説明

X線後方散乱モバイル検査バン

【課題】煩雑になる検査要員を必要とせず、迅速で有効な乗物の内室、荷物コンテナ、または他の対象の検査装置を提供する。
【解決手段】道路走行能力があるバンなどの包囲された運搬機構に基づいて、人間も含む検査対象を検査する検査システム。運搬機構は、格納ボディまたは装甲により特徴付けられる。貫通放射線源と貫通放射線をビームに形成するための空間モジュレータとは、共に運搬機構のボディ内に完全に収容されており、時間変化走査プロファイルにより対象を照射する。検出器モジュールは対象の内容物により散乱された貫通放射線に基づく散乱信号を発生し、相対移動センサは運搬機構と検査対象との相対配置に基づいて相対移動信号を生成する。散乱信号及び相対移動信号に部分的に依存して信号から対象の内容物の画像が形成される。散乱検出器モジュールとは別々でも部分でもよい検出器が、放射性物質の崩壊生成物に対する感度を示すようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
【0002】
本発明は、包囲体または人間に隠匿された品目の遠隔検知及び画像化のためのデバイス及び方法に関し、これは一つまたは複数の検出包囲体の各々に対して一方のみに位置するモバイルプラットフォームからの散乱X線を用い、またガンマ線または中性子の受動的検出を用いる。
【0003】
発明の背景
現在のところX線は、自動車、貨物運送パレットその他を含めて荷物コンテナの検査のために採用されている。しかしながら最近の技術では、検査システムに関 連する構造体を通常は被検体の両側に配置することが必要である。即ち、X線源などを被検体に対して離間して配置し、その被検体を通過するX線の特性を被検 体近傍に配置された検出システムにより決定する。他の態様のX線検査は2001年9月18日発行の米国特許第6,292,533号に開示されている。この 態様では、固定された荷物コンテナにより駆動される可動ベッド上に貫通放射線源が搭載されており、その荷物コンテナの遠位側に検出器またはビームストップ の何れかを位置させるように、機械腕を延伸させている。
【0004】
要するに現在の技術では、被検体または被検者は、検査システムを通るように移動させるか、或いは一方が線源を他方が検出器をそれぞれ含む近位側検査部品と遠位側検査部品との間に介在させる必要がある。
【0005】
しかしながら、乗物の内室、荷物コンテナ、または他の対象に限らず、煩雑になる検査要員を必要とせず、しかも迅速で有効な手段が望ましい。特に、荷物包囲 体に関しては、現在のシステムの要請及び制約を大きくすることなく、人間、秘匿された密輸品、危険物または他の対象品目の存在を検出することが望ましい。 このような検査を放射性または核分裂性物質の受動的検知と組み合わせることも有益であろう。
【0006】
発明の概要
本発明の一つの態様によれば、その一実施例においては対象を検査する検査システムが与えられる。検査の対象は例えば人間とすることができるが、任意の区分 の荷物または乗物としてもよい。この検査システムは、格納ボディにより特徴付けられる包囲された運搬機構、例えばバンまたは他の乗物を有する。更に、この システムは、貫通放射線を発生するために運搬機構のボディ内に完全に収容されている貫通放射線源と共に、その貫通放射線から時間変化走査プロファイルによ り対象を照射するビームを形成する空間モジュレータとを有する。検出器モジュールも運搬機構のボディ内に完全に収容されており、これは対象の内容物により 散乱された貫通放射線に基づく散乱信号を発生するように設けられ、一方、相対移動センサは運搬機構及び被検体の相対配置に応じて相対移動信号を生成する。 最終的に、このシステムは散乱放射線の特定の特性を確定するためのコントローラを有する。更に、画像生成器を設け、散乱信号及び相対移動信号に部分的に依存して信号から対象の内容物の画像を形成するようにしてもよい。
【0007】
本発明の更なる実施例によれば、運搬機構は道路走行能力がある乗物を含んでもよい。貫通放射線源はX線管、特に、約350keV未満で励起して放射線を発 する単極X線管を含んでもよい。貫通放射線源は包囲された運搬機構の一方側または両側へ放射線を発する回転チョッパーホイールを含んでもよい。
【0008】
本発明の更なる実施例においては、レーダー、超音波、光、レーザー、及びLIDARセンサを含むセンサのグループのなかから近位センサを選択してもよい。 1つの散乱検出器とは別々でも同一でもよい検出器が、放射性または核分裂性物質の崩壊生成物に対する感度、特に中性子またはガンマ線に対する感度を示してもよい。
【0009】
本発明の上述の特徴は添付図面を参照してなす以下の詳細な説明により一層容易に理解されよう。
【特定の実施例の詳細な説明】
【0010】
この説明及び添付の請求の範囲で用いるように「荷物コンテナ」とは品物の保管または輸送のための容器であって、これには運送パレット、及び原動機付か牽引 式かを問わない乗物、例えば自動車、トラックのカブ及びトレーラー、列車または海洋輸送コンテナが含まれる。本明細書で用いるように用語「荷物コンテナ」 とは容器の構造体及び部品を更に含む。
【0011】
本明細書に説明する発明は荷物コンテナ内に収容されて視覚的精査を受けるのが容易ではない材料を特徴付けるように働き、また代替的に搭乗者または他の生命体に対して実行してもよい。非侵入検査の対象となり、本発明の開示によるデバイス及び方法を用いる検出にそれ自体が役立つ材料の特性は、電子密度、原子番号、質量密度、線形寸法及び形状を含むが、これらに限定されるものではない。これらの特性は、貫通放射線が物質と相互作用する様々な有益な物理的処理をなすことにより現れる。
【0012】
貫通放射線は、実質的且つ有益な度合で対象の材料を貫通するのに充分な光子毎エネルギの電磁放射を意味し、X線及びより強力な形態の放射線を含む。このような放射線と物質との干渉は一般に散乱または吸収過程の何れかに分類できる。これは、X線光子をコリメートされた(即ち指向)ビームから除去する過程、即ち新たな方向へ光子を偏向する(通常はエネルギを損失する)ことにより除去する散乱過程と、ビームから光子を単純に除去する吸収過程の両方の形態である。
【0013】
可動検査システムの基本的説明は米国特許第5,764,683号(1998年6月9日発行)に見出される。本明細書の説明及び添付の請求の範囲に用いられるように、用語「線源」とは、検査下の対象を照射するのに用いられる貫通放射線のビームを生成するように使用される装置全体を包含する広い意味で用いる。 この「線源」とはX線管または放射性同位体を含み得る貫通放射線の発生器(狭い意味で「線源」である)を含むものと解釈される。更に、本明細書及び添付の 請求の範囲において用いられるように、また図面において符号30で全体的に示されるように、用語「線源」とはビーム24を生成するのに用いられる装置全体 を意味し、その内部部品(即ちアパーチュア、チョッパ、コリメータ他をこれらに限定されることなく含む)を有してもよい。
【0014】
材料により散乱(代表的には概ね後方向)するX線が採用される散乱の画像化は幾つかの独特な検査能力及び操作特性を提供する。散乱画像化は画像化された対象が一側のみからアクセス可能な場合でさえも画像を獲得可能とさせる。更に、散乱信号は対象への深さが増大するにつれて全く迅速に低下するため、後方散乱 画像はX線源に近い側の対象特性の「スライス」を効果的に示すので、伝達画像を混乱させる画像散乱の問題が低減される。コンプトン効果は、本発明により普 通に採用されるエネルギ範囲におけるX線散乱を決定付けるが、これはX線と高密度低原子番号(低Z)材料との相互作用を決定付ける。麻薬薬物は後方散乱画 像において輝く形跡を生成する傾向にあり、有機火薬でも同様であるので、後方散乱画像化をなすことは、爆発物または薬物検出のための有益な画像化撮画手段 となる。最後に、X線ビームと検出器またはコリメーションデバイスとのアライメント要求は、伝達画像化ほどには厳格ではないので、広範な検査計画において 迅速な展開が可能となる。
【0015】
フライングスポット技法は、散乱X線を補正するように特に配置された検出器を用いる画像の獲得を可能とする。代表的なフライングスポットシステムにおいては、X線の細い「ペンシルビーム」が、検査化の対象を遮るように配置されたビーム経路の中心を起点とする垂直に指向された「扇形」を通じて、迅速且つ反復 的に掃引する。同時に、対象は一定の緩慢な速度で扇形に垂直な経路に沿って、例えば垂直移動コンベア上を移動する。この方式では、ペンシルビームは対象を点から点への軌跡の形態で横断するので、対象の長さに応じて数秒乃至数分間の時間範囲に亘ってペンシルビームが扇形面を通過するにつれて、対象全体が走査される。
【0016】
全走査時間は数秒から数分の継続時間であるが、走査対象の任意の部分の実際の露出時間は、ペンシルビームが所定のピクセルを掃引横断するのに要する短時間のみである。この露出時間は設計及び用途に依存して通常はマイクロ秒の範囲であり、走査対象に対する低線量を構成する入射露出をもたらし、これはまた環境へ散乱可能な放射線が少ないことを意味するので、オペレータや近くにいる者に対する線量も相応に低くなる。
【0017】
ここで図1を参照すると、本発明の好ましい実施例は、検出器が可動プラットフォーム10即ち運搬機構に装着されたシステムを用いており、その運搬機構は典型的には道路 走行能力があり、乗物または荷物コンテナ12のような大きな被検体を通過する。運搬機構10は包囲体14により特徴付けられており、ここでは包囲体14は バンの装甲であり、検査システムの他の構成要素を示せるように破断して示してある。この運搬機構は様々な代替的な実施の態様をとることができ、これはガソリン、ディーゼル、電気、プロパン、バッテリー、燃料電池、または水素動力モータ車(バン、トラック等を含む)、軌道車、そり、トレイラー、クレーン、その他の移動可能な(好ましくは自推式の)機器をこれらに限定されることなく含むが、例えば電気動力化で繋留及び牽引された乗物も含む。
【0018】
運搬機構10の包囲体14内に収容されたものは、X線管32(図3に示す)及びチョッパ34を含む線源30である。本発明の好ましい実施の形態によれば、線源は代表的には350keV未満で励起する。これは、単電極のみに 電圧が印加される単極X線管32を使用可能とする。これは更に、高エネルギーX線を用いるシステムに採用されているものよりも小さなチョッパ34を可能とするので都合がよい。チョッパー34は、回転有孔ハブ、または伝達スポークを有するホイール、或いはフライングスポットビーム(これは通常は移動方向20 に対して概ね直交する面に位置する)を生成する当該技術分野で公知の任意の様々な手段としてもよい。 図3に示されるX線管32は例えばパノラマ型X線管であり、これは広角ビーム生成の能力があり、また付加的に、運搬機構10の両側での走査を可能とするように回転可能としてもよい。アパーチュア36及び38を有する回転輪34はペンシルビーム24を射出するので、できる限りは運搬機構の両側で対象の検査が可能となり、これを本明細書では「両側」検査と称する。しかしながら、本明細書に説明された方式で採用された際には、全ての線源が本発明の目的の範囲内に包含される。X線源及び検出器は、運搬機構の「運転者側」、「荷客側」または同時に両側からの走査を可能とするように指向させてもよい。
【0019】
貫通放射線ビームを機械的または電気的に掃引する様々な手段が当該技術分野で公知であり、これは例えば図3に示される回転チョッパーホイール34、または例えば米国特許第6,421,420号(2002年7月16日発行)に詳細に説明されたような電気的走査を含 む。当該米国特許は本明細書に参照により包含されている。機械的チョッパーホイール34を採用する実施例においては、このチョッパーホイールが矢印方向22へ回動するにつれて、X線管32のターゲットから発せられた貫通放射線24が複数(通常は三つまたは四つ)のチャンネルを続けて通過する。ホイール 34は、アパーチュア36を通じる他はX線の透過を遮断する材料、典型的には鉛から製作されている。X線24は現在照射されているチャンネルからからペンシルビームとして出現して、ホイール34が回動するにつれて検査下の対象を掃引横断する。通常、ビーム24の寸法は例えば一回の描写のようなシステムの解像度を決定する。
【0020】
アパーチュア36は様々な形状をとってもよく、例えば円形または矩形としてもよく、或いは、より特殊な形状にあつらえてもよい。他のX線生成法を同様なペンシルビームの生成に用いてもよく、例えば細長いスリットを有する回転ディスク、中空スポークを有するホイールなどが代替的な実施の形態である。
【0021】
検出器モジュール100は、運搬機構10により支持されており、代表的には格納ボディ14内に被包されて、運搬機構の外側からは視覚的に隠匿されている。 これらは、本発明の目的の範囲内の特定の応用例のために運搬機構の外側に実現してもよい。検出器モジュールは、被検体12の内容物に対する相互作用または 散乱を有する線源30からの貫通放射線を検出するための検出器を包含する。
【0022】
散乱源は、走査されるべき人間または品目の特性についての不規則性として特徴付けられる。即ち、爆薬を携帯する人間は、局所的に増加したX線散乱に基づいて検出し得る。散乱の特定の特性、例えば被検体についての局所性または特定の傾向は、対象の危険性を判断するために確認してもよい。
【0023】
検出器モジュール100は、例えば係属中の米国特許出願第10/156,989号(2002年5月29日出願、発明の名称”Detector for X-Rays and Neutrons”に更に説明されているように、危険な物質によって自然に発する放射に対しても有感であってもよい。当該米国特許出願は参照により本明細書に組み込まれている。本発明の様々な実施の形態によれば、熱中性子及び熱外中性子(中間エネルギー、典型的には1−10eV)を検出するための高効率を有する形式の検出器が採用されている。この検出器は、中性子及び光子の両方を止めるためのシンチレータGdSを使用する。このシンチレータは普通に知られており、本明細書では「ガドックス(gadox))」と称する。スペクトルの可視部分におけるガドックスからのX線誘導シンチレータが代表的にはフォトマルチプライヤーまたはフォトダイオードにより検出される。代替的なシンチレータ、例えば熱中性子及び熱外中性子を検出する大きな断面積を有するLiFなども本発明の目的の範囲内に含まれる。
【0024】
大きな面積の個別の複数の検出器が散乱対象のX線源側のビーム面に近接して配置されており、それらの能動面は走査対象へ指向されている。これらの検出器は 散乱放射線を集めるための大きな立体角を与えることのみが要求されるが、厳格なアライメントは必要としない。この配置において、これらの検出器は、対象から線源へ向かって概ね後方へ散乱したX線に応答する。図3は本発明の他の実施例の概略的な上面図を示し、この実施例は検査運搬機構の両側に配置された対象の検査のために有益に採用できる。
【0025】
本発明によれば、密輸品の検出のために現在使用されている様々な検査撮画手段をそれらが検査するコンテナ内の核分裂性物質の発見のために付加的に用いてもよい。幾つかの方法は受動的であり、即ち放射性物質からの中性子またはガンマ線の放出を警報のためのサインとしてもよい。他の方法は能動的であり、即ち貫通放射線がコンテナを照射するので、核分裂性物質の蛍光が励起されて、ウラニウムまたはプルトニウムの特性X線が警報信号を生成する。
【0026】
対象12の検査は、運搬機構10内に配備されたオペレータにより実施してもよく、或いは、それに代えて、離間して配備されたオペレータにより実施してもよい。検査のためには、対象12を静止状態に保持して、運搬機構10を方向20(前方または後方)に沿って対象を横断させてもよく、或いは運搬機構10及び被検体12を共に移動させながら検査を実施してもよい。「ポータルモード」と称する他の態様においては、システムが静止しており、被検体がシステムを通過するように輸送される。被検体が人間であるならば、この被験者の両側が検索を受けることができるように、被験者がゆっくりと歩いて運搬機構を好ましくは両方向に通過する必要がある。
【0027】
「静止モード」においては、システム及び走査対象が共に静止しており、システム自身の一部として構成された乗物搭載X線走査法が、後方散乱X線画像を生成するように、事実上、水平と垂直との両方の走査を形成するように採用される。このような方法は、x−y並進ステージ、電子的に案内されるX線源(例えば米 国特許第6,421,420号に説明されている)、または他の手段の使用を含んでもよい。
【0028】
運搬機構10と対象12との相対移動は慎重に制御するか、或いは、運搬機構10の対象12に対する相対速度を検出する目的で、任意の様々な検知法、レーザーまたはLIDARを含めて、例えばレーダー、超音波、または光(これらは全て例示のためのみに列挙されている)を採用するセンサ18で監視してもよい。センサ18により与えられた信号は以下の1つまたは複数の撮画手段においてコントローラ40により採用されている。
【0029】
乗物の速度を調整するか、或いは乗物の速度の変則性を補償するようにピクセル登録を補正して、アスペクト比補正されて歪みのない後方散乱X線画像を生成するようにしてもよい。関連技術は以下を含むが、これらに限定されるものではない。
【0030】
・乗物の速度を低レンジ(1時間当たり0.5乃至10マイル(0.8乃至16Km))で正確に測定する高精度速度検出デバイスの使用。
【0031】
・ 低速度(1時間当たり0.5乃至10マイル(0.8乃至16Km))の電子的及び/又はソフトウェアに基づくエンジン及び/または伝達制御。
【0032】
・ 少なくとも時速55マイル(88Km)までの道路走行に適した速度範囲を与える能力を保持しつつ、同時に低い車両走査速度をもたらす車両駆動列ギアのカスタム設計。この状況では、低い走査速度における移動を制御するように、車両の巡行制御システムを「流用」できよう。
【0033】
・ ダッシュボードインジケータに結合された高精度検出デバイスを用いる運転者に対する速度の過不足の表示。これは、運転者がスロットル及びブレーキを手動調整して、歪のない画像を保持するのに必要な範囲内の所望の乗物速度を保つように用いる。
【0034】
・検査操作期間中の被験車両のホイールを駆動する摩擦駆動。
【0035】
・フライソフトウェアにおける動的補正。この手法は乗物速度の調整を意図するものではなく、車両上の1つまたは複数のセンサからの実時間高精度乗物速度及び 速度変動データを用いる。このセンサはタイヤが駆動される実施形態では符号26により示されており、ソフトウェアアルゴリズム(補間法、平均)または、オフ速度または速度変動により導かれたX線画像データにおけるアスペクト比歪を補正する他の方式と共に用いる。
【0036】
・対象の速度の遠隔検知。これは様々なセンサ18のうちの少なくとも1つを用い、また後方散乱X線画像の動的アスペクト比補正をもたらすように乗物速度データと共にソフトウェアアルゴリズムにおいてセンサ18により生成された信号を用いる。
【0037】
相対移動の制御または補正のための上述の方法例は、本発明の目的の範囲内で単独または組み合わせの何れかで使用できる。センサ18はX線ビーム方向の制御 のために付加的に与えて、被検体に対する線源の相対速度及び軌跡角を能動的に追尾するようにしてもよい。都合のよいことに、この能力は速い速度で改良され た画像を形成することを可能とし、更に、単なる一方向ではない相対移動を可能とする。付言すれば、水平空間解像度が要求されない状況では、相対移動の検出 は不要となることに留意されたい。
【0038】
図2は本願により説明されたシステムにより走査された5台の車両の列を示し、様々な場合に車両内に隠匿された内容物を示す。
【0039】
走行中の場合において、静止した人間に対する線量は規定の閾値よりも低く低減することが容易であり、与えられた車両速度は、X線がオンである間は所定の最 小限度上に保持される。インターロックは、車両の動きが中断するか或いは所定の最小速度を下回って低下したときにX線を遮断するために設けられている。さもなければ、X線は対象に対して近距離であるにも拘わらず有効になってしまう。
【0040】
静止の場合または走行中の場合に、付加的な安全対策が要求されるか若しくは望ましく、近接センサ、例えばレーザー、マイクロ波、超音波、または熱センサなどを走査されるべき対象の存在を決定するために採用して、X線は必要なときにのみ有効とするか、及び/またはビーム経路に人間が存在することを識別するようにしてもよい。これらのセンサは通例は全時間に亘って作動し、その信号はソフトウェア及び/またはハードウェアを介してインテリジェント制御X線生成の ために処理される。オペレータは、他の安全デバイスまたは制御器に加えて、手動操作の「X線有効/停止」制御器を備えてもよい。
【0041】
本発明の特性は、以下を含むアプリケーションに有益に採用されるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
・港、境界線、空港その他の輸送サイトにおいて各地へ輸送されるか実施されるコンテナ、パレットまたは他の梱包荷物、トラックまたはトレーラーの検査/積荷目録照合。
【0043】
・コンテナ、対象、または乗物が申請の通りに空であることの照合。
【0044】
・管理区域または高優先度区域、例えば軍事基地、発電所、トンネル、空港、公共ビル又は政府関係ビル、駐車場、ロビー、サービスまたは配送エリア、料金所、または他の重要施設への侵入を試みる乗物の密輸品または危険物例えば爆発物、武器または密航者についての検査。
【0045】
・車庫内、ロット、或いは公道または私道における乗物または梱包コンテナ、ロットの爆発物、武器、密輸品その他の実施形態においては危険物の検査。
【0046】
・危険物、密輸品、または内容物照合のための移動中の乗物の検査。
【0047】
・中性子またはガンマ線を放出する放射性物質を潜在的に包含する対象の検査。
【0048】
・投降する兵士/民間人に配線が仕込まれていないことを保証するための検索。
【0049】
・境界線/検問所において自爆爆弾を排除するための個人の検索。
【0050】
・群衆の中の個々人の精査。
【0051】
本発明について説明した実施例は単なる例示を意図するものであり、幾多の変形例及び変更例が当業者には明らかである。そのような変形例及び変更例の全ては添付の特許請求の範囲に規定された発明の主旨の範囲内にあるように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本発明の好適な実施例により道路走行能力のあるトラック上に配置され、乗物または荷物コンテナなどの包囲体を検査システムと当該包囲体との一方または両方が移動中に走査する可動荷物検査システムを部分的に切り欠いて示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施例により図1のシステムによる後方散乱放射線により画像化された様々な乗物の画像である。
【図3】図3は乗物の両側に対する検査能力を与える本発明の実施例により検査乗物の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通放射線により対象の同時能動及び受動検査する検査システムであって、
a.格納ボディにより特徴付けられる包囲体と、
b.この包囲体内に完全に収容され、前記包囲体の完全に外側に位置する前記対象へ入射する貫通放射線を発生するための貫通放射線源と、
c.前記包囲体の前記ボディ内に完全に収容され、貫通放射線から時間変化走査プロファイルにより前記対象を照射するビームを形成する空間モジュレータと、
d.前記密閉型運搬機構の前記ボディ内に完全に収容され、前記対象の内容物により散乱された貫通放射線と、前記内容物により自然に発せられた貫通放射線との両方を検出する検出器モジュールとを備える検査システム。
【請求項2】
請求項1記載の検査システムにおいて、前記包囲体は運搬機構である検査システム。
【請求項3】
請求項2記載の検査システムにおいて、前記運搬機構は道路走行能力がある検査システム。
【請求項4】
請求項2記載の検査システムにおいて、前記運搬機構は連結されて牽引される検査システム。
【請求項5】
請求項1記載の検査システムにおいて、前記包囲体は固定されている検査システム。
【請求項6】
請求項1記載の検査システムにおいて、オペレータは前記包囲体から離隔して配備されている検査システム。
【請求項7】
請求項2記載の検査システムにおいて、前記運搬機構の前記対象に対する相対移動を検出するセンサを更に備える検査システム。
【請求項8】
請求項1記載の検査システムにおいて、前記検出器モジュールがシンチレータ材料を含む検査システム。
【請求項9】
請求項8記載の検査システムにおいて、前記シンチレータ材料が熱中性子及び熱外中性子に対する高感度により特徴付けられる検査システム。
【請求項10】
請求項8記載の検査システムにおいて、前記シンチレータ材料が光子と中性子との両方に対して感度を有することにより特徴付けられる検査システム。
【請求項11】
請求項1記載の検査システムにおいて、前記貫通放射線源がX線管を含む検査システム。
【請求項12】
貫通放射線により検査の対象を検査する方法であって、
a.完全に包囲体内から発せられる貫通放射線のビームを生成し、
b.前記対象に前記貫通放射線を通過させて走査し、
c.前記対象により前記包囲体の運搬機構のボディへ散乱した貫通放射線を検出し、
d.前記検査の対象の内容物により自然に放射された放射線を検出し、
e.前記対象の内容物により自然に放射された放射線内の核分裂性物質の特徴を識別し、
f.前記散乱信号と前記自然放射放射線信号とに部分的に基づいて前記対象の前記内容物の特定の特徴を確定することを含む方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記包囲体は運搬機構である方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記運搬機構を連結器により牽引することを更に含む方法。
【請求項15】
請求項12記載の方法において、前記包囲体から離隔してオペレータを配備することを更に含む方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、前記運搬機構の前記対象に対する相対移動を検出することを更に含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−17709(P2011−17709A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177064(P2010−177064)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2005−507094(P2005−507094)の分割
【原出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【出願人】(308022988)アメリカン サイエンス アンド エンジニアリング,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】