説明

Zr入りCr含有溶鋼の製造方法及び浸漬ノズル閉塞抑制方法

【課題】効率良くZr入りCr含有鋼を連続鋳造できるようにする。
【解決手段】Zrを0.1〜1.5質量%含み、かつCrを8質量%以上含むZr入りCr含有溶鋼の製造方法である。精錬炉における酸化クロムの還元工程で、還元処理後の溶鋼成分を[Al]≧0.15質量%、あるいは[Si]≧0.8質量%以上となるように調整した後、該溶鋼を取鍋へ出湯する。その後、該取鍋内溶鋼に対して耐火物製の浸漬ランスを用いてガスバブリングを行いながらCaSiを添加した後にFeZrを投入する。
【効果】連続鋳造時、ノズル詰りによって鋳込みを中止することがなく、また溶鋼の清浄性を悪化させることもないZr入りCr含有溶鋼を、優れた生産性で安価に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Zrを添加したCr含有溶鋼を製造する方法、及び当該溶鋼を連続鋳造する際に、浸漬ノズルの閉塞を抑制する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Zrを添加したステンレス鋼としては、SUS430ステンレス鋼に、Zrを0.15〜1.5質量%添加した、耐酸化性に優れるフェライト系ステンレス鋼が良く知られている。
【0003】
このステンレス鋼の溶製に際しては、強脱酸元素であるZrの添加後は容易にZrO2が生成されるので、この生成されたZrO2により連続鋳造時に浸漬ノズル詰まりが頻繁に発生して連続鋳造が困難になる。
【0004】
連続鋳造時のノズル詰りを解決すべき一般的な方法として、取鍋内あるいはタンディッシュ内で、溶鋼にCa等を添加することによって、アルミナ等を低融点の組成に制御する方法が知られている。
【0005】
例えば特許文献1では、Alによる脱酸後に取鍋内でCaを添加し、Ca添加直後にZrを添加することで、浸漬ノズルの閉塞を防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平1−143740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この方法においても、Al、Caによる脱酸レベルが低い場合には、ZrO2が多量に生成されてノズル詰りを発生する原因となる。また、Ca添加後のバブリング時間が短い場合は、生成したCaO−Al23が浮上除去しきれない間にZrを添加することになるので、CaO・ZrO2系の介在物によるノズル詰りが発生する可能性が高くなる。
【0007】
また、これらAlやCaを添加した後の攪拌は、ポーラスプラグを使用したバブリングが一般的であるが、介在物の浮上除去や能率を考えた場合、ガス流量の大流量化が好ましい。
【0008】
しかしながら、ポーラスプラグを使用したバブリングの場合、大流量化にはポーラスプラグ数の増加や、ポーラスの孔径の拡大が必要となる。ポーラスプラグ数の増加は製造コストの悪化につながり、またポーラス孔径の拡大は地金差込等の問題がある。
【0009】
従って、ポーラスプラグを使用したバブリングでは、ガス流量の大流量化が困難となっている。よって、介在物を低減するための処理時間が非常に長くなるといった問題が生じる。
【0010】
また、タンディッシュ内にCaSiを添加する場合に、CaSiの添加量を制御するためにはタンディッシュへの溶鋼の注入速度、及び鋳込み速度の変化に応じてCaSiの添加速度を変更させる必要がある。
【0011】
このような添加速度の制御を行う場合、バブリング設備で添加する方法と比較して設備費用が嵩むことになるが、このような制御を行わないと添加量にバラツキが生じる。そして、CaSiの添加量が不足する場合は、ノズル詰りを回避できなくなる。一方、添加量が過剰になると、溶鋼の清浄性が悪化する場合が生じる。
【0012】
本発明が解決しようとする問題点は、従来のZr入りCr含有溶鋼の製造において、ポーラスプラグを使用したバブリングを行う場合は、ガス流量の大流量化が困難となって、介在物の低減に要する処理時間が非常に長くなるという点である。また、タンディッシュ内に添加するCaSiの添加速度を制御する場合は、バブリング設備で添加する方法と比較して設備費用が嵩むという点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のZrを0.1〜1.5質量%含み、かつCrを8質量%以上含むZr入りCr含有溶鋼の製造方法は、
連続鋳造する際に、ノズル詰りによる鋳込み中止を発生させず、また溶鋼の清浄性を悪化させることなく、効率良く、より安価に前記のZr入りCr含有鋼を製造できるようにするために、
精錬炉における酸化クロムの還元工程で、還元処理後の溶鋼成分を[Al]≧0.15質量%、あるいは[Si]≧0.8質量%以上となるように調整した後、該溶鋼を取鍋へ出湯し、
その後、該取鍋内溶鋼に対して耐火物製の浸漬ランスを用いてガスバブリングを行いながらCaSiを添加した後にFeZrを投入することを最も主要な特徴としている。
【0014】
この本発明の方法で製造したZr入りCr含有溶鋼を連続鋳造した場合には、浸漬ノズルのノズル詰まりが抑制でき、鋳造を中止することがなくなる。これが本発明のZr入りCr含有鋼の連続鋳造時における浸漬ノズル閉塞抑制方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、Zrを含むCr含有溶鋼を連続鋳造する際にも、ノズル詰りによって鋳込みを中止することがなく、また溶鋼の清浄性を悪化させることもないZr入りCr含有溶鋼を、優れた生産性で安価に製造でき、極めて工業的価値が大きいという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の着想から課題解決に至るまでの経過と共に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0017】
Zrを添加したCr含有鋼の製造において、ノズル詰りを抑制し、タンディッシュ内でCaSiを添加することなく製造が可能となる製品、及び製造方法を見出すべく、発明者は、ノズル詰りの原因であるZrO2及びCa−O−Zr系の酸化物を極力低減させることに着目して検討を行った。
【0018】
その1点目はZr添加前にZrと結びつく酸素を極力低下させること、2点目はZr添加前の介在物の量を極力低下させることである。
【0019】
まず、1点目の、Zr添加前にZrと結びつく酸素レベルを低下させるためには、Zrを添加する前に、脱酸元素であるAlやSiを溶鋼中に極力多く添加することが必要である。発明者の実験によれば、溶鋼中におけるAlやSiの濃度を、[Al]≧0.15質量%、あるいは[Si]≧0.8質量%以上とすることが必要であった。
【0020】
2点目の、Zr添加前における溶鋼中の介在物を低減させる方法として、発明者は、Zr添加前にCaSiを投入することで、脱酸時に生成された介在物を低融点のCaO−Al23系介在物に制御し、その後、ガスバブリングして介在物を浮上除去させることが効果的であることを見出した。
【0021】
このときのガスバブリングは、耐火物製のランスを用いて大流量のガスで行うことが効果的であることも判明した。また、トップスラグにおける介在物の吸収能を大きくするためには、トップスラグの塩基度を高くすることが効果的であることも判明した。
【0022】
本発明のZrを0.1〜1.5質量%含み、かつCrを8質量%以上含むZr入りCr含有溶鋼の製造方法は、上記の知見に基づいてなされたものであり、
精錬炉における酸化クロムの還元工程で、還元処理後の溶鋼成分を[Al]≧0.15質量%、あるいは[Si]≧0.8質量%以上となるように調整した後、該溶鋼を取鍋へ出湯し、
その後、該取鍋内溶鋼に対して耐火物製の浸漬ランスによりガスバブリングを行いながらCaSiを添加した後にFeZrを投入するものである。
【0023】
発明者による実験によれば、本発明のZr入りCr含有溶鋼の製造方法における、耐火物製の浸漬ランスによるガスバブリングは、介在物の浮上除去や能率を考えた場合、溶鋼1トン当たり、15Nリットル/分以上の流量で実施することが望ましい。
【0024】
また、発明者の実験によれば、本発明のZr入りCr含有溶鋼の製造方法において、精錬炉における酸化クロムの還元工程で、還元処理後のスラグの塩基度(CaO/SiO2質量比)を2.2以上に調整し、そのスラグを溶鋼と共に取鍋へ取り出し、そのスラグの存在下でガスバブリングを行えば、トップスラグにおける介在物の吸収能がより大きくなって、Zr添加前における溶鋼中の介在物をより効果的に低減できる。
【0025】
以上の本発明方法で製造したZr入りCr含有溶鋼を連続鋳造した場合には、浸漬ノズルのノズル詰まりが抑制でき、鋳造を中止することがなくなる。
【0026】
以下、耐酸化性を改善するためにZrを0.1〜1.5質量%含んだ、Crを8質量%以上含むステンレス鋼である、本発明のZr入りCr含有溶鋼の製造方法における数値限定の理由について説明する。
【0027】
発明者は、1チャージ当たり70〜80トンの下記表1に示す成分範囲の溶鋼を、内径が60〜80mmの浸漬ノズルを介して鋳型内に注入し、0.7〜0.9m/分の鋳込み速度で、1時間当たり40〜50トンを連続鋳造した際の浸漬ノズルの閉塞について調査した。
【0028】
調査した溶鋼の成分範囲を下記表1に示す。還元精錬処理後(出鋼前)とCa、Zr添加後の各成分範囲も表1の成分範囲内で実施した。また、還元精錬処理後のスラグの塩基度(CaO/SiO2質量比)の範囲は1.8〜2.4である。
【0029】
【表1】

【0030】
まず、溶鋼の脱酸レベルについて、溶鋼中のAl、Si、Zrと平衡する酸素濃度との関係を図1に示す。
Al、Si、Zrを比較すると、Zrの脱酸力が一番強く、続いて、Al、Siの順であった。ここで、溶鋼中のAl濃度やSi濃度([Al]、[Si]とも記す。)を高くするにつれて溶存酸素量が低下するので、ZrO2の生成量が低減することは図1より明らかである。
【0031】
次に、主精錬炉であるAOD炉で、溶鋼中のAlあるいはSi濃度を調整し、その後取鍋内で耐火物製の浸漬ランスにより精錬したときの、溶鋼中のAlあるいはSi濃度とノズル閉塞の有無の関係を図2に示す。バブリングに使用したArガスの流量は、溶鋼1トン当たり10〜15Nリットル/分で、CaSiの添加後、Zrを添加するまでのバブリング時間は5分であった。
【0032】
溶鋼中のAl濃度を調査したときの溶鋼の成分範囲を下記表2に、また溶鋼中のSi濃度を調査したときの溶鋼の成分範囲を下記表3に示す。
【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
ノズル閉塞有無の判断基準としては、ノズル詰りによって鋳造を中止した場合を閉塞(中断)、ノズル閉塞が無く完鋳した場合を完鋳、完鋳できているが、ノズルが詰り気味となり、鋳込み速度が低下する等のアクションにより完鋳したものを閉塞気味(完鋳)とした。
【0036】
図2より、ノズル詰まりによって鋳造を中断せずに完鋳するには、[Al]≧0.15質量%、あるいは[Si]≧0.8質量%に調整することが必要であることが分かる。また、溶鋼中のAl濃度やSi濃度が多いほうがより鋼中酸素濃度が低くなるので、[Al]≧0.2質量%、あるいは[Si]≧1.0質量%に調整した後に、CaSiを添加することが望ましい。
【0037】
続いて、溶鋼中の濃度が、[Al]≧0.15質量%、あるいは[Si]≧0.80質量%の時の、ノズル詰まり気味チャージについて、溶鋼の清浄度との関係を調査した。その結果を図3に示す。
【0038】
清浄度の指標として、Zrを添加する前の溶鋼中のT.Oを用いた。図3より、T.Oが低くなるほどノズル詰まり気味チャージの比率は低下し、T.O≦25ppmで皆無となることが分かる。
【0039】
溶鋼中の濃度が、[Al]=0.15〜0.20質量%、あるいは[Si]≧0.8質量%の時におけるT.Oとバブリングガス流量、及びCaSi添加後(Zr添加前)のバブリング時間との関係を図4に示す。このときのトップスラグの塩基度は2.2〜2.4であった。
【0040】
図4より、バブリング処理前の溶鋼中のAl濃度が[Al]≧0.15%の場合に、溶鋼1トン当たり15Nリットル/分の流量で、5分間ガスバブリングを実施すれば、T.O≦25ppmが達成できるので、75トン(1.5〜1.7時間)の連続鋳造において、浸漬ノズル閉塞気味による鋳造速度等の操業阻害をおこす比率は0%となることが分かる。
【0041】
しかしながら、ポーラスプラグを使った場合には、溶鋼1トン当たり1〜3Nリットル/分のガスしか流すことができないので、10分間の処理では溶鋼中のT.Oが25〜30ppmであって、75トン(1.5〜1.7時間)の連続鋳造を、浸漬ノズル閉塞気味による鋳造速度等の操業阻害を引き起こす比率を0%とするには、12分間以上の処理を必要とした(図4参照)。
【0042】
ところで、本発明が対象とする鋼種を連続鋳造する際には、バブリング処理時間が長くなると連々鋳(複数チャージの連続鋳造を続いて実施すること)のために前チャージの鋳込み速度を低下させたり、溶鋼温度の低下を補償することが必要になったりする弊害があるので、バブリング処理時間は10分間程度以下としなければならない。
【0043】
したがって、本発明の対象鋼種を安定して連続鋳造するためには、従来用いられているポーラスプラグを使用したバブリングではなく、大流量を流すことができる耐火物製の浸漬ランスを使用し、溶鋼1トン当たり15Nリットル/分以上の流量でバブリングすることが必要である。
【0044】
続いて、溶鋼中の濃度が、[Al]≧0.15質量%、あるいは[Si]≧0.8質量%の時に、溶鋼1トン当たりのバブリング流量が15Nリットル/分の時におけるトップスラグと塩基度との関係を図5に示す。
【0045】
同じバブリング時間では、トップスラグの塩基度が高いほうがより介在物を低減できており、トップスラグの塩基度を2.2以上に制御することにより介在物の低減効果が良く、5分間のバブリング時間でT.O≦25ppmまで低減が可能となっていることが分かる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の効果を確認するために実施した実験結果について説明する。
本例では、電気炉でスクラップを溶解した後、AOD炉にて脱炭、昇熱を実施後、還元及び成分調整を行い、取鍋へ出鋼した。
【0047】
その後、耐火物製のインジェクションランスを用いたガス攪拌取鍋精錬設備にて、CaSiの添加及び、FeZrの投入を行った。処理量は1チャージ当たり75トンである。
まず、Al、Siの調整はAOD炉での還元処理後の溶鋼の分析値から、AOD炉にてAl塊及びFeSiを投入して所定の濃度まで調整した。なお、鋼の主な成分範囲は前記表1に記載の範囲内である。
【0048】
取鍋ガス攪拌処理は、CaSi塊を投入し、所定のガス流量にてバブリングを施した後にFeZrを投入し、連続鋳造にて鋳造を行った。比較としてCaSiを添加しない方法も実施した。
【0049】
鋳造は、0.7〜0.9m/分の鋳込み速度で行い、その際、内径が75mmの浸漬ノズルを使用した。また、トップスラグの塩基度はAOD炉での吹錬時に調整した。なお、ノズル詰りの評価方法は先に述べた方法で行った。
【0050】
下記表4に操業条件とノズル閉塞有無等の鋳造結果を示す。ノズル閉塞の評価は先に述べた方法と同じで、1チャージ当たり75トンの溶鋼を連続鋳造した時の閉塞、閉塞気味、無しとした。
【0051】
【表4】

【0052】
鋼1及び鋼2は、[Al]及び[Si]が共に本発明の規定値以下であり、ノズルが閉塞して鋳造を中断した例(比較例)である。また、鋼3及び鋼4は、[Al]あるいは[Si]、トップスラグの塩基度、バブリング流量は本発明の規定値を満足しているが、CaSiを添加していないためにノズルが閉塞し、鋳造を中断した例(比較例)である。
【0053】
これに対して、鋼5〜鋼16は、[Al]濃度あるいは[Si]濃度が規定値を満たしており、かつCaSiの添加を実施したチャージ(発明例)であり、すべて完鋳できている。
【0054】
しかしながら、鋼9、10、13、14の発明例はトップスラグの塩基度が低かったため、また鋼6、10、12、14の発明例はガス流量が少なかったため、完鋳はできたものの、ノズルが閉塞気味となって操業阻害が発生した例である。
【0055】
また、鋼8、15の発明例はトップスラグの塩基度が低かったが、また鋼7、16の発明例はガス流量が少なかったが、バブリング時間を長くすることで、ノズルの閉塞を回避して完鋳できた例である。しかしながら、これらの発明例の場合、バブリング時間が長くなったことで、鋳込み中の前チャージの鋳造速度Vcが低下した。
【0056】
一方、本発明の請求項1〜3の要件を全て満足した鋼5、11の発明例は、ノズルの閉塞はもとより、鋳造速度Vcが低下する等の操業阻害等もなく完鋳できた例である。
【0057】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇内で、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】溶鋼の脱酸レベルについて、溶鋼中のAl、Si、Zrと平衡する酸素濃度との関係を示した図である。
【図2】(a)はAOD炉でAl濃度を調整し、その後取鍋内で耐火物製の浸漬ランスにより精錬したときのAl濃度とノズル閉塞の有無の関係を示した図、(b)はAOD炉でSi濃度を調整し、その後取鍋内で耐火物製の浸漬ランスにより精錬したときのSi濃度とノズル閉塞の有無の関係を示した図である。
【図3】溶鋼中の濃度が、[Al]≧0.15質量%、あるいは[Si]≧0.80質量%の時の、ノズル詰まり気味チャージについて、溶鋼の清浄度との関係を調査した結果を示した図である。
【図4】溶鋼中の濃度が、[Al]=0.15〜0.20質量%、あるいは[Si]≧0.8質量%の時におけるT.Oとバブリングガス流量、及びCaSi添加後(Zr添加前)のバブリング時間との関係を示した図である。
【図5】溶鋼中の濃度が、[Al]≧0.15質量%、あるいは[Si]≧0.8質量%の時に、溶鋼1トン当たりのバブリング流量が15Nリットル/分の時におけるトップスラグと塩基度との関係を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精錬炉における酸化クロムの還元工程で、還元処理後の溶鋼成分を[Al]≧0.15質量%、あるいは[Si]≧0.8質量%以上となるように調整した後、該溶鋼を取鍋へ出湯し、
その後、該取鍋内溶鋼に対して耐火物製の浸漬ランスを用いてガスバブリングを行いながらCaSiを添加した後にFeZrを投入することを特徴とするZrを0.1〜1.5質量%含み、かつCrを8質量%以上含むZr入りCr含有溶鋼の製造方法。
【請求項2】
耐火物製の浸漬ランスを用いた前記ガスバブリングを、溶鋼1トン当たり15Nリットル/分以上の流量で実施することを特徴とする請求項1に記載のZr入りCr含有溶鋼の製造方法。
【請求項3】
精錬炉における酸化クロムの還元工程で、還元処理後の塩基度(CaO/SiO2質量比)を2.2以上に調整したスラグを溶鋼と共に取鍋へ取り出し、このスラグの存在下で前記のガスバブリングを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のZr入りCr含有溶鋼の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の方法で製造した溶鋼を鋳造することを特徴とするZr入りCr含有鋼の連続鋳造時における浸漬ノズル閉塞抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−101259(P2008−101259A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286588(P2006−286588)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】