説明

C型肝炎ウイルス阻害剤

一般式(I):


を有するC型肝炎ウイルス阻害剤を開示する。HCVを阻害するための、該化合物を含有する組成物および該化合物を用いる方法もまた開示する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年9月29日に出願された米国仮特許出願第61/100,896号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して抗ウイルス性化合物に関するものであり、さらに具体的には、C型肝炎ウイルス(HCV)によりコードされるNS3プロテアーゼ(本明細書において「セリンプロテアーゼ」とも称される)の機能を阻害する化合物、該化合物を含有する組成物、およびNS3プロテアーゼの機能を阻害する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
HCVは主要なヒト病原体であり、世界中で推定1億7千万人が感染しており-これはヒト免疫不全ウイルス1型による感染数のおよそ5倍である。これらHCV感染者のかなりの割合が、肝硬変および肝細胞癌を含む重篤な進行性肝疾患を発症する。
【0004】
現在、最も有効なHCVの治療法は、α-インターフェロンとリバビリンの組み合わせを用いており、40%の患者において持続的効果をもたらしている。最近の臨床結果は、ペグα-インターフェロンが単独療法としては未修飾のα-インターフェロンよりも優れていることを示す。しかしながら、ペグα-インターフェロンとリバビリンの組み合わせを含む実験的な治療レジメンでも、かなりの割合の患者において、ウイルス量の持続的な減少が認められない。従って、HCV感染症の有効な治療法の開発が明確にかつ長年にわたって切実に必要とされている。
【0005】
HCVはプラス鎖RNAウイルスである。5'非翻訳領域における推定アミノ酸配列および広範な類似性の比較に基づいて、HCVはフラビウイルス科の独立した属として分類されている。フラビウイルス科の全てのメンバーは、単一の連続したオープンリーディングフレームの翻訳を介して全ての公知のウイルス-特異的タンパク質をコードするプラス鎖RNAゲノムを含有するエンベロープに包まれたビリオンを有する。
【0006】
HCVゲノム全体にわたって、ヌクレオチドおよびコードされたアミノ酸配列内に、かなりの多様性が見いだされる。6つの主要な遺伝子型がキャラクタライズされており、50を超えるサブタイプが記載されている。HCVの主要な遺伝子型は世界的な分布において異なっており、病原性および治療法における遺伝子型の影響の可能性についての多くの研究にもかかわらず、HCVの遺伝的多様性の臨床的意義は依然として捉えにくい。
【0007】
一本鎖HCV RNAゲノムは約9500ヌクレオチド長であり、約3000のアミノ酸である単一の大きなポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。感染細胞において、このポリタンパク質は、細胞プロテアーゼおよびウイルスプロテアーゼにより複数の部位で切断され、構造タンパク質および非構造(NS)タンパク質を生じる。HCVの場合、成熟非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5B)の生成は、2つのウイルスプロテアーゼによりもたらされる。1つめのものはNS2-NS3接合部を切断し;2つめは、NS3のN-末端領域内に含まれるセリンプロテアーゼであり、NS3の下流、すなわちNS3-NS4A切断部位においてシスで、残りのNS4A-NS4B、NS4B-NS5A、NS5A-NS5B部位についてトランスでの両方における以降の切断の全てを仲介する。該NS4Aタンパク質は複数の機能を果たすと思われ、NS3プロテアーゼの補助因子として作用し、NS3および他のウイルスのレプリカーゼ成分の膜局在をおそらく補助している。NS3タンパク質とNS4Aとの複合体形成は、効率的なポリタンパク質プロセシング、全ての部位におけるタンパク質分解効率の増強に必要であると思われる。該NS3タンパク質はまた、ヌクレオシドトリホスファターゼおよびRNAヘリカーゼ活性を示す。NS5Bは、HCVの複製に関与するRNA-依存性RNAポリメラーゼである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、NS3プロテアーゼが、例えばNS4Aプロテアーゼと合わさって、機能するのを阻害することができるペプチド化合物を提供する。さらに本願は、患者への組み合わせ療法の実施について記載し、HCV NS3プロテアーゼを阻害するのに有効である本発明の化合物は、抗-HCV活性を有するさらなる化合物とともに投与することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
R1は、ヒドロキシまたは-NHSO2R5から選択され;
R2は、水素、アルケニル、アルキル、またはシクロアルキルから選択され、ここで、該アルケニル、該アルキル、および該シクロアルキルは各々、1、2、3、もしくは4個のハロ基で適宜置換されており;
R3は、さらなるフェニルもしくはヘテロシクリルで置換されたフェニル基であり、ここで、該さらなるフェニルおよび該ヘテロシクリルは、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、もしくはヒドロキシから独立して選択される1、2、3、4、もしくは5個の置換基でさらに適宜置換されることができ;
R4は、水素、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、シクロアルキルオキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ハロアルキル、ハロアルキルカルボニル、ハロアルキルスルホニル、(NRaRb)カルボニル、または(NRaRb)スルホニルから選択され、ここで、該シクロアルキルオキシカルボニルのシクロアルキル部分は1、2、もしくは3個のハロアルキル基で適宜置換されており;
R5は、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクリル、または-NRaRbから選択され;ここで、該アルキルおよびシクロアルキルは各々、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、シアノ、シアノアルキル、もしくはハロアルコキシから選択される1個の基で適宜置換されており;
RaおよびRbは、独立して、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルから選択され;
Xは、O、S、SO、またはSO2から選択され;そして、
Qは、独立して、アルキルもしくはハロから選択される1もしくは2個の基で適宜置換されたC5-9飽和もしくは不飽和鎖である]
の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【0010】
第1の態様の第1の実施態様において、本発明は、R1が-NHSO2R5である、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。第1の態様の第2の実施態様において、XはSである。第1の態様の第3の実施態様において、QはC7-9飽和もしくは不飽和の無置換鎖である。第1の態様の第4の実施態様において、R3は、無置換フェニル基で置換されたフェニル基である。第1の態様の第5の実施態様において、R2はアルケニルである。第1の態様の第6の実施態様において、R4はアルコキシカルボニルである。
【0011】
第1の態様の第7の実施態様において、本発明は、
R1が-NHSO2R5であり;
R2がアルケニルであり;そして、
R4がアルコキシカルボニルである、
式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【0012】
第1の態様の第8の実施態様において、本発明は、
R1が-NHSO2R5であり;ここで、R5はシクロアルキルであり;
R2がアルケニルであり;
R3が無置換フェニル基で置換されたフェニル基であり;
R4がアルコキシカルボニル;
XがSであり;そして、
QがC7-9飽和もしくは不飽和の無置換鎖である、
式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【0013】
第2の態様において、本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、および医薬的に許容される担体を含有する組成物を提供する。第2の態様の第1の実施態様において、該組成物は、抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物をさらに含有する。第2の態様の第2の実施態様において、該さらなる化合物の少なくとも1つは、インターフェロンまたはリバビリンである。第2の態様の第3の実施態様において、該インターフェロンは、インターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される。
【0014】
第2の態様の第4の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、医薬的に許容される担体、および抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を含有する組成物を提供し、ここで、該さらなる化合物の少なくとも1つは、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド(Imiqimod)、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される。
【0015】
第2の態様の第5の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、医薬的に許容される担体、および抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を含有する組成物を提供し、ここで、該さらなる化合物の少なくとも1つは、HCV感染症の治療のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、またはIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに有効である。
【0016】
第3の態様において、本発明は、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩、抗-HCV活性を有する1、2、3、4、もしくは5個のさらなる化合物、ならびに医薬的に許容される担体を含有する組成物を提供する。第3の態様の第1の実施態様において、該組成物は、抗-HCV活性を有する3もしくは4個のさらなる化合物を含有する。第3の態様の第2の実施態様において、該組成物は、抗-HCV活性を有する1もしくは2個のさらなる化合物を含有する。
【0017】
第4の態様において、本発明は、治療上有効な量の式(I)の化合物、もしくは医薬的に許容されるその塩を患者に投与することを含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供する。第4の態様の第1の実施態様において、該方法は、抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩より前、後、もしくは同時に投与することをさらに含む。第4の態様の第2の実施態様において、該さらなる化合物の少なくとも1つはインターフェロンまたはリバビリンである。第4の態様の第3の実施態様において、該インターフェロンは、インターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される。
【0018】
第4の態様の第4の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩より前、後、もしくは同時に、治療上有効な量の式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩と、抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を患者に投与することを含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供し、ここで、該さらなる化合物の少なくとも1つは、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される。
【0019】
第4の態様の第5の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩より前、後、もしくは同時に、治療上有効な量の式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩と、抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物を患者に投与することを含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供し、ここで、該さらなる化合物の少なくとも1つは、HCV感染症の治療のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、またはIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに有効である。
【0020】
第5の態様において、本発明は、式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩より前、後、もしくは同時に、治療上有効な量の式(I)の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩と、抗-HCV活性を有する1、2、3、4、もしくは5個のさらなる化合物を患者に投与することを含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供する。第5の態様の第1の実施態様において、該方法は、抗-HCV活性を有する3もしくは4個のさらなる化合物を投与することを含む。第5の態様の第2の実施態様において、該方法は、抗-HCV活性を有する1もしくは2個のさらなる化合物を投与することを含む。
【0021】
本発明の他の態様は、本明細書において開示されている実施態様の適切な組合せを含んでよい。
【0022】
さらに他の態様および実施態様は、本明細書の記載中に見いだされうる。
【0023】
本明細書における本発明の記載は、化学結合の法則および原理と一致して解釈すべきである。場合によっては、任意の所与の位置に置換基を配置するために、水素原子を除去することが必要であり得る。
【0024】
本発明により包含される化合物は、医薬品としての使用に適切に安定であるものであることが理解されるべきである。
【0025】
分子中の特定の位置でのいずれの置換基または変数の定義は、該分子中の他の部分におけるその定義から独立していることを意図する。例えば、nが2である場合、2つのR4基の各々は同一または異なっていてよい。
【0026】
本明細書に記載の全ての特許、特許出願、および参考文献は、引用によりその全体が援用される。一貫性に欠ける場合、本出願の開示(定義を含む)を優先する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書において用いる単数形「a」、「an」および「the」は、他に明確に指示されない限り、複数の言及も含む。
【0028】
本明細書において用いる用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する2から6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖基を言う。
【0029】
本明細書において用いる用語「アルコキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に結合したアルキル基を言う。
【0030】
本明細書において用いる用語「アルコキシカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したアルコキシ基を言う。
【0031】
本明細書において用いる用語 「アルキル」は、1から6個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素由来の基を言う。
【0032】
本明細書において用いる用語「アルキルカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したアルキル基を言う。
【0033】
本明細書において用いる用語「アルキルスルホニル」は、スルホニル基を介して親分子部分に結合したアルキル基を言う。
【0034】
本明細書において用いる用語「アリール」は、フェニル基、または1つもしくは両方の環がフェニル基である二環式縮合環系を言う。二環式縮合環系は、4-から6-員芳香族もしくは非芳香族炭素環に縮合したフェニル基から成る。本発明のアリール基は、該基中のいずれの適切な炭素原子を介して親分子部分に結合することができる。アリール基の代表的な例としては、限定はされないが、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、およびテトラヒドロナフチルが挙げられる。
【0035】
本明細書において用いる用語「アリールアルキル」は、1〜3個のアリール基で置換されたアルキル基を言う。
【0036】
本明細書において用いる用語「シアノ」は、-CNを言う。
【0037】
本明細書において用いる用語「シアノアルキル」は、1〜3個のシアノ基で置換されたアルキル基を言う。
【0038】
本明細書において用いる用語「シクロアルキル」は、3から7個の炭素原子および0個のヘテロ原子を有する、飽和単環式もしくは二環式の炭化水素環系を言う。シクロアルキル基の代表的な例としては、限定はされないが、シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルが挙げられる。
【0039】
本明細書において用いる用語「(シクロアルキル)アルキル」は、1〜3個のシクロアルキル基で置換されたアルキル基を言う。
【0040】
本明細書において用いる用語「シクロアルキルオキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に結合したシクロアルキル基を言う。
【0041】
本明細書において用いる用語「シクロアルキルオキシカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したシクロアルキルオキシ基を言う。
【0042】
本明細書において用いる用語「ハロ」および「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを言う。
【0043】
本明細書において用いる用語「ハロアルコキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に結合したハロアルキル基を言う。
【0044】
本明細書において用いる用語「ハロアルコキシカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したハロアルコキシ基を言う。
【0045】
本明細書において用いる用語「ハロアルキル」は、1から4個のハロゲン原子で置換されたアルキル基を言う。
【0046】
本明細書において用いる用語「ハロアルキルスルホニル」は、スルホニル基を介して親分子部分に結合したハロアルキル基を言う。
【0047】
本明細書において用いる用語「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5-〜7-員環を言う。該5-員環は0から2個の二重結合を有し、該6-および7-員環は0から3個の二重結合を有する。該用語「ヘテロシクリル」には、ヘテロシクリル環が、フェニル基、単環式シクロアルケニル基、単環式シクロアルキル基、もしくは別の単環式ヘテロシクリル基に縮合している二環式基;および、二環式系が、フェニル基、単環式シクロアルケニル基、単環式シクロアルキル基、もしくは別の単環式ヘテロシクリル基に縮合している三環式基も含まれる。本発明のヘテロシクリル基は、該基中の炭素原子または窒素原子を介して親分子部分に結合することができる。ヘテロシクリル基の例としては、限定はされないが、ベンゾチエニル、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピロロピリジニル、ピロリル、チアゾリル、チエニル、およびチオモルホリニルが挙げられる。
【0048】
本明細書において用いる用語「ヘテロシクリルアルキル」は、1〜3個のヘテロシクリル基で置換されたアルキル基を言う。
【0049】
本明細書において用いる用語「ヒドロキシ」は、-OHを言う。
【0050】
本明細書において用いる用語「-NRaRb」は、窒素原子を介して親分子部分に結合した2つの基、RaおよびRbを言う。RaおよびRbは、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルから独立して選択される。
【0051】
本明細書において用いる用語「(NRaRb)カルボニル」は、カルボニル基を介して親分子部分に結合した-NRaRb基を言う。
【0052】
本明細書において用いる用語「(NRaRb)スルホニル」は、スルホニル基を介して親分子部分に結合した-NRaRb基を言う。
【0053】
本明細書において用いる用語「スルホニル」は、-SO2を言う。
【0054】
本発明の化合物は、医薬的に許容される塩として存在し得る。本明細書で用いる用語「医薬的に許容される塩」は、本発明の化合物の塩または双性イオン形態を意味し、それは水もしくは油-溶性もしくは分散性であり、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに患者の組織に接触して用いるのに適していて、それらの使用目的に有効である。該塩は化合物の最終的な単離および精製の間に製造することができるか、あるいは別途、適切な塩基性官能基を適切な酸と反応させることにより製造することができる。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩;ジグルコン酸塩(digluconate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-3-フェニルプロプリオン酸塩(phenylproprionate)、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、パラ-トルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。医薬的に許容される付加塩の形成に用いることができる酸の例としては、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸)、および有機酸(例えばシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸)が挙げられる。
【0055】
塩基付加塩は、酸性基を適切な塩基(例えば、金属カチオンのヒドロキシド、カーボネート、もしくはビカーボネート)と反応させるか、あるいはアンモニア、または有機第一級、第二級、もしくは第三級アミンと反応させることによる、化合物の最終的な単離および精製の間に製造することができる。医薬的に許容される塩のカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム、ならびに無毒性の第四級アミンカチオン(例えば、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、およびN,N'-ジベンジルエチレンジアミン)が挙げられる。塩基付加塩の形成に用いることができる他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが挙げられる。
【0056】
本明細書で用いる用語「抗-HCV活性」は、HCVウイルスの処置に有効な化合物を意味する。
【0057】
該用語「本発明の化合物」および同等の表現は、式(I)の化合物、ならびにその医薬的に許容されるエナンチオマー、ジアステレオマー、および塩を包含することを意味する。同様に、中間体についての言及は、内容的に許される限りそれらの塩を包含することを意味する。
【0058】
該用語「患者」には、ヒトおよび他の哺乳動物の両方が含まれる。
【0059】
該用語「医薬組成物」は、投与様式および剤形の種類によって、少なくとも1つのさらなる医薬担体、すなわち、希釈剤、保存剤、充填剤、流動性調整剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤および予製剤などの、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルと組み合わせた本発明の化合物を含む組成物を意味する。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA (1999)に記載された成分を用いてもよい。
【0060】
該フレーズ「医薬的に許容される」本明細書において、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに患者の組織と接触して用いるのに適した、化合物、物質、組成物、および/または剤形を意味するように用いられる。
【0061】
該用語「治療上有効な量」は、有意義な患者利益(例えば、ウイルス量の持続的減少)を示すのに十分である各活性成分の総量を意味する。単独で投与される個々の活性成分に適用する場合、該用語はその成分単独の量を言う。組み合わせに適用する場合、該用語は、組み合わせて、連続して、あるいは同時に投与されるかどうかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分を合わせた量を言う。
【0062】
該用語「治療」は:(i)疾患、障害、および/または症状に罹りやすいが、まだ罹患していると診断されていない患者において、疾患、障害、または症状の発症を予防すること;(ii)疾患、障害、または症状の抑制、すなわち、その進行を抑止すること;ならびに/あるいは(iii)疾患、障害、または症状を軽減すること、すなわち、疾患、障害、および/または症状の退行をもたらすことを言う。
【0063】
本発明の化合物の命名において用いる場合、本明細書において用いる記号、P1'、P1、P2、P2*、P3、およびP4は、天然ペプチド切断基質の結合に対する、結合しているプロテアーゼ阻害剤のアミノ酸残基の相対的位置を表示する。天然基質において切断はP1およびP1'間で生じ、ここで、ノンプライム位置は、ペプチド天然切断部位のC-末端終部から開始してN-末端に伸びているアミノ酸を表し;一方、プライム位置は指定切断部位のN-末端から始まってC-末端に向かって伸びる。例えば、P1'は切断部位のC-末端の右側終部からの第1の位置(すなわち、N-末端第1位置)を示し;一方、P1はC-末端切断部位の左側から番号付けを開始(P2:C-末端からの第2の位置、など)する。[Berger A. & Schechter I., Transactions of the Royal Society London series (1970), B257, 249 264参照]。
【0064】
本発明の化合物には不斉中心が存在する。例えば、該化合物は、式:
【化2】

(式中、C1およびC2は各々、該シクロプロピル環の位置1および2における不斉炭素原子を示す)で表されるP1シクロプロピル部分を含んでもよい。
【化3】

本発明は、HCVプロテアーゼを阻害する能力を有する、全ての立体化学形態またはその混合物を包含すると理解されるべきである。
【0065】
本発明の特定の化合物はまた、異なる安定した立体構造形態で存在していてよく、それは分離可能でありうる。非対称単結合について制限された回転に起因するねじれ非対称(Torsional asymmetry)、例えば、立体障害または環の歪みにより、異なる配座異性体の分離が可能になり得る。本発明は、これら化合物の各配座異性体およびその混合物を含む。
【0066】
本発明の特定の化合物は双性イオン形態で存在していてよく、本発明はこれら化合物の各双性イオン形態およびその混合物を含む。
【0067】
治療で用いるために、治療上有効な量の式(I)の化合物ならびに医薬的に許容されるその塩を未加工の化学薬品(raw chemical)として投与することができる場合、活性成分を医薬組成物として存在させることができる。従って、本発明は、治療上有効な量の式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩、および1つ以上の医薬的に許容される担体、希釈剤、もしくは賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供する。該式(I)の化合物および医薬的に許容されるその塩は上記の通りである。該担体、希釈剤、または賦形剤は、製剤の他の成分に適合し、そのレシピエントに有害でないという意味で許容可能でなくてはならない。本発明の別の態様によると、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を、1つ以上の医薬的に許容される担体、希釈剤、もしくは賦形剤と混合することを含む、医薬製剤の製造方法もまた提供する。
【0068】
医薬製剤は、単位用量あたり所定の量の活性成分を含む単位剤形であってもよい。本発明の化合物が1日あたり約0.01から約150ミリグラム/キログラム(「mg/kg」)体重、好ましくは1日あたり約0.05から約100mg/kg体重である投与量濃度が、HCV介在疾患の予防および治療に対する単独療法においては典型的である。通常、本発明の医薬組成物は、1日あたり約1から約5回の投与か、あるいは持続投与され得る。そのような投与は、長期治療もしくは救急治療として用いることができる。担体材料と組み合わせて単一剤形を製造する活性成分の量は、治療する症状、症状の重篤性、投与回数、投与経路、用いた化合物の排出速度、治療期間、ならびに患者の年齢、性別、体重、および状態によって変わり得る。好ましい単位用量製剤は、本明細書において上記した、1日量もしくはそれ以下、またはその適当な画分を含むものである。通常、化合物の至適用量よりかなり少ない少用量で治療を開始する。その後、該条件下で最適な効果に達するまで投与量を少しずつ増加させる。概して、いずれの有害または有毒な副作用も伴わずに抗ウイルス効果が通常得られる濃度レベルで、該化合物を投与することが最も望ましい。
【0069】
本発明の組成物が、本発明の化合物と1つ以上のさらなる治療薬および/または予防薬との組み合わせを含む場合、該化合物およびさらなる薬剤は両者とも、単独療法レジメンにおいて通常投与される用量より少ないかもしくは同等の用量であり得る。本発明の組成物は、1つ以上のさらなる治療薬もしくは予防薬と、例えば、単層(monolithic)および/または二層/多層錠の形態で共に製剤化されうるか、あるいは該治療薬もしくは予防薬とは別個に投与されうる。
【0070】
医薬製剤は、いずれの適当な経路、例えば経口(頬側もしくは舌下を含む)、直腸、経鼻、局所的(頬側、舌下、もしくは経皮を含む)、膣、または、非経口(皮下、皮内、筋肉内、関節内、滑液嚢内(intrasynovial)、胸骨内、髄腔内、病巣内、静脈内、または皮内注射もしくは注入を含む)経路による投与に適応しうる。そのような製剤は、薬学の分野において公知のいずれの方法よっても(例えば活性成分と担体もしくは賦形剤を会合させることにより)、製造され得る。
【0071】
経口投与に適応した医薬製剤は、カプセル剤もしくは錠剤;粉末剤もしくは顆粒剤;水性もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁剤;食用フォーム剤もしくはホイップ剤;または水中油液体エマルジョン剤もしくは油中水エマルジョン剤といった、別々のユニットであってよい。
【0072】
例えば、経口投与用の錠剤もしくはカプセル剤の形態において、活性薬剤成分は、経口で無毒の医薬的に許容される不活性担体(例えばエタノール、グリセロール、水など)と合わせることができる。粉末剤は、化合物を適切な微粒子サイズに細かく粉末化し、同様に粉末化された食用炭水化物(例えばデンプンまたはマンニトール)などの医薬担体と混合することにより製造される。着香剤、保存剤、分散剤、および着色剤もまた存在し得る。
【0073】
カプセル剤は、上記のように粉末混合物を製造し、成型ゼラチンシース(gelatin sheath)に詰めることにより製造される。充填工程の前に、流動化剤および滑沢剤(例えばコロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体のポリエチレングリコール)を粉末混合物に添加することができる。崩壊剤または可溶化剤(例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム)を添加して、カプセル剤が摂取される際の薬剤の有効性を高めることもできる。
【0074】
さらに、所望される場合もしくは必要な場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物に加えることもできる。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖(例えばグルコースもしくはβ-ラクトース)、コーンシロップ、天然および合成ガム(例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらの剤形に用いられる滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定はしないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を製造し、顆粒化もしくは充填し、滑沢剤および崩壊剤を添加し、そして錠剤に圧縮することにより製剤化される。粉末混合物は、適切に粉末化された化合物と、上記の希釈剤もしくは塩基、ならびに適宜、結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート(aliginate)、ゼラチン(gelating)、もしくはポリビニルピロリドン)、溶解遅延剤(例えばパラフィン)、吸収促進剤(例えば第四級塩)および/または吸収剤(例えばベントナイト、カオリン、もしくはリン酸水素カルシウム)とを混合することにより製造される。結合剤(例えばシロップ、デンプン糊、アカシア粘液(acadia mucilage)、またはセルロース系物質もしくはポリマー系物質の溶液)で湿らせて、ふるいに押し通すことにより、粉末混合物を顆粒化することができる。顆粒化の代替法として、該粉末混合物を錠剤機に通して、不完全に成型されたスラグを得た後、顆粒に粉砕することができる。該顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、または鉱物油の添加により滑らかにして、錠剤成形型から離れやすくすることができる。次いで、滑らかにした混合物を錠剤へと圧縮する。本発明の化合物はまた、自由流動性不活性担体と合わせて、顆粒化工程もしくは成形工程(slugging step)を経ずに直接、錠剤へと圧縮することができる。シェラックのシールコート(sealing coat)、糖もしくはポリマー材のコーティング、およびワックスの艶出しコーティングから成る、澄明もしくは不透明な保護コーティングを施すことができる。これらのコーティングに染料を添加して、異なる単位用量と区別することができる。
【0075】
経口液剤(例えば液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤)は、所定の分量が所定の量の化合物を含むように単位用量形態で製造することができる。シロップ剤は、化合物を適切に風味付けされた水溶液に溶解させることにより製造でき、一方、エリキシル剤は無毒のビヒクルを用いることにより製造される。可溶化剤および乳化剤(例えばエトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキソエチレンソルビトールエーテル)、保存剤、香味添加剤(例えばペパーミント油あるいは天然甘味剤、またはサッカリンもしくは他の人工甘味剤など)を加えることもできる。
【0076】
必要に応じて、経口投与のための単位用量製剤をマイクロカプセル化することができる。該製剤はまた、例えば、ポリマー、ワックスなどの中に粒子状物質をコーティングまたは組み込むことによって、放出を遅延もしくは持続するように製造することもできる。
【0077】
式(I)の化合物、および医薬的に許容されるその塩はまた、リポソームデリバリーシステム(例えば、小型の単層ベシクル、大型の単層ベシクル、および多重層ベシクル)の形態で投与することもできる。リポソームは、様々なリン脂質(phopholipid)、例えばコレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンから形成することができる。
【0078】
式(I)の化合物および医薬的に許容されるその塩はまた、化合物分子が結合した個々の担体としてモノクローナル抗体を用いることによって送達してもよい。該化合物はまた、標的化可能な薬剤担体としての可溶性ポリマーと結合させてもよい。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパリトイル(palitoyl)残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを挙げることができる。さらに、該化合物は、薬剤の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーの類、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン(polepsilon caprolactone)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック共重合体に結合していてよい。
【0079】
経皮投与に適した医薬製剤は、長期間、レシピエントの表皮と密接な接触を維持することを目的とした、個別のパッチであってもよい。例えば、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されるように、該活性成分はイオントフォレーシスによってパッチから送達されうる。
【0080】
局所投与に適した医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、粉末剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤、または油剤として製剤化されうる。
【0081】
眼または他の外部組織、例えば口および皮膚の治療のための製剤は、局所用軟膏剤もしくはクリーム剤として塗布するのが好ましい。軟膏剤に製剤化する場合、該活性成分はパラフィン系(paraffinic)または水-混和性のいずれかの軟膏基剤とともに用いられ得る。別法として、該活性成分は水中油型クリーム基剤もしくは油中水型基剤(water-in oil base)を用いてクリーム剤に製剤化され得る。
【0082】
眼への局所投与に適した医薬製剤としては、該活性成分が適切な担体、とりわけ水性溶媒に溶解もしくは懸濁されている点眼剤が挙げられる。
【0083】
口への局所投与に適した医薬製剤は、ドロップ剤(lozenge)、トローチ剤(pastille)、および口腔洗浄剤(mouth wash)が挙げられる。
【0084】
直腸投与に適した医薬製剤は、坐薬または浣腸剤であってよい。
【0085】
担体が固体である、経鼻投与に適した医薬製剤としては、粗粉末(course powder)が挙げられ、それは、嗅ぎ薬を摂取する方法、すなわち、鼻に近づけられた粉末剤の容器から鼻腔を介して急速吸入することにより、投与される。鼻腔用スプレーもしくは点鼻薬として投与するための、担体が液体である適切な製剤としては、活性成分の水性または油性液剤が挙げられる。
【0086】
吸入による投与に適した医薬製剤としては、微粒子粉末もしくは微粒子ミストが挙げられ、それは様々なタイプの定量加圧(metered, dose pressurized)エアロゾル剤、ネブライザー、または吸入器を用いて発生されうる。
【0087】
膣内投与に適した医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、またはスプレー製剤であってよい。
【0088】
非経口投与に適した医薬製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤(bacteriostat)、および製剤を対象のレシピエントの血液と等張にする塩(soute)を含みうる水性および非水性の無菌注射液剤;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含みうる水性および非水性の無菌懸濁剤が挙げられる。該製剤は、単位用量もしくは複数用量(multi-dose)容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルに入っていてよく、使用の直前に無菌の液体担体(例えば注射用の水)の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存してもよい。即時調製(Extemporaneous)注射液剤および懸濁剤は、無菌粉末剤、顆粒剤、および錠剤から調製されうる。
【0089】
具体的に上述した成分に加えて、該製剤は、当該製剤のタイプに関して当分野で通常の他の薬剤を含んでもよい(例えば経口投与に適した製剤は香味剤を含んでもよい)ことが理解されるべきである。
【0090】
以下の表1は、本発明の化合物とともに投与することができる化合物のいくつかの実例を記載する。本発明の化合物は、他の抗-HCV活性化合物とともに組み合わせ療法において、一緒にまたは別個に、あるいは組成物中で該化合物と合わせることによって、投与することができる。
表1
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0091】
本発明の化合物はまた、実験室用試薬として用いてもよい。化合物は、HCV疾患メカニズムの知識をさらに高めるためのウイルス複製アッセイの設計、動物アッセイ系の検証および構造生物学研究についての研究手段の提供において有益でありうる。さらに、本発明の化合物は、例えば競合阻害により、他の抗ウイルス性化合物の結合部位の確立または決定に有用である。
【0092】
本発明の化合物はまた、物質のウイルス汚染を治療もしくは予防するのに用いてもよく、それにより、そのような物質(例えば血液、組織、手術器具および手術着、実験器具および実験着、ならびに採血または輸血の器具および材料)と接触する、実験または医療の関係者または患者のウイルス感染の危険性を低下させうる。
【0093】
本発明は、合成プロセスまたは代謝プロセス(ヒトもしくは動物の体内(in vivo)で生じるもの、またはin vitroで生じるプロセスを含む)により作られる、式(I)を有する化合物を包含することを意図する。
【0094】
本開示は特定の実施態様に関連して記載されるが、それはその発明の範囲を制限することを意図するものではない。一方、本開示は、全ての代替形態、改変形態、および同等形態を、特許請求の範囲内に含み得るものとして包含する。従って、特定の実施態様を含む以下の実施例は、本発明の1つの実例を説明し、該実施例は特定の実施態様の例示目的であり、そしてその方法および概念的態様の最も有用で且つ容易に理解される記載であると考えられるものを提供するために提示するものであると解される。
【0095】
特に後述の例示的スキームおよび実施例におけるものを含めた本出願において使用される略語は、当業者には周知である。使用される略語のいくつかは以下の通り:Arはアリール;PGは保護基;OTfはトリフルオロアセテート;TMSはトリメチルシリル;MeODはCD3OD;HATUはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムホスフェート;THFはテトラヒドロフラン;およびTFAはトリフルオロ酢酸である。
【0096】
本発明の化合物の合成に有用な出発物質は当業者に公知であり、容易に製造できるか、または市販されている。
【0097】
以下に記載の方法は、例示目的であり、特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。それは、一般的な保護基を用いて官能基が保護されている化合物を製造し、次いで該保護基を除去して、本発明の化合物を得るのに必要でありうると認識されよう。本発明による保護基の使用に関する詳細は、当業者には公知である。
【実施例】
【0098】
合成の概要
本発明の化合物は、一般的スキーム1、および2に概説されるように合成されうる。
【化4】

【化5】

【0099】
実施例1:化合物1
【化6】

【化7】

工程1
アセトニトリル(40 mL)中の(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(ビフェニル-4-イル)-4-ヒドロキシピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(3236 mg, 7.5 mmol)およびプロパ-2-エン-1-チオール(834 mg, 9.00 mmol)の澄明な溶液に、固体のトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)(369 mg, 0.750 mmol)を一度に、室温にて加えた。得られたピンク色の溶液を、この温度で20時間撹拌した。飽和塩化アンモニウムでクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧でエバポレートした。残渣をBiotage カラムにより精製し、5%〜50% EtOAc-ヘキサンで溶出してジアステレオマーの混合物(2.88 g, 79%)を得て、出発物質(0.600 g, 18%)を回収した。この混合物をBiotage カラムにより再度精製し、2%〜8% EtOAc-トルエンで溶出して、目的の生成物 (2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(900 mg, 1.661 mmol, 22.15%収率)を粘稠性の油状物として得て、目的でないジアステレオマーおよびいくらかの重複した画分(1.80 g)を粘稠性の油状物として得た。 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-D) δ ppm 2.59 - 2.75 (m, 1 H), 2.77 - 2.93 (m, 3 H), 3.60 (s, 1.5 H), 3.77 (s, 1.5 H), 3.92 (d, J=11.60 Hz, 1 H), 4.20 - 4.30 (m, 1 H), 4.37 - 4.47 (m, 1 H), 4.92 - 5.34 (m, 4 H), 5.55 - 5.72 (m, 1 H), 7.20 - 7.65 (m, 14 H). LC-MS (保持時間: 3.34分, メソッドB), MS m/z 488 (M+ H).
【0100】
工程2
氷冷した(2S,4R)-1-ベンジル 2-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(810 mg, 1.661 mmol)/アセトニトリル(8 mL)溶液に、ヨードトリメチルシラン(0.355 mL, 2.492 mmol)を加えた。得られた薄茶色の溶液を室温で2時間撹拌した。氷浴で冷却し、MeOHでクエンチした。得られた薄茶色の溶液をプレパラティブHPLCにより精製し、画分を集め、speed-vacシステムでエバポレートした。黄色の残渣を、1M HCl/エーテルでトリチュレートし、濾過し、減圧乾燥させて、目的の生成物 (2S,4R)-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)ピロリジン-2-カルボキシレート, HCl(497 mg, 1.275 mmol, 77%収率)を黄色の泡状物質として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 2.93 - 3.08 (m, 3 H), 3.09 - 3.19 (m, 1 H), 3.80 - 3.87 (m, 1 H), 3.95 (s, 3 H), 4.04 (d, J=12.21 Hz, 1 H), 4.73 - 4.79 (m, 1 H), 5.02 (d, J=9.77 Hz, 1 H), 5.09 (dd, J=16.94, 1.37 Hz, 1 H), 5.57 - 5.70 (m, 1 H), 7.34 - 7.43 (m, 1 H), 7.42 - 7.57 (m, 4 H), 7.62 - 7.68 (m, 2 H), 7.68 - 7.76 (m, 2 H). LC-MS (保持時間: 2.43分, メソッドB), MS m/z 354 (M+ H).
【0101】
工程3
DCM(4 mL)中の(2S,4R)-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)ピロリジン-2-カルボキシレート, HCl(97 mg, 0.25 mmol)、(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エン酸(81 mg, 0.300 mmol)、およびHATU(143 mg, 0.375mmol)の氷冷したスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.218 mL, 1.250 mmol)を加えた。得られた無色のスラリーを、室温で終夜撹拌した。DCMで希釈し、5%クエン酸で洗浄した。有機層を0.1 M NaOHおよび食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧でエバポレートした。残渣を、Biotage カラムにより精製し、5〜35% EtOAc-ヘキサンで溶出して、目的の生成物 (2S,4R)-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)ピロリジン-2-カルボキシレート(130 mg, 0.193 mmol, 77%収率)を白色のロウ状物質として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.28 - 1.59 (m, 17 H), 1.60 - 1.71 (m, 1 H), 1.74 - 1.84 (m, 1 H), 2.08 - 2.18 (m, 2 H), 2.58 - 2.68 (m, 1 H), 2.84 - 3.03 (m, 3 H), 3.69 - 3.78 (m, 3 H), 4.02 - 4.14 (m, 1 H), 4.34 - 4.49 (m, 2 H), 4.69 - 4.78 (m, 1 H), 4.91 - 5.11 (m, 4 H), 5.64 - 5.76 (m, 1 H), 5.80 - 5.94 (m, 1 H), 7.36 (q, J=7.12 Hz, 1 H), 7.45 (q, J=7.83 Hz, 2 H), 7.56 - 7.71 (m, 6 H).
LC-MS (保持時間: 3.56分, メソッドC), MS m/z 607 (M+ H).
【0102】
工程4
(2S,4R)-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ノナ-8-エノイル)ピロリジン-2-カルボキシレート(123mg, 0.203 mmol)/ジクロロメタン(50 mL)溶液を、30分間、窒素でパージした。次いで、ホベイダ-グラブス(Hoveyda-Grubbs)触媒 第2世代(153 mg, 0.243 mmol)を加えた。得られた緑色の溶液を、5時間、還流加熱した。該反応液を2-メルカプトニコチン酸(62.9 mg, 0.405 mmol)でクエンチし、飽和Na2CO3、および食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。茶色の残渣を、Biotage カラムにより精製し、グラジエント 5%〜40% EtOAc-ヘキサンで溶出して、目的の生成物 (3S,13R,15S,E)-メチル 13-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-12-チア-1-アザビシクロ[11.2.1]ヘキサデカ-9-エン-15-カルボキシレート(93 mg, 0.145 mmol, 71.3%収率)をオフホワイト色の固形物として得た。NMR分析によって、二重結合の配置はもっぱらトランスであることが示された。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.39 - 1.55 (m, 13 H), 1.55 - 1.75 (m, 4 H), 1.81 - 1.92 (m, 1 H), 1.97 - 2.08 (m, 1 H), 2.20 - 2.31 (m, 1 H), 2.57 (dd, J=12.82, 7.93 Hz, 1 H), 2.76 - 2.85 (m, 1 H), 2.92 (dd, J=15.87, 7.93 Hz,1 H, 3.68 - 3.80 (m, 3 H), 4.20 (t, J=7.78 Hz, 1 H), 4.31 - 4.40 (m, 1 H), 4.52 - 4.65 (m, 2 H), 5.65 (dd, J=14.19,
6.87 Hz, 1 H), 5.85 (dd, J=14.95, 7.32 Hz, 1 H), 7.36 (t, J=7.32 Hz, 1 H), 7.41 - 7.50 (m, 2 H), 7.58 - 7.74 (m, 6 H). LC-MS (保持時間: 3.42分, メソッドC), MS m/z 579 (M+ H).
【0103】
工程5
THF(1 mL)およびMeOH(1.000 mL)中の(3S,13R,15S,E)-メチル 13-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-12-チア-1-アザビシクロ[11.2.1]ヘキサデカ-9-エン-15-カルボキシレート(90 mg, 0.156 mmol)の溶液に、予め製造した水酸化リチウム水和物(19.58 mg, 0.467 mmol)/水(1 mL)溶液を加えた。得られた濁った溶液を室温で(at room)5時間撹拌した。5%クエン酸でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートして、目的の生成物 (3S,13R,15S,E)-13-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-12-チア-1-アザビシクロ[11.2.1]ヘキサデカ-9-エン-15-カルボン酸(84 mg, 0.134 mmol, 86%収率)をオフホワイト色の泡状物質として得た。 LC-MS (保持時間: 3.32分, メソッドC), MS m/z 565 (M+ H).
【0104】
工程6
DCM(1 mL)中の(3S,13R,15S,Z)-13-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-12-チア-1-アザビシクロ[11.2.1]ヘキサデカ-9-エン-15-カルボン酸(28 mg, 0.050 mmol)、(1R,2S)-1-アミノ-N-(シクロプロピルスルホニル)-2-ビニルシクロプロパンカルボキサミド, pTSA, 0.68 H2O(25.7 mg, 0.062 mmol)、およびHATU(28.5 mg, 0.075 mmol)の氷冷したスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.043 mL, 0.248 mmol)を加えた。得られた薄茶色の溶液を室温で終夜撹拌した。EtOAcで希釈し、それを5%クエン酸、および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートした。得られた残渣をプレパラティブHPLCにより精製して、目的の生成物 tert-ブチル (3S,13R,15S,E)-13-(ビフェニル-4-イル)-15-((1R,2S)-1-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-2-ビニルシクロプロピルカルバモイル)-2-オキソ-12-チア-1-アザビシクロ[11.2.1]ヘキサデカ-9-エン-3-イルカルバメート(22 mg, 0.026 mmol, 52.5%収率)を白色の固形物として得た。
1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.08-1.10 (m, 2 H), 1.18 - 1.20 (m, 1 H), 1.25 -1.31 (m, 1 H), 1.38 - 1.45 (m, 3 H), 1.50 - 1.52 (m, 12 H), 1.53 - 1.75 (m, 4 H), 1.84 - 2.05 (m, 3 H), 2.21 (d, J=8.55 Hz, 1 H), 2.29 (d, J=6.10 Hz, 1 H), 2.53 - 2.61 (m, 1 H), 2.63 - 2.73 (m, 1 H), 2.88 - 3.00 (m, 2 H), 3.88 (dd, J=10.22, 6.26 Hz, 1 H), 4.33 (d, J=10.99 Hz, 1 H), 4.57 - 4.70 (m, 2 H), 5.12 (d, J=10.68 Hz, 1 H), 5.30 (d, J=17.40 Hz, 1H), 5.60 - 5.68 (m, 1 H), 5.68 - 5.81 (m, 1 H), 5.84 - 5.97 (m, 1 H), 7.37 (t, J=7.32 Hz, 1 H), 7.46 (t, J=7.63 Hz, 2 H), 7.63 (dd, J=13.73, 7.93 Hz, 4 H), 7.74 (d, J=8.24 Hz, 2 H). LC-MS (保持時間: 3.38分, メソッドC), MS m/z 778 (M+ H).
【0105】
実施例2:化合物2
【化8】

工程1
DCM(4 mL)中の(2S,4R)-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)ピロリジン-2-カルボキシレート, HCl(97 mg, 0.25 mmol)、(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)デカ-9-エン酸(86 mg, 0.300 mmol)、およびHATU(143 mg, 0.375mmol)の氷冷したスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.218 mL, 1.250 mmol)を加えた。得られた無色のスラリーを室温で終夜撹拌した。DCMで希釈し、5%クエン酸で洗浄した。有機層を0.1 M NaOHおよび食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧でエバポレートした。残渣をBiotage カラムにより精製し、1〜25% EtOAc-ヘキサンで溶出して、目的の生成物 (2S,4R)-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)デカ-9-エノイル)ピロリジン-2-カルボキシレート(111 mg, 0.161 mmol, 64.4%収率)を白色のロウ状物質として得た。 LC-MS (保持時間: 3.68分, メソッドC), MS m/z 621 (M+ H).
【0106】
工程2
(2S,4R)-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)デカ-9-エノイル)ピロリジン-2-カルボキシレート(108 mg, 0.174 mmol)/ジクロロメタン(50 mL)溶液を、30分間、窒素でパージした。次いで、ホベイダ-グラブス触媒 第2世代(131 mg, 0.209 mmol)を加えた。得られた緑色の溶液を、5時間、還流加熱した。該反応液を2-メルカプトニコチン酸(54.0 mg, 0.348 mmol)でクエンチし、飽和Na2CO3、および食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。茶色の残渣を、Biotage カラムにより精製し、グラジエント 5%〜40% EtOAc-ヘキサンで溶出して、目的の生成物 (3S,14R,16S,E)-メチル 14-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-13-チア-1-アザビシクロ[12.2.1]ヘプタデカ-10-エン-16-カルボキシレート(86 mg, 0.131 mmol, 75%収率)をオフホワイト色の固形物として得た。
LC-MS (保持時間: 3.52分, メソッドC), MS m/z 593 (M+ H).
【0107】
工程3
THF(1 mL)およびMeOH(1.000 mL)中の(3S,14R,16S,E)-メチル 14-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-13-チア-1-アザビシクロ[12.2.1]ヘプタデカ-10-エン-16-カルボキシレート(82 mg, 0.138 mmol)の溶液に、予め製造した水酸化リチウム水和物(17.41 mg, 0.415 mmol)/水(1 mL)溶液を加えた。得られた濁った溶液を、室温で5時間撹拌した。5%クエン酸でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートして、目的の生成物 (3S,14R,16S,E)-14-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-13-チア-1-アザビシクロ[12.2.1]ヘプタデカ-10-エン-16-カルボン酸(80 mg, 0.124 mmol, 90%収率)を黄褐色の泡状物質として得た。 LC-MS (保持時間: 3.43分, メソッドC), MS m/z 579 (M+ H).
【0108】
工程4
DCM(2 mL)中の(3S,14R,16S,E)-14-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-13-チア-1-アザビシクロ[12.2.1]ヘプタデカ-10-エン-16-カルボン酸、(1R,2S)-1-アミノ-N-(シクロプロピルスルホニル)-2-ビニルシクロプロパンカルボキサミド, pTSA, 0.68 H2O(29.6 mg, 0.071 mmol)、およびHATU(32.5 mg, 0.0855 mmol)の氷冷したスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.050 mL, 0.285 mmol)を加えた。得られた薄茶色の溶液を室温で終夜撹拌した。EtOAcで希釈し、それを5%クエン酸、および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートした。得られた残渣を、Biotage カラムにより精製し、グラジエント 5%〜40% アセトン-ヘキサンで溶出して、目的の生成物 tert-ブチル (3S,14R,16S,E)-14-(ビフェニル-4-イル)-16-((1R,2S)-1-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-2-ビニルシクロプロピルカルバモイル)-2-オキソ-13-チア-1-アザビシクロ[12.2.1]ヘプタデカ-10-エン-3-イルカルバメート(31 mg, 0.038 mmol, 66.0%収率)を白色の泡状物質として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.09 (s, 1 H) 1.16 - 1.32 (m, 3 H) 1.33 - 1.40 (m, 2 H) 1.41 - 1.63 (m, 16 H) 1.64 - 1.83 (m, 4 H) 1.87 - 1.99 (m, 2 H) 2.00 - 2.11 (m, 1 H) 2.13 - 2.24 (m, 1 H) 2.24 - 2.34 (m, 1 H) 2.40 (t, J=11.29 Hz, 1 H) 2.62 - 2.75 (m, 2 H) 2.87 - 3.01 (m, 1 H) 3.08 (d, J=14.95 Hz, 1 H) 3.87 (dd, J=10.38, 6.41 Hz, 1 H) 4.01 (d, J=10.68 Hz, 1 H) 4.59 - 4.80 (m, 2 H) 5.12 (d, J=10.07 Hz, 1 H) 5.29 (d, J=17.09 Hz, 1 H) 5.53 - 5.63 (m, 2 H) 5.64 - 5.80 (m, 1 H) 7.37 (t, J=7.48 Hz, 1 H) 7.47 (t, J=7.48 Hz, 2 H) 7.57 - 7.64 (m, 2 H), 7.68 - 7.82 (m, 4 H). LC-MS (保持時間: 3.48分, メソッドC), MS m/z 792 (M+ H), 735 (M-t-Bu), 691 (M-BOC).
【0109】
実施例3:化合物3
【化9】

【化10】

工程1
(3S,14R,16S,E)-14-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-13-チア-1-アザビシクロ[12.2.1]ヘプタデカ-10-エン-16-カルボン酸(46 mg, 0.079 mmol)、白金(372 mg, 0.095 mmol) 5% 炭素担持, 硫化物、およびメタノール(4 mL)を含む容器を、30 psiのH2雰囲気下において、終夜、パールシェイカー(Parr shaker)上に置いた。セライトでクエンチし、濾過し、過剰量のMeOH、DCMおよびEtOAcで洗浄した。濾液を合わせて、乾固するまでエバポレートした。白色の残渣(20 mg)を、さらなる精製は行わずに次のカップリング反応に用いた。
LC-MS (保持時間: 3.43分, メソッドC), MS m/z 581 (M+ H).
【0110】
工程2
DCM(1 mL)中の(3S,14R,16S)-14-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-13-チア-1-アザビシクロ[12.2.1]ヘプタデカン-16-カルボン酸(20 mg, 0.034 mmol)、(1R,2S)-1-アミノ-N-(シクロプロピルスルホニル)-2-ビニルシクロプロパンカルボキサミド, pTSA, 0.68 H2O(17.85 mg, 0.043 mmol)、およびHATU(32.5 mg, 0.0855 mmol)の氷冷したスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.030 mL, 0.172 mmol)を加えた。得られた薄茶色の溶液を、室温で終夜撹拌した。EtOAcで希釈し、それを5%クエン酸、および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートした。得られた残渣をプレパラティブHPLCにより精製して、目的の生成物 tert-ブチル (3S,14R,16S)-14-(ビフェニル-4-イル)-16-((1R,2S)-1-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-2-ビニルシクロプロピルカルバモイル)-2-オキソ-13-チア-1-アザビシクロ[12.2.1]ヘプタデカン-3-イルカルバメート(7 mg, 8.65 μmol, 25.1%収率)を白色の泡状物質として得た。 1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 0.94 - 1.37 (m, 13 H) 1.35 - 1.63 (m, 12 H) 1.84 (dd, J=8.16, 5.40 Hz, 1 H) 1.91 - 2.08 (m, 4 H) 2.08 - 2.19 (m, 1 H) 2.19 - 2.45 (m, 4 H) 2.59 (dd, J=12.30, 6.53 Hz, 1 H) 2.82 - 2.99 (m, 1 H) 3.87 (dd, J=10.29, 6.53 Hz, 1 H) 4.00 - 4.22 (m, 2 H) 4.64 (t, J=8.53 Hz, 1 H) 5.07 (dd, J=10.29, 1.51 Hz, 1 H) 5.24 (dd, J=17.19, 1.38 Hz, 1 H) 5.60 - 5.78 (m, 1 H) 6.36 (d, J=8.53 Hz, 1 H) 7.32 (t, J=7.28 Hz, 1 H) 7.42 (t, J=7.53 Hz, 2 H) 7.53 - 7.74 (m, 6 H); LC-MS (保持時間: 3.50分, メソッドC), MS m/z 793.5 (M+ H), 737 (M-t-Bu), 693 (M-BOC).
【0111】
実施例4:化合物4
【化11】

工程1
DCM(4 mL)中の(2S,4R)-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)ピロリジン-2-カルボキシレート, HCl(110 mg, 0.282 mmol)、(S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)オクタ-7-エン酸(87 mg, 0.339 mmol)、およびHATU(143 mg, 0.375mmol)の氷冷したスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.246 mL, 1.410 mmol)を加えた。得られた無色のスラリーを、室温で終夜撹拌した。DCMで希釈し、5%クエン酸および食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートした。残渣をBiotage カラムにより精製し、5〜30% EtOAc-ヘキサンで溶出して、目的の生成物 (2S,4R)-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)オクタ-7-エノイル)ピロリジン-2-カルボキシレート(123 mg, 0.187 mmol, 66.2%収率)を白色の固形物として得た。
LC-MS (保持時間: 3.45分, メソッドC), MS m/z 593 (M+ H).
【0112】
工程2
(2S,4R)-メチル 4-(アリルチオ)-4-(ビフェニル-4-イル)-1-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)オクタ-7-エノイル)ピロリジン-2-カルボキシレート(120 mg, 0.202 mmol)/ジクロロメタン(50 mL)溶液を、30分間、窒素でパージした。次いで、ホベイダ-グラブス触媒 第2世代(153 mg, 0.243 mmol)を加えた。得られた緑色の溶液を、5時間、還流加熱した。該反応液を2-メルカプトニコチン酸(62.8 mg, 0.405 mmol)でクエンチし、飽和Na2CO3、および食塩水で洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。茶色の残渣をBiotage カラムにより精製し、グラジエント 5%〜50% EtOAc-ヘキサンで溶出して、目的の生成物 (3S,12R,14S,E)-メチル 12-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-11-チア-1-アザビシクロ[10.2.1]ペンタデカ-8-エン-14-カルボキシレート(94 mg, 0.150 mmol, 74.0%収率)を、緑色を帯びた(grenish)泡状物質として得た。
LC-MS (保持時間: 3.22分, メソッドC), MS m/z 565 (M+ H).
【0113】
工程3
THF(1 mL)およびMeOH(1.000 mL)中の(3S,12R,14S,E)-メチル 12-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-11-チア-1-アザビシクロ[10.2.1]ペンタデカ-8-エン-14-カルボキシレート(90 mg, 0.159 mmol)の溶液に、予め製造した水酸化リチウム水和物(20.06 mg, 0.478 mmol)/水(1 mL)溶液を加えた。得られた濁った溶液を室温で15時間撹拌した。LS/MSによって、該反応は半分しか終わっていないことが示された。別の部の水酸化リチウム水和物(20.06 mg, 0.478 mmol)を加え、さらに20時間撹拌した。5%クエン酸でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートし、目的の生成物 (3S,12R,14S,E)-12-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-11-チア-1-アザビシクロ[10.2.1]ペンタデカ-8-エン-14-カルボン酸(72 mg, 0.118 mmol, 73.8%収率)を白色の泡状物質として得た。 LC-MS (保持時間: 3.10分, メソッドC), MS m/z 551 (M+ H).
【0114】
工程4
DCM(4 mL)中の(3S,12R,14S,E)-12-(ビフェニル-4-イル)-3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-2-オキソ-11-チア-1-アザビシクロ[10.2.1]ペンタデカ-8-エン-14-カルボン酸(70 mg, 0.127 mmol)、(1R,2S)-1-アミノ-N-(シクロプロピルスルホニル)-2-ビニルシクロプロパンカルボキサミド, pTSA, 0.68 H2O(65.9 mg, 0.159 mmol)、およびHATU(72.2 mg, 0.190 mmol)の氷冷したスラリーに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.111 mL, 0.636 mmol)を加えた。得られた薄茶色の溶液を室温で終夜撹拌した。EtOAcで希釈し、5%クエン酸、および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、エバポレートした。得られた残渣を、Biotage カラムにより精製し、グラジエント 5%〜40% アセトン-ヘキサンで溶出して、59 mgの白色の固形物を得た。Biotage シリカゲルカラムにより精製した該生成物を、プレパラティブHPLC条件(Sunfire カラム, 50%〜100%B, MeOH/TFA/水, 20分 グラジエント時間, 30分 停止)で処理して、目的の生成物 tert-ブチル (3S,12R,14S,E)-12-(ビフェニル-4-イル)-14-((1R,2S)-1-(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)-2-ビニルシクロプロピルカルバモイル)-2-オキソ-11-チア-1-アザビシクロ[10.2.1]ペンタデカ-8-エン-3-イルカルバメートを第2画分として得た。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.00 - 1.36 (m, 4 H) 1.37 - 1.57 (m, 12 H) 1.58 - 1.68 (m, 1 H) 1.73 (d, J=6.41 Hz, 2 H) 1.92 (dd, J=8.09, 5.34 Hz, 1 H) 1.96 - 2.06 (m, 1 H) 2.07 - 2.17 (m, 1 H) 2.23 - 2.40 (m, 2 H) 2.62 (dd, J=13.28, 7.78 Hz, 1 H) 2.92 (dd, J=13.12, 6.41 Hz, 1 H) 2.95 - 3.04 (m, 1 H) 3.09 (dd, J=15.11, 6.56 Hz, 1 H) 3.41 - 3.55 (m, 1 H) 4.31 (t, J=6.87 Hz, 1 H) 4.40 (dd, J=8.85, 4.88 Hz, 1 H) 4.47 (d, J=10.68 Hz, 1 H) 4.90 - 5.01 (m, 1 H) 5.15 (d, J=11.29 Hz, 1 H) 5.33 (d, J=17.09 Hz, 1 H) 5.63 - 5.74 (m, 1 H) 5.74 - 5.86 (m, 1 H) 5.93 - 6.07 (m, 1 H) 7.37 (t, J=7.32 Hz, 1 H) 7.47 (t, J=7.63 Hz, 2 H) 7.56 - 7.76 (m, 6 H). LC-MS (保持時間: 3.24分, メソッドC), MS m/z 763 (M+ H), 707 (M-t-Bu), 663 (M-BOC).
【0115】
メソッドBについてのLC/MS条件
開始%B = 0
最終%B = 100
グラジエント時間 = 3分
停止時間 = 4分
流速 = 4 ml/分
波長 = 220
溶媒A = 90%水-10%メタノール-0.1%TFA
溶媒B = 10%水-90%メタノール-0.1%TFA
カラム 3 = (3) PHENOMENEX-LUNA 4.6 x 50mm S10

メソッドCについてのLC/MS条件
開始%B = 30
最終%B = 100
グラジエント時間 = 3分
停止時間 = 4分
流速 = 4 ml/分
波長 = 220
溶媒A = 90%水-10%メタノール-0.1%TFA
溶媒B = 10%水-90%メタノール-0.1%TFA
カラム 3 = (3) PHENOMENEX-LUNA 4.6 x 50mm S10
【0116】
生物学的研究
HCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体酵素アッセイおよび細胞ベースのHCVレプリコンアッセイを本発明において用い、下記の通り調製し、実施し、検証した。
【0117】
組換えHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体の産生
BMS株、H77株またはJ4L6S株由来のHCV NS3プロテアーゼ複合体を、下記のとおり産生した。これらの精製した組換えタンパク質を、均一アッセイ(下記参照)において使用するために産生し、HCV NS3タンパク質分解活性の阻害において本発明の化合物がいかに有効であるかを示した。
【0118】
HCV感染患者からの血清を、サンフランシスコ病院のT.Wright医師から得た。HCVゲノム(BMS株)の設計された完全長cDNA(相補デオキシリボ核酸)鋳型を、血清RNA(リボ核酸)の逆転写-PCR(RT-PCR)によって得たDNAフラグメントから、他の遺伝子型1a株の間の相同性に基づいて選択したプライマーを使用して作製した。全ゲノム配列の決定から、Simmondsらの分類に従って、HCV分離株に対して遺伝子型1aを割り当てた(P Simmonds, KA Rose, S Graham, SW Chan, F McOmish, BC Dow, EA Follett, PL Yap and H Marsden, J. Clin. Microbiol., 31(6), 1493-1503 (1993)参照)。非構造領域NS2-5Bのアミノ酸配列は、HCV遺伝子型1a(H77)に>97%同一であり、遺伝子型1b(J4L6S)に87%同一であることが示された。感染性クローンH77(1a遺伝子型)およびJ4L6S(1b遺伝子型)は、R. Purcell(NIH)から得ており、該配列はGENBANKにおいて公開されている(AAB67036は、Yanagi,M., Purcell,R.H., Emerson,S.U. and Bukh, J. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94(16), 8738-8743 (1997)参照;AF054247は、Yanagi,M., St Claire,M., Shapiro,M., Emerson,S.U., Purcell,R.H. and Bukh, J., Virology 244 (1), 161-172. (1998)参照)。
【0119】
組換えNS3/4Aプロテアーゼ複合体の産生のために、該H77およびJ4L6S株を用いた。これらの株について組換えHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体(アミノ酸1027〜1711)をコードするDNAを、P. Gallinariらによる記載の通りに操作した(Gallinari P, Paolini C, Brennan D, Nardi C, Steinkuhler C, De Francesco R. Biochemistry. 38(17):5620-32, (1999)参照)。手短に言うと、3つのリシンの可溶化尾部を、NS4Aコード領域の3'-末端に付加した。NS4A-NS4B切断部位のP1位置におけるシステイン(アミノ酸1711)をグリシンに変えて、リシンタグ(lysine tag)のタンパク分解性切断を回避した。さらに、システインからセリンへの変異を、アミノ酸ポジション1454にPCRによって導入し、NS3ヘリカーゼドメインにおける自己分解性切断を防いだ。改変を加えたP. Gallinariらにより記載されたプロトコール(Gallinari P, Brennan D, Nardi C, Brunetti M, Tomei L, Steinkuhler C, De Francesco R., J Virol. 72(8):6758-69 (1998)参照)に従って、該変異DNAフラグメントをpET21b細菌発現ベクター(Novagen)においてクローニングし、該NS3/4A複合体を大腸菌株BL21(DE3)(Invitrogen)において発現させた。手短に言うと、該NS3/4Aプロテアーゼ複合体発現を、0.5ミリモル(mM)のイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて、20℃で22時間(h)誘導した。典型的な発酵(1リットル(L))によって、約10グラム(g)の湿細胞ペーストを得た。該細胞を、25 mM N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、pH 7.5、20%グリセロール、500 mM 塩化ナトリウム(NaCl)、0.5% Triton X-100、1マイクログラム/ミリリットル(「μg/mL」)リゾチーム、5 mM 塩化マグネシウム(MgCl2)、1 μg/ml DnaseI、5 mM β-メルカプトエタノール(βME)、プロテアーゼ阻害剤-エチレンジアミン四酢酸(EDTA)非含有(Roche)から成る溶解バッファー(10 mL/g)に再懸濁させ、ホモジナイズし、4℃で20分(min)間インキュベートした。該ホモジネートを超音波処理し、4℃にて、235000 gで1時間(h)超遠心処理することによって清澄にした。イミダゾールを上清に加えて15 mMの最終濃度にし、pHを8.0に調整した。粗タンパク質抽出物を、バッファーB(25 mM HEPES、pH 8.0、20%グリセロール、500 mM NaCl、0.5% Triton X-100、15 mM イミダゾール、5 mM βME)で予め平衡化したニッケル−ニトリロ三酢酸(Ni-NTA)カラムにロードした。試料を、流速1 mL/分でロードした。カラムを15カラム容量のバッファーC(0.2% Triton X-100以外はバッファーBと同一)で洗浄した。タンパク質を5カラム容量のバッファーD(200 mM イミダゾール以外はバッファーCと同一)で溶出した。
【0120】
NS3/4Aプロテアーゼ複合体-含有画分をプールし、バッファーD(25mM HEPES、pH 7.5、20%グリセロール、300 mM NaCl、0.2% Triton X-100、10 mM βME)で予め平衡化した脱塩カラムSuperdex-S200にロードした。試料を流速1 mL/分でロードした。NS3/4Aプロテアーゼ複合体-含有画分をプールし、約0.5 mg/mlまで濃縮した。BMS、H77およびJ4L6S株由来のNS3/4Aプロテアーゼ複合体の純度は、SDS-PAGEおよび質量分析によって、90%超であると判断した。酵素は-80℃で保存し、アッセイバッファーに使用する前に、氷上で解凍して希釈した。
【0121】
HCV NS3/4Aタンパク質分解活性をモニターするためのFRETペプチドアッセイ
このin vitroアッセイは、本発明の化合物による、上記のBMS株、H77株もしくはJ4L6S株由来のHCV NS3プロテアーゼ複合体の阻害を測定することを目的とした。このアッセイにより、HCV NS3タンパク質分解活性の阻害において本発明の化合物がいかに有効であるかが示された。
【0122】
HCV NS3/4Aプロテアーゼ活性をモニターするために、NS3/4Aペプチド基質を用いた。該基質は、Anal. Biochem. 240(2):60-67 (1996)においてTalianiらにより記載されたRET S1(共鳴エネルギー移動デプシペプチド基質; AnaSpec, Inc. cat # 22991)(FRETペプチド)であった。このペプチドの配列は、切断部位においてアミド結合ではなくエステル結合が存在すること以外は、HCV NS3プロテアーゼのNS4A/NS4B天然切断部位に大まかに基づいている。該ペプチドはまた、ペプチドの一端近くに蛍光ドナーEDANSを、および他端の近くにアクセプターDABCYLを含有する。ペプチドの蛍光は、ドナーとアクセプター間の分子間の共鳴エネルギー移動(RET)によってクエンチされるが、NS3プロテアーゼがペプチドを切断するにつれ、生成物がRET消光から放出され、ドナーの蛍光が明らかになる。
【0123】
該ペプチド基質を、本発明の化合物の非存在下もしくは存在下において、3つの組換えNS3/4Aプロテアーゼ複合体のうちの1つと共にインキュベートした。Cytofluor Series 4000を用いて、蛍光性の反応生成物をリアルタイムでモニターすることによって、化合物の阻害作用を決定した。
【0124】
試薬は以下の通りであった。HEPESおよびグリセロール(Ultrapure)は、GIBCO-BRLから入手した。ジメチルスルホキシド(DMSO)はSigmaから入手した。β-メルカプトエタノールはBioRadから入手した。
【0125】
アッセイバッファー:50 mM HEPES, pH 7.5;0.15 M NaCl;0.1% Triton;15%グリセロール;10 mM βME。基質:2 μMの最終濃度(-20℃で保存したDMSO中の2 mMストック溶液から)。HCV NS3/4A プロテアーゼ1a(1b)型、2-3 nM 最終濃度(25 mM HEPES, pH 7.5、20%グリセロール、300 mM NaCl、0.2% Triton-X100、10 mM βME中の5 μM ストック溶液から)。アッセイ限界に近づいた効力を有する化合物については、50 μg/ml ウシ血清アルブミン(Sigma)をアッセイバッファーに加え、最終プロテアーゼ濃度を300 pMに下げることによって、該アッセイの感受性を高めた。
【0126】
該アッセイは、Falconの96-ウェルのポリスチレンブラックプレート中で実施した。各ウェルは、アッセイバッファー中の25 μlのNS3/4Aプロテアーゼ複合体、10% DMSO/アッセイバッファー中の50 μlの本発明の化合物、およびアッセイバッファー中の25 μlの基質を含有した。同一のプレート上に対照(化合物を含まない)も調製した。酵素複合体を化合物もしくは対照溶液と1分間混合した後、基質を添加して酵素反応を開始させた。該アッセイプレートを、Cytofluor Series 4000(Perspective Biosystems)を使用して直ちに読み取った。25℃にて340 nmの発光および490 nmの励起を読み取るように装置を設定した。通常、約15分間反応させた。
【0127】
以下の式:
100-[(δFinh/δFcon)x100]
(式中、δFは曲線の線形範囲にわたる蛍光の変化である)を用いて阻害率を算出した。非線形曲線の当てはめを阻害-濃度データに適用し、Excel XLfit ソフトウェアの使用により、式、y=A+((B-A)/(1+((C/x)^D)))を用いて、50%有効濃度(IC50)を算出した。
【0128】
2以上のタイプのNS3/4A複合体に対して試験した本発明の化合物は、同様の阻害特性を有することが見出されたが、該化合物は1a株に比べて1b株に対してより大きな効力を一様に示した。
【0129】
特異性アッセイ
HCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体の阻害における本発明の化合物のin vitro選択性を示すために、他のセリンもしくはシステインプロテアーゼと比較した、特異性アッセイを実施した。
【0130】
様々なセリンプロテアーゼ:ヒト好中球エラスターゼ(HNE)、ブタ膵臓エラスターゼ(PPE)およびヒト膵臓キモトリプシン、ならびに1種のシステインプロテアーゼ:ヒト肝臓カテプシンBに対する、本発明の化合物の特異性を決定した。全ての場合において、セリンプロテアーゼアッセイについていくらか改変を加えて以前の記載(PCT特許出願第WO 00/09543号)のとおり、各酵素に特異的な蛍光分析のアミノ-メチル-クマリン(AMC)基質を用いた96-ウェルプレートフォーマットプロトコールを用いた。全ての酵素はSigma、EMDbiosciencesから購入し、一方、基質はBachem、SigmaおよびEMDbiosciencesから購入した。
【0131】
化合物濃度は、その効力によって100から0.4 μMで変動させた。該酵素アッセイは、各々、室温で10分間プレインキュベートした酵素-阻害剤に基質を加えることによって開始し、cytofluorによる測定として15%変換まで加水分解させた。
【0132】
各アッセイについての最終条件は下記の通りであった。
50 mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(トリス-HCl) pH 8、0.5 M 硫酸ナトリウム(Na2SO4)、50 mM NaCl、0.1 mM EDTA、3% DMSO、0.01% Tween-20、ならびに5 μM LLVY-AMCおよび1 nM キモトリプシン。
50 M トリス-HCl、pH 8.0、50 mM NaCl、0.1mM EDTA、3% DMSO、0.02% Tween-20、5 μM succ-AAPV-AMC、および20 nM HNEもしくは8 nM PPE;
100 mM NaOAC(酢酸ナトリウム) pH 5.5、3% DMSO、1 mM TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、5 nM カテプシンB(酵素ストックは使用の前に20 mM TCEPを含有するバッファー中で活性化させた)、およびH2O中に希釈した2 μM Z-FR-AMC。
【0133】
阻害率は、式:
[1-((UVinh-UVblank)/(UVctl-UVblank))] x 100
を用いて算出した。
非線形曲線の当てはめを阻害-濃度データに適用し、Excel XLfit ソフトウェアを用いて50%有効濃度(IC50)を算出した。
【0134】
HCVレプリコンの産生
HCVレプリコン全細胞系(whole cell system)を、Lohmann V, Korner F, Koch J, Herian U, Theilmann L, Bartenschlager R., Science 285(5424):110-3 (1999)による記載のとおり確立した。この系により、本発明者は、HCV RNA複製における本発明のHCVプロテアーゼ化合物の効果を評価することができた。簡単に述べると、Lohmannの論文に記載されたHCV 株1b配列(受託番号:AJ238799)を用いて、HCV cDNAをOperon Technologies, Inc. (Alameda, CA)が合成し、次いで、完全長レプリコンを標準的な分子生物学的技法を用いてプラスミドpGem9zf(+)(Promega, Madison, WI)中に構築した。該レプリコンは、(i)カプシドタンパク質の最初の12個のアミノ酸に融合したHCV 5' UTR、(ii)ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo)、(iii)脳心筋炎ウイルス(EMCV)からのIRES、ならびに(iv)HCV NS3からNS5B遺伝子およびHCV 3' UTRから成る。プラスミドDNAをScaIで直線化し、RNA転写物を、メーカーの説明書に従ってT7 MegaScript転写キット(Ambion, Austin, TX)を用いて、in vitroで合成した。cDNAのin vitro転写物を、ヒト肝癌細胞株であるHUH-7にトランスフェクトした。HCVレプリコンを恒常的に発現している細胞の選択を、選択マーカーであるネオマイシン(G418)の存在下において行った。得られた細胞株を、経時的な、プラス鎖およびマイナス鎖RNA生成ならびにタンパク質生成についてキャラクタライズした。
【0135】
HCVレプリコンFRETアッセイ
HCVレプリコンFRETアッセイを、HCVウイルス複製における本発明に記載の化合物の阻害効果をモニターするために開発した。HCVレプリコンを恒常的に発現するHUH-7細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)(Sigma)および1 mg/ml G418(Gibco-BRL)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco-BRL)中で増殖させた。細胞を、前夜に、96-ウェル組織培養無菌プレート中に播種した(1.5 x 104細胞/ウェル)。化合物、および化合物を含有しない対照を、希釈プレートにおいて、4% FCS、1:100 ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco-BRL)、1:100 L-グルタミンおよび5% DMSOを含有するDMEM中で調製した(アッセイにおいて0.5% DMSO 最終濃度)。化合物/DMSO混合物を細胞に加え、37℃で4日間インキュベートした。4日後、CC50読み取りのためにアラマーブルー(Trek Diagnotstic Systems)を用いて、まず最初に細胞毒性について細胞を評価した。細胞をインキュベートしている培地に1/10の容量のアラマーブルーを加えることにより、化合物の毒性(CC50)を決定した。4時間後、Cytofluor Series 4000(Perspective Biosystems)を用いて、530 nmの励起波長および580 nmの発光波長で、各ウェルからの蛍光シグナルを読み取った。次いで、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(3回、150 μl)で完全にすすいだ。該細胞を、HCVプロテアーゼ基質、蒸留水で1倍に希釈した5X細胞ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬(Promega #E153A)、150 mMの最終濃度まで加えたNaCl、100% DMSO中の2 mMストックから10 μMの最終濃度まで希釈したFRETペプチド基質(上記の酵素アッセイについて説明した通り)を含む、25 μlの溶解アッセイ試薬で溶解した。その後、該プレートを、340 nm励起/490 nm発光、21サイクルの自動モードに設定されたCytofluor 4000装置に設置し、プレートを運動モードで読み取った。IC50決定についての記載の通り、EC50決定を行った。
【0136】
HCVレプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイ
二次アッセイとして、レプリコンFRETアッセイからのEC50決定を、レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて確認した。レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイの利用は、Kriegerらによって最初に記載された(Krieger N, Lohmann V, and Bartenschlager R, J. Virol. 75(10):4614-4624 (2001))。本発明者らのFRETアッセイに記載のレプリコンコンストラクトを、ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子のヒト化形態およびルシフェラーゼ遺伝子の3'-末端に直接融合しているリンカー配列をコードするcDNAを挿入することによって改変した。この挿入物は、ネオマイシンマーカー遺伝子の直接上流のコア中に位置するAsc1制限部位を用いて、レプリコンコンストラクトに導入された。1179位での適応的変異(セリンからイソロイシン)も導入した(Blight KJ, Kolykhalov, AA, Rice, CM, Science 290(5498):1972-1974)。このHCVレプリコンコンストラクトを恒常的に発現している安定な細胞株を、上記の通り産生した。ルシフェラーゼレポーターアッセイを、以下のとおり改変してHCVレプリコンFRETアッセイについての記載の通り設定した。37℃/5% CO2インキュベーター中で4日間の後、Promega Dual-Gloルシフェラーゼアッセイシステムを使用して、ウミシイタケルシフェラーゼ活性について細胞を分析した。細胞を含有する各ウェルから培地(100 μl)を除去した。残った50 μlの培地に、50 μlのDual-Gloルシフェラーゼ試薬を加え、プレートを室温で10分〜2時間揺動させた。次いで、Dual-Glo Stop & Glo試薬(50 μl)を各ウェルに加え、プレートを室温でさらに10分〜2時間再び揺動させた。発光プログラムを用いて、Packard TopCount NXTにおいて、プレートを読み取った。
【0137】
阻害率を以下の式:
%対照= 実験ウェル(+化合物)における平均ルシフェラーゼシグナル
DMSO対照ウェル(−化合物)における平均ルシフェラーゼシグナル
を用いて算出した。
XLfitを用いて値をグラフ化し、分析して、EC50値を得た。
【0138】
本発明の化合物を試験し、以下の活性を有することが見出された: IC50: A = 5〜30 nM; B = 31〜100 nM; EC50: A = 75〜500 nM; B = 501〜1000 nM。
表2
【表5】

【0139】
本発明は前述の例示的な実施例に限定されず、そしてその本質的特性から逸脱することなく他の特定の形態において具体化することができることが当業者には明白であろう。従って該実施例は、あらゆる点で、制限するものではなく例示的なものとしてみなされ、そして、前述の実施例に対してよりはむしろ特許請求の範囲を参照すべきであり、従って、特許請求の範囲と同等の意味および範囲内となる全ての変更を包含すると意図することが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R1は、ヒドロキシまたは-NHSO2R5から選択され;
R2は、水素、アルケニル、アルキル、またはシクロアルキルから選択され、ここで、該アルケニル、該アルキル、および該シクロアルキルは各々、1、2、3、もしくは4個のハロ基で適宜置換されており;
R3は、さらなるフェニルもしくはヘテロシクリルで置換されたフェニル基であり、ここで、該さらなるフェニルおよび該ヘテロシクリルは、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、もしくはヒドロキシから独立して選択される1、2、3、4、もしくは5個の置換基でさらに適宜置換されることができ;
R4は、水素、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、シクロアルキルオキシカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ハロアルキル、ハロアルキルカルボニル、ハロアルキルスルホニル、(NRaRb)カルボニル、または(NRaRb)スルホニルから選択され、ここで、該シクロアルキルオキシカルボニルのシクロアルキル部分は、1、2、もしくは3個のハロアルキル基で適宜置換されており;
R5は、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクリル、または-NRaRbから選択され;ここで、該アルキルおよびシクロアルキルは各々、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、シアノ、シアノアルキル、もしくはハロアルコキシから選択される1個の基で適宜置換されており;
RaおよびRbは、独立して、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルから選択され;
Xは、O、S、SO、またはSO2から選択され;そして、
Qは、独立して、アルキル、ハロ、もしくはハロアルキルから選択される1もしくは2個の基で適宜置換されたC5-9飽和もしくは不飽和鎖である]
の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項2】
R1が-NHSO2R5である、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項3】
XがSである、請求項2に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項4】
QがC7-9飽和もしくは不飽和の無置換鎖である、請求項3に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項5】
R3が無置換フェニル基で置換されたフェニルである、請求項4に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項6】
R2がアルケニルである、請求項5に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項7】
R4がアルコキシカルボニルである、請求項6に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項8】
R1が-NHSO2R5であり;
R2がアルケニルであり;そして、
R4がアルコキシカルボニルである、
請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項9】
R1が-NHSO2R5であり;ここで、R5はシクロアルキルであり;
R2がアルケニルであり;
R3が無置換フェニル基で置換されたフェニル基であり;
R4がアルコキシカルボニルであり;
XがSであり;そして、
QがC7-9飽和もしくは不飽和の無置換鎖である、
請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項10】
式:
【化2】

から選択される化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩、および医薬的に許容される担体を含有する組成物。
【請求項12】
抗-HCV活性を有する少なくとも1つのさらなる化合物をさらに含有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
該さらなる化合物の少なくとも1つがインターフェロンまたはリバビリンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
該インターフェロンが、インターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
該さらなる化合物の少なくとも1つが、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
該さらなる化合物の少なくとも1つが、HCV感染症の治療のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、またはIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに有効である、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
治療上有効な量の請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩を患者に投与することを含む、患者においてHCV感染症を治療する方法。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物もしくは医薬的に許容されるその塩より前、後、もしくは同時に、少なくとも1つのさらなる化合物を投与することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該さらなる化合物の少なくとも1つがインターフェロンまたはリバビリンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
該インターフェロンが、インターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該さらなる化合物の少なくとも1つが、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
該さらなる化合物の少なくとも1つが、HCV感染症の治療のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、またはIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに有効である、請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2012−504132(P2012−504132A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529263(P2011−529263)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/058385
【国際公開番号】WO2010/036896
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】