説明

ウェーハバンプの高さ測定装置及び高さ測定方法

【課題】バンプの高さを保護膜表面の反射の影響を除去した状態で精度よく測定するとともに、高さ測定の処理を高速化することが出来るウェーハバンプの高さ測定装置及び高さ測定方法を提供する。
【解決手段】保護膜の無い部位でPSD素子からの出力に基づいて算出した高さとエリア撮像カメラからの撮像画像に基づいて算出した高さとが「0」となるようにリセットした後(SC1)、保護膜表面の高さをエリア撮像素子からの撮像画像に基づいて測定し、バンプの頂点の高さをPSD素子からの出力に基づいて測定する(SC2)。バンプの頂点の高さから保護膜表面の高さを減算してバンプ高さhを演算し(SC3)、メインルーチンへ戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンプが実装された半導体ウェーハの高さを測定するウェーハバンプの高さ測定装置及び高さ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バンプの高さを測定する方法として、図7に示すようなレーザを用いた三角測量の原理に基づく光切断法による測定方法が広く知られている。
【0003】
バンプ801の高さを測定する高さ測定装置802について説明すると、ラインレーザーユニット803からのレーザ光804をウェーハステージ805に支持された半導体ウェーハ806の斜め上方から照射するとともに、その反射光807を、前記ラインレーザーユニット803に対向する位置に設けられた対物レンズ808を介してPSD809で受光するように構成されている。
【0004】
そして、このPSD809からの信号を図外の装置で処理することで、前記半導体ウェーハ806に設けられたバンプ801の高さを測定できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−315014公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図8に示すように、半導体ウェーハ806の上面811には、透明な保護膜812が設けられており、測定する高さとしては、この保護膜812表面から前記バンプ801の頂点までの距離を測定するのが望ましい。
【0007】
しかしながら、このような従来の高さ測定装置802にあっては、レーザ光804の反射光807を前記PSD809にて受光する際、前記半導体ウェーハ806上の前記保護膜812表面821で反射した反射光と、前記半導体ウェーハ806の上面811で反射した反射光の双方を受光してしまう。すると、前記両反射光に基づいて出力された信号を基準として高さが測定されてしまい、正確なバンプ801の高さ測定を行うことが出来なかった。
【0008】
具体的に説明すると、前記レーザ光804は斜め上方から照射されているため、前記保護膜812の表面821で反射する第一反射光807aは、前記ラインレーザーユニット803寄り部位で反射する。一方、前記半導体ウェーハ806の上面811で反射する第二反射光807bは、前記第一反射光807aより前記対物レンズ808側で反射する。
【0009】
すると、前記両反射光807a,807bは、図8の(b)に示したように、前記PSD809の異なる位置に入力され、当該PSD809では、実際に入力した両反射光807a,807bの中間位置に仮想反射光831が入力された場合と同じ信号を出力してしまい、前述した測定誤差が生じてしまう。
【0010】
これを解消するために、前記PDS809に代えて、CCDやCMOS等の撮像装置にて、反射光807を受光してバンプの高さ測定を行う方法もあるが、演算負荷の増大により高さ測定に時間がかかるという問題点があった。
【0011】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、バンプの高さを保護膜表面の反射の影響を除去した状態で精度よく測定するとともに、高さ測定の処理を高速化することが出来るウェーハバンプの高さ測定装置及び高さ測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のウェーハバンプの高さ測定装置においては、測定光を半導体ウェーハに照射して該半導体ウェーハからの反射光を位置測定器にて測定することにより、前記半導体ウェーハに形成されたバンプの高さを測定するウェーハバンプの高さ測定装置であって、前記位置測定器により第1のバンプ高さ測定データを算出する第1の演算手段と、前記半導体ウェーハからの反射光を撮像する撮像装置にて撮像した画像に基づき第2のバンプ高さ測定データを算出する第2の演算手段と、前記第1の演算手段にて算出された前記第1のバンプ高さ測定データを前記第2の演算手段にて算出された前記第2のバンプ高さ測定データにより補正するバンプ高さ補正手段と、を備えている。
【0013】
すなわち、半導体ウェーハに形成されたバンプの高さを測定する際には、測定光が照射された半導体ウェーハからの反射光を位置測定器に入力して第1のバンプ高さ測定データを算出するとともに、前記半導体ウェーハからの反射光を撮像した撮像装置の画像に基づき第2のバンプ高さ測定データを算出する。
【0014】
そして、位置測定器より算出された前記第1のバンプ高さ測定データは、前記撮像装置の画像に基づいて算出された前記第2のバンプ高さ測定データによって補正される。
【0015】
また、請求項2のウェーハバンプの高さ測定装置にあっては、前記測定光は前記半導体ウェーハの斜め上方に配置した発光器により照射され、前記位置測定器と前記撮像装置が、同じ光軸上の前記半導体ウェーハからの反射光を受光する。
【0016】
すなわち、前記測定光は、前記半導体ウェーハの斜め上方に配置した発光器により照射され、その反射光が、同じ光軸にて前記位置測定器と前記撮像装置とに受光される。
【0017】
さらに、請求項3のウェーハバンプの高さ測定装置では、前記半導体ウェーハからの反射光を光分離器で分離して前記位置測定器の受光部と前記撮像装置の撮像素子の受光部とで受光する。
【0018】
すなわち、前記半導体ウェーハからの反射光を光分離器で分離して、前記位置測定器の受光部及び前記撮像装置の撮像素子の受光部で受光することによって、同じ光軸上の反射光が前記位置測定器及び前記撮像装置で受光される。
【0019】
また、本発明の請求項4の高さ測定方法においては、測定光を半導体ウェーハに照射して該半導体ウェーハからの反射光を位置測定器にて測定することにより、前記半導体ウェーハに形成されたバンプの高さを測定する高さ測定方法であって、前記位置測定器により第1のバンプ高さ測定データを算出する第1の演算ステップと、前記半導体ウェーハからの反射光を撮像する撮像装置にて撮像した画像に基づき第2のバンプ高さ測定データを算出する第2の演算ステップと、前記第1の演算ステップにて算出された前記第1のバンプ高さ測定データを前記第2の演算ステップにて算出された前記第2のバンプ高さ測定データにより補正するバンプ高さ補正ステップと、を備えている。
【0020】
すなわち、半導体ウェーハに形成されたバンプの高さを測定する際には、測定光が照射された半導体ウェーハからの反射光を位置測定器に入力して第1のバンプ高さ測定データを算出するとともに、前記半導体ウェーハからの反射光を撮像した撮像装置の画像に基づき第2のバンプ高さ測定データを算出する。
【0021】
そして、位置測定器より算出された前記第1のバンプ高さ測定データは、前記撮像装置の画像に基づいて算出された前記第2のバンプ高さ測定データによって補正される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明の請求項1のウェーハバンプの高さ測定装置においては、位置測定器より算出された前記第1のバンプ高さ測定データを、前記撮像装置の画像に基づいて算出された前記第2のバンプ高さ測定データを用いて補正することができる。
【0023】
これにより、半導体ウェーハ上に設けられた保護膜表面で反射した反射光と半導体ウェーハ上面で反射した反射光とを同時に受光した際に前記保護膜表面の高さを正確に測定できなくなる位置測定器からの保護膜表面高さデータを、前記保護膜表面の高さを正確に測定できる撮像装置からの保護膜表面高さデータによって補正することができる。
【0024】
このため、前記位置測定器のみを用いて前記保護膜表面から前記バンプ頂点までのバンプの高さを測定する従来と比較して、前記半導体ウェーハ上面からの反射光の影響を除去することができ、前記バンプの高さの演算精度を向上することができる。
【0025】
加えて、前記バンプの高さの演算精度の向上を図りつつ、前記撮像装置の画像のみから前記保護膜表面の高さ寸法と前記バンプ頂点までの高さ寸法とを演算しなければならない場合と比較して、演算処理を迅速に行うことができる。
【0026】
また、請求項2のウェーハバンプの高さ測定装置にあっては、前記反射光を同じ光軸にて前記位置測定器と前記撮像装置とで受光することで、前記位置測定器で測定するバンプ頂点と、前記撮像装置で測定する前記保護膜表面と、前記位置測定器で測定する前記半導体ウェーハ上面とを、同じ光軸の反射光を用いて測定することができる。
【0027】
これにより、更なる検出精度の向上を図ることができる。
【0028】
さらに、請求項3のウェーハバンプの高さ測定装置では、前記半導体ウェーハからの反射光を光分離器で分離して、前記位置測定器の受光部及び前記撮像装置の撮像素子の受光部で受光することで、同じ光軸上の反射光を前記位置測定器及び前記撮像装置で受光することができる。
【0029】
これにより、例えば前記位置測定器及び前記撮像装置に対応する発光器をそれぞれ設けなければならない場合と比較して、レイアウトの小型化を図ることができる。
【0030】
そして、本発明の請求項4の高さ測定方法においても、前述した請求項1と同様の効果を得ることができる。
【0031】
また、前述した処理をコンピュータのソフトウエア処理により実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】同実施例におけるバンプ部分の高さ測定の説明に用いた図である。
【図3】同実施例における高さ測定データの信号処理を示す処理ブロック図である。
【図4】同実施例における第1の演算処理を示すフローチャートである。
【図5】同実施例における第2の演算処理を示すフローチャートである。
【図6】同実施例におけるバンプ高さ補正処理を示すフローチャートである。
【図7】従来のウェーハバンプ高さ測定装置を示す構成図である。
【図8】同従来のウェーハバンプ高さ測定装置における位置測定器の動作を示す図で、(a)は、半導体ウェーハからの反射光をPSDで受光する様子を示す説明図であり、(b)は、反射光のPSDへの受光状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
【0034】
図1は、本実施の形態にかかるウェーハバンプの高さ測定装置1を示す図であり、該ウェーハバンプの高さ測定装置1は、半導体ウェーハ2上に設けられた半田ボール等の接合剤からなるバンプ3の高さを測定する装置である。
【0035】
すなわち、図2にも示すように、前記半導体ウェーハ2の上面11には、金属製の柱12が設けられており、該柱12の外周部は、透明性を有した保護膜13で覆われている。前記柱12上には、前記バンプ3が設けられており、当該ウェーハバンプの高さ測定装置1では、前記保護膜13の表面14から前記バンプ3の頂点15までの高さ寸法をバンプ高さhとして測定するように構成されている。
【0036】
このウェーハバンプの高さ測定装置1は、図1に示したように、前記半導体ウェーハ2を支持するXYステージ21を備えており、該XYステージ21は、支持した前記半導体ウェーハ2を直交するX方向及びY方向へ移動できるように構成されている。
【0037】
このXYステージ21上には、高さ測定を行う測定位置31が設定されており、該測定位置31を境とする一方側には、発光器であるラインレーザーユニット32が設けられている。該ラインレーザーユニット32は、測定光としてのライン状のレーザ光33を前記測定位置31へ向けて照射するように構成されており、前記XYステージ21上の前記半導体ウェーハ2に対して、その斜め上方から前記レーザ光33を照射できるように構成されている。
【0038】
また、前記測定位置31を境とする他方側には、受光ユニット41が設けられており、該受光ユニット41は、前記ラインレーザーユニット32から照射された前記レーザ光33が前記測定位置31にて反射した反射光42を対物レンズ43を介して受光するように構成されている。この受光ユニット41のユニット本体44の端部には、位置測定器としてのPSD(Position Sensitive Detector)45が設けられており、前記対物レンズ43を介して前記ユニット本体44内に進入するとともに前記対物レンズ43と前記PSD45の受光部であるPSD素子46とを結ぶ光軸47上には、前記反射光42を二方向に分離する光分離器としてのハーフミラー48が前記ユニット本体44内に設けられている。
【0039】
このハーフミラー48は、前記対物レンズ43からの前記反射光42の95%を前記PSD素子46側へ通過させるとともに、前記反射光42の5%は、垂直方向へ屈折するように構成されており、この屈折方向には、撮像装置としてのエリア撮像カメラ51が設けられている。
【0040】
これにより、前記ハーフミラー48を透過した透過光61は、前記PSD45の前記PSD素子46で受光される一方、前記ハーフミラー48で屈折した屈折光62は、前記エリア撮像カメラ51の撮像素子としてのCCDからなるエリア撮像素子63で受光されるように構成されている。
【0041】
前記ラインレーザーユニット32と前記PSD45と前記エリア撮像カメラ51とは、図外のコンピュータに接続されており、これらはプログラムの処理手順に従って動作するように構成されている。
【0042】
図3は、前記ウェーハバンプの高さ測定装置1での処理内容を示すブロック図であり、前記XYステージ21は、XYステージ駆動部71に接続されており、該XYステージ駆動部71からの指令に基づいて前記XYステージ21を駆動するとともに、前記測定位置31に位置する座標データを出力するように構成されている。
【0043】
前記PSD45からのアナログ出力は、A/D変換器81でデジタル化され、前記XYステージ駆動部71からの座標データと共に処理されることによって、前記XYステージ21上の前記半導体ウェーハ2の各所での高さ情報が、高さ元データとしてメモリに格納される(82)。このメモリに格納された前記高さ元データからは、前記半導体ウェーハ2のバンプ高さhが計算され(83)、前記PSD45からの出力に基づいて算出されたバンプ高さデータが出力される(84)。
【0044】
一方、前記エリア撮像カメラ51のエリア撮像素子63であるCCDで取得された撮像画像は、画像入力ボード91に入力され、この画像は、前記XYステージ駆動部71からの位置データに関連付けられてフレームメモリ92に記憶される。このフレームメモリ92の記憶データからは、前記半導体ウェーハ2の前記保護膜13表面14の高さが計算され(93)、保護膜13表面14の高さが膜上面高さデータとして出力される(94)。
【0045】
すなわち、図2には、前記半導体ウェーハ2の撮像画像101が示されており、該撮像画像101には、前記半導体ウェーハ2に照射された前記レーザ光33の反射光42が表示されている。
【0046】
このとき、前記ラインレーザーユニット32からのレーザ光33は、前記半導体ウェーハ2に対して斜め上方から照射されているため、前記撮像画像101には、前記保護膜13の表面で反射した第一反射光42aと、前記保護膜13より下側である前記半導体ウェーハ2の上面11で反射した第二反射光42bとが表示されている。
【0047】
また、この図2には、前記撮像画像101におけるA−A線に沿った部分での座標位置を横軸とするとともに入力輝度を縦軸とした輝度分布図111が示されており、前記保護膜13の表面14で反射した第一反射光42aと、前記半導体ウェーハ2の上面11で反射した第二反射光42bとが異なる位置に現れるとともに、前記第一反射光42aと前記第二反射光42bとが異なる輝度で入力されていることが分かる。
【0048】
このエリア撮像素子63からの撮像画像101を用いた処理では、当該撮像画像101の総ての画素に付いて輝度を演算して画像処理を行うこととなる。このため、比較的明確に表示される前記第一反射光42aと前記第二反射光42bと検出は容易であるが、バンプ3の頂点を検出する際には、画像処理時間を要する。
【0049】
したがって、本実施の形態では、前記エリア撮像素子63からの撮像画像101を用いたバンプ3頂点15の検出及び高さの測定は行わない。
【0050】
次に、図3に示したように、このエリア撮像カメラ51からの出力に基づいて算出された膜上面高さデータを基準として用いるとともに、前記PSD45からの出力に基づいて算出された前記バンプ高さデータをバンプの高さ位置のデータとして用いることによって前記保護膜13表面14から前記バンプ3の頂点15までのバンプ高さhが算出される(95)。
【0051】
そして、前記XYステージ21にセットされた半導体ウェーハ2に設けられたバンプ3のバンプ高さhを計測する際には、ラインレーザーユニット32からライン状のレーザ光33を測定位置31に位置する前記半導体ウェーハ2の部位へ照射しながら前記XYステージ21を前記レーザ光33と直交する方向へ移動するとともに、その反射光42を受光ユニット41で受光することで前記半導体ウェーハ2のスキャン処理を行い、前記半導体ウェーハ2の保護膜13の表面14から前記バンプ3の頂点15までの高さ寸法をバンプ高さhとして測定できるように構成されている。
【0052】
以上の構成にかかる本実施の形態において、XYステージ21にセットされた半導体ウェーハ2におけるバンプ3のバンプ高さhを計測する際の動作を、フローチャートに従って説明する。
【0053】
すなわち、前記コンピュータがプログラムに従って動作を開始し、メインルーチンから第1の演算処理が呼び出された際には、図4に示すように、先ず初期化を行った後(S1)、PSD素子46に生じ得る誤差の補正をキャリブレーション補正処理にて行う(S2)。そして、前述したスキャンを開始するとともに(S3)、前記反射光42からなる入射光を受光した前記PSD素子46からの出力に基づいて高さ計算を行う(S4)。
【0054】
このとき、前記PSD素子46で受光された反射光42の受光量は、当該PSD素子46から電圧値として出力され、前記反射光42の前記PSD素子46への入力位置は、前記PSD素子46から電流値として出力される。このため、PSD素子46の長さ寸法をL、PSD素子46の第一電極からの電流値をI1、PSD素子46の第二電極からの電流値をI2とした際に、当該PSD素子46にで受光された前記反射光42のPSD中心位置Cからのズレ量をDを、次式で求めることができる。
【0055】
D=L/2*(I2−I1)/(I1+I2)
【0056】
これにより、このズレ量Dから前記反射光42の受光位置が分かるので、この受光位置から前記計測位置31の高さ寸法を演算し、前記半導体ウェーハ2の面データを完成させる。
【0057】
そして、前記半導体ウェーハ2の各所で取得した各高さデータの例えば極大値から前記バンプ3の頂点15を検出し(S5)、当該頂点15位置での高さを演算して(S6)、メインルーチンへ戻る。
【0058】
また、前記メインルーチンから第2の演算処理が呼び出された際には、図5に示すように、初期化を行った後(SB1)、前記エリア撮像カメラ51のエリア撮像素子63から取得した撮像画像101から前記保護膜13の表面で反射した第一反射光42aを識別し(SB2)、この第一反射光42aにおける輝度のピーク値が示す位置から前記保護膜13の表面14の高さを算出して(SB3)、メインルーチンへ戻る。
【0059】
次に、前記メインルーチンからバンプ高さ補正処理が呼び出された際には、図6に示すように、前記保護膜13の無い部位において、前記PSD素子46からの出力に基づいて算出した高さと、前記エリア撮像カメラ51からの撮像画像101に基づいて算出した高さとが「0」となるようにリセットしてリニアリティを確保した後(SC1)、前記保護膜13表面14の高さをCCDで構成されたエリア撮像素子63からの撮像画像101に基づいて測定するとともに(前記第2の演算処理の結果を利用)、前記バンプ3の頂点15の高さを前記PSD素子46からの出力に基づいて測定する(前記第1の演算処理の結果を利用)(SC2)。
【0060】
そして、前記PSD素子46からの出力に基づいて測定した前記バンプ3の頂点15の高さから、エリア撮像素子63の撮像画像101に基づいて測定した前記保護膜13表面14の高さを減算することで、前記バンプ高さhを演算した後(SC3)、メインルーチンへ戻り、このバンプ高さhをボンディング装置等に引き渡す。
【0061】
このように、位置測定器を構成するPSD素子46の出力より算出された第1のバンプ高さ測定データであるバンプ3の頂点15の高さと、撮像装置であるエリア撮像カメラ51の画像に基づいて算出した第2のバンプ高さ測定データである保護膜13表面14を用いることによって、前記PSD素子46の出力から算出された保護膜13表面14の高さを、前記エリア撮像カメラ51の画像に基づいて算出した保護膜13表面14で補正することができる。
【0062】
これにより、半導体ウェーハ2上に設けられた保護膜13表面14で反射した第一反射光42aと半導体ウェーハ2上面11で反射した第二反射光42bとを同時に受光した際に前記保護膜13表面14の高さを正確に測定できなくなる前記PSD45からの保護膜表面高さデータを、前記保護膜13表面14の高さを正確に測定できるエリア撮像カメラ51からの保護膜表面高さデータを利用して補正することができる。
【0063】
このため、前記PSD45のみを用いて前記保護膜13表面14から前記バンプ3頂点15までのバンプの高さhを測定する従来と比較して、前記半導体ウェーハ2上面11からの第二反射光42bの影響を除去することができ、前記バンプ3の高さの演算精度を向上することができる。
【0064】
加えて、前記バンプ3の高さの演算精度の向上を図りつつ、前記エリア撮像カメラ51の画像のみから前記保護膜13表面14の高さと前記バンプ3頂点15までの高さとを演算しなければならない場合と比較して、演算処理を迅速に行うことができる。
【0065】
また、前記半導体ウェーハ2からの反射光42を同じ光軸47にて前記PSD45と前記エリア撮像カメラ51とで受光することで、前記PSD45で測定するバンプ3頂点15と、前記エリア撮像カメラ51で測定する前記保護膜13表面14と、前記PSD45で測定する前記半導体ウェーハ2上面11とを、同じ光軸47上の反射光42を用いて測定することができる。
【0066】
これにより、位置ズレを確実に防止でき、更なる検出精度の向上を図ることができる。
【0067】
そして、前記半導体ウェーハ2からの前記反射光42を光分離器としてのハーフミラー48で分離して、前記PSD45のPSD素子46と前記エリア撮像カメラ51のエリア撮像素子63で受光することで、同じ光軸47上の前記反射光47を前記PSD素子46及び前記エリア撮像素子63で受光することができる。
【0068】
これにより、例えば前記PSD45及び前記エリア撮像カメラ51に対応するラインレーザーユニット32をそれぞれ設けなければならない場合と比較して、レイアウトの小型化を図ることができる。
【0069】
そして、これらの処理は、コンピュータのソフトウエア処理により実現することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、撮像素子としてCCDを用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばCMOSを用いてもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、光分離器としてハーフミラー48を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばハーフプリズムを用いてもよい。
【0072】
さらに、本実施の形態では、光源としてレーザ光33を用いた場合について説明したが、これに限定されるものでなく、代替手段があれば他の光源であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 ウェーハバンプ高さ測定装置
2 半導体ウェーハ
3 バンプ
11 上面
13 保護膜
14 表面
32 ラインレーザーユニット
33 レーザ光
42 反射光
45 PSD
46 PSD素子
47 光軸
51 エリア撮像カメラ
63 エリア撮像素子
h バンプ高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光を半導体ウェーハに照射して該半導体ウェーハからの反射光を位置測定器にて測定することにより、前記半導体ウェーハに形成されたバンプの高さを測定するウェーハバンプの高さ測定装置であって、
前記位置測定器により第1のバンプ高さ測定データを算出する第1の演算手段と、
前記半導体ウェーハからの反射光を撮像する撮像装置にて撮像した画像に基づき第2のバンプ高さ測定データを算出する第2の演算手段と、
前記第1の演算手段にて算出された前記第1のバンプ高さ測定データを前記第2の演算手段にて算出された前記第2のバンプ高さ測定データにより補正するバンプ高さ補正手段と、
を備えたことを特徴とするウェーハバンプの高さ測定装置。
【請求項2】
前記測定光は前記半導体ウェーハの斜め上方に配置した発光器により照射され、
前記位置測定器と前記撮像装置が、同じ光軸上の前記半導体ウェーハからの反射光を受光することを特徴とする請求項1記載のウェーハバンプの高さ測定装置。
【請求項3】
前記半導体ウェーハからの反射光を光分離器で分離して前記位置測定器の受光部と前記撮像装置の撮像素子の受光部とで受光することを特徴とした請求項2記載のウェーハバンプの高さ測定装置。
【請求項4】
測定光を半導体ウェーハに照射して該半導体ウェーハからの反射光を位置測定器にて測定することにより、前記半導体ウェーハに形成されたバンプの高さを測定する高さ測定方法であって、
前記位置測定器により第1のバンプ高さ測定データを算出する第1の演算ステップと、
前記半導体ウェーハからの反射光を撮像する撮像装置にて撮像した画像に基づき第2のバンプ高さ測定データを算出する第2の演算ステップと、
前記第1の演算ステップにて算出された前記第1のバンプ高さ測定データを前記第2の演算ステップにて算出された前記第2のバンプ高さ測定データにより補正するバンプ高さ補正ステップと、
を備えたことを特徴とする高さ測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−78302(P2012−78302A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226164(P2010−226164)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000220505)日本電産トーソク株式会社 (189)
【Fターム(参考)】