説明

駆動装置

【課題】装置の小型化を図りながら車両振動を抑制することを可能とする。
【解決手段】伝動モータ5から伝達されたトルクを左右の結合フランジ部147,149から左右のアクスル・シャフトへ分配出力するリヤ・デファレンシャル装置47を備え、リヤ・デファレンシャル装置47が、結合フランジ部147,149の近傍に軸方向への突出部167を有する減速駆動装置23において、結合フランジ部147を、突出部167に対し軸交差方向に重なり配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータ等を用いた駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動装置としては、例えば、図7に示す減速駆動装置を用いたものがある。図7は、減速駆動装置の断面図である。減速駆動装置201は、ハウジング203に、電動モータ205、第1,第2の減速機構207,209、及びリヤ・デファレンシャル装置211を支持したものである。
【0003】
前記リヤ・デファレンシャル装置211には、左右両側に結合軸213,215が取り付けられ、左右のドライブ・シャフトに結合フランジ部217,219により結合される構成となっている。
【0004】
従って、前輪が、エンジン出力により変速機を介して駆動され、後輪が、電動モータ205の出力により駆動されることにより、四輪駆動状態(4WD)で走行することができる。
【0005】
後輪側では、電動モータ205の出力により第1,第2の減速機構207,209、及びリヤ・デファレンシャル装置211を介して左右の結合軸213,215から左右のドライブ・シャフトへトルクが伝達される。この伝達により左右の後輪が駆動される。
【0006】
かかる減速駆動装置201では、ハウジング203の突出部221に対し結合フランジ部217が車幅方向にSだけ重なるように配置され、装置の小型化が可能となっている。
【0007】
しかし、従来の構造では、結合軸213,215を回転自在に支持するベアリング223,225に対し、結合フランジ部217,219のオーバー・ハング量が大きくなり、ドライブ・シャフトのアンバランスにより車両振動を招き易いという問題がある。
【0008】
特に、フランジ部217,219のオーバー・ハング量が大きくなると、ドライブ・シャフトの全長が短くなり、ドライブ・シャフトの取付角度が水平に対して大きくなるため、ドライブ・シャフトの回転むらがオーバー・ハング量の大きなフランジ部217,219に入力され、車両振動を招くという問題がある。
【0009】
【特許文献1】特開2005−162102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、結合フランジ部217,219のオーバー・ハング量が大きくなり、車両振動を招き易い点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、装置の小型化を図りながら車両振動を抑制するために、結合フランジ部を、突出部に対し軸交差方向に重なり配置したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の駆動装置は、結合フランジ部を、突出部に対し軸交差方向に重なり配置したため、装置の小型化を可能としながら結合フランジ部のオーバー・ハング量を小さくすることができ、車両振動を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
装置の小型化を可能としながら車両振動を抑制するという目的を、結合フランジ部のオーバー・ハング量を小さくすることにより実現した。
【実施例1】
【0014】
[四輪駆動車]
図1は、本発明の実施例1に係る駆動装置を適用した自動車のスケルトン平面図である。図1のように、自動車1は、主駆動源としての内燃機関であるエンジン3と、副駆動源としての電動モータ5とを備えている。エンジン3は本実施例において、主回転部である左右の前輪7,9を駆動し、電動モータ5は、副回転部である同左右の後輪11,13を駆動する駆動源となっている。
【0015】
前記エンジン3の出力は、トランス・ミッション15を介してフロント・デファレンシャル装置17に入力されるようになっている。フロント・デファレンシャル装置17には、左右のアクスル・シャフト19,21を介して、前記前輪7,9が連動連結されている。従って、エンジン3の駆動によりトランス・ミッション15を介して前輪7,9を前進方向又は後進方向へ双方向回転駆動可能となっている。
【0016】
前記電動モータ5の出力は、駆動装置としての減速駆動装置23に入力されるようになっている。減速駆動装置23の出力側には、左右のアクスル・シャフト25,27を介して、前記左右の後輪11,13が連動連結されている。従って、後輪11,13は、電動モータ5の駆動により回転駆動可能であると共に電動モータ5が停止したときには前輪7,9の前進方向又は後進方向への駆動回転により前進方向又は後進方向へ連動回転する。
【0017】
前記電動モータ5は、制御手段としてのコントローラ29によって制御されるようになっている。コントローラ29には、シフトポジション・スイッチ、ヨーモーメント・センサ、4WDスイッチ、車速センサ、加速度センサ、ブレーキ・センサ、スロットル開度センサ、左右輪回転差検出センサ、前後輪回転差検出センサ、操舵角センサ等の各種センサ31からの検出信号を入力するようになっている。
【0018】
前記電動モータ5は、モータ・ジェネレータで構成されている。この電動モータ5は、インバータ33を介してバッテリ35に接続されている。エンジン3側には、ジェネレータあるいはモータ・ジェネレータ37が設けられ、インバータ39を介して前記バッテリ35に接続されている。
【0019】
従って、発進走行時、加速走行時などには、バッテリ35からインバータ33を介して電動モータ5に給電が行われ、前記同様にエンジン3による前輪7,9の駆動に対し、電動モータ5により後輪11,13をアシスト駆動することができる。
【0020】
また、減速走行時には、電動モータ5及びモータ・ジェネレータ37による発電によってバッテリ35が充電され、次の発進走行、加速走行に備えられる。発進走行、加速走行時に、バッテリ35からモータ・ジェネレータ37にも給電を行ない、前輪7,9側をもモータ・ジェネレータ37によって電動アシスト駆動することができる。
[減速駆動装置]
前記減速駆動装置23は、図2,図3のようになっている。図2は、減速駆動装置の断面図、図3は、同側面図である。
【0021】
図2、図3のように、減速駆動装置23は、車体側に支持され固定側であるハウジング41内に第1の減速機構43と、第2の減速機構45と、リヤ・デファレンシャル装置47とを備えている。
【0022】
前記ハウジング41は、本体部49と蓋体部51との合わせ構造となっている。本体部49と蓋体部51とは、ボルト53等によって複数箇所で締結結合されている。このハウジング41は、入力部側55と、出力部側57とを備えている。
【0023】
前記入力部側55には、その外部に前記電動モータ5が配置され、ボルト等により複数箇所において締結固定されている。入力部側55内には、伝動軸61がベアリング63,65によって回転自在に支持されている。伝動軸61の一端には、前記電動モータ5の出力軸が連動連結されている。伝動軸61の他端には、前記第1の減速機構43の一方の減速ギヤ67が設けられている。減速ギヤ67には、第1の減速機構43の他方の減速ギヤ69が噛み合っている。減速ギヤ69は、減速軸である中間伝動軸71に一体回転するように設けられている。
【0024】
前記中間伝動軸71は、ベアリング73、ニードルベアリング75によって、前記ハウジング41側に回転自在に支持されている。中間伝動軸71には、前記第2の減速機構45の一方の減速ギヤ77が設けられている。減速ギヤ77には、第2の減速機構45の他方の減速ギヤ79が噛み合っている。中間伝動軸71の端部は、ハウジング41の蓋体部51外に突出し、回転センサ用のギヤ81が取り付けられている。中間伝動軸71及び蓋体部51間には、シール部材83が介設されている。
【0025】
前記第1,第2の減速機構43,45によって、前記電動モータ5のトルクを減速する構成となっている。減速ギヤ79は、第1,第2の減速機構43,45で構成する減速機構の出力側を構成している。
【0026】
前記リヤ・デファレンシャル装置47は、前記第2の減速機構45の出力を後輪11,13のドライブ・シャフトであるアクスルシャフト25,27に分配する分配装置を構成するものである。前記リヤ・デファレンシャル装置47は、デフ・ケース85を備えている。
【0027】
前記デフ・ケース85にピニオン・シャフト91を介して、ピニオン・ギヤ93が回転自在に支持されている。ピニオン・ギヤ93に対し、左右のサイド・ギヤ95,97が噛み合い結合されている。
【0028】
前記第2の減速機構45とリヤ・デファレンシャル装置47との間には、クラッチ101が設けられている。クラッチ101は、第2の減速機構45の出力をリヤ・デファレンシャル装置47に対し伝達遮断切り替えするために動作可能な構成となっている。
【0029】
前記クラッチ101は、アウター・ケース103及びデフ・ケース85間に設けられ、アウター・ケース103及びデフ・ケース85間のトルク伝達を断続調整する。
【0030】
前記クラッチ101は、多板式のメイン・クラッチ105、ボール・カム107、プレッシャー・プレート109、カム・リング111、多板式のパイロット・クラッチ113、リターン・スプリング115、アーマチャ117、電磁石119により構成されている。
【0031】
前記アウター・ケース103の端部には、前記第2の減速機構45の減速ギヤ79が溶接などにより一体に結合され、減速ギヤ79は、ボール・ベアリング121によってデフ・ケース85上に支承されている。また、アウター・ケース103は、減速ギヤ79によるトルク伝達だけを行い、部材の支持機能から開放されたフローティング構造になっている。
【0032】
前記デフ・ケース85は、一端のボス部125がボール・ベアリング123によって蓋体部51に支承され、他端のボス部127がボール・ベアリング129と電磁石119のコア131とを介して本体部49に支持されている。コア131は本体部49の出力部側57の端部に固定されている。
【0033】
前記ボス部127の外周には、磁性材料で形成されたロータ133が配置され、スナップ・リング135によって軸方向に位置決められている。
【0034】
前記メイン・クラッチ105は、アウター・ケース103とデフ・ケース85との間に配置されている。メイン・クラッチ105のアウター・プレートはアウター・ケース103の内周にスプライン係合し、同インナー・プレートはデフ・ケース85の外周にスプライン係合している。
【0035】
前記パイロット・クラッチ113はアウター・ケース103とカム・リング111との間に配置されている。パイロット・クラッチ113のアウター・プレートはアウター・ケース103の内周にスプライン係合し、同インナー・プレートはカム・リング111の外周にスプライン係合している。
【0036】
前記ボール・カム107はプレッシャー・プレート109とカム・リング111との間に形成されている。プレッシャー・プレート109はデフ・ケース85の外周に軸方向移動自在にスプライン係合し、ボール・カム107のカムスラスト力を受けてメイン・クラッチ105を押圧する。
【0037】
前記カム・リング111とロータ133との間には、スラスト・ベアリング137が配置されている。スラスト・ベアリング137は、ボール・カム107のカム反力を受けると共に、カム・リング111とロータ133との間の相対回転を吸収する。
【0038】
前記プレッシャー・プレート109とデフ・ケース85との間には、前記リターン・スプリング115が配置されている。プレッシャー・プレート109は、リターン・スプリング115によりメイン・クラッチ105の連結解除方向に付勢されている。
【0039】
前記アーマチャ117はリング状に形成されており、プレッシャー・プレート109とパイロット・クラッチ113との間に軸方向移動自在に配置されている。
【0040】
前記電磁石119のリード線はグロメットを介して本体部49の外部に引き出され、コネクターによってバッテリー35側に接続されている。
【0041】
前記電磁石119のコア131とロータ133との間には適度なエアギャップが形成されており、このエアギャップ、ロータ133、パイロット・クラッチ113、アーマチャ117によって電磁石119の磁路が構成されている。電磁石119を通電制御すると前記磁路上に磁束ループが形成される。
【0042】
[結合フランジ部の配置]
前記リヤ・デファレンシャル装置47のサイド・ギヤ95,97には、結合軸139,141が結合され、リヤ・デファレンシャル装置47の分配出力を伝達可能となっている。結合軸139,141及びハウジング41間には、シール部材143,145が介設されている。
【0043】
前記結合軸139,141の外端には、結合フランジ部147,149が一体に設けられている。結合フランジ部147,149は、ジョイント151,153により左右のアクスル・シャフト25,27に連動連結されている。結合フランジ部147,149は、ジョイント151,153の連結筒部155,157にボルト159,161により結合されている。
【0044】
前記結合フランジ部147の端面163の外周部に対応して前記ハウジング41の蓋体部51に切欠部165が設けられている。なお、連結筒部155の端面が軸方向においてハウジング41の外壁面に直接的に対向する場合は、連結筒部155の端面の外周部に対応して前記切欠部165が設けられる構成となる。切欠部165は、結合フランジ部147の近傍でハウジング41の蓋体部51に軸方向へ突出した突出部167に設けられている。この突出部167は、前記回転センサ用のギヤ81が配置される部分であり、ハウジング41が、リヤ・デファレンシャル装置47を支持するものとして、突出部167は、分配装置の突出部167を構成するものとしている。この突出部167の車両前後方向の後ろ側部分に前記切欠部165が設けられている。
【0045】
前記結合フランジ部147の端面163の外周部を、前記切欠部165内に臨ませるように結合フランジ部147が配置されている。従って、結合フランジ部147が、突出部167に対し軸交差方向である車両前後方向に重なり配置された構成となっている。
【0046】
前記結合フランジ部147の端面163の配置は、前記各減速ギヤ77,79のギヤ諸元の設定により、軸間距離Pを決定することで行なわれている。
【0047】
[トルク伝達]
前記電動モータ5の出力は、伝動軸61から第1,第2減速機構43,45を介してアウター・ケース103に伝達される。このアウター・ケース103からクラッチ101を介してデフ・ケース85に伝達される。
【0048】
前記デフ・ケース85の回転はピニオン・シャフト91からピニオン・ギヤ93を介して各サイド・ギヤ95,97に配分され、さらに結合軸139,141から出力される。
【0049】
前記結合軸139,141からは、結合フランジ部147,149、連結筒部155,157を介してジョイント151,153にトルクが伝達され、ジョイント151,153から左右のアクスル・シャフト25,27を介し、左右の後輪11,13へトルク伝達が行われる。
【0050】
悪路などで後輪11,13の間に駆動抵抗差が生じると、電動モータ5の駆動力はピニオン・ギヤ93の自転によって左右の後輪11,13に差動配分される。
【0051】
前記クラッチ101の締結制御は、電磁石119の通電制御により行われる。
【0052】
前記コントローラ35は、各種センサーによって検知した路面状態、車両の発進、加速、旋回のような走行条件及び操舵条件などに応じて、電磁石119の通電制御を行う。
【0053】
前記電磁石119の通電制御は、電動モータ5の動作コントロールと共に行われ、電磁石119の通電停止は、電動モータ5を駆動停止させるときに行われる。
【0054】
前記電磁石119が励磁されると、上記の磁束ループによってアーマチャ117が吸引され、ロータ133との間でパイロット・クラッチ113を締結し、パイロット・トルクを発生させる。パイロット・トルクが発生すると、パイロット・クラッチ113によってアウター・ケース103に連結されたカム・リング111と、デフ・ケース85側のプレッシャー・プレート109とを介してボール・カム107に電動モータ5側からの伝達トルクが作用する。ボール・カム107は、前記伝達トルクを増幅しながらカムスラスト力に変換し、プレッシャー・プレート109を移動させてメイン・クラッチ105を締結させる。
【0055】
こうしてクラッチ101が連結されると、大径ギヤ79に伝達された電動モータ5のトルクがアウター・ケース103からデフ・ケース85に伝達され、その回転は差動機構によって左右の後輪11,13に配分され、車両が四輪駆動状態になる。
【0056】
このとき、電磁石119の励磁電流を制御すると、パイロット・クラッチ113の滑り率が変化してボール・カム107のカムスラスト力が変わり、後輪11,13側への伝達トルクが制御される。このような伝達トルクの制御を、例えば、旋回時に行うと旋回性と車体の安定性とを大きく向上させることができる。
【0057】
前記電磁石119の励磁を停止すると、パイロット・クラッチ113が開放されてボール・カム107のカムスラスト力が消失し、リターン・スプリング115の付勢力によってプレッシャー・プレート109が戻り、メイン・クラッチ105が開放されてクラッチ101の連結が解除され、車両は前輪7,9駆動での二輪駆動状態になる。
【0058】
前記クラッチ101の締結解除操作は、上記のように電動モータ5の停止操作と同時に行われるから、二輪駆動状態では、アウター・ケース103と第1,第2の減速機構43,45と電動モータ5が後輪11,13の連れ回りから切り離され、機械的に回されることが防止される。
【0059】
従って、第1,第2の減速機構43,45、電動モータ5及びそのベアリング、バッテリー35、レギュレータなどの集積回路の回路素子が後輪11,13の連れ回りによる悪影響から保護され、耐久性が向上する。
【0060】
[結合フランジ部の配置による実施例1の効果]
本発明実施例1の減速駆動装置23では、結合フランジ部147が、突出部167に対し軸交差方向である車両前後方向に重なり配置された構成となっている。このため、結合フランジ部147,149がボールベアリング123,129による支持位置から左右へ突出する長さ、すなわちオーバー・ハング量を小さくすることができる。
【0061】
従って、結合フランジ部147,149によるアクスル・シャフト25,27の支持剛性が高まり、アクスル・シャフト25,27の回転にアンバランスがあっても、車両振動を招き難いという利点がある。
【0062】
特に、結合フランジ部147,149のオーバー・ハング量が小さくなると、アクスル・シャフト25,27側の全長を長くすることができ、アクスル・シャフト25,27の取付角度が水平に対して小さくなる。このため、アクスル・シャフト25,27の回転むらが抑制され、車両振動を確実に抑制することができる。
また、前記結合フランジ部147の端面163の外周部に対応して前記ハウジング41の蓋体部51に切欠部165を設け、前記結合フランジ部147の端面163の外周部を、前記切欠部165内に臨ませるように配置したため、結合フランジ部147を車両前後方向で蓋体部51に確実に近接配置することができ、減速駆動装置23の回転半径方向である車両前後方向での大型化を抑制することができる。
【0063】
前記結合フランジ部147の端面163の配置は、前記各減速ギヤ77,79のギヤ諸元の設定により行ったため、特に大幅な変更を必要とせず、配置を簡単に行わせることができる。
【実施例2】
【0064】
図4は、本発明の実施例2に係る減速駆動装置の断面図である。なお、本実施例の基本的な構造は、実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分には、同符号又は同符号にAを付して説明する。
【0065】
本実施例の減速駆動装置23Aは、ハウジング41の突出部167に切欠部が設けられていない。
【0066】
一方、本実施例では、ボルト159の頭部は、結合フランジ部147の連結筒部155に対するねじ込み長さLよりも小さな間隔Hで前記リヤ・デファレンシャル装置47の外壁部である筒部173の外端面175に対向している。
【0067】
このため、ボルト159による結合フランジ部147及び連結筒部155の結合において、万一のボルト159の緩みに対しても、ボルトが脱落することが無く、ジョイント151の脱落を防止することができる。
【0068】
前記結合フランジ部147の端面163は、前記ハウジング41の壁部169を挟んで前記第1の減速機構43の減速ギヤ69の側面に軸方向に対向している。
【0069】
このため、減速駆動装置23Aの軸方向での大型化を抑制することができる。
【0070】
前記結合フランジ部147の端面163の外周部は、前記シール部材83の外周部に対向する位置で前記ハウジング41の突出部167の壁部171に近接配置されている。
【0071】
このため、減速駆動装置23Aの回転半径方向である車両前後方向での大型化を抑制することができる。
その他、本実施例においても、実施例1同様の作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0072】
図5は、本発明の実施例3に係る減速駆動装置の断面図である。なお、本実施例の基本的な構造は、実施例2と同様であり、同一又は対応する構成部分には、同符号又は同符号にBを付し、或いは同符号のAをBに代えて説明する。
【0073】
本実施例の減速駆動装置23Bでは、ハウジング41の突出部167Bが、ベアリング73用として形成され、切欠部は設けられていない。
【0074】
また、本実施例でも、実施例2同様に、ボルト159の頭部が、結合フランジ部147の連結筒部155に対するねじ込み長さLよりも小さな間隔Hで前記リヤ・デファレンシャル装置47の外壁部である筒部173の外端面175に対向している。
【0075】
前記結合フランジ部147の端面163は、前記ハウジング41の壁部169を挟んで前記第1の減速機構43の減速ギヤ69の側面に軸方向に対向している。
【0076】
従って、実施例2同様の作用効果を奏する。
【0077】
一方、本実施例では、前記結合フランジ部147の端面163の外周部を、前記ベアリング73の外周部に対向する位置で前記ハウジング41の壁部171Bに近接配置した。
【0078】
従って、減速駆動装置23Bの回転半径方向である車両前後方向での大型化を抑制することができる。
【実施例4】
【0079】
図6は、本発明の実施例4に係る減速駆動装置の断面図である。なお、本実施例の基本的な構造は、実施例1と同様であり、同一又は対応する構成部分には、同符号又は同符号にCを付して説明する。
【0080】
本実施例の減速駆動装置23Cは、ハウジング41の突出部167に切欠部が設けられていない。
【0081】
一方、本実施例では、前記連結筒部155の端面177が、前記ハウジング41の壁部169を挟んで前記第1の減速機構43の減速ギヤ69の側面に軸方向に対向している。
【0082】
このため、減速駆動装置23Cの軸方向での大型化を抑制することができる。
【0083】
前記連結筒部155の端面177の外周部は、前記シール部材83の外周部にほぼ対向する位置で前記ハウジング41の突出部167の壁部171に近接配置されている。
【0084】
このため、減速駆動装置23Cの回転半径方向である車両前後方向での大型化を抑制することができる。
その他、本実施例においても、実施例1同様の作用効果を奏することができる。
[その他]
上記実施例では、減速駆動装置に適用して説明したが、分配装置の結合フランジ部と突出部との関係を備えた装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】減速駆動装置を適用した自動車のスケルトン平面図である(実施例1)。
【図2】減速駆動装置の断面図である(実施例1)。
【図3】減速駆動装置の側面図である(実施例1)。
【図4】減速駆動装置の断面図である(実施例2)。
【図5】減速駆動装置の断面図である(実施例3)。
【図6】減速駆動装置の断面図である(実施例4)。
【図7】減速駆動装置の断面図である(従来例)。
【符号の説明】
【0086】
5 電動モータ(駆動源)
25,27 アクスル・シャフト(ドライブ・シャフト)
41 ハウジング
47 リヤ・デファレンシャル装置(分配装置)
67,69,77,79 減速ギヤ
71 中間伝動軸(減速軸)
73 ベアリング
83 シール部材
147 結合フランジ部
151 ジョイント
155 連結筒部
159 ボルト
163,177 端面
165 切欠部
169,171 壁部
167,167B 突出部
173 筒部(外壁部)
175 外端面(外壁部)
H 間隔
L ねじ込み長さ
P 軸間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から伝達されたトルクを左右の結合フランジ部を介して左右のドライブ・シャフトへ分配出力する分配装置を備え、
前記分配装置が、前記結合フランジ部の近傍に軸方向への突出部を有する駆動装置において、
前記結合フランジ部を、前記突出部に対し軸交差方向に重なり配置した
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の駆動装置であって、
前記結合フランジ部は、ジョイントの連結筒部にボルトで結合されることで前記ドライブ・シャフトに連結され、
前記ボルトの頭部は、前記連結筒部に対するねじ込み長さよりも小さな間隔で前記分配装置の外壁部に対向する
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1記載の駆動装置であって、
前記結合フランジ部は、ジョイントの連結筒部に結合されることで前記ドライブ・シャフトに連結され、
前記分配装置は、ハウジング内に配置された減速ギヤを介して前記駆動源からトルクが伝達され、
前記連結筒部又は結合フランジ部の端面は、前記ハウジングの壁部を挟んで前記減速ギヤの側面に軸方向に対向している
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1記載の駆動装置であって、
前記結合フランジ部は、ジョイントの連結筒部に結合されることで前記ドライブ・シャフトに連結され、
前記分配装置は、ハウジング内に減速軸により支持された減速ギヤを介して前記駆動源からトルクが伝達され、
前記ハウジング及び減速軸間に、シール部材を備え、
前記連結筒部又は結合フランジ部の端面の外周部を、前記シール部材の外周部に対向する位置で前記ハウジングの壁部に近接配置した
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1記載の駆動装置であって、
前記結合フランジ部は、ジョイントの連結筒部に結合されることで前記ドライブ・シャフトに連結され、
前記分配装置は、ハウジング内にベアリングにより回転自在に支持された減速軸により支持された減速ギヤを介して前記駆動源からトルクが伝達され、
前記連結筒部又は結合フランジ部の端面の外周部を、前記ベアリングの外周部に対向する位置で前記ハウジングの壁部に近接配置した
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項1記載の駆動装置であって、
前記結合フランジ部は、ジョイントの連結筒部に結合されることで前記ドライブ・シャフトに連結され、
前記分配装置は、ハウジング内に減速軸により支持された減速ギヤを介して前記駆動源からトルクが伝達され、
前記連結筒部又は結合フランジ部の端面の外周部に対応して前記ハウジングに切欠部を設け、
前記連結筒部又は結合フランジ部の端面の外周部を、前記切欠部内に臨ませるように配置した
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項4〜6の何れかに記載の駆動装置であって、
前記分配装置は、前記減速ギヤに噛み合う減速ギヤを備え、
前記連結筒部又は結合フランジ部の端面の配置を、前記各減速ギヤのギヤ諸元の設定により軸間距離を決定して行った
ことを特徴とする駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−118770(P2007−118770A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313471(P2005−313471)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000225050)GKN ドライブライン トルクテクノロジー株式会社 (409)
【Fターム(参考)】