エアベアリングシリンダ

【課題】ピストン及びピストンロッドを高精度で進退させることができるだけでなく、高精度で回転させることもできるエアベアリングシリンダを提供する。
【解決手段】軸部材6を軸方向に進退させるシリンダ本体2と、軸部材6をその軸回りに回転させるブラシレスDCモータ3と、軸部材6の回転角度を検出するレゾルバ4と、軸部材6の進退距離を検出するインダクトコーダ5とを備える。ブラシレスDCモータ3のマグネット32の長さは、軸部材6のストロークと巻線コイル35の直径との和にほぼ等しくなるように設定され、レゾルバ4の磁性体47の長さは、軸部材6のストロークと励磁コイル43及び出力コイル44(45)の直径和との和にほぼ等しくなるように設定されている。これにより、軸部材6の進退時における軸部材6の回転駆動や回転角度検出を可能にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ピストン及びピストンロッドとシリンダハウジングとの間にエアを介在させて、ピストン及びピストンロッドを非接触で進退及び回転させることができるエアベアリングシリンダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、エアシリンダは、筐体となるシリンダハウジングと、シリンダハウジング内に進退自在に収容されるピストンと、ピストンと一体になってシリンダハウジングの外部に突出するピストンロッドとを備えている。これにより、両ロッド型のエアシリンダでは、エアをピストン両側に形成される圧力室の両方に供給して、ピストンロッドの前進移動と後退移動とを行うようにしている。このようなエアシリンダは、ピストン及びピストンロッドとシリンダハウジングとの摺接部分において、エア漏れを防ぐために、パッキンをこれらの外周にはめ込んで、シリンダハウジングの内周面と接触させている。しかし、パッキンをシリンダハウジングの内周面に接触させると、その摩擦等により、シリンダ始動時にスティック・スリップ(Stick-Slip)現象が生じ、異常振動音等を発生させることがある。
【0003】
そこで、近年では、スティック・スリップ現象の原因となるパッキンの代わりに、多孔質部材で形成したエアベアリングをシリンダハウジングの摺接部分に組み込み、エアをエアベアリングの外周側から内部に向けて常に供給することにより、エア層をピストン又はピストンロッドとエアベアリングとの隙間に形成したエアベアリングシリンダが開発されている(例えば、特許文献1及び特許文献2等参照)。これにより、ピストン又はピストンロッドとシリンダハウジングとを非接触にして、摩耗等によるスティック・スリップ現象を限りなく零に近づけるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−162220号公報
【特許文献2】特開2004−011789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来のエアベアリングシリンダは、ピストン及びピストンロッドをエアによって進退方向に高精度で制御することができるが、ピストン及びピストンロッドを回転方向に駆動及び制御することができない。エアベアリングシリンダでは、ピストン及びピストンロッドが進退するだけでなく、回転する構造になっており、昇降及び回転を伴う研磨装置の研磨ヘッド等に適用するには、最適な装置である。しかも、ピストン及びピストンロッドがシリンダハウジングと非接触であるため、低速及び高速で且つ高精度な進退及び回転が可能である。このため、ピストン及びピストンロッドを進退させるだけでなく、回転させるための技術を有したエアベアリングシリンダの登場が期待されていた。
【0006】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、ピストン及びピストンロッドを高精度で進退させることができるだけでなく、高精度で回転させることもできるエアベアリングシリンダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ピストンの両側に先端側ピストンロッドと後端側ピストンロッドとをそれぞれ結合して成る軸部材と、その先端から先端側ピストンロッドを外部に突出させると共に後端から後端側ピストンロッドを外部に突出させた状態で、軸部材を進退自在及び回転自在に支持するシリンダハウジングと、シリンダハウジングの内側に組み込まれて軸部材の進退及び回転を可能にするエアベアリングと、軸部材をその軸回りに回転させるための回転駆動モータとを備えるエアベアリングシリンダであって、回転駆動モータは、シリンダハウジングの後端部に設けられたハウジングと、複数のマグネットをハウジング内に進入した軸部材の後端側ピストンロッドの外周面に円周方向に固着して成るロータと、このロータを囲むリング状のヨークをハウジングの内側に固定すると共に、複数の巻線コイルを複数のマグネットと対向するようにヨークの内側に配設して成るステータとを備え、複数の巻線コイルへの電流を切り換えることによりロータを回転させるブラシレスモータであり、軸部材の進退時においても、マグネットが複数の巻線コイルと常に対向しているように、マグネットの軸方向の長さが、軸部材のストロークと巻線コイルの直径との和以上に設定されている構成とした。
かかる構成により、エアを後端側ピストンロッド側に供給すると、ピストンがエア圧によって先端側に押される。このとき、軸部材がエアベアリングによって支持されているので、軸部材が非接触でスムーズにシリンダハウジングの先端側に進む。また、エアを先端側ピストンロッド側に供給すると、ピストンがエア圧によって後端側に押される。このとき、軸部材がエアベアリングによって支持されているので、軸部材が非接触でスムーズにシリンダハウジングの後端側に後退する。
そして、軸部材は、エアベアリングとシリンダハウジングによって回転自在に支持されているので、軸部材の回転駆動モータであるブラシレスモータを駆動させ、複数の巻線コイルへの電流を切り換えることにより、ロータを回転させることで、ロータを構成する後端側ピストンロッドと一体に、軸部材を回転させることができる。このとき、マグネットと後端側ピストンロッドで成るロータがステータの内側に非接触で配され、しかも、マグネットの軸方向の長さが、軸部材のストロークと巻線コイルの直径との和以上に設定されているので、軸部材の進退時においても、マグネットが巻線コイルと常に対向する。このため、軸部材が進退の動作を行っている最中においても、軸部材をブラシレスモータによってスムーズに回転させることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のエアベアリングシリンダにおいて、ブラシレスモータは、ブラシレスDCモータである構成とした。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のエアベアリングシリンダにおいて、軸部材の回転角度を検出するための回転角度センサを設け、回転角度センサを、ブラシレスモータのハウジングの後端部に設けられたハウジングと、リング状のヨークをこのハウジングの内側に固定すると共に、励磁コイルと1対の出力コイルとをこのヨークの内側に配設して成るステータと、軸部材の回転角度に応じてヨークとの間でのギァップパーミアンスが正弦波状に変化する外周曲線を有するリング状の磁性体をハウジング内に進入した軸部材の後端側ピストンロッドに嵌めて成るロータとを備え、励磁コイルに励磁電圧が印加された状態で、ロータの回転に伴うギャップパーミアンスの変化を1対の出力コイルからの出力電圧として検出し、その出力電圧からロータの回転角度を検出するレゾルバで構成し、軸部材の進退時においても、磁性体が励磁コイル及び1対の出力コイルと常に対向しているように、磁性体の軸方向の長さを、軸部材のストロークと励磁コイルの直径との和以上に設定した構成とする。
かかる構成により、軸部材をブラシレスモータによって回転させている最中に、回転角度センサであるレゾルバを作動させると、励磁コイルに励磁電圧が印加されて、ロータの回転に伴うギャップパーミアンスの変化に対応した出力電圧が1対の出力コイルから出力され、その出力電圧によって、ロータの回転角度、即ち軸部材の回転角度を検出することができる。そして、磁性体の軸方向の長さが、軸部材のストロークと励磁コイルの直径との和以上に設定され、軸部材の進退時においても、磁性体が励磁コイル及び1対の出力コイルと常に対向するので、軸部材が進退の動作を行っている最中においても、軸部材の回転角度を正確に検出することができる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエアベアリングシリンダにおいて、軸部材の進退距離を検出するための直動センサを設け、直動センサを、ブラシレスモータのハウジングよりも後側に設けられたハウジングと、このハウジングの内側に配設された励磁コイル及び1対の出力コイルと、軸部材の後端側ピストンロッドであってハウジング内に進入した部分に複数の磁性体を軸方向に沿って並べて形成した被検出ロッド部とを備え、励磁コイルに励磁電圧が印加された状態で、被検出ロッド部の磁性体位置の変化を1対の出力コイルからの出力電圧として検出し、その出力電圧から被検出ロッド部の進退距離を検出するインダクトコーダで構成し、複数の磁性体を、軸部材のストロークと励磁コイルの長さとの和以上に設定した構成とする。
かかる構成により、軸部材を進退させている最中に、直動センサであるインダクトコーダを作動させると、励磁コイルに励磁電圧が印加されて、被検出ロッド部の磁性体位置の変化に対応した出力電圧が1対の出力コイルから出力され、その出力電圧によって、被検出ロッド部の進退距離、即ち軸部材の進退距離を検出することができる。しかも、被検出ロッド部が非接触状態で支持されているので、回転している最中でも、軸部材の進退距離を正確に検出することができる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項3に記載のエアベアリングシリンダにおいて、レゾルバのハウジングに進入した後端側ピストンロッドに、後端で開口する中空部を形成し、この中空部内に、軸部材の進退距離を検出するための直動センサを組み込み、直動センサを、レゾルバのハウジングの後端面から中空部側に向かって突出し中空部内に非接触で挿入された先端開口の内ハウジングと、この内ハウジングの内側に配設された励磁コイル及び1対の出力コイルと、後端側ピストンロッドと一体に中空部内に固定された状態で内ハウジング内に進入し且つ複数の磁性体が軸方向に沿って並設された被検出ロッド部とを備え、励磁コイルに励磁電圧が印加された状態で、被検出ロッド部の磁性体位置の変化を1対の出力コイルからの出力電圧として検出し、その出力電圧から被検出ロッド部の進退距離を検出するインダクトコーダで構成し、複数の磁性体を、軸部材のストロークと励磁コイルの長さとの和以上に設定した構成とする。
かかる構成により、直動センサをレゾルバのハウジングに設けられた中空部内に組み込んでいるので、エアベアリングシリンダが回転駆動モータ,回転角度センサ及び直動センサを備えているにもかかわらず、その長さが短い。
【発明の効果】
【0012】
以上詳しく説明したように、この発明に係るエアベアリングシリンダによれば、軸部材を高精度で回転させることができ、しかも、軸部材の進退時においても、軸部材をスムーズに回転させることができるという優れた効果がある。
【0013】
特に、請求項3の発明によれば、軸部材が進退の動作を行っている最中においても、軸部材の回転角度を正確に検出することができるという効果がある。
また、請求項4の発明によれば、回転している最中でも、軸部材の進退距離を正確に検出することができるという効果がある。
さらに、請求項5の発明によれば、エアベアリングシリンダの長さを短くすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施例に係るエアベアリングシリンダを示す断面図である。
【図2】エアベアリングシリンダの外観図である。
【図3】シリンダ本体の部分拡大断面図である。
【図4】軸部材の最大前進状態を示す断面図である。
【図5】ブラシレスDCモータを示す部分拡大断面図である。
【図6】図2の矢視A−A断面図である。
【図7】レゾルバを示す部分拡大断面図である。
【図8】図2の矢視B−B断面図である。
【図9】図2の矢視C−C断面図である。
【図10】インダクトコーダを示す部分拡大断面図である。
【図11】この発明の第2実施例に係るエアベアリングシリンダを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、この発明の第1実施例に係るエアベアリングシリンダを示す断面図であり、図2は、エアベアリングシリンダの外観図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、この実施例のエアベアリングシリンダ1は、シリンダ本体2と回転駆動モータ3と回転角度センサ4と直動センサ5とを備えている。
【0018】
シリンダ本体2は、軸部材6を軸方向(図1の左右方向)に進退させるための装置である。
図3は、シリンダ本体2の部分拡大断面図であり、図4は、軸部材6の最大前進状態を示す断面図である。
図3に示すように、シリンダ本体2は、シリンダハウジング20と軸部材6とエアベアリング25〜27とを有する。
軸部材6は、先端側ピストンロッド61と後端側ピストンロッド62とを大径のピストン60の両側にそれぞれ結合した構造を成している。そして、軸部材6は、先端側ピストンロッド61の一部をシリンダハウジング20の先端から外部に突出させ、後端側ピストンロッド62の大半部をシリンダハウジング20の後端から突出させた状態で、シリンダハウジング20内に進退自在及び回転自在に収納されている。
このシリンダハウジング20には、ピストン収納室21が設けられ、ピストン収納室21と連通した後退用エア供給口22a,エア排出口22bが、シリンダハウジング20の先端側に設けられ、前進用エア供給口23a,エア排出口23bが、シリンダハウジング20の後端側に設けられている。すなわち、ピストン収納室21の内、ピストン60の先端側空間部(図3の左側空間部)をピストン60後退用の圧力室22とし、後退用エア供給口22aがこの圧力室22に連通する。また、図4に示すように、ピストン収納室21の内、ピストン60の後端側空間部(図4の右側空間部)をピストン60前進用の圧力室23とし、この圧力室23が前進用エア供給口23aと連通する。
図3において、エアベアリング25〜27は、軸部材6の進退及び回転を可能にするための部材である。これらエアベアリング25〜27は、多孔質部材をリング状にして形成したもので、シリンダハウジング20の内側であって、ピストン60,先端側ピストンロッド61,後端側ピストンロッド62を囲む位置に取り付けられている。そして、エア供給口25a,26a,27aが、エアベアリング25,26,27の位置にそれぞれ穿設されている。
これにより、エアをエア供給口25a,26a,27aに供給することで、エアが、多孔質のエアベアリング25,26,27を通じてピストン60,先端側ピストンロッド61及び後端側ピストンロッド62の表面に均一に吹き出し、ピストン60,先端側ピストンロッド61及び後端側ピストンロッド62がエアベアリング25,26,27によって浮かされ、軸部材6全体ががエアによって浮いた状態になる。かかる状態で、ピストン収納室21の圧力室23内のエアをエア排出口23bから排出しながら、新しいエアを後退用エア供給口22aを通じて圧力室22内に供給すると、図3に示すように、ピストン60が後退する。また、圧力室22内のエアをエア排出口22bから排出しながら、新しいエアを前進用エア供給口23aを通じて圧力室23内に供給すると、図4に示すように、ピストン60が前進する。
このようにして、エアを後退用エア供給口22a,エア排出口22b及び前進用エア供給口23a,エア排出口23bに供給及び排出することで、ピストン60つまり軸部材6をスムーズに進退させることができる。このときの軸部材6のストロークは、図3に示す最大後退位置から図4に示す最大前進位置の迄の距離Sである。
【0019】
図1に示す回転駆動モータ3は、軸部材6をその軸回りに回転させるためのブラシレスDC(直流)モータである。
図5は、ブラシレスDCモータ3を示す部分拡大断面図であり、図6は、図2の矢視A−A断面図である。
図5に示すように、ブラシレスDCモータ3は、ハウジング30とロータ31とステータ33とを有する。
ハウジング30は、シリンダハウジング20の後端部に取り付けられた筒状体であり、ロータ31が、このハウジング30内に進入した後端側ピストンロッド62に組み付けられている。
ロータ31は、8枚のマグネット32を、ハウジング30内に進入した軸部材6の後端側ピストンロッド62の部分62aの外周面に固着することにより構成した。具体的には、図6に示すように、4つのN極と4つのS極とが交互に円周方向に並ぶように、8枚のマグネット32を後端側ピストンロッド62aの外周面に配列した。
一方、ステータ33は、リング状のヨーク34と巻線コイル35とで構成されている。
ヨーク34は、ロータ31がその中心に位置するように、ハウジング30の内側に固定されている。そして、6つの巻線コイル35が、マグネット32と対向するようにヨーク34に等間隔で取り付けられている。
このようなブラシレスDCモータ3の動作原理は公知のブラシレスDCモータと同様であり、6つの巻線コイル35への電流を切り換えることによりロータ31を回転させることができる。
ただし、このブラシレスDCモータ3では、マグネット32の長さが、一般的なブラシレスDCモータのマグネットの長さよりも長く設定されている。すなわち、図5に示すように、マグネット32の長さL1が、軸部材6のストロークSと巻線コイル35の直径D1との和にほぼ等しくなるように設定されている。これにより、軸部材6の進退時においても、マグネット32が巻線コイル35と常に対向する。
【0020】
図1に示す回転角度センサ4は、軸部材6の回転角度を検出するレゾルバである。
図7は、レゾルバ4を示す部分拡大断面図であり、図8は、図2の矢視B−B断面図であり、図9は、図2の矢視C−C断面図である。
図7に示すように、レゾルバ4は、ハウジング40とステータ41とロータ46とを有する。
ハウジング40は、ブラシレスDCモータ3のハウジング30の後端部に取り付けられた筒状体であり、ステータ41が、このハウジング40内に組み付けられている。
ステータ41は、ヨーク42と励磁コイル43と1対の出力コイル44,45とで構成されている。
すなわち、リング状のヨーク42が、ハウジング40の内側に固定され、励磁コイル43が、ヨーク42の前段側に巻き付けられている。具体的には、図8に示すように、直列に接続された8つの励磁コイル43が、ロータ46側を向くように等間隔でヨーク42に配設されている。そして、1対の出力コイル44,45は、図7に示すように、ヨーク42の後段側に巻き付けられている。具体的には、図9に示すように、直列に接続された4つの出力コイル44と直列に接続された4つの出力コイル45とが、互いに90°に傾いた状態でヨーク42に配設されている。
一方、ロータ46は、図7に示すように、ハウジング40に進入した後端側ピストンロッド62の部分62bと、この後端側ピストンロッド62bに嵌め込まれたリング状の磁性体47とで構成されている。
具体的には、磁性体47の断面の外周曲線が、後端側ピストンロッド62bの回転角度に応じてヨーク42との間でのギァップパーミアンスが正弦波状に変化する曲線に設定されている。この実施例では、ほぼ楕円形曲線に設定した。
このようなレゾルバ4の検出原理は公知のレゾルバの検出原理と同様であり、励磁コイル43に励磁電圧が印加された状態で、ロータ46の回転に伴うギャップパーミアンスの変化を出力コイル44,45の出力電圧として検出し、その出力電圧からロータ46の回転角度を検出することができる。
ただし、このレゾルバ4では、磁性体47の長さが、一般的なレゾルバの磁性体の長さよりも長く設定されている。すなわち、磁性体47の長さL2が、軸部材6のストロークSと励磁コイル43及び出力コイル44(45)の直径和D2との和にほぼ等しくなるように設定されている。これにより、軸部材6の進退時においても、磁性体47が励磁コイル43及び1対の出力コイル44,45と常に対向する。
【0021】
図1に示す直動センサ5は、軸部材6の進退距離を検出するためのインダクトコーダである。
図10は、インダクトコーダ5を示す部分拡大断面図である。
図10に示すように、インダクトコーダ5は、ハウジング50と励磁コイル51及び出力コイル52,53と被検出ロッド部54とを有している。
ハウジング50は、レゾルバ4のハウジング40の後端部に取り付けられた筒状体であり、励磁コイル51及び出力コイル52,53が、このハウジング50の内側に組み付けられている。
具体的には、励磁コイル51が、ハウジング50の内側に横向きに巻き付けられ、出力コイル52,53が、励磁コイル51の内側に横向きに巻き付けられている。この実施例では、直列に接続された2つの出力コイル52,52と直列に接続された2つの出力コイル53,53とを交互に並べ、その内側に、被検出ロッド部54を配した。
被検出ロッド部54は、ハウジング50内に進入した後端側ピストンロッド62の部分62cと複数の磁性体55とで構成されている。具体的には、後端側ピストンロッド62cに、複数の磁性体55を所定間隔を置いて並ぶように組み付けて、被検出ロッド部54を形成した。
このようなインダクトコーダ5の検出原理は公知のインダクトコーダの検出原理と同様であり、励磁コイル51に励磁電圧が印加された状態で、被検出ロッド部54の磁性体55の位置の変化を1対の出力コイル52,53からの出力電圧として検出し、その出力電圧から被検出ロッド部54の進退距離を検出することができる。
また、先端の磁性体55aから後端の磁性体55b迄の長さL3は、軸部材6のストロークSと励磁コイル51の長さD3との和にほぼ等しくなるように設定されている。
【0022】
次に、この実施例のエアベアリングシリンダ1が示す作用及び効果について説明する。
図1において、エアをシリンダ本体2のエア供給口25a〜27aに供給すると、多孔質のエアベアリング25〜27によって、軸部材6が浮いた状態になる。かかる状態で、エアを後退用エア供給口22aから圧力室22内に供給すると、ピストン60が後退する。また、新しいエアを前進用エア供給口23aから圧力室23内に供給すると、ピストン60が前進する。このとき、軸部材6がエアベアリング25〜27によって支持されているので、軸部材6は非接触でスムーズに進退する。なお、圧力室23内に供給されたエアは、エアベアリング27から吹き出しているエアによって阻止されるので、ブラシレスDCモータ3のハウジング30側に漏れることはない。
そして、ブラシレスDCモータ3を駆動させ、6つの巻線コイル35への電流を切り換えることにより、軸部材6を回転させることができる。
このとき、ブラシレスDCモータ3のマグネット32の長さL1が、軸部材6のストロークSと巻線コイル35の直径D1との和にほぼ等しくなるように設定されているので(図5参照)、軸部材6の進退時においても、マグネット32が巻線コイル35に常に対向する。この結果、ブラシレスDCモータ3は、軸部材6が進退の動作を行っている最中においても、軸部材6をスムーズに回転させることができる。
【0023】
そして、 ブラシレスDCモータ3によって回転する軸部材6の回転角度を検出したい場合には、レゾルバ4を動作させ、励磁電圧を励磁コイル43に印加しながら、出力コイル44,45からの出力電圧を検出することで、軸部材6の回転角度を検出することができる。
このとき、磁性体47の長さL2が、軸部材6のストロークSと励磁コイル43及び出力コイル44(45)の直径和D2との和にほぼ等しくなるように設定されているので(図7参照)、軸部材6の進退時においても、磁性体47が励磁コイル43及び1対の出力コイル44,45に常に対向する。この結果、レゾルバ4は、軸部材6が進退の動作を行っている最中においても、軸部材6の回転角度を正確に検出することができる。
【0024】
さらに、シリンダ本体2によって進退する軸部材6の進退距離を検出したい場合には、インダクトコーダ5を作動させ、励磁電圧を励磁コイル51に印加しながら、出力コイル52,53からの出力電圧を検出することで、被検出ロッド部54の進退距離即ち軸部材6の進退距離を検出することができる。
以上のように、この実施例のエアベアリングシリンダ1によれば、ブラシレスDCモータ3によって、進退している軸部材6を高精度且つスムーズに回転させることができ、しかも、レゾルバ4とインダクトコーダ5によって、進退する軸部材6の回転角度や進退距離を正確に検出することができる。
【実施例2】
【0025】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図11は、この発明の第2実施例に係るエアベアリングシリンダを示す断面図である。
図11に示すように、この実施例のエアベアリングシリンダ1′は、インダクトコーダ5をレゾルバ4の内側に組み込んだ点が、上記第1実施例と異なる。
このエアベアリングシリンダ1′も、シリンダ本体2とブラシレスDCモータ3とレゾルバ4とインダクトコーダ5とを備えている。
レゾルバ4のハウジング40は、ブラシレスDCモータ3のハウジング30と一体に形成されている。そして、このハウジング40に進入して磁性体47と共にロータ46を構成する後端側ピストンロッド62bに、後端側ピストンロッド62bの後端で開口する中空部48が形成されている。インダクトコーダ5は、この中空部48内に組み付けられている。
【0026】
具体的には、インダクトコーダ5の内ハウジング50′が、レゾルバ4のハウジング40の後端面40aに突設され、中空部48内に非接触で挿入されている。そして、励磁コイル51と出力コイル52,53とが、内ハウジング50′の内側に配設され、後端側ピストンロッド62cと磁性体55で構成された被検出ロッド部54が、後端側ピストンロッド62aの後端中心に固定されている。これにより、被検出ロッド部54が、内ハウジング50′内に平行に進入した状態になっている。
【0027】
かかる構成により、シリンダ本体2とブラシレスDCモータ3と回転角度センサ4及び直動センサ5の全てを備えたエアベアリングシリンダの長さを短くして、コンパクトにすることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0028】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、シリンダ本体2とブラシレスDCモータ3とレゾルバ4とインダクトコーダ5とを全て備えたエアベアリングシリンダについて例示したが、これに限定されるものではなく、シリンダ本体2とブラシレスDCモータ3とでのみ構成されたエアベアリングシリンダや、シリンダ本体2とブラシレスDCモータ3とレゾルバ4で構成され、インダクトコーダ5を備えていないエアベアリングシリンダや、シリンダ本体2とブラシレスDCモータ3とインダクトコーダ5とで構成され、レゾルバ4を備えていないエアベアリングシリンダもこの発明の範囲に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1,1′…エアベアリングシリンダ、 2…シリンダ本体、 3…ブラシレスDCモータ、 4…レゾルバ、 5…インダクトコーダ、 6…軸部材、 20…シリンダハウジング、 21…ピストン収納室、 22,23…圧力室、 22a…後退用エア供給口、 22b,23b…エア排出口、 23a…前進用エア供給口、 25〜27…エアベアリング、 25a〜27a…エア供給口、 30,40,50…ハウジング、 31,46…ロータ、 32…マグネット、 33,41…ステータ、 34,42…ヨーク、 35…巻線コイル、 43,51…励磁コイル、 44,45,52,53…出力コイル、 47,55…磁性体、 48…中空部、 50′…内ハウジング、 54…被検出ロッド部、 60…ピストン、 61…先端側ピストンロッド、 62…後端側ピストンロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンの両側に先端側ピストンロッドと後端側ピストンロッドとをそれぞれ結合して成る軸部材と、
その先端から上記先端側ピストンロッドを外部に突出させると共に後端から上記後端側ピストンロッドを外部に突出させた状態で、上記軸部材を進退自在及び回転自在に支持するシリンダハウジングと、
上記シリンダハウジングの内側に組み込まれて上記軸部材の進退及び回転を可能にするエアベアリングと、
上記軸部材をその軸回りに回転させるための回転駆動モータと
を備えるエアベアリングシリンダであって、
上記回転駆動モータは、上記シリンダハウジングの後端部に設けられたハウジングと、複数のマグネットを上記ハウジング内に進入した上記軸部材の後端側ピストンロッドの外周面に円周方向に固着して成るロータと、このロータを囲むリング状のヨークをハウジングの内側に固定すると共に、複数の巻線コイルを上記複数のマグネットと対向するように上記ヨークの内側に配設して成るステータとを備え、上記複数の巻線コイルへの電流を切り換えることにより上記ロータを回転させるブラシレスモータであり、
上記軸部材の進退時においても、上記マグネットが上記複数の巻線コイルと常に対向しているように、マグネットの軸方向の長さが、上記軸部材のストロークと上記巻線コイルの直径との和以上に設定されている、
ことを特徴とするエアベアリングシリンダ。
【請求項2】
請求項1に記載のエアベアリングシリンダにおいて、
上記ブラシレスモータは、ブラシレスDCモータである、
ことを特徴とするエアベアリングシリンダ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のエアベアリングシリンダにおいて、
軸部材の回転角度を検出するための回転角度センサを設け、
上記回転角度センサを、上記ブラシレスモータのハウジングの後端部に設けられたハウジングと、リング状のヨークをこのハウジングの内側に固定すると共に、励磁コイルと1対の出力コイルとをこのヨークの内側に配設して成るステータと、上記軸部材の回転角度に応じてヨークとの間でのギァップパーミアンスが正弦波状に変化する外周曲線を有するリング状の磁性体を上記ハウジング内に進入した上記軸部材の後端側ピストンロッドに嵌めて成るロータとを備え、上記励磁コイルに励磁電圧が印加された状態で、上記ロータの回転に伴う上記ギャップパーミアンスの変化を上記1対の出力コイルからの出力電圧として検出し、その出力電圧から上記ロータの回転角度を検出するレゾルバで構成し、
上記軸部材の進退時においても、上記磁性体が上記励磁コイル及び1対の出力コイルと常に対向しているように、磁性体の軸方向の長さを、上記軸部材のストロークと励磁コイルの直径との和以上に設定した、
ことを特徴とするエアベアリングシリンダ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエアベアリングシリンダにおいて、
上記軸部材の進退距離を検出するための直動センサを設け、
上記直動センサを、上記ブラシレスモータのハウジングよりも後側に設けられたハウジングと、このハウジングの内側に配設された励磁コイル及び1対の出力コイルと、上記軸部材の後端側ピストンロッドであって上記ハウジング内に進入した部分に複数の磁性体を軸方向に沿って並べて形成した被検出ロッド部とを備え、上記励磁コイルに励磁電圧が印加された状態で、上記被検出ロッド部の磁性体位置の変化を上記1対の出力コイルからの出力電圧として検出し、その出力電圧から上記被検出ロッド部の進退距離を検出するインダクトコーダで構成し、
上記複数の磁性体を、上記軸部材のストロークと励磁コイルの長さとの和以上に設定した、
ことを特徴とするエアベアリングシリンダ。
【請求項5】
請求項3に記載のエアベアリングシリンダにおいて、
上記レゾルバのハウジングに進入した後端側ピストンロッドに、後端で開口する中空部を形成し、この中空部内に、上記軸部材の進退距離を検出するための直動センサを組み込み、
上記直動センサを、上記レゾルバのハウジングの後端面から上記中空部側に向かって突出し中空部内に非接触で挿入された先端開口の内ハウジングと、この内ハウジングの内側に配設された励磁コイル及び1対の出力コイルと、上記後端側ピストンロッドと一体に上記中空部内に固定された状態で上記内ハウジング内に進入し且つ複数の磁性体が軸方向に沿って並設された被検出ロッド部とを備え、上記励磁コイルに励磁電圧が印加された状態で、上記被検出ロッド部の磁性体位置の変化を上記1対の出力コイルからの出力電圧として検出し、その出力電圧から上記被検出ロッド部の進退距離を検出するインダクトコーダで構成し、
上記複数の磁性体を、上記軸部材のストロークと励磁コイルの長さとの和以上に設定した、
ことを特徴とするエアベアリングシリンダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−69384(P2011−69384A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218480(P2009−218480)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(599153116)エヌ・イー有限会社 (4)
【Fターム(参考)】