説明

TDC回路、PLL回路、並びに無線通信装置

【課題】入力信号とトリガ信号の間に遅延時間が存在するというフリップフロップ自身の特性に起因した検出誤差を改善するTDC回路を提供する。
【解決手段】各フリップフロップ105−1、…は、CLKREF、B2からDelay1だけ遅延したタイミングをトリガにして入力信号A0、A1、A2をそれぞれ保持し、データ系列[C0:C3]として“1110”を得る。例えば、[C0:C1]が“11”の場合は遅延量の符号をマイナスとし、[C2:C3]を左から1から0に変化する点をカウントすることでデコードされる。よって、この例では、“−1”とデコードされ、Delay=−Dを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばディジタル制御発振器(DCO)を持つPLL回路において、分周比の分数成分に相当する時間差をディジタル値に変換するために使用されるTDC(Time−to−Digital Converter)回路、PLL回路、並びに無線通信装置に係り、具体的には、発振周波数クロックの立ち上がりエッジと基準周波数の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ間の時間差をディジタル的に変換するTDC回路、PLL回路、並びに無線通信装置に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、複数の遅延素子が従属接続された回路に発振周波数クロックを入力するとともに、各遅延素子の出力を基準周波数の立ち上がりエッジで動作するフリップフロップで保持し、基準周波数クロックの立ち上がりエッジと発振周波数クロックの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差をそれぞれディジタル値に変換するTDC回路、PLL回路、並びに無線通信装置に係り、特に、入力信号とトリガ信号の間に遅延時間が存在するというフリップフロップ自身の特性に起因した検出誤差を改善するTDC回路、PLL回路、並びに無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信端末では、搬送波周波数を正確な周波数にロックさせておくために、通常はPLL(Phase Locked Loop)回路が用いられる。
近年では、半導体プロセスの微細化に伴い、アナログ電圧で制御する電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator:VCO)をディジタル制御発振器(Digital Controlled Oscillator:DCO)に置き換えた、フルディジタル構成のPLL回路が着目されつつある。
【0004】
従来のVCOを用いたPLL回路では、基準クロックとVCO出力を分周したクロックの2つのクロック間の位相差を位相比較器で比較するように構成されている。一般的な位相比較器として、位相差をアップ、ダウン、アップ+ダウンの3状態のパルス幅に変換する回路が用いられ、このパルスを用いてチャージ・ポンプ回路の電流源を制御し、出力される電流をループ・フィルタで電圧に変換して、VCOを制御する仕組みとなっている。位相比較器をリニアで動作させるにはドレイン・ソース間電圧VDSを消費するため、低電圧には不向きとされている。
【0005】
これに対し、図16に示すように、DCOを用いたAll−Digital PLL回路の一構成例では、分周比のFractional(分数)成分に相当する時間差をTime−to−Digital Converter(TDC)回路で、Integer(整数)成分をアキュムレータ回路でそれぞれディジタル値に変換し、検出したこれらの分周比に相当するディジタル値をさまざまな手法でフィードバックし、DCOをディジタル的に制御する(例えば、非特許文献1を参照のこと)。
【0006】
ここで、TDC回路は、発振周波数クロックの立ち上がりエッジと基準周波数の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ間の時間差をディジタル的に変換する手段として、当業界で広く知られている。TDC回路は、大部分をインバータ回路やフリップフロップといったディジタル制御回路で構成されるので、微細なCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)技術を適用して低コストに製作し易い。
【0007】
図17には、一般的なTDC回路の構成例を示している。TDC回路は、図17Aに示すように、遅延素子として複数(図示の例では10個)のインバータ回路などが従属に接続された回路に発振周波数クロックCLKRFが入力され、各遅延素子の出力D1、D2、…、D10を基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジで動作するフリップフロップDFFでそれぞれ保持する構成を備えている。
【0008】
そして、図17Bに示すデコーダは、各フリップフロップの出力[Q1:Q10]をデコードして、基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRと、基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち下がりエッジ間の時間差ΔtFを、それぞれディジタル値DR及びDFに変換する。
【0009】
ここで、図17に示したTDC回路において、図18に示す各遅延素子の出力波形例D1、D2、…、D10を用いて、時間差をディジタル値に変換するための動作について説明する。
【0010】
遅延素子を経由する毎に時間Dずつ遅延し、TDC回路に入力された発振周波数CLKRFに対してD1はD、D2は2D、そしてD10は10Dだけ遅延した波形になる。ここで、基準周波数CLKREFをトリガ信号(同図中の一点鎖線)として各遅延素子の出力D1〜D10をフリップフロップで保持すると、各フリップフロップの出力[Q1:Q10]は“1110000011”となる。このデータを左から順番に1から0に変化する点をカウントすると3になり、これが基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRのディジタル値DRとなる。次に、上記のデータを左から0から1に変化する点をカウントすると8となり、これが基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち下がりエッジ間の時間差ΔtFのディジタル値DFとなる。
【0011】
このように、図17に示したTDC回路を用いて、基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ間の時間差ΔtR、及び基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち下がりエッジ間の時間差ΔtFをディジタル値DR、DFに変換することが可能であることを理解できよう。
【0012】
ここで、図17Aに示したTDC回路で、各遅延素子の出力を保持するために使用されるフリップフロップについて考察してみる。
【0013】
理想的なフリップフロップは、図19Aに示すように、入力信号Dとトリガ信号であるCLKの間には遅延時間がない。これに対し、実際のフリップフロップ動作では、入力Dとトリガ信号であるCLKの間には遅延時間が存在するはずである。具体的には、図19Bに示すように入力Dに対しトリガ信号CLKがDelay1だけ遅延する等価回路や、図19Cに示すようにトリガ信号に対し入力DがDelay2だけ遅延する等価回路となる。
【0014】
このような遅延時間Delay1、Delay2はフリップフロップの応答誤差の原因となる。応答誤差は、低速な入力に対しては十分無視できるものの、All Digital PLLのように、高速な発振周波数クロックCLKRFを入力に用いる用途では、検出誤差の発生が懸念される。
【0015】
図20には、図18に示したと同様の各遅延素子からの入力波形(各遅延素子の出力波形D1〜D10)に対する、トリガ信号となる発振周波数クロックCLKRFがDelay1だけ遅延する各フリップフロップ(図19Bに相当)の出力波形例を示している。この場合、遅延素子からの入力をフリップフロップが保持するタイミングが相対的に遅延し、各フリップフロップの出力データ系列[Q1:Q10]は“1111000001”となる。したがって、このデータを左から順番に1から0に変化する点をカウントした値4が基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRのディジタル値DRとなるとともに、上記のデータを左から0から1に変化する点をカウントした値9が基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち下がりエッジ間の時間差ΔtFのディジタル値DFとなり、図18の場合のデコード結果とは明らかに相違する。
【0016】
また、図21には、図18に示したと同様の各遅延素子の入力波形(各遅延素子の出力波形D1〜D10)が、トリガ信号となる発振周波数クロックCLKRFよりもDelay2だけ遅延する場合の各フリップフロップ(図19Cに相当)の出力波形例を示している。この場合、遅延素子からの入力をフリップフロップが保持するタイミングが相対的に早くなり、各フリップフロップの出力データ系列[Q1:Q10]は“1100000111”となる。したがって、このデータを左から順番に1から0に変化する点をカウントした値2が基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRのディジタル値DRとなるとともに、上記のデータを左から0から1に変化する点をカウントした値7が基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち下がりエッジ間の時間差ΔtFのディジタル値DFとなり、図18の場合のデコード結果とは明らかに相違する。
【0017】
図20及び図21には、フリップフロップの入力Dとトリガ信号CLK間の相対遅延時間が図19B、図19Cに示したD<Delay1<2D、D<Delay2<2Dとなるフリップフロップの例をそれぞれ示したが、図19Aの理想的なフリップフロップの例に比べ、検出誤差を発生することが分かる。
【0018】
【非特許文献1】R.B.Staszewski et al.“All−Digital Phase−Domain TX Frequency Synthesizer for Bluetooth Radios in 0.13μm CMOS”(ISSCC2004 Digest)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、ディジタル制御発振器(DCO)を持つPLL回路において分周比の分数成分に相当する時間差をディジタル値に変換するために使用することができる、優れたTDC回路、PLL回路、並びに無線通信装置を提供することにある。
【0020】
本発明のさらなる目的は、複数の遅延素子が従属接続された回路に発振周波数クロックを入力するとともに、各遅延素子の出力を基準周波数の立ち上がりエッジで動作するフリップフロップで保持し、基準周波数クロックの立ち上がりエッジと発振周波数クロックの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差をそれぞれディジタル値に変換する、優れたTDC回路、PLL回路、並びに無線通信装置を提供することにある。
【0021】
本発明のさらなる目的は、入力信号とトリガ信号の間に遅延時間が存在するというフリップフロップ自身の特性に起因した検出誤差を改善することができる、優れたTDC回路、PLL回路、並びに無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の発明は、
複数の遅延素子が従属接続され、高速な第1の周波数クロックを入力に持つ第1の遅延回路と、
各遅延素子の出力をそれぞれ入力信号に持つとともに前記第1の周波数クロックよりも低速となる第2の周波数クロックをトリガ信号として動作する複数のフリップフロップからなる第1のフリップフロップ部と、
前記第1の遅延回路を構成する遅延素子と等価な単位遅延時間を有する複数の遅延素子が従属接続され、前記第2の周波数クロックを入力に持つ第2の遅延回路と、
前記第1の遅延回路を構成する遅延素子と等価な単位遅延時間を有する複数の遅延素子が従属接続され、前記第2の周波数クロックを入力に持つ第3の遅延回路と、
前記第2の周波数クロック及び前記第2の遅延回路に含まれる一部の遅延素子の出力をそれぞれ入力信号に持つとともに前記第3の遅延回路の出力をトリガ信号として動作する複数のフリップフロップからなる第2のフリップフロップ部と、 前記第2の遅延回路に含まれる一部の遅延素子の出力をそれぞれ入力信号に持つとともに前記第2の周波数クロックをトリガ信号として動作する複数のフリップフロップからなる第3のフリップフロップ部と、
前記第1のフリップフロップ部の各フリップフロップが保持するデータからなるデータ系列、及び、前記第2及び3のフリップフロップ部の各フリップフロップ部が保持するデータに基づいて、前記第2の周波数クロックの立ち上がりと前記第1の周波数クロックの立ち上がり及び立下りの時間差をディジタル値に変換するデコーダと、
を具備することを特徴とするTDC回路である。
【0023】
本発明に係るTDC回路は、複数の遅延素子が従属接続された回路に発振周波数クロックを入力するとともに、各遅延素子の出力を基準周波数の立ち上がりエッジで動作するフリップフロップで保持し、各フリップフロップの出力からなる2値データの系列をデコードして、基準周波数クロックの立ち上がりエッジと発振周波数クロックの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差をそれぞれディジタル値に変換するように構成されている。ところが、フリップフロップには一般に入力信号とトリガ信号の間に遅延時間が存在するという特性があるため、高速な発振周波数クロックを入力に用いる用途では、各フリップフロップで入力信号を保持するタイミングが前後にずれることから、異なる出力データ系列が得られることから検出誤差となる。
【0024】
これに対し、請求項1に記載のTDC回路は、複数の遅延素子の出力をトリガ信号に応じてサンプリングするためにフリップフロップを用いるが、各フリップフロップで発生する入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間差を検出する機能を備えているので、フリップフロップ単体の特性の補償を施すことにより、TDC回路全体としての検出精度を改善するようにしている。
【0025】
ここで、第2のフリップフロップ部と第3のフリップフロップ部の各フリップフロップへの入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間差が、−nD、−(n−1)D、…、(n−1)D、nDという具合に、遅延素子1個分に相当する単位遅延時間Dずつ異なるように構成されていることが重要である(但し、nは2以上の正の整数とする)。このような場合、第2のフリップフロップ部と第3のフリップフロップ部の各フリップフロップの出力を基に、−nD〜nDの範囲で、単位支援時間Dを単位として、第1のフリップフロップ部における入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間を検出することができる。
【0026】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、第2のフリップフロップ部及び第3のフリップフロップ部の各出力からデコードしたデータを前記第2の周波数クロックの複数の周期にわたって平均化する平均化部をさらに備えており、デコーダは、この平均化部で平均化したデータと、第1のフリップフロップ部の各フリップフロップが保持するデータからなるデータ系列に基づいて、第2の周波数クロックの立ち上がりと第1の周波数クロックの立ち上がり及び立下りの時間差をディジタル値に変換するようになっており、TDC回路に対しより精度の高い補償を施すことが可能である。
【0027】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、ディジタル値を用いて制御されるディジタル制御発振器と、分周比の分数成分に相当する時間差をディジタル値に変換するためのTDC回路と、分周比の整数成分をディジタル値に変換するアキュムレータと、これらの分周比に相当するディジタル値を基に前記ディジタル制御発振器をディジタル的にフィードバック制御する制御手段を備えたディジタルPLL回路であるが、請求項1又は2のいずれかに記載のTDC回路を用いたものである。上述したように、請求項1並びに請求項2によればTDC回路全体としての検出精度を改善することから、同様の作用のあるPLL回路を実現することができる。
【0028】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、
ディジタル値の制御データを用いて制御されるディジタル制御発振器と、
所定の基準周波数と所望の発振周波数との設定分周比を累積加算する第1の累積加算器と、
前記ディジタル制御発振器が出力する発振周波数の累積クロック数を計測する第2の累積加算器と、
前記第2の累積加算器の出力を、前記基準周波数クロックのエッジより後のタイミングで且つ最も早いタイミングの整数値としてサンプリングする第1の保持部と、
前記基準周波数クロックと前記ディジタル制御発振器が出力する発振周波数クロックのエッジ間の時間差をディジタル値に変換する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のTDC回路と、
前記第1の保持部でサンプリングした整数値と、前記TDC回路で得られた前記基準周波数クロックと前記ディジタル制御発振器が出力クロックのエッジ間の時間差のディジタル値から、前記ディジタル制御発振器の出力クロック数の累積加算値を小数表示する小数表示部と、
前記第1の累積加算器の出力から前記小数表示部の出力を減じる第1の加算器と、
前記第1の加算器の出力を増幅する第1の可変利得回路と、
(前記第1の加算器の出力の可変範囲の中点に相当する)第1の設定値を前記第1の可変利得回路と等価な利得で増幅する第2の可変利得回路と、
前記第1の可変利得回路の出力から前記第2の可変利得回路の出力を減じる第2の加算器と、
前記第2の加算器の出力に前記設定分周比を加算する第3の加算器と、
前記第3の加算器の出力から、(前記ディジタル制御発振器が出力する発振周波数クロックの下限値を前記基準周波数値で除した値に相当する)第2の設定値を減じる第4の加算器と、
前記第4の加算器の出力に(前記基準周波数値を前記ディジタル制御発振器が持つ変換利得で除した値に相当する)第3の設定値を乗算する乗算器と、
を備え、
前記乗算器の出力を制御データとして前記ディジタル制御発振器に供給する、
ことを特徴とするPLL回路である。
【0029】
本発明の請求項4に係るディジタルPLL回路は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のTDC回路を用いて構成されるが、ディジタル制御発振器の発振周波数と基準周波数の位相を比較する位相比較器に相当する第1の加算器の出力を可変範囲の中点付近に収束させることで、収束性を改善することができる。
【0030】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のPLL回路を例えばローカル周波数の発振源として備える無線通信装置であり、複数のディジタル制御発振器を切り換えて用いることによって広帯域化を実現したり、効率的に設計したりすることが可能である。
【0031】
請求項4に記載のPLL回路においては、TDC回路と同様に、第1の累積加算器の出力をサンプリングするためのクロックを生成する際にもフリップフロップが用いられ、入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間差が検出精度に影響することが懸念される。そこで、請求項6並びに請求項7に記載のTDC回路は、請求項1又は請求項2に記載のTDC回路に用いるフリップフロップの相対遅延時間によるサンプリング信号とのミスマッチ分を補償する遅延回路を備えており、ミスマッチによる検出誤差を改善するようにしている。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ディジタル制御発振器(DCO)を持つPLL回路において分周比の分数成分に相当する時間差をディジタル値に変換するために使用することができる、優れたTDC回路、PLL回路、並びに無線通信装置を提供することができる。
【0033】
本発明に係るTDC回路は、複数の遅延素子が従属接続された回路に発振周波数クロックを入力するとともに、各遅延素子の出力を基準周波数の立ち上がりエッジで動作するフリップフロップで保持し、基準周波数クロックの立ち上がりエッジと発振周波数クロックの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差をそれぞれディジタル値に変換するように構成されるが、入力信号とトリガ信号の間に遅延時間が存在するというフリップフロップ自身の特性に起因した検出誤差を改善することができる。
【0034】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、TDC回路を構成する複数の遅延素子の出力をトリガ信号に応じてサンプリングするために用いるフリップフロップの入力信号とトリガ信号入力間の相対時間差を検出し、TDC回路で検出した値に対して、このフリップフロップ単体の特性の補償を施すことにより、検出精度を改善することが可能である。
【0035】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、フリップフロップ自身で発生する入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間差をトリガ信号の複数周期にわたって平均化することによって、より精度の高い補償を施すことが可能となる。
【0036】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項1並びに請求項2と同様の作用があるPLL回路を実現することができる。
【0037】
また、本発明の請求項4に記載の発明によれば、は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のTDC回路を用いてディジタルPLL回路を構成さし、位相比較器の出力を可変範囲の中点付近に収束させることで、収束性を改善することができる。
【0038】
また、本発明の請求項5に記載の発明によれば、本願の請求項4に記載のディジタルPLL回路を、広帯域にわたって安定して収束する周波数発振源として、各種の無線通信端末に搭載することができる。
【0039】
また、本発明の請求項6並びに請求項7に記載の発明によれば、第1の累積加算器の出力をサンプリングするためのクロックを生成する際にもTDC回路と同等価なフリップフロップを用いる際の入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間差によるサンプリング信号とのミスマッチ分を補償する遅延回路を備え、ミスマッチによる検出誤差を改善するようにしている。
【0040】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0042】
図1には、本発明の一実施形態に係るTDC回路100の構成を示している。図示のTDC回路100は、基本的に、複数の遅延素子が従属接続された第1の遅延回路101に発振周波数CLKRFなどの高速クロックを入力するとともに、各遅延素子の出力を基準周波数CLKREFなどの低速クロックの立ち上がりエッジで動作する第1のフリップフロップ部102を構成する各フリップフロップで保持し、各フリップフロップの出力からなる2値データの系列[Q1:Q10]をデコーダ107でデコードして、基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差ΔtR並びにΔtFをそれぞれディジタル値DR並びにDFに変換するように構成されている。但し、すべての遅延素子は均一に遅延時間Dを持つものとする。
【0043】
図示のTDC回路100は、大部分をインバータ回路やフリップフロップといったディジタル制御回路で構成されるので、微細なCMOS技術を適用して低コストに製作し易いという特徴がある。
【0044】
ここで、フリップフロップには、遅延素子からの入力信号とトリガ信号の間に遅延時間が存在するため、発振周波数クロックなどの高速クロックを基準周波数などの低速クロックをトリガにしてサンプリングすると誤差を生じることが懸念される。そこで、本実施形態では、TDC回路100は、さらに、第1のフリップフロップ部102を構成する各フリップフロップで発生する入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間差を検出する機能を備え、フリップフロップ単体の特性の補償を施すことにより、TDC回路全体としての検出精度を改善するようにしている。
【0045】
相対遅延時間差の検出機能は、第2の遅延回路103及び第3の遅延回路104と、第2のフリップフロップ部105及び第3のフリップフロップ部106で構成される。
【0046】
第2の遅延回路103及び第3の遅延回路104は、第1の遅延回路101を構成する遅延素子と等価な遅延時間Dを有する遅延素子を従属接続して構成され、第1の遅延回路101のフリップフロップ部のトリガ信号に用いられる低速な基準周波数クロックCLKREFをそれぞれ入力に持つ。
【0047】
第2のフリップフロップ部105を構成する各フリップフロップ105−1、105−2は、低速な基準周波数クロックCLKREF並びに第2の遅延回路103の各遅延素子の出力をそれぞれ入力し、第3の遅延回路104の出力をトリガ信号として入力信号をサンプリングする。
【0048】
また、第3のフリップフロップ部106を構成する各フリップフロップ106−1、106−2は、第2の遅延回路103の各遅延素子の出力をそれぞれ入力し、低速な基準周波数クロックCLKREFをトリガ信号として入力信号をサンプリングする。
【0049】
ここで、第2のフリップフロップ部105と第3のフリップフロップ部106の各フリップフロップ105−1、105−2、106−1、106−2への入力信号とトリガ信号間の遅延時間が、遅延素子1個分の遅延時間Dを単位として、それぞれ−2D、−D、D、2Dとなるように接続されている。
【0050】
但し、本実施形態では、フリップフロップ毎の入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間が遅延素子の単位遅延時間Dずつ異なることが重要なのであり、かかる相対遅延時間を生成するために、図1に示した構成に必ずしも限定されるものではない。
【0051】
デコーダ107は、第2のフリップフロップ部105及び第3のフリップフロップ部106を構成する各フリップフロップ部で保持するデータ系列[C0:C3]に基づいて、−2D〜2Dの範囲で、単位遅延時間Dを単位として、第1のフリップフロップ部102内のフリップフロップにおける入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間を検出することができる。そして、この検出結果を用いて、第1のフリップフロップ部102を構成する各フリップフロップで保持するデータ系列[Q1:Q10]に含まれる検出誤差を補正して、フリップフロップ単体の特性の補償を施す。
【0052】
フリップフロップにおけるトリガ信号が入力信号に対しDelay1だけ遅延する等価回路(図19Bを参照のこと)である場合において、各フリップフロップ105−1、105−2、106−1、106−2で保持するデータ系列[C0:C3]に基づいてその遅延時間Delay1を検出する方法について、図2Aを参照しながら説明する。但し、D<Delay1<2Dとする。
【0053】
同図において、第2のフリップフロップ部105及び第3のフリップフロップ部106の入力信号A0、A1、A2は、図1に示したように、基準周波数クロックCLKREF並びに第2の遅延回路103の各遅延素子の出力に相当し、基準周波数クロックCLKREFに対しそれぞれ0、D、2Dの遅延時間を持つ。また、第2のフリップフロップ部105のトリガ信号B2は、第3の遅延回路104の出力B2、すなわち基準周波数クロックCLKREFに対し2Dだけ遅延した信号をトリガ信号とする。また、第3のフリップフロップ部106は基準周波数クロックCLKREFをトリガ信号とする。
【0054】
第2のフリップフロップ部105及び第3のフリップフロップ部106は、CLKREF、B2からDelay1だけ遅延したタイミング(同図中の破線を参照のこと)をトリガにして、入力信号A0、A1、A2をそれぞれ保持する。したがって、各フリップフロップ105−1、105−2、106−1、106−2で保持するデータ系列[C0:C3]は“1110”となる。例えば、[C0:C1]が“11”の場合は遅延量の符号をマイナスとし、[C2:C3]を左から1から0に変化する点をカウントすることでデコードされる。よって、この例では、“−1”とデコードされ、Delay=−Dを検出することができる。
【0055】
また、フリップフロップにおける入力信号がトリガ信号に対しDelay2だけ遅延する等価回路(図19Cを参照のこと)である場合において、各フリップフロップ105−1、105−2、106−1、106−2で保持するデータ系列[C0:C3]に基づいてその遅延時間Delay2を検出する方法について、図2Bを参照しながら説明する。但し、D<Delay2<2Dとする。
【0056】
第2のフリップフロップ部105及び第3のフリップフロップ部106は、CLKREF、B2の立ち上がりをタイミングにして、入力信号A0、A1、A2をDelay2だけ遅延させた信号(同図中の破線を参照のこと)をそれぞれ保持する。したがって、各フリップフロップ105−1、105−2、106−1、106−2で保持するデータ系列[C0:C3]は“1000” となる。例えば、[C2:C3]が“00”の場合は遅延量の符号をプラスとし、[C0:C1]を右から0から1に変化する点をカウントすることでデコードされる。よって、この例では、“+1”とデコードされ、Delay=+Dを検出することができる。
【0057】
そして、デコーダ107は、第1のフリップフロップ部102の出力[Q1:Q10]からデコードされる、基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がり及び立下りエッジ間の時間差のディジタル値DR、DFに対し、上述のようにして得られた遅延時間Delayで補正することで、フリップフロップ自体の特性の影響を取り除くことができる。
【0058】
なお、図1に示した実施形態では、第2及び第3の遅延回路103、104はそれぞれ2個の従属接続された遅延素子で構成され基準周波数クロックCLKREFに対し2D分までの遅延時間を生じさせるとともに、第2及び第3のフリップフロップ部105、106は基準周波数クロックCLKREFから2Dだけ遅延した信号並びに基準周波数クロックCLKREFそのものをそれぞれトリガ信号に用いており、第1のフリップフロップ部102を構成する各フリップフロップの入力信号とトリガ信号の間に存在する−2D〜2Dの範囲内の遅延時間を検出し補償することができる、さらに、±3D、±4D、…までの遅延時間を検出し補償するには、第2及び第3の遅延回路103、104において従属接続させる遅延素子の個数、並びに、各遅延素子の出力をサンプリングするために第2及び第3のフリップフロップ部105、106内のフリップフロップの個数をそれぞれ3個、4個と増やしていけばよい。
【0059】
図3には、本発明の第2の実施形態に係るTDC回路200の構成を示している。図示のTDC回路200は、基本的に、複数の遅延素子が従属接続された第1の遅延回路201に発振周波数CLKRFなどの高速クロックを入力するとともに、各遅延素子の出力を基準周波数CLKREFなどの低速クロックの立ち上がりエッジで動作する第1のフリップフロップ部202を構成する各フリップフロップで保持し、各フリップフロップの出力からなる2値データの系列[Q1:Q10]をデコーダ207でデコードして、基準周波数クロックの立ち上がりエッジと発振周波数クロックの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差ΔtR並びにΔtFをそれぞれディジタル値DR並びにDFに変換するように構成されている。
【0060】
図3に示すTDC回路200も、第1のフリップフロップ部202を構成する各フリップフロップで発生する入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間差を検出する機能として、第2の遅延回路203及び第3の遅延回路204と、第2のフリップフロップ部205及び第3のフリップフロップ部206を備えているが、第2のフリップフロップ部205及び第3のフリップフロップ206の出力である[C0:C2]から検出したフリップフロップのデータ入力端子及びトリガ入力端子間の遅延時間を平均化する平均化回路208を追加した点で相違する。
【0061】
デコーダ207において、各フリップフロップ205−1、205−2、206−1、206−2で保持するデータ系列[C0:C3]に基づいてフリップフロップの入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間を検出する方法自体は、上記と同様である(図2A並びに図2Bを参照のこと)。第2の実施形態では、検出された遅延時間を基準周波数クロックCLKREFの複数周期にわたって平均化することで、精度改善が期待でき、経時変化、温度変化に対しても適応的に補償することを可能とする。
【0062】
[背景技術]の欄で既に述べたように、ディジタル制御発振器を用いたフルディジタル構成のディジタルPLL回路は、分周比の分数成分に相当する時間差をTDC回路でディジタル値に変換するとともに、その整数成分をアキュムレータ回路でディジタル値に変換し、これらの分周比に相当するディジタル値をフィードバックして、ディジタル制御発振器を制御するものである。
【0063】
図4には、ディジタルPLL回路300の構成例を示しているが、TDC回路306には、図1又は図3に示したものを適用することができる。
【0064】
第1の累積加算器303は、基準周波数発振器301で生成される基準周波数の出力クロックCLKREFの周期で、入力部302から与えられる分数分周比“N”を累積加算する。一方、第2の累積加算器305は、ディジタル制御発振器(DCO)304の発振周波数クロックCLKRFのクロック数を累積加算する。また、TDC回路306は、ディジタル制御発振器304の出力クロックCLKRF及び発振器301が出力する基準周波数クロックCLKREFの各エッジ間の時間差、すなわち分周比の分数部分に相当する時間差をディジタル化する。
【0065】
TDC回路306で検出されたディジタル制御発振器304の発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジと基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジ間の時間差のディジタル値をDRとし、ディジタル制御発振器304の発振周波数クロックCLKRFの立ち下がりエッジと基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジ間の時間差のディジタル値をDFとすると、ディジタル制御発振器304の発振周波数クロックCLKRFの1周期のディジタル値DTは、次式(1)より求めることができる。
【0066】
【数1】

【0067】
また、精度を改善するためには、上式(1)によって検出した値を発振周波数クロックCLKRFの複数周期にわたって平均化する、若しくは、TDC回路306を構成する遅延素子数を増やして、直接ディジタル値DTを検出するなどの手法を採り入れる必要がある。
【0068】
ディジタル制御発振器304が出力する発振周波数クロックCLKRFのクロック数の累積加算値を小数点表示するに際し、まず、再タイミング信号生成回路(Re−timed)307は、この累積加算値より大きく、且つ、最も近い整数値になるように再タイミングするための再タイミング信号を生成する。第1のフリップフロップ308は、ディジタル制御発振器304の発振周波数クロックCLKRFのクロック数を累積加算する第2の累積加算器305の出力を、再タイミング信号をトリガとして用いて保持することにより、小数点表示する際の累積加算値より大きく(すなわち、基準周波数クロックのエッジより後のタイミングで)、且つ、最も近い整数値(すなわち、最も早いタイミングの整数値)を得ることができる。この整数値と実際の小数点表示した累積加算値の差、つまり小数点部分(Frac)は、次式(2)により求めることができる。
【0069】
【数2】

【0070】
よって、第5の加算器309は、ディジタル制御発振器304の出力クロック数の累積値を小数表示する小数表示部として、第1のフリップフロップ308で再タイミング保持した整数値から、上式(2)で求めた小数部分の値Fracを減じる操作を行なう。これによって、ディジタル制御発振器304の発振周波数クロックCLKRFのクロック数の小数点表示された累積加算値を検出することができる。
【0071】
図示のディジタルPLL回路300は、分数分周比“N” の累積加算値と、ディジタル制御発振器304の発振周波数クロックCLKRFのクロック数の小数点表示された累積加算値の差分の変化が0に近づくように、第1の加算器310でUnsigned(符号なし)のデータを出力する減算を行ない、第2のフリップフロップ311で再タイミングした信号を制御データとしてディジタル制御発振器304に負帰還をかける構成になっている。
【0072】
制御データ生成部312では、第2のフリップフロップ311の出力から、ディジタル制御発振器304に負帰還をかけるための実際の制御データYを生成するが、この点について説明する。
【0073】
第1の可変利得回路312−1では、当該ディジタルPLL回路300のループ利得を可変させるための1/Gの利得処理を行なう。第2の可変利得回路312−3は、入力部312−2を介して任意に設定された設定値“A”を、第1の可変利得回路312−1の利得と常に等価な利得で処理する。ここで、入力部312−2では、任意の設定値“A” を、位相比較器としての第1の加算器310の出力の可変範囲の中点付近の値(例えばUnsigned(符号なし)の10ビットであれば、512)を設定する。
【0074】
第2の加算器312−4は、第1の可変利得回路312−1の出力から第2の可変利得回路312−3の出力を減じる。次いで、第3の加算器312−5は、第2の加算器312−4の出力に、上記の分数分周比“N”を加算する。
【0075】
制御データD=0の際のディジタル制御発振器304の発振周波数の下限値を基準周波数値で除した値と等価な設定値“B”を入力部312−6から入力し、第4の加算器312−7では、この設定値“B”を第3の加算器312−5の出力から減じる。
【0076】
さらに、基準周波数値をディジタル制御発振器304の変換利得kDCOで除した値と等価な設定値“C”を入力部312−8から入力し、乗算器312−9はこの設定値“C” を第4の加算器312−7と乗算して、ディジタル制御発振器304の制御データYを生成する。
【0077】
ディジタル制御発振器304への制御データYを生成するための上記の操作を、次式(3)のように表現することができる。なお、同式中のXは、第1の加算器310のUnsignedの出力値である。
【0078】
【数3】

【0079】
上式(3)に、入力部312から入力された設定値AとしてUnsignedの10ビットのデータの中点となる512、入力部302から入力された分数分周比Nとして所望の発振周波数値fRFを基準周波数値fREFで除した値fRF/fREF、入力部312−6から入力された設定値Bとして発振周波数の下限値fRF_minを基準周波数値fREFで除した値fRF_min/fREF、入力部312−8から入力された設定値Cとして基準周波数値fREFをディジタル制御発振器304の変換利得kDCOで除した値fREF /kDCOをそれぞれ代入すると、下式(4)のように変形することができる。
【0080】
【数4】

【0081】
ここで、ディジタルPLL回路300が収束する際、ディジタル制御発振器304への制御データYは近似的に(fRF−fRF_min)/kDCOに収束するはずである。したがって、上式(4)から、第1の加算器の出力X≒512が得られる。つまり、位相比較器に相当する第1の加算器310の出力Xは、その出力レベルの可変範囲0〜1023の中点に収束することから、ディジタルPLL回路300が安定して収束動作することが期待できる。
【0082】
制御データ生成部312が上式(3)に示すデータ変換処理を行なったデータをディジタル制御発振器304の制御に用いるディジタルPLL回路300において、図1若しくは図3に示したTDC回路100、200を用いることが重要である。但し、本発明の要旨は図4に示したディジタルPLL回路の構成に限定されるものではない、ということを十分理解された。
【0083】
図4に示したディジタルPLL回路を適用することで、広帯域化を実現したり、種々の発振器を用いて効率的に回路設計したりすることができる。この種のディジタルPL回路を搭載することができる無線通信装置の構成を、図5に示しておく。
【0084】
既に説明したように、図1、図2に示したTDC回路100、200は、入力信号とトリガ信号間の遅延時間がそれぞれ−2D、−D、D、2Dとなるように接続された4個のフリップフロップ105−1、105−2、106−1、106−2によって相対遅延時間の検出機能を構成している。フリップフロップには入力信号とトリガ信号の間に相対遅延時間が存在し(図19B、図19Cを参照のこと)、TDC回路のように高速な発振周波数クロックを入力信号とする用途では検出誤差が生じることが懸念されるが、当該相対遅延時間検出機能は、±2Dの範囲内で入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間を検出し、検出誤差を補償することができる。
【0085】
ところが、上記以外にも、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジが近接する場合にも、TDC回路の検出誤差の要因となる。
【0086】
発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジが近接する場合の、分周比の時間差の小数点部分の検出方法について、図6を参照しながら考察してみる。但し、以下では、ディジタル制御発振器の発振周波数クロックCLKRFの1周期DTは8Dとする(Dは遅延素子1個の単位遅延時間)。
【0087】
図6(A)に示す例では、TDC回路で、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差としてΔtRが正しく検出され、サンプリング・エッジとなる発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりからの時間差である小数点部分Fracは、下式(5)により求まる。
【0088】
【数5】

【0089】
次に、図6(B)に示す例では、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRは単位遅延時間D未満すなわち0であるものの、TDC回路では、発振周波数クロックCLKRFの1つ前の周期の立ち上がりをサンプリング・エッジとして、8D(=DT)と検出する。このため、サンプリング・エッジからの差である小数点部分Fracは、0と誤計算されてしまい、上式(5)とは異なる結果となる。
【0090】
さらに、図4に示したディジタルPLL回路300の場合、発振周波数クロックCLKRF の小数点表示した累積クロック数を切り上げした整数部分を第2の累積加算器305で計測し、補正する小数点部分をTDC回路306で計測するように構成されている。このため、ディジタル制御発振器304の発振周波数CLKRFと基準周波数CLKREFの立ち上がりエッジが近接する場合には、第2の累積加算器305での処理前後の微妙なタイミングで累積加算値をサンプリングすることになることから、検出誤差を引き起こす。
【0091】
かかる検出誤差を回避するために、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRに応じてサンプリング・エッジを切り換える方法が考えられる。
【0092】
発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがDT/4<ΔtR<3DT/4の場合には、図6(A)に示したようにサンプリング・エッジとして発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジを選択して、上式(5)により小数部分Fracを計算する。
【0093】
他方、時間差ΔtRがそれ以外となる場合には、サンプリング・エッジとして発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりではなく立ち下がりエッジを選択する。例えば図6(C)に示すように、ΔtR=DTより発振周波数クロックCLKRFの立ち下がりエッジをサンプリング・エッジに選択し、小数部分を下式(6)により計算する。これにより、第2の累積加算器305での処理前後の微妙なタイミングで累積加算値をサンプリングすることはなくなり、検出精度は改善される。
【0094】
【数6】

【0095】
一方、TDC回路304と同様に、第1の累積加算器303の出力をサンプリングするためのクロック、すなわち再タイミング信号生成回路307において再タイミング信号を生成する際にもフリップフロップが用いられ、入力信号とトリガ信号間の相対遅延時間差が検出精度に影響することが懸念される。
【0096】
図7には、TDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともにトリガ信号に対し入力信号に相対遅延時間Delay2を持ち(同図左)、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがDT/4<ΔtR<3DT/4となる場合の(同図右上段)、各フリップフロップの動作の一例(同図右中段並びに右下段)を示している。但し、図中のTDC用フリップフロップへの入力信号CLKRFに遅延時間Delay2が反映されていないのは、小数点部分を検出する際に、図1又は図3に示したTDC回路において相対遅延時間の補正が行なわれるためである。
【0097】
図7に示す例では、TDC回路306が期待するサンプリング・エッジは、発振周波数クロックCLKRFのn番目の立ち上がりエッジであり、上式(5)に従って小数点部分が算出される。また、再タイミング信号生成用フリップフロップでは、入力信号である基準周波数クロックCLKREFに遅延時間Delay2が反映されるが、遅延後の立ち上がりエッジはトリガ信号である発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジを超えないことから、TDC用フリップフロップと同様に発振周波数クロックCLKRFのn番目の立ち上がりエッジがサンプリング・エッジとなる。
【0098】
また、図8には、TDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともにトリガ信号に対し入力信号に相対遅延時間Delay2を持ち(同図左)、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがDT/4<ΔtR<3DT/4となる場合の(同図右上段)、各フリップフロップの動作の他の例(同図右中段並びに右下段)を示している。但し、図中のTDC用フリップフロップへの入力信号CLKRFに遅延時間Delay2が反映されていないのは、小数点部分を検出する際に相対遅延時間の補正が行なわれるためである(同上)。
【0099】
図8に示す例では、TDC回路306が期待するサンプリング・エッジは、発振周波数クロックCLKRFのn番目の立ち上がりエッジであり、上式(5)に従って小数点部分が算出される。また、再タイミング信号生成用フリップフロップでは、入力信号である基準周波数クロックCLKREFに遅延時間Delay2が反映されると、遅延後の立ち上がりエッジがトリガ信号である発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジを超えてしまうことから、そのサンプリング・エッジは、発振周波数クロックCLKRFの1周期先の(n+1)番目にシフトしている。
【0100】
つまり、TDC回路が期待するサンプリング・エッジは発振周波数クロックCLKRFのn番目をサンプリングするタイミングであるのに対し、再タイミング信号のサンプリング・エッジは発振周波数クロックCLKRFの(n+1)番目の周期をサンプリングするタイミングになっており、検出誤差を発生させる。
【0101】
また、図9には、TDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともに入力信号に対しトリガ信号に相対遅延時間Delay1を持ち(同図左)、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがΔtR>3DT/4となる場合の(同図右上段)、各フリップフロップの動作の一例(同図右中段並びに右下段)を示している。
【0102】
各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがΔtR>3DT/4となる場合には、TDC用フリップフロップでは、サンプリング・エッジとして発振周波数クロックCLKRFのn番目の周期の立ち上がりではなく立ち下がりエッジを選択し、上式(6)に従って小数点部分が算出される。また、再タイミング信号生成用フリップフロップでは、トリガ信号である発振周波数クロックCLKRFに遅延時間Delay1が反映されるが、遅延後の立ち下がりエッジはトリガ信号である基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジを超えないことから、発振周波数クロックCLKRFのn番目の立ち下がりエッジがサンプリング・エッジとなる。
【0103】
この場合、両フリップフロップのサンプリング・エッジは完全には一致しないものの、ともに発振周波数クロックCLKRFの同じn番目の周期をサンプリングするタイミングになっていることから、問題とはならない。
【0104】
また、図10には、TDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともに入力信号に対しトリガ信号に相対遅延時間Delay1を持ち(同図左)、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがΔtR>3DT/4となる場合の(同図右上段)、各フリップフロップの動作の他の例(同図右中段並びに右下段)を示している。
【0105】
各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがΔtR>3DT/4となる場合には、TDC用フリップフロップでは、サンプリング・エッジとして発振周波数クロックCLKRFのn番目の周期の立ち上がりではなく立ち下がりエッジを選択し、上式(6)に従って小数点部分が算出される(同上)。また、再タイミング信号生成用フリップフロップでは、トリガ信号である発振周波数クロックCLKRFに遅延時間Delay1が反映されると、遅延後の立ち立ち下がりエッジはトリガ信号である基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジを超えてしまうから、そのサンプリング・エッジは、発振周波数クロックCLKRFの1周期手前の(n−1)番目にシフトしている。
【0106】
つまり、TDC回路が期待するサンプリング・エッジは発振周波数クロックCLKRFのn番目をサンプリングするタイミングであるのに対し、再タイミング信号のサンプリング・エッジは発振周波数クロックCLKRFの(n−1)番目の周期をサンプリングするタイミングになっており、検出誤差を発生させる。
【0107】
以上から、図6に示したようにTDC回路で検出した各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRによりサンプリング・エッジを立ち上がりエッジと立下りエッジ間で切り替えるだけでは不十分であり、ΔtR>3DT/4において発振周波数クロックCLKRFの同じ周期をサンプリングするタイミングに補正する手段が必要である。
【0108】
そこで、本発明者は、TDC回路に用いるフリップフロップの相対遅延時間による再タイミング信号とのミスマッチ分を補償するための遅延回路を、図4に示したディジタルPLL回路内に追加することを提案する。
【0109】
図11には、TDC回路に用いるフリップフロップの相対遅延時間による再タイミング信号とのミスマッチ分を補償するための遅延回路を追加した、TDC回路並びにその周辺の回路構成を示している。
【0110】
同図中の参照番号406で示されるTDC回路は、図1又は図3に示したTDC回路であり、入力信号とトリガ信号間に存在する相対遅延時間を補正するものとする。
【0111】
図示の回路は、単位遅延時間Dを持つ複数の遅延素子を従属接続してそれぞれ構成される第1の遅延回路401及び第2の遅延回路を備えている。第1の遅延回路401には、TDC回路406への入力信号となるべき、低速な基準周波数クロックCLKREFが入力される。
【0112】
また、第1の遅延回路401の各遅延素子の出力は第1のマルチプレクサ403に接続されており、第1のマルチプレクサ403は、FF(フリップフロップ)相対遅延時間検出回路405の検出結果に応じて、基準周波数クロックCLKREFに適切な遅延を与えてTDC回路406に入力信号として供給する。同様に、第2の遅延回路402にはTDC回路406へのトリガ信号となるべき高速な発振周波数クロックCLKRFが入力され、第2の遅延回路402内の各遅延素子の出力に接続される第2のマルチプレクサ404は、FF相対遅延時間検出回路405の検出結果に応じて、発振周波数クロックCLKRFに適切な遅延を与えてTDC回路406にトリガ信号として供給する。
【0113】
ここで、TDC回路406とサンプリング信号生成回路410にそれぞれ用いられるフリップフロップが等価なものである場合には、FF相対時間検出回路405は、例えば、図1に示したTDC回路100、又は、図3に示したTDC回路200から出力されるデータ系列[C0:C3]を入力して、基準周波数クロックCLKREFと発振周波数クロックCLKRFの間の遅延時間Delay1又はDelay2を検出する。検出方法は図2を用いて既に説明したので、ここでは説明を省略する。一方、TDC回路406とサンプリング信号生成回路410にそれぞれ用いられるフリップフロップが等価でない場合には、別途、FF相対遅延時間検出回路405を構成する必要がある。
【0114】
TDC回路406は、第1のマルチプレクサ403経由で入力する基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジと、第2のマルチプレクサ404経由で入力する発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差ΔtR並びにΔtFをそれぞれディジタル値DR並びにDFに変換する。
【0115】
サンプリング・エッジ選択回路407は、TDC回路406で検出したDRに応じて、「DT/4<DR<3DT/4」の真偽を判定する。そして、「真」であれば、「立ち上がりエッジ」を選択し(図6(A)を参照のこと)、「偽」であれば、「立ち下がりエッジ」を選択するよう(図6(C)を参照のこと)、エッジ制御信号409を小数点演算回路408並びにサンプリング信号生成回路410に出力する。
【0116】
小数点演算回路408は、TDC回路406から入力されるディジタル値DR並びにDFから、エッジ間の時間差の小数点部分Fracを算出する。「立ち上がりエッジ」が選択されたときには、上式(5)を用いて小数点部分Fracを算出するが、「立ち下がりエッジ」が選択されたときには、上式(6)用いて小数点部分Fracを算出する。
【0117】
また、再タイミング信号生成回路307に相当するサンプリング信号生成回路410は、「立ち上がりエッジ」が選択されたときには、基準周波数クロックCLKREFを発振周波数クロックCLKRFの各立ち上がりエッジでサンプリングした信号を生成し、「立ち下がりエッジ」が選択されたときには、基準周波数クロックCLKREFを発振周波数クロックCLKRFの各立ち下がりエッジでサンプリングした信号を生成する。
【0118】
図12には、図11に示したTDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともにトリガ信号に対し入力信号に相対遅延時間Delay2を持ち(同図左)、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがDT/4<ΔtR<3DT/4となる場合の(同図右上段)、各フリップフロップの動作の一例(同図右中段並びに右下段)を示している。発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFは図7に示したものと同様とする。
【0119】
図12に示す例では、相対遅延時間Delay2が2D<Delay2<3Dとする。FF相対遅延時間検出回路405は、2Dの相対遅延時間Delay2を第2のマルチプレクサ404に出力し、この結果、TDC回路406には、基準周波数クロックCLKREFを遅延時間2Dだけ遅延させた信号がトリガ信号として入力される。
【0120】
TDC回路406は、入力された基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差ΔtR並びにΔtFをそれぞれディジタル値DR並びにDFに変換する。また、サンプリング・エッジ選択回路407は、TDC回路406で検出したDRに応じて、「DT/4<DR<3DT/4」を真偽判定するが、基準周波数クロックCLKREFが2Dだけ遅延されていることから、「偽」と判定し、「立ち下がりエッジ」を選択する。
【0121】
小数点演算回路408は、偽判定を受けて、上式(6)に従って小数点部分Fracを算出する。また、サンプリング信号生成回路410では、「立ち下がりエッジ」が選択されたことに応答して、発振周波数クロックCLKRFの各立ち下がりエッジでサンプリングしたサンプリング信号(再タイミング信号)を生成する。
【0122】
つまり、両フリップフロップのサンプリング・エッジはともに、発振周波数クロックCLKRFの同じn番目の周期をサンプリングするタイミングになっていることから、検出誤差は発生しない。
【0123】
また、図13には、図11に示したTDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともにトリガ信号に対し入力信号に相対遅延時間Delay2を持ち(同図左)、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがDT/4<ΔtR<3DT/4となる場合の(同図右上段)、各フリップフロップの動作の他の例(同図右中段並びに右下段)を示している。発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFは図8に示したものと同様とする。
【0124】
図13に示す例では、相対遅延時間Delay2が2D<Delay2<3Dとする。FF相対遅延時間検出回路405は、2Dの相対遅延時間Delay2を第2のマルチプレクサ404に出力し、この結果、TDC回路406には、基準周波数クロックCLKREFを遅延時間2Dだけ遅延させた信号がトリガ信号として入力される。
【0125】
TDC回路406は、入力された基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差ΔtR並びにΔtFをそれぞれディジタル値DR並びにDFに変換する。また、サンプリング・エッジ選択回路407は、TDC回路406で検出したDRに応じて、「DT/4<DR<3DT/4」を真偽判定するが、基準周波数クロックCLKREFが2Dだけ遅延されていることから、「偽」と判定し、「立ち下がりエッジ」を選択する。
【0126】
小数点演算回路408は、偽判定を受けて、上式(6)に従って小数点部分Fracを算出する。また、サンプリング信号生成回路410では、「立ち下がりエッジ」が選択されたことに応答して、発振周波数クロックCLKRFの各立ち下がりエッジでサンプリングしたサンプリング信号(再タイミング信号)を生成する。
【0127】
図13に示した例では、再タイミング信号生成用フリップフロップでは、入力信号である基準周波数クロックCLKREFに遅延時間Delay2が反映されるが、発振周波数クロックCLKRFの各立ち下がりエッジでサンプリングするので、サンプリング・エッジは発振周波数クロックCLKRFのn番目の周期のままである。つまり、両フリップフロップのサンプリング・エッジはともに、発振周波数クロックCLKRFの同じn番目の周期をサンプリングするタイミングになっていることから、検出誤差は発生しない。これに対し、図8に示した動作例では、遅延時間Delay2が反映されることに起因して、そのサンプリング・エッジが発振周波数クロックCLKRFの1周期先の(n+1)番目にシフトし、これが検出誤差を招来する。
【0128】
また、図14には、図11に示したTDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともに入力信号に対しトリガ信号に相対遅延時間Delay1を持ち(同図左)、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがΔtR>3DT/4となる場合の(同図右上段)、各フリップフロップの動作の一例(同図右中段並びに右下段)を示している。発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFは図9に示したものと同様とする。
【0129】
図14に示す例では、相対遅延時間Delay1が2D<Delay1<3Dとする。FF相対遅延時間検出回路405は、2Dの相対遅延時間Delay1を第1のマルチプレクサ403に出力し、この結果、TDC回路406には、発振周波数クロックCLKRFを遅延時間2Dだけ遅延させた信号がトリガ信号として入力される。
【0130】
TDC回路406は、入力された基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差ΔtR並びにΔtFをそれぞれディジタル値DR並びにDFに変換する。また、サンプリング・エッジ選択回路407は、TDC回路406で検出したDRに応じて、「DT/4<DR<3DT/4」を真偽判定するが、発振周波数クロックCLKREFが2Dだけ遅延されていることから、「真」と判定し、「立ち上がりエッジ」を選択する。
【0131】
小数点演算回路408は、真判定を受けて、上式(5)に従って小数点部分Fracを算出する。また、サンプリング信号生成回路410では、「立ち上がりエッジ」が選択されたことに応答して、発振周波数クロックCLKRFの各立ち上がりエッジでサンプリングしたサンプリング信号(再タイミング信号)を生成する。
【0132】
図14に示した例では、再タイミング信号生成用フリップフロップでは、入力信号である発振周波数クロックCLKRFに遅延時間Delay1が反映されるが、発振周波数クロックCLKRF及び基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジでサンプリングするので、サンプリング・エッジは発振周波数クロックCLKRFのn番目の周期のままである。つまり、両フリップフロップのサンプリング・エッジはともに、発振周波数クロックCLKRFの同じn番目の周期をサンプリングするタイミングになっていることから、検出誤差は発生しない。
【0133】
また、図15には、図11に示したTDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともに入力信号に対しトリガ信号に相対遅延時間Delay1を持ち(同図左)、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがΔtR>3DT/4となる場合の(同図右上段)、各フリップフロップの動作の他の例(同図右中段並びに右下段)を示している。発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFは図10に示したものと同様とする。
【0134】
図15に示す例では、相対遅延時間Delay1が2D<Delay1<3Dとする。FF相対遅延時間検出回路405は、2Dの相対遅延時間Delay1を第1のマルチプレクサ403に出力し、この結果、TDC回路406には、発振周波数クロックCLKRFを遅延時間2Dだけ遅延させた信号がトリガ信号として入力される。
【0135】
TDC回路406は、入力された基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジと発振周波数クロックCLKRFの立ち上がりエッジ及び立下りエッジとの時間差ΔtR並びにΔtFをそれぞれディジタル値DR並びにDFに変換する。また、サンプリング・エッジ選択回路407は、TDC回路406で検出したDRに応じて、「DT/4<DR<3DT/4」を真偽判定するが、発振周波数クロックCLKREFが2Dだけ遅延されていることから、「真」と判定し、「立ち上がりエッジ」を選択する。
【0136】
小数点演算回路408は、真判定を受けて、上式(5)に従って小数点部分Fracを算出する。また、サンプリング信号生成回路410では、「立ち上がりエッジ」が選択されたことに応答して、発振周波数クロックCLKRFの各立ち上がりエッジでサンプリングしたサンプリング信号(再タイミング信号)を生成する。
【0137】
図15に示した例では、再タイミング信号生成用フリップフロップでは、入力信号である基準周波数クロックCLKREFに遅延時間Delay1が反映されるが、発振周波数クロックCLKRF及び基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジでサンプリングするので、サンプリング・エッジは発振周波数クロックCLKRFのn番目の周期のままである。
【0138】
つまり、両フリップフロップのサンプリング・エッジはともに、発振周波数クロックCLKRFの同じn番目の周期をサンプリングするタイミングになっていることから、検出誤差は発生しない。これに対し、図10に示した動作例では、遅延時間Delay1が反映されることに起因して、そのサンプリング・エッジが発振周波数クロックCLKRFの1周期1周期手前の(n−1)番目にシフトし、これが検出誤差を招来する。
【0139】
図12〜図15に示した動作例から判るように、ディジタルPLL回路内に、TDC回路に用いるフリップフロップの相対遅延時間による再タイミング信号とのミスマッチ分を補償するための遅延回路を追加することで、検出誤差を改善できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0140】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0141】
本発明に係るTDC回路は、計測対象となる信号の時間情報を量子化してディジタル出力するコンバータであり、本明細書中で実施形態として紹介したディジタルPLL回路などの周波数シンセサイザ以外にも、AD変換器に適用することができる。
【0142】
また、本発明に係るTDC回路を適用して構成されるディジタルPLL回路は、位相比較器に相当する加算器の出力を可変範囲の中点付近に収束させることで、収束性を改善することができるが、その用途は無線通信端末の周波数発生源に限定されるものではない。ディジタルPLL回路の多くはその出力がクロックとして利用されるが、無線通信端末以外にも、ディジタルテレビやAVアンプなどに用いられるIEEE1394、HDMI(High Definition Multimedia Interface)などのディジタル・インターフェースで伝送されたクロックの再生に適用することができる。
【0143】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】図1は、発明の一実施形態に係るTDC回路100の構成を示した図である。
【図2A】図2Aは、第2及び第3のフリップフロップ部で保持するデータ系列[C0:C3]に基づいてトリガ信号の入力信号に対する遅延時間Delay1を検出する方法を説明するための図である。
【図2B】図2Bは、第2及び第3のフリップフロップ部で保持するデータ系列[C0:C3]に基づいて入力信号のトリガ信号に対する遅延時間Delay1を検出する方法を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施形態に係るTDC回路200の構成を示した図である。
【図4】図4は、ディジタルPLL回路300の構成例を示した図である。
【図5】図5は、図4に示しディジタルPLL回路を搭載する無線通信装置の構成例を示した図である。
【図6】図6は、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの立ち上がりエッジが近接する場合の、分周比の時間差の小数点部分の検出方法を説明するための図である。
【図7】図7は、TDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともにトリガ信号に対し入力信号に相対遅延時間Delay2を持ち、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがDT/4<ΔtR<3DT/4となる場合の、各フリップフロップの動作の一例を示した図である。
【図8】図8は、TDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともにトリガ信号に対し入力信号に相対遅延時間Delay2を持ち、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがDT/4<ΔtR<3DT/4となる場合の、各フリップフロップの動作の他の例を示した図である。
【図9】図9は、TDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともに入力信号に対しトリガ信号に相対遅延時間Delay1を持ち、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがΔtR>3DT/4となる場合の、各フリップフロップの動作の一例を示した図である。
【図10】図10は、TDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともに入力信号に対しトリガ信号に相対遅延時間Delay1を持ち、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがΔtR>3DT/4となる場合の、各フリップフロップの動作の他の例を示した図である。
【図11】図11は、TDC回路に用いるフリップフロップの相対遅延時間による再タイミング信号とのミスマッチ分を補償するための遅延回路を追加した、TDC回路並びにその周辺の回路構成を示した図である。
【図12】図12は、図11に示したTDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともにトリガ信号に対し入力信号に相対遅延時間Delay2を持ち、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがDT/4<ΔtR<3DT/4となる場合の、各フリップフロップの動作の一例を示した図である。
【図13】図13は、図11に示したTDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともにトリガ信号に対し入力信号に相対遅延時間Delay2を持ち、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがDT/4<ΔtR<3DT/4となる場合の、各フリップフロップの動作の他の例を示した図である。
【図14】図14は、図11に示したTDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともに入力信号に対しトリガ信号に相対遅延時間Delay1を持ち、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがΔtR>3DT/4となる場合の、各フリップフロップの動作の一例を示した図である。
【図15】図15は、図11に示したTDC用フリップフロップ及び再タイミング信号生成用フリップフロップがともに入力信号に対しトリガ信号に相対遅延時間Delay1を持ち、発振周波数クロックCLKRFと基準周波数クロックCLKREFの各立ち上がりエッジ間の時間差ΔtRがΔtR>3DT/4となる場合の、各フリップフロップの動作の他の例を示した図である。
【図16】図16は、DCOを用いたAll−Digital PLL回路の一構成例を示した図である。
【図17A】図17Aは、一般的なTDC回路の構成例を示した図である。
【図17B】図17Bは、図17Aに示したTDC回路のデコーダを示した図である。
【図18】図18は、図17に示したTDC回路において時間差をディジタル値に変換する動作を説明するための図である。
【図19A】図19Aは、入力信号とトリガ信号間に遅延時間がない理想的なフリップフロップを示した図である。
【図19B】図19Bは、入力Dに対しトリガ信号CLKがDelay1だけ遅延するフリップフロップの等価回路を示した図である。
【図19C】図19Cは、リガ信号に対し入力DがDelay2だけ遅延するフリップフロップの等価回路を示した図である。
【図20】図20は、図19Bに示したTDC回路において時間差をディジタル値に変換する動作を説明するための図である。
【図21】図21は、図19Cに示したTDC回路において時間差をディジタル値に変換する動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0145】
100…TDC回路(第1の実施形態)
101…第1の遅延回路
102…第1のフリップフロップ部
103…第2の遅延回路
104…第3の遅延回路
105…第2のフリップフロップ部
106…第3のフリップフロップ部
107…デコーダ
200…TDC回路(第2の実施形態)
201…第1の遅延回路
202…第1のフリップフロップ部
203…第2の遅延回路
204…第3の遅延回路
205…第2のフリップフロップ部
206…第3のフリップフロップ部
207…デコーダ
208…平均化回路
300…ディジタルPLL回路
301…基準周波数発振器
302…入力部
303…第1の累積加算器
304…ディジタル制御発振器
305…第2の累積加算器
306…TDC回路
307…再タイミング信号生成回路(Re−timed)
308…第1のフリップフロップ
309…第5の加算器
310…第1の加算器
311…第2のフリップフロップ
312…制御データ生成部
312−1…第1の可変利得回路
312−2…入力部
312−3…第2の可変利得回路
312−4…第2の加算器
312−5…第3の加算器
312−6…入力部
312−7…第4の加算器
312−8…入力部
312−9…乗算器
401…第1の遅延回路
402…第2の遅延回路
403…第1のマルチプレクサ
404…第2のマルチプレクサ
405…FF相対遅延時間検出回路
406…TDC回路
407…サンプリング・エッジ選択回路
408…小数点演算回路
409…エッジ制御信号
410…サンプリング信号生成回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遅延素子が従属接続され、高速な第1の周波数クロックを入力に持つ第1の遅延回路と、
各遅延素子の出力をそれぞれ入力信号に持つとともに前記第1の周波数クロックよりも低速となる第2の周波数クロックをトリガ信号として動作する複数のフリップフロップからなる第1のフリップフロップ部と、
前記第1の遅延回路を構成する遅延素子と等価な単位遅延時間を有する複数の遅延素子が従属接続され、前記第2の周波数クロックを入力に持つ第2の遅延回路と、
前記第1の遅延回路を構成する遅延素子と等価な単位遅延時間を有する複数の遅延素子が従属接続され、前記第2の周波数クロックを入力に持つ第3の遅延回路と、
前記第2の周波数クロック及び前記第2の遅延回路に含まれる一部の遅延素子の出力をそれぞれ入力信号に持つとともに前記第3の遅延回路の出力をトリガ信号として動作する複数のフリップフロップからなる第2のフリップフロップ部と、
前記第2の遅延回路に含まれる一部の遅延素子の出力をそれぞれ入力信号に持つとともに前記第2の周波数クロックをトリガ信号として動作する複数のフリップフロップからなる第3のフリップフロップ部と、
前記第1のフリップフロップ部の各フリップフロップが保持するデータからなるデータ系列、及び、前記第2及び3のフリップフロップ部の各フリップフロップ部が保持するデータに基づいて、前記第2の周波数クロックの立ち上がりと前記第1の周波数クロックの立ち上がり及び立下りの時間差をディジタル値に変換するデコーダと、
を具備することを特徴とするTDC回路。
【請求項2】
前記第2のフリップフロップ部及び前記第3のフリップフロップ部の各出力からデコードしたデータを前記第2の周波数クロックの複数の周期にわたって平均化する平均化部をさらに備え、
前記デコーダは、前記平均化部で平均化したデータ及び前記第1のフリップフロップ部の各フリップフロップが保持するデータからなるデータ系列に基づいて、前記第2の周波数クロックの立ち上がりと前記第1の周波数クロックの立ち上がり及び立下りの時間差をディジタル値に変換する、
ことを特徴とする請求項1に記載のTDC回路。
【請求項3】
ディジタル値を用いて制御されるディジタル制御発振器と、
分周比の分数成分に相当する時間差をディジタル値に変換するための、請求項1又は2のいずれかに記載のTDC回路と、
分周比の整数成分をディジタル値に変換するアキュムレータと、
これらの分周比に相当するディジタル値を基に前記ディジタル制御発振器をディジタル的にフィードバック制御する制御手段と、
を具備することを特徴とするPLL回路。
【請求項4】
ディジタル値の制御データを用いて制御されるディジタル制御発振器と、
所定の基準周波数と所望の発振周波数との設定分周比を累積加算する第1の累積加算器と、
前記ディジタル制御発振器が出力する発振周波数の累積クロック数を計測する第2の累積加算器と、
前記第2の累積加算器の出力を、前記基準周波数クロックのエッジより後のタイミングで且つ最も早いタイミングの整数値としてサンプリングする第1の保持部と、
前記基準周波数クロックと前記ディジタル制御発振器が出力する発振周波数クロックのエッジ間の時間差をディジタル値に変換する、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のTDC回路と、
前記第1の保持部でサンプリングした整数値と、前記TDC回路で得られた前記基準周波数クロックと前記ディジタル制御発振器が出力クロックのエッジ間の時間差のディジタル値から、前記ディジタル制御発振器の出力クロック数の累積加算値を小数表示する小数表示部と、
前記第1の累積加算器の出力から前記小数表示部の出力を減じる第1の加算器と、
前記第1の加算器の出力を増幅する第1の可変利得回路と、
第1の設定値を前記第1の可変利得回路と等価な利得で増幅する第2の可変利得回路と、
前記第1の可変利得回路の出力から前記第2の可変利得回路の出力を減じる第2の加算器と、
前記第2の加算器の出力に前記設定分周比を加算する第3の加算器と、
前記第3の加算器の出力から、第2の設定値を減じる第4の加算器と、
前記第4の加算器の出力に第3の設定値を乗算する乗算器と、
を備え、
前記乗算器の出力を制御データとして前記ディジタル制御発振器に供給する、
ことを特徴とするPLL回路。
【請求項5】
請求項4に記載のPLL回路を備える、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
請求項1又は2のいずれかに記載のTDC回路と、
前記TDC回路のフリップフロップに入力される前記第1の周波数クロックと前記第2の周波数クロック間の相対遅延時間を検出するフリップフロップ相対遅延時間検出回路と、
複数の遅延素子が従属接続され、高速な第1の周波数クロックを入力に持つ第1の遅延回路と、
前記第1の遅延回路の各遅延素子の出力に接続され、前記フリップフロップ相対遅延時間検出回路により検出された相対遅延時間に応じて、いずれかの遅延素子の出力を前記TDC回路への入力信号として選択的に出力する第1のマルチプレクサと、
複数の遅延素子が従属接続され、前記第1の周波数クロックよりも低速となる第2の周波数クロックを入力に持つ第2の遅延回路と、
前記第2の遅延回路の各遅延素子の出力に接続され、前記フリップフロップ相対遅延時間検出回路により検出された相対遅延時間に応じて、いずれかの遅延素子の出力を前記TDC回路へのトリガ信号として選択的に出力する第2のマルチプレクサと、
前記TDC回路が出力する前記第2の周波数クロックの立ち上がりと前記第1の周波数クロックの立ち上がり及び立下りの時間差のディジタル値に基づいて、前記第2の周波数クロックを前記第1の周波数クロックでサンプリングしてサンプリング信号を生成するためのサンプリング・エッジを選択するサンプリング・エッジ選択回路と、
前記サンプリング・エッジ選択回路が選択したサンプリング・エッジに応じた小数点部分の演算を行なう小数点演算回路と、
を具備することを特徴とする、フリップフロップの相対遅延時間補償機能付きのTDC回路。
【請求項7】
前記サンプリング信号の生成に用いるフリップフロップの遅延時間差のディジタル値を検出する手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のTDC回路。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−28600(P2010−28600A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189344(P2008−189344)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】