駐車支援装置
【課題】より適切に運転者の駐車操作を支援することができる駐車支援装置を提供すること。
【解決手段】本発明による駐車支援装置1は、車両の駐車位置を探索する探索手段2aと、前記駐車位置に対応する一連の駐車操作と駐車軌跡を駐車情報として検出する検出手段2bと、前記駐車情報を記憶する記憶手段73と、前記記憶手段に記憶された前記駐車位置における前回の前記駐車情報と前記検出手段が検出した今回の前記駐車情報とを比較して、今回の前記駐車情報を構成する駐車操作が少ない場合に、前回の前記駐車情報を今回の前記駐車情報に更新する更新手段72を備えることを特徴とする。
【解決手段】本発明による駐車支援装置1は、車両の駐車位置を探索する探索手段2aと、前記駐車位置に対応する一連の駐車操作と駐車軌跡を駐車情報として検出する検出手段2bと、前記駐車情報を記憶する記憶手段73と、前記記憶手段に記憶された前記駐車位置における前回の前記駐車情報と前記検出手段が検出した今回の前記駐車情報とを比較して、今回の前記駐車情報を構成する駐車操作が少ない場合に、前回の前記駐車情報を今回の前記駐車情報に更新する更新手段72を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両に適用して好適な運転者の駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に車両を駐車させる操作は運転者にとって習熟を必要とするものであり、運転者の熟練度が低い場合には円滑な駐車操作ができずに運転者の操作負担の増加を伴うことがある。そのため、近年においては、特許文献1に記載されているような駐車支援装置が提案されており、車両に駐車場の環境を画像として入力して、その画像を処理して、円滑に駐車ができた場合の駐車操作を処理した画像として学習して、その画像と現在の画像とを比較して、切り返しすることが必要である場合に、運転者に危険を報知することが提案されている。
【特許文献1】特開平7−114700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このような駐車支援装置においては、車両が常に同じ駐車場に駐車する場合でしか運転者を支援することができず、多数の異なる駐車場に運転者が車両を駐車させたい場合において、運転者を十分に支援することができず、運転支援装置としては依然として適切なものではなかった。
【0004】
また、現在の市場においてはいわゆるIPA(Intelligent Parking Assist)が搭載されている車両もあり、そのような車両においては目標駐車位置をカメラにより撮像した画像を用いた白線認識又は障害物検知により設定して、それにより自動操舵して駐車操作の支援を行うことが行われているが、このようなIPAによっては、目標駐車位置に白線が無く白線認識ができない場合や、壁面等の障害物の存在により画像内に目標駐車位置が映らない場合等においてはやはり適切に駐車操作の支援ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、より適切に運転者の駐車操作を支援することができる駐車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決するため、本発明に係る駐車支援装置は、
車両の駐車位置を探索する探索手段と、前記駐車位置に対応する一連の駐車操作と駐車軌跡を駐車情報として検出する検出手段と、前記駐車情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記駐車位置における前回の前記駐車情報と前記検出手段が検出した今回の前記駐車情報とを比較して、今回の前記駐車情報を構成する駐車操作が少ない場合に、前回の前記駐車情報を今回の前記駐車情報に更新する更新手段を備えることを特徴とする。
【0007】
なお、前記一連の駐車操作とは、前記駐車位置に駐車するために必要な操作を言い、具体的には、シフト操作、操舵操作、アクセル操作、ブレーキ操作等を指す。また、駐車操作が少ないとは、これらの操作の時間経過に伴うトータルの回数が少ないことを言う。
【0008】
つまり、熟練した運転者によるより円滑な一連の駐車操作においては、例えば、後退を選択するシフト操作、アクセル操作、ハンドルを切るための操舵操作、ハンドルを戻すための操舵操作、ブレーキ操作が各々一回で済み、熟練していない運転者の一連の駐車操作においては、途中で一旦停止や切り返しを行わざるを得なくなり、この場合には、これらの操作の回数が増えると共に前進を選択するシフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作が追加されてより多い操作回数となる。
【0009】
ここで、前記探索手段と前記検出手段を複数の車両に備え、前記記憶手段と前記更新手段を路側に備えるとともに、前記検出手段と前記記憶手段とを相互に接続する通信手段を備えることが好ましい。
【0010】
これによれば、複数の車両において、前記検出手段により前記駐車情報を検出して、これを路側の前記記憶手段及び前記更新手段により集約して、同一の前記駐車位置における最も前記駐車操作が少ない熟練した運転者による前記駐車情報をデータベース化することができ、今回及び次回にこの同一の前記駐車位置に運転者が駐車しようとする場合に、この熟練した運転者による前記駐車情報を利用することができる。これにより、より適切に運転者の駐車操作を支援することができる。
【0011】
またこれによれば、IPAを搭載した車両において、目標駐車位置に白線が無く白線認識ができない場合や、画像内に目標駐車位置が映らない場合等においても、データベース化した熟練した運転者による前記駐車情報により、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0012】
さらに、前記駐車情報が車種を含むと共に、前記記憶手段が前記駐車情報を車種毎に記憶するとともに、前記更新手段が前記駐車情報を車種毎に更新することが好ましい。
【0013】
これによれば、前記記憶手段により記憶される前記熟練した運転者による前記駐車情報を、車種毎に区分してデータベース化することができ、車種毎に車幅や車両長、最小旋回半径が異なることに起因して、車種毎に適切な前記駐車情報も変化することに対応して、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より適切に運転者の駐車操作を支援することができる駐車支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明に係わる駐車支援装置の一実施形態を示す模式図である。駐車支援装置1は、複数の車両に備えられた、駐車支援ECU(Electronic Control Unit)2と、路側の情報センタに備えられたサーバ3と、基地局4とを備えて構成される。駐車支援ECU2と、サーバ3とは、ネットワークを介して接続される。
【0017】
このネットワークは、例えば、携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN網、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)網、衛星電話、ビーコン等の無線にて構成されて、通信手段を構成するものである。
【0018】
なお、駐車支援ECU2とサーバ3の通信を実現するネットワークは、PPPプロトコル(Point to Point Protocol)に従うものでありPPPプロトコルによりこれらの間でデータリンクを確立し、上位層であるTCP/IPプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、TCP/IPと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)を実現して、データの送受信を可能とするものである。
【0019】
次に情報センタのサーバ3について図を用いて詳細に説明する。図2は、本発明に係わる駐車支援装置1の一部をなす路側の情報センタのサーバ3を示す模式図である。
【0020】
図2に示すように、サーバ3はそれぞれバスで相互に接続されているCPU71、主記憶装置72、HDDなどの記憶装置73、表示装置74、入力装置75、ドライブ装置76及び通信装置77を備えて、記憶手段と更新手段を構成する。
【0021】
CPU71は、OSやアプリケーションなどのプログラムを記憶装置73から読み込んで実行することで種々の機能を提供すると共に、サーバ3が行う処理を統括的に制御するものである。主記憶装置72はRAMにより構成され、OSやプログラム、データを一時保管する作業領域を構成する。記憶装置73は、HDDやフラッシュメモリなど不揮発性メモリであり、OS、プログラム、ドライバ等のファイルを格納し記憶している。
【0022】
表示装置74は、CPU71が実行するプログラムに基づく画面情報を所定の解像度や色数等で液晶ディスプレイにより描画するものであって、このディスプレイは例えば、GUI(Graphical User Interface)画面を形成し、操作に必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するものである。
【0023】
入力装置75はキーボードやマウスなどで構成され、ユーザからの様々な操作指示をサーバ3に入力するために設けられるものである。さらに、ドライブ装置76は、記憶媒体78が挿入可能に構成されており、記憶媒体78に記憶されたデータを読み取って主記憶装置72等に送信するものである。通信装置77は、前述したネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えばモデム、NIC等で構成される。
【0024】
このように構成されるサーバ3において、CPU71がプログラムを実行することで、サーバ3は、駐車支援ECU2から基地局4を介して送信された各車両における駐車情報を受信し、記憶装置73に前回までに記憶されている駐車情報のうち車種と駐車位置が同一であるものを読み出す。さらに、サーバ3は、受信された各車両における駐車情報を構成する駐車操作が、記憶装置73に前回までに記憶されている駐車情報を構成する駐車操作よりも少ない場合に、前回までに記憶されている駐車情報を受信された各車両における駐車情報に更新して記憶する。
【0025】
通常、熟練した運転者による駐車情報においては、後退を選択するシフト操作、アクセル操作、ハンドルを切るための操舵操作、ハンドルを戻すための操舵操作、ブレーキ操作が各々一回で済み、熟練していない運転者の駐車情報においては、途中で切り返しを行わざるを得なくなり、この場合には、これらの操作の回数が増えると共に前進を選択するシフト操作がなされてより多い操作回数となる。
【0026】
このため、受信された各車両における駐車情報があらかじめ記憶された駐車情報に比べて、より熟練した運転者によるものと判定される場合には、受信された各車両における駐車情報によりあらかじめ記憶された駐車情報を更新するのである。
【0027】
さらに、各車両の駐車支援ECU2から、車種と駐車位置に対応する駐車情報を要求する指令が基地局4を介してサーバ3が受信した場合は、サーバ3は、その車種と駐車位置に対応する駐車情報を、基地局4を介して要求指令をした駐車支援ECU2に基地局4を介して送信する。
【0028】
次に駐車支援ECU2について図を用いて詳細に説明する。図3は、本発明に係わる駐車支援装置1の一部をなす駐車支援ECU2の一実施態様を示す模式図である。
【0029】
駐車支援ECU2には、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)アンテナ5と、IMU(イナーシャメジャメントユニット)6と、受信機7と、データベース8と、ディスプレイ9と、スピーカ10と、タッチパネル11が接続される。
【0030】
さらに、駐車支援ECU2には、ABS(Anti-lock Brake System)12と、通信装置13と、エンジンECU14と、ステアリングECU15がCAN(Controller Area Network)等の通信規格により接続される。
【0031】
駐車支援ECU2は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、以下に述べるそれぞれの制御を行う探索手段2a、検出手段2b、表示手段2cとして機能するものである。
【0032】
通信装置13は、駐車支援ECU2が前述したネットワークに接続して駐車情報を基地局4を介してサーバ3と送受信するためのインターフェイスであり、送信機及び受信機で構成される。
【0033】
エンジンECU14は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、以下に述べるそれぞれの制御を行うものであって、例えばアクセル開度に応じてアクセルマップを参照して目標トルクついでエンジン制御量等を決定し、また、目標の加速度となるようにシフトマップを参照してトランスミッションを制御する。
【0034】
ステアリングECU15は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、以下に述べるそれぞれの制御を行うものであって、運転者がステアリングホイールにより入力した操作力と、ステアリングセンサにより検出した操舵角に基づいて、ここでは図示しないパワーステアリング装置の操舵角を制御するものである。
【0035】
GPSアンテナ5は、地球上空に打ち上げられた複数の軍事衛星の内三個の軍事衛星からの電波を受信し、これらの電波をもとに、駐車支援ECU2の探索手段2aは、例えば三角測量の原理で自車位置つまりは経度と緯度を測定する。なお、経度と緯度に加え高度も測定する場合には四個の軍事衛星を用いる。
【0036】
ここで、IMU6は車両のヨーレートを検出するものである。データベース8はCD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体により構成され、表示用の地図情報と、探索用の地図情報を格納し記憶している。タッチパネル11はユーザが目的地等の探索条件を入力する入力装置であり、ディスプレイ9は駐車支援ECU2の探索手段2aが探索した自車位置を駐車支援ECU2の表示手段2cの指令に基づき表示用の地図情報とともに表示するものであって、このタッチパネル11とディスプレイ9は一つのマルチインフォメーションディスプレイにより構成されている。
【0037】
また、ABS12は制動時の車輪のロックを防止する装置であり、その制御に用いるための車速を図示しない車輪速センサから取得しており、駐車支援ECU2はその車速をABS12からCAN等の通信規格による送信により取得している。
【0038】
さらに、受信機7は光あるいは電波ビーコンに準拠したものであり、VICS(Vehicle Information & Communication System:道路交通情報システム)からの道路情報を受信する。
【0039】
上述したGPSアンテナ5を用いた駐車支援ECU2の探索手段2aによる自車位置の測定は、軍事衛星からの電波を利用する特性上、高層ビルの谷間に自車が位置する場合やトンネル内を自車が走行している場合、あるいは、高架橋の下を自車が走行している場合などでは軍事衛星からの電波をGPSアンテナ5が受信できないため、自車位置が測定できないという問題が生じる。
【0040】
このため、GPSアンテナ5が軍事衛星から電波を受信できない場合には、駐車支援ECU2の探索手段2aは、ABS12が検出した車速とIMU6が検出したヨーレート、ステアリングECU15が検出した操舵角をもとにして、自車の移動距離と方向を計算して自車位置を測定する。これにより、GPSアンテナ5を用いた自車位置の測定と併せて、トータルの自車位置の測定の精度を高めている。
【0041】
そして、駐車支援ECU2の検出手段2bは、上述した方法により測定した自車位置から駐車位置と駐車開始位置と駐車軌跡を検出し、エンジンECU14からCANを介してシフト操作、アクセル操作を検出し、ABS12からCANを介してブレーキ操作を検出し、ステアリングECU15からCANを介して操舵操作を検出する。これと共に、検出手段2bは車種と、駐車位置と、駐車開始位置と、駐車軌跡と、シフト操作と、アクセル操作と、ブレーキ操作と、操舵操作との組み合わせから駐車情報を作成し、この駐車情報を、基地局4を介してサーバ3に送信する。なお、駐車開始位置とは、駐車位置に車両を導くにあたり一旦前進又は後退する位置を言う。
【0042】
さらに、今回及び次回の駐車において駐車支援ECU2の表示手段2cは、探索手段2aの探索した自車位置と表示用の地図情報をディスプレイ9により表示し、運転者がタッチパネル11により、駐車位置を指定すると、駐車支援ECU2の検出手段2bは、車種と駐車位置に対応する駐車情報を、基地局4を介してサーバ3に要求する指令を出力し、サーバ3から対応する駐車情報を取得する。そこで、駐車支援ECU2の表示手段2cは、サーバ3から取得した対応する駐車情報に基づいて、ディスプレイ9を用いて駐車開始位置、駐車軌跡、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を運転者に表示する。
【0043】
以下に以上述べた駐車支援ECU2の制御内容を、フローチャートと図を用いて説明する。図4は、本発明に係わる駐車支援装置1の制御内容を示すフローチャートである。また、図5は、本発明に係わる駐車支援装置1で用いられる駐車情報の一例を示す模式図である。
【0044】
S1において、各車両の駐車支援ECU2の探索手段2aは、上述した方法により自車位置を測定し、S2において、駐車支援ECU2の検出手段2bは、駐車開始位置、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作、駐車位置を検出する。
【0045】
つづいて、S3において、駐車支援ECU2の検出手段2bは、S2において検出された駐車開始位置、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作、駐車位置に車種の情報を加えて、駐車情報Aを作成する。
【0046】
さらに、S4において、駐車支援ECU2の検出手段2bは、S3において作成した駐車情報Aを、基地局4を介してサーバ3に送信する。S5において、サーバ3は駐車情報Aを受信し、さらに、S6において、サーバ3は、駐車情報Aに含まれる車種と、駐車位置に対応する、あらかじめ記録された駐車情報Bを記憶装置73から読み出す。
【0047】
次に、S7において、サーバ3は、駐車情報Aの一連の駐車操作、つまりは、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作の時間経過に伴うトータルの回数が、駐車情報Bの一連の駐車操作より少ないかどうかを判定し、少ない場合には、S8にすすみ、少ないと判定されない場合には制御を終了する。
【0048】
すなわち、S7において、駐車情報Aの一連の駐車操作が、駐車情報Bの一連の駐車操作より少ないと判定される場合には、駐車情報Aは駐車情報Bに比べて、より熟練した運転者によりなされた駐車情報であるので、S8において、サーバ3の記憶装置73内の駐車情報Bを駐車情報Aにより更新し、新たに駐車情報Aを記憶装置73内に記憶する。
【0049】
例えば、サーバ3内に記憶されている駐車情報Bと新たに作成された駐車情報Aが、図5に示すようなものであり、共に車種はaで駐車位置はbであるとする。駐車情報Bにおいては、一度切り返しの操作が入っているために、全体の一連の駐車操作の回数は13回であり、駐車情報Aにおいては一連の駐車操作の回数が5回であったとすると、上述したS7において、サーバ3は、駐車情報Aの方が駐車情報Bに比べて一連の駐車操作の回数が少なく、より熟練した運転者によるものであると判定し、駐車情報Aにより、駐車情報Bを更新する。
【0050】
S8において、サーバ3が駐車情報Aにより駐車情報Bを更新した後、S9において、サーバ3は、駐車支援ECU2からの要求指令に基づいて、駐車支援ECU2に対して駐車情報Aを送信し、S10において、駐車支援ECU2の検出手段2bは基地局4を介して駐車情報Aを受信し、S11において、駐車支援ECU2の表示手段2cは駐車情報Aをディスプレイ9により運転者に対して表示する。
【0051】
S7において、駐車情報Aの一連の駐車操作が、駐車情報Bの一連の駐車操作より少ないと判定されない場合には、S12にすすみ、サーバ3は、駐車支援ECU2からの要求指令に基づいて、駐車支援ECU2に対して駐車情報Bを送信し、S13において、駐車支援ECU2の検出手段2bは基地局4を介して駐車情報Bを受信し、S14において、駐車支援ECU2の表示手段2cは駐車情報Bをディスプレイ9により運転者に対して表示する。
【0052】
これらの制御内容により実現される本実施例の駐車支援装置1によれば、複数の車両において、駐車支援ECU2の検出手段2aによりシフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作等の駐車操作を検出して、駐車情報を作成し、この駐車情報を路側のサーバ3により集約して、同一の駐車位置における最も駐車操作が少ない熟練した運転者による駐車情報をデータベース化することができる。
【0053】
さらに、この最も駐車操作が少ない熟練した運転者による駐車情報を随時更新して、新たに最も駐車操作が少ない熟練した運転者による駐車情報を取得した場合には、その最新の駐車情報を今回及び次回の駐車において活用することができる。
【0054】
これにより、今回及び次回にこの同一の駐車位置に運転者が車両を駐車させようとする場合に、この熟練した運転者による駐車情報をサーバ3から読み出して駐車支援ECU2に送信するように、駐車支援ECU2からサーバ3に対して要求指令を送信して、この駐車情報を、基地局4を介して受信して取得し、表示手段2cにより運転者に対して表示することにより、運転者はこの熟練した運転者による駐車情報を利用して、適切な駐車開始位置や駐車軌跡、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を認識することができる。これにより、より適切に運転者の駐車操作を支援することができる。
【0055】
また本実施例によれば、IPAを搭載した車両において、目標とする駐車位置に白線が無く白線認識ができない場合や、画像内に目標とする駐車位置が映らない場合に目標駐車位置の設定ができず、IPAによる自動操舵ができない状況においても、データベース化した熟練した運転者による駐車情報を運転者に表示して、適切な駐車開始位置や駐車軌跡、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を運転者に認識させることにより、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0056】
また、サーバ3により記憶される熟練した運転者による駐車情報を、車種毎に区分してデータベース化することができるので、車種毎に車幅や車両長、最小旋回半径が異なることに起因して、車種毎に適切な駐車情報も変化することに対応して、車種毎の駐車情報を運転者に表示することができ、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0057】
さらに、サーバ3により記憶される駐車情報を、駐車位置毎に区分してデータベース化することができるので、運転者が異なる駐車位置にて駐車しようと意図している場合でも、駐車位置に対応した駐車情報を運転者に対して表示して、適切な駐車開始位置や駐車軌跡、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を運転者に認識させることができるので、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0058】
また、従来技術のように画像の相違により、運転者に駐車運転時の危険を報知することに比べて、駐車開始位置や駐車軌跡、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を運転者に認識させることができるので、運転者にとってより有益な情報を提供して、運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0059】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0060】
例えば、上述した実施例においては、駐車運転時において操舵操作を運転者に表示することにとどめたが、運転支援ECU2の指令に基づいて、ステアリングECU15が操舵角を自動的に制御する構成として、運転者はシフト操作とアクセル操作とブレーキ操作のみを行う構成としても良い。
【0061】
さらに、上述した実施例においてはサーバ3と基地局4を用いて、複数の車両の駐車支援ECU2によりネットワークを構成して、サーバ3に記憶手段と更新手段の機能を実現させているが、一つの車両の駐車支援ECU2に記憶手段と更新手段の機能を備えさせる構成としても良い。
【0062】
これによっても、駐車情報を、駐車位置毎に区分してデータベース化することはできるので、運転者が異なる駐車位置にて駐車しようと意図している場合において、駐車位置に対応した駐車情報を運転者に対して表示して、適切な駐車開始位置や駐車軌跡、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を運転者に認識させることができるので、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0063】
また、サーバ3の記憶媒体78を用いて、他の駐車支援ECU2とサーバ3が構成するネットワークにより作成された駐車情報を共有して、この駐車情報のうち車種及び駐車位置が同一の駐車情報を抽出して、熟練者による駐車情報のデータベース化をさらに充実したものとすることもできる。
【0064】
さらに、複数種類のネットワークに属するサーバ3により作成された駐車情報を、各サーバの記憶媒体78を用いて集約して、熟練者による駐車情報のデータベースを再構築して、再構築されたデータベースを再度各ネットワークに属するサーバ3に供給して、駐車情報のさらなる共有化を図ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、より適切に運転者の駐車操作を支援することができる駐車支援装置に関するものであり、比較的軽微な制御上の変更により、所望の効果を得ることができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る駐車支援装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る駐車支援装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る駐車支援装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る駐車支援装置の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る駐車支援装置の一実施形態により作成された駐車情報の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0067】
1 駐車支援装置
2 駐車支援ECU
3 サーバ
4 基地局
5 GPSアンテナ
6 IMU
7 受信機
8 データベース
9 ディスプレイ
10 スピーカ
11 タッチパネル
12 ABS
13 通信装置
14 エンジンECU
15 ステアリングECU
71 CPU
72 主記憶装置
73 記憶装置
74 表示装置
75 入力装置
76 ドライブ装置
77 通信装置
78 記憶媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両に適用して好適な運転者の駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に車両を駐車させる操作は運転者にとって習熟を必要とするものであり、運転者の熟練度が低い場合には円滑な駐車操作ができずに運転者の操作負担の増加を伴うことがある。そのため、近年においては、特許文献1に記載されているような駐車支援装置が提案されており、車両に駐車場の環境を画像として入力して、その画像を処理して、円滑に駐車ができた場合の駐車操作を処理した画像として学習して、その画像と現在の画像とを比較して、切り返しすることが必要である場合に、運転者に危険を報知することが提案されている。
【特許文献1】特開平7−114700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このような駐車支援装置においては、車両が常に同じ駐車場に駐車する場合でしか運転者を支援することができず、多数の異なる駐車場に運転者が車両を駐車させたい場合において、運転者を十分に支援することができず、運転支援装置としては依然として適切なものではなかった。
【0004】
また、現在の市場においてはいわゆるIPA(Intelligent Parking Assist)が搭載されている車両もあり、そのような車両においては目標駐車位置をカメラにより撮像した画像を用いた白線認識又は障害物検知により設定して、それにより自動操舵して駐車操作の支援を行うことが行われているが、このようなIPAによっては、目標駐車位置に白線が無く白線認識ができない場合や、壁面等の障害物の存在により画像内に目標駐車位置が映らない場合等においてはやはり適切に駐車操作の支援ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、より適切に運転者の駐車操作を支援することができる駐車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決するため、本発明に係る駐車支援装置は、
車両の駐車位置を探索する探索手段と、前記駐車位置に対応する一連の駐車操作と駐車軌跡を駐車情報として検出する検出手段と、前記駐車情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記駐車位置における前回の前記駐車情報と前記検出手段が検出した今回の前記駐車情報とを比較して、今回の前記駐車情報を構成する駐車操作が少ない場合に、前回の前記駐車情報を今回の前記駐車情報に更新する更新手段を備えることを特徴とする。
【0007】
なお、前記一連の駐車操作とは、前記駐車位置に駐車するために必要な操作を言い、具体的には、シフト操作、操舵操作、アクセル操作、ブレーキ操作等を指す。また、駐車操作が少ないとは、これらの操作の時間経過に伴うトータルの回数が少ないことを言う。
【0008】
つまり、熟練した運転者によるより円滑な一連の駐車操作においては、例えば、後退を選択するシフト操作、アクセル操作、ハンドルを切るための操舵操作、ハンドルを戻すための操舵操作、ブレーキ操作が各々一回で済み、熟練していない運転者の一連の駐車操作においては、途中で一旦停止や切り返しを行わざるを得なくなり、この場合には、これらの操作の回数が増えると共に前進を選択するシフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作が追加されてより多い操作回数となる。
【0009】
ここで、前記探索手段と前記検出手段を複数の車両に備え、前記記憶手段と前記更新手段を路側に備えるとともに、前記検出手段と前記記憶手段とを相互に接続する通信手段を備えることが好ましい。
【0010】
これによれば、複数の車両において、前記検出手段により前記駐車情報を検出して、これを路側の前記記憶手段及び前記更新手段により集約して、同一の前記駐車位置における最も前記駐車操作が少ない熟練した運転者による前記駐車情報をデータベース化することができ、今回及び次回にこの同一の前記駐車位置に運転者が駐車しようとする場合に、この熟練した運転者による前記駐車情報を利用することができる。これにより、より適切に運転者の駐車操作を支援することができる。
【0011】
またこれによれば、IPAを搭載した車両において、目標駐車位置に白線が無く白線認識ができない場合や、画像内に目標駐車位置が映らない場合等においても、データベース化した熟練した運転者による前記駐車情報により、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0012】
さらに、前記駐車情報が車種を含むと共に、前記記憶手段が前記駐車情報を車種毎に記憶するとともに、前記更新手段が前記駐車情報を車種毎に更新することが好ましい。
【0013】
これによれば、前記記憶手段により記憶される前記熟練した運転者による前記駐車情報を、車種毎に区分してデータベース化することができ、車種毎に車幅や車両長、最小旋回半径が異なることに起因して、車種毎に適切な前記駐車情報も変化することに対応して、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より適切に運転者の駐車操作を支援することができる駐車支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明に係わる駐車支援装置の一実施形態を示す模式図である。駐車支援装置1は、複数の車両に備えられた、駐車支援ECU(Electronic Control Unit)2と、路側の情報センタに備えられたサーバ3と、基地局4とを備えて構成される。駐車支援ECU2と、サーバ3とは、ネットワークを介して接続される。
【0017】
このネットワークは、例えば、携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN網、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)網、衛星電話、ビーコン等の無線にて構成されて、通信手段を構成するものである。
【0018】
なお、駐車支援ECU2とサーバ3の通信を実現するネットワークは、PPPプロトコル(Point to Point Protocol)に従うものでありPPPプロトコルによりこれらの間でデータリンクを確立し、上位層であるTCP/IPプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、TCP/IPと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)を実現して、データの送受信を可能とするものである。
【0019】
次に情報センタのサーバ3について図を用いて詳細に説明する。図2は、本発明に係わる駐車支援装置1の一部をなす路側の情報センタのサーバ3を示す模式図である。
【0020】
図2に示すように、サーバ3はそれぞれバスで相互に接続されているCPU71、主記憶装置72、HDDなどの記憶装置73、表示装置74、入力装置75、ドライブ装置76及び通信装置77を備えて、記憶手段と更新手段を構成する。
【0021】
CPU71は、OSやアプリケーションなどのプログラムを記憶装置73から読み込んで実行することで種々の機能を提供すると共に、サーバ3が行う処理を統括的に制御するものである。主記憶装置72はRAMにより構成され、OSやプログラム、データを一時保管する作業領域を構成する。記憶装置73は、HDDやフラッシュメモリなど不揮発性メモリであり、OS、プログラム、ドライバ等のファイルを格納し記憶している。
【0022】
表示装置74は、CPU71が実行するプログラムに基づく画面情報を所定の解像度や色数等で液晶ディスプレイにより描画するものであって、このディスプレイは例えば、GUI(Graphical User Interface)画面を形成し、操作に必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するものである。
【0023】
入力装置75はキーボードやマウスなどで構成され、ユーザからの様々な操作指示をサーバ3に入力するために設けられるものである。さらに、ドライブ装置76は、記憶媒体78が挿入可能に構成されており、記憶媒体78に記憶されたデータを読み取って主記憶装置72等に送信するものである。通信装置77は、前述したネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えばモデム、NIC等で構成される。
【0024】
このように構成されるサーバ3において、CPU71がプログラムを実行することで、サーバ3は、駐車支援ECU2から基地局4を介して送信された各車両における駐車情報を受信し、記憶装置73に前回までに記憶されている駐車情報のうち車種と駐車位置が同一であるものを読み出す。さらに、サーバ3は、受信された各車両における駐車情報を構成する駐車操作が、記憶装置73に前回までに記憶されている駐車情報を構成する駐車操作よりも少ない場合に、前回までに記憶されている駐車情報を受信された各車両における駐車情報に更新して記憶する。
【0025】
通常、熟練した運転者による駐車情報においては、後退を選択するシフト操作、アクセル操作、ハンドルを切るための操舵操作、ハンドルを戻すための操舵操作、ブレーキ操作が各々一回で済み、熟練していない運転者の駐車情報においては、途中で切り返しを行わざるを得なくなり、この場合には、これらの操作の回数が増えると共に前進を選択するシフト操作がなされてより多い操作回数となる。
【0026】
このため、受信された各車両における駐車情報があらかじめ記憶された駐車情報に比べて、より熟練した運転者によるものと判定される場合には、受信された各車両における駐車情報によりあらかじめ記憶された駐車情報を更新するのである。
【0027】
さらに、各車両の駐車支援ECU2から、車種と駐車位置に対応する駐車情報を要求する指令が基地局4を介してサーバ3が受信した場合は、サーバ3は、その車種と駐車位置に対応する駐車情報を、基地局4を介して要求指令をした駐車支援ECU2に基地局4を介して送信する。
【0028】
次に駐車支援ECU2について図を用いて詳細に説明する。図3は、本発明に係わる駐車支援装置1の一部をなす駐車支援ECU2の一実施態様を示す模式図である。
【0029】
駐車支援ECU2には、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)アンテナ5と、IMU(イナーシャメジャメントユニット)6と、受信機7と、データベース8と、ディスプレイ9と、スピーカ10と、タッチパネル11が接続される。
【0030】
さらに、駐車支援ECU2には、ABS(Anti-lock Brake System)12と、通信装置13と、エンジンECU14と、ステアリングECU15がCAN(Controller Area Network)等の通信規格により接続される。
【0031】
駐車支援ECU2は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、以下に述べるそれぞれの制御を行う探索手段2a、検出手段2b、表示手段2cとして機能するものである。
【0032】
通信装置13は、駐車支援ECU2が前述したネットワークに接続して駐車情報を基地局4を介してサーバ3と送受信するためのインターフェイスであり、送信機及び受信機で構成される。
【0033】
エンジンECU14は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、以下に述べるそれぞれの制御を行うものであって、例えばアクセル開度に応じてアクセルマップを参照して目標トルクついでエンジン制御量等を決定し、また、目標の加速度となるようにシフトマップを参照してトランスミッションを制御する。
【0034】
ステアリングECU15は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、以下に述べるそれぞれの制御を行うものであって、運転者がステアリングホイールにより入力した操作力と、ステアリングセンサにより検出した操舵角に基づいて、ここでは図示しないパワーステアリング装置の操舵角を制御するものである。
【0035】
GPSアンテナ5は、地球上空に打ち上げられた複数の軍事衛星の内三個の軍事衛星からの電波を受信し、これらの電波をもとに、駐車支援ECU2の探索手段2aは、例えば三角測量の原理で自車位置つまりは経度と緯度を測定する。なお、経度と緯度に加え高度も測定する場合には四個の軍事衛星を用いる。
【0036】
ここで、IMU6は車両のヨーレートを検出するものである。データベース8はCD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体により構成され、表示用の地図情報と、探索用の地図情報を格納し記憶している。タッチパネル11はユーザが目的地等の探索条件を入力する入力装置であり、ディスプレイ9は駐車支援ECU2の探索手段2aが探索した自車位置を駐車支援ECU2の表示手段2cの指令に基づき表示用の地図情報とともに表示するものであって、このタッチパネル11とディスプレイ9は一つのマルチインフォメーションディスプレイにより構成されている。
【0037】
また、ABS12は制動時の車輪のロックを防止する装置であり、その制御に用いるための車速を図示しない車輪速センサから取得しており、駐車支援ECU2はその車速をABS12からCAN等の通信規格による送信により取得している。
【0038】
さらに、受信機7は光あるいは電波ビーコンに準拠したものであり、VICS(Vehicle Information & Communication System:道路交通情報システム)からの道路情報を受信する。
【0039】
上述したGPSアンテナ5を用いた駐車支援ECU2の探索手段2aによる自車位置の測定は、軍事衛星からの電波を利用する特性上、高層ビルの谷間に自車が位置する場合やトンネル内を自車が走行している場合、あるいは、高架橋の下を自車が走行している場合などでは軍事衛星からの電波をGPSアンテナ5が受信できないため、自車位置が測定できないという問題が生じる。
【0040】
このため、GPSアンテナ5が軍事衛星から電波を受信できない場合には、駐車支援ECU2の探索手段2aは、ABS12が検出した車速とIMU6が検出したヨーレート、ステアリングECU15が検出した操舵角をもとにして、自車の移動距離と方向を計算して自車位置を測定する。これにより、GPSアンテナ5を用いた自車位置の測定と併せて、トータルの自車位置の測定の精度を高めている。
【0041】
そして、駐車支援ECU2の検出手段2bは、上述した方法により測定した自車位置から駐車位置と駐車開始位置と駐車軌跡を検出し、エンジンECU14からCANを介してシフト操作、アクセル操作を検出し、ABS12からCANを介してブレーキ操作を検出し、ステアリングECU15からCANを介して操舵操作を検出する。これと共に、検出手段2bは車種と、駐車位置と、駐車開始位置と、駐車軌跡と、シフト操作と、アクセル操作と、ブレーキ操作と、操舵操作との組み合わせから駐車情報を作成し、この駐車情報を、基地局4を介してサーバ3に送信する。なお、駐車開始位置とは、駐車位置に車両を導くにあたり一旦前進又は後退する位置を言う。
【0042】
さらに、今回及び次回の駐車において駐車支援ECU2の表示手段2cは、探索手段2aの探索した自車位置と表示用の地図情報をディスプレイ9により表示し、運転者がタッチパネル11により、駐車位置を指定すると、駐車支援ECU2の検出手段2bは、車種と駐車位置に対応する駐車情報を、基地局4を介してサーバ3に要求する指令を出力し、サーバ3から対応する駐車情報を取得する。そこで、駐車支援ECU2の表示手段2cは、サーバ3から取得した対応する駐車情報に基づいて、ディスプレイ9を用いて駐車開始位置、駐車軌跡、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を運転者に表示する。
【0043】
以下に以上述べた駐車支援ECU2の制御内容を、フローチャートと図を用いて説明する。図4は、本発明に係わる駐車支援装置1の制御内容を示すフローチャートである。また、図5は、本発明に係わる駐車支援装置1で用いられる駐車情報の一例を示す模式図である。
【0044】
S1において、各車両の駐車支援ECU2の探索手段2aは、上述した方法により自車位置を測定し、S2において、駐車支援ECU2の検出手段2bは、駐車開始位置、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作、駐車位置を検出する。
【0045】
つづいて、S3において、駐車支援ECU2の検出手段2bは、S2において検出された駐車開始位置、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作、駐車位置に車種の情報を加えて、駐車情報Aを作成する。
【0046】
さらに、S4において、駐車支援ECU2の検出手段2bは、S3において作成した駐車情報Aを、基地局4を介してサーバ3に送信する。S5において、サーバ3は駐車情報Aを受信し、さらに、S6において、サーバ3は、駐車情報Aに含まれる車種と、駐車位置に対応する、あらかじめ記録された駐車情報Bを記憶装置73から読み出す。
【0047】
次に、S7において、サーバ3は、駐車情報Aの一連の駐車操作、つまりは、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作の時間経過に伴うトータルの回数が、駐車情報Bの一連の駐車操作より少ないかどうかを判定し、少ない場合には、S8にすすみ、少ないと判定されない場合には制御を終了する。
【0048】
すなわち、S7において、駐車情報Aの一連の駐車操作が、駐車情報Bの一連の駐車操作より少ないと判定される場合には、駐車情報Aは駐車情報Bに比べて、より熟練した運転者によりなされた駐車情報であるので、S8において、サーバ3の記憶装置73内の駐車情報Bを駐車情報Aにより更新し、新たに駐車情報Aを記憶装置73内に記憶する。
【0049】
例えば、サーバ3内に記憶されている駐車情報Bと新たに作成された駐車情報Aが、図5に示すようなものであり、共に車種はaで駐車位置はbであるとする。駐車情報Bにおいては、一度切り返しの操作が入っているために、全体の一連の駐車操作の回数は13回であり、駐車情報Aにおいては一連の駐車操作の回数が5回であったとすると、上述したS7において、サーバ3は、駐車情報Aの方が駐車情報Bに比べて一連の駐車操作の回数が少なく、より熟練した運転者によるものであると判定し、駐車情報Aにより、駐車情報Bを更新する。
【0050】
S8において、サーバ3が駐車情報Aにより駐車情報Bを更新した後、S9において、サーバ3は、駐車支援ECU2からの要求指令に基づいて、駐車支援ECU2に対して駐車情報Aを送信し、S10において、駐車支援ECU2の検出手段2bは基地局4を介して駐車情報Aを受信し、S11において、駐車支援ECU2の表示手段2cは駐車情報Aをディスプレイ9により運転者に対して表示する。
【0051】
S7において、駐車情報Aの一連の駐車操作が、駐車情報Bの一連の駐車操作より少ないと判定されない場合には、S12にすすみ、サーバ3は、駐車支援ECU2からの要求指令に基づいて、駐車支援ECU2に対して駐車情報Bを送信し、S13において、駐車支援ECU2の検出手段2bは基地局4を介して駐車情報Bを受信し、S14において、駐車支援ECU2の表示手段2cは駐車情報Bをディスプレイ9により運転者に対して表示する。
【0052】
これらの制御内容により実現される本実施例の駐車支援装置1によれば、複数の車両において、駐車支援ECU2の検出手段2aによりシフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作等の駐車操作を検出して、駐車情報を作成し、この駐車情報を路側のサーバ3により集約して、同一の駐車位置における最も駐車操作が少ない熟練した運転者による駐車情報をデータベース化することができる。
【0053】
さらに、この最も駐車操作が少ない熟練した運転者による駐車情報を随時更新して、新たに最も駐車操作が少ない熟練した運転者による駐車情報を取得した場合には、その最新の駐車情報を今回及び次回の駐車において活用することができる。
【0054】
これにより、今回及び次回にこの同一の駐車位置に運転者が車両を駐車させようとする場合に、この熟練した運転者による駐車情報をサーバ3から読み出して駐車支援ECU2に送信するように、駐車支援ECU2からサーバ3に対して要求指令を送信して、この駐車情報を、基地局4を介して受信して取得し、表示手段2cにより運転者に対して表示することにより、運転者はこの熟練した運転者による駐車情報を利用して、適切な駐車開始位置や駐車軌跡、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を認識することができる。これにより、より適切に運転者の駐車操作を支援することができる。
【0055】
また本実施例によれば、IPAを搭載した車両において、目標とする駐車位置に白線が無く白線認識ができない場合や、画像内に目標とする駐車位置が映らない場合に目標駐車位置の設定ができず、IPAによる自動操舵ができない状況においても、データベース化した熟練した運転者による駐車情報を運転者に表示して、適切な駐車開始位置や駐車軌跡、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を運転者に認識させることにより、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0056】
また、サーバ3により記憶される熟練した運転者による駐車情報を、車種毎に区分してデータベース化することができるので、車種毎に車幅や車両長、最小旋回半径が異なることに起因して、車種毎に適切な駐車情報も変化することに対応して、車種毎の駐車情報を運転者に表示することができ、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0057】
さらに、サーバ3により記憶される駐車情報を、駐車位置毎に区分してデータベース化することができるので、運転者が異なる駐車位置にて駐車しようと意図している場合でも、駐車位置に対応した駐車情報を運転者に対して表示して、適切な駐車開始位置や駐車軌跡、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を運転者に認識させることができるので、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0058】
また、従来技術のように画像の相違により、運転者に駐車運転時の危険を報知することに比べて、駐車開始位置や駐車軌跡、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を運転者に認識させることができるので、運転者にとってより有益な情報を提供して、運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0059】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0060】
例えば、上述した実施例においては、駐車運転時において操舵操作を運転者に表示することにとどめたが、運転支援ECU2の指令に基づいて、ステアリングECU15が操舵角を自動的に制御する構成として、運転者はシフト操作とアクセル操作とブレーキ操作のみを行う構成としても良い。
【0061】
さらに、上述した実施例においてはサーバ3と基地局4を用いて、複数の車両の駐車支援ECU2によりネットワークを構成して、サーバ3に記憶手段と更新手段の機能を実現させているが、一つの車両の駐車支援ECU2に記憶手段と更新手段の機能を備えさせる構成としても良い。
【0062】
これによっても、駐車情報を、駐車位置毎に区分してデータベース化することはできるので、運転者が異なる駐車位置にて駐車しようと意図している場合において、駐車位置に対応した駐車情報を運転者に対して表示して、適切な駐車開始位置や駐車軌跡、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作を運転者に認識させることができるので、より適切に運転者の駐車操作の支援を行うことができる。
【0063】
また、サーバ3の記憶媒体78を用いて、他の駐車支援ECU2とサーバ3が構成するネットワークにより作成された駐車情報を共有して、この駐車情報のうち車種及び駐車位置が同一の駐車情報を抽出して、熟練者による駐車情報のデータベース化をさらに充実したものとすることもできる。
【0064】
さらに、複数種類のネットワークに属するサーバ3により作成された駐車情報を、各サーバの記憶媒体78を用いて集約して、熟練者による駐車情報のデータベースを再構築して、再構築されたデータベースを再度各ネットワークに属するサーバ3に供給して、駐車情報のさらなる共有化を図ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、より適切に運転者の駐車操作を支援することができる駐車支援装置に関するものであり、比較的軽微な制御上の変更により、所望の効果を得ることができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る駐車支援装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る駐車支援装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る駐車支援装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る駐車支援装置の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る駐車支援装置の一実施形態により作成された駐車情報の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0067】
1 駐車支援装置
2 駐車支援ECU
3 サーバ
4 基地局
5 GPSアンテナ
6 IMU
7 受信機
8 データベース
9 ディスプレイ
10 スピーカ
11 タッチパネル
12 ABS
13 通信装置
14 エンジンECU
15 ステアリングECU
71 CPU
72 主記憶装置
73 記憶装置
74 表示装置
75 入力装置
76 ドライブ装置
77 通信装置
78 記憶媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駐車位置を探索する探索手段と、前記駐車位置に対応する一連の駐車操作と駐車軌跡を駐車情報として検出する検出手段と、前記駐車情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記駐車位置における前回の前記駐車情報と前記検出手段が検出した今回の前記駐車情報とを比較して、今回の前記駐車情報を構成する駐車操作が少ない場合に、前回の前記駐車情報を今回の前記駐車情報に更新する更新手段を備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記探索手段と前記検出手段を複数の車両に備え、前記記憶手段と前記更新手段を路側に備えるとともに、前記検出手段と前記記憶手段とを相互に接続する通信手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記駐車情報が車種を含むと共に、前記記憶手段が前記駐車情報を車種毎に記憶するとともに、前記更新手段が前記駐車情報を車種毎に更新することを特徴とする請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項1】
車両の駐車位置を探索する探索手段と、前記駐車位置に対応する一連の駐車操作と駐車軌跡を駐車情報として検出する検出手段と、前記駐車情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記駐車位置における前回の前記駐車情報と前記検出手段が検出した今回の前記駐車情報とを比較して、今回の前記駐車情報を構成する駐車操作が少ない場合に、前回の前記駐車情報を今回の前記駐車情報に更新する更新手段を備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記探索手段と前記検出手段を複数の車両に備え、前記記憶手段と前記更新手段を路側に備えるとともに、前記検出手段と前記記憶手段とを相互に接続する通信手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記駐車情報が車種を含むと共に、前記記憶手段が前記駐車情報を車種毎に記憶するとともに、前記更新手段が前記駐車情報を車種毎に更新することを特徴とする請求項2に記載の駐車支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−296640(P2008−296640A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142297(P2007−142297)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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