露光装置及びデバイス製造方法
【課題】液体を介した露光処理及び計測処理を良好に行うことができる露光装置を提供する。
【解決手段】投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、前記投影光学系の先端よりも下方に配置された物体上に液体が有るか否かを検出する検出装置を備える露光装置。また、投影光学系とその像面側に配置された物体との間に形成された液浸領域に対して検出光を射出する射出部と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光部とを有し、前記受光部の受光結果に基づいて前記液浸領域の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を求める検出装置も開示する。検出装置を使って、投影光学系の先端よりも下方に配置された物体上における液体の有無や液浸領域の状態、あるいは液体の形状や接触角を検出することで、その検出結果に基づいて高い露光精度及び計測精度を維持するための最適な処置を施す。
【解決手段】投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、前記投影光学系の先端よりも下方に配置された物体上に液体が有るか否かを検出する検出装置を備える露光装置。また、投影光学系とその像面側に配置された物体との間に形成された液浸領域に対して検出光を射出する射出部と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光部とを有し、前記受光部の受光結果に基づいて前記液浸領域の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を求める検出装置も開示する。検出装置を使って、投影光学系の先端よりも下方に配置された物体上における液体の有無や液浸領域の状態、あるいは液体の形状や接触角を検出することで、その検出結果に基づいて高い露光精度及び計測精度を維持するための最適な処置を施す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して基板を露光する露光装置、及びこの露光装置を用いるデバイス製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶表示デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写する、所謂フォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。近年、デバイスパターンのより一層の高集積化に対応するために投影光学系の更なる高解像度化が望まれている。投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短いほど、また投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、露光装置で使用される露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大している。そして、現在主流の露光波長はKrFエキシマレーザの248nmであるが、更に短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化されつつある。また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k1・λ/NA … (1)
δ=±k2・λ/NA2 … (2)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k1、k2はプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。
【0003】
焦点深度δが狭くなり過ぎると、投影光学系の像面に対して基板表面を合致させることが困難となり、露光動作時のフォーカスマージンが不足するおそれがある。そこで、実質的に露光波長を短くして、且つ焦点深度を広くする方法として、例えば下記特許文献1に開示されている液浸法が提案されている。この液浸法は、投影光学系の下面と基板表面との間を水や有機溶媒等の液体で満たして液浸領域を形成し、液体中での露光光の波長が空気中の1/n(nは液体の屈折率で通常1.2〜1.6程度)になることを利用して解像度を向上するとともに、焦点深度を約n倍に拡大するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/49504号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液浸露光装置においては液体の液浸領域を所望状態で形成することが重要である。例えば基板上に液体の液浸領域が所望状態で形成されていないと、パターン像が劣化したり、あるいは露光光が基板上に到達しないなどの不都合が生じて露光精度が劣化する。また、例えば基板ステージ上に設けられた計測部材や計測用センサを使って液体を介した計測処理を行うことも考えられるが、その場合においても基板ステージ上に液体の液浸領域が所望状態で形成されていないと計測精度が劣化する。
【0006】
また、液浸領域の液体が流出したり、あるいは露光用の液体が漏洩するなどして所望位置以外の位置に液体が浸入・付着すると、その液体により装置・部材の故障、漏電あるいは錆び等といった不都合を引き起こす可能性があり、それによって露光精度や計測精度が劣化する。また、例えば基板を保持するための基板ホルダ上に液体が付着している状態でその基板ホルダ上に基板を搬入(ロード)してしまうと、液体が潤滑膜として機能し、基板ホルダに対する基板の位置ずれを引き起こし、それによって露光精度や計測精度が劣化する。
【0007】
また、液浸領域を良好に形成するためや、液体を良好に回収するために、基板や基板ステージ上面と液体との親和性を最適な状態に維持することが好ましい。液体を回収しきれずに残存させてしまうと、その残存した液体が気化し、例えば基板や基板ステージが熱変形したり、基板の置かれている環境(温度、湿度)が変動し、基板の位置情報などを計測する各種計測光の光路が変動するなどして露光精度や計測精度が劣化する。また、残留した液体が気化した後に、水跡(所謂ウォーターマーク)が形成されてしまい、各種計測の誤差要因となったり、異物が発生して基板などを汚染する可能性もある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液体を介した露光処理及び計測処理を良好に行うことができる露光装置、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用している。なお、以下の説明において、各要素に括弧付き符号を付して、図1〜図20に示す実施の形態の構成と対応付けしているが、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、投影光学系(PL)の先端よりも下方に配置された物体(P、PST、300、400、500など)上に液体(LQ)が有るか否かを検出する検出装置(60)を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、検出装置を使って投影光学系の先端よりも下方に配置されている物体上に液体が有るか否かを検出することができる。したがって、例えば所望位置に液浸領域が形成されていない場合には、検出装置の検出結果に基づいて、所望位置に液体を配置するための適切な処置を施すことで、高い露光精度及び計測精度を維持することができる。
同様に、所望位置以外の位置に液体が流出・付着している場合には、検出装置の検出結果に基づいて、例えば液体の供給を止めたり、その液体を除去するなど適切な処置を施すことで、高い露光精度及び計測精度を維持することができる。
【0011】
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、投影光学系(PL)と投影光学系(PL)の像面側に配置された物体(P、PST、300、400、500など)との間に形成された液浸領域(AR2)に対して検出光(La)を射出する射出部(61)と、検出光(La)に対して所定位置に配置された受光部(62)とを有し、受光部(62)の受光結果に基づいて液浸領域(AR2)の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を求める検出装置(60)を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、検出装置を使って液浸領域の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を光学的に求めることにより、その求めた結果に基づいて、液浸領域の大きさや形状を所望状態にするための適切な処置を施すことができる。これにより、露光光の光路を液体で確実に満たして露光処理や計測処理を良好に行うことができる。また、例えば液浸領域が過剰に拡がって流出するおそれがある場合にも、検出装置の検出結果に基づいて適切な処置を施すことにより、液体の流出などの不都合の発生を防止することができる。
【0013】
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、投影光学系(PL)の像面側で移動可能な物体(P、PST、300、400、500など)上の液体(LQ)の形状を求める形状検出装置(60)を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、形状検出装置を使って液体の形状を求めることで、物体に対する液体の親和性、具体的には物体に対する液体の接触角を求めることができる。したがって、その求めた結果に基づいて、基板や基板ステージ上面と液体との親和性を最適な状態に維持するための適切な処置を施すことができ、高い露光精度及び計測精度を維持することができる。
【0015】
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、基板(P)を保持する基板ステージ(PST)上面の液体(LQ)の、その基板ステージ(PST)上面に対する接触角を検出する検出装置(60)を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、基板ステージ上面に対する液体の接触角を知ることができ、その結果に基づいて基板ステージ上面と液体との親和性を最適な状態に維持するための最適な処置を施すことができ、高い露光精度及び計測精度を維持することができる。
【0017】
本発明のデバイス製造方法は、上記記載の露光装置を用いることを特徴とする。
本発明によれば、液体を介した露光処理及び計測処理を良好に行うことができる露光装置を使って、所望の性能を発揮するデバイスを製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検出装置を使って、投影光学系の先端よりも下方に配置された物体上における液体の有無や液浸領域の状態、あるいは液体の形状や接触角を検出することで、その検出結果に基づいて高い露光精度及び計測精度を維持するための最適な処置を施すことができる。したがって、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】基板ステージを上方から見た平面図である。
【図3】本発明に係る検出装置の一実施形態を示す側面図である。
【図4】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す側面図である。
【図5】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す平面図である。
【図7】露光装置の露光動作の一例を示すフローチャート図である。
【図8】検出光と物体表面との関係を説明するための模式図である。
【図9】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す側面図である。
【図11】同実施形態の平面図である。
【図12】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す側面図である。
【図13A】露光装置の動作の一例を示す模式図である。
【図13B】同様に、露光装置の動作の一例を示す模式図である。
【図14】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す側面図である。
【図15】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す側面図である。
【図16】露光装置の動作の一例を示す側面図である。
【図17】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す斜視図である。
【図18A】図17の側面図である。
【図18B】図17のB−B’矢視断面図である。
【図19】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す平面図である。
【図20】半導体デバイスの製造工程の一例を示す、フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、投影光学系PLの像面側先端部よりも下方に配置された物体上に液体LQが有るか否かを検出する検出装置60と、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。制御装置CONTには、露光処理に関して異常が生じたときに警報を発する警報装置Kが接続されている。更に、露光装置EXは、マスクステージMST及び投影光学系PLを支持するメインコラム3を備えている。メインコラム3は、床面に水平に載置されたベースプレート4上に設置されている。メインコラム3には、内側に向けて突出する上側段部3A及び下側段部3Bが形成されている。
【0021】
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面との間に液体LQを満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによってこの基板Pを露光する。
【0022】
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上に感光性材料であるフォトレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
【0023】
照明光学系ILは、メインコラム3の上部に固定された支持コラム5により支持されている。照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
【0024】
本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
【0025】
マスクステージMSTは、マスクMを支持するものであって、その中央部にマスクMのパターン像を通過させる開口部34Aを備えている。メインコラム3の上側段部3Aには、防振ユニット6を介してマスク定盤31が支持されている。マスク定盤31の中央部にも、マスクMのパターン像を通過させる開口部34Bが形成されている。マスクステージMSTの下面には非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)32が複数設けられている。マスクステージMSTはエアベアリング32によりマスク定盤31の上面(ガイド面)31Aに対して非接触支持されており、リニアモータ等のマスクステージ駆動機構により、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTには移動鏡35が設けられている。また、移動鏡35に対向する位置にはレーザ干渉計36が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計36によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計36の計測結果に基づいてマスクステージ駆動機構を駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置を制御する。
【0026】
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、屈折素子を含まない反射系、反射素子を含まない屈折系、屈折素子と反射素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。鏡筒PKの外周部にはフランジ部FLGが設けられている。また、メインコラム3の下側段部3Bには、防振ユニット7を介して鏡筒定盤8が支持されている。そして、投影光学系PLのフランジ部FLGが鏡筒定盤8に係合することによって、投影光学系PLが鏡筒定盤8に支持されている。
【0027】
本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、液浸領域AR2の液体LQが接触する。光学素子2は螢石で形成されている。螢石表面は水との親和性が高いので、光学素子2の液体接触面2Aのほぼ全面に液体LQを密着させることができる。すなわち、本実施形態においては光学素子2の液体接触面2Aとの親和性が高い液体(水)LQを供給するようにしているので、光学素子2の液体接触面2Aと液体LQとの密着性が高く、光学素子2と基板Pとの間の光路を液体LQで確実に満たすことができる。なお、光学素子2は、水との親和性が高い石英であってもよい。また、光学素子2の液体接触面2Aに親水化(親液化)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。
【0028】
基板ステージPSTは、基板ホルダPHを介して基板Pを保持して移動可能に設けられており、投影光学系PLに対して移動可能に設けられている。基板ホルダPHは基板Pを保持するものであって、真空吸着方式あるいは静電チャック方式によって基板Pを保持する。基板ステージPSTの下面には複数の非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)42が設けられている。ベースプレート4上には、防振ユニット9を介して基板定盤41が支持されている。エアベアリング42は、基板定盤41の上面(ガイド面)41Aに対して気体(エア)を吹き出す吹出口42Bと、基板ステージPST下面(軸受面)とガイド面41Aとの間の気体を吸引する吸気口42Aとを備えており、吹出口42Bからの気体の吹き出しによる反発力と吸気口42Aによる吸引力との釣り合いにより、基板ステージPST下面とガイド面41Aとの間に一定の隙間を保持する。つまり、基板ステージPSTはエアベアリング42により基板定盤41の上面(ガイド面)41Aに対して非接触支持されており、リニアモータ等の基板ステージ駆動機構により、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に、基板ホルダPHは、ホルダ駆動機構により、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能に設けられている。基板ステージ駆動機構は制御装置CONTにより制御される。
【0029】
また、露光装置EXは、基板ステージPSTに支持されている基板Pの表面の位置を検出する不図示のフォーカス・レベリング検出系を備えている。なお、フォーカス・レベリング検出系の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。フォーカス・レベリング検出系の検出結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはフォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板P表面のZ軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報を検出することができる。
【0030】
制御装置CONTはホルダ駆動機構を駆動し、基板ホルダPHに保持されている基板Pの表面のフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込む。
【0031】
基板ステージPST上には凹部1が設けられており、基板ホルダPHは凹部1に配置されている。そして、基板ステージPSTの上面43は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さになるような(面一になるような)平坦面となっている。
【0032】
基板ステージPSTには移動鏡45が設けられている。また、移動鏡45に対向する位置にはレーザ干渉計46が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計46によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計46の計測結果に基づいてリニアモータを含む基板ステージ駆動機構を駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
【0033】
また、基板ステージPSTは、Xガイドステージ44によりX軸方向に移動自在に支持されている。基板ステージPSTは、Xガイドステージ44に案内されつつXリニアモータ47によりX軸方向に所定ストロークで移動可能である。Xリニアモータ47は、Xガイドステージ44にX軸方向に延びるように設けられた固定子47Aと、この固定子47Aに対応して設けられ基板ステージPSTに固定された可動子47Bとを備えている。そして、可動子47Bが固定子47Aに対して駆動することで基板ステージPSTがX軸方向に移動する。ここで、基板ステージPSTは、Xガイドステージ44に対してZ軸方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドにより非接触で支持されている。基板ステージPSTはXガイドステージ44に非接触支持された状態でXリニアモータ47によりX軸方向に移動する。
【0034】
Xガイドステージ44の長手方向両端には、このXガイドステージ44を基板ステージPSTとともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ48、48が設けられている。Yリニアモータ48のそれぞれは、Xガイドステージ44の長手方向両端に設けられた可動子48Bと、この可動子48Bに対応して設けられた固定子48Aとを備えている。
そして、可動子48Bが固定子48Aに対して駆動することでXガイドステージ44が基板ステージPSTとともにY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ48、48のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ44はθZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このYリニアモータ48、48により基板ステージPSTがXガイドステージ44とほぼ一体的にY軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。
【0035】
基板定盤41のX軸方向両側のそれぞれには、正面視L字状に形成され、Xガイドステージ44のY軸方向への移動を案内するガイド部49が設けられている。ガイド部49はベースプレート4上に支持されている。本実施形態において、ガイド部49の平坦部49B上に、Yリニアモータ48の固定子48Aが設けられている。一方、Xガイドステージ44の下面の長手方向両端部のそれぞれには凹形状の被ガイド部材50が設けられている。ガイド部49は被ガイド部材50と係合し、ガイド部49の上面(ガイド面)49Aと被ガイド部材50の内面とが対向するように設けられている。ガイド部49のガイド面49Aには非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)51が設けられており、Xガイドステージ44はガイド面49Aに対して非接触支持されている。
【0036】
また、Yリニアモータ48の固定子48Aとガイド部49の平坦部49Bとの間には非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)52が介在されており、固定子48Aはエアベアリング52によりガイド部49の平坦部49Bに対して非接触支持される。このため、運動量保存の法則によりXガイドステージ44及び基板ステージPSTの+Y方向(−Y方向)の移動に応じて固定子48Aが−Y方向(+Y方向)に移動する。この固定子48Aの移動によりXガイドステージ44及び基板ステージPSTの移動に伴う反力が相殺されるとともに重心位置の変化を防ぐことができる。すなわち、固定子48Aは所謂カウンタマスとしての機能を有している。
【0037】
液体供給機構10は、所定の液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13(13A、13B)とを備えている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、及び加圧ポンプ等を備えている。液体供給部11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成する際、液体供給機構10は、所定温度(例えば23℃)に制御された液体LQを基板P上に供給する。なお、液体供給部11のタンク、加圧ポンプなどは、必ずしも露光装置EXが備えている必要はなく、露光装置EXが設置される工場などの設備を代用することもできる。
【0038】
また、液体供給機構10から供給される液体LQの温度安定性及び温度均一性は、0.01〜0.001℃程度に制御されていることが望ましい。
【0039】
供給管13A、13Bの途中には、供給管13A、13Bの流路を開閉するバルブ15がそれぞれ設けられている。バルブ15の開閉動作は制御装置CONTにより制御されるようになっている。なお、本実施形態におけるバルブ15は、例えば停電等により露光装置EX(制御装置CONT)の駆動源(電源)が停止した場合に供給管13A、13Bの流路を機械的に閉塞する所謂ノーマルクローズ方式となっている。
【0040】
液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管23(23A、23B)とを備えている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお真空系として、露光装置EXに真空ポンプを設けずに、露光装置EXが配置される工場の真空系を用いるようにしてもよい。液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成するために、液体回収機構20は液体供給機構10より供給された基板P上の液体LQを所定量回収する。
【0041】
投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、液体LQに接する光学素子2の近傍には流路形成部材70が配置されている。流路形成部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材である。流路形成部材70と光学素子2との間には隙間が設けられており、流路形成部材70は光学素子2に対して振動的に分離されるように所定の支持機構で支持されている。
【0042】
流路形成部材70は、例えばアルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ジュラルミン、及びこれらを含む合金によって形成可能である。あるいは、流路形成部材70は、ガラス(石英)等の光透過性を有する透明部材(光学部材)によって構成されてもよい。
【0043】
流路形成部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された液体供給口12(12A、12B)を備えている。本実施形態において、流路形成部材70は2つの液体供給口12A、12Bを有している。液体供給口12A、12Bは流路形成部材70の下面70Aに設けられている。
【0044】
また、流路形成部材70は、その内部に液体供給口12A、12Bに対応した供給流路を有している。また、液体供給口12A、12B及び供給流路に対応するように複数(2つ)の供給管13A、13Bが設けられている。そして、供給流路の一端部は供給管13A、13Bを介して液体供給部11にそれぞれ接続され、他端部は液体供給口12A、12Bにそれぞれ接続されている。
【0045】
また、2つの供給管13A、13Bのそれぞれの途中には、液体供給部11から送出され、液体供給口12A、12Bのそれぞれに対する単位時間あたりの液体供給量を制御するマスフローコントローラと呼ばれる流量制御器16(16A、16B)が設けられている。流量制御器16A、16Bによる液体供給量の制御は制御装置CONTの指令信号の下で行われる。
【0046】
更に、流路形成部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された液体回収口22(22A、22B)を備えている。
本実施形態において、流路形成部材70は2つの液体回収口22A、22Bを有している。液体回収口22A、22Bは流路形成部材70の下面70Aに設けられている。
【0047】
また、流路形成部材70は、その内部に液体回収口22A、22Bに対応した回収流路を有している。また、液体回収口22A、22B及び回収流路に対応するように複数(2つ)の回収管23A、23Bが設けられている。そして、回収流路の一端部は回収管23A、23Bを介して液体回収部21にそれぞれ接続され、他端部は液体回収口22A、22Bにそれぞれ接続されている。
【0048】
本実施形態において、流路形成部材70は、液体供給機構10及び液体回収機構20それぞれの一部を構成している。そして、液体供給機構10を構成する液体供給口12A、12Bは、投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの位置に設けられており、液体回収機構20を構成する液体回収口22A、22Bは、投影光学系PLの投影領域AR1に対して液体供給機構10の液体供給口12A、12Bの外側に設けられている。
【0049】
液体供給部11及び流量制御器16の動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液体LQを供給する際、制御装置CONTは、液体供給部11より液体LQを送出し、供給管13A、13B、及び供給流路を介して、基板Pの上方に設けられている液体供給口12A、12Bより基板P上に液体LQを供給する。このとき、液体供給口12A、12Bは投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだ両側のそれぞれに配置されており、その液体供給口12A、12Bを介して、投影領域AR1の両側から液体LQを供給可能である。また、液体供給口12A、12Bのそれぞれから基板P上に供給される液体LQの単位時間あたりの量は、供給管13A、13Bのそれぞれに設けられた流量制御器16A、16Bにより個別に制御可能である。
【0050】
液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。制御装置CONTは液体回収部21による単位時間あたりの液体回収量を制御可能である。基板Pの上方に設けられた液体回収口22A、22Bから回収された基板P上の液体LQは、流路形成部材70の回収流路、及び回収管23A、23Bを介して液体回収部21に回収される。
【0051】
なお、本実施形態において、供給管13A、13Bは1つの液体供給部11に接続されているが、供給管の数に対応した液体供給部11を複数(ここでは2つ)設け、供給管13A、13Bのそれぞれを前記複数の液体供給部11のそれぞれに接続するようにしてもよい。また、回収管23A、23Bは、1つの液体回収部21に接続されているが、回収管の数に対応した液体回収部21を複数(ここでは2つ)設け、回収管23A、23Bのそれぞれを前記複数の液体回収部21のそれぞれに接続するようにしてもよい。
【0052】
投影光学系PLの光学素子2の液体接触面2A、及び流路形成部材70の下面(液体接触面)70Aは親液性(親水性)を有している。本実施形態においては、光学素子2及び流路形成部材70の液体接触面に対して親液処理が施されており、その親液処理によって光学素子2及び流路形成部材70の液体接触面が親液性となっている。換言すれば、基板ステージPSTに保持された基板Pの被露光面(表面)と対向する部材の表面のうち少なくとも液体接触面は親液性となっている。本実施形態における液体LQは極性の大きい水であるため、親液処理(親水処理)としては、例えばアルコールなど極性の大きい分子構造の物質で薄膜を形成することで、この光学素子2や流路形成部材70の液体接触面に親水性を付与する。すなわち、液体LQとして水を用いる場合にはOH基など極性の大きい分子構造を持ったものを前記液体接触面に設ける処理が望ましい。あるいは、MgF2、Al2O3、SiO2などの親液性材料を前記液体接触面に設けてもよい。
【0053】
流路形成部材70の下面(基板P側を向く面)70Aはほぼ平坦面であり、光学素子2の下面(液体接触面)2Aも平坦面となっており、流路形成部材70の下面70Aと光学素子2の下面2Aとはほぼ面一となっている。これにより、所望の範囲内に液浸領域AR2を良好に形成することができる。
なお、基板P(基板ステージPST)上に局所的に液浸領域AR2を形成するための機構は、上述に限られず、例えば米国特許公開第2004/020782号公報に開示されている機構を採用することもでき、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、これらの文献の記載内容を援用して本文の記載の一部とする。
【0054】
検出装置60は、投影光学系PLの先端部よりも下方に配置された基板P上あるいは基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出するものであって、検出光Laを射出する射出部61と、検出光Laに対して所定位置に配置された受光部62とを備えている。本実施形態において、射出部61はメインコラム3の所定位置に設けられており、受光部62はメインコラム3のうち投影光学系PLの投影領域AR1を挟んで射出部61と対向する位置に設けられている。検出装置60の射出部61から射出された検出光Laは、基板P表面及びこの基板P表面とほぼ面一である基板ステージPSTの上面43とほぼ平行に照射されるように設定されている。射出部61から射出された検出光Laは、投影光学系PLの先端部に設けられた光学素子2の下方を通過する。
【0055】
図2は基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTを上方から見た平面図である。
図2において、平面視矩形状の基板ステージPSTの互いに垂直な2つの縁部に移動鏡45が配置されている。また、投影光学系PLの投影領域AR1は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とした平面視矩形状に設定されている。
【0056】
検出装置60のうち、検出光Laを射出する射出部61は、基板ステージPSTに対して−X側に離れた所定位置(本実施形態ではメインコラム3)に固定され、受光部62は+X側に離れた所定位置(メインコラム3)に固定されている。そして、検出装置60の射出部61は基板ステージPSTの外側より検出光Laを照射し、受光部62での受光結果に基づいて、基板P上又は基板ステージPST上の液体LQを検出するようになっている。すなわち、検出装置60は、基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTの外側より液体LQを光学的に検出するようになっている。
【0057】
基板ステージPSTのほぼ中央部に凹部1が形成されており、この凹部1に基板Pを保持する基板ホルダPHが配置されている。基板ステージPSTのうち凹部1以外の上面43は、基板ホルダPHに保持された基板P表面とほぼ同じ高さ(面一)に設定されている。基板Pの周囲に基板P表面とほぼ面一の上面43を設けたので、基板Pのエッジ領域Eを液浸露光するときにおいても、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持して液浸領域AR2を良好に形成することができる。
【0058】
本実施形態においては、検出光Laは、投影光学系PLの先端部の光学素子2の下方であって、その投影光学系PLの投影領域AR1、すなわち露光光ELの光路を通過するように設定されている。更に具体的には、検出光Laは光学素子2と基板P(基板ステージPST)との間を通過するように設定されている。なお、検出光Laは露光光ELの光路以外の領域を通過するように設けられていてもよい。そして、検出光Laは、基板P表面及び基板ステージPSTの上面43とほぼ平行に照射される。
【0059】
また、基板ステージPSTの上面43は撥液化処理されて撥液性を有している。上面43の撥液化処理としては、例えばフッ素系樹脂材料あるいはアクリル系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する。撥液性にするための撥液性材料としては液体LQに対して非溶解性の材料が用いられる。なお、基板ステージPST全体又は一部を例えばポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂をはじめとする撥液性を有する材料で形成してもよい。また、上記ポリ四フッ化エチレンなどからなる撥液性を有するプレート部材を基板ステージPSTの上面に交換可能に配置するようにしてもよい。本実施形態においては、上面43を有するプレート部材43Pが基板ステージPST上に対して交換可能に配置されている。
【0060】
なお、基板ホルダPHに保持されている基板Pの側面PBとプレート部材43Pとの間には隙間が形成されるが、この隙間は数mm程度と僅かであるため、液体LQの表面張力の作用などによってその隙間に液体LQが浸入する不都合が抑制されている。
【0061】
液体供給口12A、12Bは、X軸方向(走査方向)に関し、投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだ両側のそれぞれに設けられている。具体的には、液体供給口12Aは、流路形成部材70の下面70Aのうち、投影領域AR1に対して走査方向一方側(−X側)に設けられ、液体供給口12Bは他方側(+X側)に設けられている。つまり液体供給口12A、12Bは投影領域AR1の近くに設けられ、走査方向(X軸方向)に関して投影領域AR1を挟むようにその両側に設けられている。液体供給口12A、12Bのそれぞれは、Y軸方向に延びる平面視略コ字状(円弧状)のスリット状に形成されている。そして、液体供給口12A、12BのY軸方向における長さは少なくとも投影領域AR1のY軸方向における長さより長くなっている。液体供給口12A、12Bは、少なくとも投影領域AR1を囲むように設けられている。液体供給機構10は、液体供給口12A、12Bを介して投影領域AR1の両側で液体LQを同時に供給可能である。
【0062】
液体回収口22A、22Bは、液体供給機構10の液体供給口12A、12Bより投影光学系PLの投影領域AR1に対して外側に設けられており、X軸方向(走査方向)に関し、投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだ両側のそれぞれに設けられている。具体的には、液体回収口22Aは、流路形成部材70の下面70Aのうち、投影領域AR1に対して走査方向一方側(−X側)に設けられ、液体回収口22Bは他方側(+X側)に設けられている。液体回収口22A、22Bのそれぞれは、Y軸方向に延びる平面視略コ字状(円弧状)のスリット状に形成されている。液体回収口22A、22Bは、投影光学系PLの投影領域AR1、及び液体供給口12A、12Bを囲むように設けられている。
【0063】
そして、液体LQが満たされた液浸領域AR2は、投影領域AR1を含むように実質的に2つの液体回収口22A、22Bで囲まれた領域内であって且つ基板P上の一部に局所的に形成される。なお、液浸領域AR2は少なくとも投影領域AR1を覆っていればよく、必ずしも2つの液体回収口22A、22Bで囲まれた領域全体が液浸領域にならなくてもよい。
【0064】
なお、液体供給口12は投影領域AR1の両側のそれぞれに1つずつ設けられている構成であるが、複数に分割されていてもよく、その数は任意である。同様に、液体回収口22も複数に分割されていてもよい。また、投影領域AR1の両側に設けられた液体供給口12のそれぞれは互いにほぼ同じ大きさ(長さ)に形成されているが、互いに異なる大きさであってもよい。同様に、投影領域AR1の両側に設けられた液体回収口22のそれぞれが互いに異なる大きさであってもよい。また、供給口12のスリット幅と回収口22のスリット幅とは同じであってもよいし、回収口22のスリット幅を、供給口12のスリット幅より大きくしてもよいし、逆に回収口22のスリット幅を、供給口12のスリット幅より小さくしてもよい。
【0065】
また、基板ステージPST上において、基板Pの外側の所定位置には、基準部材300が配置されている。基準部材300には、例えば特開平4−65603号公報に開示されているような構成を有する基板アライメント系により検出される基準マークPFMと、例えば特開平7−176468号公報に開示されているような構成を有するマスクアライメント系により検出される基準マークMFMとが所定の位置関係で設けられている。基準部材300の上面301Aはほぼ平坦面となっており、基板P表面、及び基板ステージPSTの上面43とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。基板アライメント系は基板ステージPSTの近傍に設けられ、基板P上のアライメントマークも検出する。また、マスクアライメント系はマスクステージMSTの近傍に設けられ、マスクMと投影光学系PLとを介して基板ステージPST上の基準マークMFMを検出する。
【0066】
また、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、計測用センサとして例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ400が配置されている。照度ムラセンサ400は平面視矩形状の上板401を備えている。上板401の上面401Aはほぼ平坦面となっており、基板P表面、及び基板ステージPSTの上面43とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。上板401の上面401Aには、光を通過可能なピンホール部470が設けられている。上面401Aのうち、ピンホール部470以外はクロムなどの遮光性材料で覆われている。
【0067】
また、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、計測用センサとして例えば特開2002−14005号公報に開示されているような空間像計測センサ500が設けられている。空間像計測センサ500は平面視矩形状の上板501を備えている。上板501の上面501Aはほぼ平坦面となっており、基板P表面、及び基板ステージPSTの上面43とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。上板501の上面501Aには、光を通過可能なスリット部570が設けられている。上面501Aのうち、スリット部570以外はクロムなどの遮光性材料で覆われている。
【0068】
また、不図示ではあるが、基板ステージPST上には、例えば特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)も設けられており、その照射量センサの上板の上面は基板P表面や基板ステージPSTの上面43とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。
【0069】
このように、基板ステージPSTの上面43は、基準部材300、センサ400、500を含めてほぼ同じ高さ(面一)で、撥液性を有している。さらに移動鏡45の上面も基板ステージPSTの上面43とほぼ同じ高さ(面一)であり、移動鏡45の上面及び反射面も撥液性を有している。これにより液浸領域AR2を形成した状態での基板ステージPSTの移動範囲を大きくすることができるばかりでなく、基準部材300やセンサ400、500上、あるいは移動鏡45の上面や反射面に液体が付着したとしても、その付着した液体を容易に除去することができる。
【0070】
そして、基準部材300、及び上板401、501などは基板ステージPSTに対して脱着可能に構成されており、その上面の撥液性が劣化した場合などに交換することができる。
【0071】
図3は検出装置60が液体LQを検出している状態の一例を示す側面図である。図3に示すように、検出装置60は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面及び基板ステージPSTの上面43とほぼ平行に検出光Laを照射する。そして、検出装置60は、受光62の受光結果に基づいて、基板P上又は基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出する。
【0072】
射出部61と受光部62とは対向しており、射出部61から射出された検出光Laは受光部62に到達し、その受光部62に所定の光量(光強度)で受光されるようになっている。このとき、例えば図3に示すように、基板P上あるいは基板ステージPST上に液体LQの液滴(水滴)が配置されている場合において、検出光Laが液体LQに照射されると、その検出光Laは液体LQによって屈折又は散乱、あるいは吸収される。したがって、検出光Laの光路上に液体LQが有る場合、受光部62で受光される光量(光強度)が低下する、あるいは検出光Laが受光部62に到達しなくなる。そこで、検出装置60は、受光部62の受光結果(受光量)に基づいて、検出光Laの光路上に液体LQが有るか否かを検出することができる。そして、検出光Laの光路上に液体LQが有るか否かを検出することで、検出装置60は、投影光学系PLの先端部よりも下方に配置された基板P上又は基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出することができる。
【0073】
また、検出装置60の検出光Laと基板ステージPSTとを相対的に移動しながら、検出光Laを照射することにより、基板Pを含む基板ステージPST上の比較的広い領域における液体LQの有無を検出することができる。
【0074】
更に、基板P上又は基板ステージPST上に液体LQが配置されている(あるいは液体LQが付着している)状態において、検出光Laと基板ステージPSTとを相対的に移動しながら、検出光Laを照射することにより、基板P上又は基板ステージPST上における液体LQの位置を求めることができる。つまり、レーザ干渉計46を使って基板ステージPSTの位置をモニタしつつ、基板ステージPSTを移動しながら検出光Laを照射する。制御装置CONTは、レーザ干渉計46の位置計測結果と、検出装置60の受光部62の受光結果とに基づいて、レーザ干渉計46で規定される座標系における液体LQの位置を求めることができる。
【0075】
また、図3においては、射出部61及び受光部62のそれぞれが、X軸方向に関し、基板ステージPSTを挟んだ両側のそれぞれに配置されており、射出部61より検出光Laを射出しつつ、基板ステージPSTをY軸方向に移動することで、基板P又は基板ステージPST上における液体LQのY軸方向に関する位置を検出する構成であるが、射出部61及び受光部62のそれぞれを、Y軸方向に関し、基板ステージPSTを挟んだ両側のそれぞれにも配置し、その射出部61より検出光Laを射出しつつ、基板ステージPSTをX軸方向に移動することで、基板P又は基板ステージPST上における液体LQのX軸方向に関する位置と範囲も検出することができる。
【0076】
また、図3においては、検出装置60の射出部61と受光部62とは対向して配置されている構成であるが、図4に示すように、検出装置60の検出光Laの光路上に、検出光Laの光路を折り曲げる折り曲げ部としての光学部材63、64を設けてもよい。こうすることにより、射出部61及び受光部62を任意の位置に配置しつつ所望の位置に検出光Laを照射することができ、検出装置60を構成する各部材及び機器の配置や露光装置EX全体の設計の自由度を向上することができる。
【0077】
なお、射出部61から射出された検出光Laを光ファイバの入射端に入射させ、その光ファイバの射出端より射出した検出光Laを照射するようにしてもよい。また、受光部62に光ファイバを接続し、その光ファイバを介した検出光Laを受光部62で受光するようにしてもよい。
【0078】
また、上述した構成においては、検出装置60の検出光Laに対して基板P及び基板ステージPSTを移動しながら検出することで、基板P上又は基板ステージPST上における液体LQの位置を検出しているが、図5に示すように、複数の検出光Laをマトリクス状に2次元的に照射することによっても、基板P上又は基板ステージPST上における液体LQの位置を求めることができる。
【0079】
図5において、検出装置60は、基板ステージPSTの+Y側に配置され、X軸方向に並んだ複数の検出光Laを射出する第1射出部61Xと、基板ステージPSTの−Y側に配置され、第1射出部61Xから射出された検出光Laに対して所定位置に配置された第1受光部62Xと、基板ステージPSTの−X側に配置され、Y軸方向に並んだ複数の検出光Laを射出する第2射出部61Yと、基板ステージPSTの+X側に配置され、第2射出部61Yから射出された検出光Laに対して所定位置に配置された第2受光部62Yとを備えている。第1受光部62Xは、第1射出部61Xより射出される複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有しており、同様に、第2受光部62Yは、第2射出部61Yより射出される複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。
【0080】
第1射出部61Xより射出された検出光La、及び第2射出部61Yより射出された検出光Laのそれぞれは、基板P表面及び基板ステージPSTの上面43とほぼ平行に照射され、これら検出光LAの光路は平面視においてマトリクス状に設けられている。
【0081】
ここで図5に示すように、第1射出部61Xから射出された複数の検出光Laのうち特定の検出光Laxの光路上に液体LQが有る場合、第1受光部62Xの複数の受光素子のうち、その検出光Laxに対応する受光素子で受光される光量が低下する。同様に、第2射出部61Yから射出された複数の検出光Laのうち特定の検出光Layの光路上に液体LQがある場合、第2受光部62Yの複数の受光素子のうち、その検出光Layに対応する受光素子で受光される光量が低下する。第1、第2受光部62X、62Yの受光結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、第1、第2受光部62X、62Yそれぞれの受光結果に基づいて、液体LQの位置が検出光Laxと検出光Layとの交点付近であることを特定することができる。ここで、検出光Lax、Layを受光する受光素子の位置情報は設計値などにより予め分かっているため、制御装置CONTは、検出光Lax、Layを受光した受光素子の位置情報に基づいて、基板P又は基板ステージPST上における液体LQの位置を求めることができる。
【0082】
また図6に示すように、検出装置60は、射出部61から複数位置のそれぞれに検出光Laを照射したときの受光部62の受光結果に基づいて、基板P上又は基板ステージPST上に有る液体LQの大きさ(液体LQが配置されている領域の大きさ)を求めることができる。つまり、液体LQが基板ステージPST上(又は基板P上)の所定領域に配置されている場合において、射出部61はその液体LQのエッジ部LGを含む複数位置のそれぞれに対して検出光Laを照射する。図6に示す例では、射出部61はY軸方向に並んだ複数の検出光LaをX軸方向に沿って照射している。
【0083】
受光部62は前記複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。これら受光素子の位置情報は設計値などによって予め分かっている。射出部61から射出される複数の検出光Laのうち、一部の検出光La1が液体LQに照射されると、その検出光La1に対応する受光部62の受光素子には検出光La1が到達しない、あるいは受光素子で受光される光量が低下する。一方、残りの一部の検出光La2は液体LQを介さないで受光部62に到達する。したがって、検出装置60は、検出光La1を受光した受光部62の受光素子の受光結果と、その受光素子の位置情報とに基づいて、液体LQ(液体LQが配置される領域)の大きさを求めることができる。
【0084】
なお図6に示す例においては、検出装置60は液体LQに対してX軸方向より検出光Laを照射しているため、液体LQ(液体LQが配置されている領域)のY軸方向における大きさを求めることができるが、液体LQに対してY軸方向より検出光Laを照射することにより、液体LQのX軸方向における大きさを求めることができる。また、XY平面内においてX軸(Y軸)方向に対して傾斜方向から検出光Laを照射することももちろん可能である。そして、液体LQに対して複数方向から検出光Laを照射したときのそれぞれの受光結果を演算処理することで、検出装置60(あるいは制御装置CONT)は液体LQ(液体LQが配置されている領域)の形状を求めることができる。
【0085】
なお図6を参照して説明した例では、射出部61は複数の検出光Laを一括して照射しているが、例えば図3などを参照して説明したように、レーザ干渉計46を使って基板ステージPSTの位置をモニタしつつ基板ステージPSTを移動しながら、射出部61により1つ(あるいは所定の複数)の検出光Laを照射し、その検出光Laを照射したときの受光部62の受光結果に基づいて、液体LQの大きさあるいは形状を求めることも可能である。その場合、検出装置60(あるいは制御装置CONT)は、基板ステージPSTの複数の位置に応じた受光部62での複数の受光結果を演算処理することで、液体LQの大きさ及び形状の少なくともいずれか一方を求める。
【0086】
また、図6を参照して説明した例では、射出部61は複数並んだ検出光Laを照射しているが、液体LQを覆うように照射されるシート状光束であってもよい。シート状光束としては、例えばレーザ光源から射出されたレーザ光束を、ピンホールやシリンドリカルレンズを有する光学系を通過させることで生成される所謂レーザシート光を用いることができる。
【0087】
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について、図7に示すフローチャート図を参照しながら説明する。
まず、マスクMがマスクステージMSTに搬入(ロード)されるとともに、露光対象である基板Pが基板ステージPSTに搬入(ロード)される(ステップS1)。
基板Pを基板ステージPSTにロードするとき、制御装置CONTは、基板ステージPSTを投影光学系PLに対して離れた位置に設定されているロード位置に移動する。基板Pはロード位置において不図示の搬送系(ローダ装置)によりロードされる。
【0088】
基板Pが基板ステージPSTにロードされた後、基板Pに対するアライメント処理及び計測処理が行われる(ステップS2)。
アライメント処理においては、制御装置CONTは、例えば上記基板アライメント系を使って基準部材300に形成されている基準マークPFMを検出するとともに、マスクアライメント系を使って投影光学系PLを介して基準部材300に形成されている基準マークMFMを検出することで、基板ステージPSTの移動を規定する座標系における基板アライメント系の検出基準位置とマスクMのパターン像の投影位置との距離(位置関係)であるベースライン量を求める。マスクアライメント系を使って基準部材300上の基準マークMFMを検出するとき、制御装置CONTは、投影光学系PLと基準部材300の上面301Aとを対向させた状態で、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、液体LQの供給及び回収を行い、投影光学系PLの先端部の光学素子2と基準部材300の上面301A上との間に液体LQの液浸領域AR2を形成する。そして、制御装置CONTは、投影光学系PLと液体LQとを介して、マスクアライメント系により基準部材300上の基準マークMFMを検出する。
【0089】
基準マークMFMの検出が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20あるいは液体回収機構20とは別に設けられた所定の液体回収機構を使って、基準部材300の上面301A上に形成された液浸領域AR2の液体LQを回収する。
【0090】
基板Pに対して重ね合わせ露光をする際には、例えば基板P上の露光対象領域であるショット領域に形成されているアライメントマークを基板アライメント系で検出して、基板アライメント系の検出基準位置に対するショット領域の位置情報(ずれ)を求め、そのときの基板ステージPSTの位置から上記ベースライン量及び基板アライメント系で求めたショット領域のずれ分だけ基板ステージPSTを移動することで、マスクMのパターン像の投影位置とそのショット領域とを位置合わせすることができる。
【0091】
また、計測処理においては、制御装置CONTは、例えば投影光学系PLと照度ムラセンサ400の上板401とを対向させた状態で、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、液体LQの供給及び回収を行い、投影光学系PLの先端部の光学素子2と上板401の上面401A上との間に液体LQの液浸領域AR2を形成する。そして、制御装置CONTは、照明光学系ILより露光光ELを射出し、投影光学系PLと液体LQとを介して、照度ムラセンサ400により投影領域AR1内における露光光ELの照度分布を検出する。制御装置CONTは、照度ムラセンサ400の検出結果に基づいて、投影光学系PLの投影領域AR1内における露光光ELの照度分布が所望状態となるように、その露光光ELの照射分布を適宜補正する。
【0092】
露光光ELの照度分布の検出が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20、あるいは液体回収機構20とは別に設けられた所定の液体回収機構を使って、照度ムラセンサ400の上板401の上面401A上に形成された液浸領域AR2の液体LQを回収する。
【0093】
また、制御装置CONTは、投影光学系PLと空間像計測センサ500の上板501とを対向させた状態で、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、液体LQの供給及び回収を行い、投影光学系PLの先端部の光学素子2と上板501の上面501A上との間に液体LQの液浸領域AR2を形成する。そして、制御装置CONTは、照明光学系ILより露光光ELを射出し、投影光学系PLと液体LQとを介して、空間像計測センサ500により空間像計測を行う。制御装置CONTは、空間像計測センサ500の計測結果に基づいて、投影光学系PL及び液体LQを介した像特性が所望状態となるように、投影光学系PLの像特性を適宜補正する。
【0094】
空間像計測が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20あるいは液体回収機構20とは別に設けられた所定の液体回収機構を使って、空間像計測センサ500の上板501のの上面501A上に形成された液浸領域AR2の液体LQを回収する。
【0095】
同様に、制御装置CONTは、投影光学系PLと上述した照度センサ(不図示)との間に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態で、投影光学系PLの像面側における露光光ELの照射量(照度)を計測し、その計測結果に基づいて、露光光ELの照度を適宜補正する。そして、照度センサを使った計測処理が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20等を使って、照度センサの上板上の液体LQを回収する。
【0096】
ところで、上記基準部材300や照度ムラセンサ400、あるいは空間像計測センサ500や照度センサを使った液体LQを介した計測処理が終了し、液体LQが回収された後、基準部材300の上面301Aなどに液体LQが残留(付着)している可能性がある。そこで、制御装置CONTは、液体LQの回収作業を行った後に、検出装置60を使って、上記上面301A、401A、501Aなどを含む基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出する。
【0097】
例えば、基準部材300の上面301A上の液体LQを回収した後、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基準部材300上に液体LQが有るか否かを検出する。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体回収機構20の動作を制御する。具体的には、基準部材300上に液体LQが有ると判断されたとき、制御装置CONTは、液体回収機構20などを使って、基準部材300上に有る液体LQを回収する動作を再び行う。次いで、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基準部材300上に液体LQが有るか否かを再び検出する。そして、制御装置CONTは、検出装置60によって液体LQが検出されなくなるまで、検出装置60による検出動作と液体回収機構20による液体回収動作とを繰り返す。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60による液体検出動作と、液体回収機構20による液体回収動作とを並行して行うこともできる。
この場合、検出装置60が液体LQを検出しなくなるまで、制御装置CONTは液体回収機構20による液体回収動作を継続する。これにより、液体LQを介した計測処理後において、基準部材300上を含む基板ステージPST上に液体LQが残留する不都合の発生が回避される。ただし、検出装置60の検出結果に基づく一度の液体回収作業で液体LQの回収が完了したと判断し、検出装置60による検出を再度実行しなくてもよい。
【0098】
また、基準部材300の上面301A上に液体LQの液浸領域AR2を形成したとき、その液浸領域AR2の周囲に液体LQが飛散や流出する可能性もある。したがって、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基準部材300上に加えて、基板ステージPSTの上面43などに液体LQが有るか否かを検出する。そして、基板ステージPSTの上面43に液体LQが有ると判断されたとき、制御装置CONTは、液体回収機構20を使って、その上面43に有る液体LQを回収する。
【0099】
ここで、上述したように、検出装置60は、基板ステージPST(基準部材300)上に有る液体LQの位置情報を求めることができる。したがって、制御装置CONTは、前記液体LQの位置情報に基づいて基板ステージPSTを移動して、液体LQが有る位置と液体回収機構20の液体回収口22とを位置合わせした状態で液体回収動作を行うことができる。これにより、液体回収動作のスループットを向上することができる。もちろん、基板ステージPSTの上面43の全域が液体回収口12の下を通過するように、基板ステージPSTを液体回収口12に対して移動しながら液体回収を行うようにしてもよい。
【0100】
また、上述したように、検出装置60は、基板ステージPST(基準部材300)上にある液体LQの大きさ、ひいては液体LQの量に関する情報を求めることができる。したがって、制御装置CONTは、前記液体LQの大きさ(量)に関する情報に基づいて、液体回収機構20の回収力(吸引力)を制御したり、あるいは回収時間(吸引時間)を制御することができる。例えば、液体LQの大きさが大きい場合(量が多い場合)、制御装置CONTは、液体回収機構20の回収力を上昇させたり、あるいは回収時間を長くする。
これにより、液体LQは良好に回収される。一方、液体LQの大きさが小さい場合(量が少ない場合)、制御装置CONTは、液体回収機構20の回収力を低下させたり、あるいは回収時間を短くする。これにより、液体回収動作のスループットが向上される。
【0101】
また、検出装置60の検出結果に基づいて、基準部材300上(基板ステージPST上)に有る液体LQの量が、予め設定されているしきい値よりも少ないと判断したときや、液体LQが存在していても計測処理や露光処理に影響が少ない位置(物体上)に液体LQが有ると判断したときは、制御装置CONTは、液体回収機構20を使った液体LQの回収動作を行わないようにすることも可能である。
【0102】
また、基準部材300の上面301A上に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態での計測動作と、検出装置60による検出動作とを並行して行うことも可能である。例えば、上面301A上に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態での計測動作中に、検出装置60は投影光学系PLの光学素子2と上面301Aとの間に検出光Laを照射する。これにより、投影光学系PLの光学素子2と基準部材300の上面301Aとの間に液体LQが満たされているか否かを検出することができる。そして、液体LQが満たされていないと判断したときは、制御装置CONTは、例えば基準部材300を使った計測動作を停止したり、液体LQを満たすために例えば液体供給機構10による液体供給条件や液体回収機構20による液体回収条件を変更するなどといった適切な処置を施す。
【0103】
また、基準部材300の上面301A上に形成される液体LQの液浸領域AR2の外側に検出光Laを通過させて、基準部材300を使った計測動作を行うようにしてもよい。
これにより、例えば基準部材300の上面301A上から液体LQが流出する等の異常が生じた場合、検出装置60は、その液体LQの流出を検出することができる。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体LQが流出するなどの異常が生じたと判断したとき、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を低減したり、あるいは液体供給機構10による液体LQの供給を停止する。液体供給機構10による液体LQの供給を停止するときは、液体供給部11の駆動を停止してもよいし、バルブ15A、15Bを使って供給管13A、13Bの流路を閉じるようにしてもよい。あるいは、制御装置CONTは、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を増やす。また、基板ステージPSTを停止するようにしてもよい。
【0104】
以上のように、検出装置60の検出結果に基づいて、液体供給機構10や液体回収機構20の動作を制御することができ、これにより液浸領域AR2を良好に形成することができる。また、液体LQの流出などといった異常が生じても、液体供給機構10による液体LQの供給を停止するなど、適切な処置を施すことにより、被害の拡大を抑えることができる。
【0105】
なお、検出装置60による検出動作は、基準部材300を使った計測処理の後や計測処理と並行して行う他に、計測処理の前に行うことももちろん可能である。例えば計測処理を行う前に、検出装置60によって投影光学系PLと基準部材300との間に液浸領域AR2が良好に形成されたか否かを検出した後、計測処理を行うことができる。
【0106】
なおここでは、基準部材300の上面301A上に液体LQの液浸領域を形成して計測処理を行い、液体回収を行った後、検出装置60を使って前記上面301Aを含む基板ステージPST上の液体LQの検出を行う場合を例にして説明したが、照度ムラセンサ400の上板401の上面401A上に液体LQの液浸領域を形成して計測処理し、その上面401A上の液体LQを回収した後や、空間像計測センサ照500の上板501の上面501A上に液体LQの液浸領域を形成して計測処理し、その上面501A上の液体LQを回収した後、あるいは、照度センサの上板の上面上に液体LQの液浸領域を形成して計測処理し、その上面上の液体LQを回収した後に、検出装置60を使って、それら上板上や基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出することができる。そして、制御装置CONTは、その検出装置60の検出結果に基づいて、液体供給機構10や液体回収機構20の動作を制御することができる。更には、照度ムラセンサ400や空間像計測センサ500などによる計測動作と並行して、検出装置60による検出動作を行うことも可能であるし、計測動作の前に検出装置60による検出動作を行うことも可能である。
【0107】
上記アライメント処理や計測処理が終了した後、基板Pの走査露光処理を行うために、制御装置CONTは、投影光学系PLと基板Pとを対向させる。そして、制御装置CONTは、液体供給機構10を駆動して基板P上に液体LQを供給するとともに、液体回収機構20を駆動して基板P上の液体LQを所定量回収する。これにより、投影光学系PLの先端部の光学素子2と基板Pとの間に液体LQの液浸領域AR2が形成される(ステップS3)。
なお、アライメント処理及び計測処理(ステップS2)の終了後に液体LQを回収せずに、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持したまま、基板Pの液浸露光処理動作に移行してもよい。
【0108】
制御装置CONTは、液体供給機構10による基板P上に対する液体LQの供給と並行して、液体回収機構20による基板P上の液体LQの回収を行いつつ、基板Pを支持する基板ステージPSTをX軸方向(走査方向)に移動しながら、マスクMのパターン像を投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介して基板P上に投影露光する(ステップS4)。
【0109】
液浸領域AR2を形成するために液体供給機構10の液体供給部11から供給された液体LQは、供給管13A、13Bを流通した後、流路形成部材70内部に形成された供給流路を介して液体供給口12A、12Bより基板P上に供給される。液体供給口12A、12Bから基板P上に供給された液体LQは、投影光学系PLの先端部(光学素子2)の下端面と基板Pとの間に濡れ拡がるように供給され、投影領域AR1を含む基板P上の一部に、基板Pよりも小さく且つ投影領域AR1よりも大きい液浸領域AR2を局所的に形成する。このとき、制御装置CONTは、液体供給機構10のうち投影領域AR1のX軸方向(走査方向)両側に配置された液体供給口12A、12Bのそれぞれより、走査方向に関して投影領域AR1の両側から基板P上への液体LQの供給を同時に行う。これにより、液浸領域AR2は均一且つ良好に形成されている。
【0110】
本実施形態における露光装置EXは、マスクMと基板PとをX軸方向(走査方向)に移動しながらマスクMのパターン像を基板Pに投影露光するものであって、走査露光時には、液浸領域AR2の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMの一部のパターン像が投影領域AR1内に投影され、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板Pが投影領域AR1に対して+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。そして、基板P上には複数のショット領域が設定されており、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域に対する走査露光処理が順次行われる。
【0111】
なお本実施形態において、投影領域AR1の走査方向両側から基板Pに対して液体LQを供給する際、制御装置CONTは、液体供給機構10の流量制御器16A、16Bを使って単位時間あたりの液体供給量を調整し、基板P上の1つのショット領域の走査露光中に、走査方向に関して投影領域AR1の一方側から供給する液体量(単位時間あたりの液体供給量)を、他方側から供給する液体量と異ならせる。具体的には、制御装置CONTは、走査方向に関して投影領域AR1の手前から供給する単位時間あたりの液体供給量を、その反対側で供給する液体供給量よりも多く設定する。例えば、基板Pを+X方向に移動しつつ露光処理する場合、制御装置CONTは、投影領域AR1に対して−X側(すなわち液体供給口12A)からの液体量を、+X側(すなわち液体供給口12B)からの液体量より多くし、一方、基板Pを−X方向に移動しつつ露光処理する場合、投影領域AR1に対して+X側からの液体量を、−X側からの液体量より多くする。このように、制御装置CONTは、基板Pの移動方向に応じて、液体供給口12A、12Bからのそれぞれの単位時間あたりの液体供給量を変える。
【0112】
そして、基板Pの液浸露光処理動作と、検出装置60におる検出動作とを並行して行うことができる。例えば、基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態での計測動作中に、検出装置60は投影光学系PLの光学素子2と基板Pとの間に検出光Laを照射する。これにより、投影光学系PLの光学素子2と基板Pとの間に液体LQが満たされているか否かを検出することができる。そして、液体LQが満たされていないと判断したときは、制御装置CONTは、例えば液浸露光動作を停止したり、液体LQを満たすために例えば液体供給機構10による液体供給条件や液体回収機構20による液体回収条件を変更するなどといった適切な処置を施す。これにより、液浸領域AR2を良好に形成した状態で露光処理できる。
【0113】
また、基板P上に形成される液体LQの液浸領域AR2の外側に検出光Laを照射した状態で、基板Pを液浸露光処理するようにしてもよい。これにより、例えば基板P上に形成された液浸領域AR2から液体LQが流出する等の異常が生じた場合、検出装置60は、その液体LQの流出を検出することができる。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体LQが流出するなどの異常が生じたと判断したとき、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を低減したり、あるいは液体供給機構10による液体LQの供給を停止する。液体供給機構10による液体LQの供給を停止するときは、液体供給部11の駆動を停止してもよいし、バルブ15A、15Bを使って供給管13A、13Bの流路を閉じるようにしてもよい。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を増やす。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、基板Pに対する露光動作や基板ステージPSTの移動を停止する。
【0114】
なお、検出装置60による検出動作は、基板Pの液浸露光前、あるいは基板P上に液体LQを供給する前に行うことも可能である。例えば液浸露光を行う前に、基板P上に液体が無いことを検出装置60を使って確認してから、基板アライメント系を使って基板P上のアライメントマークの検出を行うこともできるし、検出装置60によって投影光学系PLと基板Pとの間に液体LQの液浸領域AR2が良好に形成されたか否かを検出した後、液浸露光処理を行うことができる。
【0115】
基板Pの液浸露光が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20、あるいは液体回収機構20とは別に設けられた所定の液体回収機構を使って、基板P上に形成された液浸領域AR2の液体LQを回収する。また、基板P上に形成された液浸領域AR2の液体LQが周囲に飛散又は流出している可能性もある。そこで、制御装置CONTは、基板P上に残留している液体LQの他に、例えば基準部材300上や上板401、501を含む基板ステージPSTの上面43に残留している液体LQも、液体回収機構20、あるいは液体回収機構20とは別に設けられた所定の液体回収機構を使って回収する(ステップS5)。
【0116】
基板P表面を含む基板ステージPST上の液体LQを回収した後、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基板P上や基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出する。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体回収機構20の動作を制御する。具体的には、基板P上又は基板ステージPST上に液体LQが有ると判断されたとき、制御装置CONTは、液体回収機構20などを使って、基板P上又は基板ステージPST上に有る液体LQを回収する動作を再び行う。次いで、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基板P上又は基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを再び検出する。そして、制御装置CONTは、検出装置60によって液体LQが検出されなくなるまで、検出装置60による検出動作と液体回収機構20による液体回収動作とを繰り返す。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60による液体検出動作と、液体回収機構20による液体回収動作とを並行して行うこともできる。この場合、検出装置60が液体LQを検出しなくなるまで、制御装置CONTは液体回収機構20による液体回収動作を継続する。これにより、液浸露光後において、基板P上や基板ステージPST上に液体LQが残留する不都合の発生が回避される。
ただし、検出装置60の検出結果に基づく一度の液体回収作業で液体LQの回収が完了したと判断し、検出装置60による検出を再度実行しなくてもよい。
【0117】
検出装置60は、基板P上又は基板ステージPST上に有る液体LQの位置情報を求めることができるので、制御装置CONTは、前記液体LQの位置情報に基づいて基板ステージPSTを移動して、液体LQが有る位置と液体回収機構20の液体回収口22とを位置合わせした状態で液体回収動作を行うことができる。これにより、液体回収動作のスループットを向上することができる。もちろん、基板P表面を含む基板ステージPSTの上面43の全域が液体回収口12の下を通過するように、基板ステージPSTを液体回収口12に対して移動しながら液体回収を行うようにしてもよい。
【0118】
また、上述したように、検出装置60は、基板P表面を含む基板ステージPST上にある液体LQの大きさ、ひいては液体LQの量に関する情報を求めることができる。したがって、制御装置CONTは、前記液体LQの大きさ(量)に関する情報に基づいて、液体回収機構20の回収力(吸引力)を制御したり、あるいは回収時間(吸引時間)を制御することができる。例えば、液体LQの大きさが大きい場合(量が多い場合)、制御装置CONTは、液体回収機構20の回収力を上昇させたり、あるいは回収時間を長くする。これにより、液体LQは良好に回収される。一方、液体LQの大きさが小さい場合(量が少ない場合)、制御装置CONTは、液体回収機構20の回収力を低下させたり、あるいは回収時間を短くする。これにより、液体回収動作のスループットが向上される。
【0119】
また、検出装置60の検出結果に基づいて、基板P表面を含む基板ステージPST上に有る液体LQの量が、予め設定されているしきい値よりも少ないと判断したときや、液体LQが存在していても計測処理や露光処理に影響が少ない位置(物体上)に液体LQが有ると判断したときは、制御装置CONTは、液体回収機構20を使った液体LQの回収動作を行わないようにすることも可能である。
【0120】
基板P上及び基板ステージPST上の液体LQを回収した後、制御装置CONTは、露光済みの基板Pを基板ステージPSTより搬出(アンロード)する(ステップS6)。
基板Pを基板ステージPSTからアンロードするとき、制御装置CONTは、基板ステージPSTを投影光学系PLに対して離れた位置に設定されているアンロード位置に移動する。基板Pはアンロード位置において不図示の搬送系(アンローダ装置)によりアンロードされる。なお、ロード位置とアンロード位置とは同じ位置でもよいし別の位置でもよい。
【0121】
なお本実施形態においては、検出装置60は、基板P表面を含む基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出しているが、投影光学系PLの先端部よりも下方に配置されている、例えばリニアモータ47、48や、リニアモータ47の固定子47Aが設けられているXガイドステージ44の表面や、エアベアリング42、51、52、あるいは基板ステージPSTの側面などに液体LQが有るか否かを検出することもできる。基板P上や基板ステージPST上に形成された液浸領域AR2の液体LQが飛散したり流出するなどして、上記リニアモータやエアベアリング、あるいはXガイドステージ44の表面などに付着する可能性がある。例えばXガイドステージ44のリニアモータ47(固定子47A)に液体LQが付着した場合、漏電などの不都合が発生する。あるいはエアベアリング42近傍に液体LQが付着した場合、エアベアリング42の吸気口42Aに液体LQが流入する不都合が発生する。あるいは、基板ステージPSTの側面などに付着した液体LQを放置しておくと、錆びが生じたり、その液体LQが気化して基板Pの置かれている環境変動を引き起こす可能性もある。そこで、制御装置CONTは、検出装置60を使ってその付着した液体LQを検出する。Xガイドステージ44など所望位置以外の位置(部材)に液体LQが付着していることは異常であるため、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果を異常であると判断したとき、所定の液体除去機構等を使って、その液体LQを除去することにより、上記不都合の発生を防止することができる。
【0122】
また、上記リニアモータ(電磁駆動源)をはじめとする電気機器近傍に液体LQがあることを検出したとき、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果が異常であると判断し、例えばその電気機器への電力供給を停止するようにしてもよい。こうすることにより、漏電の発生を防止することができる。
【0123】
また、例えばエアベアリング42の吸気口42A近傍に液体LQが有ることを検出したときには、制御装置CONTは、吸気口42Aからの吸気動作を停止するようにしてもよい。
【0124】
また、Xガイドステージ44等に付着している液体LQを検出するなど、検出装置60の検出結果が異常であると判断したとき、制御装置CONTは、警報装置Kを駆動して警告を発することも可能である。これにより、例えばオペレータは露光装置EX内部において、液体LQが漏洩するなどの異常が発生したことを把握できるため、適切な処置を施すことができる。警報装置Kは、警告灯、警告音、ディスプレイなどを使って警報を発することができる。なお、検出装置60の検出結果が異常と判断されたとき、例えばコンピュータネットワークなどを介してオペレータに異常が生じた旨を伝えるようにしてもよい。
【0125】
また、例えば基板Pの液浸露光中や、基準部材300や上板401、501上に液浸領域AR2を形成した状態での計測処理中において、検出装置60がXガイドステージ44や基板ステージPSTの側面などに多量の液体LQが有るなどの異常を検出したとき、制御装置CONTは、基板ステージPST上の液浸領域AR2から液体LQが流出しているなどの異常が発生したと判断する。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果が異常であると判断したとき、液体供給機構10による液体LQの供給を停止するようにしてもよい。これにより、漏電や流出した液体LQの拡散、あるいは吸気口42Aへの液体LQの流入などの不都合の発生を防止できる。また、この場合においても、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果が異常であると判断したとき、露光動作を停止するようにしてもよい。
【0126】
以上説明したように、検出装置60を使って投影光学系PLの先端部よりも下方に配置されている基板Pや基板ステージPST、あるいはXガイドステージ44などの所望位置あるいは所望の位置以外の位置に液体LQが有るか否かを検出することができる。したがって、例えば所望位置以外の位置に液体LQが配置されている場合には、検出装置60の検出結果に基づいて、液体供給機構10や液体回収機構20などの動作を制御したり、その液体LQを除去するなどの適切な処理を施すことができ、液体LQの流出などといった異常が生じても被害の拡大を抑えることができる。
【0127】
なお、上述した実施形態においては、検出装置60の射出部61及び受光部62は、基板ステージPSTの外側(メインコラム3)に設けられているが、検出装置60の射出部61及び受光部62のうち少なくとも一方を基板ステージPST上に設けることも可能である。一方で、上述した実施形態のように、検出装置60の射出部61及び受光部62を基板ステージPSTの外側に設け、基板ステージPSTの外側より液体LQを光学的に(非接触で)検出する構成とすることにより、例えば基板ステージPST上に液体LQを検出するための検出素子やその検出素子に接続する配線や各種部材(機器)などを配置する必要がない。そのため、基板ステージPSTの移動に及ぼす影響を少なくすることができる。
【0128】
なお、検出光Laとしては可視光などを使用することもできるが、所定波長(所定波長帯域)の赤外光を用いることが好ましい。具体的には、検出光Laとして、波長が例えば約1200nm、約1450nm、約1940nm、及び約2950nmの赤外光を用いることが好ましい。水(液体)LQには、上記波長の光(赤外光)を吸収する性質があるため、上記波長を有する検出光(赤外光)Laを液体LQに照射したとき、その検出光Laの光エネルギーが水(液体)LQに吸収され、受光部62に受光される光量が大きく低下する。したがって、検出光Laが液体LQに照射されたときの受光部62での受光量と、検出光Laが液体LQに照射されないときの受光部62での受光量との差が大きくなるため、検出装置60は、液体LQが有るか否かをより高感度に検出することができる。
【0129】
また、検出光Laとして赤外光を用いることにより、例えば基板P上に付着している異物(パーティクル)に検出光Laが照射されたときの受光部62での受光量と、液体LQに検出光Laが照射されたときの受光部62での受光量とが大きく異なる値となるので、検出装置60はパーティクルと液体LQとを区別することができる。そして、液体LQが有ると判断したときは、液体供給機構20などを使って液体LQを回収し、パーティクルが有ると判断したときは、所定のパーティクル除去機構を使ってそのパーティクルを除去すればよい。
【0130】
また、基板ステージPSTの上面43や基板ホルダPHの上面などに液体LQが有るか否かを検出する際において、例えば基板ホルダPHの上面から僅かに突起する部材(例えば基板Pを保持する保持機構(ピンチャック機構)の一部を構成するピン部材など)が存在していても、検出光Laとして赤外光を用いることにより、検出装置60は、その突起部材と液体LQとを区別することも可能となる。したがって、突起部材を液体LQであると誤った判断をする不都合の発生を回避できるため、液体LQが無いにもかかわらず、液体LQの回収動作を行ってスループットを低下させてしまう不都合の発生を回避することができる。
【0131】
なお検出光Laとして上記波長を有する赤外光を用いる場合、例えば約1940nmの波長を有する赤外光(2μm帯レーザ光)と、約2950nmの波長を有する赤外光(3μm帯レーザ光)とを組み合わせた2波長レーザ光を照射するようにしてもよい。あるいは、互いに異なる波長(波長帯域)を有する3つ以上の複数のレーザ光を組み合わせた検出光を照射するようにしてもよい。
【0132】
ところで、上述した実施形態においては、検出光Laは、基板Pや基板ステージPSTなどの物体の表面とほぼ平行に照射される構成であり、その検出光Laの光路上に液体LQが有るか否かを検出することによって、物体上に液体LQが有るか否かを検出する構成である。つまり、物体上に液体LQがある場合、検出光Laを液体LQに確実に照射する必要がある。そのため、検出装置60は、物体上に存在する液体LQに検出光Laを確実に照射するために、検出光Laが物体表面より所定距離以内の離れた領域の内側を通過するようにしている。具体的には、検出光Laは、物体表面より5.5mm以内の離れた領域を通過するように設定されている。このことについて図8を参照しながら説明する。
【0133】
図8において、物体表面(図8では基板ステージPSTの上面43)上には液体LQが液滴(水滴)の状態で配置されている。このとき、
cosθ = 1−(ρ×g×h2)/(2×σ) …(1A)の関係が成り立つ。ここで、
θ:物体表面に対する液体LQの接触角、
ρ:液体の密度、
h:液体(液滴)の高さ、
σ:表面張力係数、
g:重力加速度、である。本実施形態において液体LQは水であるため、ρ=998〔kg/m3〕、σ=73×10−3〔N/m〕である。上記(1A)式を変形すると、
h = 〔(2×σ)×(1−cosθ)/(ρ×g)〕1/2 …(2A)となる。物体表面が十分な撥液性を有しており、θ=180°(cosθ=−1)とすると、h=5.46×10−3〔m〕、すなわち約5.5mmとなる。
【0134】
実際には、接触角θは180°より小さい値であるため、高さhの値も5.5mm以下となる。例えば、上面43がポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))で形成されている場合、その上面43に対する液体(水)LQの接触角θは約115°程度であるため、高さhは約4.6mmとなる。そして、高さhの値は、液体LQの量が十分であればその液体LQの量によって変化せず一定の値となる。そこで、物体表面に対して5.5mm以内の高さの範囲の領域内を検出光Laが通過するように設定することにより、換言すれば、物体表面とその物体表面にほぼ平行に照射される検出光Laとの距離Dが5.5mm以下となるように設定することにより、物体表面に存在する液体(水)LQに検出光Laを確実に照射することができる。
【0135】
そして、例えば計測処理(ステップS2)の前や後、あるいは液浸露光処理(ステップS4)の前や後に、検出光Laを照射して基板P表面を含む基板ステージPST上面の液体LQの有無を検出する場合には、検出光Laが、基板ステージPST上面より5.5mm以内の領域を通過するように、基板ステージPSTをZ軸方向に駆動してその上面の位置を調整するようにしてもよい。あるいは、射出部61や光学部材63などを含む検出装置60を移動して検出光Laの位置を調整してもよいし、基板ステージPSTと検出光Laとの双方の位置を移動するようにしてもよい。
【0136】
なお、高さhの値は物体の表面状態(接触角θ)や、用いる液体LQの種類(物性)によって変化するため、例えば液体LQとして水以外の液体を用いた場合には、上記(2A)式より高さhを求め、その高さhに基づいて、距離Dを設定すればよい。
【0137】
また、液体LQの量が少ない場合(液滴の大きさが小さい場合)には、その高さhの値が小さくなるが、その場合においても、基板ステージPSTや検出光Laの位置を調整することで、検出光Laを基板ステージPST上の液体(液滴)LQに照射することができる。
【0138】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
【0139】
図9は本発明の別の実施形態を示す斜視図である。図9に示すように、検出装置60は、基板ステージPSTの外側に設けられた複数の射出部61A〜61H、及びそれら射出部61A〜61Hに対応するように設けられた複数の受光部62A〜62Hを備えている。これら射出部61A〜61H、及び受光部62A〜62Hはメインコラム3などに固定されている。
【0140】
検出装置60は、各射出部61A〜61Hのそれぞれより、XY平面にほぼ平行な、すなわち基板P及び基板ステージPSTの上面43にほぼ平行な検出光Laを射出する。各射出部61A〜61Hのそれぞれから射出された複数の検出光Laは、基板P上に形成された液体LQの液浸領域AR2のエッジ部LG近傍に対して照射される。そして、検出装置60は、これら射出部61A〜61Hによって、互いに異なる複数の方向から、液浸領域AR2のエッジ部LG近傍の複数位置のそれぞれに検出光Laを照射している。具体的には、複数設けられた射出部61A〜61Hのうち、射出部61A、61BはX軸方向にほぼ平行な方向から液浸領域AR2のエッジ部LG近傍に対して検出光Laを照射し、射出部61E、61FはY軸方向にほぼ平行な方向から検出光Laを照射する。また、射出部61C、61Dは、X軸(Y軸)方向に対して傾斜方向から液浸領域AR2のエッジ部LGに対して検出光Laを照射し、射出部61G、61Hは、射出部61C、61Dから射出された検出光Laとは異なる傾斜方向から検出光Laを照射する。すなわち、各射出部61A〜61Hから射出される複数の検出光Laの光路は、液浸領域AR2の周りを囲むように設定されている。
【0141】
また、また、射出部61A、61Bのそれぞれから射出された2つの検出光Laは、液浸領域AR2を挟んでその液浸領域AR2の両側のエッジ部LG近傍のそれぞれに照射されるように設けられている。同様に、射出部61C、61Dのそれぞれから射出された2つの検出光Laは、液浸領域AR2の両側のエッジ部LG近傍のそれぞれに照射され、射出部61E、61Fのそれぞれから射出された2つの検出光Laは、液浸領域AR2の両側のエッジ部LG近傍のそれぞれに照射され、射出部61G、61Hのそれぞれから射出された2つの検出光Laは、液浸領域AR2の両側のエッジ部LG近傍のそれぞれに照射されるように設けられている。
【0142】
制御装置CONTは、各射出部61A〜61Hより検出光Laを射出した状態で、基板P上に液浸領域AR2を形成し、その基板Pに液体LQを介して露光光ELを照射して液浸露光する。つまり、制御装置CONTは、検出装置60による検出動作と基板Pの露光とを並行して行う。もちろん、上述した計測処理と並行して検出動作を行ってもよい。
【0143】
ここで、基板P上の液浸領域AR2が所定の位置に所望状態(所望の大きさ及び形状)で形成されているとき、検出光Laの光路は、液浸領域AR2のエッジ部LGより外側に所定距離離れた位置に設定されている。すなわち、液浸領域AR2が所望状態で形成されているとき、各射出部61A〜61Hのそれぞれより射出された検出光Laは、液浸領域AR2の液体LQに照射されず、液体LQを介さないで受光部62A〜62Hに到達するように設けられている。
つまり、予め設定されている液浸領域AR2の目標形状又は大きさに応じて、液浸領域AR2のエッジ部LG近傍に照射される複数の検出光Laの光路のそれぞれが設定されている。
【0144】
例えば基板Pを液浸露光中において、例えば投影光学系PLと基板Pとの間に形成された液浸領域AR2が予め設定されている所定(所望)の大きさ以上になったとき、複数の検出光Laのうちいずれかの検出光Laの光路上に液体LQが配置される。また、基板P上より液体LQが流出したり、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持できず、投影光学系PLの先端部と基板Pとの間より液体LQが流出したときも、検出光Laの光路上に液体LQが配置される。そのため、検出装置60は、受光部62A〜62Hのいずれかの受光結果に基づいて、液浸領域AR2の大きさが所望の大きさより大きくなったり、液体LQが流出したなどの異常が生じたことを検出することができる。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液浸領域AR2の大きさを所望の大きさにするために、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を低減したり、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を増やすなどの制御を行う。また、制御装置CONTは、液浸領域AR2が所定の大きさ以上になったり、基板P上の液体LQが流出するなど、検出装置60の検出結果を異常と判断したとき、液体供給機構10による液体LQの供給を停止する。これにより、液体LQの流出を防止することができる。更には、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、基板ステージPSTの移動を停止したり、基板Pに対する露光動作を停止するようにしてもよい。
【0145】
また、複数の検出光Laのうち少なくとも2つの検出光Laは、液浸領域AR2の両側のエッジ部LG近傍のそれぞれに照射されており、本実施形態においては、液浸領域AR2を囲むように複数の検出光Laの光路が設定されているので、液浸領域AR2から流出する液体LQの方向を検出することもできる。したがって、制御装置CONTは、その方向への液体LQの流出を抑えるために、例えば複数の液体供給口12A、12Bから供給される液体供給量のそれぞれを流量制御器16A、16Bなどを使って個別に調整したり、あるいは複数の液体回収口22A、22Bを介した液体回収量のそれぞれを個別に調整する。
【0146】
また、投影光学系PLと基板Pとの間に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態において、基板Pを保持した基板ステージPSTを高速に移動すると、液浸領域AR2の液体LQが移動する基板Pに引っ張られて流出したり、液浸領域AR2が大きくなる可能性がある。そのような場合には、基板ステージPSTの移動速度を低下してやればよい。このように基板ステージPSTの移動速度、あるいは移動方向を調整するなど基板ステージPSTの駆動制御を行うことで、液体LQの流出を抑えることもできる。
【0147】
また、検出装置60によって液体LQが流出した方向を検出したとき、例えば液浸露光終了後において、流出した液体LQが液体回収口22の下に配置されるように、液体LQが流出した方向に応じて基板ステージPSTをXY方向に移動し、その液体LQを回収するようにしてもよい。
【0148】
また、本実施形態においても、検出光Laとして所定波長の赤外光を用いることにより、液体LQの検出精度を向上することができる。
【0149】
図10は本発明の別の実施形態を示す側面図、図11は平面図である。図10及び図11に示すように、検出装置60は、射出部61より投影光学系PLと基板Pとの間に形成された液体LQの液浸領域AR2に対して検出光Laを照射する。本実施形態においては、射出部61はY軸方向に並んだ複数の検出光LaをX軸方向に沿って照射している。本実施形態においては、制御装置CONTは、基板Pの露光動作や計測動作と検出装置60による検出動作とを並行して行っている。
【0150】
検出装置60は、射出部61から液浸領域AR2の複数位置のそれぞれに照射した検出光Laの受光部62での受光結果に基づいて、基板P上に形成された液浸領域AR2の大きさを求めることができる。
【0151】
受光部62は前記複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。これら受光素子の位置情報は設計値などによって予め分かっている。射出部61から射出される複数の検出光Laのうち、一部の検出光La1が液浸領域AR2に照射されると、その検出光La1に対応する受光部62の受光素子には検出光La1が到達しない、あるいは受光素子で受光される光量が低下する。一方、残りの一部の検出光La2は液浸領域AR2を介さないで受光部62に到達する。したがって、検出装置60は、検出光La1を受光した受光部62の受光素子の受光結果と、その受光素子の位置情報とに基づいて、液浸領域AR2の大きさを求めることができる。
【0152】
なお本実施形態においては、検出装置60は液体LQに対してX軸方向より検出光Laを照射しているため、液浸領域AR2のY軸方向における大きさを求めることができるが、液浸領域AR2に対してY軸方向より検出光Laを照射することにより、液浸領域AR2のX軸方向における大きさを求めることができる。また、XY平面内においてX軸方向に対して傾斜方向から検出光Laを照射することももちろん可能である。そして、液浸領域AR2に対して複数方向から検出光Laを照射したときのそれぞれの受光結果を演算処理することで、検出装置60(あるいは制御装置CONT)は液浸領域AR2の形状を求めることができる。
【0153】
そして、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体供給機構10及び液体回収機構20のうち少なくとも一方の動作を制御する。例えば、液浸領域AR2が所定の大きさ以上であると検出されたとき、制御装置CONTは、液浸領域AR2を所望の大きさにするために、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を減らしたり、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を増やす。あるいは、液浸領域AR2が所定の大きさ以上であると検出されたとき、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体LQの供給を停止するようにしてもよい。逆に、液浸領域AR2が所定の大きさ以下であると検出されたとき、制御装置CONTは、液浸領域AR2を所望の大きさにするために、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を増やしたり、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を減らす。
【0154】
また、複数の検出光La全ての光路上に液体LQが配置され、検出光Laが所定の光量で受光部62に受光されないとき、制御装置CONTは、基板P上より液体LQが流出したなどの異常が発生したと判断する。その場合、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体LQの供給を停止する。
【0155】
また、液浸領域AR2の形状が予め設定されている目標形状と大きく異なるときは、例えば複数の液体供給口12A、12Bから単位時間当たりに供給される液体量をそれぞれ個別に調整したり、あるいは複数の液体回収口22A、22Bを介した単位時間当たりの液体回収量を個別に調整したり、あるいは基板ステージPSTの駆動を制御することで、液浸領域AR2の形状を調整することも可能である。
【0156】
また、本実施形態においては、検出装置60は液浸領域AR2のうち露光光ELの光路上にも検出光Laを照射する構成であるため、例えば投影光学系PLの先端の光学素子2と基板Pとの間にある気体部分を検出することも可能である。したがって、検出装置60が気体部分を検出したとき、すなわち液浸領域AR2の液切れを検出したとき、制御装置CONTは、気体部分を無くすために、液体供給機構10による液体供給量を増やしたり、液体回収機構20による液体回収量を減らす。あるいは、気体部分が生成された場合、パターン像が基板Pに良好に転写されないため、制御装置CONTは、基板Pの露光を停止するようにしてもよい。
【0157】
なお、本実施形態においては、射出部61は複数並んだ検出光Laを照射しているが、液浸領域AR2を覆うように照射されるシート状光束であってもよい。シート状光束としては、例えばレーザ光源から射出されたレーザ光束を、ピンホールやシリンドリカルレンズを有する光学系を通過させることで生成される所謂レーザシート光を用いることができる。
【0158】
また、シート状光束の照射領域としては、少なくとも液浸領域AR2の目標の大きさ以上の大きさを有するように設定される。こうすることにより、液浸領域AR2が所望の大きさである場合には、受光部62は検出光La2を受光することができる。
【0159】
なお、本実施形態においても、検出光Laとして所定波長の赤外光を用いることにより、液体LQの有無の検出精度を向上することができる。
【0160】
なお、上述した各実施形態においては、複数の検出光Laは水平方向に並んで照射されているが、垂直方向に並んで照射されてもよい。こうすることにより、投影光学系PLと基板Pとの間に液体LQを満たした場合において、例えば基板P表面近傍には液体LQが配置されている一方で、投影光学系PLの光学素子2の液体接触面2A近傍には気体部分が形成されている状況が生じた場合であっても、その気体部分を良好に検出することができるし、液体LQを回収した後に、光学素子2の液体接触面2Aや流路形成部材70の下面70Aに付着した液体を検出することもできる。
【0161】
ところで、上述した各実施形態においては、検出光Laは基板ステージPST上面とほぼ平行に照射されているが、例えば基板ステージPST上に凹部が形成されている場合において、その凹部の内側(例えば、基板ホルダPH上)に液体LQが残留(付着)している場合、検出光Laを基板ステージPST上面とほぼ平行に照射すると、その凹部の内側の液体LQを検出することは困難である。この場合、検出装置は、基板ステージPSTの上面に対して垂直上方から、あるいは斜め上方から検出光Laを照射する。
【0162】
図12は基板ステージPST上に形成された凹部1の内側に配置された液体LQを検出している状態を示す模式図である。図12に示す検出装置65は、検出光Laを照射する射出部と、光を受光する受光部との機能を兼ね備えている。そして、検出装置65は、基板ステージPST上に形成され、基板ホルダPHが配置されている凹部1に対して上方から検出光Laを照射するとともに、その凹部1からの光を受光し、その受光結果に基づいて、凹部1の内側に液体LQが有るか否かを検出する。検出装置65は、凹部1に対して上方から検出光Laを照射する。
【0163】
基板ホルダPHの上面(保持面)PHaを含む凹部1の内側に液体LQが存在しない場合、凹部1に対して照射した検出光Laの反射光は所定の光強度で検出装置65に受光される。一方、凹部1の内側に液体LQが存在する場合、凹部1に対して照射した検出光Laは、液体LQで散乱あるいは吸収されるため、その反射光は、前記所定の光強度よりも弱い光強度で検出装置65に受光される。検出装置65は、反射光の受光結果に基づいて、凹部1の内側に液体LQが有るか否かを検出することができる。
【0164】
なお、本実施形態においても、凹部1(基板ステージPST上面)に検出光Laを照射するときに、検出光Laに対して基板ステージPSTをXY方向に移動しつつ検出することができる。もちろん、検出装置65から射出された検出光Laを移動しつつ検出することも可能であるし、基板ステージPST及び検出光Laの双方を移動しつつ検出することも可能である。このように、基板ステージPST及び検出装置65から射出された検出光Laの少なくともいずれか一方を移動しながら検出することで、凹部1の内側の広い領域における液体LQの有無を検出することができる。
【0165】
また、この場合においても、検出光Laとして所定波長の赤外光を用いることにより、液体LQの検出精度を向上することができる。
【0166】
なお凹部としては、基板ホルダPHを配置する凹部には限られず、基板ステージPSTをはじめとする投影光学系PLの先端部よりも下方に配置された物体上に形成された凹部は全て含まれる。
【0167】
ところで、検出装置65は、凹部1の内側の基板ホルダPH上に液体LQが有るか否かを検出することができるが、検出装置65による基板ホルダPHに対する検出光Laの照射は、基板ホルダPHに基板Pを載置する前、すなわち図7を参照して説明したステップS1の前に行われることが好ましい。
【0168】
すなわち、検出装置65によって基板ホルダPH上に液体LQが有ることを検出したとき、制御装置CONTは、図13Aに示すように、所定の液体除去機構25を使って、その基板ホルダPH上の液体LQを回収する。図13Aに示す液体除去機構25は、液体LQを吸引回収する吸引ノズルを有している。吸引ノズルは基板ホルダPHの上方より接近し、基板ホルダPH上の液体LQを回収する。なお、液体除去機構25としては、基板ホルダPH上に気体を吹き付けて液体LQを飛ばす構成であってもよいし、液体吸収部材を使って液体LQを吸収する構成であってもよい。そして、基板ホルダPH上の液体LQを回収した後、図13Bに示すように、ローダ装置80によって基板Pが基板ホルダPH上に載置される。
【0169】
基板ホルダPH上に液体LQが配置されている状態でその基板ホルダPH上に基板Pをロードしてしまうと、液体LQが潤滑膜として機能し、基板ホルダPHに対する基板Pの位置ずれを引き起こし、それによって露光精度や計測精度が劣化する可能性がある。また、基板ホルダPHが真空吸着方式で基板Pを保持する構成の場合、真空吸着孔を介して真空系に液体LQが流入する不都合も生じる。ところが、基板ホルダPHに基板Pを載置する前に、基板ホルダPH上における液体LQの有無を検出装置65で検出し、液体LQを検出した場合には、液体除去機構25で液体LQを回収することで、基板ホルダPHに基板Pを載置したときの基板ホルダPHに対して基板Pを確実に保持することができる。
【0170】
なお、検出装置65による基板ホルダPH上における液体LQの検出動作は、液浸露光を終えた基板Pを基板ホルダPHから搬出(アンロード)した後、つまり図7を参照して説明したステップS6の後に行うことももちろん可能である。また、液体除去機構25をローダ装置80に取り付けてもよい。
【0171】
なお、検出装置65は、凹部の内側における液体LQの有無を検出する他に、基板P表面や基板ステージPSTの上面43など平坦面における液体LQの有無を検出可能であることはもちろんである。また、基板ホルダPHに基板Pを載置した状態で、基板ステージPSTの上面43に液体LQが有るか否かを検出するときは、検出装置65による検出動作と基板Pに対する露光動作とを並行して行ってもよい。
【0172】
なお、図14に示すように、基板ホルダPHを基板ステージPSTのプレート部材43に対してZ軸方向、及びθX、θY方向に移動可能に構成した場合には、基板ホルダPH上の液体LQの有無を検出するときに、基板ホルダPHを駆動するホルダ駆動機構PHLを使って、基板ホルダPHの上面PHaと基板ステージPSTの上面43とをほぼ面一にして、検出光Laを基板ホルダPHの上面PHa及び基板ステージPSTの上面43とほぼ平行に照射するようにしてもよい。
【0173】
図15は本発明の別の実施形態を示す図である。図15において、基板ステージPSTには、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2の下面2A、あるいはその近傍に設けられている部品としての流路形成部材70の下面70Aなどに液体LQが有るか否かを検出する検出装置66が設けられている。検出装置66は、図12を参照して説明した検出装置65同様、検出光Laを射出する射出部と、光を受光する受光部とのそれぞれの機能を兼ね備えている。検出装置66の射出部及び受光部は、基板ステージPSTのうち基板ホルダPH以外の位置、具体的には上面43に設けられている。
【0174】
検出装置66は、投影光学系PLの像面側に液体LQを満たした状態での露光動作の前又は後、あるいは計測動作の前又は後において、投影光学系PLの光学素子2の下面2Aや流路形成部材70の下面70Aに検出光Laを照射する。そして、液体LQが付着している場合には、所定の液体除去機構によって液体LQを除去する。光学素子2などに付着した液体LQを放置しておくと、その光学素子2表面に水跡(所謂ウォーターマーク)が形成される不都合が生じるが、検出装置66で光学素子2に液体LQが付着しているか否かを検出し、付着している場合にはその液体LQを除去することで、上記不都合の発生を防止できる。
【0175】
なお、検出装置66によって光学素子2に液体LQが付着していることを検出したとき、制御装置CONTは、例えば図16に示すように、投影光学系PLの像面側に液体LQを供給して液浸領域AR2を形成し、光学素子2を濡らすようにしてもよい。図16に示す例では、投影光学系PLと基板ステージPSTの上面43とを対向させた状態で、その投影光学系PLと基板ステージPSTの上面43との間に液体LQを供給することによって液浸領域AR2が形成されている。こうすることによっても、ウォーターマークが形成される不都合を防止できる。
【0176】
露光処理済みの基板Pを基板ステージPSTからアンロードするとき、基板Pは例えば基板ホルダPHに設けられているリフト機構によって基板ホルダPH(基板ステージPST)に対して上昇され、基板Pの裏面と基板ホルダPHの保持面PHaとが離れる。このとき、検出装置66を使って、上昇された基板Pの裏面に液体LQが付着しているか否かを検出してもよい。この場合、検出装置66として、基板Pの裏面に斜め下方から検出光を照射する照射部とその反射光を受光する受光部とを備えておき、受光部の受光結果に基づいて基板Pの裏面に液体が付着しているか否かを検出すればよい。あるいは検出装置66として、基板Pの裏面を撮像可能な撮像装置(CCDなど)備えておき、画像処理によって基板Pの裏面に液体が付着しているか否かを検出するようにしてもよい。制御装置CONTは、基板Pの裏面に液体LQが付着しているとき、所定の液体除去機構によって気体を吹き付けるなどして基板Pの裏面の液体LQを除去する。こうすることにより、例えばアンローダ装置が基板Pの裏面を真空吸着孔を介して吸着保持する構成であっても、真空吸着孔の内部に液体LQが浸入したり、液体LQが潤滑膜となって基板Pの位置ずれを起こすなどの不具合を回避でき、アンローダ装置の支持面に対して基板Pを確実に保持できる。
【0177】
また、基板Pの裏面に付着した液体が検出された場合には、その基板Pのアンロード(搬出)を中止し、例えば警告などを出して、基板Pをオペレータに取り出してもらうようにしてもよい。この場合もアンロード装置への液体の付着などを防止することができる。
【0178】
なお、基板Pの裏面に液体が付着しているか否かの検出は、基板ステージPSTから基板Pを搬出した後、すなわち不図示のアンロード装置が基板Pを受け取ってから行うようにしてもよい。そして、基板P裏面の液体の付着が検出されたときには、液体除去あるいは警告などを行うようにすればよい。ただし、この場合には、不図示のアンロード装置に液体が付着した可能性があるので、アンロード装置の液体除去あるいはクリーニングを行う必要がある。
【0179】
図17は本発明の別の実施形態を示す斜視図、図18Aは図17を矢印A方向から見た側面図、図18Bは図17のB−B’矢視断面図である。図17及び図18A、18Bにおいて、検出装置60は、基板ステージPSTの上面43に対してZ軸方向に複数並んだ検出光Laを射出する射出部61Kと、検出光Laに対して所定位置に配置された受光部62Kとを備えている。受光部62Kは、射出部61Kより射出される複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。
【0180】
射出部61K及受光部62Kは、例えばメインコラム3に固定されており、射出部61Kから射出された検出光Laは、投影光学系PLとは離れた位置を通過するように設定されている。なお、射出部61K及び受光部62Kは、例えば基板Pを基板ステージPSTにロードするロード位置やアンロードするアンロード位置近傍、あるいはロード位置と露光位置(投影光学系PLの下の位置)との間の所定の位置、あるいはアンロード位置と露光位置との間の所定の位置に設けることができる。
【0181】
図6などを参照して説明した実施形態においては、水平方向(XY方向)に複数並んだ検出光Laを照射することによって、液体LQの水平方向における大きさや形状を検出しているが、本実施形態においては、垂直方向(Z軸方向)に複数並んだ検出光Laを照射しているので、検出装置60は、受光部62Kの受光結果に基づいて、液体(液滴)LQの高さを求めることができる。
【0182】
制御装置CONTは、検出装置60を使って上面43上における液体LQの高さhを検出し、その検出結果に基づいて、図18Aに示すように、上面43に対する液体LQの接触角θを求めることも可能である。具体的には、制御装置CONTは、検出装置60を使って液体LQの高さhを検出した後、上記(1A)式などに基づいて、接触角θを算出することができる。
【0183】
また、図17に示す実施形態においては、検出光LaはY軸方向にほぼ平行に照射されているが、制御装置CONTは、基板ステージPSTを検出光Laの光路と交差する方向であるX軸方向に移動しつつ検出光Laを照射することができる。制御装置CONTは、基板ステージPSTの複数の位置に応じた受光部62Kの複数の受光結果を演算処理することで、基板ステージPST上に有る液体(液滴)LQのZ軸方向に関する形状を求めることができる。そして、制御装置CONTは、求めた液体(液滴)LQの形状に基づいて、図18Bに示すように、基板ステージPSTの上面43に対する液体LQの親和性、具体的には上面43に対する液体LQの接触角θを求めることができる。
【0184】
ところで、基板ステージPSTの上面43(投影光学系PLの下面2Aと対向する物体の面)は撥液性であることが好ましい。上面43が撥液性であることにより、上面43に液体LQが残留している場合でもその液体LQを円滑に回収することができる。また、液体LQの液浸領域AR2が形成される基板P表面、基準部材300の上面301A、照度ムラセンサ400の上面401A、空間像計測センサ500の上面501Aなども撥液性であることが好ましい。これら上面や基板P表面を撥液性とすることで、投影光学系PLとの間で液体LQの液浸領域AR2を良好に形成することができ、また液体LQを円滑に回収することができる。また、基板P表面を撥液性とすることで、その基板Pを移動しながら液浸露光する際にも、投影光学系PLと基板P表面との間に形成された液浸領域AR2を良好に維持することができる。同様に、各上面301A、401A、501A上に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態で、基板ステージPSTを移動しつつ計測処理を行うことも考えられるが、上面301A、401A、501Aを撥液性とすることで、液浸領域AR2を良好に維持することができる。
【0185】
ところが、基準部材300の上面301Aや、上板401、501の上面401A、501Aなどを含む基板ステージPSTの上面の撥液性は、経時的に劣化する可能性がある。例えば、基板ステージPSTの上面などを撥液性にするために撥液性材料を塗布したり、あるいは上記部材や上板などを撥液性材料で形成した場合、露光光ELが照射されると、その撥液性が劣化する可能性がある。特に、撥液性材料として例えばフッ素系樹脂を用い、露光光ELとして紫外光を用いた場合、基板ステージPST上面などの撥液性は劣化しやすい(親液化しやすい)。すると、液体LQが基板ステージPST上に残留しやすくなり、露光精度や計測精度の劣化を招くことになる。
【0186】
そこで、制御装置CONTは、検出装置60を使って、上記基準部材300の上面301Aや上板401、501の上面401A、501Aなどを含む基板ステージPSTの上面43に対する液体LQの接触角θ、すなわち上面43に対する液体LQの親和性を定期的に求める。接触角θを求めることにより、基板ステージPSTの上面43の撥液性レベルを把握することができる。そして、求めた接触角θ(撥液性レベル)が、予め設定されている接触角(撥液性レベル)の許容値以下である場合、基板ステージPSTの上面43に対して適切な処置が施される。
【0187】
例えば、基板ステージPSTに対して交換可能に配置されている基準部材300の上面301Aに対する液体LQの接触角θを検出したとき、前記許容値以下である場合には、その基準部材300は、十分な撥液性を有している別の(新たな)基準部材300と交換される。
【0188】
同様に、上板401の上面401Aや上板501の上面501Aに対する液体LQの接触角θを検出したとき、前記許容値以下である場合には、その上板401あるいは上板501は、十分な撥液性を有している別の(新たな)上板401、501と交換される。
【0189】
あるいは、上面43に対する液体LQの接触角θを検出し、その検出された接触角θに基づいて、基板ステージPSTのうち上面43を有するプレート部材43Pを交換することも可能である。
【0190】
また、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基板ステージPST上に保持された基板P表面に対する接触角θを検出することももちろん可能である。
また、基板ステージPSTを傾斜させた状態で図17に示した検出装置60を使って液体LQの滴の形状を求めることによって、基板ステージPST(基板P)上における液体LQの動的な接触角や転落角を求めることもできる。
【0191】
なお、上面43等に対する液体LQの接触角θを検出する際には、例えば液体供給機構10の液体供給口12より上面43上に少量の液体(液滴)を供給し、その上面43に配置された液体LQが、射出部61Kより射出される検出光Laの光路上に配置されるように、基板ステージPSTを移動してやればよい。
【0192】
また、基板P表面や上面301A、401A、501Aを含む基板ステージPST上面が十分な撥液性を有していない場合、上述したように、液浸領域AR2を良好に維持することが困難となり、例えば液浸領域AR2の液体LQが流出する不都合が発生する可能性がある。そこで、検出された接触角θに基づいて、液体供給機構10及び液体回収機構20のうち少なくとも一方の動作を制御することで、上記不都合の発生を回避することができる。例えば、制御装置CONTは、検出された接触角θに基づいて、基板P表面の撥液性レベルが低いと判断したときは、基板Pを移動しながら液浸露光するときの、液体供給機構10による液体供給量を低減したり、液体回収機構20による液体回収量(回収力)を増加するなどの制御を行う。
【0193】
あるいは、制御装置CONTは、検出された接触角θに基づいて、基板Pを移動しながら液浸露光するときの、基板P(基板ステージPST)の移動速度を調整することも可能である。例えば、基板P上の撥液性レベルが低いと判断したときは、制御装置CONTは基板Pの移動速度を遅くする。これにより、液体LQが所望領域から流出する可能性を低減できる。
【0194】
また、基板P表面の接触角θ(撥液性レベル)に応じて液浸領域AR2の圧力が変化する可能性もあり、圧力変動が生じると、基板Pや基板ステージPSTを僅かながら変形させてしまう可能性が生じる。例えば撥液性レベルが高いと液浸領域AR2は陽圧化し、撥液性レベルが低いと液浸領域AR2は負圧化する。そこで、検出された接触角θに基づいて、基板Pや基板ステージPSTに及ぼす力を低減するように、液体供給量や液体回収量を調整するようにしてもよい。
【0195】
なお本実施形態においても、検出光Laとして所定波長の赤外光を用いることにより、接触角θの検出精度を向上することができる。
また、上述の実施形態において、検出装置60として、撮像装置を適用することもでき、オペレータなどが基板ステージPST(基板P)上に配置されている液体や付着している液体の状態を容易に把握することできる。
【0196】
また本発明は、ウエハ等の被処理基板を別々に載置してXY方向に独立に移動可能な2つのステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置は、例えば特開平10−163099号及び特開平10−214783号(対応米国特許6,341,007、6,400,441、6,549,269及び6,590,634)、特表2000−505958号(対応米国特許5,969,441)あるいは米国特許6,208,407に開示されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、それらの開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0197】
図19はツインステージ型露光装置の概略構成を示す平面図である。ツインステージ型露光装置は共通のベース上を各々独立に移動可能な第1、第2基板ステージPST1、PST2を備えている。ツインステージ型露光装置は、露光ステーションST1と計測・交換ステーションST2とを有しており、露光ステーションST1には、図1を参照して説明したような、照明光学系IL、マスクステージMST、及び投影光学系PL等が搭載されている。また、計測・交換ステーションST2には、基板アライメント系やフォーカス・レベリング検出系などの各種計測系が搭載されている。
【0198】
このようなツインステージ型露光装置の基本的な動作としては、例えば露光ステーションST1において第2基板ステージPST2上の基板Pの露光処理中に、計測・交換ステーションST2において、第1基板ステージPST1上の基板Pの交換及び計測処理が行われる。そして、それぞれの作業が終了すると、第2基板ステージPST2が計測・交換ステーションST2に移動し、それと並行して第1基板ステージPST1が露光ステーションST1に移動し、今度は第2基板ステージPST2において計測及び交換処理が行われ、第1基板ステージPST1上の基板Pに対して露光処理が行われる。
【0199】
露光ステーションST1において露光処理を終え、計測・交換ステーションST2に移動した基板ステージPSTは、露光処理済みの基板Pをアンロードするために、アンロード位置ST3まで移動する。そして、図19に示すように、基板P上や基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出する検出装置60は、露光処理を終えた基板ステージPST2がアンロード位置ST3に移動するまでの間の位置に設けられている。制御装置CONTは、露光処理を終えた基板ステージPSTをアンロード位置ST3に移動するまでの間に、検出装置60を使って基板Pや基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出する。検出装置60を使って液体LQの有無を検出する際には、制御装置CONTは、基板ステージPSTをアンロード位置ST3まで移動させつつ、射出部61より検出光Laを射出する。なお、基板ステージPSTを一旦停止した状態で、検出光Laを射出してもよい。そして、検出装置60が液体LQを検出しなかったとき、制御装置CONTは、基板ステージPSTをアンロード位置ST3まで移動し、基板ステージPST上の基板Pをアンロード装置でアンロードする。一方、検出装置60が液体LQを検出したとき、制御装置CONTは、例えばアンロード位置ST3などに予め設けられている所定の液体除去機構を使ってその液体LQを除去することも可能であるし、基板ステージPSTを計測・交換ステーションST2あるいは露光ステーションST1まで戻し、露光ステーションST1や計測・交換ステーションST2に予め設けられている所定の液体除去機構を使ってその液体LQを除去することも可能である。そして、液体LQが除去されたことが確認された後、制御装置CONTは基板ステージPSTをアンロード位置ST3まで移動し、基板Pをアンロードする。この場合、検出装置60を、図17に示されているような構成として、液体LQの有無だけでなく、液体LQの接触角θを計測するようにしてもよい。
また、本発明は、ウエハ等の被処理基板を保持して移動可能な露光ステージと、各種の基準部材や計測センサなどの計測部材を備えた計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。この場合、上述の実施形態において基板ステージPSTに配置されている基準部材や各種計測センサの少なくとも一部を計測ステージに配置することができ、検出装置60は計測ステージ上の液体LQの検出に用いることができる。露光ステージと計測ステージとを備えた露光装置は、例えば特開平11−135400号に記載されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、この文献の記載内容を援用して本文の記載の一部とする。
【0200】
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
【0201】
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
【0202】
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。
【0203】
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになるので、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
【0204】
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。
【0205】
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
【0206】
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
また、上述の液浸法を適用した露光装置は、投影光学系PLの終端光学素子2の光射出側の光路空間を液体(純水)で満たして基板Pを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号に開示されているように、投影光学系PLの終端光学素子2の光入射側の光路空間も液体(純水)で満たすようにしてもよい。
【0207】
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
【0208】
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。また、投影光学系PLの終端光学素子2の露光光ELに対する屈折率よりも高い屈折率を有する液体を用いることもできる。
【0209】
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0210】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明は基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0211】
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、露光対象の基板の表面全体が液体で覆われる液浸露光装置にも本発明を適用可能である。露光対象の基板の表面全体が液体で覆われる液浸露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに詳細に記載されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、この文献の記載内容を援用して本文の記載の一部とする。
【0212】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0213】
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0214】
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
【0215】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(USP5,874,820)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
【0216】
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0217】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図20に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【産業上の利用可能性】
【0218】
検出装置を使って、投影光学系の先端よりも下方に配置された物体上における液体の有無や液浸領域の状態、あるいは液体の形状や接触角を検出することで、その検出結果に基づいて高い露光精度及び計測精度を維持するための最適な処置を施すことができる。例えば所望位置に液浸領域が形成されていない場合には、検出装置の検出結果に基づいて、所望位置に液体を配置するための適切な処置を施すせばよい。また、所望位置以外の位置に液体が流出・付着している場合には、検出装置の検出結果に基づいて、例えば液体の供給を止めたり、その液体を除去するなど適切な処置を施せば良い。これにより、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0219】
1…凹部、2…光学素子、10…液体供給機構、20…液体回収機構、43…(基板ステージ)上面、60…検出装置、61…射出部、62…受光部、63、64…光学部材(折り曲げ部)、65、66…検出装置、300…基準部材、301A…上面、401…上板、401A…上面、501…上板、501A…上面、AR1…投影領域、AR2…液浸領域、CONT…制御装置、EL…露光光、EX…露光装置、K…警報装置、La…検出光、LG…エッジ部、LQ…液体、P…基板、PH…基板ホルダ、PL…投影光学系、PST…基板ステージ
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して基板を露光する露光装置、及びこの露光装置を用いるデバイス製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶表示デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写する、所謂フォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。近年、デバイスパターンのより一層の高集積化に対応するために投影光学系の更なる高解像度化が望まれている。投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短いほど、また投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、露光装置で使用される露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大している。そして、現在主流の露光波長はKrFエキシマレーザの248nmであるが、更に短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化されつつある。また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k1・λ/NA … (1)
δ=±k2・λ/NA2 … (2)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k1、k2はプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。
【0003】
焦点深度δが狭くなり過ぎると、投影光学系の像面に対して基板表面を合致させることが困難となり、露光動作時のフォーカスマージンが不足するおそれがある。そこで、実質的に露光波長を短くして、且つ焦点深度を広くする方法として、例えば下記特許文献1に開示されている液浸法が提案されている。この液浸法は、投影光学系の下面と基板表面との間を水や有機溶媒等の液体で満たして液浸領域を形成し、液体中での露光光の波長が空気中の1/n(nは液体の屈折率で通常1.2〜1.6程度)になることを利用して解像度を向上するとともに、焦点深度を約n倍に拡大するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/49504号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液浸露光装置においては液体の液浸領域を所望状態で形成することが重要である。例えば基板上に液体の液浸領域が所望状態で形成されていないと、パターン像が劣化したり、あるいは露光光が基板上に到達しないなどの不都合が生じて露光精度が劣化する。また、例えば基板ステージ上に設けられた計測部材や計測用センサを使って液体を介した計測処理を行うことも考えられるが、その場合においても基板ステージ上に液体の液浸領域が所望状態で形成されていないと計測精度が劣化する。
【0006】
また、液浸領域の液体が流出したり、あるいは露光用の液体が漏洩するなどして所望位置以外の位置に液体が浸入・付着すると、その液体により装置・部材の故障、漏電あるいは錆び等といった不都合を引き起こす可能性があり、それによって露光精度や計測精度が劣化する。また、例えば基板を保持するための基板ホルダ上に液体が付着している状態でその基板ホルダ上に基板を搬入(ロード)してしまうと、液体が潤滑膜として機能し、基板ホルダに対する基板の位置ずれを引き起こし、それによって露光精度や計測精度が劣化する。
【0007】
また、液浸領域を良好に形成するためや、液体を良好に回収するために、基板や基板ステージ上面と液体との親和性を最適な状態に維持することが好ましい。液体を回収しきれずに残存させてしまうと、その残存した液体が気化し、例えば基板や基板ステージが熱変形したり、基板の置かれている環境(温度、湿度)が変動し、基板の位置情報などを計測する各種計測光の光路が変動するなどして露光精度や計測精度が劣化する。また、残留した液体が気化した後に、水跡(所謂ウォーターマーク)が形成されてしまい、各種計測の誤差要因となったり、異物が発生して基板などを汚染する可能性もある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液体を介した露光処理及び計測処理を良好に行うことができる露光装置、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用している。なお、以下の説明において、各要素に括弧付き符号を付して、図1〜図20に示す実施の形態の構成と対応付けしているが、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、投影光学系(PL)の先端よりも下方に配置された物体(P、PST、300、400、500など)上に液体(LQ)が有るか否かを検出する検出装置(60)を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、検出装置を使って投影光学系の先端よりも下方に配置されている物体上に液体が有るか否かを検出することができる。したがって、例えば所望位置に液浸領域が形成されていない場合には、検出装置の検出結果に基づいて、所望位置に液体を配置するための適切な処置を施すことで、高い露光精度及び計測精度を維持することができる。
同様に、所望位置以外の位置に液体が流出・付着している場合には、検出装置の検出結果に基づいて、例えば液体の供給を止めたり、その液体を除去するなど適切な処置を施すことで、高い露光精度及び計測精度を維持することができる。
【0011】
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、投影光学系(PL)と投影光学系(PL)の像面側に配置された物体(P、PST、300、400、500など)との間に形成された液浸領域(AR2)に対して検出光(La)を射出する射出部(61)と、検出光(La)に対して所定位置に配置された受光部(62)とを有し、受光部(62)の受光結果に基づいて液浸領域(AR2)の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を求める検出装置(60)を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、検出装置を使って液浸領域の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を光学的に求めることにより、その求めた結果に基づいて、液浸領域の大きさや形状を所望状態にするための適切な処置を施すことができる。これにより、露光光の光路を液体で確実に満たして露光処理や計測処理を良好に行うことができる。また、例えば液浸領域が過剰に拡がって流出するおそれがある場合にも、検出装置の検出結果に基づいて適切な処置を施すことにより、液体の流出などの不都合の発生を防止することができる。
【0013】
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、投影光学系(PL)の像面側で移動可能な物体(P、PST、300、400、500など)上の液体(LQ)の形状を求める形状検出装置(60)を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、形状検出装置を使って液体の形状を求めることで、物体に対する液体の親和性、具体的には物体に対する液体の接触角を求めることができる。したがって、その求めた結果に基づいて、基板や基板ステージ上面と液体との親和性を最適な状態に維持するための適切な処置を施すことができ、高い露光精度及び計測精度を維持することができる。
【0015】
本発明の露光装置(EX)は、投影光学系(PL)と液体(LQ)とを介して基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、基板(P)を保持する基板ステージ(PST)上面の液体(LQ)の、その基板ステージ(PST)上面に対する接触角を検出する検出装置(60)を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、基板ステージ上面に対する液体の接触角を知ることができ、その結果に基づいて基板ステージ上面と液体との親和性を最適な状態に維持するための最適な処置を施すことができ、高い露光精度及び計測精度を維持することができる。
【0017】
本発明のデバイス製造方法は、上記記載の露光装置を用いることを特徴とする。
本発明によれば、液体を介した露光処理及び計測処理を良好に行うことができる露光装置を使って、所望の性能を発揮するデバイスを製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検出装置を使って、投影光学系の先端よりも下方に配置された物体上における液体の有無や液浸領域の状態、あるいは液体の形状や接触角を検出することで、その検出結果に基づいて高い露光精度及び計測精度を維持するための最適な処置を施すことができる。したがって、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】基板ステージを上方から見た平面図である。
【図3】本発明に係る検出装置の一実施形態を示す側面図である。
【図4】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す側面図である。
【図5】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す平面図である。
【図7】露光装置の露光動作の一例を示すフローチャート図である。
【図8】検出光と物体表面との関係を説明するための模式図である。
【図9】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す側面図である。
【図11】同実施形態の平面図である。
【図12】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す側面図である。
【図13A】露光装置の動作の一例を示す模式図である。
【図13B】同様に、露光装置の動作の一例を示す模式図である。
【図14】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す側面図である。
【図15】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す側面図である。
【図16】露光装置の動作の一例を示す側面図である。
【図17】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す斜視図である。
【図18A】図17の側面図である。
【図18B】図17のB−B’矢視断面図である。
【図19】本発明に係る検出装置の別の実施形態を示す平面図である。
【図20】半導体デバイスの製造工程の一例を示す、フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、投影光学系PLの像面側先端部よりも下方に配置された物体上に液体LQが有るか否かを検出する検出装置60と、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。制御装置CONTには、露光処理に関して異常が生じたときに警報を発する警報装置Kが接続されている。更に、露光装置EXは、マスクステージMST及び投影光学系PLを支持するメインコラム3を備えている。メインコラム3は、床面に水平に載置されたベースプレート4上に設置されている。メインコラム3には、内側に向けて突出する上側段部3A及び下側段部3Bが形成されている。
【0021】
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面との間に液体LQを満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによってこの基板Pを露光する。
【0022】
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上に感光性材料であるフォトレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
【0023】
照明光学系ILは、メインコラム3の上部に固定された支持コラム5により支持されている。照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
【0024】
本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
【0025】
マスクステージMSTは、マスクMを支持するものであって、その中央部にマスクMのパターン像を通過させる開口部34Aを備えている。メインコラム3の上側段部3Aには、防振ユニット6を介してマスク定盤31が支持されている。マスク定盤31の中央部にも、マスクMのパターン像を通過させる開口部34Bが形成されている。マスクステージMSTの下面には非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)32が複数設けられている。マスクステージMSTはエアベアリング32によりマスク定盤31の上面(ガイド面)31Aに対して非接触支持されており、リニアモータ等のマスクステージ駆動機構により、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTには移動鏡35が設けられている。また、移動鏡35に対向する位置にはレーザ干渉計36が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計36によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計36の計測結果に基づいてマスクステージ駆動機構を駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置を制御する。
【0026】
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、屈折素子を含まない反射系、反射素子を含まない屈折系、屈折素子と反射素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。鏡筒PKの外周部にはフランジ部FLGが設けられている。また、メインコラム3の下側段部3Bには、防振ユニット7を介して鏡筒定盤8が支持されている。そして、投影光学系PLのフランジ部FLGが鏡筒定盤8に係合することによって、投影光学系PLが鏡筒定盤8に支持されている。
【0027】
本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、液浸領域AR2の液体LQが接触する。光学素子2は螢石で形成されている。螢石表面は水との親和性が高いので、光学素子2の液体接触面2Aのほぼ全面に液体LQを密着させることができる。すなわち、本実施形態においては光学素子2の液体接触面2Aとの親和性が高い液体(水)LQを供給するようにしているので、光学素子2の液体接触面2Aと液体LQとの密着性が高く、光学素子2と基板Pとの間の光路を液体LQで確実に満たすことができる。なお、光学素子2は、水との親和性が高い石英であってもよい。また、光学素子2の液体接触面2Aに親水化(親液化)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。
【0028】
基板ステージPSTは、基板ホルダPHを介して基板Pを保持して移動可能に設けられており、投影光学系PLに対して移動可能に設けられている。基板ホルダPHは基板Pを保持するものであって、真空吸着方式あるいは静電チャック方式によって基板Pを保持する。基板ステージPSTの下面には複数の非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)42が設けられている。ベースプレート4上には、防振ユニット9を介して基板定盤41が支持されている。エアベアリング42は、基板定盤41の上面(ガイド面)41Aに対して気体(エア)を吹き出す吹出口42Bと、基板ステージPST下面(軸受面)とガイド面41Aとの間の気体を吸引する吸気口42Aとを備えており、吹出口42Bからの気体の吹き出しによる反発力と吸気口42Aによる吸引力との釣り合いにより、基板ステージPST下面とガイド面41Aとの間に一定の隙間を保持する。つまり、基板ステージPSTはエアベアリング42により基板定盤41の上面(ガイド面)41Aに対して非接触支持されており、リニアモータ等の基板ステージ駆動機構により、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に、基板ホルダPHは、ホルダ駆動機構により、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能に設けられている。基板ステージ駆動機構は制御装置CONTにより制御される。
【0029】
また、露光装置EXは、基板ステージPSTに支持されている基板Pの表面の位置を検出する不図示のフォーカス・レベリング検出系を備えている。なお、フォーカス・レベリング検出系の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。フォーカス・レベリング検出系の検出結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはフォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板P表面のZ軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報を検出することができる。
【0030】
制御装置CONTはホルダ駆動機構を駆動し、基板ホルダPHに保持されている基板Pの表面のフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込む。
【0031】
基板ステージPST上には凹部1が設けられており、基板ホルダPHは凹部1に配置されている。そして、基板ステージPSTの上面43は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さになるような(面一になるような)平坦面となっている。
【0032】
基板ステージPSTには移動鏡45が設けられている。また、移動鏡45に対向する位置にはレーザ干渉計46が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計46によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計46の計測結果に基づいてリニアモータを含む基板ステージ駆動機構を駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
【0033】
また、基板ステージPSTは、Xガイドステージ44によりX軸方向に移動自在に支持されている。基板ステージPSTは、Xガイドステージ44に案内されつつXリニアモータ47によりX軸方向に所定ストロークで移動可能である。Xリニアモータ47は、Xガイドステージ44にX軸方向に延びるように設けられた固定子47Aと、この固定子47Aに対応して設けられ基板ステージPSTに固定された可動子47Bとを備えている。そして、可動子47Bが固定子47Aに対して駆動することで基板ステージPSTがX軸方向に移動する。ここで、基板ステージPSTは、Xガイドステージ44に対してZ軸方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドにより非接触で支持されている。基板ステージPSTはXガイドステージ44に非接触支持された状態でXリニアモータ47によりX軸方向に移動する。
【0034】
Xガイドステージ44の長手方向両端には、このXガイドステージ44を基板ステージPSTとともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ48、48が設けられている。Yリニアモータ48のそれぞれは、Xガイドステージ44の長手方向両端に設けられた可動子48Bと、この可動子48Bに対応して設けられた固定子48Aとを備えている。
そして、可動子48Bが固定子48Aに対して駆動することでXガイドステージ44が基板ステージPSTとともにY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ48、48のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ44はθZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このYリニアモータ48、48により基板ステージPSTがXガイドステージ44とほぼ一体的にY軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。
【0035】
基板定盤41のX軸方向両側のそれぞれには、正面視L字状に形成され、Xガイドステージ44のY軸方向への移動を案内するガイド部49が設けられている。ガイド部49はベースプレート4上に支持されている。本実施形態において、ガイド部49の平坦部49B上に、Yリニアモータ48の固定子48Aが設けられている。一方、Xガイドステージ44の下面の長手方向両端部のそれぞれには凹形状の被ガイド部材50が設けられている。ガイド部49は被ガイド部材50と係合し、ガイド部49の上面(ガイド面)49Aと被ガイド部材50の内面とが対向するように設けられている。ガイド部49のガイド面49Aには非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)51が設けられており、Xガイドステージ44はガイド面49Aに対して非接触支持されている。
【0036】
また、Yリニアモータ48の固定子48Aとガイド部49の平坦部49Bとの間には非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)52が介在されており、固定子48Aはエアベアリング52によりガイド部49の平坦部49Bに対して非接触支持される。このため、運動量保存の法則によりXガイドステージ44及び基板ステージPSTの+Y方向(−Y方向)の移動に応じて固定子48Aが−Y方向(+Y方向)に移動する。この固定子48Aの移動によりXガイドステージ44及び基板ステージPSTの移動に伴う反力が相殺されるとともに重心位置の変化を防ぐことができる。すなわち、固定子48Aは所謂カウンタマスとしての機能を有している。
【0037】
液体供給機構10は、所定の液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13(13A、13B)とを備えている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、及び加圧ポンプ等を備えている。液体供給部11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成する際、液体供給機構10は、所定温度(例えば23℃)に制御された液体LQを基板P上に供給する。なお、液体供給部11のタンク、加圧ポンプなどは、必ずしも露光装置EXが備えている必要はなく、露光装置EXが設置される工場などの設備を代用することもできる。
【0038】
また、液体供給機構10から供給される液体LQの温度安定性及び温度均一性は、0.01〜0.001℃程度に制御されていることが望ましい。
【0039】
供給管13A、13Bの途中には、供給管13A、13Bの流路を開閉するバルブ15がそれぞれ設けられている。バルブ15の開閉動作は制御装置CONTにより制御されるようになっている。なお、本実施形態におけるバルブ15は、例えば停電等により露光装置EX(制御装置CONT)の駆動源(電源)が停止した場合に供給管13A、13Bの流路を機械的に閉塞する所謂ノーマルクローズ方式となっている。
【0040】
液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管23(23A、23B)とを備えている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお真空系として、露光装置EXに真空ポンプを設けずに、露光装置EXが配置される工場の真空系を用いるようにしてもよい。液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成するために、液体回収機構20は液体供給機構10より供給された基板P上の液体LQを所定量回収する。
【0041】
投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、液体LQに接する光学素子2の近傍には流路形成部材70が配置されている。流路形成部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材である。流路形成部材70と光学素子2との間には隙間が設けられており、流路形成部材70は光学素子2に対して振動的に分離されるように所定の支持機構で支持されている。
【0042】
流路形成部材70は、例えばアルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ジュラルミン、及びこれらを含む合金によって形成可能である。あるいは、流路形成部材70は、ガラス(石英)等の光透過性を有する透明部材(光学部材)によって構成されてもよい。
【0043】
流路形成部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された液体供給口12(12A、12B)を備えている。本実施形態において、流路形成部材70は2つの液体供給口12A、12Bを有している。液体供給口12A、12Bは流路形成部材70の下面70Aに設けられている。
【0044】
また、流路形成部材70は、その内部に液体供給口12A、12Bに対応した供給流路を有している。また、液体供給口12A、12B及び供給流路に対応するように複数(2つ)の供給管13A、13Bが設けられている。そして、供給流路の一端部は供給管13A、13Bを介して液体供給部11にそれぞれ接続され、他端部は液体供給口12A、12Bにそれぞれ接続されている。
【0045】
また、2つの供給管13A、13Bのそれぞれの途中には、液体供給部11から送出され、液体供給口12A、12Bのそれぞれに対する単位時間あたりの液体供給量を制御するマスフローコントローラと呼ばれる流量制御器16(16A、16B)が設けられている。流量制御器16A、16Bによる液体供給量の制御は制御装置CONTの指令信号の下で行われる。
【0046】
更に、流路形成部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された液体回収口22(22A、22B)を備えている。
本実施形態において、流路形成部材70は2つの液体回収口22A、22Bを有している。液体回収口22A、22Bは流路形成部材70の下面70Aに設けられている。
【0047】
また、流路形成部材70は、その内部に液体回収口22A、22Bに対応した回収流路を有している。また、液体回収口22A、22B及び回収流路に対応するように複数(2つ)の回収管23A、23Bが設けられている。そして、回収流路の一端部は回収管23A、23Bを介して液体回収部21にそれぞれ接続され、他端部は液体回収口22A、22Bにそれぞれ接続されている。
【0048】
本実施形態において、流路形成部材70は、液体供給機構10及び液体回収機構20それぞれの一部を構成している。そして、液体供給機構10を構成する液体供給口12A、12Bは、投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの位置に設けられており、液体回収機構20を構成する液体回収口22A、22Bは、投影光学系PLの投影領域AR1に対して液体供給機構10の液体供給口12A、12Bの外側に設けられている。
【0049】
液体供給部11及び流量制御器16の動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液体LQを供給する際、制御装置CONTは、液体供給部11より液体LQを送出し、供給管13A、13B、及び供給流路を介して、基板Pの上方に設けられている液体供給口12A、12Bより基板P上に液体LQを供給する。このとき、液体供給口12A、12Bは投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだ両側のそれぞれに配置されており、その液体供給口12A、12Bを介して、投影領域AR1の両側から液体LQを供給可能である。また、液体供給口12A、12Bのそれぞれから基板P上に供給される液体LQの単位時間あたりの量は、供給管13A、13Bのそれぞれに設けられた流量制御器16A、16Bにより個別に制御可能である。
【0050】
液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。制御装置CONTは液体回収部21による単位時間あたりの液体回収量を制御可能である。基板Pの上方に設けられた液体回収口22A、22Bから回収された基板P上の液体LQは、流路形成部材70の回収流路、及び回収管23A、23Bを介して液体回収部21に回収される。
【0051】
なお、本実施形態において、供給管13A、13Bは1つの液体供給部11に接続されているが、供給管の数に対応した液体供給部11を複数(ここでは2つ)設け、供給管13A、13Bのそれぞれを前記複数の液体供給部11のそれぞれに接続するようにしてもよい。また、回収管23A、23Bは、1つの液体回収部21に接続されているが、回収管の数に対応した液体回収部21を複数(ここでは2つ)設け、回収管23A、23Bのそれぞれを前記複数の液体回収部21のそれぞれに接続するようにしてもよい。
【0052】
投影光学系PLの光学素子2の液体接触面2A、及び流路形成部材70の下面(液体接触面)70Aは親液性(親水性)を有している。本実施形態においては、光学素子2及び流路形成部材70の液体接触面に対して親液処理が施されており、その親液処理によって光学素子2及び流路形成部材70の液体接触面が親液性となっている。換言すれば、基板ステージPSTに保持された基板Pの被露光面(表面)と対向する部材の表面のうち少なくとも液体接触面は親液性となっている。本実施形態における液体LQは極性の大きい水であるため、親液処理(親水処理)としては、例えばアルコールなど極性の大きい分子構造の物質で薄膜を形成することで、この光学素子2や流路形成部材70の液体接触面に親水性を付与する。すなわち、液体LQとして水を用いる場合にはOH基など極性の大きい分子構造を持ったものを前記液体接触面に設ける処理が望ましい。あるいは、MgF2、Al2O3、SiO2などの親液性材料を前記液体接触面に設けてもよい。
【0053】
流路形成部材70の下面(基板P側を向く面)70Aはほぼ平坦面であり、光学素子2の下面(液体接触面)2Aも平坦面となっており、流路形成部材70の下面70Aと光学素子2の下面2Aとはほぼ面一となっている。これにより、所望の範囲内に液浸領域AR2を良好に形成することができる。
なお、基板P(基板ステージPST)上に局所的に液浸領域AR2を形成するための機構は、上述に限られず、例えば米国特許公開第2004/020782号公報に開示されている機構を採用することもでき、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、これらの文献の記載内容を援用して本文の記載の一部とする。
【0054】
検出装置60は、投影光学系PLの先端部よりも下方に配置された基板P上あるいは基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出するものであって、検出光Laを射出する射出部61と、検出光Laに対して所定位置に配置された受光部62とを備えている。本実施形態において、射出部61はメインコラム3の所定位置に設けられており、受光部62はメインコラム3のうち投影光学系PLの投影領域AR1を挟んで射出部61と対向する位置に設けられている。検出装置60の射出部61から射出された検出光Laは、基板P表面及びこの基板P表面とほぼ面一である基板ステージPSTの上面43とほぼ平行に照射されるように設定されている。射出部61から射出された検出光Laは、投影光学系PLの先端部に設けられた光学素子2の下方を通過する。
【0055】
図2は基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTを上方から見た平面図である。
図2において、平面視矩形状の基板ステージPSTの互いに垂直な2つの縁部に移動鏡45が配置されている。また、投影光学系PLの投影領域AR1は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とした平面視矩形状に設定されている。
【0056】
検出装置60のうち、検出光Laを射出する射出部61は、基板ステージPSTに対して−X側に離れた所定位置(本実施形態ではメインコラム3)に固定され、受光部62は+X側に離れた所定位置(メインコラム3)に固定されている。そして、検出装置60の射出部61は基板ステージPSTの外側より検出光Laを照射し、受光部62での受光結果に基づいて、基板P上又は基板ステージPST上の液体LQを検出するようになっている。すなわち、検出装置60は、基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTの外側より液体LQを光学的に検出するようになっている。
【0057】
基板ステージPSTのほぼ中央部に凹部1が形成されており、この凹部1に基板Pを保持する基板ホルダPHが配置されている。基板ステージPSTのうち凹部1以外の上面43は、基板ホルダPHに保持された基板P表面とほぼ同じ高さ(面一)に設定されている。基板Pの周囲に基板P表面とほぼ面一の上面43を設けたので、基板Pのエッジ領域Eを液浸露光するときにおいても、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持して液浸領域AR2を良好に形成することができる。
【0058】
本実施形態においては、検出光Laは、投影光学系PLの先端部の光学素子2の下方であって、その投影光学系PLの投影領域AR1、すなわち露光光ELの光路を通過するように設定されている。更に具体的には、検出光Laは光学素子2と基板P(基板ステージPST)との間を通過するように設定されている。なお、検出光Laは露光光ELの光路以外の領域を通過するように設けられていてもよい。そして、検出光Laは、基板P表面及び基板ステージPSTの上面43とほぼ平行に照射される。
【0059】
また、基板ステージPSTの上面43は撥液化処理されて撥液性を有している。上面43の撥液化処理としては、例えばフッ素系樹脂材料あるいはアクリル系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する。撥液性にするための撥液性材料としては液体LQに対して非溶解性の材料が用いられる。なお、基板ステージPST全体又は一部を例えばポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂をはじめとする撥液性を有する材料で形成してもよい。また、上記ポリ四フッ化エチレンなどからなる撥液性を有するプレート部材を基板ステージPSTの上面に交換可能に配置するようにしてもよい。本実施形態においては、上面43を有するプレート部材43Pが基板ステージPST上に対して交換可能に配置されている。
【0060】
なお、基板ホルダPHに保持されている基板Pの側面PBとプレート部材43Pとの間には隙間が形成されるが、この隙間は数mm程度と僅かであるため、液体LQの表面張力の作用などによってその隙間に液体LQが浸入する不都合が抑制されている。
【0061】
液体供給口12A、12Bは、X軸方向(走査方向)に関し、投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだ両側のそれぞれに設けられている。具体的には、液体供給口12Aは、流路形成部材70の下面70Aのうち、投影領域AR1に対して走査方向一方側(−X側)に設けられ、液体供給口12Bは他方側(+X側)に設けられている。つまり液体供給口12A、12Bは投影領域AR1の近くに設けられ、走査方向(X軸方向)に関して投影領域AR1を挟むようにその両側に設けられている。液体供給口12A、12Bのそれぞれは、Y軸方向に延びる平面視略コ字状(円弧状)のスリット状に形成されている。そして、液体供給口12A、12BのY軸方向における長さは少なくとも投影領域AR1のY軸方向における長さより長くなっている。液体供給口12A、12Bは、少なくとも投影領域AR1を囲むように設けられている。液体供給機構10は、液体供給口12A、12Bを介して投影領域AR1の両側で液体LQを同時に供給可能である。
【0062】
液体回収口22A、22Bは、液体供給機構10の液体供給口12A、12Bより投影光学系PLの投影領域AR1に対して外側に設けられており、X軸方向(走査方向)に関し、投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだ両側のそれぞれに設けられている。具体的には、液体回収口22Aは、流路形成部材70の下面70Aのうち、投影領域AR1に対して走査方向一方側(−X側)に設けられ、液体回収口22Bは他方側(+X側)に設けられている。液体回収口22A、22Bのそれぞれは、Y軸方向に延びる平面視略コ字状(円弧状)のスリット状に形成されている。液体回収口22A、22Bは、投影光学系PLの投影領域AR1、及び液体供給口12A、12Bを囲むように設けられている。
【0063】
そして、液体LQが満たされた液浸領域AR2は、投影領域AR1を含むように実質的に2つの液体回収口22A、22Bで囲まれた領域内であって且つ基板P上の一部に局所的に形成される。なお、液浸領域AR2は少なくとも投影領域AR1を覆っていればよく、必ずしも2つの液体回収口22A、22Bで囲まれた領域全体が液浸領域にならなくてもよい。
【0064】
なお、液体供給口12は投影領域AR1の両側のそれぞれに1つずつ設けられている構成であるが、複数に分割されていてもよく、その数は任意である。同様に、液体回収口22も複数に分割されていてもよい。また、投影領域AR1の両側に設けられた液体供給口12のそれぞれは互いにほぼ同じ大きさ(長さ)に形成されているが、互いに異なる大きさであってもよい。同様に、投影領域AR1の両側に設けられた液体回収口22のそれぞれが互いに異なる大きさであってもよい。また、供給口12のスリット幅と回収口22のスリット幅とは同じであってもよいし、回収口22のスリット幅を、供給口12のスリット幅より大きくしてもよいし、逆に回収口22のスリット幅を、供給口12のスリット幅より小さくしてもよい。
【0065】
また、基板ステージPST上において、基板Pの外側の所定位置には、基準部材300が配置されている。基準部材300には、例えば特開平4−65603号公報に開示されているような構成を有する基板アライメント系により検出される基準マークPFMと、例えば特開平7−176468号公報に開示されているような構成を有するマスクアライメント系により検出される基準マークMFMとが所定の位置関係で設けられている。基準部材300の上面301Aはほぼ平坦面となっており、基板P表面、及び基板ステージPSTの上面43とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。基板アライメント系は基板ステージPSTの近傍に設けられ、基板P上のアライメントマークも検出する。また、マスクアライメント系はマスクステージMSTの近傍に設けられ、マスクMと投影光学系PLとを介して基板ステージPST上の基準マークMFMを検出する。
【0066】
また、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、計測用センサとして例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ400が配置されている。照度ムラセンサ400は平面視矩形状の上板401を備えている。上板401の上面401Aはほぼ平坦面となっており、基板P表面、及び基板ステージPSTの上面43とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。上板401の上面401Aには、光を通過可能なピンホール部470が設けられている。上面401Aのうち、ピンホール部470以外はクロムなどの遮光性材料で覆われている。
【0067】
また、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、計測用センサとして例えば特開2002−14005号公報に開示されているような空間像計測センサ500が設けられている。空間像計測センサ500は平面視矩形状の上板501を備えている。上板501の上面501Aはほぼ平坦面となっており、基板P表面、及び基板ステージPSTの上面43とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。上板501の上面501Aには、光を通過可能なスリット部570が設けられている。上面501Aのうち、スリット部570以外はクロムなどの遮光性材料で覆われている。
【0068】
また、不図示ではあるが、基板ステージPST上には、例えば特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)も設けられており、その照射量センサの上板の上面は基板P表面や基板ステージPSTの上面43とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。
【0069】
このように、基板ステージPSTの上面43は、基準部材300、センサ400、500を含めてほぼ同じ高さ(面一)で、撥液性を有している。さらに移動鏡45の上面も基板ステージPSTの上面43とほぼ同じ高さ(面一)であり、移動鏡45の上面及び反射面も撥液性を有している。これにより液浸領域AR2を形成した状態での基板ステージPSTの移動範囲を大きくすることができるばかりでなく、基準部材300やセンサ400、500上、あるいは移動鏡45の上面や反射面に液体が付着したとしても、その付着した液体を容易に除去することができる。
【0070】
そして、基準部材300、及び上板401、501などは基板ステージPSTに対して脱着可能に構成されており、その上面の撥液性が劣化した場合などに交換することができる。
【0071】
図3は検出装置60が液体LQを検出している状態の一例を示す側面図である。図3に示すように、検出装置60は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面及び基板ステージPSTの上面43とほぼ平行に検出光Laを照射する。そして、検出装置60は、受光62の受光結果に基づいて、基板P上又は基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出する。
【0072】
射出部61と受光部62とは対向しており、射出部61から射出された検出光Laは受光部62に到達し、その受光部62に所定の光量(光強度)で受光されるようになっている。このとき、例えば図3に示すように、基板P上あるいは基板ステージPST上に液体LQの液滴(水滴)が配置されている場合において、検出光Laが液体LQに照射されると、その検出光Laは液体LQによって屈折又は散乱、あるいは吸収される。したがって、検出光Laの光路上に液体LQが有る場合、受光部62で受光される光量(光強度)が低下する、あるいは検出光Laが受光部62に到達しなくなる。そこで、検出装置60は、受光部62の受光結果(受光量)に基づいて、検出光Laの光路上に液体LQが有るか否かを検出することができる。そして、検出光Laの光路上に液体LQが有るか否かを検出することで、検出装置60は、投影光学系PLの先端部よりも下方に配置された基板P上又は基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出することができる。
【0073】
また、検出装置60の検出光Laと基板ステージPSTとを相対的に移動しながら、検出光Laを照射することにより、基板Pを含む基板ステージPST上の比較的広い領域における液体LQの有無を検出することができる。
【0074】
更に、基板P上又は基板ステージPST上に液体LQが配置されている(あるいは液体LQが付着している)状態において、検出光Laと基板ステージPSTとを相対的に移動しながら、検出光Laを照射することにより、基板P上又は基板ステージPST上における液体LQの位置を求めることができる。つまり、レーザ干渉計46を使って基板ステージPSTの位置をモニタしつつ、基板ステージPSTを移動しながら検出光Laを照射する。制御装置CONTは、レーザ干渉計46の位置計測結果と、検出装置60の受光部62の受光結果とに基づいて、レーザ干渉計46で規定される座標系における液体LQの位置を求めることができる。
【0075】
また、図3においては、射出部61及び受光部62のそれぞれが、X軸方向に関し、基板ステージPSTを挟んだ両側のそれぞれに配置されており、射出部61より検出光Laを射出しつつ、基板ステージPSTをY軸方向に移動することで、基板P又は基板ステージPST上における液体LQのY軸方向に関する位置を検出する構成であるが、射出部61及び受光部62のそれぞれを、Y軸方向に関し、基板ステージPSTを挟んだ両側のそれぞれにも配置し、その射出部61より検出光Laを射出しつつ、基板ステージPSTをX軸方向に移動することで、基板P又は基板ステージPST上における液体LQのX軸方向に関する位置と範囲も検出することができる。
【0076】
また、図3においては、検出装置60の射出部61と受光部62とは対向して配置されている構成であるが、図4に示すように、検出装置60の検出光Laの光路上に、検出光Laの光路を折り曲げる折り曲げ部としての光学部材63、64を設けてもよい。こうすることにより、射出部61及び受光部62を任意の位置に配置しつつ所望の位置に検出光Laを照射することができ、検出装置60を構成する各部材及び機器の配置や露光装置EX全体の設計の自由度を向上することができる。
【0077】
なお、射出部61から射出された検出光Laを光ファイバの入射端に入射させ、その光ファイバの射出端より射出した検出光Laを照射するようにしてもよい。また、受光部62に光ファイバを接続し、その光ファイバを介した検出光Laを受光部62で受光するようにしてもよい。
【0078】
また、上述した構成においては、検出装置60の検出光Laに対して基板P及び基板ステージPSTを移動しながら検出することで、基板P上又は基板ステージPST上における液体LQの位置を検出しているが、図5に示すように、複数の検出光Laをマトリクス状に2次元的に照射することによっても、基板P上又は基板ステージPST上における液体LQの位置を求めることができる。
【0079】
図5において、検出装置60は、基板ステージPSTの+Y側に配置され、X軸方向に並んだ複数の検出光Laを射出する第1射出部61Xと、基板ステージPSTの−Y側に配置され、第1射出部61Xから射出された検出光Laに対して所定位置に配置された第1受光部62Xと、基板ステージPSTの−X側に配置され、Y軸方向に並んだ複数の検出光Laを射出する第2射出部61Yと、基板ステージPSTの+X側に配置され、第2射出部61Yから射出された検出光Laに対して所定位置に配置された第2受光部62Yとを備えている。第1受光部62Xは、第1射出部61Xより射出される複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有しており、同様に、第2受光部62Yは、第2射出部61Yより射出される複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。
【0080】
第1射出部61Xより射出された検出光La、及び第2射出部61Yより射出された検出光Laのそれぞれは、基板P表面及び基板ステージPSTの上面43とほぼ平行に照射され、これら検出光LAの光路は平面視においてマトリクス状に設けられている。
【0081】
ここで図5に示すように、第1射出部61Xから射出された複数の検出光Laのうち特定の検出光Laxの光路上に液体LQが有る場合、第1受光部62Xの複数の受光素子のうち、その検出光Laxに対応する受光素子で受光される光量が低下する。同様に、第2射出部61Yから射出された複数の検出光Laのうち特定の検出光Layの光路上に液体LQがある場合、第2受光部62Yの複数の受光素子のうち、その検出光Layに対応する受光素子で受光される光量が低下する。第1、第2受光部62X、62Yの受光結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、第1、第2受光部62X、62Yそれぞれの受光結果に基づいて、液体LQの位置が検出光Laxと検出光Layとの交点付近であることを特定することができる。ここで、検出光Lax、Layを受光する受光素子の位置情報は設計値などにより予め分かっているため、制御装置CONTは、検出光Lax、Layを受光した受光素子の位置情報に基づいて、基板P又は基板ステージPST上における液体LQの位置を求めることができる。
【0082】
また図6に示すように、検出装置60は、射出部61から複数位置のそれぞれに検出光Laを照射したときの受光部62の受光結果に基づいて、基板P上又は基板ステージPST上に有る液体LQの大きさ(液体LQが配置されている領域の大きさ)を求めることができる。つまり、液体LQが基板ステージPST上(又は基板P上)の所定領域に配置されている場合において、射出部61はその液体LQのエッジ部LGを含む複数位置のそれぞれに対して検出光Laを照射する。図6に示す例では、射出部61はY軸方向に並んだ複数の検出光LaをX軸方向に沿って照射している。
【0083】
受光部62は前記複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。これら受光素子の位置情報は設計値などによって予め分かっている。射出部61から射出される複数の検出光Laのうち、一部の検出光La1が液体LQに照射されると、その検出光La1に対応する受光部62の受光素子には検出光La1が到達しない、あるいは受光素子で受光される光量が低下する。一方、残りの一部の検出光La2は液体LQを介さないで受光部62に到達する。したがって、検出装置60は、検出光La1を受光した受光部62の受光素子の受光結果と、その受光素子の位置情報とに基づいて、液体LQ(液体LQが配置される領域)の大きさを求めることができる。
【0084】
なお図6に示す例においては、検出装置60は液体LQに対してX軸方向より検出光Laを照射しているため、液体LQ(液体LQが配置されている領域)のY軸方向における大きさを求めることができるが、液体LQに対してY軸方向より検出光Laを照射することにより、液体LQのX軸方向における大きさを求めることができる。また、XY平面内においてX軸(Y軸)方向に対して傾斜方向から検出光Laを照射することももちろん可能である。そして、液体LQに対して複数方向から検出光Laを照射したときのそれぞれの受光結果を演算処理することで、検出装置60(あるいは制御装置CONT)は液体LQ(液体LQが配置されている領域)の形状を求めることができる。
【0085】
なお図6を参照して説明した例では、射出部61は複数の検出光Laを一括して照射しているが、例えば図3などを参照して説明したように、レーザ干渉計46を使って基板ステージPSTの位置をモニタしつつ基板ステージPSTを移動しながら、射出部61により1つ(あるいは所定の複数)の検出光Laを照射し、その検出光Laを照射したときの受光部62の受光結果に基づいて、液体LQの大きさあるいは形状を求めることも可能である。その場合、検出装置60(あるいは制御装置CONT)は、基板ステージPSTの複数の位置に応じた受光部62での複数の受光結果を演算処理することで、液体LQの大きさ及び形状の少なくともいずれか一方を求める。
【0086】
また、図6を参照して説明した例では、射出部61は複数並んだ検出光Laを照射しているが、液体LQを覆うように照射されるシート状光束であってもよい。シート状光束としては、例えばレーザ光源から射出されたレーザ光束を、ピンホールやシリンドリカルレンズを有する光学系を通過させることで生成される所謂レーザシート光を用いることができる。
【0087】
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について、図7に示すフローチャート図を参照しながら説明する。
まず、マスクMがマスクステージMSTに搬入(ロード)されるとともに、露光対象である基板Pが基板ステージPSTに搬入(ロード)される(ステップS1)。
基板Pを基板ステージPSTにロードするとき、制御装置CONTは、基板ステージPSTを投影光学系PLに対して離れた位置に設定されているロード位置に移動する。基板Pはロード位置において不図示の搬送系(ローダ装置)によりロードされる。
【0088】
基板Pが基板ステージPSTにロードされた後、基板Pに対するアライメント処理及び計測処理が行われる(ステップS2)。
アライメント処理においては、制御装置CONTは、例えば上記基板アライメント系を使って基準部材300に形成されている基準マークPFMを検出するとともに、マスクアライメント系を使って投影光学系PLを介して基準部材300に形成されている基準マークMFMを検出することで、基板ステージPSTの移動を規定する座標系における基板アライメント系の検出基準位置とマスクMのパターン像の投影位置との距離(位置関係)であるベースライン量を求める。マスクアライメント系を使って基準部材300上の基準マークMFMを検出するとき、制御装置CONTは、投影光学系PLと基準部材300の上面301Aとを対向させた状態で、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、液体LQの供給及び回収を行い、投影光学系PLの先端部の光学素子2と基準部材300の上面301A上との間に液体LQの液浸領域AR2を形成する。そして、制御装置CONTは、投影光学系PLと液体LQとを介して、マスクアライメント系により基準部材300上の基準マークMFMを検出する。
【0089】
基準マークMFMの検出が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20あるいは液体回収機構20とは別に設けられた所定の液体回収機構を使って、基準部材300の上面301A上に形成された液浸領域AR2の液体LQを回収する。
【0090】
基板Pに対して重ね合わせ露光をする際には、例えば基板P上の露光対象領域であるショット領域に形成されているアライメントマークを基板アライメント系で検出して、基板アライメント系の検出基準位置に対するショット領域の位置情報(ずれ)を求め、そのときの基板ステージPSTの位置から上記ベースライン量及び基板アライメント系で求めたショット領域のずれ分だけ基板ステージPSTを移動することで、マスクMのパターン像の投影位置とそのショット領域とを位置合わせすることができる。
【0091】
また、計測処理においては、制御装置CONTは、例えば投影光学系PLと照度ムラセンサ400の上板401とを対向させた状態で、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、液体LQの供給及び回収を行い、投影光学系PLの先端部の光学素子2と上板401の上面401A上との間に液体LQの液浸領域AR2を形成する。そして、制御装置CONTは、照明光学系ILより露光光ELを射出し、投影光学系PLと液体LQとを介して、照度ムラセンサ400により投影領域AR1内における露光光ELの照度分布を検出する。制御装置CONTは、照度ムラセンサ400の検出結果に基づいて、投影光学系PLの投影領域AR1内における露光光ELの照度分布が所望状態となるように、その露光光ELの照射分布を適宜補正する。
【0092】
露光光ELの照度分布の検出が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20、あるいは液体回収機構20とは別に設けられた所定の液体回収機構を使って、照度ムラセンサ400の上板401の上面401A上に形成された液浸領域AR2の液体LQを回収する。
【0093】
また、制御装置CONTは、投影光学系PLと空間像計測センサ500の上板501とを対向させた状態で、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、液体LQの供給及び回収を行い、投影光学系PLの先端部の光学素子2と上板501の上面501A上との間に液体LQの液浸領域AR2を形成する。そして、制御装置CONTは、照明光学系ILより露光光ELを射出し、投影光学系PLと液体LQとを介して、空間像計測センサ500により空間像計測を行う。制御装置CONTは、空間像計測センサ500の計測結果に基づいて、投影光学系PL及び液体LQを介した像特性が所望状態となるように、投影光学系PLの像特性を適宜補正する。
【0094】
空間像計測が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20あるいは液体回収機構20とは別に設けられた所定の液体回収機構を使って、空間像計測センサ500の上板501のの上面501A上に形成された液浸領域AR2の液体LQを回収する。
【0095】
同様に、制御装置CONTは、投影光学系PLと上述した照度センサ(不図示)との間に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態で、投影光学系PLの像面側における露光光ELの照射量(照度)を計測し、その計測結果に基づいて、露光光ELの照度を適宜補正する。そして、照度センサを使った計測処理が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20等を使って、照度センサの上板上の液体LQを回収する。
【0096】
ところで、上記基準部材300や照度ムラセンサ400、あるいは空間像計測センサ500や照度センサを使った液体LQを介した計測処理が終了し、液体LQが回収された後、基準部材300の上面301Aなどに液体LQが残留(付着)している可能性がある。そこで、制御装置CONTは、液体LQの回収作業を行った後に、検出装置60を使って、上記上面301A、401A、501Aなどを含む基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出する。
【0097】
例えば、基準部材300の上面301A上の液体LQを回収した後、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基準部材300上に液体LQが有るか否かを検出する。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体回収機構20の動作を制御する。具体的には、基準部材300上に液体LQが有ると判断されたとき、制御装置CONTは、液体回収機構20などを使って、基準部材300上に有る液体LQを回収する動作を再び行う。次いで、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基準部材300上に液体LQが有るか否かを再び検出する。そして、制御装置CONTは、検出装置60によって液体LQが検出されなくなるまで、検出装置60による検出動作と液体回収機構20による液体回収動作とを繰り返す。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60による液体検出動作と、液体回収機構20による液体回収動作とを並行して行うこともできる。
この場合、検出装置60が液体LQを検出しなくなるまで、制御装置CONTは液体回収機構20による液体回収動作を継続する。これにより、液体LQを介した計測処理後において、基準部材300上を含む基板ステージPST上に液体LQが残留する不都合の発生が回避される。ただし、検出装置60の検出結果に基づく一度の液体回収作業で液体LQの回収が完了したと判断し、検出装置60による検出を再度実行しなくてもよい。
【0098】
また、基準部材300の上面301A上に液体LQの液浸領域AR2を形成したとき、その液浸領域AR2の周囲に液体LQが飛散や流出する可能性もある。したがって、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基準部材300上に加えて、基板ステージPSTの上面43などに液体LQが有るか否かを検出する。そして、基板ステージPSTの上面43に液体LQが有ると判断されたとき、制御装置CONTは、液体回収機構20を使って、その上面43に有る液体LQを回収する。
【0099】
ここで、上述したように、検出装置60は、基板ステージPST(基準部材300)上に有る液体LQの位置情報を求めることができる。したがって、制御装置CONTは、前記液体LQの位置情報に基づいて基板ステージPSTを移動して、液体LQが有る位置と液体回収機構20の液体回収口22とを位置合わせした状態で液体回収動作を行うことができる。これにより、液体回収動作のスループットを向上することができる。もちろん、基板ステージPSTの上面43の全域が液体回収口12の下を通過するように、基板ステージPSTを液体回収口12に対して移動しながら液体回収を行うようにしてもよい。
【0100】
また、上述したように、検出装置60は、基板ステージPST(基準部材300)上にある液体LQの大きさ、ひいては液体LQの量に関する情報を求めることができる。したがって、制御装置CONTは、前記液体LQの大きさ(量)に関する情報に基づいて、液体回収機構20の回収力(吸引力)を制御したり、あるいは回収時間(吸引時間)を制御することができる。例えば、液体LQの大きさが大きい場合(量が多い場合)、制御装置CONTは、液体回収機構20の回収力を上昇させたり、あるいは回収時間を長くする。
これにより、液体LQは良好に回収される。一方、液体LQの大きさが小さい場合(量が少ない場合)、制御装置CONTは、液体回収機構20の回収力を低下させたり、あるいは回収時間を短くする。これにより、液体回収動作のスループットが向上される。
【0101】
また、検出装置60の検出結果に基づいて、基準部材300上(基板ステージPST上)に有る液体LQの量が、予め設定されているしきい値よりも少ないと判断したときや、液体LQが存在していても計測処理や露光処理に影響が少ない位置(物体上)に液体LQが有ると判断したときは、制御装置CONTは、液体回収機構20を使った液体LQの回収動作を行わないようにすることも可能である。
【0102】
また、基準部材300の上面301A上に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態での計測動作と、検出装置60による検出動作とを並行して行うことも可能である。例えば、上面301A上に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態での計測動作中に、検出装置60は投影光学系PLの光学素子2と上面301Aとの間に検出光Laを照射する。これにより、投影光学系PLの光学素子2と基準部材300の上面301Aとの間に液体LQが満たされているか否かを検出することができる。そして、液体LQが満たされていないと判断したときは、制御装置CONTは、例えば基準部材300を使った計測動作を停止したり、液体LQを満たすために例えば液体供給機構10による液体供給条件や液体回収機構20による液体回収条件を変更するなどといった適切な処置を施す。
【0103】
また、基準部材300の上面301A上に形成される液体LQの液浸領域AR2の外側に検出光Laを通過させて、基準部材300を使った計測動作を行うようにしてもよい。
これにより、例えば基準部材300の上面301A上から液体LQが流出する等の異常が生じた場合、検出装置60は、その液体LQの流出を検出することができる。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体LQが流出するなどの異常が生じたと判断したとき、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を低減したり、あるいは液体供給機構10による液体LQの供給を停止する。液体供給機構10による液体LQの供給を停止するときは、液体供給部11の駆動を停止してもよいし、バルブ15A、15Bを使って供給管13A、13Bの流路を閉じるようにしてもよい。あるいは、制御装置CONTは、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を増やす。また、基板ステージPSTを停止するようにしてもよい。
【0104】
以上のように、検出装置60の検出結果に基づいて、液体供給機構10や液体回収機構20の動作を制御することができ、これにより液浸領域AR2を良好に形成することができる。また、液体LQの流出などといった異常が生じても、液体供給機構10による液体LQの供給を停止するなど、適切な処置を施すことにより、被害の拡大を抑えることができる。
【0105】
なお、検出装置60による検出動作は、基準部材300を使った計測処理の後や計測処理と並行して行う他に、計測処理の前に行うことももちろん可能である。例えば計測処理を行う前に、検出装置60によって投影光学系PLと基準部材300との間に液浸領域AR2が良好に形成されたか否かを検出した後、計測処理を行うことができる。
【0106】
なおここでは、基準部材300の上面301A上に液体LQの液浸領域を形成して計測処理を行い、液体回収を行った後、検出装置60を使って前記上面301Aを含む基板ステージPST上の液体LQの検出を行う場合を例にして説明したが、照度ムラセンサ400の上板401の上面401A上に液体LQの液浸領域を形成して計測処理し、その上面401A上の液体LQを回収した後や、空間像計測センサ照500の上板501の上面501A上に液体LQの液浸領域を形成して計測処理し、その上面501A上の液体LQを回収した後、あるいは、照度センサの上板の上面上に液体LQの液浸領域を形成して計測処理し、その上面上の液体LQを回収した後に、検出装置60を使って、それら上板上や基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出することができる。そして、制御装置CONTは、その検出装置60の検出結果に基づいて、液体供給機構10や液体回収機構20の動作を制御することができる。更には、照度ムラセンサ400や空間像計測センサ500などによる計測動作と並行して、検出装置60による検出動作を行うことも可能であるし、計測動作の前に検出装置60による検出動作を行うことも可能である。
【0107】
上記アライメント処理や計測処理が終了した後、基板Pの走査露光処理を行うために、制御装置CONTは、投影光学系PLと基板Pとを対向させる。そして、制御装置CONTは、液体供給機構10を駆動して基板P上に液体LQを供給するとともに、液体回収機構20を駆動して基板P上の液体LQを所定量回収する。これにより、投影光学系PLの先端部の光学素子2と基板Pとの間に液体LQの液浸領域AR2が形成される(ステップS3)。
なお、アライメント処理及び計測処理(ステップS2)の終了後に液体LQを回収せずに、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持したまま、基板Pの液浸露光処理動作に移行してもよい。
【0108】
制御装置CONTは、液体供給機構10による基板P上に対する液体LQの供給と並行して、液体回収機構20による基板P上の液体LQの回収を行いつつ、基板Pを支持する基板ステージPSTをX軸方向(走査方向)に移動しながら、マスクMのパターン像を投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介して基板P上に投影露光する(ステップS4)。
【0109】
液浸領域AR2を形成するために液体供給機構10の液体供給部11から供給された液体LQは、供給管13A、13Bを流通した後、流路形成部材70内部に形成された供給流路を介して液体供給口12A、12Bより基板P上に供給される。液体供給口12A、12Bから基板P上に供給された液体LQは、投影光学系PLの先端部(光学素子2)の下端面と基板Pとの間に濡れ拡がるように供給され、投影領域AR1を含む基板P上の一部に、基板Pよりも小さく且つ投影領域AR1よりも大きい液浸領域AR2を局所的に形成する。このとき、制御装置CONTは、液体供給機構10のうち投影領域AR1のX軸方向(走査方向)両側に配置された液体供給口12A、12Bのそれぞれより、走査方向に関して投影領域AR1の両側から基板P上への液体LQの供給を同時に行う。これにより、液浸領域AR2は均一且つ良好に形成されている。
【0110】
本実施形態における露光装置EXは、マスクMと基板PとをX軸方向(走査方向)に移動しながらマスクMのパターン像を基板Pに投影露光するものであって、走査露光時には、液浸領域AR2の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMの一部のパターン像が投影領域AR1内に投影され、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板Pが投影領域AR1に対して+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。そして、基板P上には複数のショット領域が設定されており、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域に対する走査露光処理が順次行われる。
【0111】
なお本実施形態において、投影領域AR1の走査方向両側から基板Pに対して液体LQを供給する際、制御装置CONTは、液体供給機構10の流量制御器16A、16Bを使って単位時間あたりの液体供給量を調整し、基板P上の1つのショット領域の走査露光中に、走査方向に関して投影領域AR1の一方側から供給する液体量(単位時間あたりの液体供給量)を、他方側から供給する液体量と異ならせる。具体的には、制御装置CONTは、走査方向に関して投影領域AR1の手前から供給する単位時間あたりの液体供給量を、その反対側で供給する液体供給量よりも多く設定する。例えば、基板Pを+X方向に移動しつつ露光処理する場合、制御装置CONTは、投影領域AR1に対して−X側(すなわち液体供給口12A)からの液体量を、+X側(すなわち液体供給口12B)からの液体量より多くし、一方、基板Pを−X方向に移動しつつ露光処理する場合、投影領域AR1に対して+X側からの液体量を、−X側からの液体量より多くする。このように、制御装置CONTは、基板Pの移動方向に応じて、液体供給口12A、12Bからのそれぞれの単位時間あたりの液体供給量を変える。
【0112】
そして、基板Pの液浸露光処理動作と、検出装置60におる検出動作とを並行して行うことができる。例えば、基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態での計測動作中に、検出装置60は投影光学系PLの光学素子2と基板Pとの間に検出光Laを照射する。これにより、投影光学系PLの光学素子2と基板Pとの間に液体LQが満たされているか否かを検出することができる。そして、液体LQが満たされていないと判断したときは、制御装置CONTは、例えば液浸露光動作を停止したり、液体LQを満たすために例えば液体供給機構10による液体供給条件や液体回収機構20による液体回収条件を変更するなどといった適切な処置を施す。これにより、液浸領域AR2を良好に形成した状態で露光処理できる。
【0113】
また、基板P上に形成される液体LQの液浸領域AR2の外側に検出光Laを照射した状態で、基板Pを液浸露光処理するようにしてもよい。これにより、例えば基板P上に形成された液浸領域AR2から液体LQが流出する等の異常が生じた場合、検出装置60は、その液体LQの流出を検出することができる。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体LQが流出するなどの異常が生じたと判断したとき、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を低減したり、あるいは液体供給機構10による液体LQの供給を停止する。液体供給機構10による液体LQの供給を停止するときは、液体供給部11の駆動を停止してもよいし、バルブ15A、15Bを使って供給管13A、13Bの流路を閉じるようにしてもよい。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を増やす。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、基板Pに対する露光動作や基板ステージPSTの移動を停止する。
【0114】
なお、検出装置60による検出動作は、基板Pの液浸露光前、あるいは基板P上に液体LQを供給する前に行うことも可能である。例えば液浸露光を行う前に、基板P上に液体が無いことを検出装置60を使って確認してから、基板アライメント系を使って基板P上のアライメントマークの検出を行うこともできるし、検出装置60によって投影光学系PLと基板Pとの間に液体LQの液浸領域AR2が良好に形成されたか否かを検出した後、液浸露光処理を行うことができる。
【0115】
基板Pの液浸露光が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20、あるいは液体回収機構20とは別に設けられた所定の液体回収機構を使って、基板P上に形成された液浸領域AR2の液体LQを回収する。また、基板P上に形成された液浸領域AR2の液体LQが周囲に飛散又は流出している可能性もある。そこで、制御装置CONTは、基板P上に残留している液体LQの他に、例えば基準部材300上や上板401、501を含む基板ステージPSTの上面43に残留している液体LQも、液体回収機構20、あるいは液体回収機構20とは別に設けられた所定の液体回収機構を使って回収する(ステップS5)。
【0116】
基板P表面を含む基板ステージPST上の液体LQを回収した後、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基板P上や基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出する。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体回収機構20の動作を制御する。具体的には、基板P上又は基板ステージPST上に液体LQが有ると判断されたとき、制御装置CONTは、液体回収機構20などを使って、基板P上又は基板ステージPST上に有る液体LQを回収する動作を再び行う。次いで、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基板P上又は基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを再び検出する。そして、制御装置CONTは、検出装置60によって液体LQが検出されなくなるまで、検出装置60による検出動作と液体回収機構20による液体回収動作とを繰り返す。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60による液体検出動作と、液体回収機構20による液体回収動作とを並行して行うこともできる。この場合、検出装置60が液体LQを検出しなくなるまで、制御装置CONTは液体回収機構20による液体回収動作を継続する。これにより、液浸露光後において、基板P上や基板ステージPST上に液体LQが残留する不都合の発生が回避される。
ただし、検出装置60の検出結果に基づく一度の液体回収作業で液体LQの回収が完了したと判断し、検出装置60による検出を再度実行しなくてもよい。
【0117】
検出装置60は、基板P上又は基板ステージPST上に有る液体LQの位置情報を求めることができるので、制御装置CONTは、前記液体LQの位置情報に基づいて基板ステージPSTを移動して、液体LQが有る位置と液体回収機構20の液体回収口22とを位置合わせした状態で液体回収動作を行うことができる。これにより、液体回収動作のスループットを向上することができる。もちろん、基板P表面を含む基板ステージPSTの上面43の全域が液体回収口12の下を通過するように、基板ステージPSTを液体回収口12に対して移動しながら液体回収を行うようにしてもよい。
【0118】
また、上述したように、検出装置60は、基板P表面を含む基板ステージPST上にある液体LQの大きさ、ひいては液体LQの量に関する情報を求めることができる。したがって、制御装置CONTは、前記液体LQの大きさ(量)に関する情報に基づいて、液体回収機構20の回収力(吸引力)を制御したり、あるいは回収時間(吸引時間)を制御することができる。例えば、液体LQの大きさが大きい場合(量が多い場合)、制御装置CONTは、液体回収機構20の回収力を上昇させたり、あるいは回収時間を長くする。これにより、液体LQは良好に回収される。一方、液体LQの大きさが小さい場合(量が少ない場合)、制御装置CONTは、液体回収機構20の回収力を低下させたり、あるいは回収時間を短くする。これにより、液体回収動作のスループットが向上される。
【0119】
また、検出装置60の検出結果に基づいて、基板P表面を含む基板ステージPST上に有る液体LQの量が、予め設定されているしきい値よりも少ないと判断したときや、液体LQが存在していても計測処理や露光処理に影響が少ない位置(物体上)に液体LQが有ると判断したときは、制御装置CONTは、液体回収機構20を使った液体LQの回収動作を行わないようにすることも可能である。
【0120】
基板P上及び基板ステージPST上の液体LQを回収した後、制御装置CONTは、露光済みの基板Pを基板ステージPSTより搬出(アンロード)する(ステップS6)。
基板Pを基板ステージPSTからアンロードするとき、制御装置CONTは、基板ステージPSTを投影光学系PLに対して離れた位置に設定されているアンロード位置に移動する。基板Pはアンロード位置において不図示の搬送系(アンローダ装置)によりアンロードされる。なお、ロード位置とアンロード位置とは同じ位置でもよいし別の位置でもよい。
【0121】
なお本実施形態においては、検出装置60は、基板P表面を含む基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出しているが、投影光学系PLの先端部よりも下方に配置されている、例えばリニアモータ47、48や、リニアモータ47の固定子47Aが設けられているXガイドステージ44の表面や、エアベアリング42、51、52、あるいは基板ステージPSTの側面などに液体LQが有るか否かを検出することもできる。基板P上や基板ステージPST上に形成された液浸領域AR2の液体LQが飛散したり流出するなどして、上記リニアモータやエアベアリング、あるいはXガイドステージ44の表面などに付着する可能性がある。例えばXガイドステージ44のリニアモータ47(固定子47A)に液体LQが付着した場合、漏電などの不都合が発生する。あるいはエアベアリング42近傍に液体LQが付着した場合、エアベアリング42の吸気口42Aに液体LQが流入する不都合が発生する。あるいは、基板ステージPSTの側面などに付着した液体LQを放置しておくと、錆びが生じたり、その液体LQが気化して基板Pの置かれている環境変動を引き起こす可能性もある。そこで、制御装置CONTは、検出装置60を使ってその付着した液体LQを検出する。Xガイドステージ44など所望位置以外の位置(部材)に液体LQが付着していることは異常であるため、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果を異常であると判断したとき、所定の液体除去機構等を使って、その液体LQを除去することにより、上記不都合の発生を防止することができる。
【0122】
また、上記リニアモータ(電磁駆動源)をはじめとする電気機器近傍に液体LQがあることを検出したとき、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果が異常であると判断し、例えばその電気機器への電力供給を停止するようにしてもよい。こうすることにより、漏電の発生を防止することができる。
【0123】
また、例えばエアベアリング42の吸気口42A近傍に液体LQが有ることを検出したときには、制御装置CONTは、吸気口42Aからの吸気動作を停止するようにしてもよい。
【0124】
また、Xガイドステージ44等に付着している液体LQを検出するなど、検出装置60の検出結果が異常であると判断したとき、制御装置CONTは、警報装置Kを駆動して警告を発することも可能である。これにより、例えばオペレータは露光装置EX内部において、液体LQが漏洩するなどの異常が発生したことを把握できるため、適切な処置を施すことができる。警報装置Kは、警告灯、警告音、ディスプレイなどを使って警報を発することができる。なお、検出装置60の検出結果が異常と判断されたとき、例えばコンピュータネットワークなどを介してオペレータに異常が生じた旨を伝えるようにしてもよい。
【0125】
また、例えば基板Pの液浸露光中や、基準部材300や上板401、501上に液浸領域AR2を形成した状態での計測処理中において、検出装置60がXガイドステージ44や基板ステージPSTの側面などに多量の液体LQが有るなどの異常を検出したとき、制御装置CONTは、基板ステージPST上の液浸領域AR2から液体LQが流出しているなどの異常が発生したと判断する。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果が異常であると判断したとき、液体供給機構10による液体LQの供給を停止するようにしてもよい。これにより、漏電や流出した液体LQの拡散、あるいは吸気口42Aへの液体LQの流入などの不都合の発生を防止できる。また、この場合においても、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果が異常であると判断したとき、露光動作を停止するようにしてもよい。
【0126】
以上説明したように、検出装置60を使って投影光学系PLの先端部よりも下方に配置されている基板Pや基板ステージPST、あるいはXガイドステージ44などの所望位置あるいは所望の位置以外の位置に液体LQが有るか否かを検出することができる。したがって、例えば所望位置以外の位置に液体LQが配置されている場合には、検出装置60の検出結果に基づいて、液体供給機構10や液体回収機構20などの動作を制御したり、その液体LQを除去するなどの適切な処理を施すことができ、液体LQの流出などといった異常が生じても被害の拡大を抑えることができる。
【0127】
なお、上述した実施形態においては、検出装置60の射出部61及び受光部62は、基板ステージPSTの外側(メインコラム3)に設けられているが、検出装置60の射出部61及び受光部62のうち少なくとも一方を基板ステージPST上に設けることも可能である。一方で、上述した実施形態のように、検出装置60の射出部61及び受光部62を基板ステージPSTの外側に設け、基板ステージPSTの外側より液体LQを光学的に(非接触で)検出する構成とすることにより、例えば基板ステージPST上に液体LQを検出するための検出素子やその検出素子に接続する配線や各種部材(機器)などを配置する必要がない。そのため、基板ステージPSTの移動に及ぼす影響を少なくすることができる。
【0128】
なお、検出光Laとしては可視光などを使用することもできるが、所定波長(所定波長帯域)の赤外光を用いることが好ましい。具体的には、検出光Laとして、波長が例えば約1200nm、約1450nm、約1940nm、及び約2950nmの赤外光を用いることが好ましい。水(液体)LQには、上記波長の光(赤外光)を吸収する性質があるため、上記波長を有する検出光(赤外光)Laを液体LQに照射したとき、その検出光Laの光エネルギーが水(液体)LQに吸収され、受光部62に受光される光量が大きく低下する。したがって、検出光Laが液体LQに照射されたときの受光部62での受光量と、検出光Laが液体LQに照射されないときの受光部62での受光量との差が大きくなるため、検出装置60は、液体LQが有るか否かをより高感度に検出することができる。
【0129】
また、検出光Laとして赤外光を用いることにより、例えば基板P上に付着している異物(パーティクル)に検出光Laが照射されたときの受光部62での受光量と、液体LQに検出光Laが照射されたときの受光部62での受光量とが大きく異なる値となるので、検出装置60はパーティクルと液体LQとを区別することができる。そして、液体LQが有ると判断したときは、液体供給機構20などを使って液体LQを回収し、パーティクルが有ると判断したときは、所定のパーティクル除去機構を使ってそのパーティクルを除去すればよい。
【0130】
また、基板ステージPSTの上面43や基板ホルダPHの上面などに液体LQが有るか否かを検出する際において、例えば基板ホルダPHの上面から僅かに突起する部材(例えば基板Pを保持する保持機構(ピンチャック機構)の一部を構成するピン部材など)が存在していても、検出光Laとして赤外光を用いることにより、検出装置60は、その突起部材と液体LQとを区別することも可能となる。したがって、突起部材を液体LQであると誤った判断をする不都合の発生を回避できるため、液体LQが無いにもかかわらず、液体LQの回収動作を行ってスループットを低下させてしまう不都合の発生を回避することができる。
【0131】
なお検出光Laとして上記波長を有する赤外光を用いる場合、例えば約1940nmの波長を有する赤外光(2μm帯レーザ光)と、約2950nmの波長を有する赤外光(3μm帯レーザ光)とを組み合わせた2波長レーザ光を照射するようにしてもよい。あるいは、互いに異なる波長(波長帯域)を有する3つ以上の複数のレーザ光を組み合わせた検出光を照射するようにしてもよい。
【0132】
ところで、上述した実施形態においては、検出光Laは、基板Pや基板ステージPSTなどの物体の表面とほぼ平行に照射される構成であり、その検出光Laの光路上に液体LQが有るか否かを検出することによって、物体上に液体LQが有るか否かを検出する構成である。つまり、物体上に液体LQがある場合、検出光Laを液体LQに確実に照射する必要がある。そのため、検出装置60は、物体上に存在する液体LQに検出光Laを確実に照射するために、検出光Laが物体表面より所定距離以内の離れた領域の内側を通過するようにしている。具体的には、検出光Laは、物体表面より5.5mm以内の離れた領域を通過するように設定されている。このことについて図8を参照しながら説明する。
【0133】
図8において、物体表面(図8では基板ステージPSTの上面43)上には液体LQが液滴(水滴)の状態で配置されている。このとき、
cosθ = 1−(ρ×g×h2)/(2×σ) …(1A)の関係が成り立つ。ここで、
θ:物体表面に対する液体LQの接触角、
ρ:液体の密度、
h:液体(液滴)の高さ、
σ:表面張力係数、
g:重力加速度、である。本実施形態において液体LQは水であるため、ρ=998〔kg/m3〕、σ=73×10−3〔N/m〕である。上記(1A)式を変形すると、
h = 〔(2×σ)×(1−cosθ)/(ρ×g)〕1/2 …(2A)となる。物体表面が十分な撥液性を有しており、θ=180°(cosθ=−1)とすると、h=5.46×10−3〔m〕、すなわち約5.5mmとなる。
【0134】
実際には、接触角θは180°より小さい値であるため、高さhの値も5.5mm以下となる。例えば、上面43がポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))で形成されている場合、その上面43に対する液体(水)LQの接触角θは約115°程度であるため、高さhは約4.6mmとなる。そして、高さhの値は、液体LQの量が十分であればその液体LQの量によって変化せず一定の値となる。そこで、物体表面に対して5.5mm以内の高さの範囲の領域内を検出光Laが通過するように設定することにより、換言すれば、物体表面とその物体表面にほぼ平行に照射される検出光Laとの距離Dが5.5mm以下となるように設定することにより、物体表面に存在する液体(水)LQに検出光Laを確実に照射することができる。
【0135】
そして、例えば計測処理(ステップS2)の前や後、あるいは液浸露光処理(ステップS4)の前や後に、検出光Laを照射して基板P表面を含む基板ステージPST上面の液体LQの有無を検出する場合には、検出光Laが、基板ステージPST上面より5.5mm以内の領域を通過するように、基板ステージPSTをZ軸方向に駆動してその上面の位置を調整するようにしてもよい。あるいは、射出部61や光学部材63などを含む検出装置60を移動して検出光Laの位置を調整してもよいし、基板ステージPSTと検出光Laとの双方の位置を移動するようにしてもよい。
【0136】
なお、高さhの値は物体の表面状態(接触角θ)や、用いる液体LQの種類(物性)によって変化するため、例えば液体LQとして水以外の液体を用いた場合には、上記(2A)式より高さhを求め、その高さhに基づいて、距離Dを設定すればよい。
【0137】
また、液体LQの量が少ない場合(液滴の大きさが小さい場合)には、その高さhの値が小さくなるが、その場合においても、基板ステージPSTや検出光Laの位置を調整することで、検出光Laを基板ステージPST上の液体(液滴)LQに照射することができる。
【0138】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
【0139】
図9は本発明の別の実施形態を示す斜視図である。図9に示すように、検出装置60は、基板ステージPSTの外側に設けられた複数の射出部61A〜61H、及びそれら射出部61A〜61Hに対応するように設けられた複数の受光部62A〜62Hを備えている。これら射出部61A〜61H、及び受光部62A〜62Hはメインコラム3などに固定されている。
【0140】
検出装置60は、各射出部61A〜61Hのそれぞれより、XY平面にほぼ平行な、すなわち基板P及び基板ステージPSTの上面43にほぼ平行な検出光Laを射出する。各射出部61A〜61Hのそれぞれから射出された複数の検出光Laは、基板P上に形成された液体LQの液浸領域AR2のエッジ部LG近傍に対して照射される。そして、検出装置60は、これら射出部61A〜61Hによって、互いに異なる複数の方向から、液浸領域AR2のエッジ部LG近傍の複数位置のそれぞれに検出光Laを照射している。具体的には、複数設けられた射出部61A〜61Hのうち、射出部61A、61BはX軸方向にほぼ平行な方向から液浸領域AR2のエッジ部LG近傍に対して検出光Laを照射し、射出部61E、61FはY軸方向にほぼ平行な方向から検出光Laを照射する。また、射出部61C、61Dは、X軸(Y軸)方向に対して傾斜方向から液浸領域AR2のエッジ部LGに対して検出光Laを照射し、射出部61G、61Hは、射出部61C、61Dから射出された検出光Laとは異なる傾斜方向から検出光Laを照射する。すなわち、各射出部61A〜61Hから射出される複数の検出光Laの光路は、液浸領域AR2の周りを囲むように設定されている。
【0141】
また、また、射出部61A、61Bのそれぞれから射出された2つの検出光Laは、液浸領域AR2を挟んでその液浸領域AR2の両側のエッジ部LG近傍のそれぞれに照射されるように設けられている。同様に、射出部61C、61Dのそれぞれから射出された2つの検出光Laは、液浸領域AR2の両側のエッジ部LG近傍のそれぞれに照射され、射出部61E、61Fのそれぞれから射出された2つの検出光Laは、液浸領域AR2の両側のエッジ部LG近傍のそれぞれに照射され、射出部61G、61Hのそれぞれから射出された2つの検出光Laは、液浸領域AR2の両側のエッジ部LG近傍のそれぞれに照射されるように設けられている。
【0142】
制御装置CONTは、各射出部61A〜61Hより検出光Laを射出した状態で、基板P上に液浸領域AR2を形成し、その基板Pに液体LQを介して露光光ELを照射して液浸露光する。つまり、制御装置CONTは、検出装置60による検出動作と基板Pの露光とを並行して行う。もちろん、上述した計測処理と並行して検出動作を行ってもよい。
【0143】
ここで、基板P上の液浸領域AR2が所定の位置に所望状態(所望の大きさ及び形状)で形成されているとき、検出光Laの光路は、液浸領域AR2のエッジ部LGより外側に所定距離離れた位置に設定されている。すなわち、液浸領域AR2が所望状態で形成されているとき、各射出部61A〜61Hのそれぞれより射出された検出光Laは、液浸領域AR2の液体LQに照射されず、液体LQを介さないで受光部62A〜62Hに到達するように設けられている。
つまり、予め設定されている液浸領域AR2の目標形状又は大きさに応じて、液浸領域AR2のエッジ部LG近傍に照射される複数の検出光Laの光路のそれぞれが設定されている。
【0144】
例えば基板Pを液浸露光中において、例えば投影光学系PLと基板Pとの間に形成された液浸領域AR2が予め設定されている所定(所望)の大きさ以上になったとき、複数の検出光Laのうちいずれかの検出光Laの光路上に液体LQが配置される。また、基板P上より液体LQが流出したり、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持できず、投影光学系PLの先端部と基板Pとの間より液体LQが流出したときも、検出光Laの光路上に液体LQが配置される。そのため、検出装置60は、受光部62A〜62Hのいずれかの受光結果に基づいて、液浸領域AR2の大きさが所望の大きさより大きくなったり、液体LQが流出したなどの異常が生じたことを検出することができる。制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液浸領域AR2の大きさを所望の大きさにするために、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を低減したり、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を増やすなどの制御を行う。また、制御装置CONTは、液浸領域AR2が所定の大きさ以上になったり、基板P上の液体LQが流出するなど、検出装置60の検出結果を異常と判断したとき、液体供給機構10による液体LQの供給を停止する。これにより、液体LQの流出を防止することができる。更には、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、基板ステージPSTの移動を停止したり、基板Pに対する露光動作を停止するようにしてもよい。
【0145】
また、複数の検出光Laのうち少なくとも2つの検出光Laは、液浸領域AR2の両側のエッジ部LG近傍のそれぞれに照射されており、本実施形態においては、液浸領域AR2を囲むように複数の検出光Laの光路が設定されているので、液浸領域AR2から流出する液体LQの方向を検出することもできる。したがって、制御装置CONTは、その方向への液体LQの流出を抑えるために、例えば複数の液体供給口12A、12Bから供給される液体供給量のそれぞれを流量制御器16A、16Bなどを使って個別に調整したり、あるいは複数の液体回収口22A、22Bを介した液体回収量のそれぞれを個別に調整する。
【0146】
また、投影光学系PLと基板Pとの間に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態において、基板Pを保持した基板ステージPSTを高速に移動すると、液浸領域AR2の液体LQが移動する基板Pに引っ張られて流出したり、液浸領域AR2が大きくなる可能性がある。そのような場合には、基板ステージPSTの移動速度を低下してやればよい。このように基板ステージPSTの移動速度、あるいは移動方向を調整するなど基板ステージPSTの駆動制御を行うことで、液体LQの流出を抑えることもできる。
【0147】
また、検出装置60によって液体LQが流出した方向を検出したとき、例えば液浸露光終了後において、流出した液体LQが液体回収口22の下に配置されるように、液体LQが流出した方向に応じて基板ステージPSTをXY方向に移動し、その液体LQを回収するようにしてもよい。
【0148】
また、本実施形態においても、検出光Laとして所定波長の赤外光を用いることにより、液体LQの検出精度を向上することができる。
【0149】
図10は本発明の別の実施形態を示す側面図、図11は平面図である。図10及び図11に示すように、検出装置60は、射出部61より投影光学系PLと基板Pとの間に形成された液体LQの液浸領域AR2に対して検出光Laを照射する。本実施形態においては、射出部61はY軸方向に並んだ複数の検出光LaをX軸方向に沿って照射している。本実施形態においては、制御装置CONTは、基板Pの露光動作や計測動作と検出装置60による検出動作とを並行して行っている。
【0150】
検出装置60は、射出部61から液浸領域AR2の複数位置のそれぞれに照射した検出光Laの受光部62での受光結果に基づいて、基板P上に形成された液浸領域AR2の大きさを求めることができる。
【0151】
受光部62は前記複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。これら受光素子の位置情報は設計値などによって予め分かっている。射出部61から射出される複数の検出光Laのうち、一部の検出光La1が液浸領域AR2に照射されると、その検出光La1に対応する受光部62の受光素子には検出光La1が到達しない、あるいは受光素子で受光される光量が低下する。一方、残りの一部の検出光La2は液浸領域AR2を介さないで受光部62に到達する。したがって、検出装置60は、検出光La1を受光した受光部62の受光素子の受光結果と、その受光素子の位置情報とに基づいて、液浸領域AR2の大きさを求めることができる。
【0152】
なお本実施形態においては、検出装置60は液体LQに対してX軸方向より検出光Laを照射しているため、液浸領域AR2のY軸方向における大きさを求めることができるが、液浸領域AR2に対してY軸方向より検出光Laを照射することにより、液浸領域AR2のX軸方向における大きさを求めることができる。また、XY平面内においてX軸方向に対して傾斜方向から検出光Laを照射することももちろん可能である。そして、液浸領域AR2に対して複数方向から検出光Laを照射したときのそれぞれの受光結果を演算処理することで、検出装置60(あるいは制御装置CONT)は液浸領域AR2の形状を求めることができる。
【0153】
そして、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体供給機構10及び液体回収機構20のうち少なくとも一方の動作を制御する。例えば、液浸領域AR2が所定の大きさ以上であると検出されたとき、制御装置CONTは、液浸領域AR2を所望の大きさにするために、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を減らしたり、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を増やす。あるいは、液浸領域AR2が所定の大きさ以上であると検出されたとき、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体LQの供給を停止するようにしてもよい。逆に、液浸領域AR2が所定の大きさ以下であると検出されたとき、制御装置CONTは、液浸領域AR2を所望の大きさにするために、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を増やしたり、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を減らす。
【0154】
また、複数の検出光La全ての光路上に液体LQが配置され、検出光Laが所定の光量で受光部62に受光されないとき、制御装置CONTは、基板P上より液体LQが流出したなどの異常が発生したと判断する。その場合、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体LQの供給を停止する。
【0155】
また、液浸領域AR2の形状が予め設定されている目標形状と大きく異なるときは、例えば複数の液体供給口12A、12Bから単位時間当たりに供給される液体量をそれぞれ個別に調整したり、あるいは複数の液体回収口22A、22Bを介した単位時間当たりの液体回収量を個別に調整したり、あるいは基板ステージPSTの駆動を制御することで、液浸領域AR2の形状を調整することも可能である。
【0156】
また、本実施形態においては、検出装置60は液浸領域AR2のうち露光光ELの光路上にも検出光Laを照射する構成であるため、例えば投影光学系PLの先端の光学素子2と基板Pとの間にある気体部分を検出することも可能である。したがって、検出装置60が気体部分を検出したとき、すなわち液浸領域AR2の液切れを検出したとき、制御装置CONTは、気体部分を無くすために、液体供給機構10による液体供給量を増やしたり、液体回収機構20による液体回収量を減らす。あるいは、気体部分が生成された場合、パターン像が基板Pに良好に転写されないため、制御装置CONTは、基板Pの露光を停止するようにしてもよい。
【0157】
なお、本実施形態においては、射出部61は複数並んだ検出光Laを照射しているが、液浸領域AR2を覆うように照射されるシート状光束であってもよい。シート状光束としては、例えばレーザ光源から射出されたレーザ光束を、ピンホールやシリンドリカルレンズを有する光学系を通過させることで生成される所謂レーザシート光を用いることができる。
【0158】
また、シート状光束の照射領域としては、少なくとも液浸領域AR2の目標の大きさ以上の大きさを有するように設定される。こうすることにより、液浸領域AR2が所望の大きさである場合には、受光部62は検出光La2を受光することができる。
【0159】
なお、本実施形態においても、検出光Laとして所定波長の赤外光を用いることにより、液体LQの有無の検出精度を向上することができる。
【0160】
なお、上述した各実施形態においては、複数の検出光Laは水平方向に並んで照射されているが、垂直方向に並んで照射されてもよい。こうすることにより、投影光学系PLと基板Pとの間に液体LQを満たした場合において、例えば基板P表面近傍には液体LQが配置されている一方で、投影光学系PLの光学素子2の液体接触面2A近傍には気体部分が形成されている状況が生じた場合であっても、その気体部分を良好に検出することができるし、液体LQを回収した後に、光学素子2の液体接触面2Aや流路形成部材70の下面70Aに付着した液体を検出することもできる。
【0161】
ところで、上述した各実施形態においては、検出光Laは基板ステージPST上面とほぼ平行に照射されているが、例えば基板ステージPST上に凹部が形成されている場合において、その凹部の内側(例えば、基板ホルダPH上)に液体LQが残留(付着)している場合、検出光Laを基板ステージPST上面とほぼ平行に照射すると、その凹部の内側の液体LQを検出することは困難である。この場合、検出装置は、基板ステージPSTの上面に対して垂直上方から、あるいは斜め上方から検出光Laを照射する。
【0162】
図12は基板ステージPST上に形成された凹部1の内側に配置された液体LQを検出している状態を示す模式図である。図12に示す検出装置65は、検出光Laを照射する射出部と、光を受光する受光部との機能を兼ね備えている。そして、検出装置65は、基板ステージPST上に形成され、基板ホルダPHが配置されている凹部1に対して上方から検出光Laを照射するとともに、その凹部1からの光を受光し、その受光結果に基づいて、凹部1の内側に液体LQが有るか否かを検出する。検出装置65は、凹部1に対して上方から検出光Laを照射する。
【0163】
基板ホルダPHの上面(保持面)PHaを含む凹部1の内側に液体LQが存在しない場合、凹部1に対して照射した検出光Laの反射光は所定の光強度で検出装置65に受光される。一方、凹部1の内側に液体LQが存在する場合、凹部1に対して照射した検出光Laは、液体LQで散乱あるいは吸収されるため、その反射光は、前記所定の光強度よりも弱い光強度で検出装置65に受光される。検出装置65は、反射光の受光結果に基づいて、凹部1の内側に液体LQが有るか否かを検出することができる。
【0164】
なお、本実施形態においても、凹部1(基板ステージPST上面)に検出光Laを照射するときに、検出光Laに対して基板ステージPSTをXY方向に移動しつつ検出することができる。もちろん、検出装置65から射出された検出光Laを移動しつつ検出することも可能であるし、基板ステージPST及び検出光Laの双方を移動しつつ検出することも可能である。このように、基板ステージPST及び検出装置65から射出された検出光Laの少なくともいずれか一方を移動しながら検出することで、凹部1の内側の広い領域における液体LQの有無を検出することができる。
【0165】
また、この場合においても、検出光Laとして所定波長の赤外光を用いることにより、液体LQの検出精度を向上することができる。
【0166】
なお凹部としては、基板ホルダPHを配置する凹部には限られず、基板ステージPSTをはじめとする投影光学系PLの先端部よりも下方に配置された物体上に形成された凹部は全て含まれる。
【0167】
ところで、検出装置65は、凹部1の内側の基板ホルダPH上に液体LQが有るか否かを検出することができるが、検出装置65による基板ホルダPHに対する検出光Laの照射は、基板ホルダPHに基板Pを載置する前、すなわち図7を参照して説明したステップS1の前に行われることが好ましい。
【0168】
すなわち、検出装置65によって基板ホルダPH上に液体LQが有ることを検出したとき、制御装置CONTは、図13Aに示すように、所定の液体除去機構25を使って、その基板ホルダPH上の液体LQを回収する。図13Aに示す液体除去機構25は、液体LQを吸引回収する吸引ノズルを有している。吸引ノズルは基板ホルダPHの上方より接近し、基板ホルダPH上の液体LQを回収する。なお、液体除去機構25としては、基板ホルダPH上に気体を吹き付けて液体LQを飛ばす構成であってもよいし、液体吸収部材を使って液体LQを吸収する構成であってもよい。そして、基板ホルダPH上の液体LQを回収した後、図13Bに示すように、ローダ装置80によって基板Pが基板ホルダPH上に載置される。
【0169】
基板ホルダPH上に液体LQが配置されている状態でその基板ホルダPH上に基板Pをロードしてしまうと、液体LQが潤滑膜として機能し、基板ホルダPHに対する基板Pの位置ずれを引き起こし、それによって露光精度や計測精度が劣化する可能性がある。また、基板ホルダPHが真空吸着方式で基板Pを保持する構成の場合、真空吸着孔を介して真空系に液体LQが流入する不都合も生じる。ところが、基板ホルダPHに基板Pを載置する前に、基板ホルダPH上における液体LQの有無を検出装置65で検出し、液体LQを検出した場合には、液体除去機構25で液体LQを回収することで、基板ホルダPHに基板Pを載置したときの基板ホルダPHに対して基板Pを確実に保持することができる。
【0170】
なお、検出装置65による基板ホルダPH上における液体LQの検出動作は、液浸露光を終えた基板Pを基板ホルダPHから搬出(アンロード)した後、つまり図7を参照して説明したステップS6の後に行うことももちろん可能である。また、液体除去機構25をローダ装置80に取り付けてもよい。
【0171】
なお、検出装置65は、凹部の内側における液体LQの有無を検出する他に、基板P表面や基板ステージPSTの上面43など平坦面における液体LQの有無を検出可能であることはもちろんである。また、基板ホルダPHに基板Pを載置した状態で、基板ステージPSTの上面43に液体LQが有るか否かを検出するときは、検出装置65による検出動作と基板Pに対する露光動作とを並行して行ってもよい。
【0172】
なお、図14に示すように、基板ホルダPHを基板ステージPSTのプレート部材43に対してZ軸方向、及びθX、θY方向に移動可能に構成した場合には、基板ホルダPH上の液体LQの有無を検出するときに、基板ホルダPHを駆動するホルダ駆動機構PHLを使って、基板ホルダPHの上面PHaと基板ステージPSTの上面43とをほぼ面一にして、検出光Laを基板ホルダPHの上面PHa及び基板ステージPSTの上面43とほぼ平行に照射するようにしてもよい。
【0173】
図15は本発明の別の実施形態を示す図である。図15において、基板ステージPSTには、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2の下面2A、あるいはその近傍に設けられている部品としての流路形成部材70の下面70Aなどに液体LQが有るか否かを検出する検出装置66が設けられている。検出装置66は、図12を参照して説明した検出装置65同様、検出光Laを射出する射出部と、光を受光する受光部とのそれぞれの機能を兼ね備えている。検出装置66の射出部及び受光部は、基板ステージPSTのうち基板ホルダPH以外の位置、具体的には上面43に設けられている。
【0174】
検出装置66は、投影光学系PLの像面側に液体LQを満たした状態での露光動作の前又は後、あるいは計測動作の前又は後において、投影光学系PLの光学素子2の下面2Aや流路形成部材70の下面70Aに検出光Laを照射する。そして、液体LQが付着している場合には、所定の液体除去機構によって液体LQを除去する。光学素子2などに付着した液体LQを放置しておくと、その光学素子2表面に水跡(所謂ウォーターマーク)が形成される不都合が生じるが、検出装置66で光学素子2に液体LQが付着しているか否かを検出し、付着している場合にはその液体LQを除去することで、上記不都合の発生を防止できる。
【0175】
なお、検出装置66によって光学素子2に液体LQが付着していることを検出したとき、制御装置CONTは、例えば図16に示すように、投影光学系PLの像面側に液体LQを供給して液浸領域AR2を形成し、光学素子2を濡らすようにしてもよい。図16に示す例では、投影光学系PLと基板ステージPSTの上面43とを対向させた状態で、その投影光学系PLと基板ステージPSTの上面43との間に液体LQを供給することによって液浸領域AR2が形成されている。こうすることによっても、ウォーターマークが形成される不都合を防止できる。
【0176】
露光処理済みの基板Pを基板ステージPSTからアンロードするとき、基板Pは例えば基板ホルダPHに設けられているリフト機構によって基板ホルダPH(基板ステージPST)に対して上昇され、基板Pの裏面と基板ホルダPHの保持面PHaとが離れる。このとき、検出装置66を使って、上昇された基板Pの裏面に液体LQが付着しているか否かを検出してもよい。この場合、検出装置66として、基板Pの裏面に斜め下方から検出光を照射する照射部とその反射光を受光する受光部とを備えておき、受光部の受光結果に基づいて基板Pの裏面に液体が付着しているか否かを検出すればよい。あるいは検出装置66として、基板Pの裏面を撮像可能な撮像装置(CCDなど)備えておき、画像処理によって基板Pの裏面に液体が付着しているか否かを検出するようにしてもよい。制御装置CONTは、基板Pの裏面に液体LQが付着しているとき、所定の液体除去機構によって気体を吹き付けるなどして基板Pの裏面の液体LQを除去する。こうすることにより、例えばアンローダ装置が基板Pの裏面を真空吸着孔を介して吸着保持する構成であっても、真空吸着孔の内部に液体LQが浸入したり、液体LQが潤滑膜となって基板Pの位置ずれを起こすなどの不具合を回避でき、アンローダ装置の支持面に対して基板Pを確実に保持できる。
【0177】
また、基板Pの裏面に付着した液体が検出された場合には、その基板Pのアンロード(搬出)を中止し、例えば警告などを出して、基板Pをオペレータに取り出してもらうようにしてもよい。この場合もアンロード装置への液体の付着などを防止することができる。
【0178】
なお、基板Pの裏面に液体が付着しているか否かの検出は、基板ステージPSTから基板Pを搬出した後、すなわち不図示のアンロード装置が基板Pを受け取ってから行うようにしてもよい。そして、基板P裏面の液体の付着が検出されたときには、液体除去あるいは警告などを行うようにすればよい。ただし、この場合には、不図示のアンロード装置に液体が付着した可能性があるので、アンロード装置の液体除去あるいはクリーニングを行う必要がある。
【0179】
図17は本発明の別の実施形態を示す斜視図、図18Aは図17を矢印A方向から見た側面図、図18Bは図17のB−B’矢視断面図である。図17及び図18A、18Bにおいて、検出装置60は、基板ステージPSTの上面43に対してZ軸方向に複数並んだ検出光Laを射出する射出部61Kと、検出光Laに対して所定位置に配置された受光部62Kとを備えている。受光部62Kは、射出部61Kより射出される複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。
【0180】
射出部61K及受光部62Kは、例えばメインコラム3に固定されており、射出部61Kから射出された検出光Laは、投影光学系PLとは離れた位置を通過するように設定されている。なお、射出部61K及び受光部62Kは、例えば基板Pを基板ステージPSTにロードするロード位置やアンロードするアンロード位置近傍、あるいはロード位置と露光位置(投影光学系PLの下の位置)との間の所定の位置、あるいはアンロード位置と露光位置との間の所定の位置に設けることができる。
【0181】
図6などを参照して説明した実施形態においては、水平方向(XY方向)に複数並んだ検出光Laを照射することによって、液体LQの水平方向における大きさや形状を検出しているが、本実施形態においては、垂直方向(Z軸方向)に複数並んだ検出光Laを照射しているので、検出装置60は、受光部62Kの受光結果に基づいて、液体(液滴)LQの高さを求めることができる。
【0182】
制御装置CONTは、検出装置60を使って上面43上における液体LQの高さhを検出し、その検出結果に基づいて、図18Aに示すように、上面43に対する液体LQの接触角θを求めることも可能である。具体的には、制御装置CONTは、検出装置60を使って液体LQの高さhを検出した後、上記(1A)式などに基づいて、接触角θを算出することができる。
【0183】
また、図17に示す実施形態においては、検出光LaはY軸方向にほぼ平行に照射されているが、制御装置CONTは、基板ステージPSTを検出光Laの光路と交差する方向であるX軸方向に移動しつつ検出光Laを照射することができる。制御装置CONTは、基板ステージPSTの複数の位置に応じた受光部62Kの複数の受光結果を演算処理することで、基板ステージPST上に有る液体(液滴)LQのZ軸方向に関する形状を求めることができる。そして、制御装置CONTは、求めた液体(液滴)LQの形状に基づいて、図18Bに示すように、基板ステージPSTの上面43に対する液体LQの親和性、具体的には上面43に対する液体LQの接触角θを求めることができる。
【0184】
ところで、基板ステージPSTの上面43(投影光学系PLの下面2Aと対向する物体の面)は撥液性であることが好ましい。上面43が撥液性であることにより、上面43に液体LQが残留している場合でもその液体LQを円滑に回収することができる。また、液体LQの液浸領域AR2が形成される基板P表面、基準部材300の上面301A、照度ムラセンサ400の上面401A、空間像計測センサ500の上面501Aなども撥液性であることが好ましい。これら上面や基板P表面を撥液性とすることで、投影光学系PLとの間で液体LQの液浸領域AR2を良好に形成することができ、また液体LQを円滑に回収することができる。また、基板P表面を撥液性とすることで、その基板Pを移動しながら液浸露光する際にも、投影光学系PLと基板P表面との間に形成された液浸領域AR2を良好に維持することができる。同様に、各上面301A、401A、501A上に液体LQの液浸領域AR2を形成した状態で、基板ステージPSTを移動しつつ計測処理を行うことも考えられるが、上面301A、401A、501Aを撥液性とすることで、液浸領域AR2を良好に維持することができる。
【0185】
ところが、基準部材300の上面301Aや、上板401、501の上面401A、501Aなどを含む基板ステージPSTの上面の撥液性は、経時的に劣化する可能性がある。例えば、基板ステージPSTの上面などを撥液性にするために撥液性材料を塗布したり、あるいは上記部材や上板などを撥液性材料で形成した場合、露光光ELが照射されると、その撥液性が劣化する可能性がある。特に、撥液性材料として例えばフッ素系樹脂を用い、露光光ELとして紫外光を用いた場合、基板ステージPST上面などの撥液性は劣化しやすい(親液化しやすい)。すると、液体LQが基板ステージPST上に残留しやすくなり、露光精度や計測精度の劣化を招くことになる。
【0186】
そこで、制御装置CONTは、検出装置60を使って、上記基準部材300の上面301Aや上板401、501の上面401A、501Aなどを含む基板ステージPSTの上面43に対する液体LQの接触角θ、すなわち上面43に対する液体LQの親和性を定期的に求める。接触角θを求めることにより、基板ステージPSTの上面43の撥液性レベルを把握することができる。そして、求めた接触角θ(撥液性レベル)が、予め設定されている接触角(撥液性レベル)の許容値以下である場合、基板ステージPSTの上面43に対して適切な処置が施される。
【0187】
例えば、基板ステージPSTに対して交換可能に配置されている基準部材300の上面301Aに対する液体LQの接触角θを検出したとき、前記許容値以下である場合には、その基準部材300は、十分な撥液性を有している別の(新たな)基準部材300と交換される。
【0188】
同様に、上板401の上面401Aや上板501の上面501Aに対する液体LQの接触角θを検出したとき、前記許容値以下である場合には、その上板401あるいは上板501は、十分な撥液性を有している別の(新たな)上板401、501と交換される。
【0189】
あるいは、上面43に対する液体LQの接触角θを検出し、その検出された接触角θに基づいて、基板ステージPSTのうち上面43を有するプレート部材43Pを交換することも可能である。
【0190】
また、制御装置CONTは、検出装置60を使って、基板ステージPST上に保持された基板P表面に対する接触角θを検出することももちろん可能である。
また、基板ステージPSTを傾斜させた状態で図17に示した検出装置60を使って液体LQの滴の形状を求めることによって、基板ステージPST(基板P)上における液体LQの動的な接触角や転落角を求めることもできる。
【0191】
なお、上面43等に対する液体LQの接触角θを検出する際には、例えば液体供給機構10の液体供給口12より上面43上に少量の液体(液滴)を供給し、その上面43に配置された液体LQが、射出部61Kより射出される検出光Laの光路上に配置されるように、基板ステージPSTを移動してやればよい。
【0192】
また、基板P表面や上面301A、401A、501Aを含む基板ステージPST上面が十分な撥液性を有していない場合、上述したように、液浸領域AR2を良好に維持することが困難となり、例えば液浸領域AR2の液体LQが流出する不都合が発生する可能性がある。そこで、検出された接触角θに基づいて、液体供給機構10及び液体回収機構20のうち少なくとも一方の動作を制御することで、上記不都合の発生を回避することができる。例えば、制御装置CONTは、検出された接触角θに基づいて、基板P表面の撥液性レベルが低いと判断したときは、基板Pを移動しながら液浸露光するときの、液体供給機構10による液体供給量を低減したり、液体回収機構20による液体回収量(回収力)を増加するなどの制御を行う。
【0193】
あるいは、制御装置CONTは、検出された接触角θに基づいて、基板Pを移動しながら液浸露光するときの、基板P(基板ステージPST)の移動速度を調整することも可能である。例えば、基板P上の撥液性レベルが低いと判断したときは、制御装置CONTは基板Pの移動速度を遅くする。これにより、液体LQが所望領域から流出する可能性を低減できる。
【0194】
また、基板P表面の接触角θ(撥液性レベル)に応じて液浸領域AR2の圧力が変化する可能性もあり、圧力変動が生じると、基板Pや基板ステージPSTを僅かながら変形させてしまう可能性が生じる。例えば撥液性レベルが高いと液浸領域AR2は陽圧化し、撥液性レベルが低いと液浸領域AR2は負圧化する。そこで、検出された接触角θに基づいて、基板Pや基板ステージPSTに及ぼす力を低減するように、液体供給量や液体回収量を調整するようにしてもよい。
【0195】
なお本実施形態においても、検出光Laとして所定波長の赤外光を用いることにより、接触角θの検出精度を向上することができる。
また、上述の実施形態において、検出装置60として、撮像装置を適用することもでき、オペレータなどが基板ステージPST(基板P)上に配置されている液体や付着している液体の状態を容易に把握することできる。
【0196】
また本発明は、ウエハ等の被処理基板を別々に載置してXY方向に独立に移動可能な2つのステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置は、例えば特開平10−163099号及び特開平10−214783号(対応米国特許6,341,007、6,400,441、6,549,269及び6,590,634)、特表2000−505958号(対応米国特許5,969,441)あるいは米国特許6,208,407に開示されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、それらの開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0197】
図19はツインステージ型露光装置の概略構成を示す平面図である。ツインステージ型露光装置は共通のベース上を各々独立に移動可能な第1、第2基板ステージPST1、PST2を備えている。ツインステージ型露光装置は、露光ステーションST1と計測・交換ステーションST2とを有しており、露光ステーションST1には、図1を参照して説明したような、照明光学系IL、マスクステージMST、及び投影光学系PL等が搭載されている。また、計測・交換ステーションST2には、基板アライメント系やフォーカス・レベリング検出系などの各種計測系が搭載されている。
【0198】
このようなツインステージ型露光装置の基本的な動作としては、例えば露光ステーションST1において第2基板ステージPST2上の基板Pの露光処理中に、計測・交換ステーションST2において、第1基板ステージPST1上の基板Pの交換及び計測処理が行われる。そして、それぞれの作業が終了すると、第2基板ステージPST2が計測・交換ステーションST2に移動し、それと並行して第1基板ステージPST1が露光ステーションST1に移動し、今度は第2基板ステージPST2において計測及び交換処理が行われ、第1基板ステージPST1上の基板Pに対して露光処理が行われる。
【0199】
露光ステーションST1において露光処理を終え、計測・交換ステーションST2に移動した基板ステージPSTは、露光処理済みの基板Pをアンロードするために、アンロード位置ST3まで移動する。そして、図19に示すように、基板P上や基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出する検出装置60は、露光処理を終えた基板ステージPST2がアンロード位置ST3に移動するまでの間の位置に設けられている。制御装置CONTは、露光処理を終えた基板ステージPSTをアンロード位置ST3に移動するまでの間に、検出装置60を使って基板Pや基板ステージPST上に液体LQが有るか否かを検出する。検出装置60を使って液体LQの有無を検出する際には、制御装置CONTは、基板ステージPSTをアンロード位置ST3まで移動させつつ、射出部61より検出光Laを射出する。なお、基板ステージPSTを一旦停止した状態で、検出光Laを射出してもよい。そして、検出装置60が液体LQを検出しなかったとき、制御装置CONTは、基板ステージPSTをアンロード位置ST3まで移動し、基板ステージPST上の基板Pをアンロード装置でアンロードする。一方、検出装置60が液体LQを検出したとき、制御装置CONTは、例えばアンロード位置ST3などに予め設けられている所定の液体除去機構を使ってその液体LQを除去することも可能であるし、基板ステージPSTを計測・交換ステーションST2あるいは露光ステーションST1まで戻し、露光ステーションST1や計測・交換ステーションST2に予め設けられている所定の液体除去機構を使ってその液体LQを除去することも可能である。そして、液体LQが除去されたことが確認された後、制御装置CONTは基板ステージPSTをアンロード位置ST3まで移動し、基板Pをアンロードする。この場合、検出装置60を、図17に示されているような構成として、液体LQの有無だけでなく、液体LQの接触角θを計測するようにしてもよい。
また、本発明は、ウエハ等の被処理基板を保持して移動可能な露光ステージと、各種の基準部材や計測センサなどの計測部材を備えた計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。この場合、上述の実施形態において基板ステージPSTに配置されている基準部材や各種計測センサの少なくとも一部を計測ステージに配置することができ、検出装置60は計測ステージ上の液体LQの検出に用いることができる。露光ステージと計測ステージとを備えた露光装置は、例えば特開平11−135400号に記載されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、この文献の記載内容を援用して本文の記載の一部とする。
【0200】
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
【0201】
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
【0202】
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。
【0203】
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになるので、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
【0204】
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。
【0205】
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
【0206】
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
また、上述の液浸法を適用した露光装置は、投影光学系PLの終端光学素子2の光射出側の光路空間を液体(純水)で満たして基板Pを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号に開示されているように、投影光学系PLの終端光学素子2の光入射側の光路空間も液体(純水)で満たすようにしてもよい。
【0207】
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
【0208】
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。また、投影光学系PLの終端光学素子2の露光光ELに対する屈折率よりも高い屈折率を有する液体を用いることもできる。
【0209】
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0210】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明は基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0211】
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、露光対象の基板の表面全体が液体で覆われる液浸露光装置にも本発明を適用可能である。露光対象の基板の表面全体が液体で覆われる液浸露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに詳細に記載されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、この文献の記載内容を援用して本文の記載の一部とする。
【0212】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0213】
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0214】
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
【0215】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(USP5,874,820)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
【0216】
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0217】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図20に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【産業上の利用可能性】
【0218】
検出装置を使って、投影光学系の先端よりも下方に配置された物体上における液体の有無や液浸領域の状態、あるいは液体の形状や接触角を検出することで、その検出結果に基づいて高い露光精度及び計測精度を維持するための最適な処置を施すことができる。例えば所望位置に液浸領域が形成されていない場合には、検出装置の検出結果に基づいて、所望位置に液体を配置するための適切な処置を施すせばよい。また、所望位置以外の位置に液体が流出・付着している場合には、検出装置の検出結果に基づいて、例えば液体の供給を止めたり、その液体を除去するなど適切な処置を施せば良い。これにより、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0219】
1…凹部、2…光学素子、10…液体供給機構、20…液体回収機構、43…(基板ステージ)上面、60…検出装置、61…射出部、62…受光部、63、64…光学部材(折り曲げ部)、65、66…検出装置、300…基準部材、301A…上面、401…上板、401A…上面、501…上板、501A…上面、AR1…投影領域、AR2…液浸領域、CONT…制御装置、EL…露光光、EX…露光装置、K…警報装置、La…検出光、LG…エッジ部、LQ…液体、P…基板、PH…基板ホルダ、PL…投影光学系、PST…基板ステージ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記投影光学系の先端よりも下方に配置された物体上に液体が有るか否かを検出する検出装置を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記検出装置は、検出光を射出する射出部と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光部とを有することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記射出部から複数位置に検出光を照射し、前記受光部の受光結果に基づいて、前記液体の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を求めることを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項4】
前記検出装置の検出光と前記物体とを相対的に移動しながら検出することを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項5】
前記物体は、前記投影光学系に対して移動可能であることを特徴とする請求項4記載の露光装置。
【請求項6】
前記物体は、前記基板、前記基板を保持して移動可能な基板ステージ、及び前記基板ステージ上の所定部材のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項5記載の露光装置。
【請求項7】
前記検出装置の検出光の光路を折り曲げる折り曲げ部を有することを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項8】
前記検出装置の検出光は、前記物体表面とほぼ平行に照射されることを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項9】
前記受光部の受光結果に基づいて、前記検出光の光路上に液体が有るか否かを検出することを特徴とする請求項8記載の露光装置。
【請求項10】
前記検出光は、前記物体表面より5.5mm以内の離れた領域を通過することを特徴とする請求項8記載の露光装置。
【請求項11】
前記受光部の受光結果に基づいて、前記物体上における前記液体の位置を求めることを特徴とする請求項2のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項12】
前記検出装置は、前記投影光学系と前記物体との間に形成された液体の液浸領域に対して検出光を照射することを特徴とする請求項2〜11のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項13】
前記検出装置は、前記物体表面に対して検出光を照射することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項14】
前記受光部は前記物体表面からの光を受光し、該受光結果に基づいて前記物体表面の液体を検出することを特徴とする請求項13記載の露光装置。
【請求項15】
前記検出光が照射される前記物体表面は、前記物体上に形成された凹部を含むことを特徴とする請求項13記載の露光装置。
【請求項16】
前記凹部は前記基板を保持して移動可能な基板ステージ上に設けられ、該凹部には前記基板を保持する基板ホルダが配置されることを特徴とする請求項15記載の露光装置。
【請求項17】
前記基板ホルダに対する前記検出光の照射は、前記基板ホルダに基板を載置する前に行われることを特徴とする請求項16記載の露光装置。
【請求項18】
前記検出光は、所定波長の赤外光であることを特徴とする請求項2〜17のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項19】
前記検出光は、前記液体のうち所定の大きさ以上の領域を覆うように照射されるシート状光束を含むことを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項20】
液体を供給する液体供給機構と、
液体を回収する液体回収機構とを備え、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記液体供給機構及び前記液体回収機構のうち少なくとも一方の動作が制御されることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項21】
前記検出装置の検出結果が異常と判断されたときに、前記液体供給機構による液体の供給が停止されることを特徴とする請求項20記載の露光装置。
【請求項22】
前記検出装置の検出結果に基づいて、露光動作が制御されることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項23】
前記検出装置の検出結果が異常と判断されたときに、警告を発することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項24】
投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記投影光学系と前記投影光学系の像面側に配置された物体との間に形成された液浸領域に対して検出光を射出する射出部と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光部とを有し、前記受光部の受光結果に基づいて前記液浸領域の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を求める検出装置を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項25】
前記液浸領域の複数位置のそれぞれに照射した前記検出光の受光結果に基づいて、前記液浸領域の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を求めることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項26】
前記検出装置による検出は前記基板の露光と並行して行われることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項27】
前記液浸領域のエッジ部近傍に対して前記検出光が照射されることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項28】
前記液浸領域のエッジ部近傍の複数位置のそれぞれに前記検出光が照射されることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項29】
前記液浸領域の目標形状に応じて、前記エッジ部近傍に照射される複数の検出光の光路のそれぞれが設定されることを特徴とする請求項28記載の露光装置。
【請求項30】
前記複数の検出光のうち少なくとも2つの検出光は、前記液浸領域の両側のエッジ部近傍のそれぞれに照射されることを特徴とする請求項28記載の露光装置。
【請求項31】
液体を供給する液体供給機構と、
液体を回収する液体回収機構とを備え、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記液体供給機構及び前記液体回収機構のうち少なくともいずれか一方の動作が制御されることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項32】
前記検出装置の検出結果が異常と判断されたときに、前記液体供給機構による液体の供給が停止されることを特徴とする請求項31記載の露光装置。
【請求項33】
投影光学系と基板との間に形成された液体の液浸領域が所定の大きさ以上になったとき、前記液体供給機構による液体の供給が停止されることを特徴とする請求項31記載の露光装置。
【請求項34】
前記検出光は、所定波長の赤外光であることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項35】
前記検出光は、前記液体のうち所定の大きさ以上の領域を覆うように照射されるシート状光束を含むことを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項36】
投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記投影光学系の像面側で移動可能な物体上の液体の形状を求める形状検出装置を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項37】
前記検出装置は、前記物体表面に対して垂直方向に複数並んだ検出光を射出する射出部と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光部とを有し、前記受光部の受光結果に基づいて、前記液体の形状を求めることを特徴とする請求項36記載の露光装置。
【請求項38】
前記求めた液体の形状に基づいて、前記物体に対する前記液体の親和性を求めることを特徴とする請求項36記載の露光装置。
【請求項39】
前記求めた液体の形状に基づいて、前記物体に対する前記液体の接触角を求めることを特徴とする請求項36記載の露光装置。
【請求項40】
前記検出装置は、前記物体上における前記液体の高さを検出し、該検出結果に基づいて、前記物体に対する前記液体の接触角を求めることを特徴とする請求項39記載の露光装置。
【請求項41】
前記物体は、前記基板、前記基板を保持する基板ステージ、及び前記基板ステージ上の所定部材のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項36記載の露光装置。
【請求項42】
投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記基板を保持する基板ステージ上面の液体の、その基板ステージ上面に対する接触角を検出する検出装置を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項43】
前記基板ステージ上面に対する液体の接触角を定期的に求めることを特徴とする請求項42記載の露光装置。
【請求項44】
前記基板ステージ上面は、前記基板ステージに交換可能に配置された所定部材表面を含み、
前記検出された接触角に基づいて、前記所定部材が交換されることを特徴とする請求項42記載の露光装置。
【請求項45】
前記基板ステージ上面は、前記基板ステージに保持された基板表面を含むことを特徴とする請求項42記載の露光装置。
【請求項46】
液体を供給する液体供給機構と、
液体を回収する液体回収機構とを備え、
前記検出された接触角に基づいて、前記液体供給機構及び前記液体回収機構のうち少なくとも一方の動作が制御されることを特徴とする請求項42記載の露光装置。
【請求項47】
前記検出装置は、前記基板ステージ上の液体に所定波長の赤外光を照射することによって、前記接触角を検出することを特徴とする請求項42記載の露光装置。
【請求項48】
請求項1、請求項24、請求項36、請求項42のいずれか一項記載の露光装置を用いることを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項1】
投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記投影光学系の先端よりも下方に配置された物体上に液体が有るか否かを検出する検出装置を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記検出装置は、検出光を射出する射出部と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光部とを有することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記射出部から複数位置に検出光を照射し、前記受光部の受光結果に基づいて、前記液体の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を求めることを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項4】
前記検出装置の検出光と前記物体とを相対的に移動しながら検出することを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項5】
前記物体は、前記投影光学系に対して移動可能であることを特徴とする請求項4記載の露光装置。
【請求項6】
前記物体は、前記基板、前記基板を保持して移動可能な基板ステージ、及び前記基板ステージ上の所定部材のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項5記載の露光装置。
【請求項7】
前記検出装置の検出光の光路を折り曲げる折り曲げ部を有することを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項8】
前記検出装置の検出光は、前記物体表面とほぼ平行に照射されることを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項9】
前記受光部の受光結果に基づいて、前記検出光の光路上に液体が有るか否かを検出することを特徴とする請求項8記載の露光装置。
【請求項10】
前記検出光は、前記物体表面より5.5mm以内の離れた領域を通過することを特徴とする請求項8記載の露光装置。
【請求項11】
前記受光部の受光結果に基づいて、前記物体上における前記液体の位置を求めることを特徴とする請求項2のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項12】
前記検出装置は、前記投影光学系と前記物体との間に形成された液体の液浸領域に対して検出光を照射することを特徴とする請求項2〜11のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項13】
前記検出装置は、前記物体表面に対して検出光を照射することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項14】
前記受光部は前記物体表面からの光を受光し、該受光結果に基づいて前記物体表面の液体を検出することを特徴とする請求項13記載の露光装置。
【請求項15】
前記検出光が照射される前記物体表面は、前記物体上に形成された凹部を含むことを特徴とする請求項13記載の露光装置。
【請求項16】
前記凹部は前記基板を保持して移動可能な基板ステージ上に設けられ、該凹部には前記基板を保持する基板ホルダが配置されることを特徴とする請求項15記載の露光装置。
【請求項17】
前記基板ホルダに対する前記検出光の照射は、前記基板ホルダに基板を載置する前に行われることを特徴とする請求項16記載の露光装置。
【請求項18】
前記検出光は、所定波長の赤外光であることを特徴とする請求項2〜17のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項19】
前記検出光は、前記液体のうち所定の大きさ以上の領域を覆うように照射されるシート状光束を含むことを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項20】
液体を供給する液体供給機構と、
液体を回収する液体回収機構とを備え、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記液体供給機構及び前記液体回収機構のうち少なくとも一方の動作が制御されることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項21】
前記検出装置の検出結果が異常と判断されたときに、前記液体供給機構による液体の供給が停止されることを特徴とする請求項20記載の露光装置。
【請求項22】
前記検出装置の検出結果に基づいて、露光動作が制御されることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項23】
前記検出装置の検出結果が異常と判断されたときに、警告を発することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項24】
投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記投影光学系と前記投影光学系の像面側に配置された物体との間に形成された液浸領域に対して検出光を射出する射出部と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光部とを有し、前記受光部の受光結果に基づいて前記液浸領域の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を求める検出装置を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項25】
前記液浸領域の複数位置のそれぞれに照射した前記検出光の受光結果に基づいて、前記液浸領域の大きさ及び形状のうち少なくとも一方を求めることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項26】
前記検出装置による検出は前記基板の露光と並行して行われることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項27】
前記液浸領域のエッジ部近傍に対して前記検出光が照射されることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項28】
前記液浸領域のエッジ部近傍の複数位置のそれぞれに前記検出光が照射されることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項29】
前記液浸領域の目標形状に応じて、前記エッジ部近傍に照射される複数の検出光の光路のそれぞれが設定されることを特徴とする請求項28記載の露光装置。
【請求項30】
前記複数の検出光のうち少なくとも2つの検出光は、前記液浸領域の両側のエッジ部近傍のそれぞれに照射されることを特徴とする請求項28記載の露光装置。
【請求項31】
液体を供給する液体供給機構と、
液体を回収する液体回収機構とを備え、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記液体供給機構及び前記液体回収機構のうち少なくともいずれか一方の動作が制御されることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項32】
前記検出装置の検出結果が異常と判断されたときに、前記液体供給機構による液体の供給が停止されることを特徴とする請求項31記載の露光装置。
【請求項33】
投影光学系と基板との間に形成された液体の液浸領域が所定の大きさ以上になったとき、前記液体供給機構による液体の供給が停止されることを特徴とする請求項31記載の露光装置。
【請求項34】
前記検出光は、所定波長の赤外光であることを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項35】
前記検出光は、前記液体のうち所定の大きさ以上の領域を覆うように照射されるシート状光束を含むことを特徴とする請求項24記載の露光装置。
【請求項36】
投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記投影光学系の像面側で移動可能な物体上の液体の形状を求める形状検出装置を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項37】
前記検出装置は、前記物体表面に対して垂直方向に複数並んだ検出光を射出する射出部と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光部とを有し、前記受光部の受光結果に基づいて、前記液体の形状を求めることを特徴とする請求項36記載の露光装置。
【請求項38】
前記求めた液体の形状に基づいて、前記物体に対する前記液体の親和性を求めることを特徴とする請求項36記載の露光装置。
【請求項39】
前記求めた液体の形状に基づいて、前記物体に対する前記液体の接触角を求めることを特徴とする請求項36記載の露光装置。
【請求項40】
前記検出装置は、前記物体上における前記液体の高さを検出し、該検出結果に基づいて、前記物体に対する前記液体の接触角を求めることを特徴とする請求項39記載の露光装置。
【請求項41】
前記物体は、前記基板、前記基板を保持する基板ステージ、及び前記基板ステージ上の所定部材のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項36記載の露光装置。
【請求項42】
投影光学系と液体とを介して基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記基板を保持する基板ステージ上面の液体の、その基板ステージ上面に対する接触角を検出する検出装置を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項43】
前記基板ステージ上面に対する液体の接触角を定期的に求めることを特徴とする請求項42記載の露光装置。
【請求項44】
前記基板ステージ上面は、前記基板ステージに交換可能に配置された所定部材表面を含み、
前記検出された接触角に基づいて、前記所定部材が交換されることを特徴とする請求項42記載の露光装置。
【請求項45】
前記基板ステージ上面は、前記基板ステージに保持された基板表面を含むことを特徴とする請求項42記載の露光装置。
【請求項46】
液体を供給する液体供給機構と、
液体を回収する液体回収機構とを備え、
前記検出された接触角に基づいて、前記液体供給機構及び前記液体回収機構のうち少なくとも一方の動作が制御されることを特徴とする請求項42記載の露光装置。
【請求項47】
前記検出装置は、前記基板ステージ上の液体に所定波長の赤外光を照射することによって、前記接触角を検出することを特徴とする請求項42記載の露光装置。
【請求項48】
請求項1、請求項24、請求項36、請求項42のいずれか一項記載の露光装置を用いることを特徴とするデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−160000(P2011−160000A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105459(P2011−105459)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【分割の表示】特願2010−25938(P2010−25938)の分割
【原出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【分割の表示】特願2010−25938(P2010−25938)の分割
【原出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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