説明

3次元物体位置計測装置

【課題】時間的に連続する複数の画像データを取得して3次元物体の位置を計測する3次元物体位置計測装置を提供する。
【解決手段】対象物を撮影し当該対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、対象物からの距離情報を含む特徴量を抽出する。抽出された特徴量の距離情報に基づいて、対象とする3次元空間をボクセルに分割したボクセル空間において特徴量を抽出した対象物と撮影手段のレンズ中心を結ぶ直線をボクセル空間中に引いて、直線が交差するボクセルに1票ずつ投票する処理を行い、ボクセル投票処理の投票結果の履歴データを保持する。ボクセル投票履歴を前記撮影手段が移動した移動ベクトルに基づいて補正し、ボクセル投票結果および補正されたボクセル投票履歴のデータに基づいてボクセル空間内の対象物の位置を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間的に連続する複数の画像データを取得して、非接触で監視対象物の3次元物体の位置を計測することができる3次元物体位置計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていた3次元物体の距離計測方法としては、典型的には、2台のカメラを用いてステレオ撮影を行い、対象物の3次元位置を計測するものがある。例えば、特許文献1で提案されているように、周知の二点測量の原理を用い、2台のカメラを用い、2点から撮影するカメラの位置と角度から被写体までの距離を測定するものがある。この特許文献1に記載の立体カメラ用雲台装置の発明では、ある時間のカメラからの画像入力により正確な距離を測定するために、2台のカメラの位置と角度を制御する。
【0003】
また、複数台のカメラで撮影された画像のデータから対象物の3次元空間における位置を判定するために、ボクセル投票処理を利用しているものとして、特許文献2に記載のインタフェース方法の発明がある。この発明では、ボクセル投票処理を利用して実空間の3次元空間をボクセルに分割したボクセル空間における3次元位置の物体情報の判定を行う。
【特許文献1】特開2005−24629号公報
【特許文献2】特開2005−321966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来における距離計測方法を利用して、立体物の3次元位置を判定するには、特許文献1に記載のように、複雑な装置構成を必要とし、装置全体の構成が大きくなり、かつ、複雑化する等の課題が存在していた。
【0005】
また、特許文献2に記載されているインタフェース方法の発明では、ボクセル投票処理を利用して、実空間の3次元空間をボクセルに分割したボクセル空間における3次元位置の物体情報の判定を行うが、この場合に、対象の3次元空間内に固定された複数台のカメラで撮影した複数の入力画像から、操作者の体の部位の、該操作者の指し示した方向に関わる始点と終点の3次元座標を算出し、操作者の指し示す実空間上での3次元指示方向情報を求める処理など複雑な処理を必要としており、計算コストが大きいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、時間的に連続する複数の画像データを取得して、非接触で監視対象物の3次元物体の位置を計測することができる3次元物体位置計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の3次元物体位置計測装置は、対象物を撮影し当該対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得する撮影手段と、前記撮影手段により取得された画像データに基づいて、対象物からの距離情報を含む特徴量を抽出する複数の特徴量抽出手段と、前記特徴量抽出手段にて抽出された特徴量の距離情報に基づいて、対象とする3次元空間をボクセルに分割したボクセル空間において特徴量を抽出した対象物と撮影手段のレンズ中心を結ぶ直線をボクセル空間中に引いて、直線が交差するボクセルに1票ずつ投票する処理を行うボクセル投票処理手段と、前記ボクセル投票処理手段による投票結果の履歴データを保持するボクセル投票履歴保持手段と、前記ボクセル投票履歴を前記撮影手段が移動した移動ベクトルに基づいて補正する移動量補正手段と、前記ボクセル投票結果および補正されたボクセル投票履歴に基づいてボクセル空間内における対象物の位置を特定する3次元位置計測処理手段とを有することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の3次元物体位置計測装置は、一つの態様として、撮影手段は、カメラを制御して対象物を撮影し、対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得すると共に、ボクセル投票処理手段は、カメラの移動速度によって、対象とする3次元空間の大きさとボクセルのサイズを変更するように構成される。
【0009】
また、本発明の3次元物体位置計測装置は、別の態様として、撮影手段は、移動する単一のカメラにより対象物を撮影して、対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得するように構成される。
【0010】
また、本発明の3次元物体位置計測装置においては、更に、3次元位置計測処理手段により特定した対象物の位置と、自己の3次元モデルとボクセル空間内の対象物の間隔を測定する間隔測定手段を有することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の3次元物体位置計測装置においては、更に、計測した自己の3次元モデルとボクセル空間内の対象物との間隔と、現在から複数回分の間隔を測定した間隔計測履歴を用いて、自己の3次元モデルとボクセル空間内の対象物との間隔の変化量を計測する間隔変化量計測手段を有することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の3次元物体位置計測装置においては、3次元モデルは移動体であり、対象物は空間に固定された立体物であることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の3次元物体位置計測装置においては、更に、間隔変化量計測手段からの出力に基づいて、対象物と自己モデルとの間の接触までの時間を判定する接触危険判定装置を有することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の3次元物体位置計測装置において、更に、接触危険判定装置からの出力に基づいて警告情報を出力する接触警告装置を有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の3次元物体位置計測装置においては、更に、接触警告装置からの出力に基づいて安全装置を動作させる安全制御装置を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
このような特徴を有する本発明の3次元物体位置計測装置によれば、単一もしくは複数のカメラにより取得された時間的に連続性のある画像データの情報により、対象とする3次元空間をボクセルに分割したボクセル空間において、自己の3次元モデルの立体物と、対象物である例えば周囲の立体物との距離を判定することでき、周囲の立体物と自己の3次元モデルである立体物の移動体との衝突の可能性を予測することができる。
【0017】
従来の3次元位置の距離計測装置は、複数のカメラからの入力画像データに基づいて、物体の距離を測定するが、本発明の3次元物体位置計測装置においては、時間的に連続する画像データによって、累積されたボクセル投票結果に基づいて3次元物体の位置を計測する。これにより、従来の3次元位置の距離計測装置に比べて多くの情報を利用できるため、ある時間の入力画像に対する処理量を削減することができ、装置構成の簡単化が可能となる。
【0018】
また、従来における3次元位置の距離測定方法では、ステレオカメラのように複数のカメラを用いることが必要であるが、本発明の3次元物体位置計測装置においては、画像データを取得する撮像装置が移動するため、例えば、撮像装置が搭載された3次元物体位置計測装置が移動するため、単一カメラにより時間的に連続する画像データを取得し、これを擬似的なステレオ画像として利用して、時間的に発生するカメラの視差を用いて、擬似的に複数のカメラと同様の機能を実現できる。
【0019】
また、従来における3次元位置の距離測定方法では、物体の移動速度が高くなるに従って高速の処理を必要とするが、本発明の3次元物体位置計測装置においては、画像データを取得する3次元物体位置計測装置の移動速度に応じて、計測する対象の3次元空間の範囲と、それを分割するボクセルの大きさを変更することにより、移動速度が大きくなっても処理量をあまり増やさずに必要な計測を行うことができる。
【0020】
また、本発明による3次元物体位置計測装置においては、この3次元物体位置計測装置を搭載した自己モデルと対象物の周囲の立体物との間隔および間隔の変化量を測定し、自己モデルの立体物の移動体と周囲の3次元空間における立体物の対象物とが接触する可能性を予測して、ある時間内に接触すると予測される場合に、警告もしくは自己モデルの移動体の移動を制御し、接触を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施する場合に一つの形態について、具体的に図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例の3次元物体位置計測装置の構成を説明するブロック図であり、図2は、本発明の3次元物体位置計測装置におけるボクセル投票処理を説明する説明図である。図2には、立方体形状の単位3次元空間であるボクセルと、3次元位置の距離を計測する対象の3次元空間のボクセル空間との関係が示されている。
【0022】
図1において、101は第1カメラ画像入力部、102は第2カメラ画像入力部、103は第1特徴量抽出処理部、104は第2特徴量抽出処理部、105はボクセル投票処理部、106は3次元位置計測処理部、107はボクセル投票履歴データ納付部、108は移動量補正処理部、109は撮影装置移動量である。図2において、201は対象の3次元空間のボクセル空間、202は立方体形状の単位3次元空間であるボクセル、203は第1カメラ画像入力部の撮像装置のカメラ、204は第2カメラ画像入力部の撮像装置のカメラ、205は対象物の特徴量抽出結果をそれぞれ示している。
【0023】
図1および図2を参照して説明する。第1カメラ画像入力部101は、複数のカメラ(撮影装置)により対象物となる立体物を撮影して、複数のカメラのカメラ視線方向(レンズ中心軸方向)により対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得する。第2カメラ画像入力部102は、複数のカメラ(撮影装置)により対象物となる立体物を撮影して、複数のカメラのカメラ視線方向(レンズ中心軸方向)により対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得する。なお、第1カメラ画像入力部101および第2カメラ画像入力部102では、カメラが移動体に搭載されており、カメラにより時間的に連続する画像データを取得した場合には、取得した連続した画像データに時間的に発生するカメラ視差があるので、この画像データを用いることもできる。このような場合には、カメラは単一カメラでよい。
【0024】
これらの第1カメラ画像入力部101および第2カメラ画像入力部102は、後述するように、ボクセル空間における対象物の識別性を高くするために、図2に示されるように、第1カメラ画像入力部101のカメラ203のカメラ視線方向と、第2カメラ画像入力部102におけるカメラ204のカメラ視線方向とは、互いに異なる方向に設定される。
【0025】
第1特徴量抽出処理部103は、第1カメラ画像入力部101から出力された時間的に連続な画像データに対して、複数の画像データにおける視差により、ステレオ法による画像処理を行い、対象物からの距離情報を含む特徴量を抽出する。ここで画像データから抽出する特徴量として、例えば、対象物を識別するための特徴量である形状データ、色データなどと共に撮像装置と対象物の間の距離情報が利用される。同じく、第2特徴量抽出処理部104は、第2カメラ画像入力部102から出力された時間的に連続な画像データに対し、複数の画像データにおける視差により、ステレオ法による画像処理を行い、対象物からの距離情報を含む特徴量を抽出する。
【0026】
ボクセル投票処理部105は、第1特徴量抽出処理部103および第2特徴量抽出処理部104により抽出された特徴量の距離情報に基づいて、ボクセル投票処理を行う。ボクセル投票処理では、図2に示されるように、対象とする3次元空間をボクセル202に分割したボクセル空間201において特徴量を抽出した対象物205とカメラ(203,204)のレンズ中心を結ぶ直線をボクセル空間201中に引いて、直線が交差するボクセルに1票ずつ投票する処理を行い、その結果のボクセル投票結果データを出力する。そして、後述するように、ボクセル投票結果データに基づいて、ボクセル空間201における各ボクセル202の投票結果のデータに基づいて、対象物の位置が特定され、対象物の立体と自己の3次元モデルの立体との関係の距離がボクセルの単位で計測される。
【0027】
ボクセル投票履歴データ格納部107は、ボクセル投票結果の履歴を保持するため、ボクセル投票処理部105から出力されたボクセル投票結果データの履歴のデータを時系列データに対応させて格納する。また、時系列データは、3次元物体位置計測装置の移動量のデータを対応させて保持される。
【0028】
移動量補正処理部108は、ボクセル投票履歴データを撮像装置のカメラ位置が移動する移動ベクトルに基づいて補正する処理を行う。3次元位置計測処理部106は、ボクセル投票結果および補正されたボクセル投票履歴に基づいて、ボクセル空間内における対象物の位置を特定する処理を行う。
【0029】
図3は、対象とする3次元空間の大きさとボクセルの分割サイズとの関係を説明する図である。図3(a)は移動速度が高い場合の3次元空間をボクセル空間に分割するボクセルのサイズを説明する図であり、図3(b)は移動速度が低い場合の3次元空間をボクセル空間に分割するボクセルのサイズを説明する図である。301は移動速度が高い場合の3次元空間、302は移動速度が高い場合のボクセルであり、また、311は移動速度が低い場合の3次元空間、312は移動速度が低い場合のボクセルである。
【0030】
本発明の3次元物体位置計測装置は移動体に搭載されており、前述したように、カメラ画像を入力するための撮像装置のカメラは、移動して対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得する。その場合に、移動体の移動速度、すなわち、カメラの移動速度に応じて、ボクセル投票処理部105のボクセル投票処理では、ボクセルサイズが変更され、変更されたサイズのボクセルにより対象とする3次元空間のボクセル空間を分割する。その結果として、対象の3次元空間のボクセル空間のサイズについても変更される。これにより、移動速度が大きくなっても処理量をあまり増やさずに必要な計測を行うことができる。
【0031】
図3(a)に示されるように、移動体の移動速度が高い場合には、ボクセルのサイズを大きくする。これにより、ボクセルにより分割する対象とする3次元空間のボクセル空間も大きくして処理を行う。また、移動体の移動速度が低い場合には、図3(b)に示されるように、ボクセルのサイズを小さくして、ボクセルにより分割する対象とする3次元空間のボクセル空間も小さくして処理を行う。このようにすると、移動速度が高くなり、また低くなっても、処理量を増やすことなくデータ処理量により必要な計測を行うことができる。
【0032】
次に本発明の3次元物体位置計測装置の変形例及び応用例について説明する。図4は、単一のカメラで対象物を撮影する構成の3次元物体位置計測装置の構成を示すブロック図である。この場合には、移動する単一のカメラにより対象物を撮影して、対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得する。動作については、図1により説明した3次元物体位置計測装置と同様である。
【0033】
図4に示す単一のカメラで対象物を撮影する構成の3次元物体位置計測装置について説明する。401はカメラ画像入力部、402は特徴量抽出処理部、403はボクセル投票処理部、404は3次元位置計測処理部、405はボクセル投票履歴データ納付部、406は移動量補正処理部、407は撮影装置移動量である。
【0034】
カメラ画像入力部401は、単一のカメラにより対象物となる立体物を撮影して、カメラ移動量による時間差で対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得する。特徴量抽出処理部402は、カメラ画像入力部401から出力された時間的に連続な画像データに対して、複数の画像データにおける視差により、ステレオ法による画像処理を行い、対象物からの距離情報を含む特徴量を抽出する。特徴量抽出処理部402により抽出された特徴量は、ボクセル投票処理部403に入力される。ボクセル投票処理部403では、特徴量の距離情報に基づいて、ボクセル投票処理を行う。ボクセル投票処理は、対象とする3次元空間をボクセルに分割したボクセル空間において特徴量を抽出した対象物とカメラのレンズ中心を結ぶ直線をボクセル空間中に引いて、直線が交差するボクセルに1票ずつ投票する処理を行い、その結果のボクセル投票結果データを出力する。
【0035】
ボクセル投票履歴データ格納部405は、ボクセル投票処理部403から出力されたボクセル投票結果データの履歴のデータを時系列データに対応させて格納する。また、時系列データは、3次元物体位置計測装置の移動量のデータを対応させて保持される。
【0036】
移動量補正処理部406は、ボクセル投票履歴データを撮像装置のカメラ位置が移動する移動ベクトルに基づいて補正する処理を行う。3次元位置計測処理部404では、ボクセル投票結果および補正されたボクセル投票履歴に基づいて、ボクセル空間内における対象物の位置を特定する処理を行う。これにより、ボクセル投票結果データに基づいて、ボクセル空間における各ボクセルの投票結果のデータに基づいて、対象物の位置を特定し、対象物の立体と自己の3次元モデルの立体との関係の距離がボクセルの単位で計測される。
【0037】
図5は、3次元物体位置計測装置を利用して、3次元物体の間隔計測を行う場合の応用例の構成を示すブロック図であり、図6は、3次元物体位置計測装置において作成された3次元空間のボクセル空間を利用して3次元物体の間隔計測を行う処理の一例を説明する図である。図6の(a)はボクセル空間を上から見た状態の図を示しており、図6の(b)はボクセル空間を前から見た状態の図を示しており、図6の(c)はボクセル空間を横から見た状態の図を示しており、立体図形の平面図、正面図、側面図に対応している。
【0038】
図5および図6において、501は3次元物体位置計測装置、502は間隔を測定する対象とする自己の三次元モデルのデータ、503は間隔測定装置、600はボクセル空間、601は自己の3次元モデル、602は測定された対象物の第1の立体、603は測定された対象物の第1の立体である。
【0039】
図5および図6を参照して3次元物体の間隔計測の処理について説明すると、3次元物体の間隔計測では、3次元物体位置計測装置501においてボクセル空間の中で計測された対象物に対して、間隔を測定する対象とする自己の三次元モデルを、同じボクセル空間に導入する。そして、当該ボクセル空間において対象物と自己の3次元モデルとの立体との間隔を計測する。
【0040】
間隔測定装置503には、3次元物体位置計測装置501により計測された対象物の位置がボクセル空間の中で表現されており、これに対して、間隔を測定する対象とする自己の三次元モデル502を、同じボクセル空間に導入する。この状態のボクセル空間600が、図6に示されている。そして、間隔測定装置503が、当該ボクセル空間において対象物と自己の3次元モデルとの立体との間隔を計測する。図6に示すように、ボクセル空間600に自己の三次元モデル601が導入されており、また、ボクセル空間600には、3次元物体位置計測装置501により計測された対象物の位置データが、第1の立体602,第2の立体603として、その位置が表現されている。これらの立体の位置関係が、ボクセル空間600において、それぞれのボクセルのサイズを基準の単位として計測されて、間隔測定が行われる。図6では、測定される間隔が、矢印で表記されている。
【0041】
このように、間隔測定装置503では、自己の3次元モデル(移動体)と対象物の立体との間隔が測定できるので、この間隔測定を継続して行うことにより、所定時間の間の変化量を計測できる。変化量が計測できると、自己の3次元モデル(移動体)と対象物の立体とが接近しているのか、遠ざかっているのかが判定できる。図7は、3次元物体位置計測装置を利用して、3次元物体の間隔変化量の計測を行う応用例の構成を示すブロック図である。
【0042】
図7には、3次元物体位置計測装置を間隔変化量計測装置に利用する場合の構成の一例が示されている。図7において、501は3次元物体位置計測装置、502は間隔を測定する対象とする自己の三次元モデルのデータ、503は間隔測定装置、701は間隔計測データの履歴を格納する間隔計測履歴データ格納装置、702は間隔変化量計測装置である。
【0043】
前述したように、間隔測定装置503が、3次元位置計測装置501から測定される対象物の立体の位置データと、自己3次元モデルデータ502により、自己の3次元モデル(移動体)と対象物の立体との間隔が測定し、この間隔測定を継続して行い、間隔計測履歴データ格納装置701に測定結果のデータを履歴データとして、継続して蓄積しておく。間隔変化量計測装置702では、間隔計測履歴データ格納装置701に格納された所定の回数分の間隔測定履歴データと、間隔測定装置503から出力された間隔測定データにより、間隔変化量のデータが測定されて出力される。この間隔変化量のデータは、更に、接触・危険判定処理のためのデータとして利用される。
【0044】
応用例として、ここでの自己の3次元モデルを、自動車などの移動体として、また、3次元位置を判定する対象物は周囲の空間に固定されて配置されている立体物とすると、その間隔変化量を測定することにより、移動体と立体物が接触するまでの時間を判定できる。判定された時間に応じて、接触の可能性の警告、危険の回避のための安全制御を行うことができる。
【0045】
このような3次元物体位置計測装置の応用例について、更に説明する。図8には、3次元物体位置計測装置を利用して、3次元物体の間隔計測を行い、接触危険を判定し、接触警告を出力し、更に安全制御を行う応用例の構成を示すブロック図を示している。
【0046】
これまでに、説明したように、本発明の3次元物体位置計測装置を利用して、3次元物体の間隔計測を行い、接触危険を判定し、接触警告を出力し、更に安全制御を行う場合の装置構成が、図8のブロック図として示されている。図8において、501は3次元物体位置計測装置、502は間隔を測定する対象とする自己の三次元モデルのデータ、503は間隔測定装置、701は間隔計測データの履歴を格納する間隔計測履歴データ格納装置、702は間隔変化量計測装置、703は接触・危険判定処理装置、704は接触警告装置、705は安全制御装置である。
【0047】
図7を参照して説明したように、図8の装置構成においても、間隔測定装置503が、3次元位置計測装置501から測定される対象物の立体の位置データと、自己3次元モデルデータ502により、自己の3次元モデル(移動体)と対象物の立体との間隔が測定し、この間隔測定を継続して行い、間隔計測履歴データ格納装置701に測定結果のデータを履歴データとして、継続して蓄積しておく。間隔変化量計測装置702では、間隔計測履歴データ格納装置701に格納された所定の回数分の間隔測定履歴データと、間隔測定装置503から出力された間隔測定データにより、間隔変化量のデータが測定されて出力される。間隔変化量計測手装置702からの出力は、接触・危険判定処理装置703に入力される。接触・危険判定処理装置703には、危険を判定するために、予め接触するまでの時間が設定されており、間隔変化量のデータにより、対象物と自己モデルとの間の接触までの時間を判定すし、設定された時間に基づいて、接触・危険を判定する。
【0048】
接触・危険判定処理装置703により、間隔変化量計測手装置702からの出力に基づいて、対象物と自己モデルとの間の接触までの時間が判定され、危険を判定すると、接触警告装置704により、モニタ表示、ブザー鳴動などにより、警告情報を出力する。更に、安全制御装置705が設けられており、安全制御装置705が、接触警告装置704からの出力に基づいて、ブレーキをかけるなどして安全制御を行い、安全装置を動作させる。
【0049】
このように、本発明の3次元物体位置計測装置により計測されたボクセル空間の対象物の位置に基づいて、本発明では、計測装置を搭載した自己のモデルと周囲の3次元空間との間隔および間隔の変化量を測定し、自己のモデルと周囲の3次元空間とが接触する可能性を推定し、ある時間内に接触すると予測される場合に、警告もしくは自己の移動を制御することにより、接触を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例の3次元物体位置計測装置のシステム構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の3次元物体位置計測装置におけるボクセル投票処理を説明する説明図である。
【図3】対象とする3次元空間の大きさとボクセルの分割サイズとの関係を説明する図である。
【図4】単一のカメラで対象物を撮影する3次元物体位置計測装置の構成を示すブロック図である。
【図5】3次元物体位置計測装置を利用して、3次元物体の間隔計測を行う場合の応用例の構成を示すブロック図である。
【図6】3次元物体位置計測装置において作成された3次元空間のボクセル空間を利用して3次元物体の間隔計測を行う処理の一例を説明する図である。
【図7】3次元物体位置計測装置を利用して、3次元物体の間隔変化量の計測を行う応用例の構成を示すブロック図である。
【図8】3次元物体位置計測装置を利用して、3次元物体の間隔計測を行い、接触危険を判定し、接触警告を出力し、更に安全制御を行う応用例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
101 第1カメラ画像入力部
102 第2カメラ画像入力部
103 第1特徴量抽出処理部
104 第2特徴量抽出処理部
105 ボクセル投票処理部
106 3次元位置計測処理部
107 ボクセル投票履歴データ納付部
108 移動量補正処理部
109 撮影装置移動量
201 ボクセル空間
202 ボクセル、
203 カメラ、
204 カメラ、
205 対象物の特徴量抽出結果
301 移動速度が高い場合の3次元空間
302 移動速度が高い場合のボクセル
311 移動速度が低い場合の3次元空間
312 移動速度が低い場合のボクセル
401 カメラ画像入力部
402 特徴量抽出処理部
403 ボクセル投票処理部
404 3次元位置計測処理部
405 ボクセル投票履歴データ納付部
406 移動量補正処理部
407 撮影装置移動量
501 3次元物体位置計測装置
502 三次元モデルデータ、
503 間隔測定装置
701 間隔計測履歴データ格納装置、
702 間隔変化量計測装置
703 接触・危険判定処理装置
704 接触警告装置、
705 安全制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮影し当該対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得する撮影手段と、
前記撮影手段により取得された画像データに基づいて対象物からの距離情報を含む特徴量を抽出する複数の特徴量抽出手段と、
前記特徴量抽出手段により抽出された特徴量の距離情報に基づいて、対象とする3次元空間をボクセルに分割したボクセル空間において特徴量を抽出した対象物と撮影手段のレンズ中心を結ぶ直線をボクセル空間中に引いて、直線が交差するボクセルに1票ずつ投票する処理を行うボクセル投票処理手段と、
前記ボクセル投票処理手段による投票結果の履歴データを保持するボクセル投票履歴保持手段と、
前記ボクセル投票履歴を前記撮影手段が移動した移動ベクトルに基づいて補正する移動量補正手段と、
前記ボクセル投票結果および補正されたボクセル投票履歴に基づいてボクセル空間内における対象物の位置を特定する3次元位置計測処理手段と、
を有することを特徴とする3次元物体位置計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の3次元物体位置計測装置において、
前記撮影手段は、カメラを制御して対象物を撮影し、対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得すると共に、
前記ボクセル投票処理手段は、前記カメラの移動速度によって、対象とする3次元空間の大きさとボクセルのサイズを変更する
ことを特徴とする3次元物体位置計測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の3次元物体位置計測装置において、
前記撮影手段は、移動する単一のカメラにより対象物を撮影して、対象物に対して視差を有する複数の画像の時間的に連続な画像データを取得する
ことを特徴とする3次元物体位置計測装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の3次元物体位置計測装置において、更に、
前記3次元位置計測処理手段により特定した対象物の位置により、自己の3次元モデルとボクセル空間内の対象物の間隔を測定する間隔測定手段
を有することを特徴とする3次元物体位置計測装置。
【請求項5】
請求項4に記載の3次元物体位置計測装置において、更に、
計測した自己の3次元モデルとボクセル空間内の対象物との間隔と、現在から複数回分の間隔を測定した間隔計測履歴を用いて、
自己の3次元モデルとボクセル空間内の対象物との間隔の変化量を計測する間隔変化量計測手段
を有することを特徴とする3次元物体位置計測装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の3次元物体位置計測装置において、
前記3次元モデルは移動体であり、
前記対象物は空間に固定された立体物である
ことを特徴とする3次元物体位置計測装置。
【請求項7】
請求項5に記載の3次元物体位置計測装置において、更に、
前記間隔変化量計測手段からの出力に基づいて、対象物と自己モデルとの間の接触までの時間を判定する接触危険判定装置
を有することを特徴とする3次元物体位置計測装置。
【請求項8】
請求項7に記載の3次元物体位置計測装置において、更に、
前記接触危険判定装置からの出力に基づいて警告情報を出力する接触警告装置
を有することを特徴とする3次元物体位置計測装置。
【請求項9】
請求項8に記載の3次元物体位置計測装置において、更に
前記接触警告装置からの出力に基づいて安全装置を動作させる安全制御装置
を有することを特徴とする3次元物体位置計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−258058(P2009−258058A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110387(P2008−110387)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(503032049)株式会社トプスシステムズ (14)
【Fターム(参考)】