説明

風水車同心回転軸直接駆動型電気エネルギー抽出装置

【課題】本発明の目的は、水平回転軸風水車にあっては互いに逆回転している前後一組のプロペラの回転を発電機の回転素子と固定子に直結し、垂直回転軸風水車にあっては互いに逆回転している上下一組の羽根車の回転発電機の回転素子と固定子に直結し、それらの相対回転により2倍の流速と等価な風水車同心回転軸直接駆動型電気エネルギー抽出装置を提供することにある。
【解決手段】水平回転軸あるいは垂直回転軸を有する風水車が夫々同心回転軸を有し、互いに逆の回転方向である2基一組で、かつ外側回転軸と内側回転軸に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリングを備し、1基目の風水車のプロペラあるいは羽根車が2基目のプロペラあるいは羽根車よりも長直径を有し、その一方の回転軸が発電機の回転子、他方の回転軸が固定子であり、それらの相対回転により約2倍の流速と等価な風水車同心回転軸直接駆動型電気エネルギー抽出装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
同一回転軸を有し互いの回転方向が逆なる2基一組の風水車の各軸を発電機のローターとステーターとした風水車同心回転軸直接駆動型電気エネルギー抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風や水の平均流速が低いためこれらの流れを電気エネルギーに変換するためには風水車軸の回転を発電機に伝達するための歯車などの増速機が不可欠である。しかし、歯車によるエネルギーの駆動ロスやと突風による歯車同士の競合破壊、歯車同士の摩擦音、歯車の高重量などの問題点を解決することが重要課題となっている。
【0003】
歯車によるエネルギーの駆動ロスを軽減する目的で、ダイレクトドライブ方式が提案されている。現在の通勤電車の駆動方式は、台車に取り付けられたモーターのトルクをたわみ継ぎ手と減速歯車装置を介して車軸に伝達するカルダン方式が主流であった。この駆動方式の減速歯車を省略し、モーターのトルクを直接車輪に伝えようとする試みは、非特許文献1に開示されているように、従来の誘導モーターの代わりに永久磁石式同期モーターを採用している。また特許文献1にはローターが周方向極性交互に複数の永久磁石を有するステーターの外周側に配置されるダイレクトドライブ型電動車輪構造が開示されている。
【0004】
このダイレクトドライブ方式を風車に適用したのは非特許文献2に示すように、風車のプロペラを二重反転方式とし、発電機のローターとステーターを夫々前後の各プロペラで駆動することで増速装置をなくした方法が、1931年ドイツのH.ホンネフにより提案され、超大型風力発電装置に採用されたが成功しなかった。特許文献2には少なくとも2枚の羽を含む風力発電機において、ステーターとローターが相互に同心の管セクションにより形成され、これらの向かい合わせの面に夫々永久磁石および巻線が配置されていることが開示されている。
【0005】
本願発明の同心回転軸とは複数組のプロペラや羽根車の回転軸が同じでその同心円状に深溝軸受や同筒ころ軸受あるいは互いに回転方向を逆にしたワンウエイクラッチベアリングなどを複数個装着し、かつ互いの風水車軸が回転軸を中心として同心円状に回転することを意味する。複数組のプロペラや羽根車の回転軸が同じである風車については、特許文献3に示された図によると、サボニウス型風車を5基同軸に積み重ね、その一端に発電機を連結し、地表より高さの異なる各高度の風力エネルギーを効果的に捕捉している。特許文献4では上部に低速型のクロスフロー型風車と下部に高速型のダリウス型風車とを重ね、一方の風車の回転中心軸を他方の風車の中空回転軸に挿入し、低風状態から高風力状態まで候高率な発電を可能にしている。2枚のプロペラを同軸上に配置した例として、特許文献5には前後2枚のプロペラを同軸上に設け、後ろ側のプロペラは正面から来る風に加え前側の風車の回転によって起こされた風も受けて回転し、それらの回転を夫々の歯車によって増速し2台の発電機を駆動するものである。同様に特許文献6では前後2枚のプロペラを同軸上に設け、前側のプロペラと後方のプロペラの回転方向は逆であるが、夫々の回転軸に取り付けられた歯車によって増速し、2台の発電機を駆動するものである。
【0006】
2枚のプロペラを同軸上に配置した発明として、最も注目されるのが特許文献7である。前段プロペラと前段プロペラよりも小径のプロペラを後段に配置し、それらを同軸上に配置し、かついずれか一方のプロペラを発電機の電気子ロータに、他方のロータを発電機の界磁ロータに連結した構造であり、微風下では後段のプロペラが前段のプロペラとは逆方向に回転し、風速の増加と共に回転速度が最高になった後、徐々に減速し、停止状態を経て前段のプロペラと同方向に回転し始め、しかも微風下では前段プロペラが回転しなくても後段プロペラが回転するような翼形状を成し、前後2段のプロペラが発電機の内外回転し(電気子、界磁)を夫々駆動させることが開示されている。本特許文献によると大型プロペラ(ロータ)風車は大出力に適しているが微風下では稼動せず、微風下では小径プロペラ風車が適している。しかし強風下での出力が極めて小さいため適用範囲は限られ、かつ強風下での発電機への過負荷を避けるため、ブレーキや可変ピッチなどの回転抑制機構が必要としていた。これらの課題を解決し、極微風状態から強風状態にわたって効率良く動作し、定格風速以上でもブレーキ機構なしで一定出力が得られるのがこの発明であると記されている。
【0007】
上述した参考文献を統括すると風力発電の欠点は風速が遅い時は風車が回転せず、風速が速い時は発電機への過負荷防止のためブレーキが必要であり、これらを解決するために複数基のプロペラや羽根車風車を同軸上で回転して風車の性能向上を行う工夫がなされている。
【0008】
【特許文献1】特開平10−86885号公報
【特許文献2】特公2005−503098号
【特許文献3】特開2002−130110号公報
【特許文献4】特開2006−132514号公報
【特許文献5】特開2003−269316号公報
【特許文献6】特開2002−295361号公報
【特許文献7】特開2004−100546号公報
【非特許文献1】東芝レビューVol.60(8)、52頁(2005)
【非特許文献2】風力エネルギーの基礎、牛山泉著、株式会社オーム社、109頁、平成17年7月20日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
風力発電で得られるエネルギー(W)は、受風面積(A)、空気密度(ρ)、風速(V)とすると W=AρV/2 で与えられる。すなわち風車の回転面を通過する気流速度を増大すれば、風車の出力は気流速度の3乗に比例する。ところが風車の回転速度は直径の大きいものほど回転数が低くなる。一方風車を水の流れとして用いれば、水の密度は1025kg/m3と空気の密度の1.2kg/m3に対して854倍であり、エネルギー変換効率は高い。しかし風の流速に比べ水の流速は極端に低く、黒潮でも秒速2メートル内外である。このため歯車などを用いた増速機が不可欠と成る。しかしこの増速機でロスするエネルギーは大きく、また起動トルクも大きい。さらに重量やコスト高になる。また強風時の過負荷による歯車破壊事故も多い。そこでこの増速機を省き、長期間故障の無い風や水流などの流体エネルギーを電気エネルギーに変換する抽出装置を開発する事が本発明の課題である。
【0010】
本発明は上述した問題点に鑑みて創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、水平回転軸風水車にあっては互いに逆回転している前後一組のプロペラの回転を発電機の回転素子と固定子に直結し、垂直回転軸風水車にあっては互いに逆回転している上下一組の羽根車の回転発電機の回転素子と固定子に直結し、それらの相対回転により2倍の流速と等価な風水車同心回転軸直接駆動型電気エネルギー抽出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特許文献7によると微風速下では小型風車が有利で、大型風車は大出力用とされているが、これは逆で、微風速下ではプロペラ直径の大きい大型風車が有利であり、直径が小さい小型風車は強風時に出力が得られるのが基本である。また直径が大きい風車を風上側に、直径が小さい風車を風下側にすると記述されているが、これも全く逆で、直径が小さな風車は風上側、大きい直径の風車は風下側にすることによって、風の流れを風上側の風車と風下側の風車に有効に取り入れ発電エネルギーを得る。
【0012】
上記目的を達成するため、水平回転軸を有する2基一組の水平軸型プロペラ風車の場合には、風上に設置する1基目のプロペラと風切り角を逆にした2基目のプロペラを風下側にそれぞれを隣接あるいは発電機を隔てて設置し、2基一組の風車が互いに干渉せず、かつ1基目の風車の受風面積と2基目の風車の受風面積を等しくするために、2基目のプロペラには1基目のプロペラの直径(2r)と同径の支持翼(2r)で支えられた長直径(2r√2)のプロペラを有することが望ましい。さらに背風や裏風によるプロペラの逆転を阻止するために、2基一組の水平回転軸の外側回転軸と内側回転軸に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリングあるいはラチェットを備した後、その2組の同軸回転軸の一方に発電機の回転子、他方の回転軸に固定子を備し、それらの相対回転により約2倍の流速と等価な発電エネルギーを得る。
【0013】
水平軸型プロペラ風車の場合タワーによる気流の錯乱が問題になる。このイレギュラーな流れの影響を避けるために、タワーの前側上方から風を受けるアップウインドーの場合は一対のプロペラを風上に向け仰角(コーニング角)を負側に傾け、タワーの後側下方から風を受けるダウンウインドーの場合は一対のプロペラを風下に向け仰角(コーニング角)を正側に傾ける。とくに周囲に障害物が無い海洋や大型風車においてはダウンウインドーが望ましい。
【0014】
他方、垂直回転軸風水車は風や水の流れ方向に左右されないため流れに対して羽根車の回転軸を垂直にしておけばよい。ただし風車の場合は地表からの高度が高くなるに連れて風速が早くなるため、2基一組の同軸風車では、2基目の羽根車の上部に1基目の羽根車よりも短直径を有する1基目の羽根車を設備する。ただし羽根車の上下で風速にあまり差が無い時は上下の羽根車の直径が等しくても良い。また本願発明は2組の同軸回転軸の一方に発電機の回転子、他方の回転軸に固定子を備し、それらの相対回転により2倍の流速と等価な発電エネルギーを得る構造であるが、両方が同方向に回転しない限り1倍以上の発電エネルギーが得られるため、羽根車の直径にあまり拘らなくとも良い。ただし、互いに逆回転している羽根車が風の逆流や乱れにより正規の回転を逸脱することを阻止するために、2基一組の垂直回転軸の外側回転軸と内側回転軸に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリングあるいはラチェットを備した後、その2組の同軸回転軸の一方に発電機の回転子、他方の回転軸に固定子を備し、それらの相対回転により1から2倍の流速と等価な発電エネルギーを得る。
【0015】
垂直回転軸を共有する2基一組の垂直軸水車であり、1基目の水車の下部に2基目の水車を設備し、それらが互いに逆回転している羽根車が水の逆流や乱れにより正規の回転を逸脱することを阻止するために、2基一組の垂直回転軸の外側回転軸と内側回転軸に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリングあるいはラチェットを備した後、その2組の同軸回転軸の一方に発電機の回転子、他方の回転軸に固定子を備し、それらの相対回転により1から2倍の流速と等価な発電エネルギーを得る。
【0016】
風力と水流力とを組み合わせた発電方式で、垂直回転軸を共有する2基一組の垂直軸風水車の1基目の水車は水面下に、2基目の風車は水面上に設置され、それらが互いに逆回転している羽根車であり、それらの回転方向が水の逆流や乱れにより正規の回転から逸脱することを阻止するために、2基一組の垂直回転軸の外側回転軸と内側回転軸に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリングあるいはラチェットを備した後、その2組の同軸回転軸の一方に発電機の回転子、他方の回転軸に固定子を備し、それらの相対回転により1から2倍の流速と等価な発電エネルギーを得る。この場合いずか一方の流れが止まっても他方が回っていれば発電が行われる。風力と流体力とでは夫々の回転が大きく異なるが、それらの相対回転による発電のためなんら問題は生じない。
【0017】
したがって、本発明は、水平回転軸風水車にあっては互いに逆回転している前後一組のプロペラの回転を発電機の回転素子と固定子に直結し、垂直回転軸風水車にあっては互いに逆回転している上下一組の羽根車の回転発電機の回転素子と固定子に直結し、それらの相対回転により2倍の流速と等価な電気エネルギーを抽出することができ、この結果、発電効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記したように、本発明によれば、水平回転軸風水車にあっては互いに逆回転している前後一組のプロペラの回転を発電機の回転素子と固定子に直結し、垂直回転軸風水車にあっては互いに逆回転している上下一組の羽根車の回転発電機の回転素子と固定子に直結し、それらの相対回転により2倍の流速と等価な電気エネルギーを抽出することができ、この結果、発電効率を向上させることができる等の優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の効果的な実施の形態を図1〜図8に基づいて詳細に説明する。なお、各図において同一部分には同一符号を付している。
【0020】
図1は、本発明の実施形態の概略構成図である。この図に示すように、水平回転軸を有する2基一組の水平軸型プロペラ風車の場合には、風上14に設置する1基目のプロペラ1と風切り角を逆にした2基目のプロペラ2をその後方に隣接あるいは発電機室3を隔てて設置し、2基一組の風車が互いに干渉せず、かつ1基目のプロペラ1の受風面積(πr)と2基目のプロペラ2の受風面積(πr−πr)を等しくするために、2基目のプロペラには1基目のプロペラ1の直径4(2r)と同径の支持翼5(2r)で支えられた長直径6(2r=2r√2)のプロペラ2を有することが望ましい。さらに背風や裏風によるプロペラの逆転を阻止するために、2基一組の水平回転軸の外側回軸7と内側回転軸8に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリング14,15,16,17あるいはラチェット14,15,16,17を備した後、その2組の同軸回転軸の一方に発電機の回転子9、他方の回転軸に固定子10を備し、それらの相対回転11,12により約2倍の流速と等価な発電エネルギーを得る。
【0021】
図2は発電室3の内部の詳細図である。水平回転軸あるいは垂直回転軸を有する風水車が夫々同心回転軸を有し、互いに逆の回転方向11、12である2基一組で、かつ外側回転軸7と内側回転軸8に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリング14,15,16,17あるいはラチェット14,15,16,17を備し、その一方の回転軸が発電機の回転子9、他方の回転軸が固定子10であり、回転子9が永久磁石の場合は回転する固定子10のコイルに発生する起電力を取り出すために、外側回転軸7にスリップリング18とブラシ19を備する。図2には記載してないが、回転子9が電磁石の場合には内側回転軸8にもスリップリング18とブラシ19を備する。ここで側回転軸7と内側回転軸8に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリング14,15,16,17あるいはラチェット14,15,16,17を備しているが、夫々の回転軸の両端にワンウエイクラッチベアリングあるいはラチェットを付けなくても、一端をボールベアリングにすることもできる。
【0022】
図3はアップウインドーとダウンウインドーへの適応図である。水平軸型プロペラ風車の場合タワー13による気流の錯乱が問題になる。このイレギュラーな流れの影響を避けるために、タワー13の前側上方から風14を受けるアップウインドー(c)の場合は一対のプロペラ1、2を風上に向け仰角20(コーニング角α)を負側に傾け、タワー13の後側下方から風を受けるダウンウインドー(d)の場合は一対のプロペラ1、2を風下に向け仰角20(コーニング角α)を正側に傾ける。とくに周囲に障害物が無い海洋や大型風車においてはダウンウインドー(d)が望ましい。
【0023】
図4は2基一組のプロペラを隔てて設置する場合の図である。水平回転軸を有する2基一組の水平軸風車の1基目の風車の短径プロペラ1と風切り角を逆にした2基目のプロペラ2を発電室3を隔てて設置した場合である。図1に示した発電室3の前方に2基一組の水平軸風車を置いた場合に比べ図4のように互いのプロペラを隔てて置くとタワー13で発電室3を支えるための重量バランスの調整ができる点は有利である。
【0024】
図5は互いの羽根車径が異なる2基一組の垂直回転軸風車を上下に配置した図である。垂直に翼23(ブレード)を複数枚並べた垂直回転軸風水車は風や水の流れ方向に左右されないため流れに対して羽根車21、22の回転軸を垂直にしておけばよい。ただし風車の場合は地表からの高度が高くなるに連れて風速14が早くなるため、2基一組の同軸風車では、2基目の羽根車22の上部に1基目の羽根車21を乗せ、1基目の羽根車21よりも長直径を有する羽根車22を設備する。上部に設置した1基目の羽根車21は内側回転軸8により発電室3に設備した発電用回転子9を直接駆動し、2基目の羽根車22は外側回転軸7により発電室3に設備した発電用固定子10を直接駆動し、それらの相対回転11、12により約2倍の流速と等価な発電エネルギーを得る。これら同軸回転軸の設定された回転方向を逸脱させないようにするため、2基一組の垂直回転軸の外側回軸7と内側回転軸8に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリング14,15,16,17あるいはラチェット14,15,16,17を備す。このように相対回転11、12により約2倍の流速と等価な発電エネルギーを得る目的では、羽根車21および2の回転は同じである必要は無い。極端のことを言えば、一方が止まっていた場合でも発電は行われる。従って図6に示すように同じ径を有する羽根車21を上下に配置しても良い。
【0025】
図7は垂直回転軸を共有する2基一組の垂直軸水車である。船底26の上に固定台25を介して発電機室3を設備し、水面28より下部に1基目の水車27とその下に2基目の水車27を設備し、それらが互いに逆回転している羽根車が水の逆流や乱れにより正規の回転を逸脱することを阻止するために、2基一組の垂直回転軸の外側回転軸7と内側回転軸8に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリング14,15,16,17あるいはラチェット14,15,16,17を備した後、その2組の同軸回転軸の一方に発電機の回転子9、他方の回転軸に回転固定子10を備し、水流29による2基一組の水車軸の相対回転により1から2倍の流速と等価な発電エネルギーを得る。
【0026】
図8は風力と水流力とを組み合わせた発電方式である。甲板上24と船底26のとの間に固定台25を介して発電機室3を設備し、甲板24の上部には垂直回転軸を共有する2基一組の垂直軸風水車の内2基目の風車羽根車21、水面28を挟んで船底26の下には1基目の水車羽根車27が設置され、それらが互いに逆回転11、12している羽根車21、22であり、それらの回転方向が水の逆流や乱れにより正規の回転から逸脱することを阻止するために、2基一組の垂直回転軸の外側回転軸7と内側回転軸8に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリング14,15,16,17あるいはラチェット14,15,16,17を備した後、それらの相対回転により1から2倍の流速と等価な発電エネルギーを得る。この場合風14あるいは水流29のいずか一方の流れが止まっても他方が回っていれば発電が行われる。風力と流体力とでは夫々の回転が大きく異なるが、それらの相対回転による発電のためなんら問題は生じない。
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、水平回転軸風水車にあっては互いに逆回転している前後一組のプロペラの回転を発電機の回転素子と固定子に直結し、垂直回転軸風水車にあっては互いに逆回転している上下一組の羽根車の回転発電機の回転素子と固定子に直結し、それらの相対回転により2倍の流速と等価な電気エネルギーを抽出の効率向上をも図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本願発明によれば、水平回転軸風水車にあっては互いに逆回転している前後一組のプロペラの回転を発電機の回転素子と固定子に直結し、垂直回転軸風水車にあっては互いに逆回転している上下一組の羽根車の回転発電機の回転素子と固定子に直結し、それらの相対回転により2倍の流速と等価な電気エネルギーを抽出し、これらのエネルギーを用い、海洋資源採取現場の船上で海水の電気分解により苛性ソーダーやナトリウム、マグネシウムなどの水素発生金属、あるいは真水などを製造し、それら生産物を寄港先で陸揚げすることにより、生産・貯蔵・輸送時におけるエネルギーロスを無くし、システム全体の効率を向上させることができる。このことは資源の世界的枯渇と資源高をもたらし、これに伴う資源供給国の台頭が国際社会に影響力を拡大させている現況を沈静化するに留まらず、無尽蔵にあるクリーンな海洋資源を化石燃料を使わず経済的に製造する事は、4面を海に囲まれる我が国の産業に取って重要な手段である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】2重反転プロペラ風車の概略構成図
【図2】発電室内部の詳細断面図
【図3】アップウインドーとダウンウインドーの適応図
【図4】2基一組のプロペラ風車を発電室を隔てて備えた2重反転風車の概略構成図
【図5】羽根車の直径が異なる2基一組の2重反転式垂直軸型風車の概略構成図
【図6】羽根車の直径が等しい2基一組の2重反転式垂直軸型風車概略構成図
【図7】羽根車の直径が等しい2基一組の2重反転式垂直軸型水車概略構成図
【図8】2基一組の風水車のうち、1基の風車を甲板上に、もう1つを船底に備した風水車発電装置概略構成図
【符号の説明】
【0030】
a プロペラ型風車平面図
b プロペラ型風車断面図
c アップウインドー
d ダウンウインドー
1 小直径プロペラ
2 大直径プロペラ
3 発電室
4 小プロペラ直径
5 支持翼
6 大直径プロペラの直径
7 外側回転軸
8 内側回転軸
9 回転子(ローター)
10 回転固定子(ステーター)
11 回転方向
12 逆回転方向
13 タワー
14 ワンウエイクラッチベアリング、クラッチ
15 ワンウエイクラッチベアリング、クラッチ(14、15のうち1つがボールベアリングでも可)
16 ワンウエイクラッチベアリング、クラッチ
17 ワンウエイクラッチベアリング、クラッチ(14、15のうち1つがボールベアリングでも可)
18 スリップリング
19 ブラシ
20 仰角(コーニング角)
21 垂直軸型風車(羽根車)
22 大直径垂直軸型風車(羽根車)
23 翼(ブレード)
24 甲板またはプラットホーム
25 浮体船
26 船底
27 垂直軸型水車(羽根車)
28 喫水線(水面)
29 水流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平回転軸あるいは垂直回転軸を有する風水車が夫々同心回転軸を有し、互いの回転方向が逆の2基一組で、かつ外側回転軸と内側回転軸に夫々回転方向が逆のワンウエイクラッチベアリングあるいはラチェットを備する風水車であり、1基目の風水車のプロペラあるいは羽根車が2基目のプロペラあるいは羽根車よりも長直径あるいは同じ直径または小直径を有し、その一方のプロペラまたは羽根車の回転軸が発電機の回転子、他方の回転軸が固定子であることを特徴とする風水車同心回転軸直接駆動型電気エネルギー抽出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水平回転軸を有する2基一組の水平軸風車であり、夫々の風車の受風面積が同一面積以上の直径を有し、かつ風上に設置する1基目の風車のプロペラと風切り角を逆にした2基目のプロペラを風下側にそれぞれを隣接あるいは隔てて設置し、1基目の風上側のプロペラは2基目より短径で、かつ2基目のプロペラは1基目のプロペラと同じ直径以上の支持翼を有し、その支持翼の延長線上がプロペラであり、それら2基のプロペラが互いに反対方向に回転し、かつタワーの風下にプロペラを設置するかまたはタワーの風上側にプロペラを設置することを特徴とする請求項1に記載の風水車同心回転軸直接駆動型電気エネルギー抽出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の垂直回転軸を共有する2基一組の垂直軸風車であり、2基目の羽根車の上部に1基目の羽根車よりも短直径あるいは同じ直径を有する1基目の羽根車を設備し、それらが互いに反対方向に回転することを特徴とする請求項1に記載の風水車同心回転軸直接駆動型電気エネルギー抽出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の垂直回転軸を共有する2基一組の垂直軸水車であり、1基目の水車の下部に2基目の水車を設備し、それらが互いに反対方向に回転することを特徴とする請求項1に記載の風水車同心回転軸直接駆動型電気エネルギー抽出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の垂直回転軸を共有する2基一組の垂直軸風水車であり、1基目の水車は水面下に、2基目の風車は水面上に設置され、それらの回転軸が互いに反対方向に回転することを特徴とする請求項1に記載の風水車同心回転軸直接駆動型電気エネルギー抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−63961(P2008−63961A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240060(P2006−240060)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(303045188)
【出願人】(301080286)
【Fターム(参考)】