説明

電気光学装置およびその製造方法、並びに電子機器

【課題】画素領域の平坦性が改善され、画素領域で液晶分子が均一に配向し、表示ムラのない、良好な表示品質の電気光学装置を提供する。
【解決手段】第1の絶縁膜13と、第1の絶縁膜13の上に形成され、保持容量電極が配置された保持容量領域Sと、第1の絶縁膜13と保持容量電極とを覆って形成された第2の絶縁膜14と、第2の絶縁膜14の上に配置された複数の画素電極15とを備え、第1の絶縁膜13に凹部9を形成し、凹部9の底面9aに保持容量領域Sを形成する。第2の絶縁膜14の前駆体膜14aでは、下層の保持容量16の形状が反映した、保持容量領域Sで広範囲に盛り上がった凸形状が軽微になる。平坦化処理を施すことで、広範囲に盛り上がった凸形状は解消され、平坦な表面の第2の絶縁膜14を得ることができる。従って、画素領域Eでは液晶分子が均一に配向し、表示ムラのない、良好な表示品質の電気光学装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置およびその製造方法、並びに当該電気光学装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記電気光学装置として、例えば液晶プロジェクターの光変調手段として用いられるアクティブ駆動型の液晶装置が挙げられる。液晶装置は、マトリクス状に配置された画素電極、画素電極をスイッチング制御する薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;以下TFTと略す)、および画素電極に書き込まれた画像信号を保持するための保持容量などが配置された画素領域、並びに画素領域をアクティブ駆動するための走査線駆動回路、およびデータ線駆動回路などが配置された周辺領域などを有している。
この種の液晶装置では、より明るく、より高いコントラストの画像表示が好ましく、画素領域においては光を遮る要素を少なくし、且つ、保持容量を大きくし、画素電極の電位保持特性を高めることが必要となっていた。このために、特許文献1では、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透光性電極によって透明な保持容量を形成することによって、保持容量を大きくしても、画素電極の開口領域に影響しない提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−3903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の液晶装置では、保持容量を形成した領域(以下保持容量領域と称す)の外周にグローバル段差が発生し、液晶分子の配向状態が乱れ、表示ムラが発生するという課題があった。詳しくは、以下に示す課題があった。
【0005】
特許文献1では、透明な保持容量を層間絶縁膜で覆い、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下CMPと略す)によって、平坦化処理が施された層間絶縁膜の上に透明な画素電極が形成されている。この様な構造の液晶装置では、画素電極と層間絶縁膜との界面、保持容量と層間絶縁膜との界面など、異なる屈折率の材料で構成された界面において光の反射が生じる。この反射光によって多重干渉が生じ、層間絶縁膜を通過する光の強度が、層間絶縁膜の膜厚で変化する。このために、層間絶縁膜の膜厚が変化すると、表示された画像の分光透過率や色味などが変化して、表示品位が低下するという不具合になるので、層間絶縁膜を所望の膜厚に制御する必要があった。
さらに、CMPの研磨量は機械的に制御されているので、CMPの研磨量が大きい条件で層間絶縁膜を形成すると、機械的な変動が大きくなり、層間絶縁膜を所望の膜厚に制御することが難しい。このために、CMPの研磨量をなるべく小さくして、層間絶縁膜を形成する必要があった。
【0006】
ところが、CMPの研磨量を小さくすると、保持容量の形状が反映して形成された層間絶縁膜の表面凹凸、すなわち、保持容量領域における広範囲な凸形状を解消することができず、保持容量領域の外周にグローバル段差が発生した。このグローバル段差付近では液晶分子の配向状態が乱れ、表示ムラが発生するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[適用例1]
本適用例に係る電気光学装置は、第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜の上に複数の保持容量が配置された保持容量領域と、第1の絶縁膜と複数の保持容量とを覆って形成された第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜の上に複数の保持容量のそれぞれに対応して平面視で重なるように配置された複数の画素電極とを備え、第1の絶縁膜には、保持容量領域を含む領域に凹部が形成され、保持容量は凹部の底面に形成されていることを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、第1の絶縁膜に形成した凹部の底面に保持容量が形成されているので、第1の絶縁膜と保持容量とを覆って形成された第2の絶縁膜では、グローバル段差の原因となった、下層の保持容量の形状が反映した広範囲な凸形状が軽微になる。当該広範囲な凸形状は、小さな研磨量の平坦化処理で解消され、第2の絶縁膜は、グローバル段差が解消された平坦な表面となる。さらに、研磨による膜厚変化が小さいので、第2の絶縁膜を、精度よく、所望の膜厚に加工することができる。
従って、グローバル段差による液晶分子の配向状態の乱れ、および第2の絶縁膜の膜厚ばらつきによる表示不具合などが抑制され、優れた表示品質の電気光学装置を提供することができる。
【0009】
[適用例2]
上記適用例に記載の電気光学装置は、凹部の深さと凹部の底面に形成された保持容量の厚さとは略同じであることが好ましい。
【0010】
凹部の深さと保持容量の厚さとは略同じであるので、凹部周辺の第1の絶縁膜の表面と、凹部の底面に形成した保持容量の表面とは、略同じ高さになる。よって、第1の絶縁膜の上に保持容量を形成しても、表面の形状は保持容量領域で盛り上がることがない。従って、第1の絶縁膜と保持容量とを覆って形成された第2の絶縁膜では、グローバル段差の原因となった、下層の保持容量の形状が反映した広範囲な凸形状を、さらに軽微にすることができるという効果を得ることができる。
【0011】
[適用例3]
上記適用例に記載の電気光学装置は、保持容量は、画素電極に電気的に接続された第1の保持容量電極と、複数の画素電極に跨って形成され共通電位が供給された第2の保持容量電極と、第1の保持容量電極と第2の保持容量電極とで挟持された誘電体膜とを備えていることが好ましい。
【0012】
上記適用例に記載の電気光学装置は、画素電極に電気的に接続された第1の保持容量電極、複数の画素電極に跨って形成され共通電位が供給された第2の保持容量電極、および第1の保持容量電極と第2の保持容量電極とで挟持された誘電体膜によって保持容量が形成されているので、画素電極に供給される画像信号のリークが抑制され、優れた表示が提供されるという効果を得ることができる。
【0013】
[適用例4]
上記適用例に記載の電気光学装置は、凹部の底面には、第1の保持容量電極が形成されていない領域、または第2の保持容量電極が形成されていない領域の少なくとも一方で、盛り上がった凸部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【0014】
上記適用例に記載の電気光学装置は、第1の保持容量電極が形成されていない領域に発生する凹部の深さ、または第2の保持容量電極が形成されていない領域に発生する凹部の深さは、下方に配置された凸部によって小さくなる。よって、これら保持容量電極を覆って形成した第2の絶縁膜の表面凹凸は、さらに小さくなる。従って、当該第2の絶縁膜に平坦化処理を施すことによって、さらに平坦な表面に加工することができるという効果を得ることができる。
【0015】
[適用例5]
上記適用例に記載の電気光学装置は、保持容量および画素電極は透光性材料で構成されていることが形成されていることが好ましい。
【0016】
上記適用例に記載の電気光学装置は、透光性を有する保持容量と画素電極との間に形成された第2の絶縁膜は平坦で膜厚ばらつきが小さいので、第2の絶縁膜の膜厚ばらつきに起因する透過光の多重干渉が低減され、画素電極を備えた画素において高い光の透過率が実現される。さらに、保持容量によって、画素電極に供給される画像信号のリークが抑制される。
従って、明るく優れた表示品質を有する透過型液晶装置が提供されるという効果を得ることができる。
【0017】
[適用例6]
上記適用例に記載の電気光学装置は、画素電極は光反射性を有する反射材料で構成されていることが好ましい。
【0018】
上記適用例に記載の電気光学装置は、平坦で均一な膜厚の第2の絶縁膜の上に光反射性を有する画素電極が形成されているので、画素電極によって反射された光は分散することがなく、優れた光の反射特性が実現される。さらに、保持容量によって、画素電極に供給される画像信号のリークが抑制される。
従って、優れた表示品質を有する反射型液晶装置が提供されるという効果を得ることができる。
【0019】
[適用例7]
本適用例に記載の電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする。
【0020】
本適用例によれば、上記適用例に記載の電気光学装置を備えているので、高品位な表示機能を有する、例えば、プロジェクター、リアプロジェクション型テレビ、直視型テレビ、携帯電話、携帯用オーディオ機器、パーソナルコンピューター、ビデオカメラのモニター、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラなどの各種電子機器を実現することができる。
【0021】
[適用例8]
本適用例に係る電気光学装置の製造方法は、画素ごとに保持容量と画素電極とを有する電気光学装置の製造方法であって、第1の絶縁膜に凹部を形成する工程と、凹部の底面に複数の保持容量を形成する工程と、第1の絶縁膜と複数の保持容量とを覆って第2の絶縁膜を形成する工程と、第2の絶縁膜に平坦化処理を施す工程と、第2の絶縁膜の上に複数の保持容量のそれぞれに対応して平面視で重なるように複数の画素電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0022】
本適用例の製造方法によれば、第1の絶縁膜には凹部が形成され、凹部の底面には保持容量が形成されているので、第1の絶縁膜と保持容量とを覆って形成された第2の絶縁膜では、グローバル段差の原因となった、下層の保持容量の形状が反映した広範囲な凸形状が軽微になる。当該広範囲な凸形状は、小さな研磨量の平坦化処理で解消され、第2の絶縁膜は、グローバル段差が解消された平坦な表面となる。さらに、研磨による膜厚変化が小さいので、第2の絶縁膜を、精度よく、所望の膜厚に加工することができる。
従って、グローバル段差による液晶分子の配向状態の乱れ、および第2の絶縁膜の膜厚ばらつきによる表示不具合などが抑制され、優れた表示品質の電気光学装置を提供することができる。
【0023】
[適用例9]
上記適用例に記載の電気光学装置の製造方法は、第1の絶縁膜に凹部を形成する工程は、異方性ドライエッチングにより凹部を形成する工程であることが好ましい。
【0024】
上記適用例に記載の電気光学装置の製造方法は、異方性ドライエッチングによって平坦な底面の凹部を形成することができる。凹部の平坦な底面の上に形成された保持容量および第2の絶縁膜は、膜厚ばらつきの少ない、均一な膜となる。さらに、凹部の底面の平坦な形状が反映され、第2の絶縁膜は凹凸の少ない表面形状となるので、小さな研磨量の平坦化処理で平坦化できるという効果を得ることができる。さらに、研磨による膜厚変化が小さいので、第2の絶縁膜を、より精度よく、所望の膜厚に加工できるという効果も得ることができる。
【0025】
[適用例10]
上記適用例に記載の電気光学装置の製造方法は、第2の絶縁膜に平坦化処理を施す工程は、研磨工程と、研磨工程の後で研磨面をエッチングする工程とを含むことが好ましい。
【0026】
上記適用例に記載の電気光学装置の製造方法は、研磨で生じた微小なスクラッチ傷をエッチングで低減することができるという効果を得ることができる。さらに、研磨工程で生じた研磨量のばらつきを、研磨面をエッチングする工程で調整できるので、第2の絶縁膜をより精度よく、所望の膜厚に加工できるという効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は画素の構成を示す等価回路図。
【図2】図1(a)のH−H’線で切った概略断面図。
【図3】(a)は走査線とデータ線との交差部付近の画素の拡大平面図、(b)は保持容量と画素電極とのコンタクト部付近の画素の拡大平面図。
【図4】図3(a)のA−A’線で切った画素の構造を示す概略断面図。
【図5】(a)〜(b)図2のK部の製法における工程態様図。
【図6】(c)〜(e)図2のK部の製法における工程態様図。
【図7】(a)〜(b)図3(a)のA−A’線の画素部の製法における工程態様図。
【図8】(c)〜(e)図3(a)のA−A’線の画素部の製法における工程態様図。
【図9】層間絶縁膜の表面形状を示すグラフ。
【図10】電子機器としてのプロジェクターの構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0029】
(実施形態)
<液晶装置の概要>
まず、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置の概要を、図1と図2とを参照して説明する。図1(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、同図(b)は画素の等価回路図である。図2は、図1(a)のH−H’線(視)で切った液晶装置の概略断面図である。
【0030】
図1(a)と図2に示すように、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置100は、対向配置された素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10および対向基板20は、透明な、例えば石英基板やガラス基板などが用いられている。
【0031】
基板としての素子基板10は対向基板20よりも一回り大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材40を介して接合され、その隙間に負の誘電異方性を有する液晶が封入され、液晶層50が構成されている。シール材40は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
【0032】
額縁状に配置されたシール材40の内側には、同じく額縁状の遮光膜21が形成されている。遮光膜21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜21の内側が画素領域Eとなっている。画素領域Eには、マトリクス状に画素Pが複数配置されている。画素領域Eは、表示に寄与する有効な複数の画素Pを囲むように配置された複数のダミー画素を含んでいるとしてもよい。なお、図1では図示省略したが、画素領域Eにおいても複数の画素Pを平面的に区分する遮光部が形成されている。
【0033】
対向基板20には、遮光膜21と、これを覆うように成膜された層間絶縁膜22と、層間絶縁膜22を覆うように形成された対向電極23と、対向電極23を覆う配向膜24とが形成されている。
【0034】
遮光膜21は、図1(a)に示すデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102、および検査回路103などと平面的に重なる位置において額縁状に形成されている。層間絶縁膜22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜21を覆うように形成されている。対向電極23は、例えばITOなどの透明導電膜からなり、対向基板20の略全面に形成され、図1(a)に示すように対向基板20の四隅に形成された上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
【0035】
画素電極15を覆う配向膜18と、対向電極23を覆う配向膜24とは、斜め蒸着された無機配向膜であり、SiO2、SiO、MgF2などからなる。上述した配向膜18、24によって、負の誘電異方性を有する液晶層50は、配向膜18、24の表面において略垂直に配向し、例えば非駆動時に暗表示となる、ノーマリーブラックモードの表示が提供される。
【0036】
素子基板10には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、検査回路103、画素Pなどが形成されている。
【0037】
素子基板10の1辺部に沿ったシール材40と該1辺部との間にデータ線駆動回路101が形成されている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材40の内側に検査回路103が形成されている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材40の内側に走査線駆動回路102が形成されている。該1辺部と対向する他の1辺部のシール材40の内側には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が形成されている。これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続用端子104に接続されている。
【0038】
以降、該1辺部に沿った方向をX方向として、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として、および液晶装置100の厚さ方向をZ方向として説明する。また、Y(+)側を上、Y(−)側を下と定義する。
【0039】
図1(b)に示すように、画素Pには、スイッチング素子としてのTFT30、画素電極15、および保持容量16がそれぞれ形成されている。TFT30は、電界効果型のN型トランジスターである。各TFT30において、ゲート端子は対応する走査線3aに接続され、ソース端子は対応するデータ線6aに接続され、ドレイン端子は画素電極15に接続されている。詳しくは後述するが、保持容量16を構成する一対の透光性電極のうちの一方は共通電位が供給される容量線3bとして機能し、他方はドレイン端子に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnが画素Pに供給される。走査線3aは走査線駆動回路102に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmが各画素Pに供給される。
【0040】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態になったタイミングで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された対向電極23との間で一定期間保持される。保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを抑制するため、画素電極15と対向電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。
【0041】
図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっている。
【0042】
<素子基板の層構造>
次に、図2を参照して、素子基板10に形成された本発明の特徴となる構成要素の層構造を説明する。また、本発明の特徴点を分かりやすくするために、図2では本発明の特徴となる構成要素のみを示し、それ以外の構成要素、例えば、走査線3a、データ線6a、下地絶縁膜10a、ゲート絶縁膜11a、第1層間絶縁膜12などは図示されていない。
【0043】
TFT30、データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、および検査回路103の上方には、第1の絶縁膜13を介して、保持容量16、額縁状の補助容量線3b1などが形成されている。保持容量16の上方には、第2の絶縁膜14を介して、画素電極15、配向膜18などが形成されている。また、TFT30と、保持容量16と、画素電極15とは一対一で電気的に接続されている。
【0044】
画素電極15が配置された領域は、画素領域Eとなる。保持容量電極16aと補助容量線3b1とが配置された領域は、保持容量領域Sとなる。また、図2に示すように保持容量領域Sの下側をS1、上側をS2と定義する。保持容量領域Sの外周縁部には容量線3b(図示省略)や補助容量線3b1などが配置されているために、保持容量領域Sは画素領域Eより広くなっている。
【0045】
第1の絶縁膜13には、凹部9が形成されている。第1の絶縁膜13の凹部9の底面9aには、保持容量16が形成されている。第1の絶縁膜13の凹部9の周辺には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、および検査回路103などが形成されている。
保持容量16は一対の透光性電極と誘電体膜とで構成されており、詳細は後述する。
TFT30には複数の構成要素が積層されており、詳細は後述する。データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、および検査回路103は、TFT30を形成する工程を利用し、TFT30と同一機会に形成されているので、TFT30と同じ積層構造になっている。
【0046】
<画素の具体的な構成>
次に、図3と図4とを参照して、画素Pの構成を詳細に説明する。
図3(a)は、走査線3aとデータ線6aとの交差部付近の画素Pの拡大平面図である。図3(b)は、保持容量16と画素電極15とのコンタクト部付近の画素Pの拡大平面図である。図4は、図3(a)のA−A’線(視)で切った画素Pの断面図である。
【0047】
図3(a)に示すように、画素Pは、走査線3aとデータ線6aの交差部付近に形成されたTFT30を有している。TFT30は、データ線側ソース・ドレイン領域30sと、チャネル領域30cと、画素電極側ソース・ドレイン領域30dと、データ線側ソース・ドレイン領域30sとチャネル領域30cとの間に形成された接合領域30eと、チャネル領域30cと画素電極側ソース・ドレイン領域30dとの間に形成された接合領域30fとを有するLDD(Lightly Doped Drain)構造の半導体層30aを有している。半導体層30aは上記交差部を通過して、走査線3aと重なるように配置されている。
【0048】
走査線3aはデータ線6aとの交差部において、X、Y方向に拡張された平面視で四角形の拡張部を有している。当該拡張部に平面的に重なると共に接合領域30fおよび画素電極側ソース・ドレイン領域30dと重ならない開口部を有する折れ曲がった形状のゲート電極30gが形成されている。
【0049】
ゲート電極30gは、Y方向に延在した部分が平面的にチャネル領域30cと重なっている。また、チャネル領域30cと重なった部分から折り曲げられてX方向に延在し、互いに対向する部分がそれぞれ走査線3aの拡張部との間に形成されたコンタクトホールCNT3,CNT4によって、走査線3aと電気的に接続している。
【0050】
コンタクトホールCNT3、CNT4は、平面視でX方向が長い矩形状であって、半導体層30aのチャネル領域30cと接合領域30fとに沿って接合領域30fを挟むように両側に形成されている。
【0051】
データ線6aは、Y方向に延在すると共に、走査線3aとの交差部において同じく四角形の拡張部を有し、当該拡張部からX方向に突出した突出部6cに形成されたコンタクトホールCNT1によってデータ線側ソース・ドレイン領域30sと電気的に接続している。コンタクトホールCNT1を含む部分がソース電極31となっている。一方、画素電極側ソース・ドレイン領域30dの端部にもコンタクトホールCNT2が形成されており、コンタクトホールCNT2を含む部分がドレイン電極32となっている。
【0052】
走査線3aの延在方向(X方向)において、コンタクトホールCNT2に隣り合うようにコンタクトホールCNT6,CNT5,CNT7が形成されている。コンタクトホールCNT2とコンタクトホールCNT5とは島状に形成された第1中継電極6bを介して電気的に接続されている。コンタクトホールCNT6とコンタクトホールCNT7とは同じく島状に形成された第2中継電極7bを介して電気的に接続されている。
【0053】
図3(b)に示すように、画素電極15は、コンタクトホールCNT7との電気的な接続を図るための突出部15aを有している。画素電極15は、X方向に延在した走査線3aと、Y方向に延在したデータ線6aとで四角形に区画された領域に形成され、略四角形の島状となっている。
【0054】
保持容量16は、一対の透光性電極としての第1電極16aと第2電極16c、および一対の透光性電極で挟持された誘電体膜16bを有している。
第1電極16aは、画素電極15と平面的に重なるように、島状に形成されている。第1電極16aはコンタクトホールCNT6との電気的な接続を図るための突出部16aaを有している。コンタクトホールCNT6とCNT7とによって、第1電極16aと画素電極15とは電気的に接続され、画像信号が供給されている。
【0055】
これに対して、第2電極16cは、X方向およびY方向にマトリクス状に配置された複数の画素Pに跨り、保持容量領域Sの略全面に形成されている。第2電極16cは、画素Pごとに開口部16chを有し、第1電極16aが電気的に接続されるコンタクトホールCNT6と、画素電極15が電気的に接続されるコンタクトホールCNT7とに重ならないようになっている。第1電極16aと平面的に重なった領域の第2電極16cは、保持容量16を構成する保持容量電極となる。第1電極16aと平面的に重なっていない領域の第2電極16cは、容量線3bとなる。第2電極16cには、保持容量領域Sの外周縁部で共通電位Vcomが供給されている。
【0056】
画素領域Eの外周には、第2電極16cと額縁状の補助容量線3b1(図2参照)とが形成されている。上述したように、第2電極16cは保持容量領域Sの略全面に形成され、略四角形の形状となっている。画素領域Eの外周の第2電極16cは、容量線3bとして機能する。補助容量線3b1は第1電極16aと同一機会に形成され、画素領域Eの外周を囲む額縁形状となっている。補助容量線3b1は、画素領域Eの外周の容量線3bの抵抗を下げるために形成され、第2電極16cと平面的に重なり、誘電体膜16bに形成したコンタクトホール(図示省略)を介して、第2電極16cと電気的に接続している。
【0057】
ここで、第1電極16aは、本発明の「画素電極に電気的に接続された第1の保持容量電極」の一例である。第2電極16cは、「画素電極に跨って形成され、共通電位が供給された第2の保持容量電極」の一例である。誘電体膜16bは、本発明の「第1の保持容量電極と第2の保持容量電極とで挟持された誘電体膜」の一例である。
【0058】
次に、図4を参照して画素Pの層構造の詳細を説明する。
図4に示すように、素子基板10上には、まず走査線3aが形成される。走査線3aは、半導体層30aを遮光する遮光膜を兼ねており、例えばAl、Ti、Cr、W、Ta、Moなどの金属のうちの少なくとも1つを含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、ナイトライド、あるいはこれらが積層されたものを用いることができ、遮光性を有している。
【0059】
走査線3aを覆うように、例えば酸化シリコンなどからなる下地絶縁膜10aが形成され、下地絶縁膜10a上に島状に半導体層30aが形成される。半導体層30aは例えば多結晶シリコン膜からなり、不純物イオンが注入されて、上述したデータ線側ソース・ドレイン領域30s、接合領域30e、チャネル領域30c、接合領域30f、画素電極側ソース・ドレイン領域30dを有するLDD構造が形成されている。
【0060】
半導体層30aを覆うように例えば酸化シリコンなどからなる第1絶縁膜(ゲート絶縁膜)11aが形成される。さらに第1絶縁膜11aを挟んでチャネル領域30cに対向する位置にゲート電極30gが形成される。ゲート電極30gは例えば多結晶シリコン膜を用いて形成することができ、同時に下地絶縁膜10aと第1絶縁膜11aとを貫通して走査線3a(拡張部)とゲート電極30gとを電気的に接続するコンタクトホールCNT3、CNT4(図示省略)も形成される。
【0061】
ゲート電極30gと第1絶縁膜11aとを覆うようにして、例えば酸化シリコンなどからなる第2絶縁膜11bが形成される。半導体層30aのデータ線側ソース・ドレイン領域30sに重なる第1絶縁膜11aと第2絶縁膜11bとを貫通するコンタクトホールCNT1が形成される。同じく、半導体層30aの画素電極側ソース・ドレイン領域30dに重なる第1絶縁膜11aと第2絶縁膜11bとを貫通するコンタクトホールCNT2が形成される。続いて、第2絶縁膜11bを覆うように例えばAlなどの遮光性の金属からなる導電膜を成膜してパターニングすることにより、データ線側ソース・ドレイン領域30sにコンタクトホールCNT1を介して電気的に接続されるデータ線6aが形成される。同時に、画素電極側ソース・ドレイン領域30dにコンタクトホールCNT2を介して電気的に接続される第1中継電極6bが形成される。
【0062】
続いて、データ線6aおよび第1中継電極6bを覆うように第1層間絶縁膜12が形成される。第1層間絶縁膜12は、例えばシリコンの酸化物や窒化物あるいは酸窒化物からなり、TFT30が形成された領域を覆うことによって生ずる表面の凹凸を平坦化する平坦化処理が施される。具体的には、CMPによって、平坦化処理が施されている。
【0063】
第1中継電極6bと重なる位置に第1層間絶縁膜12を貫通するコンタクトホールCNT5が形成される。このコンタクトホールCNT5を被覆すると共に第1層間絶縁膜12を覆うように例えばAlなどの遮光性の金属からなる導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、配線7aと、コンタクトホールCNT5を介して第1中継電極6bに電気的に接続される第2中継電極7bとが形成される。
配線7aは、平面的にTFT30の半導体層30aやデータ線6aと重なるように形成され、固定電位が与えられてシールド層として機能するものである。
【0064】
配線7aと第2中継電極7bとを覆うように第2層間絶縁膜13が形成される。第2層間絶縁膜13は、本発明の「第1の絶縁膜」の一例である。第2層間絶縁膜13は、ボロンシリケートガラス(以下、BNSGと略す)である。第2層間絶縁膜13はCMPによって、平坦化処理が施されている。
平坦化処理が施された第2層間絶縁膜13には、ドッライエッチングを用いたフォトエッチングプロセスによって、第2図に示す凹部9(図2参照)が形成される。凹部9は平坦な底面9aを有しており、凹部9は本発明の「第1の絶縁膜に形成された凹部」の一例である。
【0065】
凹部9の平坦な底面9aには、第2中継電極7bと重なる位置に第2層間絶縁膜13を貫通するコンタクトホールCNT6が形成される。このコンタクトホールCNT6を被覆すると共に第2層間絶縁膜13を覆うように、例えばITOなどの透明導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、突出部16aaを有する第1電極16aが形成される。第1電極16aは突出部16aaおよびコンタクトホールCNT6を介して第2中継電極7bと電気的に接続される。
【0066】
第1電極16aのうち少なくとも第2電極16cと対向する部分に誘電体膜16bが成膜される。誘電体膜16bはアルミナ(Al23)である。誘電体膜16bとしては、アルミナ(Al23)の他に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta25)などの単層膜、またはこれらの単層膜のうち少なくとも2種の単層膜を積層した多層膜を用いることができる。厚みは、電気容量を考慮して20nm〜40nmとする。誘電体膜16bは、このように極薄い薄膜であり、可視光に対して高い透明性を有している。
【0067】
誘電体膜16bを覆うように例えばITOなどの透明導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、第2の保持容量電極および容量線3bとして機能する第2電極16cが形成される。これによって、誘電体膜16bを挟んで第1電極16aと第2電極16cとが対向配置され、透明な保持容量16が構成される。
【0068】
保持容量16を覆って第3層間絶縁膜14が形成される。第3層間絶縁膜14は、本発明の「第2の絶縁膜」の一例である。第3層間絶縁膜14はシリコン酸化膜である。第3層間絶縁膜14には、CMPによって平坦化処理が施されている。
【0069】
次に、第2中継電極7bと重なる位置に第2層間絶縁膜13および第3層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホールCNT7が形成される。コンタクトホールCNT7を被覆すると共に、第3層間絶縁膜14を覆う例えばITOなどの透明導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、コンタクトホールCNT7を介して第2中継電極7bに電気的に接続される画素電極15が形成される。
【0070】
このような素子基板10の配線構造によれば、TFT30のドレイン電極32は、第1中継電極6b、コンタクトホールCNT5、第2中継電極7b、コンタクトホールCNT7を介して画素電極15と電気的に接続される。また、第1中継電極6b、コンタクトホールCNT5、第2中継電極7b、コンタクトホールCNT6を介して保持容量16の第1電極16aと電気的に接続される。
【0071】
<液晶装置の製造方法>
次に、図5〜図8を参照して、本実施形態の液晶装置の製造方法における特徴部分である素子基板の製造工程について説明する。
図5と図6とは、図2のK部、すなわち、保持容量領域Sの下側に形成された凹部9の側壁付近の断面構造を、図7と図8とは図3のA−A’線に沿った画素Pの断面構造を、製造工程ごとに示している。また、図5〜図8では、公知の技術を用いて形成した第2層間絶縁膜13より前の製造工程は省略され、本発明の特徴となる第2層間絶縁膜13の形成工程以降の製造工程が示されている。
【0072】
第2層間絶縁膜13を形成する工程では、図5(a)および図7(a)に示すように、CMPによる平坦化処理によって、平坦な表面を有する第2層間絶縁膜13を所望の膜厚で形成する。
詳しくは、最初に第2層間絶縁膜13の前駆体膜となるBNSGを、例えばTEB(テトラ・エチル・ボートレート)ガスなどを用いた常圧又は減圧CVD法などにより、概略3000nm〜5000nmの膜厚で形成する。次にCMPにより平坦化処理を施し、概略700nm〜1000nmに研磨し、平坦な表面の第2層間絶縁膜13を形成している。
【0073】
CMPでは、研磨液に含まれる化学成分の化学的作用と、研磨剤と素子基板10との相対移動による機械的作用との兼ね合いによって、高速で平坦な研磨面を得ることができる。より具体的には、CMPでは、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等からなる研磨布(パッド)を貼り付けた定盤と、素子基板10を保持するホルダーとを相対回転させながら、研磨を行なう。
【0074】
TFT30、データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、検査回路103、配線などの表面凹凸が影響し、これらを覆って形成した第2層間絶縁膜13の前駆体膜の表面にも凹凸が発生している。上述したように、前駆体膜の膜厚を厚くし、CMPによる研磨量が大きい条件では、前駆体膜の凹凸は解消され、平坦な表面の第2層間絶縁膜13が得られる。
【0075】
凹部9を形成する工程では、図5(b)および図7(b)に示すように、第2層間絶縁膜13に平坦な底面9aを有する凹部9を、保持容量領域Sよりも広い領域に形成する。
凹部9は、フォトリソプロセスで形成したレジストをマスクにして、例えば、CF4、C26などのCF系ガスを用いて、第2層間絶縁膜13をエッチングすることで形成される。エッチング量、すなわち、凹部9の深さは概略200nm〜400nmである。
【0076】
エッチングによって凹部9の底面9aの平坦性が悪くなると、その上に形成した第3層間絶縁膜14の膜厚も変化し、表示ムラや色味ばらつきなどの表示上の不具合となるので、凹部9の底面9aは平坦にすることが重要である。すなわち、第2層間絶縁膜13を均一にエッチングし、平坦な底面9aを形成することが重要である。このためには、凹部9を形成するエッチング方法として、反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチングなどの異方性ドライエッチングが好ましい。例えば、ウエットエッチング、指向性なくエッチングガスが供給される等方性ドライエッチングでは、エッチング面の平坦性が損なわれるので、好ましくない。
【0077】
更に、エッチング除去すべき膜面に、上述のレジストが残存していると、その領域はエッチングされず、凹部9の底面9aの平坦性が著しく損なわれるために、エッチング領域のレジストを完全に除去することも重要である。このためには、フォトリソ条件をレジスト残りが発生しない適正条件に維持管理することが重要である。レジスト残りを確実になくすために、例えば、O2プラズマによるディスカム処理や、現像の2回処理などの追加処理を実施しても良い。
凹部9を形成した後、公知の技術を用いて第2層間絶縁膜13に、図7(b)に示すコンタクトホールCNT6を形成する。
【0078】
保持容量形成工程では、図6(c)および図8(c)に示すように、凹部9の平坦な底面9aに保持容量16を形成する。
図8(c)に示すように、画素領域Eには、スパッタ法で形成された膜厚100〜200nmのITOからなる第1電極16aと、膜厚20nm〜40nmのアルミナからなる誘電体膜16bと、スパッタ法で形成された膜厚100nm〜200nmのITOからなる第2電極16cとが、この順に積層され、保持容量16を構成する。誘電体膜16bは第1電極16aの端面を覆い、第2電極16cは誘電体膜16bの端面を覆い、第1電極16aの端面においても保持容量16が形成されるようになっている。また、第1電極16aと、第2電極16cと、誘電体膜16bとの膜厚を合計した値が、保持容量16の厚さとなる。保持容量16の厚さは、概略200nm〜400nmである。
次工程で形成する第3層間絶縁膜14の前駆体膜14aの表面形状に影響する凹凸、特に、グローバル段差の原因となる保持容量領域Sにおける広範囲な凸形状を軽微にすることが目的であるので、凹部9の深さと、保持容量16の厚さとは略同じであることが好ましい。
【0079】
図6(c)に示すように、凹部9の底面9aには、補助容量線3b1と、誘電体膜16bと、容量線3bとして機能する第2電極16cとが、この順で積層されている。誘電体膜16bは第1電極16aの端面を覆い、第2電極16cは誘電体膜16bの端面を覆っている。
誘電体膜16bは、公知のドライエッチング技術を用いてパターニングされる。例えば、誘電体膜16bと第2層間絶縁膜13とを同じ材料で構成した場合に、誘電体膜16bのエッチングで第2層間絶縁膜13が侵されるので、凹部9の底面9a、凹部9の側壁、および凹部9の周辺を、誘電体膜16bで覆うことが必要となる。
本実施形態においても、誘電体膜16bを第1電極16aよりも広くし、凹部9の底面9a、凹部9の側壁、および凹部9の周辺を、誘電体膜16bで覆う構成としても良い。
【0080】
第3層間絶縁膜形成工程では、最初に、図6(d)および図8(d)に示すように、第3層間絶縁膜14の前駆体となる前駆体膜14aを形成する。前駆体膜14aは酸化シリコンであり、TEOS(テトラ・エチル・オルソ・シリケート)ガスなどを用いた常圧又は減圧CVD法などにより、概略700nm〜1000nmの膜厚で形成する。
【0081】
図6(d)に示すように、凹部9の側壁と保持容量16の端面との間の領域において、前駆体膜14aには、下地の形状が影響し、深さd1の窪みが発生する。深さd1は、保持容量16の厚さ(または、凹部9の深さ)と略同じであり、概略200nm〜400nmである。すなわち、凹部9の側壁と保持容量16の端面との間隔に相当する幅で、概略200nm〜400nmの深さの額縁形状の窪みが、保持容量領域Sの外周に形成される。
この額縁形状の窪みの面積、すなわち凹部9の側壁と保持容量16の端面との間隔は、なるべく小さいほうが好ましい。
【0082】
図8(d)に示すように、第2電極16cの開口部16chおよび第1電極16aの端部においても、これら下地膜の形状が反映し、前駆体膜14aに最大深さd1の窪みが、画素領域Eの画素Pごとに規則的に形成される。この画素Pごとに規則的に形成された窪みを、ローカル段差と定義する。
【0083】
このように、本実施形態の前駆体膜14aには、保持容量領域Sの外周に形成された額縁形状の窪み、および画素領域Eの画素Pごとに規則的に形成された窪み(ローカル段差)が形成される。
【0084】
次に、図6(e)および図8(e)に示すように、前駆体膜14aにCMPによる平坦化処理を施し、第3層間絶縁膜14を所望の膜厚に研磨加工する。画素Pの第3層間絶縁膜14には、図8(e)に示すように、公知の技術を用いてコンタクトホールCNT7を形成した後に、スパッタ法で膜厚100〜200nmのITOを堆積し、公知の技術を用いてパターニングすることで、コンタクトホールCNT7を覆う画素電極15を形成する。
【0085】
屈折率が異なる材料で構成された界面、例えば、第3層間絶縁膜14と画素電極15との界面、第3層間絶縁膜14と第2電極16cとの界面などで光の反射が生じる、詳しくは光の多重反射が生じる。これら反射光による多重干渉で、第3層間絶縁膜14を通過する光の強度が変化する。すなわち、第3層間絶縁膜14の膜厚が変化すると、液晶装置100における出射光の強度が変化することになる。例えば、同じパネル内で第3層間絶縁膜14の膜厚がばらついた場合には、表示ムラになる。例えば、異なるパネル間で第3層間絶縁膜14の膜厚が異なる場合には、表示された画像の色味が異なるという色味ばらつきになる。このために、第3層間絶縁膜14の膜厚は、所望の膜厚になるように制御する必要がある。
【0086】
図5(a)と図7(a)とに示された、第2層間絶縁膜13を形成する工程では、前駆体膜を厚く形成し、CMPで前駆体膜を大きく研磨することで、平坦な表面の第2層間絶縁膜13を形成した。しかしながら、CMPは機械的に研磨加工する手法であるために、どうしても研磨量に機械的な変動が生じる。このために、前駆体膜を厚く形成し、CMPで大きく研磨するという方法では、所望の膜厚に制御することが難しい。そこで、第3層間絶縁膜14の前駆体膜14aの膜厚は、第2層間絶縁膜の前駆体膜の膜厚よりも小さくし、CMPの研磨量を小さくすることで、所望の膜厚の第3層間絶縁膜14を形成している。
【0087】
化学的に減膜するエッチング法は、機械的に減膜(研磨)するCMPと比較して、減膜量を精度よく制御することができる。このために、前駆体膜14aを、CMPによってある程度減膜し、エッチング法で減膜量を調整することによって、より精度よく、所望の膜厚に制御することができる。すなわち、前駆体膜14aに施す平坦化処理は、最初にCMPによる研磨工程で前駆体膜14aの凹凸を解消し、次に研磨面をエッチングし、このエッチング条件を調整することで所望の膜厚に仕上げるという方法が好ましい。
このようなエッチング法には、例えば、HF(フッ化水素)に所定の時間浸漬する方法がある。また、反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチングなどのドライエッチングで、所望の膜厚に減膜することも可能である。更に、エッチング法では、CMPで発生する微小なスクラッチ傷が低減され、より平滑な表面を得ることができる。
【0088】
<層間絶縁膜の平坦性>
次に、図9を参照して、本実施形態で形成した第3層間絶縁膜14の平坦性を説明する。
図9(a)は平坦化処理を施す前の表面形状、図9(b)は平坦化処理を施した後の表面形状を示している。横軸は距離(Y方向の長さ)、縦軸は高さ(Z方向の長さ)を示す。
【0089】
図9(a)に示すように、平坦化処理前の前駆体膜14aには、保持容量領域Sの両端、すなわち、横軸のS1(保持容量領域Sの下側)とS2(保持容量領域Sの上側)において、深さd1(概略200nm〜400nm)の窪みが発生している。また、凹部9の深さと保持容量16の厚さとは略同じであるので、グローバル段差の原因となった、保持容量領域Sにおける広範囲な凸形状は発生していないことが分かる。
なお、図9(a)は、上述した画素Pごとに規則的に形成された窪み(ローカル段差)を省略している。
【0090】
図9(b)に示すように、CMPによる平坦化処理を施すことによって、保持容量領域Sの窪みは解消され、ほぼ平坦な面になっている。厳密には、保持容量領域Sの中央付近(画素領域Eの中央付近)でやや窪んだ、緩やかな傾斜の凹曲面となっている。また、保持容量領域の凹凸の高低差は、概略50nm以下である。
このように、前駆体膜14aに平坦化処理を施すことによって、概略200nm〜400nmの凹凸が、概略50nm以下の凹凸に低減されていることが分かる。
【0091】
画素領域Eで発生した緩やかな傾斜の凹曲面は、画素領域Eのローカル段差が原因しているものと考えられる。
一般的に、CMPでは、表面凹凸が多い領域で早く研磨が進行し、表面凹凸が少ない領域で遅く研磨が進行する傾向にある。本実施形態のCMP処理においても、ローカル段差が発生している画素領域Eで早く研磨が進行し、ローカル段差がない周辺領域で遅く研磨が進行する傾向にある。さらに、画素領域Eの外周縁部は、ローカル段差のない周辺領域の影響を受けて、画素領域Eの中央付近よりも遅く研磨が進行するものと考えられる。すなわち、画素領域Eでは、外周縁部に近づくに従って、周辺領域の影響が大きくなり、徐々に研磨が遅く進行するものと考えられる。このような画素領域E内における研磨速度の不均一が原因となって、画素領域Eの研磨面に、緩やかな傾斜面の凹曲面が発生するものと考えられる。
【0092】
但し、画素領域Eの緩やかな傾斜面の凹曲面は、液晶分子の配向状態に影響することはなく、画素領域Eの全体で均一な表示となっている。さらに、画素領域Eの外周にグローバル段差は発生していないので、画素領域Eの外周縁部も表示ムラが抑制された、良好な表示となっている。
以上述べたように、本実施形態に係る液晶装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0093】
(1)第2層間絶縁膜13に平坦な底面9aを有する凹部9を設け、凹部9の平坦な底面9aに保持容量16を形成し、凹部9の深さと保持容量16の厚さとを略同じにすることによって、第3層間絶縁膜14では、グローバル段差の原因となった、保持容量領域Sにおける広範囲な凸形状が解消される。
詳しくは、第2層間絶縁膜13と保持容量16とを覆って形成された、第3層間絶縁膜14の前駆体膜14aにおいて、グローバル段差の原因となった、下層の保持容量16の形状が反映した広範囲な凸形状が軽微になる。よって、第3層間絶縁膜14の前駆体膜14aに、小さな研磨量のCMP処理であっても、グローバル段差が解消された、平坦な表面の第3層間絶縁膜14を得ることができる。更に、CMPの研磨量を小さくできるので、CMPによる機械的な研磨量の変動が小さくなり、より精度よく、所望の膜厚に第3層間絶縁膜14を加工することができる。
【0094】
従って、グローバル段差に起因する表示ムラ、および第3層間絶縁膜14の膜厚変化に起因する表示ムラや色味ばらつきなどが抑制され、優れた表示品質の液晶装置100が提供される。
【0095】
(2)第2層間絶縁膜13を異方性ドライエッチングで加工することによって、より平坦な底面9aを有する凹部9を形成することができる。より平坦な底面9aの上に形成した保持容量16、および保持容量16の上に形成した第3層間絶縁膜14の前駆体膜14aも、より平坦な表面を有することになる。このような前駆体膜14aに平坦化処理を施すことによって、より平坦な表面で、より均一な膜厚の第3層間絶縁膜14を形成することができる。
【0096】
従って、第3層間絶縁膜14の表面凹凸や膜厚ばらつきなどに起因する表示ムラが抑制された、優れた表示品質の液晶装置100が提供される。
【0097】
(3)CMPで研磨処理した後に、研磨面をエッチング処理するという方法で、第3層間絶縁膜14の前駆体膜14aに平坦化処理を施すことによって、研磨処理で発生した微小なスクラッチ傷が低減され、より平滑な第3層間絶縁膜14を形成することができる。さらに、エッチングで最終膜厚を調整できるので、第3層間絶縁膜14を、より高精度で、所望の膜厚に加工することができる。
【0098】
従って、第3層間絶縁膜14の膜厚ばらつきに起因する表示ムラ、色味ばらつきなどが抑制され、優れた表示品質の液晶装置100が提供される。
【0099】
<電子機器>
次に図10を参照して、本実施形態に係る電気光学装置としての液晶装置を備えた電子機器の例について説明する。図10は、電子機器としての3板式プロジェクターの構成を示す平面図である。
【0100】
プロジェクター2100において、超高圧水銀ランプで構成される光源2102から出射された光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bに導かれ、ライトバルブに入射する。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0101】
ライトバルブ100R、100Gおよび100Bの構成は、上述した実施形態における液晶装置100が適用されたものであり、外部上位装置(図示省略)から供給されるR、G、Bの各色に対応する画像データでそれぞれ駆動される。
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、このダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折する一方、G色の光は直進する。ダイクロイックプリズム2112において合成されたカラー画像を表す光は、レンズユニット2114によって拡大投射され、スクリーン2120上にフルカラー画像が表示される。
【0102】
なお、ライトバルブ100R、100Bの透過像がダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射されるため、ライトバルブ100R、100Bにより形成される画像と、ライトバルブ100Gにより形成される画像とが左右反転の関係になるように設定されている。
【0103】
本実施形態の電子機器としてのプロジェクター2100は、ライトバルブ100R,100G,100Bとして上記実施形態の液晶装置100が用いられているので、明るく見栄えのよいフルカラー画像を投射することができる。
【0104】
また、電子機器としては、図10を参照して説明したプロジェクターの他にも、リアプロジェクション型テレビ、直視型テレビ、携帯電話、携帯用オーディオ機器、パーソナルコンピューター、ビデオカメラのモニター、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラなどが挙げられる。そして、これらの電子機器に対しても、本発明に係る液晶装置100を適用させることができる。
【0105】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0106】
(変形例1)
上記実施形態では、異方性ドライエッチングによって第2層間絶縁膜13に形成した凹部9の平坦な底面9aに、画像信号が供給された複数の第1の保持容量電極16aと、共通電位が供給された第2の保持容量電極16cとを形成した。
第1の保持容量電極16aと隣り合う第1の保持容量電極16aとの間隙、すなわち、第1の保持容量電極16aが形成されていない領域では、第1の保持容量電極16aの厚さに相当する深さの凹部が形成されている。さらに、第2の保持容量電極16cで画素Pごとに形成された開口部16ch、すなわち、第2の保持容量電極16cが形成されていない領域でも、第2の保持容量電極16cの厚さに相当する深さの凹部が形成されている。
【0107】
上述した第1の保持容量電極16a、および第2の保持容量電極16cによって発生する凹部の下方には、これら凹部を軽微にする凸部を形成しても良い。すなわち、異方性ドライエッチングによって第2層間絶縁膜13に形成した凹部9の平坦な底面9aに、部分的に盛り上がった凸部を形成しても良い。このような凸部は、下記に示す方法で形成することができる。
【0108】
(1)最初に、凹部9を形成する領域の第2層間絶縁膜13が、第1の保持容量電極16aと誘電体膜16bとの合計膜厚に相当する深さでエッチングされるように、異方性ドライエッチングで最初のエッチング処理を行う。
(2)次に、第1の保持容量電極16aが形成されていない領域と、第2の保持容量電極16cが形成されていない領域とをレジストで覆い、これ以上エッチングされないようにする。そして、第1の保持容量電極16aが形成された領域の第2層間絶縁膜13と、第2の保持容量電極16cが形成された領域の第2層間絶縁膜13とが、第2の保持容量電極16cの膜厚に相当する深さでエッチングされるように、異方性ドライエッチングで2回目のエッチング処理を行う。
【0109】
このようにして作成した第2層間絶縁膜13には、保持容量16の厚さ(第1の保持容量電極16aと第2の保持容量電極16cと誘電体膜16bとの合計膜厚)に相当する深さの凹部9が形成される。さらに、凹部9の底面9aのうち、第1の保持容量電極16aが形成されていない領域と、第2の保持容量電極16cが形成されていない領域とに、第2の保持容量電極16cの膜厚に相当する高さの凸部が形成される。
【0110】
このようにして作成した電気光学装置では、第1の保持容量電極16aが形成されていない領域と、第2の保持容量電極16cが形成されていない領域とに発生した凹部の深さ(ローカル段差)が、下方に配置された凸部によって小さくなる。すなわち、画素領域Eにおけるローカル段差が小さくなるので、画素領域EにおけるCMPの研磨速度のばらつきが小さくなる。
【0111】
従って、画素領域Eでは均一に研磨が進行し、画素領域Eにおける第2層間絶縁膜13の膜厚の均一性と平坦性とが、さらに良くなるという効果を得ることができる。
【0112】
また、保持容量16を形成したことで発生する凹部の深さは一様でなく、画素領域Eには複数の深さからなる凹部が形成される。複数の深さからなる凹部の下方に、当該凹部の深さに相当する複数の高さからなる凸部を形成することが最も良いが、複数の深さからなる凹部のうち、大きな占有面積の凹部の深さを小さくする凸部を形成することで、画素領域Eで均一に研磨が進行し、より平坦な表面に研磨加工できるという効果を得ることができる。
【0113】
すなわち、保持容量16を形成したことで発生する凹部の深さを、凹部の下方に形成した凸部によって、ある程度小さくすることができれば、画素領域Eで均一に研磨が進行し、より平坦な表面に研磨加工できるという効果を得ることができる。
【0114】
(変形例2)
上記実施形態、および変形例1では、画素電極15がITOなどの透光性材料で構成された透過型電気光学装置であった。画素電極15をAl、Agなどの高反射材料とした反射型電気光学装置に適用しても良い。
【0115】
このようにして作成した反射型電気光学装置においても、グローバル段差が解消され、平坦な表面の層間絶縁膜が形成されるので、グローバル段差に起因する表示ムラが抑制された、優れた表示が提供されるという効果を実現できる。
【0116】
(変形例3)
上記実施形態における保持容量16の構成は、これに限定されない。
例えば、共通電位が供給される第2の保持容量電極16cを先に形成し、その後で誘電体膜16bと画像信号が供給される第1の保持容量電極16aとを形成しても良い。
【0117】
このようにして作成した電気光学装置は、共通電位が供給される第2の保持容量電極16cが下方に配置されているので、第2の保持容量電極16cと画素電極15との寄生容量を小さくできるという効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0118】
10…素子基板、13…第2層間絶縁膜(第1の絶縁膜)、14…第3層間絶縁膜(第2の絶縁膜)、14a…第3層間絶縁膜の前駆体膜、15…画素電極、16…保持容量、16a…第1電極(第1の保持容量電極)、16b…誘電体膜、16c…第2電極(第2の保持容量電極)、18,24…配向膜、20…対向基板、21…遮光膜、22…層間絶縁膜、23…対向電極、30…TFT、40…シール材、50…液晶層、100…液晶装置、101…データ線駆動回路、102…走査線駆動回路、103…検査回路、104…外部接続用端子、3b…容量線、3b1…補助容量線、P…画素、E…画素領域、S…保持容量領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜の上に複数の保持容量が配置された保持容量領域と、
前記第1の絶縁膜と前記複数の保持容量とを覆って形成された第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜の上に、前記複数の保持容量のそれぞれに対応して平面視で重なるように配置された複数の画素電極と、を備え、
前記第1の絶縁膜には、前記保持容量領域を含む領域に凹部が形成され、
前記保持容量は、前記凹部の底面に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記凹部の深さと、前記凹部の底面に形成された前記保持容量の厚さとは、略同じであることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記保持容量は、
前記画素電極に電気的に接続された第1の保持容量電極と、
前記複数の画素電極に跨って形成され、共通電位が供給された第2の保持容量電極と、
前記第1の保持容量電極と、前記第2の保持容量電極とで挟持された誘電体膜と、
を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記凹部の底面には、前記第1の保持容量電極が形成されていない領域、または前記第2の保持容量電極が形成されていない領域の少なくとも一方で、盛り上がった凸部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記保持容量および前記画素電極は、透光性材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記画素電極は、光反射性を有する反射材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
画素ごとに保持容量と画素電極とを有する電気光学装置の製造方法であって、
前記第1の絶縁膜に凹部を形成する工程と、
前記凹部の底面に複数の保持容量を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜と前記複数の保持容量とを覆って第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜に平坦化処理を施す工程と、
前記平坦化処理が施された前記第2の絶縁膜の上に、前期複数の保持容量のそれぞれに対応して平面視で重なるように複数の画素電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の絶縁膜に凹部を形成する工程は、異方性ドライエッチングにより前記凹部を形成する工程であることを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2の絶縁膜に平坦化処理を施す工程は、
研磨工程と、
前記研磨工程の後で研磨面をエッチングする工程と、
を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−73037(P2013−73037A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212183(P2011−212183)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】