説明

3次元形状測定装置

【課題】回転テーブルに載置された被写体を撮像してその被写体の3次元形状を測定する3次元形状測定装置において、測定ヘッドによる撮像が可能な撮像可能領域を縮小してその測定ヘッドに課される負担を軽減するとともに、ユーザの使い勝手を向上させる。
【解決手段】被写体Sの3次元形状を測定する3次元形状測定装置10を、(a)回転テーブル184を有する回転テーブルユニットRTと、(b)回転テーブルに載置された状態で被写体を撮像してその被写体の3次元形状を測定する測定ヘッドMHと、(c)その測定ヘッドに装着される一方、回転テーブルユニットを保持する、変形可能なホルダHDとを含むものとする。そのホルダは、自身の変形により、回転テーブルユニットが測定ヘッドに対して展開される展開状態と格納される格納状態とを選択的に実現し、展開状態において、被写体が回転テーブルに載置されて測定ヘッドによって撮像される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブルに載置された被写体を撮像することによってその被写体の3次元形状を測定する3次元形状測定装置に関するものであり、特に、その3次元形状測定装置の構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被写体の3次元形状を光学的に測定する技術が既に知られている。この技術によれば、被写体が撮像され、その撮像結果に基づき、その被写体の3次元形状と表面色とのうちの少なくとも3次元形状が測定される。
【0003】
この種の技術を実施するための装置の一形式として、回転テーブルに載置された被写体を撮像することによってその被写体の3次元形状を測定する3次元形状測定装置が既に知られている。
【0004】
この種の3次元形状測定装置は、一般に、(a)被写体を定位置において回転させるために被写体が載置されるべき回転テーブルと、(b)その回転テーブルに載置された状態で被写体を撮像し、その撮像結果に基づいてその被写体の3次元形状を測定する測定ヘッドとを含むように構成される。この種の3次元形状測定装置の一従来例が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2003−322515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来例においては、回転テーブルと測定ヘッドとが互いに物理的に独立している。そのため、回転テーブルの位置すなわち被写体の位置を測定ヘッドの位置に対して広範囲に変更可能であり、被写体を配置する際の空間的自由度が高いという利点がある。その反面、測定ヘッドが、被写体が配置される可能性がある領域の全体について撮像およびそれに伴う演算を要求される結果、測定ヘッドによる撮像が可能である撮像可能領域が増大し、そのため、測定ヘッドに課される負担が増加し易いという欠点がある。
【0006】
さらに、上述の従来例においては、測定ヘッドの不使用時に、その測定ヘッドと回転テーブルとを空間的に互いに接近させて両者をコンパクトに一体化させることができない。そのため、両者を一緒に移動させたり保管したりすることが必要である場合に、ユーザの取扱いが煩雑である可能性や保管スペースが拡大する可能性がある。
【0007】
以上説明した事情を背景として、本発明は、回転テーブルに載置された被写体を撮像することによってその被写体の3次元形状を測定する3次元形状測定装置において、測定ヘッドによる撮像が可能な撮像可能領域を縮小してその測定ヘッドに課される負担を軽減するとともに、ユーザの使い勝手を向上させることを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0009】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0010】
(1) 被写体の3次元形状を測定する3次元形状測定装置であって、
回転テーブルと、その回転テーブルを回転可能に支持する支持フレームとを有する回転テーブルユニットと、
前記回転テーブルに載置された状態で前記被写体を撮像し、その撮像結果に基づいて前記被写体の3次元形状を測定する測定ヘッドと、
その測定ヘッドに装着される一方、前記回転テーブルユニットを保持する、変形可能なホルダと
を含み、そのホルダは、自身の変形により、前記回転テーブルユニットが前記測定ヘッドに対して展開される展開状態と格納される格納状態とを選択的に実現し、前記展開状態において、前記被写体が前記回転テーブルに載置されて前記測定ヘッドによって撮像される3次元形状測定装置。
【0011】
この3次元形状測定装置においては、被写体が載置されるべき回転テーブルを有する回転テーブルユニットと、回転テーブルに載置された被写体の撮像および測定を行う測定ヘッドとが、ホルダによって互いに連結される。これにより、それら回転テーブルユニットと測定ヘッドとが物理的に互いに関連付けられる。
【0012】
さらに、この3次元形状測定装置においては、ホルダが変形可能とされ、このホルダの変形により、回転テーブルユニットが測定ヘッドに対して展開される展開状態と格納される格納状態とが選択的に実現される。その展開状態において、被写体が回転テーブルに載置されて測定ヘッドによって撮像される。
【0013】
この3次元形状測定装置においては、ホルダによって回転テーブルユニットと測定ヘッドとが物理的に互いに関連付けられるため、ユーザがホルダを格納状態から展開する作業を行うごとに、そのホルダの展開状態が同じ状態で再現されるようにホルダを設計することが容易である。
【0014】
すなわち、この3次元形状測定装置においては、ホルダの展開作業ごとに、ホルダの展開状態における測定ヘッドと回転テーブルとの相対位置関係が同じものとして実現されるようにホルダを設計することが容易なのである。このようなホルダの展開状態の反復再現性に起因し、測定ヘッドに対する回転テーブルの相対位置の反復再現性が達成される。
【0015】
したがって、この3次元形状測定装置によれば、回転テーブルに被写体を載置する限り、その被写体の、測定ヘッドに対する相対位置の変化可能領域が縮小し、それにより、その変化可能領域の広さを見込んで測定ヘッドが撮像しなければならない領域(撮像可能領域)も縮小する。
【0016】
よって、この3次元形状測定装置によれば、被写体を配置する際の空間的自由度が高い場合より、被写体の撮像および測定のために測定ヘッドに課されるべき負担を軽減することが容易となる。
【0017】
さらに、この3次元形状測定装置においては、上述のように、ホルダによって回転テーブルユニットと測定ヘッドとが物理的に互いに関連付けられる。したがって、この3次元形状測定装置によれば、ホルダの変形によって回転テーブルユニットが測定ヘッドに格納されるように、それらホルダ、回転テーブルユニットおよび測定ヘッドを設計することが容易となる。さらに、回転テーブルユニットが測定ヘッドにコンパクトに格納されるように、それらホルダ、回転テーブルユニットおよび測定ヘッドを設計することも容易となる。
【0018】
よって、この3次元形状測定装置によれば、ユーザがホルダを変形させて回転テーブルユニットを測定ヘッドに格納することが可能であるというように、ユーザの格納作業を単純化することが可能となるとともに、ユーザが特別の配慮なしで回転テーブルユニットを測定ヘッドにコンパクトに格納することが可能となる。
【0019】
本項における「ホルダ」は、単一の部材によって構成したり、作動的に互いに連結された複数の部材の組立体として構成することが可能である。
【0020】
「ホルダ」を単一の部材によって構成する場合には、その部材自体の物理的変形により、「ホルダ」の変形が実現される。
【0021】
これに対し、「ホルダ」を、作動的に互いに連結された複数の部材の組立体として構成する場合には、「ホルダ」の変形を実現するために各部材の物理的変形に依存することは不可欠ではない。
【0022】
具体的には、例えば、「ホルダ」を、回動可能に互いに連結された複数の部材であってそれ自体は変形しないものによって構成する場合には、それら部材の折り畳み(相対回動)によって「ホルダ」の変形を達成することが可能である。また、「ホルダ」を、伸縮可能に互いに連結された複数の部材であってそれ自体は変形しないものによって構成する場合には、それら部材間の相対的伸縮によって「ホルダ」の変形を達成することが可能である。
【0023】
また、作動的に互いに連結された複数の部材の、上述の折り畳みおよび伸縮以外の相対的挙動によって「ホルダ」の変形を実現することも可能であるし、上述の折り畳みおよび伸縮を含む複数種類の相対的挙動が選択的に複合された複合挙動によって「ホルダ」の変形を実現することも可能である。
【0024】
本項における「回転テーブル」は、例えば、電力によって自動的に回転させられる形式としたり、ユーザによって手動的に回転させられる形式とすることが可能である。
【0025】
(2) 前記ホルダは、前記格納状態から前記展開状態に移行すると前記回転テーブルが前記測定ヘッドに対する一定の相対位置に位置決めされるように前記回転テーブルユニットを保持する(1)項に記載の3次元形状測定装置。
【0026】
この3次元形状測定装置においては、ホルダの展開作業ごとに、回転テーブルが測定ヘッドに対する一定の相対位置に位置決めされる。このようなホルダの展開位置の反復再現性に起因し、測定ヘッドに対する回転テーブルの相対位置の反復再現性が達成される。
【0027】
したがって、この3次元形状測定装置によれば、回転テーブルに被写体を載置する限り、その被写体の、測定ヘッドに対する相対位置の変化可能領域が縮小し、それにより、その変化可能領域の広さを見込んで測定ヘッドが撮像しなければならない領域(撮像可能領域)も縮小する。
【0028】
よって、この3次元形状測定装置によれば、被写体を配置する際の空間的自由度が高い場合より、被写体の撮像および測定のために測定ヘッドに課されるべき負担を軽減することが容易となる。
【0029】
(3) 前記ホルダは、前記格納状態において、前記測定ヘッドと共同することにより、外形的に概して直方体を構成する(1)または(2)項に記載の3次元形状測定装置。
【0030】
この3次元形状測定装置においては、ホルダが測定ヘッドに格納されている状態において、それらホルダと測定ヘッドとが互いに共同して外形的に概して直方体を構成する。一方、直方体という立体形状は、搬送や保管等に適した形状である。
【0031】
したがって、この3次元形状測定装置によれば、ホルダが測定ヘッドに格納されている状態において、それらホルダおよび測定ヘッドを取り扱う際のユーザの使い勝手を向上させることが容易となる。
【0032】
(4) 前記ホルダは、前記測定ヘッドに着脱可能に装着される(1)ないし(3)項のいずれかに記載の3次元形状測定装置。
【0033】
前記(1)ないし(3)項のいずれかに係る3次元形状測定装置は、測定ヘッドがホルダに分離不能に装着される態様で実施することが可能である。しかし、この態様を採用する場合には、ホルダの展開状態における測定ヘッドと回転テーブルとの相対位置関係が固定され、その結果、測定ヘッドが被写体を撮影し得る撮影条件(例えば、位置や角度)が制限される。
【0034】
これに対し、本項に係る3次元形状測定装置においては、測定ヘッドがホルダに着脱可能に装着されるため、測定ヘッドがホルダに装着されている状態において実現可能な撮影条件とは異なる撮影条件を実現することが必要である場合に、ユーザは、測定ヘッドをホルダから分離して適当な位置に配置することが可能となる。
【0035】
したがって、この3次元形状測定装置によれば、測定ヘッドを位置決めする際の空間的自由度が向上し、それにより、ユーザの使い勝手が向上する。
【0036】
(5) 前記ホルダは、前記測定ヘッドに装着される第1部分と、前記回転テーブルユニットを保持する第2部分と、それら第1部分と第2部分とを中継する中継部分とを含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載の3次元形状測定装置。
【0037】
この3次元形状測定装置によれば、測定ヘッドに装着される第1部分と、回転テーブルユニットを保持する第2部分とが直接に互いに連結される場合より、それら第1部分と第2部分との相対位置が変化する自由度が向上する。その結果、この3次元形状測定装置によれば、ホルダが測定ヘッドに格納されている状態においてホルダによって形成される形状を目的に応じて最適化することが容易となる。
【0038】
(6) 前記中継部分は、前記第1部分と前記第2部分とのうちの少なくとも一方に屈曲可能に連結され、それにより、前記ホルダは、前記展開状態から前記格納状態に折畳み可能である(5)項に記載の3次元形状測定装置。
【0039】
この3次元形状測定装置によれば、ホルダを少なくとも部分的に折り畳むことによってそのホルダを測定ヘッドに格納することが可能となる。
【0040】
(7) 前記ホルダは、全体的に概して板状を成しており、前記中継部分は、互いに屈曲可能に連結された少なくとも2枚の板状部材を含む(6)項に記載の3次元形状測定装置。
【0041】
この3次元形状測定装置によれば、中継部分が単一の部材によって構成される場合より、測定ヘッドに装着される第1部分と、回転テーブルユニットを保持する第2部分との相対位置が変化する自由度が向上する。その結果、この3次元形状測定装置によれば、ホルダが測定ヘッドに格納されている状態においてホルダによって形成される形状を目的に応じて最適化することが一層容易となる。
【0042】
さらに、この3次元形状測定装置によれば、中継部分を構成する複数の部材がそれぞれ板状部材であるように構成される。一方、板状部材は2次元的な寸法を有するため、複数枚の板状部材が互いに連結された、折り畳み可能な連続体として中継部分を構成する場合には、その中継部分が折り畳まれた格納状態にあるか、平面的に展開された展開状態にあるかを問わず、複数枚の板状部材間の平行度が容易に保存される。その結果、中継部分の展開状態において、測定ヘッドに対する回転テーブルの相対位置の反復再現性が一層確実に達成される。
【0043】
したがって、本項に係る3次元形状測定装置によれば、中継部分を構成する複数の部材がそれぞれ板状部材であるように構成されることを理由に、その中継部分を、測定ヘッドに対する回転テーブルの相対位置の反復再現性が一層確実に達成される構造を有するように設計することが容易となる。
【0044】
(8) 前記中継部分は、前記展開状態において前記測定ヘッドと前記回転テーブルとの距離が変化する向きに伸縮可能である(5)ないし(7)項のいずれかに記載の3次元形状測定装置。
【0045】
この3次元形状測定装置によれば、ホルダを少なくとも部分的に収縮させることによってそのホルダを測定ヘッドに格納することが可能となる。
【0046】
(9) 前記回転テーブルユニットは、前記被写体が前記測定ヘッドによる撮像が可能な撮像可能領域から逸脱する逸脱部を有する状態で前記回転テーブルに載置された場合に、その被写体が前記回転テーブルと共に回転させられると前記逸脱部に当接することにより、前記回転テーブルに載置される前記被写体の位置を規制する位置規制部であって、前記支持フレームに設けられたものを含む(1)ないし(8)項のいずれかに記載の3次元形状測定装置。
【0047】
前記(1)ないし(8)項のいずれかに係る3次元形状測定装置によれば、測定ヘッドと回転テーブルユニットとがホルダによって物理的に互いに関連付けられる結果、測定ヘッドに対する回転テーブルの相対位置が制限される。
【0048】
しかしながら、測定ヘッドによる被写体の撮像に直接に関連する相対位置は、測定ヘッドに対する被写体の相対位置であり、この相対位置は、測定ヘッドに対する回転テーブルの相対位置に依存するのみならず、回転テーブルに対する被写体の相対位置にも依存する。したがって、回転テーブルに対する被写体の相対位置を安定化させることも、測定ヘッドが被写体を撮像することが可能である撮像可能領域を縮小して測定ヘッドの負担を軽減するために有効である。
【0049】
一方、回転テーブルユニットは、回転テーブルという回転部のみならず、静止部も存在するように構成されるのが通常であり、よって、回転テーブルの回転中には、その回転テーブルに載置された被写体と静止部との間に相対回転が発生する。この相対回転を利用すれば、回転中の被写体の表面全体を、その被写体の回転方向に走査することが可能となる。
【0050】
したがって、被写体が測定ヘッドの撮像可能領域から逸脱する逸脱部を有するように不適切に回転テーブルに位置決めされた場合に、その被写体が回転テーブルと共に回転させられるとその逸脱部に当接する道具を静止部に設置すれば、回転テーブルに載置される被写体の位置を規制することが可能である。
【0051】
ここに、「回転テーブルに載置される被写体の位置を規制する」という用語は、例えば、回転テーブルにおける被写体の位置が不適切であることを少なくとも視覚的にユーザに告知することを含むように解釈することが可能である。ユーザは、回転テーブルにおける被写体の位置が不適切であることが少なくとも視覚的に告知されると、その被写体の位置を自ら修正することが必要であることを認識し得る。
【0052】
これに対し、「回転テーブルに載置される被写体の位置を規制する」という用語は、そのように不適切に位置決めされた被写体の位置を自動的に修正することまで含むように解釈することが可能である。この場合には、ユーザは、被写体の位置を自ら修正する作業を完全に省略し得るか、ないしはその作業が必要であるにしてもそのための労力を軽減し得る。
【0053】
以上説明した知見に基づき、本項に係る3次元形状測定装置においては、回転テーブルに載置される被写体との当接によってその被写体の位置を規制する位置規制部が、回転テーブルユニットの静止部である支持フレームに設けられている。この位置規制部は、測定ヘッドの撮像可能領域からの逸脱部を有する状態で回転テーブルに載置された被写体がその回転テーブルと共に回転させられると、その逸脱部に当接し、それにより、回転テーブルに載置される被写体の位置が規制される。
【0054】
したがって、この3次元形状測定装置によれば、回転テーブルに対する被写体の相対位置が規制され、それにより、回転テーブルに対する被写体の相対位置が安定化する。その結果、測定ヘッドが撮像しなければならない領域(撮像可能領域)を縮小してその測定ヘッドの負担を軽減したり、測定ヘッドが被写体を常に正常な位置において撮像する状態を確保してユーザの使い勝手を向上させることが容易となる。
【0055】
(10) 前記回転テーブルユニットは、前記回転テーブルを駆動する駆動装置であって、前記支持フレームに設けられたものを含み、
その駆動装置は、前記位置規制部としても機能する部分を含む(9)項に記載の3次元形状測定装置。
【0056】
この3次元形状測定装置においては、駆動装置が、回転テーブルを駆動する機能に加えて、回転テーブルに載置される被写体の位置を規制する機能をも有する。したがって、この3次元形状測定装置によれば、回転テーブルに載置される被写体の位置を規制する機能を実現するために専用の部品を当該3次元形状測定装置に追加せずに済み、よって、部品点数の増加を回避しつつ、回転テーブルに載置される被写体の位置を規制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0058】
図1には、本発明の第1実施形態に従う3次元入力装置10の外観が斜視図で示されている。この3次元入力装置10は、ストライプ状のパターン光の被写体S(物体)への投影と、被写体Sの撮像と、その撮像結果に基づき、被写体Sの3次元情報および表面色情報をコンピュータによって取得する信号処理とを行うように設計されている。この3次元入力装置10は、被写体Sとの間における予定外の相対変位にもかかわらず、被写体Sの3次元形状情報と表面色情報とを画素の位置に関して互いに正確にマッチングするように被写体Sを撮像するように設計されている。
【0059】
図1ないし図5には、3次元入力装置10の外部構成が示される一方、図6ないし図12には、3次元入力装置10の内部構成が示されている。以下、まず、外部構成を説明し、次に、内部構成を説明する。
【0060】
図1に示すように、3次元入力装置10は、測定ヘッドMHと、回転テーブルユニットRTと、ホルダHDとを含むように構成されている。
【0061】
測定ヘッドMHは、被写体Sを光学的に撮像し、その撮像結果に基づいて被写体Sの3次元形状および表面色を測定するために設けられている。回転テーブルユニットRTは、測定ヘッドMHに対して被写体Sを割り出し回転させるごとに測定ヘッドMHによる被写体Sの撮像を可能にし、それにより、被写体Sの外面の全体領域を複数の部分領域に分割して撮像することを可能にするために設けられている。
【0062】
被写体Sについては、各部分領域ごとの撮像によって複数の部分画像が取得される。それら取得された複数の部分画像は1つのステッチ画像に結合される。同じ被写体Sについて取得された表面色情報がそのステッチ画像にマッピングされ、それにより、その被写体Sについてのステッチテクスチャが生成される。
【0063】
図1に示すように、ホルダHDは、測定ヘッドMHに装着される一方、回転テーブルユニットRTを保持するために設けられている。このホルダHDは、それ自体変形可能である。具体的には、本実施形態においては、ホルダHDが、折畳みによって変形を実現するように設計されている。ホルダHDは、自身の変形により、回転テーブルユニットRTが測定ヘッドMHに対して展開される展開状態と格納される格納状態とを選択的に実現する。さらに、本実施形態においては、ホルダHDが測定ヘッドMHに着脱可能に装着される。
【0064】
図1には、ホルダHDが展開状態において斜視図で示され、図2(a)には、測定ヘッドMHとホルダHDの一部とが展開状態において側面図で示され、図2(b)には、測定ヘッドMDが背面図で示されている。図3には、測定ヘッドMHが、ホルダHDから離脱された離脱状態において、背面図で示されている。図4には、回転テーブルユニットRTが正面断面図で示されている。
【0065】
図5(a)には、格納状態(折り畳み状態)にあるホルダHDが測定ヘッドMHおよび回転テーブルユニットRTと共に、斜視図で示されている。図5(b)には、格納状態にあるホルダHDが測定ヘッドMHおよび回転テーブルユニットRTと共に、キャリングケースとしての外箱OC内に収容される様子が斜視図で示されている。3次元入力装置10は、図5(b)に示す収容状態において、持ち運ぶことが可能である。
【0066】
図1に示すように、測定ヘッドMHは、被写体Sにパターン光を投影するための投影部12と、被写体Sを撮像するための撮像部14と、被写体Sの3次元情報および表面色情報の取得とを行うために信号処理を行う処理部16とを備えている。それら投影部12、撮像部14および処理部16は、測定ヘッドMHの、略直方体状を成すケーシング20に装着されている。
【0067】
図1に示すように、そのケーシング20には、鏡筒24とフラッシュ26とが、それぞれが部分的にケーシング20の正面において露出する姿勢で装着されている。このケーシング20には、さらに、撮像部14の一部である撮像光学系30が、それのレンズの一部がケーシング20の正面において露出する姿勢で装着されている。その撮像光学系30は、それの露出部分において、被写体Sを表す画像光を受光する。
【0068】
鏡筒24は、図1に示すように、ケーシング20の正面から突出しており、その内部において、図6に示すように、投影部12の一部である投影光学系32を収容している。投影光学系32は、複数枚の投影レンズ34と絞り36とを含むように構成されている。
【0069】
鏡筒24は、投影光学系32を、焦点調節のために全体的に移動可能である状態で保持し、さらに、この鏡筒24は、投影光学系32を損傷から保護している。鏡筒24の露出端面から、複数枚の投影レンズ34のうち最も外側に位置するものが露出している。投影光学系32は、その最も外側の投影レンズ34において、被写体Sに向かってパターン光を投影する。
【0070】
フラッシュ26は、不足光量を補充するために発光する光源であり、例えば、キセノンガスが充填された放電管を用いて構成されている。したがって、このフラッシュ26は、ケーシング20に内蔵されているコンデンサ(図示しない)の放電により繰り返し使用することができる。
【0071】
図1に示すように、ケーシング20には、それの上面において、レリーズボタン40が装着されている。図2(b)に示すように、ケーシング20には、さらに、それの背面において、モード切替スイッチ42(図2(b)に示す例においては、3個のボタンから成る。)と、4方向カーソルキー(十字キー)43と、モニタLCD44とが装着されている。それらモード切替スイッチ42および4方向カーソルキー43はそれぞれ、ファンクションボタンの一例を構成する。
【0072】
レリーズボタン40は、3次元入力装置10を作動させるためにユーザによって操作される。このレリーズボタン40は、ユーザの操作状態(押下状態)が「半押し状態」である場合と「全押し状態」である場合とで異なる指令を発令できる2段階の押しボタン式のスイッチによって構成されている。レリーズボタン40の操作状態は処理部16によって監視される。処理部16によって「半押し状態」が検出されれば、よく知られたオートフォーカス(AF)および自動露出(AF)の機能が起動し、ピント、絞りおよびシャッタスピードが自動的に調節される。これに対し、処理部16によって「全押し状態」が検出されれば、撮像等が行われる。
【0073】
モード切替スイッチ42は、3次元入力装置10の作動モードを、後述のSLOWモード(図2(b)において「S」で示す。)、FASTモード(図2(b)において「F」で示す。)およびオフモード(図2(b)において「OFF」で示す。)を含む複数種類のモードのいずれかとして設定するためにユーザによって操作される。このモード切替スイッチ42の操作状態は処理部16によって監視されており、モード切替スイッチ42の操作状態が処理部16によって検出されると、その検出された操作状態に対応するモードでの処理が3次元入力装置10において行われる。
【0074】
モニタLCD44は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)を用いて構成されており、処理部16から画像信号を受けて、画像をユーザに表示する。このモニタLCD44は、例えば、被写体Sの3次元形状の検出結果を表す画像(立体画像)等を表示する。
【0075】
図2に示すように、ケーシング20には、さらに、RF(無線)インタフェイスとしてのアンテナ50が装着されている。アンテナ50は、図6に示すように、RFドライバ52に接続されている。このアンテナ50は、被写体Sを立体画像として表すデータ等を、RFドライバ52を介して、図示しない外部インタフェイスに無線によって送信する。
【0076】
ここで、図1を参照することにより、ホルダHDの構成を詳細に説明する。
【0077】
ホルダHDは、複数枚の板状部材が一列に並ぶとともに互いに折畳み可能に連結されることにより、構成されている。すなわち、このホルダHDは、複数枚の板状部材が一列を成す姿勢で互いにヒンジ結合されることにより、構成されているのである。
【0078】
具体的には、ホルダHDは、測定ヘッドMHが着脱可能に装着される板状のヘッドベース130と、回転テーブルユニットRTに装着された板状のテーブルベース132と、それらヘッドベース130とテーブルベース132との間に位置する、共に板状の第1の中継ベース134および第2の中継ベース136とを、折畳み可能に互いに連結された複数枚の板状部材として備えている。
【0079】
図1に示すように、測定ヘッドMHは、概して、縦方向に長い直方体を成しており、その測定ヘッドMHの上面および下面と、正面および背面とを寸法に関して互いに比較すると、横寸法はほぼ共通するが、縦寸法は、正面および背面の方が上面および下面より長い。一方、後に図5を参照して詳述するが、ホルダHDの格納状態においては、ヘッドベース130が測定ヘッドMHの下面に装着され、第1の中継ベース134が測定ヘッドMHの正面を覆い、第2の中継ベース136が測定ヘッドMHの上面を覆い、テーブルベース132が測定ヘッドMHの背面を覆う。したがって、第1の中継ベース134およびテーブルベース132は、ヘッドベース130および第2の中継ベース136より、縦寸法が長い。
【0080】
第1の中継ベース134の両面のうち、格納状態において測定ヘッドMHの正面に対向する面、すなわち、展開状態において露出する面には、3次元入力装置10の操作方法等に関するインストラクションが表示されるインクトラクション表示面が割り当てられている。
【0081】
図1に示すように、ヘッドベース130と第1の中継ベース134とは、それらに共通の軸線を有するジョイント140により、互いに回動可能に連結されている。第1の中継ベース134と第2の中継ベース136とは、それらに共通の軸線を有するジョイント142により、互いに回動可能に連結されている。第2の中継ベース136とテーブルベース132とは、それらに共通の軸線を有するジョイント144により、互いに回動可能に連結されている。
【0082】
ここで、図1および図3を参照することにより、測定ヘッドMHをヘッドベース130に着脱可能に装着する構造を説明する。
【0083】
測定ヘッドMHは、ヘッドベース130の上面に機械的に係合することにより、そのヘッドベース130に装着される。その係合を実現するために、測定ヘッドMHは、図3に示すように、ヘッドベース130との係合部である下端部にヘッド沈座部150が形成されている。このヘッド沈座部150は、第1および第2の係合爪152,154を一対の雄側係合部として有している。
【0084】
図3に示すように、それら第1および第2の係合爪152,154は、測定ヘッドMHの横方向、すなわち、ヘッドベース130の幅方向に互いに隔たる一対の位置において、それぞれ測定ヘッドMHの前後方向、すなわち、ヘッドベース130の長さ方向に延びるように形成されている。本実施形態においては、測定ヘッドMHがヘッドベース130にできる限り強固に固定されるようにするために、それら第1および第2の係合爪152,154間の距離ができる限り長くなるようにそれら第1および第2の係合爪152,154の各位置が選定されている。
【0085】
図3に示すように、ヘッドベース130には、ヘッド沈座部150との機械的係合によってそのヘッド沈座部150を固定的に受容するヘッド受容部160が形成されている。このヘッド受容部160は、ヘッド沈座部150が嵌り入るヘッドベース沈座空隙162を備え、さらに、測定ヘッドMHの第1および第2の係合爪152,154にそれぞれ係合する第1および第2の爪突き当て部164,166を一対の雌側係合部として備えている。
【0086】
第1の爪突き当て部164は、対応する第1の係合爪152に係合して、測定ヘッドMHがヘッドベース130から、それの上面に直角な方向に離脱することを阻止する固定爪突き当て部である。一方、第2の爪突き当て部166は、(a)対応する第2の係合爪154に係合して、測定ヘッドMHがヘッドベース130から、それの上面に直角な方向に離脱することを阻止する係合位置と、(b)対応する第2の係合爪154から離脱して、測定ヘッドMHがヘッドベース130から、それの上面に直角な方向に離脱することを許可する解放位置とに変位可能な可動爪突き当て部である。
【0087】
第2の爪突き当て部166の一例は、ヘッドベース130の長さ方向(ヘッドベース130に対する測定ヘッドMHの装着・離脱時にその測定ヘッドMHが回転する回転平面に直角な方向)に延びるピボット軸線まわりにピボット可能なピボット部材170を含んでいる。
【0088】
そのピボット部材170は、そのピボット軸線と同軸な軸線を有するジョイント172によってヘッドベース130にピボット可能に装着される。このピボット部材170は、対応する第2の係合爪154に機械的に係合してその第2の係合爪154が離脱することを阻止する可動係合部174を含んでいる。その可動係合部174が第2の係合爪154を上方から係合する向きにピボット部材170が常時、弾性部材としてのスプリング176によって付勢される。本実施形態においては、そのピボット部材170が、さらに、可動係合部174による係合を解除するためにユーザによって押圧操作される操作部178と、スプリング176の弾性力を拡大して可動係合部174に伝達するレバレッジ180とを含んでいる。
【0089】
次に、図3を参照することにより、ヘッドベース130に対する測定ヘッドMHの着脱作業を説明する。
【0090】
測定ヘッドMHをヘッドベース130に装着するためには、ユーザは、ピボット部材170の操作部178を、スプリング176の弾性力に抗して、可動係合部174が係合位置から解放位置に向かう解放方向に押圧する。その押圧状態で、ユーザは、ヘッド沈座部150がヘッドベース沈座空隙162内に進入しつつ第1の係合爪152が第1の爪突き当て部164内に進入して当接するように、測定ヘッドMHを概して垂直面内において回転させつつ下降させる。その後、ユーザは、操作部178の押圧を解除し、それにより、ピボット部材170がスプリング176の弾性回復力によって解放位置から係合位置に回動して、可動係合部174が第2の係合爪154に上方から係合して突き当たる。その結果、第1の係合爪152が第1の爪突き当て部164から上方に離脱することが阻止されるとともに、第2の係合爪154が第2の爪突き当て部166から上方に離脱することも阻止される。それにより、測定ヘッドMHがヘッドベース130から離脱することが阻止される。
【0091】
これに対し、測定ヘッドMHをヘッドベース130から離脱するためには、ユーザは、上記の場合と同様にして、ピボット部材170の操作部178をスプリング176の弾性力に抗して、解放方向に押圧する。その押圧状態で、ユーザは、ヘッド沈座部150がヘッドベース沈座空隙162から退避しつつ第1の係合爪152が第1の爪突き当て部164から退避するように、測定ヘッドMHを概して垂直面内において回転させつつ上昇させて、測定ヘッドMHをヘッドベース130から離脱させる。その後、ユーザは、操作部178の押圧を解除し、それにより、ピボット部材170がスプリング176の弾性回復力によって解放位置から係合位置に復元する。
【0092】
次に、図4を参照することにより、回転テーブルユニットRTを詳細に説明する。
【0093】
この回転テーブルユニットRTは、被写体Sが載置されるべき回転テーブル184と、その回転テーブル184を回転可能に支持する支持フレーム186とを含んでいる。その支持フレーム186は、上板部188と下板部189とを含むように薄い中空箱状を成しており、上板部188の開口から回転テーブル184の上面が露出している。本実施形態においては、その支持フレーム186のうちの下板部189がテーブルベース132としても機能する。
【0094】
回転テーブル184の上面は、撮像されるべき被写体Sが載置される載置面190である。一方、回転テーブル184の下面から、回転シャフト191が同軸に延び出しており、この回転シャフト191は、軸受け192を介して支持フレーム186に回転可能に支持されている。その軸受け192は、支持フレーム186に形成された軸受けホルダ193によって保持されている。
【0095】
回転テーブル184を回転させるテーブルモータ194が支持フレーム186に装着されている。このテーブルモータ194を収容するモータボックス195が支持フレーム186に形成されている。
【0096】
このモータボックス195は、支持フレーム186の上板部188の上面に、その上面から上方に突出する姿勢で形成されている。このモータボックス195の上面は、回転テーブル184の上面より高く設定されている。それにより、被写体Sが回転テーブル184と共に回転させられる際にその被写体Sが、回転テーブル184を同軸に投影した投影空間から外側にはみ出していると、モータボックス195のうち回転テーブル184の上面より上方に位置する部分が被写体Sに当接してその被写体Sの向きを変化させる。
【0097】
したがって、モータボックス195は、テーブルモータ194の収容部として機能するのみならず、被写体Sが回転テーブル184に位置決めされる位置を規制する位置規制部196としても機能する。
【0098】
テーブルモータ194の回転を回転テーブル184に伝達するために、テーブルモータ194の回転シャフトにモータギヤ197が同軸に固定され、このモータギヤ197にかみ合うテーブルギヤ198が回転テーブル184に同軸に固定されている。モータギヤ197は、テーブルギヤ198より小径であるため、テーブルギヤ198の回転速度が減速されて回転テーブル184に伝達される。
【0099】
ところで、テーブルモータ194は、支持フレーム186の上板部188の上面から突出しないように支持フレーム186に装着することが可能である。一方、上板部188の上面のうち回転テーブル184が露出する部分を除く部分の上方空間にテーブルモータ194を配置しても、何ら支障がなく、むしろ、支持フレーム186の薄型化に有利である。
【0100】
したがって、本実施形態によれば、テーブルモータ194を上板部188の上面から突出するように配置することにより、上述の位置規制部196としての機能に加えて、支持フレーム186の薄型化を容易にするという機能も実現される。
【0101】
図5(a)には、測定ヘッドMHを前後面および上下面という4面において覆うようにホルダHDが折り畳まれた状態、すなわち、ホルダHDの格納状態において、測定ヘッドMH、ホルダHDおよび回転テーブルユニットRTが斜視図で示されている。ホルダHDは、格納状態においては、外形的に概して直方体状を成している。
【0102】
図5(b)には、ホルダHDの格納状態において測定ヘッドMH、ホルダHDおよび回転テーブルユニットRTが外箱OC内に挿入されて収容される様子が斜視図で示されている。本実施形態においては、それら測定ヘッドMH、ホルダHDおよび回転テーブルユニットRTが、測定ヘッドMHが横倒しの状態で、外箱OC内に挿入される。
【0103】
この3次元入力装置10は、複数種類のモードのうちユーザによって選択されたものに従って作動する。それらモードは、SLOWモードと、FASTモードと、オフモードとを含んでいる。SLOWモードは、被写体Sを低速で高精度で撮像する低速撮像モードであり、撮像精度優先モードである。FASTモードは、被写体Sを高速で低精度で撮像する高速撮像モードであり、撮像時間優先モードである。オフモードは、この3次元入力装置10の動作を停止させるモードである。
【0104】
撮像部14は、被写体Sを撮像し、その撮像結果から、その被写体Sを表す全体画像を構成する複数個の画素のいずれかを間引いて形成される画素間引き画像と、いずれの画素も間引かずに形成される画素非間引き画像とを選択的に取り出すことが可能であるように構成されている。さらに、撮像部14は、被写体Sの撮像後、その撮像結果から画素間引き画像を、画素非間引き画像を取り出すのに必要な時間より短い時間で取り出すように構成されている。
【0105】
CCDを用いた撮像の分野においては、被写体Sの撮像結果から画素間引き画像を取り出すために、加算方式と選択方式とがすでに知られている。
【0106】
加算方式によれば、被写体Sを表す全体画像を構成する複数個の画素がグループ分けされた複数個の画素グループの各々に属する複数個の対象画素の照度検出値が各画素グループごとに加算され、その加算された照度を用いて、各画素グループに属する複数個の対象画素の照度検出値が均等に分散される。
【0107】
これに対し、選択方式によれば、それら複数個の画素グループの各々に属する複数個の対象画素から、それら対象画素を代表する代表画素が各画素グループごとに選択され、その選択された代表画素の照度検出値を用いて、各画素グループに属する複数個の対象画素の照度検出値が均等に分散される。
【0108】
本実施形態においては、撮像部14は、それら加算方式と選択方式とのうち予め選択されたものに従い、被写体Sの撮像結果から画素間引き画像を取り出すように設計されている。
【0109】
被写体Sの撮像結果から画素間引き画像を取り出す間引き画像処理モードは、被写体Sを低速で高精度で撮像する低速撮像モードに適している。一方、被写体Sの撮像結果から画素非間引き画像を取り出す非間引き画像処理モードは、被写体Sを高速で低精度で撮像する高速撮像モードに適している。
【0110】
したがって、本実施形態においては、ユーザによってFASTモードが選択されると、間引き画像処理モードが設定される一方、ユーザによってSLOWモードが選択されると、非間引き画像処理モードが設定される。
【0111】
投影部12は、被写体Sにパターン光を投影するためのユニットである。この投影部12は、図6および図7に示すように、基板60と、LED62(例えば、単一のLED素子によって広い出射面から光を出力するLED)と、照明絞り63と、光源レンズ64と、マスク200を送るためのマスクモータ(例えば、パルスモータ)65を駆動源とする投影機構66と、投影光学系32とを、投影方向に沿って直列に備えている。
【0112】
図7には、この投影部12のハードウエア構成のうち、基板60と、LED62と、照明絞り63と、光源レンズ64と、マスク200と、投影光学系32とが詳細に示されている。図8には、この投影部12を含む3次元入力装置10全体のソフトウエア構成および電気的接続関係が詳細に示されている。図9ないし図12には、投影部12のハードウエア構成のうち、投影機構66が詳細に示されている。
【0113】
撮像部14は、被写体Sを撮像するためのユニットである。この撮像部14は、図6に示すように、撮像光学系30と、CCD(Charge Coupled Device)70とを、画像光の入射方向に沿って直列に備えている。このCCD70は、インターライントランスファー方式でプログレッシブ走査を行うように構成されている。
【0114】
撮像光学系30は、図6に示すように、複数枚のレンズを用いて構成されている。この撮像光学系30は、よく知られたオートフォーカス機能により、焦点距離および絞りを自動調整して外部からの光をCCD70上に結像する。
【0115】
CCD70は、フォトダイオード素子などの光電変換素子をマトリクス状に配列して構成されている。このCCD70は、撮像光学系30を介してこのCCD70の表面に結像される画像の光の色および強さに応じた信号を各画素ごとに生成する。その生成された信号は、デジタルデータに変換されて処理部16に出力される。
【0116】
図8にブロック図で表すように、処理部16は、フラッシュ26、レリーズボタン40およびモード切替スイッチ42にそれぞれ電気的に接続されている。処理部16は、さらに、モニタLCD44にはモニタLCDドライバ72を介して、アンテナ50にはRFドライバ52を介して、バッテリ74には電源インタフェイス76を介してそれぞれ電気的に接続されている。それらフラッシュ26等は、処理部16によって制御される。
【0117】
処理部16は、さらに、外部メモリ78およびキャッシュメモリ80にそれぞれ電気的に接続されている。処理部16は、さらに、LED62には光源ドライバ84を介して、投影機構66のマスクモータ65にはマスクモータドライバ86を介して、CCD70にはCCDインタフェイス88を介してそれぞれ電気的に接続されている。それらLED62等は、処理部16によって制御される。
【0118】
外部メモリ78は、着脱可能なフラッシュROMであり、立体画像モードにおいて撮像された撮像画像や3次元情報(前述のステッチテクスチャを含む。)を記憶することが可能である。外部メモリ78を構成するために、例えば、SDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード等を使用することができる。
【0119】
キャッシュメモリ80は、データの読み書きを高速で行い得る記憶装置である。キャッシュメモリ80は、例えば、デジカメモードにおいて撮像された撮像画像を高速でキャッシュメモリ80に転送し、処理部16で画像処理を行ってから外部メモリ78に格納することを可能にするために使用される。キャッシュメモリ80を構成するために、例えば、SDRAM、DDRRAM等を使用することができる。
【0120】
電源インタフェイス76、光源ドライバ84、マスクモータドライバ86およびCCDインタフェイス88はそれぞれ、バッテリ74、LED62、投影機構66のマスクモータ65およびCCD70を制御する各種のIC(Integrated Circuit)によって構成されている。
【0121】
図2(a)に示すように、測定ヘッドMHには、ACアダプタ端子90と、USB端子91と、テーブルモータ端子92とが設けられている。ACアダプタ端子90は、図6にも示すように、バッテリ74に電気的に接続されており、それにより、3次元入力装置10が外部の交流電源を電力源として利用することが可能となっている。USB端子91は、図6に示すように、USBドライバ93を介して処理部16に接続されている。テーブルモータ端子92は、図6に示すように、テーブルモータドライバ94を介して処理部16に接続されている。
【0122】
図1に示すように、回転テーブルユニットRTのテーブルモータ194から電気ラインとしてのハーネス95が延び出している。このハーネス95は、第2の中継ベース136、第1の中継ベース134およびヘッドベース130をそれらの順に通過し、図2(a)に示すように、そのハーネス95の先端に接続されたL字プラグ96においてテーブルモータ端子92に接続されている。そのハーネス95は、測定ヘッドMHからテーブルモータ194に制御信号および電力を供給する電気ラインとして機能する。したがって、図8に示すように、テーブルモータ194がテーブルモータドライバ94を介して処理部16に接続されることになる。
【0123】
図1に示すように、ハーネス95は、第2の中継ベース136を通過する位置がハーネス止め97によって規定され、第1の中継ベース134を通過する位置が2個のハーネス止め98,98によって規定されている。
【0124】
前述のように、投影部12は、図7に示すように、基板60と、LED62と、照明絞り63と、光源レンズ64と、投影機構66と、投影光学系32とをパターン光の投影方向に沿って直列に備えている。
【0125】
基板60は、それにLED62が装着されることにより、その装着されたLED62との間において電気的な配線を行う。基板60は、例えば、アルミニウム製基板に絶縁性合成樹脂を塗布してから無電解メッキによってパターンを形成したものや、ガラスエポキシ基材をコアとする単層または多層構造の基板を使用して製作することができる。LED62は、投影機構66に向けて放射状のアンバー色の光を広い面積で発光する光源であり、LEDケーシング100内に収容されている。
【0126】
図7に示すように、照明絞り63は、LED62から出力された光のうち不要な部分を遮蔽することにより、必要な部分のみを光源レンズ64に誘導するために設けられている。光源レンズ64は、LED62から放射状に発光される光を集光するレンズであり、その材質はアクリルに代表される光学樹脂である。
【0127】
本実施形態においては、図7に示すように、LED62から発光される放射状の光が、光源レンズ64によって効率良く集光され、LED62からの出射光が投影機構66の入射面106に略直角に入射するとともに、指向性の高い放射光として投影機構66の出射面108から出射する。この意味において、光源レンズ64は、コリメータレンズとして機能する。図7には、その出射面108上において互いに隔たった2個の注目点A,Bにつき、それぞれの指向性特性が照度分布のグラフ(θ:半値拡がり半角)で表されている。
【0128】
投影光学系32は、投影機構66を通過した光を被写体Sに向かって投影するための複数枚の投影レンズ34を含んでいる。それら投影レンズ34は、ガラス製レンズと合成樹脂製レンズとの組合せから成るテレセントリックレンズによって構成されている。テレセントリックとは、投影光学系32を通過する主光線が、入射側の空間では光軸に平行になり、入射瞳の位置が無限になる構成をいう。
【0129】
投影光学系32は、上述のようにテレセントリック特性を持ち、その入射NAが0.1程度であるため、垂直±5°以内の光のみが投影光学系32の内部の絞り36を通過できるように、投影光学系32の光路が規制されている。
【0130】
したがって、本実施形態においては、投影光学系32のテレセントリック性により、投影機構66を垂直±5°で通過する光のみを投影光学系32に投影し得る構成と相俟って、画質の向上を容易に図り得る。
【0131】
ここで、図9ないし図12を参照することにより、投影部12のハードウエア構成のうち投影機構66を詳細に説明する。
【0132】
この投影機構66は、光源としてのLED62からの入射光を複数種類のパターン光に選択的に変換することにより、それら複数種類のパターン光を順次被写体Sに投影するために設けられている。図9には、この投影機構66が正面図で示され、図10には、この投影機構66が部分断面側面図で示されている。
【0133】
図9に示すように、この投影機構66は、シート状を成して長さ方向に延びるマスク200を備えており、そのマスク200はマスクモータ65によってそのマスク200の長さ方向に送られる。
【0134】
図11には、そのマスク200の長さ方向における一部が拡大されて正面図で示されている。このマスク200には、前記複数種類のパターン光にそれぞれ対応する複数のフレーム202がマスク200の長さ方向に並んで割り当てられている。図9に示すように、それらフレーム202は、選択的に前記入射光の照射領域に位置させられる。
【0135】
本実施形態においては、被写体Sを撮像するために8種類のパターン光が順次被写体Sに投影される。図11には、パターン番号PNが5であるパターン光を形成するためのフレーム202(図11において「コード5」を付して示す。)と、パターン番号PNが6であるパターン光を形成するためのフレーム202(図11において「コード6」を付して示す。)と、パターン番号PNが7であるパターン光を形成するためのフレーム202(図11において「コード7」を付して示す。)とが代表的に示されている。
【0136】
マスク200は、各フレーム202ごとに、マスク200をそれの厚さ方向に貫通する貫通穴(空気開口)204を、各フレーム202に対応するパターン光の形状に対応する形状を有する状態で備えている。図11に示すように、いずれのフレーム202においても、個々の貫通穴204が直線的に延びるスリット状を成している。複数個のフレーム202のうち、複数個の貫通穴204を有するものにおいては、それら複数個の貫通穴204がストライプ状を成すように配列されている。
【0137】
さらに、本実施形態においては、いずれのフレーム202においても、各貫通穴204がマスク200の長さ方向に平行に延びるように配置されている。
【0138】
そのマスク200は、長さ方向と厚さ方向との双方に平行な平面内において屈曲可能である。このマスク200は、金属製の薄いシートによって構成されている。マスク200を構成する金属は、不透明弾性材料の一例であり、そのような材料の一例はステンレスである。このマスク200の板厚の一例は、0.1mmである。
【0139】
本実施形態においては、厚さ0.1mmのステンレス板に対してウエットエッチングが施されることにより、そのステンレス板に複数個の貫通穴204がミクロン精度で形成され、それにより、マスク200が製作されている。
【0140】
このマスク200は、弾性屈曲性を有しており、後述のようにローラに巻き取られて収容されていても、そのローラから解放されれば、真っ直ぐな平面を成す原形状に復元する性質を有する。
【0141】
図9に示すように、投影機構66は、マスク200を巻き取り可能に保持しつつ送るために、ハウジング210を備えている。このハウジング210に、供給具としての供給ローラ220と、案内具としてのガイドローラ222と、送り具としての送りローラ224と、巻き取り具としての巻き取りローラ226とが、互いに平行な各軸線を有する姿勢で支持されている。それら供給ローラ200,ガイドローラ222,送りローラ224および巻き取りローラ226の軸線はいずれも、マスク200の幅方向に平行に延びている。
【0142】
図10に示すように、マスク200は、それの長さ方向における両端部においてそれぞれ、供給ローラ220と巻き取りローラ226とに結合されている。マスク200は、さらに、それら供給ローラ220と巻き取りローラ226との間において、供給ローラ220寄りのガイドローラ222と、巻き取りローラ226寄りの送りローラ224とに支持されている。
【0143】
3次元入力装置10の不使用状態においては、マスク200は、供給ローラ220と巻き取りローラ226とのうち主に供給ローラ220に巻き付けられており、マスク200は、この状態で3次元入力装置10内において収容される。すなわち、マスク200のうちの未使用部分は、供給ローラ220に巻き付けられて収容されるのであり、供給ローラ220は、マスク200のうちの未使用部分を屈曲状態において収容するローラなのである。
【0144】
被写体Sの撮像が開始されると、マスク200のうちの未使用部分は、マスクモータ65の正回転により、供給ローラ220から剥がされて巻き取りローラ226に向かって供給される。その未使用部分が被写体Sの撮像に使用されると、使用済部分として、巻き取りローラ226に巻き取られて収容される。すなわち、巻き取りローラ226は、マスク200のうちの使用済部分を屈曲状態において収容するローラなのである。
【0145】
被写体Sの撮像が終了した時点においては、マスク200は、供給ローラ220と巻き取りローラ226とのうち主に巻き取りローラ226に巻き付けられ、マスク200は、この状態で3次元入力装置10内において収容される。その後、次回の撮像に備えて、マスクモータ65の逆回転により、マスク200は、供給ローラ220と巻き取りローラ226とのうち主に供給ローラ220に巻き取られ、それにより、マスク200は、供給ローラ220に巻き付けられた状態で、3次元入力装置10内において収容される。
【0146】
図10に示すように、それらガイドローラ222と送りローラ224との間に、LED62からの入射光がマスク200に照射される照射位置228が設定されている。マスク200のうちそれらガイドローラ222と送りローラ224とによって両端を支持される部分が、前記設定された照射位置228を前記入射光に直角な方向に通過する直線部230を形成している。
【0147】
図10に示すように、本実施形態においては、マスク200のうち供給ローラ220とガイドローラ222とによって両端を支持される部分232(図10において直線部より左側の部分)と、送りローラ224と巻き取りローラ226とによって両端を支持される部分234(図10において直線部より右の部分)とがそれぞれ、直線部230に対して同じ側に傾斜させられている。その傾斜角度は、小さいほど、直線部230に対する部分232,234の弾性曲げに起因する直線部230の反りを軽減するために望ましい。一方、その傾斜角度は、大きいほど、マスク200の長さ方向においてこの投影機構66を小型化するために望ましい。
【0148】
図10に示すように、マスク200は、それの長さ方向における両端部においてそれぞれ、供給ローラ220と巻き取りローラ226とに結合されている。
【0149】
供給ローラ220は、ハウジング210に固定されたシャフト240と、そのシャフト240を同軸に取り囲むローラ部242とを含むように構成されている。ローラ部242は、シャフト240に対して同軸に相対回転可能に支持されている。このローラ部242にマスク200の一端部が固定され、そのローラ部242の回転によってそのローラ部242の外周面にマスク200が巻き付けられる。ローラ部242の両回転方向のうち、ローラ部242にマスク200が巻き付けられる回転方向が戻り回転方向であり、ローラ部242からマスク200が剥がされる回転方向が送り回転方向である。
【0150】
ローラ部242には、付勢部材としてのスプリング246が係合させられており、それにより、ローラ部242は、戻り回転方向に常時付勢されている。そのスプリング246は、例えば、図10に示すように、ローラ部242とシャフト240との間の半径方向隙間内において、可動部材としてのローラ部242と静止部材としてのシャフト240とに係合させられるように使用される。そのスプリング246は、例えば、図10に示すように、シャフト240の外周面に巻き付けられるリーフスプリング176として構成される。そのスプリング246の弾性力により、マスク200にテンションがそのマスク200の長さ方向に作用させられる。
【0151】
図9および図11に示すように、マスク200の両側縁部にはそれぞれ、マスク200の長さ方向に並んだ複数個の送り穴250から成るパーフォレーション領域252が形成されている。ガイドローラ222および送りローラ224は、それら送り穴250に貫通してそれら送り穴に係合する歯254,256を備えている。本実施形態においては、図10に示すように、ガイドローラ222も送りローラ224も、複数個の歯254,256を、各外周面上において等間隔に並んで備えている。
【0152】
ガイドローラ222はフリーローラであるのに対し、送りローラ224は、マスクモータ65によって駆動される駆動ローラである。図9に示すように、本実施形態においては、マスクモータ65が送りローラ224に同軸に連結されており、送りローラ224がマスクモータ65によって回転駆動される。送りローラ224の両回転方向のうち、マスク200が供給ローラ220から剥がされる回転方向が送り回転方向であり、マスク200が供給ローラ220に巻き付けられる回転方向が戻り回転方向である。
【0153】
図10に示すように、そのマスクモータ65は、送りローラ224を回転させる機能と、それと同期して巻き取りローラ226を回転させる機能とを有している。そのため、マスクモータ65は、マスク200を送りつつ巻き取りローラ226によって巻き取られる正回転と、マスク200を巻き取りローラ226から剥がしつつ供給ローラ220に供給する逆回転とを選択的に行わせられる。
【0154】
図9に示すように、本実施形態においては、送りローラ224およびマスクモータ65と同軸かつ一体的に回転させられる回転体としての駆動プーリ260と、巻き取りローラ226と同軸かつ一体的に回転させられる回転体としての被動プーリ262とに、動力伝達体としてのベルト264が巻き掛けられている。このように構成された伝動機構266により、マスクモータ65の回転力が巻き取りローラ226に伝達される。
【0155】
図9および図10に示すように、投影機構66は、照射位置228においてマスクガイド270を備えている。そのマスクガイド270は、マスク200のうちの直線部230の送りを案内するために設けられている。
【0156】
本実施形態においては、マスクガイド270が、マスク200の直線部230をそれの厚さ方向における両側から挟む構造を有しており、具体的には、マスク200の直線部230を隔てて互いに対向する一対のガイド板272,272を備えている。このマスクガイド270は、マスク200をそれの長さ方向にスライド可能に保持する一方、マスク200をそれの幅方向にはできる限り変位しないように保持する。
【0157】
各ガイド板272には、それを厚さ方向に貫通する窓276が形成されている。この窓276も、貫通穴204と同様に、空気開口として形成されている。LED62からの入射光のうち窓276を通過する部分のみが、マスク200に照射される。
【0158】
図11に示すように、マスク200には、各フレーム202ごとに、位置基準穴280とID穴領域282とが、マスク200の幅方向に並んで形成されている。それら位置基準穴280およびID穴領域282は、いすれも貫通穴(空気開口)としてマスク200に形成されている。位置基準穴280は、いずれかのフレームが照射位置228に位置していることを光学的に検出するために設けられている。一方、ID穴領域282は、照射位置228に位置しているフレームのIDすなわちパターン番号PNを光学的に特定するために設けられている。
【0159】
本実施形態においては、ID穴領域282が、3ビットの情報によって8個のフレーム202すなわち8種類のパターン光をそれぞれ識別する。そのため、各フレーム202ごとのID穴領域282には、最大で3個のID穴290,292,294が形成される。
【0160】
図12に示すように、投影機構66は、位置基準穴280を光学的に検出するために、位置センサ300を、マスク200の幅方向位置に関して位置基準穴280と一致する位置に備えている。本実施形態においては、その位置センサ300は、位置基準穴280を高い位置精度で検出するために、絞ったビームをマスク200に照射するとともに、マスク200からの反射光を絞って受光する。
【0161】
そのため、位置センサ300は、発光素子としてのLED302と、受光素子としてのフォトダイオード(以下、「PD」という。)304と、LED302のための集光素子としてのLEDレンズ306と、PD304のための集光素子としてのPDレンズ308とを含んでいる。この位置センサ300は、図8に示すように、処理部16に電気的に接続されている。
【0162】
PD304は、マスク200からの反射光の受光の有無に応じて変化するPD信号を出力する。具体的には、PD信号は、図13にタイミングチャートで表すように、いずれの位置基準穴280も位置センサ300に対向しないために位置センサ300からの光がマスク200で反射して位置センサ300に入射する場合に、ハイレベルを示す一方、いずれかの位置基準穴280が位置センサ300に対向するために位置センサ300からの光がその位置基準穴280を透過して位置センサ300に入射しない場合に、ローレベルを示すように変化する。
【0163】
LEDレンズ306は、LED302からの光を集光してマスク200に照射する集光機能を有する。PDレンズ308は、マスク200からの反射光を集光してPD304に照射する集光機能を有する。それらLEDレンズ306およびPDレンズ308により、位置基準穴280の位置ひいてはフレーム202の位置を高精度に検出することが可能となっている。
【0164】
図12に示すように、投影機構66は、さらに、ID穴290,292,294を光学的に検出するために、第1ないし第3のIDセンサ310,312,314を備えている。それら第1ないし第3のIDセンサ310,312,314はそれぞれ、マスク200の幅方向位置に関して3個のID穴290,292,294と一致する位置に配置されている。いずれのIDセンサ310,312,314も、ID穴領域282に向けて光を照射する発光素子と、ID穴領域282からの反射光を受光する受光素子とを含んでいる。
【0165】
第1ないし第3のIDセンサ310,312,314の3個の受光素子はそれぞれ、ID穴領域282からの反射光の有無を表す信号を、信号S1ないしS3として出力する。それら信号S1ないしS3は、前述のPD信号と同様に変化する。それら第1ないし第3のIDセンサも、位置センサ300と同様に、図8に示すように、処理部16に電気的に接続されている。
【0166】
図13には、PD信号およびS1ないしS3信号が互いに同期して変化する様子の一例がタイミングチャートで表されている。処理部16においては、後に詳述するが、マスクモータ65の駆動によってマスク200が送られている間にいずれかの位置基準穴280が位置センサ300に対向したためにPD信号がハイレベルからレーレベルに変化した事象をトリガとして、第1ないし第3のIDセンサ310,312,314からそれぞれS1ないしS3信号がサンプリングされる。
【0167】
図12に示すマスク200の例においては、第1および第3のIDセンサ310,314がそれぞれ、ID穴290,294に対向するため、S1信号およびS3信号がそれぞれ、ハイレベルからローレベルに変化する一方、第2のIDセンサ312は、ID穴292に対向しないため、S2信号がハイレベルに維持される。それらサンプリングされたS1ないしS3信号のレベルの組合せにより、位置センサ300によって検出されたフレーム202のIDすなわちパターン番号PNが検出される。
【0168】
図8には、3次元入力装置10の電気的な構成がブロック図で表されている。処理部16はコンピュータ400を主体として構成されており、そのコンピュータ400は、CPU402と、ROM404と、RAM406と、バス408とを含むように構成されている。
【0169】
CPU402は、ROM404に記憶されたプログラムをRAM406を利用しつつ実行することにより、レリーズボタン40の操作状態の検出、CCD70からの画像データの取込み、その取り込まれた画像データの転送および格納、モード切替スイッチ42の操作状態の検出等の各種処理を行う。
【0170】
ROM404には、カメラ制御プログラム404aと、撮像処理プログラム404bと、輝度画像生成プログラム404cと、コード画像生成プログラム404dと、コード境界抽出プログラム404eと、レンズ収差補正プログラム404fと、三角測量演算プログラム404gと、マスクモータ制御プログラム404hと、テーブルモータ制御プログラム404jとが格納されている。
【0171】
カメラ制御プログラム404aは、3次元入力装置10全体の制御を実行するために実行され、その制御には、図14にフローチャートで概念的に表されているメイン処理が含まれる。
【0172】
撮像処理プログラム404bは、被写体Sの3次元形状を検出するためにパターン光が投影された被写体Sを撮像してパターン光有画像を取得し、さらに、パターン光が投影されていない被写体Sを撮像してパターン光無画像を取得するために実行される。
【0173】
輝度画像生成プログラム404cは、撮像処理プログラム404bの実行によって被写体Sについて取得された各画素のRGB値に基づき、複数枚のパターン光有画像にそれぞれ対応する複数枚の輝度画像が生成される。
【0174】
本実施形態においては、同じ被写体Sに対して複数種類のパターン光が時系列に順次投影され、各パターン光が投影されるごとに被写体Sが撮像される。そのようにして撮像された複数枚のパターン光有画像の各々について各画素のRGB値が取得され、その結果、パターン光の種類と同数の輝度画像が生成される。
【0175】
コード画像生成プログラム404dは、輝度画像生成プログラム404cの実行によって生成された複数枚の輝度画像それぞれに対する閾値処理により生成される2値化画像から、各画素毎に空間コードが割り当てられたコード画像を生成するために実行される。
【0176】
概略的に説明するに、このコード画像生成プログラム404dが実行されると、複数種類のパターン光のうちパターンライン間の間隔が最も狭いものが投影された被写体Sの輝度画像におけるパターンライン間の間隔が周期として取得され、その周期の輝度画像全体における分布が周期分布として取得される。
【0177】
このコード画像生成プログラム404dが実行されると、さらに、その取得された周期分布に従ってサイズが変化する可変窓が各パターン光ごとの輝度画像にローカルに設定されることにより、前記可変窓を用いたフィルタ処理により輝度画像全体に対して閾値がローカルに算出されて設定される。そのようにして設定された閾値の分布を表す閾値画像と各パターン光ごとの輝度画像との関係から、各パターン光ごとに2値化画像が生成される。
【0178】
可変窓を用いたフィルタ処理により輝度画像全体に対して閾値をローカルに算出する技術は、本出願人の特願2004−285736号明細書に詳細に開示されており、その明細書を参照することによってその明細書の内容を本明細書に引用する。
【0179】
コード境界抽出プログラム404eは、コード画像生成プログラム404dの実行によって生成されたコード画像と、輝度画像生成プログラム404cの実行によって生成された輝度画像とを利用することにより、コードの境界座標をサブピクセル精度で求めるために実行される。
【0180】
レンズ収差補正プログラム404fは、コード境界抽出プログラム404eの実行によってサブピクセル精度で求められたコードの境界座標に対して、撮像光学系20の収差補正を行うために実行される。
【0181】
三角測量演算プログラム404gは、レンズ収差補正プログラム404fの実行によって収差補正が行われたコードの境界座標から、その境界座標に関する実空間の3次元座標を演算するために実行される。
【0182】
マスクモータ制御プログラム404hは、複数種類のパターン光を順次被写体Sに投影すべくマスクモータ65を制御するために実行される。このマスクモータ制御プログラム404hは、図18にフローチャートで概念的に表されている。
【0183】
テーブルモータ制御プログラム404jは、回転テーブル184を被写体Sと共に割り出し回転させるべくテーブルモータ194を制御するために実行される。このテーブルモータ制御プログラム404jは、他の処理と共に図16にフローチャートで概念的に表されている。
【0184】
本実施形態においては、前述の一連のパターン光の被写体Sへの投影および被写体Sの撮像が、被写体Sの回転位置が等間隔で割り出されるごとに行われる。具体的には、被写体Sの回転位置が90度ずつ間欠的に割り出され、各割り出し位置において、一連のパターン光の投影および被写体Sの撮像が行われる。その結果、被写体Sの外面の全体領域が4つの部分領域に分割され、各部分領域ごとに立体画像(3次元形状情報)が取得される。それら立体画像が、互いにオーバラップする部分を除去する処理が施されて互いに結合されることにより、被写体Sに対応する1つの全体画像がステッチ画像として生成される。
【0185】
さらに、本実施形態においては、その生成されたステッチ画像に、同じ被写体Sについて計測された表面色情報がマッピングされることにより、ステッチテクスチャが生成される。これにより、被写体Sについての一連の3次元入力処理が終了する。
【0186】
図8に示すように、RAM406には、パターン光有画像格納部406aと、パターン光無画像格納部406bと、輝度画像格納部406cと、コード画像格納部406dと、コード境界座標格納部406eと、収差補正座標格納部406gと、3次元座標格納部406hと、周期分布格納部406pと、閾値画像格納部406qと、2値化画像格納部406rと、ステッチ画像格納部406sと、ステッチテクスチャ格納部406tと、ワーキングエリア410とがそれぞれ記憶領域として割り当てられている。
【0187】
パターン光有画像格納部406aは、撮像処理プログラム404bの実行によって撮像されたパターン光有画像を表すパターン光有画像データを格納する。パターン光無画像格納部406bは、撮像処理プログラム404bの実行によって撮像されたパターン光無画像を表すパターン光無画像データを格納する。
【0188】
輝度画像格納部406cは、輝度画像生成プログラム404cの実行によって生成された輝度画像を表すデータを格納する。コード画像格納部406dは、コード画像生成プログラム404dの実行によって生成されたコード画像を表すデータを格納する。コード境界座標格納部406eは、コード境界抽出プログラム404eの実行によってサブピクセル精度で抽出された各コードの境界座標を表すデータを格納する。
【0189】
収差補正座標格納部406gは、レンズ収差補正プログラム404fの実行によって収差補正が行われたコードの境界座標を表すデータを格納する。3次元座標格納部404hは、三角測量演算プログラム404gの実行によって演算された実空間の3次元座標を表すデータを格納する。
【0190】
周期分布格納部406p、閾値画像格納部406qおよび2値化画像格納部406rは、コード画像生成プログラム404dの実行によって取得された周期分布、閾値画像および2値化画像を表すデータをそれぞれ格納する。
【0191】
ステッチ画像格納部406sは、前述のステッチ画像を格納し、ステッチテクスチャ格納部406tは、前述のステッチテクスチャを格納する。ワーキングエリア410は、CPU402がその動作のために一時的に使用するデータを格納する。
【0192】
ここで、図14を参照することにより、カメラ制御プログラム404aを説明する。このカメラ制御プログラム404aがコンピュータ400によって実行されることにより、前述のメイン処理が実行される。
【0193】
このメイン処理においては、まず、ステップS101(以下、単に「S101」で表す。他のステップについても同じとする。)において、バッテリ74を含む電源がONされる。次に、S102において、処理部16、周辺インタフェイス等が初期化される。
【0194】
続いて、S103において、モード切替スイッチ42の操作状態を判別するためにキースキャンが行われ、その後、S104において、モード切替スイッチ42の操作によってSLOWモードが選択されたか否かが判定される。今回は、SLOWモードが選択されたと仮定すれば、判定がYESとなり、S105において、前述の非間引き画像処理モードが設定される。このS105の実行後、後に詳述するS108が実行され、続いて、S103に戻る。
【0195】
これに対し、今回は、モード切替スイッチ42の操作によってSLOWモードが選択されなかったと仮定すれば、S104の判定がNOとなり、S106において、モード切替スイッチ42の操作によってFASTモードが選択されたか否かが判定される。今回は、FASTモードが選択されたと仮定すれば、判定がYESとなり、S107において、前述の間引き画像処理モードが設定される。このS107の実行後、後に詳述するS108が実行され、続いて、S103に戻る。
【0196】
これに対し、今回は、モード切替スイッチ42の操作によってFASTモードが選択されなかったと仮定すれば、S106の判定がNOとなり、S112において、モード切替スイッチ42の操作によってオフモードが選択されたか否かが判定される。今回は、モード切替スイッチ42の操作によってオフモードが選択されたと仮定すれば、判定がYESとなり、直ちに今回のメイン処理が終了するが、今回は、モード切替スイッチ42の操作によってオフモードが選択されなかったと仮定すれば、判定がYESとなり、S103に戻る。
【0197】
図15には、図14におけるS108が立体画像処理ルーチンとしてフローチャートで概念的に表されている。この立体画像処理ルーチンの実行により、被写体Sの3次元形状を立体画像として検出し、表示する立体画像処理が実行される。この立体画像処理においては、さらに、同じ被写体Sの表面色も検出される。それら立体画像の検出結果と表面色の検出結果とが位置に関連付けて組み合わされたものが3次元色形状検出結果である。
【0198】
この立体画像処理においては、まず、S1001において、ファインダ画像、すなわち、撮像光学系30を通して見える範囲の画像と同じ画像がモニタLCD44に表示される。よって、ユーザは、モニタLCD44に表示された画像を見ることにより、実際の撮像前に、撮像画像(撮像範囲)を確認することができる。
【0199】
次に、S1002において、レリーズボタン40の操作状態がスキャンされ、その後、S1003において、そのスキャン結果に基づき、レリーズボタン40が半押し状態にあるか否かが判定される。半押し状態にあれば、判定がYESとなり、S1004において、オートフォーカス(AF)および自動露出(AE)機能が起動し、それにより、ピント、絞りおよびシャッタスピードが調節される。レリーズボタン40が半押し状態になければ、S1003の判定がNOとなり、S1010に移行する。
【0200】
S1004の実行後、S1005において、再度、レリーズボタン40の操作状態がスキャンされ、その後、S1006において、そのスキャン結果に基づき、レリーズボタン40が全押し状態にあるか否かが判定される。レリーズボタン40が全押し状態になければ、このS1006の判定がNOとなってS1002に戻る。
【0201】
レリーズボタン40が半押し状態から全押し状態に移行すれば、S1006の判定がYESとなり、S1007において、後述の3次元色形状検出処理が実行され、それにより、被写体Sの3次元形状および表面色が検出される。
【0202】
概略的に説明するに、その3次元色形状検出処理により、被写体Sについて3次元色形状検出結果が生成される。ここに、3次元色形状検出結果とは、後述の空間コード画像において検出される複数の空間コード境界画像を3次元座標に変換した結果取得される頂点座標の集合体であって、各頂点ごとに色形状情報とポリゴン情報とが互いに関連付けられたものを意味する。色形状情報は、実空間座標とRGB値との組合せを表す情報である。ポリゴン情報は、複数個の頂点のうち、被写体Sを3次元的に表面する立体を構成するために互いに連結されるべき複数の頂点の組合せを表す情報である。
【0203】
その後、S1008において、その3次元色形状検出結果が外部メモリ78に格納され、続いて、S1009において、その3次元色形状検出結果が3次元コンピュータグラフィック画像としてモニタLCD44に表示される。
【0204】
その後、S1010において、図14におけるS103と同様にしてキースキャンが行われる。続いて、S1011において、モード切替スイッチ42の操作状態に変化が無いか否かが判定される。変化が無ければ、S1011の判定がYESとなり、S1001に戻るが、変化が有れば、S1011の判定がNOとなり、今回の立体画像処理が終了する。
【0205】
図15のS1007において実行される3次元色形状検出処理においては、空間コード化法を用いて被写体Sの3次元形状が検出される。
【0206】
図16には、図15におけるS1007が3次元色形状検出処理ルーチンとしてフローチャートで概念的に表されている。この3次元色形状検出処理ルーチンには、テーブルモータ制御プログラム404iが組み込まれており、このテーブルモータ制御プログラム404iは、図16におけるS1201およびS1221ないしS1223を含むように構成されている。
【0207】
この3次元色形状検出処理ルーチンにおいては、まず、S1201において、回転テーブル184の回転位相PHが0に初期化される。本実施形態においては、回転テーブル184が1回転する間に4回停止させられるため、回転テーブル184には4つの回転位相PHが離散的に設定される。具体的には、回転位相PHは、初期の回転位相PHを表す「0」と、次の回転位相PHを表す「1」と、次の回転位相PHを表す「2」と、最後の回転位相PHを表す「3」とに離散的に変化させられる。
【0208】
次に、S1210において、撮像処理プログラム404bが実行されることにより、今回の回転位相PHについて撮像処理が実行される。この撮像処理においては、投影部12からストライプ状のパターン光が時系列的に被写体Sに投影される。さらに、複数種類のパターン光が投影されている被写体Sをそれぞれ撮像した複数枚のパターン光有画像と、パターン光が投影されていない同じ被写体Sを撮像した1枚のパターン光無画像とが取得される。このS1210は、後に図17を参照して詳述する。
【0209】
撮像処理が終了すると、S1220において、今回の回転位相PHについて3次元計測処理が実行される。この3次元計測処理が実行されると、上述の撮像処理によって取得された複数枚のパターン光有画像と1枚のパターン光無画像とが利用されて、実際に被写体Sの3次元形状が計測される。このS1220は、後に図21を参照して詳述する。
【0210】
この3次元計測処理が終了すると、S1221において、次回の撮像に備えて、回転位相PHが1だけインクリメントされる。続いて、S1222において、回転位相PHの現在値が4より大きいか否か、すなわち、被写体Sについての一連の撮像が既に終了しているか否かが判定される。
【0211】
今回は、回転位相PHの現在値が4より大きくはないと仮定すれば、そのS1222の判定がNOとなり、S1223において、回転テーブル184を時計方向に90度回転させるのに必要な駆動信号がテーブルモータ194に対して出力される。その結果、回転テーブル184が時計方向に90度回転させられ、それにより、被写体Sが、前回の撮像時とは異なる部分領域において測定ヘッドMHに対向させられる。その後、S1210およびS1220が実行され、それにより、次の回転位相PHについて前述の撮像処理および3次元計測処理が行われる。
【0212】
S1210ないしS1223のループが必要回数実行された結果、S1222の判定がYESとなれば、その後、S1230において、被写体Sについて計測された3次元形状と表面色とを組み合わせることにより、3次元色形状検出結果が生成される。このS1230は、後に図23を参照して詳述する。
【0213】
この3次元色形状検出結果が生成されると、今回の3次元色形状検出処理が終了する。
【0214】
ここで、図17を参照することにより、図16におけるS1210を詳述する。図17には、そのS1210が撮像処理プログラム404bとしてフローチャートで概念的に表されている。
【0215】
この撮像処理プログラム404bにおいては、まず、S2001において、パターン光を形成するために使用されるマスクパターンの番号を表すパターン番号PNが0に初期化される。続いて、S2002において、そのパターン番号PNの現在値が最大値PNmaxより小さいか否かが判定される。その最大値PNmaxは、使用されるマスクパターンの合計数に応じて決定される。例えば、8種類のマスクパターンが使用される場合には、最大値PNmaxが8に設定される。
【0216】
今回は、パターン番号PNの現在値が最大値PNmaxより小さいと仮定すれば、S2002の判定がYESとなり、続いて、S2002aにおいて、マスクモータ制御プログラム404hが実行される。
【0217】
このマスクモータ制御プログラム404hにおいては、図18に示すように、まず、S2201において、マスクモータ65を一定速度で回転駆動するための信号がマスクモータドライバ86に供給される。これにより、マスク200が供給ローラ220から照射位置228に供給される向きにマスク200が送られる。
【0218】
次に、S2202において、位置センサ300からPD信号が読み取られる。続いて、S2203において、その読み取られたPD信号がローレベルを示すか否かが判定される。すなわち、位置センサ300がいずれかの位置基準穴280(今回は、先頭の位置基準穴280)が検出されたか否かが判定されるのである。
【0219】
今回は、PD信号がハイレベルを示すと仮定すれば、S2203の判定がNOとなり、S2201に戻り、マスクモータ65の駆動およびPD信号の読み取りが繰り返される。S2201ないしS2203の実行が何回か繰り返された結果、PD信号がハイレベルからローラベルに変化したと仮定すれば、S2203の判定がYESとなる。
【0220】
その後、S2204において、第1ないし第3のIDセンサ310ないし314からS1ないしS3信号がそれぞれ読み取られる。続いて、S2205において、それら読み取られたS1ないしS3信号のレベルの組合せ(3ビットの情報)がパターン番号PNの現在値を表すか否かが判定される。すなわち、マスク200における複数のフレーム202のうち現在、照射位置228に位置しているものすなわち現在フレーム202のパターン番号PNが、パターン番号PNの現在値と一致するか否かが判定されるのである。
【0221】
今回は、現在フレーム202のパターン番号PNがパターン番号PNの現在値と一致しないと仮定すると、S2205の判定がNOとなり、S2201に戻る。これに対し、今回は、現在フレーム202のパターン番号PNがパターン番号PNの現在値と一致すると仮定すると、S2205の判定がYESとなる。本実施形態においては、マスク200において複数のフレーム202が並ぶ順序と同じ順序に、パターン番号PNが1ずつ増加させられるようになっている。すなわち、マスク200がシーケンシャルに送られるようになっているのであり、よって、S2205の判定は、3次元入力装置10に異常が存在しない限り、YESとなる。
【0222】
S2205の判定がYESとなると、その後、S2206において、マスクモータ65が停止させられ、それにより、現在フレーム202が照射位置228に停止させられる。その結果、現在フレーム202の位置決めが完了する。
【0223】
以上で、このマスクモータ制御プログラム404hの一回の実行が終了する。
【0224】
なお付言するに、本実施形態においては、マスクモータ65の間欠的駆動によるマスク200の間欠的送りにより、複数のフレーム202が順次、照射位置228に位置決めされるように、マスクモータ65が制御される。これに対し、マスクモータ65の連続的駆動によるマスク200の連続的送りにより、複数のフレーム202が順次、照射位置228に位置決めされるように、マスクモータ65が制御される態様で本発明を実施することが可能である。
【0225】
ところで、前述のように、本実施形態においては、マスク200において各貫通穴204の長さ方向がマスク200の送り方向に一致させられている。よって、マスク200の移動中でも、いずれかのフレーム202が照射位置228を通過する際に、同じフレーム202によって同じパターン光が生成されて被写体Sに投影される時間を確保することが容易である。
【0226】
したがって、マスク200が一時的に停止しないにもかかわらず、同じパターン光を事実上、静止画像として被写体Sに投影することが容易である。このことは、マスク200の連続的送りにより、複数のフレーム202を順次、照射位置228に確実に位置決めするために好都合である。
【0227】
本実施形態においては、マスクモータ制御プログラム404hの一回の実行が終了すると、図17におけるS2003において、使用される複数種類のマスクパターンのうち、パターン番号PNの現在値と等しい番号が付されたPN番目のマスクパターンの投影が開始される。
【0228】
続いて、S2004において、PN番目のマスクパターンを被写体Sに投影するための投影処理が行われる。図19には、このS2004の詳細が投影処理サブルーチンとしてフローチャートで概念的に表されている。この投影処理サブルーチンの実行により、PN番目のマスクパターンを有するパターン光を投影部12から被写体Sに投影する投影処理が投影機構66との共同作用によって実行される。
【0229】
この投影処理においては、まず、S3004において、光源ドライバ84が駆動され、続いて、S3005において、その光源ドライバ84からの電気信号によってLED62が発光する。以上で、今回の投影処理が終了する。
【0230】
LED62から発光した光は、光源レンズ64を経て投影機構66に到達する。その投影機構66においては、マスク200の現在フレーム202の開口パターンに応じた空間変調が施され、その結果、投影機構66への入射光がパターン光に変換されて出力される。その投影機構66から出力されるパターン光は、投影光学系32を経て被写体Sに投影画像として投影される。
【0231】
以上のようにして、PN番目のマスクパターンによって形成されるPN番目のパターン光が被写体Sに投影されると、続いて、図17におけるS2005において、そのPN番目のパターン光が投影されている被写体Sが撮像部14によって撮像される。
【0232】
その撮像により、PN番目のパターン光が投影されている被写体Sを撮像したPN番目のパターン光有画像が取得される。その取得されたパターン光有画像は、対応するパターン番号PNに関連付けてパターン光有画像格納部406aに格納される。
【0233】
その撮像が終了すると、S2006において、PN番目のパターン光の投影が終了し、続いて、S2007において、次のパターン光を投影すべく、パターン番号PNが1だけインクリメントされ、その後、S2002に戻る。
【0234】
S2002ないしS2007の実行がパターン光の種類の数と同数回繰り返された結果、パターン番号PNの現在値が最大値PNmaxより小さくはない値になると、S2002の判定がNOとなり、今回の撮像処理が終了する。したがって、一回の撮像処理により、最大値PNmaxと同数枚のパターン光有画像が取得されることになる。
【0235】
続いて、S2008において、フラッシュモードが選択されているか否かが判定される。フラッシュモードが選択されていれば、その判定がYESとなり、S2009において、フラッシュ26が発光させられるが、フラッシュモードが選択されていなければ、S2008の判定がNOとなり、S2009がスキップされる。いずれにしても、その後、S2010において、被写体Sが撮像される。
【0236】
この撮像は、被写体Sの表面色を計測することを目的として、投影部12からパターン光を被写体Sに投影することなく、行われる。その結果、被写体12について1枚のパターン光無画像が取得される。その取得されたパターン光無画像はパターン光無画像格納部406bに格納される。
【0237】
続いて、S2011において、マスク200のうちの長さ方向における先頭部分が照射位置228に位置するようにマスク200の長さ方向位置を初期化すべくマスクモータ65が駆動される。
【0238】
以上で、この撮像処理プログラム404bの一回の実行が終了する。
【0239】
図20には、この撮像処理プログラム404bの一回の実行に伴うこの3次元入力装置10の作動の一例がタイミングチャートで表されている。この作動例は、ユーザによってFASTモードが選択されている状態でユーザによってレリーズボタン40が全押し状態に操作された場合にこの3次元入力装置10によって実行されるものである。
【0240】
図20(a)には、被写体Sからの入射光によってCCD70が複数回、連続して露光される様子が示されている。図20(b)には、それら複数回の露光のそれぞれにつき、被写体Sからの入射光によって表される全体画像のうちの各画素ごとに光がCCD70によって電気信号に変換されてCCD70から出力される信号出力タイミングがタイミングチャートで表されている。図20(c)には、撮像部14の画像処理モードが前述の間引き画像処理モードと非間引き画像処理モードとに時間的に切り替わるタイミングがタイミングチャートで表されている。
【0241】
さらに、図20(d)には、撮像部14の状態が、待機状態と、撮像および信号取り出しのための作動状態とに時間的に切り替わるタイミングがタイミングチャートで表されている。図20(e)には、各パターン光を形成するためにマスク200において各フレーム202が割り出されるタイミングがタイミングチャートで表されている。図20(f)には、フラッシュ26がOFF状態とON状態とに時間的に切り替わるタイミングがタイミングチャートで表されている。図20(g)には、レリーズボタン40が非操作状態(OFF状態)と操作状態(ON状態)とに時間的に切り替わるタイミングがタイミングチャートで表されている。
【0242】
本実施形態においては、被写体Sからの入射光によるCCD70の露光後に、その露光を反映した信号のCCD70からの取り出しが行われる。1回の露光に1回の信号取り出しが対応しており、それら露光と信号取り出しとが互いに共同して1回の個別撮像処理を構成する。
【0243】
本実施形態においては、同じ被写体Sについて3次元形状情報の取得と表面色情報の取得とが連続的に、かつ、それらの順で行われる。
【0244】
前述のように、被写体Sの3次元形状情報を取得するために、その被写体Sに8種類のパターン光(パターン番号PN=0〜7)が順次投影され、各パターン光の投影ごとに、CCD70の露光とCCD70からの信号取り出しとが行われる。すなわち、被写体Sの3次元形状情報を取得するために、その被写体Sに対する個別撮像処理が順次、合計8回行われるのである。図20においては、3次元形状情報を取得するための各回の個別撮像処理に対応するパターン光の番号PNが、「0」ないし「7」の数字によって示されている。
【0245】
被写体Sの表面色情報を取得するために、被写体Sからの入射光によってCCD70が1回露光され、その後に信号取り出しが行われる。すなわち、被写体Sの表面色情報を取得するために、被写体Sに対する個別撮像処理が1回行われるのである。図20においては、表面色情報を取得するための1回の個別撮像処理が「c」という記号によって示されている。
【0246】
3次元形状情報取得のための撮像においては、照明光としてパターン光を被写体Sに投影することが必須であるのに対し、表面色情報取得のための撮像においては、照明光を被写体Sに投影することが選択的である。具体的には、表面色情報取得のための撮像においては、被写体Sからの受光量が不足している場合に、フラッシュ26が自動的に発光させられ、それにより、被写体Sに照明光が投影される。
【0247】
したがって、本実施形態においては、3次元形状情報取得のための8回の個別撮像処理と、表面色情報取得のための1回の個別撮像処理とが連続的に行われ、合計9回の個別撮像処理が連続的に行われる。本実施形態においては、それら9回の個別撮像処理が互いに共同して1回の全体撮像処理を構成している。
【0248】
それら9回の個別撮像処理においては、同じ被写体Sについて9回の露光が順次行われ、それら9回の露光は、例えば、ビデオレートと同じ速度で同一周期で行われる。それら9回の露光が連続的に行われる期間は、被写体Sと3次元入力装置10との相対位置が変化するとその影響がCCD70の撮像結果に現れる期間である。この期間は、3次元入力装置10の撮像時間である。この撮像時間が短いほど、3次元入力装置10の動画撮像能力が高いことを意味する。
【0249】
図20に示す一作動例においては、3次元形状情報取得のための8回の個別撮像処理における信号取り出しがいずれも、間引き画像処理として実行される。したがって、3次元形状情報取得のための各回の個別撮像処理においては、CCD70の露光に後続し、必要な信号取り出し時間t1の経過後、CCD70から電気信号が出力される。信号取り出し時間t1は、1フレーム取り出し時間ともいい、各パターン光の投影ごとに、CCD70の露光が終了してから、3次元形状情報が1フレーム分、CCD70から出力されるまでに必要な3次元形状情報出力時間を意味する。
【0250】
これに対し、図20に示す一例においては、表面色情報取得のための1回の個別撮像処理における信号取り出しが、非間引き画像処理として実行される。したがって、表面色情報取得のための1回の個別撮像処理については、CCD70の露光に後続し、必要な信号取り出し時間t2の経過後、CCD70から電気信号が出力される。信号取り出し時間t2は、1フレーム取り出し時間ともいい、CCD70の露光が終了してから、表面色状情報が1フレーム分、CCD70から出力されるまでに必要な表面色情報出力時間を意味する。
【0251】
間引き画像処理に必要な信号取り出し時間t1は、非間引き画像処理に必要な信号取り出し時間t2より短い。例えば、信号取り出し時間t1は、約33msであるのに対し、信号取り出し時間t2は、約0.5sである。
【0252】
図20(a)および(b)に示すように、1回の個別撮像処理においては、露光が終了した後に信号取り出しが開始されるが、次回の個別撮像処理における露光は、前回の個別撮像処理における信号取り出しが終了する前に開始される。すなわち、ある回の個別撮像処理における信号取り出しと次回の個別撮像処理における露光とが時間的に部分的にオーバラップするように行われるのである。ただし、ある回の個別撮像処理における信号取り出しは、次回の個別撮像処理における露光が終了する前に終了する。
【0253】
したがって、本実施形態においては、図20(b)に示すように、3次元形状情報取得のための8回の信号取り出しが時間的に隙間なく連続的に行われる。
【0254】
各回の信号取り出しは、それが間引き画像処理として実行される場合には、約33msで終了する。したがって、8回の信号取り出しは約0.26sで終了する。よって、図20に示す撮像時間(全体撮像時間)のうち3次元形状情報取得のための撮像に必要な部分(以下、「部分撮像時間」という。)の長さは、信号取り出し時間の長さの合計値によって支配されるため、約0.26sの程度の長さで済む。
【0255】
これに対し、各回の信号取り出しは、それを非間引き画像処理として実行すると、約0.5sも必要である。そのため、8回の信号取り出しに約5sも必要となり、よって、それに対応する部分撮像時間もその程度の長さが必要となる。
【0256】
このように、CCD70からの信号取り出しを間引き画像処理として実行する場合には、撮像時間が短縮され、その結果、被写体Sの動きや3次元入力装置10の手振れにもかかわらず、被写体Sの3次元形状を高精度で計測できる。
【0257】
さらに、図20に示すように、本実施形態においては、3次元形状情報取得のための2回目ないし8回目の露光のそれぞれと、表面色情報取得のための露光とが、それぞれ、先行する直前の露光に対応する信号取り出しの終了を待つことなく、開始される。先行する露光に対応する信号取り出しと、後続する露光とが互いに並行して行われるのであり、これにより、9回の信号取出しが時間的に隙間なく連続的に行われる。したがって、図20に示す撮像時間、すなわち、3次元形状情報取得のための撮像と表面色情報取得のための撮像との双方を連続的に行うのに必要な時間が短縮される。
【0258】
具体的には、各回の信号取り出しは、それが間引き画像処理として実行される場合には、約33msで終了するため、9回の信号取り出しは約0.3sで終了し、よって、それに対応する全体撮像時間もその程度の長さで済む。
【0259】
仮に、表面色情報取得のための1回の個別撮像処理すなわち表面色計測撮像処理(信号取り出しが非間引き画像処理として実行される。)を先に、3次元形状情報取得のための8回の個別撮像処理すなわち3次元計測撮像処理(信号取り出しが間引き画像処理として実行される。)を後に実行した場合には、先行する表面色計測撮像処理における信号取出しがほとんど終了するまで、3次元形状情報取得のための初回の露光を待たせなければならない。その待ち時間は、信号取り出し時間t2の長さにほぼ等しく、約0.5sである。
【0260】
この場合には、表面色情報取得のための露光と、3次元形状情報取得のための初回の露光との間にやや長い時間間隔が存在し、図20に示す全体撮像時間が長くなる。一方、測定ヘッドMHと被写体Sとの間の相対変位が存在しないかないしは十分に小さい場合には、その全体撮像時間がやや長いことは問題にならない。これに対し、測定ヘッドMHと被写体Sとの間の相対変位が大きい場合には、その全体撮像時間が長いと、表面色情報と3次元形状情報とが画素の位置に関して互いに十分に正確にマッチングしなくなってしまう。すなわち、テクスチャマッピング精度が低下してしまうのである。
【0261】
これに対し、本実施形態においては、図20に示すように、3次元形状情報取得のための8回の個別撮像処理が先に、表面色情報取得のための1回の個別撮像処理が後に行われる。その結果、先行する3次元形状情報取得のための8回目の露光と、後続する表面色情報取得のための露光とを、先行する3次元形状情報取得のための8回の露光が行われる周期と同じ周期で連続して行うことが可能となる。よって、本実施形態によれば、全体撮像時間を、約0.3s程度にまで短縮することが可能となる。
【0262】
したがって、本実施形態によれば、3次元形状情報取得のための露光と表面色情報取得のための露光とを十分に短い時間間隔で連続して行うことが可能となり、その結果、測定ヘッドMHと被写体Sの間の相対変位の有無やその程度の大小にかかわらず、高いテクスチャマッッピング精度が実現される。
【0263】
よって、本実施形態によれば、3次元形状情報取得のためのCCD70からの信号取り出しを間引き画像処理モードで実行する場合(ユーザがFASTモードを選択する場合)には、高いテクスチャ解像度すなわち表面色計測精度を確保しつつ、高いテクスチャマッピング精度で動画を撮像するのに適した3次元入力装置10が提供される。
【0264】
さらに、本実施形態においては、ユーザが、3次元形状情報を取得するための画像処理モードを、間引き画像処理モードすなわちFASTモードと、非間引き画像処理モードすなわちSLOWモードとに適宜変更することが可能である。テクスチャマッピング精度の低下が懸念される環境において、ユーザがFASTモードを選択すれば、そのような環境にもかかわらず、テクスチャマッピング精度が低下せずに済む。一方、テクスチャマッピング精度の低下が懸念されない環境において、ユーザがSLOWモードを選択すれば、高いテクスチャマッピング精度のみならず高い3次元形状計測精度も実現される。
【0265】
このように、本実施形態によれば、3次元入力装置10の使用環境や3次元形状計測精度とテクスチャマッピング精度とのそれぞれに対するユーザの要望に応じて、3次元入力装置10の設定をユーザが任意に変更することができ、よって、3次元入力装置10の使い勝手が向上する。
【0266】
ここで、図21を参照することにより、図16におけるS1220を詳述する。図21には、そのS1220が3次元計測処理サブルーチンとしてフローチャートで概念的に表されている。
【0267】
この3次元計測処理サブルーチンにおいては、まず、S4001において、輝度画像生成プログラム404cの実行により、輝度画像が生成される。
【0268】
このS4001においては、輝度値が、YCbCr空間におけるY値として定義されており、各画素のRGB値より、
【0269】
Y=0.2989・R+0.5866・G+0.1145・B
【0270】
なる式を用いて計算される。各画素についてY値を求めることにより、複数枚のパターン光有画像にそれぞれ対応複数枚の輝度画像が生成される。それら生成された輝度画像は、パターン番号PNに関連付けて輝度画像格納部406cに格納される。ただし、輝度値の算出に用いられる式は、上記式に限定されるものではなく、他の式に適宜変更することが可能である。
【0271】
次に、S4002において、コード画像生成プログラム404dが実行される。このコード画像生成プログラム404dが実行されると、生成された複数枚の輝度画像が前述の空間コード化法を利用して組み合わされることにより、各画素ごとに空間コードが割り当てられたコード画像が生成される。そのコード画像は、輝度画像格納部406cに格納された複数種類のパターン光有画像に関する輝度画像と、各画素ごとに輝度閾値が割り当てられた閾値画像との比較による2値化処理によって生成される。その生成されたコード画像はコード画像格納部406dに格納される。
【0272】
図22には、このコード画像生成プログラム404dの詳細がフローチャートで概念的に表されている。このコード画像生成プログラム404dにおいて採用されている技術は、本出願人の特願2004−285736号明細書に詳細に記載されているため、その特許出願を参照することにより、その特許出願の内容を本明細書に引用する。
【0273】
以下、このコード画像生成プログラム404dを時系列的に説明するが、それに先立ち、原理的に説明する。
【0274】
本実施形態においては、同じ被写体S(3次元対象物)につき、複数種類のパターン光のもとにそれぞれ複数枚の輝度画像が生成される。それらパターン光はいずれも、明部、すなわち、幅を有する明るいパターンラインと、暗部、すなわち、幅を有する暗いパターンラインとが交互に一定の周期で繰り返すように形成される。それらパターン光は、その周期に関して互いに異なっており、それぞれ、パターン番号PNを有するパターン光と称される。それらパターン光のうち最も短い周期を有するパターン光が、パターン番号PNが0であるパターン光であり、最も長い周期を有するパターン光が、パターン番号PNが(PNmax−1)であるパターン光である。
【0275】
いずれの輝度画像も、対応するパターン光のもとに取得されるため、明部としての明るいパターンラインと、暗部としての暗いパターンラインとが交互に並んで成るパターン画像として形成される。パターンライン間の間隔すなわち周期は、3次元入力装置10と被写体Sとの間における相対的な幾何学的関係(位置および向きに関する関係)に依存するため、各輝度画像内のすべての位置において一定であるとは限らない。複数種類のパターン光のもとにそれぞれ取得される複数枚の輝度画像は、対応するパターン光のパターン番号PNを用いて特定される。
【0276】
本実施形態においては、それら複数枚の輝度画像のうちのいずれかが代表パターン画像に選択される。その代表パターン画像の一典型例は、複数種類のパターン光のうちパターンライン周期が最小であるものに対応する輝度画像であり、これは、パターン番号PNが0である輝度画像である。
【0277】
パターン光が投影された被写体Sを撮像した輝度画像においては、輝度値が画素列の方向において空間的にかつ周期的に変化する。その周期的変化を表すグラフにそれの複数個の下ピーク点(最低輝度点)において接する包絡線が存在する。この包絡線は、同じ被写体Sを無照射状態で撮像した輝度画像における輝度値、すなわち、被写体Sの背景光の輝度値の空間的変化を表している。このような包絡線が存在する輝度画像については、各画素の輝度値を閾値処理によって正確に2値化するためには、閾値を画素位置に応じて変化させることが望ましい。すなわち、輝度画像の実際の輝度値変化をトラッキングすることによって閾値を適応的に変化させることが望ましいのである。
【0278】
このような知見に基づき、本実施形態においては、輝度画像に対してフィルタ処理を行うことによって閾値を算出するフィルタ窓がローカルに設定され、フィルタ処理されることによりその位置に適した閾値が、輝度画像に対してローカルに設定される。輝度画像のうちのあるローカル位置に窓が設定されれば、輝度画像を構成する複数本のパターンラインのうちその窓内に存在する画素の輝度値が取り出されて参照されることにより、そのあるローカル位置に対応する閾値が設定される。
【0279】
本実施形態において使用される窓は、方形窓である。この方形窓を採用する場合には、その方形窓内に存在する複数本のパターンラインを構成する画素の輝度値が取り出され、それら輝度値に対して同一の重み係数が用いられて閾値が算出される。その重み係数により、方形窓の窓関数が定義される。
【0280】
さらに、方形窓を採用する場合には、その方形窓の、パターンラインが延びるライン方向におけるライン方向サイズに応じて、その方形窓内においてライン方向に存在する画素の数を可変とすることができる。一方、その方形窓の、複数本のパターンラインが列を成して並ぶ列方向における列方向サイズに応じて、その方形窓内において列方向に存在するパターンラインの数も画素の数も可変とすることができる。
【0281】
したがって、方形窓を採用する場合には、その方形窓の列方向サイズにより、輝度画像に窓を設定することによってその輝度画像から算出される閾値が変化することになる。よって、その閾値を適応的に変化させることが必要である場合には、方形窓の列方向サイズを適応的に変化させればよい。
【0282】
本実施形態においては、方形窓として構成される窓のサイズが、その窓内に存在するパターンラインの数がそれらパターンラインの間隔すなわち周期(例えば、明るいパターンラインが繰り返される周期)の整数倍であるように設定することが望ましい。すなわち、窓内に、明るいパターンラインと暗いパターンラインとが同数ずつ存在するように窓のサイズを設定することが望ましいのである。このように設定すれば、窓内に存在する複数本のパターンラインの輝度値の平均値を算出することにより、望ましい閾値を高精度取得することができる。
【0283】
しかしながら、同じ輝度画像上であっても、パターンラインの周期は場所によって異なる可能性がある。そのため、窓のサイズを固定した場合には、窓内に存在するパターンラインの数が場所によって変動してしまい、閾値の設定精度が低下してしまう。
【0284】
本実施形態においては、複数枚の輝度画像のうち、パターンラインの周期が最小であるパターン光のもとに撮像されたもの、すなわち、パターン番号PNが0である輝度画像が代表パターン画像として選択される。さらに、本実施形態においては、その代表パターン画像に対してローカルに設定される窓VWが、それのサイズが可変である可変窓として構成されている。それにより、その可変窓VWのサイズが、代表パターン画像の実際のパターンライン周期に適応して変化させられる。
【0285】
したがって、本実施形態によれば、代表パターン画像におけるパターンライン周期が列方向位置に応じて変動しても、それに追従するように可変窓VWのサイズが変更され、その結果、パターンライン周期の変動にもかかわらず、可変窓VW内に存在する明部と暗部のパターンラインの数が一定に維持される。本実施形態においては、代表パターン画像に対して可変窓VWが設定される各ローカル位置ごとに閾値THが取得される。各ローカル位置ごとの閾値THは、各ローカル位置に最適なサイズを有する可変窓VWのもとに精度よく取得されることになる。
【0286】
また、明部と暗部のパターンラインの数が一定に維持されるような可変窓VWのサイズは、パターン番号PNが0である輝度画像において最小となる。したがって、パターン番号PNが0である輝度画像を代表パターン画像として選択することにより、最小の可変窓VWのサイズが可能になり、可変窓VWを用いた後のフィルタ処理の計算負担を抑えることが可能になる。
【0287】
本実施形態においては、その可変窓VWが、サイズが可変である方形窓として構成されている。その可変窓VWのサイズは、代表パターン画像の列方向には可変であるが、ライン方向には固定であるように設定されている。
【0288】
本実施形態においては、その可変窓VWのサイズ、すなわち、代表パターン画像の列方向におけるサイズが、その代表パターン画像の実際のパターンライン周期を適応的に反映するように設定される。そのため、可変窓VWのサイズを設定するために、代表パターン画像の実際のパターンライン周期分布が事前に判明していることが必要である。
【0289】
よって、本実施形態においては、可変窓VWのサイズの設定に先立ち、サイズが固定された固定窓が代表パターン画像に対して設定される。その設定された固定窓によって捕捉される複数個の連続画素が複数個の注目画素として選択され、それら選択された注目画素の輝度値に基づき、代表パターン画像の実際のパターンライン周期分布が取得される。
【0290】
本実施形態においては、さらに、代表パターン画像における複数個の注目画素の輝度値に対してFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理が施され、それにより、代表パターン画像の列方向において輝度値変化の周波数成分のそれぞれについて強度(例えば、パワースペクトル)が取得される。ここに、「周波数成分」は、1個の固定窓によって捕捉される複数個の注目画素を列方向に辿った場合に、輝度値の変化が反復される反復回数を意味する。
【0291】
本実施形態においては、代表パターン画像において列方向に連続的に並んだ複数個の連続画素のそれぞれが順次注目画素に選定され、その選定された各注目画素ごとにパターンライン周期が、代表パターン画像の輝度値分布に基づいて取得される。
【0292】
以上、このコード画像生成プログラム404dを原理的に説明したが、以下、図22を参照することにより、時系列的に説明する。
【0293】
このコード画像生成プログラム404dにおいては、まず、S5001において、パターン番号PNが0であるパターン光が投影された被写体Sが撮像された輝度画像が輝度画像格納部406cから、代表パターン画像として読み込まれる。
【0294】
次に、S5002において、その代表パターン画像につき、前記読み込まれた輝度画像に基づき、前述のFFT変換によるアプローチにより、代表パターン画像において列方向に連続的に並んだ各画素ごとにパターンライン周期が演算される。演算された複数個のパターンライン周期は各画素(各列方向画素位置)に関連付けて周期分布格納部406pに格納される。
【0295】
続いて、S5003において、演算された複数個のパターンライン周期に基づき、可変窓VWの特性がローカルに設定される。本実施形態においては、可変窓VWのライン方向サイズは、その可変窓VWが設定される代表パターン画像上の位置にかかわらず、変化しないように設定されるのに対し、可変窓VWの列方向サイズは、各列方向画素位置に関連付けて演算されたパターンライン周期の整数倍に相当するように設定される。
【0296】
その後、S5004において、代表パターン画像に対して可変窓VWが、ライン方向と列方向とに沿って平面的に、かつ、各画素に関連付けて設定される。それにより、各画素ごとに、可変窓VW内に存在する複数個の画素の輝度値の平均値がローカルな閾値として演算される。このS5004においては、さらに、演算された閾値が各画素に割り当てられた閾値画像が生成される。生成された閾値画像は閾値画像格納部406qに格納される。
【0297】
続いて、S5005において、パターン番号PNが0に初期化され、その後、S5006において、パターン番号PNの現在値が最大値PNmaxより小さいか否かが判定される。今回は、パターン番号PNの現在値が0であるため、判定がNOとなり、S5007に移行する。
【0298】
このS5007においては、パターン番号PNの現在値と等しいパターン番号PNが割り当てられた輝度画像の輝度値と、前記生成された閾値画像の閾値とが、各画素ごとに互いに比較される。その比較結果は、各画素ごとに2値化画像に反映される。具体的には、輝度画像の輝度値が閾値より大きい場合には、「1」を表すデータが、2値化画像のうち対応する画素位置に関連付けて2値化画像格納部406rに格納され、一方、輝度画像の輝度値が閾値より大きくはない場合には、「0」を表すデータが、2値化画像のうち対応する画素位置に関連付けて2値化画像格納部406rに格納される。
【0299】
その後、S5008において、パターン番号PNが1だけインクリメントされる。続いて、S5006に戻り、パターン番号PNの現在値が最大値PNmaxより小さいか否かが判定される。今回も、最大値PNmaxより小さい場合には、判定がNOとなり、S5007に移行する。
【0300】
S5006ないしS5008の実行がパターン光の種類の数と同数回繰り返された結果、パターン番号PNの現在値が最大値PNmaxより小さくはない値になると、S5006の判定がYESとなり、S5009に移行する。
【0301】
このS5009においては、各画素ごとに、最大値PNmaxと同数枚の2値化画像から画素値(「1」または「0」)が、パターン番号PNが0である輝度画像に対応する2値化画像から、パターン番号PNが(PNmax−1)である輝度画像に対応する2値化画像に至る順序に従って抽出され、最下位ビットLSMから最上位ビットMSBに至る順序に従って並んだ空間コードが生成される。各画素ごとの空間コードのビット数は、最大値PNmaxと同数である。各画素ごとに空間コードが生成されることにより、今回の被写体Sに対応する空間コード画像が生成される。生成された空間コードは、各画素位置に関連付けて空間コード格納部116dに格納される。例えば、最大値PNmaxが8である場合には、生成される空間コードは0から255までの範囲内の値を有する。
【0302】
以上で、このコード画像生成プログラム404dの一回の実行が終了する。
【0303】
その後、図21におけるS4003において、コード境界抽出プログラム404eの実行により、コード境界座標検出処理が実施される。前述の空間コード化法によるコード化は、各画素単位で行われるため、実際のパターン光における明暗の境界線と、前記生成されたコード画像における空間コードの境界線(ある空間コードが割り当てられた領域と別の空間コードが割り当てられた領域との間の境界線)との間にサブピクセル精度の誤差が生ずる。そのため、このコード境界座標検出処理は、空間コードの境界座標値をサブピクセル精度で検出することを目的として実施される。
【0304】
例えば、各パターン光のライン方向と交差する離散的な基準線の位置をCCD座標系において255本設定すると、最大値PNmaxが8(空間コードを256有するため、境界は255)である場合には、図21におけるS4003(コード境界抽出プログラム404eの実行)により、最大約6万5千の空間コードの境界座標値が検出される。
【0305】
検出されたコード境界座標値はコード境界座標格納部406eに格納される。コード境界座標値は、CCD70の結像面に設定された2次元座標系であるCCD座標系ccdx−ccdyにおいて定義される。
【0306】
続いて、S4004において、レンズ収差補正プログラム404fの実行により、レンズ収差補正処理が実施される。このレンズ収差補正処理は、撮像光学系30に入射した光束の実際の結像位置であってその撮像光学系30の収差の影響を受けたものを、その撮像光学系30が理想レンズであったならば結像されるはずである理想結像位置に近づくように補正する処理である。
【0307】
このレンズ収差補正処理により、S4003において検出されたコード境界座標値が、撮像光学系30の歪みなどに起因した誤差が除去されるように補正される。そのようにして補正されたコード境界座標は収差補正座標格納部406gに格納される。
【0308】
それらコード境界座標検出処理およびレンズ収差補正処理はいずれも、本発明を理解するために不可欠な事項ではなく、しかも、本出願人の特願2004−105426号明細書に詳細に開示されているため、それを参照することによって引用することにより、本明細書においては詳細な説明を省略する。
【0309】
その後、S4005において、三角測量演算プログラム404gの実行により、三角測量の原理による実空間変換処理が実施される。この実空間変換処理が実施されれば、三角測量の原理により、前述の、CCD座標系ccdx−ccdy上のコード境界座標値であって収差補正が施されたものが、実空間に設定された3次元座標系である実空間座標系X−Y−Z上の3次元座標値に変換され、その結果、3次元色形状検出結果としての3次元座標値が取得される。その取得された3次元座標値は、対応する部分画像の回転位相PHに関連付けて、3次元座標格納部406hに格納される。
【0310】
このS4005においては、被写体Sの3次元形状を複数個の3次元頂点の集まりとして空間離散的に計測するために、2次元的なコード画像が、各パターン光のライン方向と交差する離散的な複数本の基準線に関して空間離散的に参照される。これにより、そのコード画像の外周境界上の複数個の離散点にそれぞれ対応する複数個の3次元頂点が取得されるのみならず、そのコード画像の内部の複数個の離散点(S4003において検出されたコードの境界座標点)にそれぞれ対応する複数個の3次元頂点が取得される。
【0311】
ここで、図23を参照することにより、図16におけるS1230を詳述する。図23には、そのS1230が3次元色形状検出結果生成サブルーチンとして概念的にフローチャートで表されている。
【0312】
この3次元色形状検出結果生成サブルーチンにおいては、まず、S5501において、3次元座標格納部406hから、回転位相PH0ないし3のそれぞれに関連付けて、複数個の3次元座標値がロードされる。本実施形態においては、被写体Sの外面全体が4つの部分面(正面、右側面、左側面および背面)に分割され、各部分面ごとに立体画像が生成される。このS5501においては、それら4つの部分面のすべてについて、各部分面に属する複数個の3次元座標値が3次元座標格納部406hからロードされる。
【0313】
次に、S5502において、それらロードされた複数個の3次元座標値(頂点座標値)に対し、各3次元座標値が属する各部分面の回転位相PHに応じた回転変換が行われ、それにより、4つの部分面に属する複数個の3次元座標値が、各部分面の回転位相PHを見込んで組み合わされる。その結果、複数個の3次元座標値によって3次元的に表現される4つの部分面が一体化されて、被写体Sの外面全体を現す画像が合成される。ただし、この段階においては、その合成画像に、測定ヘッドMHの分割撮像手法に起因して空間的にオーバラップする部分が存在する。
【0314】
続いて、S5503において、その生成された合成画像において空間的にオーバラップする部分が抽出される。さらに、その合成画像の長さ方向における各領域においてオーバラップする2つの部分が、それら2部分に属する複数個の3次元座標値の平均化等の手法により、1つの部分に結合される。その結果、合成画像において空間的なオーバラップが除去され、それにより、ステッチ画像が完成する。そのステッチ画像を表すデータがステッチ画像格納部406sに格納される。
【0315】
その後、S6001において、前述の実空間3次元座標系に座標変換された3次元頂点群の各実座標空間座標値に対応するRGB値(R輝度値、G輝度値およびB輝度値)が前述の表面色画像から抽出される。
【0316】
実空間座標系と、表面色画像を定義する平面座標系との関係は、前述の三角測量計算によって幾何学的に互いに対応付けられている。すなわち、コード画像、すなわち、被写体Sの3次元形状を計測するための2次元画像である形状画像を定義する平面座標系を実空間3次元座標系に計算によってマッピングさせるために用いられる関数が存在する場合に、その関数の逆関数を用いることにより、実空間3次元座標系を、表面色画像を定義する平面座標系に計算によってマッピングさせることが可能なのである。したがって、このS6001においては、2次元的な表面色画像から、各3次元頂点ごとに、それに対応する表面色値すなわちRGB値を抽出することが可能である。
【0317】
次に、S6002において、各頂点ごとに、対応する実空間座標値とRGB値とが組み合わされて色形状情報が生成される。さらに、その生成された色形状情報が、対応する頂点に直接にまたは間接に関連付けてワーキングエリア410にローカル保存される。
【0318】
続いて、S6003において、被写体Sの表面形状を複数個のポリゴンの一例である三角形に分割することによって近似的に表現するために、その被写体Sについて取得された複数個の頂点のうち、距離的に互いに近接する複数個の頂点が3個ずつ、グループ分けされる。各グループごとに、3個の頂点が互いに連結されることにより、1個のポリゴンが形成される。
【0319】
その後、S6004において、各ポリゴンごとに、そのポリゴンを形成するために互いに連結すべき3個の頂点の組合せがポリゴン情報として、各ポリゴンに直接にまたは間接に関連付けてワーキングエリア410にローカル保存される。また、そのポリゴン情報は、必要に応じ、ステッチテクスチャを表す情報として、ステッチテクスチャ格納部406tに格納される。
【0320】
以上で、この3次元色形状検出結果生成サブルーチンの一回の実行が終了し、それに伴い、図16に示す3次元色形状検出処理ルーチンの一回の実行が終了する。
【0321】
本実施形態においては、ユーザがホルダHDを格納状態から、ヘッドベース130とテーブルベース132とが同一平面にあるように展開すると、測定ヘッドMHに対する回転テーブル184の相対位置が自動的にかつ一義的に決まる。その相対位置は、例えば、測定ヘッドMHからの距離と、その測定ヘッドMHの光軸に対する角度とによって規定される。
【0322】
本実施形態においては、ホルダHDを構成する4枚の板状部材間の距離が、そのホルダHDの姿勢の変化に依存しないし、それら4枚の板状部材間の角度も、ホルダHDの姿勢の変化に依存しない。
【0323】
したがって、本実施形態によれば、ホルダHDを格納状態から展開したときに自動的に位置決めされる回転テーブル184の、測定ヘッドMHに対する相対位置が常に同じものとして再現される。よって、本実施形態によれば、ユーザは、そのようにして同じ展開位置が再現される回転テーブル184に被写体Sを載置するだけで、測定ヘッドMHに対する被写体Sの位置決めが自動的に行われる。
【0324】
その結果、本実施形態によれば、ユーザが回転テーブル184に被写体Sを載置する限り、その被写体Sの、測定ヘッドMHに対する相対位置の変化可能領域が縮小し、それにより、その変化可能領域の広さを見込んで測定ヘッドMHが撮像しなければならない領域(撮像可能領域)も縮小する。
【0325】
よって、本実施形態によれば、被写体Sを配置する際の空間的自由度が高い前述の従来例に比較し、被写体Sの撮像および測定のために測定ヘッドMHに課されるべき負担を軽減することが容易となる。
【0326】
被写体Sの撮像および測定のために測定ヘッドMHに課されるべき負担が軽減される理由はその他にも存在する。その一例を説明するに、回転テーブル184を用いた、被写体Sの4面方向(PN=0〜3)からの3次元形状測定において、その回転テーブル184の回転中心軸の座標を推定するための処理が高効率化される。
【0327】
具体的に説明するに、本実施形態においては、被写体Sが配置される回転テーブル184の回転中心軸の、測定ヘッドMHに対する空間座標値が既知である。したがって、4面各々についての3次元形状測定結果である各3次元座標値(図21におけるS4005において演算される。)に対して、前記回転中心軸を中心に空間回転演算処理を行うことにより、被写体Sの形状および色を表すポリゴンサーフェスおよびテクスチャのステッチ処理(結合処理)が行われ、ひいては、最終的な出力である、被写体Sの全周の3次元色形状検出結果が生成される(図16におけるS1230)。その結果、被写体Sの全周の形状および色が、位置のずれなく、正しく結合されることになる。
【0328】
この3次元入力装置10においては、ホルダHDが格納状態から展開されると、回転テーブル184が自動的に位置決めされ、その際、その回転テーブル184の、測定ヘッドMHに対する相対位置が、位置決めごとに、同じものとして再現される。したがって、この3次元入力装置10によれば、回転テーブル184が自動的に位置決めされるごとに、その回転テーブル184の回転中心軸の、測定ヘッドMHに対する相対位置も、同じものとして再現される。
【0329】
よって、この3次元入力装置10によれば、被写体Sの3次元測定のために、回転テーブル184の回転中心軸の検出または推定を完全にないしは部分的に省略可能となる。
【0330】
回転テーブル184の回転中心軸の推定を行うにしても、その推定が行われるべき空間領域の大きさを、展開時におけるホルダHDの各ジョイント(各ヒンジ部)140,142,144に存在するクリアランス(がた)に起因する回転中心軸の位置変動を考慮して決定すれば足り、よって、その空間領域が小さくて済む。
【0331】
いずれにしても、本実施形態によれば、同じ被写体Sにつき、各面ごとに独立して測定された複数の形状および色を正しく結合するために行われる回転中心軸推定処理の負担を軽減することが容易となる。ここに、「回転中心軸推定処理」の一例としては、被写体Sの全周について離散的に測定された複数の色形状間の位置ずれが実質的に最小となるように、回転中心軸の座標を推定する手法を採用することが可能である。
【0332】
被写体Sの撮像および測定のために測定ヘッドMHに課されるべき負担が軽減される別の理由を説明するに、ホルダHDが展開されるごとに、回転テーブル184が常に同じ正規位置(測定ヘッドMHからの距離および角度)に自動的に位置決めされるため、被写体Sが常に撮像視野の中心に位置するという効果、焦点調節を簡略化することができるという効果等が得られ、それら効果により、被写体Sの撮像および測定のために測定ヘッドMHに課されるべき負担が軽減される。
【0333】
さらに、ホルダHDが展開されるごとに、回転テーブル184が常に同じ正規位置(測定ヘッドMHからの距離および角度)に自動的に位置決めされるため、測定ヘッドMの撮像可能領域いっぱいに配置された被写体Sを、撮像視野内で画面全体にできる限り大きく撮像することが容易となる。その結果、被写体Sの3次元入力精度を向上させることが容易となり、このことによっても、被写体Sの撮像および測定のために測定ヘッドMHに課されるべき負担が軽減される可能性がある。
【0334】
さらに、本実施形態によれば、それ自体幾何学的な再現性を有して変形可能なホルダHDにより、回転テーブルユニットRTと測定ヘッドMHとが物理的に互いに関連付けられる。したがって、本実施形態によれば、ユーザが、ホルダHDの変形によって回転テーブルユニットRTを測定ヘッドMHに格納する作業が単純化されるとともに、ユーザが、特別の配慮なしで、回転テーブルユニットRTを測定ヘッドMHにコンパクトに格納することが可能となる。
【0335】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、3次元入力装置10が前記(1)項に係る「3次元形状測定装置」の一例を構成し、ヘッドベース130が、前記(5)項における「第1部分」の一例を構成し、テーブルベース132が同項における「第2部分」の一例を構成し、第1および第2の中継ベース134,136が互いに共同して同項における「中継部分」の一例を構成しているのである。
【0336】
さらに、本実施形態においては、電力によって作動するテーブルモータ194が、前記(10)項における「駆動装置」の一例および前記(9)項における「位置規制部」の一例を構成しているが、そのテーブルモータ194は、例えば、ユーザから付与される力を回転テーブル184の回転力に変換する変換機構に置換することが可能である。
【0337】
そのような変換機構の一例は、ユーザによって回転操作される回転体と、その回転体にユーザから付与された力を回転テーブル184に伝達する伝達機構(例えば、前述のギヤ機構や、ベルト伝達機構)とを含むように構成される。この場合、回転テーブル184の割り出し位置ごとに、回転テーブル184が割り出し位置にあることをユーザに視覚的に、聴覚的にないしは触覚的に知らせる機構(例えば、ディテント機構)を用いることが望ましい。
【0338】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態に対し、ヘッドベースとテーブルベースとを中継する要素が異なるのみで、他の要素については共通するため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0339】
図24(a)には、本実施形態に従う3次元入力装置500が展開状態において側面図で示され、図24(b)には、この3次元入力装置500が格納状態において側面図で示されている。図25には、この3次元入力装置500が展開状態において平面図で示されている。
【0340】
第1実施形態においては、3次元入力装置10のホルダHDが、折り畳まれることによって変形する形式とされている。これに対し、本実施形態においては、3次元入力装置500のホルダHDが、折り畳まれる部分と収縮する部分とを含むように構成されている。
【0341】
図24(a)に示すように、3次元入力装置500のホルダHDは、ヘッドベース130とテーブルベース132とを、第1実施形態と共通する態様で備える一方、図25に示すように、それらヘッドベース130とテーブルベース132とを互いに連結する、伸縮可能な連結機構502を備えている。
【0342】
その連結機構502は、測定ヘッドMHの幅方向において隙間を隔てて互いに対向する一対のロッド組立体504,504を備えている。それら一対のロッド組立体504,504は、ヘッドベース130とテーブルベース132との間において、それらの幅方向と略等しい距離隔てて互いに平行に延びている。
【0343】
図24(a)および図25に示すように、各ロッド組立体504,504は、雄側の第1の中継ロッド510が雌側の第2の中継ロッド512に、伸縮可能に嵌合することによって構成されている。第1の中継ロッド510は、それの自由端においてヘッドベース130に、ジョイント140を介して折り畳み可能に連結されている。第2の中継ロッド512は、テーブルベース132に装着されたロッド収容具としてのシリンダ520に伸縮可能に嵌合されており、これにより、第2の中継ロッド512は、直線運動によってテーブルベース132への格納が可能になっている。
【0344】
測定ヘッドMHによって被写体Sを撮像することが必要である場合には、ユーザは、図24(a)に示すように、ホルダHDを格納状態から、第1の中継ロッド510が第2の中継ロッド512からの伸び出し量が最大となり、かつ、第2の中継ロッド512もテーブルベース132からの伸び出しが最大となるように、展開する。
【0345】
この展開状態において、回転テーブル184が、測定ヘッドMHに対して正規な位置に位置決めされるため、ユーザは、被写体Sを回転テーブル184に載置して、測定ヘッドMHによる撮像を開始する。
【0346】
これに対し、ホルダHDを格納することが必要である場合には、ユーザは、第1の中継ロッド510を第2の中継ロッド512に完全に格納し、さらに、その第2の中継ロッド512をテーブルベース132に完全に格納する。図24(b)に示すように、その格納状態においては、第1の中継ロッド510がそれの全長において第2の中継ロッド512に格納され、また、第2の中継ロッド512もそれの全長においてテーブルベース132に格納される。
【0347】
その後、ユーザは、ジョイント140をヒンジとして、テーブルベース132を折り畳み、それにより、測定ヘッドMHの正面と回転テーブルユニットRTの上面とが互いに接近して対向する。測定ヘッドMHの正面は、垂直面に対して後傾しており、その後傾により、回転テーブルユニットRTのモータボックス195が測定ヘッドMHの正面に干渉することなく、回転テーブルユニットRTが正立状態において測定ヘッドMHに格納可能となっている。これにより、3次元入力装置500をコンパクトに格納することが可能となる。
【0348】
なお付言するに、本実施形態においては、連結機構502が、共に概してロッド状を成す第1および第2の中継ロッド510,512を主体として構成されているが、この連結機構502は、例えば、共に概して板状を成す第1および第2の中継プレートを主体として構成することが可能である。
【0349】
以上、本発明の実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0350】
【図1】本発明の第1実施形態に従う3次元入力装置10の外観を展開状態において示す斜視図である。
【図2】図1に示す3次元入力装置10を部分的に展開状態において示す側面図および背面図である。
【図3】図1における測定ヘッドMHとヘッドベース130との取付構造を説明するための部分断面背面図である。
【図4】図1における回転テーブルユニットRTを示す背面断面図である。
【図5】図1に示す3次元入力装置10を格納状態において示す斜視図およびその3次元入力装置10が外箱OC内に収納される様子を説明するための斜視図である。
【図6】図1における測定ヘッドMHの内部構成を示す平面断面図である。
【図7】図1における投影部12を拡大して示す平面図である。
【図8】図1に示す3次元入力装置10の電気的構成を概念的に表すブロック図である。
【図9】図6における投影機構66を示す正面図である。
【図10】図9に示す投影機構66を示す部分側面断面図である。
【図11】図9におけるマスク200を部分的に拡大して示す正面図である。
【図12】図9におけるマスク200を部分的に示す正面図および図8における位置センサ300および第1ないし第3のIDセンサ310ないし314をマスク200と共に示す側面図である。
【図13】図12における位置センサ300のPD信号および第1ないし第3のIDセンサ310ないし314のS1ないしS3信号を説明するためのタイミングチャートである。
【図14】図8におけるカメラ制御プログラムにおいて実行されるメイン処理を概念的に表すフローチャートである。
【図15】図14におけるS108において実行される立体画像処理を概念的に表すフローチャートである。
【図16】図15におけるS1007において実行される3次元色形状検出処理を3次元色形状検出処理ルーチンとして概念的に表すフローチャートである。
【図17】図16におけるS1210を撮像処理プログラム404bとして概念的に表すフローチャートである。
【図18】図17におけるS2002aをマスクモータ制御プログラム404hとして概念的に表すフローチャートである。
【図19】図17におけるS2004において実行される投影処理を投影処理サブルーチンとして概念的に表すフローチャートである。
【図20】図1に示す3次元入力装置10の作動の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図21】図16におけるS1220を3次元計測処理サブルーチンとして概念的に表すフローチャートである。
【図22】図21におけるS4002において実行されるコード画像生成プログラム404dを概念的に表すフローチャートである。
【図23】図16におけるS1230を3次元色形状検出結果生成ルーチンとして概念的に表すフローチャートである。
【図24】本発明の第2実施形態に従う3次元入力装置500を展開状態において示す側面図および格納状態において示す側面図である。
【図25】図24に示す3次元入力装置500を展開状態において示す平面図である。
【符号の説明】
【0351】
10 3次元入力装置
12 投影部
14 撮像部
16 処理部
130 ヘッドベース
132 テーブルベース
134 第1の中継ベース
136 第2の中継ベース
184 回転テーブル
186 支持フレーム
194 テーブルモータ
196 位置規制部
400 コンピュータ
500 3次元入力装置
510 第1の中継ロッド
512 第2の中継ロッド
MH 測定ヘッド
RT 回転テーブルユニット
HD ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の3次元形状を測定する3次元形状測定装置であって、
回転テーブルと、その回転テーブルを回転可能に支持する支持フレームとを有する回転テーブルユニットと、
前記回転テーブルに載置された状態で前記被写体を撮像し、その撮像結果に基づいて前記被写体の3次元形状を測定する測定ヘッドと、
その測定ヘッドに装着される一方、前記回転テーブルユニットを保持する、変形可能なホルダと
を含み、そのホルダは、自身の変形により、前記回転テーブルユニットが前記測定ヘッドに対して展開される展開状態と格納される格納状態とを選択的に実現し、前記展開状態において、前記被写体が前記回転テーブルに載置されて前記測定ヘッドによって撮像される3次元形状測定装置。
【請求項2】
前記ホルダは、前記格納状態から前記展開状態に移行すると前記回転テーブルが前記測定ヘッドに対する一定の相対位置に位置決めされるように前記回転テーブルユニットを保持する請求項1に記載の3次元形状測定装置。
【請求項3】
前記ホルダは、前記格納状態において、前記測定ヘッドと共同することにより、外形的に概して直方体を構成する請求項1または2に記載の3次元形状測定装置。
【請求項4】
前記ホルダは、前記測定ヘッドに着脱可能に装着される請求項1ないし3のいずれかに記載の3次元形状測定装置。
【請求項5】
前記ホルダは、前記測定ヘッドに装着される第1部分と、前記回転テーブルユニットを保持する第2部分と、それら第1部分と第2部分とを中継する中継部分とを含む請求項1ないし4のいずれかに記載の3次元形状測定装置。
【請求項6】
前記中継部分は、前記第1部分と前記第2部分とのうちの少なくとも一方に屈曲可能に連結され、それにより、前記ホルダは、前記展開状態から前記格納状態に折畳み可能である請求項5に記載の3次元形状測定装置。
【請求項7】
前記ホルダは、全体的に概して板状を成しており、前記中継部分は、互いに屈曲可能に連結された少なくとも2枚の板状部材を含む請求項6に記載の3次元形状測定装置。
【請求項8】
前記中継部分は、前記展開状態において前記測定ヘッドと前記回転テーブルとの距離が変化する向きに伸縮可能である請求項5ないし7のいずれかに記載の3次元形状測定装置。
【請求項9】
前記回転テーブルユニットは、前記被写体が前記測定ヘッドによる撮像が可能な撮像可能領域から逸脱する逸脱部を有する状態で前記回転テーブルに載置された場合に、その被写体が前記回転テーブルと共に回転させられると前記逸脱部に当接することにより、前記回転テーブルに載置される前記被写体の位置を規制する位置規制部であって、前記支持フレームに設けられたものを含む請求項1ないし8のいずれかに記載の3次元形状測定装置。
【請求項10】
前記回転テーブルユニットは、前記回転テーブルを駆動する駆動装置であって、前記支持フレームに設けられたものを含み、
その駆動装置は、前記位置規制部としても機能する部分を含む請求項9に記載の3次元形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−300531(P2006−300531A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118121(P2005−118121)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】