説明

アルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤の組合せ

高血圧やうっ血性心不全などの心血管障害、肝硬変、および腹水を含む循環器障害の治療のための、治療有効量のアルドステロン受容体拮抗薬と治療有効量の抗肥満剤とを含む併用療法を記載している。好ましい抗肥満剤は、効力および生物学的利用能の高い化合物である。好ましいアルドステロン受容体拮抗薬は、9α,11α−置換型エポキシ部分の存在を特徴とする、20−スピロキサンステロイド化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高血圧、心血管疾患、腎機能不全、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、ニューロパシー、高血糖、高インスリン血症およびインスリン抵抗性、浮腫、内皮機能不全、および圧受容器機能不全を含むがこれに限らない、循環障害の治療で使用するための、アルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤の組合せについて記載する。特に重要性のあるのは、ステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬化合物と抗肥満剤とを併用する治療である。
【背景技術】
【0002】
このPCT出願は、2003年4月25日出願の米国特許仮出願第60/465,213号および2004年4月1日出願の米国特許非仮出願第10/814,870号の優先権を主張するものであり、これら出願の全体を参照により本明細書に援用する。
【0003】
アルドステロン
アルドステロンは、生体における最も強力な既知の鉱質コルチコイドホルモンである。用語鉱質コルチコイドが意味するとおり、このステロイドホルモンは、電解質調節活性を有する。このホルモンは、腎臓においてだけでなく、下部消化管、唾液腺、および汗腺からのナトリウム(Na)再吸収を促進し、これら組織はそれぞれ、古典的なアルドステロン応答性組織である。アルドステロンは、遠位ネフロンでのナトリウムおよび水の再吸収を増大させ、カリウム(K)およびマグネシウム(Mg2+)の排出を促進する。
【0004】
アルドステロンは、非上皮性細胞でも応答を生じることがある。実際、アルドステロン受容体は、最近になって脳組織、心臓組織、および血管で発見されている。これらのアルドステロンを媒介とする応答は、心血管系、ならびに他の組織および臓器の構造および機能に対して有害な結果を招くことがある。したがって、アルドステロンは、様々な理由で臓器損傷の一因となり得る。
【0005】
アルドステロン受容体拮抗薬
アルドステロンの影響は、アルドステロン受容体拮抗薬を使用することによって低減できる。現時点で市販されているアルドステロン受容体拮抗薬は、スピロノラクトン(ALDACTONE(登録商標)としても知られている)である。スピロノラクトンは、本態性高血圧、原発性アルドステロン症、低カリウム血症;およびうっ血性心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群などの水腫状態を適応症とする。「第21改正米国薬局方(第16版)」、United States Pharmacopeial Convention,Inc.、米メリーランド州ロックヴィル(1985年)およびそのこれまでの全続版。重症心不全患者へのスピロノラクトン投与は、無作為ALDACTONE評価試験(RALES)で評価されている。RALESは、無作為二重盲検プラセボ対照治験であり、重症心不全であり、左室駆出率が35%以下の人、ならびにアンギオテンシン変換酵素阻害剤、ループ利尿剤、および場合によってはジゴキシンを含む標準の治療を受けている人を参加者とした。スピロノラクトンによる治療を受けたRALES対象は、死亡率および入院発生率がプラセボ処置対象と比べて統計学的に有意に減少していた。New England Journal of Medicine第341巻、709〜717ページ(1999年)。典型的なエポキシ含有スピロラクトン誘導体である一クラスのステロイド型アルドステロン受容体拮抗薬が、Grobらの米国特許第4,559,332号に記載されている。この特許は、高血圧、心不全、および肝硬変の治療に有用な、アルドステロン受容体拮抗薬としての9α,11α−エポキシ含有スピロラクトン誘導体を記載している。米国特許4,559,332に記載されているエポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬化合物の1つは、エプレレノン(エポキシメキスレノン(epoxymexrenone)としても知られている)である。エプレレノンは、アルドステロン受容体に対する特異性が、たとえばスピロノラクトンよりも高いアルドステロン受容体拮抗薬である。
【0006】
一般名
INSPRA(商標)の25、50、および100mg錠の活性成分の一般名は、エプレレノンである。エプレレノンは、この化合物の米国一般名(USAN)でもあり、国際一般名(INN)でもある。Ciba−Geigy社は当初からエプレレノンをエポキシメキスレノンの名称で呼んでいる。
【0007】
化学名
エプレレノンの化学名は、プレグナ−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ、γ−ラクトン、メチルエステル、(7α,11α,17α)−である。この化学名は、エプレレノンのCAS登録名に対応している(エプレレノンのCAS登録番号は107724−20−9である)。
【0008】
米国特許第4,559,332号は、9α,11α−エポキシ−7α−メトキシカルボニル−20−スピロキサ−4−エン−3,32−チオンの別の名称によってエプレレノンを同定している。このような「スピロキサン」命名法については、たとえば、米国特許第4,559,332号の第2欄16行目〜第4欄48行目でさらに述べられている。
【0009】
WO01/95892およびWO01/95893は、(スピロノラクトンおよび/またはエプレレノンを含む)アルドステロン受容体拮抗薬を使用している対象における、アルドステロンが媒介となった発病結果の治療方法を記載している。
【0010】
WO02/09683は、対象の炎症治療のための、(エプレレノンおよび/またはスピロノラクトンを含む)アルドステロン受容体拮抗薬の使用方法を開示している。
【0011】
抗肥満剤
肥満は、2型糖尿病、高血圧、骨関節炎、および心疾患/心不全を含むがこれに限らない多くの健康上の問題と結び付けられている。たとえば、Satish Kenchaiahらは、「Obesity and the Risk of HeartFailure」、N.EnglJ.Med.第347巻第58号、2002年8月1日、305〜313ページで、肥満と心不全の関連を調査している。
【0012】
Susan Yanovskiは、「Obesity」、N.EnglJ.Med.第346巻第8号、2002年2月8日、591〜602ページは、肥満の簡単な病歴および食欲抑制薬などの減量薬の作用機序を提示している。このような医薬には、一般に、ノルアドレナリン作動薬、セロトニン作動薬、ノルアドレナリン作動薬とセロトニン作動薬の合剤、および栄養素の吸収を低下させる医薬が含まれる。Brower(「Fighting fat:new drugs against obesity in the pipeline」、EMBO Reports第3巻第7号、2002年)によれば、毛様体神経栄養因子の組換え型変異体であるAxokineや5HT2cセロトニン受容体作動薬などの、作用機序の異なる他の医薬が臨床治験に入って評価が行われている。
【0013】
併用療法
アルドステロン受容体拮抗薬を他のいくつかの薬学的に活性のある化合物と組み合わせた投与を含む治療が、文献で報告されている。
【0014】
その全体が本明細書に援用されるWO96/40255は、エポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬とアンギオテンシンII拮抗薬とを利用する、心線維症治療のための併用療法を開示している。
【0015】
その全体が本明細書に援用されるWO96/40257は、エポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬とアンギオテンシンII拮抗薬とを利用する、うっ血性心不全治療のための併用療法を開示している。
【0016】
その全体が本明細書に援用されるPerezらのWO00/27380は、アンギオテンシン変換酵素阻害剤とアルドステロン受容体拮抗薬とを利用する、心血管疾患による罹患率および死亡率を低減するための併用療法を開示している。
【0017】
その全体が本明細書に援用されるAlexanderらのWO00/51642は、アンギオテンシン変換酵素阻害剤とエポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬とを利用する、心血管疾患治療のための併用療法を開示している。
【0018】
その全体が本明細書に援用されるSchuhのWO02/09761は、エポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬とカルシウムチャンネル遮断薬とを利用する、高血圧、うっ血性心不全、肝硬変、および腹水の治療のための併用療法を開示している。
【0019】
その全体が本明細書に援用されるRochaのWO02/09759は、エポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬とシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤とを利用する、炎症治療のための併用療法を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
心血管に関連した状態に罹患し、または罹患し易い対象を治療するための改良された薬物療法は、非常に望ましい。特に、(1)心血管関連状態の抑制を促進し、(2)心血管関連危険因子をさらに減少させ、(3)心血管関連状態の治療および予防を改善し、(4)心血管関連状態に罹患し、または罹患し易い、より高い割合の対象、特に従来の薬物療法に十分に応答しない対象において有効であり、かつ/または(5)副作用プロフィールが従来の薬物療法よりも改善される、薬物療法が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
治療有効量のアルドステロン受容体拮抗薬と治療有効量の抗肥満剤とからなる併用療法は、高血圧、心血管疾患などの心血管障害、腎機能不全、肝疾患、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、ニューロパシー、高血糖、高インスリン血症、およびインスリン抵抗性、浮腫、内皮機能不全、および圧受容器機能不全を含む循環器障害の治療に有用である。
【0022】
心血管関連状態を予防または治療するための方法であって、その状態に罹患し易いか、またはそれに罹患している対象への、第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と、第二分量の抗肥満剤の投与を含み、前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と第二分量の抗肥満剤が合わさって、治療有効量のアルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤を含む方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
別段の指示がない限り、本明細書中では以下の定義または用語を使用する。
【0024】
用語「心血管関連状態」には、循環器系障害、心血管障害、心血管疾患、冠状動脈疾患、高血圧、腎機能不全、肝疾患、心不全、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、ニューロパシー、高血糖、高インスリン血症、インスリン抵抗性、浮腫、内皮機能不全、圧受容器機能不全、心不全、不整脈、拡張期機能不全、収縮期機能不全、虚血、肥大性心筋症、心臓性急死、心筋線維症、血管線維症、動脈伸展性障害、心筋壊死病変、血管損傷、心筋梗塞、左室肥大、駆出率低下、心臓病変、血管壁肥厚、内皮肥厚、内皮機能不全、および冠状動脈の線維素様壊死が含まれるがこれに限らない。
【0025】
用語「治療する」、「治療」、または「治療すること」には、その必要があるか、または心血管関連状態に罹患し易い人への、心血管病態の出現を予防し、またはその進行を阻止もしくは後退させる量のアルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤の併用投与が含まれる。
【0026】
用語「予防する」、「予防」、または「予防すること」には、臨床的に明白な1種または複数の心血管関連状態の発症を一括して予防すること、または1種または複数の心血管関連状態の前臨床的に明白な段階の開始を個々に予防することが含まれる。これには、1種または複数の心血管関連疾患にかかる危険のある人々の予防的処置が含まれる。
【0027】
語句「治療有効(量)」とは、有害な副作用を避けながら、心血管関連状態の重症度および発病率の改善目標を達成する、組み合わせて与えられる2種の薬剤の量を形容するものである。
【0028】
用語「対象」には、治療という意図では、1種または複数の心血管関連状態に罹患し易いか、またはそれに罹患しているヒトまたは動物の対象が含まれ、ヒトの対象であることが好ましい。対象は、たとえば、食生活、細菌への曝露もしくはウイルス感染、共通のマーカーの保有、および1種または複数の心血管関連状態の遺伝的素因などのために危険にさらされている場合がある。
【0029】
本明細書では、用語「抗肥満剤」には、現在知られている減量剤または減量薬が含まれるがこれに限らない。「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第16版、Arthur Osol編(編集主任)、Mack Publishing Co.、米ペンシルヴェニア州イーストン(1980年)およびこれまでのその全続版を参照されたい。「The Merck Index」第12版、S.Budavari(編)、Merck & Co.,Inc.、米ニュージャージー州Whitehouse Station(1996年)およびこれまでの全続版も参照されたい。
【0030】
アルドステロン受容体拮抗薬
用語「アルドステロン受容体拮抗薬」とは、受容体部位でアルドステロンそのものの作用の競合阻害剤としてアルドステロン受容体に結合して、アルドステロン、またはこの受容体を活性化する他の分子による受容体媒介型の活性をモジュレートすることのできる化合物を意味する。
【0031】
本発明の組合せおよび方法で使用するアルドステロン受容体拮抗薬は、一般に、スピロラクトン型ステロイド化合物である。用語「スピロラクトン型」とは、ステロイド核の通常は「D」環にスピロ結合配置によって結合したラクトン部分を含む構造を特徴とする。スピロラクトン型アルドステロン受容体拮抗薬化合物のサブクラスは、エプレレノンなどのエポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬からなる。スピロラクトン型拮抗薬化合物の別のサブクラスは、スピロノラクトンなどの非エポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬からなる。
【0032】
本発明の組合せおよび方法で使用するエポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬化合物は、一般に、ステロイド核がエポキシ型部分で置換されている。用語「エポキシ型」部分は、酸素原子を2個の炭素原子間の架橋として有することを特徴とする任意の部分を含むものとし、その例として、次の部分、
【0033】
【化1】

が挙げられる。
【0034】
用語「ステロイド系」とは、語句「エポキシステロイド系」において使用するとき、シクロペンテノ−フェナントレン部分によって規定される核を意味し、通常の「A」、「B」、「C」、および「D」の各環を有する。エポキシ型部分は、シクロペンタフェナントレン核に、結合可能または置換可能な任意の位置で結合していてよい、すなわち、ステロイド核の環の1つに縮合していてもよいし、またはエポキシ型部分が環系のある環員上で置換していてもよい。用語「エポキシステロイド系」は、それに結合している1個または複数のエポキシ型部分を有するステロイド核を含むものとする。
【0035】
本発明の組合せおよび方法での使用に適するエポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬には、エポキシ部分がステロイド核の「C」環に縮合している一群の化合物が含まれる。特に好ましいものは、9α−,11−α置換型エポキシ部分の存在を特徴とする20−スピロキサン化合物である。以下の化合物1〜11が、本発明の方法で使用することのできる、実例となる9α,11α−エポキシステロイド系化合物である。エポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬を使用する特別の利点は、エプレレノンがよい例であるように、この群のアルドステロン受容体拮抗薬の鉱質コルチコイド受容体に対する高い選択性である。エプレレノンの優れた選択性によって、アンドロゲン受容体やプロゲステロン受容体などの非鉱質コルチコイド受容体への非選択的な結合を示すアルドステロン受容体拮抗薬によって引き起こされることのある副作用は低減される。
【0036】
これらのエポキシステロイドは、Grobらの米国特許第4,559,332号に記載されている手順によって調製することができる。9,11−エポキシステロイド化合物およびその塩を調製するための追加の手順は、NgらのWO97/21720およびNgらのWO98/25948に記載されている。
【0037】
【表1−1】

【0038】
【表1−2】

【0039】
【表1−3】

【0040】
【表1−4】

【0041】
【表1−5】

【0042】
【表1−6】

【0043】
特に重要なのは、上で示した化合物1である(エポキシメキスレノンとしても知られている)化合物エプレレノンである。エプレレノンは、アルドステロン受容体拮抗薬であり、アルドステロン受容体に対する特異性が、たとえばスピロノラクトンよりも高い。本発明の方法のアルドステロン受容体拮抗薬としてのエプレレノンによる選択性は、特異性の劣っているアルドステロン受容体拮抗薬の使用に伴って生じる女性化乳房症などのある種の副作用を低減するのに有益となるはずである。
【0044】
本発明の方法での使用に適する非エポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬としては、次式I
【0045】
【化2】

によって規定されるスピロラクトン型化合物の一群が挙げられ、上式で、部分
【0046】
【化3】

は、
【0047】
【化4】

であり、
Rは、最高で5個までの炭素原子からなる低級アルキルであり、
部分
【0048】
【化5】

は、
【0049】
【化6】

である。
【0050】
低級アルキル残基には、分枝状の基および分枝状でない基が含まれ、メチル、エチル、およびn−プロピルであることが好ましい。
【0051】
式Iの範囲内の対象となる具体的な化合物は、
7α−アセチルチオ−3−オキソ−4,15−アンドロスタジエン−[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
3−オキソ−7α−プロピオニルチオ−4,15−アンドロスタジエン−[17((β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
6β,7β−メチレン−3−オキソ4,15−アンドロスタジエン−[17((β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
15α,16α−メチレン−3−オキソ−4,7α−プロピオニルチオ−4−アンドロステン[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
6β,7β,15α,16α−ジメチレン−3−オキソ−4−アンドロステン[17(β−1’)−スピロ−5’]−ペルヒドロフラン−2’−オン;
7α−アセチルチオ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−4−アンドロステン−[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;
15β,16β−メチレン−3−オキソ−7β−プロピオニルチオ−4−アンドロステン−[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン;および
6β,7β,15β,16β−ジメチレン−3−オキソ−4−アンドロステン−[17(β−1’)−スピロ−5’]ペルヒドロフラン−2’−オン
である。
【0052】
式Iの化合物の製造方法は、1978年12月12日に発行されたWiechartらの米国特許第4,129,564号に記載されている。
【0053】
対象となる非エポキシステロイド系化合物の別の一群は、次式II
【0054】
【化7】

[式中、Rは、C1〜3−アルキルまたはC1〜3アシルであり、Rは、HまたはC1〜3−アルキルである]である。
【0055】
式IIの範囲内の対象となる具体的な化合物は、
1α−アセチルチオ−15β,16β−メチレン−7α−メチルチオ−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−21,17−カルボラクトン、および
15β,16β−メチレン−1α,7α−ジメチルチオ−3−オキソ−17α−プレチナ−4−エン−21,17−カルボラクトンである。
【0056】
式IIの化合物の製造方法は、1988年12月6日に発行されたNickischらの米国特許第4,789,668号に記載されている。
【0057】
対象となる非エポキシステロイド系化合物のさらに別の一群は、次式III
【0058】
【化8】

[式中、Rは、低級アルキルであり、好ましい低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、およびブチルである]の構造によって規定される。対象となる具体的な化合物としては、
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグナ−5,15−ジエン−17−カルボン酸(−ラクトン;
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグナ−5,15−ジエン−17−カルボン酸(−ラクトン3−アセテート;
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグン−5−エン−17−カルボン酸(−ラクトン;
3β,21−ジヒドロキシ−17α−プレグン−5−エン−17−カルボン酸(−ラクトン3−アセテート;
21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−17−カルボン酸(−ラクトン;
21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−17−カルボン酸(−ラクトン;
21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナ−1,4−ジエン−17−カルボン酸(−ラクトン;
7α−アシルチオ−21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−17−カルボン酸(ラクトン;および
7α−アセチルチオ−21−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−17−カルボン酸(−ラクトン
が挙げられる。
【0059】
式IIIの化合物の製造方法は、1966年6月21日に発行されたPatchettの米国特許第3,257,390号に記載されている。
【0060】
対象となる非エポキシステロイド系化合物のさらに別の一群は、次式IV
【0061】
【化9】

[式中、E’は、エチレン基、ビニレン基、および(低級アルカノイル)チオエチレン基からなる群から選択され、E’’は、エチレン基、ビニレン基、(低級アルカノイル)チオエチレン基、および(低級アルカノイル)チオプロピレン基からなる群から選択され、E’およびE’’がそれぞれエチレン基および(低級アルカノイル)チオエチレン基であるときにRが水素およびメチル基からなる群から選択される場合を除き、Rはメチル基であり、E’およびE’’の選択は、少なくとも1個の(低級アルカノイル)チオ基が存在するようになされる]によって表される。
【0062】
式IVの範囲内の非エポキシステロイド系化合物の好ましい一群は、次式V
【0063】
【化10】

によって表される。
【0064】
より好ましい式Vの化合物は、1−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスタ−4−エン−3−オンラクトンである。
【0065】
式IVの範囲内の非エポキシステロイド系化合物の別の好ましい一群は、次式VI
【0066】
【化11】

によって表される。
【0067】
式VIの範囲内のより好ましい化合物としては、
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3−オンラクトン;
7β−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3−オンラクトン;
1α,7α−ジアセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスタ−4,6−ジエン−3−オンラクトン;
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−3−オンラクトン;
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−19−ノルアンドロスト−4−エン−3−オンラクトン;および
7α−アセチルチオ−17α−(2−カルボキシエチル)−17β−ヒドロキシ−6α−メチルアンドロスト−4−エン−3−オンラクトン;
が挙げられる。
【0068】
式IV〜VIでは、用語「アルキル」とは、1個〜約8個の炭素を含む線状アルキル基および分枝状アルキル基を含むものとする。用語「(低級アルカノイル)チオ」は、式
【0069】
【化12】

の基を含む。
【0070】
特に重要なのは、次の構造および正式名称を有する化合物スピロノラクトン、すなわち、
【0071】
【化13】

「スピロノラクトン」:酢酸17−ヒドロキシ−7α−メルカプト−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトンである。
【0072】
式IV〜VIの化合物の製造方法は、1961年12月12日に発行されたCellaらの米国特許第3,013,012号に記載されている。スピロノラクトンは、G.D.Searle&Co.,イリノイ州スコーキによって、「ALDACTONE」の商標で、1錠あたり25mg、50mg、および100mgの用量の錠剤剤形になって販売されている。
【0073】
ステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬の別の一群は、ドロスピレノン、すなわち[6R−(6α,α,8β,9α,10β,13β,14α,15α,16α,17β)]−1,3’,4’,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,20,21−ヘキサデカヒドロ−10,13−ジメチルスピロ[17H−ジシクロプロパ[6,7:15,16]シクロペンタ[a]フェナントレン−17,2’(5’H)−フラン]−3,5’(2H)−ジオン、CAS登録番号67392−87−4によって例示される。ドロスピレノンの製造方法および使用方法は、特許GB1550568 1979年、優先権DE2652761 1976年に記載されている。
【0074】
抗肥満剤
抗肥満剤には、経口抗肥満薬、注射用抗肥満薬、および血糖降下治療剤(すなわち、血糖値を降下させる薬剤、たとえば抗糖尿病剤)が含まれる。たとえば、2004年1月30日に出願された「COMBINATION OF AN ALDOSTERONE RECEPTOR ANTAGONIST AND ANTI−DIABETIC AGENT」と題された米国特許出願第10/767,839号を参照されたい。
【0075】
一実施形態は、表2の抗肥満剤および抗肥満薬を含む。
【0076】
【表2】

【0077】
以下の作用機序を有する抗肥満薬は、特許を請求する本発明において有用となり得る。すなわち、シブトラミン化合物などのモノアミン再取り込み阻害剤;オルリスタットなどのリパーゼ阻害剤;CNTF変異体/類似体;食欲抑制剤;5HT−2c受容体作動薬;hGH断片、たとえばAOD−9604;βアドレナリン作動性受容体拮抗薬;カンナビノイドCB1受容体拮抗薬;CCK−A受容体作動薬;ニューロペプチドY(NPY−Y1およびNPY−Y5)受容体拮抗薬;甲状腺ホルモン受容体β作動薬または甲状腺ホルモン模倣薬剤;糖質コルチコイド受容体拮抗薬;MCR−4作動薬;11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素−1阻害剤;レプチンおよびレプチン模倣物、またはレプチン受容体作動薬;ペプチドYY3−36またはその類似体;アポリポタンパク質−B/ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(apo−B/MTP)阻害剤;交感神経様作用物質;ブロモクリプチンなどのドーパミン作動薬;グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)類似体またはGLP−1受容体作動薬;デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)または同族類似体;メラノサイト刺激ホルモン受容体類似体;メラニン濃縮ホルモン受容体拮抗薬;ガラニン拮抗薬;ボンベシン作動薬;グレリン受容体拮抗薬;オレキシン受容体拮抗薬;ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)およびその類似体;ヒスタミン−3受容体拮抗薬または逆作動薬;およびニューロメジンU受容体作動薬である。2003年10月20日に出願され、「PURINE COMPOUNDS AND USES THEREOF」と題された米国特許非仮出願第10/689381号;2004年1月21に出願され、「CANNABINOID RECEPTOR LIGANDS AND USES THEREOF」と題された米国特許非仮出願第10/763105号、2003年11月7日に出願され、「BICYCLIC PYRAZOLYL AND IMIDAZOLYL COMPOUNDS AND USES THEREOF」と題された米国特許非仮出願第60/518280号;2002年6月20日に出願され、「TRIAMIDE−SUBSTITUTED HETEROBICYCLIC COMPOUNDS」と題された米国特許非仮出願第10/177,858号(2003年10月2日に公開された米国特許出願公開第2003187053号と同じ);および2003年6月9日に出願され、2004年3月11日に公開された、「11−β−Hydroxysteroid Dehydrogenase 1 Inhibitors Useful for the Treatment of Diabetes,Obesity and Dyslipidemia」と題された米国特許出願公開第2004/0048912 A1号も参照されたい。
【0078】
一実施形態は、表3の(臨床開発中の)抗肥満剤および抗肥満薬を含む。
【0079】
【表3−1】

【0080】
【表3−2】

【0081】
【表4−1】

【0082】
【表4−2】

【0083】
【表4−3】

【0084】
一実施形態では、抗肥満薬は、オルリスタット(Xenical)などの消化管リパーゼ阻害剤;およびシブトラミン(Meridia)やその鏡像異性体などのノルエピネフリン再取込みおよびセロトニン再取込みの混合阻害剤から選択される。
【0085】
別の実施形態では、アルドステロン受容体拮抗薬はエプレレノンであり、抗肥満薬は、オルリスタットおよびシブトラミンから選択される。
【0086】
別の実施形態では、抗肥満剤は、RegeneronのAxokineなどの、毛様体神経栄養因子またはその同族変異体もしくは類似体のうちの1種;ファイザー/PhytopharmのCP−644673/P−57などの食欲抑制剤;Biovitrum/GSKのBVT−933などの5−HT−2c受容体作動薬;Sanofi−Synthelaboのリモナバント/SR−141716などのカンナビノイド拮抗薬;GSKのGI−181771などのコレシストキニンA受容体のペプチドもしくは非ペプチド作動薬;Aventisの1426などの、胃排出を遅らせ満腹感を増大させる、末梢作用剤;GLP−1受容体の作動薬:GLP−1およびエキセンジン−4などの同族類似体である。
【0087】
別の実施形態では、アルドステロン受容体拮抗薬はエプレレノンであり、抗肥満剤は、RegeneronのAxokine、ファイザー/PhytopharmのCP−644673/P−57、Biovitrum/GSKのBVT−933、Sanofi−SynthelaboのRimonobant/SR−141716、GSKのGI−181771、Aventisの1426、エキセンジン−4から選択される。
【0088】
別の実施形態では、抗肥満剤は、Metabolic PharmaのAOD−9604や任意の関連分子などのヒト成長ホルモン断片;PTP−1B阻害剤(小分子またはアンチセンス);およびDPP−IV阻害剤である。
【0089】
別の実施形態では、アルドステロン受容体拮抗薬はエプレレノンであり、抗肥満剤は、Metabolic PharmaのAOD−9604や任意の関連分子などのヒト成長ホルモン断片;PTP−1B阻害剤(小分子またはアンチセンス);およびDPP−IV阻害剤である。
【0090】
別の実施形態では、抗肥満剤は、ニューロペプチドY1拮抗薬;ニューロペプチドY5拮抗薬;甲状腺ホルモン受容体β作動薬;糖質コルチコイド拮抗薬;メラノコルチン4受容体(MC−4)作動薬;アディポネクチン/APM1/acrp30および同族類似体から選択される。
【0091】
別の実施形態では、アルドステロン受容体拮抗薬はエプレレノンであり、抗肥満剤は、ニューロペプチドY1拮抗薬;ニューロペプチドY5拮抗薬;甲状腺ホルモン受容体β作動薬;糖質コルチコイド拮抗薬;メラノコルチン4受容体(MC−4)作動薬;およびアディポネクチン/APM1/acrp30および同族類似体から選択される。
【0092】
別の実施形態では、抗肥満剤は、11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素1阻害剤;脂肪酸シンターゼ阻害剤;およびアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤から選択される。
【0093】
別の実施形態では、アルドステロン受容体拮抗薬はエプレレノンであり、抗肥満剤は、11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素1阻害剤;脂肪酸シンターゼ阻害剤;およびアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤から選択される。
【0094】
本発明の併用療法は、高血圧、うっ血性心不全、心筋線維症、および心肥大などの心血管障害を含む循環障害の状態を含むがこれに限らない、肥満状態の様々な合併症の治療に有用である。併用療法に、補助療法を加えても有用となるはずである。たとえば、併用療法を利尿剤などの他の薬物と組み合わせて使用すると、高血圧治療を補助することができる。1種または複数のアルドステロン受容体拮抗薬と組み合わさった1種または複数の抗肥満剤から選択される3種以上の化合物を含む併用療法に、補助療法を加えても有用となるはずである。
【0095】
アルドステロン受容体拮抗薬および抗肥満剤に加え、抗糖尿病剤、レニン阻害剤、アンギオテンシンI拮抗薬、アンギオテンシンII拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、α−アドレナリン受容体遮断薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリン受容体拮抗薬、エンドセリン変換酵素、血管拡張剤、利尿剤、シクロオキシゲナーゼ2阻害剤、ASBT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、スタチン、コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤、胆汁酸捕捉剤、アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、抗酸化剤、ビタミンE、プロブコール、Ilb/IIIa拮抗薬、キセミロフィバン、およびオルボフィバンからなる群から選択される第三の化合物を併用療法に加えてもよい。
【0096】
好例となる適切なアンギオテンシン変換酵素は、ベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル(quinopril)、ラミプリル、トランドラプリル、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグである。
【0097】
適応症
肥満合併症の治療または予防に使用する併用療法。これらの合併症には、冠状動脈疾患、高血圧、心血管疾患、腎機能不全、脳血管疾患、血管疾患、高血糖、高インスリン血症およびインスリン抵抗性、浮腫、内皮機能不全、圧受容器機能不全などが含まれるがこれに限らない。心血管疾患には、冠状動脈疾患、(うっ血性心不全などの)心不全、不整脈、(左室拡張期機能不全、拡張期心不全、および拡張期充満欠陥などの)拡張期機能不全、収縮期機能不全、虚血、心臓性急死、心筋および血管の線維症、動脈伸展性障害、心筋壊死病変、血管損傷、心筋梗塞、左室肥大、駆出率低下、心臓病変、血管壁肥厚、内皮肥厚、および冠状動脈の線維素様壊死などが含まれるがこれに限らない。腎機能不全には、糸球体硬化症、末期腎疾患、糖尿病性ニューロパシー、腎血流の減少、糸球体濾過分率の増大、蛋白尿、糸球体濾過率の低下、クレアチニンクリアランスの低下、微量アルブミン尿、腎動脈症、虚血性病変、血栓病変、全体線維素様壊死、糸球体毛細血管の局所性血栓、毛細血管内(内皮および糸球体間質)細胞および/または毛細血管外細胞の腫脹および増殖(半月体)、かなりの細胞充実性があるまたはない網目状糸球体間質マトリックスの拡張、(糸球体および微小血管を冒す虚血性収縮、ふさ状毛細血管の血栓壊死、細動脈線維素様壊死、血栓性細小血管病変などの)悪性腎硬化症などが含まれるがこれに限らない。脳血管疾患には、卒中が含まれるがこれに限らない。血管疾患には、(壁在性線維素様壊死、血管外遊出、および赤血球の細分化、および管腔および/または壁在性血栓などの)血栓性血管疾患、(粘素性細胞外マトリックスに囲まれた腫脹した筋内膜細胞や小結節肥厚などの)増殖性動脈症、アテローム性動脈硬化症、(硬直、心室伸展性の低下、血管伸展性の低下などの)動脈伸展性の低下、および内皮機能不全などが含まれるがこれに限らない。浮腫には、末梢組織浮腫、肝うっ血、脾臓うっ血、肝腹水、および呼吸器もしくは肺のうっ血などが含まれるがこれに限らない。高血糖、高インスリン血症、およびインスリン抵抗性には、インスリン抵抗性、I型糖尿病、II型糖尿病、グルコース不耐症、前糖尿病状態、および代謝症候群などが含まれるがこれに限らない。
【0098】
この併用療法は、冠状動脈疾患、高血圧、心血管疾患、腎機能不全、浮腫、脳血管疾患、高血糖、高インスリン血症およびインスリン抵抗性からなる群から選択された合併症に特に有用であり、発病結果が、冠状動脈疾患、高血圧、心血管疾患、卒中、およびII型糖尿病からなる群から選択されることがより好ましく、発病結果が、冠状動脈疾患、高血圧、心不全(特に心筋梗塞後心不全)、左室肥大、および卒中からなる群から選択されることがさらにより好ましい。
【0099】
したがって、本発明の一実施形態では、この方法は、1種または複数の発病結果に罹患し、または罹患し易いヒト対象において、アルドステロン受容体拮抗薬である1種または複数のエポキシステロイド系化合物を治療有効量投与して、1種または複数のアルドステロン受容体が媒介となった発病結果を治療または予防することを含み、前記対象は、アルドステロンレベルが上昇状態、正常、または正常以下であり、かつ/またはアルドステロンに対する応答もしくは感受性が増大している。1種または複数の発病結果は、高血圧、心血管疾患、脳血管疾患、II型糖尿病からなる群から選択されることが好ましく、発病結果は、高血圧、心不全(特に心筋梗塞後心不全)、左室肥大、および卒中からなる群から選択されることが好ましい。エポキシステロイド系化合物は、好ましくはエプレレノンである。治療または予防の対象は、食塩感受性を有し、かつ/または食事からのナトリウム摂取量が高くなっている個体であることが好ましい。
【0100】
患者または治療対象
本発明の患者または治療もしくは予防対象には、肥満になり易い対象、臨床で肥満と診断された対象、またはX症候群を含むがこれに限らない代謝症候群の対象が含まれる。体格指数(BMI)は、ヒトの体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割ったものである(BMI=kg/m)。BMIが25以上である対象は、一般に過体重であるとみなす。BMIが30を超えている対象は、一般に肥満であるとみなし、BMIが35超、さらに40超になると共に、肥満度が増大する。
【0101】
代謝症候群の症状としては、肥満/腹部肥満、真性糖尿病、高血圧、異脂肪血症(高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、および/またはより低比重でよりアテローム発生性の形のLDLコレステロールなど)、インスリン抵抗性、微量アルブミン尿、および凝固亢進状態を挙げることができる。食塩感受性を有し、かつ/または食事からのナトリウム摂取量が増大している患者または対象も含めることができる。たとえば、Earl S.Fordら、JAMA、2002年1月16日、第287巻第3号、356〜359ページを参照されたい。
【0102】
定義
用語「ヒドリド」とは、単一の水素原子(H)を意味する。このヒドリド基は、たとえば酸素原子に結合して、ヒドロキシル基を形成することができ、あるいは別の例として、1個のヒドリド基が炭素原子に結合すると、次の基
【0103】
【化14】

を形成することができ、あるいは別の例として、2個のヒドリド基が炭素原子に結合すると、−CH−基を形成することができる。用語「アルキル」を単独または「ハロアルキル」や「ヒドロキシアルキル」などの他の用語内で使用する場合、用語「アルキル」は、1個〜約20個の炭素原子、好ましくは1個〜約12個の炭素原子を有する線状または分枝状の基を含む。アルキル基は、1個〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキル」基であることがより好ましい。1個〜約5個の炭素原子を有する低級アルキル基が最も好ましい。用語「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの、3個〜約10個の炭素原子、好ましくは3個〜約6個の炭素原子を有する環状の基を含む。用語「ハロアルキル」は、アルキル炭素原子のいずれか1個または複数が、好ましくはブロモ、クロロ、およびフルオロから選択された1個または複数のハロ基によって置換されている基を含む。用語「ハロアルキル」は、詳細には、モノハロアルキル基、ジハロアルキル基、およびポリハロアルキル基を含む。モノハロアルキル基は、たとえば、基内に臭素原子、塩素原子、またはフッ素原子のいずれかを有することができる。ジハロアルキル基およびポリハロアルキル基は、2個以上の同じハロ基で置換されていてもよいし、または異なるハロ基の組合せを含んでいてもよい。ジハロアルキル基は、たとえば、ジフルオロメチル基やジフルオロブチル基のように2個のフッ素原子、ジクロロメチル基のように2個の塩素原子、またはフルオロ−クロロメチル基のように1個のフッ素原子および1個の塩素原子を含むことができる。ポリハロアルキルの例は、トリフルオロメチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル、および2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基である。用語「ジフルオロアルキル」は、アルキル基炭素原子のいずれか1個または2個が2個のフッ素原子による置換を受けているアルキル基を含む。用語「アルキロール」および「ヒドロキシアルキル」は、1個〜約10個の炭素原子を有し、その炭素原子のいずれか1個が1個または複数のヒドロキシル基で置換されていてよい、線状または分枝状のアルキル基を含む。用語「アルケニル」は、2個〜約20個の炭素原子、好ましくは3個〜約10個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、その炭素−炭素二重結合が、アルケニル部分内でシスまたはトランスのどちらかの幾何学的配置を取り得る、線状または分枝状の基を含む。用語「アルキニル」は、2個〜約20個の炭素原子、好ましくは2個〜約10個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む、線状または分枝状の基を含む。用語「シクロアルケニル」は、隣り合う環上炭素が関与する1個または複数の二重結合を含む3個〜約10個の環上炭素原子を有する環状の基を含む。用語「アルコキシ」および「アルコキシアルキル」はそれぞれ、メトキシ基などの、1個〜約10個の炭素原子からなるアルキル部分を有する線状または分枝状のオキシ含有基を含む。用語「アルコキシアルキル」は、2個以上のアルコキシ基がアルキル基に結合して、モノアルコキシアルキル基およびジアルコキシアルキル基を形成しているアルキル基も含む。「アルコキシ」または「アルコキシアルキル」の各基は、フッ素、塩素、臭素などの1個または複数のハロ原子でさらに置換されて、ハロアルコキシ基またはハロアルコキシアルキル基になってもよい。用語「アルキルチオ」は、メチルチオ基などの、2価の硫黄原子に結合した、1個〜約10個の炭素原子からなる線状または分枝状のアルキル基を含む基を含む。好ましいアリール基は、1個、2個、または3個のベンゼン環を含むものである。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、ビフェニルなどの芳香族基を含む。用語「アラルキル」は、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニル−エチル、フェニルブチル、ジフェニルエチルなどの、アリールで置換されているアルキル基を含む。用語「ベンジル」と「フェニルメチル」は、互いに同義語である。用語「フェナルキル」と「フェニルアルキル」は、互いに同義語である。「フェナルキル」の一例は、「フェニルエチル」と互いに同義語である「フェネチル」である。用語「アルキルアリール」、「アルコキシアリール」、および「ハロアリール」は、それぞれ、フェニル部分などの「アリール」核が、それぞれ1個または複数の「アルキル」、「アルコキシ」、および「ハロ」の各基で置換されていることを意味する。用語「アリールオキシ」および「アリールチオ」は、それぞれ、酸素原子または硫黄原子が核に結合してその基を有するアリール基となった基を意味し、フェノキシやフェニルチオがその例である。用語「スルフィニル」および「スルホニル」とは、単独で使用されようと、他の用語との連語になろうと、それぞれ、2価の基SOおよびSOを意味する。用語「アラルコキシ」は、単独または別の用語内に含まれて、アリール基がアルコキシ基に結合して、たとえばベンジルオキシを形成しているものを含む。用語「アシル」は、単独で使用されようと、アシルオキシのように他の用語内に含まれていようと、有機酸からヒドロキシルが除去された後に残基となった基を意味し、そのような基の例は、アセチルおよびベンゾイルである。「低級アルカノイル」は、アシルのより好ましいサブクラスの例である。用語「アミド」は、カルボニル基に結合した窒素原子からなる基を意味し、本明細書に記載する方式でさらに置換されていてもよい。用語「モノアルキルアミノカルボニル」は、「N−アルキルアミド」と互いに同義語である。用語「ジアルキルアミノカルボニル」は、「N,N−ジアルキルアミド」と同義語である。用語「アルケニルアルキル」は、2個の炭素間に二重結合不飽和部位を有する基を意味し、2個の炭素だけからなるものでもよいし、または追加の二重結合不飽和を含んでいてもよいアルキル基でさらに置換されていてもよい。用語「ヘテロアリール」は、以前に別段の定義付けがない限り、5個〜6個の環員を有する環系中に酸素、窒素、および硫黄から選択された1個または2個のヘテロ原子を含む芳香族環系を意味し、その例は、チエニル、フラニル、ピリジニル、チアゾリル、ピリミジル、イソキサゾリルである。このようなヘテロアリールは、ヘテロアリール環系の炭素原子を介して置換基として結合していてもよく、またはヘテロアリール環員の炭素原子上で置換した部分の炭素原子を介して、たとえばイミダゾールメチル部分のメチレン置換基を介して結合していてもよい。また、こうしたヘテロアリールは、結合後にヘテロアリール部分の芳香族性が保たれる限り、環上窒素原子を介して結合していてもよい。これまでに定義付けを行ったどの基についても、好ましい基は、1個〜約10個の炭素原子を含む基である。
【0104】
アルキル基の具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、メチルブチル、ジメチルブチル、およびネオペンチルである。典型的なアルケニル基およびアルキニル基は、アリル基のように1個の不飽和結合を有していてもよいし、あるいは複数の不飽和結合を有していてもよく、そのような複数の結合は、アレン型構造のように隣接しており、または共役関係にあり、またはいくつかの飽和炭素によって隔てられている。
【0105】
ラセミ化合物、立体異性体、およびこれらの塩
上で言及したように、本発明の併用療法で有用なアルドステロン受容体拮抗薬および抗肥満剤には、ジアステレオ異性体および鏡像異性体などの、その薬剤のラセミ化合物および立体異性体も含めることができる。そのような立体異性体は、鏡像異性体の出発材料を反応させ、または本発明の化合物の異性体を分離することによって、従来の技術を使用して調製および分離することができる。異性体には、幾何異性体、たとえば二重結合を挟んだシス異性体またはトランス異性体を含めることができる。この種の異性体はすべて、本発明の化合物に含めて考える。このような異性体は、純粋な形で使用しても、または上述の薬剤との混和材料にして使用してもよい。こうした立体異性体は、鏡像異性体出発材料を反応させ、または本発明の異性体を分離することによって、従来の技術を使用して調製することができる。
【0106】
異性体には、幾何異性体、たとえば二重結合を挟んだシス異性体またはトランス異性体を含めることができる。この種の異性体はすべて、本発明の化合物に含めて考える。
【0107】
本発明で有用な化合物には、以下で論じるように、その塩、溶媒和化合物、およびプロドラッグが含まれる。本発明で有用な化合物には、互変異性体も含まれる。用語「薬学的に許容できる塩」は、アルカリ金属塩の生成、および遊離の酸もしくは遊離の塩基の付加塩の生成に一般に使用される塩を含む。薬学的に許容できさえすれば、塩の性質は重要でない。薬学的に許容できる適切な酸の付加塩は、無機酸からでも有機酸からでも調製することができる。そのような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族、複素環、カルボン酸、およびスルホン酸の各クラスの有機酸から選択することができ、その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、メシル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β−ヒドロキシ酪酸、マロン酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸である。薬学的に許容できる適切な塩基の付加塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛からできた金属塩、またはN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、およびプロカインからできた有機塩が含まれる。これらの塩はすべて、対応する化合物から、たとえば適切な酸または塩基をその化合物と反応させて、従来の手段によって調製することができる。
【0108】
作用機序
体格指数(BMI、kg/m、肥満の指標)の増加は、冠状動脈性心疾患(CHD)のリスクの増大と関連付けられている。痩せた男性と比べて、BMIが25〜29kg/mである男性は、CHDのリスクが70%高くなり、BMIが29〜33kg/mである男性は、CHDのリスクがほとんど3倍になる(Rimm EB、Stampfer MJ、Giovannucci E、Ascherio A、Spiegelman D、Colditz GA、およびWC Willet、「Body size and fat distribution as predictors of coronary heart disease among middle−aged and older US men」、Am J Epidemiol第141巻(2):1117〜1127ページ、1995年)。BMIとCHDとの関連は、肥満につきものの高インスリン血症、および痩せた個体よりも過体重の個体により多く見られる血圧の上昇のためであると考えられている。複合的な大規模疫学調査では、明白な糖尿病がなくても、インスリン抵抗性が、冠状動脈疾患の予兆であることが示唆されている(JE Reusch、Am.J.Cardiol.第90巻(増刊):19G〜26G、2002年)。
【0109】
一般に、これらの調査は、血漿インスリン濃度(インスリン抵抗性の代理マーカー)と心血管疾患の関係を示している。たとえば、Helsinki Policemen Studyでは、心血管疾患による死、非致死的MI、および他の心血管事象の発生が、血漿インスリン濃度の増大と関連していたことが実証された。血圧レベルも、CHDおよび卒中のリスクと肯定的かつ継続的に関連付けられている(1999年世界保健機構−国際高血圧学会高血圧管理指針、J Hypertention第17巻:151〜183ページ、1999年)。卒中およびCHDでは、卒中およびCHDのリスクが下げ止まりとなるレベルより低い血圧レベルが同定されることはない。
【0110】
高血圧および肥満は、最近では代謝症候群として知られている危険因子群の重要な2構成要素である。高インスリン血症、異脂肪血症(高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、および/またはより低比重でよりアテローム発生性の形のLDLコレステロール)、微量アルブミン尿、および凝固亢進状態が、追加の構成要素である。代謝症候群が存在すると、心血管疾患になり、心血管疾患による死に至るリスクが増大する(Isomaa B、Almgren P、Tuomi T、Forsen B、Lahti K、Nissen Mら、「Cardiovascular morbidity and mortality associated with Metabolic Syndrome」、Diabetes Care第24巻:683〜689ページ、2001年)。CHD、MI、および卒中の罹患率はどれも、代謝症候群のない個体と比べて代謝症候群を示す個体で有意に高くなっている。この症候群の中で、インスリン抵抗性、高血圧、および微量アルブミン尿は、心血管の病的状態およびそれによる死の重要な予兆のうちに数えられる。
【0111】
心血管疾患の発症を促進する、肥満(およびそれに伴う高インスリン血症およびインスリン抵抗性)と高血圧の独立した影響を考えると、アルドステロン受容体による遮断効果と抗肥満療法とを組み合わせれば、どちらかだけの治療よりも、肥満高血圧患者の心血管疾患の進行が緩和されるはずであると予想される。大血管系だけでなく、微小血管系に対しても有益な効果を有する、アルドステロン遮断薬と抗肥満剤による併用療法は、肥満個体では臨床上重要になるはずである。
【0112】
アテローム性疾患の進行は、一部には前炎症状態のためであると考えられている(Ridker P、Nader R、Rose L、Buring JE、Cook NR、「Comparison of C−reactive protein and low−density lipoprotein cholesterol levels in the prediction of first cardiovascular events」、N Engl J Med第347巻(20):1557〜1565ページ)。現在では、肥満状態およびインスリン抵抗性状態が、酸化ストレスおよび炎症の増加を特徴とすることも受け入れられている。肥満における前炎症状態は、アテローム形成性異脂肪血症の男性において、血漿C反応性タンパク質(CRP)レベルと中心性肥満の程度とに意味のある関係が見出されているので、アテローム性動脈硬化症の進度が増す一因となるといえる(Lemieux I、Pascot A、Prud’homme D、Almeras N、Bogaty P、Nadeau Aら、「Elevated C−reactive protein.Another component of the atherothromboic profile of abdominal obesity」、Arterioscler Thromb Vasc Biol第21巻:961〜967ページ、2001年)。さらに、減量は、CRPレベルを低下させるが(Tchernof A、Nolan A、Sites CK、Ades PA、およびPoehlman ET、「Weight loss reduces C−reactive protein levels in obese postmenopausal women」、Circulation第105巻:564〜569ページ、2002年)、これはおそらく、脂肪組織によるIL−6、すなわち肝臓によるCRP合成の主たる調節因子の放出が低減されることによるものである(Heinrich PC、Castell JV、およびT Andus、「Interleukin−6 and the acute phase response」、Biochem J第265巻:621〜636ページ、1990年)。脂質を低下させるスタチン類の薬物(HMG−CoA還元酵素阻害剤)および抗糖尿病薬PPARγ作動薬による心血管への有益な効果の一部は、これらによる付加的な抗炎症作用のためであるとされている(P DandonaおよびA Aljada、Am.J.Cardiol.第90巻(増刊):27G〜33G、2002年)。したがって、出願人らは、抗肥満剤による減量が、肥満患者における炎症のマーカーを減少させると期待したのである。
【0113】
アルドステロン拮抗作用は、心臓および腎臓での顕著な抗炎症効果を有することがわかっている。アルドステロンが媒介となる心血管疾患のアルドステロン塩モデルでは、アルドステロン拮抗作用が、様々な組織でサイトカイン(COX−2、MCP−1、IL−6、IL−1b、およびオステオポンチン)を減少させている(Rocha R、Rudolph AE、Frierdich GE、Nachowiak N、Kekec BK、Blomme EAGら、「Aldosterone induces a vascular inflammatory phenotype in the rat heart」、Amer.J.Physio.第283巻:H1802〜H1810、2002年)。したがって、抗肥満剤による治療によってもたらされる減量とアルドステロン受容体拮抗薬の組合せは、炎症を緩和し、肥満個体でのアテローム性動脈硬化症の発症を有意に減じる有益な効果をもち得る。
【0114】
近年では、脂肪組織が、プラスミノーゲン活性化因子1(Sobel BE、「Effects of glycemic control and other determinants on vascular disease in Type 2 diabetes」、Am.J.Med第113巻(6A):12S〜22S、2002年)、アンギオテンシノーゲン(Engeli S、Negrel R、Sharma AM、「Physiology and pathophysiology of the adipose tissue renin−angiotensin system」、Hypertention第35巻:1270〜1277ページ、2000年)、アディポネクチン(Yamauchi T、Kamon J、Waki H、Imai Y、Shimozawa N、Hioki Kら、「Globular adiponectin protected ob/ob mice from diabetes and apoE−deficient mice from atherosclerosis」、J.Biol.Chem第278巻(4):2461〜2468ページ、2003年)などの、血管系で働く幾種かのタンパク質を合成し分泌することが明らかになりつつある。これらのタンパク質の脂肪組織での発現は、肥満では調節不全となる。さらに、脂肪組織は、レニン−アンギオテンシン系の重要な諸成分を発現させるものと思われる。脂肪組織によるアンギオテンシンの産生は、肥満およびII型糖尿病患者でしばしば見られる高血圧の一因となり得るという仮説が立てられている(Gorzelniak K、Engeli S、Janke J、Luft FC、およびAM Sharma、「Hormonal regulation of the human adipose−tissue renin−angiotensin system:relationship to obesity and hypertention」、J Hypertens.第20巻:965〜973ページ、2002年)。
【0115】
さらに、血漿アルドステロンは、内臓型肥満およびインスリン抵抗性の程度との正の相関が明らかになっており(Goodfriend TL、Egan BM、およびDE Kelley、「Plasma aldosterone,plasma lipoproteins,obesity and insulin resistance in humans」、Prostaglandins,Leukot Essent Fatty Acids第60巻(5&6):401〜406ページ、1999年)、内臓脂肪が副腎のステロイド生成を刺激することを示唆している。この仮説は、5kg程度の少ない体重減少が、大多数の肥満高血圧個体の血圧を下げ、またインスリン抵抗性、糖尿病、異脂肪血症、左室肥大(LVH)などの関連する危険因子に対しても有益な効果をもたらすという観察によって裏打ちされる(Reid CM、Dart AM、Dwar EM、およびGL Jennings、「Interactions between the effects of exercise and weight loss on risk factors,cardiovascular haemodynamics and left ventricular structure in overweight subjects」、J Hypertens第12巻:291〜301ページ、1991年)。減量は、アディポネクチンの血漿レベルを増加させることがわかっており(Hotta K、Funahashi T、Arita Y、Takahashi M、Matsuda Mら、「Plasma concentrations of a novel,adipose−specific protein,adiponectin,in Type 2 diabetic patients」、Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.第20巻:1595〜1599ページ、2000年;Yang W−S、Lee W−J、Funahashi T、Tanaka S、Matsuzawa Y、Chao C−L、Chen C−L、Tai T−Y、およびL−M Chuang、「Weight reduction increases plasma levels of an adipose−derived anti− inflammatory protein,adiponectin」、J.Clin.Endocrinol.Metab.第86巻:3815〜3819ページ、2001年)、そのアディポネクチンについては、血管系に対する有益な作用を及ぼすことが示されており(Matsuda M、Shimomura I、Sata M、Arita Y、Nishida Mら、「Role of adiponectin in preventing vascular stenosis.The missing link of adipo−vascular axis」、J.Biol.Chem.第277巻:37487〜37491ページ、2002年;Okamoto Y、Kihara S、Ouchi N、Nishida M、Arita Yら、「Adiponectin reduces atherosclerosis in apolipoprotein E−deficient mice」、Circulation第106巻:2767〜2770ページ、2002年)、アルドステロン受容体拮抗薬の血管への効果に対して付加的または相乗的に作用し得る。アルドステロン受容体拮抗薬はまた、高血圧患者のLVHを緩和し、微量アルブミン尿を改善しており、減量と抗肥満剤およびアルドステロン受容体拮抗薬とを組み合わせれば、肥満高血圧患者の心血管疾患を減少させるための意味のある利益が得られるはずであることを示唆している(Pitt B、「The 4E Study:Eplerenone,enalapril and eplerenone/enalapril combination in patients with LVH」、J Am Coll Card第40巻:14ページ、2002年;Epstein M、Buckalew V、Martinez F、Altamirano J、Roniker B、Kleiman J、Krause S、「Antiproteinuric efficacy of eplerenone,enalapril,and eplerenone/enalapril combination therapy in diabetic hypertensives with microalbuminuria」、Amer J Hypertens第15巻:24A、2002ページ)。
【0116】
左心室腫瘤は、心血管の病的状態およびそれによる死の、強力にして独立した前兆であることがわかっている(たとえば、D.Levyら、「Prognostic implications of echocardiographically determined left ventricular mass in the Framingham heart study」、New Engl.J.Med.、第322巻、1561〜1566ページ(1990年);F.Gueyffierら、「Identification of risk factors in hypertensive patients:contribution of randomized controlled trials through an individual patient database」、Ann.Int.Med.、第100巻、e88〜e94ページ(1999年)を参照のこと)。そして、体格指数(BMI)および収縮期血圧は、左心室腫瘤の重要にして独立した指標である(たとえば、I.W.Hammondら、「Relation of blood pressure and body build to left ventricular mass in normotensive and hypertensive employed adults」、J.Am.Coll.Cardiol.、第12巻、996〜1004ページ(1988年)を参照のこと)。左心室腫瘤を増加させる、収縮期血圧による影響は、体格指数が高めである肥満の対象でそのグラフによる関係の傾斜が増すように、肥満によって増幅される(J.S.Gottdienerら、「Importance of obesity,race,and age to the cardiac structural and functional effects of hypertention」、J.Am.Coll.Cardiol.、第24巻、1492〜1498ページ(1994年)を参照のこと)。肥満患者は、同程度の高血圧を特徴とする痩せた患者と比べても、左室最大充満速度が低下していることから、心機能は、肥満においてさらに障害を生じる(たとえば、E.Grossmanら、「Left ventricular filling in the systemic hypertention of obesity」、Am.J.Cardiol.、第68巻、57〜60ページ(1991年)を参照のこと)。左室の大きさおよび機能に対する肥満と高血圧の独立した影響を考えて、我々は、アルドステロン受容体拮抗薬に抗肥満剤を追加することは、肥満高血圧集団において重要な利点があるはずであると提言する。
【0117】
片側の腎摘出を受ける患者の集団では、これら個体の一亜集団が蛋白尿および進行性腎不全になる。非常に様々な医学的理由で以前に片側の腎摘出を受けた患者を、その後腎機能不全になった部分母集団の特性を同定する試みの中で評価した。この肥満片側腎摘出患者の調査では、肥満が、蛋白尿および/または進行性腎不全になった患者の亜群を特徴付ける主要な危険因子として同定され(腎臓を1個しかもたないこれらのタイプの患者は、残っている腎臓の機能不全を負担する余裕がない)、蛋白尿および腎機能のKaplan−Meier推定確率曲線では、BMIが高めの患者で10〜20年間にわたり結果が劇的に悪くなっていくことが予測された(M.Pragaら、「Influence of obesity on the appearance of proteinuria and renal insufficiency after unilateral nephrectomy」、Kidney International、第58巻、2111〜2118ページ(2000年)を参照のこと)。こうした知見から、抗肥満剤とアルドステロン受容体拮抗薬の併用は、片側の腎摘出を受けている患者における腎機能の進行性の悪化の予防に臨床上重要な利点があるはずである。
【0118】
併用療法の利点
選択された本発明のアルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤は、共同で作用すると、相加的な利便を凌ぐ利便をもたらす。たとえば、アルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤を組み合わせて投与すると、冠動脈性心疾患およびアテローム性動脈硬化症の複合的な危険因子による発病結果をほぼ同時に緩和することができる。たとえば、薬物の併用は、高アルドステロンレベル、高血圧、内皮機能不全、インスリン抵抗性、血漿トリグリセリドの上昇、血管の炎症、前血栓状態などの、アテローム性動脈症のいくつかの危険因子を緩和し、または打ち消すこともできる。減量およびアルドステロン拮抗作用はどちらも、血管の炎症を緩和するが、現在では、血管の炎症が、アテローム性動脈硬化症の発現、特にプラークの断裂において重要な役割を果たし得ると考えられている(「Atherosclerosis−an inflammatory disease」、N Eng J Med第340巻(2):115〜126ページ、1999年)。体重減少による血圧降下作用は、年配の高血圧対象でナトリウム摂取量の減少によって強化されることがある(TONE Collaborative Research GroupのWhelton PK、Appel LJ、Espeland MA、Applegate WB、Ettinger WH、Kostis JBら、「Sodium reduction and weight loss in the treatment of hypertention in older persons:a randomized controlled trial of nonpharmacologic interventions in the Elderly(TONE)」、JAMA第279巻:839〜846ページ、1998年)。この作用はおそらく、(アルドステロンを媒介とするナトリウム保持を低下させる)アルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤を投与して減量を引き起こすことで再現されるはずである。
【0119】
本発明の方法は、当業界で知られている従来の方法と比べて副作用が弱められた、病態の有効な予防および/または治療も提供する。たとえば、抗肥満剤の投与は、それだけに限らないが、血圧の上昇、悪心、胃腸障害などの副作用をもたらしかねない。本発明の併用療法で抗肥満剤の用量を従来の単剤治療用量より少なくすると、本発明の併用療法に伴う副作用プロフィールが、たとえば、抗肥満剤の単剤治療投与に伴う副作用プロフィールと比べて、最小限に抑えられ、または消失しさえする。抗肥満剤に随伴する副作用は、通常は用量依存的であり、すなわちその発生率は、より多い用量では増加する。したがって、抗肥満剤の有効用量が少なければ、副作用は、単剤療法でのより多い容量の抗肥満剤で見られるものよりも弱くなり、またはそのような副作用の重症度が低下する。
【0120】
本発明の併用療法の他の利点としては、それだけに限らないが、治療効果を比較的迅速に発揮し、かつ比較的長期間の作用をもたらす、選ばれた一群のアルドステロン受容体拮抗薬を使用することが挙げられる。たとえば、選択されたアルドステロン受容体拮抗薬のうちの1つは、1回分で、鉱質コルチコイド受容体の活性化を持続性に遮断できるような方式でアルドステロン受容体に結合したままとなることができる。肥満の合併症は、高血圧や高インスリン血症などの危険因子に長期間さらされた結果として生じるので、治療効果を高めるために、危険因子プロフィールのより持続的な縮小が求められる。本発明の併用療法のもう1つの利点としては、エプレレノンをその典型例とするエポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬などの、アンドロゲン受容体やプロゲステロン受容体などの非鉱質コルチコイド受容体に非選択的に結合するアルドステロン受容体拮抗薬によって引き起こされることのある副作用が緩和された、選択性の高いアルドステロン受容体拮抗薬として作用する、選ばれた一群のアルドステロン受容体拮抗薬を使用することが挙げられるが、これに限らない。選択的なアルドステロン遮断薬の使用は、インポテンス、女性化乳房症、乳房痛、月経不規則などの副作用の発生率を低減するものと思われる。
【0121】
本発明の併用療法の別の利点としては、それだけに限らないが、本発明の方法を使用すると、開示する治療投与計画に特に応答し易い1種または複数の特定の人種グループまたは民族グループに属する個体の治療がなされることが挙げられる。すなわち、たとえば、アフリカ人、先住アメリカ人、またはヒスパニック系の個体は、心血管疾患の治療または予防に向けて、アルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤の併用療法の恩恵を特に受けることができる。肥満(Flegal KM、Carroll MD、Kuczmarski RJ、Johnson CL、「Overweight and obesity in the United States:prevalence and trends,1960−1994」、Int.J.Obes.第22巻:39〜47ページ、1998年)、卒中、および高血圧性腎疾患の発生率および有病率は、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、およびアメリカ先住民では、ヒスパニックでない白人よりも高くなっている(Lee EJ、Cowan LD、Welty TK、Sievers M、Howard WJ、Oopik Aら、「All−cause mortality and cardiovascular disease mortality in three American Indian populations,aged 45−74 years,1984−1988:The Strong Heart Study」、Am.J.Epidemiol.第147巻:995〜1008ページ、1998年;Broderick J、Brott T、Kothari R、Miller R、Khoury J、Pancioli Aら、「The First Greater Cincinnati/Northern Kentucky Stroke Study:preliminary first−ever and total incidence rates of stroke among blacks」、Stroke第29巻:415〜421ページ、1998年;Klag MJ、Whelton PK、Randall BL、Neaton JD、Brancati FL、Stamler J、「End−stage renal disease in African−American and white men」、JAMA第277巻:1293〜1298ページ)。これらの同じ人種/民族グループの一部、たとえばアフリカ系アメリカ人では、高血圧の抑制においてアルドステロン受容体の遮断がより効果的であるので(Pratt JH、Flack JM、Wright JT、Patron A、Roniker B、Kuse−Hamilton J、Krause S、「Efficacy and tolerability of eplerenone and losartan in hypertensive black patients and white patients」、Am J Hypertens第15巻(4):213A)、同じグループの中でも、心血管疾患の進行、ならびにそれに伴う病的状態および死亡率の抑制に併用療法がより効果的になることが当然予想される。
【0122】
キット
本発明はさらに、上述の治療および/または予防を実施する際の使用に適するキットを含む。一実施形態では、キットは、表1で明らかにしたアルドステロン受容体拮抗薬の1種または複数を含む第一の剤形と、上記で明らかにした抗肥満剤および肥満に関連した症状および状態の治療で使用される薬剤の1種または複数を含む第二の剤形とを本発明の方法を実施するのに十分な量で含む。第一の剤形と第二の剤形が合わさって、上記で明らかにした受容体拮抗薬と、心血管の疾患および/もしくは障害の治療もしくは予防に向けた薬剤とを治療有効量含むことが好ましい。
【0123】
別の実施形態では、キットは、アルドステロン受容体拮抗薬スピロノラクトンを含む第一の剤形と、上記で明らかにした抗肥満剤および肥満に関連した症状および状態の治療に使用される諸薬剤を含む第二の剤形とを本発明の方法を実施するのに十分な量で含む。
【0124】
別の実施形態では、キットは、アルドステロン受容体拮抗薬エプレレノンを含む第一の剤形と、上記で明らかにした抗肥満剤および肥満に関連した症状および状態の治療に使用される諸薬剤を含む第二の剤形とを本発明の方法を実施するのに十分な量で含む。
【0125】
生物学的評価
肥満および関連した状態および症状に対する併用療法の推定上の有効性を決定するためには、諸成分の効力をいくつかのアッセイで測定することが重要である。したがって、アッセイ「A」では、抗肥満剤の活性を測定することができる。アッセイ「B」では、本発明の併用療法、すなわち抗肥満剤とエポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬を評価するための方法について述べる。個々の薬物、すなわちエプレレノンおよび抗肥満剤の効力と、これらの薬物を一緒に与えた場合の効力を、様々な用量で、高血圧、糖尿病、および関連する状態および症状のげっ歯類モデルにおいて評価する。
【0126】
治療プロトコル
エプレレノンと抗肥満剤の組合せについての前臨床評価および臨床評価としては、たとえば、血圧測定、腎機能測定、および血糖抑制測定(血漿グルコース、HbA1C、およびインスリン)が挙げられる。肥満および肥満関連症状の対象に向けた薬物療法を試験するための臨床治験は、よく知られている。変更を行うと肥満治療でのこの組合せの効力を試験することができる臨床治験は、たとえば、Kelley,David E.MDら、「Clinical Efficacy of Orlistat Therapy in Overweight and Obese Patients With Insulin−Treated Type 2 Diabetes:A 1−year randomized controlled trial」、Diabetes Care、第25巻(6)、2002年6月、1033〜1041ページ;Gadde,Kishmore M.MDら、「Zonisamide for Weight Loss in Obese Adults:A Randomized ControlledTrial」、JAMA、第l289巻第14号、2003年4月9日、1820〜1825ページ;およびGokcel A.ら、「Evaluation of the Safety and Efficacy of Sibutramine,Orlistat and Metformin in the Treatment of Obesity、「Diabetes,Obesity and Metabolism、第4巻、2002年、49〜55ページに記載されている。
【0127】
前臨床治験
動物モデル:肥満、インスリン抵抗性、および糖尿病の幾種かの異なる動物モデルは、糖尿病合併症の特徴も示すことがわかっている。たとえば、db/dbマウス(たとえば、M.P.Cohenら、Exp.Nephrol.第4巻:166〜171ページ、1996年)およびKKAyマウス(K Inaら、Diabetes Research and Clinical Practice第44巻:1〜8ページ、1999年)は、自然に肥満および糖尿病になり、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、ならびに糖尿病性ニューロパシーを暗示するアルブミン尿などの腎臓合併症を発症する。Fatty Zucker(fa/fa)ラットは、肥満、インスリン抵抗性、かつ高血圧であり、動物に高食塩食を取らせて高血圧を悪化させることができる(SH Carlsonら、Hypertention第35巻(1、第2部)(増刊):403ページ、2000年)。高血圧心不全自然発症(SHHF)ラットは、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症であり、高血圧および心不全を発症する(S.A.McCuneら、「Renal and heart function in the SHHF/Mcc−cp rat」、出典:E Shafrir(編):「Frontiers in diabetes research.Lessons from animal diabetes III」、Smith Gordon、英ロンドン、1990年、397〜401ページ)。
【0128】
Rogerio B.de Paulaら、「Aldosterone Antagonism Attenuates Obesity−Induced Hypertention and Glomerular Hyperltration」、Hypertention、2004年1月、41〜47ページ(参照によりその全体を援用)は、イヌが食餌誘発性肥満になる際の腎機能および平均動脈圧の変化への影響をアルドステロン受容体拮抗薬、特にエプレレノンについて研究して得られたプロトコルおよびデータを示している。エプレレノンは、糸球体による過剰な濾過、ナトリウム保持、および慢性食餌誘発性肥満に伴う高血圧を著しく和らげ、アルドステロンが肥満高血圧の発病において重要な役割を担っていることを示唆した。
【0129】
臨床治験
さらに、臨床治験を使用して、アルドステロン受容体拮抗薬療法をヒトで評価することができる。このような治験は、American Journal of Cardiology第78巻、902〜907ページ(1996年)に記載されているRALES 003研究、およびMedicine第341巻、709〜717ページ(1999年)に記載されているRALES 004研究を含めて、数多くの例が発表されている。
【0130】
抗肥満剤をヒトで評価するのに使用される臨床治験も発表されている。たとえば、M.Krempfら、「Weight reduction and long−term maintenance after 18 months treatment with orlistat for obesity」、International Journal of Obesity(2003年)第27巻、591〜597ページ;A.Halpernら、「Evaluation of Efficacy,Reliability,and Tolerability of Sibutramine in Obese Patients,with an Echocardiographic Study」、Rev.Hosp.Clin.Fac.Med.S.Paulo、第57巻(3)、89〜102ページ(2002年);FDA Label for Orlistat(Xenical)NDA 20−766/X−018;およびFDA Label for Sibutramine(Meridia)を参照されたい。
【0131】
抗肥満療法の基準を超えた後、患者に、エプレレノン追加またはそれなしの治療を施すことにした。結果の評価を行って、抗肥満療法へのエプレレノンの追加によって、抗肥満療法単独よりも合併症が低減されたかどうかを判定することにした。効力の尺度には、蛋白尿(尿中アルブミン対クレアチニン比)、血圧、血漿グルコース、血漿インスリン、およびHbA1cを含めることにした。
【0132】
投与
抗肥満剤とアルドステロン受容体拮抗薬の投与は、別々の製剤にして逐次行ってもよいし、または単一の製剤もしくは別々の製剤での同時投与によって行ってもよい。投与は、経口経路によって、または静脈内、筋肉内、もしくは皮下の注射によって行うことができる。製剤は、巨丸剤の形にしてもよいし、または水性もしくは非水性の等張性無菌注射溶液もしくは懸濁液の形にしてもよい。これらの溶液および懸濁液は、1種または複数の薬学的に許容できる担体もしくは希釈剤、またはゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤に加えて、滑沢剤、保存剤、界面活性剤、または分散剤の1種または複数を含む無菌の粉末または顆粒から調製することができる。
【0133】
通常、アルドステロン受容体拮抗薬は、約0.1〜約2000mgの範囲の1日用量で投与し、抗肥満剤は、約0.1〜約1000mgの範囲の1日用量で投与する。アンギオテンシン変換酵素阻害剤が含まれる場合、これは約0.1〜約1000mgの範囲の1日用量で投与する。
【0134】
経口投与では、医薬組成物は、たとえば、錠剤、カプセル剤、懸濁液、または液体の形にすることができる。医薬組成物は、特定の量の活性成分を含有する単位剤形の形で製造されていることが好ましい。そのような単位剤形の例は、錠剤やカプセル剤である。これらは、約1〜約250mg、好ましくは約25〜約150mgの量の各活性成分を含有していると有利である。哺乳動物の適切な1日用量は、患者の状態および他の要因に応じて広い範囲で様々でよい。しかし、約0.01〜約30mg/体重kg、特に約1〜約15mg/体重kgの用量が適当であろう。
【0135】
活性成分は、その中にたとえば適切な担体として生理食塩水、デキストロース、または水を使用することのできる組成物として、注射によって投与してもよい。各活性成分の適切な1日用量は、治療する疾患に応じて、約0.01〜約15mg/体重kgを1日に複数回に分けて注射するものである。好ましい1日用量は、約1〜約10mg/体重kgとなるはずである。予防的な療法に適用される化合物は、一般に体重1kgあたり1日約0.1mg〜約15mgの範囲の1日用量で投与することが好ましい。より好ましい投与量は、体重1kgあたり約1mg〜約15mgの範囲となる。最も好ましいのは、体重1kgあたり1日約1〜約10mgの範囲の投与量である。適切な用量を、1日あたり複数回に細分して投与することができる。これらの細分用量は、単位剤形にして投与することができる。通常、用量または細分用量は、単位剤形に託して約1mg〜約100mgの活性化合物を含んでいてよい。より好ましい投与量は、単位剤形に託して約2mg〜約50mgの活性化合物を含む。最も好ましいのは、単位用量に従って約3mg〜約25mの活性化合物を含有する剤形である。
【0136】
併用療法では、抗肥満剤は、使用する特定の薬剤、固有の効能、組成物の生物学的利用能および代謝不安定性、ならびに即時放出向けに製剤されているのか徐放向けに製剤されているのかに応じて、一定範囲の用量で存在してよい。具体的な抗肥満剤の投与量範囲の非限定的な例を以下に挙げる。
【0137】
【表5】

【0138】
併用療法では、アルドステロン受容体拮抗薬は、約5mg〜約400mgの範囲の量で存在してよく、抗肥満剤は、約1mg〜約200mgの範囲の量で存在してよいが、これは、約400:1〜約1:40の範囲のアルドステロン受容体拮抗薬対抗肥満剤比に相当する。
【0139】
好ましい併用療法では、アルドステロン受容体拮抗薬は、約10mg〜約200mgの範囲の量で、抗肥満剤は、約5mg〜約100mgの範囲の量で存在してよく、これは、約40:1〜約1:10の範囲のアルドステロン受容体拮抗薬対抗肥満剤比に相当する。
【0140】
好ましい併用療法では、アルドステロン受容体拮抗薬は、約20mg〜約100mgの範囲の量で、抗肥満剤は、約10mg〜約80mgの範囲の量で存在してよく、これは、約10:1〜約1:4の範囲のアルドステロン受容体拮抗薬対抗肥満剤比に相当する。
【0141】
本発明の併用療法によって疾患状態を治療するための投与計画は、患者のタイプ、年齢、体重、性別、および医学的条件、疾患の重症度、投与経路、および使用される特定の化合物を含む様々な要因に従って選択され、したがって、非常に様々となり得る。
【0142】
治療目的では、この併用療法発明の活性成分には、普通は指示された投与経路にふさわしい1種または複数の佐剤が配合されている。os(すなわち、経口)投与する場合、成分を、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、セルロースのアルカン酸エステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコールと混和し、次いで好都合に投与されるように打錠またはカプセル封入する。そのようなカプセル剤または錠剤は、活性化合物のヒドロキシプロピルメチルセルロース中分散液にして提供することのできる徐放性製剤を含有していてもよい。非経口投与用製剤は、水性または非水性の等張性無菌注射溶液または懸濁液の形にすることができる。これらの溶液および懸濁液は、経口投与用製剤での使用について言及した担体または希釈剤の1種または複数を含む無菌の粉末または顆粒から調製することができる。成分は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、および/または種々の緩衝液に溶解させることができる。他の佐剤および投与方式は、製薬業界で広く十分に知られている。「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第16版、Arthur Osol(編)、Mack Publishing Co.、米ペンシルヴェニア州イーストン(1980年)およびそのこれまでの全続版を参照されたい。「The Merck Index」第12版、S.Budavari(編)、Merck & Co.,Inc.、米ニュージャージー州Whitehouse Station(1996年)およびそのこれまでの全続版も参照されたい。
【0143】
本発明はさらに、上述の治療方法および/または予防方法を実施する際の使用に適するキットを含む。一実施形態では、キットは、これまでに明らかにしたエポキシステロイド系アルドステロン受容体拮抗薬の1種または複数を含む第一の剤形と、表2〜3で明らかにした抗肥満剤および肥満に関連した症状および状態の治療に使用される諸薬剤を含む第二の剤形とを本発明の方法を実施するのに十分な量で含む。第一の剤形と第二の剤形が、合わさって治療有効量のその各阻害剤を含むことが好ましい。
【0144】
活性化合物の結晶形
取り扱い易く、形の再現がきき、調製し易く、安定性があり、かつ吸湿性でない、アルドステロン拮抗薬エプレレノンの結晶形が同定されている。これらには、H型(I型)、L型(II型)、様々な結晶性溶媒和化合物、および非結晶性エプレレノンが含まれる。これらの結晶形、これら結晶形の製造方法、および組成物および医薬を調製する際のこれら結晶形の使用については、その全体が本明細書に援用されるBartonらのWO01/41535およびBartonらのWO01/42272で開示されている。
【0145】
本発明の一実施形態では、使用されるアルドステロン受容体拮抗薬は、L型エプレレノンを含む。
【0146】
本発明の別の実施形態では、使用されるアルドステロン受容体拮抗薬は、H型エプレレノンを含む。
【0147】
本発明を実施する現時点での好ましい方式を含む詳細な例に即して本発明を説明してきたが、当業者ならば、上述の系および技術の数多くの変形形態および変更形態が、本発明の精神および範囲のうちに含まれることを理解されよう。
【0148】
追加実施形態
1.心血管関連状態を予防または治療するための方法であって、そのような状態に罹患し易いか、またはそれに罹患している対象への、第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と、第二分量の抗肥満剤の投与を含み、前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と前記の第二分量の抗肥満剤が合わさって、治療有効量のアルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤を含む方法。
【0149】
2.前記心血管関連状態が、冠状動脈疾患、高血圧、心血管疾患、腎機能不全、肝疾患、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、ニューロパシー、高血糖、高インスリン血症、インスリン抵抗性、浮腫、内皮機能不全、圧受容器機能不全からなる群から選択される、実施形態1の方法。
【0150】
3.前記心血管関連状態が高血圧である、実施形態1の方法。
【0151】
4.前記心血管関連状態が心血管疾患である、実施形態1の方法。
【0152】
5.前記心血管疾患が、心不全、不整脈、拡張期機能不全、収縮期機能不全、虚血、肥大性心筋症、心臓性急死、心筋線維症、血管線維症、動脈伸展性障害、心筋壊死病変、血管損傷、心筋梗塞、左室肥大、駆出率低下、心臓病変、血管壁肥厚、内皮肥厚、および冠状動脈の線維素様壊死からなる群から選択される、実施形態4の方法。
【0153】
6.前記心血管疾患が心不全である、実施形態4の方法。
【0154】
7.前記心血管関連状態が腎機能不全である、実施形態1の方法。
【0155】
8.前記腎機能不全が、糸球体硬化症、末期腎疾患、糖尿病性ニューロパシー、腎血流の減少、糸球体濾過分率の増大、蛋白尿、糸球体濾過率の低下、クレアチニンクリアランスの低下、微量アルブミン尿、腎動脈症、虚血性病変、血栓病変、線維素様壊死、糸球体毛細血管の局所性血栓、毛細血管内細胞の腫脹および増殖、毛細血管外細胞の腫脹および増殖、かなりの細胞充実性があるまたはない網目状糸球体間質マトリックスの膨張、および悪性腎硬化症からなる群から選択される、実施形態7に記載の方法。
【0156】
9.前記心血管関連状態が脳血管疾患である、実施形態1の方法。
【0157】
10.前記脳血管疾患が卒中である、実施形態9の方法。
【0158】
11.前記心血管関連状態が血管疾患である、実施形態1の方法。
【0159】
12.前記血管疾患が、血栓性血管疾患、増殖性動脈症、アテローム性動脈硬化症、動脈伸展性の低下、および内皮機能不全から選択される、実施形態11の方法。
【0160】
13.前記心血管関連状態が浮腫である、実施形態1の方法。
【0161】
14.前記浮腫が、末梢組織浮腫、肝うっ血、脾臓うっ血、肝腹水、呼吸器うっ血、および肺うっ血から選択される、実施形態13の方法。
【0162】
15.前記心血管関連状態が、高血糖、高インスリン血症、またはインスリン抵抗性である、実施形態1の方法。
【0163】
16.前記の高血糖、高インスリン血症、またはインスリン抵抗性が、I型糖尿病、II型糖尿病、グルコース耐性、前糖尿病状態、および代謝症候群からなる群から選択される、実施形態15の方法。
【0164】
17.前記心血管関連状態が、冠状動脈性心疾患、高血圧、心血管疾患、卒中、およびII型糖尿病からなる群から選択される、実施形態1の方法。
【0165】
18.前記心血管関連状態が、冠状動脈性心疾患、高血圧、心不全、左室肥大、および卒中からなる群から選択される、実施形態17の方法。
【0166】
19.前記アルドステロン受容体拮抗薬が、9α−,11α−置換型エポキシ部分を有することを特徴とするエポキシステロイド型化合物である、実施形態1の方法。
【0167】
20.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態1の方法。
【0168】
21.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロラクトン型化合物である、実施形態1の方法。
【0169】
22.受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態1の方法。
【0170】
23.前記アルドステロン受容体拮抗薬が、
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ、γ−ラクトン、メチルエステル、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β,7β,11β,17β)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−(1−メチルエチル)エステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11,−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−メチルエステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−アセトン(6α,7α,11α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、メチルエステル、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、一カリウム塩、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6α,7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、エチルエステル、(7α,11α,17α)−;および
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、1−メチルエチルエステル、(7α,11α,17α)−
からなる群から選択される、実施形態1の方法。
【0171】
24.前記抗肥満剤が、消化管リパーゼ阻害剤、ノルエピネフリン再取込みおよびセロトニン再取込みの混合阻害剤、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1の方法。
【0172】
25.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態24の方法。
【0173】
26.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1の方法。
【0174】
27.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態26の方法。
【0175】
28.前記抗肥満剤が、毛様体神経栄養因子またはその同族変異体もしくは類似体のうちの1種;食欲抑制剤;5−HT−2c受容体作動薬;カンナビノイド拮抗薬;コレシストキニンA受容体のペプチドもしくは非ペプチド作動薬、胃排出を遅らせ満腹感を増大させる末梢作用剤;GLP−1受容体の作動薬:GLP−1および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1の方法。
【0176】
29.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態28の方法。
【0177】
30.前記抗肥満剤が、RegeneronのAxokine、ファイザー/PhytopharmのCP−644673/P−57、Biovitrum/GSKのBVT−933、Sanofi−SynthelaboのRimonobant/SR−141716、GSKのGI−181771、Aventisの1426、エキセンジン−4から選択される、実施形態1の方法。
【0178】
31.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態30の方法。
【0179】
32.前記抗肥満剤が、ヒト成長ホルモン断片;PTP−1B阻害剤;DPP−IV阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1の方法。
【0180】
33.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態33の方法。
【0181】
34.前記抗肥満剤が、ニューロペプチドY1拮抗薬;ニューロペプチドY5拮抗薬;甲状腺ホルモン受容体β作動薬;糖質コルチコイド拮抗薬;メラノコルチン4受容体(MC−4)作動薬;アディポネクチン/APM1/acrp30および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1の方法。
【0182】
35.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態34の方法。
【0183】
36.前記抗肥満剤が、11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素1阻害剤;脂肪酸シンターゼ阻害剤;アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1の方法。
【0184】
37.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態36の方法。
【0185】
38.前記アルドステロン受容体拮抗薬および前記抗肥満剤を連続的に投与する、実施形態1の方法。
【0186】
39.前記アルドステロン受容体拮抗薬および中性エンドペプチダーゼ阻害剤を実質的に同時に投与する、実施形態1の方法。
【0187】
40.前記アルドステロン受容体拮抗薬を約0.1〜約2000mgの範囲の1日用量で投与し、前記抗肥満剤を約0.1〜約1000mgの範囲の1日用量で投与する、実施形態1の方法。
【0188】
41.前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬が、対象に実質的な利尿作用または抗高血圧作用をもたらさない、実施形態1の方法。
【0189】
42.レニン阻害剤、アンギオテンシンI拮抗薬、アンギオテンシンII拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、α−アドレナリン受容体遮断薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリン受容体拮抗薬、エンドセリン変換酵素、血管拡張剤、利尿剤、シクロオキシゲナーゼ2阻害剤、ASBT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、スタチン、コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤、胆汁酸捕捉剤、抗酸化剤、ビタミンE、プロブコール、IIb/IIIa拮抗薬、キセミロフィバン、およびオルボフィバンからなる群から選択された第三分量の化合物の投与をさらに含む、実施形態1の方法。
【0190】
43.第三分量のアンギオテンシン変換酵素阻害剤をさらに含む、実施形態1の方法。
【0191】
44.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンおよびスピロノラクトンからなる群から選択される、実施形態43の方法。
【0192】
45.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態43の方法。
【0193】
46.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態43の方法。
【0194】
47.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態43の方法。
【0195】
48.前記アンギオテンシン変換酵素阻害剤が、ベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル(quinopril)、ラミプリル、トランドラプリル、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態43の方法。
【0196】
49.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択され、
前記アンギオテンシン変換酵素阻害剤が、ベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル(quinopril)、ラミプリル、トランドラプリル、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態43の方法。
【0197】
50.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態49の方法。
【0198】
51.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態49の方法。
【0199】
52.前記のアルドステロン受容体拮抗薬、抗肥満剤、およびアンギオテンシン変換酵素阻害剤を連続的に投与する、実施形態43の方法。
【0200】
53.前記のアルドステロン受容体拮抗薬、抗肥満剤、およびアンギオテンシン変換酵素阻害剤を実質的に同時に投与する、実施形態43の方法。
【0201】
54.前記アルドステロン受容体拮抗薬を約0.1〜約2000mgの範囲の1日用量で投与し、前記抗肥満剤を約0.1〜約1000mgの範囲の1日用量で投与し、前記アンギオテンシン変換酵素阻害剤を約0.1〜1000mgの範囲の1日用量で投与する、実施形態43の方法。
【0202】
55.前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬が、対象に実質的な利尿作用または抗高血圧作用をもたらさない、実施形態43の方法。
【0203】
56.アルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤との組合せ。
【0204】
57.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態56の組合せ。
【0205】
58.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態56の組合せ。
【0206】
59.第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬、第二分量の抗肥満剤、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【0207】
60.前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と前記の第二分量の抗肥満剤が合わさって、治療有効量のアルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤を含む、実施形態59の組成物。
【0208】
61.前記アルドステロン受容体拮抗薬が、9α−,11α−置換型エポキシ部分を有することを特徴とするエポキシステロイド型化合物である、実施形態59の組成物。
【0209】
62.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態59の組成物。
【0210】
63.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロラクトン型化合物である、実施形態59の組成物。
【0211】
64.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態59の組成物。
【0212】
65.前記アルドステロン受容体拮抗薬が、
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ、γ−ラクトン、メチルエステル、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β,7β,11β,17β)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−(1−メチルエチル)エステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11,−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−メチルエステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、g−アセトン(6α,7α,11α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、メチルエステル、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、一カリウム塩、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、g−ラクトン、(6α,7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、エチルエステル、(7α,11α,17α)−;および
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、1−メチルエチルエステル、(7α,11α,17α)−
からなる群から選択されている、実施形態59の組成物。
【0213】
66.前記抗肥満剤が、消化管リパーゼ阻害剤、ノルエピネフリン再取込みおよびセロトニン再取込みの混合阻害剤、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態61の組成物。
【0214】
67.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態66の組成物。
【0215】
68.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態59の組成物。
【0216】
69.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態68の組成物。
【0217】
70.前記抗肥満剤が、毛様体神経栄養因子またはその同族変異体もしくは類似体のうちの1種;食欲抑制剤;5−HT−2c受容体作動薬;カンナビノイド拮抗薬;コレシストキニンA受容体のペプチドもしくは非ペプチド作動薬、胃排出を遅らせ満腹感を増大させる末梢作用剤;GLP−1受容体の作動薬:GLP−1および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態59の組成物。
【0218】
71.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態70の組成物。
【0219】
72.前記抗肥満剤が、RegeneronのAxokine、PhytopharmのCP−644673/P−57、Biovitrum/GSKのBVT−933、Sanofi−SynthelaboのRimonobant/SR−141716、GSKのGI−181771、Aventisの1426、エキセンジン−4から選択されている、実施形態59の組成物。
【0220】
73.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態72の組成物。
【0221】
74.前記抗肥満剤が、ヒト成長ホルモン断片;PTP−1B阻害剤;DPP−IV阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態59の組成物。
【0222】
75.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態74の組成物。
【0223】
76.前記抗肥満剤が、ニューロペプチドY1拮抗薬;ニューロペプチドY5拮抗薬;甲状腺ホルモン受容体β作動薬;糖質コルチコイド拮抗薬;メラノコルチン4受容体(MC−4)作動薬;アディポネクチン/APM1/acrp30および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態59の組成物。
【0224】
77.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態76の組成物。
【0225】
78.前記抗肥満剤が、11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素1阻害剤;脂肪酸シンターゼ阻害剤;アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態59の組成物。
【0226】
79.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態78の組成物。
【0227】
80.前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬が、対象に実質的な利尿作用または抗高血圧作用をもたらさない、実施形態59の組成物。
【0228】
81.レニン阻害剤、アンギオテンシンI拮抗薬、アンギオテンシンII拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、α−アドレナリン受容体遮断薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリン受容体拮抗薬、エンドセリン変換酵素、血管拡張剤、利尿剤、シクロオキシゲナーゼ2阻害剤、ASBT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、スタチン、コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤、胆汁酸捕捉剤、抗酸化剤、ビタミンE、プロブコール、IIb/IIIa拮抗薬、キセミロフィバン、およびオルボフィバンからなる群から選択された第三分量の化合物をさらに含む、実施形態59の組成物。
【0229】
82.第三分量のアンギオテンシン変換酵素阻害剤の投与をさらに含む、実施形態59の組成物。
【0230】
83.前記アルドステロン受容体拮抗薬が、エプレレノンおよびスピロノラクトンからなる群から選択されている、実施形態82の組成物。
【0231】
84.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態82の組成物。
【0232】
85.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態82の組成物。
【0233】
86.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態82の組成物。
【0234】
87.前記アンギオテンシン変換酵素阻害剤が、ベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態82の組成物。
【0235】
88.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されており、
前記アンギオテンシン変換酵素阻害剤が、ベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態84の組成物。
【0236】
89.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態88の組成物。
【0237】
90.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態88の組成物。
【0238】
91.第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と第二分量の抗肥満剤とを含むキット。
【0239】
92.単位剤形にした第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と、単位剤形にした抗肥満剤とを含む、実施形態91のキット。
【0240】
93.9α−,11α−置換型エポキシ部分を有することを特徴とする前記アルドステロン受容体拮抗薬がエポキシステロイド型化合物である、実施形態91のキット。
【0241】
94.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態91のキット。
【0242】
95.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロラクトン型化合物である、実施形態91のキット。
【0243】
96.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態91のキット。
【0244】
97.前記アルドステロン受容体拮抗薬が、
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ、γ−ラクトン、メチルエステル、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β,7β,11β,17β)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−(1−メチルエチル)エステル、一カリウム塩、(7αa,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11,−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−メチルエステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−アセトン(6α,7α,11α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、メチルエステル、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、一カリウム塩、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6α,7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、エチルエステル、(7α,11α,17α)−;および
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、1−メチルエチルエステル、(7α,11α,17α)−
からなる群から選択されている、実施形態91のキット。
【0245】
98.前記抗肥満剤が、消化管リパーゼ阻害剤、ノルエピネフリン再取込みおよびセロトニン再取込みの混合阻害剤、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態91のキット。
【0246】
99.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態98のキット。
【0247】
100.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態91のキット。
【0248】
101.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態100のキット。
【0249】
102.前記抗肥満剤が、毛様体神経栄養因子またはその同族変異体もしくは類似体のうちの1種;食欲抑制剤;5−HT−2c受容体作動薬;カンナビノイド拮抗薬;コレシストキニンA受容体のペプチドもしくは非ペプチド作動薬、胃排出を遅らせ満腹感を増大させる末梢作用剤;GLP−1受容体の作動薬:GLP−1および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態91のキット。
【0250】
103.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態102のキット。
【0251】
104.前記抗肥満剤が、RegeneronのAxokine、ファイザー/PhytopharmのCP−644673/P−57、Biovitrum/GSKのBVT−933、Sanofi−SynthelaboのRimonobant/SR−141716、GSKのGI−181771、Aventisの1426、エキセンジン−4から選択されている、実施形態91のキット。
【0252】
105.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態104のキット。
【0253】
106.前記抗肥満剤が、ヒト成長ホルモン断片;PTP−1B阻害剤;DPP−IV阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態91のキット。
【0254】
107.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態106のキット。
【0255】
108.前記抗肥満剤が、ニューロペプチドY1拮抗薬;ニューロペプチドY5拮抗薬;甲状腺ホルモン受容体β作動薬;糖質コルチコイド拮抗薬;メラノコルチン4受容体(MC−4)作動薬;アディポネクチン/APM1/acrp30および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態91のキット。
【0256】
109.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態108のキット。
【0257】
110.前記抗肥満剤が、11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素1阻害剤;脂肪酸シンターゼ阻害剤;アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態91のキット。
【0258】
111.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態110のキット。
【0259】
112.第三分量のアンギオテンシン変換酵素阻害剤をさらに含む、実施形態91のキット。
【0260】
113.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンおよびスピロノラクトンからなる群から選択されている、実施形態112のキット。
【0261】
114.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態112のキット。
【0262】
115.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態112のキット。
【0263】
116.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、およびこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態112のキット。
【0264】
117.前記アンギオテンシン変換酵素阻害剤が、ベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態112のキット。
【0265】
118.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されており、
前記アンギオテンシン変換酵素阻害剤が、ベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態112のキット。
【0266】
119.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態118のキット。
【0267】
120.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態118のキット。
【0268】
更なる追加実施形態
1’.心血管関連状態の治療方法であって、その状態に罹患し易いか、またはそれに罹患している対象への、第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と、第二分量の抗肥満剤の投与を含み、前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と前記の第二分量の抗肥満剤が合わさって、治療有効量のアルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤を含む方法。
【0269】
2’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態1’の方法。
【0270】
3’.前記エプレレノンを約1mg〜約250mgの範囲の1日用量で投与する、実施形態2’の方法。
【0271】
4’.前記心血管関連状態が、冠状動脈疾患、高血圧、心血管疾患、腎機能不全、肝疾患、心不全、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、ニューロパシー、高血糖、高インスリン血症、インスリン抵抗性、浮腫、内皮機能不全、圧受容器機能不全、心不全、不整脈、拡張期機能不全、収縮期機能不全、虚血、肥大性心筋症、心臓性急死、心筋線維症、血管線維症、動脈伸展性障害、心筋壊死病変、血管損傷、心筋梗塞、左室肥大、駆出率低下、心臓病変、血管壁肥厚、内皮肥厚、内皮機能不全、および冠状動脈の線維素様壊死からなる群から選択される、実施形態2’の方法。
【0272】
5’.前記心血管関連状態が高血圧である、実施形態4’の方法。
【0273】
6’.前記心血管関連状態が、糸球体硬化症、末期腎疾患、糖尿病性ニューロパシー、腎血流の減少、糸球体濾過分率の増大、蛋白尿、糸球体濾過率の低下、クレアチニンクリアランスの低下、微量アルブミン尿、腎動脈症、虚血性病変、血栓病変、線維素様壊死、糸球体毛細血管の局所性血栓、毛細血管内細胞の腫脹および増殖、毛細血管外細胞の腫脹および増殖、かなりの細胞充実性があるまたはない網目状糸球体間質マトリックスの膨張、および悪性腎硬化症からなる腎機能不全である、実施形態4’の方法。
【0274】
7’.前記心血管関連状態が心不全である、実施形態4’の方法。
【0275】
8’.前記心血管関連状態が内皮機能不全である、実施形態4’の方法。
【0276】
9’.前記心血管関連状態が血管疾患である、実施形態4’の方法。
【0277】
10’.前記心血管関連状態が脳血管疾患である、実施形態4’の方法。
【0278】
11’.前記脳血管疾患が卒中である、実施形態10’の方法。
【0279】
12’.前記血管疾患が、血栓性血管疾患、増殖性動脈症、アテローム性動脈硬化症、および動脈伸展性の低下、から選択される、実施形態9’の方法。
【0280】
13’.前記心血管関連状態が浮腫である、実施形態4’の方法。
【0281】
14’.前記浮腫が、末梢組織浮腫、肝うっ血、脾臓うっ血、肝腹水、呼吸器うっ血、および肺うっ血から選択される、実施形態13’の方法。
【0282】
15’.前記心血管関連状態が、高血糖、高インスリン血症、およびインスリン抵抗性からなる群から選択される、実施形態4’の方法。
【0283】
16’.前記心血管関連状態が、I型糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、前糖尿病状態、および代謝症候群からなる群から選択される、実施形態15’の方法。
【0284】
17’.前記心血管関連状態が、冠状動脈性心疾患、高血圧、心血管疾患、卒中、およびII型糖尿病からなる群から選択される、実施形態4’の方法。
【0285】
18’.前記心血管関連状態が、冠状動脈性心疾患、高血圧、心不全、左室肥大、および卒中からなる群から選択される、実施形態17’の方法。
【0286】
19’.前記アルドステロン受容体拮抗薬が、
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ、γ−ラクトン、メチルエステル、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β,7β,11β,17β)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−(1−メチルエチル)エステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11,−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−メチルエステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−アセトン(6α,7α,11α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、メチルエステル、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、一カリウム塩、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6α,7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、エチルエステル、(7α,11α,17α)−;および
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、1−メチルエチルエステル、(7α,11α,17α)−
からなる群から選択される、実施形態1’の方法。
【0287】
20’.前記抗肥満剤が、消化管リパーゼ阻害剤、ノルエピネフリン再取込みおよびセロトニン再取込みの混合阻害剤、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1’の方法。
【0288】
21’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態20’の方法。
【0289】
22’.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態2’の方法。
【0290】
23’.前記抗肥満剤がオルリスタットである、実施形態21’の方法。
【0291】
24’.前記抗肥満剤がシブトラミンである、実施形態21’の方法。
【0292】
25’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態1’の方法。
【0293】
26’.前記抗肥満剤がオルリスタットである、実施形態1’の方法。
【0294】
27’.前記抗肥満剤がシブトラミンである、実施形態1’の方法。
【0295】
28’.前記抗肥満剤が、毛様体神経栄養因子またはその同族変異体もしくは類似体のうちの1種;食欲抑制剤;5−HT−2c受容体作動薬;カンナビノイド拮抗薬;コレシストキニンA受容体のペプチドもしくは非ペプチド作動薬、胃排出を遅らせ満腹感を増大させる末梢作用剤;GLP−1受容体の作動薬:GLP−1および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1’の方法。
【0296】
29’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態28’の方法。
【0297】
30’.前記抗肥満剤が、Axokine、CP−644673/P−57、BVT−933、Rimonobant/SR−141716、GI−181771、HMR−1426、エキセンジン−4から選択される、実施形態1’の方法。
【0298】
31’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態30’の方法。
【0299】
32’.前記抗肥満剤が、ヒト成長ホルモン断片;PTP−1B阻害剤;DPP−IV阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1’の方法。
【0300】
33’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態32’の方法。
【0301】
34’.前記抗肥満剤が、ニューロペプチドY1拮抗薬;ニューロペプチドY5拮抗薬;甲状腺ホルモン受容体β作動薬;糖質コルチコイド拮抗薬;メラノコルチン4受容体(MC−4)作動薬;アディポネクチン/APM1/acrp30および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1’の方法。
【0302】
35’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態34’の方法。
【0303】
36’.前記抗肥満剤が、11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素1阻害剤;脂肪酸シンターゼ阻害剤;アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態1’の方法。
【0304】
37’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態36’の方法。
【0305】
38’.前記アルドステロン受容体拮抗薬および前記抗肥満剤を連続的に投与する、実施形態1’の方法。
【0306】
39’.前記アルドステロン受容体拮抗薬および中性エンドペプチダーゼ阻害剤を実質的に同時に投与する、実施形態1’の方法。
【0307】
40’.前記アルドステロン受容体拮抗薬を約0.1〜約2000mgの範囲の1日用量で投与し、前記抗肥満剤を約0.1〜約1000mgの範囲の1日用量で投与する、実施形態1’の方法。
【0308】
41’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態40’の方法。
【0309】
42’.前記エプレレノンを約1〜約250mgの範囲の1日用量で提供する、実施形態41’の方法。
【0310】
43’.前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬が、対象に実質的な利尿作用または抗高血圧作用をもたらさない、実施形態1’の方法。
【0311】
44’.抗糖尿病剤、レニン阻害剤、アンギオテンシンI拮抗薬、アンギオテンシンII拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、α−アドレナリン受容体遮断薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリン受容体拮抗薬、エンドセリン変換酵素、血管拡張剤、利尿剤、シクロオキシゲナーゼ2阻害剤、ASBT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、スタチン、コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤、胆汁酸捕捉剤、抗酸化剤、ビタミンE、プロブコール、IIb/IIIa拮抗薬、キセミロフィバン、およびオルボフィバンからなる群から選択された第三分量の化合物の投与をさらに含む、実施形態1’の方法。
【0312】
45’.第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬、第二分量の抗肥満剤、および薬学的に許容できる担体を含み、前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と前記の第二分量の抗肥満剤が合わさって、治療有効量のアルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤を含む医薬組成物。
【0313】
46’.前記アルドステロン受容体拮抗薬が、
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ、γ−ラクトン、メチルエステル、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β,7β,11β,17β)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−(1−メチルエチル)エステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11,−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−メチルエステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、g−アセトン(6α,7α,11α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、メチルエステル、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、一カリウム塩、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、g−ラクトン、(6α,7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、g−ラクトン、エチルエステル、(7α,11α,17α)−;および
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、g−ラクトン、1−メチルエチルエステル、(7α,11α,17α)−
からなる群から選択されている、実施形態45’の組成物。
【0314】
47’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態45’の組成物。
【0315】
48’.前記エプレレノンが約1〜約250mgの1日用量で投与される、実施形態47’の組成物。
【0316】
49’.前記抗肥満剤が、消化管リパーゼ阻害剤、ノルエピネフリン再取込みおよびセロトニン再取込みの混合阻害剤、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態45’の組成物。
【0317】
50’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態49’の組成物。
【0318】
51’.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態45’の組成物。
【0319】
52’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態51’の組成物。
【0320】
53’.前記抗肥満剤が、毛様体神経栄養因子またはその同族変異体もしくは類似体のうちの1種;食欲抑制剤;5−HT−2c受容体作動薬;カンナビノイド拮抗薬;コレシストキニンA受容体のペプチドもしくは非ペプチド作動薬、胃排出を遅らせ満腹感を増大させる末梢作用剤;GLP−1受容体の作動薬:GLP−1および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態45’の組成物。
【0321】
54’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態53’の組成物。
【0322】
55’.前記抗肥満剤が、Axokine、CP−644673/P−57、BVT−933、Rimonobant/SR−141716、GI−181771、HMR−1426、エキセンジン−4から選択されている、実施形態45’の組成物。
【0323】
56’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態55’の組成物。
【0324】
57’.前記抗肥満剤が、ヒト成長ホルモン断片;PTP−1B阻害剤;DPP−IV阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態45’の組成物。
【0325】
58’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態57’の組成物。
【0326】
59’.前記抗肥満剤が、ニューロペプチドY1拮抗薬;ニューロペプチドY5拮抗薬;甲状腺ホルモン受容体β作動薬;糖質コルチコイド拮抗薬;メラノコルチン4受容体(MC−4)作動薬;アディポネクチン/APM1/acrp30および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態45’の組成物。
【0327】
60’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態59’の組成物。
【0328】
61’.前記抗肥満剤が、11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素1阻害剤;脂肪酸シンターゼ阻害剤;アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態45’の組成物。
【0329】
62’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態61’の組成物。
【0330】
63.前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬が、対象に実質的な利尿作用または抗高血圧作用をもたらさない、実施形態45’の組成物。
【0331】
64’.抗糖尿病剤、レニン阻害剤、アンギオテンシンI拮抗薬、アンギオテンシンII拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、α−アドレナリン受容体遮断薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリン受容体拮抗薬、エンドセリン変換酵素、血管拡張剤、利尿剤、シクロオキシゲナーゼ2阻害剤、ASBT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、スタチン、コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤、胆汁酸捕捉剤、抗酸化剤、ビタミンE、プロブコール、IIb/IIIa拮抗薬、キセミロフィバン、およびオルボフィバンからなる群から選択された第三分量の化合物をさらに含む、実施形態45’の組成物。
【0332】
65’.第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と第二分量の抗肥満剤とを含むキット。
【0333】
66’.単位剤形にした第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と、単位剤形にした抗肥満剤とを含む、実施形態65’のキット。
【0334】
67’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態65’のキット。
【0335】
68’.前記抗肥満剤が、消化管リパーゼ阻害剤、ノルエピネフリン再取込みおよびセロトニン再取込みの混合阻害剤、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態65’のキット。
【0336】
69’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態68’のキット。
【0337】
70’.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態65’のキット。
【0338】
71’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態70’のキット。
【0339】
72’.前記抗肥満剤が、毛様体神経栄養因子またはその同族変異体もしくは類似体のうちの1種;食欲抑制剤;5−HT−2c受容体作動薬;カンナビノイド拮抗薬;コレシストキニンA受容体のペプチドもしくは非ペプチド作動薬、胃排出を遅らせ満腹感を増大させる末梢作用剤;GLP−1受容体の作動薬:GLP−1および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態65’のキット。
【0340】
73’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態72’のキット。
【0341】
74’.前記抗肥満剤が、Axokine、CP−644673/P−57、BVT−933、Rimonobant/SR−141716、GI−181771、HMR−1426、エキセンジン−4から選択されている、実施形態65’のキット。
【0342】
75’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態74’のキット。
【0343】
76’.前記抗肥満剤が、ヒト成長ホルモン断片;PTP−1B阻害剤;DPP−IV阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態65’のキット。
【0344】
77’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態76’のキット。
【0345】
78’.前記抗肥満剤が、ニューロペプチドY1拮抗薬;ニューロペプチドY5拮抗薬;甲状腺ホルモン受容体β作動薬;糖質コルチコイド拮抗薬;メラノコルチン4受容体(MC−4)作動薬;アディポネクチン/APM1/acrp30および同族類似体;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態65’のキット。
【0346】
79’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態78’のキット。
【0347】
80’.前記抗肥満剤が、11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素1阻害剤;脂肪酸シンターゼ阻害剤;アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤;これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態65’のキット。
【0348】
81’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態80’のキット。
【0349】
82’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、実施形態65’のキット。
【0350】
83’.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、実施形態65’のキット。
【0351】
84’.前記アンギオテンシン変換酵素阻害剤が、ベナザプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キノプリル、ラミプリル、トランドラプリル、これらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態44’の方法。
【0352】
85’.前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択される、実施形態84’の方法。
【0353】
86’.前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、実施形態85’の方法。
【0354】
87’.前記抗糖尿病剤がメトホルミンである、実施形態44’の方法。
【0355】
88’.前記対象がヒトである、実施形態1’の方法。
【0356】
89’.前記対象が肥満である、実施形態88’の方法。
【0357】
90’.前記対象が高血圧である、実施形態89’の方法。
【0358】
91’.前記ヒトが片側の腎摘出を受けている、実施形態90’の方法。
【0359】
92’.前記対象が片側の腎摘出を受けているヒトである、実施形態1’の方法。
【0360】
93’.前記ヒトが肥満である、実施形態92’の方法。
【0361】
94’.前記ヒトが高血圧である、実施形態92’の方法。
【0362】
本出願の中で挙げた参照文献、書籍、雑誌、論文、特許、特許出願、または他の刊行物などのすべての引用箇所を参照により本明細書に特に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心血管関連状態の治療方法であって、その状態に罹患し易いか、またはそれに罹患している対象への、第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と、第二分量の抗肥満剤の投与を含み、前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と前記の第二分量の抗肥満剤が合わさって、治療有効量のアルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤を含む方法。
【請求項2】
前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エプレレノンを約1mg〜約250mgの範囲の1日用量で投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記心血管関連状態が、冠状動脈疾患、高血圧、心血管疾患、腎機能不全、肝疾患、心不全、脳血管疾患、血管疾患、網膜症、ニューロパシー、高血糖、高インスリン血症、インスリン抵抗性、浮腫、内皮機能不全、圧受容器機能不全、心不全、不整脈、拡張期機能不全、収縮期機能不全、虚血、肥大性心筋症、心臓性急死、心筋線維症、血管線維症、動脈伸展性障害、心筋壊死病変、血管損傷、心筋梗塞、左室肥大、駆出率低下、心臓病変、血管壁肥厚、内皮肥厚、内皮機能不全、および冠状動脈の線維素様壊死からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記心血管関連状態が高血圧である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記心血管関連状態が血管疾患である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記アルドステロン受容体拮抗薬がスピロノラクトンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬、第二分量の抗肥満剤、および薬学的に許容できる担体を含み、前記の第一分量のアルドステロン受容体拮抗薬と前記の第二分量の抗肥満剤とが合わさって、治療有効量のアルドステロン受容体拮抗薬と抗肥満剤を含む医薬組成物。
【請求項9】
前記アルドステロン受容体拮抗薬が、
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ、γ−ラクトン、メチルエステル、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−ジメチルエステル、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、γ−ラクトン、(6β,7β,11β,17β)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−(1−メチルエチル)エステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11,−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、7−メチルエステル、一カリウム塩、(7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−1,4,6−トリエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、g−アセトン(6α,7α,11α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、メチルエステル、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、一カリウム塩、(6α,7α,11α,17α)−;
3’H−シクロプロパ(6,7)プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボン酸、9,11−エポキシ−6,7−ジヒドロ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、g−ラクトン、(6α,7α,11α,17α)−;
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、g−ラクトン、エチルエステル、(7α,11α,17α)−;および
プレグン−4−エン−7,21−ジカルボン酸、9,11−エポキシ−17−ヒドロキシ−3−オキソ−、g−ラクトン、1−メチルエチルエステル、(7α,11α,17α)−
からなる群から選択されている、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記エプレレノンが約1〜約250mgの1日用量で投与される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗肥満剤が、オルリスタット、シブトラミン、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩、エステル、共役酸、およびプロドラッグからなる群から選択されている、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記抗肥満剤が、Axokine、CP−644673/P−57、BVT−933、Rimonobant/SR−141716、GI−181771、HMR−1426、エキセンジン−4から選択されている、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記アルドステロン受容体拮抗薬がエプレレノンである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
抗糖尿病剤、レニン阻害剤、アンギオテンシンI拮抗薬、アンギオテンシンII拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、α−アドレナリン受容体遮断薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリン受容体拮抗薬、エンドセリン変換酵素、血管拡張剤、利尿剤、シクロオキシゲナーゼ2阻害剤、ASBT(頂端膜胆汁酸ナトリウム輸送)阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、スタチン、コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤、胆汁酸捕捉剤、抗酸化剤、ビタミンE、プロブコール、IIb/IIIa拮抗薬、キセミロフィバン、およびオルボフィバンからなる群から選択された第三分量の化合物をさらに含む、請求項8に記載の組成物。

【公表番号】特表2006−524697(P2006−524697A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513165(P2006−513165)
【出願日】平成16年4月20日(2004.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/012205
【国際公開番号】WO2004/096132
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(304048436)ファルマシア コーポレーション (21)
【Fターム(参考)】