説明

FPC基板が接続された回路基板及びFPC基板と回路基板との接続方法。

【課題】アライメントマークを設けなくても、回路基板の接続端子とFPC基板の接続端
子との間の電気的接続正確に素早く行うことができるFPC基板が接続された回路基板及
び回路基板とFPC基板の接続方法を提供すること。
【解決手段】回路基板15の接続端子20のうちの少なくとも2つを、他の接続端子20
よりも長さを長くし、回路基板15の配線の形成部分側に突出させてその表面を露出させ
るようにしてダミー接続端子20aとし、このダミー接続端子20aの露出部分を目印と
して、平面視で容易に視認できるFPC基板12の対応する接続端子24を、このダミー
接続端子20aと平面視で一直線に連なるよう整合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル印刷配線(FPC:Flexible Printed Circuit)基板が接続さ
れた回路基板及びFPC基板と回路基板との接続方法に関し、より詳細には、アライメン
トマークを設けなくても、FPC基板と回路基板との間の位置合わせを容易にかつ正確に
行うことができるFPC基板が接続された回路基板及びFPC基板と回路基板との接続方
法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL:Elec
tro-Luminescence)表示装置、無機EL表示装置、プラズマ表示装置、電気泳動型表示装
置、フィールドエミッションディスプレイ(FED:Field-Emission-Display)装置、発
光ダイオードアレイ表示装置等、種々の形式のものが知られている。
【0003】
これら電気光学表示装置は、例えば液晶表示装置を例にとると、画素電極等が設けられ
たアレイ基板と、これに対面するように配置されたカラーフィルター基板とを具備してい
る(下記特許文献1参照)。アレイ基板は、表示面の正面から見るとカラーフィルター基
板よりも一端面が突出するように大きく形成されており、この一端面には、各画素に駆動
信号を入力させるためのレジスト材料で被覆された複数の引き回し配線と、これら引き回
し配線が接続されるICチップと、このICチップに電気的に接続されていると共に表面
がレジスト材料で被覆されている複数の配線と、これらの複数の配線に接続された露出し
ている複数の接続端子が設けられている。これら複数の接続端子は、アレイ基板の周縁の
少なくとも一辺に形成されている。
【0004】
また、液晶表示装置においては、これら接続端子に駆動用の信号を供給するため、アレ
イ基板とは別に駆動回路基板が用いられているが、この駆動回路基板の周縁にも複数の露
出された接続端子が設けられている。そして、アレイ基板と駆動回路基板とを電気的に接
続するためにFPC基板が用いられており、このFPC基板の先端側及び後端側には、ア
レイ基板の接続端子及び駆動回路基板の接続端子と同数の露出された接続端子がそれぞれ
設けられている。このように、アレイ基板と駆動回路基板とがFPC基板を介して電気的
に接続され、液晶表示装置で表示される画像信号がアレイ基板上のICチップに入力され
る。
【0005】
アレイ基板及び駆動回路基板のそれぞれの接続端子にFPC基板の接続端子を接続する
際には、アレイ基板及び駆動回路基板のそれぞれの接続端子とFPC基板の接続端子との
間に異方性導電フィルムを介在させ、基板同士を加熱圧着させることによって接続されて
いる(下記特許文献2参照)。異方性導電フィルムを用いると、半田接続の場合に比する
と、回路基板とFPC基板とに形成されている複数の端子間の電気的接続を一度の加熱圧
着で容易に行うことができ、しかも、接続箇所の柔軟性や熱応力の緩和が可能となるとい
う利点を有する。
【0006】
この際、重要となるのが、回路基板の複数の接続端子とFPC基板の複数の接続端子の
位置合わせである。回路基板の接続端子及びFPC基板の接続端子は本来、同一配置とさ
れているので、回路基板の接続端子及びFPC基板の接続端子のそれぞれの位置合わせも
機械的に自動的にできるように思われる。しかしながら、近年の高精細化された電気光学
装置では、回路基板の接続端子及びFPC基板の接続端子とも、細く、数が多く、しかも
端子間ピッチも狭いため、僅かな傾きで隣接端子間に短絡が生じてしまう。
【0007】
更に、回路基板の接続端子及びFPC基板の接続端子のそれぞれには、僅かではあるが
バラツキが存在しており、また、位置合わせ治具への取り付けに際しても僅かにガタがあ
るため、自動的に正確な位置合わせを行うことは困難である。そのため、人手を介した位
置合わせが行われているが、この人手による位置合わせのためには視認可能な何らかの目
印が必要となる。
【0008】
しかしながら、FPC基板が接続された回路基板上の個々の接続端子は、半透明の異方
性導電フィルムで覆われている上、電気的に絶縁する必要上からその表面が外部に露出し
ないようにFPC基板で覆われた状態となっている。また、接続端子間のピッチが狭くな
ればなるほど回路基板上の個々の接続端子を識別し難くなる。そのため、回路基板の接続
端子を目印として位置合わせを正確に行うのは顕微鏡等を用いても困難である。また接続
端子以外の部分は電気的絶縁のためにフォトレジストで被覆されているので、接続端子以
外の配線等を目印にしようとしても、視認が困難であるため、接続端子同士の位置合わせ
は困難である。
【0009】
そこで、従来は、異方性導電フィルムを利用して回路基板にFPC基板を接続する際、
位置合わせ用にアライメントマークとよばれる目印が用いられている。このアライメント
マークは、位置合わせを容易にするために、各基板上に位置を正確に特定して配置される
様式化されたパターンを示す。すなわち、回路基板にFPC基板を電気的に接続する際に
は、例えば液晶表示装置のアレイ基板や駆動回路基板に異方性導電フィルムを仮止めして
おき、回路基板の左右両端側に設けられたアライメントマークとFPC基板の左右両端側
に設けられたアライメントマークとが一致するように、アライメントマーク部分を顕微鏡
等で拡大した画像をモニターで確認しながら位置合わせを行っている。
【0010】
しかしながら、このアライメントマークを用いた位置合わせ作業は、アレイ基板や駆動
回路基板のアライメントマークを半透明の異方性導電フィルムと半透明のFPC基板を介
して視認する必要があり、容易に行うことができるものではない。そのため、回路基板と
FPC基板との間の位置合わせは、各種の電気光学表示装置の製造工程の中でも最も作業
効率の悪いものとなっている。加えて、アライメントマークを目印として位置合わせをし
ても、必ずしも接続端子同士が100%確実に整合されて接続されるとは限らない。すな
わち、アラメントマークは接続端子との相対的位置が揃えられてはいるが、接続端子の接
続状態を直接視認するのに比べると、接続端子同士の接続精度が低くなってしまうためで
ある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−233727号公報
【特許文献2】特開平08−007957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年の電気光学表示装置に対する小型化、高詳細化への要請から、画素の小型化及び画
素数の増加が進み、これに応じて接続端子の数が増加すると共に、接続端子の幅や接続端
子間のピッチも小さくなっている。そのため、各基板の接続端子同士の位置合わせはより
精緻であることが要求されるようになっている。しかしながら、上述のように、アライメ
ントマークを用いた位置合わせには精度に限界があり、また、アライメントマークをより
正確に整合させる余地があるとしても、かかる位置合わせにその分だけ長い時間を要する
こととなるという問題点が存在している。しかも、電気光学表示装置の高精細化、小型化
等に起因する密集された配線・回路間にアライメントマークを形成するためのスペースを
別途確保しなければならないという問題点も存在している。
【0013】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、アライメントマークに変わるものを目印としてより
迅速かつ確実な位置合わせを行うことができる方法を種々検討してきた。その結果、本発
明者らは、回路基板のいわゆるダミー接続端子に着目し、これらダミー接続端子のうちの
少なくとも2つを他の接続端子よりも長さを長くすることで回路基板の配線の形成部分側
に突出させてその表面を露出させておけば、FPC基板の接続端子は平面視で容易に視認
できるため、このダミー接続端子の突出部分を目印として迅速かつ正確な位置合わせがで
きることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0014】
すなわち、本発明は、回路基板の接続端子とFPC基板との間の電気的接続を行うに際
し、アライメントマークを設けなくても、両基板の位置合わせを迅速かつ正確に行うこと
ができるFPC基板が接続された回路基板及びFPC基板と回路基板との接続方法を提供
することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明のFPC基板が接続された回路基板は、表面が絶縁
材料で被覆された複数の配線と、一辺に前記複数の配線と各々電気的に接続された表面が
露出している複数の接続端子と、が形成された回路基板と、
一端辺に表面が露出している複数の接続端子が形成されたFPC基板を備え、
前記回路基板の複数の接続端子と前記FPC基板の複数の接続端子とが異方性導電性フ
ィルムによって電気的に接続されたFPC基板が接続された回路基板において、
前記回路基板の複数の接続端子は、前記回路基板の配線側に突出した他の接続端子より
も長さが長い少なくとも2本のダミー接続端子を備え、
前記FPC基板は、平面視で、前記回路基板のダミー接続端子の前記配線側に突出した
部分は露出した状態で、前記回路基板のその他複数の接続端子は表面を被覆した状態で、
配置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明のFPC基板に接続された回路基板によれば、アライメントマークがなくても、
実質的に位置ずれがなく、接続端子同士が確実に接続されたFPC基板が接続された回路
基板を得ることができる。すなわち、FPC基板に形成された接続端子は不透明な金属で
形成され、かつ、FPC基板の基体は半透明樹脂で形成されているため、FPC基板の表
側からもFPC基板の接続端子を容易に視認することができる。更に、回路基板上の接続
端子も不透明な金属で形成され、かつ、回路基板の配線側に突出した少なくとも2本のダ
ミー接続端子はFPC基板を重ね合わせた状態でもその一部が突出しているので、絶縁材
料で被覆された配線等と区別して容易に視認することができる。
【0017】
したがって、回路基板にFPC基板を接続するに際して、これらのダミー接続端子の露
出部分を目印とし、この露出部分にFPC基板の対応する接続端子が平面視で一直線に連
なるよう整合させることができるので、接続端子同士が正確に位置合わせされたFPC基
板が接続された回路基板が実現される。加えて、平面視で、ダミー接続端子の配線側に突
出した部分は露出した状態であり、回路基板のその他複数の接続端子は、表面が被覆され
た状態であるので、露出されることはなく、また、通常、ダミー接続端子は、何れとも接
続されずにフローティング状態とされているので、その表面が一部露出していても短絡故
障が生じる虞はない。
【0018】
また、本発明のFPC基板が接続された回路基板においては、前記回路基板は、電気光
学表示装置の駆動回路基板又は電気光学表示装置の表示パネルとすることができる。
【0019】
近年の電気光学表示装置は、高精細化されているために、回路基板の接続端子及びFP
C基板の接続端子とも、細く、数が多く、しかも端子間ピッチも狭くなっている。本発明
のFPC基板が接続された回路基板をこのような電気光学表示装置の駆動回路基板又は電
気光学表示装置の表示パネルに適用すると、本発明の上記効果が顕著に現れる。なお、本
発明を適用し得る電気光学装置としては、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機EL表
示装置、プラズマ表示装置、電気泳動型表示装置、FED装置、発光ダイオードアレイ表
示装置等が挙げられる。
【0020】
また、本発明のFPC基板が接続された回路基板においては、前記電気光学表示装置は
、液晶表示装置又は有機EL表示装置とすることができる。
【0021】
液晶表示装置及び有機EL表示装置は、特に小型化、高精細化されているために、他の
形式の電気光学装置よりも回路基板の接続端子及びFPC基板の接続端子とも、細く、数
が多く、しかも端子間ピッチも狭くなっている。そのため、本発明のFPC基板が接続さ
れた回路基板によれば、上記効果が特に顕著に表れる。
【0022】
また、本発明のFPC基板が接続された回路基板においては、前記回路基板の前記配線
側に突出した少なくとも2本のダミー接続端子は、前記ダミー接続端子のうち、最も両端
側にあるダミー接続端子を含んでいることが好ましい。
【0023】
ダミー接続端子を目印とする場合でも、人手を介する以上、従来のようにアライメント
マークを目印とする場合のように多少の誤差は生じ得る。この点を考慮すると、2つの目
印の位置が近い程、回路基板とFPC基板との位置合わせ誤差が大きくなりやすい。した
がって、目印はできるだけ離れた位置にある方がより正確な位置合わせを行うことができ
るようになる。
【0024】
更に、上記目的を達成するため、本発明の回路基板とFPC基板との接続方法は、
表面が絶縁材料で被覆された複数の配線と、一辺に前記複数の配線と各々電気的に接続
された表面が露出している複数の接続端子とが形成された回路基板に対して、前記回路基
板の各接続端子に対応する接続端子がその一端辺に複数形成されたFPC基板を、異方性
導電フィルムを間に挟んで対応する前記接続端子同士が重なり合うように位置合わせした
のち、前記回路基板と前記FPC基板とを加熱圧着することにより両基板を接続するよう
にしたFPC基板と回路基板との接続方法であって、
前記位置合わせに際して、
前記回路基板として、前記回路基板の前記配線側に突出した他の接続端子よりも長さが
長い少なくとも2本のダミー接続端子が形成されたものを使用し、
前記ダミー接続端子に対応するFPC基板の接続端子を、平面視で、前記ダミー接続端
子の前記配線側に突出した部分と一直線になるように整合させ、前記回路基板の接続端子
と前記FPC基板の接続端子との位置合わせを行うことを特徴とする。
【0025】
FPC基板に形成された接続端子は不透明な金属で形成され、かつ、FPC基板の基体
は半透明樹脂で形成されているため、FPC基板の基体側からであってもFPC基板の接
続端子を容易に視認することができる。加えて、回路基板上のダミー接続端子も不透明の
金属で形成され、かつ、ダミー接続端子はFPC基板と回路基板とを重ね合わせた状態で
もその一部が突出しているので、絶縁材料で被覆された配線等と区別して容易に視認する
ことができる。したがって、本発明のFPC基板と回路基板との接続方法によれば、アラ
イメントマークを設けなくても、ダミー接続端子の露出部分を目印として、この露出部分
にFPC基板の対応する接続端子が平面視で一直線に連なるよう整合させることで左右方
向の正確な位置合わせを容易に行うことができるようになる。
【0026】
また、回路基板に対してFPC基板が傾いているような場合にも、ダミー接続端子の露
出部分を目印として、この露出部分にFPC基板の対応する接続端子が平面視で一直線に
連なるよう整合させることにより、回路基板に対するFPC基板の傾き補正をすることも
できるようになる。併せて、ダミー接続端子は一部が露出されている状態となると共にそ
の他の回路基板の接続端子はFPC基板で被覆されるように整合をとることで、上下方向
の正確な位置合わせも容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る回路基板とFPC基板との接続状態を示す概略平面図である。
【図2】図1の領域II部分の拡大平面図である。
【図3】図3Aは図2のIIIA−IIIA線に沿った概略断面図であり、図3Bは図2のIIIB−IIIB線に沿った概略断面図である。
【図4】アレイ基板が載置されたステージを含む圧着機の主要部を横から見た概略図である。
【図5】アレイ基板に対してFPC基板を位置合わせする方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に示す実
施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために、回路基板の一例として、液晶表示パ
ネル及び液晶表示パネルの駆動回路基板に適用した例を示すものであり、本発明をこの液
晶表示パネルやこの液晶表示パネルの駆動回路基板に特定することを意図するものではな
く、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【0029】
まず、本発明が適用された電気光学表示装置としての液晶表示装置を図1〜図3を用い
て説明する。図1及び図2に示すように、液晶表示装置10は、本発明の回路基板に相当
する液晶表示パネル11と、この液晶表示パネル11に接続されたFPC基板12と、同
じくFPC基板12と接続された本発明の別の回路基板に相当する駆動回路基板13とを
備えている。
【0030】
液晶表示パネル11は、カラーフィルター基板14と、カラーフィルター基板14より
も表示面側から見て一端面が突出するように形成されたアレイ基板15とを有している。
アレイ基板15の突出した一端面上には、表示領域の各画素へ駆動信号を入力するための
レジスト材料で被覆された複数本の引き回し配線16と、これら引き回し配線16が接続
されるICチップ17と、このICチップ17に電気的に接続されるレジスト材料18で
被覆された複数本の接続配線19と、露出された複数の接続端子20(図2参照)が形成
された端子領域21が設けられている。これらの複数の接続端子20が形成された端子領
域21は、例えばアレイ基板15の一短辺に整列配置されている。
【0031】
また、駆動回路基板13には、液晶表示パネル11へ出力される画像信号やクロック信
号等、各種の信号を生成する周辺回路(図示省略)が形成されており、その一短辺に複数
の接続端子(図示省略)が整列配置された端子領域22が形成されている。そして、アレ
イ基板15の端子領域21の各接続端子20及び駆動回路基板13の端子領域22におけ
る各接続端子は、互いにFPC基板12によって電気的に接続されている。
【0032】
FPC基板12は、図3Bに示すように、可撓性のある半透明な基板23の一方端に、
アレイ基板15の端子領域21に形成された接続端子20と電気的に接続するための複数
の接続端子24が整列配置されており、他方端に駆動回路基板13の接続部22に形成さ
れている接続端子と電気的に接続するための複数の接続端子(図示省略)がそれぞれ形成
されている。FPC基板12の一方端側の複数の接続端子24と他方端側の複数の接続端
子とは、互いに接続配線25によって電気的に接続されており、この接続配線25の表面
はレジスト材料又は絶縁材料からなる半透明の薄膜26によって被覆されている。
【0033】
図2は、図1の領域II部分の拡大平面図であり、アレイ基板15の接続端子20とFP
C基板12の接続端子24との間の接続状態を詳細に示す図である。図2には、図1では
図示省略された、アレイ基板15の複数の接続端子20及びアレイ基板15の上に重ね合
わされたFPC基板12の複数の接続端子24が図示されている。
【0034】
アレイ基板15の接続端子20は、全て同一幅及び同一ピッチで形成されており、この
うち、両端部のそれぞれ3本、計6本のダミー接続端子20aを除いて、全て同一の長さ
とされている。ただし、両端部の6本のダミー接続端子20aは、他の接続端子よりも僅
かに長さが長くされている。また、アレイ基板15の全ての引き回し配線16及び接続配
線19は、レジスト材料18で被覆され、互いに絶縁されている。そして、ダミー接続端
子20aは、レジスト材料18で被覆されておらず、表面が露出されている。
【0035】
このダミー接続端子20aは、アレイ基板15側では、何れにも電気的に接続されてお
らず、フローティング状態とされている。なお、ICチップ17にダミー端子が形成され
ている場合、このICチップ17のダミー端子にダミー接続端子20aを電気的に接続す
るようにしてもよい。この場合においては、ICチップ17のダミー端子とアレイ基板1
5のダミー接続端子20aとを結ぶ接続配線(図示省略)の表面はレジスト材料18で被
覆されていることが好ましい。
【0036】
また、FPC基板12の複数の接続端子24は、全て同一長さ、同一幅及び同一ピッチ
とされている。なお、FPC基板12の複数の接続端子24は、実質的にアレイ基板15
の接続端子20の幅及びピッチと同一であるが、図2では区別を容易にするため、僅かに
アレイ基板15の接続端子20よりも幅広に描かれている。また、このFPC基板12の
複数の接続端子24はそれぞれアレイ基板の接続端子20及びダミー接続端子20aと対
応する数だけ形成されている。
【0037】
このアレイ基板15の接続端子20とFPC基板12の接続端子の固定状態を図3を用
いて説明する。なお、図3Aは図2のIIIA−IIIA線に沿った断面図であり、図3Bは図
2のIIIB−IIIBに沿った断面図である。図3Aに示されているように、アレイ基板15の
ダミー接続端子20a上には異方性導電フィルム27が載置されており、この異方性導電
フィルム27を介して、アレイ基板15のダミー接続端子20aはFPC基板12の接続
端子24とそれぞれ電気的に接続されている。そして、ダミー接続端子20aのICチッ
プ17側は部分的に表面が露出されているが、その他のダミー接続端子20a及び接続端
子20の表面は、FPC基板12の接続端子24及び半透明な基板23によって被覆され
ている。
【0038】
また、図3Bに示されているように、アレイ基板15の接続端子20上にも異方性導電
フィルム27が載置されており、この異方性導電フィルム27を介して、アレイ基板15
の接続端子20はFPC基板12の接続端子24とそれぞれ電気的に接続されている。そ
して、ダミー接続端子20aのICチップ17側は部分的に表面が露出されているが、そ
の他の表面は異方性導電フィルム27を介してFPC基板12の接続端子24及び半透明
な基板23によって被覆されている。
【0039】
このようなアレイ基板15の接続端子20ないしダミー接続端子20aとFPC基板1
2の接続端子24との間の接続方法を図4及び図5を用いて説明する。なお、図4は、ア
レイ基板が載置されたステージを含む圧着機の主要部を横から見た概略図である。また、
図5は、アレイ基板に対してFPC基板を位置合わせする方法を示す説明図である。
【0040】
まず、アレイ基板15が、位置合わせ治具(載置台)30の上に、位置合わせして載置
される。なお、この位置合わせのための手段は、周知の任意の構成を採用することができ
る。そして、このアレイ基板15に、異方性導電フィルムをテープ等で仮止めしておき、
アレイ基板15に対するFPC基板12の位置合わせを行う。このときの位置合わせは、
例えばTVカメラ31を使用し、モニター(図示省略)に表示された拡大画像を見ながら
、人手によりFPC基板12の位置及び配置を微調整しながら行われる。
【0041】
モニターには、アレイ基板15とFPC基板12の接続箇所(端子領域21)を上から
見た平面映像が映し出される。このとき、FPC基板12の接続端子24は不透明である
ため、FPC基板12の半透明の基板23を通して明確に視認することができる。これに
対し、アレイ基板15のダミー接続端子20aの一部及び接続端子20は、異方性導電フ
ィルム及びFPC基板12で完全に被覆されているため、非常に視認し難い。しかしなが
ら、ダミー接続端子20aのICチップ17側は部分的に表面が露出されており、しかも
このダミー接続端子20aの表面が露出された部分はFPC基板12及びレジスト材料1
8によって被覆されていないため、容易に視認できる。
【0042】
そこで、本実施形態では、モニターに映し出されたダミー接続端子20aの露出部分と
FPC基板12の接続端子24とが重なり合って直線状になるように、FPC基板12の
位置合わせを行う。このようにすると、正確な位置合わせができるようになる。この位置
合わせの際、アレイ基板15の接続端子20及びFPC基板12の接続端子24とが傾い
た状態で重ねられると、FPC基板12の接続端子24の間に交差した状態でアレイ基板
15の接続端子20が視認でき、場合によってはモアレ縞が観測される。そのため、容易
にアレイ基板15の接続端子20及びFPC基板12の接続端子24とが傾いていること
が確認できる。このようなときは、アレイ基板15の両端側に形成されているダミー接続
端子20aの露出の程度が同程度となるようにして、モアレ縞が見えないようにすれば、
容易にアレイ基板15の接続端子20とFPC基板12の接続端子24とが一直線になる
ように調整できる。
【0043】
また、図5Aに示されるように、FPC基板12側からアレイ基板15のダミー接続端
子20aを含む接続端子20がいずれも視認できないような場合には、アレイ基板15の
両端のダミー接続端子20aが視認できるように、かつ、他の接続端子20が完全にFP
C基板12で被覆されて視認できないように、FPC基板12を下方に移動することによ
って、位置合わせを正確に行うことができる。逆に、図5Bに示されるように、FPC基
板12からアレイ基板15の接続端子20及びダミー接続端子20bのいずれもが視認さ
れるような場合には、アレイ基板15の両端のダミー接続端子20aが視認できるように
、かつ、他の接続端子20が完全にFPC基板12で被覆されて視認できないように、F
PC基板12を上方へ移動させることによって、位置合わせを正確に行うことができる。
【0044】
また、図5Cに示されるように、アレイ基板15の接続端子20は完全に被覆されてお
り、かつ、アレイ基板15の両端側のダミー接続端子20aの一部は露出されて視認でき
るが、アレイ基板15のダミー接続端子20aの露出部分に対して、FPC基板12の対
応する接続端子24が右側にずれている場合には、FPC基板12を左側にずらして、こ
のアレイ基板15の露出されたダミー接続端子20aに、FPC基板12の対応する接続
端子24が一直線に連なるようにすると、位置合わせを正確に行うことができる。逆に、
図5Dに示されるように、アレイ基板15の接続端子20は完全に被覆されており、かつ
、アレイ基板15の両端側のダミー接続端子20aの一部は露出されて視認できるが、F
PC基板12の対応する接続端子24が左側にずれている場合には、FPC基板12を右
側にずらして、このアレイ基板15の露出されたダミー接続端子20aにFPC基板12
の対応する接続端子24が一直線に連なるようにすると、位置合わせを正確に行うことが
できる。
【0045】
このように、アレイ基板15のダミー接続端子20aの露出部分を目印として、FPC
基板12を上下・左右に移動させ、更には必要に応じて左右回転させれば、アライメント
マークを用いることなく、アレイ基板15の接続端子20とFPC基板12の対応する接
続端子24とを直接視認して、位置合わせすることができるようになる。
【0046】
この位置合わせが行われた後、アレイ基板15とFPC基板12の接続箇所を加熱圧着
することにより、異方性導電フィルムを介してアレイ基板15の接続端子20及びダミー
接続端子20aとFPC基板12の接続端子24とが正確に位置合わせされて電気的に接
続されることになる。
【0047】
なお、上記実施形態では、アレイ基板15のダミー接続端子20aが両端に3本ずつ設
けられたものを示したが、アレイ基板15とFPC基板12とを重ね合わせた状態で、そ
の先端部が露出されるダミー接続端子20aは2本以上あればよく、特に、その位置を両
端に限定するものではない。しかしながら、露出されるダミー接続端子20aが離れてい
るほど、より正確な位置合わせができるため、両端のダミー端子20aを選択することが
望ましく、更に、両端のダミー端子とこれに隣接するダミー端子とを加えた合計4本以上
とするのがより好ましい。
【0048】
なお、上記実施形態では、液晶表示装置のアレイ基板とFPC基板を接続する例を示し
たが、本発明のFPC基板が接続された回路基板は、これに限られることなく、駆動回路
基板とFPC基板を接続する場合も含み、様々な回路基板とFPC基板との接続に適用で
きるものである。例えば、電気光学表示装置に限れば、有機EL表示装置、無機EL表示
装置、プラズマ表示装置、電気泳動型表示装置、FED装置、発光ダイオードアレイ表示
装置等、種々の形式のものに適用できる。
【符号の説明】
【0049】
10…液晶表示装置 11…液晶表示パネル 12…FPC基板 13…駆動回路基板
14…カラーフィルター基板 15…アレイ基板 16…引き回し配線 17…ICチ
ップ 18…レジスト材料 19…(アレイ基板の)接続配線 20…(アレイ基板の)
接続端子 20a…ダミー端子 21…(アレイ基板の)端子領域 22…(駆動回路基
板の)端子領域 23…半透明な基板 24…(FPC基板の)接続端子 25…(FP
C基板の)接続配線 26…半透明の薄膜 27…異方性導電フィルム 30…位置決め
治具(載置台) 31…TVカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が絶縁材料で被覆された複数の配線と、一辺に前記複数の配線と各々電気的に接続
された表面が露出している複数の接続端子と、が形成された回路基板と、
一端辺に表面が露出している複数の接続端子が形成されたフレキシブル印刷配線基板を
備え、
前記回路基板の複数の接続端子と前記フレキシブル印刷配線基板の複数の接続端子とが
異方性導電性フィルムによって電気的に接続されたフレキシブル印刷配線基板が接続され
た回路基板において、
前記回路基板の複数の接続端子は、前記回路基板の配線側に突出した他の接続端子より
も長さが長い少なくとも2本のダミー接続端子を備え、
前記フレキシブル印刷配線基板は、平面視で、前記回路基板のダミー接続端子の前記配
線側に突出した部分は露出した状態で、前記回路基板のその他複数の接続端子は表面を被
覆した状態で、配置されていることを特徴とするフレキシブル印刷配線基板が接続された
回路基板。
【請求項2】
前記回路基板は、電気光学表示装置の駆動回路基板又は電気光学表示装置の表示パネル
であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル印刷配線基板が接続された回路基
板。
【請求項3】
前記電気光学表示装置は、液晶表示装置又は有機エレクトロルミネッセンス表示装置で
あることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル印刷配線基板が接続された回路基板

【請求項4】
前記回路基板の前記配線側に突出した少なくとも2本のダミー接続端子は、前ダミー接
続端子のうち、最も両端側にあるダミー接続端子を含んでいることを特徴とする請求項1
〜3のいずれかに記載のフレキシブル印刷配線基板が接続された回路基板。
【請求項5】
表面が絶縁材料で被覆された複数の配線と、一辺に前記複数の配線と各々電気的に接続
された表面が露出している複数の接続端子とが形成された回路基板に対して、前記回路基
板の各接続端子に対応する接続端子がその一端辺に複数形成されたフレキシブル印刷配線
基板を、異方性導電フィルムを間に挟んで対応する前記接続端子同士が重なり合うように
位置合わせしたのち、前記回路基板と前記フレキシブル印刷配線基板とを加熱圧着するこ
とにより両基板を接続するようにした回路基板とフレキシブル印刷配線基板との接続方法
であって、
前記位置合わせに際して、
前記回路基板として、前記回路基板の前記配線側に突出した他の接続端子よりも長さが
長い少なくとも2本のダミー接続端子が形成されたものを使用し、
前記ダミー接続端子に対応するフレキシブル印刷配線基板の接続端子を、平面視で、前
記ダミー接続端子の前記配線側に突出した部分と一直線になるように整合させ、前記回路
基板の接続端子と前記フレキシブル印刷配線基板の接続端子との位置合わせを行うことを
特徴とする回路基板とフレキシブル印刷配線基板との接続方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−129554(P2011−129554A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283726(P2009−283726)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】