説明

アルミナと該アルミナ表面に拘束された化合物を含む化合物、それを供給するためのシステム及び方法

【課題】 様々な機能性材料のための送出システムを提供する。
【解決手段】 様々な機能性化合物のための送出システム。送出システムは、シリカ及び/又はアルミナを含有する組成物を組み込む。特定の成分を含有する様々な機能性材料をシリカ及び/又はアルミナ上に吸着させて、望むように用いることができる。機能性化合物は、例えば、医薬品、生体異物、抗微生物剤、抗ウイルス剤、UV吸収剤、臭気調整剤、及び芳香剤などとすることができる。1つの特定的な実施形態では、例えば、いくつかの染料をアルミナ表面上に吸着させることができる。染料がアルミナ表面上に吸着された状態で、得られる粒子は、任意の適切な印刷工程に用いるために液体賦形剤と組み合わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、様々な機能性材料のための送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
送出システムは、一般的に、機能性材料を望ましい位置に送出することを助けるか又はそうでなければ容易にするシステムを意味する。機能性材料は、望ましい位置に送出された状態で基体に作用するか又は他の方法で利益をもたらす任意の材料とすることができる。送出システムに利用することによって利益を受けることができる機能性材料の例には、経口摂取し、局所的に付加し、又は患者に皮下注射することが意図された医薬品、芳香剤、ビタミン及び栄養素、及び様々な他の及び多くの添加剤が含まれる。
【0003】
例えば、1つの特定の用途では、機能性材料は、印刷するか又は他の方法で基体に付加することが意図された染料とすることができる。従来、染料を織物材料のような基体に付加することを容易にすることが意図された染料のための様々な送出システムが提案されている。例えば、送出システムは、染料を基体に固定し、日光に露出されても染料が退色せず、環境に露出されても染料が分解せず、染料を基体に付加するのを容易し、又は、例えば、染料をより安定にするように意図されている。
【0004】
当業技術における最近の進歩を考慮しても、機能性材料のための送出システムの更なる改良が依然として必要とされている。例えば、現在、比較的高価な化学製剤を組み込まず、機能性材料を送出システムに組み込むための複雑な工程段階のいずれも必要でない、様々な機能性材料に結合することができる送出システムの必要性が存在する。染料に関しては、当業技術では、負に荷電した表面に染料を固定することができる染料のための送出システムも必要とされている。例えば、現在、負の表面電荷を有する天然又は合成のポリマー繊維を含有する織物材料に染料を固定することができる染料のための送出システムの必要性が存在する。医薬及び栄養材料に関しては、当業技術では、医薬化合物又は他の健康関連化合物を送出システムに添付することができる材料のための送出システムも必要とされている。また、選択されたイベント又はトリガが発生すると、このような医薬材料を容易に及び/又は選択的に放出することになる送出システムの必要性も存在する。更に、必要な場所及び時間に医薬材料又は他の健康関連化合物の放出を選択的にトリガする方法も必要とされている。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,681,380号
【特許文献2】米国特許第5,964,926号
【発明の開示】
【0006】
本発明は、一般的に、様々な機能性材料のための送出システムに関する。機能性材料は、例えば、着色剤、UV吸収剤、医薬品、臭気調整剤、芳香剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗生物質、生体異物、及び栄養補助剤(栄養材料)などとすることができる。本発明によれば、機能性材料は、粒子上に吸着される。例えば、機能性材料は、シリカ粒子又は粒子内/粒子上に含有されたアルミナ上に吸収される。得られる粒子は、次に、そのまま用いるか又は液体賦形剤のような賦形剤と組み合わせて望ましい位置に機能性材料を送出することができる。更に、得られる粒子又は賦形剤を含有する粒子は、包帯又はタンポンのような薬物送出装置に組み込むことができる。
【0007】
例えば、機能性材料が着色剤である場合には、本発明の粒子は、液体賦形剤に組込まれ、任意の従来の印刷手段を用いて基体に付加することができる。機能性材料が医薬又は栄養化合物のような健康関連化合物である場合には、粒子は、同様に賦形剤に組込まれ、患者の身体のすぐ近くか、接触するか、又は体内に入れることができる包帯又は薬物送出装置のような基体に付加することができる。本出願においては、「患者の身体」という用語は、ヒト又は動物の身体を意味する。このようにして、機能性材料は、患者の身体上又は身体内の選択位置に送出することができる。代替的に、このような粒子は、機能性材料を望ましい位置に送出するのに適切である場合には、患者が内服的に取り込むことができるであろう。代替的な実施形態では、機能性材料は、化学物質、身体滲出物又は水分、又はpH変化のような環境刺激への露出のようなトリガイベントが起こった後に、選択位置又は時間に粒子からトリガ可能に放出することができる。
【0008】
すなわち、一実施形態では、本発明は、アルミナを含有する粒子に関する。粒子に含有されたアルミナの少なくとも一部分は、粒子の表面に存在する。機能性化合物は、粒子の表面上のアルミナに結合される。アルミナと結合する前の機能性化合物は、以下の1つ又はそれ以上を含む成分、その互変異性体、又はその機能的均等物を含有し、ここで、R及びR’は、独立に、水素、アルキル基、又はアリール基を含む。
【化1】

【0009】
上記成分は、そのまま機能性化合物上に存在することができる。しかし、代替的に、上記成分の各々は、上述の炭素鎖に付着したR基を更に含むことができる。一般的に、このようなR基の何れも、R基が成分のアルミナとの結合に干渉しない限り、上記成分に関連して存在することができる。
上記成分は、本発明の組成物を構成する際にアルミナとの結合を形成することが見出されている。特に重要なことに、機能性化合物は、いくつかの実施形態では、アルミナの正の電荷特性をあまり変化させることなくアルミナと結合することができることが見出されている。例えば、いくつかの条件下では、アルミナは、正の表面電荷を有することができる。機能性材料がアルミナに結合された後でも、得られる構造は、依然として正の電荷を維持することが見出されている。すなわち、本発明の一実施形態では、正に荷電した粒子が形成される。粒子は、その正の電荷のために、負の電荷を有する基体の表面にクーロン引力を通じて確実に固定することができる。
【0010】
本発明の1つの特定的な実施形態では、新しい記録媒体、インク、及び着色剤化合物を含有するナノ粒子を形成することができる。本発明によれば、このような記録媒体は、基体に付加されると、向上した耐水性及び耐洗剤性を示す。例えば、本発明の送出システムは、特に負の電荷を有する基体に対する記録媒体の耐久性を改善することができる。例えば、一実施形態では、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、及びポリエステル繊維などのような合成ポリマー繊維を含有する基体に対して直接染色であるインクジェットインクのような記録媒体を本発明に従って生成することができる。
【0011】
本発明の一実施形態では、目標の/望ましい身体位置又は望ましい時間に医薬品を放出するために、医薬品のような機能薬剤は、担体粒子(アルミナ、シリカ、又はアルミナ被覆シリカ粒子など)から選択的に放出することができる。1つのこのような実施形態では、このような選択的な放出は、pH変化のような環境条件の変化に粒子を露出することにより達成することができる。例えば、このような選択的な放出は、アルカリ性環境に露出することにより達成することができる。代替的に、このような選択的な放出は、酸性環境に露出することにより達成することができる。更に、このような選択的な放出は、担体粒子を特定の化学的刺激に露出した結果とすることもできる。本発明の代替的な実施形態では、健康関連化合物を付加する方法は、健康関連化合物被覆粒子を用い、粒子が環境条件の変化に露出されるか又は化学的刺激に露出されると化合物を選択的に放出する。
【0012】
機能性化合物は、一実施形態では、塩基性又は酸性環境条件の何れかで選択的に放出することができる。例えば、本発明の1つの特定的な実施形態では、機能性化合物は、酵母感染を起こした腟の塩基性/アルカリ性環境で放出することができる。第2の実施形態では、機能性化合物は、胃の酸性環境を通過した後に、小腸の塩基性環境で放出されて感染を治療することができる。更に別の代替的な実施形態では、機能性化合物は、警告としての環境刺激の結果として、又はこのような送出又はこのような治療の成功の指示をもたらすために、医薬材料の送出の完了と共に放出することができる。代替的に、このような指示薬は、水分又は体液の出現の結果として放出することができる。このような指示薬又は信号は、染料又は芳香剤の形態とすることができる。このような状況の殆どの場合、機能性化合物が放出されている間に、粒子は、基体上に依然として留まるか、又は代替的に患者の身体を通過する。
【0013】
更に別の代替的な実施形態では、このような指示薬又は信号は、第1の種類の粒子上に含有された機能性材料の結果であるとすることができ、このような被覆粒子は、健康関連化合物(医薬品及び/又は栄養性化合物)を含有する異なる種類の付加的な粒子と共に含めることができる。更に別の代替的な実施形態では、機能性材料は、担体粒子の部位に意図的に印加された特定の化学的刺激に反応して放出するすことができる。更に別の代替的な実施形態では、トリガ可能に放出可能な送出システムを患者の身体の治療に利用する方法は、アルミナ粒子、アルミナ被覆粒子、及びシリカ粒子から選択した少なくとも一種類の粒子を準備する段階と、少なくとも1つの健康関連機能性化合物を1つ又は複数の粒子の表面に吸着して、少なくとも部分的に被覆された1つ又は複数の粒子を形成する段階と、経口摂取、注射、経皮移行、又は経粘膜移行などにより少なくとも部分的に被覆された1つ又は複数の粒子を患者の身体に露出する段階と、1つ又は複数の粒子を環境又は化学条件に露出し、それによって健康関連化合物を粒子の表面から患者の身体(動物又は人体の何れとすることができる)に放出する段階とを含む。代替的な実施形態では、このような健康関連化合物は、薬物送出装置上に含有された粒子から放出されるが、荷電引力のために(上述のように)、粒子自身は、薬物送出装置に添付されたままである。
【0014】
本発明の更に別の代替的な実施形態では、トリガ可能送出システムは、シリカ、アルミナ、又はアルミナ被覆粒子から選択された粒子と、粒子の表面に吸着した健康関連化合物とを含み、健康関連化合物は、pHの変化、水分、化学的刺激、又は身体滲出物の何れかに露出されると粒子から放出することができるものである。
更に別の代替的な実施形態では、トリガ可能送出システムは、少なくとも一部分が粒子の表面に存在するアルミナを含有する粒子と、粒子のアルミナ表面に吸着した健康関連化合物とを含み、健康関連化合物は、粒子の表面のアルミナに吸着される前は、少なくとも以下の1つ、又はその互変異性体、又はその機能的均等物を含む成分を含有し、ここで、R及びR’は、独立に、水素、アルキル基、又はアリール基を含む。
【化2】

【0015】
更に別の代替的な実施形態では、局所包帯又はタンポンのような薬物送出装置は、トリガ可能送出システムを含む。トリガ可能送出システムは、粒子、及び粒子の表面に吸着した健康関連化合物を含み、健康関連化合物は、pHの変化、水分、化学的刺激、又は身体滲出物の何れかに露出されると粒子から放出することができるものである。
本発明の他の特徴及び態様を更に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ここに説明することは、単に実施形態の例を説明したものであり、本発明の広範囲な態様を限定するように想定されたものではなく、広範囲な態様を例示的な構成で具体的に示すものであることが当業者には理解されるものとする。
一般的に、本発明は、機能性化合物のための送出システムに関する。機能性化合物は、送出された位置に利益をもたらすことができる任意の適切な物質とすることができる。本発明によれば、送出システムは、一般的に、粒子の構成に関する。例えば、このような粒子は、シリカとすることができ、好ましくはアルミナを含有するものとすることができる。粒子内にアルミナが含有されると、粒子の表面に機能性化合物のための結合部位が生じる。より詳細には、機能性化合物は、アルミナ(又は、完全にシリカ粒子である場合はシリカ)の表面上に吸着された状態である。機能性化合物がアルミナに結合された状態で、得られる粒子を用いて機能性化合物を特定の位置に送出することができる。粒子はそのまま用いることができ、例えば、特定の用途によっては、粒子の送出を容易にすることができる液体賦形剤と組み合わせることができる。粒子又は粒子を含有する液体賦形剤は、更に、タンポン、包帯、又は他の経皮送出装置のような薬物送出装置内に入れることができる。
【0017】
本発明の使用に良好に適する機能性化合物には、以下の1つ又はそれ以上、その互変異性体、又はその機能的均等物である成分の少なくとも1つを含有する化合物が含まれ、ここで、R及びR’は、独立に、水素、アルキル基、又はアリール基を含む。
【化3】

本明細書で用いる場合、上記成分の1つに対する機能的均等物とは、上述のものと同様の反応基を含むが、正確に上記のようには分子上に位置決めされておらず、しかも、依然として同じようにアルミナと結合することになる機能性材料を意味する。
【0018】
上記の成分に関して、成分(1)は、カルボキシ−ヒドロキシ成分と考えることができる。成分(2)は、ヒドロキシ−ヒドロキシ成分と考えることができ、成分(3)は、カルボキシ−カルボキシ成分と考えることができる。一方、成分(4)及び(5)は、「vinylalogous」アミド成分と考えることができる。上記成分(4)及び(5)では、アミン基は、一級アミン、二級アミン、又は三級アミンとすることができる。成分(6)及び(7)は、ヒドロキシルカルボニル成分と考えることができる。成分(8)は、カルボキシアミンと考えることができる。(8)のような成分は、アミノ酸に見出すことができる。成分(9)は、ヒドロキシイミンと考えることができる。一般的に、本発明によれば、上記成分又はその機能的均等物の1つを含有する任意の適切な機能性化合物を用いることができる。更に、R基がアルミナと形成する結合に干渉しない限り、上記成分に様々な付加的なR基を含むことができることを理解すべきである。
【0019】
本発明人は、上記成分が、少なくともアルミナ表面に比較的強力な結合を形成することができることを発見した。機能性化合物は、得られる粒子の特性を変化させるか、又は特定の機能を行うようにするためにアルミナ表面に結合することができる。理論に縛られることは望まないが、上記成分は、アルミナ表面と二座配位子結合システムを形成すると考えられる。例えば、アルミナは、上記成分と共有結合及び配位結合を形成すると考えられる。更に、表面反応が起こって機能性化合物が粒子の表面に保持され、その上に被覆を形成すると考えられる。機能性材料は、得られる粒子全体を覆うことができ、又は粒子上の特定の位置に位置決めすることができる。更に、本発明の粒子は、1つよりも多い機能性化合物を含有することができ、又は、代替的に、多くの異なる粒子は、異なる機能性化合物を含有する/含むことができることを理解すべきである。
【0020】
多くの実施形態における特に有利な点として、機能性化合物はまた、ゼータ電位として測定することができるアルミナの正の表面電荷にあまり影響を与えることなくアルミナに結合することができることも見出されている。「ゼータ電位」という用語は、以下に限定はしないが、本明細書では、界面に亘って生じる電位勾配を意味するように用いられる。この用語は、特に、本発明の粒子に接触するシュテルン層と粒子を囲む拡散層の間の界面に亘って生じる電位勾配を意味する。ゼータ電位測定は、例えば、米国ニューヨーク州ホルツビレ所在の「Brookhaven Instrument Corporation」から入手可能な「Zetapals」器具を用いて行うことができる。例えば、ゼータ電位測定は、水溶液に対して事前設定された器具のデフォルト機能を用いて、1mMのKCl溶液を含有するキュベットに1〜3滴のサンプルを加えることにより行うことができる。
【0021】
従って、アルミナが機能性材料に結合されると、得られる分子は、比較的強力な正の電荷を維持し続ける。例えば、本発明により作られた粒子のゼータ電位は、20mVより大きく、詳細には30mVより大きく、いくつかの実施形態では、40mVよりも大きくすることができる。正の電荷を維持することにより、粒子は、クーロン引力を通じて負の表面電荷を有する基体に固定するのに良好に適するものになる。本発明の粒子と基体の表面の間の電荷の差によっては、いくつかの用途では、粒子の結合は、比較的永久的で直接染色的とすることができる。その結果、本発明の送出システムを用いて、化学結合剤又は他の付着構造を用いることなく、機能性化合物を様々な基体に固定することができる。いくつかの状況では、以下に説明するように、粒子が基体に固定されている間に、機能性化合物/薬剤を粒子から選択的に放出させることができる。
【0022】
一例として、担体粒子(送出システム)には、その表面に沿って医薬機能性化合物を含むことができ、しかも、この粒子は、依然として十分な正の電荷を保持し、負に荷電した包帯又は他の局所的に接触した基体の層に付着することができる。次に、特定の化学的又は環境刺激が起こると、粒子上に含有された機能性材料は、患者の身体に選択的に放出することができるが、担体粒子は、包帯又は他の荷電表面に固定されたままとされる。
【0023】
本発明には、様々な異なる粒子及び組成物を用いることができる。例えば、機能性化合物及びそれを放出するためのトリガに基づいて、アルミナ又はシリカ粒子を用いることができる。シリカ粒子は、「Nissan Chemical America」(米国テキサス州ヒューストン)から「SNOWTEX−C」という名称で入手可能である。本発明には、様々な異なる粒子及びアルミナを含有する組成物を用いることができる。例えば、一実施形態では、機能性材料は、アルミナゾルと組み合わされる。様々な粒子の大きさの多くの異なる種類のアルミナゾルが市販されている。特定の利点として、比較的強力な正の表面電荷又はゼータ電位を有するアルミナゾルを調製することができる。この実施形態では、機能性化合物と反応する粒子は、アルミナを主に含有し、いくつかの実施形態では、アルミナのみを含有する。アルミナ粒子材料の例には、「Nissan Chemical America」(米国テキサス州ヒューストン)から入手可能な「アルミナゾル−100」及び「アルミナゾル−200」が含まれる。
しかし、他の実施形態では、機能性化合物と反応するアルミナ粒子は、様々な他の原料を含有することができる。一般的に、粒子は、機能性材料がアルミナに結合する機能を妨げない任意の材料を含有することができる。この点に関して、粒子に含有されたアルミナの少なくとも一部分は、機能性化合物を吸着するのにアルミナが利用可能であるように粒子の表面に存在すべきである。
【0024】
本発明の1つの特定的な実施形態では、粒子は、アルミナで被覆したコア材料を含有することができる。アルミナは、粒子を覆う連続被覆を形成することができ、又は不連続な被覆を形成することもできる。コア材料は、例えば、シリカのような無機酸化物とすることができる。例えば、一実施形態では、アルミナ表面被覆を有するシリカナノ粒子を含有するゾルを用いることができる。このようなゾルは、現在、例えば、米国テキサス州ヒューストン所在の「Nissan Chemical America」から市販されている。シリカは、アルミナで被覆され、いくつかのpH範囲に亘ってゾルに安定性を付与している。実際に、アルミナで被覆したシリカゾルは、本発明の用途のいくつかでは、アルミナゾルに比較して安定性に優れることができる。シリカコアを有するアルミナ粒子材料の特定の例には、「Nissan Chemical America」(テキサス州ヒューストン)から入手される「Snowtex−AK」及び米国メリーランド州コロンビア所在の「Grace Davison」から入手される「Ludox Cl」が含まれる。
【0025】
上述のように、本発明によれば、上記成分の1つ、その互変異性体、又はその機能的均等物を含有する任意の適切な機能性化合物を用いることができる。機能性化合物の例には、医薬品のような健康関連化合物、及び生体異物が含まれる。生体異物は、その生体の通常の代謝経路では起こらない生体との任意の化学的相互作用を表すのに用いられる一般的な用語である。他の機能性化合物には、UV吸収剤、臭気調整剤、芳香剤、治療薬、栄養補助剤、抗ウイルス剤、抗微生物剤、及び信号剤などを含むことができる。本発明で用いることができる治療薬の例の1つは、ヒドロコルチゾンである。栄養補助剤の例には、アスコルビン酸及びアスパルテームが含まれる。1つの特定的な実施形態では、機能性化合物は、公知の抗菌剤であるテトラサイクリンとすることができる。
本発明の更に別の実施形態では、機能性化合物は、染料のような着色剤とすることができる。本発明に従って用いることができる染料の特定の例を以下により詳細に説明する。
【0026】
上述の機能性化合物の何れかがアルミナ(又は、場合によってはシリカ)に結合した状態で、粒子は、機能性化合物を望ましい位置に送出するための送出賦形剤として働く。粒子に結合された状態で、機能性化合物は、用途により、取り扱いが容易になることもあり、安定性が増すこともあり、又は他の特性が改良されることもある。更に、得られる粒子構造は、様々な他の媒体に組み込むことができる。例えば、粒子構造は、液体賦形剤に組み込むことができ、カプセルに形成することができ、ゲル、ペースト、又は他の固形材料などと組み合わせることができる。上述のように、粒子は、包帯及びタンポンのような薬物送出装置に組み込むことができる。
【0027】
本発明により形成した粒子及び機能性化合物は、どのような結果を望むかにより、様々な形態、形状、及び大きさで存在することができる。例えば、粒子は、任意の形状にすることができ、例えば、球、結晶、棒状、円板、管状、又はひも状の粒子とすることができる。また、粒子の大きさも劇的に変化させることができる。例えば、一実施形態では、粒子の平均寸法は、約1mmよりも小さく、詳細には約500ミクロンよりも小さく、より詳細には、約100ミクロンよりも小さいとすることができる。しかし、他の実施形態では、更に小さなサイズが望ましいこともある。例えば、粒子の平均直径は、約1,000nmよりも小さく、詳細には約500nmよりも小さいとすることができる。本明細書で用いる場合、粒子の平均直径は、粒子の平均長さ、幅、高さ、又は直径を意味する。
上述のように、本発明の粒子には、1つ又はそれ以上の機能性化合物を含有する表層が含まれる。粒子上の被覆は連続とすることも不連続とすることもできる。粒子自身は、非晶質であると考えられる。
【0028】
1つの特定的な実施形態では、本発明は、染料のための送出システムに関する。より詳細には、上述のようにアルミナを用いると、染料を基体に付加しようとする時に様々な利点及び利益がもたらされることが見出されている。例えば、アルミナ送出システムは、熱可塑ポリマー並びに天然繊維を含有する基体のような負に荷電した表面を有する基体に永久的印刷を行う手段をもたらすことができることが見出されている。インクは、化学結合剤を用いず、基体に前処理又は後処理工程も用いずに、比較的低価格であまり複雑でない方法で基体に固定される。
【0029】
例えば、本発明により染料がアルミナに吸着された状態で、多くの用途では、得られる粒子は正の電荷を有する。従って、粒子は、クーロン引力により、負に荷電した表面に固定することができる。粒子と基体の間の荷電の差によっては、染料は、水及び洗剤に対する弾力性があることにより、洗濯堅牢度のような永久的特性を示すことができる。例えば、一般的に、基体と粒子の間の荷電差が約42mVよりも大きければ、洗濯堅牢度が得られる。
【0030】
一般的に、本発明の工程には、上述のようなカルボニル−ヒドロキシ成分、ヒドロキシ−ヒドロキシ成分、カルボニル−カルボニル成分、「vinylalogous」アミド成分、その互変異性体、又はその機能的均等物、又は他の何れかの成分を含有する任意の染料を用いることができる。アルミナに吸着することができる染料の様々な例は、以下のようなものである。しかし、以下のリストは、網羅的なものではなく、本発明を限定するものでもないことを理解すべきである。









【0031】
アントラキノン(5)発色団含有染料
【化4】

数字は、アントラキノン構造の置換位置を示す。この表は、アントラキノン構造の1、4、5、又は8位で起こる染料置換基を示す。言い換えると、この表は、アルミナ結合成分1〜5を形成する基の存在を示すものである。




































【0032】

【0033】
サリチル酸塩又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸成分含有染料
更に、本発明によれば、以下に示すようなサリチル酸塩(6、R=OH)、サリックアミド(6、R=NH2、NHAr、NHAlk)、又はBON酸(3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)(7、R=OH)、又は窒素含有BON酸誘導体(7、R=NH2、NHAr、NHAlk)成分含有染料を用いることもできる。これらの染料は、「色指数媒染」用途の部類に該当することが多い。
【化5】

【0034】

【0035】
クロモトロープ酸ベースの染料
更に、クロモトロープ酸8ベースの染料も、アルミナに対して直接染色的である。アゾ染料は、クロモトロープ酸がジアゾニウム塩と反応する時に形成される。アゾ結合は、2及び/又は7位で起こる。
【化6】

【0036】

【0037】
アセトアセトアニリド含有染料
更に、アセトアセトアニリド成分9を含有する染料は、アルミナに結合するための正確な幾何学的配置を包含する。アゾ染料は、アセトアセトアニリドベータを2つのカルボキシル基に連結する。一例は、Clアシドイエロー99である(10)。アセトアセトアニリドは、アルミナの表面上に吸着することになる。
【化7】

【0038】
ナフトキノン着色剤
アルミナの表面と錯体を形成するには、ナフトキノン(11)型構造も有用である。
【化8】

Clナチュラルブラック1(ヘマトキシリン)は、キノイド基を含有してアルミナに直接染色的である染料の別の例である。
【0039】
アルミニウム染料:陽極処理アルミニウムを染色するのに有用であると公知の染料
陽極処理アルミニウムを着色するのに有用であることが公知のいくつかの染料があり、これには、Clモルダントレッド7(エリオクロムレッドB)が含まれる(12)。五員環ピラゾロン環酸素原子の幾何学的配置が、それをアルミナの錯化のためのβナフトール基の正確な位置に導くと考えられている。従って、以下の構造は、カルボニル−ヒドロキシ成分に対する機能的均等物と考えることができる。また、この構造は、「vinalogous」アミドと機能的に同等な「iminalogous」アミド成分も含有する。
【化9】

【0040】
アルミニウムレーキ形成染料
いくつかの陰イオン性染料をいくつかの金属イオンを用いて沈殿させ、「レーキ顔料」として公知の不溶性の着色化合物を形成することができる。例えば、エリスロシン(テトラヨードフルオレセイン)は、アルミニウムイオンと不溶性塩を形成する。この塩は、Clピグメントレッド172として公知である。
Clピグメントブルー36は、以下のようなインジゴ二スルホン酸塩のアルミニウムレーキである(FD+C Blue1)。
【化10】

【0041】
上述の染料に加えて、いくつかの実施形態では、他の機能性化合物又は添加剤をアルミナに結合することが望ましい場合がある。例えば、添加剤が上述のような成分を含有する場合には、染料を安定化させる染色工程を助ける添加剤もアルミナに結合させることができる。このように用いることができる機能的添加剤には、荷電担体、熱酸化安定剤、架橋剤、可塑剤、荷電制御添加剤、流れ制御添加剤、充填剤、界面活性剤、キレート剤、着色剤安定剤、又はその組合せが含まれる。
【0042】
様々な方法を用いて、アルミナに吸着した染料を含有する本発明による染料粒子を構成することができる。例えば、いくつかの用途では、アルミナ及び反応成分を含有する染料を水溶液中で組み合わせて反応させることができる。
しかし、いくつかの実施形態では、染料が水に溶解するのが困難である場合がある。この実施形態では、染料は、最初に最小量の溶媒に溶解させることができる。溶媒は、例えば、アセトン、エタノール、又は水混和性の同様の液体とすることができる。染料を溶媒と組み合わせた後に、必要に応じて、加えた染料固体の重量で約0%〜約50%よりも多い量で界面活性剤を加えることができる。一般的に、溶媒に加える界面活性剤の量は最小限にすべきである。用いることができる適切な界面活性剤の1つは、例えば、米国ペンシルベニア州アレンタウン所在の「Air Products and Chemicals、Inc.」から販売されている「SURFYNOL 440」界面活性剤である。
【0043】
次に、迅速に撹拌しながら、アルミナを含む粒子を含有する希釈水性懸濁液に、溶解した染料溶液を加えることができる。決定的ではないが、水性懸濁液を僅かに加熱すると良好な結果が達成される場合がある。
十分な時間に亘って持続的に撹拌した後に、染料は、沈殿させることにより混合物全体に分散され、ゆっくりと水に溶解する。水に溶解した状態で、染料は、粒子内/粒子上に含有されたアルミナによって吸着されることが可能である。
染料がアルミナに吸着された状態で、得られる粒子を用いて適切な印刷工程のような様々な工程に用いるための適切な着色剤組成物を配合することができる。
【0044】
着色剤組成物は、水性又は非水性媒体を含むことができるが、液体印刷媒体を用いる用途では水性媒体が有用である。本発明の着色剤組成物は、粒子、並びに望ましい着色剤安定剤及び添加剤を含有する。例えば、着色剤組成物は、第2の着色剤、ポルフィンのような着色剤安定剤、分子包接物、プレポリマー、及び上述の任意の付加的成分である添加剤の何れかと組み合わせた上述の粒子を含有することができる。
【0045】
本発明は、本明細書に開示するナノ粒子を含むインクジェットインクのような記録媒体を含む。インクジェットプリンタに用いるインクは、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれる、「Kimberly−Clark Worldwide」に譲渡された米国特許第5,681,380号に説明されている。インクジェットインクは、通常、主溶媒としての水、好ましくは重量で約20〜約95パーセントの脱イオン水、重量で約0.5と約20パーセントの間の量の様々な補助溶剤、及び本発明の粒子を含有することになる。
【0046】
更に、インク製剤には、様々な補助溶剤を含むことができる。このような補助溶剤の例には、N−メチルピロリドンのようなラクタムが含まれる。しかし、任意的な補助溶剤の他の例には、N−メチルアセトアミド、N−メチルモルホリン−N−オキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、プロピレングリコール−モノメチルエーテル、テトラメチレンスルホン、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルが含まれる。用いることができる更に別の溶媒には、プロピレングリコール及びトリエタノールアミン(TEA)が含まれる。アセトアミドベースの補助溶剤も製剤に含まれる場合には、重量で約1.0〜12パーセントの間の範囲内で、典型的には重量で約5パーセントで存在する。
【0047】
任意的に、インク製剤には、重量で約0.5と20パーセントの間の量の1つ又はそれ以上の湿潤剤を含むことができる。製剤に任意的に用いるための付加的な湿潤剤には、以下に限定されるものではないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、及びポリエチレングリコール200、400、及び600、プロパン1,3ジオール、他のグリコール、「Dowanol PM」(米国カリフォルニア州サンタアナ所在の「Gallade Chemical Inc.」)のようなプロピレングリコールモノメチルエーテル、多価アルコール、又はその組合せが含まれる。
【0048】
また、インク性能を改善するために、例えば金属錯体染料との使用に対して長期間の間にインクを損なう可能性がある化学反応に関わる可能性がある金属イオンを隔絶するためのキレート剤、プリンタ又はインク送出システムの金属構成要素を保護するのに役立つ腐食防止剤、インク中の望まない細菌、真菌、又は酵母菌の繁殖を制御するための殺生物剤又は静生物剤、及びインク表面張力を調節するための界面活性剤のような他の添加剤を含むこともできる。しかし、界面活性剤の使用法は、用いるプリントヘッドの種類に依存する場合がある。界面活性剤が含まれる場合には、それは、一般的に重量で約0.1〜約1.0パーセントの量で存在する。腐食防止剤が含まれる場合には、それは、一般的に重量で約0.1と約1.0パーセントの間の量で存在する。殺生物剤又は静生物剤が含まれる場合には、それは、一般的に重量で約0.1と約0.5パーセントの間の量で存在する。
【0049】
殺生物剤又は静生物剤をインク製剤に加える場合には、一例として「Proxel GXL」(米国デラウェア州ウィルミントン所在の「Zeneca Corporation」)を含むことができる。他の例には、「Bioban DXN」(米国イリノイ州バッファロー所在の「Angus Chemical Company」)が含まれる。腐食防止剤を製剤に加える場合には、一例として「Cobratec」(米国オハイオ州シンシナチ所在の「PMC Specialty Group Distributing」)を含むことができる。別の腐食防止剤には、亜硝酸ナトリウム、リン酸トリエタノールアミン、及びn−アシルサルコシが含まれる。更に別の例には、ベンゾトリアゾール(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー所在の「Aldrich Chemical Company」)が含まれる。界面活性剤が製剤に含まれる場合には、それは、一般的に「Surfynol 504」(米国ペンシルベニア州アレンタウン所在の「Air Products and Chemicals、Inc.」)で代表される非イオン性界面活性剤である。更に他の例には、「Surfynol 465」及び同じく「Air Products」から入手可能な「Dynol 604」が含まれる。キレート剤が製剤に含まれる場合には、一例として、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)を含むことができる。更に、製品の用途によっては、製剤にpH安定剤/緩衝剤(例えば、クエン酸及び酢酸、及びそのアルカリ金属塩誘導体)、粘性調整剤、及び「Surfynol DF−65」のような脱泡剤などの他の添加剤を含むことができる。
【0050】
どのように着色剤組成物を製剤化するかにより、組成物は、様々な印刷工程に用いることができる。例えば、インクジェット印刷及び他の非衝撃プリンタに加え、着色剤組成物は、スクリーン印刷工程、オフセット平板印刷工程、フレキソ印刷工程、ロトグラビア印刷工程などにも用いることができる。上述の印刷工程のいくつかでは、着色剤組成物に増粘剤を加えることが必要な場合がある。増粘剤は、例えば、アルギン酸塩とすることができる。
【0051】
本発明の記録媒体又は着色剤組成物は、任意の基体に付加して基体を着色することができる。組成物を付加する基体には、以下に限定されるものではないが、紙、木材、木材製品又は複合体、織布、不織布、編織布、フィルム、プラスチック、ガラス、金属、ヒトの皮膚、動物の皮膚、及び革などを含むことができる。1つの態様においては、着色剤組成物又は記録媒体は、衣類のような編織布物品に付加することができる。
【0052】
1つの特定的な実施形態では、本発明の粒子を含有する着色剤組成物は、負の表面電荷を有する基体に付加することができる。上述のように、本発明の粒子に含有されたアルミナは、染料が吸着した後にも正の電荷を保持する。その結果、粒子は、負に荷電した表面に固定されたままとなる。実際に、着色剤組成物の耐洗濯性は、基体と本発明の粒子の間に相当な量の荷電差がある場合に生じるであろう。
【0053】
以上の内容を考慮すると、本発明により製造した着色剤組成物は、負の表面電荷を有する天然及び合成基体に付加するのに特に適切である。例えば、一般的に、負の表面電荷を含有する天然材料には、綿繊維、セルロース繊維、及びそれらから製造された基体が含まれる。このような基体には、全種類の布、衣服及び服飾品、及び紙製品などが含まれる。
上述の天然材料に加えて、1つの特定的な実施形態では、本発明により製造される着色剤組成物は、熱可塑ポリマーのような合成ポリマーで製造された基体に付加するのにも良好に適することが見出されている。このような基体には、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンのようなポリオレフィンポリマー、及びポリエステルなどから製造された織及び不織材料を含むことができる。過去において、この種の材料に染料を固定しようとすると様々な問題があった。その結果、複雑な染料構造を用いるか、又は染料及び/又は顔料を化学結合剤と組み合わせて付加するかの何れかであった。しかし、本発明の粒子は、化学結合剤又は錯体化学構造を用いることなく、これらの材料に永久的に固定することができる。
【0054】
必要というわけではないが、いくつかの実施形態では、ポリマー基体を前処理又は後処理することが望ましい場合があり、これによって、染料又は説明した他の機能性化合物を材料に固定することを更に助けることができる。例えば、合成ポリマーで製造された基体には、負の表面電荷を増大させるために前処理工程を行うことができる。例えば、このような前処理工程には、基体にコロナ処理又はエレクトレット処理を行う段階が含まれる。エレクトレット処理は、例えば、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれるCohenに付与された米国特許第5,964,926号に開示されている。このような前処理は、ポリマー材料の負の表面電荷を増大させるだけでなく、ポリマーを湿潤させてポリマーと本発明の粒子の間の表面付着を高めるのを助けることが見出されている。
【0055】
前処理工程に加えて、本発明の粒子と接触した基体には、粒子を基体に固定するのに更に役に立つ様々な後処理を行うことができる。例えば、一実施形態では、処理基体に、ラジオ周波数放射又はマイクロ波放射を行うことができる。アルミナは、ラジオ周波数放射及びマイクロ波放射を吸着して粒子を加熱することが公知である。加熱された状態で、粒子は、更にポリマー基体に埋め込まれると考えられている。更に、粒子は、基体を一緒に加熱することなく、望む温度よりも高温まで加熱することができる。
【0056】
以上の実施形態に加えて、機能性化合物(健康関連化合物)を上述の粒子に吸着させ、次に、それが粒子上にある間に利用して状態又は症状を治療することができ、又は粒子から選択的に放出させて医学的状態又は症状を治療することもできる。このような選択的な放出は、環境的トリガ又は化学的刺激により達成することができる。このような被覆粒子は、直接に、又は修正包帯、タンポン、又は他の公知の経皮送出装置のような薬物送出装置の助けを借りて局所的に患者の身体に投与することができる。代替的に、このような被覆粒子は、様々な機構で内服することができる。
本発明は、以下の実施例に関連して更に良く理解することができる。
【実施例1】
【0057】
「アルミナゾル200」(Nissan Chemical America)を脱イオン水で希釈し、2%「アルミナゾル200」懸濁液を得た。その間に、カルミン酸(0.02g)を脱イオン水(1g)に懸濁した。カルミン酸は、ヒドロキシ−カルボニル成分を含み、以下のように表すことができる。
【化11】

カルミン酸を測定セル内に滴下する時に、アルミナゾル中のアルミナ粒子のゼータ電位がモニタされた。ゼータ電位は、カルミン酸を更に加えても変化しなかった。カルミン酸(赤/オレンジ)をアルミナゾル(青みがかったマゼンタ)に加えると有意な色のシフトが見られた。以下のゼータ電位の結果が得られた。
【0058】

【0059】
上述のように、正に荷電したアルミナは、荷電逆転段階を経ることなくカルミン酸を吸着することができる。
【実施例2】
【0060】
「アルミナゾル200」(「Nissan Chemical America」、2g)をよく撹拌しながら脱イオン水(98g)で希釈した。カルミン酸(「Aldrich」、#22,925〜3)(0.5011g)をよく撹拌しながら脱イオン水(23.7135g)に懸濁した。カルミン酸は、この濃度では完全には溶解しなかったので、一部分を取る時には常に懸濁した固体も抜き取るように、激しく撹拌しながら取られた。皮下注射器を用いてカルミン酸懸濁液1mlを抜き取った。これをよく撹拌しながら希釈「アルミナゾル200」に加えた。懸濁液は、白から青みがかった赤に変化した。
添加後のゼータ電位をモニタして、以下のような変化を調べた。
【0061】

【0062】
この混合物を一晩撹拌した。翌朝、全ての染料は溶解しており、染料結晶は見られなかった。
【実施例3】
【0063】
この実施例では、本発明により、カルミン酸に加えて、Clアシドブルー25及びClアシドブルー45がアルミナに結合された。Clアシドブルー25及びClアシドブルー45は、以下の構造を有する。
【化12】

0.2008gClアシドブルー25(Aldrich)を19.7735g脱イオン水に加えて撹拌し、懸濁液を得て、それを30分間撹拌した。この1mlを2gのアルミナゾル及び98gの脱イオン水を含有する混合物に加えた。混合物を一晩撹拌し、全ての染料が確実に溶解するようにした。
【化13】

0.2507gのClアシドブルー45(Aldrich)を20.1751g脱イオン水に30分間撹拌しながら懸濁した。1ml(注射器)を2gのアルミナゾル及び98gの脱イオン水の混合物に加えて青い錯体を得た。混合物を一晩撹拌して全ての染料が確実に溶解するようにした。
【0064】
以下のサンプルでは、高濃度の「アルミナゾル200」をカルミン酸と組み合わせた。より詳細には、0.111gの氷酢酸(「Fischer」、ACSプラス試薬級)を29.795gの脱イオン水で希釈した。これを49.941gの「アルミナゾル200」にゆっくりとよく撹拌しながら加えた。この混合物を20分間撹拌し、この時点でカルミン酸の脱イオン水懸濁液(0.5011gカルミン酸を水23.7135gに入れる)の4ml(注射器を用いて測定)をよく撹拌しながら一度に加えた。混合物を一晩撹拌した。
【0065】
次に、上述の実施例2に列記したのと同じ原料(カルミン酸)を同じ量で含有する第4のサンプルを構成した。
全ての混合物は、3時間放置しても底泥が沈降せず、暗い染料結晶が観察されなかったという点で均質であるように見えた。ゼータ電位及び粒子の大きさの分析は、Clアシドブルー25を含有するサンプルを除く全てのサンプルに対して、「Brookhaven Instrument」の「PALS Zeta」電位分析装置を用いて行った。以下の結果が得られた。





【0066】

【0067】
上述の3つの溶液には、次に、染料がアルミナ表面に吸着したことを実際に示すための透析試験が行われた。より詳細には、3つの溶液は、3%氷酢酸に対して「Sigma透析管」(「Cellulose」、12,000mwカットオフ、「Sigma D−0655」であり、管は、使用前に脱イオン水に2時間浸し、グリセリンを除去して管を可撓性にした)を用いて透析された。対照として、少量のカルミン酸を透析管に加え、3%酢酸を含有する浴に入れた。2時間以内に、カルミン酸はセルロース膜を横切り、3%酢酸溶液を着色した。アルミナゾル混合物からは着色が見られず、色の変化と共に着色剤が強力に粒子に吸収されていることが示唆された。翌朝、50%アルミナゾル/カルミン酸溶液は、水を青みがかった赤に着色した。しかし、バッグが破れていたと考えられる。更に、アルミナゾルアシドブルー45透析の透析溶液には、極めてかすかに、殆ど目に見えない青色の着色が見られ、この着色剤は、アルミナに強力には吸着されていなかったことが示唆された。
【実施例4】
【0068】
以下の試験は、綿上の本発明の粒子の洗濯堅牢度を明らかにするために行ったものである。
2%アルミナゾル/アシドブルー45、2%アルミナゾル/カルミン酸、及び50%アルミナゾル/カルミン酸を含有する上述の実施例3で調製した3つの組成物で、綿ポプリン布(0.01198g/cm2、「Yuhan−Kimberly」より入手、非被覆)上に染みを付けて60℃で一晩乾燥した。アルミナゾル含有混合物を綿上に滴下すると、布に溢れた領域のみが着色することが観察された。染色領域の周りから無色の水が吸上げられることから、i)混合物中には非吸着染料が存在しない、及びii)ナノ粒子が綿に吸収されて固定されることが示唆された。
【0069】
更に、対照サンプルも調製した。より詳細には、最初に、23.7135グラムの脱イオン水に0.5011グラムのカルミン酸を含有するカルミン酸溶液を製剤化した。カルミン酸溶液をピペットを用いて綿ポプリン布上に滴下し、60℃で一晩乾燥させた。
サンプルは、i)熱流水の下ですすぎ、次に、撹拌しながら(機械的パドル撹拌機)、1g/リットルの「エーロゾルOT」(米国ニュージャージー州パターソン所在の「Cytec Industries」から得られるスルホコハク酸ジオクチルナトリウム界面活性剤)及び1g/リットルの重炭酸ナトリウムを含有する2リットルの水に入れて2時間撹拌することにより洗浄した。サンプルを60℃の洗濯浴に入れ、この浴を2時間かけて30℃まで冷却した。布を冷水ですすぎ、その後周囲空気で乾燥した。
対照サンプルのカルミン酸を綿からすすぎ出した。殆ど全ての染料/アルミナゾル錯体は、青みがかった赤の染色として残っていた。
【実施例5】
【0070】
以下の試験を行い、ポリプロピレン不織スパンボンド布上の本発明により製造した粒子の洗濯堅牢度を明らかにした。試験したスパンボンド布の坪量は2osyであった。
ポリプロピレンスパンボンドには、i)カルミン酸、ii)実施例3で調製した濃縮50%アルミナゾル/カルミン酸錯体懸濁液、及びiii)実施例3で調製した2%アルミナゾル/カルミン酸錯体懸濁液を塗りつけた。全ての場合において、ポリプロピレンは、これらの材料で濡れるのが困難であったために、塗りつけるのにゴム手袋を着用する必要があり、試験ピペットを用いて液体を加えた。材料を強制的に塗りつけてしまうと、材料は殆ど退縮しなかった。サンプルは、60℃で一晩乾燥させた。
更に多くのポリプロピレンに50%アルミナゾル/カルミン酸錯体を塗りつけた。これらのサンプルは、60℃で乾燥させて半分に切断した。サンプルの半分は、ある一定範囲の時間(10秒、20秒、28秒)に亘ってマイクロ波放射(「Sharp」製回転型家庭用マイクロ波オーブン、型番R−410CK、出力1100ワット)を受けた。
【0071】
上述の実施例4の綿と同じ手順を用いて、全てのポリプロピレンサンプルを洗濯した。以下の結果が得られた。
i)対照サンプルのカルミン酸はPPから出してすすいだ。
ii)アルミナゾル/カルミン酸インクの全てではないがその一部は、ポリプロピレン上に保持された。洗い出しの性質は、その領域の一般的色あせではなかった。しかし、いくつかの領域からは全ての材料が失われているように見えたが、他の領域ではそうではなかった。言い換えると、あたかもインクがポリプロピレンを濡らさなかったように見えた。
iii)洗濯前にマイクロ波を照射したサンプル上には、かなり多くのアルミナゾル/カルミン酸が保持された。マイクロ波処理は、着色粒子を加熱し、ポリプロピレン内に埋め込む可能性があると考えられている。長時間マイクロ波を照射しても、印刷の洗濯堅牢度はあまり改善されなかった。
【実施例6】
【0072】
この実施例では、アルミナゾルを用いる代わりに、アルミナで表面被覆されたシリカ粒子を含有するゾルを用いた。表面被覆シリカ懸濁液は、米国テキサス州ヒューストン所在の「Nissan Chemical America」から得られた。懸濁液は、「SNOWTEX−AK」という商標で販売されている。
「SNOWTEX−AK」(米国テキサス州ヒューストン、「Nissan Chemical America」)の20%wt/wt懸濁液50mlを周囲温度で撹拌し、その間に0.2グラムのカルミン酸染料(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー、「Aldrich Chemical Company」)を加えた。一晩撹拌を続けると、濃い赤色から青/紫に劇的に色が変化した。
ナノ粒子の物理パラメータは以下の通りである。
「SNOWTEX−AK」−大きさ:62nm、ゼータ電位:+36mV
カルミン酸を備えた「SNOWTEX−AK」−大きさ:83nm、ゼータ電位:+35mV
アルミニウム染料錯体の結合形成では、ゼータ電位は変化しなかった。
【0073】
上記「インク」溶液を4”×4”片の未処理綿布に付加し、空気乾燥させた。カルミン酸のみを用いて同様の対照サンプルを構成した。乾燥布に対して、次に、60℃で2時間に亘って「Ajax」液体洗剤及び重炭酸ナトリウムを含有する水2リットルで洗濯サイクルが行われた。布サンプルを次に空気乾燥した。「SNOWTEX−AK」/カルミン酸サンプルは、洗濯サイクルの後退色が全くなかった。これと対照的に、対照サンプル(0.2gカルミン酸の50ml水水溶液で染みを付け、同じ条件で乾燥したサンプル)は、同じ条件下で洗濯した後に全ての色を失った。
【実施例7】
【0074】
以下の実施例は、染料と対照的に他の機能性化合物への本発明の応用を明らかにするものである。
テトラサイクリンは、本発明によってアルミナに結合することができるカルボニル−ヒドロキシ官能基を含有する抗菌剤である。テトラサイクリンは、一連のシクロマイシンの異性体である。テトラサイクリンは、主構成要素として以下の化学構造で表される4S−(4,4,5,6,12)−4−(ジメチルアミノ)−1,4,4,5,5,6,11,12−オクタヒドロ−3、6,10,12,12−ペンタヒドロキシ−6−メチル−1、11−ジオキソ−2−ナフタセンカルボキサミドを含有する。
【化14】

【0075】
テトラサイクリンのUV可視吸光スペクトルは、UV可視分光光度計(「Perkin−Elmer」製「UV−Visible」分光光度計)を用いて測定した。テトラサイクリンは、水中で357nmで吸収することが見出された。「SNOWTEX AK」懸濁液(実施例6に説明したもの)をテトラサイクリン溶液に加えると、深色シフトが起こって365nmに吸収が生じることから、テトラサイクリンが「SNOWTEX AK」粒子のアルミナ表面上に吸着されていたことが示唆された。
【0076】
更に別の医薬品の実施例
更に別の実施例では、付加的な医薬薬剤のアルミナ粒子に強力に結合するその性質が評価された。これには、以下の表に説明する薬剤が含まれ、これらは顕著なシフトを明らかにした。これらの薬剤は、癌細胞を死滅させるか又は拡散を止める薬として用いるための抗悪性腫瘍薬と考えられている。バイカレインは、ヒトのTリンパ性白血病細胞に対する抗増殖作用を試験されている。
【0077】















【0078】
【化15】



























【0079】
本発明と組み合わせて用いることができる更に別の医薬薬剤には、以下の材料が含まれる。
【化16】











【0080】
上述のシステムと同様に、望ましい官能性成分を有する薬用栄養剤の実施例をそのアルミナ粒子に結合する性質に関して評価した。このような化合物の実施例は、アスコルビン酸(ビタミンC)及びフェニルアラニン(「Equal(登録商標)」に見られる甘味料)であった。これらの材料の構造式及びこのような粒子に結合する機能は、以下の表に見られるように明らかにされた。
【化17】

【0081】

【0082】
ここでは、「SNOWTEX−AK」をアスコルビン酸溶液に加えると吸収極大にシフトが見られたが、青方偏移が見られた(浅色)ことに注意すべきである。アスコルビン酸の別の溶液に希釈酸を加えてもシフトが見られないことから、このシフトは結合によるものである。同様に、フェニルアラニンが「SNOWTEX−AK」に結合しても青方偏移(浅色シフト)が観察された。
【0083】
担体ナノ粒子への様々な医薬品又は栄養材料の吸着の実施例、及びトリガ機構の作動時のこのような材料の選択的放出
更に別の組の実施例においては、医薬材料は、担体アルミナ粒子に吸着した後に、担体粒子から選択的に放出された。より詳細には、テトラサイクリン及びヒドロコルチゾン薬剤(0.01g)の別々の水溶液50mlを調製し、これに、アルミナナノ粒子(SNOWTEX−AK)懸濁液(5mlの20%wt/wt)を加えた。「UV−VIS Lambda」極大に深色シフト(赤方偏移)が再び観察され、これは、これらの医薬薬剤がアルミナ粒子の表面に強力に結合していることを示した。以下の表は、記録した「UV−VIS」スペクトルのシフトを示すものである。医薬薬剤が粒子に結合した状態で、それらは、制御されたpHトリガ機構により選択的に放出される。すなわち、修正ナノ粒子懸濁液のpHを高いpH値に変化させることにより、「UV−VIS Lambda」極大の第2の赤方偏移で観察されるように、医薬薬剤が放出された。特に、アルカリ剤、すなわち、希水酸化ナトリウム(0.1N)を0.5ml量でサンプルに加えた。テトラサイクリンは、修正ナノ粒子の懸濁液がpH9/10又はそれ以上に変化すると、アルミナ表面から放出された。ここで見られたシフトは、自由医薬薬剤の吸収極大に対応する。



【0084】

【0085】
従って、医薬薬剤のこれらの2つの実施例は、担体粒子から医薬薬剤を選択的に放出する機能を明らかにしている。「pHトリガ」を用いることにより、必要時に制御された方法で機能性化合物を放出することができる。
送出システムのこのようなトリガは、pHを変化させることになる感染のような環境の変化によって達成され、身体位置によるpHの固有の差を良好に利用しており、pH変化材料のような化学物質を送出システムに導く意図的行為が機能性化合物の放出をトリガすることができることに注意すべきである。送出システムに導くことができる化学物質には、水又は生体流体で濡れるとpH変化を起こすことになる重炭酸塩、炭酸塩、及び緩衝塩が含まれる。
【0086】
更に別の代替的な実施形態では、芳香剤のような信号薬剤をそれ自体で又は様々な種類の粒子上の健康関連化合物と組み合わせて用いて共に状態を治療し、このような治療の有効性又は特定のイベントが起こったことを患者に知らせることができる。一例として、芳香剤を1つの種類の粒子に吸着させることができ、抗生物質を第2の種類の粒子に吸着させることができる。粒子は、同時に感染部位に送出することができる。感染部位がアルカリ性であれば、抗生物質の放出が促進されることになる。感染が除去されて通常に近い酸性環境に戻ると、芳香剤を放出することができ、これが感染の有効な治療の指示を提供する。更に別の例では、包帯、又は女性用ケア製品又は小児用ケアおむつ製品のようなパーソナルケア製品において、信号を用いて体液又は滲出物の放出のような特定のイベントの指示を発生することができる。
【0087】
機能性化合物が表面に結合されたアルミナナノ粒子を調製するのに用いられる方法は、以下の段階を含んでいた。すなわち、機能性化合物を撹拌しながら水に溶解した。この撹拌溶液に、アルミナナノ粒子をゆっくりと加え、得られる混合物を約5〜10分撹拌し、機能性化合物をナノ粒子の表面に結合させた。撹拌混合液の一定分量を取ってクォーツセルに入れることにより、この水溶液の「UV−VIS」スペクトルを得た。「UV−VIS」スペクトルは、水を標準にした「UV−VIS」分光光度計「型番UV−1601」(島津製作所)を用いて得られた。ゼータ電位及び粒子の大きさの測定は、「ZetaPals Instrument」(米国ニューヨーク州ホルツビレ所在の「Brookhaven Instrument Company」)を用いて判断された。
【0088】
pHトリガを用いて結合機能性化合物を放出するのに用いられる方法は、以下の段階を含んでいた。機能薬剤が表面に結合したアルミナナノ粒子を撹拌しながら水溶液(懸濁液)に入れる。この撹拌懸濁液にゆっくりと希水酸化ナトリウム(0.1N)を滴下し、続いてpHを測定した。この懸濁液の一定分量を取って「UV−VIS」スペクトルを測定した。このようにして、結合機能薬剤のラムダ極大ピークが減少することを観察することができ、自由機能薬剤のラムダ極大ピークが出現して増大することを観察することができる。
【0089】
更に別の実施形態では、送出システムは、タンポンに組み込まれると考えられる。健常な腟液は、酸性であり、一般的に3〜5pHの範囲である。しかし、酵母感染又は他の微生物感染が起こると、pHがアルカリ性の範囲まで変化する。このpHの変動により、テトラサイクリンのような薬物又は緩衝薬剤の放出がトリガされ、腟液及び細菌叢を健康なpHに回復することになる。例えば、薬用タンポンには、結合抗生物質(「結合した」とは、それ自身が荷電引力によりタンポン基体に付着したナノ粒子の表面に、機能性化合物が吸着されることを意味する)を含むことができる。患者の腟のpHが酵母感染によりアルカリ性に変化すると、タンポンは、酵母感染を制御するために結合抗生物質を放出するようにトリガされ、これによって、pHが正常酸性環境に戻ることになる。更に別の代替的な実施形態では、このようなナノ粒子送出システムを用いて医薬薬剤を胃(酸性環境を有する)を通過して運び、次に、薬剤を小腸(塩基性/アルカリ性環境を有する)内に放出することができる。更に別の代替的な実施形態では、このようなナノ粒子送出システムは、水分又は身体滲出物が出現するか又はpH変化化学物質を投与するとトリガすることができる。これらの場合には、包帯の担体ナノ粒子に含有された機能性材料は、創傷部位内又はその上に選択的に放出することができる。
【0090】
環境条件の変化時の医薬薬剤の放出を示すのに用いることができる信号システムの実施例
シリカ粒子結合及び放出
以下の実施例は、シリカナノ粒子を利用すること(アルミナ粒子とは対照的に)及び信号機能薬剤を粒子表面に結合させることを示すものである。pHでトリガされるシリカ被覆粒子の放出は、酸を添加してpHをシリカ粒子の環境まで下げることにより活性化される。これらの実施例では希酸を用いる。
表面に機能薬剤が結合されたシリカナノ粒子を調製するのに用いられた方法は、以下の段階を含んでいた。すなわち、機能薬剤を撹拌しながら水に溶解する。この撹拌溶液にシリカナノ粒子をゆっくりと添加し、得られる混合物を約5〜10分間撹拌して、前記機能薬剤をナノ粒子の表面に結合させた。水溶液の「UV−VIS」スペクトルは、撹拌混合物の一定分量を取り、それをクォーツセルに入れることにより得られた。「UV−VIS」スペクトルは、水を基準として「UV−VIS」分光光度計「型番UV−1601」を用いて得られた。ゼータ電位及び粒子の大きさの測定は、「ZetaPals Instrument」(米国ニューヨーク州ホルツビレ所在の「Brookhaven Instrument Company」)を用いて行った。
【0091】
pHトリガを用いて結合機能薬剤をシリカ表面から放出させるのに用いる方法は、以下の段階を含んでいた。すなわち、機能薬剤が表面に結合されたシリカナノ粒子を撹拌しながら水溶液(懸濁液)に入れる。この撹拌懸濁液にゆっくりと希塩酸(0.1N)を滴下してpHを測定した。この懸濁液の一定分量を取り、「UV−VIS」スペクトルを測定した。このようにして、結合した機能薬剤のラムダ極大ピークが減少するのを観察することができ、自由機能薬剤のラムダ極大ピークが出現して増大するのを観察することができる。
【0092】
同様にして、活性芳香剤化合物のシリカナノ粒子(「SNOWTEX C」、米国テキサス州ヒューストン所在の「Nissan Chemicals America」)への結合を明らかにした。すなわち、サリチルアルデヒド(ベース芳香剤として香水業界で用いられる)溶液(サリチルアルデヒド0.01gを水50mlに入れる)にシリカナノ粒子(「Snowtex C」、米国テキサス州ヒューストン所在の「Nissan Chemicals America」)の希釈懸濁液(3mlの2%wt/wt)を撹拌しながら加えた。サリチルアルデヒドの「UV−VIS」吸収は、ラムダ極大が赤方偏移し(以下の表を参照)、特徴的な芳香が消えた。赤方偏移は、アリールアルデヒド官能基がシリカ表面に結合していることを表す特徴である。希酸(上述の塩酸)を加えると、アルデヒドが放出されて芳香が戻る。また、「UV−VIS」吸収は、青方偏移して開始アルデヒドまで戻る。このような化学物質を、環境条件が変化すると放出される医薬品と組み合わせて用いて、医薬品材料が送出されたことを指示する/信号を出すことができる。例えば、このような信号薬剤をシリカ粒子に吸着させることができる。医薬品化合物は、別々にアルミナ粒子に吸着させることができる。粒子は、送出賦形剤内か又は修正薬物送出装置の一部として組み合わせて一緒に用いることができる。こうして、機能薬剤は、別々の化学的イベントの発生時にトリガされると考えられる。
同様にして、サリチルアルドキシムという金属イオン封鎖剤もシリカ粒子表面に結合されてpHトリガ放出されることが見出された。構造式及び例示的データを次の表に示す。
【化18】

【0093】

【0094】
更に、「UV−VIS」スペクトル法を用いる滴定試験を行い、全てのサリチルアルデヒドが放出されるpHを求めた。これは、pH6であることが見出された。
【0095】
追加の代替的な実施形態では、このような基体に固定された後に条件(例えば、pH)の変化に露出されると、機能性化合物は基体から放出されるが、粒子は後に残ることになる。
特定的な実施形態では、医薬品化合物を含む担体粒子(望ましくはナノ粒子、すなわち、大きさが約1ミクロンよりも小さく、望ましくは、約5nmと500nmの間、更に望ましくは、約10nm〜200nmの間の大きさの粒子)を様々な適用方法で局所包帯に付加することができる。適用方法には、付加を容易にするために粒子が賦形剤に含まれる場合には、ゲル、水性懸濁液、乾燥被覆、又は粉末を包帯の層の間に配置することを含むことができる。次に、適切な場合には、包帯を乾燥させることができ、これによって、粒子の電荷は、粒子を包帯基体に密接に関連して維持すると考えられる。
【0096】
結合医薬品又は栄養性化学物質は、トリガ可能放出と共に又はそれなしで用いることができることを認識すべきである。代替的に、他の結合化学物質を意図的に担体粒子に保持しながら、複数の化学物質粒子システムにおける結合化学物質のいくつかをトリガ可能に放出可能にすることができる。従って、結合化学物質は、除去を容易にするか又は機能薬剤/化合物の局所毒性を低下させるために、依然として担体粒子に取り付けられたままでその有利な機能を実行することができる。このような用法の例は、結合サリチルアルドキシムを用いて、自由錯化剤を失うこともなく又はそれに露出されることもなく、身体又は廃水から重金属を除去することであろう。
別の実施例では、テトラサイクリンは、依然として粒子に結合されたままで抗生物質として機能することができる。これによって、抗生物質が患者の血流に入り込むことなく(粒子の大きさのために)、胃及び腸で機能することができる。このように抗生物質の放出を制御することにより、このような薬物にアレルギーのある患者の感作の危険性を低減するのを助けることができると考えられる。
【0097】
本発明に対する上記及び他の修正及び変形は、特許請求の範囲に更に詳細に示す本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者が実施することができる。更に、様々な実施形態の態様を全体的又は部分的に交換することができることを理解すべきである。更に、以上の説明が例示的であり、特許請求の範囲に更に説明する本発明を限定するものではないことを当業者は認めるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともその一部分が粒子の表面上に存在するアルミナを含有する粒子と、
前記粒子の表面上の前記アルミナに結合された機能性化合物と、
を含み、
前記アルミナに結合する前の前記機能性化合物は、以下の構造式、
【化1】

又はその互変異性体、又はその機能的均等物を含む成分を含有し、ここで、R及びR’は、独立に、水素、アルキル基、又はアリール基を含む、
ことを特徴とする、材料の組成物。
【請求項2】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子は、正に荷電していることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粒子は、本質的にアルミナから成ることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記粒子は、アルミナで被覆したコア材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記コア材料は、シリカを含むことを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記機能性化合物は、UV吸収剤、医薬品、臭気調整剤、芳香剤、治療薬、栄養補助剤、抗菌剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、又は生体異物を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子の平均寸法は、約1mmよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子の平均寸法は、約100ミクロンよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子の平均寸法は、約1,000nmよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記機能性化合物は、ヒドロコルチゾンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記機能性化合物は、アスコルビン酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記機能性化合物は、アスパルテームを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記機能性化合物は、シクロマイシンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記機能性化合物は、テトラサイクリンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記粒子は、無定形であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子のゼータ電位は、少なくとも20mVであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも2つの機能性化合物が、前記アルミナに結合されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記機能性化合物は、着色剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
液体賦形剤に含有された前記機能性化合物に結合したアルミナを含有する複数の前記粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
少なくともその一部分が粒子の表面上に存在するアルミナを含有する粒子と、
前記粒子の表面上の前記アルミナに結合された着色剤化合物と、
を含み、
前記アルミナに結合する前の前記着色剤化合物は、以下の構造式、
【化2】

又はその互変異性体、又はその機能的均等物を含む成分を含有し、ここで、R及びR’は、独立に、水素、アルキル基、及びアリール基を含む、
ことを特徴とする、印刷工程のためのナノ粒子。
【請求項21】
前記着色剤化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子は、正に荷電していることを特徴とする請求項20に記載のナノ粒子。
【請求項22】
前記粒子は、本質的にアルミナから成ることを特徴とする請求項20に記載のナノ粒子。
【請求項23】
前記粒子は、アルミナで被覆したコア材料を含むことを特徴とする請求項20に記載のナノ粒子。
【請求項24】
前記コア材料は、シリカを含むことを特徴とする請求項23に記載のナノ粒子。
【請求項25】
前記ナノ粒子の平均寸法は、約1,000nmよりも小さいことを特徴とする請求項20に記載のナノ粒子。
【請求項26】
前記ナノ粒子の平均寸法は、約500nmよりも小さいことを特徴とする請求項20に記載のナノ粒子。
【請求項27】
前記着色剤化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子のゼータ電位は、少なくとも20mVであることを特徴とする請求項20に記載のナノ粒子。
【請求項28】
前記アルミナ及び前記着色剤化合物の両方は、正のゼータ電位を有することを特徴とする請求項20に記載のナノ粒子。
【請求項29】
前記粒子の表面上の前記アルミナは、更に機能的添加剤に結合されることを特徴とする請求項20に記載のナノ粒子。
【請求項30】
前記機能性添加物は、荷電担体、熱酸化安定剤、粘弾性特性調整剤、架橋剤、柔軟剤、荷電制御添加剤、流れ制御添加剤、充填剤、界面活性剤、キレート剤、ロイコ染料、及び着色剤安定剤、又はその組合せを含むことを特徴とする請求項29に記載のナノ粒子。
【請求項31】
前記着色剤化合物は、染料を含むことを特徴とする請求項20に記載のナノ粒子。
【請求項32】
前記染料は、アントラキノン発色団を含有することを特徴とする請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項33】
前記染料は、サリチル酸塩又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸成分を含有することを特徴とする請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項34】
前記染料は、クロモトロープ酸に基づくものであることを特徴とする請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項35】
前記染料は、アセトアセトアニリドを含有することを特徴とする請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項36】
前記染料は、ナフトキノンを含有することを特徴とする請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項37】
前記染料は、媒染染料を含むことを特徴とする請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項38】
前記染料は、「Clモルダントレッド7」又は「エリオクロムレッドB」を含むことを特徴とする請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項39】
少なくともその一部分が粒子の表面上に存在するアルミナを含有する複数の粒子と、
前記粒子の表面上の前記アルミナに結合された着色剤化合物と、
を含み、
前記アルミナに結合する前の前記着色剤化合物は、以下の構造式、
【化3】

又はその互変異性体、又はその機能的均等物を含む成分を含有し、ここで、R及びR’は、独立に、水素、アルキル基、又はアリール基を含み、
液体賦形剤、
を更に含むことを特徴とする記録媒体。
【請求項40】
前記着色剤化合物は、以下の成分
【化4】

又は互変異性体を含有したものであることを特徴とする請求項39に記載の記録媒体。
【請求項41】
前記着色剤化合物は、以下の成分
【化5】

を含有したものであり、ここで、R及びR’は水素であることを特徴とする請求項39に記載の記録媒体。
【請求項42】
前記着色剤化合物は、以下の成分
【化6】

又は互変異性体を含有したものであることを特徴とする請求項39に記載の記録媒体。
【請求項43】
前記粒子は、本質的にアルミナから成ることを特徴とする請求項39に記載の記録媒体。
【請求項44】
前記粒子は、アルミナで被覆したコア材料を含むことを特徴とする請求項39に記載の記録媒体。
【請求項45】
前記コア材料は、シリカを含むことを特徴とする請求項44に記載の記録媒体。
【請求項46】
前記粒子の平均寸法は、約1,000nmよりも小さいことを特徴とする請求項39に記載の記録媒体。
【請求項47】
前記着色剤化合物に結合された前記アルミナを含有する前記粒子のゼータ電位は、約20mVよりも大きいことを特徴とする請求項39に記載の記録媒体。
【請求項48】
前記アルミナ及び前記着色剤化合物は、共に正のゼータ電位を有することを特徴とする請求項39に記載の記録媒体。
【請求項49】
前記着色剤化合物は、染料を含むことを特徴とする請求項39に記載の記録媒体。
【請求項50】
前記染料は、アントラキノン発色団を含有することを特徴とする請求項49に記載の記録媒体。
【請求項51】
前記染料は、サリチル酸塩又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸成分を含有することを特徴とする請求項49に記載の記録媒体。
【請求項52】
前記染料は、クロモトロープ酸に基づくものであることを特徴とする請求項49に記載の記録媒体。
【請求項53】
前記染料は、アセトアセトアニリドを含有することを特徴とする請求項49に記載の記録媒体。
【請求項54】
前記染料は、媒染染料を含有することを特徴とする請求項49に記載の記録媒体。
【請求項55】
前記染料は、「Clモルダントレッド7」であることを特徴とする請求項49に記載の記録媒体。
【請求項56】
前記染料は、ナフトキノンを含有することを特徴とする請求項49に記載の記録媒体。
【請求項57】
基体上に画像を形成するための記録信号に従って、請求項39に記載の記録媒体を液滴の形でオリフィスから噴出する段階を含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項58】
前記基体は、織布、不織布、ポリマーフィルム、ガラス、又は紙を含むことを特徴とする請求項57に記載の印刷方法。
【請求項59】
インクジェット工程であることを特徴とする請求項57に記載の印刷方法。
【請求項60】
負の電荷を含む受け取り表面を有する基体と、
クーロン引力を通じて前記基体の前記受け取り表面に結合され、少なくともその一部分が粒子の表面上に存在するアルミナを含有する複数の正に荷電した粒子と、
を含み、
機能性化合物が、前記粒子の表面上の前記アルミナに結合され、該アルミナに結合する前の該機能性化合物は、以下の構造式、
【化7】

又はその互変異性体、又はその機能的均等物を含む成分を含有し、ここで、R及びR’は、独立に、水素、アルキル基、又はアリール基を含む、
ことを特徴とする製造品。
【請求項61】
前記粒子は、アルミナで被覆したコア材料を含むことを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項62】
前記コア材料は、シリカを含むことを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項63】
前記機能性材料は、着色剤、UV吸収剤、医薬品、臭気調整剤、芳香剤、治療薬、栄養補助剤、抗菌剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、又は生体異物を含むことを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項64】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子の平均寸法は、約1mmよりも小さいことを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項65】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子の平均寸法は、約1,000nmよりも小さいことを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項66】
前記機能性化合物は、ヒドロコルチゾン、アスコルビン酸、又はアスパルテームを含むことを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項67】
前記機能性化合物は、テトラサイクリンを含むことを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項68】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子のゼータ電位は、少なくとも20mVであることを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項69】
前記複数の粒子は、前記基体に付加される時に液体賦形剤内に包含されていることを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項70】
前記機能性化合物は、染料を含むことを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項71】
前記基体は、合成ポリマー繊維を含む織又は不織材料を含むことを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項72】
前記基体は、前記複数の正に荷電した粒子に結合する前にコロナ処理を受けることを特徴とする請求項71に記載の物品。
【請求項73】
前記基体は、前記複数の正の荷電粒子に結合する前にエレクトレット処理を受けることを特徴とする請求項71に記載の物品。
【請求項74】
前記基体及び前記複数の荷電粒子が互いに結合された後に、マイクロ波放射又はラジオ周波数放射に露出されたことを特徴とする請求項71に記載の物品。
【請求項75】
前記基体は、負の電荷を有する天然繊維を含むことを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項76】
前記天然繊維は、綿又はセルロース繊維を含むことを特徴とする請求項75に記載の物品。
【請求項77】
前記染料は、アントラキノン発色団を含有することを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項78】
前記染料は、サリチル酸塩又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸成分を含有することを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項79】
前記染料は、クロモトロープ酸に基づくものであることを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項80】
前記染料は、アセトアセトアニリドを含有することを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項81】
前記染料は、ナフトキノンを含有することを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項82】
前記着色剤化合物は、以下の成分
【化8】

又は該成分の互変異性体を含有したものであることを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項83】
前記着色剤化合物は、以下の成分
【化9】

を含有したものであり、ここで、R及びR’は水素であることを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項84】
前記着色剤化合物は、以下の成分
【化10】

又は該成分の互変異性体を含有したものであることを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項85】
前記複数の粒子の平均寸法は、約1,000nmよりも小さいことを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項86】
前記基体の前記受け取り表面及び前記粒子は、少なくとも42mVの表面電荷の差を有することを特徴とする請求項60に記載の物品。
【請求項87】
前記基体の前記受け取り表面及び前記粒子は、少なくとも42mVの表面電荷の差を有することを特徴とする請求項70に記載の物品。
【請求項88】
材料の組成物を製造する方法であって、
少なくともその一部分が粒子の表面上に存在するアルミナを含有する複数の粒子を準備する段階と、
前記粒子の表面上の前記アルミナに機能性化合物を結合する段階と、
を含み、
前記アルミナに結合する前の前記機能性化合物は、以下の構造式、
【化11】

又はその互変異性体、又はその機能的均等物を含む成分を含有し、ここで、R及びR’は、独立に、水素、アルキル基、又はアリール基を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項89】
前記粒子は、本質的にアルミナから成ることを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記粒子は、アルミナで被覆したコア材料を含むことを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記コア材料は、シリカを含むことを特徴とする請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記機能性材料は、着色剤、UV吸収剤、医薬品、臭気調整剤、芳香剤、治療薬、栄養補助剤、抗菌剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、又は生体異物を含むことを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項93】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子の平均寸法は、約1mmよりも小さいことを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項94】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子の平均寸法は、約1,000nmよりも小さいことを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項95】
前記機能性化合物は、ヒドロコルチゾン、アスコルビン酸、又はアスパルテームを含むことを特徴とする請求項89に記載の方法。
【請求項96】
前記機能性化合物は、テトラサイクリンを含むことを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項97】
前記粒子は、無定形であることを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項98】
前記機能性化合物に結合されたアルミナを含有する前記粒子のゼータ電位は、少なくとも20mVであることを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項99】
少なくとも2つの機能性化合物が、前記アルミナに結合されることを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項100】
前記機能性化合物に結合した前記粒子を液体賦形剤と組み合わせる段階を更に含むことを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項101】
前記組成物は、インク組成物を含むことを特徴とする請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記機能性化合物は、染料を含むことを特徴とする請求項88に記載の方法。
【請求項103】
前記染料は、アントラキノン発色団を含有することを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記染料は、サリチル酸塩又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸成分を含有することを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項105】
前記染料は、クロモトロープ酸に基づくものであることを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項106】
前記染料は、アセトアセトアニリドを含有することを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項107】
前記染料は、ナフトキノンを含有することを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項108】
トリガ可能に放出可能な送出システムを患者の身体の治療に利用する方法であって、
a)アルミナ粒子、アルミナ被覆粒子、及びシリカ粒子から選択された少なくとも一種類の粒子を準備する段階と、
b)少なくとも部分的に被覆した1つ又は複数の粒子を形成するために、少なくとも1つの機能性化合物を前記1つ又は複数の粒子の表面に吸着させる段階と、
c)前記少なくとも部分的に被覆した1つ又は複数の粒子を患者の身体に露出する段階と、
d)前記1つ又は複数の粒子を環境又は化学的条件に露出し、それによって前記健康関連化合物を該粒子の表面から前記患者の身体に放出する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項109】
前記環境又は化学的条件は、化学的トリガ、pHの変化、及び水分又は身体滲出物への前記粒子の導入から成る群から選択されることを特徴とする請求項108に記載の方法。
【請求項110】
複数の種類の粒子が、機能性化合物で被覆されることを特徴とする請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記粒子は、少なくともその一部分が該粒子の表面に存在するアルミナを含有し、
前記機能性化合物は、前記アルミナ粒子に吸着される前に、以下の構造式、
【化12】

又はその互変異性体、又はその機能的均等物を含む成分を含有し、ここで、R及びR’は、独立に、水素、アルキル基、又はアリール基を含む、
ことを特徴とする請求項108に記載の方法。
【請求項112】
粒子と、
前記粒子の表面に吸着され、pHの変化、水分、化学的刺激、又は身体滲出物の何れかに露出されると該粒子から放出されることが可能な健康関連化合物と、
を含むことを特徴とするトリガ可能送出システム。
【請求項113】
前記粒子は、少なくともその一部分が該粒子の表面に存在するアルミナを含有し、
前記健康関連化合物は、前記粒子の表面上の前記アルミナに吸着される前に、以下の構造式、
【化13】

又はその互変異性体、又はその機能的均等物を含む成分を含有し、ここで、R及びR’は、独立に、水素、アルキル基、又はアリール基を含む、
ことを特徴とする請求項112に記載のトリガ可能送出システム。
【請求項114】
トリガ可能送出システムを含む薬物送出装置であって、
トリガ可能送出システムが、粒子と、該粒子の表面に吸着され、pHの変化、水分、化学的刺激、又は身体滲出物の何れかに露出されると該粒子から放出されることが可能な健康関連化合物とを含む、
ことを特徴とする装置。

【公表番号】特表2006−518773(P2006−518773A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508584(P2005−508584)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/039737
【国際公開番号】WO2004/060378
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】