説明

アリールスルホンアミドおよびそれに関連する使用方法

式:(I)のアリールスルホンアミド化合物が記載され、この化合物は、特に糖尿病、肥満、ならびに関連する状態および障害の治療において治療上の有用性を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願に対する相互参照
本出願は、2004年04月20日提出の米国特許出願第60/564,376号の35 USC 119(e)の下の恩典を主張し、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は一般には、11β-HSD1などのヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを調節するため、および糖尿病や肥満などのヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に関連する疾患を治療または予防するための方法における、新規化合物、組成物、およびいずれかの使用を目的とする。この方法は、それを必要としている患者へのアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量の投与を含む。新規アリールスルホンアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、もしくはプロドラッグが本明細書において提示される。
【0003】
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)は、ステロイドホルモンをそれらの不活性代謝物に変換することにより、ステロイドホルモン受容体の占有率および活性化を調節する。最近の総説については、Nobel et al., Eur. J. Biochem. 2001, 268:4113-4125を参照されたい。
【0004】
HSDには多くのクラスがある。11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD)は活性グルココルチコイド(コルチゾルおよびコルチコステロンなど)と、それらの不活性体(コルチゾンおよび11-デヒドロコルチコステロンなど)との相互変換を触媒する。アイソフォーム11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β-HSD1)は肝臓、脂肪組織、脳、肺および他のグルココルチコイド組織で発現され、糖尿病、肥満および加齢性認知機能不全などの、グルココルチコイド作用の低下により改善し得る多くの障害に対する治療法の標的となる可能性がある。Seckl, et al., Ehdocrinology, 2001, 142:1371-1376。
【0005】
グルココルチコイドが糖尿病発症において中心的役割を果たしていること、およびグルココルチコイドがグルカゴンの肝臓への作用を可能にすることはよく知られている。Long et al., J. Exp. Med. 1936, 63: 465-490; およびHoussay, Endocrinology 1942, 30: 884-892。加えて、11β-HSD1が局所グルココルチコイド作用および肝臓でのグルコース産生の調節において重要な役割を果たしていることは十分に実証されている。Jamieson et al., J. Endocrinol. 2000, 165:685-692。Walker, et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 1995, 80:3155-3159において、非特異的11β-HSD1阻害剤のカルベノキソロンを投与することにより、ヒトの肝インスリン感受性が改善されることが報告された。
【0006】
さらに、糖尿病治療におけるHSDの作用メカニズムの仮説は、マウスやラットでの様々な実験によって裏付けられている。これらの試験から、肝グルコース産生における二つの重要な酵素、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)、およびグルコース-6-ホスファターゼ(G6Pアーゼ)のmRNAレベルおよび活性はHSD阻害剤の投与後に下がることが明らかにされた。加えて、血糖レベルおよび肝グルコース産生は11β-HSD1ノックアウトマウスでは低いことが示された。このマウスノックアウトモデルを用いて集めた他のデータにより、PEPCKおよびG6Pアーゼの基底レベルはグルココルチコイドとは無関係に調節されるため、11β-HSD1の阻害が低血糖を引き起こすことはないことも確認されている。Kotelevtsev et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94: 14924-14929。
【0007】
HSDは肥満においても役割を果たすと考えられる。肥満は、X症候群ならびにII型(インスリン非依存性)糖尿病における重要な因子で、腹部脂胖症は糖不耐性、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、およびX症候群の他の因子(例えば、高血圧、低HDLレベル、および高VLDLレベル)と関連づけられているため、大網脂肪はこれらの疾患両方の発症において最も重要であると思われる。Montague et al., Diabetes 2000, 49:883-888, 2000。前脂肪細胞(ストローマ細胞)において11β-HSD1を阻害すると、脂肪細胞への分化の速度低下が起こることも報告されている。これは大網脂肪蓄積の拡大減少(おそらくは低減)を引き起こし、それによって中心性肥満の低減を引き起こし得ることが予想される。Bujalska et al., Lancet 1997, 349:1210-1213。
【0008】
Halleux et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 1999, 84:4097-4105に報告されたとおり、成熟脂肪細胞における11β-HSD1の阻害は、独立の心血管危険因子であるプラスミノゲン活性化因子阻害剤1(PAI-1)の分泌を減弱すると予想される。加えて、グルココルチコイド活性と特定の心血管危険因子との間に相関性があることが示されている。これは、グルココルチコイド作用の低下は特定の心血管疾患の治療または予防において有益であることを示唆するものである。Walker et al., Hypertension 1998, 31:891-895; およびFraser et al., Hypertension 1999, 33:1364-1368。
【0009】
HSDは食欲制御の過程にも関連するとされており、したがって体重関連障害においてさらなる役割を果たすと考えられる。副腎摘出が絶食の効果を減弱し、食物摂取と視床下部神経ペプチドY発現を両方とも高めることが知られている。これは、グルココルチコイドが食物摂取の促進において役割を果たすこと、および脳内の11β-HSD1の阻害が満腹感を高め、したがって食物摂取の低下を来すことを示唆するものである。Woods et al., Science 1998, 280:1378-1383。
【0010】
HSDの調節に関連するもう一つの可能性がある治療効果は、様々な膵栄養物に関連するものである。マウス膵β細胞における11β-HSD1の阻害がインスリン分泌を高めることが報告されている。Davani et al., J. Biol. Chem. 2000, 275:34841-34844。これは、この発見からグルココルチコイドはインビボでの膵インスリン放出低下の原因であることが以前に判明していたことになる。Billaudel et al., Horm. Metab. Res. 1979, 11:555-560。したがって、11β-HSD1の阻害は、予想される肝臓への効果および脂肪減少効果以外の、糖尿病治療における他の有益な効果を生じることが示唆される。
【0011】
11β-HSD1は脳内のグルココルチコイド活性も調節し、したがって神経毒性に寄与する。Rajan et al., Neuroscience 1996, 16:65-70; およびSeckl et al., Neuroendocrinol. 2000, 18:49-99。ストレスおよび/またはグルココルチコイドは、認知機能に影響をおよぼすことが知られており(de Quervain et al., Nature 1998, 394:787-790)、未発表の結果より、非特異的11β-HSD阻害剤で治療したラットにおいて有意な記憶改善が示されている。これらの報告は、脳内のグルココルチコイドの公知の作用に加えて、脳内のHSDを阻害することで不安および関連状態に対するプラスの治療効果が得られることを示唆している。Tronche et al., Nature Genetics 1999, 23:99-103。11β-HSD1は海馬細胞において11-DHCをコルチコステロンへと再活性化し、キナーゼ神経毒性を強化して、加齢性学習障害を引き起こすこともある。したがって、11β-HSD1の選択的阻害剤は、加齢に伴う海馬機能低下に対して保護すると考えられる。Yau et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98:4716-4721。したがって、ヒト脳内の11β-HSD1の阻害は、認知障害、うつ、および食欲亢進などの神経機能への有害なグルココルチコイド仲介性作用に対して保護するとの仮説が立てられている。
【0012】
HSDは、グルココルチコイドは免疫系を抑制するとの一般的認識に基づき、免疫調節において役割を果たすと考えられる。免疫系とHPA(視床下部下垂体副腎)系との間に力学的相互作用があることが知られており(Rook, Baillier's Clin. Endocrinol. Metab. 2000, 13: 576-581)、グルココルチコイドは細胞性応答と液性応答との間のバランスを取る助けとなる。ストレスによって誘導され得るグルココルチコイド活性の亢進は液性応答に関連し、したがって11β-HSD1の阻害は応答を細胞性反応へとシフトさせることになる。結核、ライ、および乾癬などの特定の疾患状態において、免疫反応は典型的に、細胞性反応がより適当である場合にも、液性応答に偏っている。これらの場合に11β-HSD1の阻害を用いて細胞性応答に向かわせるよう、研究が行われている。Mason, Immunology Today 1991, 12:57-60。したがって、11β-HSD1阻害のもう一つの用途は免疫化に関連する一時的免疫応答を強化して、細胞性応答が確実に得られるようにすることである。
【0013】
最近の報告から、グルココルチコイド標的受容体およびHSDのレベルは緑内障を発症するリスクに関連していることが示唆される。Stokes et al., Invest. Ophthalmol. 2000, 41:1629-1638。さらに、11β-HSD1の阻害と眼内圧低下との間の関連が報告された。1999年6月12〜15日、San DiegoでのEndocrine society meeting、ポスターP3-698、Walker et al.。非特異的11β-HSD1阻害剤、カルベノキソロンの投与は、健常患者において眼内圧の20%の低下を引き起こすことが示された。眼内で、11β-HSD1は角膜上皮の基底細胞、角膜の非着色epithelialium(房水産生部位)、毛様体筋、ならびに虹彩の括約筋および散大筋においてもっぱら発現される。これとは対照的に、遠縁のイソ酵素11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型(「11β-HSD2」)は非着色毛様体上皮および角膜内皮で高度に発現される。房水流出部位の小柱網ではHSDは見いだされていない。したがって、11β-HSD1は房水産生における役割を有することが示唆される。
【0014】
グルココルチコイドは骨格の発生および機能においても必須の役割を果たすが、過剰にあるとそのような発生および機能にとって有害である。Kim et al., J. Endocrinol. 1999, 162:371 379に報告されているとおり、グルココルチコイド誘導性の骨損失は、部分的には骨芽細胞増殖およびコラーゲン合成の抑制による。グルココルチコイドの骨小結節(bone nodule)形成に対する有害作用は、非特異的11β-HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与によって減弱することができる。Bellows et al., Bone 1998, 23:119-125。さらなる報告により、11β-HSD1は破骨細胞における活性グルココルチコイドのレベルを高め、したがって骨再吸収を促進する役割を担っていることが示唆される。Cooper et al., Bone 2000, 27:375-381。このデータは、11β-HSD1の阻害が、並行して作用し得る一つまたは複数のメカニズムを介して、骨粗鬆症に対し有益な効果を有することを示唆するものである。
【0015】
胆汁酸が11β-HSD2を阻害すること、およびそのような阻害がコルチゾル/コルチゾンの平衡をコルチゾルの方にシフトさせることが知られている。Quattropani et al., J. Clin. Invest. Nov. 2001, 108:1299-305。したがって、11β-HSD2の肝臓における活性低下は、コルチゾル/コルチゾンの平衡をコルチゾンの方に逆行させ、それにより高血圧などの疾患における治療上の利益が得られると予想される。
【0016】
17-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β-HSD)の様々なアイソザイムはアンドロゲン受容体またはエストロゲン受容体に結合し、エストラジオール/エストロンおよびテストステロン/アンドロステンジオンを含む様々な性ホルモンの相互変換を触媒する。今日までに、ヒトにおいて6つのアイソザイムが同定されており、子宮内膜組織、乳房組織、結腸組織、および精巣を含む様々なヒト組織で発現される。17-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型(17β-HSD2)はヒト子宮内膜で発現され、その活性は子宮頸癌に関連することが報告されている。Kitawaki et al., J. Clin. Endocrin. Metab., 2000, 85:1371-3292-3296。17-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ3型(17β-HSD3)は精巣で発現され、その調節はアンドロゲン関連障害の治療のために有用であり得る。
【0017】
アンドロゲンおよびエストロゲンはそれらの17β-ヒドロキシ配置で活性であるが、それらの17-ケト誘導体はアンドロゲンおよびエストロゲン受容体に結合せず、したがって不活性である。性ホルモンの活性体と不活性体(エストラジオール/エストロンおよびテストステロン/アンドロステンジオン)との間の変換は、17β-HSDファミリーのメンバーによって触媒される。17β-HSD1は乳房組織において、悪性乳房腫瘍の成長にとって重要なエストラジオールの生成を触媒する。Labrie et al., Mol. Cell. Endocrinol. 1991, 78:C113-C118。同様の役割が結腸癌における17β-HSD4に対して示唆されている。English et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 1999, 84:2080-2085。17β-HSD3は精巣でほぼ限定的に発現され、アンドロステンジオンをテストステロンに変換する。胎児発生中にこの酵素が不足すると、雄性の偽雌雄同体現象が起こる。Geissler et al., Nat. Genet. 1994, 7:34-39。17β-HSD3および様々な3α-HSDアイソザイムはいずれも、不活性体と活性体との間のアンドロゲンシャッフルを引き起こす複雑な代謝経路に関与している。Penning et al., Biochem. J. 2000, 351:67-77。したがって、特定のHSDの調節は、アンドロゲンおよびエストロゲン関連障害の治療において有益な効果を有する可能性がある。
【0018】
20-α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(20α-HSD)はプロゲスチンの相互変換(プロゲステロンと20α-ヒドロキシプロゲステロンとの間など)を触媒する。20α-HSDの他の基質には、17α-ヒドロキシプレグネノロンまたは17α-ヒドロキシプロゲステロンが含まれ、20α-OHステロイドを生じる。いくつかの20α-HSDアイソフォームが同定されており、20α-HSDは胎盤、卵巣、精巣および副腎を含む様々な組織で発現される。Peltoketo, et al., J. Mol. Endocrinol. 1999, 23:1-11。
【0019】
3-α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3α-HSD)は、アンドロゲン、ジヒドロテストステロン(DHT)と5α-アンドロスタン-3α,17β-ジオールとの相互変換およびアンドロゲン、DHEAとアンドロスタンジオンとの相互変換を触媒し、したがってアンドロゲン代謝において重要な役割を果たす。Ge et al., Biology of Reproduction 1999, 60:855-860。
【0020】
国際公開公報第WO01/90090号、第WO01/90091号、第WO01/90092号、および第WO03/044009号は、アリールスルホンアミドおよびそれらの11β-HSD1調節剤としての使用を開示している。
【0021】
HSD阻害の分野で行われた以前の研究にもかかわらず、HSDの様々なファミリーの強力な阻害剤であり、糖尿病、肥満、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、免疫障害、うつ、高血圧などのHSD仲介性状態を治療するために有効な、新規化合物がいまだに必要とされている。
【発明の開示】
【0022】
発明の概要
簡単に言うと、本発明は、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、20α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、および3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼなどであって、そのすべてのアイソフォームを含み、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(以下、「11β-HSD1」)、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型(以下、「11β-HSD2」)、および17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ3型(以下、「17β-HSD3」)を含むが、それらに限定されるわけではない、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)の活性を調節するための新規化合物、その組成物、および方法に関する。好ましい態様において、本発明の成分はHSD活性を阻害する。
【0023】
本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの作用に関連する疾患または障害を治療または予防するための方法であって、それを必要としている患者に、アリールスルホンアミド化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、もしくはプロドラッグの治療的有効量を投与する段階を含む方法にも関する。本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの選択的および非選択的両方の阻害剤を含む。
【0024】
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの選択的および非選択的阻害剤はそれぞれ、例えば、異常なグルコースレベルまたは視床下部機能に関連する疾患の治療または予防において利点を有することが理解されるべきである。本発明はまた、HSDの選択的阻害剤を包含する。他の型の受容体もしくはグルコース代謝に関連する遺伝子標的よりもクラスとしてのHSDへの選択性に関するもの、または様々なHSDもしくはその特定のアイソフォームに対し、他のHSDもしくはその特定のアイソフォームに比べて選択的であるものの、二つの型の選択性が企図される。
【0025】
一つの態様において、アリールスルホンアミド化合物は選択的または非選択的11β-HSD阻害剤として作用することができる。化合物は不活性11-ケトステロイドとそれらの活性ヒドロキシ等価物との相互変換を阻害すると考えられる。本発明は、それによって不活性体の活性体への変換を制御することができ、そのような制御の結果、有用な治療効果が得られる方法を提供する。特に、本発明はヒトにおけるコルチゾンとコルチゾルとの間の相互変換に関するが、それらに限定されるわけではない。
【0026】
もう一つの態様において、アリールスルホンアミド化合物はインビボで11β-HSD阻害剤として作用することもできる。
【0027】
もう一つの態様において、本発明のアリールスルホンアミド化合物は経口により活性であると考えられる。
【0028】
アリールスルホンアミド化合物は、下記の一つまたは複数を含むが、それらに限定されるわけではない、多くの代謝機能の調節のためにも有用である:(i)炭水化物代謝の調節、(ii)タンパク質代謝の調節、(iii)脂質代謝の調節、(iv)正常な成長および/または発生の調節、(v)認知機能への影響、(vi)ストレスおよび鉱質コルチコイド活性に対する抵抗性。
【0029】
アリールスルホンアミド化合物は、肝糖新生を阻害するためにも有用であり、また糖尿病、肥満(entripetal肥満を含む)、ニューロン損失、および/または高齢の認知障害における内因性グルココルチコイドの作用を軽減するためにも有効であると考えられる。したがって、さらなる局面において、本発明は、アリールスルホンアミド化合物を投与する患者で一つまたは複数の治療効果を生じることを目的とした方法におけるHSDの阻害剤の使用を提供し、この治療効果は肝糖新生の阻害、脂肪組織および筋肉におけるインスリン感受性の増大、ならびにグルココルチコイドにより増強された神経毒性または神経の機能不全もしくは損傷によるニューロン損失/認知障害の予防または軽減からなる群より選択される。
【0030】
本発明は、肝インスリン抵抗性、脂肪組織インスリン抵抗性、筋肉インスリン抵抗性、グルココルチコイドにより増強された神経毒性によるニューロン損失、および前述の状態の任意の組み合わせからなる群より選択される状態の治療法であって、それを必要としている患者に、アリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0031】
本発明のアリールスルホンアミド化合物は、式(I)を有する化合物ならびにそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、またはそのプロドラッグである。

【0032】
式(I)において、R1は-OH、(C1-C8)アルキルおよび(C1-C8)ハロアルキルから選択され;R2およびR3はハロゲン、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキルおよび(C3-C8)シクロアルキルから独立に選択され;かつNcycは式(a)、式(b)、式(c)および式(d)から選択される式を有する窒素複素環である:

【0033】
式(a)から(d)において、置換基、下付き文字および変数は以下の意味を有する。
【0034】
式(a)において、R2a、R2a'およびR5aはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR''、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつR3aおよびR4aの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2aおよびR2a'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;かつここでR5aが-C(O)R'、-C(O)OR'または-OR''である場合、R2a、R2a'、R3aおよびR4aの少なくとも一つはH以外であり;R3aおよびR4aはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-C(O)N(R')2、-OR''、-OC(O)R'、-NR'C(O)OR''、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつ任意で二つの隣接するR3a、R4aおよびR5a構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(a)において、R2a、R2a'、R3a、R4aおよびR5aの少なくとも一つはH以外である。
【0035】
式(b)において、R2b、R2b'およびR6bはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつR3b、R4bおよびR5bの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2bおよびR2b'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;R3b、R4bおよびR5bはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつ任意で二つの隣接するR3b、R4b、R5bおよびR6b構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(b)において、R2b、R2b'、R3b、R4b、R5bおよびR6bの少なくとも一つはH以外である。
【0036】
式(c)において、XはOまたはS(O)kであり、ここでkは0から2の整数であり;R2c、R2c'およびR6cはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-SR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつR3cおよびR4cの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2cおよびR2c'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;R3cおよびR5cはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-SR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつ任意で二つの隣接するR2c、R2c'、R3c、R5cおよびR6c構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(c)において、R2c、R2c'、R3c、R5cおよびR6cの少なくとも一つはH以外である。
【0037】
式(d)において、下付き文字mは1から6の整数であり;下付き文字nは2または3であり;R2dおよびR2d'はそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつRdの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2dおよびR2d'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;RdはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつ任意で二つの隣接するRd構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(d)において、R2d、R2d'およびRdの少なくとも一つはH以外である。
【0038】
式(a)〜(d)のそれぞれについて、いかなるNcycの縮合ベンゼンまたはピリジン環部分も、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-SR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2および-NR'C(O)R'から選択される1つから4つの構成員で置換されていてもよい。加えて、これらの式において、R'の出現はそれぞれ独立にH、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキルであるか、または2つのR'基は、同じ窒素原子に結合している場合、それらが結合している窒素原子と組み合わされて複素環もしくはヘテロアリール基を形成することができ;かつR''の出現はそれぞれ独立に(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキルまたはアリール(C1-C6)アルキルである。
【0039】
加えて、Ncycが式(a)であり、かつR2aおよびR2a'がそれぞれHである場合、R5aはフェニル、フリル、チエニルまたはピリジル以外である。さらに、化合物は4-[[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]-3,4-ジヒドロ-N,N-ジプロピル-2H-1,4-ベンゾキサジン-6-エタンアミンまたはその塩(登録番号144-62-7);N-[[(3R)-4-[[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]-1,1-ジオキシド-3-チオモルホリニル]カルボニル]-L-チロシン, 1,1-ジメチルエチルエステル, ジメチルカルバメート(登録番号220544-72-9);およびN-[[(3R)-4-[[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]-1,1-ジオキシド-3-チオモルホリニル]カルボニル]-L-チロシン, ジメチルカルバメート(登録番号220545-63-1)以外である。
【0040】
一つの局面において、本発明は、アリールスルホンアミド化合物および薬学的に許容される媒体、担体、賦形剤または希釈剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0041】
もう一つの局面において、本発明は、インスリン依存性糖尿病の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0042】
もう一つの局面において、本発明は、インスリン非依存性糖尿病の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0043】
もう一つの局面において、本発明は、インスリン抵抗性の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0044】
もう一つの局面において、本発明は、肥満の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0045】
もう一つの局面において、本発明は、コルチゾル産生の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0046】
もう一つの局面において、本発明は、肝グルコース産生の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0047】
もう一つの局面において、本発明は、視床下部機能の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0048】
一つの局面において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ仲介性の状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0049】
もう一つの局面において、本発明は、細胞におけるヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの機能の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0050】
さらなる局面において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0051】
さらにもう一つの局面において、本発明は、11β-HSD1仲介性の状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0052】
さらにもう一つの局面において、本発明は、細胞における11β-HSD1の機能の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0053】
さらなる局面において、本発明は、11β-HSD1の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0054】
一つの局面において、本発明は、11β-HSD2仲介性の状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0055】
もう一つの局面において、本発明は、細胞における11β-HSD2の機能の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0056】
さらなる局面において、本発明は、11β-HSD2の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0057】
一つの局面において、本発明は、17β-HSD3仲介性の状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0058】
もう一つの局面において、本発明は、細胞における17β-HSD3の機能の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0059】
さらなる局面において、本発明は、17β-HSD3の調節方法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0060】
本発明のこれらおよび他の局面は下記の詳細な説明を参照すれば明らかになると思われる。そのために、特定の特許および他の文書を本明細書において引用し、本発明の様々な局面をより具体的に示す。これらの文書はそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0061】
発明の詳細な説明
本明細書において用いられる場合、用語は下記の意味を有する。
【0062】
本明細書において用いられる「アルキル」なる用語は、表示された数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を意味する。例えば、(C1-C6)アルキルには、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、およびネオヘキシルが含まれることになるが、それらに限定されるわけではない。アルキル基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0063】
本明細書において用いられる「アルケニル」なる用語は、表示された数の炭素原子および少なくとも一つの二重結合を有する直鎖または分枝鎖不飽和炭化水素を意味する。(C2-C8)アルケニル基の例には、エチレン、プロピレン、1-ブチレン、2-ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、1-ペンテン、2-ペンテン、イソペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-ヘキセン、イソヘキセン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、イソヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、3-オクテン、4-オクテン、およびイソオクテンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。アルケニル基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0064】
本明細書において用いられる「アルキニル」なる用語は、表示された数の炭素原子および少なくとも一つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖不飽和炭化水素を意味する。(C2-C8)アルキニル基の例には、アセチレン、プロピン、1-ブチン、2-ブチン、1-ペンチン、2-ペンチン、1-ヘキシン、2-ヘキシン、3-ヘキシン、1-ヘプチン、2-ヘプチン、3-ヘプチン、1-オクチン、2-オクチン、3-オクチンおよび4-オクチンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。アルキニル基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0065】
本明細書において用いられる「アルキレン」なる用語は、二価のアルキル基(例えば、典型的には連結基として、二つの他の部分に結合されたアルキル基)を意味する。(C1-C7)アルキレンの例には、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-、および-CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2-、ならびにその分枝型が含まれる。アルキレン基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0066】
本明細書において用いられる「アルコキシ」なる用語は、表示された数の炭素原子を有する-O-アルキル基を意味する。例えば、(C1-C6)アルコキシ基には、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-イソプロピル、-O-ブチル、-O-sec-ブチル、-O-tert-ブチル、-O-ペンチル、-O-イソペンチル、-O-ネオペンチル、-O-ヘキシル、-O-イソヘキシル、および-O-ネオヘキシルが含まれる。
【0067】
本明細書において用いられる「アミノアルキル」なる用語は、C1-C6アルキル基の水素原子の一つまたは複数が式-N(Ra)2のアミンで置き換えられており、ここでRaの出現はそれぞれ独立に-Hまたは(C1-C6)アルキルである、アルキル基(典型的には1から6個の炭素原子)を意味する。アミノアルキル基の例には、-CH2NH2、-CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2N(CH3)2、t-ブチルアミノメチル、イソプロピルアミノメチルなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0068】
本明細書において用いられる「アリール」なる用語は、6から14員単環、二環または三環芳香族炭化水素環系を意味する。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。アリール基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0069】
本明細書において用いられる「シクロアルキル」なる用語は、3から14員飽和または不飽和非芳香族単環、二環または三環炭化水素環系を意味する。このクラスに含まれるものは、ベンゼン環に縮合されたシクロアルキル基である。代表的シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1,3-シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,4-シクロヘプタジエニル、-1,3,5-シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、1,3-シクロオクタジエニル、1,4-シクロオクタジエニル、-1,3,5-シクロオクタトリエニル、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレン、ヘキサヒドロナフタレン、オクタヒドロインデン、ヘキサヒドロインデン、テトラヒドロインデン、デカヒドロベンゾシクロヘプテン、オクタヒドロベンゾシクロヘプテン、ヘキサヒドロベンゾシクロヘプテン、テトラヒドロベンゾシクロpheptene、ドデカヒドロヘプタレン、デカヒドロヘプタレン、オクタヒドロヘプタレン、ヘキサヒドロヘプタレン、およびテトラヒドロヘプタレンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。シクロアルキル基は無置換でもよく、または後述の一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0070】
本明細書において用いられる「ハロ」なる用語は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを意味する。
【0071】
本明細書において用いられる「ハロアルキル」なる用語は、C1-C6アルキル基の水素原子の一つまたは複数がハロゲン原子で置き換えられており、このハロゲン原子は同じでも異なっていてもよい、C1-C6アルキル基を意味する。ハロアルキル基の例には、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピル、ペンタクロロエチル、および1,1,1-トリフルオロ-2-ブロモ-2-クロロエチルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0072】
本明細書において用いられる「ヘテロアリール」なる用語は、単環、二環、および三環系を含む、5から14員で、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を有し、かつ少なくとも一つの炭素原子を含む、芳香族複素環を意味する。代表的ヘテロアリールは、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ピリミジル、オキセタニル、アゼピニル、ピペラジニル、モルホリニル、ジオキサニル、チエタニルおよびオキサゾリルである。ヘテロアリール基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0073】
本明細書において用いられる「ヘテロ原子」なる用語は、酸素(O)、窒素(N)、および硫黄(S)を含むことを意味する。
【0074】
本明細書において用いられる「複素環」または「ヘテロシクロアルキル」なる用語は、単環、二環、および三環系を含む、飽和、不飽和、または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄から独立に選択され、ここで窒素および硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は4級化されていてもよい、1から4個のヘテロ原子を含む、5から14員環系を意味する。二環および三環系はベンゼン環に縮合された複素環またはヘテロアリールを含んでいてもよい。複素環は任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合されていてもよい。複素環には前述の定義のヘテロアリールが含まれる。複素環の代表例には、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、アジリニル、ジアジリジニル、ジアジリニル、オキサジリジニル、アゼチジニル、アゼチジノニル、オキセタニル、チエタニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリル、オキサジニル、チアジニル、ジアジニル、トリアジニル、テトラジニル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピロリジニル、イソキサゾリル、フラニル、フラザニル、ピリジニル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ピリニル、インドリル、イソキノリニル、キノリニル、およびキナゾリニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。複素環基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0075】
本明細書において用いられる「ヒドロキシアルキル」なる用語は、アルキル基の水素原子の一つまたは複数が-OH基で置き換えられている、表示された数の炭素原子を有するアルキル基を意味する。ヒドロキシアルキル基の例には、-CH2OH、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH、-CH2CH2CH2CH2OH、-CH2CH2CH2CH2CH2OH、CH2CH2CH2CH2CH2CH2OH、およびその分子型が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0076】
アルキル基(ならびにアルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロシクロアルケニルと呼ばれる基)の置換基は、0から3の範囲の数の、-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロ、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'''C(O)NR'R''、-NR'''SO2NR'R''、-NR''CO2R'、-NHC(NH2)=NH、-NR'C(NH2)=NH、-NHC(NH2)=NR'、-S(O)R'、-SO2R'、-SO2NR'R''、-NR''SO2R'、-CNおよび-NO2から選択される様々な基であってもよく、0、1または2個の置換基を有する基が特に好ましい。R'、R''およびR'''はそれぞれ独立に水素、無置換(C1-C8)アルキル、無置換ヘテロ(C1-C8)アルキル、無置換アリールならびに-ハロ、無置換アルキル、無置換アルコキシ、無置換チオアルコキシおよび無置換アリール(C1-C4)アルキルから選択される1から3個の置換基で置換されたアリールを意味する。R'およびR''が同じ窒素原子に結合されている場合、これらはその窒素原子との組み合わせで5、6、または7員環を形成することができる。例えば、-NR'R''は1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意味する。典型的には、アルキルまたはヘテロアルキル基は0から3個の置換基を有し、本発明においては2個以下の置換基を有する基が好ましい。より好ましくは、アルキルまたはヘテロアルキル基は無置換または一置換である。最も好ましくは、アルキルまたはヘテロアルキル基は無置換である。前述の置換基の議論から、当業者であれば「アルキル」なる用語はトリハロアルキル(例えば、-CF3および-CH2CF3)などの基を含むことが理解されると思われる。
【0077】
アルキルおよびヘテロアルキル基の好ましい置換基は、-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロ、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-C(O)NR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR''CO2R'、-NR'''SO2NR'R''、-S(O)R'、-SO2R'、-SO2NR'R''、-NR''SO2R'、-CNおよび-NO2から選択され、ここでR'、R''およびR'''は前述の定義のとおりである。さらに好ましい置換基は、-OR'、-NR'R''、-ハロ、-OC(O)R'、-CO2R'、-C(O)NR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR''CO2R'、-NR'''SO2NR'R''、-SO2R'、-SO2NR'R''、-NR''SO2R'-CNおよび-NO2から選択される。
【0078】
同様に、アリールおよびヘテロアリール基の置換基も多様で、0から芳香環系の空いた原子価の総数の範囲の、-ハロ、-OR'、-OC(O)R'、-NR'R''、-SR'、-R'、-CN、-NO2、-CO2R'、-C(O)NR'R''、-C(O)R'、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR''CO2R'、-NR'''C(O)NR'R''、-NR'''SO2NR'R''、-NHC(NH2)=NH、-NR'C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR'、-S(O)R'、-SO2R'、-SO2NR'R''、-NR''SO2R'、-N3、-CH(Ph)2、過フルオロアルコキシ、過フルオロ(C1-C4)アルキルから選択され;ここでR'、R''およびR'''は水素、無置換(C1-C8)アルキル、無置換ヘテロ(C1-C8)アルキル、無置換アリール、無置換ヘテロアリール、無置換アリール(C1-C4)アルキルおよび無置換アリールオキシ(C1-C4)アルキルから独立に選択される。典型的には、アリールまたはヘテロアリール基は0から3個の置換基を有し、本発明においては2個以下の置換基を有する基が好ましい。本発明の一つの態様において、アリールまたはヘテロアリール基は無置換または一置換である。もう一つの態様において、アリールまたはヘテロアリール基は無置換である。
【0079】
アリールおよびヘテロアリール基の好ましい置換基は、-ハロ、-OR'、-OC(O)R'、-NR'R''、-SR'、-R'、-CN、-NO2、-CO2R'、-CONR'R''、-C(O)R'、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-S(O)R'、-SO2R'、-SO2NR'R''、-NR''SO2R'、-N3、-CH(Ph)2、過フルオロアルコキシおよび過フルオロ(C1-C4)アルキルから選択され、ここでR'およびR''は前述の定義のとおりである。さらに好ましい置換基は、-ハロ、-OR'、-OC(O)R'、-NR'R''、-R'、-CN、-NO2、-CO2R'、-CONR'R''、-NR''C(O)R'、-SO2R'、-SO2NR'R''、-NR''SO2R'、過フルオロアルコキシおよび過フルオロ(C1-C4)アルキルから選択される。
【0080】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の二つは式-T-C(O)-(CH2)q-U-(式中、TおよびUは独立に-NH-、-O-、-CH2-または一重結合であり、qは0から2の整数である)の置換基で置換されていてもよい。または、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の二つは式-A-(CH2)r-B-(式中、AおよびBは独立に-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR'-または一重結合であり、rは1から3の整数である)の置換基で置換されていてもよい。このように形成された新しい環の一重結合の一つは、二重結合で置き換えられてもよい。または、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の二つは式-(CH2)s-X-(CH2)t-(式中、sおよびtは独立に0から3の整数であり、Xは-O-、-NR'-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、または-S(O)2NR'-である)の置換基で置換されていてもよい。-NR'-および-S(O)2NR'-における置換基R'は水素または無置換(C1-C6)アルキルから選択される。
【0081】
本明細書において用いられる置換基-CO2Hは下記などの生物学的等価性の置換物で置き換えられてもよい:

および同様のもの。例えば、The Practice of Medicinal Chemistry; Wermuth, C.G., Ed.; Academic Press: New York, 1996; p. 203参照。
【0082】
アリールスルホンアミド化合物は、立体配置、幾何、および配座異性体を含む様々な異性体として、ならびに様々な互変異性体、特に水素原子の結合点が異なるもので存在することもできる。本明細書において用いられる「異性体」なる用語は、化合物の互変異性体を含む、アリールスルホンアミド化合物のすべての異性体を含むことが意図される。
【0083】
特定のアリールスルホンアミド化合物は不斉中心を有し、したがって異なる鏡像異性体およびジアステレオマーで存在してもよい。アリールスルホンアミド化合物は光学異性体またはジアステレオマーであり得る。したがって、本発明は、光学異性体、ジアステレオマー、およびそのラセミ混合物を含む混合物の形の、本明細書に記載のアリールスルホンアミド化合物およびそれらの使用を含む。アリールスルホンアミド化合物の光学異性体は、不斉合成、キラルクロマトグラフィ、疑似移動床技術または光学活性な分割剤の使用による立体異性体の化学的分離などの公知の技術によって得ることができる。
【0084】
本明細書において用いられ、特に表示されない限り、「立体異性体」なる用語は、化合物の一方の立体異性体で、その化合物の他方の立体異性体を実質的に含まないものを意味する。例えば、一つのキラル中心を有する立体異性体として純粋な化合物は、化合物の反対の鏡像異性体を実質的に含まないことになる。二つのキラル中心を有する立体異性体として純粋な化合物は、化合物の他のジアシテレオマーを実質的に含まないことになる。典型的な立体異性体として純粋な化合物は、約80重量%を越える化合物の一方の立体異性体と、約20重量%未満の化合物の他方の立体異性体、より好ましくは約90重量%を越える化合物の一方の立体異性体と、約10重量%未満の化合物の他方の立体異性体、さらにより好ましくは約95重量%を越える化合物の一方の立体異性体と、約5重量%未満の化合物の他方の立体異性体、最も好ましくは約97重量%を越える化合物の一方の立体異性体と、約3重量%未満の化合物の他方の立体異性体とを含む。
【0085】
示された構造とその構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、示された構造が支配することに留意すべきである。加えて、構造または構造の一部の立体化学が、例えば、太線または破線で示されていない場合、その構造または構造の一部はそのすべての立体異性体を含むと解釈すべきである。
【0086】
アリールスルホンアミド化合物は薬学的に許容される塩の形であってもよい。その構造に応じて、本明細書において用いられる「薬学的に許容される塩」なる句はアリールスルホンアミド化合物の薬学的に許容される有機または無機酸性または塩基性塩を意味する。代表的な薬学的に許容される塩には、例えば、酢酸塩、アムソン酸塩(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホネート)、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゾネート、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、エデト酸カルシウム、カンシレート、カルボン酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラリエート、2塩酸塩、エデト酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、フィウナレート、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1-メテン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩、エインボネート(einbonate))、パントテン酸塩、リン酸塩/2リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリキュレート、スラメート、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリエチオジド、および吉草酸塩などの、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、水溶性および水不溶性塩が含まれる。さらに、薬学的に許容される塩はその構造内に複数の荷電原子を有することもできる。この場合、薬学的に許容される塩は複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は一つもしくは複数の荷電原子および/または一つもしくは複数の対イオンを有することができる。
【0087】
本明細書において用いられる「単離および精製された形」なる用語は、単離された(例えば、合成有機化学反応混合物の他の成分から)時、単離物は単離物重量の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%のアリールスルホンアミド化合物を含むことを意味する。
【0088】
本明細書において用いられる「プロドラッグ」なる用語は、生物学的状態(インビトロまたはインビボで)で加水分解、酸化、またはそれ以外で反応して、活性化合物、特にアリールスルホンアミド化合物を生じることができる、化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例には、生物加水分解可能なアミド、生物加水分解可能なエステル、生物加水分解可能なカルバミン酸エステル、生物加水分解可能な炭酸エステル、生物加水分解可能なウレイド、および生物加水分解可能なリン酸エステル類縁体(例えば、1リン酸エステル、2リン酸エステルまたは3リン酸エステル)などの生物加水分解可能な基を含むアリールスルホンアミド化合物の誘導体および代謝物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。好ましくは、カルボキシ官能基を有する化合物のプロドラッグはカルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸エステルは、分子上の任意のカルボン酸部分をエステル化することにより都合よく形成される。プロドラッグは典型的には、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6th ed. (Donald J. Abraham ed., 2001, Wiley)およびDesign and Application of Prodrugs (H. Bundgaard ed., 1985, Harwood Academic Publishers Gmfh)に記載のものなどの周知の方法を用いて調製することができる。
【0089】
本明細書において用いられる「治療する」、「治療すること」、および「治療」なる用語は、疾患または疾患に関連する症状の根絶または改善を意味する。特定の態様において、そのような用語は、疾患を有する患者への一つまたは複数の予防または治療薬の投与による、そのような疾患の蔓延または悪化の最小化を意味する。
【0090】
本明細書において用いられる「予防する」、「予防すること」、および「予防」なる用語は、予防または治療薬の投与による、患者における疾患の発症、再発または蔓延の防止を意味する。
【0091】
本明細書において用いられる「有効な量」なる用語は、疾患の治療もしくは予防における治療もしくは予防上の利益を提供する、または疾患に関連する症状を遅延もしくは最小化するのに十分な、アリールスルホンアミド化合物または他の活性成分の量を意味する。さらに、アリールスルホンアミド化合物に関する治療的有効量とは、疾患の治療または予防における治療上の利益を提供する、治療薬単独、または他の治療法と組み合わせての量を意味する。アリールスルホンアミド化合物に関連して用いる場合、この用語は全体の治療法を改善する、疾患の症状もしくは原因を低減もしくは回避する、または別の治療薬の治療上の有効性もしくは別の治療薬との相乗性を増強する量を含み得る。
【0092】
本明細書において用いられる「X症候群」とは、高インスリン血症、肥満、高レベルのトリグリセリド、尿酸、フィブリノゲン、低密度LDL粒子およびプラスミノゲン活性化因子阻害剤1(PAI-1)、ならびに低レベルのHDLコレステロールを含む異常の集まりを意味する。X症候群はさらに、代謝症候群を含むことになる。
【0093】
「調節する」、「調節」などの用語は、例えば11β-HSD1の機能もしくは活性を増大または低減する、化合物の能力を意味する。本明細書において用いられる「調節」は、その様々な形で、11β-HSD1に関連する活性の阻害、アンタゴニズム、部分アンタゴニズム、活性化、アゴニズムおよび/または部分アゴニズムを含むことが意図される。11β-HSD1阻害剤は、例えば、結合して、刺激を部分的または完全に阻止する、活性化を低減、防止、遅延する、不活化する、脱感作する、またはシグナル伝達をダウンレギュレートする化合物である。11β-HSD1活性化物質は、例えば、結合して、刺激する、活性化を増大、開放、活性化、促進、増強する、感作する、またはシグナル伝達をアップレギュレートする化合物である。11β-HSD1を調節する化合物の能力は、酵素アッセイまたは細胞アッセイにおいて示すことができる。例えば、11β-HSD1の阻害は、コルチゾンのコルチゾルへの変換を阻止することにより、患者のコルチゾルレベルを低下させ、かつ/または患者のコルチゾンレベルを上昇させ得る。また、11β-HSD2の阻害は、コルチゾルのコルチゾンへの変換を阻止することにより、患者のコルチゾルレベルを上昇させることができ、かつ/または患者のコルチゾンレベルを低下させることができる。
【0094】
「患者」は、動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、またはモルモット)を含み、一つの態様において、非霊長類および霊長類(例えば、サルおよびヒト)などの哺乳類を含み、もう一つの態様において、ヒトを含む。好ましい態様において、患者はヒトである。特定の態様において、患者はヒト乳児、小児、青年または成人である。
【0095】
本明細書において用いられる「HSD」なる用語は、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD)、17-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β-HSD)、20-α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(20α-HSD)、3-α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3α-HSD)、およびそのすべてのアイソフォームを含むが、それらに限定されるわけではない、一般にはヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素を意味する。
【0096】
本明細書において用いられる「11β-HSD1」なる用語は、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素、その変異体、またはアイソフォームを意味する。11β-HSD1変異体は、天然の11β-HSD1と実質的に相同なタンパク質、すなわち一つまたは複数の天然または非天然に起こるアミノ酸欠失、挿入または置換を有するタンパク質(例えば、11β-HSD1誘導体、相同体および断片)を含む。11β-HSD1変異体のアミノ酸配列は天然11β-HSD1と、好ましくは少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも約90%同一、最も好ましくは少なくとも約95%同一である。
【0097】
本明細書において用いられる「11β-HSD2」なる用語は、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型酵素、その変異体、またはアイソフォームを意味する。11β-HSD2変異体は、天然の11β-HSD2と実質的に相同なタンパク質、すなわち一つまたは複数の天然または非天然に起こるアミノ酸欠失、挿入または置換を有するタンパク質(例えば、11β-HSD2誘導体、相同体および断片)を含む。11β-HSD2変異体のアミノ酸配列は天然11β-HSD2と、好ましくは少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも約90%同一、最も好ましくは少なくとも約95%同一である。(Bart et al., J. Med. Chem., 2002, 45:3813-3815参照)。
【0098】
本明細書において用いられる「17β-HSD3」なる用語は、17-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ3型酵素、その変異体、またはアイソフォームを意味する。17β-HSD3変異体は、天然の17β-HSD3と実質的に相同なタンパク質、すなわち一つまたは複数の天然または非天然に起こるアミノ酸欠失、挿入または置換を有するタンパク質(例えば、17β-HSD3誘導体、相同体および断片)を含む。17β-HSD3変異体のアミノ酸配列は天然17β-HSD3と、好ましくは少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも約90%同一、最も好ましくは少なくとも約95%同一である。
【0099】
本明細書において用いられる「HSD反応性状態または障害」なる用語および関連する語句は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素(HSD)の調節に有利に反応する状態または障害を意味する。HSD調節への有利な反応には、疾患および/またはその随伴症状の軽減または抑止、疾患の阻害、すなわち疾患の発生またはその臨床症状の停止または減少、および疾患またはその臨床症状の退行が含まれる。HSD反応性状態または疾患は、HSD調節に完全または部分的に反応性であり得る。HSD反応性状態または障害は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高いHSD活性に関連し、少なくとも部分的にHSD調節に反応性である、またはHSD調節による影響を受ける(例えば、HSD阻害剤は少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)。不適当なHSDの機能活性は、通常はHSDを発現しない細胞におけるHSD発現、HSD発現の低下、またはHSD発現の上昇の結果起こると考えられる。HSD反応性状態または障害には、いかなるHSDまたはそのアイソフォームによって仲介される状態または障害も含まれる。
【0100】
本明細書において用いられる「11β-HSD1反応性状態または障害」なる用語および関連する語句は、11β-HSD1活性の調節に有利に反応する状態または障害を意味する。11β-HSD1調節への有利な反応には、疾患および/またはその随伴症状の軽減または抑止、疾患の阻害、すなわち疾患の発生またはその臨床症状の停止または減少、および疾患またはその臨床症状の退行が含まれる。11β-HSD1反応性状態または疾患は、11β-HSD1調節に完全または部分的に反応性であり得る。11β-HSD1反応性状態または障害は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い11β-HSD1活性に関連し、少なくとも部分的に11β-HSD1調節に反応性である、または11β-HSD1調節による影響を受ける(例えば、11β-HSD1阻害剤は少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)。不適当な11β-HSD1の機能活性は、通常は11β-HSD1を発現しない細胞における11β-HSD1発現、11β-HSD1発現の低下、または11β-HSD1発現の上昇の結果起こると考えられる。11β-HSD1反応性状態または障害には、11β-HSD1仲介性の状態または障害が含まれる。
【0101】
本明細書において用いられる「11β-HSD2反応性状態または障害」なる用語および関連する語句は、11β-HSD2活性の調節に有利に反応する状態または障害を意味する。11β-HSD2調節への有利な反応には、疾患および/またはその随伴症状の軽減または抑止、疾患の阻害、すなわち疾患の発生またはその臨床症状の停止または減少、および疾患またはその臨床症状の退行が含まれる。11β-HSD2反応性状態または疾患は、11β-HSD2調節に完全または部分的に反応性であり得る。11β-HSD2反応性状態または障害は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い11β-HSD2活性に関連し、少なくとも部分的に11β-HSD2調節に反応性である、または11β-HSD2調節による影響を受ける(例えば、11β-HSD2阻害剤は少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)。
【0102】
本明細書において用いられる「17β-HSD3反応性状態または障害」なる用語および関連する語句は、17β-HSD3活性の調節に有利に反応する状態または障害を意味する。17β-HSD3調節への有利な反応には、疾患および/またはその随伴症状の軽減または抑止、疾患の阻害、すなわち疾患の発生またはその臨床症状の停止または減少、および疾患またはその臨床症状の退行が含まれる。17β-HSD3反応性状態または疾患は、17β-HSD3調節に完全または部分的に反応性であり得る。17β-HSD3反応性状態または障害は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い17β-HSD3活性に関連し、少なくとも部分的に17β-HSD3調節に反応性である、または17β-HSD3調節による影響を受ける(例えば、17β-HSD3阻害剤は少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)。不適当な17β-HSD3の機能活性は、通常は17β-HSD3を発現しない細胞における17β-HSD3発現、17β-HSD3発現の低下、または17β-HSD3発現の上昇の結果起こると考えられる。17β-HSD3反応性状態または障害には、17β-HSD3仲介性の状態または障害が含まれる。
【0103】
本明細書において用いられる「HSD仲介性状態または障害」なる用語および関連する語句は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高いヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)の活性によって特徴づけられる状態または障害を意味する。HSD仲介性状態または障害は、不適当なHSD活性によって完全または部分的に特徴づけられ得る。しかし、HSD仲介性状態または障害は、HSDの調節が根元的な状態または障害に幾分かの効果をもたらす(例えば、HSD阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)ものである。
【0104】
本明細書において用いられる「11β-HSD1仲介性状態または障害」なる用語および関連する語句は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い11β-HSD1活性によって特徴づけられる状態または障害を意味する。11β-HSD1仲介性状態または障害は、不適当な11β-HSD1活性によって完全または部分的に特徴づけられ得る。しかし、11β-HSD1仲介性状態または障害は、11β-HSD1の調節が根元的な状態または障害に幾分かの効果をもたらす(例えば、11β-HSD1阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)ものである。
【0105】
本明細書において用いられる「11β-HSD2仲介性状態または障害」なる用語および関連する語句は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い11β-HSD2活性によって特徴づけられる状態または障害を意味する。11β-HSD2仲介性状態または障害は、不適当な11β-HSD2活性によって完全または部分的に特徴づけられ得る。しかし、11β-HSD2仲介性状態または障害は、11β-HSD2の調節が根元的な状態または障害に幾分かの効果をもたらす(例えば、11β-HSD2阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)ものである。
【0106】
本明細書において用いられる「17β-HSD3仲介性状態または障害」なる用語および関連する語句は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い17β-HSD3活性によって特徴づけられる状態または障害を意味する。17β-HSD3仲介性状態または障害は、不適当な17β-HSD3活性によって完全または部分的に特徴づけられ得る。しかし、17β-HSD3仲介性状態または障害は、17β-HSD3の調節が根元的な状態または障害に幾分かの効果をもたらす(例えば、17β-HSD3阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)ものである。
【0107】
下記の略語が本明細書において用いられ、以下に示す定義を有する:DMEMはダルベッコ改変イーグル培地である;Et3Nはトリエチルアミンである;EtOAcは酢酸エチルである;MeOHはメタノールである;MSは質量分析である;NMRは核磁気共鳴である;PBSはリン酸緩衝化食塩水である;SPAはシンチレーション近接アッセイである;THFはテトラヒドロフランである;およびTMSトリメチルシリルである。
【0108】
本発明の化合物
本発明は、式(I)の化合物ならびにそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、またはそのプロドラッグを提供し、総称して「アリールスルホンアミド化合物」と呼ぶ。

【0109】
式(I)において、R1は-OH、(C1-C8)アルキルおよび(C1-C8)ハロアルキルから選択され;R2およびR3はハロゲン、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキルおよび(C3-C8)シクロアルキルから独立に選択され;かつNcycは式(a)、式(b)、式(c)および式(d)から選択される式を有する窒素複素環である。

【0110】
式(a)から(d)において、置換基、下付き文字および変数は以下の意味を有する。
【0111】
式(a)において、R2a、R2a'およびR5aはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR''、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつR3aおよびR4aの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2aおよびR2a'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;かつここでR5aが-C(O)R'、-C(O)OR'または-OR''である場合、R2a、R2a'、R3aおよびR4aの少なくとも一つはH以外であり;R3aおよびR4aはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-C(O)N(R')2、-OR''、-OC(O)R'、-NR'C(O)OR''、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつ任意で二つの隣接するR3a、R4aおよびR5a構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(a)において、R2a、R2a'、R3a、R4aおよびR5aの少なくとも一つはH以外である。
【0112】
式(b)において、R2b、R2b'およびR6bはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつR3b、R4bおよびR5bの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2bおよびR2b'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;R3b、R4bおよびR5bはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつ任意で二つの隣接するR3b、R4b、R5bおよびR6b構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(b)において、R2b、R2b'、R3b、R4b、R5bおよびR6bの少なくとも一つはH以外である。
【0113】
式(c)において、XはOまたはS(O)kであり、ここでkは0から2の整数であり;R2c、R2c'およびR6cはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-SR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつR3cおよびR4cの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2cおよびR2c'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;R3cおよびR5cはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-SR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつ任意で二つの隣接するR2c、R2c'、R3c、R5cおよびR6c構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(c)において、R2c、R2c'、R3c、R5cおよびR6cの少なくとも一つはH以外である。
【0114】
式(d)において、下付き文字mは1から6の整数であり;下付き文字nは2または3であり;R2dおよびR2d'はそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつRdの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2dおよびR2d'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;RdはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'から独立に選択され;かつ任意で二つの隣接するRd構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(d)において、R2d、R2d'およびRdの少なくとも一つはH以外である。
【0115】
式(a)〜(d)のそれぞれについて、いかなるNcycの縮合ベンゼンまたはピリジン環部分も、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-SR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2および-NR'C(O)R'から選択される1つから4つの構成員で置換されていてもよい。加えて、これらの式において、R'の出現はそれぞれ独立にH、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキルであるか、または2つのR'基は、同じ窒素原子に結合している場合、それらが結合している窒素原子と組み合わされて複素環もしくはヘテロアリール基を形成することができ;かつR''の出現はそれぞれ独立に(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキルまたはアリール(C1-C6)アルキルである。
【0116】
加えて、Ncycが式(a)であり、かつR2aおよびR2a'がそれぞれHである場合、R5aはフェニル、フリル、チエニルまたはピリジル以外である。さらに、式(I)において、アリールスルホンアミド化合物は4-[[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]-3,4-ジヒドロ-N,N-ジプロピル-2H-1,4-ベンゾキサジン-6-エタンアミンまたはその塩(登録番号144-62-7);N-[[(3R)-4-[[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]-1,1-ジオキシド-3-チオモルホリニル]カルボニル]-L-チロシン, 1,1-ジメチルエチルエステル, ジメチルカルバメート(登録番号220544-72-9);およびN-[[(3R)-4-[[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]-1,1-ジオキシド-3-チオモルホリニル]カルボニル]-L-チロシン, ジメチルカルバメート(登録番号220545-63-1)以外である。
【0117】
式(I)において、一つの態様群は、R1が-OH、(C1-C8)アルキルおよび(C1-C8)ハロアルキルから選択され;かつR2およびR3がハロゲン、(C1-C8)アルキル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキルおよび(C3-C8)シクロアルキルから独立に選択されるものである。好ましい態様は、R1が-OH、(C1-C4)アルキルおよび(C1-C4)ハロアルキルから選択され;かつR2およびR3がそれぞれ(C1-C4)アルキルおよび(C1-C4)ハロアルキルから独立に選択されるものである。特に好ましい態様群において、R1は-OHであり、R2は-CH3であり、かつR3はCF3である。もう一つの特に好ましい態様群において、R1、R2およびR3はそれぞれ-CH3である。さらにもう一つの特に好ましい態様群において、R1は-OHであり、かつR2およびR3はそれぞれCF3である。好ましい態様群はそれぞれ、下記の具体的および/または好ましい態様群と組み合わされた場合にも、同様に好ましい。
【0118】
一つの態様群において、Ncycは式(a)の基である。式(a)において、好ましい態様群は、R2a、R2a'およびR5aがそれぞれHであるものである。さらに好ましい態様は、R3aおよびR4aの一つが(C1-C8)アルキル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキルおよびアリール(C1-C6)アルキルから選択されるものである。もう一つの好ましい態様群は、R4aおよびR5aが組み合わされて縮合ベンゼン環を形成するものである。
【0119】
もう一つの態様群において、Ncycは式(b)の基である。式(b)において、好ましい態様群は、R2b、R2b'およびR6bの少なくとも一つが(C1-C8)アルキルまたは(C2-C8)ヒドロキシアルキルであるものである。この態様群において、好ましいアルキルおよびヒドロキシアルキル基はメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシルプロピルである。もう一つの態様群において、R3b、R4bおよびR5bはそれぞれHであり、かつR6bはヘテロアリールおよびヘテロアリール(C1-C4)アルキルから選択される。この態様群において、ヘテロアリール基は好ましくは2-、3-または4-ピリジル、2-、4-または5-ピリミジニル、1-ピラゾリル、1-イミダゾリルなどの5または6員ヘテロアリール基である。好ましくは、R6bは2-、3-または4-ピリジルから選択される。さらにもう一つの態様群において、R3b、R4bおよびR5bの少なくとも一つはハロゲンである。さらにもう一つの態様群において、R4bおよびR5bまたはR5bおよびR6bは組み合わされて縮合ベンゼンまたはピリジン環を形成する。もう一つの態様群において、R3b、R4b、R5bまたはR6bの一つはヘテロシクリルである。
【0120】
もう一つの態様群において、Ncycは式(c)の基である。式(c)において、一つの態様群は、XがOであるものである。もう一つの態様群において、XはSである。さらにもう一つの態様群において、R2c、R2c'およびR6cの少なくとも一つは(C1-C8)アルキルである。
【0121】
もう一つの態様群において、Ncycは式(d)の基である。式(d)において、一つの態様群は、下付き文字nが2であるものである。もう一つの態様群は、下付き文字nが3であるものである。これらの態様群のいずれにおいても、下付き文字mは1、2、3、4、5または6であり得る。当業者であれば、R2d、R2d'またはRdで置換されていない7または8員環上の他の炭素原子は水素原子が結合されていることを理解すると思われる。
【0122】
アリールスルホンアミド化合物は不斉中心を有し、したがって異なる鏡像異性体およびジアステレオマーで存在することができる。本発明は、アリールスルホンアミド化合物のすべての光学異性体および立体異性体とその混合物の使用、ならびにそれらを用いる、または含むすべての薬学的組成物および治療法に関する。
【0123】
前述の化合物のラセミ体、ラセミ混合物、および立体異性体、特にジアステレオマー混合物またはジアステレオマーとして純粋な化合物および鏡像異性体または鏡像異性体として純粋な化合物がすべて含まれることに留意すべきである。
【0124】
本発明の特に好ましい化合物を以下に示す。


【0125】
本発明は、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量と、薬学的に許容される媒体、担体、希釈剤または賦形剤とを含む組成物も提供する。
【0126】
本発明は、単離および精製された形の式(I)のアリールスルホンアミド化合物をさらに提供する。
【0127】
本発明は、糖尿病の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0128】
本発明は、肥満の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法も提供する。
【0129】
本発明は、HSD仲介性状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0130】
本発明は、11β-HSD1仲介性状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0131】
本発明は、11β-HSD2仲介性状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0132】
本発明は、17β-HSD3仲介性状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0133】
本発明は、HSD反応性状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0134】
本発明は、11β-HSD1反応性状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0135】
本発明は、11β-HSD2反応性状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0136】
本発明は、17β-HSD3反応性状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に、式(I)のアリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0137】
式Iのアリールスルホンアミド化合物の調製
当業者であれば、特許請求の範囲に示す分子を合成するために利用可能な様々な方法があることを理解すると思われる。一般に、特許請求の範囲に示す化合物を合成するために有用な方法は次の三つの部分からなり、これらはいかなる順序で行ってもよい:スルホンアミド結合の形成、-CR1R2R3基の導入、およびNcyc環に結合された官能基の導入または修飾。単一の鏡像異性体およびジアステレオマーの合成は、キラル相HPLCによる鏡像異性体の分離、不斉合成、またはキラル補助剤の使用によるキラルジアステレオマーの生成によって達成することもできる。
【0138】
前述の様々な方法を用いて本発明の化合物を調製し、そのいくつかを実施例に例示する。
【0139】
薬学的組成物
アリールスルホンアミド化合物、またはその薬学的に許容される立体異性体、プロドラッグ、塩、溶媒和物、水和物、もしくは包接化合物を含む薬学的組成物および単位用量剤形も本発明に含まれる。本発明の個々の剤形は、経口、粘膜(舌下、口腔内、直腸内、鼻内、または腟内を含む)、非経口(皮下、筋肉内、ボーラス注射、動脈内、または静脈内を含む)、経皮、または局所投与に適していると考えられる。
【0140】
本発明の単位用量剤形は、患者への経口、粘膜(例えば、鼻内、舌下、腟内、口腔内、または直腸内)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内、または動脈内)、または経皮投与に適している。剤形の例には、錠剤;カプレット;ゼラチン軟カプセル剤などのカプセル剤;カシェ剤;トローチ;ロゼンジ;分散剤;坐剤;軟膏;パップ剤(湿布剤);ペースト;散剤;包帯剤;クリーム;硬膏剤;液剤;パッチ;エアロゾル(例えば、鼻スプレーまたは吸入器);ゲル;懸濁剤(例えば、水性もしくは非水性懸濁液、水中油乳濁液、または油中水乳濁液)、液剤、およびエリキシル剤を含む、患者への経口または粘膜投与に適した液体剤形;患者への非経口投与に適した液体剤形;ならびに再構成して患者への非経口投与に適した液体剤形を提供することができる滅菌固体(例えば、結晶またはアモルファス固体)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0141】
本発明の剤形の組成、形状、およびタイプは、典型的にはそれらの用途に応じて変動することになる。例えば、炎症または関連疾患の急性治療において用いる剤形は、それが含む一つまたは複数の活性成分を、同じ疾患の慢性治療において用いる剤形よりも大量に含むこともある。同様に、非経口剤形は、それが含む一つまたは複数の活性成分を、同じ疾患または障害を治療するために用いる経口剤形よりも少量で含むこともある。本発明に含まれる特定の剤形がお互いに異なるこれらおよび他の様式は、当業者には容易に明らかになると思われる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing, Easton PA (1990)参照。
【0142】
典型的な薬学的組成物および剤形は、一つまたは複数の担体、賦形剤または希釈剤を含む。適当な賦形剤は薬学の当業者には周知で、適当な賦形剤の非限定例を本明細書に記載する。特定の賦形剤が薬学的組成物または剤形への取り込みに適しているかどうかは、剤形を患者に投与する様式を含むが、それらに限定されるわけではない、当技術分野において周知の様々な因子に依存する。例えば、錠剤などの経口剤形は、非経口剤形における使用に適していない賦形剤を含むこともある。特定の賦形剤の適合性は、剤形中の特定の活性成分にも依存し得る。
【0143】
水はいくつかの化合物の分解を促進することがあるため、本発明は、活性成分を含む無水(例えば、水<1%)薬学的組成物および剤形をさらに含む。例えば、水の添加(例えば、5%)は、貯蔵寿命または製剤の経時安定性などの特徴を調べるために、長期保存を模擬する手段として薬学分野で広く認められている。例えば、Jens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80参照。実際、水および熱はいくつかの化合物の分解を促進する。このように、水分および/または湿度は製剤の製造、取り扱い、包装、保存、輸送、および使用中に遭遇することが多いため、製剤に対する水の影響は非常に重要となり得る。
【0144】
本発明の無水薬学的組成物および剤形は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を用いて調製することができる。乳糖および一級または二級アミンを含む少なくとも一つの活性成分を含む薬学的組成物および剤形は、製造、包装、および/または保存中の水分および/または湿度との実質的接触が予想される場合には、無水であることが好ましい。
【0145】
無水薬学的組成物は、その無水の性質が維持されるように調製および保存すべきである。したがって、無水組成物は好ましくは、適当な処方キットに含まれ得るような、水への曝露を防止することが知られている材料を用いて包装する。適当な包装の例には、密封されたホイル、プラスティック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0146】
本発明は、活性成分が分解する速度を低下させる一つまたは複数の化合物を含む薬学的組成物および剤形をさらに含む。本明細書において「安定化剤」と呼ばれるそのような化合物には、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝剤、または塩緩衝剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0147】
アリールスルホンアミド化合物は、11β-HSD1調節剤、糖尿病の予防もしくは治療薬、糖尿病合併症(網膜症、腎症、神経症、心筋梗塞および動脈硬化症による脳梗塞など)の予防もしくは治療薬、高脂血症の予防もしくは治療薬、肥満、神経変性疾患などの予防もしくは治療薬、または11β-HSD1仲介性疾患の予防もしくは治療薬として、哺乳類(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に投与することができる。
【0148】
アリールスルホンアミド化合物は、疾患の予防または治療を目的として、糖尿病または肥満などの疾患治療のための追加の治療薬と同時に、哺乳類に投与することができる。したがって、本発明のアリールスルホンアミド化合物は、糖尿病および肥満を含むが、それらに限定されるわけではない、多くの疾患の治療または予防のための他の治療薬との組み合わせで投与することができる。
【0149】
治療する疾患および患者の状態に応じて、本発明の化合物を経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射もしくは注入、皮下注射または植え込み)、吸入、鼻内、腟内、直腸内、舌下、または局所(topical)(例えば、経皮、局所(local))投与経路で投与してもよく、かつ単独で、またはそれぞれの投与経路に適した通常の非毒性の薬学的に許容される担体、補助剤および媒体を含む適当な単位用量製剤中で一緒に製剤してもよい。本発明は、活性成分が決められた期間で放出されるデポー製剤での本発明の化合物の投与も企図する。
【0150】
組み合わせ投与の場合、アリールスルホンアミド化合物を、糖尿病、肥満、もしくは他の疾患の治療もしくは予防のために有用な他のもう一つの治療薬と同時に投与してもよく、またはもう一つの治療薬の前もしくは後に投与してもよい。組み合わせ投与の場合、アリールスルホンアミド化合物および追加の治療薬を含む薬学的組成物を投与することもできる。または、アリールスルホンアミド化合物を含む薬学的組成物と、追加の治療薬を含む薬学的組成物とを、別々に投与してもよい。それぞれの薬学的組成物の投与経路は同じでも異なっていてもよい。
【0151】
組み合わせ投与の場合、アリールスルホンアミド化合物を、1回の投与につき50mgから800mgの用量で、1日に1から数回投与してもよい。加えて、化合物をより少量で投与してもよい。組み合わせ薬剤は、糖尿病もしくは肥満の予防もしくは治療用に一般に用いられる用量、またはそれよりも少量で投与することができる。
【0152】
賦形剤の量およびタイプと同様、剤形中の活性成分の量および具体的なタイプは、患者に投与する経路などであるが、それらに限定されるわけではない因子に応じて異なることもある。しかし、本発明の典型的剤形は、アリールスルホンアミド化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、水和物、多形もしくはプロドラッグを含む。糖尿病、肥満、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、免疫障害、うつまたはヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に関連する他の状態もしくは障害の治療または予防において、適当な用量レベルは一般に、1日に患者の体重1kgあたり約0.001から約100mgで、1回または複数回で投与することができる。好ましくは、用量レベルは1日に約0.01から約25mg/kg;より好ましくは1日に約0.05から約10mg/kgである。適当な用量レベルは1日に約0.01から約25mg/kg、1日に約0.05から約10mg/kg、または1日に約0.1から約5mg/kgであり得る。この範囲内で、用量は1日に約0.005から約0.05、約0.05から約0.5または約0.5から約5.0mg/kgであり得、1日に約0.1mgから約2000mgの範囲に入り、1日1回の用量で朝に投与するが、好ましくは1日を通して食事と共に分割用量で投与する。より好ましくは、1日用量を等しく分割した用量で1日2回投与する。好ましくは、1日用量の範囲は1日に約5mgから約500mg、より好ましくは、1日に約10mgから約200mgの間であるべきである。患者を管理する際に、治療は低い用量、おそらくは約1mgから約25mgで開始し、患者の包括的反応に応じて、必要があれば1日に約200mgから約2000mgまで、1回用量または分割用量のいずれかとして増量すべきである。
【0153】
多剤療法のために、本発明の化合物の第二の活性成分に対する重量比は変動することがあり、各成分の有効量に依存することになる。一般に、それぞれの有効量を用いる。したがって、例えば、本発明の化合物をNSAIDと組み合わせる場合、本発明の化合物のNSAIDに対する重量比は一般に、約1000:1から約1:1000、好ましくは約200:1から約1:200の範囲となる。本発明の化合物と他の活性成分との組み合わせも一般に前述の範囲内となるが、それぞれの場合に、各活性成分の有効量を用いるべきである。
【0154】
しかし、いかなる特定の患者の特定の用量レベルおよび投与頻度も変動することがあり、用いる特定の化合物の活性、代謝的安定性、および化合物の作用の長さ、年齢、体重、全身の健康、性別、食事、投与の様式および時間、排出速度、薬物組み合わせ、特定の状態の重症度、ならびに治療を受けている宿主を含む様々な因子に依存することになる。
【0155】
経口剤形
経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、それらに限定されるわけではないが、錠剤(例えば、咀嚼錠)、カプレット、カプセル剤、および液剤(例えば、着香シロップ)のような分離した剤形で提供することができる。そのような剤形はあらかじめ決められた量の活性成分を含み、当業者には周知の製薬法により調製してもよい。一般には、Remington's Pharmaceutical Sciences, l8th ed., Mack Publishing, Easton PA (1990)参照。
【0156】
本発明の典型的な経口剤形は、通常の薬学的調剤技術に従って、活性成分を少なくとも一つの賦形剤と密接混合物中で混合することにより調製することができる。賦形剤は、投与のために望まれる調製の形に応じて、様々な形態を取ることができる。例えば、経口液体またはエアロゾル剤形における使用に適した賦形剤には、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存剤、および着色剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。固体経口剤形(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、およびカプレット)における使用に適した賦形剤の例には、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0157】
それらの投与の容易さにより、錠剤およびカプセル剤は最も都合のよい経口単位用量剤形で、ここでは固体賦形剤が用いられる。望まれる場合には、錠剤は標準の水性または非水性技術によって調製することができる。そのような剤形はいかなる製薬法によっても調製することができる。一般に、薬学的組成物および剤形は、活性成分を液体担体、細かく分割された固体担体、または両方と均質かつ密接に混合し、次いで必要があれば生成物を望まれる体裁に成形することにより調製する。
【0158】
例えば、錠剤は圧縮または成形により調製することができる。圧縮錠は、適当な機器で、粉末または顆粒などの流動性の形の活性成分を、任意で賦形剤と混合して圧縮することにより調製することができる。成形錠は、適当な機器で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより調製することができる。
【0159】
本発明の経口剤形において用いることができる賦形剤の例には、結合剤、充填剤、崩壊剤、および滑沢剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。薬学的組成物および剤形における使用に適した結合剤には、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、アカシアなどの天然および合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカント、ガーゴム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、Nos. 2208、2906、2910)、微結晶セルロース、ならびにその混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0160】
本明細書において開示される薬学的組成物および剤形における使用に適した充填剤の例には、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびその混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。本発明の薬学的組成物中の結合剤または充填剤は典型的には薬学的組成物または剤形の約50から約99重量パーセントで存在する。
【0161】
微結晶セルロースの適当な形には、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから市販されている)として販売されている材料、およびその混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。特定の結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物である。適当な無水または低水分賦形剤または添加剤には、登録商標AVICEL-PH-103およびStarch 1500 LMが含まれる。
【0162】
水性環境に曝露されると崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物において崩壊剤を用いる。過剰の崩壊剤を含む錠剤は保存中に崩壊する可能性があるが、崩壊剤が少なすぎるものは所望の速度または所望の条件下で崩壊しないこともある。したがって、多すぎたり、少なすぎて、活性成分の放出を不都合に変えることのない、十分な量の崩壊剤を用いて本発明の固体経口剤形を形成すべきである。用いる崩壊剤の量は製剤のタイプに応じて変動し、当業者には容易に識別することができる。典型的な薬学的組成物は、約0.5から約15重量パーセントの崩壊剤、特に約1から約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0163】
本発明の薬学的組成物および剤形において用いることができる崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、およびその混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0164】
本発明の薬学的組成物および剤形において用いることができる滑沢剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、およびその混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。追加の滑沢剤には、例えば、syloidシリカゲル(AEROSIL 200、製造者:W. R. Grace Co. of Baltimore, MD)、合成シリカの凝固エアロゾル(販売者:Degussa Co. of Plano, TX)、CAB-O-SIL(発熱性二酸化ケイ素製品、販売者:Cabot Co. of Boston, MA)、およびその混合物が含まれる。少しでも用いる場合には、滑沢剤は典型的には、それらが組み込まれる薬学的組成物または剤形の約1重量パーセント未満の量で用いる。
【0165】
経口投与のために、組成物は好ましくは、約1から約1000ミリグラムの活性成分を含む錠剤の形で提供される。他の態様において、組成物は治療する患者の症状に合わせた用量の調節のために、約1.0、約5.0、約10.0、約15.0. 約20.0、約25.0、約50.0、約75.0、約100.0、約150.0、約200.0、約250.0、約300.0、約400.0、約500.0、約600.0、約750.0、約800.0、約900.0、または約1000.0ミリグラムの活性成分を含む錠剤の形で提供される。化合物は1日に1から4回、好ましくは1日に1または2回の投与法で投与してもよい。
【0166】
遅延放出剤形
本発明の活性成分は、当業者には周知の制御放出手段または送達装置によって投与することができる。例には、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;ならびに第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号第、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、および第5,733,566号に記載のものが含まれ、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる。そのような剤形は、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはその組み合わせを用いて様々な比率の所望の放出特性を提供する、一つまたは複数の活性成分の遅延または制御放出を提供するために用いることができる。本明細書に記載のものを含む、当業者には公知の適当な制御放出製剤は、本発明の活性成分と共に用いるために容易に選択することができる。したがって、本発明は、制御放出に適応させた錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ、およびカプレットなどであるが、それらに限定されるわけではない、経口投与に適した単位用量剤形を含む。
【0167】
制御放出製剤は、それらの非制御の相対するもので得られるよりも、薬物療法を改善することができる。理想的には、最適に設計された制御放出製剤の医学的治療における使用は、最短時間での状態を治癒または管理するために用いる最少量の薬物によって特徴づけられる。制御放出製剤の利点には、薬物の活性拡大、投与頻度の低下、および患者のコンプライアンス上昇が含まれる。加えて、制御放出製剤は、作用開始時間または薬物の血中レベルなどの他の特徴に影響をおよぼすために用いることができ、したがって、副(例えば、有害)作用の発生に影響をおよぼすことができる。
【0168】
ほとんどの制御放出製剤は、最初は所望の治療効果をただちに生ずる量の薬物(活性成分)を放出し、次いで長期間にわたってこのレベルの治療または予防効果を維持するために、他の量の薬物を徐々に、かつ持続的に放出するよう設計される。体内で薬物のこの一定レベルを維持するために、薬物は剤形から、代謝され、体から排出される薬物の量に代わる速度で放出されなければならない。活性成分の制御放出は、pH、温度、酵素、水、もしくは他の生理的条件または化合物を含むが、それらに限定されるわけではない、様々な条件によって刺激され得る。
【0169】
非経口剤形
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、および動脈内を含むが、それらに限定されるわけではない、様々な経路によって患者に投与することができる。それらの投与は典型的に、汚染に対する患者の自然な防御を回避するため、非経口剤形は好ましくは無菌であるか、または患者への投与の前に滅菌可能である。非経口剤形の例には、注射用に準備ができている液剤、注射用の薬学的に許容される媒体に溶解または懸濁する準備ができている乾燥製剤、注射用に準備ができている懸濁剤、および乳剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、ヒトへの投与に適した微粒子を含まない剤形に再構成するのに適した凍結乾燥滅菌組成物。
【0170】
本発明の非経口剤形を提供するために用いることができる適当な媒体は、当業者には周知である。例には、米国薬局方注射用蒸留水;生理食塩液注射、リンガー液、デキストロース注射液、デキストロースおよび生理食塩液注射、ならびに乳酸加リンゲル液などであるが、それらに限定されるわけではない、水性媒体;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールなどであるが、それらに限定されるわけではない、水混和性媒体;ならびにトウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルなどであるが、それらに限定されるわけではない、非水性媒体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0171】
本明細書において開示される一つまたは複数の活性成分の溶解性を高める化合物も、本発明の非経口剤形中に組み込むことができる。
【0172】
非経口剤形は、癌患者の疾患を予防、治療または管理する方法のために好ましい。
【0173】
経皮および局所剤形
本発明の経皮および局所剤形には、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、液剤、乳剤、懸濁剤、または当業者には公知の他の剤形が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1990);およびIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphia (1985)参照。経皮剤形には「レザバータイプ」または「マトリックスタイプ」パッチが含まれ、これは皮膚に適用し、特定の期間装着して、所望の量の活性成分を透過させることができる。
【0174】
本発明に含まれる経皮および局所剤形を提供するために用いることができる、適当な賦形剤(例えば、担体および希釈剤)および他の材料は、薬学の当業者には周知で、所与の薬学的組成物または剤形を適用することになる特定の組織に依存する。この事実を考慮して、典型的な賦形剤には、非毒性で薬学的に許容される、ローション、チンキ剤、クリーム、乳剤、ゲルまたは軟膏を生成するための、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、およびその混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。望まれる場合には、加湿剤または湿潤剤も薬学的組成物および剤形に加えることができる。そのような追加の成分の例は当技術分野において公知である。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1990)参照。
【0175】
治療する特定の組織に応じて、追加の成分を、本発明の活性成分による治療の前、同時、または後に用いてもよい。例えば、透過促進剤を用いて活性成分の組織への送達を補助することができる。適当な透過促進剤には、アセトン;エタノール、オレイル、およびテトラヒドロフリルなどの様々なアルコール;ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンなどのピロリドン;コリドン等級(ポビドン、ポリビドン);尿素;ならびにトゥイーン80(ポリソルベート80)およびスパン60(モノステアリン酸ソルビタン)などの様々な水溶性または不溶性糖エステルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0176】
薬学的組成物もしくは剤形、または薬学的組成物もしくは剤形を適用する組織のpHも、一つまたは複数の活性成分の送達を改善するために調節してもよい。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または張性も、送達を改善するために調節することができる。一つまたは複数の活性成分の親水性または親油性を都合よく変えて送達を改善するために、ステアリン酸エステルなどの化合物を薬学的組成物または剤形に加えることもできる。これに関して、ステアリン酸エステルは製剤の脂質媒体、乳化剤または界面活性剤、および送達促進または透過促進剤として役立ち得る。活性成分の異なる塩、水和物または溶媒和物を用いて、得られる組成物の性質をさらに調節することもできる。
【0177】
粘膜剤形および肺送達
本発明の粘膜剤形には、点眼液、噴霧剤およびエアロゾル、または当業者には公知の他の剤形が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1990);およびIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphia (1985)参照。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した剤形は、洗口剤または口内ゲルとして製剤することができる。一つの態様において、エアロゾルは担体を含む。もう一つの態様において、エアロゾルは担体を含まない。
【0178】
本発明の化合物は吸入により肺に直接投与することもできる(例えば、Tong et al., 国際公開公報第WO97/39745号;Clark et al, 国際公開公報第WO99/47196を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み入れられる)。吸入による投与のために、アリールスルホンアミド化合物をいくつかの異なる装置により都合よく肺に送達することができる。例えば、適当な低沸点噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスを含むキャニスターを用いる定量噴霧式吸入器(「MDI」)を用いて、アリールスルホンアミド化合物を肺に直接送達することができる。MDI装置は3M Corporation、Aventis、Boehringer Ingleheim、Forest Laboratories、Glaxo-Wellcome、Schering PloughおよびVecturaなどのいくつかの供給元から市販されている。
【0179】
または、粉末吸入器(DPI)装置を用いてアリールスルホンアミド化合物を肺に投与することができる(例えば、Raleigh et al., Proc. Amer. Assoc. Cancer Research Annual Meeting, 1999, 40, 397を参照されたく、これは参照により本明細書に組み入れられる)。DPI装置は典型的には、容器内で乾燥粉末の霧を発生させ、これを次いで患者が吸入することができる、ガスの爆発などのメカニズムを用いる。DPI装置も当技術分野において周知で、例えば、Fisons、Glaxo-Wellcome、Inhale Therapeutic Systems、ML Laboratories、QdoseおよびVecturaを含むいくつかの供給業者から購入することができる。普及している変形は反復投与DPI(「MDDPI」)で、これは複数回の治療用量の送達を可能にする。MDDPI装置はAstraZeneca、Glaxo Wellcome、IVAX、Schering Plough、SkyePharmaおよびVecturaなどの会社から市販されている。例えば、これらのシステムのために、化合物の粉末混合物と、乳糖またはデンプンなどの適当な粉末基剤とを含む、吸入器または注入器において用いるためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジを調製することができる。
【0180】
アリールスルホンアミド化合物を肺に送達するために用いることができる別のタイプの装置は、例えば、Aradigm Corporationによって供給される液体噴霧器である。液体噴霧システムは非常に小さいノズルの孔を用いて、液体製剤をエアロゾル化し、これを次いで肺に直接吸入する。
【0181】
好ましい態様において、ネブライザー装置を用いて、アリールスルホンアミド化合物を肺に送達する。ネブライザーは、例えば、容易に吸入することができる微粒子を生成するために超音波エネルギーを用いて、液体製剤からエアロゾルを生成する(例えば、Verschoyle et al., British J Cancer, 1999, 80, Suppl 2, 96を参照されたく、これは参照により本明細書に組み入れられる)。ネブライザーの例には、Sheffield/Systemic Pulmonary Delivery Ltd.(Armer et al.、米国特許第5,954,047号;van der Linden et al.、米国特許第5,950,619号;van der Linden et al.、米国特許第5,970,974号を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み入れられる)、AventisおよびBatelle Pulmonary Therapeuticsによって供給される装置が含まれる。ネブライザー装置によって送達される吸入化合物は、気道・消化管癌(Engelke et al., Poster 342 at American Association of Cancer Research, San Francisco, Calif., Apr. 1-5, 2000)および肺癌(Dahl et al., Poster 524 at American Association of Cancer Research, San Francisco, Calif., April 1-5, 2000)の治療薬として現在試験中である。
【0182】
特に好ましい態様において、電気粒体力学(「EHD」)エアロゾル装置を用いて、アリールスルホンアミド化合物を肺に送達する。EHDエアロゾル装置は電気エネルギーを用いて液体薬物溶液または懸濁液をエアロゾル化する(例えば、Noakes et al.、米国特許第4,765,539号;Coffee、米国特許第4,962,885号;Coffee、国際公開公報第WO94/12285号;Coffee、国際公開公報第WO94/14543号;Coffee、国際公開公報第WO95/26234号、Coffee、国際公開公報第WO95/26235号、Coffee、国際公開公報第WO95/32807号を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み入れられる)。本発明の製剤の化合物の電気化学的性質は、この薬物を肺にEHDエアロゾル装置を用いて送達する際に最適化するための重要なパラメーターであると考えられ、そのような最適化は当業者であれば日常的に実施している。EHDエアロゾル装置は既存の肺送達技術よりも有効な肺への送達薬物であり得る。アリールスルホンアミド化合物の肺内送達の他の方法は、当業者には公知であると思われ、本発明の範囲内である。
【0183】
ネブライザーおよび液体噴霧装置ならびにEHDエアロゾル装置と共に用いるのに適した液体製剤は、典型的には、アリールスルホンアミド化合物を、薬学的に許容される担体と共に含む。好ましくは、薬学的に許容される担体は、アルコール、水、ポリエチレングリコールまたは過フルオロ炭素などの液体である。任意で、アリールスルホンアミド化合物の溶液または懸濁液のエアロゾル特性を変えるために、もう一つの材料を加えてもよい。好ましくは、この材料は、アルコール、グリコール、ポリグリコールまたは脂肪酸などの液体である。エアロゾル装置における使用に適した液体薬物溶液または懸濁液の他の製剤法は、当業者には公知である(例えば、Biesalski、米国特許第5,112,598号;Biesalski、第5,556,611号を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み入れられる)。本発明の化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を含む、坐剤または保持浣腸などの直腸または膣組成物に製剤することもできる。
【0184】
前述の製剤に加えて、アリールスルホンアミド化合物はデポー製剤として製剤することもできる。そのような長期作用製剤は、植え込み(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与することができる。したがって、例えば、化合物は適当なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳濁液として)、またはイオン交換樹脂と共に、あるいは難溶性誘導体、例えば、難溶性の塩として製剤することができる。
【0185】
他の送達システム
または、他の薬学的送達システムを用いることもできる。リポソームおよび乳剤は、アリールスルホンアミド化合物を送達するために用いることができる送達媒体の周知の例である。ジメチルスルホキシドなどの特定の有機溶媒を用いることもできるが、通常はより大きい毒性という犠牲が伴う。本発明の化合物は制御放出システムで送達することもできる。一つの態様において、ポンプを用いることができる(Sefton, CRC Crit. Ref Biomed Eng., 1987, 14, 201; Buchwald et al., Surgery, 1980, 88, 507; Saudek et al., N. Engl. J Med, 1989, 321, 574)。他の態様において、ポリマー材料を用いることができる(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Fla. (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984); Ranger and Peppas, J Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem., 1983, 23, 61参照; Levy et al., Science 1985, 228, 190; During et al., Ann. Neurol., 1989, 25, 351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71, 105も参照されたい)。さらにもう一つの態様において、本発明の化合物の標的、例えば肺の近くに制御放出システムを置くこともでき、したがって全身用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp. 115 (1984)参照)。他の制御放出システムを用いることもできる(例えば、Langer, Science, 1990, 249, 1527参照)。
【0186】
本発明に含まれる粘膜剤形を提供するために用いることができる適当な賦形剤(例えば、担体および希釈剤)および他の材料は薬学の当業者には周知で、所与の薬学的組成物または剤形が投与されることになる特定の部位または方法に依存する。この事実を考慮して、典型的な賦形剤には、非毒性かつ薬学的に許容される、水、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、およびその混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。そのような追加の成分の例は当技術分野において周知である。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1990)参照。
【0187】
薬学的組成物もしくは剤形、または薬学的組成物もしくは剤形が適用される組織のpHも、一つまたは複数の活性成分の送達を改善するために調節することができる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または張性も、送達を改善するために調節することができる。一つまたは複数の活性成分の親水性または親油性を都合よく変えて送達を改善するために、ステアリン酸エステルなどの化合物を薬学的組成物または剤形に加えることもできる。これに関して、ステアリン酸エステルは製剤の脂質媒体、乳化剤または界面活性剤、および送達促進または透過促進剤として役立ち得る。活性成分の異なる塩、水和物または溶媒和物を用いて、得られる組成物の性質をさらに調節することもできる。
【0188】
アリールスルホンアミド化合物の治療的使用
一つの局面において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に関連する状態または障害を治療または予防するための方法であって、そのような状態または障害を有している患者に、本発明の化合物または組成物の治療的有効量を投与することによる方法を提供する。態様の一つのグループにおいて、ヒトまたは他の種の慢性疾患を含む状態および障害を、11β-HSD1などのヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節剤、刺激剤、または阻害剤で治療することができる。
【0189】
糖尿病の治療または予防
糖尿病および糖尿病状態を、アリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与することにより治療または予防することができる。
【0190】
アリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与することにより治療または予防することができる糖尿病の型には、I型糖尿病(若年型糖尿病、インスリン依存性糖尿病すなわちIDDM)、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病すなわちNIDDM)、異常インスリン症、膵臓障害に関連する糖尿病、他の障害(クッシング症候群、先端巨大症、クロム親和細胞腫、グルカゴノーマ、原発性アルドステロン症、およびソマトスタチン産生腫瘍など)に関連する糖尿病、A型およびB型インスリン抵抗性症候群、脂肪萎縮性糖尿病、およびβ細胞毒素により誘導される糖尿病が含まれる。
【0191】
好ましい態様において、治療される糖尿病の型はII型糖尿病である。
【0192】
肥満の治療または予防
肥満を、アリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与することにより治療または予防することができる。
【0193】
肥満は、遺伝、環境(例えば、消費するよりも少ないエネルギーを使っている)および調節決定因子を有すると考えられる。肥満には外因性、過インスリン性、過血漿性、甲状腺機能低下性、視床下部性、症候性、小児、上半身、食事性、性機能低下性、単純および中心性肥満、下垂体性肥満ならびに過食症が含まれる。hyperlidemiaおよび糖尿病などの代謝障害は一般に肥満と関連している。
【0194】
肥満による合併症も、アリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与することにより治療または予防することができる。そのような合併症には、睡眠無呼吸、ピックウィック症候群、荷重および非荷重関節の整形外科疾患、ならびに発汗または皮膚分泌増加による皮膚障害が含まれる。
【0195】
他の状態の治療または予防
アリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を投与することにより治療または予防することができる他の状態には、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼまたはその特定のアイソフォームの調節、好ましくは阻害に反応性で、それによりそのような調節剤の投与から利益を得る、いかなる状態も含まれるが、それらに限定されるわけではない。これに関する代表的状態には、X症候群、多嚢胞性卵巣、摂食障害(例えば、食欲不振および過食症)、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症およびクッシング症候群などの代謝障害および関連する心血管危険因子;高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管再狭窄、網膜症および腎症などのそれに関連する疾患;神経変性疾患、神経症および筋萎縮などの神経障害;加齢性学習障害、痴呆、神経変性などの認知障害、ならびに重度障害(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病関連痴呆)から軽度障害(例えば、加齢性記憶障害、薬物性認知障害)の範囲の被検者から障害のない被検者(例えば、一般集団のための向知性薬)までの認知機能改善のため(Sandeep, et al., PNAS参照、電子データはwww.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.0306996101で入手可能);前立腺癌、結腸癌、乳癌、良性前立腺肥大症、卵巣癌、子宮癌、および男性偽半陰陽などのアンドロゲンおよび/またはエストロゲン関連障害;子宮内膜症、痴呆、うつ、乾癬、緑内障、骨粗鬆症、ウイルス感染症、炎症性障害、ならびに免疫障害が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0196】
追加の治療薬
一つの態様において、本発明の治療または予防法は、本明細書に開示される疾患または障害を治療または予防するのに有用な別の治療薬の治療的有効量の投与をさらに含む。この態様において、他の治療薬の治療効果が発揮される時期はアリールスルホンアミド化合物の治療効果が発揮される時期と重なる。
【0197】
本発明の化合物は、糖尿病、肥満、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、免疫障害、うつおよび前述の病状を含む、本発明の化合物が有用な状態または障害の治療、予防、抑制、または改善において有用な他の物質と組み合わせる、または組み合わせて用いることができる。
【0198】
そのような他の物質、または薬物は、そのために一般的に用いられている経路および量で、アリールスルホンアミド化合物と同時または逐次投与することができる。アリールスルホンアミド化合物を一つまたは複数の他の薬物と同時に用いる場合、そのような薬物を本発明の化合物に加えて含む薬学的組成物が好ましい。したがって、本発明の薬学的組成物には、アリールスルホンアミド化合物に加えて、一つまたは複数の他の活性成分または治療薬も含むものが含まれる。
【0199】
一つの態様において、糖尿病の治療または予防のために、アリールスルホンアミド化合物を、インスリン、吸入型インスリン(登録商標エクスベラ)、インスリン様物質、インスリン分泌促進物質、スルホニルウレア(例えば、グリブリド、メグリナチド、グリメピリド、グリクラジド、グリピジド、グリキドン、クロロプロプレスポンシベミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、グリコピラミド、カルブタミド、グリボヌリド、グリソキセピド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリへキサミド、グリミジン、グリピナミド、フェンブタミド、トルシルアミド、およびトラザミド)、ビグアニド(例えば、メトフォルミン(登録商標グルコファージ))、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ボグリボース、およびミグリトール)、チアゾリジノン化合物(例えば、ロシグリタゾン(登録商標アバンディア)、トログリタゾン(登録商標レズリン)、シグリタゾン、ピオグリタゾン(登録商標アクトス)およびエングリタゾン)、食事性グルコース調節剤(例えば、レパグリニドおよびナテグリニド)およびグルカゴン受容体アンタゴニストなどの抗糖尿病薬を含むが、それらに限定されるわけではない、別の治療薬と共に投与することができる。
【0200】
もう一つの態様において、肥満の治療または予防のために、アリールスルホンアミド化合物を、β3アドレナリン受容体アゴニスト、レプチンまたはその誘導体、神経ペプチドY(例えば、NPY5)アンタゴニスト、およびマジンドールを含むが、それらに限定されるわけではない、別の治療薬と共に投与することができる。
【0201】
別々に投与するにせよ、同じ薬学的組成物中で投与するにせよ、アリールスルホンアミド化合物と組み合わせることができる他の治療薬の例には下記が含まれるが、それらに限定されるわけではない:(i)HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン(登録商標ゾコール)、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン(登録商標リピトール)および他のスタチン)、胆汁酸隔離剤(例えば、コレスチラミンおよびコレスチポール)、ビタミンB3(ニコチン酸、またはナイアシンとしても知られている)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、フィブリン酸誘導体(例えば、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート、およびベンザフィブレート)、プロブコール、ニトログリセリン、およびコレステロール吸収の阻害剤(例えば、ベータ-シトステロールおよびメリナミドなどのアシルCoA-コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤)、HMG-CoAシンターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤およびスクアレンシンターゼ阻害剤などのコレステロール低下剤;(ii)血栓溶解剤(例えば、ストレプトキナーゼ、アルテプラーゼ、アニストレプラーゼおよびレテプラーゼ)、ヘパリン、ヒルジンおよびワルファリン誘導体、β-遮断薬(例えば、アテノロール)、βアドレナリンアゴニスト(例えば、イソプロテレノール)、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、ACE阻害剤および血管拡張薬(例えば、ニトロプルシドナトリウム、塩酸ニカルジピン、ニトログリセリンおよびエナロプリラト)などの抗血栓剤;(iii)PPARアゴニスト、例えば、PPARγおよびPPARδアゴニスト;(iv)DPアンタゴニスト;(v)ワセリンおよびラノリンなどの潤滑剤または皮膚軟化剤、角質溶解剤、ビタミンD3誘導体(例えば、カルシポトリエンおよびカルシポトリオール(登録商標ドボネックス))、PUVA、アントラリン(登録商標ドリトロクレーム)、エトレチネート(登録商標チガソン)、およびイソトレチノイン;(vi)コリン作用性アゴニスト(例えば、ピロカルピンおよびカルバコール)、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、フィゾスチグミン、ネオスチグミン、デマカリウム、ヨウ化エコチオフェートおよびイソフルオロフェート)、炭酸脱水酵素阻害剤(例えば、アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、エトキシゾラミド、およびドルゾラミド)、非選択的アドレナリンアゴニスト(例えば、エピネフリンおよびジピベフリン)、α2-選択的アドレナリンアゴニスト(例えば、アプラクロニジンおよびブリモニジン)、β-遮断薬(例えば、チモロール、ベタゾロール、レボブノロール、カルテオロールおよびメチプラノロール)、プロスタグランジンおよび類縁体(例えば、ラタノプラスト)ならびに浸透圧利尿薬(例えば、グリセリン、マンニトールおよびイソソルビド);ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、プレドニゾン、プレニゾロン、デキサメタゾン、フルチカゾンおよびヒドロコルチゾンなどのコルチコステロイド、ならびにブデソニドなどのコルチコステロイド類縁体などの緑内障治療薬;(vii)シクロスポリン(シクロスポリンA、登録商標サンディミュン、登録商標ネオラール)、タクロリムス(FK-506、登録商標プログラフ)ラパマイシン(シロリムス、登録商標ラパミューン)および他のFK-506型免疫抑制剤、ならびにミコフェノール酸エステル、例えば、ミコフェノール酸モフェチル(登録商標セルセプト)などの免疫抑制剤;(viii)プロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸およびチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパクオキシピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシンおよびゾメピラク)、フェナム酸誘導体(例えば、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸およびトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(例えば、ジフルニサルおよびフルフェニサル)、オキシカム(例えば、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカムおよびテノキシカム)、サリチル酸塩(例えば、アセチルサリチル酸およびスルファサラジン)、ならびにピラゾロン(例えば、アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾンおよびフェニルブタゾン)などの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);(ix)セレコキシブ(登録商標セレブレックス)およびロフェコキシブ(登録商標バイオックス)などのシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤;(xi)ホスホジエステラーゼIV型(PDE-IV)の阻害剤;(xii)コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィンおよびペンタゾシンなどのオピオイド鎮痛剤;(xiii)肝保護物質;および(xiv)5-アミノサリチル酸およびそのプロドラッグなどの他の化合物。
【0202】
本発明の化合物の第二の活性成分に対する重量比は変動することがあり、各成分の有効用量に依存することになる。一般に、それぞれの有効用量を用いることになる。したがって、例えば、アリールスルホンアミド化合物をNSAIDと組み合わせる場合、本発明の化合物のNSAIDに対する重量比は一般に約1000:1から約1:1000、好ましくは約200:1から約1:200の範囲となる。アリールスルホンアミド化合物と他の活性成分との組み合わせも、一般には前述の範囲内に入ることになるが、それぞれの場合に、各活性成分の有効用量を用いるべきである。
【0203】
キット
本発明は、本発明のアリールスルホンアミド化合物または組成物の患者への投与を単純化することができるキットを含む。
【0204】
本発明の典型的キットはアリールスルホンアミド化合物の単位用量を含む。一つの態様において、単位用量剤形は、無菌であってもよく、アリールスルホンアミド化合物の治療的有効量と薬学的に許容される媒体とを含む容器に含まれる。もう一つの態様において、単位用量剤形は、アリールスルホンアミド化合物の治療的有効量を凍結乾燥物または薬学的に許容される塩として含む容器に含まれる。この場合、キットは、凍結乾燥物の再構成または塩の溶解のために有用な溶液を含む別の容器をさらに含むことができる。キットは、アリールスルホンアミド化合物の使用のためにラベルまたは印刷した説明書も含むことができる。
【0205】
さらなる態様において、キットは本発明の組成物の単位用量剤形を含む。
【0206】
本発明のキットは、本発明のアリールスルホンアミド化合物または組成物の単位用量剤形を投与するために有用な、一つまたは複数の装置をさらに含むこともできる。そのような装置の例には、単位用量剤形を任意で含む、シリンジ、点滴袋、パッチまたは浣腸が含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。
【0207】
本発明は、本発明の少数の局面の例示として意図される、実施例において開示される特定の態様による範囲に限定されるものではなく、機能的に等価のいかなる態様も本発明の範囲内である。事実、本明細書に示され、記載されているものに加えて、本発明の様々な変更は当業者には明らかになると思われ、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。このために、一つまたは複数の水素原子またはメチル基は、そのような有機化合物の認められた簡略表記に一致する構造式から省略してもよく、有機化学の当業者であればそれらの存在を容易に理解することに留意すべきである。
【0208】
実施例
本発明の式で表されるアリールスルホンアミド化合物およびその調製法を、以下の実施例において詳細に説明するが、これらは本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0209】
実施例A
5-クロロ-1-(4-tert-ブチルフェニルスルホニル)-2,3-ジヒドロインドールの合成

5-クロロ-2,3-ジヒドロインドール(148mg、0.955mmol、1.0当量)をCH2Cl2(4mL)に溶解した後、400μLトリエチルアミン(2.87mmol、3.0当量)および200mg塩化4-tert-ブチルスルホニル(0.859mmol、0.9当量)を加えた。16時間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCO3で希釈し、得られた溶液を3M Empore 4415(SD) C18-SDオクタデシル疎水性カートリッジに注入した。次いで、カートリッジを通過した有機物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、0.5%MeOH/CH2Cl2)で精製して、生成物を白色固体で得た。

【0210】
実施例B
3-(R)-1-(4-tert-ブチルフェニルスルホニル)-3-イミダゾル-1-イル)-ピロリジンの合成

3-(S)-3-ヒドロキシ-1-(4-tert-ブチルフェニルスルホニル)-ピロリジン(1.93g、6.81mmol、1.0当量、実施例Aのとおりに調製)をCH2Cl2(50mL)に溶解した後、1.54mLヒューニッヒ塩基(8.85mmol、1.3当量)および塩化メタンスルホニル(0.58mL、7,49mmol、1.1当量)を加えた。20分間撹拌後、溶液を飽和NaHCO3で希釈し、2×CH2Cl2で抽出した。次いで、有機物を洗浄し(1×1N HCl、1×飽和NaHCO3)、乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィで精製して、2.19gのメシレートを白色固体で得た(6.06mmol、89%)。
【0211】
上で調製したメシレート(165mg、0.456mmol)をイミダゾール(1g)と密封試験管内で混合した。次いで、密封試験管を油浴に入れ、90℃まで加熱した。15時間加熱後、熱溶液をH2Oで希釈し、2×CH2Cl2で抽出した。回収した有機物を洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、5%MeOH/CH2Cl2)で精製して、所望の生成物を白色固体で得た。

【0212】
実施例C
3-(R)-1-(4-tert-ブチルフェニルスルホニル)-3-メトキシピロリジンの合成

実施例Aの一般法を用いるが、3-(R)-3-メトキシピロリジンを5-クロロ-2,3-ジヒドロインドールの代わりに用いて、所望の生成物を白色固体で得た。

【0213】
実施例D
2-(S)-2-メチル-1-(4-tert-ブチルフェニルスルホニル)-モルホリンの合成

実施例Aの一般法を用いるが、2-(S)-2-メチルモルホリン(Powers, J. P., US 6,599,911のとおりに調製)を5-クロロ-2,3-ジヒドロインドールの代わりに用いて、所望の生成物を白色固体で得た。

【0214】
実施例E
syn-2,6-ジメチル-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル-スルホニル)-ピペリジンの合成

2,6-ジメチルピペリジン(1mL)のCH2Cl2(1mL)溶液に、200mg塩化4-アセチルベンゼンスルホニル(0.915mmol、1.0当量)を加えた。135分間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCO3で希釈し、得られた溶液を3M Empore 4415(SD) C18-SDオクタデシル疎水性カートリッジに注入した。次いで、カートリッジを通過した有機物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、2%MeOH/CH2Cl2)で精製して、生成物を無色油状物で得た(60mg、0.203mmol、22%)。
【0215】
上で調製した4-アセチルベンゼンスルホンアミド(60mg、0.203mmol、1.0当量)をTHF(1mL)に溶解した後、THF中の0.5M TMSCF3溶液0.812mL(0.406mmol、2.0当量)を加えた。5分間撹拌後、1.0Mフッ化テトラブチルアンモニウム溶液0.203mL(TBAF、0.203mmol、1.0当量)を加えた。得られた赤色溶液を40分間撹拌し、1.0N HClで希釈し、2×EtOAcで抽出し、洗浄し(1×飽和NaHCO3)、乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、1%MeOH/CH2Cl2)で精製して、生成物を無色油状物で得た。

【0216】
実施例F
1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-ホモピペリジンの合成

1gホモピペリジン(10.1mmol、7.37当量)および0.5mLトリエチルアミン(3.59mmol、2.6当量)のCH2Cl2(20mL)溶液に、300mg塩化4-アセチルベンゼンスルホニル(1.37mmol、1.0当量)を加えた。14時間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCO3で希釈し、抽出し(2×CH2Cl2)、乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、1%MeOH/CH2Cl2)で精製して、生成物を白色固体293mgで得た(1.04mmol、76%)。
【0217】
上で調製した4-アセチルベンゼンスルホンアミド(247mg、0.879mmol、1.0当量)をTHF(10mL)に溶解した後、THF中の0.5M CF3TMS溶液(3.52mL)を加えた。5分後、229mgフッ化テトラブチルアンモニウム水和物(0.879mmol、1.0当量)を撹拌中の溶液に加えた。21時間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCO3で希釈し、抽出し(2×EtOAc)、乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、2%MeOH/CH2Cl2)で精製して、生成物を白色固体で得た。

【0218】
実施例G
2-(R)-2-メチル-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル-スルホニル)-ピペリジンの合成

実施例EおよびFの一般法を用いるが、2-(R)-2-メチル-ピペリジン(Doller, D. et al, Tetrahedron Assymetry 1275-1278, 8, 1997のとおりに調製)を2,6-ジメチルピペリジン(実施例E)またはホモピペリジン(実施例F)の代わりに用いて、所望の生成物を白色固体で得た。

【0219】
実施例H
2-(S)-2-メチル-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル-スルホニル)-ピペリジンの合成

実施例EおよびFの一般法を用いるが、2-(S)-2-メチル-ピペリジン(Doller, D. et al, Tetrahedron Assymetry 1275-1278, 8, 1997のとおりに調製)を2,6-ジメチルピペリジン(実施例E)またはホモピペリジン(実施例F)の代わりに用いて、所望の生成物を白色固体で得た。

【0220】
実施例I
2-エチル-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-ピペリジンの合成

実施例Fの一般法を用いるが、2-エチルピペリジンをホモピペリジンの代わりに用いて、所望の生成物を淡金色油状物で得た。

【0221】
実施例J
1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-ピペリジンの合成

実施例Fの一般法を用いるが、ピペリジンをホモピペリジンの代わりに用いて、所望の生成物を白色固体で得た。

【0222】
実施例K
2-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンの合成

実施例Fの一般法を用いるが、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンをホモピペリジンの代わりに用いて、所望の生成物を白色固体で得た。

【0223】
実施例L
2-(S)-2-(ピリジン-3-イル)-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-フェニルスルホニル)-ピペリジンの合成

実施例Fの一般法を用いるが、2-(S)-2-(ピリジン-3-イル)-ピペリジンをホモピペリジンの代わりに用いて、所望の生成物を白色固体で得た。

【0224】
実施例M
1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリンの合成

実施例Fの一般法を用いるが、1,2,3,4-テトラヒドロキノリンをホモピペリジンの代わりに用いて、所望の生成物を白色固体で得た。

【0225】
実施例N
1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-ヘプタメチレンイミンの合成

実施例Fの一般法を用いるが、ヘプタメチレンイミンをホモピペリジンの代わりに用いて、所望の生成物を白色固体で得た。

【0226】
実施例O
3-フルオロ-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-ピペリジンの合成

実施例Fの一般法を用いるが、3-フルオロピペリジンをホモピペリジンの代わりに用いて、所望の生成物を白色固体で得た。

【0227】
実施例P
1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-2-(2-イミダゾル-1-イル-エチル)ピペリジンの合成

a)1.0g 2-ピペリジンエタノール(7.73mmol、1.11当量)および3.0mLトリエチルアミン(21.5mmol、3.1当量)のCH2Cl2(20mL)溶液に、1.52g塩化4-アセチルベンゼンスルホニル(6.95mmol、1.0当量)を加えた。14時間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCO3で希釈し、抽出し(2×CH2Cl2)、乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、3%MeOH/CH2Cl2)で精製して、生成物を白色固体1.56gで得た(5.01mmol、72%)。
【0228】
b)上で調製したピペリジンスルホンアミド(1.19g、3.83mmol、1.0当量)をCH2Cl2(80mL)に溶解した後、0.867mLヒューニッヒ塩基(4.98mmol、1.3当量)および0.325mL塩化メタンスルホニル(4.21mmol、1.1当量)を加えた。20分間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCO3で希釈し、2×CH2Cl2で抽出した。有機層を洗浄し(1×1N HCl、1×飽和NaHCO3)、乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、2%MeOH/CH2Cl2)で精製して、1.416gのメシレート生成物を無色油状物で得た(3.64mmol、95%)。
【0229】
c)上の段階b)で調製したメシレート(1.416g、3.64mmol、1.0当量)をTHF(20mL)に溶解した後、THF中の0.5M CF3TMS溶液14.56mL(7.28mmol、2.0当量)を加えた。溶液を10分間撹拌した後、THF中の1.0M TBAF溶液3.64mL(3.64mmol、1.0当量)をゆっくり加えた。さらに10分間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCO3で希釈し、3×EtOAcで抽出した。有機物を1×1N HCl、1×飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、1.5%MeOH/CH2Cl2)で精製して、生成物(Int-1)を白色粘着性泡状物で得た。
【0230】
d)上の段階c)で調製したメシレート(Int-1、293mg、0.638mmol、1.0当量)を1gのイミダゾール(14.7mmol、23.0当量)と密封試験管内で混合した。試験管を120℃の浴に入れて3.75時間撹拌し、その時点で熱溶液をH2Oで希釈した。得られた水溶液を抽出し(3×CH2Cl2)、乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、5%MeOH/CH2Cl2で精製して、生成物1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-2-(2-イミダゾル-1-イル-エチル)ピペリジンを白色固体で得た。

実施例Q
2-(2-ピラゾル-1-イル-エチル)-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-フェニルスルホニル)-ピペリジンの合成

実施例Pの方法を用いるが、ピラゾールを段階d)のイミダゾールの代わりに用いて(すなわち、Int-1をピラゾールと反応させて)、所望の生成物を白色固体で得た。

【0231】
実施例R
3-(R)-3-(ピペリジン-1-イル)-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-フェニルスルホニル)-ピロリジンの合成

a)2.0g(S)-3-ピロリジノール(22.95mmol、1.05当量)のCH2Cl2(100mL)溶液に、4.16mL Et3N(29.84mmol、1.37当量)と、続いて4.77g塩化4-アセチルベンゼンスルホニル(21.81mmol、1.0当量)を加えた。22時間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCO3で希釈した。次いで溶液を抽出し(2×CH2Cl2)、洗浄し(1×1N HCl、1×飽和NaHCO3)、乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を次の反応に直接用いた。
【0232】
b)段階a)で得たスルホンアミド(2.93g、10.89mmol、1.0当量)をCH2Cl2(100mL)に溶解した後、2.47mLヒューニッヒ塩基(14.16mmol、1.3当量)および0.927mL塩化メタンスルホニル(11.98mmol、1.1当量)を加えた。30分間撹拌後、反応混合物を0.1N HClで希釈し、2×CH2Cl2で抽出した。次いで有機物を1×0.1N HCl、1×飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、2%MeOH/CH2Cl2)で精製して、3.35gのメシレート生成物を白色固体で得た(9.65mmol、89%)。
【0233】
c)段階b)で得たメシレート(3.35g、9.65mmol、1.0当量)をTHF(50mL)に溶解した後、THF中の0.5M CF3TMS溶液38.6mL(19.3mmol、2.0当量)を加えた。15分間撹拌後、THF中の1.0M TBAF溶液9.65mL(9.65mmol、1.0当量)をシリンジで滴加した。さらに40分間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCO3で希釈し、2×EtOAcで抽出した。次いで、有機物を洗浄し(1×0.1N HCl)、乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、2%MeOH/CH2Cl2)で精製して、1.009gのトリフルオロメチルカルビノールを白色固体で得た(2.42mmol、25%)。
【0234】
d)3-(R)-3-(ピペリジン-1-イル)-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-フェニルスルホニル)-ピロリジンの合成:段階c)で調製したトリフルオロメチルカルビノール(80mg、0.192mmol、1.0当量)をイミダゾール(1g)と密封試験管内で混合した後、100℃で18時間加熱した。次いで、得られた熱溶液を飽和NaHCO3で希釈し、2×CH2Cl2で抽出した。有機物を乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、5〜10%MeOH/CH2Cl2)で精製して、生成物を白色固体で得た。

【0235】
実施例S
2-(2-ヒドロキシエチル)-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-フェニルスルホニル)-ピペリジンの合成

a)塩化4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール-2-イル)ベンゼンスルホニルの合成:4-(ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシルイソプロピル)アニリン(15.0g、58mmol)、HCl(37%水溶液、30mL)、およびCH3COOH(9mL)の混合物に、、H2O(5mL)中のNaNO2(4.4g、64mmol)を-15℃で滴加した。反応の温度を<-5℃に維持した。撹拌を-5℃で45分間続けた。レクチャーボトル内の二酸化硫黄をCH3COOH(30mL)にピペットを介して15分間導入し、飽和溶液を調製した。CuCl(1.43g、14.5mmol)を溶液に室温で加えた。撹拌を続けながら、SO2導入を20分間続けて、SO2-CuCl複合体を生成した。ジアゾ化反応混合物を0℃でSO2-CuCl複合体溶液に少しずつ加えた。添加完了後、温度を10℃未満に維持しながら撹拌を10分間続けた。次いで、反応混合物をH2O-氷の1:1混合物(500mL)に注ぎ、氷が溶けるまで撹拌を続けた。次いで、混合物をEt2O(3×100mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をH2O(2×100mL)、飽和NaHCO3水溶液(注意、激しいガス発生)および食塩水で洗浄した。次いで、有機物を乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮した。残渣のフラッシュクロマトグラフィ(SiO2、100%CH2Cl2)により、塩化4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール-2-イル)ベンゼンスルホニルを得た(11.42g、57%)。

【0236】
b)2-ヒドロキシエチルピペリジン(300mg、2.32mmol、13.3当量)のCH2Cl2(5mL)溶液に、60mg塩化4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール-2-イル)ベンゼンスルホニル(0.175mmol、1.0当量、段階aで調製)を加えた。15時間撹拌後、反応混合物を飽和NaHCO3で希釈し、得られた溶液を3M Empore 4415(SD) C18-SDオクタデシル疎水性カートリッジに注入した。次いで、カートリッジを通過した有機物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、1.0%MeOH/CH2Cl2)で精製して、生成物を白色固体で得た。

【0237】
生物学的実施例
アリールスルホンアミド化合物の生物学的評価のために有用な方法
様々な疾患および障害におけるHSDの役割を開示している広範な文献に加えて、本発明のアリールスルホンアミド化合物を試験するために有用なアッセイを提供した。
【0238】
アッセイ
実施例1−インビトロ11β-HSD1(ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1)活性阻害作用
11β-HSD1阻害活性を、酵素供給源としてバキュロウイルスシステムを用いて発現させたヒト11β-HSD1(以下、組換え11β-HSD1)を用い、コルチゾンからコルチゾルへの変換に対する抑制作用をSPA(シンチレーション近接アッセイ)システムで定量して調べた。反応のために、試薬を96穴プレート(96穴登録商標Opti-plates-96(Packard))に下記の最終濃度で加え、100μl量を室温で90分間反応させた。用いた反応溶液は、0.1μg/ml組換え11β-HSD1、500M NADPH、16nM 3Hコルチゾン(Amersham Biosciences、1.78Tbq/mol)を0.1%BSA(Sigma)含有PBSに溶解したもので、試験薬は化合物溶液(DMSOに溶解)2μlであった。90分後、0.08μg抗コルチゾルマウスモノクローナル抗体(East Coast Biologics)、365μg SPA PVTマウス抗体結合ビーズ(Amersham Biosciences)および175μMカルベノキソロン(Sigma)を含むPBS(40μL、0.1%BSA(Sigma)含有)を反応溶液に加えて反応を停止した。反応完了後、プレートを室温で終夜インキュベートし、放射能をTopcount(Packard)により測定した。対照用に、試験薬の代わりに2μlのDMSOを含むウェルの値(0%阻害)を用い、陽性対照用に、試験薬の代わりにカルベノキソロンを最終濃度50μMで含むウェルの値(100%阻害)を用いた。試験薬の阻害(%)を、((対照の値-試験薬の値)/(対照の値-陽性対照の値))×100%により算出した。IC50値をコンピューターによる曲線あてはめソフトを用いて解析した。
【0239】
この実施例は、11β-HSD1を調節する化合物を評価し、選択する際に有用なアッセイを提供する。
【0240】
実施例2−SPAによる11β-HSD1の生化学アッセイ
組換えヒト、マウスおよびラット11β-HSD1をバキュロウイルス発現システムで発現させ、アフィニティー精製により単離し、インビトロでのコルチゾンからコルチゾル変換のための酵素供給源として用いた。3H-コルチゾン(Amersham Bioscience、1.78Tbq/mol. 49Ci/mmol)を基質として用い、モノクローナル抗コルチゾル抗体およびシンチレーション近接アッセイ(SPA)システムを用いて、11β-HSD1触媒反応の生成物、3H-コルチゾルを検出した。反応は96穴登録商標Opti-plates-96(Packard)内で、0.1%BSA(Sigma)補足PBS緩衝液中、試験化合物または対照のDMSO溶液2μL、0.1μg/mL 11β-HSD1タンパク質、500μM NADPHおよび16nM放射性コルチゾンを含む100μL量で、室温で90分間行った。0.08μg抗コルチゾルモノクローナル抗体(East Coast Biologics)、365μg SPA PVT抗体結合ビーズ(Amersham Biosciences)および175μMカルベノキソロン(Sigma)を含む緩衝液40μLを加えて反応を停止した。
【0241】
プレートを室温で終夜インキュベートした後、Topcount(Packard)で読み取った。11β-HSD1酵素活性の50%阻害点(IC50)を、コンピューターによる曲線あてはめソフトを用いて評価した。
【0242】
実施例3−SPAによる11β-HSD1の細胞アッセイ
この細胞アッセイは、ヒト組換え11β-HSD1を安定に過剰発現するHEK-293細胞株における3H-コルチゾンの3H-コルチゾルへの変換を測定する。HEK-293細胞を10%ウシ胎仔血清を補足したDMEM/F12中で培養し、ポリ-D-リジン-コーティング96穴アッセイプレート(Costar 3903)に、ウェル毎に100,000細胞/50μLアッセイ培地(フェノールを含まないDMEM/F12(Invitrogen)+0.2%BSA+1%抗菌-抗真菌溶液)で播種した。溶液を37℃で24時間インキュベートし、所望の濃度の化合物を含むアッセイ培地25μLおよび40nMの3H-コルチゾンを含むアッセイ培地25μLを各ウェルに加えて反応を開始した。反応混合物を37℃で90分間インキュベートし、0.2μg抗コルチゾルモノクローナル抗体(East Coast Biologics)、500μg SPA PVT抗体結合ビーズ(Amersham Biosciences)および500μMカルベノキソロン(Sigma)を含むアッセイ培地25μLを加えて反応を停止した。
【0243】
プレートを室温で少なくとも2時間インキュベートした後、Topcount(Packard)で読み取った。11β-HSD1酵素活性の50%阻害点(IC50)を、コンピューターによる曲線あてはめソフトを用いて評価した。
【0244】
前述のアッセイを用いて、前述の実施例において調製したアリールスルホンアミド化合物は200nMから1nM未満までのIC50値を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、もしくはプロドラッグ:

式中:
R1は-OH、(C1-C8)アルキルおよび(C1-C8)ハロアルキルからなる群より選択される構成員であり;
R2およびR3はハロゲン、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキルおよび(C3-C8)シクロアルキルからなる群より独立に選択される構成員であり;
Ncycは式(a)、式(b)、式(c)および式(d)からなる群より選択される式を有する窒素複素環であり:

式中:
R2a、R2a'およびR5aはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR''、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'からなる群より独立に選択される構成員であり;かつR3aおよびR4aの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2aおよびR2a'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;かつここでR5aが-C(O)R'、-C(O)OR'または-OR''である場合、R2a、R2a'、R3aおよびR4aの少なくとも一つはH以外であり;
R3aおよびR4aはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-C(O)N(R')2、-OR''、-OC(O)R'、-NR'C(O)OR''、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'からなる群より独立に選択される構成員であり;かつ任意で二つの隣接するR3a、R4aおよびR5a構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(a)において、R2a、R2a'、R3a、R4aおよびR5aの少なくとも一つはH以外であり;
R2b、R2b'およびR6bはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'からなる群より独立に選択される構成員であり;かつR3b、R4bおよびR5bの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2bおよびR2b'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;
R3b、R4bおよびR5bはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'からなる群より独立に選択される構成員であり;かつ任意で二つの隣接するR3b、R4b、R5bおよびR6b構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(b)において、R2b、R2b'、R3b、R4b、R5bおよびR6bの少なくとも一つはH以外であり;
R2c、R2c'およびR6cはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-SR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'からなる群より独立に選択される構成員であり;かつR3cおよびR4cの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2cおよびR2c'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;
R3cおよびR5cはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-SR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'からなる群より独立に選択される構成員であり;かつ任意で二つの隣接するR2c、R2c'、R3c、R5cおよびR6c構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(c)において、R2c、R2c'、R3c、R5cおよびR6cの少なくとも一つはH以外であり;
R2dおよびR2d'はそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2および-NR'C(O)R'からなる群より独立に選択される構成員であり;かつRdの少なくとも一つがH以外である場合、任意でR2dおよびR2d'は組み合わされてオキソ(=O)またはチオノ(=S)基を形成し;
RdはそれぞれH、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2、および-NR'C(O)R'からなる群より独立に選択される構成員であり;かつ任意で二つの隣接するRd構成員は組み合わされてNcycの残り部分に縮合されたベンゼンまたはピリジン環を形成し;かつ式(d)において、R2d、R2d'およびRdの少なくとも一つはH以外であり;
いかなるNcycの縮合ベンゼンまたはピリジン環部分も、H、ハロゲン、-CN、-NO2、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキル、-C(O)R'、-C(O)OR'、-NR'C(O)OR''、-OR'、-SR'、-OC(O)R'、-C(O)N(R')2、-S(O)R''、-SO2R''、-SO2N(R')2、-N(R')2および-NR'C(O)R'からなる群より選択される1つから4つの構成員で置換されていてもよく;
R'の出現はそれぞれ独立にH、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキル、アリール(C1-C6)アルキルであるか、または2つのR'基は、同じ窒素原子に結合している場合、それらが結合している窒素原子と組み合わされて複素環もしくはヘテロアリール基を形成することができ;
R''の出現はそれぞれ独立に(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキルまたはアリール(C1-C6)アルキルであり;
XはOまたはS(O)kであり、ここでkは0から2の整数であり;
下付き文字mは1から6の整数であり;
下付き文字nは2または3であり;Ncycが式(a)であり、かつR2aおよびR2a'がそれぞれHである場合、R5aはフェニル、フリル、チエニルまたはピリジル以外であるという条件であり;さらに、化合物が4-[[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]-3,4-ジヒドロ-N,N-ジプロピル-2H-1,4-ベンゾキサジン-6-エタンアミンまたはその塩(登録番号144-62-7);N-[[(3R)-4-[[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]-1,1-ジオキシド-3-チオモルホリニル]カルボニル]-L-チロシン, 1,1-ジメチルエチルエステル, ジメチルカルバメート(登録番号220544-72-9);およびN-[[(3R)-4-[[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]-1,1-ジオキシド-3-チオモルホリニル]カルボニル]-L-チロシン, ジメチルカルバメート(登録番号220545-63-1)以外であるという条件である。
【請求項2】
Ncycが式(a)の基である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2a、R2a'およびR5aがそれぞれHである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R3aおよびR4aの一つが(C1-C8)アルキル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)ハロアルキル、(C2-C8)ヒドロキシアルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C5-C14)ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C6)アルキル、ヘテロシクリル(C1-C6)アルキル、ヘテロアリール(C1-C6)アルキルおよびアリール(C1-C6)アルキルからなる群より選択される構成員である、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R4aおよびR5aが組み合わされて縮合ベンゼン環を形成する、請求項2記載の化合物。
【請求項6】
R1、R2およびR3がそれぞれ-OH、(C1-C4)アルキル、(C2-C4)アルケニル、(C2-C4)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ、(C1-C4)ハロアルキル、(C2-C4)ヒドロキシアルキルおよび(C3-C5)シクロアルキルからなる群より独立に選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項7】
R1、R2およびR3がそれぞれ-OH、(C1-C4)アルキルおよび(C1-C4)ハロアルキルからなる群より独立に選択される、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R1が-OHであり、R2が-CH3であり、かつR3がCF3である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R1、R2およびR3がそれぞれ-CH3である、請求項7記載の化合物。
【請求項10】
R1が-OHであり、かつR2およびR3がそれぞれCF3である、請求項7記載の化合物。
【請求項11】
Ncycが式(b)の基である、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
R2b、R2b'およびR6bの少なくとも一つが(C1-C8)アルキルまたは(C2-C8)ヒドロキシアルキルである、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
R3b、R4bおよびR5bがそれぞれHであり、かつR6bがヘテロアリールおよびヘテロアリール(C1-C4)アルキルからなる群より選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項14】
R3b、R4bおよびR5bの少なくとも一つがハロゲンである、請求項11記載の化合物。
【請求項15】
R4bおよびR5bまたはR5bおよびR6bが組み合わされて縮合ベンゼンまたはピリジン環を形成する、請求項11記載の化合物。
【請求項16】
R3b、R4b、R5bまたはR6bの一つがヘテロシクリルである、請求項11記載の化合物。
【請求項17】
R1、R2およびR3がそれぞれ-OH、(C1-C4)アルキルおよび(C1-C4)ハロアルキルからなる群より独立に選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項18】
R1が-OHであり、R2が-CH3であり、かつR3がCF3である、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
R1が-OHであり、かつR2およびR3がそれぞれCF3である、請求項17記載の化合物。
【請求項20】
R1、R2およびR3がそれぞれCH3である、請求項17記載の化合物。
【請求項21】
Ncycが式(c)の基である、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
R2c、R2c'およびR6cの少なくとも一つが(C1-C8)アルキルである、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
XがOである、請求項21記載の化合物。
【請求項24】
XがS(O)kである、請求項21記載の化合物。
【請求項25】
R1、R2およびR3がそれぞれ-OH、(C1-C4)アルキルおよび(C1-C4)ハロアルキルからなる群より独立に選択される、請求項21記載の化合物。
【請求項26】
R1が-OHであり、R2が-CH3であり、かつR3がCF3である、請求項21記載の化合物。
【請求項27】
R1が-OHであり、かつR2およびR3がそれぞれCF3である、請求項21記載の化合物。
【請求項28】
R1、R2およびR3がそれぞれCH3である、請求項21記載の化合物。
【請求項29】
請求項1記載の化合物、および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項30】
請求項1記載の化合物、および追加の治療薬を含む薬学的組成物。
【請求項31】
追加の治療薬が糖尿病、X症候群、肥満、多嚢胞性卵巣、摂食障害、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、クッシング症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管再狭窄、網膜症、腎症、神経変性疾患、神経症、筋萎縮、認知障害、痴呆、うつ、乾癬、緑内障、骨粗鬆症、ウイルス感染症、炎症性障害および免疫障害からなる群より選択される状態または障害を治療するために有用である、請求項30記載の薬学的組成物。
【請求項32】
糖尿病、X症候群、肥満、多嚢胞性卵巣、摂食障害、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、クッシング症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管再狭窄、網膜症、腎症、神経変性疾患、神経症、筋萎縮、認知障害、痴呆、うつ、乾癬、緑内障、骨粗鬆症、ウイルス感染症、炎症性障害および免疫障害からなる群より選択される状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に請求項1記載の化合物の治療的有効量を投与する段階を含む、方法。
【請求項33】
状態または障害が糖尿病または肥満である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に反応性の状態または障害の治療法であって、それを必要としている患者に請求項1記載の化合物の治療的有効量を投与する段階を含む、方法。
【請求項35】
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼが11β-HSD1、11β-HSD2および17β-HSD3からなる群より選択される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
細胞におけるヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの機能の調節方法であって、細胞を請求項1記載の化合物と接触させる段階を含む、方法。
【請求項37】
化合物がヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを阻害する、請求項36記載の方法。
【請求項38】
細胞における11β-HSD1の機能の調節方法であって、細胞を請求項1記載の化合物と接触させる段階を含む、方法。
【請求項39】
細胞における11β-HSD2の機能の調節方法であって、細胞を請求項1記載の化合物と接触させる段階を含む、方法。
【請求項40】
細胞における17β-HSD3の機能の調節方法であって、細胞を請求項1記載の化合物と接触させる段階を含む、方法。
【請求項41】
下記からなる群より選択される化合物:
5-クロロ-1-(4-tert-ブチルフェニルスルホニル)-2,3-ジヒドロインドール、
3-(R)-1-(4-tert-ブチルフェニルスルホニル)-3-イミダゾル-1-イル)-ピロリジン、
3-(R)-1-(4-tert-ブチルフェニルスルホニル)-3-メトキシピロリジン、
2-(S)-2-メチル-1-(4-tert-ブチルフェニルスルホニル)-モルホリン、
syn-2,6-ジメチル-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル-スルホニル)-ピペリジン、
1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-ホモピペリジン、
2-(R)-2-メチル-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル-スルホニル)-ピペリジン、
2-(S)-2-メチル-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル-スルホニル)-ピペリジン、
2-エチル-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-ピペリジン、
1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-ピペリジン、
2-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、
2-(S)-2-(ピリジン-3-イル)-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-フェニルスルホニル)-ピペリジン、
1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、
1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-ヘプタメチレンイミン、
3-フルオロ-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-ピペリジン、
1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルスルホニル)-2-(2-イミダゾル-1-イル-エチル)ピペリジン、
2-(2-ピラゾル-1-イル-エチル)-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-フェニルスルホニル)-ピペリジン、
3-(R)-3-(ピペリジン-1-イル)-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-フェニルスルホニル)-ピロリジン、および
2-(2-ヒドロキシエチル)-1-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-フェニルスルホニル)-ピペリジン。

【公表番号】特表2007−533749(P2007−533749A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509581(P2007−509581)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/013358
【国際公開番号】WO2005/118538
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506147331)アムゲン インコーポレイティッド (27)
【Fターム(参考)】