説明

電子部品実装用装置および粘性体の試し塗布装置

【課題】同一装置を異なる作業用に転用するのに適した電子部品実装用装置およびこの電子部品実装用装置に用いられ作業性よく他種の作業ユニットと交換可能な粘性体の試し塗布装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板に電子部品を実装して実装基板を生産する電子部品実装ラインに用いられ前記基板に対して所定の作業を実行する電子部品実装用装置において、搭載ヘッドやペースト塗布ヘッドなどの作業ヘッドの移動範囲内に、作業ヘッドの作業機能に応じた特定の付随動作を実行するための作業ユニットとしてのノズルストッカ9やペーストの試し塗布ユニット10などが着脱自在に装着可能な作業ユニット装着部30を設け、作業ヘッドの種類に合わせて作業ユニット装着部30にノズルストッカ9やペーストの試し塗布ユニット10を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品を実装して実装基板を生産する電子部品実装ラインに使用される電子部品実装用装置およびこの電子部品実装用装置において基板へ粘性体を試し塗布するために用いられる粘性体の試し塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装して実装基板を生産する電子部品実装ラインは、基板に電子部品接合用のペーストや接着剤などの粘性体を塗布する塗布装置や塗布後の基板に電子部品を搭載する部品搭載装置など、異なる作業機能を備えた複数の電子部品実装用装置を連結して構成されている。このような電子部品実装用装置は、共通構成の基板搬送機構によって上流側から下流側に基板を搬送しながら、各装置に備えられた部品搭載ヘッドや塗布ヘッドなどの作業ヘッドによって、基板に対して部品搭載作業や粘性体の塗布作業など、各装置毎に所定の作業を行うようになっている。
【0003】
このような各装置毎の作業動作においては、作業ヘッドが本来動作として行う主作業以外にも、主作業に付随して必要とされる各種の付随作業が存在する。例えば、部品搭載ヘッドによって電子部品を基板に移送搭載する作業では、部品搭載ヘッドに装着される部品吸着用のノズルを搭載対象の電子部品の種類に応じて交換するノズル交換作業が付随作業として必要とされる。また塗布ヘッドによって基板に粘性体を塗布する作業では、塗布動作実行に先立って塗布ノズルによって適正塗布量のペーストが実際に塗布されているか否かを確認するための試し塗布作業が付随動作として必要とされる。
【0004】
このような付随作業の実行には、作業ヘッドのみならず各作業の内容に応じた専用の作業ユニットを必要とする。例えば、塗布装置において試し塗布を行うためには、塗布動作実際に試行的に行うための塗布ステージを備えた試し塗布装置が用いられる(特許文献1参照)。この特許文献に示す例では、部品搭載装置と塗布装置の機能を併せ有する電子部品実装用装置において、試し塗布装置としての捨て打ちステーションを部品供給手段取り付け用の取付座の一部に装着するようにしている。
【特許文献1】特開2002−59056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年電子業界においても生産形態は多品種少量生産が主流となり、生産設備についても高い生産効率とともに多様な生産形態に対応可能な、フレキシビリティを兼ね備えた設備構成が求められるようになっている。すなわち、従来の電子部品実装ラインにおいて求められていた同一装置における多品種対応性に加えて、同一装置を異なる作業用にも転用可能な装置形態が求められるようになってきている。そしてこのような要請により、上述の付随作業についても異なる機能を備えた作業ユニットを、作業ヘッドの機能に応じて選択的に装着することが求められるようになっている。
【0006】
しかしながら特許文献に示す先行技術例を含めて、従来の電子部品実装用装置においては、作業ヘッドに応じて付随作業用の作業ユニットを合理的な機構・レイアウトで配置し、且つ作業性よく交換可能な構成とはなっていなかった。例えば特許文献1に示す例では、試し塗布装置として専用の駆動機構を備えた捨て打ちステーションを、本来はテープフィーダなどが取り付けられる取付座を占有する形で配置した形態となっており、同一装置を異なる作業用に転用するのに適した装置形態とは言い難いものであった。
【0007】
そこで本発明は、同一装置を異なる作業用に転用するのに適した電子部品実装用装置およびこの電子部品実装用装置に用いられ作業性よく他種の作業ユニットと交換可能な粘性体の試し塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子部品実装用装置は、基板に電子部品を実装して実装基板を生産する電子部品実装ラインに用いられ前記基板に対して所定の作業を実行する電子部品実装用装置であって、前記基板を搬送路に沿って搬送する基板搬送機構と、前記搬送路に設けられ前記基板を位置決めして保持する基板位置決め部と、前記位置決めされた基板に対して前記作業を実行する作業ヘッドと、複数種類から選択されて交換自在に装着された前記作業ヘッドを前記作業を実行するために移動させる作業ヘッド移動機構と、前記作業ヘッド移動機構による作業ヘッドの移動範囲内に設けられ、前記作業ヘッドの作業機能に応じた特定の付随動作を実行するための作業ユニットが着脱自在に装着される作業ユニット装着部とを備えた。
【0009】
本発明の粘性体の試し塗布装置は、基板に電子部品を実装して実装基板を生産する電子部品実装ラインに用いられる電子部品実装用装置において、前記基板へ粘性体を塗布する塗布作業に先立って粘性体を試し塗布する粘性体の試し塗布装置であって、前記電子部品実装用装置に設けられた作業ユニット装着部に着脱自在に装着される着脱ユニットと、前記着脱ユニットに設けられ、試し塗布用のシート上に粘性体を試し塗布するための塗布ステージと、前記作業ユニット装着部に備えられた駆動源によって駆動され前記塗布ステージに前記シートを供給するシート供給機構と、前記シート供給機構と前記駆動源とを嵌脱自在に連結して前記シート供給機構に駆動力を伝達する駆動伝達手段とを備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業ヘッド移動機構による作業ヘッドの移動範囲内に設けられ、前記作業ヘッドの作業機能に応じた特定の付随動作を実行するための作業ユニットが着脱自在に装着される作業ユニット装着部とを備えることにより、同一装置を異なる作業用に容易に転用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置の斜視図、図2は本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置の平面図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置の部分断面図、図4は本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置における作業ユニット装着部の構造の説明図、図5は本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置におけるノズルストッカの構造説明図、図6は本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置における粘性体の試し塗布装置の構造説明図、図7は本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置における粘性体の試し塗布装置の動作説明図である。
【0012】
まず図1、図2,図3を参照して、電子部品実装用装置の構造を説明する。この電子部品実装装置は、基板に電子部品を実装して実装基板を生産する電子部品実装ラインに用いられ、基板に対して所定の作業を実行する機能を有するものである。ここでは、所定の作業として、基板に電子部品接合用のペーストを塗布するペースト塗布作業および部品供給部から取り出した電子部品を基板に搭載する部品搭載作業を実行する機能を合わせ有する電子部品実装用装置の例を示している。
【0013】
図1、図2において、基台1上にはX方向(基板搬送方向)の2つの搬送路2aを備えた基板搬送機構2が配設されている。搬送路2aには基板位置決め部3が設けられており、基板搬送機構2によって搬送路2aに沿って搬送される基板4は、基板位置決め部3に
よって以下に説明する作業機構による作業実行位置に位置決めされ、下方から下受けされて保持される。
【0014】
基板搬送機構2の両側は作業機構を配置する作業機構配置エリアとなっており、本実施の形態においてはこれらの作業機構配置エリアには、それぞれ部品搭載機構5A、ペースト塗布機構5Bが配設されている。部品搭載機構5Aは、基板4に電子部品を搭載する機能を有しており、ペースト塗布機構5Bは基板4に対して電子部品の接合用のペーストを塗布する機能を有している。なお本実施の形態においては、基板搬送機構2の一方側に部品搭載機構5Aを、他方側にペースト塗布機構5Bを配置した例を示しているが、電子部品実装ラインの構成によっては、部品搭載機構5A、ペースト塗布機構5Bのいずれか1種類を基板搬送機構2の両側に配置する構成でもよい。
【0015】
部品搭載機構5A、ペースト塗布機構5Bの構成および機能について説明する。基台1のX方向の一端部には、リニア駆動機構を備えたY軸移動テーブル11がY方向に水平に配設されている。Y軸移動テーブル11は水平方向に細長形状で設けられたビーム部材11aを主体としており、ビーム部材11aにはリニアレール12が水平方向に配設されている。リニアレール12には、矩形状の2つの結合ブラケット14A,14Bが、それぞれリニアブロック13を介してY方向にスライド自在に装着されている。
【0016】
結合ブラケット14A,14Bには、それぞれリニア駆動機構(図3に示す固定子20および可動子21参照)を備え、Y軸移動テーブル11と同様構成の第1のX軸移動テーブル15A,第2のX軸移動テーブル15Bが結合されている。第1のX軸移動テーブル15A,第2のX軸移動テーブル15Bには、それぞれ矩形状の装着ベース22A,22B(図3参照)を介して、基板に対して作業を実行する作業ヘッドとしての搭載ヘッド16、ペースト塗布ヘッド18が着脱自在に装着されている。
【0017】
基板搬送機構2の手前側に配設された部品搭載機構5Aには部品供給部6が設けられており、部品供給部6には複数のテープフィーダ7が装着されている。テープフィーダ7は、電子部品を保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより、この電子部品を以下に説明する部品搭載機構によるピックアップ位置に供給する。図3に示すように、搭載ヘッド16は複数(ここでは8個)の単位搭載ヘッド17を備えた多連型ヘッドであり、それぞれの単位搭載ヘッド17の下端部には、電子部品を吸着して保持する吸着ノズル23が装着されている。
【0018】
吸着ノズル23は、単位搭載ヘッド17に内蔵されたノズル昇降機構によって昇降する(矢印a参照)。Y軸移動テーブル11、X軸移動テーブル15Aを駆動することにより搭載ヘッド16はX方向、Y方向に移動する。吸着ノズル23は電子部品に当接して吸着保持するノズル軸23aと、ノズル軸23aの上部に水平方向に張り出した円板状の鍔部23bと、鍔部23bの上部に位置する装着基部23cより構成され、単位搭載ヘッド17の下端部に装着基部23cを嵌合させることにより着脱自在に装着される。
【0019】
これにより、各単位搭載ヘッド17は部品供給部6のテープフィーダ7から電子部品24を取り出して、基板位置決め部3によって位置決めされた基板4に移送し基板4に設定された部品実装位置に搭載する。したがって、搭載ヘッド16は基板位置決め部3によって位置決めされた基板4に対して所定の作業としての部品搭載作業を実行する作業ヘッドとなっている。またY軸移動テーブル11、第1のX軸移動テーブル15Aは、複数種類から選択されて交換自在に装着された作業ヘッドとしての搭載ヘッド16を、部品搭載作業を実行するために移動させる作業ヘッド移動機構となっている。
【0020】
部品供給部6と搬送路2aとの間には、部品認識装置8およびノズルストッカ9が配設
されている。部品供給部6から電子部品を取り出した搭載ヘッド16が部品認識装置8の上方を移動する際に、部品認識装置8は搭載ヘッド16に保持された状態の電子部品を撮像して認識する。ノズルストッカ9は、単位搭載ヘッド17に交換自在に装着される吸着ノズル23を、電子部品の種類ごとに収納保持する。搭載ヘッド16がノズルストッカ9に対してアクセスしてノズル交換動作を行うことにより、単位搭載ヘッド17には実装対象となる電子部品に対応した吸着ノズル23が装着される。図2に示すように、搭載ヘッド16には一体に移動する基板認識用のカメラ19が、X軸テーブル15Aの下方に位置して装着ベース22Aを介して取り付けられている。カメラ19は搭載ヘッド16とともに搬送路2aによって位置決めされた基板4の上方に移動して、基板4に設けられた認識マークを撮像する。
【0021】
第2のX軸テーブル15Bの装着ベース22Bには、下端部に塗布ノズル25aを備えた塗布ユニット25を内蔵したペースト塗布ヘッド18が交換自在に装着されている。塗布ユニット25は塗布ノズル25aを昇降させるノズル昇降機構を備えており、ペースト塗布ヘッド18を基板位置決め部3に位置決め保持された基板4上に移動させて、塗布ノズル25aを昇降させて(矢印b)ペースト塗布動作を行わせることにより、基板4のペースト塗布点には粘性体である電子部品接合用のペースト26が塗布される。
【0022】
図4に示すように、ノズルストッカ9、試し塗布ユニット10は装着互換性を有しており、予め前述の作業ヘッド移動機構による搭載ヘッド16、ペースト塗布ヘッド18の移動範囲内に配設された作業ユニット装着部30に交換自在に装着される。作業ユニット装着部30は、基台1の上面に固着されるベース部31に立設されたポスト部材32によって保持された水平な装着プレート33を備えている。装着プレート33には、複数種類の機能の異なる作業ユニットの1つが交換自在に装着される。これらの作業ユニットは、複数種類から選択されて装着ベース22A、22Bに交換自在に装着される作業ヘッドの作業機能に応じた特定の付随動作を実行するためのものである。
【0023】
作業ユニット装着部30は、装着プレート33に装着される作業ユニットを駆動する為のシリンダ34が水平姿勢で配設されており、シリンダ34のロッド34aの端部からは棒状の駆動部材35が垂直姿勢で上方に延出している。シリンダ34を駆動することによりロッド34aが突没し、これにより駆動部材35が水平移動して装着プレート33に装着された作業ユニットを駆動する。
【0024】
装着プレート33の一方側の側端面33aには、装着プレート33に装着される作業ユニットを識別するためのセンサユニット36が配設されている。またノズルストッカ9のベース部9a、試し塗布ユニット10のベース部10aにおいてセンサユニット36に対応する位置には、センサユニット36に検知させるためのドグユニット37が配設されている。センサユニット36には複数の(ここでは3個)の遮光型のフォトセンサ36a、36b、36cが装着されており、ドグユニット37にはこれらの複数のフォトセンサ36a、36b、36cのうちのいずれか1つまたは複数に対応する位置にこれらのフォトセンサを遮光するためのドグ部材(ここでは、ドグ部材37a、37bの2つ)が装着されている。ここでドグ部材の配列は、作業ユニットの種類によって予め特定されている。
【0025】
ノズルストッカ9や試し塗布ユニット10などの作業ユニットを作業ユニット装着部30に装着すると、ドグユニット37はセンサユニット36に対して近接し(矢印c)、これによりドグ部材37a、37bなどのドグ部材は、それぞれ対応したフォトセンサ(ここではフォトセンサ36a、36c)を遮光してユニット識別処理部38に対して検出信号を出力する。ユニット識別処理部38はこれらの検出信号に基づき、作業ユニット装着部30に装着された作業ユニットの種類を識別し、識別結果を制御部39に対して送信する。制御部39は、この識別結果から識別された作業ユニットが本来装着されるべき正し
い作業ユニットであるか否かを判断し、この判断結果に基づいて当該電子部品実装用装置において作業ヘッドが動作を行うことの可否を判別する。
【0026】
上記構成において、センサユニット36、ドグユニット37、ユニット識別処理部38は、作業ユニット装着部に装着された作業ユニットの種類を識別する作業ユニット識別手段を構成する。そして制御部39は、作業ユニット識別手段の識別結果に基づいて作業ヘッドによる作業実行可否を判別する制御手段となっている。例えばノズルストッカ9が装着されていることが識別されることにより部品搭載動作が実行可能であると判断され、また試し塗布ユニット10が装着されていることが識別されることによりペースト塗布のための試し塗布が実行可能であると判断される。
【0027】
次に図5を参照して、ノズルストッカ9の構造および機能を説明する。図5において、ノズルストッカ9の基部を構成し装着プレート33の上面に装着されるベース部9aには、ノズル23を立姿勢で収納保持するための収納孔9bが、搭載ヘッド16における吸着ノズル23の装着配置に対応してマトリックス状に設けられている。ベース部9aの上面には、ベース部9aの略全範囲を覆う形状の係止プレート41が、ベース部9aの上面との間に鍔部23bの厚みよりも大きな隙間を保ってスライド自在に配設されている。係止プレート41の一端部には内部に嵌入孔42aが設けられた連結部材42に結合されており、嵌入孔42aにはロッド34aの端部から上方に延出した駆動部材35の上端部が嵌入している。シリンダ34を駆動することにより、駆動部材35が水平方向に往復動し(矢印d)、これにより、係止プレート41はベース部9aの上面において往復動する。ここで、ノズル23がベース部9aに収納された状態で係止プレート41をスライドさせることができるようになっている。
【0028】
係止プレート41には、ベース部9aにおける収納孔9bのマトリックス配列の各行に対応した位置にノズル挿通開口41aがX方向に設けられている。ノズル挿通開口41aには、収納孔9bのマトリックス配列の各列に対応して、両側から内側に向かって部分的に延出した係止爪部41bが設けられている。ここでノズル挿通開口41aの形状寸法は、開口幅寸法B1がノズル23の鍔部23bの径寸法Dよりも大きく、且つ係止爪部41bが内側に延出した部分の内法寸法B2が径寸法Dよりも小さくなるように設定されている。
【0029】
したがって、係止爪部41bが突出して設けられていない範囲では、ノズル23はノズル挿通開口41aを上下方向に挿通可能であり、係止爪部41bが突出した部分においては、ノズル23はノズル挿通開口41aを上下方向に挿通できないようになっている。これにより、搭載ヘッド16をノズルストッカ9にアクセスさせて吸着ノズル23の交換を行うノズル交換動作において、必要なタイミングにおいてのみ吸着ノズル23をノズルストッカ9に固定保持し、必要なタイミングにおいて吸着ノズル23のノズルストッカ9からの離脱を許容することが可能となっている。
【0030】
次に図6を参照して、作業ユニット装着部30に着脱自在に装着される試し塗布ユニット10の構造および機能を説明する。試し塗布ユニット10は、基板に電子部品を実装して実装基板を生産する電子部品実装ラインに用いられる電子部品実装用装置において、電子部品実装用装置に予め設けられた作業ユニット装着部30に装着されることにより、基板へ粘性体を塗布する塗布作業に先立って粘性体を試し塗布する粘性体の試し塗布装置を構成するものである。
【0031】
図6において、装着プレート33の上面に載置されるベース部10aには、試し塗布用のシート54上にペースト塗布ヘッド18によってペーストを試し塗布するための塗布ステージ53と、シート供給機構50が配設されている。シート供給機構50は、塗布ステ
ージ53にシート54を供給する機能を有するものであり、シート54を巻回状態で供給する供給ロール54aが嵌脱自在に装着されるシート供給リール51(供給ロール装着部)と、シート供給リール51から引き出されて塗布ステージ53にて試し塗布が行われた後のシート54を巻き取る巻取ロール54bが嵌脱自在に装着されるシート巻取リール52(巻き取りロール装着部)とを備えている。
【0032】
シート供給リール51、シート巻取リール52の供給ロール軸51a、巻取ロール軸52aは、それぞれ軸受けブロック61、62によって軸支されている。軸受けブロック61にはトルクリミッタ機構が内蔵されており、シート巻取リール52によってシート54を引き出すシート引出力が所定強さ以上の力で作用したときにのみ回転して、供給ロール54aからシート54を送り出すようになっている。軸受けブロック62には1方向のみの回転を許容するワンウェイクラッチ機構が内蔵されており、これにより巻取ロール軸52aの緩み方向の回転が防止される。巻取ロール軸52aが軸受けブロック62から延出した先端部には、巻取ロール軸52aの回転駆動用のピニオン63が結合されている。
【0033】
試し塗布ユニット10の上面において、ピニオン63の下方にはガイドレール55がX方向に配設されており、ガイドレール55にスライド自在に嵌合したスライダ56には、ピニオン63と噛合するラック57が結合されている。ラック57の側面には、内部に嵌入孔58aが設けられた連結部材58がY方向に延出して結合されており、嵌入孔58a内にはロッド34aの先端部から上方に延出して設けられた駆動部材35が嵌入している。試し塗布ユニット10を作業ユニット装着部30に装着する際には、嵌入孔58aに駆動部材35が嵌入するよう試し塗布ユニット10を装着プレート33に対して位置合わせし、ベース部10aを装着プレート33に対して下降させる。
【0034】
このようにして試し塗布ユニット10が装着された状態で、シリンダ34を駆動してロッド34aが突没することにより駆動部材35は水平方向に往復動(矢印f)し、この駆動部材35の往復動は連結部材58を介してラック57に伝達される。そしてラック57が水平方向に移動することにより、ピニオン63には回転駆動力が伝達される。ピニオン63には1方向のみの回転を許容するワンウェイクラッチ機構が内蔵されており、ロッド34aが突出方向に移動する際にのみ、巻取ロール軸52aにシート巻き取り方向(矢印g)の回転が伝達されるようになっている。駆動部材35、連結部材58は、シート供給機構50とシリンダ34とを嵌脱自在に連結して、シート供給機構50に駆動力を伝達する駆動伝達手段を構成する。なお嵌入孔58a内における駆動部材35の嵌合状態は、駆動部材35の往復動方向に隙間が存在して、いわゆる「遊び代」を有する嵌合状態となっており、この遊び代を適切に設定することにより、固定ストロークのシリンダ34を駆動源として用いる構成において、シート54を巻き取るための巻取ロール軸52aの回転量を調整することができる。
【0035】
すなわち本実施の形態に示す試し塗布装置は、電子部品実装用装置に設けられた作業ユニット装着部に着脱自在に装着される試し塗布ユニット(着脱ユニット)10と、試し塗布ユニット(着脱ユニット)10に設けられ、試し塗布用のシート54上に粘性体であるペーストを試し塗布するための塗布ステージ53と、作業ユニット装着部30に備えられた駆動源としてのシリンダ34によって駆動され塗布ステージ53にシート54を供給するシート供給機構50と、シート供給機構50とシリンダ34とを嵌脱自在に連結して、シート供給機構50に駆動力を伝達する駆動伝達手段とを備えた構成となっている。
【0036】
そしてシート供給機構50は、シート54を巻回状態で供給する供給ロール54aが嵌脱自在に装着されるシート供給リール51(供給ロール装着部)と、シート供給リール51から引き出されて塗布ステージ53にて試し塗布が行われた後のシート54を巻き取る巻取ロール54bが嵌脱自在に装着されるシート巻取リール52(巻取りロール装着部)
とを備えている。
【0037】
次に図7を参照して、電子部品実装用装置において試し塗布ユニット10を対象として実行される試し塗布動作について説明する。図7(a)に示すように、作業ユニット装着部30には試し塗布ユニット10が装着され、試し塗布装置が動作可能な状態となっている。試し塗布実行に際しては、ペースト塗布ヘッド18を試し塗布ユニット10の上方に移動させ、塗布ユニット25の塗布ノズル25aを塗布ステージ53の上方に位置させる。次いで塗布ノズル25aを塗布ステージ53上に供給されたシート54に対して昇降させて(矢印h)、塗布ノズル25aからペースト26を試し塗布する。
【0038】
次いで試し塗布結果の確認を行う。すなわち図7(b)に示すように、ペースト塗布ヘッド18を移動させて、基板認識カメラ19を試し塗布されたペースト26の上方に位置させ、ペースト26を基板認識カメラ19によって撮像する。そしてこの撮像結果を認識処理部(図示省略)によって認識することにより、塗布ノズル25aによるペーストの塗布状態の成否が判定される。
【0039】
なおここでは、ペーストの塗布状態を判定することを目的とした試し塗布を試し塗布ユニット10に対して行う例を示したが、塗布状態の判定を目的とすることなく、単に塗布ノズル25aの先端部に付着したペーストを除去することや、本塗布動作を実行する前のならし動作などを目的としてペーストを塗布するいわゆる「捨て打ち」を試し塗布ユニット10を対象として実行するようにしてもよい。
【0040】
試し塗布を実行した後には、シート送りが実行される。すなわち図7(c)に示すように、ロッド34aが突出する方向にシリンダ34を駆動して駆動部材35を水平移動させる(矢印i)。これによりラック57は連結部材58を介して駆動部材35によって水平移動し、ピニオン63がラック57によって回転駆動される。そしてこの回転が巻取ロール軸52aを介してシート巻取リール52に伝達されることにより(矢印j)、シート54がシート巻取リール52によって巻き取られて、シート送り方向(矢印k)に送られる。
【0041】
上記説明したように、本実施の形態に示す電子部品実装用装置は、作業ヘッド移動機構による作業ヘッドの移動範囲内に、作業ヘッドの作業機能に応じた特定の付随動作を実行するための作業ユニットが着脱自在に装着される作業ユニット装着部30を設けている。これにより、作業ヘッドを交換して同一装置を異なる作業用に転用する際には、付随動作を実行するための作業ユニットを交換することができ、装置の転用のための作業を容易に行うことができる。
【0042】
また本実施の形態に示す粘性体の試し塗布装置は、上述の作業ユニット装着部に着脱自在に装着可能となっていることから、必要に応じて他の作業ユニットと容易に交換することができる。さらに、この構成の試し塗布装置においては、試し塗布ユニット10を作業ユニット装着部30から取り外した状態で供給ロール54a、巻取ロール54bを交換することが可能であることから、シート交換作業を作業性よく行うことができるとともに、試し塗布ユニット10を複数備えておくことにより、1つの試し塗布ユニット10を装着して使用しながら他の試し塗布ユニット10を対象としてシート交換作業を行うことができ、装置動作を停止することなくシート交換作業が可能となる。
【0043】
なお本実施の形態においては、作業ヘッドとして搭載ヘッド16、ペースト塗布ヘッド18の例を示し、これらの作業ヘッドの作業機能に応じた特定の付随動作を実行するための作業ユニットとしてノズルストッカ9、試し塗布ユニット10の例を示したが、他の種類の作業ヘッドを電子部品実装用装置に装着して使用する場合においても本発明を適用す
ることができる。
【0044】
例えば作業ヘッドとして基板を撮像するための撮像ユニットを備えた検査用撮像ヘッドを用いる場合には、特定の付随動作を実行するための作業ユニットとして、撮像ユニットに備えられた照明装置の光量測定用の反射治具が作業ユニット装着部30に装着される。すなわち、既知の反射特性を有する反射治具を作業ユニット装着部30に装着しておき、撮像ユニットの稼働時には予め定められたインターバルで撮像ユニットを作業ユニット装着部30にアクセスさせ、照明装置からの反射光をカメラによって受光して、照明装置に用いられている光源の経時劣化状態を測定する。また基板搬送機構2に設けられた基板位置決め部3として、ピンによって基板の下面を支持するピン支持方式の基板下受け装置を用いる場合には、複数種類の下受けピンを収納保持した下受けピンストッカを作業ユニット装着部30に装着するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の電子部品実装用装置は同一装置を異なる作業用に転用するのに適しているという利点を有し、また本発明の粘性体の試し塗布装置は作業性よく他種の作業ユニットと交換可能であるという利点を有し、いずれも基板に電子部品を実装して実装基板を製造する分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置の平面図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置の部分断面図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置における作業ユニット装着部の構造の説明図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置におけるノズルストッカの構造説明図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置における粘性体の試し塗布装置の構造説明図
【図7】本発明の一実施の形態の電子部品実装用装置における粘性体の試し塗布装置の動作説明図
【符号の説明】
【0047】
2 基板搬送機構
3 基板位置決め部
4 基板
5A 部品搭載機構
5B ペースト塗布機構
6 部品供給部
9 ノズルストッカ
10 試し塗布ユニット
16 搭載ヘッド
18 ペースト塗布ヘッド
19 基板認識カメラ
22A,22B 装着ベース
23 吸着ノズル
24 電子部品
25 塗布ユニット
34 シリンダ
35 駆動部材
36 センサユニット
37 ドグユニット
51 シート供給リール(供給ロール装着部)
52 シート巻取リール(巻取ロール装着部)
53 塗布ステージ
54 シート
54a 供給ロール
54b 巻取ロール
57 ラック
58 連結部材
63 ピニオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電子部品を実装して実装基板を生産する電子部品実装ラインに用いられ前記基板に対して所定の作業を実行する電子部品実装用装置であって、
前記基板を搬送路に沿って搬送する基板搬送機構と、前記搬送路に設けられ前記基板を位置決めして保持する基板位置決め部と、前記位置決めされた基板に対して前記作業を実行する作業ヘッドと、複数種類から選択されて交換自在に装着された前記作業ヘッドを前記作業を実行するために移動させる作業ヘッド移動機構と、
前記作業ヘッド移動機構による作業ヘッドの移動範囲内に設けられ、前記作業ヘッドの作業機能に応じた特定の付随動作を実行するための作業ユニットが着脱自在に装着される作業ユニット装着部とを備えたことを特徴とする電子部品実装用装置。
【請求項2】
前記作業ユニット装着部に装着された作業ユニットの種類を識別する作業ユニット識別手段と、作業ユニット識別手段の識別結果に基づいて前記作業ヘッドによる作業実行可否を判別する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電子部品実装用装置。
【請求項3】
基板に電子部品を実装して実装基板を生産する電子部品実装ラインに用いられる電子部品実装用装置において、前記基板へ粘性体を塗布する塗布作業に先立って粘性体を試し塗布する粘性体の試し塗布装置であって、
前記電子部品実装用装置に設けられた作業ユニット装着部に着脱自在に装着される着脱ユニットと、
前記着脱ユニットに設けられ、試し塗布用のシート上に粘性体を試し塗布するための塗布ステージと、前記作業ユニット装着部に備えられた駆動源によって駆動され前記塗布ステージに前記シートを供給するシート供給機構と、
前記シート供給機構と前記駆動源とを嵌脱自在に連結して前記シート供給機構に駆動力を伝達する駆動伝達手段とを備えたことを特徴とする粘性体の試し塗布装置。
【請求項4】
前記シート供給機構が、前記シートを巻回状態で供給する供給ロールが嵌脱自在に装着される供給ロール装着部と、前記供給ロール装着部から引き出されて前記塗布ステージにて試し塗布が行われた後の前記シートを巻き取る巻取ロールが嵌脱自在に装着される巻取ロール装着部とを備えたことを特徴とする請求項3記載の粘性体の試し塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−253192(P2009−253192A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102271(P2008−102271)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】