第2実装基板との離間距離が狭くなると、各基板間における樹脂の流れが円滑に行われなくなり、形成した樹脂内に気泡(ボイド)が発生するおそれがある。
【0007】
特に、電子部品内蔵基板の場合、第1実装基板と第2実装基板との間に電子部品が内蔵されるため、この電子部品は樹脂の流れを妨げる要因となる。このため、電子部品の近傍において樹脂の流れが不良となり、電子部品の近傍(特に上部)に気泡が発生し易いという問題点があった。
【0008】
一方,この気泡の発生を抑制すべく、第2の基板の電子部品と対向する位置に大きく開口部を形成することが考えられる。これにより、電子部品近傍における樹脂の流れ抵抗が小さくなり、気泡の発生が抑制されると考えられる。
【0009】
しかしながら、樹脂の充填処理は単に第1実装基板と第2実装基板との離間部分に樹脂を充填し両基板の接合性を高めるばかりでなく、電子部品及び第1実装基板に発生した反りの是正を行うために実施される。即ち、電子部品を第1実装基板にフリップチップ実装した後、電子部品と第1実装基板との間にアンダーフィル樹脂を充填した場合、電子部品,第1実装基板,及びアンダーフィル樹脂の熱膨張差に起因して電子部品及び第1実装基板が第2実装基板に向けて凸となる反りが発生する。
【0010】
この反りは、第1実装基板と第2実装基板との間に樹脂が充填され、その際の樹脂の充填圧力により電子部品及び第1実装基板が押圧されることにより是正される。しかしながら、上記のように第2の基板の電子部品と対向する位置に大きく開口部を形成すると、樹脂の流れ抵抗が小さくなり気泡の発生は抑制されるものの、樹脂の充填圧力が低下してしまい、電子部品及び第1実装基板に発生する反りを是正することができないという問題点が生じる。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、樹脂内に気泡が発生することを抑制すると共に電子部品等に発生する反りを有効に抑制しうる電子部品内蔵基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題は、本発明の第1の観点からは、
第1の基板に形成された該配線と接続されるよう電子部品を前記第1の基板に搭載する第1の工程と、
前記電子部品と前記第1の基板との間にアンダーフィル樹脂を配設する第2の工程と、
配線が形成された前記第2の基板の前記電子部品と対向する領域内に単数又は複数の孔を形成する第3の工程と、
前記第2の基板に少なくとも金属コアを含む電極を設ける第4の工程と、
前記電極を前記第1の基板の配線に接合することにより、前記電子部品が内蔵されるよう前記第1の基板と前記第2の基板を接合する第5の工程と、
前記第2の基板に形成された孔からエアー抜きを行いつつ、かつ、前記電子部品及び前記第1の基板に発生した反りを是正しうる充填圧力が前記電子部品及び前記第1の基板に印加されるよう、前記第1の基板と前記第2の基板との間に樹脂を充填する第6の工程とを有する電子部品内蔵基板の製造方法により解決することができる。
【0013】
また、上記発明において、前記第6の工程では、
前記第2の基板と金型との間に前記孔を覆うようフィルムを配設しつつ、接合された前記第1及び第2の基板を金型に装着し、前記第1の基板と前記第2の基板との離間部分に樹脂を充填することとしてもよい。
【0014】
また、上記発明において、前記孔を、前記第2の基板の前記電子部品と対向する領域の中央位置に形成してもよい。
【0015】
また、上記発明において、複数の前記孔を、前記第2の基板の前記電子部品と対向する領域の中央位置を含み、前記樹脂の充填方向に沿って直線状に列設してもよい。
【0016】
また、上記発明において、前記電極として少なくとも金属コアを含むものを用いてもよい。
【0017】
また、上記発明において、前記第6の工程では、前記第2の基板に形成された孔からエアー抜きを行いつつ、かつ、前記電子部品及び前記第1の基板に発生した反りを是正しうる充填圧力が前記電子部品及び前記第1の基板に印加されるよう樹脂を充填することとしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第2の基板の電子部品と対向する領域内に単数又は複数の孔を形成しておき、第1の基板と第2の基板との間に樹脂を充填する際、第2の基板に形成された孔からエアー抜きを行いつつ樹脂の充填を行うため、樹脂内に気泡が発生することを防止することができる。
【0019】
また、孔は第2の基板の電子部品と対向する領域内に単数又は複数形成されるため、その孔の径(断面積)は電子部品の面積よりも小さい。このため、第1の基板と第2の基板との間に充填した樹脂に対し、電子部品及び第1の基板に発生した反りを是正しうる充填圧力を印加することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0021】
先ず、説明の便宜上、本発明に係る電子部品内蔵基板の製造方法の説明に先立ち、本実施例の製造方法により製造される電子部品内蔵基板400について説明する。図1は、電子部品内蔵基板400を示す断面図である。尚、以下の説明においては、図1に矢印Z1で示す側を上方とすると共に矢印Z2で示す側を下方とし、また図2以降の各図においても同様とする。
【0022】
電子部品内蔵基板400は、大略すると第1の基板100,第2の基板200,半導体チップ110(請求項に記載の電子部品に相当する),電極112,及び封止樹脂115等により構成されている。
【0023】
第1の基板100は、コア基板101、ビルドアップ層101A,101B、配線パターン103A,103B、内層配線103C、及びソルダーレジスト層104A,104B等により構成されている。
【0024】
コア基板101は、プリプレグ材(ガラス繊維にエポキシ樹脂などを含浸させた材料)よりなり、その両面には例えばCuよりなる内層配線103Cが形成されている。また、コア基板101の両面に形成された内層配線103Cは、コア基板101を貫通して形成されたビアプラグ102により電気的に接続されている。
【0025】
このコア基板101の図中上面にはビルドアップ層101Aが形成され、また下面にはビルドアップ層101Bが形成される。このビルドアップ層101Aの上面には例えばCuからなる配線パターン103Aが形成されると共に、ビルドアップ層101Bの下面には例えばCuからなる配線パターン103Bが形成されている。配線パターン103Aは、層間ビア105Aを介して内層配線103Cに接続され、配線パターン103Bは層間ビア105Bを介して内層配線103Cに接続されている。
【0026】
また、ビルドアップ層101Aの図中上面には、ソルダーレジスト層104Aが形成されている。このソルダーレジスト層104Aは、後述する半導体チップ110及び電極112の接合位置が除去されて接続孔117A(図2(D)参照)が形成されている。配線パターン103Aは、この接続孔117Aから露出した状態となっている。
【0027】
また、ビルドアップ層101Bの図中下面には、ソルダーレジスト層104Bが形成されている。このソルダーレジスト層104Bは、後述するはんだボール111が接続される位置に接続孔117Bが形成されている。配線パターン103Bは、この接続孔117Bから露出した状態となっている。
【0028】
この接続孔117A,117Bから露出した配線パターン103A,103Bの内、後述する電極112或いははんだボール111がはんだ接合される位置には、はんだ付け性を高めるために例えばNi/Au(配線パターン103A上にNi層、Au層の順に積層された層)等よりなる接続層を形成していても良い(接続層の図示は省略している)。また、接続孔117A,117Bから露出した配線パターン103A,103Bの内、半導体チップ110がフリップチップ接合される位置には、例えばはんだ等よりなる接続層107が印刷法,電解メッキ法等により形成されている。
【0029】
半導体チップ110は、フリップチップ接合により第1の基板100に搭載される。この半導体チップ110は、その主面にバンプ108が形成されている。そして、このバンプ108を前記した接続層107に接合することにより、半導体チップ110は第1の基板100にフェイスダウンで接合される。
【0030】
また、半導体チップ110と第1の基板100の上面100aとの間には、接合信頼性を高めるためにアンダーフィル109が配設される。しかしながら、このアンダーフィル樹脂109を配設することにより、後述するように半導体チップ110及び第1の基板100には反りが発生することがある。
【0031】
尚、本実施例では電子部品として半導体チップ110を用いた例を示しているが、電子部品は半導体チップに限定されるものではなく、他の電子部品(例えば、半導体チップ、キャパシタ、レジスタ、インダクタ等)を組み合わせて用いることも可能である。
【0032】
はんだボール111は外部接続端子として機能するものであり、第1の基板100の下面100bに配設されている。具体的には、前記のようにソルダーレジスト層104Bには配線パターン103Bが露出した接続孔117Bが形成されており、はんだボール111はこの接続孔117Bから露出した配線パターン103Bに接合されている。
【0033】
一方、第2の基板200は、コア基板201,配線パターン203A,203B、及びソルダーレジスト層204A,204B等により構成されている。
【0034】
コア基板201は、前記した第1の基板100のコア基板101と同様に、プリプレグ材よりなり、その上面及び下面に例えばCuよりなる配線パターン203A,203Bが形成されている。この配線パターン203A,203Bは、コア基板201を貫通して形成されたビアプラグ202により電気的に接続されている。
【0035】
また、配線パターン203A,203Bが形成されたコア基板201の図中上面にはソルダーレジスト層204Aが形成され、また下面にはソルダーレジスト層204Bが形成されている。下側に位置するソルダーレジスト層204Bは、後述する電極112の接合位置に接続孔116B(図2(A)参照)が形成されている。
【0036】
また配線パターン203Bは、この接続孔116Bから露出した状態となっている。尚、上側のソルダーレジスト層204Aに形成された接続孔116Aは、表面実装部品,電子部品を実装するためや、複数の電子部品内蔵基板400を積層(スタック)するために設けるものであるが、この積層を行わない場合には必ずしも設ける必要はない。
【0037】
更に、第2の基板200の半導体チップ110と対向する領域内には、貫通孔206が形成されている。この貫通孔206は、半導体チップ110の略中央位置と対向する位置に第2の基板200を貫通するよう形成されている。
【0038】
上記構成とされた第1の基板100と第2の基板200は、封止接続層により接合される。この封止接続層は、電極112と封止樹脂115とにより構成される。
【0039】
電極112は、球形状の銅コア113の表面にはんだ被膜114を形成した構成とされている。この電極112は、その下部が第1の基板100の接続孔117Aから露出した配線パターン103Aにはんだ付けされ、その上部が第2の基板200の接続孔116Bから露出した配線パターン203Bに接合される。
【0040】
これにより、第1の基板100の配線パターン103Aと、第2の基板200の配線パターン203Bは、電極112を介して電気的かつ機械的に接合される。また、銅コア113は、第1の基板100と第2の基板200の離間距離を一定距離に保つスペーサとして機能する。
【0041】
封止樹脂115は、第1の基板100と第2の基板200との離間部分、及び後述する第2の基板200に形成された貫通孔206内に形成される。この封止樹脂115は接着剤としても機能するため、よって第1の基板100と第2の基板200は封止樹脂115により強固に接合される。また、この115は、上記した第2の基板200に形成された貫通孔206の内部にも充填された構成とされている。
【0042】
このように、電子部品内蔵基板400は、第1の基板100と第2の基板200を接合するのに、電極112による接合に加えて封止樹脂115により接合を行っているため、電子部品内蔵基板400の薄型化を図っても、第1の基板100と第2の基板200が剥離するようなことはなく、高い信頼性を実現することができる。
【0043】
次に、図1に示した電子部品内蔵基板400の製造方法について説明する。
【0044】
図2乃至図4は、電子部品内蔵基板400の製造方法を製造手順に沿って示す図である。尚、図2乃至図4において、図1に示した構成と対応する構成については同一符号を付して、一部その説明を省略するものとする。
【0045】
電子部品内蔵基板400を製造するには、先ず図2(A)に示す第2の基板200を製造する。この第2の基板200を製造する為には、例えばプリプレグ材よりなるコア基板201に対し、このコア基板201を貫通するビアプラグ202を形成する。
【0046】
また、コア基板201の上面(半導体チップとの対向面と反対側の面)に配線パターン203Aを形成すると共に、前記コア基板201の下面(半導体チップと対向する面)に配線パターン203Bを形成する。また、コア基板201の各面に形成された配線パターン203Aと配線パターン203Bは、ビアプラグ202により電気的に接続される。尚、この配線パターン203A,203B及びビアプラグ202は、例えばCuにより形成することができる。
【0047】
また、コア基板201の上面には、所定位置に接続孔116Aを有したソルダーレジスト層204Aを形成する。このソルダーレジスト層204Aの接続孔116Aから露出した配線パターン203Aには、例えばNi/Au等よりなる接続層を形成しても良い。
【0048】
また同様に、コア基板201の下面に、所定位置に接続孔116Bを有したソルダーレジスト層204Bを形成する。このソルダーレジスト層204Bの接続孔116Bから露出する配線パターン203Bには、例えばNi/Au等よりなる接続層を形成しても良い。
【0049】
図2(A)に示す第2の基板200が製造されると、続いてこの第2の基板200に対して貫通孔206を形成する。この貫通孔206の形成方法としては、例えばドリルによる機械加工或いはレーザ光を用いたレーザ加工を用いることができる。尚、ドリル加工を用いた場合には加工コストの低減を図ることができ、またレーザ加工を用いた場合には加工時間の短縮を図ることができる。
【0050】
また、貫通孔206の直径は、例えば0.2mm〜1.0mmに選定することが望ましい。これは、後述する封止樹脂115の充填工程において、貫通孔206内に封止樹脂115が充填できる孔径としたことによる。
【0051】
更に、本実施例では貫通孔206の形成位置を、第2の基板200が第1の基板100に積層された際、半導体チップ110と対向する領域(図1に矢印Aで示す領域)の中央位置に形成している。
【0052】
通常、半導体チップ110と対向する領域は配線パターン203Bが形成されていない場合が多く、また後述するように気泡308は半導体チップ110の中央に形成される場合が多い。このため、配線パターン203Bの設計上、また後述する気泡308の発生防止の面から、貫通孔206を第2の基板200の半導体チップ110と対向する領域における中央位置に形成することが望ましい。図2(B)は、貫通孔206が形成された第2の基板200を示している。
【0053】
貫通孔206の形成工程が終了すると、続いて第2の基板200に電極112を接合する。この電極112は、前記のように球状の銅コア113の外周にはんだ被膜114が設けられた構成とされている。
【0054】
この電極112を第2の基板200に接合するには、電極112にフラックスを塗布し、その上でこの電極112を接続孔116Bから露出した配線パターン203Bに仮止めする。続いて、この電極112が仮止めされた第2の基板200をリフロー処理することにより、電極112は配線パターン203Bにはんだ付けされる。このはんだ付け工程が終了すると、フラックス洗浄を行いフラックス残渣を除去する。図2(C)は、電極112がはんだ付けされた第2の基板200を示している。
【0055】
一方、電子部品内蔵基板400を製造するには、図2(D)に示す第1の基板100を製造する。この電子部品内蔵基板400を製造するには、例えばプリプレグ材よりなるコア基板101を用意し、このコア基板101を貫通するビアプラグ102を形成すると共に、このコア基板101の上面及び下面に内層配線103Cを形成する。このコア基板101の上面及び下面に形成された内層配線103Cは、ビアプラグ102により電気的に接続される。尚、このビアプラグ102及び内層配線103Cは、例えばCuにより形成することができる。
【0056】
続いて、内層配線103Cが形成されたコア基板101の上面に、ビルドアップ層101Aを形成し、更にコア基板101の下面にビルドアップ層101Bを形成する。このビルドアップ層101A,101Bとしては、例えばエポキシ樹脂,ポリイミド樹脂等からなる絶縁フィルムを用いることができる。
【0057】
次に、このビルドアップ層101Aの上面に、配線パターン103Aを形成する。この配線パターン103Aと内層配線103Cは、ビルドアップ層101Aを貫通して形成された層間ビア105Aにより電気的に接続される。また、ビルドアップ層101Bの下面には、配線パターン103Bを形成する。この配線パターン103Bと内層配線103Cは、ビルドアップ層101Bを貫通して形成された層間ビア105Bにより電気的に接続される。
【0058】
続いて、配線パターン103Aが形成されたビルドアップ層101Aの上面に、ソルダーレジスト層104Aを形成する。このソルダーレジスト層104Aを形成する際、後述する半導体チップ110が接合する位置、及び電極112が接合する位置には接続孔117Aが形成される。また、この接続孔117Aから露出する配線パターン103Aには、例えばNi/Au等よりなる接続層を形成しても良い。
【0059】
また、複数形成される接続孔117Aの内、後の工程で半導体チップ110が接合される接続孔117Aから露出した配線パターン103Aには、例えばはんだ等よりなる接続層107を印刷法,電解メッキ法等により形成する。
【0060】
一方、配線パターン103Bが形成されたビルドアップ層101Bの下面には、ソルダーレジスト層104Bが形成される。このソルダーレジスト層104Bを形成する際、後述するはんだボール111が接合する位置に接続孔117Bを形成する。また、この接続孔117Bから露出する配線パターン103Bには、例えばNi/Au等よりなる接続層を形成してもよい。
【0061】
上記のようにして製造された第1の基板100には、続いて半導体チップ110が搭載される。第1の基板100に半導体チップ110を搭載するには、予め半導体チップ110の主面にバンプ108を設けておき、この半導体チップ110をフェイスダウンとし、主面に形成されたバンプ108を接続層107に接合する。
【0062】
半導体チップ110が第1の基板100にフリップチップ接合されると、続いて半導体チップ110と第1の基板100(上面100a)との間に、アンダーフィル109を充填すると共に、その後に加熱処理を行うことにより、このアンダーフィル樹脂109を熱硬化させる。これにより、半導体チップ110は第1の基板100に高い信頼性を持って接合される。
【0063】
しかしながら、第1の基板100を構成する各材料、半導体チップ110を構成するシリコン、及びアンダーフィル樹脂109は熱膨張率が異なっている。このため、アンダーフィル樹脂109の加熱処理時において、この熱膨張率差に起因して半導体チップ110及び第1の基板100に反りが発生してしまう。図2(E)は、半導体チップ110及び第1の基板100に反りが発生した状態を示している。同図に示すように、この反りは上方に向け凸となるよう発生する。
【0064】
尚、上記した図2(A)〜(C)を用いて説明した第2の基板200に対する製造工程と、図2(D),(E)を用いて説明した第1の基板100に対する製造工程は、いずれを先に実施してもよく、また並行に実施することも可能である。
【0065】
上記のように第1の基板100及び第2の基板200が製造されると、続いて図3(A)〜(C)に示されるように、第2の基板200を第1の基板100に接合する工程を行う。尚、図3(A)〜(C)では、図示の便宜上、電極112を他の構成に比べて拡大して描いている。
【0066】
第2の基板200を第1の基板100に接合するには、先ず電極112にフラックス118を塗布した上で、貫通孔206と半導体チップ110が対向するように、また電極112と接続孔117Aとが対向するよう、第1の基板100の上方で第2の基板200の位置決めを行う。図3(A)は、この位置決めが行われた状態を示している。この状態において、貫通孔206は半導体チップ110の略中央位置(半導体チップ110を平面視したときの中央位置)と対向した状態となる。
【0067】
続いて、第2の基板200を第1の基板100に当接させる。これにより、電極112は配線パターン103Aにフラックス118を用いて仮止めされた状態となる。このように、第2の基板200が第1の基板100に仮止めされると、この第1及び第2の基板100,200は、仮止めされた状態を維持しつつリフロー炉に装着されて加熱工程を実施する。
【0068】
これにより、電極112のはんだ被膜114は溶けて配線パターン103Aにはんだ付けされ、第1の基板100と第2の基板200は電極112により接合されて積層された状態となる。図3(B)は、第1の基板100と第2の基板200が、電極112により接合された状態を示している。この際、前記のように半導体チップ110及び第1の基板100は反った状態であるため、半導体チップ110の上面と第2の基板200の下面は当接するか、或いは若干の間隙を有した状態となっている。
【0069】
続いて、電極112のはんだ付け位置に残留しているフラックス残渣を除去する洗浄工程を行う。図3(C)は、洗浄工程が行われ、フラックス残渣が除去された状態を示している。
【0070】
続いて、洗浄工程が終了した第1及び第2の基板100,200は、金型300(図6参照)内に装着され、封止樹脂115を成型するトランスファーモールド工程が実施される。尚、この第1の基板100と第2の基板200との間に封止樹脂115を充填する工程は、説明の便宜上、後に詳述するものとする。
【0071】
封止樹脂115のトランスファーモールドが終了すると、封止樹脂115が形成された第1及び第2の基板100,200は金型300から取り出される。図4(A)は、封止樹脂115が形成された第1及び第2の基板100,200を示している。
【0072】
上記のように封止樹脂115を形成した後、個片化すると共に不要部分を除去することで、図4(B)に示す電子部品内蔵基板400が製造される。この個片化処理の際、図4(A)に示すように本実施例では、第2の基板200を個片の基板とし、第1の基板100がいわゆる多数個取りを行う基板としている。
【0073】
よって、図4(A)には図示の便宜上、第1の基板100の上部に1個の第2の基板200のみが接合された状態を図示しているが、実際は第1の基板100の上部には複数個の第2の基板200が接合され、これを個々の電子部品内蔵基板400毎に切断する処理が行われる。
【0074】
しかしながら、各基板100,200の個片化に関する構成は本実施例に限定されるものではなく、上側に位置する第1の基板100を多数個取り用の基板とし、下側に位置する第2の基板200を個片化基板としてもよく、また上下に位置する各基板100,200を共に多数個取り用の基板としてもよい。
【0075】
上記の個片化処理が終了すると、必要に応じてソルダーレジスト層104Bに形成された接続孔117Bから露出した配線パターン103Bにはんだボール111をはんだ付けすることにより、図1に示す電子部品内蔵基板400が製造される。
【0076】
ここで、図5〜図10を用い、第1の基板100と第2の基板200との間に封止樹脂115を充填する工程について詳述する。尚、図5〜図10において、図1〜図4に示した構成と対応する構成については同一符号を付して、その説明は省略する。また、図5〜図10においては、理解を容易にするため、第1の基板100,第2の基板200,半導体チップ110,電極112等の図示は簡略化して示している。
【0077】
図5は第1の基板100の上部に第2の基板200が積層された状態を示している。図5(A),(B)は、第1の基板100及び半導体チップ110に反りが発生してない状態を示している。第1の基板100の上部に第2の基板200を接合するには、図5(A),(B)に示すように、第1の基板100及び半導体チップ110は反りのない平らな形状であることが望ましい。
【0078】
一方、半導体チップ110を第1の基板100にフリップチップ接合する場合、半導体チップ110と第1の基板100との接合信頼性を高めるためにアンダーフィル樹脂109を配設する必要がある。しかしながら、アンダーフィル樹脂109を配設した場合、第1の基板100,半導体チップ110,及びアンダーフィル樹脂109の熱膨張差により、図5(C)に示すように、半導体チップ110及び第1の基板100に反りが発生することは前述した通りである。
【0079】
図6は、図5(C)に示した第1の基板100及び第2の基板200を金型300に装着した状態を示している。金型300は、上型301と下型302とにより構成されており、この上型301と下型302との間に形成されるキャビティ306内に積層された第1の基板100及び第2の基板200は装着される。
【0080】
また、上型301の内側面には樹脂成型後の離型性を良好とするため、離型フィルム305が配設されている。第2の基板200の上面は、金型300に装着された状態で、離型フィルム305と当接するよう構成されている。従って、第2の基板200に形成された貫通孔206は、離型フィルム305で塞がれた状態となる。
【0081】
また、本実施例で用いる金型300は、図中左側に配設されたゲート303から封止樹脂115が充填される構成とされており、また金型300のゲート303と反対側の位置にはベント孔304が設けられている。このベント孔304は、吸引装置に接続されており、よってキャビティ306内の空気はベント孔304から吸引されつつ封止樹脂115の成型処理が行われる構成とされている。
【0082】
このように、本実施例では成型時に金型300に封止樹脂115を注入する際、吸引することによりキャビティ306内を負圧にして樹脂注入を行っている。このため、第1の基板100と第2の基板200との離間距離が狭い場合でも、確実に各基板100,200間に封止樹脂115充填することができる。
【0083】
図7は、封止樹脂115の充填が開始されて間もない充填処理の初期の状態(以下、充填初期状態という)を示している。尚、以下の説明に用いる図7(A),図8(A),図9(A)は金型300の断面図であり、図7(B),図8(B),図9(B)は封止樹脂115の流れを示すための透視図(金型300の図示は省略)である。
【0084】
図7に示す充填初期状態では、封止樹脂115は略直線状にゲート303からベント孔304に向かう方向(矢印X1方向)に進行している。しかしながら、流体抵抗の小さい図7(B)における上下両側(図7(B)に矢印Bで示す部分)は、中央に比べて早く進行している。
【0085】
図8は、充填初期状態より更に封止樹脂115を充填した状態を示している(以下、充填中期状態という)。この充填中期状態では、中央部における封止樹脂115の移動距離と、図7(B)における上下部における封止樹脂115の移動距離に大きな差が生じている。これは、各基板100,200間の中央位置には半導体チップ110が配設されており、この半導体チップ110が封止樹脂115の流れに対する抵抗となることに起因している。
【0086】
更に、前記したように、半導体チップ110及び第1の基板100には反りが発生しており、この反りの発生位置により半導体チップ110は略第2の基板200と当接するか、若干の間隙を形成した状態となっている。よって、これも各基板100,200の中央位置における封止樹脂115の進行速度が遅い原因となっている。また、封止樹脂115が金型300内に進入するに従い、キャビティ306内の空気はベント孔304から外部に放出される。
【0087】
図9は、充填中期状態より更に封止樹脂115を充填した状態を示している(以下、充填終期状態という)。この充填終期状態では、図8(B)に示す充填中期状態において矢印Cで示す部分が回り込んで一体化し、よってその内部に気泡308が形成された状態となる。気泡308は、封止樹脂115の回り込みにより発生するため、よって封止樹脂115の流れの抵抗体となる半導体チップ110の上部に発生し易い。図9(B)においても、このような理由から気泡308は半導体チップ110の中央位置近傍に形成されている。
【0088】
従来では、封止樹脂115の進行に伴いこの気泡308が形成されると、気泡308を除去する方法がなかった。この気泡308が第1の基板100と第2の基板200との間に存在する状態の電子部品内蔵基板400に対して加熱処理が行われた場合には、気泡308は膨張して第1の基板100と第2の基板200とが剥離する等の不都合が発生する。
【0089】
しかしながら、本実施例では第2の基板200の半導体チップ110と対向する領域の中央位置に貫通孔206が形成されている。気泡308である空気は、封止樹脂115の進行に伴いこの貫通孔206を通り金型300の外部に放出される。
【0090】
即ち、封止樹脂115の進行に伴い、気泡308は封止樹脂115に押されて貫通孔206内に進入する。更に封止樹脂115は、貫通孔206の内部に進入し、気泡308を更に押圧する。
【0091】
図10に拡大して示すように、貫通孔206と上型301との間には、離型フィルム305が介在している。よって、封止樹脂115に押圧された気泡308は、第2の基板200と離型フィルム305との間の微細な間隙内に進行する。これに対し、封止樹脂115はフィラー等を含んでおり、第2の基板200と離型フィルム305との間の微細な間隙内には進行できない。よって、封止樹脂115の流れは貫通孔206を埋めた時点で止まり、またこの状態で気泡308は封止樹脂115内からも除去された状態となる。
【0092】
一方、金型300のキャビティ306内を進行する封止樹脂115は、キャビティ306内に充填される際にその充填圧力により半導体チップ110及び第1の基板100を押圧する。ここで、充填圧力とは、ゲート303からキャビティ306内に封止樹脂115が充填されることにより、キャビティ306内で発生する内圧である。
【0093】
よって、この充填圧力が高いほど半導体チップ110及び第1の基板100は強く押圧されて、反りが有効に是正されることとなる。本実施例では、貫通孔206の直径は0.2mm〜1.0mmに選定されており、この程度の直径の貫通孔206では充填圧力に発生する圧力変化は微小である。
【0094】
従って、第2の基板200に貫通孔206を形成しても、半導体チップ110及び第1の基板100を封止樹脂115により確実に押圧することができる。よって、図4(A),(B)に示したように、封止樹脂115の充填処理が終了した時点で、半導体チップ110及び第1の基板100は扁平な状態に戻っており、その後におけるはんだボール111を形成する処理、及び製造された電子部品内蔵基板400を実装する処理に不都合が生じるようなことはない。
【0095】
上記のように本実施例に係る電子部品内蔵基板400の製造方法によれば、封止樹脂115内に気泡308が発生することを防止することができると共に、半導体チップ110及び第1の基板100の反りを確実に是正することが可能となる。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0097】
例えば、上記した実施例では貫通孔206を第2の基板200の半導体チップ110の略中央位置と対向する位置に1個のみ設けた構成としたが、貫通孔206はこの構成に限定されるものでなはなく他の構成とすることも可能である。例えば、図11(A)に示すように、複数(図に示す例では3個)の貫通孔206を第2の基板200の半導体チップ110と対向する領域内で、その中央位置を含み、封止樹脂115の充填方向(X1方向)に沿って直線状に列設してもよい。また、図11(B)に示すように、複数(図に示す例では7個)の貫通孔206を第2の基板200の半導体チップ110と対向する領域内で、その中央位置を含み、H形状となるよう列設した構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、本発明の参考例である電子部品内蔵基板の断面図である。
【図2】図2は、参考例である電子部品内蔵基板の断面図の製造方法を説明するための図である(その1)。
【図3】図3は、参考例である電子部品内蔵基板の断面図の製造方法を説明するための図である(その2)。
【図4】図4は、参考例である電子部品内蔵基板の断面図の製造方法を説明するための図である(その3)。
【図5】図5は、半導体チップ及び第1の基板に反りが発生する理由を説明するための図である。
【図6】図6は、封止樹脂を充填する工程を詳細に説明するための図である(その1)。
【図7】図7は、封止樹脂を充填する工程を詳細に説明するための図である(その2)。
【図8】図8は、封止樹脂を充填する工程を詳細に説明するための図である(その3)。
【図9】図9は、封止樹脂を充填する工程を詳細に説明するための図である(その4)。
【図10】図10は、貫通孔と離型フィルムが接する位置を拡大して示す図である。
【図11】図11は、第2の基板に形成する貫通孔の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0099】
100 第1の基板
101 コア基板
103A,103B,203A,203B 配線パターン
104A,104B,204A,204B ソルダーレジスト層
109 アンダーフィル
110 半導体チップ
111 はんだボール
112 電極
113 銅コア
114 はんだ被膜
115 封止樹脂
200 第2の基板
201 コア基板
206 貫通孔
300 金型
305 離型フィルム
308 気泡
400 電子部品内蔵基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板に形成された配線と接続されるよう電子部品を前記第1の基板に搭載する第1の工程と、
前記電子部品と前記第1の基板との間にアンダーフィル樹脂を配設する第2の工程と、
配線が形成された第2の基板の前記電子部品と対向する領域内に単数又は複数の孔を形成する第3の工程と、
前記第2の基板に少なくとも金属コアを含む電極を設ける第4の工程と、
前記電極を前記第1の基板の配線に接合することにより、前記電子部品が内蔵されるよう前記第1の基板と前記第2の基板を接合する第5の工程と、
前記第2の基板に形成された孔からエアー抜きを行いつつ、かつ、前記電子部品及び前記第1の基板に発生した反りを是正しうる充填圧力が前記電子部品及び前記第1の基板に印加されるよう、前記第1の基板と前記第2の基板との間に樹脂を充填する第6の工程と
を有する電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項2】
前記第6の工程では、
前記第2の基板と金型との間に前記孔を覆うようフィルムを配設しつつ、接合された前記第1及び第2の基板を金型に装着し、前記第1の基板と前記第2の基板との離間部分に樹脂を充填する請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項3】
前記孔を、前記第2の基板の前記電子部品と対向する領域の中央位置に形成した請求項1又は2記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項4】
複数の前記孔を、前記第2の基板の前記電子部品と対向する領域の中央位置を含み、前記樹脂の充填方向に沿って直線状に列設した請求項1又は2記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項5】
前記電極は、少なくとも金属コアを含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項6】
前記第6の工程では、
前記第2の基板に形成された孔からエアー抜きを行いつつ、かつ、前記電子部品及び前記第1の基板に発生した反りを是正しうる充填圧力が前記電子部品及び前記第1の基板に印加されるよう樹脂を充填する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−311520(P2008−311520A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159223(P2007−159223)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】