説明

駐車場入口情報作成方法及びそのシステム、並びに駐車場入口情報を作成するためのコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体

【課題】ナビゲーションシステムで利用するナビゲーション情報において、施設の駐車場の入口を自動的にかつ正確に特定する。
【解決手段】目的地に対応する案内終了地点から駐車位置までの走行履歴を保存し、走行履歴が所定の条件を満足し、かつ駐車位置がリンク外であるとき、最終走行リンクから逸脱した逸脱地点を特定し、プローブカーの駐車位置の属する地図上のポリゴンを特定し、特定されたポリゴンと目的地とを比較して、特定されたポリゴンが前記目的地に関係した敷地であるとき、前記逸脱地点を登録し、登録された逸脱地点に基づき、目的地の駐車場入口を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駐車場入口情報作成方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムにおいて目的地を設定しても、多くの場合経路案内は目的地の最寄り道路上で終了する。この場合、案内終了地点が道路上となるので、運転者は、最終的に何らナビゲーションシステムの案内を受けることなく、駐車場を探さなければならない。そこで、ナビゲーションシステムの案内終了地点を目的地の駐車場入口とすることが望まれることがある。
案内終了地点を目的地の駐車場入口とするためには、当該駐車場入口の位置情報を目的地に関連付けて、ナビゲーション情報保存部へ保存しなければならない。
【0003】
駐車場入口に関する情報を得る方策としてフィールド調査があるが、その手間や費用を考えれば、駐車場入口に関する情報を自動的に収集することが好ましい。
そのため、プローブカーを用いて駐車場入口の位置を自動的に収集する方法が提案されている(特許文献1参照)
この特許文献1に記載の方法では、プローブカーの現在位置が、目的地から所定範囲内の道路上から道路以外の場所に特定された後、プローブカーの駐車が確認されたとき、道路上から逸脱した地点を駐車場の入口であると登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−256207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術では、自動的に駐車場の入口が特定されるものの、目的地から一定距離内の道路以外の位置に駐車した全てのプローブカーが目的地の駐車場に駐車したものとみなされ、道路から逸脱した地点を駐車場入口と判断している。しかしながら、目的地から一定距離内の駐車可能スペースが全て目的地に関係する駐車場であるとはいえない。例えば、目的地に隣接してコンビニエンスストアがあり、その駐車場にプローブカーを駐車させたときには、コンビニエンスストアの駐車場の入口が目的地駐車場の入口として登録されてしまう。
このような誤情報の取得を排除できない従来技術の方法では、正確に駐車場入口を特定することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この発明では、駐車場入口を自動的にかつ正確に特定できるようにすることを目的とする。
かかる目的を達成するため、この発明の第1の局面は次のように規定される。
ナビゲーションシステムの案内対象の目的地に対応する案内終了地点から駐車位置までの走行履歴を保存するステップと、
前記走行履歴が所定の条件を満足し、かつ前記駐車位置がリンク外であるとき、最終走行リンクから逸脱した逸脱地点を特定するステップと、
プローブカーの駐車位置の属するポリゴンを特定するステップと、
前記特定されたポリゴンの施設情報が前記目的地に関係付けられているとき、前記逸脱地点を登録するステップと、
前記登録された逸脱地点に基づき、前記目的地の駐車場入口を特定するステップと、
を備える、ことを特徴とする駐車場入口情報作成方法。
【0007】
このように規定される第1の局面の駐車場入口情報作成方法によれば、プローブカーの駐車位置の属するポリゴンが目的地に関係ある敷地か否かを検証し、両者の関係が確認された場合についてのみ最終リンクからの逸脱位置を登録し、この登録された逸脱位置に基づき駐車場入口を特定している。換言すれば、目的地に関係しないポリゴンがプローブカーの駐車位置であったときは、駐車場入口情報作成の処理対象とならない。したがって、従来例に比べて、誤情報が確実に排除されることとなるので、正確な駐車場入口情報の提供が可能となる。
このようにして駐車場入口情報を正確に、かつ自動的に作成できることとなれば、ナビゲーションシステムで利用可能となる。
【0008】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面の駐車場入口情報作成方法において、前記駐車場入口を特定するステップは、前記登録された逸脱地点の分布に基づき、前記駐車場入口を特定する。
このように規定される第2の局面に規定の駐車場入口情報作成方法によれば、登録された逸脱地点の分布に基づき駐車場入口を特定するので、駐車場入口の特定がより正確になる。
【0009】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、第1又は第2の局面に規定の駐車場入口情報作成方法において、前記所定の条件は、前記案内終了地点から該案内終了地点の属する終了リンクを所定距離以上走行したものであること、又は前記終了リンク以外のリンクを走行したものであること、とした。
このように規定される第3の局面の駐車場入口情報作成方法によれば、案内終了地点から離れて見通しの悪い位置にある駐車場についての入口情報を作成可能となる。
駐車場の入口が案内終了地点の付近にあれば、あえてその入口を特定するための処理を行う必要が無いからである。
【0010】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
プローブカーとサーバ装置とを備えてなる駐車場の入口情報を作成する駐車場入口情報作成システムであって、
前記プローブカーは、
案内対象の目的地を保存する目的地保存部、
案内終了地点からの走行履歴を保存する走行履歴保存部、
駐車位置を特定する駐車位置特定部、
前記案内終了地点から前記駐車位置までの走行履歴が所定の条件を満足し、かつ前記駐車位置がリンク外であるとき、最終走行リンクから逸脱した逸脱地点を特定する走行履歴処理部、
前記目的地、前記駐車位置及び前記逸脱地点を前記サーバ装置へ送る手段、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記プローブカーからの前記目的地、前記駐車位置及び前記逸脱地点を保存するプローブカー情報保存部と、
前記駐車位置より前記プローブカーの駐車位置の属するポリゴンを特定する駐車ポリゴン特定部と、
前記特定されたポリゴンの施設情報が前記目的地に関係付けられているとき、前記逸脱地点を登録する逸脱地点登録部と、
該登録された逸脱地点に基づき、前記目的地の駐車場入口を特定する駐車場入口特定部と、
を備える、ことを特徴とする駐車場入口情報作成システム。
このように規定される第4の局面に規定の駐車場入口情報作成システムによれば、第1の局面と同様の効果が得られる。
【0011】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第4の局面に規定の駐車場入口情報作成システムにおいて、前記駐車場入口特定部は前記登録された逸脱地点の分布に基づき、前記駐車場入口を特定する。
このように規定される第5の局面に規定の駐車場入口情報作成システムによれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0012】
この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第4又は第5の局面に規定の駐車場入口情報作成システムにおいて、前記所定の条件は、前記案内終了地点から該案内終了地点の属する終了リンクを所定距離以上走行したものであること、又は前記終了リンク以外のリンクを走行したものであるとする。
このように規定される第5局面に規定の駐車場入口情報作成システムによれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0013】
この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
駐車場の入口情報を作成するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
ナビゲーションシステムの案内対象の目的地に対応する案内終了地点から駐車位置までの走行履歴を保存する手段と、
前記走行履歴が所定の条件を満足し、かつ前記駐車位置がリンク外であるとき、最終走行リンクから逸脱した逸脱地点を特定する手段と、
プローブカーの駐車位置の属するポリゴンを特定する手段と、
前記特定されたポリゴンの施設情報が前記目的地に関係付けられているとき、前記逸脱地点を登録する手段と、
前記登録された逸脱地点に基づき、前記目的地の駐車場入口を特定する手段、
として機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
このように規定される第7の局面に規定のコンピュータプログラムによれば、第1の局面と同様の効果が得られる。
【0014】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、
前記駐車場入口を特定する手段は、前記登録された逸脱地点の分布に基づき、前記駐車場入口を特定する。
このように規定される第8の局面に規定のコンピュータプログラムによれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0015】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第7又は第8の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、
前記所定の条件は、前記案内終了地点から該案内終了地点の属する終了リンクを所定距離以上走行したものであること、又は前記終了リンク以外のリンクを走行したものであるとする。
このように規定される第9局面に規定のコンピュータプログラムによれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0016】
第7〜第9の局面で規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第10の局面として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態の駐車場入口情報作成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同じくプローブカーの構成の詳細を示すブロック図である。
【図3】同じくサーバ装置のハード構成を示す概念図である。
【図4】プローブカー側の処理を示すフローチャートである。
【図5】サーバ装置側の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の形態の駐車場入口情報作成システムを説明する。
図1に、実施の形態の駐車場入口情報作成システム1の概略構成を示す。
この駐車場入口情報作成システム1は、プローブカーP1〜PM、及びサーバ装置60を備える。符号NはプローブカーP1〜PMとサーバ装置60とをつなぐネットワークを示す。
なお、プローブカーP1〜PMとサーバ装置60との情報伝達は必ずしもネットワークNを介する必要は無く、プローブカーP1〜PMの情報を一旦DVD等の情報記録媒体へ書込み、この情報記録媒体を介してサーバ装置60へプローブカーP1〜PMの情報を発信してもよい。
【0019】
以下、プローブカーの代表としてプローブカーP1の説明をする。
このプローブカーP1は、目的地保存部11、案内終了地点特定部13、駐車位置特定部14、走行履歴保存部15、走行履歴処理部17及びインターフェース部18を備える。
目的地保存部11はナビゲーションシステムで指定された目的地の情報を保存する。指定された目的地に応じて案内終了地点特定部13が案内経路における案内終了地点を特定する。一般的には目的地の最寄り道路上に案内終了地点が設定される。
駐車位置特定部14はナビゲーションシステムによる経路案内終了後、換言すれば、案内終了地点通過後にプローブカーを駐車した位置を特定する。この例では、座標により駐車位置を特定する。
【0020】
走行履歴保存部15は案内終了地点通過後から駐車位置までの走行履歴が保存される。この走行履歴はプローブカーのプローブ情報より作成される。このプローブ情報には、位置情報、時間情報、方位情報等が含まれる。
走行履歴処理部17は走行履歴が所定の条件を満足し、かつ駐車位置特定部14で特定された駐車位置が道路上でないとき、即ちリンク外であるとき、最終走行リンクから逸脱した逸脱地点を特定する。
インターフェース部18はネットワークNへプローブカーを接続し、ネットワークNを介してサーバ装置60と情報の交換をする。この例では、目的地保存部11に保存される目的地、駐車位置特定部14で特定された駐車位置及び走行履歴処理部17で特定された逸脱地点をプローブカー情報としてサーバ装置60へ送る。
インターフェース部18はまたDVD等の汎用的な情報記録媒体へ情報を書き込む機能も備える。したがって、情報記録媒体を介してサーバ装置60と情報の授受を行うこともできる。
【0021】
図2にプローブカーP1の詳細構成を示す。なお、説明の都合上、図2において図1と同一の要素には同一の符号を付してある。他のプローブカーP2〜PMも同一の構成を備える。
プローブカーP1はナビゲーションシステムを備え、この発明ではそのナビゲーションシステムの機能を利用する。図2において、制御部21、メモリ部23、入力部24、出力部26、インターフェース部18、自車位置特定部27、ナビゲーション情報保存部30及び探索部40は汎用的なナビゲーションシステムの構成要素である。
この発明では、汎用的なナビゲーションシステムへ後処理部50及び走行履歴処理部17が加えられている。これらの要素は、ナビゲーションシステムへ専用のプログラムを追加することにより、ナビゲーションシステムのハード資源をそのまま利用して構成される。
【0022】
ここに、制御部21はCPU、バッファメモリその他の装置を備えたコンピュータ装置であり、プローブカーP1を構成する他の要素を制御する。メモリ部23にはコンピュータプログラムが保存され、このコンピュータプログラムはコンピュータ装置である制御部21に読み込まれて、これを機能させる。このコンピュータプログラムはDVD等の汎用的な媒体へ保存できる。
【0023】
入力部24は目的地等を設定するために用いられる。入力部24としてディスプレイの表示内容と協働するタッチパネル式の入力装置を用いることができる。
出力部26はディスプレイを含み、ナビゲーションに必要な地図情報、その他の情報を表示する。この出力部26は音声案内装置を含むこともできる。
インターフェース部18はプローブカーP1を無線ネットワーク等へ連結させる。
自車位置特定部27はGPS装置やジャイロ装置を用いて利用者端末の現在の位置を検出する。
【0024】
ナビゲーション情報保存部30は、地図情報保存部31、道路情報保存部33、背景情報保存部34、施設情報保存部36を備える。施設情報保存部36には駐車場情報保存部37が含まれる。
地図情報保存部31にはリンクやノードなど地図を規定するための道路要素に関する情報や地図に描画される情報等が保存される。道路情報保存部33には道路や交差点など各道路要素の特性を規定する道路情報が保存される。この道路情報として道路幅、道路種、車線数などがある。背景情報保存部34には地図上においてリンク及びノード以外の領域を区画する情報が保存されている。敷地の領域(形状及び座標)を示すポリゴンはこの背景情報保存部34に保存される。施設情報保存部36には敷地情報に関連付けて施設情報が保存される。例えば、駐車場を示すポリゴンについてはいかなる施設の駐車場であるかが保存される。目的地に固有の案内終了地点が特定されているときには、当該案内終了地点がこの施設情報保存部36に保存される。この施設情報保存部36の中に駐車場情報保存部37が含まれ、そこには駐車場の入口座標を示す駐車場入口情報が保存される。
【0025】
探索部40は目的地保存部11、案内終了地点特定部13及び経路特定部41を備える。目的地保存部11は入力部24を介して入力された目的地が保存される。目的地が指定されると、案内終了地点特定部13は施設情報保存部36にアクセスし、目的地に対応して案内終了地点が特定されていた場合は当該案内終了地点を読み出し特定する。案内終了地点が特定されていないときは、目的地に対する最寄り道路を案内終了地点とする。
経路特定部41は、ナビゲーション情報保存部30の情報を参照して、出発地から目的地に対応した案内終了地点までの経路を探索する。探索された経路は出力部26を介して案内表示される。
【0026】
後処理部50は駐車位置特定部14、走行履歴保存部15を備える。駐車位置特定部14は自車の駐車位置を特定する。そのため、自車位置特定部27で特定した自車の位置と地図情報及び背景情報とを比較して、自車の位置がリンクを外れてポリゴン内にあることを確認する。更に、プローブカーのシフトレンジ、イグニッションのオン/オフ等の情報に基づき自車が駐車状態にあると認定して、そのときの位置情報を駐車位置として保存する。
【0027】
走行履歴保存部15は案内終了地点から駐車位置まで走行履歴を保存する。具体的には、案内終了地点を通過してから駐車するまでのプローブカーの位置情報を時系列的に保存する。汎用的なマップマッチング技術により、このプローブ位置情報をリンクに対応させることが好ましい。
【0028】
走行履歴処理部17は、走行履歴保存部15に保存されている走行履歴を読み出し、この走行履歴と所定の条件とを比較する。走行履歴が所定の条件を満足し、かつ駐車位置がリンク外(即ちポリゴン内)であるとき、最終走行リンクから逸脱した地点を特定する。
【0029】
図1に戻り、プローブカーP1から送られた目的地、駐車位置及び逸脱地点を示す情報はサーバ装置60において、一旦、プローブカー情報保存部61に保存される。
駐車ポリゴン特定部63は駐車位置を背景情報保存部134のポリゴン情報と対比して、駐車位置が属するポリゴンを特定する。
逸脱地点登録部64は、駐車ポリゴン特定部63が特定したポリゴンに関係付けられる施設情報を読み出し、その施設情報が目的地に関係付けられているとき、特定されたポリゴンが目的地の真正な駐車場であると判定する。そして、プローブカー情報保存部61に保存されている逸脱位置を、特定されたポリゴン又は目的地に関連付けて登録し、蓄積部65へ蓄積する。
【0030】
駐車場入口特定部67は、蓄積部65に蓄積された逸脱位置情報の数が充分量(例えば5以上)となったら、例えば逸脱位置の中央地点をとってその座標を最終走行リンク上に特定し、この座標を駐車場入口として登録する。
なお、登録された逸脱位置が最終走行リンクに沿って分散しているときは、当該走行リンクに沿って所定幅の区域を設定し、登録逸脱位置が最も密に存在する区域を抽出し、その区域の中央地点を駐車場入口とすることができる。
【0031】
駐車場入口特定部67で駐車場入口が特定されたことの信号を受けて、駐車場入口情報作成部69は駐車場入口情報を作成してその情報を駐車場情報保存部137に保存する。
駐車場情報保存部137に保存された駐車場入口情報はナビゲーション情報保存部130に保存される情報としてナビゲーションシステムに使用される。例えば、指定された目的地の案内終了地点として案内終了地点特定部がこの駐車場入口を採用する。
【0032】
サーバ装置60に備えられるナビゲーション情報保存部130は、プローブカーP1のナビゲーション情報保存部30と同じデータ保存構造を有するものとすることが好ましい。これにより、サーバ装置60がもつ最新のナビゲーション情報をプローブカーへ容易に移植することができる。
プローブカーにおけるナビゲーション情報保存部30、探索部40、後処理部50及び走行履歴処理部17の機能をサーバ装置60へ移すことができる。必要な情報の入力、出力はネットワークNを介して行われる。
【0033】
サーバ装置60における駐車ポリゴン特定部63及び逸脱地点登録部64の機能をプローブカー側に担わせてもよい。この場合、目的地の駐車場に駐車したものと判断された場合に限り逸脱位置をサーバ装置60へ送信すればよい。これにより、サーバ装置60の負荷が減少する。
【0034】
図3は駐車場入口情報作成システムのサーバ装置60を示すブロック図である。
このシステムのサーバ装置60は、一般的なコンピュータシステムと同様に中央制御装置121に対してシステムバス122を介して各種の要素が結合されたものである。
中央制御装置121は汎用的なCPU、メモリ制御装置、バス制御装置、割り込み制御装置更にはDMA(直接メモリアクセス)装置を含み、システムバス122もデータライン、アドレスライン、制御ラインを含む。システムバス122にはRAM(ランダムアクセスメモリ)123、不揮発メモリ(ROM124,CMOS−RAM125等)からなるメモリ回路が接続されている。RAM123に格納されるデータは中央制御装置121や他のハードウエア要素によって読み取られたり、書き換えられたりする。不揮発メモリのデータは読み取り専用であり、装置をオフとしたときにもそこのデータは喪失されない。このハードウエアを制御するシステムプログラムはハードディスク装置127に保存されており、また、RAM123に保存されており、ディスクドライブ制御装置126を介して適宜中央制御装置121に読みこまれて使用される。このハードディスク装置127には、汎用的な構成のコンピュータシステムをサーバ装置60として動作させるためのコンピュータプログラムを保存する領域が確保される。
このハードディスク装置127の所定の領域がナビゲーション情報保存部130用に割り付けられる。
ハードディスク装置127の他の領域が蓄積部65用に割り付けられる。
【0035】
システムバス122には、フレキシブルディスク132に対してデータの読み込み及び書き込みを行うフレキシブルドライブ制御装置131、コンパクトディスク134に対してそれからデータの読み取りを行うCD/DVD制御装置133が接続されている。この実施例ではプリンタインターフェース137にプリンタ138を接続させている。
【0036】
システムバス122にはキーボード・マウス制御装置141が接続され、キーボード142及びマウス143からのデータ入力を可能としている。モニタ145がモニタ制御装置144を介してシステムバス122に接続されている。モニタ145にはCRTタイプ、液晶タイプ、プラズマディスプレイタイプなどを利用することができる。
各種の要素(モデムなど)の増設を可能とするため空きのスロット151が準備されている。
【0037】
実施例のシステムはネットワークアダプタ161を介して、ネットワークNに接続される。このネットワーク(インターネット)Nにはプローブカーが連結されている。
【0038】
このコンピュータシステムからなるサーバ装置130を稼動させるために必要なプログラム(OSプログラム、アプリケーションプログラム(本発明のものも含む))は、各種の記録媒体を介してシステムの中にインストールされる。例えば非書き込み記録媒体(CD−ROM、ROMカード等)、書き込み可能記録媒体(FD、DVD等)、更にはネットワークNを利用して通信媒体の形式でインストールすることも可能である。勿論、不揮発メモリ124、125やハードディスク装置127に予めこれらのプログラムを書きこんでおくこともできる。
【0039】
以下、駐車場入口情報作成システムの動作を説明する(図4のフローチャート参照)。
プローブカーP1はそのナビゲーションシステムを作動させて目的地を設定し、その結果、目的地の最寄り道路等の道路上の地点が案内終了地点として特定され、ここに向けて経路案内されてきたものとする。
ステップ1及びステップ3では、経路案内が終了し、プローブカーP1が駐車状態であるか否かを判定する。具体的には、経路案内の終了は案内終了地点を通過したか否かにより判定し、駐車状態であるか否かは、ギアシフトがパーキングとなりかつイグニッションキーがオフになったか、若しくはパーキングの状態が所定時間継続したときに駐車状態と判定する。
【0040】
経路案内が終了して駐車状態にあるときは、案内終了地点から駐車位置までの走行履歴を保存する(ステップ5)。具体的には位置を表すプローブ情報を時系列的に配列する。このとき、マップマッチングによりプローブ情報をリンクへ関連付けることが好ましい。
ステップ7では駐車位置がリンクから外れているか否かを判定する。駐車位置がリンク上であるときには(ステップ7:N)、路上駐車であるので、処理を中止する。駐車位置がリンクからはずれていると、道路外においていずれかの駐車可能スペース駐車したこととなるので、ステップ9へ進む。
【0041】
ステップ9では、ステップ5で特定された走行履歴が案内終了地点の属するリンク(終了リンク)上で一定距離(本実施例では50m)以上走行しているとき、又は終了リンクと異なるリンクを走行しているとき、ステップ11へ進む。
なお、走行距離が上記一定距離未満であれば、案内終了地点に到着した運転手は駐車場の存在に容易に気づくので、更なる駐車場入口の案内は省略した。過剰な情報は装置に負担となり、また運転者にとっても好ましくないからである。
【0042】
ステップ11では、走行履歴において最終走行リンクから外れた当該最終走行リンク上の地点(逸脱地点)を特定する。なお、プローブ情報は所定のインターバルを取って取得されるので、地図上では点情報として表される。この例では、各点を直線で結び、この直線が最終走行リンクから外れる地点を逸脱地点とする。
この逸脱地点、目的地、駐車位置がサーバ装置60へ送られる(ステップ13)。
【0043】
図5はサーバ装置60の動作を示す。
ステップ21ではプローブカーP1から送られてきた逸脱地点、目的地、駐車位置をプローブカー情報保存部61に保存する。
ステップ23では駐車ポリゴン特定部63がプローブカー情報保存部61から駐車位置を読み出し、さらにナビゲーション情報保存部の背景情報保存部134の情報に照らして、駐車位置の属するポリゴンを特定する。
ステップ24では、逸脱地点登録部64が目的地をプローブカー情報保存部61から読み出し、施設情報保存部136の情報を参照して特定されたポリゴンが読み出した目的地に関係するものであるか否かを判定する。
【0044】
特定したポリゴンが目的地に関係するものであったとき(ステップ24:Y)、逸脱地点登録部64はプローブカー情報保存部61から逸脱地点を読み出して、登録し、これを蓄積部65へ蓄積する。
ステップ26では蓄積部65に蓄積された逸脱地点の情報量nが充分量(この例では5以上とした)になったら、駐車場入口特定部67が蓄積部65に蓄積された全ての登録逸脱地点を読み出し、それらの中心座標を特定する。このようにして特定された中心座標を駐車場入口の中心位置とし、その座標を駐車場入口情報作成部69へ送る。
【0045】
この座標を受けた駐車場入口情報作成部69は、ナビゲーション情報保存部130へ保存することに適したデータに変換し、駐車場情報保存部に137へ書き込み保存する(ステップ29)。
上記において、ステップ23からステップ27はプローブカー側において実行しても良い。
【0046】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1 駐車場入口情報作成システム
11 目的地保存部
13 案内終了地点特定部
14 駐車位置特定部
15 走行履歴保存部
17 走行履歴処理部
30,130 ナビゲーション情報保存部
60 サーバ装置
63 駐車ポリゴン特定部
64 逸脱地点登録部
67 駐車場入口特定部
69 駐車場入口情報作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションシステムの案内対象の目的地に対応する案内終了地点から駐車位置までの走行履歴を保存するステップと、
前記走行履歴が所定の条件を満足し、かつ前記駐車位置がリンク外であるとき、最終走行リンクから逸脱した逸脱地点を特定するステップと、
プローブカーの駐車位置の属するポリゴンを特定するステップと、
前記特定されたポリゴンの施設情報が前記目的地に関係付けられているとき、前記逸脱地点を登録するステップと、
前記登録された逸脱地点に基づき、前記目的地の駐車場入口を特定するステップと、
を備える、ことを特徴とする駐車場入口情報作成方法。
【請求項2】
前記駐車場入口を特定するステップは、前記登録された逸脱地点の分布に基づき、前記駐車場入口を特定する、ことを特徴とする請求項1に記載の駐車場入口情報作成方法。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記案内終了地点から該案内終了地点の属する終了リンクを所定距離以上走行したものであること、又は前記終了リンク以外のリンクを走行したものであること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駐車場入口情報作成方法。
【請求項4】
プローブカーとサーバ装置とを備えてなる駐車場の入口情報を作成する駐車入口情報作成システムであって、
前記プローブカーは、
案内対象の目的地を保存する目的地保存部、
案内終了地点からの走行履歴を保存する走行履歴保存部、
駐車位置を特定する駐車位置特定部、
前記案内終了地点から前記駐車位置までの走行履歴が所定の条件を満足し、かつ前記駐車位置がリンク外であるとき、最終走行リンクから逸脱した逸脱地点を特定する走行履歴処理部、
前記目的地、前記駐車位置及び前記逸脱地点を前記サーバ装置へ送る手段、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記プローブカーからの前記目的地、前記駐車位置及び前記逸脱地点を保存するプローブカー情報保存部と、
前記駐車位置より前記プローブカーの駐車位置の属するポリゴンを特定する駐車ポリゴン特定部と、
前記特定されたポリゴンの施設情報が前記目的地に関係付けられているとき、前記逸脱地点を登録する逸脱地点登録部と、
該登録された逸脱地点に基づき、前記目的地の駐車場入口を特定する駐車場入口特定部と、
を備える、ことを特徴とする駐車場入口情報作成システム。
【請求項5】
前記駐車場入口特定部は前記登録された逸脱地点の分布に基づき、前記駐車場入口を特定する、ことを特徴とする請求項4に記載の駐車場入口情報作成システム。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記案内終了地点から該案内終了地点の属する終了リンクを所定距離以上走行したものであること、又は前記終了リンク以外のリンクを走行したものである、ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の駐車場入口情報作成システム。
【請求項7】
駐車場の入口情報を作成するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
ナビゲーションシステムの案内対象の目的地に対応する案内終了地点から駐車位置までの走行履歴を保存する手段と、
前記走行履歴が所定の条件を満足し、かつ前記駐車位置がリンク外であるとき、最終走行リンクから逸脱した逸脱地点を特定する手段と、
プローブカーの駐車位置の属するポリゴンを特定する手段と、
前記特定されたポリゴンの施設情報が前記目的地に関係付けられているとき、前記逸脱地点を登録する手段と、
前記登録された逸脱地点に基づき、前記目的地の駐車場入口を特定する手段、
として機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記駐車場入口を特定する手段は、前記登録された逸脱地点の分布に基づき、前記駐車場入口を特定する、ことを特徴とする請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記所定の条件は、前記案内終了地点から該案内終了地点の属する終了リンクを所定距離以上走行したものであること、又は前記終了リンク以外のリンクを走行したものであること、を特徴とする請求項7又は請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載のコンピュータプログラムを記録する記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−230420(P2010−230420A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76938(P2009−76938)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【Fターム(参考)】