説明

電子部品加工用粘着シート

【課題】エネルギー線照射前の粘着剤層の弾性率及び粘着力の両方を高め、チップ飛散及びチッピングを防止し、エネルギー線照射後の粘着剤層からチップを良好にピックアップすることが出来る、表面保護用シートやダイシングシートとして用いるのに好適な電子部品加工用粘着シートを提供する。
【解決手段】基材と、その上に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層とからなる電子部品加工用粘着シートであって、該エネルギー線硬化型粘着剤層が、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体と、該官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物とを付加反応させることによって得られるエネルギー線硬化型共重合体を、架橋剤により架橋させてなる粘着剤組成物からなり、該エネルギー線硬化型粘着剤層のエネルギー線照射前におけるゲル分率が70重量%以上であることを特徴とする電子部品加工用粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品加工用粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のICカードの普及にともない、その構成部材である半導体チップの薄型化が進められている。このため、従来350μm程度の厚みであったウエハを、50〜100μmあるいはそれ以下まで薄くすることが求められるようになった。
【0003】
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハ表面に回路パターンを形成後、ウエハ裏面を研削することは従来より行われている。この際、回路面に表面保護用シートと呼ばれる粘着シートを貼付して、回路面の保護およびウエハの固定を行い、裏面研削を行っている。研削時には、発生する研削屑および熱を除去するため、ウエハの研削面に水を噴霧することが一般的である。
【0004】
このような半導体ウエハの裏面研削工程で用いられる粘着シートとしては、回路面への研削水の浸入を防止するため、比較的強い粘着力を有するものが望まれている。
【0005】
また、半導体ウエハは素子小片(半導体チップ)に切断分離(ダイシング)された後、次の工程であるマウント工程に移されている。この際、半導体ウエハは予じめ粘着シートに貼着された状態でダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディング、ピックアップ、マウンティングの各工程が加えられている。
【0006】
半導体ウエハのダイシング工程からピックアップ工程に至る工程で用いられる粘着シートとしては、チッピングやチップ飛散を防止するため、ダイシング工程から乾燥工程までは半導体チップに対して充分な粘着力を有しており、ピックアップ時には半導体チップに粘着剤が付着しない程度の粘着力を有するものが望まれている。
【0007】
このような粘着シートとして、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体と、該官能基に反応する置換基及び1つの不飽和基を有する化合物とを反応させた粘着剤組成物を、基材面に塗布した粘着シートが提案されている(特許文献1、2)。
【0008】
また、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(a)と、(a)以外のエチレン性不飽和単量体(b)とを重合してなる共重合体中の水酸基に、1つのイソシアネート基および2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(c)中のイソシアネート基を反応してなる感光性樹脂を、粘着剤として用いることが提案されている(特許文献3)。
【0009】
上記のような粘着剤組成物あるいは粘着剤は、エネルギー線照射前において、比較的高い弾性率を有するが、粘着力が低い。そのため、表面保護用シートとして用いると、回路面への研削水の浸入を十分に防止することができない。また、ダイシングシートとして用いた場合には、チップ飛散を十分に防止することができなかった。エネルギー線照射前において、粘着力を高くするため粘着剤組成物あるいは粘着剤の弾性率を低くすると、チッピングの問題が生じた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3620810号
【特許文献2】特開2001−200215号公報
【特許文献3】特開2007−204657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものである。すなわち、本発明は、表面保護用シートやダイシングシートとして用いるのに好適な電子部品加工用粘着シートにおいて、エネルギー線照射前の粘着剤層の弾性率及び粘着力の両方を高め、チップ飛散及びチッピングを防止し、エネルギー線照射後の粘着剤層からチップを良好にピックアップすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)基材と、その上に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層とからなる電子部品加工用粘着シートであって、
該エネルギー線硬化型粘着剤層が、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体と、該官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物とを付加反応させることによって得られるエネルギー線硬化型共重合体を、架橋剤により架橋させてなる粘着剤組成物からなり、
該エネルギー線硬化型粘着剤層のエネルギー線照射前におけるゲル分率が70重量%以上である電子部品加工用粘着シート。
【0013】
(2)前記エネルギー線硬化型共重合体は、その側鎖末端において、ウレタン結合を介して2つ以上の不飽和基を有する基が結合されてなる(1)に記載の電子部品加工用粘着シート。
【0014】
(3)前記官能基含有モノマーが、重合性の二重結合とヒドロキシル基とを分子内に有するモノマーであり、
前記官能基に反応する置換基が、イソシアナート基である(1)または(2)に記載の電子部品加工用粘着シート。
【0015】
(4)前記エネルギー線硬化型共重合体が、前記アクリル系共重合体の官能基含有モノマー単位100当量に対し、前記化合物を50〜95当量反応させることにより得られる(1)〜(3)のいずれかに記載の電子部品加工用粘着シート。
【0016】
(5)前記官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物が、下記の一般式(I)で表される化合物である(1)〜(4)のいずれかに記載の電子部品加工用粘着シート。
【化1】

(ただし、R、Rは、それぞれ水素原子またはメチル基を表す。また、Rは、水素原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0017】
(6)前記エネルギー線硬化型共重合体の重量平均分子量が、20万以上である(1)〜(5)のいずれかに記載の電子部品加工用粘着シート。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電子部品加工用粘着シートによれば、エネルギー線照射前の粘着剤層の弾性率及び粘着力の両方を高め、チップ飛散及びチッピングを防止し、エネルギー線照射後の粘着剤層からチップを良好にピックアップすることができる。
【0019】
また、本発明に係る電子部品加工用粘着シートによれば、エネルギー線照射後の粘着剤層の弾性率が高いため、エキスパンディングの際に、半導体チップの外側に位置するダイシングされていない粘着剤層は引き延ばされず、エキスパンド力は粘着剤層が切断された部分に伝搬する。つまり、エキスパンディングの際の粘着シートへの応力を、ダイシングラインへ良好に伝達することができ、少ないエキスパンド量でチップ間隔をより拡張することができる。そのため、少ないエキスパンド量において、粘着シートが裂けることなく十分なチップ間隔を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る電子部品加工用粘着シートについて、具体的に説明する。本発明に係る電子部品加工用粘着シートは、基材と、その上に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層とからなる。
【0021】
本発明の電子部品加工用粘着シートのエネルギー線硬化型粘着剤層を構成する粘着剤としては、(A)エネルギー線硬化型共重合体と、(B)架橋剤と、必要に応じ、(C)光重合開始剤を含む粘着剤組成物が用いられる。
【0022】
以下、成分(A)〜(C)について説明する。
(A)エネルギー線硬化型共重合体
エネルギー線硬化型共重合体(A)は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、該官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物(a2)とを反応させることによって得られる。
【0023】
官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであることが好ましく、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物を用いることが好ましい。
【0024】
このような官能基含有モノマーのさらに具体的な例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシル基含有アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物があげられる。
【0025】
上記の官能基含有モノマーは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体から導かれる構成単位とからなる。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。これらの中でも、特に好ましくはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル等である。
【0026】
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を通常3〜80重量%、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%の割合で含有し、(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体から導かれる構成単位を通常20〜97重量%、好ましくは60〜95重量%、特に好ましくは70〜90重量%の割合で含有してなる。
【0027】
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体とを常法にて共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にも蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されていてもよい。
【0028】
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)を、該官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物(a2)と反応させることによりエネルギー線硬化型共重合体(A)が得られる。
【0029】
化合物(a2)には、アクリル系共重合体(a1)中の官能基と反応しうる置換基が含まれている。この置換基は、前記官能基の種類により様々である。たとえば、官能基がヒドロキシル基またはカルボキシル基の場合、置換基としてはイソシアナート基、エポキシ基等が好ましく、官能基がアミノ基の場合、置換基としてはイソシアナート基等が好ましく、官能基がエポキシ基の場合、置換基としてはカルボキシル基が好ましい。このような置換基は、化合物(a2)1分子毎に一つずつ含まれている。
【0030】
また、化合物(a2)には、不飽和基としてエネルギー線重合性炭素−炭素二重結合が、1分子毎に2個以上含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)としては、たとえば1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート、1,1−ビス(メタクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート、トリス(アクリロイルオキシメチル)メチルイソシアナート、トリス(メタクリロイルオキシメチル)メチルイソシアナートが挙げられる。不飽和基としては、アクリロイル、メタクリロイル基が好ましく、たとえば下記の一般式(I)で表される化合物が好ましい。
【化2】

(ただし、R、Rは、それぞれ水素原子またはメチル基を表す。また、Rは、水素原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0031】
化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマー単位100当量当たり、通常100〜20当量、好ましくは95〜50当量、特に好ましくは90〜70当量の割合で用いられる。なお、弊害がない限り、官能基に反応する置換基及び1つの不飽和基を有する化合物を、化合物(a2)と併せて用いてもよい。
【0032】
官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と該官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物(a2)との反応は、通常は、室温程度の温度で、常圧にて、24時間程度行なわれる。この反応は、例えば酢酸エチル等の溶液中で、ジブチル錫ラウレート等の触媒を用いて行なうことが好ましい。
【0033】
この結果、アクリル系共重合体(a1)中の側鎖に存在する官能基と、化合物(a2)中の置換基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、エネルギー線硬化型共重合体(A)が得られる。エネルギー線硬化型共重合体(A)は、その側鎖末端において、ウレタン結合を介して2つ以上の不飽和基を有する基が結合されていることが好ましい。この反応における官能基と置換基との反応率は、通常70%以上、好ましくは80%以上であり、未反応の官能基がエネルギー線硬化型共重合体(A)中に残留しないものが好ましい。
【0034】
側鎖末端において、ウレタン結合を介して2つ以上の不飽和基を有する基が結合されたエネルギー線硬化型共重合体(A)は、例えば、官能基としてヒドロキシル基を有するアクリル系共重合体(a1)を用い、置換基としてイソシアナート基を有する不飽和基含有化合物(a2)を用いて得られる。得られるエネルギー線硬化型共重合体(A)は、以下の一般式(II)に示すように、側鎖末端にウレタン結合を介して、2つ以上の不飽和基を有する基が結合した構造を有する。
【化3】

(ただし、R、Rは、それぞれ水素原子またはメチル基を表す。また、Rは、水素原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0035】
かくして得られるエネルギー線硬化型共重合体(A)の重量平均分子量は、好ましくは20万以上であり、さらに好ましくは30万〜200万であり、特に好ましくは40万〜100万である。重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算した値である。また、エネルギー線硬化型共重合体(A)のガラス転移温度は、通常−70〜15℃程度である。
【0036】
(B)架橋剤
本発明で用いられる粘着剤組成物は、上記のようなエネルギー線硬化型共重合体(A)を架橋剤(B)にて部分架橋して形成される。架橋剤(B)としては、有機多価イソシアナート化合物、有機多価エポキシ化合物、有機多価イミン化合物等があげられる。
【0037】
上記有機多価イソシアナート化合物としては、芳香族多価イソシアナート化合物、脂肪族多価イソシアナート化合物、脂環族多価イソシアナート化合物およびこれらの多価イソシアナート化合物の三量体、ならびにこれら多価イソシアナート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマー等をあげることができる。有機多価イソシアナート化合物のさらに具体的な例としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアナート、リジンイソシアナートなどがあげられる。
【0038】
このような架橋剤(B)の使用量は、エネルギー線硬化型共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部程度である。
【0039】
(C)光重合開始剤
また、本発明の電子部品加工用粘着シートの粘着剤層を硬化させるにあたり、エネルギー線として紫外線を用いる場合には、上記の粘着剤組成物中に光重合開始剤(C)を混入することにより、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
【0040】
このような光重合開始剤(C)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンなどが挙げられる。光重合開始剤(C)は、エネルギー線硬化型共重合体(A)の合計100重量部に対して0.1〜10重量部、特には0.5〜5重量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
【0041】
なお、本発明の粘着剤組成物は、エネルギー線硬化性を有するモノマー、オリゴマー等の低分子量成分が含まれないほうが好ましい。これらが含まれることにより、後述するエネルギー線硬化前のエネルギー線硬化型粘着剤層の貯蔵弾性率G’が低くなることがある。
【0042】
エネルギー線硬化型粘着剤層
本発明において用いられるエネルギー線硬化型粘着剤層のエネルギー線照射前のゲル分率は70重量%以上であり、好ましくは80重量%以上であり、特に好ましくは90〜100重量%である。ゲル分率の値が前記範囲であれば、ウエハの研磨時に負荷される剪断力に対し、充分な抵抗力が得られるので、粘着剤のポリマー鎖の構造が剪断力の負荷前の状態を維持でき、粘着剤がシリコンウエハに残留するおそれがなくなる。また、ゲル分率の値が前記範囲であれば、ダイシング時に高速回転するダイシングブレードにより粘着剤断片がかき上げられにくくなって、粘着剤によるチップの汚染を防止することができる。このゲル分率は、該粘着剤層を構成する粘着剤組成物を、後述する実施例において詳述する方法で求められる値である。
【0043】
本発明において、前記エネルギー線硬化型粘着剤層のエネルギー線硬化前の23℃における貯蔵弾性率G’は、好ましくは1.0×10〜1.0×10Pa、さらに好ましくは8.0×10〜8.0×10Pa、特に好ましくは9.0×10〜6.0×10Paである。エネルギー線硬化前の貯蔵弾性率G’がこの範囲にあれば、ダイシング時にチッピングが発生し難い。この貯蔵弾性率G’の測定法については後述する実施例において詳述する。
【0044】
また、前記エネルギー線硬化型粘着剤層のシリコンウエハ(鏡面)に対するエネルギー線硬化前の粘着力は、好ましくは1000〜20000mN/25mm、さらに好ましくは4800〜10000mN/25mm、特に好ましくは5000〜8000mN/25mmである。一方、前記エネルギー線硬化型粘着剤層のシリコンウエハ(#2000研磨面)に対するエネルギー線硬化前の粘着力は、好ましくは1000〜20000mN/25mm、さらに好ましくは3800〜10000mN/25mm、特に好ましくは4800〜7000mN/25mmである。エネルギー線硬化前の粘着力がこの範囲にあれば、ダイシング時にチップ飛散が発生し難い。
【0045】
本発明の電子部品加工用粘着シートの粘着剤層は、実質的に、上記のようなエネルギー硬化型共重合体(A)、架橋剤(B)、および必要に応じ、光重合開始剤(C)からなる。また、これら成分に加え、前述した粘着剤層に要求される好適物性を損なわない限り、他の成分を添加してもよい。
【0046】
このようなエネルギー線硬化型粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、エネルギー線照射により、粘着力が激減する。エネルギー線としては、具体的には、紫外線、電子線等が用いられる。また、その照射量は、エネルギー線の種類によって様々であり、たとえば紫外線を用いる場合には、照度1〜1000mW/cm、光量40〜1000mJ/cm程度が好ましい。このようなエネルギー線の照射により、粘着力は激減する。
【0047】
本発明において、前記エネルギー線硬化型粘着剤層のエネルギー線硬化後の23℃における貯蔵弾性率E’は、好ましくは7.0×10〜6.0×10Pa、さらに好ましくは1.0×10〜4.0×10Pa、特に好ましくは3.0×10〜2.0×10Paである。エネルギー線硬化後の貯蔵弾性率E’がこの範囲にあれば、エキスパンド時に十分なチップ間隔を得ることができる。
【0048】
また、前記エネルギー線硬化型粘着剤層のシリコンウエハ(鏡面)に対するエネルギー線硬化後の粘着力は、好ましくは10〜1000mN/25mm、さらに好ましくは30〜500mN/25mm、特に好ましくは50〜300mN/25mmである。一方、前記エネルギー線硬化型粘着剤層のシリコンウエハ(#2000研磨面)に対するエネルギー線硬化後の粘着力は、好ましくは10〜1000mN/25mm、さらに好ましくは30〜500mN/25mm、特に好ましくは50〜300mN/25mmである。エネルギー線硬化後の粘着力がこの範囲にあれば、チップを破損することなく容易にピックアップすることができる。
【0049】
エネルギー線硬化型粘着剤層は、エネルギー線照射前には被着体に対して充分な粘着性を有する。一方、エネルギー線照射後には、被着体に対する粘着力が激減し、粘着剤を残留することなく被着体から除去することができる。このため、このエネルギー線硬化型粘着剤層は、貼付後の剥離を前提とした用途に好ましく使用される。
【0050】
電子部品加工用粘着シート
本発明に係る電子部品加工用粘着シートは、前述した粘着剤組成物を主成分とするエネルギー線硬化型粘着剤層と、基材とからなる。
【0051】
本発明の電子部品加工用粘着シートの基材としては、特に限定はされないが、たとえばエネルギー線として紫外線を用いる場合には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢ビフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素樹脂フィルム等の紫外線透過性フィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
【0052】
また、エネルギー線として電子線を用いる場合には、紫外線透過性である必要はないので、上記フィルムの他、これらを着色した着色フィルム、不透明フィルム等を用いることができる。
【0053】
本発明の電子部品加工用粘着シートは、該粘着剤組成物をナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなど一般に公知の方法にしたがって各種の基材上に適宜の厚さで塗工して乾燥させて粘着剤層(エネルギー線硬化型粘着剤層)を形成し、次いで必要に応じ粘着剤層上に離型シートを貼り合わせることによって得られる。
【0054】
エネルギー線硬化型粘着剤層の厚さは、用途によって様々であるが、通常は3〜100μm、好ましくは5〜60μm程度であり、粘着剤層の厚さが薄くなると被着体への密着性が低下するおそれがある。また、基材の厚さは、通常は30〜500μm、好ましくは60〜300μm程度であり、基材の厚さが薄くなると被着体の支持性が低下するおそれがある。
【0055】
本発明に係る電子部品加工用粘着シートの形状は、テープ状、ラベル状などあらゆる形状をとりうる。このような本発明に係る電子部品加工用粘着シートを被着体に貼付後、エネルギー線を照射すると、粘着力が激減する。このため、粘着剤の残渣が被着体に残留することなく、被着体から電子部品加工用粘着シートを除去することができる。
【0056】
このような本発明に係る電子部品加工用粘着シートは、エネルギー線照射前にも充分な粘着力および貯蔵弾性率を有しているので、ウエハ研磨時に剥離したり、また冷却水や洗浄水の浸透を起こすこともない。また、ダイシング時にチップ飛散およびチッピングを好適に防止することができる。さらにまた、粘着剤層のゲル分率が高いため、粘着剤層自体が剪断力に対して高い抵抗力を有している。このため、配線幅の狭い電子部品に貼付して電子部品の加工を行っても、粘着剤層の破壊が起こらないため、配線に対する悪影響を起こすこともない。
【0057】
本発明に係る電子部品加工用粘着シートにエネルギー線を照射することより、粘着力が激減し、粘着剤の残渣(パーティクル)がウエハに残留しない。さらに、本発明に係る電子部品加工用粘着シートは、エネルギー線照射後の粘着剤層の貯蔵弾性率が高いため、エキスパンディングの際に、半導体チップの外側に位置するダイシングされていない粘着剤層は引き延ばされず、エキスパンド力は粘着剤層が切断された部分に伝搬する。つまり、エキスパンディングの際の粘着シートへの応力を、ダイシングラインへ良好に伝達することができ、少ないエキスパンド量でチップ間隔をより拡張することができる。そのため、少ないエキスパンド量において、粘着シートが裂けることなく十分なチップ間隔を確保することができる。
【実施例】
【0058】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0059】
以下の実施例および比較例において、「ゲル分率測定」、「粘着力測定」、「紫外線照射前貯蔵弾性率G’測定、及びガラス転移点(Tg)測定」、「紫外線照射後貯蔵弾性率E’測定」、「チップ飛散評価」、「チッピング性評価」、「エキスパンド性評価」および「ピックアップ性評価」は次のように行った。なお、各測定・評価において紫外線照射が必要となる場合は、紫外線照射装置(リンテック社製、RAD−2000m/12)を用い、窒素雰囲気下にて紫外線照射(照度230mW/cm、光量180mJ/cm)した。
【0060】
ゲル分率測定
実施例あるいは比較例で得られた粘着剤組成物1g(還流前サンプル質量A(g))を、テトロン(登録商標)♯400メッシュで作製した袋に封入後、これをソックスレー抽出器にセットし、酢酸エチルの還流下で10時間抽出処理した。次に、抽出処理後、メッシュ上に残存する粘着剤組成物を100℃で1時間乾燥し、23℃、50%RHの雰囲気下で24時間調湿後、粘着剤組成物の質量(乾燥後サンプル質量B(g))を測定し、以下の式に従って、ゲル分率(%)を算出した。
ゲル分率(%)=(B/A)×100
【0061】
粘着力測定
粘着力の測定方法は、JIS Z0237:2000に準拠し、次の手順により測定した。
(紫外線照射前)
23℃、50%RHの環境下で、2kgゴムローラーを用いて、250mm×25mmのサイズにカットした粘着シートを被着体である6インチシリコンウエハ(鏡面)及び6インチシリコンウエハ(♯2000研磨品)に貼付した。20分経過後、万能型引張試験機(オリエンテック社製:テンシロン)を用いて剥離角度180°、剥離速度300mm/minで剥離力を測定した。得られた測定値を紫外線照射前の粘着力とした。
(紫外線照射後)
23℃、50%RHの環境下で、2kgゴムローラーを用いて、250mm×25mmのサイズにカットした粘着シートを被着体である6インチシリコンウエハ(鏡面)及び6インチシリコンウエハ(♯2000研磨品)に貼付した。20分経過後、基材側より紫外線照射を行った。次いで、上記と同様の方法により、剥離力を測定し、得られた測定値を紫外線照射後の粘着力とした。
【0062】
紫外線照射前貯蔵弾性率G’測定、及びガラス転移点(Tg)測定
実施例および比較例のエネルギー線硬化型の粘着剤組成物について、粘着剤層が重なるように積層を繰り返し、厚みが3mmの粘着剤層積層体を得た。粘着剤層積層体を直径8mmの円柱形に型抜きして弾性率測定用の試料を作製した。この試料の捻り剪断法による測定周波数1Hz、測定温度範囲−100〜100℃、昇温速度3℃/分における貯蔵弾性率G’を、粘弾性測定装置(レオメトリック社製:RDA−II)を用いて測定した。
また、上記の条件下で、損失正接tanδを測定し、測定温度範囲でtanδが最大の温度を求め、ガラス転移点(Tg)とした。
【0063】
紫外線照射後貯蔵弾性率E’測定
実施例および比較例のエネルギー線硬化型の粘着剤組成物について、粘着剤層が重なるように積層を繰り返し、厚みが200μmの粘着剤層積層体を得た。粘着剤層積層体を40mm×4mmの長方形になるように型抜きして紫外線を照射し弾性率測定用の試料を作製した。この試料の引張り法による測定周波数11Hz、測定温度範囲−100〜150℃、昇温速度3℃/分における貯蔵弾性率E’を、動的粘弾性自動測定器(エー・アンド・デイ社製:DDV-01FP-W)を用いて測定した(引張型ジグの試料間隔30mm)。
【0064】
チップ飛散評価
♯2000研磨処理したシリコンウエハ(直径6インチ、厚さ350μm)の研磨面に、実施例および比較例の粘着シートをテープマウンター(リンテック社製:Adwill RAD−2500m/8)を用いて貼付し、ウエハダイシング用リングフレーム(ディスコ社製:DTF2−6−1)に固定した。その後、ダイシングブレード(ディスコ社製:NBC−ZH205O−SE27HECC)を取り付けたダイシング装置(ディスコ社製:DFD651)を使用して、1mm×1mmのチップサイズにシリコンウエハをダイシングした。ダイシングの際の切り込み量は、粘着シートを30μm切り込むようにした。ダイシング後、シリコンウエハ外周のチップ(コーナーチップ)とシリコンウエハ内部のチップ(製品チップ)の飛散した数を目視にてカウントした。製品チップが1つでも飛散したものを「不良」とした。
【0065】
チッピング性評価
♯2000研磨処理したシリコンウエハ(直径6インチ、厚さ350μm)の研磨面に、実施例および比較例の粘着シートをテープマウンター(リンテック社製:Adwill RAD−2500m/8)を用いて貼付し、ウエハダイシング用リングフレーム(ディスコ社製:DTF2−6−1)に固定した。その後、ダイシングブレード(ディスコ社製:NBC−ZH205O−SE27HECC)を取り付けたダイシング装置(ディスコ社製:DFD651)を使用して、10mm×10mmのチップサイズにシリコンウエハをダイシングした。ダイシングの際の切り込み量は、粘着シートを30μm切り込むようにした。
ダイシングされたシリコンウエハ(チップ)を粘着シートに転写し、光学顕微鏡にてチップ裏面のカーフ部のチッピング(チップ端部の欠け)を観察した。縦のダイシングラインと、それに直行する横のダイシングラインのそれぞれ等間隔に10ラインを観察し、チップに有する100μm以上のチッピングの数をカウントした。ライン100mmあたりのチッピング個数を算出し、7.5以上を「不良」とした。
【0066】
エキスパンド性評価
実施例および比較例の粘着シートの基材側から紫外線照射後、23℃、50%RHの環境でエキスパンド装置(NECマシナリー社製:ダイボンダーCSP−100VX)を用いて、引き落とし量5mmで、粘着シートをエキスパンドした。縦のダイシングラインと、それに直行する横のダイシングラインのカーフ幅(チップ間隔)をそれぞれ9点ずつ測定し、計18点の平均値を求めた。カーフ幅が70μm以下のものを「不良」とした。
【0067】
ピックアップ性評価
♯2000研磨処理したシリコンウエハ(直径6インチ、厚さ350μm)の研磨面に、実施例および比較例の粘着シートをテープマウンター(リンテック社製:Adwill RAD−2500m/8)を用いて貼付し、ウエハダイシング用リングフレーム(ディスコ社製:DTF2−6−1)に固定した。その後、ダイシングブレード(ディスコ社製:NBC−ZH205O−SE27HECC)を取り付けたダイシング装置(ディスコ社製:DFD651)を使用して、10mm×10mmのチップサイズにシリコンウエハをダイシングした。ダイシングの際の切り込み量は、粘着シートを30μm切り込むようにした。
粘着シートの基材側から紫外線照射後、23℃、50%RHの環境でエキスパンド装置(NECマシナリー社製:ダイボンダーCSP−100VX)を用いて、引き落とし量5mmで、粘着シートをエキスパンドした。次いで、ピックアップ力測定装置(アイコーエンジニアリング社製:プッシュプルゲージ MODEL−9020、ピン種:絹針5号、ピン数:1)により、10チップをピックアップし、その際の荷重ピーク値の平均値をピックアップ力とした。ピックアップ力が10N/10mm□以上を「不良」とした。
(実施例1)
【0068】
以下、配合において断りがなければ、数値は固形分換算の重量部を示す。
ブチルアクリレート85重量部と、官能基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート15重量部とを酢酸エチル溶媒中で溶液重合し、アクリル系共重合体を生成した。
【0069】
該官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物として1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナートを用い、上記アクリル系共重合体100重量部に対して、上記化合物27.6重量部(上記アクリル系共重合体の官能基であるヒドロキシル基100当量に対して90当量)を反応させ、エネルギー線硬化型共重合体(重量平均分子量:70万)を得た。
【0070】
酢酸エチルによって25重量%溶液となるように濃度を調整した上記エネルギー線硬化型共重合体100重量部に対し、架橋剤として多価イソシアナート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL)0.15重量部と、光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製:イルガキュア184)0.75重量部とを混合し、エネルギー線硬化型の粘着剤組成物を得た。
【0071】
シリコーン剥離処理を行ったポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製:SP−PET3801、厚み:38μm)の剥離処理面上に、ロールナイフコーターを用いて上記粘着剤組成物を塗布し、乾燥(100℃、1分間)し、厚み10μmのエネルギー線硬化型粘着剤層を作製した。次いで、基材フィルムとしてエチレン・メタクリル酸共重合体フィルム(共重合重量比=91:9、厚み:80μm)を用い、この片面にエネルギー線硬化型粘着剤層を転写し、粘着シートを得た。この粘着シートについて、「ゲル分率測定」、「粘着力測定」、「紫外線照射前貯蔵弾性率G’測定、及びガラス転移点(Tg)測定」、「紫外線照射後貯蔵弾性率E’測定」、「チップ飛散評価」、「チッピング性評価」、「エキスパンド性評価」および「ピックアップ性評価」を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
【0072】
2−エチルヘキシルアクリレート40重量部と、酢酸ビニル40重量部と、官能基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート20重量部とを酢酸エチル溶媒中で溶液重合し、アクリル系共重合体を生成した。
【0073】
該官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物として1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナートを用い、上記アクリル系共重合体100重量部に対して、上記化合物32.7重量部(上記アクリル系共重合体の官能基であるヒドロキシル基100当量に対して80当量)を反応させ、エネルギー線硬化型共重合体(重量平均分子量:60万)を得た。
【0074】
酢酸エチルによって25重量%溶液となるように濃度を調整した上記エネルギー線硬化型共重合体100重量部に対し、架橋剤として多価イソシアナート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL)0.42重量部と、光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製:イルガキュア184)0.75重量部とを混合し、エネルギー線硬化型の粘着剤組成物を得た。その後、実施例1と同様の方法で粘着シートを得、測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
【0075】
官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物として1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナートを用い、アクリル系共重合体100重量部に対して、上記化合物36.8重量部(上記アクリル系共重合体の官能基であるヒドロキシル基100当量に対して90当量)を反応させた以外は、実施例2と同様の方法で粘着シートを得、測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
【0076】
官能基に反応する置換基及び1つの不飽和基を有する化合物としてメタクリロイルオキシエチルイソシアナートを用い、アクリル系共重合体100重量部に対して、上記化合物16.0重量部(上記アクリル系共重合体の官能基であるヒドロキシル基100当量に対して90当量)を反応させた以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得、測定・評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
【0077】
官能基に反応する置換基及び1つの不飽和基を有する化合物としてメタクリロイルオキシエチルイソシアナートを用い、アクリル系共重合体100重量部に対して、上記化合物21.4重量部(上記アクリル系共重合体の官能基であるヒドロキシル基100当量に対して80当量)を反応させた以外は、実施例2と同様の方法で粘着シートを得、測定・評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、その上に形成されたエネルギー線硬化型粘着剤層とからなる電子部品加工用粘着シートであって、
該エネルギー線硬化型粘着剤層が、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体と、該官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物とを付加反応させることによって得られるエネルギー線硬化型共重合体を、架橋剤により架橋させてなる粘着剤組成物からなり、
該エネルギー線硬化型粘着剤層のエネルギー線照射前におけるゲル分率が70重量%以上である電子部品加工用粘着シート。
【請求項2】
前記エネルギー線硬化型共重合体は、その側鎖末端において、ウレタン結合を介して2つ以上の不飽和基を有する基が結合されてなる請求項1に記載の電子部品加工用粘着シート。
【請求項3】
前記官能基含有モノマーが、重合性の二重結合とヒドロキシル基とを分子内に有するモノマーであり、
前記官能基に反応する置換基が、イソシアナート基である請求項1または2に記載の電子部品加工用粘着シート。
【請求項4】
前記エネルギー線硬化型共重合体が、前記アクリル系共重合体の官能基含有モノマー単位100当量に対し、前記化合物を50〜95当量反応させることにより得られる請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品加工用粘着シート。
【請求項5】
前記官能基に反応する置換基及び2つ以上の不飽和基を有する化合物が、下記の一般式(I)で表される化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品加工用粘着シート。
【化1】

(ただし、R、Rは、それぞれ水素原子またはメチル基を表す。また、Rは、水素原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【請求項6】
前記エネルギー線硬化型共重合体の重量平均分子量が、20万以上である請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品加工用粘着シート。

【公開番号】特開2011−122100(P2011−122100A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282038(P2009−282038)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】