説明

駆動ユニット

【課題】早送り機能と軸方向荷重力を同時に満足しつつ、優れた位置決め精度を発揮できる新規な駆動ユニットの提供。
【解決手段】直線状のレール10と、当該レール10にスライド自在に係合される第1スライダ20および第2スライダ30と、当該第1スライダ20と第2スライダ30とを連結するトグル機構40と、前記第1スライダ20を前記レールに沿って駆動するボールネジ機構50と、を備える。これによって、第2スライダ30の早送り機能と軸方向荷重力を同時に満足しつつ、優れた位置決め精度を発揮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ガンやプレス機、射出成型機などの高負荷機器用のアクチュエータとして適用することができる駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポット溶接ガンやプレス機、射出成型機などの高荷重(高負荷)が必要な機器には、高負荷発生用の駆動ユニットが備えられている。
例えば、以下の特許文献1に示すようなスポット溶接ガンや、特許文献2に示すような抵抗溶接機では、電極を備えたガンアームを被溶接物に移動・圧接させるための駆動ユニットとして、ボールネジ機構を用いた加圧駆動機構や電極駆動機構が用いられている。
【0003】
また、以下の特許文献3に示すような射出成型装置では、一方の金型(移動金型)を他方の金型(固定金型)に近接・離間移動させるための駆動ユニットとして、スクリューナット機構(ボールネジ機構)に、倍力機構であるトグル機構を組み合わせた型締装置が用いられている。
【特許文献1】特開平10−34346号公報
【特許文献2】特開2000−17455号公報
【特許文献3】特開昭60−112417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1に示すようなボールネジ機構を用いた駆動ユニットの場合、ボールネジのリードが一定であるため、ガンアームを早送りをする区間と溶接をする区間(高負荷区間)とでそのガンアームの送り速度が同じになってしまうといった不都合がある。
すなわち、溶接ガンや抵抗溶接機は、電極と被溶接物が接しているときに最も大きな軸方向荷重が必要とされるから、ボールネジのリードはできるだけ小さい方がよい。また、リードを小さくすることによって小型のモータでも充分な軸方向荷重を発揮することができる。これに対し、溶接時以外は、電極を素早く移動させる必要があるため、ボールネジのリードはできるだけ大きい方が望ましい。
【0005】
従って、リードが一定であるボールネジを用いた駆動ユニットでは、その駆動源として小型モータを用いた場合では、これらの相反する要求を満足することが困難であるため、高価な高性能(大型)モータを用意しなければならず、コストが高くなってしまうといった不都合がある。なお、このような問題は射出成型機の型締軸においても生じており、型の開閉においては早送り動作が必要とされるが、型締め時は大きな軸方向荷重が必要となってくる。
一方、前記特許文献3に示すような、スクリューナット機構にトグル機構を組み合わせた駆動ユニットの場合では、そのトグル機構の倍力作用によってそのトグル機構で支持された金型などの早送り機能と軸方向荷重力を同時に満足することが可能となる。
【0006】
しかしながら、このような駆動ユニットでは、そのトグル機構がボールネジのねじれトルクによってねじれてしまい、位置決め精度が低いという問題がある。すなわち、例えばこのトグル機構を溶接ガンなどの倍力機構として使用した場合、そのリンクが完全に伸びきる前、つまりボールネジトルクが作用した状態で電極が被溶接物に接することになるため、電極の位置や角度がずれてしまうことがある。
そこで、本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであり、その目的は、早送り機能と軸方向荷重力を同時に満足しつつ、優れた位置決め精度を発揮できる新規な駆動ユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために第1の発明は、
直線状のレールと、当該レールにスライド自在に係合される第1および第2のスライダと、当該第1スライダと第2スライダとを連結するトグル機構と、前記第1スライダを前記レールに沿って駆動するボールネジ機構と、を備えたことを特徴とする駆動ユニットである。
このような構成によれば、第1スライダと第2スライダとを連結するトグル機構の倍力作用によって、第1スライダに対する第2スライダの早送り機能と軸方向荷重力を同時に満足することができる。
【0008】
また、第1スライダと第2スライダがそれぞれ同じレールにスライド自在に係合されているため、第1スライダに発生したボールネジ機構のトルクがそのままトグル機構や第2スライダに伝わることがない。この結果、トグル機構や第2スライダが大きくねじれたりすることがなくなるため、優れた位置決め精度を発揮できる。また、第1スライダと第2スライダがそれぞれ同じレールを使用することで駆動ユニットをコンパクト且つ簡素に設計することができる。
【0009】
また、第2の発明は、
第1の発明において、前記レールを、互いに平行に延びる一対のレール部材で構成すると共に、前記ボールネジ機構50で駆動される前記第1スライダを前記レール部材間に架け渡すように配置したことを特徴とする駆動ユニットである。
このような構成によれば、第1スライダに発生したボールネジトルクを一対のレール部材で受けることができるため、ボールネジ機構のトルクによる、トグル機構や第2スライダのねじれをより確実に防止できる。
【0010】
また、第3の発明は、
第1または第2の発明において、前記ボールネジ機構のネジ軸を前記レール部材と平行且つそのレール部材間の中央に配置すると共に、前記トグル機構を前記ネジ軸を境に左右対称構造としたことを特徴とする駆動ユニットである。
このような構成によれば、トグル機構がネジ軸と平行に伸縮するため、トグル機構が伸縮する際の軸方向位置誤差(幾何誤差)を皆無あるいは殆ど無くすことができる。
【0011】
また、第4の発明は、
第1〜第3の発明において、前記レールと交差する方向に延び、かつその両端が前記トグル機構と連結するクロスアームを前記第2スライダにピン結合したことを特徴とする駆動ユニットである。
このような構成によれば、トグル機構が伸縮する際に軸方向位置誤差(幾何誤差)が発生した場合でも、その誤差を第2スライダのピン結合部で吸収することができる。この結果、トグル機構と第2スライダとの連結部分にモーメント力が発生することがなくなるため、より優れた位置決め精度を発揮できる。また、トグル機構や第2スライダに無理な力が加わることがなくなるため、摩耗や摩擦による寿命の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、直線状のレールに第1および第2のスライダをスライド自在に係合すると共に、これらスライダをトグル機構で連結し、第1スライダをボールネジ機構によって駆動するようにしたため、伸張初期〜中期区間では第2スライダを早送りできると共に、伸張終端区間では倍力作用により大きな軸方向荷重を発揮できる。また、ボールネジ機構によるねじれトルクによってトグル機構や第2スライダがねじれたりすることがなくなるため、優れた位置決め精度を発揮できる
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明に係る駆動ユニット100の実施の一形態を示したものであり、図1はこの駆動ユニット100の平面図、図2はA−A線断面図、図3は、部分拡大平面図である。
図示するようにこの駆動ユニット100は、レール10と、第1スライダ20および第2のスライダ30と、トグル機構40と、ボールネジ機構50とから主に構成されている。
【0014】
先ず、レール10は、断面矩形状をした1対のレール部材11,11を互いに平行かつ等間隔に配置すると共に、その両端を端板15,15で連結支持した構成となっている。
そして、図2に示すように、このレール部材11,11の内面(対向面)には、上下一組の円弧状溝12,12がその長手方向に沿って平行に形成されており、この円弧状溝12,12に沿ってそれぞれ複数のボールBが転動するようになっている。
【0015】
次に、第1スライダ20および第2スライダ30は、このレール10のレール部材11,11間に位置する断面矩形状のスライダ本体21の両側面に、それぞれ上下一対の循環路22,22を形成した構造となっている。
そして、この循環路22に収容された複数のボールBが、レール部材11,11側の円弧状溝12,12,12,12と循環路22内を循環することで、レール10に沿ってスライダ本体21がその長手方向に沿ってスライド自在に係合している。
【0016】
すなわち、このスライダ本体21は、公知のリニアガイドのベアリング本体などと同様に、その両側面に4列の円弧状溝23,23,23,23がレール10の長手方向に平行に設けられており、この円弧状溝23,23,23,23と、レール部材11,11側の円弧状溝12,12,12,12間をその長手方向に沿って転動しながら移動するようになっている。そして、このボールBがスライダ本体21の端部に達すると、このスライダ本体21の端部に設けられたエンドキャップ(図示せず)の先端ですくい上げられ、この中に設けられた各曲線路24、24,24,24を通ってスライダ本体21内に設けられた循環孔25,25,25,25と導かれる。やがて、これらボールBは各循環孔25,25,25,25を通ってスライダ本体21の他端部に達し、今度は反対側のエンドキャップ(図示せず)の曲線路(図示せず)に案内され、もとの円弧状溝23,23,23,23と円弧状溝12,12,12,12間に戻される。このようにして各ボールBが循環路22を無限循環することでスライダ本体21をレール10に係合しつつ、その長手方向にスムーズにスライド移動できるようになっている。
そして、さらにこれら第1スライダ20および第2スライダ30のうち、第1スライダ20の内部中央には、後述するボールネジ機構50のナット部材51が一体的に設けられており、後述するボールネジ機構50によって第1スライダ20をレール10に沿って往復移動するようになっている。
【0017】
次に、トグル機構40は、図1に示すように第1スライダ20と第2スライダ30とを連結するものであり、ベースリンク41と、一対の第1リンク42,42と、一対の第2リンク43,43と、一対の第3リンク44,44とから構成されている。
ベースリンク41は、前述したレール10の一方の端板15と一体的に形成されており、レール10を挟むようにその長手方向に沿って延びる一対のアーム41a、41aを備えた構成となっている。
【0018】
第1リンク42、42は、それぞれその一端が、第1スライダ20の上面に固定されクロスアーム26の端部に回動自在にピン結合されると共に、その他端が、第2リンク43、43の中央部側に同じく回動自在にピン結合された構成となっている。
第2リンク43、43は、それぞれその一端が、ベースリンク41のアーム41a、41a端部に回動自在にピン結合されると共に、その他端が、第3リンク44、44の端部に同じく回動自在にピン結合された構成となっている。
第3リンク44、44は、それぞれその一端が、第2リンク43、43の端部に回動自在にピン結合されると共に、その他端が、第2スライダ30の上面に固定されクロスアーム31の端部に同じく回動自在にピン結合された構成となっている。
そして、このトグル機構40は、図1に示すようにレール10の中心軸を境に左右対称構造となっている。
【0019】
次に、ボールネジ機構50は、前述したように第1スライダ20の内部中央に設けられたナット部材51と、レール10の中心軸に位置するネジ軸52と、正逆回転制御可能なサーボモータ53とから主に構成されている。
ナット部材51は、ネジ軸52が貫通する貫通孔51aの内面に、螺旋状のネジ溝51bを形成すると共に、そのネジ溝51bの両端にリターンチューブ51cを連結した構造となっている。また、このネジ溝51bと、ネジ軸52の表面に形成された螺旋状のネジ溝52aとで形成される螺旋状の通路内には、複数のボールBが転動自在に収容されており、その通路の端部に達した複数のボールbをリターンチューブ51cを介して循環するようになっている。
【0020】
ネジ軸52は、第2スライダ30側に位置する一端が、レール10の端板15側に軸支されると共に、第1スライダ20側に端部が、ベースリンク41を兼用するレール10の端板15側を貫通するように軸支されている。
サーボモータ53は、このベースリンク41を兼用するレール10の端板15側に固定されると共に、その回転軸53aがカップリング54を介してネジ軸52に連結された構成となっている。
【0021】
そして、このサーボモータ53によってネジ軸52を回転させることで、これに螺合するナット部材51が設けられた第1スライダ20を、レール10に沿って強制的に往復移動できるようになっている。なお、第2スライダ30の中心部には、ネジ軸52を単に貫通するための貫通孔(図示せず)が形成されており、第2スライダ30とネジ軸52とは互いに螺合しない構成となっている。
【0022】
次に、このような構成をした駆動ユニット100の作用及び効果を説明する。
図1に示すように、ボールネジ機構50によって第1スライダ20を第2スライダ30(図中右方向)側に移動させると、第1スライダ20のクロスアーム26に、第1リンク42,42を介して接続された第2リンク43,43が、ベースリンク41のアーム41a、41aのピン結合部を軸としてレール10から離れるように回動する。
すると、この第2リンク43,43の他端にピン結合された第2リンク44,44が第2スライダ30のクロスアーム31のピン結合部を軸としてレール10から離れるように回動する。
【0023】
これによって、第2スライダ30がレール10端部(図中右側)に移動すると共に、このトグル機構40によって第1スライダ20がレール10端部(図中右側)に移動するに従ってその第1スライダ20の移動量よりも第2スライダ30の移動量が徐々に短くなる。
この結果、図3に示すように倍力作用が発揮されて第2スライダ30に大きな軸方向荷重を発生させることができる。
【0024】
図3は、この第2スライダ30の移動量(ねじ送り量)と軸方向荷重との関係を示したものである。
図示するように、第1スライダ20の移動量(ねじ送り量)が移動初期〜中期(早送り区間)までは、第2スライダ30の軸方向荷重はあまり大きくないが、この早送り区間を過ぎてそのねじ送り量が最大になる伸張終期(倍力区間)に至ると、その軸方向荷重は一気に増大する。
【0025】
従って、この移動ユニット100を、例えば前述したスポット溶接ガンなどに適用し、第2スライダ30に一方のガンアーム(電極)を取り付けるように構成すれば、第1スライダ20の移動量(ねじ送り量)が一定であっても、早送り区間では、ガンアームを素早く移動することができると共に、負荷を受ける倍力区間ではその移動速度を低くしつつ軸方向荷重を大きくすることができる。これによって、効率的且つ良好な溶接作業を実現できる。
【0026】
なお、図4は、このトグル機構40による早送り機能と倍力機能の原理を示したものである。ここで、同図(A)および(B)に示す、リンクの共通節点の位置を第1スライダ20、その共通節点から下方に延びる矢印が第1スライダ20の移動方向、リンク先端の幅(横)方向の移動距離を第2スライダ30の軸方向荷重と仮定する。すると、同図(A)に示すように共通節点が基準面よりも高い位置にあるときは、リンク同士の為す角度が小さいため、その共通節点がその位置から基準面方向に移動した時点では、にリンク先端の幅(横)方向の移動距離(第2スライダ30の軸方向荷重)は大きい。しかしながら、同図(B)に示すように、さらにその共通節点が基準面方向に近づくと、共通節点の移動速度が同じであるにもかかわらず、リンク先端の幅(横)方向の移動距離(第2スライダ30の軸方向荷重)が一気に小さくなる。このような原理によって本発明のトグル機構40は、第2スライダ30に対して早送り作用と倍力作用を発揮することができる。
【0027】
また、本発明の駆動ユニット100は、第1スライダ20と第2スライダ30がそれぞれ同じレール10にスライド自在に係合されているため、第1スライダ20に発生したボールネジ機構50のトルクがそのままトグル機構40や第2スライダ30に伝わることがない。
従って、トグル機構40や第2スライダ30が大きくねじれたりすることがなくなるため、優れた位置決め精度を発揮できる。また、第1スライダ20と第2スライダ30がそれぞれ同じレール10を使用することで全体をよりコンパクト且つ簡素に設計することができる。
【0028】
また、このレール10を、互いに平行に延びる一対のレール部材11,11で構成すると共に、ボールネジ機構50で駆動される第1スライダ20をそのレール部材11,11間に架け渡すように配置したため、第1スライダに発生したボールネジ機構50によるトルクがこの一対のレール部材11,11で支持されることになる。この結果、ボールネジ機構50のトルクによる、トグル機構40や第2スライダ30にねじれが伝わらなくなるため、これらのねじれによる位置誤差をより確実に防止できる。
【0029】
また、本発明の駆動ユニット100では、ボールネジ機構50のネジ軸52をレール部材11,11と平行且つそのレール部材11,11間の中央に配置すると共に、そのトグル機構40をそのネジ軸52を境に左右対称構造としている。
このため、トグル機構40がネジ軸52と平行に伸縮するため、トグル機構40が伸縮する際の軸方向位置誤差(幾何誤差)を皆無あるいは殆ど無くすことができる。
【0030】
ところで、前述したような構成をした駆動ユニット100の場合、長期の使用による各部材の摩耗や各部材の加工精度、組立精度などに起因するトグル機構40の各節点(ピン結合部)にガタ(誤差)が発生すると、例えば図5に示すようにそのガタの積算によって第2スライダ30がネジ軸52から大きくずれてしまうことが考えられる。
図5の例は、トグル機構40の一部を構成する一対の第1リンク42、42のうち、一方(図中上方)の第1リンク42のピン接合部(節点)にガタや誤差が生じて、これと連結する第2リンク43と、ベースリンク41のアーム41aおよびと第3リンク44が直線状態にならず、この結果、第2スライダ30の上面に固定されていたクロスアーム31が傾いて第2スライダ30の軸が大きくねじれてしまった状態を示したものである。
【0031】
そこで、図7に示すように、第2スライダ30の上面に固定されていたクロスアーム31を第2スライダ30から分離すると共に、そのクロスアーム31の中心部を第2スライダ30の中央部(ネジ軸52上)にピン結合すれば、係る不都合を解消できる。
すなわち、図7に示すように、一方の第2リンク43とベースリンク41のアーム41aおよび第3リンク44のみが直線状態にならないことにより、クロスアーム31が傾いてしまった場合でも、その傾き(モーメント)がそのピン結合部で吸収されるため、第2スライダ30の軸がねじれてしまうようなことがなくなる。その一方、トグル機構40からクロスアーム31に伝達してくる軸荷重力は、このピン結合部から第2スライダ30に確実に伝達される。
【0032】
従って、このような構成によれば、トグル機構40が伸縮する際に軸方向位置誤差が発生した場合でも、そのまま第2スライダ30にモーメント力が発生することがなくなるため、より優れた位置決め精度を発揮できる。また、トグル機構40や第2スライダ30に無理な力が加わることがなくなるため、摩耗や摩擦による寿命の低下を防止できる。
また、トグル機構40の誤差は第1スライダ20にも偏荷重として作用するが、この第1スライダ20は、レール10によってその回転が拘束されているため、ネジ軸52などに偏荷重が作用しなくなり、ボールネジ機構50の寿命低下も防止できる。
また、図8や図9に示すように、前述したレール10を、汎用(公知)の直動案内装置(リニアガイド)60で構成したり、ボールネジ機構50を汎用(公知)のナット部材からなるボールネジ装置で構成すれば、より安価に本発明の駆動ユニット100を得ることができる。
【0033】
なお、図8は、前述したように第2スライダ30にクロスアーム31を一体的に備えた駆動ユニット100を、また、図9は、第2スライダ30にクロスアーム31をピン結合部を介して備えた駆動ユニット100を示したものである。
また、本発明の駆動ユニット100を溶接ガンなどに適用する場合には、この駆動ユニット100をコモンベースに取り付け、そのコモンベースにガンアームの一方を取り付けると共に、第2スライダ30に他方のガンアームを取り付け、この他方のガンアームを前記一方のガンアームに対して近接・離間自在に駆動することになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る駆動ユニット100の実施の形態を示す平面図である。
【図2】図1中A−A線拡大断面図である。
【図3】第2スライダ30のネジ送り量と軸方向荷重との関係を示すグラフ図である。
【図4】トグル機構40の動作原理を示す概念図である。
【図5】トグル機構40のガタなどにより第2スライダ30がずれた状態を示す平面図である。
【図6】本発明に係る駆動ユニット100の他の実施の形態(縮小時)を示す平面図である。
【図7】本発明に係る駆動ユニット100の他の実施の形態(伸張時)を示す平面図である。
【図8】本発明に係る駆動ユニット100の他の実施の形態(ピン結合部無し)を示す平面図である。
【図9】本発明に係る駆動ユニット100の他の実施の形態(ピン結合部あり)を示す平面図である。
【符号の説明】
【0035】
100…駆動ユニット
10…レール
20…第1スライダ
26…クロスアーム
30…第2スライダ
31…クロスアーム
40…トグル機構
41…ベースリンク
41a…ベースリンクアーム
42…第1リンク部材
43…第2リンク部材
44…第3リンク部材
50…ボールネジ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状のレールと、当該レールにスライド自在に係合される第1および第2のスライダと、当該第1スライダと第2スライダとを連結するトグル機構と、前記第1スライダを前記レールに沿って駆動するボールネジ機構と、を備えたことを特徴とする駆動ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動ユニットにおいて、
前記レールを、互いに平行に延びる一対のレール部材で構成すると共に、前記ボールネジ機構で駆動される前記第1スライダを前記レール部材間に架け渡すように配置したことを特徴とする駆動ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動ユニットにおいて、
前記ボールネジ機構のネジ軸を前記レール部材と平行且つそのレール部材間の中央に配置すると共に、前記トグル機構を前記ネジ軸を境に左右対称構造としたことを特徴とする駆動ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動ユニットにおいて、
前記レールと交差する方向に延びかつその両端が前記トグル機構と連結するクロスアームを前記第2スライダにピン結合したことを特徴とする駆動ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−64135(P2010−64135A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235527(P2008−235527)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】