説明

アラニン系化合物、その製造方法及び用途

本発明は以下の一般式(I)で表されるアラニン系化合物及びその塩を提供する。
【化1】


(ただし、一般式(I)においてアラニンのα位の炭素原子の配置はR又はS型であり、R1は水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよい芳香族環基、又は芳香族複素環基であり、R2は水素原子又は置換されていてもよいC1-6アルキル基である。)本発明はまた一般式(I)に表示されるアラニン系化合物又はその塩の二つ製造方法及び前記化合物が抗II型糖尿病用薬物としての用途を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物化学と、内分泌治療学分野に関し、更に詳しくはアラニン系化合物の合成及び抗II型糖尿病用薬物の製造のための用途に関する。
【背景技術】
【0002】
II型糖尿病は一種の代謝異常性疾病で、患者は主に血糖濃度が上昇(空腹血糖濃度>130mg/dl以上)と糖尿現象を現している。持続的な高血糖は多くの合併症の発生の原因となり、例えば網膜症、腎症、神経系統病変、なかでも心血管合併症は糖尿病患者の死去、体障害の主な原因になる「Sinkai; H. Exp.Opin. Ther.Patent.2000,10:596」。従って、患者の血糖レベルを制御して合併症の発生を遅延、阻止するのは特に重要である。目下、臨床にスルホニルウレア系インシュリン分泌促進薬物と、ジグアニン系などによって患者の血糖を制御するのは主要な対策である。インシュリン抵抗はII型糖尿病の誘発の主要原因であるので、インシュリン敏感化剤は抗II型糖尿病の研究の重要な方向である。1997年に第一のチアゾリジンジオン類であるインシュリン敏感化剤のTroglitazoneが市販され、当該薬物としては、その後市場に出回ったPioglitazoneとRosiglitazoneは臨床上で患者の血糖をよくコントロールしたが、チアゾリジンジオン類は市場に出回った後、肝臓に対する多少程度の毒性[Henry,R.R.Endocrinol.Metab.Clin.North Am.1997,26,553]を呈して、中でもTroglitazoneは肝臓に対する毒性が大きいので市場から退いた。当該類の化合物の毒性がその構造におけるチアゾリジンジオン環に関連することが疑われたので、非チアゾリジンジオン類敏感化剤の合成及び開発は段々に抗II型糖尿病薬物研究のひとつの主要な方向になった。
以上の文献全文を明細書に引用して、参考とする。
本発明の一つの目的はインシュリン敏感化活性を有する新規アラニン系化合物及びその塩を提供することである。
本発明の別の目的は当該類化合物及びその塩の製造方法を提供することである。
本発明の更なる目的は当該類化合物及びその塩が抗II型糖尿病薬物の製造に応用されることである。
【非特許文献1】Sinkai; H. Exp.Opin. Ther.Patent.2000,10:596
【非特許文献2】Henry,R.R.Endocrinol.Metab.Clin.North Am.1997,26,553
【発明の開示】
【0003】
本発明は以下に一般式(I)で表されるアラニン系化合物及びその塩を提供する。
【化1】

(ただし、一般式(I)においてアラニンのα位炭素原子の配置はR又はS型であり、R1は水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよい芳香族環基、又は芳香族複素環基であり、例えば、以下の通りの基であり、
【化2】

2は水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基である。)
本発明は上記一般式(I)で表されるアラニン系化合物及びその塩の二種類の製造方法を提供する。
第一の製造方法は以下の段階を含む:
(1)トランス−4−イソプロピルシクロヘキサンカルボン酸N−ヒドロキシ琥珀酸イミドエステル(化合物A)とL−チロシンメチル又はD−チロシンメチルエステルを不活性溶剤中において縮合反応させて、2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル](化合物B)を得る;
(2)化合物Bと対応する複素環アルキルアルコール又はアリールアルコールとにMitsunobu反応を行わせ、さらに反応生成物を無機塩基で加水分解して一般式(I)で表される化合物を得る、(ただし、一般式(I)においてR1は以下の基、
【化3】

2はHである。)、又は
化合物Bと対応するアルキルハロゲン化物とにアルカリ性条件下でエーテル化反応を行わせて一般式(I)で表される化合物を得る、(ただし、一般式(I)においてR1は以下の基を表し、
【化4】

2はHである。)、又は
化合物Bを加水分解して一般式(I)で表される化合物を得(ただし、一般式(I)においてR、RはともにH原子である);
(3)必要に応じて対応する薬学的に許容される塩を製造する。
第二の製造方法は以下の段階を含む:
(1)化合物Bをアミノ基が保護された2−メチルアミノエタノールと縮合させた後、脱保護し、更に過剰量の2−フルオロピリジン還流液と縮合させ、次にアルカリ加水分解した後、一般式(I)で表される化合物を得 (ただし、一般式(I)においてR1は以下の基:
【化5】

を表し、RはHである。)、
(2)必要に応じて薬学的にに許容される塩を製造する。
本発明は更に一般式(I)で表されるアラニン系化合物及びその塩の抗II型糖尿病薬物の製造における応用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
特別に明記する場合を除き、本文中における用語は以下の定義を有する。
“C1-6アルキル基”は1〜6炭素原子を含有する飽和又は不飽和、置換可能又は非置換の直鎖、分岐鎖アルカン鎖を表す。具体的に例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、ネオアミル基、t-アミル基、1−メチルブチル基、2−メチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルアミル基、2−メチルアミル基、3−メチルアミル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基などが挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などの炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基であり、最も好ましくはメチル基、エチル基である。
“アリール基”で表された芳香族基は6〜14炭素原子数のアリール基が好ましい。具体的に例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ビスフェニル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基、フェナントリル基が挙げられる。より好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、最も好ましくはフェニル基である。
“芳香族複素環基”とは、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子から選ばれた1〜4個の複素原子を含有する炭素原子数6〜14の五員環又は六員環の複素アリール基を意味し、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基などを含む。好ましくはチエニル基、フリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基であり、より好ましくはチエニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基である。
“置換されていてもよいアルキル基”、“置換されていてもよいアリール基”及び“置換されていてもよい芳香族複素環基”とは夫々に前記の“アルキル基”、“アリール基”及び“芳香族複素環基”が任意にハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アシルオキシ基、OH、−NH2、−NO2、−NHAcの基で置換されていてもよいことを意味する。
“薬学的に許容される塩”とは具体的に塩酸、臭化水素酸、フッ素化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸などの無機酸との塩、又は蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸、又はアスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸等との酸付加塩、又は、アルカリと形成した塩、例えばナトリウム、カリウム、アルミニウム等の無機アルカリとの塩、アンモニウム塩、メチルアミン塩、エチルアミン塩、エタノールアミン塩等、又はリジン酸、セリン酸、オルニチン酸等のアルカリ性アミノ酸との付加塩があげられる。
【0005】
本発明の一般式(I)で表されるアラニン系化合物及びその塩は以下の工程によって製造される。
工程I
【化6】

例示:a.N−ヒドロキシ琥珀酸イミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド;b.クロロホルム;c.R3−OH、トリフェニルフォスフィン、アゾジカルボン酸ジエチル;又はRX、K2CO3、DMF;d.1N水酸化リチウム、テトラヒドロフラン/メタノール(3:1)。
工程Iの実施形態は以下とおりである。
1.トランス−4−イソプロピルシクロヘキサンカルボン酸(Shinkai H.J.Med.Chem.1989,32,1436〜1441)とN−ヒドロキシ琥珀酸イミド(HOSu)及びジシクロヘキシルカルボジイミドを、(DCC)で脱水してトランス−4−イソプロピルシクロヘキサンカルボン酸N−ヒドロキシ琥珀酸イミドエステル(化合物A)を得る。化合物AをL−チロシンメチルエステル又はD−チロシンメチルエステルと、不活性溶剤、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、エーテル、テトラフラン中で、−10℃〜50℃の温度において0.1〜72時間縮合反応を行わせる。2−[N−(4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル(化合物B)を得る。好ましい反応条件はクロロホルム中で、室温で24時間で反応させることである。
化合物Bは対応する複素環アルキルアルコール又は芳香族アルコールとMistunobu反応をおこなって、さらに無機塩基で加水分解され、化合物1〜8が得られる。Mistunobu反応において使われる溶剤はテトラヒドロフラン、無水エーテル、クロロホルム、クロロメチレンなどの無水不活性溶剤であり、反応温度0〜100℃で、反応時間は0.1〜3日間である。加水分解反応に適当な無機塩基は水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどであり、加水分解温度は−10〜100℃で、溶剤はテトラヒドロフラン−メタノールが異なる比率からなる混合溶剤であり、又は他の不活性溶剤、例えば、クロロホルム、クロロメチレン、ベンゼンと適当なアルコール、例えばエチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどが異なる比率からなる混合溶剤である。好ましい加水分解条件はテトラヒドロフランとメタノールが3:1の比率の溶剤で、室温下水酸化リチウムによる24時間の加水分解である。
2.対応するアルキルハロゲン化合物を使用しアルカリ性条件で、化合物Bとエーテル化反応を行い、化合物9〜16を得た。エーテル化反応に適当な無機塩基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等である。エーテル化反応の温度は−10〜180℃である。適当な溶剤はジメチルホルムアミド、DMSO、水等である。反応時間は1〜72時間である。
3.化合物Bから直接に加水分解して化合物17〜18を得る。
4.必要に応じて対応する薬学的に許容される塩を製造する。
【0006】
工程II
【化7】

例示:a.トリフェニルフォスフィン、アゾジカルボン酸ジエチル、2−(N−ベンジルオキシカルボニル−N−メチルアミノ)エタノール、テトラヒドロフラン;b.トリフルオロ酢酸、ジクロロメタン;c.2−フルオロピリジン、還流;d.1N水酸化リチウム、テトラヒドロフラン/メタノール(3:1)
工程IIの実施態様は以下のとおりである。
1.工程Iと同様な方法により化合物Bを製造する。
2.化合物Bはt−ブトキシカルボニル(Boc)で保護されている2−メチルアミノエタノールと縮合して(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシカルボニル)アミノ]−3−[4−[(N−メチル−N−t−ブトキシカルボニルアミノエトキシ)フェニル]プロピオン酸メチル(化合物C)が得られ、縮合反応に使われる溶剤は無水テトラヒドロフラン、無水エーテル、クロロホルム、ジクロロメタン等の無水不活性溶剤で、反応温度0〜100℃で、反応時間は0.1〜3日間である。化合物Cはトリフルオロ酢酸と−10〜50℃において1〜72時間反応し、保護基を除去して(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[(N−メチルアミノエトキシ)フェニル]プロピオン酸メチル(化合物D)が得られ、化合物Dは更に過剰量の2−フルオロピリジンと還流縮合し、化合物19〜20の前駆体エステルが得られ、そしてアルカリ加水分解し化合物19〜20が得られる。加水分解反応に適当な無機塩基は水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等である。加水分解反応の温度は−10〜100℃である。溶剤はテトラヒドロフラン−メタノールの異なる比率からなる混合溶剤又は他の不活性溶剤で、例えばクロロホルム、クロロメチレン、ベンゼンと適当なアルコール、例えばエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの異なる比率からなる混合溶剤である。好ましい加水分解条件はテトラヒドロフランとメタノール(3:1)を溶剤とし、室温下、水酸化ナトリウムで24時間加水分解する。
3.必要に応じて対応する薬学的に許容される塩を製造する。
【0007】
本発明の一般式(I)で表示されるアラニン系化合物に典型的な化合物は以下のとおりである。
(1)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(2)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ベンゾオキサゾリル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(3)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(5―メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸(2);
(4)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ベンゾオキサゾリル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(5)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(1−インドリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(6)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(1−インドリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(7)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−(4−トリフルオロメチルベンジルオキシ)フェニル]プロピオン酸;
(8)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−(4−トリフルオロメチルベンジルオキシ)フェニル]プロピオン酸;
(9)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ベンジルオキシフェニル]プロピオン酸;
(10)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ベンジルオキシフェニル]プロピオン酸;
(11)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ブトキシフェニル)プロピオン酸;
(12)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ブトキシフェニル)プロピオン酸;
(13)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピオン酸;
(14)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピオン酸;
(15)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸;
(16)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピオン酸;
(17)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸;
(18)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸;
(19)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(20)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(21)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル;
(22)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル。
前記化合物の構造式は第1表により表される。
【0008】
【表1】

【0009】
生物活性の測定:
インシュリン敏感化剤は前駆体脂肪細胞から脂肪細胞への分化を促進することができ、細胞の分化状況を指標とし特異的にインシュリン敏感化剤を選別する。文献の方法[Kletzein BF MoI.Pharm.1991,41,393]を参考として3T3−LI前駆体脂肪細胞モデルを使用し、細胞内グリセリントリエステル生成量を反応細胞の分化指標とし本発明の一般式(I)の化合物に対しインシュリン敏感化活性を評価する。
3T3−LI細胞は10%NBS(新牛血清)のDMEM(Dulbecco's modified Eagle's medium)培養液に置いて培養し、3日間ごとに継代培養する。細胞を24孔培養板に移し、孔が全て満ちたのち、細胞を0.5mmol/L IBMX(イソブチルメチルキサンチン、isobutylxanthine)と1μmol/L DEX(デキサメタゾン、dexamethasone)および1.0μmol/Lインシュリンによって48時間処理しながら、同時に異なる量の試験薬物を入れて続いて実験終了まで培養する。細胞を収集し、色度法で細胞におけるグリセリントリエステルと蛋白質の含有量を測定し、投与された細胞内グリセリントリエステルの増加量を計算する。
陽性対照群はRosiglitazoneであり、溶剤対照群は0.1%DMSOを含有する培養液である。各種化合物が三つ異なる濃度(0.01、0.1、1μmol/L)において、グリセリントリエステルの増加量を測定する。
本発明のアラニン系化合物が有するインシュリン敏感化活性は第2表に表され、第2表から見ると、化合物1、2は比較的に強いインシュリン敏感化活性を有する。このように本発明のアラニン系化合物はII型糖尿病血糖レベルを制御するため及び合併症の発生を抑制するために用いることができる。
本発明のアラニン系化合物はチアゾリジンジオン基を含有しないがチアゾリジンジジオン化合物と類似のインシュリン敏感化活性を有している。従ってこれらの化合物は糖尿病及び合併症を治療できる新規の薬物になる可能性がある。
【0010】
【表2】

【0011】
本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩は安全かつ、有効な量の範囲における本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩及び許容される担体を含む各種の製剤として製造され得る。
“安全かつ、有効な量”とは化合物の量が病状を明らかに十分に改善でき、厳しい副作用を誘起しないものであることを意味する。化合物の安全かつ、有効な量は治療対象の年齢、病状、治療のコースなどの具体的な状況によって決められる。
“薬学的に許容される担体”とは一種又は多種の相互溶解性の固体又は液体充填材又はゲル物質であり、人に対する使用に適し且つ十分な純度と十分な低い毒性を有するものを指す。“相互溶解性”とは組成物における各成分が本発明の化合物と及びこれら各成分相互に混ぜ合わせることができ、かつ化合物の薬効を明らかに低下することがないことを指す。薬学的に許容される担体の一部の例はセルロース及びその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースナトリウム、セルロース酢酸エステル等)、ゼラチン、滑石、固体潤滑剤(例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油(例えば大豆油、落花生油、ラグビー油等)、多塩基アルコール(例えばプロパンジオール、グリセリン、マンニトール、ソルビトール等)、エマルジョン剤(例えば 商標名TWEENS)、湿潤剤(ドデシル硫酸ナトリウム)、着色剤、調味剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、発熱性物質を含まない水等が挙げられる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。但し本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。あらゆる実施例において、融点はMEL−TEMP融点計器で測定し、温度計は検定されなかった。1H NMRはVarian Mercury400 核磁気共鳴計器で記録し、化学シフトはδ(ppm)で表示する。分離に使用したシリカゲルは特に説明しない限り全て200−300メッシュである。
【0013】
実施例1 (2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸(1)
(1)縮合:2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エタノール0.313g(1.54mmol)と、(S)−B(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸メチル0.535g(1.54mmol)を無水テトラヒドロフラン30mLに溶かした溶液にトリフェニルフォスフィン0.605g(2.31mmol)を添加し、0℃においてアゾジカルボン酸ジエチル370μL(2.31mmol)を徐々に滴下した。室温下、24時間かけて撹拌する。減圧下溶剤を留去し、残留物をエーテルで固体を析出させ、吸引ろ過して白色固体が得られた。当該固体はメタノールで再結晶した後、(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸メチル 0.44gが得られ、収率は53.8%であった。
(2)加水分解:段階(1)の生成物0.26g(0.5mmol)をテトラヒドロフラン−メタノール1mL(3:1)混合溶剤に溶解し、1N水酸化リチウム水溶液1mLを添加し室温下に、24時間かけて撹拌した。pH5になるまで1N塩酸を加え、更に水5mLを添加し、均一に撹拌して吸引ろ過した。ケーキはメタノールで再結晶した後、標題化合物0.2gが得られ、収率は77.2%であった。m.p.151〜153℃(分解)。[α]D2581.1(c, 0.545,CHCl3)。
1H NMR(DMSO−d6): δ= 0.80(d, J=7.6Hz, 6H, イソプロピル−CH3), 0.85〜1.0(m, 3H, イソプロピル−CH, シクロヘキシル−CH2−), 1.10〜1.40(m, 3H, シクロヘキシル−CH2−, −CH−), 1.50〜1.72(m, 4H, シクロヘキシル−CH2−), 2.00(m, 1H, シクロヘキシル−CH−), 2.35(s, 3H, オキサゾリル−CH3), 2.75(dd, J=14Hz, 9.9Hz, 1H, Ph−CH−), 2.90(t, J=6.6Hz, 2H, オキサゾリル−CH2−), 2.96(dd, J=14Hz, 4.7Hz, 1H, Ph−CH−), 4.17(t, J=6.6Hz, 2H, −CH2O−), 4.21(m, 1H, −CHCOO−), 6.81(d, J=8.8Hz, 2H, Ph−H), 7.13(d, J=8.8Hz, 2H, Ph−H), 7.50(m, 3H, Ph−H), 7.92(m, 3H, Ph−H, −NH), 12.6(s, 1H, −COOH); 13C NMR (CDCl3): δ= 10.0, 19.9, 25.8, 28.8, 29.2, 29.5, 32.6, 36.1, 43.0, 45.9, 53.0, 66.2, 114.3, 126.2, 127.0, 128.0, 128.5, 130.3, 130.4, 132.1, 145.9, 157.8, 160.0, 175.8, 176.3。
元素分析,C313825 (518):
計算値 C, 71.81; H, 7.34; N, 5.41;
実測値 C, 71.49; H, 7.24; N, 5.36。
IR(KBr):3282.3, 2933.2, 1710.6, 1631.5, 1554.4, 1513.9, 1251.6, 684.6cm-1; EI−MS(m/z):518(1, M+), 186(100);HRMS:518.2772(C313825)。
実施例2:(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸(2)
(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸メチル)((R)―B)を出発原料とし実施例1と同様な方法により製造し標題化合物が得られた。m.p. 151〜153℃(分解)。[α]D25 82.5(c,0.217,CHCl3);1H NMRは実施例1の標題化合物と同じである。
元素分析,C313825 (518):
計算値 C, 71.81; H, 7.34; N, 5.41;
実測値 C, 71.40; H, 8.16; N, 5.33。
IR(KBr): 3282.3, 2933.2, 2854.2, 1712.5, 1633.4, 1554.4, 1513.9, 1249.7,1176.4, 715.5, 686.5cm-1
【0014】
実施例3:(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(N−メチル−N−(2−ベンゾオキサゾリル)アミノ)エトキシ]フェニル]プロピオン酸(3)
0.11g(0.21mmol)化合物Dをテトラヒドロフラン2mLに溶かした溶液にトリエチルアミン240μl(0.51mmol)を添加した。得られた溶液を室温下24時間かけて撹拌し、減圧状態で、テトラヒドロフランを留去した。残留物を酢酸エチル4mLと混合し、混合懸濁液を更に飽和重炭酸ナトリウム4mLと均一撹拌混合した。静置して、酢酸エチル層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。残留物を石油エーテル:酢酸エチル=1:1の混合溶剤と混合し、白色固体が析出した。当該固体は水酸化リチウムで加水分解した後、標題化合物0.042gが得られ、収率39.6%であった。m.p. 179〜180℃(分解)。[α]D25 81.1(c,0.535,CHCl3);
1H NMR(DMSO):δ=0.81(d, J=6.9Hz, 6H), 0.80〜1.0(m, 3H), 1.15〜1.40(m, 3H), 1.60(m, 4H), 1.95(m, 1H), 2.78(dd, J=13.5Hz, 7.3Hz, 1H), 2.96(dd, J=13.5Hz, 4.8Hz, 1H), 3.20(s, 3H), 3.82(t, J=5.5Hz, 2H), 4.10(m, 1H), 4.20(t, J=5.5Hz, 2H), 6.78(d, J=8.4Hz, 2H), 6.95(t, J=7.7Hz, 1H), 7.00(d, J=8.4Hz, 2H), 7.10(t, J=7.0Hz, 1H), 7.28(d, J=8.3Hz, 1H), 7.35(d, J=8.0Hz, 1H), 7.40(d, J=7.3Hz, 1H)。
元素分析,C293735 (507):
計算値C, 68.64; H, 7.30; N, 8.28;
実測値 C, 68.45; H, 7.49; N, 8.21。
IR(KBr):3322.8, 2935.2, 2865.7, 1731.8, 1648.9, 1589.1, 1513.9, 1465.7, 1247.7, 1250.3, 925.7, 740.5cm-1; EI−MS(m/z):507(12, M+), 148(100)。
実施例4:(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(N−メチル−N−(2−ベンゾオキサゾリル)アミノ)エトキシ]フェニル]プロピオン酸(4)
(R)−Bを出発原料とし実施例1と同様な方法にして製造し、標題化合物が得られた。m.p. 179〜180℃(分解)。1H NMRは化合物3と同じである。
元素分析,C293735 (507):
計算値 C, 68.64; H, 7.30; N, 8.28;
実測値 C, 68.64; H, 7.22; N, 8.08。
EI−MS(m/z): 507(6, M+), 148(100)。
【0015】
実施例5:(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(1−インドリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸(5)
2−(1−インドリル)エタノールと化合物(S)−Bを出発原料とし、それ以外は実施例1と類似な方法で、反応液からテトラフランを留去した後、残留物はメタノールで固体を析出した。更に水酸化リチウムで水分解して標題化合物が得られた。収率は39.6%であった。
1H NMR(CDCl3):δ=0.81(d, J=6.9Hz, 6H), 0.80〜1.10(m, 3H), 1.30〜1.45(m, 3H),1.70〜1.90(m, 4H), 1.99(m, 1H), 3.07(dd, J=14.3Hz, 6.2Hz, 1H), 3.15(dd, J=14.3Hz, 5.2Hz, 1H), 4.23(t, J=5.5Hz, 2H), 4.50(t, J=5.5Hz, 2H), 4.75(m, 1H), 5.89(d, J=6.6Hz, 1H), 6.50(d, J=3.9Hz, 1H), 6.76(d, J=8.4Hz, 2H),7.00(d, J=8.4Hz, 2H), 7.11(t, J=7.3Hz, 1H), 7.24(m, 2H), 7.40(d, J=8.1Hz, 1H), 7.62(d, J=7.7Hz, 1H); IR(KBr): 3305.4, 2933.2, 2863.8, 1712.5, 1650.8,1513.9, 1463.7, 1242.0, 742.5cm-1; EI−MS(m/z): 476(11, M+), 144(100); HRMS:476.2670 (C293624)。
実施例6:(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(1−インドリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸(6)
(R)−Bを出発原料とし実施例5と同様にして製造し、標題化合物が得られた。
1H NMRは化合物5と同じである。IR(KBr): 3291.9, 2933.2, 2863.8, 1712.5, 1650.8, 1513.9, 1463.7, 1242.0, 742.5cm-1
【0016】
実施例7:(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−(4−トリフルオロメチルベンジルオキシ)フェニル]プロピオン酸(7)
トリフルオロメチルベンジルアルコールと(R)−Bを出発原料とし、無水エーテルを溶剤とし他の段階は化合物21の合成と同じとした。
収率60.6%。m.p. 171〜172℃。[α]D25 53.9 (c, 0.285 , CHCl3)。1H NMR(CDCl3):δ=0.81(d, J=6.7Hz, 6H), 1.0(m, 3H), 1.40(m, 3H), 1.70〜1.90(m, 4H), 2.05(m, 1H), 3.08(dd, J=5.5Hz, 14.1Hz, 1H), 3.19(dd, J=5.5Hz, 14.3Hz, 1H), 4.80(m, 1H), 5.08(s, 2H), 5.98(d, J=6.4Hz, 1H), 6.88(d, J=8.2Hz, 2H), 7.08(d, J=8.2Hz, 2H), 7.52(d, J=8.0Hz, 2H), 7.62(d, J=8.2Hz, 2H)。
元素分析,C27323NO4・1/2H2O(500):
計算値 C, 64.80; H, 6.60; N, 2.80;
実測値 C, 65.20; H, 6.43; N, 3.01。
IR(KBr):3328.6, 2931.3, 1731.8, 1612.2, 1511.9, 1328.7, 1243.9, 1166.7, 1124.3, 1068.4, 1018.2, 827.3cm-1; EI−MS(m/z):491(3, M+), 159(100)。
実施例8:(2R)−2−[N-(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−(4−トリフルオロメチルベンジルオキシ)フェニル]プロピオン酸(8)
(R)−Bを原料とし、実施例7と同様な方法で製造し、標題の化合物が得られた。m.p.171−172℃。
1H NMRは化合物7と同じである; EI−MS(m/z):491(10, M+), 159(100);HRMS:491.2260(C27323NO4)。
【0017】
実施例9:(2S)−2−[N-(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−フェニルメトキシフェニル]プロピオン酸(9)
ベンジルブロミド0.137mL(1.14mmol)と(2S)−2−[N-(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル(化合物(S)−B)0.13g(0.38mmol)をN,N'−ジメチルホルムアミド1mLに溶かした溶液に粉砕した炭酸カリウム0.16g(1.14mmol)を添加した。70℃で12時間かけて撹拌した。0℃までに冷却した後、水5mLを加え、酢酸エチル2×5mLによって抽出し、抽出物を合わせた後、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。減圧下に溶剤を留去し、残留物に5mLのエーテルを加えて固体を析出させる。当該固体を水酸化リチウムで加水分解したのち、目標物0.10gを取得し、収率62.5%であった。[α]D2570.9(c, 0.83 ,CHCl3)。
1H NMR(CDCl3):δ=0.81(d, J=6.9Hz, 6H), 1.0(m, 3H), 1.40(m, 3H), 1.70〜1.90(m, 4H), 2.05(m, 1H), 3.04(dd, J=5.5Hz, 13.9Hz, 1H), 3.19(dd, J=5.5Hz, 13.9Hz, 1H), 4.81(m, 1H), 5.01(s, 2H), 6.12(d, J=7.3Hz, 1H), 6.91(d, J=8.4Hz, 2H), 7.08(d, J=8.4Hz, 2H), 7.39(m, 5H)。
元素分析,C2633NO4・1/2H2O (432):
計算値 C, 72.22; H, 7.87; N, 3.24;
実測値 C, 72.34; H, 7.71; N, 3.47。
IR(KBr): 3328.6, 2929.4, 2852.2, 1731.8, 1648.9, 1529.3, 1513.9, 1452.2, 1243.9, 1178.3, 1027.9, 732.8, 694.3cm-1; EI−MS(m/z): 423(4, M+), 254(24),91(100)。
実施例10:(2R)−2−[N-(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ベンジルオキシフェニル]プロピオン酸(10)
(R)−Bを原料とし、実施例9と同様な方法で製造し、標題の化合物が得られた。m.p. 140〜142℃。1H NMRは化合物9と同じである。
元素分析,C2633NO4・1/2H2O (432):
計算値 C, 72.22; H, 7.87; N, 3.24;
実測値 C, 72.36; H, 7.91; N, 3.32。
IR(KBr): 3326.7, 2929.4, 2852.2, 1729.9, 1648.9, 1529.3, 1513.9, 1452.2,1243.9, 1178.3, 1027.9, 732.8, 694.3 cm-1; EI−MS(m/z): 423(12, M+), 254(100)。
【0018】
実施例11:(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ブトキシフェニル]プロピオン酸(11)
n−ブロモブタンと化合物(R)−Bを原料とし、実施例9と同様な方法で製造し標題の化合物が得られた。収率は70.3%であった。m.p.120〜121℃。[α]D2587.9(c, 1.145 ,CHCl3)。
1H NMR(CDCl3):δ=0.82(d, J=6.9Hz, 6H), 0.96(m, 6H), 1.38(m, 3H), 1.50(m, 2H), 1.75〜1.90(m, 6H), 2.05(m, 1H), 3.04(dd, J=5.8Hz, 14.3Hz, 1H), 3.19(dd, J=5.5Hz, 14.2Hz, 1H), 3.91(t, J=6.6Hz, 2H), 4.80(m, 1H), 5.99(d, J=7.3Hz, 1H), 6.81(d, J=8.4Hz, 2H), 7.07(d, J=8.4Hz, 2H)。
元素分析,C2335NO4・1/3H2O (395):
計算値 C, 69.87, H, 9.03, N, 3.54;
実測値 C, 69.60, H, 8.88, N, 3.64。
IR(KBr):3305.4, 2933.2, 2869.6, 1716.4, 1646.9, 1544.7, 1513.9, 1245.8, 1178.3, 827.3cm-1; EI−MS(m/z):389(7, M+), 163(100)。
実施例12:(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ブトキシフェニル]プロピオン酸(12)
n−ブロモブタンと化合物(R)−Bを原料とし、実施例9と類似な方法で製造し標題の化合物が得られた。m.p.120〜121℃。1H NMRは11と同じである。
元素分析,C2335NO4 (389):
計算値 C, 70.95; H, 9.00; N,3.60;
実測値 C, 71.05; H, 9.11; N, 3.93。
IR(KBr):3320.9, 2869.6, 2933.2, 1731.8, 1652.7, 1612.2, 1544.7, 1511.9, 1243.9, 827.3cm-1; EI−MS(m/z): 389(7, M+), 163(67),220(100)。
【0019】
実施例13:(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−エトキシフェニル]プロピオン酸(13)
n−ブロモエタンと化合物(S)−Bを原料とし、実施例9と類似な合成方法で製造し標題化合物が得られ、収率75.0%であった。m.p. 168〜170℃。[α]D25 93.2 (c, 1.13 , CHCl3)。
1H NMR(CDCl3):δ=0.81(d, J=6.9Hz, 4H), 1.0(m, 3H), 1.40(m, 5H), 1.75〜1.90(m, 4H), 2.05(m, 1H), 3.04(dd, J=5.5Hz, 14.0Hz, 1H), 3.17(dd, J=5.1Hz, 14.3Hz, 1H), 4.00(m, 2H), 4.80(m, 1H), 5.97(d, J=7.6Hz, 1H), 6.81(d, J=8.4Hz, 2H), 7.03(d, J=8.3Hz, 2H)。
元素分析,C2131NO4・1/3H2O (367):
計算値 C, 68.66; H, 8.63; N, 3.81;
実測値 C, 68.93; H, 8.43; N, 3.86。
IR(KBr):3303.5, 2935.2, 2958, 1724.1, 1708.6, 1643.1, 1542.8, 1513.9, 1442.5, 1247.7, 1215, 1176.4, 1051, 525.4cm-1; EI−MS(m/z): 361(16, M+), 192(100)。
実施例14:(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピオン酸(14)
n−ブロモエタンと化合物(S)−Bを原料とし、実施例9と類似な合成方法で製造し標題化合物が得られた。m.p. 168〜170℃。1H NMRは13と同じである。
元素分析,C2131NO4 (361):
計算値 C, 69.81; H, 8.59; N, 3.87;
実測値 C, 69.40; H, 8.32; N, 3.90。
IR(KBr):3305.4, 2933.2, 1706.7, 1641.2, 1540.9, 1513.9, 1444.4, 1249.7, 1215, 1049.1, 925.7, 804.2cm-1
【0020】
実施例15:(2S)−2−[N-(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸(15)
ヨウドメタンと化合物(S)−Bを原料とし、実施例9と類似な合成方法で製造し標題の化合物が得られ、収率67.1%。m.p.149〜151℃。[α]D2596.5(c, 0.665 , CHCl3)。
1H NMR(CDCl3):δ=0.85(d, J=6.6Hz, 6H), 1.00(m, 3H), 1.40(m, 3H), 1.71〜1.90(m, 4H), 2.05(m,1H), 3.10(dd, J=5.9Hz, 14.0Hz, 1H), 3.17(dd, J=5.5Hz, 13.9Hz, 1H), 3.80(s, 3H), 4.80(m, 1H), 5.98(d, J=7.6Hz, 1H), 6.81(d, J=8.8Hz, 2H), 7.03(d, J=8.8Hz, 2H)。
元素分析,C2029NO4 (347):
計算値 C, 69.16; H, 8.36; N, 4.03;
実測値 C, 69.06; H, 8.54; N, 4.14。
IR(KBr): 3280.4, 2937.1, 2860, 1720.2, 1646.9, 1542.8, 1515.8, 1440.6, 1249.7, 1215, 1031.7, 829.3cm-1; EI−MS(m/z): 347(1, M+), 121(100)。
実施例16:(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピオン酸(16)
ヨウドメタンと化合物(S)−Bを原料とし、実施例9と類似な合成方法で製造し、標題の化合物が得られた。m.p.149〜151℃。1H NMRは(S)−15と同じである。
元素分析,C2029NO4・1/3H2O(353):
計算値 C, 67.99; H, 8.41; N, 3.97;
実測値 C, 68.44; H, 8.08; N, 4.07。
IR(KBr):3274.6, 2939, 2860, 1720, 1645, 1552.4, 1513.9, 1440, 1249.7, 1216.9, 1031.7, 829.3cm-1; EI−MS(m/z): 347(16, M+), 121(100)。
【0021】
実施例17:(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(17)
化合物(S)−Bを原料とし、水酸化リチウムで水分解して標題の化合物が得られた。収率81.1%。m.p. 156−157℃。[α]D25 76.4 (c, 0.845 , CHCl3)。
1H NMR(DMCO-d6):δ=0.81(d, J=7.0Hz, 6H), 1.0(m, 3H), 1.40(m, 3H), 1.75〜1.90(m, 4H), 2.15(m, 1H), 2.90(dd, J=8.1Hz, 13.9Hz, 1H), 3.10(dd, J=5.1Hz, 13.9Hz, 1H), 4.82(m, 1H), 6.72(d, J=8.4Hz, 2H), 7.05(d, J=8.4Hz, 2H)。
元素分析,C1927NO4・2H2O(369):
計算値 C, 61.79; H, 8.40; N, 3.79;
実測値 C, 61.94; H, 8.17; N, 3.84。
IR(KBr):3303.5, 2937.1, 2861.9, 1619.9, 1546.7, 1517.7, 1446.4, 1232.3, 827.3cm-1; EI−MS(m/z):333(10, M+), 170(100), 107(84)。
実施例18:(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(18)
(R)−Bを原料とし、水酸化リチウムで水分解して標題の化合物が得られた。m.p.156〜157℃。1H NMRは17と同じである。
元素分析,C1927NO4・2/3H2O(345):
計算値 C, 66.09; H, 8.21; N, 4.06;
実測値 C, 65.57; H, 8.71; N, 4.03。
IR(KBr): 3309.3, 2939.0, 2861.9, 1745.3, 1726.0, 1619.9, 1517.7, 1548.6, 1444.4, 1230.4, 825.4, 680.8, 538.1cm-1; EI−MS(m/z): 333(10, M+), 170(100),107(54)。
【0022】
実施例19:(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ]エドキシ]フェニル)プロピオン酸(19)
2−(N−t−ブチトキシカルボニル−メチルアミノ)エタノール0.19g(1.1mmol)と(S)−B0.347g(1mmol)を無水テトラヒドロフラン15mLに溶かした溶液に、トリフェニルフォスフィン0.38g(1.5mmol)を添加し、0℃においてアゾジカルボキン酸ジエチル240μL(1.5mmol)を徐々に滴下した。得られた溶液を室温下に24時間かけて撹拌した。減圧下に溶剤を留去し、残留物を石油エーテル:酢酸エチル=2:1を溶出剤とし、シリカゲルHカラムのクロマトグラフにかけ無色粘液0.21gを得た。収率は41.6%であった。
上記で得られた無色粘液0.21g(0.42mmol)をクロルメチレン4.8mLに溶かした溶液にトリフルオロ酢酸4.8mLを加えて、室温に1時間かけて撹拌した。室温に減圧で一部分の溶剤を留去し、残液は飽和重炭酸ナトリウム水溶液で中性に調整した。クロルメチレン2×10mLによって抽出し、抽出液を合わせた後水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、吸引ろ過した。ろ液から溶剤を蒸発させ、残留物は2mL 2−フルオロピリジンで24時間還流した。減圧で過剰量の2−フルオロピリジンを発させ、残留物は少量のアセトンで溶解した以後、アセトン:石油エーテル=1:2を溶出剤とし、シリカゲルHカラムのクロマトグラフにかけ白色固体0.081gを得た。実施例1と同様な加水分解方法により標題の化合物0.06gが得られ、収率は76.8%であった。m.p.158〜160℃。[α]D2530.0 (c, 0.26,CHCl3)。
1H NMR (CDCl3): δ=0.80(d, J=7.6Hz, 6H), 0.80〜1.00(m, 3H), 1.13〜1.40(m, 3H), 1.62〜1.82(m, 4H), 1.96(m, 1H), 3.03(d, J=4.4Hz, 2H), 3.10(s, 3H), 3.88(t, J=6.5Hz), 3.98(t, J=6.6Hz), 4.62(m, 1H), 5.40(s, 1H), 6.21(d, J=6.9Hz, 1H), 6.55(m, 1H), 6.75(d, J=8.5Hz, 2H), 6.98(d, J=8.5Hz, 2H), 7.48(m, 1H), 8.03(m, 1H)。
元素分析,C273734・1/2H2O(476):
計算値 C, 68.07; H, 7.98; N, 8.82;
実測値 C, 67.86; H, 7.75; N, 8.79。
IR (KBr): 3299.7, 2931.3, 1720.2, 1637.3, 1608.4, 1511.9, 1425.2, 1247.7, 1213, 1000.9, 763.7cm-1; EI−MS(m/z): 467(2, M+), 121(98), 135(100)。
実施例20:(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸(20)
(R)−Bを原料とし、実施例19と同様な合成方法にして標題化合物を製造する。m.p. 154〜155℃。[α]D25 −30.5(c, 0.19 ,CHCl3); 1H NMRは化合物19と同じである; IR (KBr): 3315.1, 2921.7, 2854.2, 1594.9, 1502.3, 1421.3, 1247.7, 765.6cm-1
【0023】
実施例21:(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸 メチル((S)−B)
トランス−4−イソプロピルシクロヘキサンカルボン酸0.7g(4.1mmol)及びHOSu 0.53g(4.6mmol)をクロロホルム14mLに溶かした溶液に、数回に分けてDCC 0.95g(4.6mmol)を添加した。添加後に室温において3時間かけて撹拌した。生成した固体をろ別する。ろ液に氷酢酸0.4mLを加え、室温下に撹拌した。2時間後、反応液に飽和重炭酸ナトリウム水溶液10mLを添加し、均一に撹拌し、水相を分離した。クロロホルム層は5mL水で洗浄し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、吸引ろ過した。ろ液にL−チロシンメチルエステル0.80g(4.1mmol)を加え、室温において24時間かけて撹拌した。反応液は1N塩酸で洗浄し、水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、吸引ろ過した。減圧下で溶剤を留去し、残留物はメタノールで溶解し、−20℃に放置して、白色固体が析出した。母液は濃縮し再び固体が析出した。二回合わせて標題化合物の白色固体0.53gが得られ、収率は37.8%であった。
1H NMR (CDCl3):δ=0.82(d, J=6.9Hz, 6H), 0.89−1.12(m, 3H), 1.30〜1.43(m, 3H), 1.70〜1.90(m, 4H), 2.05(m, 1H), 2.96(dd, J=6.5Hz, 14.2Hz, 1H), 3.09(dd, J=5.5Hz, 14.7Hz, 1H), 3.72(s, 3H), 4.85(m, 1H), 6.00(d, J=8.1Hz, 1H), 6.70(d, J=8.4Hz, 2H), 6.90(d, J=8.2Hz, 2H)。
実施例22:(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸 メチル((R)−B)
D−L−チロシンメチルエステルを原料とし、操作は以上と同じで、(R)−Bを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表されるアラニン系化合物又はその塩。
【化1】

(ただし、一般式(I)においてアラニンのα位の炭素原子の配置はR又はS型であり、R1は水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、又は以下の基の中から選ばれる芳香族環基、又は芳香族複素環基であり、
【化2】

2は水素原子又は置換されていてもよいC1-6アルキル基である。)
【請求項2】
一般式(I)で表されるアラニン系化合物又はその塩が
(1)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(2)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ベンゾオキサゾリル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(3)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(5―メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸(2);
(4)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ベンゾオキサゾリル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(5)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(1−インドリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(6)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(1−インドリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(7)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−(4−トリフルオロメチルベンジルオキシ)フェニル]プロピオン酸;
(8)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−(4−トリフルオロメチルベンジルオキシ)フェニル]プロピオン酸;
(9)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ベンジルオキシフェニル]プロピオン酸;
(10)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ベンジルオキシフェニル]プロピオン酸;
(11)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニルアミノ]−3−(4−ブトキシフェニル)プロピオン酸;
(12)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ブトキシフェニル)プロピオン酸;
(13)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピオン酸;
(14)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピオン酸;
(15)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸;
(16)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピオン酸;
(17)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸;
(18)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸;
(19)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(20)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(21)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル;
(22)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル
から選ばれる化合物又はその塩であることを特徴とする請求項1記載のアラニン系化合物及びその塩。
【請求項3】
(1)トランス−4−イソプロピルシクロヘキサンカルボン酸N−ヒドロキシ琥珀酸イミドエステルと、L−チロシン酸メチル又はD−チロシンメチルエステルを不活性溶剤中において縮合反応させて、2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルを得;
(2)2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルと、対応する複素環アルキルアルコール又はアリールアルコールにMitsunobu反応を行わせ、さらに反応生成物を無機塩基で加水分解して一般式(I)で表される化合物を得(ただし、一般式(I)においてR1は以下の基、
【化3】

2はHである。)、又は
2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルと、対応するアルキルハロゲン物との間にアルカリ性条件下でエーテル化反応を行わせて、一般式(I)で表される化合物を得(ただし、一般式(I)においてR1は以下の基であり、
【化4】

2はHである。)、又は
2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルを水分解して一般式(I)で表される化合物を得(ただし、一般式(I)においてR1、R2はともにH原子である);
(3)必要に応じて対応する薬学的に許容される塩を製造する
ことを特徴とするアラニン系化合物又はその塩の製造方法。
【請求項4】
不活性溶剤がクロロホルム、ジクロロメタン、エーテル、テトラフランから選ばれることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記加水分解反応に使用される無機塩基が水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムから選ばれ;使用される溶剤がテトラフランとメタノールの混合溶剤、又は混合アルコール溶剤、又はクロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼンから選ばれることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項6】
前記エーテル化反応に使用される無機塩基が水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムから選ばれ;エーテル化反応の温度が−10〜180℃であリ、適当な溶剤がジメチルホルムアミド、DMSO及び水から選ばれ、反応時間は1〜72時間であることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項7】
(1)2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルとアミノ基が保護されている2−メチルアミノエタノールとを縮合させ、保護基を脱除去し、更に過剰量の2−フルオロピリジンと還流縮合し、その後アルカリで加水分解し一般式(I)の化合物を得ることを特徴とする請求項1記載の化合物の製造方法。
(ただし、一般式(I)においてRは以下の式で表される基であり、R2はHである。)
【化5】

(2)必要に応じて、薬学的に許容される塩を製造することを特徴とする請求項1記載のアラニン系化合物又はその塩の製造方法。
【請求項8】
前記加水分解反応に使用される無機塩基が水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムから選ばれ;使用される溶剤がテトラフランとメタノールの混合溶剤、又は混合アルコール溶剤、又はクロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼンから選ばれることを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1記載のアラニン系化合物、又はその塩を含有する抗II型糖尿病用薬物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表されるアラニン系化合物又はその塩。
【化1】

(ただし、一般式(I)においてアラニンのα位の炭素原子の配置はR又はS型であり、R1は水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、又は以下の基の中から選ばれる芳香族環基、又は芳香族複素環基であり、
【化2】

2は水素原子又は置換されていてもよいC1-6アルキル基である。)
【請求項2】
一般式(I)で表されるアラニン系化合物又はその塩が
(1)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(2)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(5―メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(3)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ベンゾオキサゾリル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(4)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ベンゾオキサゾリル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(5)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(1−インドリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(6)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−(1−インドリル)エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(7)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−(4−トリフルオロメチルベンジルオキシ)フェニル]プロピオン酸;
(8)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−(4−トリフルオロメチルベンジルオキシ)フェニル]プロピオン酸;
(9)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ベンジルオキシフェニル]プロピオン酸;
(10)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−ベンジルオキシフェニル]プロピオン酸;
(11)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニルアミノ]−3−(4−ブトキシフェニル)プロピオン酸;
(12)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ブトキシフェニル)プロピオン酸;
(13)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピオン酸;
(14)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−エトキシフェニル)プロピオン酸;
(15)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸;
(16)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−トキシフェニル)プロピオン酸;
(17)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸;
(18)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸;
(19)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(20)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−[4−[2−[N−メチル−N−(2−ピリジル)アミノ]エトキシ]フェニル]プロピオン酸;
(21)(2S)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル;
(22)(2R)−2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル
から選ばれる化合物又はその塩であることを特徴とする請求項1記載のアラニン系化合物及びその塩。
【請求項3】
(1)トランス−4−イソプロピルシクロヘキサンカルボン酸N−ヒドロキシ琥珀酸イミドエステルと、L−チロシン酸メチル又はD−チロシンメチルエステルを不活性溶剤中において縮合反応させて、2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルを得;
(2)2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルと、対応する複素環アルキルアルコール又はアリールアルコールにMitsunobu反応を行わせ、さらに反応生成物を無機塩基で加水分解して一般式(I)で表される化合物を得(ただし、一般式(I)においてR1は以下の基、
【化3】

2はHである。)、又は
2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルと、対応するアルキルハロゲン物との間にアルカリ性条件下でエーテル化反応を行わせて、一般式(I)で表される化合物を得(ただし、一般式(I)においてR1は以下の基であり、
【化4】

2はHである。)、又は
2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルを水分解して一般式(I)で表される化合物を得(ただし、一般式(I)においてR1、R2はともにH原子である);
(3)必要に応じて対応する薬学的に許容される塩を製造する
ことを特徴とするアラニン系化合物又はその塩の製造方法。
【請求項4】
不活性溶剤がクロロホルム、ジクロロメタン、エーテル、テトラフランから選ばれることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記加水分解反応に使用される無機塩基が水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムから選ばれ;使用される溶剤がテトラフランとメタノールの混合溶剤、又は混合アルコール溶剤、又はクロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼンから選ばれることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項6】
前記エーテル化反応に使用される無機塩基が水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムから選ばれ;エーテル化反応の温度が−10〜180℃であリ、適当な溶剤がジメチルホルムアミド、DMSO及び水から選ばれ、反応時間は1〜72時間であることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項7】
(1)2−[N−(トランス−4−イソプロピルシクロヘキシルカルボニル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルとアミノ基が保護されている2−メチルアミノエタノールとを縮合させ、保護基を脱除去し、更に過剰量の2−フルオロピリジンと還流縮合し、その後アルカリで加水分解し一般式(I)の化合物を得ることを特徴とする請求項1記載の化合物の製造方法。
(ただし、一般式(I)においてRは以下の式で表される基であり、R2はHである。)
【化5】

(2)必要に応じて、薬学的に許容される塩を製造することを特徴とする請求項1記載のアラニン系化合物又はその塩の製造方法。
【請求項8】
前記加水分解反応に使用される無機塩基が水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムから選ばれ;使用される溶剤がテトラフランとメタノールの混合溶剤、又は混合アルコール溶剤、又はクロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼンから選ばれることを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1記載のアラニン系化合物、又はその塩を含有する抗II型糖尿病用薬物。


【公表番号】特表2006−513250(P2006−513250A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567216(P2004−567216)
【出願日】平成15年1月28日(2003.1.28)
【国際出願番号】PCT/CN2003/000096
【国際公開番号】WO2004/067495
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(302051326)中国科学院上海薬物研究所 (5)
【Fターム(参考)】