説明

駆動装置及び画像形成装置

【課題】センサ部への異物の進入や、誤って手が触れることを防止でき、発熱を逃がすことができる構成の駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動源としてのモータ101と、前記モータの出力軸の回転を検出する回転検出手段とを有し、前記モータと前記回転検出手段のセンサ部分とが一体と成っており、駆動用のドライバ回路も前記モータ上の基板に取り付けられている構成の駆動装置において、前記モータ101のセンサ部分を囲み、外部からの異物の進入を遮断するとともに前記モータのセンサ部分に手が触れることを防止できるカバー126を備え、前記カバー126に放熱穴129を設けた構成とした。これにより、センサ部への異物の進入や、誤って手が触れることを防止でき、発熱を逃がすことができるので、制御精度に悪影響を及ぼすという問題を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータと回転検出手段のセンサ部を一体化した駆動装置、及び、その駆動装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の駆動装置として、インナーロータ型DCブラシレスモータを用いることで、ステッピングモータが用いられてきた箇所に対してエネルギー効率を高くし、モータ重量を削減することが可能となる上、アウターロータと比較し、イナーシャが小さくなることから、ステッピングモータと同等の加減速時間にすることを可能とし、ブラシ付モータと比較して、ブラシ磨耗が無い事から、高耐久にすることが可能となる。
また、被駆動体上に回転検出手段や移動量検出手段を設ける場合(モータ軸上にエンコーダなどの回転検出手段を設けない場合)には、モータ1回転当りの被駆動体の移動量などを考慮した制御設計をする必要が生じ、伝達系や被駆動体の構成が変わることや、別の箇所に同じ駆動装置を適用するといった場合にも、制御手段の設計を変える必要が生じる。そこで、モータの出力軸上にエンコーダなどの回転検出手段を設け、モータ軸の回転を測定することで、設計を容易にすることが可能となる。
以上の観点から、駆動装置に用いるモータの構成において、回転検出手段のセンサ部(例えばエンコーダディスクとフォトセンサ)を一体化したエンコーダ一体型のインナーロータ型DCブラシレスモータが考えられ既に知られている。
【0003】
しかし、今までのエンコーダ一体型インナーロータDCブラシレスモータでは、センサ部にスリット状のエンコーダディスクを使用しており、スリットにゴミや浮遊物などが入る恐れがある。また、エンコーダディスクはモータの出力軸上に取り付けてあるため、モータを取り付ける際などに誤って手で触れてしまい、エンコーダディスクの偏心や怪我をする恐れがある。そしてエンコーダディスクのスリットに異物が侵入したり、偏心すると、フォトセンサはそのスリットを検知できなくなり、制御ができなくなるといった問題があった。
【0004】
特許文献1(特開2009−261149号公報)には、エンコーダセンサのゴミ侵入防止目的で、エンコーダ付ブラシレスモータに関し、特にモータ外部から回転検出部への異物の浸入を防止するブラシレスモータについて開示され、エンコーダとシャフトの間に形成される隙間部に密閉部材を配置し、隙間部を密閉部材で覆うことにより、簡易な手段でエンコーダカバーとモータ本体の間に生じる隙間を適切に塞ぎ、エンコーダに粉塵等の異物が付着するのを防止できる構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モータとエンコーダが一体型であり、駆動用のドライバも備わっている駆動装置では、ドライバ内のFET等による発熱が多く、センサは熱に弱いため、制御精度に悪影響を及ぼすという問題がある。
前述の特許文献1に記載の従来技術では、センサ部にエンコーダカバーを設けるとともに、エンコーダカバーとモータ本体の間に生じる隙間を密閉部材で覆って塞ぐことにより、エンコーダに粉塵等の異物が付着するのを防止することができるという点では効果があるが、上記に記載した発熱による影響を防止するという問題は解消できていない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、モータと回転検出手段のセンサ部を一体化した構成の場合にも、回転検出手段のエンコーダに用いられているディスクのスリットにゴミが入らず、誤ってディスクに手が触れないようにすることができ、さらには、駆動用のドライバも備わっている構成の場合にも、ドライバ内のFET等による発熱を逃がすことができる構成の駆動装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、その駆動装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の解決手段は、駆動源としてのモータと、前記モータの出力軸の回転を検出する回転検出手段とを有し、前記モータと前記回転検出手段のセンサ部分とが一体と成っており、駆動用のドライバ回路も前記モータ上の基板に取り付けられている構成の駆動装置において、前記モータのセンサ部分を囲み、外部からの異物の進入を遮断するとともに前記モータのセンサ部分に手が触れることを防止できるカバーを備え、前記カバーに放熱穴を設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0008】
本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段の駆動装置において、前記カバーは、前記モータの出力軸に対し発熱部と円周方向に対となる部分に前記放熱穴を設けたことを特徴とする(請求項2)。
また、本発明の第3の解決手段は、第1または第2の解決手段の駆動装置において、前記回転検出手段は、前記モータの出力軸に固定されたエンコーダディスクと、前記モータに固定され、前記エンコーダディスクのセンサ読み取り部を検知するフォトセンサからなり、前記カバーには、前記エンコーダディスクのセンサ読み取り部を構成するスリット形状の穴の幅より小さい格子状の穴を形成することを特徴とする(請求項3)。
さらに本発明の第4の解決手段は、第3の解決手段の駆動装置において、前記カバーの格子状の穴形状を六角形に形成することを特徴とする(請求項4)。
さらに本発明の第5の解決手段は、第1〜第4のいずれか一つの解決手段の駆動装置において、前記モータは、エンコーダ一体型のインナーロータ型DCブラシレスモータであることを特徴とする(請求項5)。
【0009】
本発明の第6の解決手段は、画像形成装置であって、第1〜第5のいずれか一つの解決手段の駆動装置を備えたことを特徴とする(請求項6)。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、モータと一体となっている回転検出手段のセンサ部分をカバーで囲むことで外部の異物を遮断し、センサ部分(エンコーダディスクのスリット部やフォトセンサ)にゴミが侵入しないようにすることができる。また、モータの取り付け時にカバーがあることで手がセンサ部分(エンコーダディスクやフォトセンサ)に触れることを防止することができる。また、カバーの放熱穴により空気の流れが発生し、駆動用のドライバ回路内のFET等による発熱を逃がすことができるので、発熱による影響が起きにくくなり、制御精度に悪影響を及ぼすという問題を解消することができる。
【0011】
このように、本発明では、省エネ、高効率を目指したモータ(エンコーダ一体型インナーロータ型DCブラシレスモータ)の構成において、カバーを設けて異物が外側から入らないようにし、エンコーダディスクに手が触れないようにすることで、エンコーダ不良による制御精度の劣化が防止できるほか、鋭利なディスクによる怪我を防止できる。また、モータのカバーに放熱穴を形成することで、発熱部である駆動用ドライバ回路内のFET等による熱の影響を防止することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置では、上記の高効率であるとともにモータの耐久性も得ることができる駆動装置を備えたことにより、制御精度の良い駆動制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る駆動装置のモータの斜視図である。
【図2】図1のモータにカバーを取り付けた状態を示すモータの斜視図である。
【図3】図1に示すモータに取り付けられるエンコーダディスクの一例を示す斜視図である。
【図4】図2に示すカバー形状の一例を示す斜視図である。
【図5】カバーの放熱穴の形状例と、エンコーダディスクのスリット形状例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係る画像形成装置のプロセスカートリッジの構成例を示す図である。
【図8】本発明の一実施例に係る画像形成装置の原稿搬送装置の構成例を示す図である。
【図9】本発明の一実施例に係る画像形成装置の原稿搬送装置のローラ駆動部の概略構成を示す図である。
【図10】本発明の一実施例に係る画像形成装置の原稿搬送装置のローラ駆動部の概略構成を示す図である。
【図11】本発明の一実施例に係る画像形成装置の原稿搬送装置の駆動装置の概略構成を示す図である。
【図12】本発明の一実施例に係る画像形成装置の原稿搬送装置の駆動装置の概略構成を示す図である。
【図13】本発明の一実施例に係る画像形成装置の駆動装置の制御系の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、駆動装置に用いるモータ(エンコーダ一体型のインナーロータ型DCブラシレスモータ)の構成に際して、以下の特徴を有する。
本発明の駆動装置では、モータと一体となっている回転検出手段のセンサ部分をカバーで囲むことで外部の異物を遮断し、センサ部のエンコーダディスクのスリット部にゴミが侵入しないようにすることができ、モータの取り付け時にカバーがあることで手がエンコーダディスクに触れることを防止できるようしたものであり、さらにカバーに放熱穴を設けたことにより、放熱穴により空気の流れが発生し、駆動用のドライバ回路の発熱による影響が起きにくくなることが特徴になっている。
上記記載の本発明の特徴について、以下、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
図1に、本発明の駆動装置に用いるモータ1の斜視図を示す。
このモータ101は、回転検出手段のセンサ部分が一体となったエンコーダ一体型のインナーロータ型DCブラシレスモータであり、モータ101のシャフト部(出力軸)124の出力側(ギヤ等との連結側)とは逆側の端部には、エンコーダディスク123が同軸上に取り付けられている。また、センサ部のフォトセンサ122は、モータ101のケースに取り付けられており、図示しない駆動用のドライバ回路もモータ101上の基板に取り付けられている。また、モータ101上の基板には、コネクタ127が取り付けられており、モータ信号とエンコーダ信号の入出力がなされるようになっている。
また、モータ1の軸受け部には、玉軸受けが用いられており、これにより、焼結軸受け等を用いた場合と比較して摩擦力が低減するので、DCブラシレスモータであるモータ101を用いることによる高効率化を更に高められるとともに、高耐久化を図ることができるようになっている。
【0016】
図2にカバーを取り付けた状態のモータの斜視図を示す。
モータ101の出力軸124に取り付けられたセンサ部分(エンコーダディスク123とフォトセンサ122)や図示しない駆動用のドライバ回路を保護するように、一方が塞がれた筒蓋状のカバー126が取り付けられている。また、このカバー126によってモータ101のシャフト部(出力軸)124まで完全に覆うようになっている。さらにカバー126には後述する放熱穴129が設けられている。
このように、本実施例では、モータ101と一体となっている回転検出手段のセンサ部分をカバー126で囲むことで、外部からの異物の進入を遮断でき、モータ101の取り付け時にカバー126があることで手がエンコーダディスク123に触れることを防止することができる。
【0017】
図3に、図1に示すモータ101の出力軸124に取り付けられるエンコーダディスクの斜視図を示す。
このエンコーダディスク123は溝穴タイプであり、円盤状の金属板123aのエッチング加工などにより等間隔にスリット形状の穴123bが開けられている。この穴(スリット)123bの有無により、モータ101に固定されたフォトセンサ122の受光素子が信号の有無を検知し、パルス検知(回転検出)をする。
【0018】
図4にカバー形状の一例を示す斜視図を示す。
筒蓋状のカバー126の開口側端縁の径はモータ101の径に合わせてあり、カバー126の開口側端縁に設けた複数の爪128によりモータに装着(固定)後、モータ101と一体となるように取り付けられる。また、カバー126の開口側端縁には、モータ101のコネクタ127用の矩形状のくぼみ126aが形成されていて、このコネクタ位置により、カバー取り付け向きを決定している。図4(b)のように、コネクタ位置が左向きのときモータ発熱部は上側となる。
そこで、発熱部の対の方向となるカバー126の下部の左右に放熱穴129a、129bからなる吸気部を形成し、この放熱穴129a、129bはカバー126の側面(周面)の中心部に開けられる。また、モータ101の上側にある発熱部近傍のカバー前面の上部には放熱穴129cによる排気部を形成する。また、各放熱穴129a、129b、129cとしては、例えば格子状の穴が形成される。
【0019】
このように、本実施例では、モータ101に取り付けたカバー126の、出力軸に対し発熱部と円周方向に対となる部分(図4では、発熱部の対の方向となるカバー126の側面(周面)下部の左右)に放熱穴129a,129bを設けており、放熱穴129a、129bをカバー126の側面(周面)下部に設けることで異物の侵入を低減することができる。また、モータ101のドライバ回路の中の発熱源であるFET等を上部に持っていくことで、対流の関係からカバー前面上部の放熱穴129cから放熱されやすいという効果がある。
【0020】
図5にカバー126の放熱穴の形状例と、エンコーダディスクのスリットの形状例を示す。
カバー126に図5(i)で示すような放熱のための格子状の穴を形成する。図示の例では、穴形状が六角形の格子状となっているので、横の負荷、縦の負荷に強くなっている。この六角形の格子状の穴の一番広い径はaとなっており、図5(ii)に示すエンコーダディスクのスリット形状のセンサ読み取り部の幅bより小さくなっている。
【0021】
このように、本実施例では、放熱穴129a、129b、129cとして、エンコーダディスク123のセンサ読み取り部のスリット幅bより小さい径aの格子状の穴を形成し、放熱穴の径をエンコーダディスクのスリットの幅より小さくすることで、スリット上に残るような異物は侵入せず、スリットに付着した異物により制御ができなくなるといった問題が解消され、精度良い制御が可能となるという効果がある。
また、カバー126の放熱穴129a、129b、129cとなる格子状の穴形状を六角形に形成することで、モータの取り付け時にかかるカバー126への負荷に対し、強度が強くなるという効果がある。
【0022】
次に、上記のカバー付きのエンコーダ一体型インナーロータ型DCブラシレスモータを用いた駆動装置を備えた画像形成装置の構成例について説明する。
図6は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す図であり、電子写真方式のタンデム型カラー画像形成装置の構成例を示している。尚、図6はカラー画像形成装置の本体の構成例を示しており、カラープリンタとして使用できるが、この画像形成装置本体100の上部に後述する原稿搬送装置や読取装置部(スキャナ部)を設置することにより、カラー複写機の構成となり、さらに外部回線(電話回線、光回線)やLANと接続して通信機能を持たせることにより、カラーファクシミリやカラー複合機として使用することができる。
【0023】
図6に示す画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、それぞれ「Y」、「M」、「C」、「K」と記す。)の可視像たるトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kを備えている。
これらは、画像形成剤として、互いに異なる色のYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。各プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kは、それぞれ画像形成装置100本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっており、寿命到達時に交換される。以下、Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例に挙げて説明する。
【0024】
図7は、本発明の一実施例に係る画像形成装置のプロセスカートリッジの構成例を示す図であり、Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを示す概略構成図である。
このプロセスカートリッジ6Yは、潜像担持体としての感光体ドラム1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。
【0025】
上記帯電装置4Yは、図示しないドラム駆動機構によって図中時計回りに回転せしめられる感光体ドラム1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体ドラム1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このY静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、中間転写ベルト8上に中間転写される。
【0026】
ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体ドラム1Y表面に残留したトナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体ドラム1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体ドラム1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0027】
他のプロセスカートリッジ6M、6C、6Kにおいても、同様にして各感光体ドラム1M、1C、1K上にそれぞれMトナー像、Cトナー像、Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト8上に中間転写される。
また、図6に示したように、各プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kの図中下方には、露光装置7が配設されている。
【0028】
潜像形成手段たる露光装置7は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kにおけるそれぞれの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに照射して露光する。
この露光により、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上にそれぞれY静電潜像、M静電潜像、C静電潜像、K静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体ドラムに照射するものである。
【0029】
また、図6において、露光装置7の図中下側には、紙収容カセット26と、給紙ローラ27、レジストローラ対28等を有する給紙手段が配設されている。
紙収容カセット26は、記録材としての用紙99を複数枚重ねて収納しており、それぞれの一番上の用紙99には給紙ローラ27を当接させている。給紙ローラ27が図示しない駆動機構によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の用紙99がレジストローラ対28のローラ間に向けて給紙される。
レジストローラ対28は、用紙99を挟み込むべく両ローラを回転駆動するが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、用紙99を適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0030】
また、図1において、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kの図中上方には、被転写材である中間転写体としての中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる中間転写ユニット15が配設されている。
この中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8のほか、ベルトクリーニング装置10等を備えている。また、4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14等も備えている。
【0031】
中間転写ベルト8は、これら7つのローラに張架されながら、少なくともいずれか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト8を各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらは中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス極性)の転写バイアスを印加する方式のものである。
【0032】
1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY、M、C、K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上のYトナー像、Mトナー像、Cトナー像、Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、「4色トナー像」という。)が形成される。
また、上記中間転写ユニット15には、中間転写ベルト8が感光体ドラム1Kに接触した状態で、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1Cに対して接離するための図示しない接離機構も設けられている。
【0033】
上記2次転写バックアップローラ12は、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この2次転写ニップで用紙99に転写される。そして、用紙99の白色と相まって、フルカラートナー像となる。
また、2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、用紙99に転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、上記ベルトクリーニング装置10によってクリーニングされる。2次転写ニップにおいては、用紙99が互いに順方向に表面移動する中間転写ベルト8と2次転写ローラ19との間に挟まれて、上記レジストローラ対28側とは反対方向に搬送される。
【0034】
2次転写ニップから送り出された用紙99は、画像形成装置100本体に対して着脱自在なユニットとしての定着ユニット20のローラ間を通過する際に、熱と圧力と影響を受けて、表面のフルカラートナー像が定着される。その後、用紙99は、排紙ローラ対29のローラ間を経て機外へと排出される。
画像形成装置100本体の筺体の上面には、スタック部30が形成されており、上記排紙ローラ対29によって機外に排出された用紙99は、このスタック部30に順次スタックされる。
【0035】
上記中間転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部30との間には、ボトル支持部31が配設されている。このボトル支持部31には、各色トナーをそれぞれ収容する剤収容器としてのトナーボトル32Y、32M、32C、32Kがセットされている。
各トナーボトル32Y、32M、32C、32K内の各色トナーは、それぞれ図示しないトナー供給装置により、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kの現像装置に適宜補給される。各トナーボトル32Y、32M、32C、32Kは、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kとは独立して画像形成装置100の本体に対して脱着可能である。
【0036】
図8は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の原稿搬送装置の構成例を示す図である。なお、この原稿搬送装置は、上記の画像形成装置本体100のスタック部30の上部に設置され、被読取原稿を固定された読取装置部に搬送し、所定の速度で搬送しながら画像読取を行う、被読取原稿処理装置(以下ADF)に適用されるものである。
【0037】
以下その基本的な構成、動作、作用について説明する。
原稿搬送装置150は、コピー装置、MFP等として構成された画像形成装置100の一部としてその上部に配置されるものであり、被読取原稿束をセットする原稿セット部A、セットされた原稿束から1枚毎原稿を分離して給送する分離給送部B、給送された原稿を一次、突当整合する働きと、整合後の原稿を引き出し搬送する働きのレジスト部C、搬送される原稿をターンさせて、原稿面を読取り側(下方)に向けて搬送するターン部D、原稿の表面画像を、コンタクトガラスの下方より読取を行わせる第1読取搬送部E、読取後の原稿の裏面画像を読取る第2読取搬送部F、表裏の読取が完了した原稿を機外に排出する排紙部G、読取完了後の原稿を積載保持するスタック部Hを備える。
【0038】
また原稿搬送装置150は、図示しないが、これら搬送動作の駆動を行う駆動部であるピックアップモータ、給紙モータ、読取モータ、排紙モータ、底板上昇モータ、更に、一連の動作を制御するADF制御部を備えている。
【0039】
原稿テーブル42は、可動原稿テーブル43を備えて構成され、読取られる用紙99がセットされる。用紙99は原稿テーブル42に原稿面を上向きの状態でセットされる。原稿テーブル42には、図示しないサイドガイドが備えられ、用紙99の幅方向を搬送方向と直行する方向に位置する。
セットされた用紙99はセットフィラー44、セットセンサ45により検知され、本体制御部に送信される。
更に原稿テーブル42には、原稿長さ検知センサ70、71(反射型センサまたは、用紙99枚にても検知可能なアクチエーター・タイプのセンサが用いられる)が配置され、原稿長さ検知センサ70、71は、原稿の搬送方向長さを判定する。このとき原稿長さ検知センサ70、71は少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能に配置される。
【0040】
可動原稿テーブル43は、底板上昇モータにより矢印a、b方向に上下動可能となっている。可動原稿テーブル43に原稿がセットされたことをセットフィラー44、セットセンサ45により検知すると、底板上昇モータを正転させて原稿束の最上面がピックアップローラ47と接触するように可動原稿テーブル43を上昇させる。
ピックアップローラ47は、ピックアップモータによりカム機構で矢印c、dの方向に動作すると共に、可動原稿テーブル43が上昇し可動原稿テーブル43上の原稿上面により押されてc方向に上がりテーブル上昇検知センサ48により上限を検知可能となっている。
【0041】
図6に示した画像形成装置本体100の図示しない操作部のプリントキーが押下され、本体制御部からI/Fを介してADF制御部に原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ7は給紙モータの正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル42上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。
給紙ベルト49は給紙モータの正転により給紙方向に駆動され、リバースローラ50は給紙モータの正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿を分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。
【0042】
即ち、リバースローラ50は給紙ベルト49と所定圧で接し、給紙ベルト49と直接接しているとき、または用紙99枚を介して接している状態では給紙ベルト49の回転に連れられて反時計方向に連れ回り、原稿が2枚以上給紙ベルト49とリバースローラ50の間に侵入したときは連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラ50は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをし、重送が防止される。
給紙ベルト49とリバースローラ50との作用により1枚に分離された原稿は給紙ベルト49によって更に送られ、突き当てセンサ51によって先端が検知され更に進んで停止しているプルアウトローラ52に突き当たる、その後前出の突き当てセンサ51の検知から所定量の定められた距離だけ送られ、結果的には、プルアウトローラ52に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータを停止させることにより、給紙ベルト49の駆動が停止する。
【0043】
このとき、ピックアップモータを回転させることでピックアップローラ47を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト49の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ52の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
プルアウトローラ52は、前記スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ54まで搬送するものであり、給紙モータの逆転により駆動される。なお、給紙モータ逆転時、プルアウトローラ52と中間ローラ54は駆動されるが、ピックアップローラ47と給紙ベルト49は駆動されていない。
【0044】
原稿幅センサ53は、奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ52により搬送された原稿の搬送方向に直行する幅方向のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは原稿の先端後端を突き当てセンサ51で読取ることによりモータパルスから原稿の長さを検知する。
プルアウトローラ52および中間ローラ54の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して原稿を読取部へ送り込む処理時間の短縮が図られている。
【0045】
原稿の先端が読取入口センサ55により検出されると、読取入口ローラ56の上下ローラ対のニップに原稿先端が進入前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータを正転駆動して読取入口ローラ56、読取出口ローラ63、CIS出口ローラ67を駆動する。
そして原稿の先端をレジストセンサ57にて検知すると、所定の搬送距離をかけて減速し、図示していない第1読取部が配置される読取位置60の手前で一時停止すると共に、本体制御部にI/Fを介してレジスト停止信号を送信する。
続いて本体制御部より読取り開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、読取位置に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立上がるように増速されて搬送される。
【0046】
読取モータのパルスカウントにより検出された原稿先端が読取部に到達するタイミングで、本体制御部に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、第1読取部を原稿後端が抜けるまで送信される。
片面原稿の読取りの場合には、第1読取搬送部Eを通過した原稿は第2読取部65を経て排紙部Gへ搬送される。この際、排紙センサ64により原稿の先端を検知すると、排紙モータを正転駆動して排紙ローラ68を反時計方向に回転させる。
また、排紙センサ64による原稿の先端検知からの排紙モータパルスカウントにより、原稿後端が排紙ローラ68の上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙モータ駆動速度を減速させて、排紙トレイ69上に排出される原稿が飛び出さないように制御される。
【0047】
両面原稿読取りの場合には、排紙センサ64にて原稿先端を検知してから読取りモータのパルスカウントにより第2読取部65に原稿先端が到達するタイミングでCCDラインセンサで構成される第2読取部65に対してADF制御部から副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が読取部を原稿後端が抜けるまで送信される。
【0048】
第2読取部65表面は、原稿に付着した糊上のものが読取ライン上に転写することによる縦すじを防止するため、コーティング処理が施されコーティング部材が配置されている。
このコーティング部材は、第2読取部65の読取面に汚れ分解機能を有するコーティング材、または、親水性を有するコーティング材を塗布して形成したものである。これらのコーティング材は公知のものを使用することができる。
【0049】
図9、図10は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の原稿搬送装置のローラ駆動部の概略構成を示す図である。
図9、図10において、駆動装置151は、図8に示す原稿搬送装置150の何れかの駆動ローラを駆動するモータおよびその制御回路等からなるものである。そして、この駆動装置151には、前述したカバー付きのエンコーダ一体型インナーロータ型DCブラシレスモータが用いられる。尚、図10では説明の都合上、モータ101のカバー126を外した状態で図示している。
【0050】
駆動装置151において、駆動源であるモータ101は、前述のカバー付きのインナーロータ型DCブラシレスモータとして構成されており、出力軸124に固定されたギヤ102a、減速ギヤ102b、102c、102d、102e、102fを介し、ローラ104を回転させるようになっている。このローラ104は、例えば、図8における原稿搬送装置150の読取入口ローラ56、読取出口ローラ63、またはCIS出口ローラ67である。なお、ローラ104は、例えば、図6における画像形成装置100本体の給紙ローラ27等であってもよい。
【0051】
また、エンコーダディスク123は、周方向に所定の角度間隔で所定数のスリットを有し、出力軸124に対して垂直かつ同心にて固定され、出力軸124の回転とともに回転するようになっている。
光学センサであるフォトセンサ122は、エンコーダディスク123を挟み込む状態でモータ101に取り付けられ、エンコーダディスク123のスリットにより光路の伝達・遮断がなされ、パルス信号を制御回路121へと伝達するようになっている。
【0052】
制御回路121では、フォトセンサ122からのパルス信号を計測することで、モータ101の回転量および回転速度を導出し、ローラ104の位置および速度情報から、用紙99の位置および速度情報を得ることが可能となる。
なお、フォトセンサ122は、2組の発光素子と受光素子を有し、各々のパルス信号の位相差が所定量(本実施例ではπ/2[rad])となるように配置されている。
【0053】
制御回路121は、図示しない目標駆動信号生成装置およびフォトセンサ122からの信号に基づいて、モータ101の動作信号を生成し、ドライバ回路125に動作信号を送り、その後、ドライバ回路125から動作信号に合った電流をモータ101に流すことで、ローラ104を駆動させる。
【0054】
図11は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の原稿搬送装置の駆動装置の概略構成を示す図である。
図11において、駆動装置151は、図8に示す原稿搬送装置150の何れかの駆動ローラを駆動するモータおよびその制御回路等からなるものである。そして、この駆動装置151には、前述したカバー付きのエンコーダ一体型インナーロータ型DCブラシレスモータが用いられる。
【0055】
駆動装置151において、ローラ対103a、103bに挟まれながら用紙99(図8参照)が搬送されていく。このローラ対103a、103bは、例えば、図8における原稿搬送装置150の読取入口ローラ56、読取出口ローラ63、またはCIS出口ローラ67である。なお、ローラ104は、例えば、図6における画像形成装置100本体の給紙ローラ27等であってもよい。
【0056】
モータ101は、出力軸124に固定されたギヤ102a、減速ギヤ102b、102c、102d、102eを介し、ローラ対103a、103bを回転させる。
また、エンコーダディスク123は、周方向に所定の角度間隔で所定数のスリットを有し、出力軸124に垂直かつ同心にて固定され、出力軸124の回転とともに回転する。
【0057】
光学センサであるフォトセンサ122は、エンコーダディスク123を挟み込む形でモータ101に取り付けられ、エンコーダディスク123のスリットにより光路の伝達・遮断がなされ、フォトセンサ122の受光素子にてパルス信号となって制御回路121へと伝達する。
【0058】
制御回路121では、このパルス信号を計測することで、モータ101の回転量および回転速度を導出し、ローラ対103a、103bの位置および速度情報から、用紙99の位置および速度情報を得ることが可能となる。
なお、フォトセンサ122は、2組の発光素子と受光素子を有し、各々のパルス信号位相差が所定量(本実施例ではπ/2[rad])となるように配置されている。
【0059】
制御回路121は、図示しない目標駆動信号生成装置およびフォトセンサ122からの信号に基づいて、モータ101の動作信号を生成し、ドライバ回路125に動作信号を送り、その後、ドライバ回路125から動作信号に合った電流をモータ101に流すことで、ローラ対103a、103bを駆動させる。
【0060】
図12は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の原稿搬送装置の駆動装置の概略構成を示す図である。
図12において、駆動装置151は、図8に示す原稿搬送装置150の何れかの駆動ローラを駆動するモータおよびその制御回路等からなるものである。
【0061】
駆動装置151において、ローラ対103a、103bに挟まれながら用紙99(図8参照)が搬送されていく。このローラ対103a、103bは、例えば、図8における原稿搬送装置150の読取入口ローラ56、読取出口ローラ63、またはCIS出口ローラ67である。
【0062】
モータ101は、出力軸124に固定されたギヤ102a、減速ギヤ102b、102c、102d、102eを介し、ローラ対103a、103bを回転させる。
また、エンコーダディスク123は周方向に所定の角度間隔で所定数のスリットを有し、出力軸124とカップリングを介してモータ101の軸に対して垂直かつ同心にて固定され、出力軸124の回転とともに回転する。
【0063】
光学センサであるフォトセンサ122は、エンコーダディスク123を挟み込む形で図示しない固定部材に取り付けられ、エンコーダディスク123のスリットの無い箇所にて光の反射がおき、フォトセンサ122の受光素子にて光を検知する、この検知の有無でパルス信号を生成し、このパルス信号を制御回路121へと伝達する。
【0064】
制御回路121では、このパルス信号を計測することで、モータ101の回転量および回転速度を導出し、ローラ対103a、103bの位置および速度情報から、用紙99の位置および速度情報を得ることが可能となる。
なお、フォトセンサ122は、2組の発光素子と受光素子を有し、各々のパルス信号位相差が所定量(本実施例ではπ/2[rad])となるように配置されている。
【0065】
制御回路121は、図示しない目標駆動信号生成装置およびフォトセンサ122からの信号に基づいて、モータ101の動作信号を生成し、ドライバ回路125に動作信号を送り、その後、ドライバ回路125は、制御回路121からの動作信号に合った電流をモータ101に流すことで、ローラ対103a、103bを駆動させる。
【0066】
図13は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の駆動装置の制御系の構成例を示す図である。
図13において、駆動装置151は、図6に示す画像形成装置100または図8に示す原稿搬送装置150の何れかの駆動ローラを駆動するモータおよびその制御回路等からなるものである。
【0067】
駆動装置151において、外部の目標駆動信号生成手段130から、制御回路121内の目標位置・速度計算回路131に、回転方向信号と移動パルス数の信号が渡されるようになっている。すなわち、制御回路121内の目標位置・速度計算回路131は、外部の目標駆動信号生成手段130から、目標駆動信号としての回転方向信号と移動パルス数の信号を取得するようになっている。
目標位置・速度計算回路131では、得られた情報と図示しないオシレータの時間情報から、目標位置および目標速度を導出し、位置・速度追従制御器133へと信号を伝達するようになっている。
【0068】
また、制御回路121内のモータ位置・速度計算回路132では、2チャンネルフォトセンサとして構成されたフォトセンサ122にて、エンコーダディスク123のパルスを計測している。フォトセンサ122およびエンコーダディスク123は、2チャンネルロータリエンコーダとして構成されている。
【0069】
エンコーダディスク123の1周当りのパルス数は、本実施例では100パルスとしている。エンコーダディスク123の1周当りのパルス数は、安価にモータ101の出力軸124の回転を検出するために、200パルス以下であることが好ましい。
また、エンコーダディスク123の1周当りのパルス数は、ステッピングモータからインナーロータ型DCブラシレスモータへの置き換えを容易にするために、12×Nパルス(Nは自然数)または50×Nパルスとすることが好ましい。
【0070】
ここで、2チャンネルフォトセンサとして構成されたフォトセンサ122は、2組の発光素子と受光素子を有し、各々のパルス信号位相差が所定量(本実施例ではπ/2[rad])となるように配置されている。そのため、モータ位置・速度計算回路132ではその位相差を利用して、回転方向を知ることができる。
モータ位置・速度計算回路132では、得られた情報と図示しないオシレータの時間情報から、モータ位置およびモータ速度を導出し、位置・速度追従制御器133へと信号を伝達するようになっている。
位置・速度追従制御器133では、目標位置とモータ位置が一致するよう、また目標速度とモータ速度が一致するよう制御し、必要に応じてPWM出力、回転方向、スタートストップ、ブレーキといった信号をドライバ回路125へと送るようになっている。
【0071】
ドライバ回路125は、4象限ドライバとして構成されており、位置・速度追従制御器133から得られた信号およびホールIC135からのホール信号から、モータ電流およびPWM電圧を制御するようになっている。
すなわち、駆動装置151においては、制御回路121が、目標駆動信号から単位時間当りの目標回転量ΔXtおよび目標総回転量Xtを求めるとともに、フォトセンサ122、エンコーダディスク123からの出力信号から単位時間当りのモータ回転量ΔXmおよびモータ総回転量Xmを求め、その後、目標総回転量Xtとモータ総回転量Xmが等しく、且つ、単位時間当りの目標回転量ΔXtと単位時間当りのモータ回転量ΔXmが等しくなるようドライバ回路125への信号を変化させることで、モータ101の回転速度を制御するようになっている。
【0072】
本実施例では、ドライバ回路125がモータ101に搭載されていない形式で示しているが、ドライバ回路125をモータ101上の基板に搭載した場合は、ハーネス本数の削減が図れるため、コストダウンにつながる。
【0073】
なお、本実施例では、目標駆動信号生成手段130は、駆動装置151には含まれず、画像形成装置100の図示しない本体制御部や原稿搬送装置150の図示しないADF制御部等に設けられているが、目標駆動信号生成手段130が駆動装置151内に含まれていてもよい。
【0074】
また、本実施例において、原稿搬送装置150は、画像形成装置100の一部として位置付けて取り扱っており、駆動装置151は、画像形成装置100の駆動ローラや画像形成装置100の一部としての原稿搬送装置150の駆動ローラを駆動するものとして説明しているが、原稿搬送装置150を画像形成装置100の周辺装置として位置付ける場合は、駆動装置151は、画像形成装置100の駆動ローラや画像形成装置100の周辺装置としての原稿搬送装置150の駆動ローラを駆動することとなる。
【0075】
以上のように、本実施例に係る駆動装置151は、駆動源としてのインナーロータ型DCブラシレスモータであるモータ101と、モータ101の出力軸124の回転を検知するフォトセンサ122、エンコーダディスク123と、モータ101の回転を制御する制御回路121と、制御回路121からの信号に基づいてモータ101に駆動電力を供給するドライバ回路125と、を備える駆動装置151において、制御回路121が、外部から取得したモータ101の目標駆動信号と、フォトセンサ122、エンコーダディスク123から検出される検出信号とに基づいて、ドライバ回路125への信号(動作信号)を変化させることで、モータ101の回転速度を制御する。
この構成により、モータ101としてインナーロータ型DCブラシレスモータを用いることにより、ステッピングモータを用いる場合よりエネルギー効率を高く、モータ重量を削減することができるとともに、アウターロータ型と比較してイナーシャが小さくなることから、ステッピングモータと同等の加減速時間にすることができ、また、ブラシ付モータと比較して、ブラシ磨耗が無いので高耐久にすることができる。
【0076】
また、仮にフォトセンサ122やエンコーダディスク123等の回転検出手段がモータ101の出力軸124の回転ではなく被駆動体(ローラ104等)の回転を検知するように構成した場合には、モータ1回転当りの被駆動体の移動量等を考慮した制御設計をしなければならないという不都合や、伝達系や被駆動体の構成が変わったり別の箇所に同じ駆動装置を適用する場合に制御手段の設計を変えなければならないという不都合が生じるが、フォトセンサ122やエンコーダディスク123でモータ101の出力軸124の回転を検知する構成とすることにより、これらの不都合を回避でき、設計を容易にすることができる。
したがって、高効率であるとともにステッピングモータと同等の加減速時の追従性やモータ101の耐久性を得ることができる。
【0077】
さらに本発明では、上記の駆動装置に用いるモータ101として、前述の図1〜図5を参照して説明したカバー付きのインナーロータ型DCブラシレスモータを用いることにより、
モータ101と一体となっている回転検出手段のセンサ部分をカバー126で囲むことで外部の異物を遮断し、センサ部分(エンコーダディスク123のスリット部やフォトセンサ122)にゴミが侵入しないようにすることができる。また、モータ101の取り付け時や、原稿搬送装置、給紙装置の紙詰まり時の除去処理作業の時に、カバー126があることで手がセンサ部分(エンコーダディスクやフォトセンサ)に触れることを防止することができる。また、カバー126の放熱穴により空気の流れが発生し、駆動用のドライバ回路内のFET等による発熱を逃がすことができるので、発熱による影響が起きにくくなり、制御精度に悪影響を及ぼすという問題を解消することができる。
【0078】
このように、本発明では、省エネ、高効率を目指したエンコーダ一体型インナーロータ型DCブラシレスモータ101の構成において、カバー126を設けて異物が外側から入らないようにし、エンコーダディスク123に手が触れないようにすることで、エンコーダ不良による制御精度の劣化が防止できるほか、鋭利なディスクによる怪我を防止できる。また、モータ101のカバー126に放熱穴を形成することで、発熱部である駆動用ドライバ回路内のFET等による熱の影響を防止することができる。
そして本発明の画像形成装置では、上記の高効率であるとともにモータの耐久性も得ることができる駆動装置を備えたことにより、制御精度の良い駆動制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0079】
100:画像形成装置本体
101:モータ
102a:ギヤ
102b、102c、102d、102e、102f:減速ギヤ
103a、103b:ローラ対
104:ローラ
121:制御回路(制御手段)
122:フォトセンサ
123:エンコーダディスク
123a:金属板
123b:スリット(穴)
124:出力軸
125:ドライバ回路(ドライバ)
126:カバー
127:コネクタ
129(129a、129b、129c):放熱穴
130:目標駆動信号生成手段
131:目標位置・速度計算回路
132:モータ位置・速度計算回路
133:位置・速度追従制御器
125:ドライバ回路
135:ホールIC
150:原稿搬送装置
151:駆動装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2009−261149号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源としてのモータと、前記モータの出力軸の回転を検出する回転検出手段とを有し、前記モータと前記回転検出手段のセンサ部分とが一体と成っており、駆動用のドライバ回路も前記モータ上の基板に取り付けられている構成の駆動装置において、
前記モータのセンサ部分を囲み、外部からの異物の進入を遮断するとともに前記モータのセンサ部分に手が触れることを防止できるカバーを備え、前記カバーに放熱穴を設けたことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記カバーは、前記モータの出力軸に対し発熱部と円周方向に対となる部分に前記放熱穴を設けたことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動装置において、
前記回転検出手段は、前記モータの出力軸に固定されたエンコーダディスクと、前記モータに固定され、前記エンコーダディスクのセンサ読み取り部を検知するフォトセンサからなり、前記カバーには、前記エンコーダディスクのセンサ読み取り部を構成するスリット形状の穴の幅より小さい格子状の穴を形成することを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載の駆動装置において、
前記カバーの格子状の穴形状を六角形に形成することを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の駆動装置において、
前記モータは、エンコーダ一体型のインナーロータ型DCブラシレスモータであることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の駆動装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−105466(P2012−105466A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252499(P2010−252499)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】