説明

位置情報表示システムおよび位置情報表示方法

【課題】他端末の走行軌跡に至る走行経路を表示する。
【解決手段】地図データベース36は、地図データを格納する。自端末位置データベース37は、GPS部33が取得する自端末の位置を示す位置情報を格納する。データ送受信部30は、ホストコンピュータに自端末の位置情報を送信し、ホストコンピュータから他端末の位置を示す位置情報を受信する。他端末位置データベース38は、他端末の位置を示す位置情報を格納する。データ処理部34は、自端末位置データベース37と他端末位置データベース38から、それぞれ自端末の位置情報と他端末の位置情報を取得し、最終目的地に近くかつ、自端末の最新の現在地からも近い他端末の走行軌跡上の中間点までの走行経路を求める。表示部31は、データ処理部34が求めた中間点までの走行経路を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の走行経路を表示する位置情報表示システムおよび位置情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positionig System)の普及に伴い、カーナビゲーションシステムを搭載した車が多くなっている。また、車に固定したカーナビゲーションシステムだけではなく、スマートフォン等の移動端末でナビゲーション機能を提供するサービスが普及している。
更に、他車の位置情報を受信し、他車の位置を地図上に表示する装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−298448号公報
【特許文献2】特開2009−198236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同じ目的地に向かって複数の車で移動している場合、あるいは、それぞれ別の地点から目的地と到着時間を決めて出発する場合、特許文献1と特許文献2に記載されている装置を用いれば、互いの車の位置を知り、到着時間を想定しながら走行することができる。
しかし、なんらかのアクシデントによる交通渋滞や道路の封鎖等が発生した場合、その影響を受けて進まない車と、影響を受けずに先に進む車とが現れる。このような場合、影響を受けずに先に進む車がたどった走行軌跡が、影響を受けて進まない車の最適な走行経路となる可能性がある。
しかしながら、特許文献1と特許文献2に記載されている装置では、影響を受けずに先に進む他車の走行軌跡が分かってもその走行軌跡にたどりつくまでの走行経路を知ることはできない。
【0005】
本発明の目的は、他端末の走行軌跡に至る走行経路を表示することができる位置情報表示システムおよび位置情報表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の位置情報表示システムは、
複数の移動端末を含み、当該各移動端末において、当該各移動端末と異なる他の移動端末の走行軌跡を表示する位置情報表示システムであって、
前記各移動端末が、
位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された位置情報を記憶装置に記憶させる位置情報記憶手段と、
前記記憶装置が記憶している位置情報と前記他の移動端末から取得された位置情報とに基づいて求められた前記他の移動端末の走行軌跡に含まれる所定の位置に達するための走行経路を表示する走行経路表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、本発明の位置情報表示システムは、
前記各移動端末が、前記走行経路を求める指示を受け付ける受付手段を備え、
前記各移動端末の受付手段によって走行経路を求める指示が受け付けられたことに応答して、前記各移動端末の有する記憶装置と前記他の移動端末の有する記憶装置から、前記受付手段によって指示が受け付けられる前に記憶された位置情報を含む位置情報を取得し、当該取得された各移動端末の位置情報と他の移動端末の位置情報とに基づいて前記走行経路を求める走行経路算出手段を備える、
ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の位置情報表示方法は、
複数の移動端末を含み、当該各移動端末において、当該各移動端末と異なる他の移動端末の走行軌跡を表示する位置情報表示方法であって、
前記各移動端末が、
位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記取得された位置情報を記憶装置に記憶させる位置情報記憶ステップと、
前記記憶装置が記憶している位置情報と前記他の移動端末から取得された位置情報とに基づいて求められた前記他の移動端末の走行軌跡に含まれる所定の位置に達するための走行経路を表示する走行経路表示ステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、他端末の走行軌跡に至る走行経路を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る位置情報表示システムの構成の一例を示す図である。
【図2】位置情報の配信を希望する移動端末を示す配信先端末データの構成の一例を示す図である。
【図3】移動端末7の構成の一例を示す図である。
【図4】他端末位置データの構成の一例を示す図である。
【図5】移動端末からホストコンピュータに送信する端末データの構成の一例を示す図である。
【図6】ホストコンピュータから移動端末に送信するホストデータの構成の一例を示す図である。
【図7】ホストコンピュータと移動端末との間で送受信される一連のデータの一例を示す図である。
【図8】ホストコンピュータのデータ処理の一例の流れを示す図である。
【図9】移動端末のデータ処理の一例の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る位置情報表示システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る位置情報表示システムの構成の一例を示す。
本位置情報表示システムは、システム全体を制御するホストコンピュータ1と、位置情報などの送受信を行う複数の移動端末7(7a,7b,7c,……,7n)とで構成される。ホストコンピュータ1と複数の移動端末7は公衆回線網6に接続されており、相互に通信することができる。
ホストコンピュータ1は、データ送受信部2と、データアクセス部3と、データ処理部4と、配信先端末データベース5とを有する。
データ送受信部2は、移動端末7から送信される端末データ等のデータを受信し、移動端末7にホストデータ等のデータを送信する。
データアクセス部3は、移動端末7から送信される端末データを基に作成した配信先端末データを配信先端末データベース5に格納したり取り出したりする。
データ処理部4は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを有している。データ処理部4は、CPUがメモリに記憶された所定のプログラムを実行することにより、データ送受信部2とデータアクセス部3の制御や、移動端末7との間で送受信したデータを用いて各種の処理を行う。
【0013】
配信先端末データベース5は、ハードディスク等で構成される記憶装置に記憶されている。
配信先端末データベース5に格納される配信先端末データは、図2に示すように、位置取得端末ID(Identifier)21と、配信端末数22と、配信端末ID23とで構成されている。
位置取得端末ID21は、端末IDが格納され、端末データをホストコンピュータ1に送信する移動端末7を示す。端末IDは、各移動端末7を一意的に識別できるように付与される。
配信端末数22は、ホストコンピュータ1がホストデータを送信する移動端末7の数を示す。
配信端末ID23は、端末IDが格納され、ホストコンピュータ1がホストデータを送信する移動端末7を示す。
端末データは、後で図5と図7を参照しながら詳細に説明するように、移動端末7が取得した位置情報を含む。ホストコンピュータ1は、位置情報を含む端末データを受信すると、その端末データを送信した移動端末7の端末IDをキーとして配信先端末データベース5の位置取得端末ID21を検索し、配信端末ID23からホストデータを送信する移動端末7を特定する。
ホストデータは、後で図6と図7を参照しながら詳細に説明するように、受信した端末データに含まれる位置情報を含む。ホストコンピュータ1は、ホストデータを作成し、そのホストデータを配信端末ID23の示す移動端末7に送信する。
【0014】
たとえば、移動端末7a,7b,7cが同じ目的地に向かって走行しようとしており、移動端末7bは、移動端末7aと移動端末7cの位置情報を必要していて、移動端末7cは移動端末7aの位置情報を必要としているものとする。この場合、移動端末7aの位置情報の配信を希望している端末は2機、移動端末7cの位置情報の配信を希望している端末は1機ということになる。
このような場合、位置取得端末ID21が7aと7cの2つのレコードが作成される。配信端末数22には、配信を希望している端末数が設定され、配信端末ID23には、配信端末数22に設定された数の端末IDのリストが格納されることになる。移動端末7bの位置を必要としている移動端末は存在しないため、位置取得端末ID21が7bであるレコードは作成されない。
【0015】
図3は、移動端末7の構成の一例を示す。
移動端末7は、データ送受信部30と、表示部31と、入力部32と、GPS部33と、データ処理部34と、データアクセス部35と、地図データベース36と、自端末位置データベース37と、他端末位置データベース38とで構成される。
データ送受信部30は、ホストコンピュータ1とデータの送受信を行う。
表示部31は、ディスプレイ等を含み、地図データや経路データを表示する。
入力部32は、タッチパネルやキーボード等を含み、ユーザによって入力される操作を受け付ける。
GPS部33は、GPS(Global Positioning System)衛星の送信する電波を受信して現在地の位置を示す位置情報を取得する。
データ処理部34は、CPUとメモリを有する。データ処理部34は、CPUがメモリに記憶された所定のプログラムを実行することにより、データ送受信部30と、表示部31と、入力部32と、GPS部33と、データアクセス部35とを制御し、ホストコンピュータ1との間で送受信したデータを用いて各種の処理を行う。
データアクセス部35は、自端末位置データベース37と他端末位置データベース38にデータを格納したり、地図データベース36、自端末位置データベース37、および他端末位置データベース38からデータを検索したりする。
なお、以下では、他の移動端末7の位置情報を受け取って他の移動端末7が搭載されている車両の走行軌跡を表示部31に表示する移動端末7を自端末といい、他の移動端末7を他端末という。また、自端末が搭載されている車両を自車といい、他端末が搭載されている車両を他車という。
【0016】
地図データベース36は、道路や店舗などの位置や道路のネットワーク情報などからなる地図データを格納する。
自端末位置データベース37は、GPS部33が取得する自端末の位置を示す位置情報を格納する。自端末位置データベース37に格納される位置情報は、位置取得日時と、緯度と、経度とで構成される。なお、自端末位置データベース37に登録されている位置情報は、後述するように、ホストコンピュータ1からの要求に応じて過去の位置情報を送信する際に使用される。
他端末位置データベース38は、ホストコンピュータ1から送信される他端末の位置を示す位置情報を格納する。
他端末位置データベース38に格納される位置情報は、図4に示すように、端末ID41と、位置取得日時42と、緯度43と、経度44とで構成される。
端末ID41は、他端末を識別するための識別符号であり、図2に示した配信先端末データの位置取得端末ID21に格納される端末IDに対応する端末IDが格納される。位置取得日時42は、配信を依頼された他端末が位置情報を取得した日時である。緯度43と経度44は、他端末の位置を示す。
【0017】
図5は、移動端末7からホストコンピュータ1に送信する端末データの構成の一例を示す。
端末データは、図5(A)に示すように、処理種別コード51と、送信元端末ID52と、送信日時53と、送信情報54とで構成される。
処理種別コード51は、送信データの種別を示す。処理種別コード51は、他端末位置配信サービス開始要求を示すコード511と、自端末位置配信受諾を示すコード512と、自端末位置情報登録を示すコード513と、他端末位置配信サービス終了要求を示すコード514の4種類のコードからなる。
送信元端末ID52には、自分自身に割り当てられた端末IDが設定される。
送信日時53には、端末データを送信する日時が設定される。
送信情報54には、4種類の処理種別コード51毎に異なる情報が設定される。
処理種別コード51に、他端末位置配信サービス開始要求を示すコード511を設定する場合、図5(B)に示すように、送信情報54には、位置情報の配信を要する他端末の端末IDである位置配信要求端末ID541をリスト形式で設定する。
処理種別コード51に、自端末位置配信受諾を示すコード512を設定する場合、図5(C)に示すように、送信情報54には、自端末の位置情報を他端末へ配信することを受諾するか否かを示す受諾コード542を設定する。
処理種別コード51に、自端末位置情報登録を示すコード513を設定する場合、図5(D)に示すように、送信情報54には、位置情報を取得した日時を示す位置取得日時543と、現在地の緯度および経度を示す緯度544および経度545とを設定する。
処理種別コード51に、他端末位置配信サービス終了要求を示すコード514を設定する場合、図5(E)に示すように、送信情報54は必要ないため設定しない。
【0018】
図6は、ホストコンピュータ1から移動端末7に送信するホストデータの構成の一例を示す。
ホストデータは、図6(A)に示すように、処理種別コード61と、送信日時62と、送信情報63とで構成される。
処理種別コード61は、送信するデータの種別を示す。処理種別コード61には、自端末位置配信許諾確認を示すコード611と、位置情報配信受諾通知を示すコード612と、位置情報送信要求を示すコード613と、他端末位置情報通知を示すコード614と、他端末位置配信サービス終了通知を示すコード615との5種類のコードが設定される。
送信日時62には、ホストデータを送信する日時が設定される。
送信情報63には、5種類の処理種別コード61毎に異なる情報が設定される。
処理種別コード61に、自端末位置配信許諾確認を示すコード611を設定する場合、図6(B)に示すように、送信情報63には、位置情報の配信を依頼している移動端末7の端末IDを示す位置配信依頼端末ID631を設定する。
処理種別コード61に、位置情報配信受諾通知を示すコード612を設定する場合、図6(C)に示すように、送信情報63には、位置情報の配信を受諾した移動端末7の端末IDを示す位置配信受諾端末ID632をリスト形式で設定する。
処理種別コード61に、他端末位置情報配信を示すコード614を設定する場合、図6(E)に示すように、送信情報63には、位置情報を取得して配信する移動端末7の端末IDを示す位置取得端末ID633と、位置情報を配信する移動端末7が位置情報を取得した日時を示す位置取得日時634と、位置情報を配信する移動端末7の現在地の緯度および経度を示す緯度635および経度636を設定する。
処理種別コード61に、位置情報送信要求を示すコード613と他端末位置配信サービス終了通知を示すコード615を設定する場合、図6(D)と図6(F)に示すように、送信情報63は必要ないため設定しない。
【0019】
図7は、ホストコンピュータ1と移動端末7との間で送受信される一連のデータの一例を示す。
ホストコンピュータ1は、移動端末7bから処理種別コード51にコード511が設定されている他端末位置配信サービス開始要求を受信する。このとき、送信情報54には、位置配信要求端末ID541として、移動端末7aと移動端末7cの端末IDが設定されているものとする(701)。
他端末位置配信サービス開始要求を受けると、ホストコンピュータ1は、位置情報を配信してよいかを確認するために、移動端末7aと移動端末7cに、処理種別コード61にコード611が設定されている自端末位置配信許諾確認を送信する。このとき、ホストコンピュータ1は、送信情報63に、位置配信依頼端末IDとして、位置情報の配信を依頼している移動端末7bの端末IDを設定する(702,704)。
ホストコンピュータ1から処理種別コード61にコード611が設定されている自端末位置配信許諾確認を受信した移動端末7aと移動端末7cは、受諾の要否を返却するために、処理種別コード51にコード512が設定されている自端末位置配信受諾をホストコンピュータ1に送信する。このとき、送信情報54には配信を受諾するか否かを表すコードを設定する(703,705)。
ホストコンピュータ1は、他端末位置配信サービス開始要求を送信してきた移動端末7bに対し、移動端末7aと移動端末7cの配信許諾の結果を送信するために、処理種別コード61にコード612が設定されている位置情報配信受諾通知を送信する。このとき、送信情報63には、位置情報の配信を受諾した移動端末7の端末IDのリストが設定されている。受諾した移動端末7が1台もなかった場合は、送信情報63に何も設定されずに送信され、それは、配信サービスが受けられないことを示す(706)。なお、送信情報63に何も設定されていないことは、例えば、送信情報63に含まれる全てのビットを1とすること等によって表すことができる。
【0020】
自端末位置配信受諾を送信した移動端末7aと移動端末7cに対し、ホストコンピュータ1は処理種別コード61にコード613が設定されている位置情報送信要求を送信する(707,710)。
位置情報送信要求を受けた移動端末7aと移動端末7cは、位置情報を取得し、ホストコンピュータ1に対し、処理種別コード51にコード513が設定されている自端末位置情報登録を送信する。このとき、送信情報54には、位置取得日時543と、現在地の緯度544および経度545が設定されている(708,711)。
ホストコンピュータ1は、他端末位置配信サービス開始要求を送信してきた移動端末7bに対して受信した位置情報を送信するために、処理種別コード61にコード614が設定されている他端末位置情報通知を送信する。このとき、送信情報63には、位置情報を取得した移動端末7の位置取得端末IDと、位置取得日時634と、現在地の緯度635および経度636とが設定されている(709,712)。
処理種別コード61にコード613が設定されている位置情報送信要求(707、710)から処理種別コード61にコード614が設定されている他端末位置情報通知(709、712)までは、他端末位置配信サービス開始要求を送信してきた移動端末7bが、処理種別コード51にコード514が設定されている他端末位置配信サービス終了要求をホストコンピュータ1に送信する(713)まで繰り返し行われる。
【0021】
他端末位置配信サービス開始要求を送信してきた移動端末7bから、処理種別コード51にコード514が設定されている他端末位置配信サービス終了要求を受信すると、ホストコンピュータ1は、サービスの終了を知らせるために、移動端末7a,移動端末7b,移動端末7cに対し処理種別コード61にコード615が設定されている他端末位置配信サービス終了通知を送信し(714,715,716)、サービスは終了する。
【0022】
図8は、ホストコンピュータ1のデータ処理の一例の流れを示す。
ホストコンピュータ1のデータ処理部4は、移動端末7(以下、要求元移動端末という。)から他端末位置配信サービス開始要求を受信する(S101)。開始要求を受けたデータ処理部4は、位置情報の配信元に指定された移動端末7(以下、配信元移動端末という。)に対し、要求元移動端末に位置情報を配信してもよいかを確認するために、自端末位置配信許諾確認を送信する(S102)。データ処理部4は、自端末位置配信許諾確認を受信した配信元移動端末から受諾の有無が設定された自端末位置配信受諾を受信すると(S103)、その内容を確認する(S104)。自端末の位置情報を配信してもよいという内容が返却された場合(S104:Yes)、データ処理部4は、要求元移動端末に位置情報を送信することになる。
【0023】
たとえば、移動端末7b(要求元移動端末)が、移動端末7aと移動端末7c(配信元移動端末)の位置情報を必要とした場合、ホストコンピュータ1に対し、送信情報54に移動端末7aと移動端末7cの端末IDを含む他端末位置配信サービス開始要求を送信する。他端末位置配信サービス開始要求を受けたところ(S101)からホストコンピュータ1のデータ処理は開始する。データ処理部4は、位置情報の配信を依頼された移動端末7aと移動端末7cに対し、移動端末7bに位置情報を送付してもよいかの確認を行い(S102)、受諾された場合(S104:Yes)に移動端末7aと移動端末7bと移動端末7cのデータ送受信を行うことになる。どの移動端末7に対しどの移動端末7の位置情報を配信するかを管理するためのデータが配信先端末データベース5である。
【0024】
データ処理部4は、配信先端末データベース5に、配信元移動端末のレコードを新規に作成するか、または既存レコードの更新を行う。配信元移動端末のレコードの作成は、既存レコードの位置取得端末ID21に、今登録しようとしている移動端末IDと同じものがない場合、作成する。一方、移動端末IDが一致するレコードが既に存在する場合は、既存レコードを更新する(S105)。
例えば、移動端末7bが、移動端末7aと移動端末7cの位置情報を要求する場合、配信先端末データベース5の既存レコードの位置取得端末ID21に移動端末7aと移動端末7cと一致するものがないため、図2に示すように、位置取得端末ID21に移動端末7aと移動端末7cを設定した配信元移動端末のレコードを作成する。そして、両方のレコードの配信先端末数22配信端末ID23に、それぞれ1と要求元移動端末である移動端末7bを設定する。
さらに、移動端末7cが、移動端末7aの位置情報を要求する場合、配信先端末データベース5の既存レコードの位置取得端末ID21に移動端末7aが設定されているレコードが既に存在している。このため、新たにレコードを作成せず、位置取得端末ID21に移動端末7aが設定された配信元移動端末のレコードに対し、配信先端末数22を2とし、配信端末ID23に要求元移動端末である移動端末7cを追加して更新する。
【0025】
データ処理部4は、配信先端末データベース5に登録された移動端末7aと移動端末7cに対し、位置情報を送信するよう要求を送信する(S107)。データ処理部4は、位置情報を送信するよう要求された移動端末7から送信される位置情報を受信し(S108)、位置配信サービス開始要求を行った移動端末7b(要求元移動端末)に対し、受信した位置情報を送信する(S109)。データ処理部4は、他端末配信サービスの終了要求を受信し(S106)、端末間の送信受信の関連が成立しなくなるまでステップS107からステップS109の処理を繰り返す。
例えば、移動端末7cが走行を終了するため他端末配信サービスの終了要求を送信してきても、移動端末7aと移動端末7bの関連は継続しているため現在位置の送受信はそのまま行われる。
移動端末7bが他端末配信サービスの終了要求を送信した場合は(S106:Yes)、位置情報の受け取り側がいなくなる。この場合、データ処理部4は、配信先端末データベース5から、移動端末7bによって位置情報の配信を依頼された移動端末7aと移動端末7cのレコードを削除し処理を終了する(S110)。
【0026】
図9は、移動端末7のデータ処理の一例の流れを示す。
移動端末7のデータ処理部34は、ユーザが入力部32を用いてサービスの終了の指示を入力するまで、以下に記述するステップS202〜S214を繰り返す(S201)。
データ処理部34は、まず、GPS部33を用いて自端末の位置情報を取得し(S202)、自端末位置データベース37に位置情報を登録する(S203)。また、データ処理部34は、ホストコンピュータ1から送信される他端末の位置情報を受信し(S204)、他端末位置データベース38に位置情報を登録する(S205)。
データ処理部34は、最新の位置情報だけではなく、自端末位置データベース37に登録されている過去の位置情報もホストコンピュータ1からの要求に応じて送信することができる。たとえば、位置配信サービスの開始要求を行った時に、既に他車が目的地に向かう走行の終盤であった場合、そこから目的地までの位置情報を配信してもあまり効果的ではない。過去の位置情報を送信することで走行軌跡がたどれる場合には、ホストコンピュータ1の要求に対し、過去の位置情報も送信できるよう自端末位置データベース37に位置情報を保持させておく。
【0027】
データ処理部34は、ステップS202〜S205を定期的に繰りかえし、自端末の位置情報、他端末の位置情報を定期的に取得/登録するものとし、ユーザからの要求により、移動端末7は他端末の位置情報を使用した以下の機能をユーザに提供する。
1つは、他端末の走行軌跡の表示(S207〜S209)であり、もう1つは他端末の走行軌跡上の最適点への経路探索である(S211〜S214)。
データ処理部34は、入力部32を用いて入力されたユーザの指示が他端末走行軌跡の表示かどうかを確認し(S206)、走行軌跡の表示を指示された場合(S206:Yes)、他端末位置データベース38から、表示要求された他端末の位置情報を日時順に取得する(S207)。また、データ処理部34は、地図データベース36から走行軌跡を表示するために必要な地図情報とネットワーク情報を取得し(S208)、表示部31に他端末の走行軌跡を表示させる(S209)。
【0028】
走行軌跡の表示が指示されなかった場合(S206:No)、データ処理部34は、入力部32を用いて入力されたユーザの指示が他端末の走行軌跡上の最適点への経路探索を要求しているかどうかの確認を行い(S210)、走行軌跡上の最適点への経路探索を要求している場合(S210:Yes)、他端末位置データベース38に登録された位置情報の中から、最終目的地に近くかつ、自端末の最新の現在地からも近い他端末の走行軌跡上の中間点の座標を目的地点として検索する(S211)。データ処理部34は、地図データベース36から走行経路を表示するために必要な地図情報とネットワーク情報を取得し(S212)、他端末の走行軌跡を求めて、現在地から他端末の走行軌跡上の中間点までの走行経路を探索する(S213)。そして、データ処理部34は、探索した結果見つかった現在地から他端末の走行軌跡上の中間点までの走行経路を、表示部31に表示させる(S214)。
他端末の走行軌跡上の中間点、すなわち他車経路上の目的地点に達した後は、他車走行軌跡をたどり最終目的地への走行が可能となる。他車走行軌跡を考慮した経路を検索することにより、走行時の交通状況にあった最適経路を知ることが可能となる。
【0029】
なお、上述した実施形態では、他端末の位置を示す位置情報を、移動端末7の他端末位置データベース38に格納するとしたが、移動端末7に他端末位置データベース38を設ける代わりに、各移動端末7の位置取得日時42と、緯度43および経度44を含む位置情報とを格納する端末位置データベースをホストコンピュータ1に設け、各移動端末7はホストコンピュータ1に他車の走行軌跡を要求し、ホストコンピュータ1は、その要求を受けると、端末位置データベースを検索して他車の走行軌跡や、現在地から他車の走行軌跡上の中間点までの走行経路を求め、それらの表示データを各移動端末7に送信することとしてもよい。
この構成であっても、上述した実施形態と同様に、位置取得日時と緯度と経度とで構成される位置情報を格納する自端末位置データベース37を移動端末7が有しており、他端末が位置配信サービスの開始要求を行い、ホストコンピュータ1が移動端末7に位置情報を要求すると、移動端末は過去の位置情報も含めてホストコンピュータ1に自端末の位置情報を送信することとすることができる。
【0030】
以上説明したように、本発明によれば、他端末の走行軌跡に至る走行経路を表示することができる。このため、例えば、交通渋滞や道路の封鎖等の影響を受けずに先に進む他車がある場合に、その車がたどった走行軌跡に至る走行経路を知ることができる。
また、自端末位置データベース37に登録されている過去の位置情報を用いて他者の走行軌跡やその走行軌跡に至る走行経路を表示することができる。このため、たとえば、位置配信サービスの開始要求を行った時に、既に他車が目的地に向かう走行の終盤であったとしても、他車の過去の位置情報を取得することで他車が現在の位置に到達するまでの走行軌跡やその走行軌跡に至る走行経路を表示することができる。
【符号の説明】
【0031】
1…ホストコンピュータ、2…データ送受信部、3…データアクセス部、4…データ処理部、5…配信先端末データベース、6…公衆回線網、7(7a,7b,7c,7n)…移動端末、30…データ送受信部、31…表示部、32…入力部、33…GPS部、34…データ処理部、35…データアクセス部、36…地図データベース、37…自端末位置データベース、38…他端末位置データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動端末を含み、当該各移動端末において、当該各移動端末と異なる他の移動端末の走行軌跡を表示する位置情報表示システムであって、
前記各移動端末が、
位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された位置情報を記憶装置に記憶させる位置情報記憶手段と、
前記記憶装置が記憶している位置情報と前記他の移動端末から取得された位置情報とに基づいて求められた前記他の移動端末の走行軌跡に含まれる所定の位置に達するための走行経路を表示する走行経路表示手段と、
を備えることを特徴とする位置情報表示システム。
【請求項2】
前記各移動端末が、前記走行経路を求める指示を受け付ける受付手段を備え、
前記各移動端末の受付手段によって走行経路を求める指示が受け付けられたことに応答して、前記各移動端末の有する記憶装置と前記他の移動端末の有する記憶装置から、前記受付手段によって指示が受け付けられる前に記憶された位置情報を含む位置情報を取得し、当該取得された各移動端末の位置情報と他の移動端末の位置情報とに基づいて前記走行経路を求める走行経路算出手段を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置情報表示システム。
【請求項3】
複数の移動端末を含み、当該各移動端末において、当該各移動端末と異なる他の移動端末の走行軌跡を表示する位置情報表示方法であって、
前記各移動端末が、
位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記取得された位置情報を記憶装置に記憶させる位置情報記憶ステップと、
前記記憶装置が記憶している位置情報と前記他の移動端末から取得された位置情報とに基づいて求められた前記他の移動端末の走行軌跡に含まれる所定の位置に達するための走行経路を表示する走行経路表示ステップと、
を備えることを特徴とする位置情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−88168(P2013−88168A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226714(P2011−226714)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】