説明

高速光学センサ検査システム

【課題】電子部品を、高速に検査する光学システムを提供する。
【解決手段】センサは、カメラのアレイに対してノンストップで移動する加工対象物に関する画像データを取得するように構成されたカメラのアレイを含む。カメラのアレイが画像データを取得するとき照明のパルスを提供するために照明システムが配置されている。少なくともいくらかの画像データは、加工対象物上のスキップマーク又はバーコードに関するデータを含む。又取得した複数の画像により立体画像化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年6月1日出願の米国特許仮出願第61/492,093号に基づき、その恩典を主張し、また、本出願は、2010年11月5日出願の米国特許出願第12/940,214号の一部継続出願であり、同出願は、2010年9月21日出願の米国特許出願第12/886,803号の一部継続出願であり、同出願は、2009年9月22日出願の米国特許仮出願第61/244,616号及び2009年9月22日出願の米国特許仮出願第61/244,671号に基づき、それらの恩典を主張する。
【0002】
著作権留保
本特許文献の開示の一部分は著作権保護の対象を含む。著作権所有者は、特許商標庁特許ファイル又は記録に見られるとおりの特許文献又は特許開示の複写再現に対して異議を唱えないが、他の点においてはあらゆる著作権を留保する。
【背景技術】
【0003】
自動化電子部品アセンブリ機は、多くの場合、様々な電子装置において使用されるプリント配線基板の製造に使用される。製造工程は一般に、非常に迅速に稼働することを求められる。急速又は高速製造は、完成品プリント配線基板のコストが最小化されることを保証する。しかし、プリント配線基板が製造される速度は、工程によって生じるスクラップ又は欠陥品の許容可能レベルとで均衡されなければならない。プリント配線基板はきわめて複雑で小さく、一つの基板が膨大な数の部品、ひいては膨大な数の電気接続を有することがある。プリント配線基板は今や大量生産されている。そのようなプリント配線基板は、非常に高価であったり、高価な機器において使用されたりすることがあるため、高い品質、高い信頼性及び最小限のスクラップで正確に製造されることが重要である。残念ながら、それでもなお、利用可能な製造法のせいで、いくらかのレベルのスクラップ及び不合格品が生じる。プリント配線基板上の一般的な欠陥は、基板上の部品の配置の不正確さ、すなわち、基板において部品が正しく電気接続されていないことを含む。もう一つの一般的な欠陥は、誤った部品が配線基板上の所与の位置に配置された場合に起こる。さらには、部品が、単に存在しない場合もあるし、誤った電気極性で配置される場合もある。なおさらには、はんだペースト付着量が不十分であるならば、それが劣悪な接続を招くおそれもある。さらには、はんだペーストが多すぎるならば、そのような状態が短絡などを招くおそれもある。なおさらには、他のエラーが一つ以上の部品と基板との間の電気接続を阻止する、又は他のやり方で妨げることもある。この状態の一例は、小さな「位置ずれ」電気部品が、後で別の部品が別の配置作業によって配置される予定である配線基板の部分に過って放出される場合である。この位置ずれ部品は、位置ずれ部品の後で配線基板上に配置される「正しい」部品の電気接続を妨げるおそれがある。正しい部品が、配置後に電気接続が視覚的に隠れるパッケージスタイル、たとえばボールグリッドアレイ(BGA)又はフリップチップを有する場合、この状況はさらに悪化する。この状態においては、欠陥は部品パッケージによって隠されるため、位置ずれ部品及びはんだ接続の保全性は、手作業又はエラーもしくは欠陥のための自動化光学検査(AOI)システムのいずれによっても視覚的に検査することはできない。X線システムがこれらのエラーを検出することはできるが、これらのシステムは、大部分のプリント配線基板アセンブリラインにおいて広く採用されるには依然として遅すぎ、高価すぎる。
【0004】
従来の自動化光学検査システムは、プリント配線基板のような基材を、部品がプリント配線基板上に配置された直後かつウェーブはんだ付けの前又はポストリフローのいずれかで受ける。一般に、システムは、試験下の基材を移動させて、一つ以上の画像を取得し、それらの画像を解析して基材上の部品及び/又は基材そのものに関する結論を自動的に導き出す光学視野に通すように適合されているコンベヤを含む。これらのシステムの場合、はじめに検査入力をプログラムし、また、検査パラメータ又はモデルを微調整するための時間の量はしばしば多大である。これらの自動化光学検査システムのもう一つの欠点は、製造エラーを識別することはできるが、多くの場合、その製造エラーを生じさせた特定の工程を識別することにはほとんど役立たないということである。そのようなものとして、初期検査プログラミングを簡素化し、製造エラーの根本的原因へのさらなる洞察をも提供する改良された検査システムを提供する必要性が生じた。
【発明の概要】
【0005】
光学検査センサが提供される。センサは、カメラのアレイに対してノンストップで移動する加工対象物に関する画像データを取得するように構成されたカメラのアレイを含む。カメラのアレイが画像データを取得するとき照明のパルスを提供するために照明システムが配置されている。少なくともいくらかの画像データは、加工対象物上のスキップマーク又はバーコードに関するデータを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施態様の、カメラアレイ及びコンパクトな組み込み照明装置を備えた自動化高速光学検査システムの立面図である。
【図2】本発明の実施態様の、重複する視野を有する複数のカメラの立面図である。
【図3】本発明の実施態様の検査システムのシステムブロック図である。
【図4】搬送コンベヤ、プリント配線基板及び第一の照明野タイプを用いて取得されたカメラアレイ視野の平面図である。
【図5】搬送コンベヤ、プリント配線基板及び第二の照明野タイプを用いて取得されたカメラアレイ視野の平面図である。
【図6A】本発明の実施態様にしたがって、加工対象物ならびに第一及び第二の照明野タイプが交互にある状態で様々な位置において取得されたカメラアレイ視野を示す。
【図6B】本発明の実施態様にしたがって、加工対象物ならびに第一及び第二の照明野タイプが交互にある状態で様々な位置において取得されたカメラアレイ視野を示す。
【図6C】本発明の実施態様にしたがって、加工対象物ならびに第一及び第二の照明野タイプが交互にある状態で様々な位置において取得されたカメラアレイ視野を示す。
【図6D】本発明の実施態様にしたがって、加工対象物ならびに第一及び第二の照明野タイプが交互にある状態で様々な位置において取得されたカメラアレイ視野を示す。
【図7】本発明の実施態様の検査システムを含む例示的なプリント配線基板アセンブリラインのブロック図である。
【図8】アセンブリラインの一部分の正面図である。
【図9A】本発明の実施態様にしたがって検査プログラムによって識別された例示的なはんだペーストデポジットの図である。
【図9B】本発明の実施態様にしたがってアセンブリ作業後に光学検査センサによって取得された図9Aに示す同じ領域の例示的画像の図である。
【図9C】図9A及び9Bの間の差画像の図である。
【図10A】本発明の実施態様にしたがって光学検査システムによって取得された例示的画像の図である。
【図10B】位置ずれ部品が配置されている場合に光学検査センサによって取得された例示的画像の図である。
【図10C】図10A及び10Bの間の差画像の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
例示的実施態様の詳細な説明
図1は、本発明の実施態様にしたがって、自動化検査に適した、加工対象物の高コントラスト高速デジタル画像を生成するためのシステムの立面図を示す。カメラアレイ4は、好ましくは規則的間隔に配設されたカメラ2A〜2Hからなる。各カメラ2A〜2Hは、加工対象物がカメラ2A〜2Hに対して相対動を起こす間、加工対象物又は基材、たとえばプリント配線基板10上の長方形区域を画像化し、同時にデジタル化する。照明装置45が、ストロボ照明と呼ばれる、一連のパルス化短期間照明野を提供する。各照明野の短い期間がプリント配線基板10の画像を効果的に「フリーズ」させて動きのぶれを抑える。カメラアレイ4により、露光ごとに異なる照明野タイプを用いて、プリント配線基板10上の位置ごとに二つ以上の画像セットが生成される。検査しなければならないプリント配線基板10上の特定の形体に依存して、異なる照明野タイプを用いて生成された反射画像の連結処理によって検査結果をかなり高めることもできる。様々な照明野タイプは、たとえば、曇天、明視野又は暗視野照明を含むことができる。
【0008】
加工対象物搬送コンベヤ26がプリント配線基板10をX方向にノンストップモードで並進移動させて、カメラアレイ4によるプリント配線基板10の高速画像化を提供する。コンベヤ26は、モータ18によって駆動されるベルト14を含む。場合によって用いられるエンコーダ20がモータ18のシャフトの位置を計測し、それにより、プリント配線基板10が移動した概算距離を計算することができる。プリント配線基板10の移動距離を計測し、コード化する他の方法は、時間ベース、音響ベース又は視覚ベースのコード化法を含む。ストロボ照明を使用し、プリント配線基板10を停止させないことにより、カメラアレイ4による画像化の前に加速し、減速し、安定させる時間のかかる搬送ステップが除かれる。本発明を実施態様を使用すると、210mm×310mmの寸法のプリント配線基板10を完全に画像化するために要する時間を、画像化の前に完全に停止させる場合に比べ、11秒から4秒に減らすことができると考えられる。
【0009】
図2は、カメラ2A〜2Hによってそれぞれ画像化されるプリント配線基板10上の各視野30A〜30HのY方向位置を示す。プリント配線基板10上のすべての位置を完全に画像化するために、隣り合う視野の間にわずかな重複がある。検査工程中、別々の視野30A〜30Hの画像は重複領域において一つの連続画像へとデジタル的に併合又は縫合される。別々のカメラの一次元アレイとして配設された例示的なカメラアレイ4が図1及び2に示されている。図示するように、カメラ2A〜2Hは、非テレセントリック的に画像化するように構成されている。これは、視野30A〜30Hを重複させることができる利点を有する。しかし、非テレセントリック画像化システムの倍率又は有効解像度は、プリント配線基板10及びその形体がカメラ2A〜2Hに近づく、又はカメラから遠ざかるにつれ、変化する。プリント配線基板10の反り、厚さ変化及び他のカメラ調整誤差の影響を画像縫合によって補正することができる。もう一つの実施態様において、カメラアレイを二次元アレイに配設することもできる。たとえば、別々のカメラを、隣り合う視野どうしが重複する四つのカメラの二列のカメラアレイに配設することもできる。検査システムのコスト、速度及び性能目標に依存して、視野どうしが重複しないアレイをも含め、カメラアレイの他の配設が有利であることもある。たとえば、テレセントリック画像化システムを備えた互い違いに位置するカメラアレイを使用することもできる。
【0010】
図3は検査システム92のブロック図である。検査アプリケーションプログラム71が好ましくはシステムコンピュータ76上で実行する。検査プログラム71への入力は、プリント配線基板10のタイプ、プリント配線基板10上の部品の位置及びタイプを詳述するCAD情報、検査されるプリント配線基板10上の形体、照明及びカメラ校正データ、搬送コンベヤ26の方向などを含む。検査プログラム71は、コンベヤインタフェース72を介してプリント配線基板10の搬送方向、速度及び幅によってプログラマブルロジックコントローラ22を形成する。検査プログラム71はまた、PCI Expressインタフェースを介して、カメラアレイ4の後続の各画像取得の間のエンコーダ20のカウント数によって主電子部品基板80を形成する。あるいはまた、プリント配線基板10の既知の速度に基づいて時間ベースの画像取得シーケンスを実行することもできる。検査プログラム71はまた、個々のフラッシュランプ出力レベルを有するストロボ基板84だけでなく、検査の前に適切な構成パラメータをカメラ2A〜2Hの中にプログラム又は他のやり方でセットする。
【0011】
パネルセンサ24は、検査システム92に装填されるときのプリント配線基板10の縁を感知し、この信号が主基板80に送られて画像取得シーケンスを開始させる。主基板80は、適切な信号を生成してカメラアレイ4による各画像露光を開始させ、ストロボ基板84に命令して適切なフラッシュランプ87及び88を正しいタイミングで付勢させる。ストロボモニタ86が、フラッシュランプ87及び88によって放出された光の一部分を感知し、このデータは、わずかなフラッシュランプ出力変動に関して画像データを補正するために主電子部品基板80によって使用されることもできる。画像メモリ82が提供され、好ましくは、少なくとも一つのプリント配線基板10に関して生成されたすべての画像を記憶するのに十分な容量を含む。たとえば、一つの実施態様において、カメラアレイ中の各カメラは約5メガピクセルの解像度を有し、メモリ82は約2.0ギガバイトの容量を有する。カメラ2A〜2Hからの画像データは、各カメラが速やかに後続の露光に備えることができるよう、画像メモリバッファ82に高速で転送することができる。これが、プリント配線基板10を検査システム92に通してノンストップで搬送し、少なくとも二つの異なる照明野タイプを用いてプリント配線基板10上の各位置の画像を生成することを可能にする。画像データは、最初の画像がメモリ82に転送されるとただちに、PCI Express(PCIe)のような高速電気インタフェースを介して画像メモリ82から読み出されてPCメモリに読み込まれ始めることができる。同様に、検査プログラム71は、画像データがPCメモリ中で利用可能になるとただちに検査結果を計算し始めることができる。
【0012】
以下、図4〜6を参照しながら画像取得工程をさらに詳細に説明する。
【0013】
図4は、搬送コンベヤ26及びプリント配線基板10の平面図を示す。カメラ2A〜2Hが重複する視野30A〜30Hをそれぞれ画像化して、カメラアレイ4の有効視野32を生成する。視野32は、第一のストロボ照明野タイプを用いて取得される。プリント配線基板10はコンベヤ26によってX方向にノンストップで搬送される。プリント配線基板10は、好ましくは、画像取得工程中に5%未満しか変動しない速度で移動するが、より大きな速度変動及び加速を受け入れることもできる。
【0014】
一つの好ましい実施態様において、各視野30A〜30Hは約500万の画素を有し、画素解像度は17ミクロンであり、範囲はX方向に34mm、Y方向に44mmである。各視野30A〜30Hは、隣り合う視野とでY方向に約4mm重複して、各カメラ2A〜2Hの中心間距離はY方向に40mmである。この実施態様において、カメラアレイ視野32は、約10:1の、X方向に比べてY方向に大きなアスペクト比を有する。
【0015】
図5は、図4におけるその位置からプラスのX方向に移動した位置にあるプリント配線基板10を示す。たとえば、プリント配線基板10は、図4におけるその位置から約14mm前進していることができる。有効視野33は、重複する視野30A〜30Hで構成され、第二の照明野タイプを用いて取得される。
【0016】
図6A〜6Dは、第一及び第二の照明野タイプを交互に用いて取得されたカメラアレイ視野32〜35の時間シーケンスを示す。プリント配線基板10はX方向にノンストップで移動していることが理解されよう。図6Aは、プリント配線基板10全体に関して画像取得中の一つのX位置におけるプリント配線基板10を示す。視野32は、図4に関して詳述したように第一のストロボ照明野タイプを用いて取得される。図6Bは、X方向にさらに移動したプリント配線基板10及び図5に関して詳述したように第二のストロボ照明野タイプを用いて取得された視野33を示す。図6Cは、X方向にさらに移動したプリント配線基板10及び第一の照明野タイプを用いて取得された視野34を示し、図6Dは、X方向にさらに移動したプリント配線基板10及び第二の照明野タイプを用いて取得された視野35を示す。
【0017】
第一の照明野タイプを用いて取得された画像どうしを位置合わせし、デジタル的に併合又は縫合するのに十分な重複画像情報を有するために、視野32及び34の間にはX方向に小さな重複がある。また、第二の照明野タイプを用いて取得された画像どうしを位置合わせし、デジタル的に併合するのに十分な重複画像情報を有するために、視野33及び35の間にもX方向に小さな重複がある。X方向に33mmの範囲を有する視野30A〜30Hを用いる実施態様においては、同じ照明野タイプを用いて取得された視野どうしの間でX方向に約5mmの重複が効果的であることがわかった。さらに、異なる照明タイプを用いて取得された視野どうしの間ではX方向に約14mmの変位が好ましい。
【0018】
収集される視野の数を増し、同じ照明野タイプを用いて生成された画像どうしを位置合わせし、デジタル的に併合又は縫合するのに十分な画像重複を保証することにより、プリント配線基板10上の各形体の画像を三つ以上の照明野タイプを用いて取得することもできる。最後に、照明タイプごとに生成された縫合画像を互いに対して位置合わせすることができる。好ましい実施態様において、システムコストを減らすため、加工対象物搬送コンベヤ26は、検査要求基準よりも低い位置精度を有する。たとえば、エンコーダ20は100ミクロンの解像度を有することができ、コンベヤ26は0.5mm以上の位置精度を有することができる。X方向における視野の画像縫合がプリント配線基板10の位置誤差を補正する。
【0019】
様々な物体形体の画像コントラストは、形体ジオメトリ、色、反射性及び各形体に入射する照明の角スペクトルを含むいくつかの要因に依存して異なる。各カメラアレイの視野は、異なる照明要求基準を有する多種多様な形体を含むことがあるため、本発明の実施態様は、加工対象物10上の各形体及び位置を二回以上画像化することによってこの難題に取り組み、これらの画像それぞれは、異なる照明条件下で取得されたのち、デジタルメモリに記憶される。一般に、異なる照明野タイプを用いて取得された二つ以上の画像からの物体形体データを使用することにより、検査性能を改善することができる。
【0020】
本発明の実施態様は、暗視野及び曇天照明野のような二つの照明タイプに限定されず、特定の照明装置構成にも限定されないということが理解されよう。光源は、加工対象物10に対して直接投射することができる。光源はまた、様々な波長、すなわち色を有することができ、加工対象物10に対して様々な角度に配置されることができる。光源を加工対象物10の周囲に様々な方位角で配置して、様々な四半分から照明を提供することもできる。光源は、加工対象物10の動きを「フリーズ」させ、画像における動きのぶれを抑えるのに十分なエネルギーの光パルスを放出する多数の高出力LEDであることもできる。明視野照明野を生成する、又は加工対象物10の基材を透過して、検査される形体を背面照明する光源を含む数多くの他の照明構成が本発明の範囲内である。
【0021】
三次元画像データの取得によって検査性能をさらに高めることができる。たとえば、電気部品極性マーク、たとえば切り欠き、面取り及びディンプルは本質的に三次元である。三次元はんだペーストデポジット画像データの取得は臨界高さ及び体積パラメータの計測を可能にする。さらに、三次元画像データは、ほぼ平坦な基材に対する、高さのある小さな形体のセグメント化及び識別を改善することができる。
【0022】
はんだペーストデポジットの外形のような三次元情報は、たとえば周知のレーザ三角測量、位相プロファィロメトリー又はモアレ法を使用して計測することができる。本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,577,405号(Kranzら)は代表的な三次元画像化システムを記載している。立体視ベースのシステムもまた、高速三次元画像データを生成することができる。
【0023】
プリント配線基板検査要求基準を満たすための高速二次元及び三次元画像データを取得するためには、多数のカメラアレイを、カメラアレイ視野を重複させながら、斜め向きの立体配置に配設することができる。そして、配線基板をカメラアレイに対してノンストップで移動させることができる。多数のストロボ照明野が回路の画像を効果的に「フリーズ」させて動きのぶれを抑える。
【0024】
アプリケーション検査プログラム71が、立体配置に配設された斜め向きのカメラアレイからの画像データの間の画像形体の不一致又はオフセットを使用する公知の立体法によって三次元画像データを計算する。
【0025】
図7は、本発明の実施態様の検査システムを含む例示的な自動化プリント配線基板アセンブリライン110のブロック図である。はんだペーストスクリーンプリンタ112が配線基板10中にはんだデポジットをプリントする。第一の高処理量部品配置機114が多数の電気部品をプリント配線基板10上に配置する。多くの場合、自動化表面実装技術(SMT)アセンブリラインが、チップ抵抗器及びキャパシタのような比較的小さな部品を高い処理速度で配置するように最適化されている一つ以上の高速「チップシュータ」部品配置機によって構成されている。第二の部品配置機116が示され、多くの場合、より幅広い範囲の部品スタイル及びサイズをより低い処理速度で配置するように構成されている。たとえば、部品配置機116は、電気コネクタ、ボールグリッドアレイ(BQA)部品、フリップチップ部品、クアッドフラットパック(QFP)部品及びより小さなパッシブ電気部品を配線基板10上に配置することができる。リフロー炉118がはんだペーストデポジットを融解させて、配線基板10への部品の機械的取り付け及び電気的接続を形成する。自動化光学検査システム120が配線基板の最終検査を提供する。コンベヤ122、124、126及び128がアセンブリライン110中の様々な自動化アセンブリ機の間で配線基板を搬送する。本明細書において使用されるコンベヤとは、人の支援を受けることなく加工対象物又は基材を一つの場所から別の場所まで移動させる一つ以上の自動搬送システムをいう。そのうえ、コンベヤは、アセンブリ作業の前に加工対象物が集まることができる入力バッファを含むことができる。したがって、スクリーンプリンタ112を配置機114に結合する一つのコンベヤ122が示されているが、コンベヤ122は、加工対象物をスクリーンプリンタ112の出口から配置機114の入口まで自律的に運ぶように作動する多数の自動化システム及び/又はバッファを含むことができるため、そのような図示は見やすくするためのものである。
【0026】
図8はアセンブリライン110の一部分の正面図である。好ましい実施態様において、光学検査センサ130、132及び134は、図1に示す光学検査センサ94と同様に構成されている。コンピュータ77がアセンブリライン110中の装備と通信し、検査アプリケーションプログラム73が、光学検査センサ130、132及び134によって取得された二次元画像を使用して検査結果を計算する。検査プログラム73はまた、光学検査センサ130、132及び134が立体又は他の三次元画像データを提供するように構成されている場合、三次元画像データを使用して検査結果を向上させることもできる。省略可能な/追加的な三次元画像データは、配線基板全体又は選択された領域に関して提供されることができる。検査センサ130、132及び134は、それらのコンパクトな形状因子のおかげで部品配置機114及び116に近接する状態で配置されることができ、部品配置機の中に統合される、又は「埋め込まれる」ことができる。アセンブリ工程全体に分散した多数の光学検査センサを使用することにより、検査性能を改善し、検査システムの初期プログラミングを簡略化することができる。検査プログラム73への入力は、基準指標位置ならびに部品タイプ、サイズ、位置及び極性を含み、これらの情報は既知であり、部品配置機114及び116から利用可能である。さらなる情報、たとえば部品基準指示子、配線基板10のバーコード番号ならびに特定の部品配置に使用される部品フィーダ番号、ヘッド番号及びノズルもまた、部品配置機から利用可能である。はんだペーストアパーチャデータをスクリーンプリンタ112又は外部ソースから検査プログラム73に入力することもできる。
【0027】
検査アプリケーションプログラム73は、はんだペーストプリントに関する検査結果、たとえばプリント位置合わせ、面積、被覆率及び隣接はんだバッドの間の意図されないブリッジ形成を計算する。三次元画像データが利用可能であるならば、高さ及び体積を計算することもできる。部品配置機114及び116によって部品が配線基板10上に取り付けられたのち、検査プログラム73は検査結果を計算して、配線基板10上の特定の位置における部品の非存在又は存在、正しい部品が配置されたかどうか、部品のその公称設計位置からの空間的オフセット、はんだペーストプリントに対する空間的オフセット及び部品が正しい極性で取り付けられたかどうかを検証する。検査プログラム73はまた、位置ずれ部品が過って配線基板10上の誤った位置、たとえば後続の配置作業中に別の部品が取り付けられるべき位置に放出されていないかどうかを計算する。
【0028】
アセンブリ工程中及びはんだペーストスクリーンプリント後、コンベヤ122がプリント配線基板10を部品配置機114の中にノンストップで搬送し、その間、検査センサ130が、一つ以上の照明野タイプを用いて配線基板10の画像を取得する。これらの画像はコンピュータ77に送信され、検査アプリケーションプログラム73に利用可能になり、そのプログラムにおいてはんだペーストデポジットが識別され、はんだペースト検査結果が生成される。
【0029】
再び図4を参照すると、配線基板10が二つの複製回路8、9で表されていることが見てとれる。配線基板は、多くの場合、アセンブリ工程中の後続ステップで個々の回路に分けられるいくつかの複製回路で設計されている。一つの配線基板10上に八つ以上の別個の回路を有することが一般的である。部品を配線基板10上に配置する前に、部品配置機114及び116は、いわゆる「バッドマーク」又は「スキップマーク」に関して配線基板10をサーチしなければならない。これらのスキップマークは個々の欠陥回路を識別し、その回路に関して部品は配置されない。従来技術の部品配置機は、基点又は基板調整のカメラを使用してスキップマークを読み取る。この場合、基点カメラは潜在的なスキップマークの位置の上方に配置される。この配置作業はスキップマーク1個あたり0.5秒以上を要することがあり、たとえば八つの別個の回路を有する配線基板の場合、配置サイクル時間に4秒以上を上乗せすることがある。
【0030】
好ましい実施態様においては、光学検査センサ130によって取得された画像が検査プログラム73によって解析されて、個々の回路に関してスキップマークの存在又は非存在が検出される。検出されたスキップマークは検査プログラム73によって部品配置機114に送られ、スキップマークを位置決めし、基点カメラで読み取る時間のかかるステップは除かれる。同様にして、光学検査センサ130によって取得された画像は検査プログラム73によって解析されて、配線基板10ならびに個々の回路8及び9に関するバーコードが読まれたのち、部品配置機114に送られることができる。これが、専用バーコードリーダの費用又は基点カメラによってバーコードを読み取る時間のかかる工程を省く。
【0031】
そして、部品配置機114が電気部品の一部分を配線基板10上に配置する。部品配置機114によるアセンブリ作業が完了すると、コンベヤ124が配線基板10のノンストップ搬送を促進し、同時に光学検査センサ132が一つ以上の照明タイプを用いて配線基板10の画像を取得する。これらの画像はコンピュータ77に送信され、検査プログラム73に利用可能になる。検査プログラム73は、配置機114によって配置された部品に関して、部品の存在/非存在、正しい部品、空間的オフセット及び部品極性に関する検査結果を計算する。バーコード読み取り及びスキップマーク検出はまた、光学検査センサ132によって取得された画像を使用して検査プログラム73によって計算されることもでき、結果は部品配置機116に送られることができる。
【0032】
また、図9A〜9Cに関して説明するように部品配置作業の前後に取得された画像を使用することにより、はんだペーストデポジットに対する部品オフセットが検査プログラム73によって計算される。図9Aは、部品配置機114のアセンブリ作業の前に光学検査センサ130によって取得された画像を使用して検査プログラム73によって識別された配線基板10上の例示的なはんだペーストデポジット100及び101を示す。はんだペーストデポジットの位置を画定する局所座標軸X′、Y′が示されている。図9Bは、部品配置機114のアセンブリ作業の後で光学検査センサ132によって取得された配線基板10の同じ領域の例示的画像を示す。部品15は部品配置機114によって配線基板10上に配置されたものである。検査プログラム73が、部品配置作業の前後に取得された各画像を位置合わせしたのち、位置合わせされた各画像に対して差演算を実行する。この差画像を使用して、部品15に関する空間的オフセットΔX′、ΔY′及びΔθ′が検査プログラム73によって計算され、結果が図9Cに示されている。
【0033】
電気部品のサイズがますます小さくなる産業の傾向とともに、部品配置機114が部品を配線基板10上の誤った位置に過って放出する危険がある。たとえば、このいわゆる位置ずれ部品が、後続のボールグリッドアレイ(BGA)部品が部品配置機114によって取り付けられる位置に放出されるならば、その位置ずれ部品は見えないため、このエラーはAOI機120によって検出されないままであろう。配線基板10は期待どおりには機能せず、結果的にスクラップにされる、又は少なくとも、障害のあるBGA部位が他の方法によって診断され、有意なコストで再加工されなけばならないであろう。検査プログラム73は、図10A〜10Cに関して説明するように、位置ずれ部品を識別する。
【0034】
図10Aは、部品配置機116によってBGAが配置される領域において光学検査センサ130によって取得された例示的画像136を示す。図10Bは、部品配置機114によって位置ずれ部品が過って配線基板10上に放出された同じ領域において光学検査センサ132によって取得された例示的画像138を示す。検査プログラム73が画像136及び138を位置合わせし、図10Cに示す差画像140を計算する。この領域に配置機114によって部品が配置される予定はないため、画像140における部品13の存在は、位置ずれ部品の指示である。そして、さらなる部品が配線基板10に追加され、さらなる費用が生じる前にアセンブリ工程を中止することができる。差画像が位置ずれ部品を数多くの他の妥当な形体から分けるため、アセンブリステップの前後での画像136及び138の取得は検査プログラム73の初期プログラミングを簡略化する。
【0035】
部品配置機116によるアセンブリ作業が完了すると、コンベヤ126が配線基板10のノンストップ搬送を促進し、その間に光学検査センサ134が一つ以上の照明タイプを用いて配線基板10の画像を取得する。これらの画像はコンピュータ77に送信され、検査プログラム73に利用可能になる。そして、検査プログラム73は、配置機116によって配線基板上10に配置された部品の残り部分のはんだペーストデポジットに関して、存在/非存在、正しい部品、空間的オフセット、極性及びオフセットに関する検査結果を計算する。
【0036】
AOI機120が、炉118によってはんだがリフローされた後の部品の存在/非存在、位置、極性及び正しいはんだ接続フィレットの検証のような結果を計算する。しかし、BGA又は他のより大きな部品部位における位置ずれ部品はもはや見えないため、AOI機120はそれらを識別することができない。AOI機120がエラーを検出したとき、多くの場合、アセンブリ工程のその段階でアセンブリエラーの根本的原因を決定することは困難である。改良された根本的原因故障解析を容易にするために、検査プログラム73は、アセンブリ工程の様々な段階でAOI機120によって識別された欠陥の領域において光学検査システム130、132及び134によって取得された配線基板10の画像をAOI機120の欠陥レビューサブシステムに提供することができる。これらの画像は潜在的アセンブリエラー源のリストを絞り込み、根本的原因の故障解析を加速させるのに役立つ。
【0037】
好ましい実施態様を参照しながら本発明を説明したが、当業者は、本発明の真意及び範囲を逸脱することなく、形態及び詳細において変更を加えることができることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラのアレイに対してノンストップで移動する加工対象物に関する画像データを取得するように構成されたカメラのアレイと、
前記カメラのアレイが前記画像データを取得するとき照明のパルスを提供するように配置された照明システムと
を含み、及び、
少なくともいくらかの画像データが前記加工対象物上のスキップマークに関するデータを含む
光学検査センサと、
前記スキップマークに関するデータを受け、前記データに基づいて部品を前記加工対象物上に選択的に配置するように構成された部品配置機と、
を含む電子部品アセンブリシステム。
【請求項2】
前記画像データを受け、前記スキップマークの存在に関する指示を電子部品アセンブリ機に提供するように構成されたプロセッサ
をさらに含む、請求項1記載の電子部品アセンブリシステム。
【請求項3】
カメラに対して第一の方向に移動する加工対象物に関する画像データを取得するように構成された複数のカメラのアレイであって、
前記第一の方向に対して横断する方向に全ての前記加工対象物を包含する有効視野を有するカメラのアレイ、
前記各カメラのアレイが前記画像データを取得するとき照明のパルスを提供するように配置された照明システム、及び
前記画像データを処理して前記加工対象物上のバーコードを識別し、読み取るように構成されたプロセッサ
を含む光学検査センサ。
【請求項4】
前記バーコードが前記センサによって読み取られ、前記バーコードに基づいて情報が前記センサによって部品配置機に提供される、請求項3記載の光学検査センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【公開番号】特開2012−252003(P2012−252003A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−123107(P2012−123107)
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【出願人】(500148488)サイバーオプティクス コーポレーション (10)
【Fターム(参考)】