説明

BEOLプロセスにおいて、UVによって誘発されたSONOSデュアルビットのフラッシュメモリデバイスの電荷を低減するUVブロック層

SONOSフラッシュメモリセル(24)をUVにより誘発される電荷から保護する方法であって、SONOSフラッシュメモリセル(24)を半導体デバイス(10、50)に製造するステップと、SONOSフラッシュメモリセル(24)上に、少なくとも1つのUV保護層(38、46、48、又は52)を蒸着させるステップとを含み、UV保護層には実質的にUV不透過性の材料が含まれる。SONOSフラッシュメモリセル(24)と、少なくとも1つのUV保護層(38、46、48又は52)(UV保護層には実質的にUV不透過性の材料が含まれる)を含むSONOSフラッシュメモリデバイス(10、50)が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はBEOL工程(back-end-of-line:後工程)において、デバイスにおいて紫外線によって誘発される電荷を低減するための紫外線(UV)照射ブロック層を含むSONOSフラッシュメモリデバイスを準備するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
不非揮発性メモリデバイスは現今、電源を切っても情報を記憶しておく必要がある電子部品に広く用いられている。不揮発性メモリデバイスには、読み出し専用メモリ(ROM:read-only-memory)デバイスと、プログラム可能読出し専用メモリ(PROM:programmable-read-only memory)デバイスと、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM:erasable-programmable-read-only-memory)デバイスと、電気消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM:electrically-erasable-programmable-read-only-memory)デバイスとが含まれる。EEPROMデバイスは電気的にプログラムでき、かつ電気的に消去ができる点で、その他の不揮発性メモリデバイスとは異なる。フラッシュEEPROMデバイスは、メモリセルが電気的にプログラムでき、かつ電気的に消去ができる点で、EEPROMデバイスと類似している。しかし、フラッシュEEPROMデバイスによって、単一の電流パルスを用いているデバイスの全てのメモリセルを消去することが可能となる。
【0003】
EEPROMデバイス技術の製品開発努力によって重点的に取り組まれているのは、プログラミング速度を向上させること、プログラム電圧と読み出し電圧を低下させること、データの保持時間を向上させること、セルの消去時間を低減すること、セルの寸法を縮小すること、である。EEPROMを製造するための1つの重要な誘電材料は、酸化物−窒化物−酸化物(ONO)構造である。ONO構造を用いている第1のEEPROMデバイスとしては、シリコン−酸化物−窒化物−酸化物−シリコン(SONOS)タイプのセルが挙げられる。ONO構造を用いている第2のEEPROMデバイスとしては、フローティングゲートFLASHメモリデバイスが挙げられ、ONO構造はフローティングゲート(一般にはポリシリコンフローティングゲート)上に形成される。
【0004】
SONOSデバイスでは、電荷はプログラミング中に基板からONO構造の窒化シリコン層へと運ばれる。電圧はゲートとドレインに印加され、縦方向と横方向に電界が形成される。この電界により、チャネル長沿いにある電子が加速される。電子がチャネルに沿って移動するので、電子の中には、十分なエネルギーを得て、底部の二酸化シリコン層のポテンシャル障壁を飛び越え、窒化シリコン層に捕獲されるものもある。電界はドレインの近くが最も強いので、電子はドレイン領域の近くに捕獲される。ソースとドレインに印加された電位を反転させることにより、電子がチャネルに沿って反対方向に移動し、ソース領域近くの窒化シリコン層の中に注入される。窒化シリコンは導電性ではないために、窒化シリコン層の中に導入される電荷は局在する傾向にある。したがって、電位の印加に応じて、電荷は単一の連続した窒化シリコン層内の連続していない領域に蓄積されうる。
【0005】
不揮発性メモリの設計者たちは、電子が窒化シリコン層内に局在して蓄積する性質を利用し、また、ONO層内の電荷が蓄積された2つの領域を利用したメモリ回路を設計している。このタイプの不揮発性メモリデバイスは、デュアルビットのEEPROMとして周知であり、このEEPROMはカリフォルニア州サニーベールの、Advanced Micro Devices Inc.の商標、MIRRORBITJの下で利用可能である。このMIRRORBITJデュアルビットのEEPROMにより、メモリ・アレイは同じサイズの従来のEEPROMと比べて、2倍量の情報を記録することができる。左右のビットは各メモリセルの左右の領域に近い、窒化シリコン層の物理的に異なる領域に記録される。次に、2つのビットをプログラムし、同時の読み出しを可能にするプログラミング法が用いられる。メモリセルの2つのビットは、ゲート領域と、ソース領域、又はドレイン領域のいずれかに適切な消去電圧を加えることによって、1つ1つ消去することができる。
【0006】
SONOSフラッシュメモリデバイスに関連するキー・コンセプトとは、デバイスを正確に動作させるためには、双方のビットが書き込みと読み出しを別々に実行することが必須だということである。ビットのうちの1つがプログラムされると、プログラムされたビット上の逆読み、つまり、リバース・リードが高電圧、つまり、“0”を検知し、また、プログラムされていないビット上のリバース・リードが低電圧、つまり“1”を検知する必要がある。したがって、プログラムされていないビット上のリバース・リード(プログラムされたビット上の順読み、つまり、フォーワード・リードに等しい)は、捕獲電荷領域を突き抜け、高くて十分な読み出し電流を生成する必要がある。前述のことが発生しない場合は、プログラムされていないビットは、“1”として、つまり、導電性のビットとして読み出しされることができないであろう。
【0007】
誘電電荷蓄積層を含むSONOSフラッシュメモリデバイスが直面している1つの問題点は、電荷蓄積層に電荷が蓄積されることと、製造中に、特にBEOLプロセスステップにおいて、つまり、フラッシュメモリセルの形成に続いて、紫外線照射に晒された結果、電圧がその後上昇することである。高レベルのUV照射を含むプロセスによって、このような電荷の蓄積が起き、また同時に電圧も上昇する。この電圧の上昇によって、全てのビットが高電圧、つまり、“0”を示すことになるであろう。更に、電荷の蓄積が大きい場合、利用可能な電圧によって蓄積した電荷を容易に消去することはできない。その結果、SONOSデバイスは、電荷蓄積デバイスとして役に立たなくなる。
【0008】
電荷蓄積エレメント用にポリシリコン、又はその他の導電性材料を有するフローディングゲートフラッシュデバイスでは、、紫外線に晒されるのは問題ではない。このようなデバイスでは、フローティングゲートは意図的にUV照射に晒され、プロセスの間にフローディングゲートのメモリセル上に蓄積されるいずれの電子電荷が中和される。例えば、米国特許第6,350,651号では、UV照射がこのような方法で用いられている。
【0009】
このようなプロセスはSONOSフラッシュメモリデバイスには適用されない。その理由は、電荷蓄積層は、大きな電荷を蓄積する紫外線照射へ晒すことによって、不可逆的な損傷を受けうるからである。また、電荷は紫外線照射へ更に晒されることによって、中和されることができないからである。
【0010】
そのため、BEOLプロセスの間にSONOSデバイスの電荷蓄積層を、UV照射への露出から保護するための設備を備えたデバイスと方法とが求められている。したがって、電荷の堆積と電圧の上昇がSONOS構造において、特にBEOLプロセスにおいて発生しないことを確実にする、このような製造技術の進歩性が求められている。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、一実施形態では、SONOSフラッシュメモリデバイスに関し、該SONOSフラッシュメモリデバイスには、SONOSフラッシュメモリセルと、少なくとも1つのUV保護層とが含まれ、UV保護層には実質的にUV不透過性材料が含まれる。
本発明は、
【0012】
一実施形態では、本発明はSONOSフラッシュメモリデバイスに関し、該SONOSフラッシュメモリデバイスには、SONOSフラッシュメモリセルと、SONOSフラッシュメモリセル上に蒸着されたUV保護コンタクト・キャップ層と、実質的にUV不透過性の材料を含むUV保護コンタクト・キャップ層と、少なくとも1つの付加的なUV保護層、とが含まれる。この少なくとも1つの付加的なUV保護層にはUV不透過性材料を含む少なくとも1つの副層が含まれる。各UV不透過性材料は、シリコンリッチな二酸化シリコン、シリコンリッチな窒化シリコン、シリコンリッチな炭化シリコン、または、シリコンリッチなSiCNが1つ以上含まれる。UV保護層はSONOSフラッシュメモリセルを、SONOSフラッシュメモリデバイスの製造において、BEOLプロセスの間に、UV露出の結果生じるダメージからSONOSフラッシュメモリセルを保護する。
【0013】
別の実施形態では、本発明はSONOSフラッシュメモリセルをUVによって誘発される電荷から保護する方法に関し、この方法には、半導体デバイスにおいてSONOSフラッシュメモリセルを製造することと、SONOSフラッシュメモリセル上に、少なくとも1つのUV保護層を蒸着すること、とを含む。UV保護層には実質的にUV不透過性の材料が含まれる。
【0014】
一実施形態では、UV保護層はSONOSフラッシュメモリデバイスの製造において、BEOLプロセスの間に、UV露出から生じるダメージからSONOSフラッシュメモリセルを保護する。
【0015】
したがって、UV保護層を与えることによって、本発明により、UVによって誘発されるSONOSフラッシュメモリセルの電荷の問題が、特にBEOLプロセスの間に克服される。本発明により与えられる利点は、(1)BEOLのUV照射からデバイスを保護するUV保護層を形成すること、(2)UVによって誘発される電荷からSONOSフラッシュメモリセルを保護すること、(3)現在導入されている製造プロセスに容易に適応できるプロセスの変更を提供すること、(4)標準の誘電体機能に加えて、前述の付加機能を有する上部の層やコンタクト・キャップ層、インターレベル誘電体層のうちの少なくとも1つ以上を形成すること、などである。したがって、本発明によりONO製造技術において利点を与え、また、SONOSフラッシュメモリデバイスのONO構造において、確実に、電荷を適切に分離させ、その一方で、同時に明確なプロセスと経済的な利点を与える。本発明をSONOSフラッシュメモリデバイスに関して説明し、また、本発明は特にSONOSフラッシュメモリデバイスに適用できるが、本発明は不所望のUV電荷に晒される電荷蓄積層を含むいずれの半導体デバイスの形成に広く応用することができる。
【発明の詳細な説明】
【0016】
実施形態の簡素化、及び明瞭化のために、図面に示されている要素は一定の縮尺で描かれる必要はない。例えば、いくつかの要素の寸法は明瞭化のために相互に関して誇張されている。更に、適切と考えられる箇所には、参照符号は図面の間で繰り返され、対応する要素を示している。
【0017】
更に、以下に説明しているプロセスステップと構造によって、集積回路を製造するための完全なプロセス・フローは形成されないことを理解されたい。本発明は従来技術で現今用いられている集積回路の製造技術と併せて実行されることができる。また、本発明を理解するために必要であるので、一般に実行されているプロセスステップの大半だけを含めている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1を参照すると、トランジスタ10の概略的断面図が示されており、一実施形態では、MIRRORBITJなどの、デュアルビットのEEPROMデバイスで用いるのに適した、SONOSフラッシュメモリセルである。トランジスタ10には、半導体基板16に設けられ、チャネル領域18によって離間されている、ソース/ドレイン領域12と14とが含まれる。基板16は、例えば、単結晶のシリコンウエーハであることができる。基板16はまた、ガリウム砒素、シリコン・オン・インシュレータ層、エピタキシャル層、シリコンゲルマニウム層、ゲルマニウム・オン・インシュレータ層、又は、その他の周知の半導体基板であることができる。スタック・ゲート24はチャネル領域18上に形成される。図1に示すように、スタック・ゲート24には、コントロールゲート電極26、及び、底部酸化層又はトンネル酸化層28と、電荷蓄積層30と、上部の酸化層32とを含むONO構造が含まれる。一実施形態では、電荷蓄積層30は窒素電荷蓄積層である。一実施形態では、電荷蓄積層30には窒化シリコンが含まれる。他の実施形態では、電荷蓄積層30には、high−K誘電材料などの周知の誘電電荷蓄積材料が含まれる。適切なhigh−K誘電電荷蓄積材料は、同時係属中であり、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/036,757号[USE OF HIGH-K DIELECTRIC MATERIALS IN MODIFIED ONO STRUCTURE FOR SEMICONDUCTOR DEVICES]に開示されている。更に、スタック・ゲート24にはサイドウォール・ライナ34が含まれる。図1に示すように、電荷36aと36bは電荷蓄積層30に格納されることができ、SONOS、又はDual−Bit EEPROMデバイスにおいて、電荷蓄積層、又は電子蓄積層として機能する。
【0019】
引き続き図1を参照すると、スタック・ゲート24は第1インターレベル誘電体(ILD:interlevel dielectric)層20[IDL0(“ILDゼロ”)層20とも呼ばれる]によって覆われ、かつ、囲まれている。一実施形態では、ILD0層20は二酸化シリコンである。他の実施形態では、ILD0層20は、ホウ素リン珪酸塩ガラス(BPSG:boron phosphosilicate glass)などのその他の材料、又はこのような層に用いられるその他周知の材料を有することができる。図1の実施形態では、ILD0層20は、スタック・ゲート24の高さよりも厚みがある。
【0020】
例示のDual−Bit EEPROMトランジスタ10の動作において、ゲート電極24へ、また必要に応じてソース/ドレイン領域12と14へ電圧が印加される。印加された電圧によって、ソース/ドレイン領域12と14から電荷が発生し、電荷はチャネル領域18を通って伝播する。プログラミング中に、電荷が十分に強い縦型電界に遭遇すると、その電荷はチャネル領域18から底部の酸化層28を通って、窒化シリコン電荷蓄積層30へ注入されるか、チャネル領域18から底部の酸化層28を介して、窒化シリコン電荷蓄積層30へ通り抜ける。電荷蓄積層は、電子蓄積層とも呼ばれる。例えば、コントロールゲート電極26と、ソース/ドレイン領域12と14とへ印加される特定の電圧値によって、電荷36a、36bは電荷蓄積層30の中へ伝送され、また、電荷36a、36bは、ソース/ドレイン領域12、又はソース/ドレイン領域14のどちらか一方に近接する領域に局在される。
【0021】
デュアル−ビットのEEPROMデバイスを適切に機能させるために、以下のことが当業者に理解されよう。それは、電荷36aと36bが最初に導入された電荷蓄積層30の領域に絶縁される必要があり、また、電荷蓄積層30のプログラミング前には、いずれの電荷も存在すべきではないことである。デュアル−ビットのEEPROMデバイスの適切なパフォーマンスのために、電荷蓄積層30の状態(プログラムされている、またはプログラムされていない状態)を適切に維持することが要求される。特に、電荷蓄積層30は、電荷蓄積層30の電荷を生成し得る入射UV照射から保護される必要がある。上述の通り、このような意に反して生成された電荷は、蓄積されたデータにエラーを引き起こし、更に、電荷蓄積層30へダメージを与えうる。
【0022】
本発明によれば、入射UV照射からの、電荷蓄積層30の不所望の電荷蓄積は、本明細書に説明しているUV保護層を形成することによって最小化される。このような意に反する電荷の侵入からの保護と、本発明により得られる、改善されたDual‐Bit EEPROMのパフォーマンスは、本発明に従い上記に説明された構造の製造プロセスの説明に従えば、より良く理解されるであろう。
【0023】
図1に示す実施形態では、第1ILD層20は、コンタクト・キャップ層38により覆われている。コンタクト・キャップ層38は、“C1”層とも呼ばれることができる。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38には、UV照射を吸収するシリコンリッチな材料が含まれる。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38には、シリコンリッチな窒化物、シリコンリッチな酸化物、シリコンリッチな炭化物、又は、シリコンリッチな炭化物‐窒化物などの、実質的にUV不透過性(UV opaque)の材料が含まれる。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38には、シリコンリッチな二酸化シリコン、シリコンリッチな窒化シリコン、シリコンリッチな炭化シリコン、又は、シリコンリッチな、炭化-窒化シリコンのうち一つ以上が含まれる。コンタクト・キャップ層38は、CVD、LPCVD、APCVDなどの、様々なプロセス技術によって蒸着されることができる。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38はCVDプロセスによって形成される、シリコンリッチな窒化シリコン層を有している。一実施形態では、実質的にUV不透過性のコンタクト・キャップ層38は、トランジスタ10をUV照射から保護する。UV照射はトランジスタ10のスタック・ゲート24の形成後のプロセスの間に、トランジスタ10に悪影響を及ぼしうるものである。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38は、十分にUV不透過性であり、少なくとも約95%の入射UV照射をブロックすることができる。別の実施形態では、コンタクト・キャップ層38は十分にUV不透過性であり、少なくとも約98%の入射UV照射をブロックすることができる。また別の実施形態では、コンタクト・キャップ層38は十分にUV不透過性であり、約99%の入射UV照射をブロックすることができる。コンタクト・キャップ層38が有しているシリコンリッチ材料は、以下に更に詳しく説明されている。
【0024】
一実施形態では(図示せず)、コンタクト・キャップ層38には、第1の、実質的にUV不透過性の副層と、UV不透過性ではない材料を有す、第2副層とが含まれる。第1の、実質的にUV不透過性の副層と、第2副層を有するコンタクト・キャップ層38の実施形態は、合計の層厚が薄くすることができる点を除けば、UV保護層46に関して以下に説明している層と実質的に同じである。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38の、実質的にUV不透過性の第1副層は、第2副層よりも実質的に厚みがある。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38の合計の厚みが実質的に薄いために、第2副層は存在しない。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38には、単一の、実質的にUV不透過性の層だけが含まれる。
【0025】
引き続き図1を参照すると、トランジスタ10には更に、導電性の接続プラグ40が含まれる。この接続プラグ40は、例えば、タングステンプラグであることができる。導電性プラグ40は、ILD0層20の開口部42に形成される。開口部42はILD層20を通り貫通し、トランジスタ10のソース12、及び/又はドレイン14への経路又はビアを提供する。トランジスタ10には更に、金属電極44が含まれる。金属電極44は、例えば、トランジスタ10を電源や隣接するトランジスタへ接続するエレメント(ビットラインなど)とすることができる。図1の導電性プラグ40は、金属電極44とソース領域12、及び/又はドレイン14領域との間に電気的接続を与える。図2に示す一実施形態では、導電性プラグ40は1方のトランジスタ10のソース12領域と、隣接するトランジスタのドレイン14領域の双方へ電気的接続を与える。
【0026】
図1に示す実施形態では、トランジスタ10はUV保護層46に覆われている。一実施形態では、UV保護層46は、ILD1と呼ばれる第2のインターレベル誘電体層である。UV保護層46には、第1の実質的にUV不透過性ライナ、つまり副層46aと、第2副層46bとが含まれる。一実施形態では、第2副層46bは、実質的に第1副層46aよりも厚く、したがって、第1副層46aは、ライナとも呼ばれる。一実施形態では、第1の、実質的にUV不透過性の副層46aは、トランジスタ10をUV照射から保護する。UV照射は、トランジスタ10のスタック・ゲート24を形成した後のプロセスの間に、トランジスタ10に悪影響を及ぼしうるものである。一実施形態では、第1副層46aは、十分にUV不透過性であり、入射するUV照射の少なくとも約95%をブロックすることができる。別の実施形態では、第1副層46aは十分にUV不透過性であり、入射するUV照射の少なくとも約98%をブロックすることができる。更に別の実施形態では、第1副層46aは十分にUV不透過性であり、入射するUV照射の少なくとも99%をブロックすることができる。
【0027】
本明細書に用いられているように、”実質的にUV不透過性である“という用語は、UV不透過性である、と説明される層が入射するUV光の少なくとも約90%をブロックするということである。本明細書に用いられているように、”実質的にUV不透過性でない“という用語は、UV不透過性でない、と説明される層が、UV照射を吸収せずに、入射するUV照射の大部分を通すということである。本明細書に用いられているように、”実質的にUVトランスペアレント(UV透過性である)“という用語は、実質的にUV透過性である、と説明される層が、UV照射を吸収せずに、入射するUV照射の少なくとも75%を通すということである。このような用語は、材料が位相のシフト、波長、又はその他の特性などの影響をUV照射に及ぼさないことを意味するものではない。
【0028】
第1副層46aには、UV照射を吸収するシリコンリッチな材料が含まれる。一実施形態では、シリコンリッチな材料は実質的には、本明細書で定義されているUV不透過性の材料である。一実施形態では、第1副層46aには、シリコンリッチな二酸化シリコン、シリコンリッチな窒化シリコン、シリコンリッチな炭化シリコン、又は、シリコンリッチなSiCNのうち一つ以上が含まれる。
【0029】
一実施形態では、第1副層46aには、シリコンリッチな二酸化シリコンが含まれる。従来技術で周知の通り、純粋な、又は化学量論量の二酸化シリコンは実質的にはUV照射を通すものであり、約400nmの波長を有す近紫外線照射から、約200nmまでの波長を有すUV照射を含む。しかし、二酸化シリコンのシリコンの含有量を化学量論量の比率以上に増加させると、屈折率と材料のUV吸収性が高まる。したがって、シリコンリッチな二酸化シリコンによって、UVブロック力が高められる。シリコン含量が増えると、UVブロックまたは、不透明度が高まる。したがって、一実施形態では、第1副層46aには、シリコンリッチな二酸化シリコンが含まれ、シリコンの総量は第1副層46aを実質的にUV不透過性にするのに十分な量である。一実施形態では、シリコンリッチな二酸化シリコンは、化学式SiOを有しており、x<2である。一実施形態では、シリコンリッチな二酸化シリコンは化学式SiOを有しており、1.8≦x≦1.99である。1実施形態では、シリコンリッチな二酸化シリコンは化学式SiOxを有しており、1.88≦x≦1.95である。
【0030】
一般に、コンタクト・キャップ層38を含む、UV保護層において用いられているシリコンリッチタイプの材料には、対応の、シリコンリッチでないタイプの同一の材料よりも高い屈折率が含まれる。一般に、これらの材料のシリコン含量をリッチ化することは、これらの材料の屈折率の向上と、UV不透過性の向上の両方に関連する。
【0031】
周知のとおり、実質的に化学量論量の二酸化シリコンの屈折率は、約1.46である。上述のとおり、シリコンリッチな二酸化シリコンの屈折率は、二酸化シリコンの屈折率よりも高い。一実施形態では、第1副層46aは、約1.5から約1.8までの屈折率を有す。別の実施形態では、第1副層46aは約1.55から約1.75までの屈折率を有す。別の実施形態では、第1副層46aは約1.6から約1.7までの屈折率を有し、また、一実施形態では、第1副層46aは約1.6以上の屈折率を有す。
【0032】
ここで、また、明細書と請求の範囲を通して、値域と比率の上限は組み合わせられることができる。したがって、例えば、前述の屈折率の値域においては、約1.6から約1.8までの範囲は特に詳述されていないが、このような値域は開示の範囲内である。
【0033】
一実施形態では、第1副層46aには、シリコンリッチな窒化シリコンが含まれる。窒化シリコンは、そのシリコンリッチではない、化学量論量タイプでは、通常はSiの式で表されるシリコンリッチな窒化シリコンには、Siをリッチ化した窒化シリコンが含まれる。したがって、シリコンリッチな窒化シリコンに対する化学式が、Siと記述される場合、x値は3以上である。一実施形態では、3.01.x.4である。一実施形態では、x値の値域は3以上であり、つまり、約3.01から約4までである。一実施形態では、x値の値域は、約3.1から約3.8までであり、別の態様では、x値の値域は、約3.15から約3.6までである。
【0034】
一実施形態では、第1副層46aにはシリコンリッチな炭化シリコン、SiCが含まれる。炭化シリコンには通常、実験に基づいた、化学量論量の化学式、SiCが与えられる。シリコンリッチなSiCには、化学量論量のSiCと関連する、Siをリッチ化したSiCが含まれる。したがって、炭化シリコンがシリコンリッチなSiCにおいて、Siと表示される場合、a>bであり、また、a+b=2である。一方で、化学量論量のSiCでは、aは実質的にbと等しく、つまり、a≒bであり、また、a+b=2、である。一実施形態では、シリコンリッチなSiCにおいて、aの値域は1.01から約1.2であり、また、a+b=2、である。一実施形態では、シリコンリッチなSiCにおいて、aの値域は1.02から約1.1であり、また、a+b=2、である。したがって、シリコンリッチではないSiCでは、aの値域は0.99以上1.01未満であり、b=2.aである。
【0035】
一実施形態では、第1副層46aには、シリコンリッチなSiCNが含まれる。SiCNは、炭化珪素窒化物(silicon carbon nitride)、炭窒化物(silicon carbonitride)、及び、珪素シアン化物(silicon syanide)などの様々な名称で呼ばれている。この実験式、SiCNは形成される条件によって変化する。しかし一般にはSiやCと類似していると考えられ、SiとCの成分は入れ替えることができる。“入れ替えられた”SiとCの化学式は(Si;C)と呼ばれることもある。本明細書では、この材料は単にSiCNと呼ばれる。シリコンリッチなSiCNには、多量のSiと少量のCが含まれ、また、シリコンリッチではないSiCNには、少量のSiと、多量のCが含まれる。したがって、SiCNには一般の化学式、Siが含まれると考えられうる。この化学式を用いると、シリコンリッチなSiCNでは、x>1.5であり、y<1.5である。また、シリコンリッチでないSiCNでは、x.1.5であり、y.1.5である。一実施形態では、シリコンリッチなSiCNにおいて、xの値域は1.5以上から約2.5までであり、yの値域は約0.5から約1.5未満である。一実施形態では、シリコンリッチなSiCNにおいて、xの値域は約1.55から約2.25までであり、また、yの値域は約0.75から約1.45までである。
【0036】
一実施形態では、シリコンリッチなSiCNには、CとNに対して、化学量論量を超えるSiが含まれる。化学量論量を超えるSiを含むSiCNには、Nの量と化学量論量的に等しくなるために必要なSiとCの量を超える量のSiとCが含まれる。SiCNのSiをリッチ化することによって、量を増加することができる。この実施形態では、例えば、y=1.5で、x>1.5の場合である。したがって、SiCNのCとNの総量に基づいて、Siの含量がリッチ化される。換言すれば、Nに関連するCの含量が決定されると、含まれる化学量論的な量のSiではなく、この実施形態では、シリコンリッチなSiCNにおいて、Siの含量は必要とされる化学量論的な量よりも高く、したがって、化学量論量を超えるSiが含まれる。
【0037】
一実施形態では、第1副層46aのシリコンリッチな材料は、約450nmから約190nmまでのUV値域のUV照射を吸収する。一実施形態では、第1副層46aのシリコンリッチな材料は、約400nmから約200nmまでのUV値域のUV照射を吸収する。一実施形態では、第1副層46aのシリコンリッチな材料は、約390nmから約210nmまでのUV値域のUV照射を吸収する。
【0038】
一実施形態では、UVの吸収性、つまり透過率(%T)は、ヒューレット−パッカード社のUV分光光度計を用いて、252nmの波長で測定される。この波長でUV照射を測定することにより、通常のUV照射の吸収性を適切に予測することができる。
【0039】
一実施形態では第2副層46bには、シリコンリッチではないタイプの、第1副層の材料が含まれる。したがって、例えば、第1副層46aにシリコンリッチな二酸化シリコンが含まれる実施形態では、第2副層46bには、シリコンリッチではない、又は、実質的に化学量論量の二酸化シリコンが含まれる。同様に、第1副層46aにシリコンリッチな二酸化シリコンが含まれる実施形態では、第2副層46bはシリコンリッチでない、又は、実質的に化学量論量の窒化シリコンが含まれる。同様に、第1副層46aがシリコンリッチな炭化シリコンを含む実施形態では、第2副層46bはシリコンリッチでない、又は、実質的に化学量論量の炭化シリコンが含まれる。また同様に、第1副層46aにシリコンリッチなSiCNが含まれる実施形態では、第2副層46bには、シリコンリッチでない、又は、実質的に化学量論量のSiCNが含まれる。
【0040】
一実施形態では、第2副層46bは、UV不透過性ではない。一実施形態では、第2副層46bは実質的にUV透過性であり、波長は約200nmにまで縮小する。一実施形態では、第2副層46bは、少なくともある程度高エネルギーのUV照射を吸収する。つまり、第2副層46bは約254ナノメータ(nm)から約200nmまでの、又は約190nmまでの値域の波長を有すUV照射を吸収する。
【0041】
一実施形態では、第2副層46bは二酸化シリコンである。一実施形態では、第2副層46bは、通常の化学式がSiOである二酸化シリコンであり、x.2である。一実施形態では、第2副層46bは通常の化学式SiOを有する二酸化シリコンであり、つまり、実質的に化学量論量の二酸化シリコンである。別の実施形態では、第2副層46bはシリコンリッチでない窒化シリコン、Siであり、つまり、実質的に化学量論量の窒化シリコンである。別の実施形態では、第2副層46bは上記に定義しているように、シリコンリッチでない炭化シリコン、SiCである。別の実施形態では、第2副層46aは上記に定義しているように、シリコンリッチではないSiCNである。
【0042】
図2に1組の隣接するトランジスタ10aと10bの第2の概略図を示す。図1に示す実施形態のように、図2に示す実施形態には半導体基板16が含まれ、半導体基板16の上には隣接する2つのトランジスタ10aと10bが形成されている。各トランジスタ10aと10bには、ソース領域12と、ドレイン領域14と、チャネル領域18とが含まれる。各トランジスタ10aと10bのチャネル領域18上に形成されているのはそれぞれ、スタック・ゲート24aと24bであり、図1のトランジスタ10に関連して詳細が説明されている。図1のように、図2の各トランジスタ10aと10bには、ILD0層20と呼ばれる第1のインターレベル誘電体層20が含まれ、該ILD0層20はスタック・ゲート24aと24bの各々を覆い、囲んでいる。図1のように、ILD0層20は、コンタクト・キャップ層38に覆われている。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38はUVブロック層である。
【0043】
図2に、第1の導電性プラグ40aと、金属導体44と、第2の導電性プラグ40bを示す。図2の実施形態では、導電性プラグ40aは、金属導体44と、2つの隣接するトランジスタ10a、10bの隣接するドレイン14とソース12との間に、電気的接続を与える。図2には第2の導電性プラグ40bが例示されており、該導電性プラグ40bにより、外部ソース(図示せず)から金属導体44へ電気的接続が与えられる。
【0044】
図2に示すように、コンタクト・キャップ層38は、UV保護層46によって覆われている。一実施形態では、図2に示すUV保護層46は、ILD1と呼ばれる第2のインターレベル誘電体層である。UV保護層46には、第1の、実質的にUV不透過性の副層46aと、第2副層46bとが含まれる。図1に関連して上述しているように、一実施形態では、第2副層46bは実質的にUV透過性であり、また、一実施形態では、第2副層46bは実質的にUV不透過性ではない。図1に示す、UV保護層46の実施形態に関する上記の説明は、全ての点が図2の実施形態に完全に適用可能であるので、ここでは繰返し説明はしない。
【0045】
図3に本発明の別の実施形態を概略的に示す。図3は半導体デバイス50の一部を示しており、該デバイス50には、図1と図2に関して説明しているようなトランジスタなどが含まれうる。図3に示している構造には、BEOLプロセスの間に用いられる層が描かれている。このデバイス50には、第1のインターレベル誘電体層20(ILD0層20)が含まれ、該ILD0層20はスタック・ゲート(図示せず)を覆う層に、又は半導体デバイスのその他の構造に設けられることができる。図3のILD0層20は図1と2の実施形態に関して上記に説明しているのもと実質的に同一である。デバイス50には更にコンタクト・キャップ層38が含まれる。該コンタクト・キャップ層は図1と2の実施形態に関して上記に説明しているものと実質的に同一である。図3に示すデバイス50には、第1の導電性プラグ40aと、第2の導電性プラグ40bとが含まれる。図3に示すデバイス50には、第1の導電性金属44aと第2の導電性金属44bも含まれる。第1の導電性プラグ40aにより、第1の導電性金属44aと第2の導電性金属44bとの間に電気的接続が与えられる。第2の導電性プラグ40bにより、第2の導電性金属44bと外部電源、又はその他のデバイス(図示せず)との間に電気的接続が与えられる。
【0046】
図3に示す半導体デバイス50には2つのUV保護層が含まれる。デバイス50には第1のUV保護ILD層46と、第2のUV保護層48とが含まれる。一実施形態では、第1のUV保護ILD層46と第2のUV保護層48は両方とも、その材料や厚み、機能などは図1と図2に関して上記に説明しているUV保護層46と実質的に同一である。
【0047】
一実施形態では、図3に示す第1のUV保護ILD層46は第2のインターレベル誘電体層であり、ILD1と呼ばれる。図3に示す第1のUV保護層46には、第1の、実質的にUV不透過性の副層46aと、第2副層46bとが含まれる。一実施形態では、第2副層46bは実質的にUV透過性であり、別の実施形態では、第2副層46bは実質的にUV不透過性ではない。
【0048】
一実施形態では、図3に示す第2のUV保護層48は第3のインターレベル誘電体層であり、ILD2と呼ばれる。図3に示す第2のUV保護層48には、第2の、実質的にUV不透過性の副層48aと、第2副層48bとが含まれる。一実施形態では、第2副層48bは実質的にUV透過性であり、別の実施形態では、第2副層48bは実質的にUV不透過性ではない。
【0049】
言うまでもなく、UV保護層の厚みは、UV保護層を形成しているそれぞれの副層の厚みの合計である。一実施形態では、第1副層は約300オングストロームから約1000オングストロームまでの範囲の厚みを有し、また、UV保護層は合計で約4000オングストロームから約10,000オングストロームまでの厚みを有している。別の実施形態では、第1副層は約400オングストロームから約800オングストロームまでの範囲の厚みを有し、UV保護層は合計で約5000オングストロームから約8000オングストロームまでの厚みを有している。別の実施形態では、第1副層は、約500オングストロームから約700オングストロームまでの範囲の厚みを有し、UV保護層は合計で約6000オングストロームから約7000オングストロームまでの厚みを有している。別の実施形態では、第1副層46aは、BEOLプロセスの結果生じる、入射UV照射を吸収するのに十分な厚みを有している。BEOLプロセスには例えばPECVD(半導体デバイスに材料を続けて蒸着する際に用いられることができる)などが含まれる。UV保護層がコンタクト・キャップ層38や上部の酸化物層などに単一の層を構成している実施形態では、UV保護層の厚みは、約300オングストロームから約1000オングストロームまでの範囲である。
【0050】
当業者であれば、本発明の前述の実施形態を詳細に説明しているが、本発明の更なる実施形態には付加的なUV保護層を含むことができることが理解されよう。いくつかのこのような実施形態では、UV保護層は更なるインターレベル誘電体層、つまりILD3層などのILDを構成することができる。ILD0層の場合では、実質的にUV不透過性の副層はコンタクト・キャップ層38であり、このコンタクト・キャップ層38は図1−3で示しているILD1層とILD2層の実施形態のように、ボトム、つまり底部の層ではなく、実質的にトップの、つまり上部の層である。その他の実施形態では、UV保護層はILD層以外の層である。例えば、UV保護層は上部の酸化物層であることができる。上部の酸化物層は半導体デバイスの全体を覆う。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38と上部の酸化物層は上記に説明しているように、UV保護層を有している。一実施形態では、これらの層には、UV不透過性の第1副層と、UV不透過性ではない第2副層が含まれ、各副層については上記に説明されている。別の実施形態では、コンタクト・キャップ層、また、更に別の実施形態では、UV保護を含む2つの副層を備えた構成とは対称的に、上部の酸化物層にはそれぞれ、単一のUV不透過性の層が含まれるようになっている。
【0051】
図示されていないが、図1−3に示されている実施形態には、本明細書において説明されているような付加的なUV保護層を含むことができる。例えば、これらの実施形態には、UV保護ILD2層、UV保護ILD3層、及び/又は、UV保護の上部の酸化物層、を有することができ、更に、UV保護のコンタクト・キャップ層38、及び/又は、UV保護ILD1層46、を有することができる。同様に、一実施形態では、ILD1層46はUV保護層ではない。しかし、ILD2層やILD3層などの次の層、又は上部の酸化物層はUV保護層である。図6には付加的な層を含む実施形態が示されており。そのうちのいくつか、又は全てがUV保護層、及び/又は実質的にUV不透過性の層を有することができる。
【0052】
本発明のプロセスの以下の説明は、MIRRORBITJデバイスなどの、デュアルビットのEEPROMデバイスにおいて使用するのに適したUV保護層に照らして説明されている。本明細書ではその観点から説明されているが、これは単に例示的なものであって、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本方法で製造されたUV保護層は、UVによって誘発される電荷、またはその他のダメージを受けるフラッシュメモリセルを含む半導体デバイスのいずれにも応用できるものである。
【0053】
図4−6を参照しながら、本発明を以下のように説明する。図4−5は本発明の実施形態によるUV保護層の製造時における、あるプロセスステップ後の半導体デバイスの実施形態を例示した断面図である。図7は、本発明によるプロセスの実施形態のステップを示した概略的なフローチャートである。
【0054】
ステップ701として図7に概略的に示しているように、本発明によるプロセスの第1ステップでは、図4に示すように、SONOSフラッシュメモリセルを備えた半導体基板が提供される。SONOSフラッシュメモリセルは、従来技術で周知のいずれの適切な方法により製造されることができる。このような半導体デバイスの製造は周知であるので、簡潔にするために、このような製造方法は本明細書においては詳細に開示されない。このようなデバイス10の1例を図4に示す。図4に示すデバイス10のコンポーネント部分は、図1に関連して上記に説明しているものと実質的に同一であり、また、半導体基板16に設けられ、チャネル領域18によって離間されているソース/ドレイン領域12と14とを含む。スタック・ゲート24はチャネル領域18を覆う。図4に示すデバイス10には、第1のインターレベル誘電体層20と、コンタクト・キャップ層38と、導電性プラグ40と、金属導体44とが含まれる。
【0055】
ステップ702として図7に概略的に示されている、本発明による第2のステップでは、第1層、又は、UV保護層の副層が、SONOSフラッシュメモリセル上に蒸着される。一実施形態では、第1層、又は副層は上記に定義されているように、実質的にUV不透過性である。一実施形態では、第1層、又は副層はコンタクト・キャップ層38である。一実施形態では、第1層、又は副層は副層46aである。一実施形態では、コンタクト・キャップ層38は蒸着された第1層であり、この後に第1副層46aが蒸着され、両層とも実質的にUV不透過性材料を有している。
【0056】
一実施形態では、第1副層はシリコンリッチな二酸化シリコンを有す。上記に説明しているように、シリコンリッチな二酸化シリコンは、化学式SiOを有し。x<2である。(別の態様では、この化学式はSiと表わされることができ、y>1である。)上記に説明しているように、別の実施形態では、1.8.x.1.99であり、別の実施形態では、1.88.x.1.95である。
【0057】
コンタクト・キャップ層38、及び/又は、UV照射を吸収するシリコンリッチな材料を含む第1副層46aは、典型的にはウエーハ全体上に全面蒸着される。一実施形態では、第1副層を蒸着するための方法には、UV照射を用いない、又は生成しない方法が用いられ、別の実施形態では、SONOSメモリセルをUV照射へ晒さない方法が用いられる。
【0058】
コンタクト・キャップ層38、及び/又は、第1副層46aにシリコンリッチな二酸化シリコン、シリコンリッチな窒化シリコン、又はシリコンリッチな炭化シリコンが含まれる実施形態では、このような材料を形成し、蒸着するための様々な方法は一般に当業者には周知であり、本明細書には詳細を説明していない。
【0059】
コンタクト・キャップ層38、及び/又は、第1副層46aにシリコンリッチなSiCNが含まれ、また、第2副層46bにシリコンリッチではないSiCNが含まれる実施形態では、このような材料を形成し、蒸着する様々な方法が周知である。SiCNで得られる可変性の化学量論量のために、シリコンリッチな、又はシリコンリッチではないSiCNは、プロセスに対するシリコン供給源の総量を変えることによって形成される。
【0060】
通常、シリコンリッチな材料においては、屈折率が高いほど、材料のUV吸収容力は高まる。一般に、屈折率を増加させると、材料のUV不透過率を高める結果になる。
【0061】
例えば、第1副層46aがシリコンリッチな二酸化シリコンである実施形態では、シリコンリッチな二酸化シリコンはその屈折率に基づき、純正二酸化シリコンと化学量論量の二酸化シリコンとを区別することができる。化学量論量の二酸化シリコンに対しては、屈折率は約1.46から1.5である。十分なUV保護を得るために、つまり、第1副層を実質的にUV不透過性とするために、屈折率は1.5以上とする必要があり、一実施形態では屈折率は約1.6以上であり、上述の通り、別の実施形態では、屈折率は実質的に1.6よりも高い。二酸化シリコンの屈折率は二酸化シリコンにより多くのシリコンを入れることにより、つまり、上記に説明しているように、シリコンリッチな二酸化シリコンを形成することにより、増加させることができる。
【0062】
シリコンリッチな窒化シリコンや、シリコンリッチなSiCNや、シリコンリッチな炭化シリコンにも同様の考察が適用される。
【0063】
ステップ703として図7に示されているように、本発明における第3のステップには、UV保護層46の第2副層46bを蒸着するステップが含まれる。十分に厚みがあって選ばれた第1副層46aが蒸着されると、第2副層46bがその上に蒸着される。
【0064】
図7に示すように、実施形態にはステップ703をパスして直接ステップ704へ進むものもあり、そこから任意にステップ702へ戻り、実質的にUV不透過性の材料を有す別の層を蒸着する。ステップ703をパスすることついては、別の経路(a)によって図7に概略的に例示されている。ステップ704からステップ702へ戻ることについては、別の経路(b)によって図7に概略的に示されている。
【0065】
一実施形態では、上述の通り、第2副層の材料には、第1副層におけるシリコンリッチではないタイプの材料が含まれる。1つのこのような実施形態では、シリコンリッチな層の蒸着から、シリコンリッチではない層の蒸着への遷移は、単に蒸着条件を変更することによって実現される。一実施形態では、SiCNに関して上述しているように、蒸着後の熱処理条件を変更することによって、遷移が実現される。
【0066】
例えば、シリコンリッチな材料が、シリコンリッチな二酸化シリコンである一実施形態では、第1副層の蒸着から第2副層の蒸着への遷移は、シリコン含有の前駆物質量を変えることによって実現される。この前駆物質は蒸着装置へ与えられており、シリコンリッチな二酸化シリコンの蒸着をもたらす第1の量から、実質的に化学量論量の二酸化シリコンの蒸着をもたらす第2の量へと、シリコン含有の前駆物質量変えることによって蒸着の遷移が実現される。一実施形態では、両ステップは同じ装置で、実質的に連続して実施される。一実施形態では、いずれの不連続性も、蒸着装置に与えられているシリコン含有の前駆物質量を変更することによる遅延あるいは一時停止によって生じる。したがって一実施形態では、ステップ702と703は実質的に連続した蒸着ステップの一部であり、ステップ702と703の組み合わせとして扱われる。この実施形態はステップ704から始まり、ステップ702へと戻る、別の経路(b)によって図7に概略的に示される。
【0067】
シリコンリッチではない材料を蒸着するその他の方法は、当該技術の当業者によって適切に選択されることができる。
【0068】
図5に示す第1副層46aに第2副層46bを蒸着するステップ703の結果生じる、典型的な構造は、図1に示す構造である。
【0069】
一実施形態では、第2のUV保護ILD層48は、例えば図3に示すような、第1の保護ILD層46上に蒸着される。この実施形態では、ステップ702と703が繰返し行われる。一実施形態では1つの層が、別の実施形態では2つ以上の層が、第1のUV保護ILD層と第2のUV保護ILD層との間に形成される。また更に別の実施形態では、UV保護ILD層と第2のUV保護ILD層との間には層は形成されない。一実施形態では、付加的な層には、図3に示す層44a、44bと同様の層である、金属導電層が含まれる。したがって、一実施形態において、完全な層が形成される間に、第1のUV保護ILD層と第2のUV保護ILD層との間に介入している層はエッチングされうる。あるいは、別の態様では、導電性のパターン、又はその他の“配線”などの形成時に部分的に取除かれる。次いで、第2のUV保護ILD層は蒸着されることができ、介入層、又は材料への絶縁と保護が与えられる。一実施形態では、第2のUV保護層は、上述しているように、ILD2層などの従来の層間誘電体層、コンタクト・キャップ層、又は上部の酸化物層と置き換えることができる。
【0070】
図6に示す別の実施形態では、第3のUV保護層52は第2のUV保護ILD層48上に蒸着される。図6は図1と同様の半導体基板の一部を断面で概略的に例示したものであり、コンタクト・キャップ層38、3つの層間誘電体層20、46、48(層46と48のいずれか、又は両方ともUV保護層であることができる)、及び、本発明の実施形態により製造されたUV保護の上部酸化物層が組み込まれている。第3のUV保護層、又は上部の酸化物層52は第1及び第2のUV保護層と実質的に同様であり、一実施形態では、第1の実質的にUV不透過性の副層と、UV不透過性ではない材料を有す第2副層とが含まれ、また別の実施形態では、単一の実質的にUV不透過性の層が含まれる。
【0071】
一実施形態では、第3のUV保護層はILD3層などの、従来の層間誘電体層と置き換えることができる。
【0072】
これらの実施形態は図7にステップ704として、また、ステップ704から開始し、ステップ702へと戻る代替の経路(b)、によって例示されている。ステップ704によれば、付加的なUV保護層、又は、実質的にUV不透過性の層を代替の経路(a)、及び/又は(b)を介して蒸着するのに必要であるために、ステップ702とステップ703を、あるいはステップ702だけを繰返し行うことができる。また図7に示されているように、ステップ704にはステップ702への任意的リターンが含まれ、任意的リターンが含まれない場合は、図7に示すように、プロセスは半導体デバイスの製造を継続する最終ステップへと進むことができる。
【0073】
図7の最終ステップに示すように、本発明による単一の、又は複数のUV保護層の形成後、半導体デバイスとSONOSフラッシュメモリセルは更にBEOLプロセスにおいてプロセスが進められ、デバイスの製造が適宜完了される。本発明の結果として、一実施形態では、デバイスとSONOSフラッシュメモリセルをUV照射への露出から保護する必要はない。その他の実施形態では、デバイスとSONOSフラッシュメモリセルをこのような露出から保護することが望ましい。その理由は、本発明によってUV照射の全ての有害性からデバイスを完全に保護することは不可能でありうるからである。
【0074】
一実施形態では、半導体デバイスとSONOSフラッシュメモリセルは、スタック・ゲート形成後のプロセスステップの間、UV照射への露出から保護される。別の実施形態では、半導体デバイスとSONOSフラッシュメモリセルは、スタック・ゲートのONO部を形成した後のプロセスステップの間に、UV照射への露出から保護される。一実施形態では、半導体デバイスとSONOSフラッシュメモリセルは、電荷堆積層を形成した後のプロセスステップの間に、UV照射への露出から保護される。一実施形態では、製造プロセスにおいて、この段階での、及びこの段階を超えてのUV照射からの保護には、本明細書に記載されている1つ以上のUV保護層の形成が含まれる。別の実施形態では、UV照射からの保護には更にシールディングが含まれ、別の態様では、UV照射への露出を回避することが含まれる。別の実施形態では、上述のように、UV照射からの保護には更にUVでないプロセスを選択し、用いることが含まれる。
【0075】
UV保護層を与えることにより、本発明によってUVによって誘発されたSONOSフラッシュメモリセルの電荷問題が克服される。本発明により与えられる利点は(1)BEOLのUV照射からデバイスを保護するUV保護層を形成すること、(2)UVによって誘発される電荷からSONOSフラッシュメモリセルを保護すること、(3)現在導入されている製造プロセスに容易に適応できるプロセスの変更を提供すること、(4)標準の誘電体機能に加えて、前述の付加機能を有する上部の層やコンタクト・キャップ層、インターレベル誘電体層のうちの1つ以上を形成すること、などである。したがって、本発明によりONO製造技術において利点を与え、また、SONOSフラッシュメモリデバイスのONO構造において、確実に、電荷を適切に分離させ、その一方で、同時に明確なプロセスと経済的な利点を与える。本発明をSONOSフラッシュメモリデバイスに関して説明し、また、本発明は特にSONOSフラッシュメモリデバイスに適用できるが、本発明は不所望のUV電荷に晒される電荷蓄積層を含むいずれの半導体デバイスの形成に広く応用することができる。
【0076】
本発明を具体的な実施形態を用いて説明し、例示してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。また、本発明の範囲から逸脱することなく、様々なバリエーションや変更が可能であることは当業者にとっては自明であろう。例えば、ONO構造を形成している個々の層の厚みは本明細書に説明している厚みから変更することができる。したがって、本発明には添付の請求の範囲やその等価物の範囲内において、全てのそのような変形や変更が含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実質的にUV不透過性のコンタクト・キャップ層を組み込み、更に本発明の実施形態によって製造された実質的にUV透過性の副層を有するUV保護層を更に有するDual−Bit EEPROMトランジスタを含む半導体基板の一部の概略的断面図。
【図2】本発明の実施形態によって製造されたUV保護層に実質的にUV不透過性の副層を組み込んだペアのDual−Bit EEPROMトランジスタを含む半導体基板の一部の概略的説明図。
【図3】本発明の実施形態によって製造された、各々が実質的にUV不透過性の副層を含む、2つのUV保護層を組み込んだ半導体基板の一部の概略的説明図。
【図4】本発明の実施形態によるプロセスにおいて、半導体デバイス上に本発明のUV保護層を製造するためのプロセスステップの断面図。
【図5】本発明の実施形態によるプロセスにおいて、半導体デバイス上に本発明のUV保護層を製造するためのプロセスステップの断面図。
【図6】コンタクト・キャップ層、3つの層間誘電体層、及び本発明の実施形態により製造された上部の酸化物層を組み込んだ、図1と同様の半導体基板の一部の概略的断面図。
【図7】本発明の実施形態のステップを示した概略的フローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SONOSフラッシュメモリデバイス(10、50)であって、
SONOSフラッシュメモリセル(24)と、
実質的にUV不透過性材料を含む、少なくとも1つのUV保護層(38、46、48、及び/又は52)、とを含む、デバイス。
【請求項2】
前記UV保護層はSONOSフラッシュメモリセル上に蒸着されるコンタクト・キャップ層(38)である、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記UV保護層(38、46、48、及び/又は52)は、SONOSフラッシュメモリデバイスの形成におけるBEOLプロセスの間に、UVに晒されることにより生じるダメージからSONOSフラッシュメモリセルを保護する、請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
前記UV不透過性材料にはシリコンリッチな二酸化シリコン、シリコンリッチな窒化シリコン、シリコンリッチな炭化シリコン、またはシリコンリッチなSiCNのうち1つ以上が含まれる、請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
少なくともUV不透過性の材料を含む副層を有する、少なくとも1つの付加的UV保護層を更に含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの付加的UV保護層は、1つ以上の層間誘電体層1(46)、層間誘電体層2(48)、又は、上部の酸化物層(52)の構成要素である、請求項5記載のデバイス。
【請求項7】
前記UV不透過性の材料は約1.5よりも高い屈折率を有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項8】
UVによって誘発された電荷からSONOSフラッシュメモリセルを保護する方法であって、
半導体デバイスにSONOSフラッシュメモリセルを形成するステップと、
実質的にUV不透過性材料を含む少なくとも1つのUV保護層をSONOSフラッシュメモリセル上に蒸着するステップ、とを有す、方法。
【請求項9】
前記UV不透過性材料には、シリコンリッチな二酸化シリコン、シリコンリッチな窒化シリコン、シリコンリッチな炭化シリコン、またはシリコンリッチなSiCNのうち1つ以上が含まれ、及び/又は、前記UV不透過性材料は約1.5よりも高い屈折率を有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
少なくともUV不透過性材料を含む副層を備えた少なくとも1つの付加的UV保護層を蒸着するステップを更に有する、請求項8記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2007−502033(P2007−502033A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536514(P2006−536514)
【出願日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/000492
【国際公開番号】WO2004/073047
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(591016172)アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド (439)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
【Fターム(参考)】