説明

CoQ10を送達システムとして使用する皮膚強化

本発明は、ユビキノンを含むいくつかの皮膚強化製剤を提供する。本発明は、座瘡の処置用の組成物、局所抗菌軟膏、日焼け止め剤、フェイシャルクレンジング、皮膚炎症の減少、皮膚の色合いの安定化、化粧用ファンデーション、皮膚保護、唇の皮膚保護、およびスキンクリームを提供する。好ましい一実施形態では、組成物は補酵素Q10を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2005年4月5日出願の米国仮特許出願第60/668,273号明細書、および2005年4月1日出願の米国仮特許出願第60/667,380号明細書に対して優先権を主張し、その開示は、すべての目的で参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
一般的に、補酵素Qn(n=1〜12)とも呼ばれるユビキノンは、多くの生命形態の本質的な細胞成分を構成する。ヒトにおいて、CoQ10は、このポリプレノイド天然物クラスの優勢なメンバーであり、主に呼吸鎖の酸化還元伝達体として機能することが周知であり、治療可能性について最も研究されている形である(レナズ(Lenaz)、COENZYME Q.BIOCHEMISTRY,BIOENERGETICS,AND CLINICAL APPLICATIONS OF UBIQUINONE、Wiley−Interscience、New York(1985年);トラムパワー(Trumpower)、FUNCTION OF UBIQUINONES IN ENERGY CONSERVING SYSTEMS、Academic Press、New York(1982年);トムソン(Thomson,R.H.)、NATURALLY OCCURRING QUINONES、第3版、Academic Press、New York(1987年);ブリズナコフ(Bliznakov)ら、THE MIRACLE NUTRIENT COENZYME Q10、Bantom Books、New York(1987年))。
【0003】
補酵素Qは、呼吸に必要な電子移動プロセスの編成において本質的な役割を果たす。ほぼ全ての脊椎動物は、あらゆる細胞のミトコンドリアに見られるこの一連の化合物の1つまたは複数の形を利用する(すなわち、これらは偏在し、したがって代替名が「ユビキノン」である)。CoQ10は、通常は12個までのペリノイド単位がp−キノン頭部基に結合されて生じるが、ヒトによって酸化還元伝達体として使用される化合物である。
【0004】
CoQ10が正当に評価されていないのは、CoQ10が正常レベル未満しか存在しない場合に、身体は、食事によって得られる低級の形でそのCoQ10を構成しなければならないことである。残念なことに、誰でも寿命のある時点で、CoQ10合成機構の効率が低下し始める(ブリズナコフ(Bliznakov)ら、前出)。このin vivoの劣化の結果は実質的である恐れがある。というのは、CoQ10のレベルが感染への感受性、心筋の強度、ならびにエネルギーレベルおよび活力と結びついている代謝率と相関しているからである。したがって、年を取るにつれて、若々しさと健康の維持にはCoQ10の補充がますます不可欠になる。
【0005】
米国では、CoQ10は栄養補助食品とみなされ、通常は、およそ適正価格で、健康食品店で、または通信販売会社を経由して販売される。CoQ10は、通常は、確立した発酵および抽出プロセスによって生成される(例えば、サシカラ(Sasikala)ら、Adv.Appl.Microbiol,41:173(1995年);米国特許第4,447,362号明細書、第3,313,831号明細書、および第3,313,826号明細書)。しかし、現在では、費用効果の高い新規な合成方法が利用可能である。このような方法は、米国特許第6,852,895号明細書、米国特許第6,545,184号明細書、同時係属中の2004年10月24日出願の米国特許出願第10/973,158号明細書、および同時係属中の2004年12月3日出願の米国特許出願第11/003,544号明細書に開示され、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人口が高齢化し、若々しい活力および外観の維持に対する関心が増大し続けるにつれて、CoQ10の自然レベルの補充は、ますます重要になるであろう。さらに、皮膚の健康および若々しい外観を保つ化粧品および医薬品製剤の需要が増大するのは間違いない。従って、身体において自然レベルを補充するためのCoQ10を提供する製品が、当技術分野で求められている。さらに、皮膚の健康および若々しい活力を維持するように機能する二次化粧品および医薬品の吸収の向上をもたらす送達システムが、当技術分野で求められている。幸いなことに、本発明は上記その他の必要を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、第1の態様では式(I)の化合物:
【化1】


[式中、R、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、nは0〜19の整数である]
を含む皮膚科学製剤を提供する。一実施形態では、nは9である。別の実施形態では、R、R、およびRはメチル基である。別の実施形態では、化合物は還元型である。
【0008】
いくつかの実施形態では、皮膚科学製剤は、式(II)の代表的可溶化剤:
【化2】


[式中、Xは、ステロール、トコフェロール、およびその誘導体から選択された疎水性部分の残基であり、Yは、ポリエーテル、ポリアルコール、およびその誘導体から選択された親水性部分の残基であり、pは1または2であり、mは0または1であり、nは0以上の整数であり、pおよびmが1であり、かつ疎水性部分がコレステロールである場合、nは4より大きく、8未満である。pおよびmが1であり、疎水性部分が(+)−α−トコフェロールである場合、nは2未満である]をさらに含む。一実施形態では、疎水性部分が、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、カンプエステロール、シトステロール、エルゴステロール、スチグマステロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールから選択されたメンバーである場合、親水性部分はポリエーテルまたはシクロデキストリンである。
【0009】
一の実施形態では、本発明は、座瘡の処置および皮膚科学的健康向上のための組成物を提供する。これらの製剤は、抗座瘡治療薬および式(I)の化合物を含む。一の実施形態では、抗座瘡治療薬は、レチノイド化合物、アゼライン酸、アダパレン、サリチル酸、グリコール酸、過酸化ベンゾイル、およびその組合せから選択されたメンバーである。
【0010】
一の実施形態では、抗座瘡治療薬は、レチノイド化合物であり、レチノール、式(III)の化合物、および式(IV)の化合物から選択されたメンバーである。
【化3】

【0011】
一の実施形態では、抗座瘡組成物は、式(I)の化合物を含まない製剤より、約1%から約1000%の間で良好な座瘡の処置を提供する。別の実施形態では、抗座瘡組成物は、約5%から約500%の間で良好な座瘡の処置を提供する。さらに別の実施形態では、抗座瘡組成物は、約25%から約100%の間で良好な座瘡の処置を提供する。
【0012】
関連する実施形態では、本発明は、皮膚炎症を減少させ、皮膚の色合いを安定させるための組成物を提供する。組成物は式(I)の化合物を含む。一の実施形態では、組成物はコルチゾンをさらに含む。一の実施形態では、組成物で処置される皮膚炎症は、炎症性皮膚疾患を伴う。一の実施形態では、炎症性皮膚疾患は酒さ性座瘡である。いくつかの実施形態では、組成物は、式(II)の化合物をさらに含む。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、治療上有効な局所抗菌剤および式(I)の化合物を含む局所抗菌軟膏の性能向上のための組成物を提供する。一の実施形態では、抗菌剤は、アルコール、ネオスポリン、ポリスポリン、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、ヘキサクロロフィン、フシジン酸、ネオマイシン、オキシテトラサイクリン、ムピロシン、フルクロキサシリン、アシクロビア、およびその組合せから選択される。別の実施形態では、抗菌軟膏組成物は鎮痛剤をさらに含む。別の実施形態では、抗菌軟膏組成物は抗炎症剤をさらに含む。別の実施形態では、抗炎症剤はコルチゾンをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗菌軟膏組成物は、式(II)の化合物をさらに含む。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、皮膚科学的健康向上ももたらす日焼け止め組成物を提供する。日焼け止め組成物は、有効な日焼け止め剤および式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、日焼け止め製剤は式(II)の化合物をさらに含む。一の実施形態では、日焼け止め組成物は、化粧用ファンデーション、リップバーム、または口紅のための製剤内に含まれる。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、クレンジングおよび皮膚科学的健康改善のための組成物を提供する。クレンジング組成物は、有効なクレンジング剤および式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、クレンジング組成物は式(II)の化合物をさらに含む。
【0016】
一の実施形態では、クレンジング組成物は、フェイシャルマスクおよび棒状石鹸から選択された製品のための製剤内に含まれる。一の実施形態では、クレンジング組成物は、フェイシャルマスクのための製剤に含まれ、賦形剤としてグレイシャルシルトまたはグレイシャルクレイをさらに含む。一の実施形態では、グレイシャルシルトは、平均直径が約0.004mmから約0.063mmの間の範囲であるシルト粒子を含んでなる。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、化合物を式(I)の化合物と共に含む組成物を送達するための方法を提供する。方法は、ユビキノン化合物を経皮送達システムとして提供することを含む。一の実施形態では、方法は、式(I)の化合物を式(II)の化合物と共に提供し、それによって代替の経皮送達システムを形成することを含む。一の実施形態では、経皮送達システムは、化合物をユビキノンと共に経時放出する貼付剤(例えば、「CoQ10貼付剤」)である。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、皮膚科学的健康も改善する化粧用ファンデーションを提供する。化粧用ファンデーションは式(I)の化合物を含む。いくつかの実施形態では、化粧用ファンデーションは、式(II)の化合物をさらに含む。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物およびヒアルロン酸を含むスキンローションを提供する。一の実施形態では、式(I)の化合物は、ヒアルロン酸の皮膚細胞への浸透を改善する。別の実施形態では、ヒアルロン酸は、式(I)の化合物を含まないローション製剤のヒアルロン酸より、約1%から約1000%の間でよりよく皮膚細胞に浸透する。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、ならびに鉱物油および石油ゼリーから選択されたメンバーである化合物を含む、皮膚保護のための組成物を提供する。
【0021】
本発明の他の目的および利点は、下記の詳細な説明から当業者に明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の詳細な説明
定義
用語「CoQ10」もしくは補酵素Q10、Q10、ビタミンQ10、CoQ(50)、ユビキノン、ユビデカレノンもしくは2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−デカプレニルベンゾキノンなどは、次式の化合物
【化4】


[式中、nは9である]
を意味する。通常は酸化型のCoQ10が見られる(ユビキノン)。しかし、CoQ10を還元して、還元型CoQ10(ユビキノール)にすることができる。本出願全体にわたって、CoQ10の言葉には、酸化型、還元型、またはその組合せが含まれ得る。
【0023】
用語「抗菌剤」は、病原微生物の増殖を予防する物質を意味する。
【0024】
用語「皮膚科学的健康」は、皮膚の肯定的状態または健康状態を意味する。
【0025】
本明細書では、「薬剤として許容できるキャリア」は、コンジュゲートと組み合わせたとき、コンジュゲートの活性を保持し、被験者の免疫系とは反応しない任意の材料を包含する。例としては、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、油/水乳濁液などの乳濁液乳剤、および様々なタイプの濡れ剤など、標準的薬剤キャリアのいずれもが挙げられるが、これらに限定されない。他のキャリアとしては、滅菌溶液、コーティング錠剤を含む錠剤、およびカプセル剤も挙げることができる。通常は、このようなキャリアは、デンプン、乳、糖、ある種のタイプの粘土、ゼラチン、ステアリン酸またはその塩、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、タルク、植物性脂肪または油、ゴム、グリコールなどの賦形剤、あるいは他の周知の賦形剤を含有する。このようなキャリアは、矯味剤、および着色添加物、または他の材料も含むことができる。このようなキャリアを含む組成物を、周知の通常の方法で製剤する。
【0026】
本明細書では、「投与すること」は、被験者への経口投与、坐剤としての投与、局所的接触、静脈内、腹腔内、筋肉内、病巣内、もしくは皮下の投与、吸入による投与、または徐放装置、例えば小型浸透圧ポンプの移植を意味する。投与は、非経口および経粘膜(例えば、経口、経鼻、経腟、直腸、または経皮)を含めて、任意の経路、具体的には吸入により行われる。非経口投与には、例えば静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、および頭蓋内が含まれる。さらに、注射で腫瘍を処置する、例えばアポトーシスを誘導するものである場合、腫瘍および/または腫瘍の周囲にある組織に直接投与することができる。送達の他のモードには、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮貼付剤などの使用が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「回復すること」または「回復する」は、症状の軽減、寛解、もしくは減弱、または患者の身体的もしくは精神的な健康の改善など、客観的もしくは主観的なパラメータを含めて、病理または病態の処置における成功の徴候を意味する。症状の回復は、身体的検査および/または精神医学的評価の結果を含めて、客観的もしくは主観的なパラメータに基づくことができる。
【0028】
用語「治療」は、疾患に罹りやすい恐れがあるが疾患の症状をまだ経験していない、または示していない動物において疾患または病態が生じるのを予防すること(予防的処置)、疾患を抑制すること(その発症を遅くし、または停止すること)、疾患の症状または副作用からの解放をもたらすこと(対症処置を含む)、および疾患を軽減すること(疾患の退行を引き起こすこと)を含めて、疾患または病態を「処置すること」または「処置」を意味する。
【0029】
用語「有効量」、「〜に有効な量」、「治療上有効量」、または文法的に等価な任意の用語は、疾患を処置するために動物に投与した場合、その疾患の処置をもたらすのに十分な量を意味する。
【0030】
用語「抗座瘡治療薬」は、座瘡の処置または治療をもたらす化合物または方法を意味する。
【0031】
用語「向上された」は、改良、増強、装飾、美化、強化、または改善の任意の程度を意味する。したがって、「性能向上」は、ある段階での性能が、別の段階での性能と比べて改善されていることを示す。
【0032】
用語「改善された」は、既存の病態より望ましい病態を意味し、あるいはある一組の条件下で、別の一組の条件下でより望ましい結果が実現される状態を意味する。改善は、症状の軽減、寛解、もしくは減弱、または身体的もしくは精神的な健康の改善など、客観的もしくは主観的なパラメータを含めて、成功、改良、進行、または回復の徴候によって示される。改善は、身体的検査および/または精神医学的評価の結果を含めて、客観的もしくは主観的なパラメータに基づくことができる。
【0033】
用語「日焼け止め剤」は、日焼けを防止し、または日光もしくは他の紫外線への曝露による皮膚損傷をその他の方法で最小限に抑える組成物または化合物を意味する。
【0034】
用語「フェイシャルマスク」は、顔に塗布して、皮膚をクレンジングし、引き締める化粧品調製物を意味する。
【0035】
用語「グレイシャルシルト」は、サイズが砂と粘土の中間である非常に細かい粒子からなる、氷河由来の沈降性材料を意味する。
【0036】
用語「化粧用ファンデーション」は、色を加え、顔色の欠点を隠す化粧のベース層を意味する。
【0037】
用語「スキンローション」は、皮膚への塗布用の懸濁液または乳濁液を意味する。
【0038】
用語「皮膚保護」は、損傷または傷害からの皮膚の予防、保護、または遮蔽を意味する。
【0039】
用語「単離された」は、材料を生成するために使用される成分を実質的にまたは本質的に含まない材料を意味する。本発明の組成物では、用語「単離された」は、通常は組成物を調製するために使用された混合物の材料に付随する成分を実質的にまたは本質的に含まない材料を意味する。「単離された」および「純粋な」は同義に使用される。通常は、本発明の単離された成分は、好ましくは範囲で表されるレベルの純度を有する。成分の純度範囲の下端は、約60%、約70%、または約80%であり、純度範囲の上端は、約70%、約80%、約90%、または約90%超である。
【0040】
別段の記述のない限り、用語「アルキル」は単独で、または別の置換基の一部として、完全飽和、一不飽和、または多不飽和とすることができる直鎖、分枝鎖、もしくは環状炭化水素基、またはその組合せを意味し、指定された数の炭素原子(すなわち、C〜C10は1〜10個の炭素を意味する)を有する2価および多価の基を包含することができる。飽和炭化水素基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)エチル、シクロプロピルメチル、例えばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの同族体および異性体などの基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−プロピニル、3−プロピニル、3−ブチニル、ならびにその高級同族体および異性体が挙げられる。用語「アルキル」は、別段の注記のない限り、下記で「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」、および「アルキレン」としてより詳細に定義されているアルキルの誘導体も包含するものとする。用語「アルキレン」は単独で、または別の置換基の一部として、−CHCHCHCH−で例示されるアルカンから誘導された2価の基を意味する。通常は、アルキル基は、1〜24個の炭素原子を有し、本発明では、10個以下の炭素原子を有する基が好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般に8個以下の炭素原子を有する、より短い鎖のアルキル基またはアルキレン基である。
【0041】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ」はそれぞれ、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を介して分子の残部に結合されたアルキル基を有する基を意味する。同様に、用語「ジアルキルアミノ」は、一般的な意味で−NR’R’’(式中、R基は同じでも異なってもよいアルキル基とすることができる)を意味するために使用される。
【0042】
別段の記述のない限り、用語「アシル」または「アルカノイル」は単独で、または別の用語と組み合わせて、記載された数の炭素原子とアルカン基の少なくとも一端のアシル基とからなる安定な直鎖、分枝鎖、もしくは環状炭化水素基、またはその組合せを意味する。
【0043】
別段の記述のない限り、用語「ヘテロアルキル」は単独で、または別の用語と組み合わせて、指定された数の炭素原子とO、N、Si、およびSからなる群から選択された1〜3個のヘテロ原子とからなる安定な直鎖、分枝鎖、もしくは環状炭化水素基、またはその組合せを意味する。ただし、窒素原子および硫黄原子は、場合によっては酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、場合によっては四級化されていてもよい。ヘテロ原子であるO、N、およびSは、ヘテロアルキル基の内部の位置に配置することができる。ヘテロ原子Siは、アルキル基が分子の残部に結合している位置を含めてヘテロアルキル基のどの位置に配置してもよい。例としては、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられる。ヘテロ原子は2個まで連続していてもよく、例えば−CH−NH−OCHや−CH−O−Si(CHなどである。また、用語「ヘテロアルキル」には、下記で「ヘテロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキル」としてより詳細に記載されている基も包含される。用語「ヘテロアルキレン」は単独で、または別の置換基の一部として、−CH−CH−S−CHCH−および−CH−S−CH−CH−NH−CH−で例示されるヘテロアルキルに由来する2価の基を意味する。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子は、鎖の一端または両端を占めることもできる。さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレンリンキング基では、リンキング基の配向は含意されていない。
【0044】
別段の記述のない限り、用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は単独で、または他の用語と組み合わせて、それぞれ環状の「アルキル」および「ヘテロアルキル」を表す。さらに、ヘテロシクロアルキルでは、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残部に結合している位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられる。
【0045】
別段の記述のない限り、用語「ハロ」または「ハロゲン」は単独で、または別の置換基の一部分として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「フルオロアルキル」などの用語は、モノフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキルを包含するものとする。
【0046】
別段の記述のない限り、用語「アリール」を単独で、または他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)と組み合わせて使用する場合、1個の環でも、縮合もしくは共有結合している複数の環(最高3個の環)でもよい芳香族置換基を意味する。「ヘテロアリール」は、少なくとも1個のヘテロ原子環員を有するアリール基である。通常は、環はそれぞれ、N、O、およびSから選択された1〜4個のヘテロ原子を含有する。ただし、窒素原子および硫黄原子は、場合によっては酸化されており、窒素ヘテロ原子は、場合によっては四級化されている。「ヘテロアリール」基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合していてもよい。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上記のアリール環系それぞれの置換基は、下記に記載する許容できる置換基の群から選択されている。用語「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)またはヘテロアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)に結合している基を包含するものとする。
【0047】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、および「アリール」)はそれぞれ、記載された基の置換形と非置換形の両方を包含するものとする。各タイプの基の好ましい置換基を下記に記載する。
【0048】
アルキル基およびヘテロアルキル基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと呼ばれることが多い基を含む)の置換基は、例えば−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−CN、および−NOから0個〜(2N+1)個(ただし、Nは、このような基の炭素原子の総数である)選択された様々な基とすることができる。R’、R’’、およびR’’’はそれぞれ独立に、水素、非置換の(C〜C)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリール;1〜3個のハロゲン、非置換のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルコキシ基で置換されているアリール;またはアリール−(C〜C)アルキル基を意味する。R’およびR’’は、同じ窒素原子に結合している場合、窒素原子と組み合わせて、5−、6−、または7−員環を形成することができる。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを包含するように意図されている。置換基に関する上記の考察から、当業者は、用語「アルキル」は、ハロアルキル(例えば、−CFおよび−CHCF)やアシル(例えば、−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCHなど)などの基を包含するように意図されていることを理解するであろう。
【0049】
同様に、アリール基の置換基は様々であり、−ハロゲン、−OR’、−OC(O)R’、−NR’R’’、−SR’、−R’、−CN、−NO、−COR’、−CONR’R’’、−C(O)R’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−N、−CH(Ph)、パーフルオロ(C〜C)アルコキシ、およびパーフルオロ(C〜C)アルキルから0個〜芳香族環系上の利用できる原子価の総数個が選択される。ただし、R’、R’’、およびR’’’は独立に、水素、(C〜C)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)−(C〜C)アルキル、(非置換アリール)オキシ−(C〜C)アルキル、およびパーフルオロ(C〜C)アルキルから選択される。
【0050】
本明細書では、用語「ヘテロ原子」は、例えば酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、およびケイ素(Si)を包含するものとする。
【0051】
本発明のいくつかの化合物は、不斉炭素原子(光学的中心)または二重結合を有する。ラセミ化合物、ジアステレオマー、幾何異性体、および個別異性体はすべて、本発明の範囲内に含まれる。
【0052】
本発明の化合物は、このような化合物を構成する原子の1つまたは複数について不自然な比率の原子同位体も含有することができる。例えば、化合物は、例えばトリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)、または炭素−14(14C)などの放射性同位体で放射標識されていてもよい。本発明の化合物の同位体の変形は放射性であろうとなかろうとすべて、本発明の範囲内に含まれるよう意図されている。
【0053】
序論
本発明は、皮膚科学的健康の向上および改善のための製剤を提供する。本発明は、分散度向上のための新しい技術進歩を通して、補酵素Q10の含有による皮膚の健康の改善の向上と共に、薬剤の吸収の改善に関する。補酵素Q10の添加は、細胞の健康を増大し、加齢の影響を最小限に抑える新規製剤を生じる。本明細書に記載のように、本発明は、とりわけ抗座瘡製剤、皮膚保護剤ローション、化粧用ファンデーション、および日焼け止め製剤の有用な改善も提供する。
【0054】
CoQ10は、活性分子(例えば、カルニチン)およびヒドロトロープであるPTSと組み合わせることができる。PTSは、ポリエチレングリコール、トコフェロール、およびセバシン酸からなり、したがって名称がPTSである。活性分子は、水溶性でも親油性でもよい。PTSは、活性分子を、内圏がトコフェロール、CoQ10、および他の活性分子で占有されているナノ粒子ミセルに変換する。同時に、これらは水溶性になる。この方法は、すでに水溶性の活性分子には極めて役立つものとはなり得ないが、アスタキサンチンやコルチゾンなどの親油性活性分子に非常に有益である。したがって、PTSによって、親油性活性分子または水溶性活性分子をクリームに混ぜ入れることが可能になる。というのは、クリームは、その製剤において両相を使用しているからである。
【0055】
化合物
第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物:
【化5】


を含む化合物を提供する。
【0056】
式(I)では、R、R、およびRは、置換または非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、nは0〜19の整数である。一実施形態では、nは9である。別の実施形態では、R、R、およびRは、メチル基である。別の実施形態では、化合物は還元型である。
【0057】
本発明によれば、式(I)の化合物は、組成物中に、製剤全体の約0.5%〜約20%の範囲の重量パーセントで存在する。式(I)の化合物の重量パーセントが約0.75%〜約15%の範囲で存在する実施形態もあれば、式(I)の化合物の重量パーセントが約1.0%〜約10%の範囲で存在する実施形態もある。さらに他の実施形態では、式(I)の化合物の重量パーセントは、組成物中に、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%の重量パーセントで存在する。
【0058】
他の態様では、本発明の組成物は、式(II)の可溶化剤:
【化6】


をさらに含む。
【0059】
式(II)では、Xは、疎水性部分の残基であり、ステロール、トコフェロール、およびその誘導体から選択されたメンバーであり、Yは、ポリエーテル、ポリアルコール、およびその誘導体から選択されたメンバーである親水性部分の残基であり、pは1または2であり、mは0または1であり、nは0以上の整数である。pおよびmが1であり、かつ疎水性部分がコレステロールである場合、nは4より大きく、8未満である。pおよびmが1であり、疎水性部分が(+)−α−トコフェロールである場合、nは2未満である。一実施形態では、疎水性部分が、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、カンプエステロール、シトステロール、エルゴステロール、スチグマステロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールから選択されたメンバーである場合、親水性部分はポリエーテルである。別の実施形態では、ポリエーテルはポリエチレングリコールである。
【0060】
本発明によれば、式(II)の可溶化剤が製剤中に存在する場合、製剤中に、式(I)の化合物の濃度に比例した濃度で存在する。例示的実施形態では、式(II)の可溶化剤は、製剤中に、可溶化剤と補酵素Q10の比が2:1(mol/mol)または3:1(w/w)で存在する。
【0061】
本発明の化合物の合成および方法
本発明の化合物を合成するのに有用な技法は、当業者に容易に明らかであり、かつ利用できる。具体的には、本発明のユビキノン化合物を合成する費用効果の高い方法は、米国特許第6,852,895号明細書、米国特許第6,545,184号明細書、同時係属中の2004年10月24日出願の米国特許出願第10/973,158号明細書、および同時係属中の2004年12月3日出願の米国特許出願第11/003,544号明細書に開示され、これらはそれぞれ、参照により本明細書に援用される。
【0062】
実施形態
座瘡薬剤
一の実施形態では、本発明は、座瘡の処置および皮膚科学的健康改善のための式(I)の化合物を含む組成物を提供する。一の実施形態では、アダパレンは、製剤中に約0.01%〜約5%/グラムで存在する活性成分である。いくつかの実施形態では、アダパレンは、約0.1%/グラムの濃度で存在し、局所ゲル送達システムの形で提供される。
【0063】
アダパレンは、現存する座瘡病変の処置および発達またはさらなる増殖の防止に有効である。本薬剤は、最小限の副作用で無期限使用することができる。アダパレンは、カルボン酸残基を含む、化学的に安定なレチノイド様類似体である。残念なことに、エタノールなどの極性溶媒にわずかしか可溶でなく、水には実質的に不溶である。アダパレンが有効であるためには、複数の層が存在する上皮の皮膚細胞を通って吸収されなければならない。その当然の化学的修飾のため、最低レベルの吸収さえ実現することができず、したがって単一の単位の製品として販売することができない。他の脂肪および水溶性材料と組み合わせた場合でさえ、対照臨床試験で測定したアダパレン吸収は、長期にわたって局所使用した後もやはり比較的低い(<0.25ng/mL)。本発明は、薬剤の吸収を増大させ、それによって性能を改善するアダパレンの製剤を提供する。さらに、組成物に式(I)の化合物を含有させると、副作用の発生および禁忌も減少する。
【0064】
一の実施形態では、吸収の増大は、式(I)の化合物を含まない製品の有効性と同じ有効性のために投与薬剤がより少なくてすむことに反映されている。他の実施形態では、吸収の増大によって、大幅により短い時間で向上した結果が得られる。
【0065】
特定の理論に拘泥するものではないが、アダパレン吸収を増大させるCoQ10の能力は、その高度な親油性修飾によって実現されると考えられる。吸収は、分散性およびバイオアベイラビリティの劇的な増大を可能にする米国特許第6,191,172号明細書(参照により本明細書に援用される)に開示する最近の技術的開発によってさらに増大することができる。
【0066】
別の実施形態では、天然由来の飽和ジカルボン酸であるアゼライン酸を、式(I)の化合物と組み合わせて使用する。アゼライン酸は、製剤中に、約≦1%、5%、7%、10%、12%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%以上の量で存在することができる。
【0067】
in vitro研究によって、アゼライン酸が抗菌活性も有し、かつ角質化を正常化することが明らかになった。ヒトの皮膚への塗布量(in vitro)の最高10%が、表皮および真皮に見られた。正確な作用機序は明らかでないが、ヒトの臨床試験によって、アゼライン酸は軽度から中等度の炎症性座瘡の消失を助けるのに有効であることが明らかになった。副作用は軽度であるように思われ、半減期は塗布後12時間であり、アゼライン酸吸収が限定されていることが示唆されている。幸運なことに、アゼライン酸吸収は、より少ない薬剤で同じ結果を可能にする製剤を提供する本発明の組成物によって増大される。他の症例では、本発明の製剤は、より短い時間で結果の向上をもたらす。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物およびレチノイド化合物を含む、座瘡の処置および皮膚科学的健康改善のための製剤を提供する。このような一の実施形態では、結節性/嚢胞性座瘡の処置は、式(I)の化合物と組み合わせて13−シス−レチノイン酸によってもたらされる。13−シス−レチノイン酸は、吸収速度が低く分解が速いため、現在では局所治療薬として利用することができない。経口投与によって、重度であり衰弱させる恐れのある副作用が頻繁に生じることは周知である。したがって、このタイプの処置は、ほとんど常に最後の手段である。13−シス−レチノイン酸の処方は、皮膚が重度に損傷して、完全な整容的回復の望みが少ない場合しか行われない。
【0069】
しかし、レチノイン酸を局所送達するための新規製剤、およびその治療上有効な塩が利用可能であり、既存の製剤に比べて顕著な利点が得られる(例えば、米国特許第5,955,109号明細書)。レチノイン酸(式(III))および13−シス−レチノイン酸(式(IV))(構造を下記に示す)は幾何異性体であり、可逆的な相互変換を示す。
【化7】


一方の異性体を投与によって他方が生じる。レチノイン酸による座瘡処置を13−シス−レチノイン酸で実現することができる有効性と同じ有効性で実現するために、レチノイン酸の局所投与には、特許されたビーズシステムが使用される。レチノール(ビタミンA)を、座瘡の処置のために式(I)と組み合わせることもできる。
【0070】
製剤の改善は、式(I)の化合物の含有、具体的にはCoQ10の含有によってもたらされる。CoQ10は内因的に生成され、人体のあらゆる細胞に見られる。CoQ10は、ミトコンドリア電子伝達系、および生化学的エネルギーの生産において重要な役割を果たす。さらに、L−カルニチンは、ミトコンドリア膜を横切って脂肪単位を輸送して、脂肪の酸化を可能にすることによって、細胞におけるエネルギー生産を助ける。L−カルニチンには、エステル誘導体(例えば、アセチルカルニチンなど)も含まれ得る。さらに、酸化防止剤としてのCoQ10の役割は、一部にはエネルギー発生プロセスによって生成する潜在的に損傷を与えるラジカルを中和することである。特定の理論に拘泥するものではないが、CoQ10のラジカルをクエンチする能力は、レチノイン酸と共に働いて、皮膚全体の外観および細胞の健康を改善すると考えられる。本発明の他の製剤と同様に、CoQ10は、その高度な親油性修飾によってレチノイン酸吸収を増大させることができる。
【0071】
保護剤軟膏
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を含む軟膏を提供する。軟膏は、多数の皮膚科学的目的に役立つ。軟膏の主目的は、具体的にはひどく刺激された(例えば、熱傷によって)、または感染した皮膚について、治癒過程の最中の皮膚の保護剤としてのその役割である。このような病態用の抗菌石鹸およびハンド用消毒薬は豊富にある。しかし、抗生物質軟膏のほうがはるかに有効である。これらは、処方箋不要の(「OTC」)医薬品として政府によって規制されており、さらなる感染からの保護のレベルを示す書類の提供が期待できる。これらの軟膏は、大部分の食品およびドラッグストアで普通に販売されている。
【0072】
補酵素Q10の軟膏への添加は、これらの膏薬の治癒特性を向上させる前例のない製剤を意味する。特定の理論に拘泥するものではないが、治癒特性の向上は、損傷した細胞を、ラジカルによるさらなる攻撃から保護することによって(すなわち、酸化防止剤として)もたらされ得ると考えられる。治癒の向上によって、式(I)の化合物を含有しない軟膏の場合より、治癒が約5%速く、6%速く、7%速く、10%速く、20%速く、25%速く、30%速く、40%速く、100%速く、200%速く、1000%以上速く起こる。CoQ10の内因的に生成されるまさにその性質によって、軟膏の親油性環境への理想的な添加剤となる。というのは、それが皮膚に浸透することによって、患部内におけるエネルギーレベルの改善が起こり、それによって回復の速度が上昇するはずであるからである。さらに、CoQ10の浸透によって、抗生物質成分の皮膚への浸透が容易になり、それによって抗生物質吸収の増大がもたらされる。一実施形態では、軟膏は、鎮痛剤、例えばカプサイシンやサリチル酸も含む。別の実施形態では、軟膏は、抗炎症剤(例えば、プロピオン酸フルチカゾン)をさらに含む。別の実施形態では、抗炎症剤はコルチゾンを含む。コルチゾンは、人体の副腎で自然に生成されるある種のステロイドであり、炎症および皮膚炎(dermititis)を処置するのに使用される。
【0073】
日焼け止め
米国では、毎年1,000,000を超える皮膚癌症例が新らたに診断される。日焼け止めには、多くの剤形:ローション、オイル、スティック、ゲル、およびクリームがある。最近まで唯一の目的は、損傷を与えるUV線を遮断することだけであった。しかし、最近では、皮膚の健康を改善し、加齢の出現を減少させるために、より多くの材料が添加されている。コラーゲン、エラスチン、ビタミン、および生薬が様々な日焼け止め製品に見られる。補酵素Q10の添加によって、日焼け止めの細胞を保護する能力が向上するはずである。したがって、別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を含む、改善された日焼け止め製剤を提供する。いくつかの実施形態では、製剤は、式(II)の化合物をさらに含むことができ、CoQ10のバイオアベイラビリティレベルがかなり高くなる。本出願に開示するように、高分散でバイオアベイラビリティのより高いCoQ10が日焼け止めに存在することは、今までのところ前例のない製剤を意味する。
【0074】
日焼け止め製剤の有効性は、紫外線防御指数(「SPF」)として報告されることが多い。SPFは、日焼け止めが提供するべき、日焼けの主な原因である紫外線B(「UVB」)からの防御量を規定する。日光による皮膚損傷は、日焼けが生じようと生じまいと曝露の継続によって増大する。皮膚癌および日焼けに加えて、他の影響としては、皮膚のシワ、早老、さらに将来にはほとんど革のような外観が挙げられる。研究によって、紫外線への過剰な曝露が体の免疫系に干渉する恐れがあることも示唆されている。
【0075】
日焼けは、UVBと呼ばれる短波長紫外線によって引き起こされるが、紫外線A(「UVA」)と呼ばれる長波長紫外線は、はるかに深いレベルまで皮膚に浸透し、結合組織を損傷する恐れがある。UVA線とUVB線の両方への曝露を限定することが重要である。
【0076】
日焼け止めによって、動物において有棘細胞癌の形成が防止される。ヒトにおいて、日焼け止めを常用すると、光線性角化症、日光性弾性線維変性、および有棘細胞癌が減少することが判明した。日焼け止め、特にUVA範囲でよりよい遮断を提供する製品の使用で、薬剤の光増感、および光誘導性または光増悪性皮膚疾患を回避することができる。
【0077】
SPFは、保護されている皮膚で1個の最小紅斑量(「MED」)が生成するのに必要とされたUVエネルギーを保護されていない皮膚でMEDが生成するのに必要とされたUVエネルギーで割った商と定義され、次の比:SPF値=MED(保護されている皮膚(「PS」))/MED(保護されていない皮膚(「US」))(ただし、MED(PS)は、2mg/cmの製品を塗布した後の保護されている皮膚についての最小紅斑量であり、MED(US)は、保護されていない皮膚、すなわち日焼け止め製品を塗布していない皮膚についての最小紅斑量である)で定義することもできる。事実上、SPF値は、紫外線フィルターとして見なされる製品の実効透過率の逆数である。
【0078】
本発明の日焼け止め製剤によって、日焼け止めのSPFが、式(I)の化合物を含有しない日焼け止め製剤のSPFに比べて約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、50%、100%、200%、1000%以上増大する。
【0079】
あるいは、日焼け止めの有効性は、日焼け止め調製物によってもたらされるUVA線の低下を推定することによって、UVA防御値として測定される。測光技法を使用する、正確に定義された試験手順、例えばオーストラリア規格2604:93を使用する。このような試験の結果が、UVA防御値であり、百分率で表される。この厳しい規格を満たす防御製品は、UVA線の少なくとも90%を吸収しなければならない。
【0080】
化粧品
リップバームおよび口紅
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を含む口紅製剤を提供する。いくつかの実施形態では、口紅製剤は日焼け止め剤も含む。例示的実施形態では、式(I)の化合物は補酵素Q10である。
【0081】
化粧品業界は、多数の口紅製剤を提供している。これらは、色、塗布方法、輝きのレベル、および唇上での持続時間が様々である。わずかこの数年内で、保湿剤などの付加価値材料が高く評価され、口紅に添加されている。他の化粧品と対照的に、口紅は、1日を通して何度も塗布されることが多い。口紅の多数の剤形のうち、新しいマット口紅はよりよい色を付与し、より長く持続するが、残念なことに、たった1回塗布しただけで唇を乾燥させる恐れがある。現在、女性の多くは、口紅を好みのブランド名だけで選択せず、これらの製品に見られる付加価値材料の品質によって選択する。
【0082】
補酵素Q10は、どの口紅製剤にとっても魅力的な添加材料である。これは、すべての細胞で内因的に生成され、したがって唇の皮膚細胞にはすでに存在しており、そこでミトコンドリア電子伝達系、および生化学的エネルギーの生産において重要な役割を果たしている。さらに、L−カルニチンは、ミトコンドリア膜を横切って脂肪単位を輸送して、脂肪の酸化を可能にすることによって、細胞におけるエネルギー生産を助ける。L−カルニチンには、エステル誘導体(例えば、アセチルカルニチンなど)も含まれ得る。年を取るにつれて、すべての細胞においてCoQ10レベルが下がり、したがって補充が必須である。CoQ10が口紅に存在すると、自然レベルを増強し、一部には体の自然なエネルギー発生プロセスによって生成する潜在的に損傷を与えるラジカルを中和するのに強力な酸化防止剤を供給することによって、唇に利益を容易に与える。
【0083】
細胞レベルのラジカルをクエンチするCoQ10の能力は、その高度な親油性と、分散性およびバイオアベイラビリティの劇的な増大を可能にする最近の技術的開発とによって、唇の美しさおよび長期の健康を助けることができる。さらに、CoQ10を含む化粧品製品によって、損傷を与える日光のUV線からの保護の改善がもたらされる。
【0084】
別の実施形態では、本発明は、唇を様々な要素から保護し、唇の皮膚の皮膚科学的健康の向上に寄与するリップバームのための製剤を提供する。
【0085】
リップバームは、唇の繊細な組織を保護する方式として開発された。最近まで、これはワックス質であり、唇を被覆することによる保護しかもたらさなかった。リップバームは、それ以降改善され、現在では、様々な日焼け止めおよび酸化防止剤、保湿するためのビタミンおよび生薬抽出物、香料用の天然果実抽出物、ならびに重度にひび割れた唇の治癒を向上させるための薬用材料による保護を提供する。
【0086】
色を付与し、唇の色合いを向上し、加齢に関連する特性の出現を減少させることによって唇を美しくするために添加される材料は、リップバームにとって目新しい。現在の市場のリップバームへの理想的な添加物は補酵素Q10である。これは、すべての細胞で内因的に生成され、したがって唇の皮膚細胞にはすでに存在しており、そこでミトコンドリア電子伝達系、および生化学的エネルギーの生産において重要な役割を果たしている。さらに、L−カルニチンは、ミトコンドリア膜を横切って脂肪単位を輸送して、脂肪の酸化を可能にすることによって、細胞におけるエネルギー生産を助ける。L−カルニチンには、エステル誘導体(例えば、アセチルカルニチンなど)も含まれ得る。
【0087】
年を取るにつれて、すべての細胞においてCoQ10レベルが下がり、したがって補充が必須である。したがって、CoQ10がリップバームに存在すると、自然レベルを増強し、それによって一部には体の自然なエネルギー発生プロセスによって生成する潜在的に損傷を与えるラジカルを中和するのに強力な酸化防止剤を供給することによって、唇に利益を容易に与える。細胞レベルのラジカルをクエンチするCoQ10の能力は、その高度な親油性と、分散性の劇的な増大を可能にする最近の技術的開発とによって、唇の美しさおよび長期の健康を助けることができる。
【0088】
化粧用ファンデーション
別の例示的実施形態では、本発明は、化粧用ファンデーションのための製剤を提供する。例示的実施形態では、化粧用ファンデーションは式(I)の化合物を含む。特定の例示的実施形態では、式(I)の化合物は補酵素Q10である。
【0089】
ファンデーションの塗布は、通常は女性の化粧のルーチンの第1ステップである。ファンデーションは色を加え、顔色の欠点を隠す。ファンデーションは、女性の化粧レジメンにとって本当に必須な一要素である。ファンデーションの重要な一特性は、その塗布の容易さである。よりよいファンデーション製剤は、皮膚上で均一にのび、皮膚に均等に長時間付着する。添加された材料は、ファンデーションの色、その塗布性、または皮膚に付着するその能力を向上させなければならず、あるいはそれらへの干渉を引き起こしてはいけない。
【0090】
化粧品会社は、付加価値材料を含む新規製剤を開発し続けている。これらの役割は、環境因子、食事、および自然の代謝プロセスによって引き起こされた、損傷を与える酸化を最小限に抑えて、皮膚全体の健康を改善し、皮膚の色合いを改善し、細線の出現を減少させ、保湿し、損傷を与える日光のUV光から保護することである。天然由来の添加剤は、合成のものとは対照的に忍容性が最も高い。補酵素Q10は、例外的な付加価値材料である。しかし、意外なことに、本発明より前には、化粧用ファンデーションはこの材料を含むようには処方されていなかった。補酵素Q10は、内因的に生成され、人体のあらゆる細胞に見られる。ファンデーションに現在存在する多くの添加材料と違って、CoQ10は、吸収時に、顕著な利益を皮膚細胞に与え、さらに化粧用ファンデーションの展延性および塗布性を容易にすることが判明した。さらに、CoQ10は、日焼け止め剤を含む化粧用ファンデーションのSPF指数を上げる。
【0091】
クレンジング剤
別の例示的実施形態では、本発明は、クレンジングのための組成物を提供する。組成物は、式(I)の化合物を式(II)の可溶化剤と組み合わせて含む。
【0092】
本発明の石鹸製剤は、皮膚から、その天然の保護バリアが剥がれるのを防き、皮膚外観も向上させる。本発明の石鹸およびクレンジング剤によって、より健康な皮膚細胞が可能になり、この皮膚細胞は水分を保持し、それによって目に見える細線が減少する。
【0093】
補酵素Q10は、内因的に生成され、人体のあらゆる細胞に見られる。石鹸に現在存在する大部分の添加材料と違って、CoQ10は、ラジカルをクエンチするその能力によって、顕著な利益を皮膚細胞に与えることが判明した。さらに、CoQ10は、その高度な親油性によって、石鹸およびフェイシャルクレンジング剤の清浄作用を容易にする。したがって、本発明は、理想的な石鹸を提供する。
【0094】
CoQ10は、式(II)のものなどの可溶化剤と組み合わせて、棒状石鹸に製剤することができ、それによって石鹸のクレンジング作用を改善し、かつこの重要なバイオ栄養素のバイオアベイラビリティの増大をもたらす処方が提供される。石鹸の生成方法は、当技術分野で周知である(例えば、米国特許第6,794,344号明細書、第6,846,785号明細書、第6,809,071号明細書、第6,706,675号明細書、および第6,325,882号明細書)。
【0095】
マスク
クレイマスクは、一般的に健康的な顔色を維持するのに使用される。マスクは、皮膚の表面を穏やかにクレンジングして、垢、汚れ、および不純物を除去すると、皮膚を保湿し、解毒し、剥離するミネラル強化治療薬として働き、皮膚を柔軟で滑らかにしておく。マスクは、毛穴の詰まりを除き、pHバランスを改善し、加齢による線およびシワの出現を最小限に抑える助けにもなり得る。グレイシャルシルトは、皮膚の表面をクレンジングための特に細かい天然研磨剤として機能する。細胞エネルギーの生産を担うすべてのヒト細胞の重要な成分である補酵素Q10をフェイシャルマスクに製剤して、皮膚への吸収によってクレンジングプロセスの質を向上させることができる。CoQ10は、頻繁にフェイシャルクレンジング剤に見られる他のビタミン(例えば、ビタミンCおよびE)よりはるかに親油性であるので、より高度に吸収され、それによって健康、ひいては皮膚の外観が改善される。
【0096】
ローション剤
ヒアルロン酸を含む製剤
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物およびヒアルロン酸を含む製剤を提供する。一の実施形態では、式(I)の化合物は補酵素Q10である。別の実施形態では、製剤はスキンローションである。
【0097】
ヒアルロン酸(HA)は、D−グルクロン酸およびN−アセチルグルコサミンからなるグリコサミノグリカンである。これは、体内で生産される高分子量の化合物である。この重量それ自体によって、高粘度、ならびに皮膚および関節の優れた潤滑がもたらされる。これは、細胞外マトリックスの主成分である。マトリックスの成分は、細胞内で生成され、次いで細胞外空間に分泌される。多量のHAが、目のガラス様液、滑液、および軟骨に見られる。しかし、体のHAの50パーセントになる最大の単一部分は皮膚に見ることができ、細胞外マトリックスおよび結合組織の全体に位置している。臨床研究は、年を取るにつれて、HAが表皮上層から真皮下層に移動しながら皮膚細胞内でシフトすることを示唆している。HAの役割はスポンジとして働き、皮膚の水分を保持することであるので、この上層からのシフトによって、細線の増加および皮膚の弾性の減少が引き起こされる。
【0098】
局所的HAが、表皮上層に吸収されていれば、皮膚の水分含有量が上昇し、細線の出現が減少し、同時に弾性の損失が増大するはずである。残念なことに、単独で使用すると、HAの吸収はその高粘度によって妨害される。局所塗布でHAを有効に送達するには、キャリアとして働く別の材料と組み合わせなければならない。バイオアベイラビリティの高い補酵素Q10は、理想的なキャリアであり、それ自身の貴重な利益を皮膚にも加える。したがって、本発明は、HAをCoQ10と組み合わせて、CoQ10の存在によって、HAの真皮上層への優れた吸収および細胞エネルギーの増大をもたらすスキンローションのための製剤を提供する。
【0099】
酸化防止剤を含む製剤
皮膚のシワの主原因として、これらは年齢と共に進行するという単純な考えではなく、日光、ストレス、汚染、喫煙、および不健全な飲食習慣が引用されることが多い。加齢皮膚に抗するために、多数の製品が市場に出されている。これらの製品のうち、一般的な添加剤であるレチノイン酸(「レチンA」)が主要である。残念なことに、レチノイン酸は日光感受性の増大を引き起こす恐れがあり、したがって抗シワ製剤の添加剤として望ましくない。
【0100】
スキンケア製品の進歩によって、ビタミンA、ビタミンE、アスタキサンチン、α−リポ酸、ゼアキサンチン、ルテイン、フラボノイド(例えば、天然供給源、果実、野菜、ベリーなどに由来)、およびピクノジェノールなどの酸化防止剤の添加による利点を提供する代替形態がもたらされた。アスタキサンチンは、体のカロテノイドおよびビタミンEの使用を最大限にする天然カロテノイド色素である。α−リポ酸は、ミトコンドリアおよびDNAを保護し、他の抗酸化剤をリサイクルし、より有効にすることによって他の抗酸化剤と密接に働く。ごく最近では、スキンケア製品の進歩によって、ミネラル(例えば、亜鉛)およびアミノ酸(例えば、チロシン)と提携して働くビタミンCに焦点が当てられている。このようなクリームを用いた抗シワ結果は印象的であるが、ビタミンCの半減期が、この重要な材料の自動酸化のため短すぎて(すなわち、30分)、生物活性を経時的に予測することができない。ビタミンCと等価またはそれよりよい効力の酸化防止剤は、補酵素Q10である。CoQ10の半減期(>30時間)は、ビタミンCの半減期よりはるかに長い。さらに、これは高親油性であるので、ビタミンCより容易に吸収され、したがって損傷を与えるラジカルに向いている皮膚をより保護する。したがって、一の実施形態では、本発明は、酸化防止剤を、バイオアベイラビリティの高いCoQ10と、適切なミネラルおよびアミノ酸と共に組み合わせる抗シワスキンローションのための新規製剤を提供する。親化合物であるビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、およびビタミンEを述べる場合、エステル誘導体も包含され得る。
【0101】
石油製品を含む製剤
別の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、および石油製品、例えば石油ゼリーまたは鉱物油を含む皮膚保護のための組成物を提供する。石油ゼリーを皮膚に塗布すると、苛酷な環境に対するバリアが設けられる。これは、皮膚の完全性を保護し、感染を防ぐ能力を有する。
【0102】
石油ゼリーは、その化学構造のため、少ししか表皮に吸収されない。石油ゼリーはその油性により、元々親油性である補酵素Q10を含む混合物に理想的に適したものとなる。したがって、本発明は、上皮層への吸収のためCoQ10を提供することによって、皮膚細胞全体の健康を改善する、CoQ10を含む石油ゼリー製剤を提供する。したがって、組成物は石油ゼリーの機能を向上させる。
【0103】
鉱物油は、水分を皮膚に封じ込め、繊細な皮膚を保護するためのバリアを設ける。使い易くするために、皮膚にオイルを霧吹きすることができる。元々親油性であるCoQ10は、鉱物油などの油性物質とよく混ざる。
【0104】
CoQ10を含む鉱物油組成物は、非常に有益である。皮膚に塗布すると、鉱物油は、CoQ10を処置対象の皮膚に浸透するように配置する。一の実施形態では、CoQ10を含む鉱物油組成物を皮膚に塗布して、皮膚がひび割れないように保護する。別の実施形態では、CoQ10を含む鉱物油組成物を皮膚に塗布して、おむつかぶれの治癒を容易にする。
【0105】
別の実施形態では、CoQ10を含む鉱物油製剤は、おむつに含まれる。したがって、本発明の鉱物油製剤を含むおむつは、おむつかぶれの治癒または予防のためCoQ10を皮膚に送達する巨大な経皮貼付剤として機能する。さらに、いくつかの実施形態では、CoQ10は、赤ちゃん用おむつのライニングにも含まれる抗真菌剤を送達する助けとなる。
【0106】
他の実施形態では、CoQ10の分散性の劇的な増大をもたらす最近の技術的開発(例えば、米国特許第6,191,172号明細書)は、CoQ10の鉱物油製剤から上皮層への吸収を改善し、CoQ10の吸収の改善によって、皮膚細胞全体の健康もさらに改善される。
【0107】
さらに別の実施形態では、CoQ10、およびオリーブ油、トウモロコシ油などの天然植物油を含むCoQ10組成物を製剤して、皮膚に局所塗布すると、皮膚の健康および外観を改善するローション剤を得る。
【0108】
経皮送達
別の例示的実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を含む組成物の経皮送達のための方法および装置を提供する。一実施形態では、経皮送達システムは貼付剤である。
【0109】
薬剤の経皮送達をもたらすフォーマットは、当技術分野で多数知られている。例示的実施形態では、経皮送達システムは経皮貼付剤または粘着貼付剤である。経皮貼付剤は、長時間にわたって制御された用量の薬剤を皮膚経由で送達するのに有用である。当技術分野で知られているように、皮膚用貼付剤では、特別の膜を使用して、貼付剤内のリザーバーに入っている液剤が皮膚を通過して、血流に進入することができる速度を制御する。貼付剤タイプの経皮送達システムの例は、参照により本明細書に援用される米国特許第6,183,770号明細書に開示されている。本発明によれば、補酵素Q10を単独で、経皮皮膚用貼付剤によって送達することができる。代替実施例では、CoQ10を他の物質と組み合わせて、それによって、組み合わせる物質の経皮送達が改善され、皮膚向上材料がもたらされる。
【0110】
局所皮膚処置のための薬剤の皮膚への送達は、皮膚の健康および外観を改善することが望ましいことがある。例えば、乾性または油性の皮膚、傷、擦過傷、切創、または発疹などの皮膚状態は、患部を治療し、さらなる皮膚損傷を予防する局所皮膚処置を必要とする。皮膚状態を処置しなければ、さらに皮膚刺激が起こり、皮膚への感染または損傷が起こる恐れがある。したがって、皮膚状態の処置によって、皮膚の健康および外観が改善される。
【0111】
さらに、皮膚は、活性な薬剤を全身に送達するのに理想的な系を提供する。皮膚は体に保護外膜を提供すると考えられているが、当技術分野で知られているように、いくつかの薬剤が皮膚経由で吸収され、皮膚は高度に血管新生した器官であるので、薬剤は循環血液供給に浸透し、体中に分配され、最終的には所期の標的に到達することもできる。医薬品経皮送達は、一定で連続した薬剤吸収をもたらし、したがって、薬剤を含む血液レベルが治療濃度域内に維持される。さらに、経皮送達によって、医薬品は、薬理学的に不活性な形に代謝される恐れがある門脈循環に最初に入ることなく、循環系に導入することができる。
【0112】
したがって、皮膚を横断して、潜在的には循環系に入る、薬剤のための徐放性キャリアとして補酵素Q10を利用する貼付剤は、治療物質の効率的な送達を確実にしながら、価値のある栄養素を皮膚にもたらす。例えば、補酵素Q10と組み合わせて、皮膚用貼付剤によって投与された薬剤には、レチノイン酸、アゼレックス、アダパレン(座瘡処置用)、スコポラミン(動揺病用)、ニコチン(禁煙用)、エストロゲン(受胎調節、閉経、および閉経後の骨粗鬆症の予防用)、ニトログリセリン(狭心症用)、およびリドカイン(帯状疱疹の疼痛の軽減用)が含まれるが、これらに限定されない。
【0113】
別の例示的実施形態では、経皮送達は、口腔粘膜経由の経皮送達で行われる。口腔粘膜は、他の粘膜より親油性の細胞を有し、親油性医薬品の送達が可能になる。したがって、一の実施形態では、CoQ10を単独、または他の物質と組み合わせて口腔粘膜を横断して送達する。
【0114】
下記の実施例は、本発明の組成物および方法を例示するために記載されているのであって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0115】
実施例1
抗座瘡剤−脂質製剤
下記の製剤は、本発明によるいくつかの典型的な抗座瘡を表す。これらの製剤を皮膚に局所塗布すると、座瘡の症状が改善される。
【0116】
【表1】

【0117】
一の実施形態では、局所組成物は、下記に開示するようにアゼライン酸を含む。一実施形態では、製剤はクリーム製剤である。通常は、クリーム製剤は、下記を含むことができる。
【0118】
【表2】

【0119】
実施例2
化粧用ファンデーション製剤
2.1 油−乳濁液リキッド製剤
化粧用ファンデーション製剤組成物を、下記の処方に従って作製する。
【0120】
【表3】

【0121】
材料を組み合わせ、よく混合して、乳濁液を形成することによって、組成物を調製する。得られた化粧組成物を容器に注ぎ込む。
【0122】
2.2 水中油型乳濁液スティックファンデーション
水中油型乳濁液スティックファンデーション製剤を、下記の処方に従って作製する。
【0123】
【表4】

【0124】
オープンなコロイドミルで、シーケンス1、2、3、および4を混合することによって顔料グラインドを作製し、分散をスライドガラス2枚の間で確認する。次いで、シーケンス5の材料を添加し、プロペラミキサーを使用して、混合物が滑らかで均一になるまで、混合物を85℃〜87℃に加熱した。別の容器で、シーケンス6を90℃に加熱する。プロペラミキサーを使用して、シーケンス7〜12をシーケンス6に添加し、材料が溶解し、乳白色溶液が得られるまで温度を85℃〜90℃に維持した。シーケンス1〜4の混合物を添加し、穏やかな撹拌下、10分間混合させる。シーケンス13を添加し、温度を83℃〜85℃に維持しながら、5分間混合する。シーケンス14、15、および17を混合物に添加し、よく混合した。組成物をスティック金型に注ぎ込む。
【0125】
実施例3
日焼け止め組成物およびSPFの測定
3.1 SPFの測定
MEDは、かろうじてわかる発赤(紅斑)を誘発するのに必要とされたUVB線の量の測定である。SPFは、次式で算出することができる。
【数1】

【0126】
試験は、試験参加者の個別のUV感受性を、背中の保護されていない皮膚領域を曝露することによって決定することから開始する。放射線源は、太陽シミュレータであり、大部分はキセノンランプを装備している。そのスペクトルは日光様であるが、より高い強度を有し、したがって、より短い照射時間が可能である。様々な強度に曝露して約20時間後、6つの皮膚領域の紅斑の目視評価によって、MED(US)を決定する。
【0127】
実際のSPF決定では、参加者の背中に、日焼け止め調製物の塗布のための試験領域に印をつける。あらゆる製品領域は、隣接する無処置対照領域が割り当てられている。曝露の強度を、皮膚感受性および予想紫外線防御指数に従って決定する。約20時間後、MED(US)およびMED(PS)を目視で評価する。得られた紫外線防御指数は、日焼け止めの塗布後に紅斑を生じるのに必要とされた個々の時間の平均的増加を示す。
【0128】
3.1a SPF: COLIPA方法
COLIPA方法は、日焼け止めの紫外線防御指数(UVB防御)を決定するために使用された例示的方法である(例えば、COLIPA紫外線防御指数試験方法、欧州化粧品トイレタリー香水協会、1994年10月(COLIPA Sun Protection Factor Test Method,The European Cosmetic,Toiletry,and Perfumery Association,Brussels,Belgium October,1994)を参照のこと)。試験方法は標準化され、規制されている。照射範囲、および試験に使用された太陽シミュレータの出力は、正確に定義されている。塗布量および製品の塗布モードも厳密に規定されている。試験方法は、被験者の皮膚のタイプ、または年齢から独立している。これらの厳密な仕様は、統計的に有意な日焼け止め試験をボランティア10人でしか行えないことを意味している。COLIPA方法は、信頼性が高く、再現性のある結果が得られる方法である。
【0129】
3.2 日焼け止め製剤
この製剤を使用して、紅斑を引き起こす日光の照射に対して耐水性保護をもたらす化粧用ファンデーションを作製する。
【0130】
3.2a 油中水型乳濁液
アクリル酸イソオクチル:メタクリル酸ステアリル:アクリル酸ターポリマー(モル比 50:30:20)を含む油中水型乳濁液
1クォートのアンバーボトルに、360部のパルミチン酸イソプロピル(IPP)、(「エメレスト(Emerest)」2316、マルムストローム・ケミカルズ、エメリー・インダストリーズ(Malmstrom Chemicals,Emery Industries,Inc.))、106.25部のアクリル酸イソオクチル、117.12部のメタクリル酸ステアリル、16.63部のアクリル酸、および2.40部の70%過酸化ベンゾイル(「ルシドール(Lucidol)」 70、ルシドール・ディビジョン、ペンウォルト・コーポレーション(Lucidol Division,Penwalt Corporation))を加える。系を真空にし、真空を窒素で解放することによって脱気する。引き続いて、ボトルの蓋を閉め、アトラスロンダオメータ(Atlas Launder−ometer)に60℃で16時間配置する。透明粘性ポリマーを放冷する。希釈したポリマー試料(2部のポリマー混合物と7部のIPP)は、ブルックフィールド(Brookfield)粘度(スピンドル#3、30rpm)が5400cpsであった。
【0131】
上記で希釈したターポリマーを、下記の材料を含有する油中水型乳濁液タイプの日焼け止め組成物に組み込む。
【0132】
【表5】

【0133】
ゆっくり撹拌しながら、相Aを180°Fに加熱し、別の容器で、適度に撹拌しながら、相Bを180°Fに加熱することによって、ローション剤を作製する。速く撹拌しながら、相Bを相Aに添加し、得られたクリーム状混合物を、混合しながら100°Fに冷却する。次いで、香料を添加する。組成物は、滑らかな白色クリーム状ローション剤であり、室温でかろうじて注ぎ込むことができる。ローション剤はわずかに油性の感触がある。
【0134】
150ワットのキセノンアークの太陽シミュレータ(ソーラー・ライト・カンパニー(Solar Light Company)、米国ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia,Pa.19126)から入手可能)を使用して、組成物を、紅斑防御についてヒトボランティアで試験する。組成物(0.12g)を、前腕の手掌部分の60cmの領域に塗布し、約2.0mg/cmのカバーが施されている。処置領域での最小紅斑応答を明らかにするのに必要な曝露量(最小紅斑量、MED)を、無処置対照領域のMEDを明らかにする曝露量と比較した。この比を「防御指数」と呼ぶ。この組成物の防御指数は4であった(すなわち、平均的な人は組成物を使用した場合、使用していない場合の4倍の紅斑照射量を耐えることができる)。
【0135】
紫外線吸収剤のレベルを調整することによって、防御指数を変更する。全重量の変更は、パルミチン酸イソプロピルのレベルまたは他の油相材料の組合せを変更することによって補償することができる。下記に列挙する防御指数データは、様々なレベルのオクチルジメチルPABAについてヒト対象者6人で決定された防御指数の算術平均を示す。データ点のそれぞれについて、平均からの標準偏差は約1であった。
【0136】
【表6】

【0137】
バンダイク(VanDyk & Co.,Inc.)からのオクチルジメチルPABAに関する情報は、1重量%の溶液は、入射紅斑紫外線の約13%を透過することを示唆している。これは、最小防御を提供しているはずであるが、非常によく日焼けするが、めったに熱傷しない人に有益となり得るだろう。ローション剤中のオクチルジメチルPABAの好ましい範囲は、1パーセント〜4パーセントである。この量は、2〜8+の防御指数を提供するはずである。しかし、極端な防御を望む人、または非常にわずかな防御しかいらない人には、より多いまたはより少ないものが使用され得るだろう。
【0138】
3.2b アクリル酸イソオクチル:アクリル酸コポリマー(モル比=90:10)を含む油性製剤
3リットルの樹脂フラスコに、1000部のパルミチン酸イソプロピル(IPP)、958部のアクリル酸イソオクチル、42部のアクリル酸、および7.14gの70パーセントの過酸化ベンゾイルを室温で加える。反応器をシールし、撹拌を開始し、系を真空にして脱気する。窒素で真空を解放し、系の窒素ブランケットを、残部の重合のため維持する。反応混合物を、赤外線灯で60℃に0.5時間加熱し、温度を60℃で(氷浴で、後半には赤外線灯で)6時間維持する。得られたポリマーを室温に冷却する。希釈した無色透明ポリマー試料(2部のポリマー混合物と、7部のIPP)は、ブルックフィールド(Brookfield)粘度(スピンドル3、30rpm)が1250cpsであった。
【0139】
上記で希釈したコポリマーを、下記の材料を含有する油系組成物に組み込んだ。
【0140】
【表7】

【0141】
香料以外の材料をすべて、ゆっくり撹拌しながら140°Fに温めることによってオイルを作製する。オイルが約100°Fに冷却した後、香料を添加する。
【0142】
組成物は、滑らかで透明な青白い金色のオイルであり、皮膚にのばすのが非常に容易である。この組成物防御指数(実施例1で決定して)は3である。
【0143】
2パーセント、2.5パーセント、3パーセント、および3.5パーセントのオクチルジメチルPABAを使用した点以外は上記と同一の4つのオイルを調製した。太陽シミュレータを使用して、これらのオイルをそれぞれ、ヒトボランティア6人で試験して、その防御指数を決定する。平均防御指数は、2パーセントの紫外線吸収剤を使用したオイルの2.97から、3.5パーセントの紫外線吸収剤を使用したオイルの4.21である。4パーセントの紫外線吸収剤を使用したオイルは、相当な防御を望んでいるオイルユーザーの大部分のニーズを満たすはずである。高いスクリーンオイルの作製は、高価な紫外線吸収剤を多量に必要とするはずであるので経済的可能性がない。オイルユーザーの多くは非常に最小防御を望み、低レベルの紫外線吸収剤を含有するオイル組成物が、一般的に許容できる。
【0144】
実施例5
口紅製剤
化粧用口紅組成物を、下記の処方に従って作製した。
【0145】
【表8】

【0146】
【表9】

【0147】
合成ワックス、パラフィンワックス、クエン酸トリイソステアリル、ジメチコン、およびコレステリルラナステロールを、ワックスを溶融させる熱で組み合わせることによって、口紅組成物を作製する。次いで、撹拌しながら、顔料、ラノリン油、保湿複合体、およびフィトステロール混合物を添加して、材料を混合した。最後に、シクロメチコンおよびデュポン(Dupont)ポリマーを添加する。混合物を金型に注ぎ込み、室温まで放冷する。
【0148】
実施例6
石油ゼリーおよび鉱物油製剤
ジャケット付きのケトルに、製剤で使用する脱イオン水の25%を加える。その後、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ワセリン、セチルアルコール、パルミチン酸イソプロピル、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン流体、ダウ・コーニング(Dow Corning)−DC 225流体として供給)、メチルパラベン防腐剤、プロピルパラベン防腐剤、およびグリセリンを添加する。均質な混合物を得るのに十分なせん断とターンオーバーで、混合物を撹拌しながら、混合物を徐々に約180°Fから190°Fまでの間の温度に加熱する。
撹拌を約30分間継続する。
【0149】
その後、撹拌を連続し強化しながら、残りの水を、約50°F〜70°Fの添加温度で徐々に添加する。水をすべて添加した後、混合物は、得られた温度が90°F〜110°Fである。その後、撹拌下に香水を均質なローション剤が生成するまで添加する。
【0150】
乾性皮膚の症状を緩和するのに必要とされるように、得られたスキンケア製品を皮膚に塗布する。このようにして形成されたスキンケア組成物は、下記の材料からなる。
【0151】
【表10】

【0152】
実施例7
リップバームのための製剤
リップバームを下記の組成物(単位:重量)で調製する。
【0153】
【表11】

【0154】
本明細書に記載する実施例および実施形態は、例示の目的にすぎないこと、その様々な変更または変形は、当業者に示唆され、本出願の趣旨および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲に含まれるものとすることを理解されたい。本明細書に引用される刊行物、特許、および特許出願はすべて、参照により本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座瘡を治療および皮膚科学的健康の向上のための組成物であって、
(i)抗座瘡治療薬、および
(ii)次式の化合物:
【化1】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含む組成物。
【請求項2】
nが9である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
、R、およびRがメチル基である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物が還元型である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記抗座瘡治療薬が、レチノイド化合物、アゼライン酸、アダパレン、サリチル酸、グリコール酸、過酸化ベンゾイル、エリスロマイシン、およびその組合せから選択されたメンバーである請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記抗座瘡治療薬が、レチノール、オール−トランス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、およびその組合せからなるレチノイド化合物から選択されたメンバーである請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、次式の化合物:
【化2】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含まない製剤より、約1%から約1000%の間で良好な、抗座瘡薬剤の経皮送達を提供する請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、約5%から約500%の間で良好な座瘡の処置を提供する請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、約25%から約100%の間で良好な座瘡の処置を提供する請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
次式の可溶化剤:
【化3】


[式中、
Xは、ステロール、トコフェロール、およびその誘導体からなる群から選択された疎水性部分の残基であり、
Yは、ポリエーテル、ポリアルコール、およびその誘導体からなる群から選択された親水性部分の残基であり、
pは1または2であり、
mは0または1であり、
nは0以上の整数であり、
pおよびmが1であり、かつ前記疎水性部分がコレステロールである場合、nは4より大きく、8未満であり、
pおよびmが1であり、前記疎水性部分が(+)−α−トコフェロールである場合、nは2未満である]
をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記疎水性部分が、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、カンプエステロール、シトステロール、エルゴステロール、スチグマステロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールから選択されたメンバーであり、前記親水性部分がポリエーテルである請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリエーテルがポリエチレングリコールである請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
局所抗菌軟膏の性能の向上をもたらす組成物であって、
(i)治療上有効な局所抗菌剤、および
(ii)次式の化合物:
【化4】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含み、
前記抗菌剤が、マクロライドポリエン抗生物質以外である組成物。
【請求項14】
nが9である請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
、R、およびRがメチル基である請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記化合物が還元型である請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記抗菌剤が、アルコール、ネオスポリン、ポリスポリン、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、ヘキサクロロフィン、フシジン酸、ネオマイシン、オキシテトラサイクリン、ムピロシン、フルクロキサシリン、アシクロビア、およびその組合せから選択されたメンバーである請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、鎮痛剤をさらに含む請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、抗炎症剤をさらに含む請求項13に記載の組成物。
【請求項20】
前記抗炎症剤が、コルチゾンをさらに含む請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
次式の可溶化剤:
【化5】


[式中、
Xは、ステロール、トコフェロール、およびその誘導体からなる群から選択された疎水性部分の残基であり、
Yは、ポリエーテル、ポリアルコール、およびその誘導体からなる群から選択された親水性部分の残基であり、
pは1または2であり、
mは0または1であり、
nは0以上の整数であり、
pおよびmが1であり、かつ前記疎水性部分がコレステロールである場合、nは4より大きく、8未満であり、
pおよびmが1であり、前記疎水性部分が(+)−α−トコフェロールである場合、nは2未満である]
をさらに含む請求項13に記載の組成物。
【請求項22】
前記疎水性部分が、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、カンプエステロール、シトステロール、エルゴステロール、スチグマステロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールから選択されたメンバーであり、前記親水性部分がポリエーテルである請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ポリエーテルがポリエチレングリコールである請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記抗菌剤の性能が、次式の化合物:
【化6】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含まない製剤に比べて、約1%から約1000%の間で向上している、請求項13に記載の組成物。
【請求項25】
前記抗菌剤の性能が、約5%から約500%の間で向上している請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記抗菌剤の性能が、約25%から約100%の間で向上している請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
日焼け止め剤の性能の向上をもたらす日焼け止め組成物であって、
(i)有効な日焼け止め剤、および
(ii)次式の化合物:
【化7】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含む日焼け止め組成物。
【請求項28】
nが9である請求項27に記載の日焼け止め組成物。
【請求項29】
、R、およびRがメチル基である請求項28に記載の日焼け止め組成物。
【請求項30】
前記化合物が還元型である請求項29に記載の日焼け止め組成物。
【請求項31】
次式の可溶化剤:
【化8】


[式中、
Xは、ステロール、トコフェロール、およびその誘導体からなる群から選択された疎水性部分の残基であり、
Yは、ポリエーテル、ポリアルコール、およびその誘導体からなる群から選択された親水性部分の残基であり、
pは1または2であり、
mは0または1であり、
nは0以上の整数であり、
pおよびmが1であり、かつ前記疎水性部分がコレステロールである場合、nは4より大きく、8未満であり、
pおよびmが1であり、前記疎水性部分が(+)−α−トコフェロールである場合、nは2未満である]
をさらに含む請求項27に記載の日焼け止め組成物。
【請求項32】
前記疎水性部分が、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、カンプエステロール、シトステロール、エルゴステロール、スチグマステロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールから選択されたメンバーであり、前記親水性部分がポリエーテルである請求項31に記載の日焼け止め組成物。
【請求項33】
前記ポリエーテルが、ポリエチレングリコールである請求項32に記載の日焼け止め組成物。
【請求項34】
前記日焼け止め組成物が、化粧用ファンデーション、リップバーム、および口紅から選択されたメンバーである製品のための製剤に含まれる請求項27に記載の日焼け止め組成物。
【請求項35】
フェイシャルクレンジングするための組成物であって、
(i)有効なフェイシャルクレンジング剤、および
(ii)次式の化合物:
【化9】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含み、
さらに、次式の可溶化剤:
【化10】


[式中、
Xは、ステロール、トコフェロール、およびその誘導体からなる群から選択された疎水性部分の残基であり、
Yは、ポリエーテル、ポリアルコール、およびその誘導体からなる群から選択された親水性部分の残基であり、
pは1または2であり、
mは0または1であり、
nは0以上の整数であり、
pおよびmが1であり、かつ前記疎水性部分がコレステロールである場合、nは4より大きく、8未満であり、
pおよびmが1であり、前記疎水性部分が(+)−α−トコフェロールである場合、nは2未満である]
を含む組成物。
【請求項36】
nが9である請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
、R、およびRがメチル基である請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記化合物が還元型である請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記疎水性部分が、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、カンプエステロール、シトステロール、エルゴステロール、スチグマステロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールから選択されたメンバーであり、前記親水性部分がポリエーテルである請求項35に記載の組成物。
【請求項40】
前記ポリエーテルが、ポリエチレングリコールである請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物が、フェイシャルマスクおよび棒状石鹸からなる群から選択された製品のための製剤に含まれる請求項35に記載の組成物。
【請求項42】
前記フェイシャルマスクが、グレイシャルシルトまたはグレイシャルクレイをさらに含む請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記グレイシャルシルトが、平均直径が約0.004mmから約0.063mmの間の範囲であるシルト粒子を含んでなる請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
次式の化合物:
【化11】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含む組成物の送達方法であって、
(i)前記化合物を経皮送達システムによって提供することを含む方法。
【請求項45】
nが9である請求項44に記載の方法。
【請求項46】
、R、およびRがメチル基である請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記化合物が還元型である請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記経皮送達システムが、皮膚貼付剤である請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記組成物が、次式の可溶化剤:
【化12】


[式中、
Xは、ステロール、トコフェロール、およびその誘導体からなる群から選択された疎水性部分の残基であり、
Yは、ポリエーテル、ポリアルコール、およびその誘導体からなる群から選択された親水性部分の残基であり、
pは1または2であり、
mは0または1であり、
nは0以上の整数であり、
pおよびmが1であり、かつ前記疎水性部分がコレステロールである場合、nは4より大きく、8未満であり、
pおよびmが1であり、前記疎水性部分が(+)−α−トコフェロールである場合、nは2未満である]
をさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記疎水性部分が、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、カンプエステロール、シトステロール、エルゴステロール、スチグマステロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールから選択されたメンバーであり、前記親水性部分がポリエーテルである請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ポリエーテルがポリエチレングリコールである請求項50に記載の方法。
【請求項52】
皮膚炎症を減少させ、皮膚の色合いを安定させるための組成物であって、
(i)次式の化合物:
【化13】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含む組成物。
【請求項53】
nが9である請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
、R、およびRがメチル基である請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記化合物が還元型である請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記組成物がコルチゾンをさらに含む請求項52に記載の組成物。
【請求項57】
前記皮膚炎症が炎症性皮膚疾患を伴う請求項52に記載の組成物。
【請求項58】
前記炎症性皮膚疾患が酒さ性座瘡である請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記組成物が、次式の可溶化剤:
【化14】


[式中、
Xは、ステロール、トコフェロール、およびその誘導体からなる群から選択された疎水性部分の残基であり、
Yは、ポリエーテル、ポリアルコール、およびその誘導体からなる群から選択された親水性部分の残基であり、
pは1または2であり、
mは0または1であり、
nは0以上の整数であり、
pおよびmが1であり、かつ前記疎水性部分がコレステロールである場合、nは4より大きく、8未満であり、
pおよびmが1であり、前記疎水性部分が(+)−α−トコフェロールである場合、nは2未満である]
をさらに含む請求項52に記載の組成物。
【請求項60】
前記疎水性部分が、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、カンプエステロール、シトステロール、エルゴステロール、スチグマステロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールから選択されたメンバーであり、前記親水性部分がポリエーテルである請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記ポリエーテルがポリエチレングリコールである請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
化粧用ファンデーションであって、
(i)次式の化合物:
【化15】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含む化粧用ファンデーション。
【請求項63】
nが9である請求項62に記載の化粧用ファンデーション。
【請求項64】
、R、およびRがメチル基である請求項63に記載の化粧用ファンデーション。
【請求項65】
前記化合物が還元型である請求項64に記載の化粧用ファンデーション。
【請求項66】
前記組成物が、次式の可溶化剤:
【化16】


[式中、
Xは、ステロール、トコフェロール、およびその誘導体からなる群から選択された疎水性部分の残基であり、
Yは、ポリエーテル、ポリアルコール、およびその誘導体からなる群から選択された親水性部分の残基であり、
pは1または2であり、
mは0または1であり、
nは0以上の整数であり、
pおよびmが1であり、かつ前記疎水性部分がコレステロールである場合、nは4より大きく、8未満であり、
pおよびmが1であり、前記疎水性部分が(+)−α−トコフェロールである場合、nは2未満である]
をさらに含む請求項62に記載の化粧用ファンデーション。
【請求項67】
前記疎水性部分が、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、カンプエステロール、シトステロール、エルゴステロール、スチグマステロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールから選択されたメンバーであり、前記親水性部分がポリエーテルである請求項66に記載の化粧用ファンデーション。
【請求項68】
前記ポリエーテルがポリエチレングリコールである請求項67に記載の化粧用ファンデーション。
【請求項69】
製剤であって、
(i)次式の化合物:
【化17】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]、および
(ii)ヒアルロン酸
を含む製剤。
【請求項70】
nが9である請求項69に記載の製剤。
【請求項71】
、R、およびRがメチル基である請求項70に記載の製剤。
【請求項72】
前記化合物が還元型である請求項71に記載の製剤。
【請求項73】
次式の化合物:
【化18】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
が、ヒアルロン酸の皮膚細胞への浸透を改善する請求項69に記載の製剤。
【請求項74】
前記ヒアルロン酸が、次式の化合物:
【化19】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含まないローションを含むヒアルロン酸より、約1%から1000%の間で良好に皮膚細胞に浸透する請求項69に記載の製剤。
【請求項75】
皮膚保護のための組成物であって、
(i)次式の化合物:
【化20】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]、および
(ii)鉱物油および石油ゼリーから選択されたメンバーである化合物
を含む組成物。
【請求項76】
nが9である請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
、R、およびRがメチル基である請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
前記化合物が還元型である請求項77に記載の組成物。
【請求項79】
唇の皮膚の健康を保護し、向上させるための組成物であって、
(i)次式の化合物:
【化21】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]
を含む組成物。
【請求項80】
nが9である請求項79に記載の組成物。
【請求項81】
、R、およびRがメチル基である請求項80に記載の組成物。
【請求項82】
前記化合物が還元型である請求項81に記載の組成物。
【請求項83】
前記組成物が、口紅およびリップバームから選択されたメンバーである形である請求項79に記載の組成物。
【請求項84】
スキンクリームのための組成物であって、
(i)次式の化合物:
【化22】


[式中、
、R、およびRは、置換および非置換のC〜Cのアルキル基から独立に選択されたメンバーであり、
nは0〜19の整数である]、および
(ii)ビタミンC
を含む組成物。
【請求項85】
nが9である請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
、R、およびRがメチル基である請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
前記化合物が還元型である請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
前記式が、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、アスタキサンチン、α−リポ酸、ゼアキサンチン、ルテイン、フラボノイド、およびピクノジェノールからなる群から選択された少なくとも1つの酸化防止剤をさらに含む請求項84に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−534619(P2008−534619A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504473(P2008−504473)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/012215
【国際公開番号】WO2006/107825
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507038434)ザイムス, エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】